JP5178106B2 - 血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測装置、診断装置、及び高感度crp高値のリスク予測装置 - Google Patents

血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測装置、診断装置、及び高感度crp高値のリスク予測装置 Download PDF

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Description

本発明は、被験者において、心筋梗塞、心不全、脳血管障害、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、肺塞栓、不整脈などの心血管イベントが将来発生しうるリスクを予測するために用いる、血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測方法、この予測を行なう診断に用いるための診断装置、及び高感度CRP高値のリスク予測方法に関し、従来は困難であった血中酸素飽和度測定に基づくリスク予測を可能とする構成を提供するものである。
患者が将来において心血管イベント(心筋梗塞、心不全、脳血管障害、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、肺塞栓、不整脈など)を発症するリスクを、診断結果に基づき予測することは、種々の疾患の診断及び治療において極めて重要である。
例えば、非特許文献1は、重症の閉塞型睡眠時無呼吸(OSA:Obstructive sleep apnea)は、単純性いびき症および軽症・中等症のOSAに比較して致死的・非致死的心血管イベントの発症リスクが有意に高いこと、持続的陽圧呼吸(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)治療を行なうことにより、心血管イベントの発症が有意に抑制されることの証明を提示している。
また、医療者である本発明人は、日常臨床において軽症・中等症のOSA患者にも心血管リスクの高い症例が存在することも、しばしば経験している。
かような状況に対し、これら心血管イベントの発生リスクを予測しようとする試みはいくつかの提案がなされている。
例えば特許文献1に記載の動脈硬化予測診断方法においては、被検試料中の小粒子低比重リポ蛋白、または小粒子低比重リポ蛋白と低比重リポ蛋白との比率、または小粒子低比重リポ蛋白と高比重リポ蛋白との比率を測定することを含み、被検試料中の小粒子低比重リポ蛋白量、小粒子低比重リポ蛋白と低比重リポ蛋白との比率、または小粒子低比重リポ蛋白と高比重リポ蛋白との比率の増加が、該試料を提供した被験者の動脈硬化の重症度の増加を示すことを開示している。
更に、下記する特許文献2には、心不全の進行等の予測および当該患者のスクリーニング方法として、患者の体液をインビトロで、N−末端pro−ANFまたはそのフラグメントもしくはその延長したポリペプチドの体液中レベルの決定に付することからなる方法が開示されている。
更にまた、下記する特許文献3には、心血管疾患に関連する薬物投与に応答する遺伝子の同定、心血管疾患の治療薬の同定、心血管疾患の治療を受けている患者の診断的監視、薬物有害反応を排除した投薬計画を予測するための遺伝子変異の利用、様々な心血管疾患の診断的評価と予後のための対象の同定に関する方法として、CA遺伝子ポリペプチドの完全長cDNAのような機能的環境の中にある配列セクションに記載のアレル変異を持ち、そしてCA遺伝子プロモーター配列を有するまたは有さない、特定の配列番号より成る群から選ばれるポリヌクレオチドが開示されている。
更にまた、下記する特許文献4には、対象において心血管疾患をスクリーニングおよび/または診断する方法として、生体サンプルにおける特定配列ポリペプチドのレベルを検出および/または定量する方法が開示されている。
また、下記する非特許文献2には、動脈硬化症には発症初期から炎症反応が関与し、病態の進展やプラークの破綻にも炎症の介在があること、動脈硬化性疾患の予後に関する研究により炎症反応の指標である高感度CRP(C-reactive Protein:C反応性蛋白質)高値が重要なリスク因子の一つあることが紹介されている。
Marin JM, et al. Lancet 2005;365:1046-53 大澤、岡山、中村:動脈硬化症の新たな指標−高感度CRP値の臨床・疫学的重要性 (岩手公衛誌,15(1・2),8-16,2003) 特開2006-226913号公報 特開平6-174718号公報 特開2004-154120号公報 特表2007-501605号公報
従来、被験者の血中酸素飽和度を測定した結果に基づいて、心血管イベントの発生を予測する方法は、存在しなかった。
従来と異なり、血中酸素飽和度に基づく心血管イベント発生予測を行なうことの優位性、有効性を以下に説明する。
先に言及した閉塞型睡眠時無呼吸(OSAS)は中枢型(CSA : Central Sleep apnea)と異なり、睡眠中に患者の舌部が重力により下がって物理的に上気道が閉塞して気流が停止するもので、無呼吸の間でも胸壁と腹壁の呼吸運動(いわゆる呼吸努力)が認められる。
そこでOSASの確定診断は、「PSG(Polysomnography:睡眠ポリグラフ装置)」と呼ばれる装置を用いた睡眠検査(以下、この睡眠検査を「PSG」あるいは「PSG検査」と呼ぶ)を行なうことが一般的である。
PSGは、呼吸気流、いびき音、血中酸素飽和度(SpO2)、脳波、筋電図、眼球の動きなどを被験者の睡眠期間に亘って測定して、これら種々の測定結果からOSASの診断を行なうための検査装置である。
これらPSGについては例えば特許第2950038号公報、特開2004-305258号公報に開示がなされている。PSGは、脳波の測定を行なうので、用いられるPSG用装置が大規模となって医療機関に設置される事が必要となると共に、脳波検出用電極を被験者に貼付する手技は高度のものが要求されるので専門の技師が貼付作業を行ない、電極貼付がなされた後の被験者は移動が困難である。そこでPSGを行なうために被験者は多くの場合2泊3日(一泊目がPSG実施、二泊目が治療における処方の決定)の日程で専門医療機関や、スリープラボと呼ばれる専用の検査施設に入院を行ない、これら医療機関内で検査を受ける。
このように医療機関などに固定的に設置され、入院検査を行なうことが前提のPSGとは異なり、パルスオキシメータと呼ばれる可搬型の血中酸素飽和度測定器もまた、広く用いられている。
このパルスオキシメータは、患者の体に装着して移動可能であるような小型軽量に構成されており、例えば医療機関の外来で医療者により患者(被験者)へ装着し、被験者が自宅へ帰宅して就寝し、睡眠中の血中酸素飽和度を継続的に計測、記録し、翌日以降に患者がこのパルスオキシメータを医療機関へ返却して、記録結果の解析を行なうものである。
このパルスオキシメータは被験者の血中酸素飽和度のみを測定するものであり、呼吸努力などは知ることは出来ないが、小型簡潔な構成であるため被験者の負担が少なく、入院を必要とせずに自宅で計測が行えるので、PSGを用いたOSAS確定診断前のスクリーニング検査、OSASが確定診断され、治療途中の経過観察などの目的で広く用いられている。
このように閉塞型睡眠時無呼吸(OSAS)が心血管イベントの重要リスク要因であることは先に示した非特許文献1が開示している通りである一方、このOSAS診断においては血中酸素飽和度測定が多用されているにもかかわらず、この血中酸素飽和度により心血管イベントのリスクを予測する方法は従来知られておらず、臨床において、簡潔容易にこのリスク予測が行えないという課題が存在した。
被験者の血中酸素飽和度測定結果に基づく指標として従来より知られているものは、10 秒以上の気流の停止を「無呼吸」として睡眠1時間あたりの無呼吸の回数である無呼吸指数(AI:ApneaIndex)、同じく、換気の50%以上の低下に酸素飽和度3または4%以上の低下を伴う状態を「低呼吸」として睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea hypopnea Index)、任意の測定ポイントにおいて血中酸素飽和度が低下した値である酸素飽和度低下指数(ODI:oxygen desaturation index)などがあるが、もとよりこれらの指数が心血管イベントリスクと相関があることは報告されていない。
更にまた、動脈硬化性疾患の重要なリスク因子である、高感度CRP(C-reactive Protein:C反応性蛋白質)が高値であることを簡潔な構成により予測する方法もまた報告されていない。
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、睡眠時無呼吸の臨床診断において多用される血中酸素飽和度を用いて、被験者の心血管イベント発生のリスク及び高感度CRP高値のリスクを予測するために用いる、血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測方法、診断装置、高感度CRP高値のリスク予測方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、下記する1)〜10)のいずれか1項に記載の構成を有する、血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測方法、診断装置、高感度CRP高値のリスク予測方法を提供する。
1)睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
睡眠全期間における前記時間積分値の総計を表示する表示手段、を有することを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
2)睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
睡眠全期間における前記時間積分値の総計をこの睡眠全期間の継続時間で除した睡眠単位時間当たりの時間積分値を表示する表示手段、を有することを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
3)表示手段は、測定された時間積分値と、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値に相当する時間積分値との大小が比較可能なように表示を行なうことを特徴とする1)または2)に記載の血中酸素飽和度測定装置。
4)表示手段は、測定された時間積分値が、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値に相当する時間積分値を上回った場合に、心血管イベントの予測リスクに関する注意を促す表示を行なうことを特徴とする、3)に記載の血中酸素飽和度測定装置。
5)被験者において心血管イベントが将来発生しうるリスクを予測する方法であって、
血中酸素飽和度測定手段を用いて、睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する第1のステップ、
この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、積分値計算手段を用いて、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する第2のステップ、
比較及び決定手段を用いて、前記算出された時間積分に基づく値の大きさを、予め決められた基準値と比較し、比較結果に基づいてリスクの予測を決定する第3のステップ、
表示及び/又は出力手段を用いて、前記決定された予測を表示及び/又は出力する第4のステップと、を有することを特徴とする、心血管イベントのリスク予測方法。
6)基準値は、
ベースラインを安静臥床時における5分間の血中酸素飽和度の平均値とし、時間積分に基づく値を、時間積分値を総睡眠時間で除した値とした場合において、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値としたことを特徴とする、5)に記載の心血管イベントのリスク予測方法。
7)被験者において心血管イベントが将来発生しうるリスクを予測する診断に用いるための、診断装置であって、
睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
算出された時間積分に基づく値を表示及び/又は出力する、表示及び/又は出力手段、を備えたことを特徴とする、診断装置。
8)時間積分に基づく値を対照させることで、使用者が心血管イベントの発生リスクを予測するために用いる基準値を表示及び/又は出力する、基準値の表示及び/又は出力手段を有することを特徴とする、7)に記載の診断装置。
9)基準値は、
ベースラインを安静臥床時における5分間の血中酸素飽和度の平均値とし、時間積分に基づく値を、時間積分値を総睡眠時間で除した値とした場合において、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値としたことを特徴とする、8)に記載の診断装置。
10)被験者において高感度CRP(C-reactive Protein:C反応性蛋白質)が高値であるリスクを予測する方法であって、
血中酸素飽和度測定手段を用いて、睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する第1のステップ、
この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、積分値計算手段を用いて、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する第2のステップ、
比較及び決定手段を用いて、算出された時間積分に基づく値の大きさを、予め決められた基準値と比較し、比較結果に基づいてリスクの予測を決定する第3のステップ、
表示及び/又は出力手段を用いて、前記決定された予測を表示及び/又は出力する第4のステップと、を有することを特徴とする、高感度CRP高値のリスク予測方法。
本発明は上記の構成とすることにより、睡眠時無呼吸の臨床診断において多用される血中酸素飽和度を用いて、被験者の心血管イベント発生のリスク、及び高感度CRP高値のリスクの予測を行なうために用いる、血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測方法、診断装置、高感度CRP高値のリスク予測方法を提供し、この結果、軽症・中等症を含むOSA患者から高い精度で心血管イベント発生リスクや高感度CRP高値のリスクのある症例を検出することが可能となる、という顕著な効果を奏する。
本発明の実施形態を説明するに先立ち、まず、本発明人が本発明をなすに至る重要な基礎となった、本発明人による知見について説明を行なう。
〔血中酸素飽和度と心血管イベントとの対比評価〕
本発明人は、以下に説明を行なう血中酸素飽和度の時間積分計測システム(以下、積分値計測システムともいう)10を用いて被験者の血中酸素飽和度時間積分値を得、得られた積分と、個々の被験者の過去の心血管イベントの有無とを対比した結果、後に説明を行なう本発明の構成に到達するに至ったものである。
図1に概要構成図を示す積分値計測システム10は、次のような構成を有している。
本システム10はまず、大きくパルスオキシメータ11と、積分値計測装置12とに分かれている。
パルスオキシメータ10はそのプローブ部11aに発光部11a1、受光部11a2を備え、波長の異なる2種類の光を指に当てて透過した光の量を測定することにより非侵襲的に動脈血酸素飽和度を算出するものであって、動脈血の識別は脈拍に一致して変化する成分に着目することにより行われ、酸素飽和度の算出は、酸素ヘモグロビンの、2種類の光に対する透過度が異なることを利用している。すなわち血液中のヘモグロビンの酸化・還元によって酸素が運搬されており、「酸化されると赤色光の吸収が減って赤外光の吸収が増える」、また、「還元されると赤色光の吸収が増えて赤外光の吸収が減る」というヘモグロビンの光学的特殊変化を利用しているものである。
受光部11a2からの出力信号はケーブル11bを経て、パルスオキシメータ本体11cのA/D変換部11c1に入力し、アナログ増幅、A/D変換などの処理を経てメモリ11c2にデジタル信号として読み出し可能に記録される。
尚、この計測と記録は、被験者の睡眠期間中を含む数時間の計測期間に亘り、継続的に行われる。
先に説明したように被験者に装着されたパルスオキシメータ11は、スタンドアローンの状態で被験者の血中酸素飽和度の測定記録を被験者自宅などで行なう。もちろん医療機関外来、あるいは入院時にこの測定記録を行なうことも可能である。
測定記録が終わったパルスオキシメータ11は再び医療機関へ戻され、パルスオキシメータ11の出力端11c4を、積分値計測装置12の入力端12aへ接続することで、パルスオキシメータ11のメモリ11c2に記録されていた、受光部11a2出力信号は、インターフェース部11c3、出力端11c4、入力端12a、インターフェース部12bを経て、血中酸素飽和度算出部12cへ入力する。
血中酸素飽和度算出部12cは上記した2波長の出力値と、血中酸素飽和度との対照テーブルを予め内部に記録しており、このテーブルを用いて入力信号から被験者の血中酸素飽和度を計算算出し、積分値計測部12dへ出力する。
この結果、例えば10msecというサンプリングタイムのもとで10時間に亘る、被験者の血中酸素飽和度の推移データを、積分値計測部12dは得ることとなる。
積分値計測部12dは次に以下の動作を行なう。
まず、得られた血中酸素飽和度の推移データを用いて、被験者が安静臥床時にあるときの血中酸素飽和度の5分間の平均を取り、これをベースライン(基線)とする。被験者が安静臥床時にある計測期間の選択は、被験者の測定後の申告に基づいてシステム10の操作者が選択操作を行ってもよいし、あるいはPSGのように患者の体動などを計測記録可能なシステムを用いる場合には、それらの計測結果に基づいて操作者が手動で期間を選択するか、自動的にシステム10が選択を行ってもよい。
次に、決定されたベースラインを血中酸素飽和度が下回った計測時点において、血中酸素飽和度がベースラインよりも下回った値を時間積分する。
時間積分を行なうとは文字通りベースラインと計測値との間の距離を、各計測時間ごとに積算する算法をいい、例えばベースラインが98%であって、血中酸素飽和度計測値が90%で10秒間維持された場合には、その期間における積分値は、(0.98−0.90)×10=8.0(次元は秒)である。積分は血中酸素飽和度測定値がベースラインを下回った計測期間全てで行われ、その作業が全計測期間、例えば10時間に亘り行われて、一つの積分値が算出される。
上記の積分計算を、図2に示す模式図である(A)を用いて説明すると、血中酸素飽和度の時間と共に変化する波形2aが、ベースライン2bを下回った際に下回った波形とベースライン2bとが挟む面積部分2cが既存の積分数値計算アルゴリズムに従い計算し、これらの積分値が合算される。
尚、血中酸素飽和殿測定は離散的なサンプリング時間間隔で間欠的に実行される。そこでこのような離散的サンプリングで得られた計測値に対して積分値を計算するために、例えば図2(B)に模式的に示すように、離散的計測値2dにおける面積積分値を、次のサンプリングまでの区間で挟まれる四辺形2eの面積で近似させて、これらの四辺形面積を合算して求める積分値としても良いし、あるいは図2(c)に模式的に示すように、各サンプリング値の尖頭部分を結ぶ近似曲線をスプライン補完などの手法で算出し、この近似曲線2fとベースライン2bとが囲む面積を既存の積分数値計算法で求めてもよいし、更には他の方法でもよい。
得られた積分値あるいはその積分値を加工した値は、積分値計測装置12の表示部12eに表示され、操作者が読み取ることができる。
尚、上記に説明を行った計測システム10は、特に血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメータの機能を中心として説明を行ったものであり、これら説明を行った構成以外のものを含むシステムであっても構わない。例えば先に説明を行ったPSG(睡眠ポリグラフ装置)で以下の対照評価を行っても構わない。
〔症例による対比(対照)評価結果〕
次に、上記に説明した計測システム10を用いて、本発明人が実際に対照評価を行った症例と、その評価結果について説明を行なう。
I 対象と方法
2004年11月17日から2007年6月1日までに、睡眠呼吸障害が疑われ、終夜睡眠ポリソムノグラフ(PSG)を施行し、軽症・中等症のOSA(5≦AHI<30)と診断した連続194例を対象とした。
検討方法は、まずPSGで得られた、酸素飽和曲線が基線よりも低下した部分の積分値を全睡眠期間に亘って算出する。次に、その積分値を総睡眠時間で除した。なお基線のSpO2(oxygen saturation by pulse oximetry:血中酸素飽和度)は安静臥床時の5分間の平均値を用いた。
このようにして得られた数値(以下、IAD; Integrated Area of Desaturationともいう。すなわち睡眠中の単位時間における、基線を下回った血中酸素飽和度の時間積分値である。)を新しい指標として用い、過去の心血管イベント(心筋梗塞、心不全、脳血管障害、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、肺塞栓、不整脈)との対比検討を行った。また、このIADと、評価時点での高感度CRPの高値リスクの有無を患者背景因子も含め対比検討した。
II 結果
1) 患者背景
男性162名、女性32名、平均年齢は52.3±14.3歳、BMIは25.5±4.2kg/m2、AHIは18.7±6.9回/hであった。
冠危険因子を有する割合は、糖尿病29例(15.6%)、高血圧88例(47.1%)、高脂血症57例(30.5%)、喫煙86例(46.0%)であった。
表1に患者背景の一覧を示す。
Figure 0005178106
2) 過去の心血管イベントの有無(表2)
本症例群においては、過去に心血管イベントが有った群(CVE群)が55例、イベントが無かった群(non-CVE群)が139例であった。その内訳は、心筋梗塞12例、狭心症11例、心不全11例、不整脈9例、脳血管障害7例、閉塞性動脈硬化症2例、大動脈瘤2例、肺塞栓1例であった。
CVE群の平均IAD値は96.1±11.7で、non-CVE群の平均IAD値60.8±4.1より有意に大きかった(p<0.001)。しかし、両群間のAHIには有意差(19.2±0.9vs18.6±0.6)はなかった。
CVE群、non-CVE群間での過去の心血管イベントの相違を表2に示す。
Figure 0005178106
表2において、各項目に対して「イベント有」の群(CVE)と、「イベント無」の群(non-CVE)との間の有意差を示すP value(Possibility value)がNS(Not Siginificant)は有意差が無いことを示し、p<0.05は有意差が認められることを示す。
表2に示すように、背景因子として男女比、BMIでは両群間に差はなかったが、年齢はCVE群の方が高かった(60.8±1.5vs48.9±1.2, p<0.001)。冠危険因子を有する割合は、喫煙では有差はなかったが、高血圧(70%vs38%, p<0.001)、高脂血症(43%vs25%, p=0.022)、糖尿病(25%vs12%, p=0.044)はCVE群で有意に多かった。
同様にして、全症例における各項目について、IADが所定の閾値に対する大小で二つの群に分け、それぞれの群において心血管イベント発生の有無などの有意差を調べた。
まず、「IADが200[%・sec/min]以上」の群と、「IADが200[%・sec/min]未満」の群との間の有意差を統計的に検定したところ、表3に示すように、イベントの発生率について、2つの群の間での有意差を認めた。
Figure 0005178106
同様にして、「IADが150[%・sec/min]以上」の群と、「IADが150[%・sec/min]未満」の群との間の有意差を統計的に検定したところ、表4に示すように、イベントの発生率について、2つの群の間での有意差を認めた。
Figure 0005178106
上記の結果に対する、本発明人による知見は次の通りである。
まず、長時間の無呼吸により著しく酸素飽和度が低下したイベントと、無呼吸の回数は多くとも短時間で酸素飽和度の軽いイベントとが、循環器系に及ぼす影響は同じではないと考えられる。
従って、軽症及び中等症のOSA(閉塞型睡眠時無呼吸)での心血管イベント発症には、酸素飽和度低下の程度、例えば時間的な持続などが影響していると考えられる。
また、OSAの重症例では、酸素飽和度低下の程度に関わらず、頻回に繰り返される低酸素血症は、交感神経の活性化、血管内皮機能障害、酸化ストレス、凝固能の異常などに関与し、心血管イベント発症に影響を及ぼすと考えられる。
上記の評価をまとめれば、酸素飽和曲線の低下部の積分値を用いてPSG解析をおこなったところ、この積分値が大きな値の症例で、有意に多くの心血管イベントが発症していることが確認できた。
すなわち、この新しい指標を用いることで、軽症、中等症のOSA患者の中で、将来的に心血管イベントをきたすリスクの高い症例を選別できる可能性を示唆するものである。
3) IAD値とAHIの関係
AHI≧30の重症OSAでは、IAD値とAHIは正の相関(r=0.55, p=0.0001)を認めた。5≦AHI<30の軽症・中等症OSAでは、弱い相関関係であった。
以上の結果を図3に示す。
本発明人は、AHIを用いる心血管イベントリスク評価と比較して、IADを用いる評価が有利であるとの知見を得ている。
すなわちSAS重症患者においてはAHIとリスクとの相関が見られるものの軽症・中等症の患者では相関が見られない。
一方、IADはSAS症状の程度に関わりなく心血管イベントリスクとの相関が見られるのでより広い範囲の患者に対して汎用性の高い予測を可能とするものである。
4) IAD値と高感度CRPの関係
高感度CRP(hsCRP)の平均値は0.15±0.02mg/dlであった。hsCRP≧0.15とhsCRP<0.15の2群間に年齢、性別、BMI、冠危険因子を有する割合で有意差はなかった。平均のAHIでも、2群間で有意差を認めなかった(19.7±1.2vs18.7±0.6, p=0.42)。しかし、IAD値はhsCRP≧0.15群で有意に大きかった(96.9±15.1vs63.1±4.8, p=0.006)。
上記の結果を表5に示す。
Figure 0005178106
5) 症例提示
最後に、上記の症例群に含まれる症例を、測定波形と共に説明する。
症例1;
62歳、男性。
42歳時に両側蓄膿症の手術をしている以外に既往はなし。
家人にいびき・無呼吸を指摘されており、日中の眠気が強いためPSGを施行。心血管イベントの既往はなく、心機能は正常。
PSGの結果は、AHI=77.5回/h、IAD=104.3であった。つまり、AHIでは重症のOSAであるが、IAD値は低値であった。
従ってこの症例では、心血管イベントのリスクは低い、という正しい予測結果を、AHIを用いたのでは得ることが出来ず、IADを用いて初めて得られることが理解できる。
図4は本症例の一晩の睡眠におけるPSG各測定波形、すなわち脳波、心電図、呼吸気流、呼吸気流、胸部呼吸努力、腹部呼吸努力、および血中酸素飽和度を示すグラフである。
図5は本症例の一晩の睡眠におけるSpO2波形、ベースラインを下回るSpO2低下量の積算値(各測定時点までの積分値)を横軸の睡眠経過時間とともに示したものである。
同様にして、この第2の症例群に含まれるもう一例の症例を説明する。
症例2;
54歳、男性。
うっ血性心不全で入院。
左心機能良好であるが、肺高血圧と右室肥大あり。
心臓カテーテル検査時に、睡眠時無呼吸イベントを発症。
その際、肺動脈圧が34mmHgから68mmHgに上昇した。
CPAP導入した以降は心不全に対する薬物治療は行っていないが、心不全兆候は認めていない。
PSGの結果は、AHI=23.8回/h、IAD=447.6/hであった。つまり、AHIでは中等症のOSAであるが、IAD値は高値であった。
この症例でも、心血管イベントのリスクは高い、という正しい予測結果を、AHIを用いたのでは得ることが出来ず、IADを用いて初めて得られることが理解できる。
図6は本症例の一晩の睡眠におけるPSG各測定波形、すなわち脳波、心電図、呼吸気流、呼吸気流、胸部呼吸努力、腹部呼吸努力、および血中酸素飽和度を示すグラフである。
図7は本症例の一晩の睡眠におけるSpO2波形、ベースラインを下回るSpO2低下量の積算値(各測定時点までの積分値)を横軸の睡眠経過時間とともに示したものである。
〔心血管イベントの予測システム〕
次に、上記の知見に基づく本発明人にかかる構成である、心血管イベントの予測システム1を、図8に示す概要構成図に基づいて説明する。
尚、本システム1は心血管イベントリスクを予測するための構成を有するが、以下の本システム1構成において「心血管イベントリスク」を「高感度CRP高値のリスク」と置き換え、且つこのリスク有無を予測する閾値として適切なSpO2値を設定することにより、高感度CRP高値リスクを予想するためのシステムを構成することが出来る。説明をより簡明なものとするため、以下の説明は心血管イベントリスクの予想システムに集中することとする。
本システム1は、先に図1に基き説明を行った計測システム10を基礎とし、この計測システム10と同じ構成、あるいは自動的なリスク判定のための機能を含めた構成としたものであって、特に血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメータの機能を中心として説明を行ったものであり、これら説明を行った構成以外のものを含むシステムであっても構わない。例えば先に説明を行ったPSG(睡眠ポリグラフ装置)と類似の構成の一部が、この予測システム1となるように構成して以下のリスク予測や表示を行っても構わない。
以下、既に説明した計測システム10と共通する部分も含めて、本予測システム1の構成を説明する。
なお、図8を用いて説明する本システム1の各構成は、その全部または一部をコンピュータ及びこのコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムとして実現することも可能である。
本システム1は図8の如く、まず、大きくパルスオキシメータ1aと、積分値計測装置1bとに大きく分かれている。
パルスオキシメータ1aはそのプローブ部1a1に発光部1a2、受光部1a3を備え、波長の異なる2種類の光を指に当てて透過した光の量を測定することにより非侵襲的に動脈血酸素飽和度を算出するものであって、動脈血の識別は脈拍に一致して変化する成分に着目することにより行われ、酸素飽和度の算出は、酸素ヘモグロビンの、2種類の光に対する透過度が異なることを利用している。すなわち血液中のヘモグロビンの酸化・還元によって酸素が運搬されており、「酸化されると赤色光の吸収が減って赤外光の吸収が増える」、また、「還元されると赤色光の吸収が増えて赤外光の吸収が減る」というヘモグロビンの光学的特殊変化を利用しているものである。
受光部1a3からの出力信号はケーブル1a4を経て、パルスオキシメータ本体1a5のA/D変換部1a6に入力し、アナログ増幅、A/D変換などの処理を経てメモリ1a7にデジタル信号として読み出し可能に記録される。
尚、この計測と記録は、被験者の睡眠期間中を含む数時間の計測期間に亘り継続的に、言い換えれば連続的に行われる。
被験者に装着されたパルスオキシメータ1aは、スタンドアローンの状態で被験者に装着され、被験者の血中酸素飽和度の測定記録を被験者自宅などで行なう。もちろん医療機関外来、あるいは入院時にこの測定記録を行なうことも可能である。
測定記録が終わったパルスオキシメータ1aは再び医療機関へ戻され、パルスオキシメータ1aの出力端1a9を、積分値計測装置12の入力端1b1へ接続することで、パルスオキシメータ1aのメモリ1a7に記録されていた、受光部1a3出力信号は、パルスオキシメータ1aのインターフェース部1a8、出力端1a9、及び積分値計測装置1bの入力端1b1、インターフェース部1b2を経て、血中酸素飽和度算出部1b3へ入力する。
血中酸素飽和度算出部1b3は、上記した2波長の出力値と、血中酸素飽和度との対照テーブルを予め内部に記録しており、このテーブルを用いて入力信号から被験者の血中酸素飽和度を計算算出し、積分値計測部1b4へ出力する。
この結果、例えば10msecというサンプリングタイムのもとで10時間に亘る、被験者の血中酸素飽和度の推移データを、積分値計測部1b4は得ることとなる。
積分値計測部1b4は次に以下の動作を行なう。
まず、得られた血中酸素飽和度の推移データを用いて、被験者が安静臥床時にあるときの血中酸素飽和度の5分間の平均を取り、これをベースライン(基線)とする。
尚、このようなベースラインの決定方法は一例にすぎず他の方法でも勿論よい。
被験者が安静臥床時にある計測期間の選択は、被験者の測定後の申告に基づいてシステム1の操作者が選択操作を行ってもよいし、あるいはPSGのように患者の体動などを計測記録可能なシステムを用いる場合には、それらの計測結果に基づいて操作者が手動で期間を選択するか、自動的にシステム1が選択を行なうよう構成することも可能である。
次に、決定されたベースラインを血中酸素飽和度が下回った計測時点において、血中酸素飽和度がベースラインよりも下回った値を時間積分する。
同様にして積分対象は上記のベースラインを下回る値の他、血中酸素飽和度そのもの、たとえば90%というSpO2の計測値そのものを積分計算したり、あるいはベースラインを90%などの固定値としてこの固定されたベースラインを下回る値を積分する構成も可能である。
ここで時間積分を行なうとは、文字通りベースラインと計測値との間のデータ空間における距離を、各計測時間ごとに積算する算法をいい、例えばベースラインが98%であって、血中酸素飽和度計測値が90%で10秒間維持された場合には、その期間における積分値は(0.98−0.90)×10=8.0(次元は秒)である。積分は血中酸素飽和度測定値がベースラインを下回った計測期間全てで行われ、その作業が全計測期間、例えば10時間に亘り行われて、一つの積分値が算出される。
上記の積分計算は、先に計測システム10の構成を説明したのと同様、図2に示す模式図である(A)を用いて説明すると、血中酸素飽和度の時間と共に変化する波形2aが、ベースライン2bを下回った際に下回った波形とベースライン2bとが挟む面積部分2cが既存の積分数値計算アルゴリズムに従い計算し、これらの積分値が合算される。
尚、血中酸素飽和度の測定は離散的なサンプリング時間間隔で間欠的に実行される。そこでこのような離散的サンプリングで得られた計測値に対して積分値を計算するために、例えば図2(B)に模式的に示すように、離散的計測値2dにおける面積積分値を、次のサンプリングまでの区間で挟まれる四辺形2eの面積で近似させて、これらの四辺形面積を合算して求める積分値としても良いし、あるいは図2(c)に模式的に示すように、各サンプリング値の尖頭部分を結ぶ近似曲線をスプライン補完などの手法で算出し、この近似曲線2fとベースライン2bとが囲む面積を既存の積分数値計算法で求めてもよいし、更には他の方法でもよい点は、本予測システム1においても計測システム10と同様である。
得られた積分値あるいはその積分値を加工した値は、積分値計測装置1bの表示部1b5に設けられた表示画面1b5-1表示され、操作者が読み取ることができる。
表示部1b5が表示を行なうための積分値計測部1b4が行なうデータ生成の態様は、様々であって、例えば、計測期間全域に亘る積分値そのものを表示させて、システム1を操作あるいは使用する医療者が診断に用いることが可能であるように表示させることが出来る。
あるいは、上記の、計測期間全域に亘る積分値を、計測全時間、または全睡眠時間で除した値を表示させることが出来る。
あるいはまた、医療者が診断に用いる際の補助として、心血管イベントのリスクが高いか低いかを分ける基準である値がわかるように表示をしても良い。例えば全睡眠時間で除した積分値が図5あるいは図7に示した如くにグラフ表示されると共に、この値が200[%・sec/min]となる位置に直線を表示し、この被験者の値が基準を上回るか否かを使用者等が読み取り可能に構成することが出来る。
更に、上記の基準値に対する被験者の値の大小に応じて、リスク予測1b6がこの被験者の心血管イベントリスクを自動判定し、判定結果を表示する、例えば200[%・sec/min]を上回る場合には「心血管イベントのリスクに注意」などと表示するようにしてもよい。勿論、この被験者に関する診断は、これらシステム1が自動生成した予測を参考とするか否かに関わらず、最終的に医療者によりなされる。
尚、上記に示したリスク有無判断の閾値である、200[%・sec/min]は本発明人が試験を行った症例に基づく例示であり、医学上の根拠や実測値に基きこれと異なる値としてもよい。
更に、上記した様々な表示の内容が、図示しない印刷部により印刷出力されたり、同じく図示しないデータ出力部によりシステム1の外部に対して出力されるよう構成してもよい。
また、上記実施例で説明した表示あるいは予測に用いるIADの閾値は、例示を行なった値である200[%・sec/min]の他に、先に説明を行った症例検討結果に基き、150乃至200[%・sec/min]の範囲内のいずれかの値とすることにより、先に説明を行ったのと同様の効果を奏する構成とすることが可能である。
本発明によれば、簡潔簡便な構成で被験者の心血管イベントリスク及び高感度CRP高値のリスクを医療者が予測するために用いられる、血中酸素飽和度測定装置、心血管イベントのリスク予測方法、診断装置、高感度CRP高値のリスク予測方法が提供される。
本発明人が本発明に至る知見を得る際に用いた、計測システムの構成図である。 図1の計測システム及び図5の予測システムにおいて用いられる積分計算を説明するための模式図である。 検討症例におけるIADとAHIとの相関を示す図である。 検討症例である第1の症例のPSG計測グラフである。 図4の症例における血中酸素飽和度低下量の積分値を示すグラフである。 検討症例である第2の症例のPSG計測グラフである。 図6の症例における血中酸素飽和度低下量の積分値を示すグラフである。 本発明の好適な実施例である、心血管イベントの予測システムを説明する構成図である。
符号の説明
1 心血管イベントの予測システム(血中酸素飽和度測定装置)
1a パルスオキシメータ(血中酸素飽和度測定手段)
1b 積分値計測装置
1b4 積分計測部(積分値計算手段)
1b5 表示部(表示及び/又は出力手段)
1b6 リスク予測部(比較及び決定手段)

Claims (10)

  1. 睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
    この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
    睡眠全期間における前記時間積分値の総計を表示する表示手段、を有することを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
  2. 睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
    この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
    睡眠全期間における前記時間積分値の総計をこの睡眠全期間の継続時間で除した睡眠単位時間当たりの時間積分値を表示する表示手段、を有することを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
  3. 前記表示手段は、測定された前記時間積分値と、実質的に150乃至200[%・sec/min]の範囲内のいずれかの値に相当する時間積分値との大小が比較可能なように表示を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の血中酸素飽和度測定装置。
  4. 前記表示手段は、測定された前記時間積分値が、実質的に200[%・sec/min]に相当する時間積分値を上回った場合に、心血管イベントの予測リスクに関する注意を促す表示を行なうことを特徴とする、請求項3に記載の血中酸素飽和度測定装置。
  5. 被験者において心血管イベントが将来発生しうるリスクを予測する装置であって、
    血中酸素飽和度測定手段を用いて、睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段
    この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、積分値計算手段を用いて、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段
    比較及び決定手段を用いて、前記算出された時間積分に基づく値の大きさを、予め決められた基準値と比較し、比較結果に基づいてリスクの予測を決定する決定手段
    表示及び/又は出力手段を用いて、前記決定された予測を表示及び/又は出力する表示及び/又は出力手段と、を有することを特徴とする、心血管イベントのリスク予測装置。
  6. 前記基準値は、
    前記ベースラインを安静臥床時における5分間の血中酸素飽和度の平均値とし、前記時間積分に基づく値を、前記時間積分値を総睡眠時間で除した値とした場合において、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値としたことを特徴とする、請求項5に記載の心血管イベントのリスク予測装置。
  7. 被験者において心血管イベントが将来発生しうるリスクを予測する診断に用いるための、診断装置であって、
    睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段、
    この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段、
    前記算出された時間積分に基づく値を表示及び/又は出力する、表示及び/又は出力手段、を備えたことを特徴とする、診断装置。
  8. 前記時間積分に基づく値を対照させることで、使用者が心血管イベントの発生リスクを予測するために用いる基準値を表示及び/又は出力する、基準値の表示及び/又は出力手段を有することを特徴とする、請求項7に記載の診断装置。
  9. 前記基準値は、
    前記ベースラインを安静臥床時における5分間の血中酸素飽和度の平均値とし、前記時間積分に基づく値を、前記時間積分値を総睡眠時間で除した値とした場合において、実質的に150乃至200[%・sec/min] の範囲内のいずれかの値としたことを特徴とする、請求項8に記載の診断装置。
  10. 被験者において高感度CRP(C-reactive Protein:C反応性蛋白質)が高値であるリスクを予測する装置であって、
    血中酸素飽和度測定手段を用いて、睡眠中の被験者の血中酸素飽和度を継続的に測定する測定手段
    この血中酸素飽和度が予め決められたベースラインよりも低下した測定期間において、積分値計算手段を用いて、当該血中酸素飽和度の低下値を時間積分する積分値計算手段
    比較及び決定手段を用いて、前記算出された時間積分に基づく値の大きさを、予め決められた基準値と比較し、比較結果に基づいてリスクの予測を決定する決定手段
    表示及び/又は出力手段を用いて、前記決定された予測を表示及び/又は出力する表示及び/又は出力手段と、を有することを特徴とする、高感度CRP高値のリスク予測装置。
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