JP5172357B2 - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Description
本実施の形態による車両用シートベルト装置1は、例えば図1に示すように、シート2に着座する乗員3を拘束可能な所謂三点式のシートベルト装置であり、センタピラー(図示略)に取付けられたリトラクタ4からベルト5が略鉛直方向上方に引き出され、このベルト5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ベルト5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ベルト5のスルーアンカ6とアウタアンカ7との間にはタングプレート8が挿通されており、このタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ベルト5は、初期状態(例えば、未装着状態)ではリトラクタ4に巻き取られており、ベルトガイド部16によって案内されつつ乗員3によってベルトリール14から引き出されて、タングプレート8がバックル9に装着固定されることにより、乗員3の身体(例えば、肩部および腰部など)をシート2に対して拘束する。
この車両用シートベルト装置1では、例えば衝突衝撃の検出時やロールオーバ時等において、ベルト5の巻き取りが、ベルトリール14に回転力を付与するモータ10の駆動力および火薬式のプリテンショナ機構17の火薬の推力によって行われるようになっている。
動力伝達機構18には、ベルトリール14の軸14aに同軸に連結される出力軸19が設けられ、この出力軸19は前方に突出している。
動力伝達機構18内のクラッチは、後述する処理装置46による制御に加えて、モータ10の回転状態、例えばベルトリール14とモータ10との回転差に応じて、モータ10と出力軸19およびベルトリール14との接続を遮断可能である。
一方、モータ10が逆転方向(つまり、ベルトリール14を逆転させる方向であってベルト5を送り出す方向)に回転すると、クラッチはモータ10と出力軸19およびベルトリール14との接続を遮断する。ただし、モータ10の逆転状態であっても、このモータ10の逆転方向の駆動力よりも大きな外力(例えば、乗員によるベルト5の引き出し操作に伴う回転駆動力)がモータ10の逆転方向に作用している状態では、クラッチはモータ10と出力軸19およびベルトリール14との接続を維持し、この外力がモータ10の逆転方向の駆動力よりも小さくなった場合にモータ10と出力軸19およびベルトリール14との接続を遮断する。
磁性回転子21の外周側には、円周方向で離間した一対のホール素子23A,23Bが非接触状態で近接配置され、この磁性回転子21とホール素子23A,23Bとがベルトリール14の回転状態を検出する回転検出装置24を構成している。
この前部カバー26はリトラクタフレーム15に一体に結合されている。また、連結軸22の先端部には軸心穴27が形成され、この軸心穴27に前部カバー26に突設されたガイド突起28が挿入されている。
そして、ベルトリール14とモータ10とがクラッチの遮断作動によって切り離された状態において、巻き取りばね25による張力がベルト5に作用するようになっている。
また、ベルトリール14とモータ10とがクラッチによって接続されている状態でのモータ10の停止時などにおいて、巻き取りばね25の弾性力によってベルトリール14がベルト5の巻き取り方向に回転すると、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続は解除されるようになっている。
隔壁30の外周縁部には、一対の支持突起30b,30bが設けられ、これらの支持突起30b,30bが大径円筒部26bの周壁の位置決め溝(図示略)に嵌合されるようになっている。この位置決め溝は、ばね収容部26aと大径円筒部26bの境界位置に達する位置まで形成され、支持突起30b,30bを位置決め溝の終端部に当接させることにより、隔壁30が前部カバー26内で位置決めされるようになっている。
基板は保持ケース35内に保持されており、この保持ケース35はサブカバー33内のセンサ設置スペース34に配置され、サブカバー33に突設された係止爪36,36によって係止されている。
各ホール素子23A,23Bから処理装置46へと出力されるA相、B相の各パルス信号は、処理装置46において、モータ10を駆動するためのフィードバック信号等として用いられる。処理装置46は、例えば、A相、B相の各相のパルス信号を計数することによってベルトリール14の回転量(つまり、ベルト5の引き出し量)を検出し、A相、B相の二つのパルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール14の回転方向を検出する。
例えば図6に示すA相およびB相のパルス波形は、ベルトリール14が正転するときのものであるとすると、A相とB相との加算値は所定の第1変化(…3→2→0→1…)を示し、ベルトリール14が逆転する場合には、A相とB相との加算値は所定の第2変化(…3→1→0→2…)を示す。このため、所定の第1変化および第2変化以外の変化が検出された場合には、異常状態であると判定することができる。
そして、A相とB相との加算値の変化(前回値−今回値)とカウント値との対応は、例えば下記表2に示すように変化する。なお、下記表2において、「+1」はベルトリール14の正転を示し、「−1」はベルトリール14の逆転を示し、「0」はA相とB相との加算値の変化がないことを示し、「×」は正転あるいは逆転のいずれでもあり得ない異常状態を示している。
そして、処理装置46には、例えば、バックル9に対するタングプレート8の装着固定の有無を検出するバックルスイッチ(バックルSW)61から出力される検出信号と、車両の外界に存在する物体を検知するレーダやカメラからなる外界センサ62から出力される検出信号と、車体の加速度および減速度を検出する加速度センサ63から出力される検出信号と、車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサ64から出力される検出信号と、車両の速度を検出する速度センサ65から出力される検出信号と、処理装置46の基板(図示略)に配置されて温度を検出する温度センサ66から出力される検出信号と、モータ10に通電される電流を検出する電流センサ67から出力される検出信号と、一対のホール素子23A,23Bから出力されてセンサ回路45で所定処理が行われたA相、B相の各パルス信号とが入力されている。
なお、以下において、ベルトリール12の回転位置(巻き取り位置)は、例えばベルトリール12によるベルト5の巻き取り量がゼロ(つまり引き出し量が所定の最大量)となる状態を原点(ゼロ)として、ベルトリール12の正転方向を正の方向とし、ベルトリール12の正転つまりベルトリール12によるベルト5の巻き取り量の増大に伴って増大する値である。
この過負荷判定部53は、予め、電流変化量dIに対する変化量閾値dIthと検出電流Iに対する電流閾値Ithとを記憶しており、電流変化量dIが所定の変化量閾値dIth未満かつ検出電流Iが所定の電流閾値Ith未満であるか否かを判定し、この判定結果が「NO」の場合には、過負荷状態であると判定する。
例えばクラッチ制御部54は、過負荷判定部53による過負荷状態の判定が実行されない電流条件下において引き出し検知部52によってベルト5の引き出しが検知された際に、クラッチの解除実行を指示する。さらに、このクラッチの解除実行の指示後に、引き出し検知部52によってベルト5のさらなる引き出しが検知された際には、クラッチの接続状態を維持する。
この場合、乗員によるベルト5の引き出し操作に対してモータ10の回転駆動力が抵抗となることから、例えば時刻t1以降のように、巻き取りばね25の弾性力によってベルトリール14をベルト5の巻き取り方向に回転させ、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続を解除することが意図されて、乗員により入力されるベルト5の引き出し方向の回転駆動力が弱められると、ベルトリール12によるベルト5の巻き取りが実行されると共に、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続が解除される。
しかしながら、このときモータ10は通電の継続によって正転方向に回転駆動されていることから、例えば時刻t2以降のように、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続が解除されることで、過剰な抵抗無しにベルト5をベルトリール14から引き出し可能であると判断する乗員によってベルト5の引き出し操作が実行されると、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続が直ちに実行され、再度、ベルト5の引き出し操作に対してモータ10の回転駆動力が抵抗となり、例えば時刻t3に示すように、いわば緊急ロック機構20が作動したかのような、ベルト5の引き出しに対するロックが生じてしまうことになる。
このとき、つまり過負荷判定部53による過負荷状態の判定が実行されない電流条件下において引き出し検知部52によってベルト5の引き出しが検知されたときに、クラッチ制御部54によりクラッチの解除実行が指示されることにより、乗員によるベルト5の引き出しに対してモータ10が抵抗となることを防止するようになっている。
この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進み、処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、バックルSWのOFFから所定時間が経過したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
そして、ステップS04においては、適宜のタイマーのタイマー値tに所定初期値t0を設定することによってタイマーを初期化し、このタイマーによる計時を開始する。
そして、ステップS05においては、再試行回数kにゼロを設定する。
そして、ステップS06においては、再試行回数kが所定回数N未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS17に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
そして、ステップS08においては、今回の処理での検出電流I(=I(j))から前回の処理での検出電流I(=I(j−1))を減算して得た値(I(j)−I(j−1))を、電流変化量dIとして設定する。
そして、ステップS09においては、電流変化量dIが変化量閾値dIth未満、かつ、今回の検出電流I(=I(j))が電流閾値Ith未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS10に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS12に進む。
そして、ステップS11においては、再試行回数kに「1」を加算して得た値(k+1)を、新たに再試行回数kとして設定して、上述したステップS06に戻る。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS13に進む。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS12に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS10に進む。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS15に進み、後述する引き出し検知の処理を実行する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS16に進み、このステップS16においては、ベルト5が所定の収納位置までベルトリール12に巻き取られたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS06に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進み、このステップS17においては、モータ10に対する通電を停止して、一連の処理を終了する。
先ず、例えば図9に示すステップS21においては、ベルト5のベルトリール12からの引き出し速度Vが所定速度V1未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ベルトリール12からのベルト5の引き出しが、さらに持続されると判断して、後述するステップS24に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進む。
この第1電流I1は、例えば乗員によるベルト5の引き出し操作に伴う回転駆動力よりも、モータ10の逆転方向の回転駆動力が大きくなるような値であって、この通電によるモータ10の逆転によって、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続は解除される。
そして、ステップS23においては、モータ10に対する通電を停止し、エンドに進み、一連の処理を終了する。
そして、ステップS25においては、適宜のタイマーのタイマー値tに所定初期値t0を設定することによってタイマーを初期化し、このタイマーによる計時を開始する。
そして、ステップS26においては、引き出し速度Vが、例えば所定速度V1以下の所定の速度V2(例えば、V2≦V1)未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、モータ10の逆転方向の回転駆動力よりも、乗員によるベルト5の引き出し操作に伴う回転駆動力が小さくなることで、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続は解除されたと判断して、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS27に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS28に進む。
そして、ステップS28においては、ベルト5のベルトリール12からの送り出し量Xが所定送り出し量Xthよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS26に戻る。
これにより、例えば過負荷判定の判定条件つまり電流閾値Ith(手当り判定電流閾値)を低下させて過負荷判定が実行され易くなるように設定する場合に比べて、過剰な頻度で過負荷状態の判定およびクラッチによるモータ10とベルトリール14との接続の解除およびモータ10の停止が実行されてしまうことを防止することができる。
そして、ステップS32においては、ベルト5のベルトリール12からの引き出し速度Vが所定速度V1未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、モータ10の逆転によってベルトリール12からベルト5が送り出されている状態で、乗員によるベルトリール12からのベルト5の引き出しが、さらに実行されると判断して、後述するステップS34に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS33に進む。
そして、ステップS33においては、モータ10に対する通電を停止し、エンドに進み、一連の処理を終了する。
そして、ステップS35においては、適宜のタイマーのタイマー値tに所定初期値t0を設定することによってタイマーを初期化し、このタイマーによる計時を開始する。
そして、ステップS36においては、引き出し速度Vが、例えば所定速度V1以下の所定の速度V2(例えば、V2≦V1)未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、モータ10の逆転方向の回転駆動力よりも、乗員によるベルト5の引き出し操作に伴う回転駆動力が小さくなることで、クラッチによるモータ10とベルトリール14との接続は解除されたと判断して、上述したステップS33に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS37に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS33に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS38に進む。
そして、ステップS38においては、ベルト5のベルトリール12からの送り出し量Xが所定送り出し量Xthよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS33に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS36に戻る。
5 ベルト
10 モータ
14 ベルトリール
24 回転検出装置(位置センサ)
25 巻き取りばね
46 処理装置(制御部)
51 巻き取り位置検知部(位置センサ)
53 過負荷判定部(過負荷判定手段)
54 クラッチ制御部(クラッチ解除手段)
55 送り出し制御部(送り出し手段)
Claims (3)
- ベルトを巻回するベルトリールと、
前記ベルトリールを巻き取り方向に付勢する付勢手段と、
前記ベルトリールへ駆動力を伝達することにより前記ベルトの巻き取りを行うモータと、
前記ベルトリールと前記モータとの回転差により前記モータと前記ベルトリールとの間の駆動力の伝達の断接を行うクラッチ機構と、
前記モータへの通電量を制御する制御部とを備える車両用シートベルト装置であって、
前記ベルトリールの回転位置を検出することにより前記ベルトの位置を検出する位置センサを備え、
前記制御部は、
前記モータへ流れる電流に基づき過負荷判定を行う過負荷判定手段と、
前記位置センサによって検出された前記ベルトの位置に基づき、前記ベルトの引き出しの有無を検知する引き出し検知手段と、
前記過負荷判定手段によって過負荷状態であると判定された場合に、前記ベルトの引掛り状態であると判断して、所定時間に亘って前記モータへの通電を停止する通電停止手段と、
前記過負荷判定手段によって過負荷状態であると判定されず、かつ前記引き出し検知手段によって前記ベルトの引き出しが検知された際に、前記クラッチ機構の解除実行を指示するクラッチ解除手段とを備えることを特徴とする車両用シートベルト装置。 - 前記制御部は、前記クラッチ解除手段による前記解除実行の指示後に前記引き出し検知手段によって前記ベルトの引き出しを検知した際に、前記クラッチ機構の接続状態を維持しつつ前記ベルトの送り出しを実行する送り出し手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートベルト装置。
- ベルトを巻回するベルトリールと、
前記ベルトリールを巻き取り方向に付勢する付勢手段と、
前記ベルトリールへ駆動力を伝達することにより前記ベルトの巻き取りを行うモータと、
前記ベルトリールと前記モータとの回転差により前記モータと前記ベルトリールとの間の駆動力の伝達の断接を行うクラッチ機構と、
前記モータへの通電量を制御する制御部とを備える車両用シートベルト装置であって、
前記ベルトリールの回転位置を検出することにより前記ベルトの位置を検出する位置センサを備え、
前記制御部は、
前記モータへ流れる電流に基づき過負荷判定を行う過負荷判定手段と、
前記位置センサによって検出された前記ベルトの位置に基づき、前記ベルトの引き出しの有無を検知する引き出し検知手段と、
前記過負荷判定手段によって過負荷状態であると判定された場合に、前記ベルトの引掛り状態であると判断して、所定時間に亘って前記モータへの通電を停止する通電停止手段と、
前記過負荷判定手段によって過負荷状態であると判定されず、かつ前記引き出し検知手段によって前記ベルトの引き出しが検知された際に、前記クラッチ機構の接続状態を維持しつつ前記ベルトの送り出しを実行する送り出し手段を備えることを特徴とする車両用シートベルト装置。
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