以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ100を示す斜視図である。図2は、同アクチュエータ100の要部分解斜視図である。
図1及び図2に示すアクチュエータ100は、可動体110と、固定体120と、固定体120に可動体110を可動自在に支持する弾性材130と、交流供給部140(図2参照)とを有する。可動体110は、アウターヨーク150と、マグネット160と、ヨークホルダ171と、回転往復振動伝達シャフトである出力軸180とを有し、固定体120は、基台122と、支持壁部124、126と、コイル128(図2参照)とを有する。
図1に示すアクチュエータ100では、固定体120において、基台122の表面中央部に設けられたコイル128へ交流供給部140から交流電源が供給される。これにより、コイル128の内側に配置されたマグネット160を有し、かつ、線状の弾性材130を介して固定体120に支持される可動体110は、共振状態で駆動(可動)する。この可動体110の可動によって、可動体110の出力軸180が、所定の角度範囲内で正逆方向(図1の矢印B方向)に回転し、回転往復振動として外部に出力する。
図3は、同アクチュエータ100における可動体110及び固定体120の構成を示す概略断面図である。
図1〜図3に示すように、アウターヨーク150は、ここでは、下方に開口する断面略U字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク150は、矩形板状のヨーク中央部151と、ヨーク中央部151の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部152、153とを有する。
アウターヨーク150のヨーク中央部151における裏面の中央部分には、マグネット160が、アウターヨーク150の対向する側壁部152、153間にエアギャップが形成されるように、非磁性体170を介して取り付けられている。
図3に示すように、マグネット160は、ヨーク中央部151から垂下するように設けられ、側壁部152、153のそれぞれの内壁面152a、153aに対して、互いに異なる磁極を対向させている。
ここでは、マグネット160のS極側が、アウターヨーク150の側壁部152の内壁面152aに対向し、N極側が、アウターヨーク150の側壁部153の内壁面153aに対向している。
また、マグネット160は、アウターヨーク150の延在方向の長さに対応した長さを有する直方体であり、底面の外形が同形状の非磁性体170を介してヨーク中央部151の裏面側に、ヨーク中央部151の延在方向に沿って取り付けられている。
このように、マグネット160は、アウターヨーク150の長手方向に延在する側壁部152、153の内壁面152a、153aの全面に対して、異なる磁極の面をそれぞれ対向させている。なお、マグネット160は、アウターヨーク150に、非磁性体170を介さずにアウターヨーク150において対向する側壁部152、153間にエアギャップが形成されるように設けても良い。
マグネット160とアウターヨーク150の側壁部152、153との間のエアギャップには、マグネット160の両側壁面(磁極面)160a、160b、側壁部152、153の内壁面152a、153a及びヨーク中央部151の裏面とのそれぞれから離間して、マグネット160を周回するコイル128が配置されている。つまり、側壁部152、153と、マグネット160との間のエアギャップG内には、固定体120のコイル128が非接触で配置されている。
また、マグネット160が取り付けられたアウターヨーク150は、図1及び図2に示すように、ヨーク中央部151における表面でヨークホルダ171に固定されている。
図4は、図1で示すA−A線矢視縦断面図である。
図2及び図4に示すように、ヨークホルダ171は、アウターヨーク150の長手方向(出力軸180の延在方向に相当)に延在する長尺板状の部材において、長手方向で離間する端部(両側辺部の延在方向で離間する端部)を下方に折曲して側面視コ字状をなしている。ヨークホルダ171の前端部には、出力軸180が取り付けられた出力軸取付部174が接合されている。これにより、ヨークホルダ171の前端部から、出力軸180は、アウターヨーク150の延在方向と同方向に、すなわち、マグネット160と側壁部152、153とが対向する方向と略直交する方向に突出して設けられている。
また、ヨークホルダ171の後端部には、支持壁部124に接続された線状の弾性材130を接続するジョイント部172が取り付けられている。ジョイント部172には取付穴1721が形成され、この取付穴1721に弾性材130であるねじりコイルバネの他端部132を挿入されている。これにより、ジョイント部172は、弾性材130の他端部132とヨークホルダ171とを接続している。なお、ジョイント部172、出力軸取付部174は、非磁性体にすることが望ましい。
出力軸180は、出力軸取付部174及びヨークホルダ171を介してアウターヨーク150に固定されることによって、可動体110の重心を通る軸線上に位置するように可動体110に取り付けられた状態となっている。これにより出力軸180は、可動体110が回転往復振動する際に、その振動を外部に伝達する。
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、出力軸180には、出力軸180と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部は出力軸180と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
固定体120のコイル128は、ここでは、ボイスコイルであり、マグネット160の周囲を囲むように巻回されている。具体的には、コイル128は、エアギャップ内で、マグネット160と側壁部152、153との対向方向と直交する方向に巻回されている。
コイル128は、基台122表面に形成された取り付け溝部1221(図4参照)内に取り付けられている。基台122は、可動体110の出力軸180の延在方向に沿って長い矩形板状をなし、この基台122の長手方向で離間する端辺部(後端部122a、前端部122b)から支持壁部124、126が立設されている。
支持壁部124、126は、図1、図2及び図4に示すように、基台122の長手方向で離間し、コイル128が立設された基台122の中央部分よりも上方に突出した前後端部122a、122bに配設されている。
支持壁部126は、可動体110の出力軸180が挿通する開口部126aを有し、この開口部126aに出力軸180を挿通させて可動体110を、出力軸180周りに回動自在に支持している。
支持壁部124は、可動体110のジョイント部172との間に介設される弾性材130を支持し、この弾性材130を介して、支持壁部124は可動体110を、通常状態では、略水平方向(基台122と略平行)に保持しつつ、回転往復動自在に支持にしている。
弾性材130は、支持壁部124、126の対向領域において、可動体110を、左右前後方向に変位自在に支持して、可動体110を、マグネット160及び出力軸180のねじり方向に支持している。
図5は弾性材130を示す斜視図である。
図5に示すように、弾性材130は、弾性変形自在な線状の素線(線状材)により形成されたコイルバネであり、両端部131、132を平行に屈曲し、中央部に有効コイル部133を備えて構成されている。
この一端部131は、図2に示す支持壁部124の固定ブロック124cに形成された挿入孔124bに挿入され、他端部132は、ジョイント部172に形成された取付穴部1721に挿入されている。これにより、弾性材130では、有効コイル部133以外の部位の周方向及び軸方向への移動が規制された状態で、固定体120に可動体110を、出力軸180に沿う軸を中心に回転自在に支持している。
また、支持壁部124には、図4に示すように、可動体110側に開口する開口部124aが形成され、この開口部124aには、支持壁部124から、支持壁部126側に突出するガイドシャフト125が取り付けられている。このガイドシャフト125において、支持壁部124から突出する突起部1251は、棒状をなし、弾性材130であるコイルバネに一端部側から挿入されている。コイルバネは一端側で、突起部1251の基端部側の外周から張り出し、支持壁部124の内壁面に当接するフランジ1252に当接する。これにより、支持壁部124は、ガイドシャフト125とともに、弾性材130であるコイルバネの一端部131側を受けて、コイルバネ(弾性材130)の半径方向の移動を規制する。
このように弾性材130であるコイルバネは、支持壁部124と、ヨークホルダ171の後壁部1712に取り付けられたジョイント部172とに、一端部131及び他端部132がそれぞれ固定されている。これにより、弾性材130であるコイルバネは、支持壁部124及びジョイント部172との間で、コイルの巻回方向、つまり、ねじり方向に伸縮自在に配置された状態となっている。
このように構成された弾性材130を介して、可動体110は、ねじり方向に可動自在に支持されている。
可動体110のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体110は、固定体120に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。
本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部140によって、コイル128に可動体110の共振周波数f
0と略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体110を効率良く駆動させることができる。
可動体110及び固定体120では、アウターヨーク150、マグネット160及びコイル128が、磁気回路を形成する。
この磁気回路は、図3に示すように、マグネット160から発生した磁束(白抜き矢印で示す)は、コイル128が配置されるエアギャップ、アウターヨーク150の側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通る。
本アクチュエータ100における可動体110は、弾性材130を介して固定体120により支持されるバネマス系構造であり、コイル128に可動体110の共振周波数f0に等しい周波数の交流が供給されると、可動体110は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体110の出力軸180に伝達される。
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
本実施の形態のアクチュエータ100では、可動体110を可動自在に支持する弾性材130としてコイルバネを用いている。
例えば、可動体110を固定体120に可動自在に支持する部材として板バネ等の弾性材を用いる場合、可動体の回転角を大きくするに従って、弾性材の歪み(ε)が増加し、応力(σ)と歪み(ε)との関係式σ=Eε(E:材料の縦弾性係数)によって、弾性材に係る応力も増加する。この増加する応力によって、板バネ等の弾性材において最大の応力値が大きくなると疲労しやすくなる。このため、板バネ自体の交換時期を早めたり、応力を分散させ最大応力値を下げるために板バネに穴・曲げ等の加工を施したりして対応することが考えられる。しかし、板バネ自体を交換する場合、交換頻度が多くなり手間がかかり、板バネに加工を施す場合、その工程が増えることによって、コストの増加及びばね定数のバラツキが発生する恐れがある。また、アクチュエータ100自体の小径化を考える場合、板バネの配置スペースが減少するため、板バネを加工して応力を分散させることは困難となる。
これに対して、アクチュエータ100では、可動体110を可動自在に支持する弾性材としてコイルバネを用いており、コイルバネが、その軸心を、可動体110が共振振動する際の回転中心と略一致させて配置されている。
よって、可動体110が共振振動して、回転往復運動を行う場合に回転角が大きくなるに従って増加する応力は、コイルバネの有効コイル部133に一様に生ずるようになっている。つまり、共振振動する可動体110を支持する弾性材として板ばねを用いる場合と異なり、必要な応力分散の為の特別な形状工夫を行なうことなく応力を均等に分散させることができる。このため、可動体110を可動自在に支持する部材として、局部的に応力が集中して最大応力値が高くなることがなく、疲労破壊に強い構造となっている。
また、コイルバネを用いて可動体110を支持する構造のため、小径化にも対応しやすく、一般的に使用されているフォーミングマシンを用いて作製することができ、製作コストの低廉化を図ることができる。更に、弾性材130であるコイルバネは、実質的にはスラスト方向の荷重を吸収することができ、アクチュエータ100自体の耐衝撃性も向上させることができる。
次に、アクチュエータ100の動作を説明する。
図6は、本実施の形態1に係るアクチュエータ100の動作を説明するための模式図である。なお、図6(a)では白抜き矢印でマグネット160による磁気回路の磁束の流れを示しているが、図6(b)〜図6(d)では同様の流れであるため、図示省略している。
コイル128に交流供給部140から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル128には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、コイル128を有する基台122に、支持壁部124及び弾性材130と、支持壁部126とを介して取り付けられている可動体110には、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
アクチュエータ100の1周期分の動作について説明する。
図6(a)に示す向きでコイル128に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット160のS極面160aに対向するコイル128の部分128aには、上向き(アウターヨーク150側の方向)に推力F1が発生し、マグネット160のN極面160bに対向するコイル128の部分128bには、下向き(基台122側の方向)に推力F2が発生する。
これにより、図1,図2及び図4に示すように、コイル128を有する基台122から立ち上がる支持壁部124、ガイドシャフト125、弾性材130及び支持壁部126を介して支持された可動体110には、相対的に回転する力が発生する。この相対的に回転する力によって、可動体110は、図6(b)に示す位置となるように可動する。
図6(b)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性材130の復元力により矢印R1、R2の反力が発生する。図6(b)に示す状態から図6(d)に示す状態までは、コイル128に図6(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体110は、図6(b)の状態から図4(c)の状態までは、矢印R1、R2で示す反力と、矢印F3、F4で示す推力とによって、固定体120に対して時計回りに回転する。また、可動体110は、図6(c)の状態から図6(d)の状態までは、矢印F3、F4で示す推力によって、固定体120に対して時計回りに回転する。
図6(d)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性材130の復元力により矢印R3、R4の反力が発生する。図6(d)に示す状態から図6(a)に示す状態を経て図6(b)に示す状態までは、コイル128に順方向電流が供給される。これにより、可動体110は、図6(d)の状態から図6(a)の状態までは、矢印R3、R4で示す反力と、矢印F1、F2で示す推力とによって、固定体120に対して反時計回りに回転する。また、可動体110は、図6(a)の状態から図6(b)の状態までは、矢印F1、F2で示す推力によって、固定体120に対して反時計回りに回転する。
次に、図6に示す各状態で供給される交流電流について図7を用いて簡単に説明する。
コイル128に流れる交流は、図7(a)に示すように周波数f0のパルス波でもよいし、図7(b)に示すように周波数f0の正弦波でもよい。
図6(a)の状態では、図7に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図6(b)の状態では図7の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図6(c)の状態では、図7に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図6(d)の状態では、図7の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図6(d)の状態では、図7に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体110が回転往復振動される。
アクチュエータ100では、可動体110は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動は出力軸180を介して外部に出力される。出力軸180に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。これにより、アクチュエータ100では、定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体110を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100では、電動歯ブラシ等の回転往復運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現して小型化を図ることができ、更に、回転往復運動を低消費電力で実現することができる。
また、アクチュエータ100では、可動体110は、ボイスコイルであるコイル128を用いて駆動するため、磁気吸引力(ディテント力)が発生せず、制御性に優れる。具体的には、可動体110の停止時の位置は、弾性材130であるコイルバネの復元力によって中心位置に保持されるため、駆動停止時において、電力を損失することがない。
なお、アクチュエータ100の構成において、マグネット160を同形状の磁性体に代え、側壁部152、153の内壁面152a、153aに、2つのマグネットを異なる磁極面で向かい合うようにそれぞれ配置した磁気回路が考えられる。本実施の形態1のアクチュエータ100では、マグネット160は、アウターヨーク150に対して、側壁部152、153の間に、異なる磁極面をそれぞれの側壁部152、153に対向するように設け、コイル128の内部に配置されることで磁気回路を形成している。本実施の形態1の磁気回路を形成する場合、マグネット160を磁性体とし、且つ、複数のマグネットを側壁部152、153の内壁面に取り付けた構造と比べて、マグネットの個数を減らすことができ、組立性の向上及びコストの削減を図ることができる。なお、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明に係る実施の形態2のアクチュエータ100Aを示す斜視図であり、図9は同アクチュエータ100Aの分解斜視図である。また、図10は、図8のC−C線矢視縦断面図である。なお、このアクチュエータ100Aは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100において、可動体110の出力軸180を固定体120に、軸受127を介して回動自在に軸支した構成である。ここでは、アクチュエータ100の構成において、出力軸180と同一軸心で回動自在に軸支している。
すなわち、アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100の構成において出力軸180が挿通される支持壁部126の開口部126aに軸受127を取り付けている。支持壁部126は、軸受127を介して出力軸180を、ガイドシャフト125と略同一軸心で回動自在に支持している。これにより、可動体110の可動運動を伝達して出力する出力軸180が、可動体110を固定体120に軸支させる軸部として機能する。
このようにアクチュエータ100Aでは、可動体110は、ガイドシャフト125に外装された弾性材130であるコイルバネと、出力軸180で支持壁部124、126に回動自在に軸支されている。このため、アクチュエータ100Aでは、コイル128に交流供給部140から交流が供給され、固定体120に対して出力軸180の軸心を中心に安定して図8に示す両矢印B方向に回転往復振動することとなる。
よって、回転及び軸方向のみ自由度を持ち、アクチュエータ100A自体の耐衝撃性を向上させるとともに可動体110を安定して回転往復振動させることができる。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bを示す斜視図であり、図12は同アクチュエータ100Bの分解斜視図である。また、図13は、図11のD−D線矢視縦断面図である。なお、このアクチュエータ100Bは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100Aの構成において、弾性材130であるコイルバネに代えて、線細工バネ体190を用いている。
具体的には、図8〜図10に示すアクチュエータ100Aの構成において、弾性材130であるコイルバネ、支持壁部124、ガイドシャフト125及びジョイント部172を外して、線細工バネ体190を取り付けてなる。
線細工バネ体190は、アクチュエータ100Bの後端側で、表面中央部にコイル128が立設された基台122と、コイル128内に所定間隔を空けて配置されたマグネット160を有する可動体110Bのヨークホルダ171との間に介設されている。なお、可動体110Bは、アクチュエータ100、100Aにおける可動体110において、ヨークホルダ171の後壁部1712からジョイント部172を外した構成である。
図14は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bにおける線細工バネ体190の背面図である。
図11〜図14に示すように、線細工バネ体190は、基台122に取り付けられる基台固定部191と、ヨークホルダ171に固定されるヨーク固定部192と、基台固定部191とヨーク固定部192とを接続する弾性変形自在な線状のアーム部193とを有する。
図14に示すように、基台固定部191は、ここでは薄板状をなし、基台122の後端部122bに取り付けられる。この基台固定部191は、前側で、可動自在に配置された可動体110Bのヨークホルダ171の後壁部1712が対向している。
ヨーク固定部192は薄板状をなし、アーム部193を介して、基台固定部191の上方に離間して、且つ、基台固定部191よりも前側に配置されている。ヨーク固定部192は、前面の中央部に、前方に突出する凸部194を備える。ヨーク固定部192は、図13に示すように、凸部194を、ヨークホルダ171の後壁部1712に形成された開口部1712aに挿入することによって、ヨークホルダ171の後壁部1712に取り付けられている。凸部194は、可動体110Bの回動軸心上に位置し、ヨーク固定部192は、回動中心に対して左右対称の位置でヨークホルダ171に固定されている。
ヨーク固定部192の両側部と、基台固定部191の両側部との間に、左右方向にそれぞれ突出するアーム部193が架設されている。
アーム部193は、弾性変形自在な線状の素線(線状材)により形成されている。アーム部193では、一端部側が固定体120Bの基台122に固定され、他端部側が可動体110Bに固定され、可動体110Bを固定体120Bに出力軸180に沿う軸(ここでは出力軸180の軸心)を中心に回転往復運動自在に支持する。
アーム部193は、可動体110Bが回転往復運動を行う際に、増加する歪みとともに発生する応力を全体的に分散して、アーム部193の全体から一様に発生するように線状材を加工してなる。
ここでは、アーム部193では、図14に示すように、基台固定部191の両側部から出力軸180と交差する方向、ここでは、左右方向にそれぞれ突出する一辺部1931の先端から上方に湾曲する湾曲辺部1932が連続して設けられている。この湾曲辺部1932の上端と、ヨーク固定部192の両側部のそれぞれに固定される他辺部1933との間には屈曲部1934が介設されている。これら湾曲辺部1932及び屈曲部の屈曲具合によって、可動体110Bの駆動時に、アーム部193において発生する応力は、一様に分散されている。つまり、アーム部193に掛かる応力は、アーム部193の全体に分散され、最大応力値は低くなっている。これによりアーム部193は、疲労破壊しにくく、高頻度の交換を必要としない。
また、アーム部193は、線状材を加工して形成されるため、コスト面で有効なフォーミングマシンによって作成することができる。また、線状材を加工してなるため、小スペースで設置することができ、アクチュエータ100B自体の設計の自由度を向上させることができる。例えば、アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100、100Aの構成と比較して、弾性材130であるコイルバネ、ガイドシャフト125、ジョイント部172を必要としないため、部品点数を削減することができ、部品にかかるコストの削減を図ることができる。
また、アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100、100Aの構成と異なり、弾性材130であるコイルバネの前後にガイドシャフト125及びジョイント部172をそれぞれ配置する必要がない。これにより、アクチュエータ100Bは、アクチュエータ100、100Aと比較して、回転軸となる出力軸180方向の長さを短くして、一層の小型化を図ることができる。
(実施の形態4)
図15は、本発明の実施の形態4に係るアクチュエータ100Cを示す斜視図であり、図16は、同アクチュエータの要部分解斜視図である。
本実施の形態4に係るアクチュエータ100Cは、アクチュエータ100、100Aとほぼ同様の磁気回路を有しており、上記式(2)、(3)を満たし、可動体110CのイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体110Cは、固定体120Cに対して、上記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。なお、このアクチュエータ100Cは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図15及び図16に示すアクチュエータ100Cは、固定体120Cと、可動体110Cと、固定体120Cに可動体110Cを可動自在に支持するコイルバネ130と、交流供給部140とを有する。
図16に示すように、アクチュエータ100Cでは、弾性材130であるコイルバネを介して固定体120Cに支持される可動体110Cの可動によって、可動体110Cの出力軸180が、所定の角度範囲内で正逆方向(両矢印B方向)に回転し、回転往復振動力を外部に出力する。
図16に示すように、固定体120Cは、基台(ベースプレート)122Cと、支持壁部124、126Cと、アウターヨーク150Cと、非磁性体(スペーサ)170Cを介してアウターヨーク150Cに取り付けられるマグネット160と、を有する。
固定体120Cでは、基台122Cは、出力軸180の延在方向に沿って長い矩形板状をなし、ここでは非磁性体により形成されている。基台122Cの表面中央部の上方には、可動体110Cのコイル128が配置され、このコイル128を覆うように、断面U字状(コ字状も含む)のアウターヨーク150Cが基台122Cに取り付けられている。
また、基台122Cの長手方向で離間する端辺部から支持壁部124、126Cが立設されている。
支持壁部126Cは、可動体110Cの出力軸180が回動自在に挿通する開口部126aを有する。
また、支持壁部124は、弾性材130であるコイルバネを介して可動体110Cを可動自在に支持している。つまり、支持壁部124、126Cは、出力軸180を支持壁部126Cの開口部126aに挿通させて、弾性材130であるコイルバネを介して、可動体110Cを可動自在に保持している。通常状態では、可動体110Cは、支持壁部124、126C及び弾性材130等によって略水平方向(基台122Cと略平行)に保持される。なお、弾性材130を介した可動体110Cの基台122Cへの支持構造は、上述した構造と同様である。すなわち、基台122Cの後端部122aに立設された支持壁部124に取り付けたガイドシャフト125と、可動体110C側に取り付けたジョイント部172との間に弾性材130(コイルバネ)が介設されている。これにより、可動体110は、弾性材130を介して出力軸180を中心に回転往復運動自在に支持されている。
これら支持壁部124、126Cの間に、アウターヨーク150Cが、可動体110Cの本体部分を覆うように配設されている。
アウターヨーク150Cは、ここでは、断面略U字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク150Cは、矩形板状のヨーク中央部151と、ヨーク中央部151の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部152、153とを有する。ここでは、アウターヨーク150Cは、支持壁部124、126の間で、基台122Cの上方から被せて、可動体110Cのコイル128及びコイルホルダ171Cを覆う。アウターヨーク150Cは、基台122Cによって両側壁部152、153の先端部間の開口を閉塞され、基台122C及び支持壁部124、126Cとともに可動体110Cを収容する箱体を形成している。
アウターヨーク150Cは、内側に配置される可動体110Cのコイル128と、アウターヨーク150Cのヨーク中央部151の裏面に取り付けられるマグネット160とともに磁気回路を構成する。
図17は、実施の形態4に係るアクチュエータ100Cにおける要部構成を示す概略断面図である。
マグネット(永久磁石)160は、図17に示すように、アウターヨーク150Cのヨーク中央部151における裏面の中央部分に、アウターヨーク150Cの対向する側壁部152、153間にそれぞれエアギャップGが形成されるように、非磁性体170Cを介して取り付けられている。
マグネット160は、ヨーク中央部151から非磁性体170Cを介して垂下するように設けられ、側壁部152、153のそれぞれの内壁面に対して、互いに異なる磁極を対向させている。
ここでは、マグネット160のS極側(S磁極面160a)が、アウターヨーク150Cの側壁部152の内壁面に対向し、N極(N磁極面160b)側が、アウターヨーク150Cの側壁部153の内壁面に対向している。
また、マグネット160は、アウターヨーク150Cの延在方向の長さに対応した長さを有する直方体(図16参照)であり、外形が同形状の非磁性体170Cを介してヨーク中央部151に、当該ヨーク中央部151の延在方向に沿って取り付けられている。
これにより、マグネット160は、図16及び図17に示すように、アウターヨーク150Cの長手方向の長さと同様の長さを有し、対向する側壁部152、153の内壁面の全面に対して、異なる磁極の面をそれぞれ対向させた状態でヨーク中央部151に配設されている。
マグネット160とアウターヨーク150Cの側壁部152、153との間のエアギャップGには、マグネット160の両側壁面(磁極面)160a、160b、側壁部152、153の内壁面及びヨーク中央部151の裏面とのそれぞれから離間して、可動体110Cのコイル128が配置されている。
コイル128は、コイルホルダ171C、出力軸180、ジョイント部172とともに、可動体110Cを構成している。
コイル128は、エアギャップG内で、マグネット160と側壁部152、153との対向方向と直交する方向に巻回され、マグネット160の周囲を囲むように配置されている。なお、コイル128には、実施の形態1と同様に、図16及び図17に示す交流供給部140から交流電源(交流電圧)が供給される。
このコイル128は、コイルホルダ171Cに載置されることによって保持されており、コイルホルダ171Cは弾性材130を介して固定体120Cにより支持されている。
ここではコイルホルダ171Cは、図16に示すように、側面視コ字状に形成され、コイル128が載置された底板部1711と、底板部1711の長手方向(出力軸180の延在方向)で離間する端部から立設する前壁部1713及び後壁部1712とを有する。
このコイルホルダ171Cは、ここでは非磁性体で構成されており、前壁部1713には、出力軸180が直交して取り付けられ、後壁部1712には、ジョイント部172が取り付けられている。なお、出力軸180は、マグネット160の異なる磁極面160a、160b(図17参照)と略平行に、マグネット160の略中心に沿って配置されている。
弾性材130は、支持壁部124と、後壁部1712間に配置され、可動体110Cを、左右前後方向に変位自在に支持している。この弾性材130を介して、可動体110Cは、基台122Cとアウターヨーク150Cとで囲まれる領域内において、固定体120Cに、出力軸18の軸を中心に、マグネット160及び出力軸180のねじり方向に可動自在に支持されている。
なお、可動体110Cの出力軸180は、図15及び図16に示すように、アウターヨーク150Cの延在方向と同方向で支持壁部126Cから外方に突出するように設けられている。すなわち、出力軸180は、アクチュエータ100Cにおいて、マグネット160と側壁部152、153とが対向する方向と略直交する方向に突出して設けられている。
このように出力軸180は、コイルホルダ171Cの前壁部1713に固定されることによって、可動体110Cの重心を通る軸線上に位置するように、可動体110Cに取り付けられた状態となっている。これにより出力軸180は、可動体110Cの本体を構成するコイル128及びコイルホルダ171Cとともに回転往復振動し、その振動を外部に伝達する。
なお、アクチュエータ100Cが電動歯ブラシに用いられる場合、出力軸180には、出力軸180と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部は出力軸180と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
図17に示すように、固定体120C及び可動体110Cでは、アウターヨーク150C、マグネット160及びコイル128が、磁気回路を形成する。
ここでは、アクチュエータ100Cは、マグネット160から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル128が配置されるエアギャップ、アウターヨーク150Cの側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット160の対極へと繋がる磁気回路を有する。
本アクチュエータ100Cにおける可動体110Cは、アクチュエータ100の可動体110と同様に、弾性材130を介して固定体120Cにより支持されるバネマス系構造で支持されている。可動体110Cは、交流供給部140によってコイル128に可動体110Cの共振周波数f0に等しい周波数の交流が供給されると、可動体110Cは共振状態で効率よく駆動する。このとき発生する回転往復振動が、出力軸180から外部に伝達される。
なお、アクチュエータ100Cは、上記式(2)で示す運動方程式及び上記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。このため、アクチュエータ100と同様に、アクチュエータ100Cにおける慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
次に、アクチュエータ100Cの具体的な動作について説明する。
図18は、本実施の形態4に係るアクチュエータ100Cの動作を説明するための模式図である。なお、図18(a)では白抜き矢印でマグネット160による磁束の流れを示しているが、図18(b)〜図18(d)では同様の流れであるため、図示省略している。また、図18(a)ではコイル128に交流電圧を供給する交流供給部140を図示しているが、図18(b)〜図18(d)では、図18(a)と同様に図示されるため、省略している。
コイル128に交流供給部140から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル128には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、固定体120Cに可動自在に取り付けられた可動体110Cには、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
アクチュエータ100Cの1周期分の動作について説明する。
図18(a)に示す向きでコイル128に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット160のN極面160bに対向するコイル128の部分128bには、上向き(アウターヨーク150C側の方向)に推力F1が発生する。一方、マグネット160のS極面160aに対向するコイル128の部分128aには、下向き(基台122C側の方向)に推力F2が発生する。
これにより、固定体120Cの基台122Cから立ち上がる支持壁部124、126C(図16及び図17参照)及び弾性材130を介して支持された、コイル128を有する可動体110Cに回転する力が発生する。可動体110Cは、コイル128の推力F1、F2によって、図18(b)に示す位置となるように反時計回りに可動する。
図18(b)に示す状態のアクチュエータ100Cでは、弾性材130(図15及び図16参照)の復元力により矢印R1、R2の反力が発生する。図18(b)に示す状態から図18(d)に示す状態までは、コイル128に図18(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体110Cは、図18(b)の状態から図18(c)の状態までは、矢印R1、R2で示す反力と、矢印F3、F4で示す推力とによって、固定体120Cに対して時計回りに回転する。また、可動体110Cは、図18(c)の状態から図18(d)の状態までは、矢印F3、F4で示す推力によって、固定体120Cに対して時計回りに回転する。
図18(d)に示す状態のアクチュエータ100Cでは、弾性材130の復元力により矢印R3、R4の反力が発生する。図18(d)に示す状態から図18(a)に示す状態を経て図18(b)に示す状態までは、コイル128に順方向電流が供給される。これにより、可動体110Cは、図18(d)の状態から図18(a)の状態までは、矢印R3、R4で示す反力と、矢印F1、F2で示す推力とによって、固定体120Cに対して反時計回りに回転する。
また、可動体110Cは、図18(a)の状態から図18(b)の状態までは、矢印F1、F2で示す推力によって、固定体120Cに対して反時計回りに回転する。なお、可動体110Cは、マグネット160を中心に往復回転振動を行うが、弾性材130の反力を用いることなく、推力F1〜F4によって、図18に示す示した動作と同様の動作を行うこともできる。
図18に示す各状態で可動体110Cのコイル128に供給される交流電流は、図7(a)に示すように周波数f0のパルス波でもよいし、図7(b)に示すように周波数f0の正弦波でもよい。
本実施の形態のアクチュエータにおいて交流供給部140から可動体110Cのコイル128に供給される交流の周期は、アクチュエータ100と同様である。
図18(a)の状態では、図7に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図18(b)の状態では図7の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図18(c)の状態では、図7に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図18(d)の状態では、図7の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図18(d)の状態では、図7に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体110Cが回転往復振動される。
アクチュエータ100Cでは、可動体110Cを回転往復運動自在に支持する弾性材130をコイルバネとしているため、共振振動する可動体110を支持する弾性材として板ばねを用いる場合と異なり、必要な応力分散の為の特別な形状工夫を行なうことなく応力を均等に分散させることができる。このため、可動体110を可動自在に支持する部材として、局部的に応力が集中して最大応力値が高くなることがなく、疲労破壊に強い構造となっている。また、小径化にも対応しやすく、一般的に使用されているフォーミングマシンを用いて作製することができ、製作コストの低廉化を図ることができる。更に、コイルバネは、実質的にはスラスト方向の荷重を吸収することができ、アクチュエータ100自体の耐衝撃性も向上させることができる。
このように構成されたアクチュエータ100Cは、アクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。
加えて、可動体110Cは、アウターヨーク150Cを含まずに、コイル128およびコイルホルダ171Cにより構成している。このため、可動体110Cの慣性モーメントの大きさは外形に依存せずコイル128の形状に依存して決定することができる。コイル128の配置はアウターヨーク150Cの内側にあるため、イナーシャを上昇させる要因になりにくい。よって、アクチュエータ100Cの外形の変更における慣性モーメントの上昇が小さくなるため、設計上の制約がなくなり、アクチュエータ100C自体の設計自由度を向上させることができる。
なお、アクチュエータ100Cを有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
なお、アクチュエータ100Cの構成において、基台122Cを磁性体で構成してもよい。この構成によれば、アクチュエータ100Cでは、マグネット160による磁束の経路が、固定体120Cにおいて2つ形成される。すなわち、アクチュエータ100Cの磁気回路では、マグネット160から発生した磁束が、コイル128が配置されるエアギャップを通ってアウターヨーク150Cの側壁部153から、ヨーク中央部151を通って、側壁部152へ至る。また、アウターヨーク150Cの側壁部153から、ヨーク中央部151とは反対側の基台122Cを通って側壁部152に至る。磁束は、側壁部152から、先のエアギャップとは反対側のエアギャップを通って、マグネット160の対極へと至る。これにより、磁気回路における磁気飽和が緩和されることになり、コイル128に交流供給部140から交流電圧を供給した際に発生する可動体110Cの推力を上昇させることができる。また、アクチュエータ100Cにおいて基台122Cを磁性体にした場合、可動体110Cを可動自在に収容した固定体120Cの外周部分、つまり、マグネット160を含む磁気回路が、磁性体であるアウターヨーク150Cと磁性体である基台122Cとによって構成されることになる。つまり、アクチュエータ100Cの外表面を磁性体によって形成するため、アクチュエータ100Cにおいて、基台122C、アウターヨーク150C、マグネット160及びコイル128を含む磁気回路の漏れ磁束を抑制できる。
(実施の形態5)
図19は、本発明に係る実施の形態5に係るアクチュエータ100Dの構成を示す分解斜視図である。図20は、同アクチュエータ100Dにおける可動体110D及び固定体120Dの構成を示す概略断面図である。なお、このアクチュエータ100Dは、図15及び図16に示す実施の形態4に対応するアクチュエータ100Cと同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態5のアクチュエータ100Dは、実施の形態4に係るアクチュエータ100Cの構成において、同様に磁気回路構成を維持させた状態で、マグネット160をアウターヨーク150Cから外して、基台122D側に非磁性体(スペーサ)を介して固定している。そして、コイル128を有する可動体110Cを上下逆にして可動体110Dを形成し、この可動体110Dを、弾性材130を介して固定体120Dに、ねじり方向に回転往復振動可能に取り付けたものである。
具体的には、アクチュエータ100Dは、固定体120Dと、可動体110Dと、固定体120Dに可動体110Dを、可動体110Dの出力軸180を中心にねじり方向に可動自在に支持する弾性材130と、交流供給部140とを有する。
図19及び図20に示す固定体120Dは、基台(ベースプレート)122Dと、基台122D上に非磁性体(スペーサ)の凸部170Dを介して取り付けられたマグネット160と、マグネット160を覆うように基台122Dに上方から被せて取り付けられるU字型のアウターヨーク150Cと、を有する。また、固定体120Dは、可動体110Dの前後側に離間して配置される支持壁部124、126Cを有する。可動体110Dは、支持壁部124のガイドシャフト125に外装された弾性材130に、ジョイント部172を接続し、支持壁部126の開口部126aに出力軸180を挿通させることで、固定体120Dに回転往復運動自在に支持されている。
図20に示すように、固定体120Dでは、矩形板状の基台122Dは、非磁性体により形成され、表面中央部に上方に突出して形成された非磁性体の凸部170Dを介してマグネット160が取り付けられている。
なお、マグネット160は、異なる磁極面と、アウターヨーク150Cの対向する側壁部152、153との間にそれぞれエアギャップが形成されるように、非磁性体の凸部170B上に取り付けられている。ここでは、マグネット160の磁極面は、上記各実施の形態のマグネット160と同様に、出力軸180と直交する方向で離間し、アウターヨーク150Cの側壁部152、153と対向する面としている。
凸部170Dは、基台122Dに一体的に形成されており、マグネット160と同外形を有する。ここでは、凸部170Dは、マグネット160とともに基台122Dの長手方向に沿って延在する直方体をなしている。凸部170Dは、載置されるマグネット160を基台122Dから離間させることによって、マグネット160の周囲に位置する可動体110Dのコイル128がマグネット160を中心に往復回転可能な領域を確保している。
このように、基台122Dから突出する凸部170D上に取り付けられたマグネット160に、エアギャップを介して、コイル128及びコイルホルダ171Dの上面部1714が被さるように、可動体110Dは固定体120Dに配置されている。
可動体110Dは、アウターヨーク150Cの対向する内壁面とマグネット160との間に形成されるエアギャップに配置され、且つ、マグネット160を周回するコイル128と、コイル128を保持するコイルホルダ171Dとにより構成されている。
コイル128は、コイルホルダ171Dにおいて、長手方向で離間する端部から前壁部1713及び後壁部1712が垂下された上面部1714の裏面に取り付けられている。
コイルホルダ171Dは、後壁部1712に取り付けられたジョイント部172を有し、このジョイント部172を介して、固定体120Dの支持壁部124との間に介設された弾性材130の他端部132が固定されている。また、支持壁部126の開口部126aに回動自在に挿通された出力軸180は、前壁部1713にコイル128の軸方向と直交して設けられている。これにより、可動体110Dは、固定体120Dに、出力軸180を中心にねじり方向に可動自在に取り付けられている。
なお、コイル128には、アクチュエータ100、100Cと同様に、交流電圧の供給を行う交流供給部140によって、振周波数に略等しい周波数の交流が入力される。これにより固定体120Dに弾性材130によって、出力軸180のねじり方向に可動自在に支持された可動体110Dは、固定体120D内においてコイル128による推力によって回転往復振動を行う。
アクチュエータ100Dは、図20に示すように、マグネット160から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル128が配置されるエアギャップG、アウターヨーク150Cの側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット160の対極へと繋がる磁気回路を有する。なお、図20において、アクチュエータ100Dの磁気回路における磁束の流れは、白矢印で示している。
アクチュエータ100Dは、アクチュエータ100Cと同様に、コイル128に交流供給部140から交流が供給(図7参照)されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル128には、図中矢印F1、F2で示す推力と、F1、F2で示す推力と逆向きの推力が交互に発生する。これにより、コイル128には、回転重心である出力軸180を軸中心とした回転力が発生し、可動体110Dは、図18で示すアクチュエータ100Cのコイル128と同様の動作(図10参照)の動作を繰り返し、回転往復振動する。
本実施の形態のアクチュエータ100Dでは、アクチュエータ100Cと比較して、マグネット160の配置構造が異なるが、磁気回路構成は同様である。よって、上述したアクチュエータ100、100Cと同様の作用効果を得ることができる。特に、アクチュエータ00Bによれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現することができる。
また、アクチュエータ100Dでは、非磁性体の基台122Dに一体的に形成された凸部170Bに直接マグネット160を配置するため、アクチュエータ100Cと比較して、別体の非磁性体を用いることがなく、部品点数が減少させることができコスト面で有利となる。
また、組立の際に、平板状の基台122Dに、基台122Dの表面から突出する凸部170D上にマグネット160を取り付けるため、U字型アウターヨーク150Cにおいて窪む内側にマグネット160を取り付ける場合と比較して、位置決めや取り付け作業を容易に行うことができる。
なお、アクチュエータ100Dの構成において、基台122Dを、凸部170Dと別体の磁性体で構成し、この磁性体の基台122Dに凸部170Dを設けた構成としてもよい。この構成によれば、アクチュエータ100Dでは、マグネット160による磁束の経路が、固定体120Dにおいて2つ形成される。すなわち、アクチュエータ100Dの磁気回路では、マグネット160から発生した磁束が、コイル128が配置されるエアギャップを通り、アウターヨーク150Cの側壁部153からヨーク中央部151を通り、加えて、側壁部153からヨーク中央部151とは反対側の基台122Dを通って、側壁部152に至る。この側壁部152から反対側のエアギャップを通って、マグネット160の対極へと繋がるものとなる。これにより、実施の形態4において基台122Cを磁性体にした場合と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態6)
図21は、本発明の実施の形態6に係るアクチュエータ100Eの要部分解斜視図であり、図22は、同アクチュエータ100Eの可動体110E及び固定体120Eを示す概略断面図である。なお、図22では、アクチュエータ100Eの磁気回路において、マグネット160による磁束の流れを白抜き矢印で示している。
本実施の形態6に係るアクチュエータ100Eは、アクチュエータ100、100Aと同様の磁気回路を有している。
アクチュエータ100Eは、上記式(2)、(3)を満たし、可動体110EのイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体110Eは、固定体120Eに対して、上記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。なお、このアクチュエータ100Eは、図15及び図16に示す実施の形態4に対応するアクチュエータ100Cと同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。このアクチュエータ100Eは、アクチュエータ100Cと同様の磁気回路において、可動体をコイル128としたアクチュエータ100Cと異なり、マグネット160を可動体として備えた構成としている。
図21及び図22に示すアクチュエータ100Eは、固定体120Eと、可動体110Eと、固定体120Eに可動体110Eを可動自在に支持する弾性材130であるねじりコイルバネ(以下「コイルバネ」という)と、交流供給部140とを有する。
図21に示すように、アクチュエータ100Eでは、弾性材130を介して固定体120Eに支持される可動体110Eの可動によって、可動体110Eの出力軸180が、所定の角度範囲内で正逆方向に回転し、回転往復振動として外部に出力する。
固定体120Eは、基台(ベースプレート)122Cと、支持壁部124、126Cと、アウターヨーク150Cと、アウターヨーク150Cに取り付けられるコイル128とを有する。一方、可動体110Eは、マグネット(永久磁石)160と、弾性材130としてのコイルバネを介して支持壁部124に支持され、且つ、マグネット160を保持するマグネット保持部171Eと、出力軸180とを有する。
固定体120Eでは、アウターヨーク150C内において、コイル128の内側のエアギャップ内に、可動体110Eのマグネット160が配置されている。アクチュエータ100では、コイル128に交流供給部140から交流電源(交流電圧)が入力されることによって可動体110Eは共振状態で駆動する。なお、供給される交流電流の周期は、各実施の形態と同様(図7参照)であるため、説明は省略する。
基台122Cの表面の上方には、可動体110Eのマグネット160が配置され、このマグネット160を周回して、コイル128が、その外周部で、断面U字状(コ字状も含む)のアウターヨーク150Cの対向する内壁面152a、153aに取り付けられた状態で配置されている。
また、基台122Cには、長手方向で離間する端辺部から支持壁部124、126Cが立設されている。なお、基台122Cに取り付けられる支持壁部124、126C、ガイドシャフト125、弾性材130、ジョイント部172及び出力軸180を用いて可動体110Eを固定体120Eに回転往復振動自在に支持する構成は、アクチュエータ100Cと同様であるため、説明は省略する。
すなわち、弾性材130であるコイルバネでは、一端部131は、支持壁部124の固定ブロック124cに形成された挿入孔124bに挿入され、他端部132は、マグネット保持部171Eの後壁部1712に固定されたジョイント部172の取付穴部1721に挿入されている。これにより、支持壁部124は、弾性材130を介して、基台122Cとアウターヨーク150Cとで囲まれる領域内において、可動体110Eを出力軸180の軸を中心にねじり方向に可動自在に支持する。
アウターヨーク150Cは、アクチュエータ100Cの構成と同様に基台122Cに取り付けられ、支持壁部124、126Cとともに可動体110Eを収容する箱体を形成している。この箱体の内側、具体的には、アウターヨーク150Cの対向する側壁部152、153の内壁面152a、153aには、エアギャップを介して可動体110Eのマグネット160の周囲を囲むように巻回されたコイル128が固定されている。
コイル128は、外径部分をアウターヨーク150Cの両側壁部152、153の内壁面152a、153aに固定して、内径より内側には、内周部分からエアギャップを介してマグネット160が位置するように配置されている。すなわち、コイル128の内周部は、マグネット160において極の異なる磁極面を含む外周面から、それぞれ所定間隔を空けて対向している。
また、コイル128は、アウターヨーク150Cの側壁部152、153間内において、アウターヨーク150Cのヨーク中央部151及び基台122Cと、出力軸180と略直交する方向に延在する軸を中心にコイル線を巻回して形成された角筒状をなしている。コイル128には、交流供給部140によって、コイル128に可動体110Eの共振周波数f0と略等しい周波数の交流が供給される。
このコイル128は、アウターヨーク150Cの側壁部152、153の内壁面において、ヨーク中央部151側に取り付けられ、マグネット160において互いに異なる磁極(磁極面160a、160b)と対向する位置に配置している。
コイル128の内側にエアギャップを介して配置されたマグネット(永久磁石)160は、アウターヨーク150Cの延在方向に沿って長い磁極面160a、160bを有する直方体である。マグネット160は、支持壁部124、126C及び弾性材130を介して可動自在に支持されたマグネット保持部171Eによって、コイル128の内径より内側のエアギャップ内で回動自在に保持されている。
なお、マグネット保持部171Eは、図21に示すように、側面視して上方に開口するコ字状に形成されている。マグネット保持部171Eは、マグネット160が載置された矩形板状の底板部1715と、底板部1715の長手方向(出力軸180の延在方向)で離間する端部で立設された前壁部1713、後壁部1712とを有する。
また、マグネット保持部171Eは、ここでは非磁性体で構成されており、前壁部1713には、出力軸180が直交して取り付けられ、後壁部1712には、ジョイント部172が、ジョイント部172に接続される弾性材130であるコイルバネの軸心が、出力軸180と略同軸心上に位置するように取り付けられている。出力軸180は、マグネット160の異なる磁極面160a、160b(図22参照)と略平行に、マグネット160の略中心に沿って配置され、且つ、可動体110Eの重心を通る軸線上に位置するように、可動体110Eに取り付けられた状態となっている。
マグネット保持部171Eは、マグネット160を、コイル128と、アウターヨーク150Cのヨーク中央部151の裏面から離間させて、出力軸180、126を軸にねじり方向に回動自在に保持している。なお、可動体110Eでは、マグネット保持部171Eの前壁部1713とマグネット160との間及び後壁部1712とマグネットとの間に、コイル128がそれぞれに接することなく配置され、コイル128の内側及び外側で可動自在となっている。
マグネット保持部171Eにより保持されるマグネット160の磁極面160a、160bは、コイル128を介して、アウターヨークの側壁部152、153における内壁面の全面に渡って向かい合うように配置されている。
ここでは、マグネット160のS極側(S磁極面160a)は、アウターヨーク150Cの側壁部152の内壁面152a側に向かっており、N極(N磁極面160b)側が、アウターヨーク150Cの側壁部153の内壁面153a側に向かっている。
なお、出力軸180は、図21に示すように、アウターヨーク150Cの延在方向と同方向で支持壁部126Cから外方に突出するように設けられている。これにより、出力軸180は、アクチュエータ100において、マグネット160と側壁部152、153とがコイル128を挟んで向かい合う方向と略直交する方向で、且つ、側壁部152、153の真ん中から突出して設けられている。
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、出力軸180には、出力軸180と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部は出力軸180と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
図22に示すように、固定体120E及び可動体110Eでは、アウターヨーク150C、マグネット160及びコイル128が、磁気回路を形成する。
具体的には、アクチュエータ100Eは、マグネット160から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル128との間のエアギャップ、アウターヨーク150Cの側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット160の対極へと至る磁気回路を有する。
本アクチュエータ100Eにおける可動体110Eは、アクチュエータ100Cの可動体110Cと同様に、弾性材130を介して固定体120Eにより支持されるバネマス系構造で支持されている。可動体110Eは、交流供給部140によってコイル128に可動体110Eの共振周波数f0に等しい周波数の交流が供給されると、可動体110Eは共振状態で効率よく駆動する。このとき発生する回転往復振動が、可動体110Eの出力軸180に伝達される。
なお、アクチュエータ100Eは、上記式(2)で示す運動方程式及び上記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。このため、アクチュエータ100と同様に、アクチュエータ100Cにおける慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
このアクチュエータ100Eにおける可動体110Eの動作原理は、アクチュエータ100Cと同様であるため詳細な説明は省略する。図22では、順方向電流を流した際のコイル128の推力F1、F2と、これらの反作用の力であるマグネット160の推力R1、R2が示されている。推力R1、R2が発生すると可動体110Eは推力R1、R2の方向に可動する。電流の向きが変わると、コイル128には、F1,F2とは逆の推力が働き、これによりマグネット160にR1、R2とは逆向きの推力が働き、可動体110Eは、R1、R2とは逆向きの推力で示す方向に可動する。これら繰り返すことによって、アクチュエータ100Eは、実施の形態1と同様に、可動体110Eを往復回転振動させる。
アクチュエータ100Eでは、可動体110Eは、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動は出力軸180を介して外部に出力される。出力軸180に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
このようにアクチュエータ100Eは、上述した式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。よって、アクチュエータ100Eはアクチュエータ100Cと同様の作用効果を得ることができる。
また、可動体110Eは、アウターヨーク150C等の大きな構成部材を含まずにマグネット160及びマグネット保持部171Eにより構成している。このため、可動体110Eの慣性モーメントの大きさは外形に依存せずマグネット160の形状に依存して決定することができる。また、マグネット160は、可動体110Eにおいて出力軸180の近傍、具体的には、出力軸180の略軸線上に重心が位置するように配置されているため、可動体110Eのイナーシャを上昇させる要因になりにくい。よって、アクチュエータ100の外形の変更における慣性モーメントの上昇が小さくなるため、設計上の制約がなくなり、アクチュエータ100自体の設計自由度を向上させることができる。なお、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
また、実施の形態6に係るアクチュエータ100Eの構成では、基台122Cを非磁性体として説明したが磁性体としてもよい。アクチュエータ100Eの構成において基台122Cを磁性体で形成した場合、マグネット160による磁束の経路が、2つ形成される。すなわち、アクチュエータ100Eの構成において基台122Cを磁性体で形成した場合、マグネット160から発生した磁束は、磁極面160bから、コイル128が配置されるエアギャップを経て、アウターヨーク150Cの側壁部153に至る。次いで、側壁部153で分岐してヨーク中央部151と、ヨーク中央部151とは反対側の基台122Cとを、それぞれを通って、側壁部152に至る。そして、磁束は、側壁部152から反対側のエアギャップを順に通って、マグネット160の対極(磁極面160a)へと繋がる。これにより、磁気回路における磁気飽和が緩和されることになり、コイル128に交流供給部140から交流電圧を供給した際に発生する可動体110Eの推力を上昇させることができる。また、アクチュエータ100Eにおいて、基台122C、アウターヨーク150C、マグネット160及びコイル128を含む磁気回路の漏れ磁束を抑制できる。
また、上記各実施の形態におけるアウターヨーク150は、マグネット160の異なる磁極でそれぞれ対向する内壁面を有し、コイル128と、マグネット160とで磁気回路を形成すれば、どのように構成してもよく、アウターヨーク150全体を断面円弧状に形成してもよいし、ヨーク本体部を円弧状に形成してもよい。
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。