JP5176696B2 - ポリイミド系フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミド系フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5176696B2
JP5176696B2 JP2008144305A JP2008144305A JP5176696B2 JP 5176696 B2 JP5176696 B2 JP 5176696B2 JP 2008144305 A JP2008144305 A JP 2008144305A JP 2008144305 A JP2008144305 A JP 2008144305A JP 5176696 B2 JP5176696 B2 JP 5176696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drying
polyimide
superheated steam
resin
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008144305A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009286984A (ja
Inventor
剛志 八塚
潤一郎 大西
勝也 示野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2008144305A priority Critical patent/JP5176696B2/ja
Publication of JP2009286984A publication Critical patent/JP2009286984A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5176696B2 publication Critical patent/JP5176696B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

本発明はポリイミド系樹脂を含む樹脂溶液からポリイミド系樹脂フィルムを製造する方法に関し、より詳しくは過熱水蒸気を用いた乾燥・熱処理する工程を備えてなるポリイミド系樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
ポリイミドフィルムは耐熱性、耐寒性、機械的強度、電気絶縁性、耐薬品性等の特性が優れる。ポリイミドフィルムは電線用の電気絶縁材料、フレキシブルプリント配線板のベースフィルム、テープオートメイテッドボンディング(TAB)用フィルム等に用いられている。
ポリイミド系樹脂はテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物からポリアミック酸を得、それを閉環反応によりイミド化して作られる。イミド化は脱水剤と触媒を用いて脱水する化学閉環法、加熱することにより脱水する熱閉環法がある。また、両者を併用する方法も知られている。ポリアミック酸を経由する方法以外に側鎖にかさ高い置換基を有する原料や有機溶剤への溶解性を高めた原料を用いることでポリイミド樹脂の溶解性を改良した、有機溶剤可溶ポリイミド系樹脂も知られている。イミド結合をアミド結合に置換することにより有機溶剤への溶解性が高くなる。
ポリイミドフィルムを製造する方法にはポリアミック酸溶液を支持体に塗布乾燥後、イミド化する方法や有機溶剤溶解性ポリイミド系樹脂溶液を塗布乾燥する方法がある。ポリイミドフィルムは一般的には、黄褐色〜黒褐色に着色しているが、脂環族系原料を用いて無色透明にしたもの、ジアミノジフェニルスルフォン系化合物を用いて無色透明にしたものも知られている。さらに、フッ素を含有する原料を用いることにより透明性が向上することも知られている。
ポリイミド系樹脂の溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、フェノール、クレゾール等が使われるが、これらの溶剤は高沸点のため乾燥性が悪い。特にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤は分子間水素結合により蒸気圧が低いこと、また耐熱性樹脂のガラス転移温度が高いため溶剤の拡散が乏しいこともあり、塗膜中に残留しやすい。残留溶剤は耐熱性の低下や寸法安定性の低下の原因になる。溶剤を残留させないために、乾燥温度や熱処理温度を高くしすぎると、アミド系溶剤の変色も起こり、無色透明ポリイミド系フィルムでは外観が悪くなる。乾燥や熱処理温度が高くなることによる弊害を避けて、溶剤を残留させないために、フィルム化の工程では時間をかけて乾燥や熱処理が行われている。そのため、生産性に問題がある。
過熱水蒸気とは、常圧で飽和水蒸気を加熱して温度を上げた水蒸気のことをいう。過熱水蒸気は温度が150℃以上では放射熱エネルギーが通常の水蒸気と比較して著しく大きくなるため、短時間で物質を加熱することができる。過熱水蒸気は食品の調理、樹脂製品や金属製品の洗浄、食品容器の殺菌、あるいは土壌処理等に用いられている。過熱水蒸気を加熱熱源として用いることは、食品の調理以外ではあまり普及していない。
しかし、過熱水蒸気を一般的な加熱空気と比較すると下記の特徴がある。
(1)加熱空気に比べて熱容量が大きいので、急速加熱が可能。
(2)加熱空気に比べて約2倍の定圧比熱を有するため、加熱能力に優れている。
(3)潜熱のエネルギーを有するので、加熱空気に比べエンタルピーが大きい。
(4)空気による伝熱は対流伝熱に限られるが、過熱水蒸気では対流伝熱、放射伝熱、凝縮伝熱からの複合伝熱作用によるので、熱効率が良い。
過熱水蒸気を加熱熱源として乾燥させることは特許文献1〜6および非特許文献1で知られている。特許文献1〜5はセルロース繊維を主成分とする湿紙の水分を過熱水蒸気によって乾燥させる方法が提案されている。特許文献6はポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムへの塗工フィルムやセロハンの湿潤フィルムへの過熱水蒸気の適用が提案されている。非特許文献1には過熱水蒸気の特性や利用例が示されている。
特許第2907265号公報 特許第2907266号公報 特許第3007542号公報 特許公開2003−41495号公報 特許公開2005−15924号公報 特許公開2007−276283号公報 過熱水蒸気技術集成 (株)エヌ・ティ・エス(2005年発行)
本発明の課題は、キャスト法によるポリイミド系フィルムを製造するに当たり、過熱水蒸気を用いることによる加熱乾燥効率を高められた製造方法を提供することにある。さらに残留溶剤やオーバーヒートによる弊害のないポリイミド系フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、ポリイミド系フィルムの製造方法について鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明はポリイミド系樹脂を含む樹脂溶液を金属の箔又はシートあるいは耐熱性樹脂のフィルム又はシートからなる支持体上に塗布乾燥して得られる残留溶剤を塗布層中に5重量%以上かつ40重量%以下含有する積層体を、過熱水蒸気を用いて乾燥・熱処理する工程、該支持体からポリイミド系樹脂層を剥離する工程を含むことを特徴とするポリイミド系フィルムの製造方法である。
本発明によりポリイミド系フィルムを効率よく生産できる。また、本発明により得られたポリイミド系フィルムは無色透明な樹脂を用いた場合に起こりやすいアミド系溶剤の着色による弊害を改善することができる。
本発明で用いるポリイミド系樹脂はポリイミド前駆体樹脂、溶剤可溶ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリイミド系樹脂は通常の方法で重合することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを低温で溶液中で反応させポリイミド前躯体溶液を得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを高温の溶液中で反応させ溶剤可溶性のポリイミド溶液を得る方法、原料としてイソシアネートを用いる方法、原料として酸クロリドを用いる方法などがある。
ポリイミド前躯体樹脂や溶剤可溶ポリイミド樹脂に用いる原料としては、以下に示すような物がある。酸成分としてはピロメリット酸、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ジフェニルスルフォン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸,水素添加ピロメリット酸、水素添加ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸等の一無水物、二無水物、エステル化物などを単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、アミン成分としてはp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、2,6-トリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデン、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、1,4-ナフタレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、2,7-ナフタレンジアミン、o-トリジン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、シクロヘキシル-1,4-ジアミン、イソフォロンジアミン、水素添加4,4’-ジアミノジフェニルメタン、あるいはこれらに対応するジイソシアネート化合物等の単独あるいは2種以上の混合物を用いることができる。また、これら酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
ポリアミドイミド樹脂に用いる原料としては、酸成分としてトリメリット酸無水物、ジフェニルエーテル-3,3’,4’-トリカルボン酸無水物、ジフェニルスルフォン-3,3’,4’-トリカルボン酸無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4’-トリカルボン酸無水物、ナフタレン-1,2,4-トリカルボン酸無水物、水素添加トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物類が単独あるいは混合物として挙げられる。また、トリカルボン酸無水物の他に、ポリイミド樹脂であげたテトラカルボン酸、それらの無水物やジカルボン酸等を併用して用いることもできる。アミン成分としてはポリイミド樹脂であげたジアミン、あるいはジイソシアネートの単独あるいは混合物が挙げられる。また、これら酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
本発明で用いるポリイミド系樹脂溶液の溶剤はポリイミド系樹脂の溶解性が良好であること以外に、水と共沸化合物を気層において形成することや、水と相溶することが過熱水蒸気の効果を高める。さらに水と相溶するような溶剤であれば、蒸発させた溶剤を簡易的に回収することもでき工業的にも有利である。 具体的には、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンを挙げることができる。これらのなかでN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミドが好ましい。また、トルエン、キシレン、ジグライム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の溶剤を、溶解性を阻害しない範囲で加えてもかまわない。
本発明の製造方法では過熱水蒸気による乾燥・熱処理をかける前には、ポリイミド系樹脂を含む塗布層には溶剤を5重量%以上40重量%以下の範囲で含有する。残留溶剤が5重量%未満では内部応力に起因するひずみが大きく、このあと過熱水蒸気による加熱によっても、内部応力は完全には緩和できない。そのため、カールや耐熱耐久性が劣る。また、40重量%より多いと過熱水蒸気処理により塗布層の透明性が低下することがあり、また表面凹凸が発生する。残留溶剤を上記の範囲にするために、本発明の装置で過熱水蒸気処理をする前に、別工程で乾燥させても良い。もちろん、乾燥工程と過熱水蒸気処理工程とを連続させてもよい。
本発明で用いる支持体としてはステンレス、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔やシート、ポリイミドや熱硬化性樹脂のフィルムやシートが挙げられる。これらのうちステンレス箔、ステンレスシート、アルミニウム箔、アルミニウムシート、ポリイミド特にベンズオキサゾール等の骨格導入による耐熱性を向上させたフィルムあるいはシートが望ましい。
本発明においてポリイミド系フィルムの諸特性、たとえば、機械的特性、電気的特性、滑り性、難燃性、離型性などを改良する目的で他の樹脂や各種添加剤を配合あるいは反応させてもかまわない。例としては、滑剤としてはシリカ、タルク、シリコーン化合物等が挙げられる。難燃剤としては含リン化合物、トリアジン系化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。離型剤としては高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩等が挙げられる。酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、めっき活性剤、有機や無機の充填剤も挙げられる。また、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の硬化剤やポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等の他樹脂を配合してもかまわない。
本発明の製造方法では乾燥・熱処理する熱源として、空気よりも熱容量、比熱が大きい過熱水蒸気を用いる。乾燥・熱処理炉では過熱水蒸気を循環供給しても排出してもかまわない。過熱水蒸気の温度は、樹脂組成や溶剤の種類により最適範囲は異なる。
本発明の製造方法について説明する。ポリイミド系樹脂溶液を支持体に塗布し一次乾燥したのち、さらにより高温での過熱水蒸気による乾燥・熱処理を行う。一次乾燥後のコート層中の残存溶剤率を5〜40%、好ましくは15〜30%の範囲に調整することで溶剤の蒸発に伴う体積収縮の影響や表面平滑性への影響を小さくすることができ、残留応力の減少によるカールの改善に効果がある。一次乾燥条件は60〜150℃で1〜10分が望ましい。
一次乾燥後、過熱水蒸気による乾燥・熱処理を行う。ポリイミド系樹脂がポリイミド前躯体樹脂の場合には、イミド化反応を伴う加熱処理を行う。ポリイミド系樹脂が溶剤可溶ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂の場合には加熱により溶剤を除去する。過熱水蒸気による処理は熱風乾燥や赤外線や遠赤外線乾燥と併用してもかまわない。用いる過熱水蒸気の温度は150〜400℃、好ましくは200〜350℃の範囲にする。150℃以下では十分な効果が得られない恐れがある。400℃以上では残留溶剤が突沸し良好な積層体が得られない恐れがあり、また樹脂の劣化の恐れもある。乾燥熱処理時には150℃以上の高温になるため、使用する溶剤が変質し、着色した溶剤の変性物によりフィルムの変色が起こることがある。過熱水蒸気はほぼ完全な無酸素状態ではあるが、空気の混入が起こる場合には、必要により酸素濃度を下げることが必要となる。フィルムの変色を抑えるためには酸素濃度を5%以下、好ましくは0.5%以下に下げることが望ましい。
熱処理後、支持体より剥離する。剥離を容易にするため、予め支持体の表面を離型処理することやポリイミド系樹脂溶液に離型剤を配合する等が望ましい。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
残留溶剤:セイコーインスツル社製、示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000TG/DTAを用いて150℃〜350℃までの重量減少により、ポリイミド系フィルム中の残留溶剤濃度を求めた。
はんだ耐熱:ポリイミド系フィルムと銅箔(三井金属鉱山製電解銅箔35μm)を共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製バイロン550)エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピビスタイプエポキシ828)およびポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製コロネートL)からなる接着剤で貼り合せた。80℃2日間、硬化処理した。得られた銅張積層板の銅箔をサブトラクティブ法によりエッチング加工し、幅1mmの回路パターンを作成した。40℃、65%RHで24時間調湿し、フラックス洗浄した後、20秒間280℃のはんだ浴に浸漬し、顕微鏡により剥がれや膨れの有無を観察した。異常が見られなかった物を○、剥がれや膨れが見られた物を×とした。
寸法変化:ポリイミド系フィルムを用いIPC-FC241(IPC-TM-650,2.2.4(c))により150℃30分の熱処理によるMD,TD方向の寸法変化率を求めた。表中にはMDとTD方向の寸法変化率の大きい方を記載した。
合成例1
反応容器に無水トリメリット酸192g、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート211g、2,4-トリレンジイソシアネート35g、ナトリウムメチラート0.5gおよびN-メチル-2-ピロリドン2.5Kgを加え、150℃まで1時間かけて昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は1.6でガラス転移温度は320℃であった。
合成例2
N,N-ジメチルアセトアミド850g、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル47.7gおよび4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル20.7gを反応容器に投入し、攪拌し溶解させた。ついで、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80.4g加え、室温にて5時間攪拌を続けポリイミド前躯体を得た。
合成例3
反応容器に水素添加無水トリメリット酸158g、テレフタル酸33g、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート261g、ヨウ化リチウム0.5gおよびN,N-ジメチルアセトアミド2.5Kgを加え、150℃まで1時間かけて昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は1.2でガラス転移温度は310℃であった。
<実施例 1>
合成例1で調整したポリアミドイミド溶液をアプリケーターを用いて予めフッ素系離型剤処理したアルミニウム箔(東洋アルミ製50μm)に、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、100℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10Kg/時間の過熱水蒸気を供給する乾燥・熱処理炉で乾燥・熱処理を行った。アルミニウム箔から剥離後、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
<実施例 2>
実施例1と同様に、合成例2で調整したポリイミド前躯体溶液をアプリケーターを用いて離型処理アルミニウム箔に、乾燥閉環後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、120℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10Kg/時間の過熱水蒸気を供給する乾燥・熱処理炉で乾燥・熱処理を行った。処理条件は120℃から320℃まで15分かけて昇温し、さらに続けて320℃での過熱水蒸気処理を行った。アルミニウム箔から剥離後、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
<実施例 3>
合成例3で調整したポリアミドイミド溶液にステアリン酸を樹脂分の0.2重量%添加し、これを100μm厚みのステンレス箔にアプリケーターを用いて、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、100℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10Kg/時間の過熱水蒸気を供給する乾燥・熱処理炉で乾燥・熱処理を行った。ステンレス箔から剥離後、残留溶剤量、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
<比較例 1>
実施例1と同様に、合成例1で調整したポリアミドイミド溶液をアプリケーターを用いて予め予めフッ素系離型剤処理したアルミニウム箔(東洋アルミ製50μm)に、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、100℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに乾燥・熱処理として熱風循環の乾燥・熱処理炉で乾燥熱処理を行った。アルミニウム箔から剥離後、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
<比較例 2>
合成例1で調整したポリアミドイミド溶液をアプリケーターを用いて離型処理アルミニウム箔に、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、280℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10Kg/時間の過熱水蒸気を供給する乾燥・熱処理炉で乾燥・熱処理を行った。アルミニウム箔から剥がし、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。また、実施例1あるいは比較例1や3と比べてもカールが大きい。結果を表―1に示す。なお、過熱水蒸気による乾燥・熱処理をする前の残留溶剤量は4.1%であった。
<比較例 3>
合成例1で調整したポリアミドイミド溶液をアプリケーターを用いて離型処理アルミニウム箔に、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、50℃で3分間熱風により一次乾燥した。さらに過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10Kg/時間の過熱水蒸気を供給する乾燥・熱処理炉で乾燥・熱処理を行った。アルミニウム箔から剥離後、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。また、ポリイミド層は不透明であった。結果を表―1に示す。なお、過熱水蒸気による乾燥・熱処理する前の残留溶剤量は45%であった。
<比較例 4>
合成例2で調整したポリイミド前躯体溶液をアプリケーターを用いて離型処理したアルミニウム箔に、乾燥閉環後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、120℃で5分間一次乾燥した。さらに、熱風循環炉を用いて、120℃から350℃まで15分かけて昇温し、さらに続けて350℃での熱風乾燥を行った。過熱水蒸気による加熱処理は実施しなかった。アルミニウム箔から剥離後、残留溶剤量、はんだ耐熱性、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
<比較例 5>
合成例3で調整したポリアミドイミド溶液にステアリン酸を樹脂分の0.2重量%添加し、これを100μm厚みのステンレス箔にアプリケーターを用いて、乾燥後の厚みが25μmになるように、手塗り塗布し、100℃で5分間熱風により一次乾燥した。さらに熱風循環炉を用いて、乾燥・熱処理を行った。ステンレス箔から剥離後、残留溶剤量、寸法変化率を測定した。結果を表―1に示す。
Figure 0005176696
本発明はポリイミド系フィルムの簡便な製造方法に関するものであり、該製造方法を用いることにより、生産性の改善ができ、さらに耐熱性、耐久性や寸法安定性、外観に優れたポリイミド系フィルムを提供することができる。

Claims (1)

  1. ポリイミド系樹脂を含む樹脂溶液を金属の箔又はシートあるいは耐熱性樹脂のフィルム又はシートからなる支持体上に塗布乾燥して得られる残留溶剤を塗布層中に5重量%以上かつ40重量%以下含有する積層体を、過熱水蒸気を用いて乾燥・熱処理する工程、該支持体からポリイミド系樹脂層を剥離する工程を含むことを特徴とするポリイミド系フィルムの製造方法。
JP2008144305A 2008-06-02 2008-06-02 ポリイミド系フィルムの製造方法 Active JP5176696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008144305A JP5176696B2 (ja) 2008-06-02 2008-06-02 ポリイミド系フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008144305A JP5176696B2 (ja) 2008-06-02 2008-06-02 ポリイミド系フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009286984A JP2009286984A (ja) 2009-12-10
JP5176696B2 true JP5176696B2 (ja) 2013-04-03

Family

ID=41456512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008144305A Active JP5176696B2 (ja) 2008-06-02 2008-06-02 ポリイミド系フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5176696B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6621294B2 (ja) * 2015-10-15 2019-12-18 株式会社カネカ 多層ポリイミドフィルムの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005330376A (ja) * 2004-05-20 2005-12-02 Jsr Corp 環状オレフィン系重合体のフィルムまたはシートの製造方法
JP5276256B2 (ja) * 2006-04-07 2013-08-28 フタムラ化学株式会社 ガスバリア性付与ポリエステルフィルムの製造方法
JP2009086190A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Shin Etsu Polymer Co Ltd 無端ベルト及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009286984A (ja) 2009-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI381035B (zh) Adhesive improved by the novel polyimide film
JP2022126664A (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP2024040228A (ja) 金属張積層板の製造方法
JP7446741B2 (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP5447365B2 (ja) 積層体の製造方法
TW202140622A (zh) 樹脂膜、覆金屬層疊板及電路基板
JP2008188954A (ja) 片面金属張積層板用基材及び片面金属張積層板の製造方法
KR20240049536A (ko) 금속 피복 적층판, 접착 시트, 접착성 폴리이미드 수지 조성물 및 회로 기판
TW200819501A (en) Polyimide-based resin composition, method of manufacturing thereof and metal laminate
JP2017177604A (ja) ポリイミド積層フィルム
JP4941407B2 (ja) 銅張積層板および銅張積層板の製造方法
JP5176696B2 (ja) ポリイミド系フィルムの製造方法
JP7413489B2 (ja) 接着層付き回路基板の製造方法及び多層回路基板の製造方法
JP2021106248A (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP5339038B2 (ja) 長尺物の処理方法
JP4183765B2 (ja) フレキシブルプリント配線用基板の製造方法
JP2008149549A (ja) 金属積層体の製造方法
JP2009280660A (ja) ポリイミド樹脂
JP2022017273A (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP2010083094A (ja) 表面処理金属箔および金属箔ポリイミド系樹脂積層体
WO2011030860A1 (ja) ポリイミド前駆体およびポリイミド
JP2022101116A (ja) ポリイミド、接着剤フィルム、積層体、カバーレイフィルム、樹脂付き銅箔、金属張積層板、回路基板及び多層回路基板
JP2009286093A (ja) 積層体の製造方法
JP2021053567A (ja) ポリイミド膜の製造方法及び金属張積層板の製造方法
KR20240020192A (ko) 디카보닐 할라이드, 폴리머 조성물 및 이로부터 제조된필름

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121224

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5176696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160118

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350