JP5171539B2 - 共鳴トンネル構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、共鳴トンネル構造体に関する。
近年、テラヘルツ波(本明細書では30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波である。)を通信、セキュリティー、医療などの産業分野へ応用するための研究開発が活発に行われている。テラヘルツ波は、物質透過性と直進性を備え、物体からの反射信号や透過信号により、物体の内部情報を高分解能で取得することが出来る。そのため、以下に記載する様に、様々な非破壊及び非侵襲の検査技術が開発されてきている。
・X線の代用として、物体の透視イメージングを安全に行う技術
・物質内部の吸収スペクトルや複素誘電率を求めて分子の結合状態を調べる分光技術
・超伝導材料のキャリア濃度や移動度を評価する技術
・生体分子(DNAやたんぱく質)の解析技術
上記技術を実用化していく上で必要不可欠な開発要素の一つとして、テラヘルツ光源の開発が挙げられる。これまでに、フェムト秒レーザ励起光伝導素子や、非線形光学結晶を用いたテラヘルツ波パラメトリック発振器といったレーザ装置を用いた発生方法が開発されてきている。また、BWOやジャイロトロンといった小型電子真空管や自由電子レーザなどの大型電子線加速器を用いた発生方法なども開発されてきている。これらの方法は、周波数可変且つ高出力であるため様々な材料の指紋スペクトル同定など特殊な用途に威力を発揮するが、大型の励起光源や真空管を必要とする為、装置の小型化や低消費電力化には限界がある。
そこで、テラヘルツ波の領域で動作する電流注入型の発振素子として、量子カスケードレーザや共鳴トンネルダイオード(Resonant tunneling Diode:RTD、以下RTDと記す)を用いた構造などが検討されている。これらの発振素子は、半導体量子井戸構造における電子のサブバンド間遷移に基づく電磁波発振を実現させるものである。
例えば、特許文献1に示されているようなRTD型の発振素子は、1THz近傍で室温動作するものとして期待されている。
特許文献1では、2重障壁型のRTDを活性層とした素子を用いている。これにより、図10に示すような電圧―電流(V−I)特性で微分負性抵抗1001が観測される。2重障壁型のRTDは、InP基板上にエピタキシャル成長されたInGaAs量子井戸層とAlAsトンネル障壁層とから構成されている。また、2重障壁型のRTDを活性層として、基板表面に平面状に形成したアンテナ構造の共振器に組み込むことにより、図10に示すような微分負性抵抗1001の領域の近傍で、電磁波1002を発振させることができる。
このような2重障壁型のRTDを活性層とした素子を用いた場合、微分負性抵抗による利得や、注入できる電流密度により発振周波数と発振出力が制限される。
発振出力の点からは、電圧―電流(V−I)特性における電流のピーク値と、微分負性抵抗領域における傾きとの比であるピーク対バレー比を大きくすることが望まれる。
特許文献2には、RTDのピーク対バレー比を大きくする構成として、GaAs基板にエピタキシャル成長されたIn0.07Ga0.93AsとGaAsからなる量子井戸層と、AlAsからなるトンネル障壁層で構成された3重障壁RTDが提案されている。2つ量子井戸層をそれぞれ異なる2つの組成を用いて構成する。このような量子井戸層を備える3重障壁RTDにすることで、電圧印加時に共鳴トンネル現象によりピーク電流が生じる構造にすることができる。これにより、ピーク対バレー比の増大を達成している。
特開2007−124250号公報 特公平6−30399号公報
RTD型の発振素子の周波数としては、単一の素子で複数(例えば2周波)の周波数を有することが望まれる。しかし、特許文献1と2のいずれも、単一の周波数での発振しか実現できていない。
本発明の目的は、複数の基本発振周波数を発振させるための共鳴トンネル構造体の提供である。
本発明に係る共鳴トンネル構造体は、3つ以上のトンネル障壁層を有する共鳴トンネル構造層と、キャリアを有する第1及び第2の電気接点層と、を備え、且つ、前記第1の電気接点層、前記共鳴トンネル構造層、前記第2の電気接点層をこの順に含み構成される共鳴トンネル構造体であって、前記共鳴トンネル構造層は、前記キャリアに対するエネルギーがそれぞれE、E、Eである第1サブバンド、第2サブバンド、第3サブバンドを有しており、前記共鳴トンネル構造体は、前記第1及び第2の電気接点層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーをEb1、Eb2としたときに、前記共鳴トンネル構造体に対して、無電界時には、(Eb1、Eb2)<E<E<Eを満たし、且つ、第1電界印加時には、前記エネルギーE b1 と前記第1の電気接点層のフェルミレベル近傍のエネルギーとの間で、前記第3サブバンドと前記第2サブバンドとが共鳴し、且つ、前記第1電界と極性の異なる第2電界印加時には、前記エネルギーE b2 と前記第2の電気接点層のフェルミレベル近傍のエネルギーとの間で、前記第2サブバンドと前記第1サブバンドとが共鳴する構造であることを特徴とする。
以上説明した本発明によれば、第1電界印加時と前記第1電界と極性の異なる第2電界印加時において、複数の基本発振周波数を発振させることのできる共鳴トンネル構造体を提供できる。
本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、少なくとも以下の構成からなる。
(a)3つ以上のトンネル障壁層を有する共鳴トンネル構造層
(b)キャリアを有する第1及び第2の電気接点層
(c)前記第1の電気接点層、前記共鳴トンネル構造層、前記第2の電気接点層をこの順に含む
(d)前記共鳴トンネル構造層は、前記キャリアに対するエネルギーがそれぞれE、E、Eである第1サブバンド、第2サブバンド、第3サブバンドを有す
(e)前記第1及び第2の電気接点層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーをEb1、Eb2としたときに、
前記共鳴トンネル構造体に対して、無電界時には、
(Eb1、Eb2)<E<E<Eを満たす
(f)第1電界印加時には、前記第3サブバンドと前記第2サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じる
(g)前記第1電界と極性の異なる第2電界印加時には、前記第2サブバンドと前記第1サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じる。
(3つのトンネル障壁層、キャリアが電子)
本実施形態に係る共鳴トンネル構造体について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体の伝導帯のエネルギーバンド構造を表している。
ここで、図1の共鳴トンネル構造体は、3つのトンネル障壁層を有する共鳴トンネル構造層の場合を想定しているが、こうした関係の3つのサブバンドを少なくとも有していれば本発明のトンネル障壁層の数はこれに限定されるものではない。最低限必要な、3つ以上のトンネル障壁層であれば良い。
例えば、隣り合う2つの量子井戸に3つのサブバンドを有し(図1(a)のバンド構造)、さらに第1のトンネル障壁層101や第3のトンネル障壁層103側に隣接するトンネル障壁層がある場合である。
また、図1の共鳴トンネル構造体は、キャリアが電子である場合を想定しているが、本発明のキャリアはこれに限定されるものではなく、正孔(ホール)でも良い。なお、キャリアが正孔(ホール)の場合は、共鳴トンネル構造体の価電子帯のエネルギーバンド構造を用いることにより説明することができる。
本実施形態に係る共鳴トンネル構造層は、第1のトンネル障壁層101と、第2のトンネル障壁層102と、第3のトンネル障壁層103と、を含み構成されている。また、共鳴トンネル構造層は、第1のトンネル障壁層101と第2のトンネル障壁層102との間に介在する第1の量子井戸層104と、第2のトンネル障壁層102と第3のトンネル障壁層103との間に介在する第2の量子井戸層105とを含み構成されている。
また、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、キャリアを有する第1の電気接点層106と第2の電気接点層107とを含み構成されている。また、前記共鳴トンネル構造体は、前記第1の電気接点層、前記共鳴トンネル構造層、前記第2の電気接点層をこの順に含み構成されている。
さらに、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、前記キャリアに対するエネルギーがE、E、Eとなる第1サブバンド、第2サブバンド、第3サブバンドからなるサブバンドを、少なくとも3つ有している。
本実施形態に係る前記第1の量子井戸層104は、前記第2サブバンドを少なくとも有している。また、本実施形態に係る前記第2の量子井戸層105は、前記第1及び第3サブバンドを少なくとも有している。
ここで、前記第1の電気接点層106及び第2の電気接点層107におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーをEb1、Eb2とする。
このとき、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、無電界時には、(Eb1、Eb2)<E<E<Eを満たす。
また、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、第1電界Va印加時には、前記第3サブバンドと前記第2サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じる構造である。
さらに、本実施形態に係る共鳴トンネル構造体は、前記第1電界と極性の異なる第2電界Vb印加時には、前記第2サブバンドと前記第1サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じる構造である。
なお、第1及び第2の電気接点層は、第1電界印加時に第3サブバンドと第2サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じ、且つ、第2電界印加時に第2サブバンドと第1サブバンドとにより共鳴トンネル現象が生じるようにキャリアを有している。
ここで、共鳴トンネル現象は、互いに異なる量子井戸層に閉じ込められたサブバンドのエネルギーがほぼ等しいとき(anti−crossing)に起こり得る。とくに、キャリアを供給する層のバンド端のエネルギーとフェルミエネルギー近傍の間においてこうした現象が起こると共鳴的に大きな電流が流れるようになる。
また、共鳴トンネル現象において、サブバンドのエネルギーの高い側から低い側へ電子が遷移するとき、電磁波を放出し(フォトンアシストトンネリング)、電流―電圧グラフに負性抵抗が現れる。
また、第1、第2、第3サブバンドは、それぞれのエネルギーの大小関係が(Eb1、Eb2)<E<E<Eを満たし、且つ、上記の共鳴トンネル現象が生じるように、共鳴トンネル構造体の有する量子井戸層にあれば良い。3つのトンネル障壁層を有する共鳴トンネル構造体を例にすると、第2サブバンドを第2の量子井戸層105が有し、且つ、第1及び第3サブバンドを第1量子井戸層104が有していても良い。
(第2の量子井戸層を中心に非対称)
本実施形態の共鳴トンネル構造体の好ましい構成として、以下の構成がある。
前記第1の量子井戸層の膜厚と第2の量子井戸層の膜厚とが異なるように構成する。これにより、(Eb1、Eb2)<E<E<Eの関係を容易に得ることができる。
ただし、本発明は前記第1の量子井戸層の膜厚と第2の量子井戸層の膜厚とが異なる構成に限定されるものではなく、(Eb1、Eb2)<E<E<Eの関係を満たすように構成されていれば良い。
上記の構成以外にも、前記第1の量子井戸層の材料と第2の量子井戸層の材料とが異なる構成にすることが考えられる。例えば、前記第1の量子井戸層の材料におけるバンド端と第2の量子井戸層の材料におけるバンド端とをオフセットさせて、E<E<Eの関係を得ることができる。ただし、この場合は、(Eb1、Eb2)<Eを満たす様にオフセットを限定しないと第1サブバンドと第2サブバンドとによる共鳴トンネル効果が得られない。
(トンネル障壁層の高さが異なる)
本実施形態の共鳴トンネル構造体の好ましい構成として、以下の構成がある。
共鳴トンネル構造体に対して無電界時に、前記第1又は前記第3のトンネル障壁層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーが、前記第2のトンネル障壁層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーよりも大きいように構成する。これにより、第2サブバンドと第3サブバンドとによる共鳴トンネル効果において、ピーク対バレー比を大きくすることができる。典型的な場合、第3サブバンドと第2サブバンドとによる共鳴トンネル効果を得るための電界強度は、第2サブバンドと第1サブバンドとによる共鳴トンネル効果を得るための電界強度よりも大きい。
ここで、本発明は上記構成に限定されるものではない。
(電気接点層がn型半導体)
本実施形態に係る共鳴トンネル構造体の好ましい構成として、以下の構成がある。
前記第1の電気接点層と第2の電気接点層がn型半導体となるように構成する。これにより、キャリアに電子を選ぶことが出来る。電子は、正孔(ホール)に比べて比較的移動度が高いことで知られている。
ただし、本発明は上記構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
また、キャリアに対するエネルギーがEであるサブバンドとは、エネルギー準位がEと換言できる。EとEも同様である。
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1:共鳴トンネルダイオード)
実施例1について、図2から5を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る3重障壁共鳴トンネル構造体を有する共鳴トンネルダイオード(RTD)の構造を説明するための模式図である。
図3は、本実施例に係る3重障壁共鳴トンネル構造体の伝導帯のエネルギーバンド構造を説明するための模式図である。
図4は、電子のサブバンドの電界依存性を示すグラフである。
図5は、実験にて得られた本発明のおける共鳴トンネルダイオードの電流―電圧特性を示すグラフである。
本実施例の共鳴トンネルダイオード(RTD)200について、図2(a)を用いて詳細に説明する。
共鳴トンネル構造層220は、第1のトンネル障壁層201と、第1の量子井戸層204と、第2のトンネル障壁層202と、第2の量子井戸層205と、第3のトンネル障壁層203がこの順に積層されている。第1のトンネル障壁層201は、ノンドープAlAsからなる。第1の量子井戸層204は、ノンドープInGaAsからなる。第2のトンネル障壁層202は、ノンドープInAlAsからなる。第2の量子井戸層205は、ノンドープInGaAsからなる。第3のトンネル障壁層203は、ノンドープAlAsからなる。
また、RTD200は、n++InGaAsからなる第1コンタクト層210及び第2コンタクト層211を有する。また、RTD200は、n+InGaAsからなる第1の電気接点層208及び第2の電気接点層209を有する。さらに、ノンドープInGaAsからなる第1スペーサ層206及び第2スペーサ層207を有する。これらを、第1電界と第1電界とは極性の異なる第2電界とを印加するための電極対として用いる。これにより、共鳴トンネル構造層220に電界を印加することができる。ここで、例えば、第1電界は正バイアス電圧によって印加され、第2電界は負バイアス電圧によって印加される。
コンタクト層210と211は、高濃度にドーピングされた半導体層である。コンタクト層210と211は、Ti/Pd/Auからなるオーミック電極212と213を介して電圧源214に接続されることで、RTD100にバイアス電圧が供給される。
第1の電気接点層208及び第2の電気接点層209は、ドーピングされた半導体層であり、共鳴トンネル構造層220に電子を供給又は受容する層である。第1の電気接点層208及び第2の電気接点層209は、バイアス電圧の印加方向に応じてエミッタ又はコレクタの役割を果たす。
また、スペーサ層206及び207は、上記の共鳴トンネル構造層220をエピタキシャル成長する際に、ドーパントの拡散により第1のトンネル障壁層201と第3のトンネル障壁層203の品質が劣化することを防止するために設けられている。
ここで、共鳴トンネル構造層220は、InP基板上にエピタキシャル成長された半導体結晶である。第1の量子井戸層204、第2の量子井戸層205と第2のトンネル障壁層202は、InP基板に格子整合しているInGaAs/InAlAsである。また、第1のトンネル障壁層201と第3のトンネル障壁層203は、InP基板に格子整合していないAlAsで、臨界薄膜よりは薄く、よりエネルギーの高い障壁となっている。
本実施例のRTD200に使用されている材料、膜厚、ドープ濃度を、図2(b)に示した。
共鳴トンネル構造層220の第1の量子井戸層204の膜厚と、第2の量子井戸層205の膜厚とが異なるように積層している。
これにより、図3(a)のように、無電界時における第2の量子井戸層205に帰属するサブバンドEと第1の量子井戸層204に帰属するサブバンドE及びサブバンドEのエネルギーレベルの関係がE<E<Eとなる。
また、第1のトンネル障壁層201と第2のトンネル障壁層202、或いは第2のトンネル障壁層202と第3のトンネル障壁層203の組成や膜厚をそれぞれ異なるように構成している。
また、第1の電気接点層208及び第2の電気接点層209は、高濃度にドーピングされている。これは、正負の各バイアス印加時に、エミッタ側となる電気接点層から電子を共鳴トンネル構造層220に注入できるようにするためである。これにより、正負の各バイアス印加時に、共鳴トンネル構造層220のサブバンドEとサブバンドE、サブバンドEとサブバンドE間で、共鳴トンネル現象を生じさせることができる。
ここで、第1の量子井戸層204の膜厚と、第2の量子井戸層205の膜厚とを、上記共鳴トンネル現象が起こるように調整している。
次に、図3(b)について説明する。これは、共鳴トンネル構造層220に正バイアス電圧Vが印加される場合である。第2の電気接点層209はエミッタの役割を果たし、第2の量子井戸層205のサブバンドEと第1の量子井戸層204のサブバンドEとが共鳴する。ここでEF1は第2の電気接点層209のフェルミレベルであり、EC1は第2の電気接点層209の伝導帯底のエネルギーである。
このとき、サブバンドE及びサブバンドEのエネルギーレベルが、伝導帯底のエネルギーEC1と比較して大きく、エミッタ内の熱分散を含めた電子のエネルギーEF1±KTと比較して小さいとき、共鳴トンネル構造層220に電子が注入される。
正バイアス電圧V印加時に、EC1<E及びE<EF1±KTを満たすように、第2の電気接点層209は十分な濃度でドーピングされている。また、上記関係式を満たすように、第1の量子井戸層204、第2の量子井戸層205、第1のトンネル障壁層201、第2のトンネル障壁層202、第3のトンネル障壁層203の膜厚と組成を構成する。
なお、このエミッタ内の伝導帯底のエネルギーEC1から熱分散を含めた電子のエネルギーEF1±KTをフェルミレベル近傍と表現している。ここで、Kはボルツマン定数(J/K)であり、Tは絶対温度(K)である。
本実施例においては、第2の電気接点層209にSiが2×1018cm−3の濃度でドーピングされたn+InGaAs層を用いることで、伝導帯底のエネルギーEC1を基準としたフェルミレベルEF1のエネルギーは約140meVとした。室温における電子の熱分散KTは約27meVであり、第2の電気接点層209内の電子は幅広いエネルギーに分布し、チャネルを確保している。
また、図4(a)に示したように、図2(b)の膜厚や組成の共鳴トンネル構造層220において、サブバンドEとサブバンドEとが共鳴する(anti−crossing)。ここで、正バイアス電圧Vが約0.7Vのとき、電界強度では約220kV/cmにおいて、サブバンドEとサブバンドEとが、伝導帯底のエネルギーEC1から約16meVのエネルギーで共鳴する。
このとき、上述のEC1<E及びE<EF1±KTが十分満たされているので、第1の電気接点層208から共鳴トンネル構造層220に電子が注入される。
さらに、図3(c)について説明する。これは、共鳴トンネル構造層220に極性の異なる負バイアス電圧Vが印加した場合である。第1の電気接点層208がエミッタの役割を果たし、第2の量子井戸層205のサブバンドEと第1の量子井戸層204のサブバンドEとが共鳴する。
このとき、サブバンドE及びサブバンドEのエネルギーレベルが、伝導帯底のエネルギーEC2と比較して大きく、エミッタ内の電子のエネルギーEF2±KTと比較して小さいとき、共鳴トンネル構造層220に電子が注入される。
負バイアス電圧V印加時にEC2<E及びE<EF2±KTを満たすように、第1の電気接点層208は十分な濃度でドーピングされている。また、上記関係式を満たすように、第1の量子井戸層204、第2の量子井戸層205、第1のトンネル障壁層201、第2のトンネル障壁層202、第3のトンネル障壁層203の膜厚と組成は構成されている。ここで、EF2は、第1の電気接点層208のフェルミレベルであり、EC2は、第1の電気接点層208の伝導帯底のエネルギーである。本実施例においては、第1の電気接点層208にもSiが2×1018cm−3の濃度でドーピングされたn+InGaAs層を用いたので、伝導帯底のエネルギーEC2を基準としたフェルミレベルEF2のエネルギーは約140meVである。
図4(b)に示したように、図2(b)の膜厚や組成の共鳴トンネル構造層220において、サブバンドEとサブバンドEとが共鳴する(anti−crossing)。ここで、電圧Vが約−0.2V、電界強度で約45kV/cmのとき、サブバンドEとサブバンドEとが伝導帯底のエネルギーEC2から約50meVのエネルギーレベルにおいて共鳴する。このとき、上述のEC2<E及びE<EF2±KTが十分満たされているので、第1の電気接点層208から共鳴トンネル構造層220に電子が注入される。
図5は、本実施例のRTD200の電流―電圧特性を測定して得られたグラフであり、RTD200は極性の異なる2種類のバイアス電圧を印加することで、ピーク電流密度とピーク対バレー比が異なる2つの微分負性抵抗領域が観測される。
例えば、正バイアス印加時においてピーク電流密度JはJ=280kA/cm、直径約2μmΦのメサのRTDであれば、微分負性抵抗(以下、NDRと記す)はNDR=−22Ωとなる。また、負バイアス印加時においてピーク電流密度はJ=90kA/cm、直径約2μmΦのメサのRTDであれば、NDR=−174Ωとなる。
このように、本発明の構成の共鳴トンネルダイオードは、印加されるバイアス電圧の極性と大きさによって、1つのRTDで異なる2種類以上の微分負性抵抗が得られる。
本実施例では、InP基板上に成長したInGaAs/InAlAs、InGaAs/AlAsからなる3重障壁共鳴トンネルダイオードについて説明してきた。しかし、これらの材料系に限られることなく、他の材料の組み合わせであっても本発明の共鳴トンネルダイオードを提供することができる。例えば、GaAs基板上に形成したGaAs/AlGaAs/、GaAs/AlAs、InGaAs/ GaAs/AlAsであっても良い。また、InP基板上に形成したInGaAs/AlGaAsSbであっても良い。さらに、InAs基板上に形成したInAs/AlAsSb、InAs/AlSbや、Si基板上に形成したSiGe/SiGeの組み合わせであっても良い。
また、これまでキャリアを電子として説明してきたが、キャリアとして正孔(ホール)を用いて価電子帯で同様の動作原理の共鳴トンネルダイオードも提供することができる。図3に示すエネルギーバンド構造は伝導帯のものでキャリアは電子であるが、エネルギーを表す縦軸を上下逆にして価電子帯のものと考えればキャリアが正孔であるエネルギーバンド構造を表すことになる。
また、これまで3つのトンネル障壁層を有する共鳴トンネル共鳴トンネルダイオードで説明してきたが、4つ以上のトンネル障壁層を有する同様の動作原理の共鳴トンネルダイオードも提供することができる。例えば、図3において第2のトンネル障壁層を2つのトンネル障壁に分割するなどとして図4と同様の電界依存性を持つサブバンドが得られる設計を行うこともできる。
なお、特許文献2は、同一素子に逆バイアス印加する記載がない。また、特許文献2は、逆バイアス印加時にも共鳴トンネル現象が起こるような共鳴トンネル構造体の構成を積極的に開示するものではない。特許文献2の第9図に開示されている共鳴トンネル構造体は、無電界時において(Eb1、Eb2)>Eとなっている。ここで、Eはキャリアに対するエネルギーである第1サブバンド、Eb1とEb2は第1及び第2の電気接点層におけるバンド端のキャリアに対するエネルギーである。この共鳴トンネル構造体に対して、第1電界と第2電界を印加したとき、どちらも共鳴トンネル現象を生じる構成にはなっていない。
(実施例2:電磁波発振器)
実施例2について、図6と図7を用いて説明する。
本実施例は、共鳴トンネル構造体を含み構成される活性層と、電磁波共振器とを備えている電磁波発振器である。
例えば、上記実施例の共鳴トンネルダイオード(RTD)からなる活性層を、電磁波共振器とを備えている電磁波発振器である。
図6は、上記実施例に係るRTD200を活性層として電磁波共振器に組み込んだ電磁波発振器の構成を説明するための模式図である。
図7は、本実施例に係るRTDの等価回路を示した図である。
電磁波発振器630は、スロットアンテナ型の電磁波共振器構造を用いており、InP基板636上に電極とアンテナを兼ねているTi/Pd/Au層631と632がSiO絶縁層633を介して形成されている。電極631には一部に電極631、631の一部を除去した窓領域634があり、スロットアンテナ構造の共振器が形成されており、矢印で示された窓領域の長さが発振周波数を決めるファクタとなっている。また、メサ635はポスト状に形成されたRTD200である。Ti/Pd/Au層631や632は、それぞれ図2のオーミック電極212と213に相当し、電圧源214に接続されている。本実施例においては、スロットアンテナの窓幅は30μmとし、一辺2.3μmのメサ635を配置した。
一般的に、共鳴トンネルダイオード(RTD)は、APL,Vol.55〈17〉,P.1777,1989などに開示されているように、図7に示した等価回路で記述される。共鳴トンネルダイオードの動作周波数の上限はRCL回路の時定数により決まる。また電磁波発振器においては、図7に示した等価回路に、共振器の構造によって決まる負荷抵抗、容量成分、インダクタンス成分を接続した共振回路のLCの共振周波数によって基本発振波長が決定される。
ここで、図7において、Rcont、Ccontは電極631とコンタクト層610の接触抵抗成分、接触容量成分であり、RpostはRTD200に直列に接続されるメサ構造に起因する抵抗成分を表している。また、RactはRTD200のNDR(<0)である。また、CactはRTD200の容量成分であり、LactはRTD200のインダクタンス成分である。
actは、RTD100内における電子のトンネリング時間、空乏層の走行時間を考慮したRTD100におけるの電子の遅延時間τを遅延インダクタンスとして表したものであり、Lact=Ract×τの関係が知られている。
電磁波発振器630は、電圧源614から極性の異なるバイアス電圧(VとV)を給電することで、図5に示した通り2種類の微分負性抵抗が得られる。したがってバイアス電圧VとVに対応した2種類の微分負性抵抗が得られるため、図5の等価回路の遅延インダクタンスLactが変化する。しかも、本実施例に係るRTD200を用いた場合、Lactは790%変化する。この結果、同じスロットアンテナ型共振器でも全体の共振回路の共振周波数が大きく変化することになり発振周波数の変化として現れる。このように、本発明の構成の共鳴トンネルダイオードを用いた電磁波発振器は、異なる2種類以上の微分負性抵抗により、印加されるバイアス電圧の極性と大きさを変化させることで2種類以上の基本発振周波数で発振させることが可能となる。本実施例では、バイアス電圧がV=0.8Vのときに220GHz、極性を変えたV=−0.3Vのときには455GHzの発振が可能である。
本実施例では、共振器としてスロットアンテナ構造を用いたが、アレイ化や高出力化に有利なマイクロストリップ線路やマイクロストリップアンテナ(例えば、パッチアンテナ)を組み合わせた共振器でも良い。また、Q値の高い素子壁面や裏面も電極で覆った3次元構造の空洞導波管を採用しても提供することも出来る。
また、実際に発振周波数を変化させる場合には、図6に示したように電圧源614にスイッチを設けることで、電圧信号(VとV)が切り替える構成が考えられる。具体的には、第1基本発振周波数の電磁波を発振させるために印加する正バイアス電圧と、第2基本発振周波数の電磁波を発振させるために印加する負バイアス電圧とを切り替える。このように、本実施例に係る電磁波発振器と、電圧信号を切り替えるためのスイッチング素子とを備えた電磁波発振装置が考えられる。
素子の保護のために電圧信号を徐々に0に下げてから極性を変えて徐々に電圧を上昇させるように駆動しても良い。一般的に、共鳴トンネルダイオードは高速動作が可能であるため、高速に周波数をスイッチングして切り替えることにより、サブTHz帯の通信としてFSK(周波数シフトキーイング)変調して光源として駆動しても良い。
さらに、本実施例の電磁波発振器の駆動方法は、以下のようになる。すなわち、上記実施例に係る共鳴トンネル構造層に、第1サブバンドと第2サブバンドの間のフォトンアシストトンネルを誘起する第1電気信号を印加する。第1電気信号は、例えば正バイアス電圧印加を表す電気信号である。これにより、第1基本発振周波数の電磁波を発振させる。また、第2サブバンドと第3サブバンドの間のフォトンアシストトンネルを誘起する前記第1電気信号と極性が異なる第2電気信号を印加する。第2電気信号は、例えば負バイアス電圧印加を表す電気信号である。これにより、第2基本発振周波数の電磁波を発振させる。
(実施例3:検査装置)
実施例3について、図8と図9を用いて説明する。
ここで本実施例は、例えば上記実施例の共鳴トンネルダイオードを備えた電磁波発振器を用いた、物体の検査装置である。
図8に示すように、本実施例の検査装置は、例えば上記実施例の2周波数で発振する電磁波発振器70a〜70dを並べて配置し、f1〜f8までの複数の発振周波数の電磁波を発生させる。また、それぞれの電磁波は放物面鏡74で平行ビームとして伝播し、検体となる対象物体72に照射され、透過光がレンズ73で集光され検出器71a〜71dで受信される。ここで、本実施例では透過配置にしているが、反射配置で検査しても良い。
例えば、記憶装置に、予め検出器で受信すべき強弱の組み合わせパターンを記憶させておく。また、検査物質がf1〜f8までの周波数のうち、いずれか1つまたは複数の特定な吸収スペクトルを有していたとする。このとき、検査物質の吸収スペクトルと、記憶させておいたパターンと比較することにより、検査したい物質が対象物体72中に含まれているか否かを判別することができる。
図9は、検査物質の指紋スペクトルの例である。周波数f1、f2、f3に吸収ピークを持つために、予め本物質の吸収パターンを記憶しておいて、f1、f2、f3で検出器出力が弱く、その他の周波数における検出出力が大きいという情報を照合すれば、本物質が含まれると判定することができる。
本実施例の検査装置は、例えば、空港での危険物・禁止物質検査、郵便・貨物等の物流品検査、工場における工業製品の検査等に利用することができる。
(実施例4:ヘテロダイン検出器)
実施例4について、図11を用いて説明する。
本実施例は、例えば上記実施例の共鳴トンネルダイオード(RTD)を備えた電磁波発振器を局部発振器として用いたヘテロダイン検出器を提供する。
図11は、本実施例の検出器の模式図であり、図11(a)は局部発振器としてスロットアンテナ型の電磁波発振器を用いた例であり、図11(b)は局部発振器としてマイクロストリップ型の電磁波発振器を用いた例である。
図11に示したように、本実施例の電磁波検出器は局部発振器(LO)、ミキサー(Mixer)、IF検出部、アンテナ(Antenna)、LO−port、RF―port、IF−portなどから構成される。
ここで、局部発振器(LO)はヘテロダイン検出の為の局発波発振器であり、本発明の電磁波発振器が用いられる。
また、ミキサーはRFパワーを効率よくIFパワーに変換するデバイスであり、ショットキーダイオード、超伝導SISミキサー、ホットエレクトロンボロメータ、HBT/HEMTミキサーなどが用いられる。
また、IF検出部はミキシングで生成した中間周波数(IF)出力を検出する役割を果たし、アンテナ(Antenna)は検出したい信号を受信する役割を果たす。また、LO−port、RF―portは、それぞれ局発波、信号波のミキサー(Mixer)への入力ポートを表しており、IF−portは中間周波数(IF)のIF検出部への入力ポートを表している。ここで、特に図示はしていないが、アンテナ(Antenna)、ミキサー(Mixer)、局部発振器(LO1又はLO2)の間にフィルターやRF増幅器等を配置すればより高感度な電磁波検出器が実現される。
図11(a)を用いて本発明の検出器について詳細に説明する。検出器640の局部発振器(LO1)は、スロットアンテナ型共振器構造637を有する電磁波発振器630と電圧切替えスイッチが設けられた電圧源614とから構成される。ここで、実施例2の説明から局部発振器(LO1)は、極性の異なるバイアス電圧(VとV)を給電することで2波長の基本発振周波数を持ち、本実施例においてはこの周波数が2つの局発波(f1及びf2)となる。検出器640において、スロットアンテナ型共振器構造637は信号(f1及びf2)受信用のアンテナとしての役割も果たしている。受信した信号波と、電磁波発振器630からの局発波は、RF―port及びLO―portからミキサー(Mixer)に入力され、周波数混合により差周波成分である中間周波数(IF)が生成される。生成された中間周波数(IF)はIF−portを介してIF検出部にて検出される。
本発明の検出器の動作について説明する。例えば、電圧源614からバイアス電圧Vが電磁波発振器630に印加された場合は、局部発振器(LO1)はから局発波1(f1)が発振される。このとき、検出器640はアンテナにて周波数f1(=|f1+fIF|)の信号波1を受信し、ミキサー(Mixer)から出力される中間周波数fIFをIF検出部にて検出することで信号波1が検出される。また、電圧源614から極性の異なるバイアス電圧Vが電磁波発振器630に印加された場合は、局部発振器(LO1)はから局発波2(f1)が発振される。このとき、検出器640はアンテナにて周波数f2(=|f2+fIF|)の信号波2を受信し、ミキサー(Mixer)から出力される中間周波数fIFをIF検出部にて検出することで信号波2が検出される。
例えば、実施例2で説明した電磁波発振器を用いた場合は、局発波はf1=455GHz及びf2=220GHzの2種類となり、中間周波数をfIF=2GHzとすれば、f1=457GHz及びf2=222GHzの2種類の電磁波が検出される。
また、図11(b)のように局部発振器として本発明にかかる共鳴トンネルダイオードと、マイクロストリップ型の共振器とを備えた電磁波発振器を用いた例においても同様の検出を行なうことが可能である。ここで、検出器807の局部発振器LO2は、RTD801、マイクロストリップライン802、λ/4スタブ803、局発波出力部806、基板805、電圧源614から構成され、一般的なMMIC技術で作製される。本構成においても、バイアス電圧VとVに応じて局部発振器LO2から発振される2種類の局発波(f1及びf2)により、アンテナ(Antennna)で受信した信号(f1及びf2)をヘテロダイン検出することが可能である。
このように、本発明の共鳴トンネルダイオードを用いた発振器をヘテロダインミキシングにおける局部発振器として用いることで、少なくとも2種類の周波数の電磁波を検出(ヘテロダイン検波)することが可能な検出器が実現される。
また、本実施例の検出器により、1つの検出器で複数の周波数帯の電磁波を検出することが可能であるため、検出器の小型化や高密度化が容易に達成される。さらに、本実施例の検出器をアレイ状に複数配置すれば、複数の周波数の電磁波を高感度で検出可能な小型の検出器が実現される。
本発明の実施形態に係る共鳴トンネル構造体の伝導帯のエネルギーバンド構造を説明するための模式図 実施例1に係る共鳴トンネル構造体及びRTDの構造を説明するための模式図 実施例1に係る共鳴トンネル構造体の伝導帯のエネルギーバンド構造を説明するための模式図 実施例1に係る共鳴トンネル構造体の伝導帯におけるサブバンドの電界依存性を示すグラフ 実施例1に係るRTDを用いて得られた電流―電圧特性を示すグラフ 実施例2に係る電磁波発振器の構成を説明するための模式図 実施例2に係る電磁波発振器の等価回路を説明するための模式図 実施例3に係る検査装置を説明するための模式図 実施例3に係る検査装置を説明するための指紋スペクトルを示すグラフ 従来技術を説明するための模式図 実施例4に係る検出器を説明するための模式図
符号の説明
101 第1のトンネル障壁層
102 第2のトンネル障壁層
103 第3のトンネル障壁層
104 第1の量子井戸層
105 第2の量子井戸層
106 第1の電気接点層
107 第2の電気接点層

Claims (14)

  1. 3つ以上のトンネル障壁層を有する共鳴トンネル構造層と、キャリアを有する第1及び第2の電気接点層と、を備え、且つ、前記第1の電気接点層、前記共鳴トンネル構造層、前記第2の電気接点層をこの順に含み構成される共鳴トンネル構造体であって、
    前記共鳴トンネル構造層は、前記キャリアに対するエネルギーがそれぞれE、E、Eである第1サブバンド、第2サブバンド、第3サブバンドを有しており、
    前記共鳴トンネル構造体は、
    前記第1及び第2の電気接点層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーをEb1、Eb2としたときに、
    前記共鳴トンネル構造体に対して、
    無電界時には、(Eb1、Eb2)<E<E<Eを満たし、且つ、
    第1電界印加時には、前記エネルギーE b1 と前記第1の電気接点層のフェルミレベル近傍のエネルギーとの間で、前記第3サブバンドと前記第2サブバンドとが共鳴し、且つ、
    前記第1電界と極性の異なる第2電界印加時には、前記エネルギーE b2 と前記第2の電気接点層のフェルミレベル近傍のエネルギーとの間で、前記第2サブバンドと前記第1サブバンドとが共鳴する構造であることを特徴とする共鳴トンネル構造体。
  2. 前記第1の電気接点層と前記第2の電気接点層のフェルミレベル近傍のエネルギーを、それぞれE f1 、E f2 としたとき、無電界時に、(E b1 、E b2 )<(E f1 、E f2 )<E <E <E を満たすことを特徴とする請求項1に記載の共鳴トンネル構造体。
  3. 前記第1サブバンド、第2サブバンド、第3サブバンドは、E <E <E の順で連続するサブバンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の共鳴トンネル構造体。
  4. 前記共鳴トンネル構造層は、第1のトンネル障壁層と、第2のトンネル障壁層と、第3のトンネル障壁層と、該第1のトンネル障壁層と該第2のトンネル障壁層との間に介在する第1の量子井戸層と、該第2のトンネル障壁層と該第3のトンネル障壁層との間に介在する第2の量子井戸層とを含み構成し、
    前記第1の量子井戸層は、前記第2サブバンドを少なくとも有し、且つ、
    前記第2の量子井戸層は、前記第1及び第3サブバンドを少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の共鳴トンネル構造体。
  5. 前記第1の量子井戸層の膜厚と前記第2の量子井戸層の膜厚とが異なることを特徴とする請求項に記載の共鳴トンネル構造体。
  6. 前記共鳴トンネル構造体に対して無電界時に、前記第1のトンネル障壁層又は前記第3のトンネル障壁層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーが、前記第2のトンネル障壁層におけるバンド端の前記キャリアに対するエネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項4又は5に記載の共鳴トンネル構造体。
  7. 前記第1の電気接点層及び前記第2の電気接点層がn型半導体であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の共鳴トンネル構造体。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の共鳴トンネル構造体と、
    前記第1電界と前記第2電界を印加するための電極対と、を備えていることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  9. 請求項1からのいずれか1項に記載の共鳴トンネル構造体を含み構成される活性層と、電磁波共振器とを備えていることを特徴とする電磁波発振器。
  10. 請求項に記載の共鳴トンネルダイオードからなる活性層と、電磁波共振器とを備えていることを特徴とする電磁波発振器。
  11. 請求項9又は10に記載の電磁波発振器と、
    第1基本発振周波数の電磁波を発振させるために印加する前記第1電界と、第2基本発振周波数の電磁波を発振させるために印加する前記第2電界とを切り替えるためのスイッチング素子とを備えることを特徴とする電磁波発振装置。
  12. 請求項9又は10に記載の電磁波発振器の駆動方法であって、
    前記共鳴トンネル構造層に、第1サブバンドと第2サブバンドの間のフォトンアシストトンネルを誘起する第1電気信号を印加することにより、第1基本発振周波数の電磁波を発振させ、
    且つ、第2サブバンドと第3サブバンドの間のフォトンアシストトンネルを誘起する前記第1電気信号と極性が異なる第2電気信号を印加することにより、第2基本発振周波数の電磁波を発振させることを特徴とする駆動方法。
  13. 請求項9又は10に記載の電磁波発振器とミキサーとを備え、
    少なくとも2つの波長の電磁波をヘテロダイン検波することを特徴とする電磁波検出器。
  14. 請求項11に記載の電磁波発振装置から構成される局部発振器とミキサーとを備え、
    少なくとも2つの波長の電磁波をヘテロダイン検波することを特徴とする電磁波検出器。
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