以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、劣化した現像剤に起因する不良画像の発生を予防すべく、トナー粒子とキャリア粒子が混合された現像剤が収容されている現像装置に対して、トナー粒子とキャリア粒子を前記現像装置に補給するとともに、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行い、さらに、使用するキャリア粒子表面の結着樹脂層中に、針状あるいは棒状の形状で、下層が二酸化スズを含む層、上層が二酸化スズと酸化インジウムを含む層という構成からなる導電性被覆層を有する導電性微粒子を含有させることで、二酸化スズと酸化インジウムの該構成に起因する良好な導電性を発揮させつつ、該形状に起因する脱離しにくさにより、長期に渡り機能が安定して発揮され、かつ、該構成では導電性微粒子を白色のものにできるため、万が一、キャリア粒子樹脂層から導電性粒子が脱離、もしくはキャリア粒子樹脂層ごと剥離した場合でも、画像に対して色汚れの問題を発生させないという、技術構想を考案した。
特に、予備の補給用現像剤は、ユーザーの使用状況によって保管期間や保管状況が異なるため、場合によっては劣悪な環境下で長期に渡って保管される可能性があり、前記のトリクル現像方式のように現像剤の補給/排出を行う現像方式での現像剤は、補給用現像剤はトナー粒子とキャリア粒子が接触した状態で保管される。そのため、キャリア粒子の樹脂層やその成分がトナー粒子に移るリスクが高いが、本発明による導電性微粒子は脱離しにくく、且つ、白色のため、キャリア粒子表面から万が一脱離した場合でも、トナー粒子に色が移らず、画像に色汚れを発生させることがないため、非常に好適な組み合わせであるといえる。
着色量の少ない抵抗制御剤を用いて色汚れの問題を抑制したとしても、高効率な抵抗制御剤であるほど、キャリア粒子表面から脱離した際のキャリア粒子の抵抗への影響は大きい。そのため、まずは脱離しにくいことを重視し、万が一脱離した場合でも色汚れを発生させないという順序で抵抗制御剤を選定することが好ましい。
本発明における導電性微粒子の形状は針状あるいは棒状である。導電性微粒子の形状を針状もしくは棒状とすることで、樹脂被覆層中に導電性微粒子を分散させたときに、導電性微粒子の側面がキャリア粒子表面に露出しやすくなる。また、キャリア粒子表面に対して並行に網目状に配置されやすくなる。その結果、キャリア粒子の抵抗を下げる機能の効率が向上する。更に、導電性微粒子がキャリア粒子の芯材表面の凹部に入り込んで導電効果が発揮されなくなることが防がれる効果もあり、導電性微粒子の形状を針状もしくは棒状とすることは、導電性微粒子の機能を効率よく発現させるために非常に効果的である。
本発明における針状・棒状とは、アスペクト比が3〜200、好ましくは3〜100、より好ましくは3〜50であることを指す。アスペクト比が3よりも小さいと、上記の棒状/針状形状の効果が現れにくくなる。アスペクト比が200よりも大きいと、粒子の強度に対して、かかるモーメントが大きいために、結着樹脂と共にキャリア粒子の芯材表面に塗布した際に導電性微粒子が折れやすくなり、棒状/針状形状の効果が発揮されにくくなる。
前記導電性微粒子のアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡を用いて前記導電性微粒子もしくはキャリア粒子の切断面の樹脂被覆層における導電性微粒子部位を撮影することで得られる二次元視野像において、任意に50個選択した前記導電性微粒子の一番長い部位を長径とし、該長径と直交する軸で一番長い部位を短径とした平均値を求め、それらを除することによって算出することができる。
導電性微粒子の形状を針状あるいは棒状にするためには、基材粒子の形状が針状あるいは棒状であればよい。酸化チタンを素材とすると形状が針状あるいは棒状の粒子を得られやすく好ましい。特にルチル型の結晶構造を持たせると更に好ましい形状が得られやすい。導電性に注目すると、導電性微粒子の基材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムのいずれかを、単独或いは複数を併用して用いると、導電性付与効果が顕著になる。これは、粒子表面の導電処理との相性が良く、導電処理効果が良好に発揮されるためであると考えられる。なお、本発明で言う「酸化チタン」には、「二酸化チタン」も含めている。
万が一、導電性微粒子、もしくは導電性微粒子を含む樹脂被覆層がキャリア粒子から離脱しても、導電性微粒子がトナー粒子の発色に対して悪影響を及ぼす色でなければ、色汚れに関して問題はない。本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、導電性微粒子が白色であれば導電性微粒子がキャリア粒子の樹脂被覆層から脱離したとしてもトナー粒子の発色に悪影響を及ぼさないとの結論に至った。具体的には、該導電性微粒子の粉体色調が、L値は70以上、更に好ましくは80以上、特に好ましくは85以上、b値は−10以上10以下、更に好ましくは−5以上5以下、特に好ましくは−1以上3以下であればトナー粒子の発色に悪影響を及ぼさずに使用することができる。
粉体色調のL値が70以下の場合には白色度が十分でないため、トナー粒子の発色に悪影響を及ぼす。b値が−10以下、もしくは10より大きい場合には彩度が高くなってしまい、トナー粒子と共に定着された際に色汚れを発生させてしまう。
因みに本発明における粉体色調の測定法は以下の通りである。
まず、上皿天秤で6gを測り取る。成形ダイス上に白紙を敷き、下記ステンレスリングを置きそこへ秤量した試料を入れ押さえ金具を乗せる。小型自動プレス機を用いてプレスし標準版により標準調整した下記色差計にてL値、b値を読み取る。
測色計(日本電色工業(株)製 Z−10018P又は同等以上の性能を有する測定器)
ステンレスリング(内径40mmφ、高さ18mm)
粒子に導電性を持たせるためには、基材粒子表面に導電性の被覆層を形成すればよい。特に、基材粒子表面に二酸化スズ層と該二酸化スズ層上に設けた二酸化スズと酸化インジウムからなる導電性被膜層を設けた構造とすることで、カーボンブラックと同等レベルの導電性付与効果を発揮させることができる。但し、基材表面に直接に二酸化スズと酸化インジウムからなる導電性被膜層を形成しても、基材粒子の電気的な影響もあって、良好な導電性が得られない場合がある。また、基材粒子上へ直接、二酸化スズの水和物と酸化インジウムの水和物の混合液を被覆させても、基材粒子表面に均一に被覆をさせることは難しく、品質の面で問題が発生する場合がある。
基材粒子表面を酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛や酸化ジルコニウム等の、コーティング材として一般的に使用されている材料にてコートした後に二酸化スズの水和物と酸化インジウムの水和物の混合液を基材粒子に被覆させると、均一な導電性被覆層を形成することができる。しかし、これらのコート材料を下層に用いても、そのコート材料の電気的影響から、良好な導電性を得られないことが多い。そこで、下層を形成するコート材料に二酸化スズを用いたところ、上層の二酸化スズ及び酸化インジウムを含む導電被覆層を均一かつ強固に固定化することができ、また、下層からの電気的な悪影響を受けることもなく良好な導電性を得ることができた。なお、下層には該粒子の効果を損ねない程度であれば、少量の酸化インジウム成分が混入していても問題ない。
色調に注目すると、酸化アルミニウム、酸化チタンは前述の色調条件を満たしやすい。
これらのことから、本発明による導電性微粒子の基材粒子には、酸化チタンが好ましく、特にルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。但し、本発明においては、酸化チタン以外にも、良好に効果を発揮するものについては導電性微粒子の基材として用いることが可能である。
本発明に適した導電性微粒子の、導電性被覆層の詳細な製造方法としては、以下のような態様が挙げられる。しかし、これは作成方法の一例であり、本発明の導電性微粒子の作成方法はこの方法に限定されるものではない。
下層の二酸化スズの水和物の被膜を形成させる方法としては、種々の方法があるが、例えば、白色無機顔料の水懸濁液に、スズ塩またはスズ酸塩の溶液を添加した後、アルカリまたは酸を添加する方法、スズ塩またはスズ塩酸とアルカリまたは酸とを別々に並行して添加し被覆処理する方法等がある。白色無機顔料粒子表面に酸化スズの含水物を均一に被覆処理するには、後者の並行添加の方法がより適しており、この時、水懸濁液を50〜100℃に加温保持することがより好ましい。又、スズ塩またはスズ酸塩とアルカリまたは酸とを並行添加する際のpHを2〜9とする。二酸化スズ水和物の等電点はpH=5.5であるので、好ましくはpH=2〜5あるいはpH6〜9を維持することが重要で、これによりスズの加水反応生成物を白色無機顔料粒子表面に均一に沈着させることができる。
スズ塩としては、例えば、塩化スズ、硫酸スズ、硝酸スズ等を使用することができる。また、スズ酸塩としては、例えば、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム等を使用することができる。
アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、アンモニアガス等、酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等を使用することができる。
下層における二酸化スズの水和物の被覆量は基材粒子に対して、SnO2として0.5〜50重量%であり、好ましくは1.5〜40重量%である。少な過ぎると、上に被覆する酸化スズを含む酸化インジウムの水和物の被覆状態が不均一となり、しかも、基材粒子の影響を受け、粉体の体積固有抵抗が高くなる。多過ぎると、基材粒子表面に密着していない酸化スズの水和物の量が多くなり、被覆が不均一になり易い。
次に、上層の二酸化スズを含む酸化インジウムの水和物の被覆を形成させる方法も種々の方法があるが、先に被覆した二酸化スズの水和物の被膜を溶解させないため、スズ塩及びインジウム塩の混合溶液とアルカリとを別々に並行して添加し被膜を形成させる方法がより好ましい。この時、水懸濁液を50〜100℃に加温することがより好ましい。また、混合溶液とアルカリとを並行添加する際のpHは2〜9とし、好ましくはpH2〜5あるいは、pH6〜9で維持することが重要で、これによりスズ及びインジウムの加水反応生成物を均一に沈着させることができる。
スズの原料としては、例えば、塩化スズ、硫酸スズ、硝酸スズ等を使用することができる。インジウムの原料としては、例えば、塩化インジウム、硫酸インジウム等を使用することができる。
上層における二酸化スズの水和物の被覆量は、In2O3に対してSnO2として0.1〜20重量%、好ましくは、2.5〜15重量%であり、少な過ぎても、多過ぎても所望の導電性が得られない。酸化インジウムの水和物の被覆量は基材粒子に対して、In2O3として5〜200重量%、好ましくは8〜150重量%であり、少な過ぎると所望の導電性が得られず、多過ぎても導電性はほとんど向上せず、また、高価になりコスト面からも好ましくない。
なお、本明細書において、「導電性」粉末とは、粉体の体積固有抵抗値として1〜500Ω・cmの値を有するものを意味する。後述する実施例においても示されるように、本発明により、アンチモン含有品と同程度の100Ω・cm以下、場合により10Ω・cm以下という非常に導電性に優れた白色導電性粉末を得ることができる。
加熱処理を行う際には、350〜750℃で非酸化性雰囲気にて行うことが好ましく、空気中で加熱処理したものと比べると粉体の体積固有抵抗を2〜3桁低くすることができる。非酸化性雰囲気とするためには、不活性ガスが使用できる。不活性ガスとしては例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等を使用することができる。工業的には、窒素ガスを吹き込みながら加熱処理を行うことがコスト的に有利であり、特性の安定したものが得られる。
加熱する際の温度は350〜750℃、好ましくは400〜700℃であり、この範囲より低い場合にも、高い場合にも、所望の導電性が得がたい。また、加熱時間は、短かすぎる場合には加熱効果がなく、長すぎてもそれ以上の効果が望めないことから、15分〜4時間程度が適当であり、好ましくは、1〜2時間程度である。
更に、導電性微粒子の粉体比抵抗が200 Ω・cmを超える場合には、該導電性微粒子の抵抗引き下げ能力は低く、キャリア粒子の抵抗値を適切な値にする為には、該導電性微粒子量は多く必要となる。この時キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が過多となるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加え、結着樹脂量に比べ導電性微粒子量が多過ぎるので、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、導電性微粒子が脱離し易くなるので、帯電量や抵抗等の変動量が増え十分な耐久性が得られず好ましくない。
図1は、本発明によるキャリア粒子の一実施形態を模式的に示している。図1に示すキャリア粒子は、磁性を有する芯材粒子26と、この芯材粒子26を被覆する樹脂被覆層27とを有してなり、この樹脂被覆層27は、結着樹脂28中に、少なくとも白色の導電性微粒子G3を含み、必要に応じて、第1及び第2の硬質粒子G1、G2を含み、さらに他の成分を含むことも可能である。
また、導電性微粒子G3は、図2に示すように、基材粒子G3aの表面に導電性被覆層G3bを形成してなる。導電性微粒子G3は、図3に示すように、基材粒子G3aの表面に二酸化スズを含有する下層G3b1と、その上に二酸化スズと酸化インジウムを含有する上層G3b2が積層されて形成されている。
また、第1の硬質粒子G1の全部又は一部に替えて導電性微粒子G3を用いてもよい。さらに、第2の硬質粒子G2の全部又は一部に替えて導電性微粒子G3を用いてもよい。勿論、第1及び第2の硬質粒子G1、G2がなく、導電性微粒子G3が存在するだけでも本発明の目的を達成することができる。
図4は、本実施形態で使用されるキャリア粒子の樹脂被覆層を示す説明図である。
本発明で使用されるキャリア粒子は、図4に示すように、第1粒子G1の粒径D1(μm)は、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みh(μm)に対し、次式1<(D1/h)<10の関係を満たすものが好ましく、1<(D1/h)<5の関係を満たすものがより好ましい。なお、樹脂被覆層27は白色の導電性微粒子(二酸化スズを含む下層と二酸化スズ及び酸化インジウムを含む上層とを少なくとも積層してなる、アスペクト比3〜200の針状あるいは棒状の微粒子)を含むが、図4ではこれは省略されている。
樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhは、芯材26表面に対して垂直方向に存在する膜の厚みを表すものであり、芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの厚みにおいて、粒子部分を除いた樹脂部分の平均厚みを示すものである。
図4に示すように、樹脂被覆層27における樹脂部分の厚みとしては、芯材26表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、各粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、粒子上に存在する樹脂部の厚みhcと、芯材26上に存在する樹脂部の厚みhdとがある。
樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア粒子の断面を観察して測定することができる。具体的には、キャリア粒子表面に沿って、0.2μm間隔で樹脂被覆層27における樹脂部分の厚み(芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みha、粒子間に存在する樹脂部の厚みhb、粒子上の樹脂部の厚みhc、及び芯材上の樹脂部の厚みhd)を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定し、50個の測定値を得て、この測定値を平均した値を樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhとする。
具体的な算出方法としては、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhの値は、上述の方法で得られた各測定値を合計し、得られた値を、測定値の個数で割った値である。この測定値の個数は、芯材26表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みha、粒子間に存在する樹脂部の厚みhb、粒子上の樹脂部の厚みhc、及び芯材26上の樹脂部の厚みhdをそれぞれ1つと捉えて数える。例えば、図4で示される測定点Aでは、前記hb及び前記hcが存在するので、測定点Aにおける測定値の個数は2つとなる。また、上述の測定方法において、50個ある測定値のうち、最後に測定した箇所において、樹脂被覆層27における樹脂部分の厚みの測定値として複数の測定値(例えば、前記ha及び前記hc)を得た場合には、上記測定値の合計値を、測定値の個数である「49+(最後の測定点における測定値の数)」の値で割った値を、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhの値とする。
第1粒子G1の粒径D1と被覆層27における樹脂部分の平均厚みhとが、上述の関係式を満たすと、キャリア粒子の樹脂被覆層27に対して第1粒子G1の方が凸となる。この凸部分によって、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌を行った時に、トナー粒子とキャリア粒子、又はキャリア粒子同士の摩擦接触によってキャリア粒子被覆層27の結着樹脂に与えられる強い衝撃を緩和することができる。これにより、帯電発生箇所である、キャリア粒子被覆層27の結着樹脂の膜削れが発生することを抑制することができる。
また、キャリア粒子同士が摩擦接触することによって、上述の樹脂被覆層27表面に対して凸となって存在する粒子が、キャリア粒子表面に付着したトナー粒子のスペント成分を掻き落とす、クリーニングの効果を得ることができる。これにより、トナースペントの現象が発生するのを効果的に防止することができる。
(D1/h)の値が1以下であると、第1粒子が結着樹脂中に埋没して、樹脂被覆層27中に添加された第1粒子G1の効果を十分に得ることができないことがある。また、(D1/h)の値が10以上であると、第1粒子G1と結着樹脂との接触面積が小さくなり、第1粒子G1のキャリア粒子に対する充分な拘束力が得られず、第1粒子G1がキャリア粒子表面から容易に脱離してしまうことがある。
樹脂被覆層27は、樹脂被覆層27に平均的に適度な強度を持たせるために第2の硬質微粒子(以下、第2粒子G2と示す。)を含有することが好ましく、第2粒子G2の粒径D2(μm)は、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みh(μm)に対し、0.001<(D2/h)<1を満たすものが好ましく、0.01<(D2/h)<0.5を満たすものがより好ましい。第2粒子G2の粒径D2を、樹脂被覆層27の平均厚みよりも小さくすることで、第2粒子G2を被覆層27中に分散させながら内包することができる。そのため、樹脂被覆層27の強度を平均的に向上させることができる。(D2/h)の値が1以上であると、第2粒子G2が樹脂被覆層27の厚みに対して大きすぎるため、分散して樹脂被覆層27の強度を平均的に向上させるという効果が発揮されにくくなる。また、(D2/h)が0.001以下であると、樹脂被覆層27厚みに対して第2粒子G2の粒径が小さ過ぎるため、効果が得られにくくなる。
因みに、第1硬質微粒子G1の粒径D1、第2硬質微粒子G2の粒径D2、導電性微粒子G3の粒径は、自動粒度分布測定装置CAPA−700(堀場製作所社製)にて体積平均粒径を測定する。測定の前処理として、ジューサーミキサーにアミノシラン(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)30mlにトルエン溶液300mlを入れる。この溶液に測定すべき試料6.0gを加え、ミキサー回転速度を低速にセットし3分間分散して分散液を調製する。1000mlビーカーに予め用意されたトルエン溶液500ml中に前記分散液を適量加えて希釈する。希釈液はホモジナイザーにて常に攪拌を続ける。この希釈溶液を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700によって次の測定条件で測定する。
測定条件
回転速度:2000rpm
最大粒度:2.0μm
最小粒度:0.1μm
粒度間隔:0.1μm
分散媒粘度:0.59mPa・s
分散媒密度:0.87g/cm3
また、第2粒子G2の体積固有抵抗値は、好ましくは1.0×1012Ω・cm以下、より好ましくは1.0×1010Ω・cm以下、更に好ましくは1.0×108Ω・cm以下である。第2粒子G2の体積固有抵抗を1.0×1012Ω・cm以下と低抵抗のものとすることによって、樹脂被覆層27の帯電付与能力を適切な低さに制御し、最終的に得られる画増の濃度を高めることができる。
本発明における導電性微粒子、第1粒子G1及び第2粒子G2の体積固有抵抗は、例えば、以下のようにして測定することができる。
内径1インチの円筒状塩化ビニル管の中に試料を入れ、その上下を電極で挟む。これら電極をプレス機により、15kg/cm2の圧力を1分加える。続いて、この加圧した状態で、LCRメータによる測定を行い、抵抗(r)を得る。得られた抵抗値を、下記数式(1)により計算して、体積固有抵抗を求めることができる。
体積固有抵抗(Ω・cm)=(2.54/2)2×(π/H)×r ・・・(1)
(但し、式(1)中、Hは試料の厚みを表す値であり、rは試料の抵抗値を表す値である。)
芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの平均厚みT(μm)は、0.1≦T≦3.0であることが好ましく、0.1≦T≦2.0であることがより好ましい。芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの平均厚みTが0.1μm以下であると、キャリア粒子芯材26を覆う膜としての樹脂被覆層27の総厚が薄すぎるため、ランニング経時において、樹脂被覆層27が削られてキャリア粒子芯材26が剥き出しになる現象が起こりやすくなり、キャリア粒子の耐久性が低下する。また、芯材26から樹脂被覆層27表面までの平均厚みTが3.0μmを超えると、芯材26表面に形成される膜厚が厚すぎるため、キャリア粒子の磁化が下がりやすくなり、キャリア粒子付着を生じさせることがある。
また、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みh(μm)は、0.04〜2μmが好ましく、0.04〜1μmがより好ましい。第1粒子G1の体積平均粒子径D1は、0.05〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。第2粒子G2の粒径D2は、0.005〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。
なお、芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの厚みTは、図4に示すように、上述した、樹脂被覆層27における樹脂部分の平均厚みhとは異なる厚みを表しており、キャリア粒子表面の各地点における芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの厚みを示すものである。図1に示すように、樹脂被覆層27中に添加された粒子の粒径が、樹脂被覆層27における樹脂部分の厚みよりも大きい場合には、この粒子の粒径が、芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの厚みTに相当する値となる。
芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの平均厚みTは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてキャリア粒子粒子断面を観察し、芯材26表面から樹脂被覆層27表面までの厚みを、キャリア粒子表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、これらの測定値を平均して得られる値である。
第1粒子G1としては、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子などが挙げられ、これらの中でも、アルミナ粒子は、キャリア粒子の被覆材料に用いられる結着樹脂との相性も良く、分散性、接着性の面でも優れているだけではなく、硬度が非常に高いので、現像装置10内でのストレスに対し、磨耗、割れが生じ難く、長期にわたって樹脂被覆層の保護効果、スペント物掻き取り効果を発揮できるので特に好ましい。
アルミナ粒子としては、粒径5μm以下のアルミナ粒子が好ましく、表面処理をしていないもの、疎水化処理などの表面処理したもの等、全てを用いることができる。シリカとしては、トナー粒子用に用いられているもの、及びそれ以外のものも用いることができ、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの等全てを用いることができる。また、前記導電性微粒子を、第1粒子G1として用いてもよい。
樹脂被覆層27中に含まれる第1粒子G1の含有量は10〜80wt%であることが好ましく、20〜60wt%がより好ましい。第1粒子G1の樹脂被覆層27における含有量が10wt%以下であると、キャリア粒子粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子G1の占める割合が少なすぎるため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られないことがある。一方、80wt%を超えると、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子G1の占める割合が多すぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できないことがある。更に、結着樹脂量に比べて第1粒子G1の量が多すぎるので、結着樹脂による第1粒子G1の保持能力が不十分となり、第1粒子G1が脱離し易くなり、帯電量や抵抗等の変動量が増加して、十分な耐久性が得られないことがある。
ここで、第1粒子G1の樹脂被覆層27における含有量は、下記式(2)で表される。
第1粒子G1の含有量(wt%)=[第1粒子G1の含有量/樹脂被覆層27に含まれる材料の総量(導電性微粒子G3+第1粒子G1+第2粒子G2+結着樹脂+その他の成分)]×100 (2)
第2粒子G2としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子が好適に用いられる。これらの粒子は、適度な硬度を持ち、且つ、キャリア粒子のコート材料に用いられる樹脂との相性もよく、分散性、接着性の面でも優れており、特に酸化チタンや表面処理を施した酸化チタンは第2粒子G2として好ましい。
また、粒子母体として上記以外のものを使用した場合でも、粒子表面に疎水化処理等の表面処理を施すことで分散性を向上させたり、導電性処理等の表面処理を施すことで粒径及び体積固有抵抗を上述した範囲内にさせたりしたものであれば、上述したのと同様の理由から、良好な効果を得ることができる。また、前記導電性微粒子を、第2粒子G2として用いてもよい。
樹脂被覆層27に含まれる第2粒子G2の含有量は、2〜50wt%であることが好ましく、2〜30wt%であることがより好ましい。樹脂被覆層27における第2粒子G2の含有量が多いほど、強度を高める効果は大きいが、第2粒子G2の含有量が50wt%を超えると、樹脂被覆層27内部における第2粒子G2の分散状態が大幅に悪化する。粒子の分散状態が悪化すると、樹脂被覆層27内部で第2粒子G2の一部が互いに凝集してしまうため、第2粒子G2の効果が平均的には発揮されにくくなる。一方、第2粒子G2の樹脂被覆層27における含有量が2wt%以下であると、含有量が少なすぎるために、第2粒子G2を添加した効果を十分に得ることができない。
第2粒子G2の樹脂被覆層27における含有量は、下記式(3)によって表される。
第2粒子G2の含有量(wt%)=[第2粒子G2の含有量/樹脂被覆層27に含まれる材料の総量(導電性微粒子G3+第1粒子G1+第2粒子G2+結着樹脂+その他の成分)]×100 (3)
キャリア粒子の樹脂被覆層27に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物、及びシリコーン樹脂のいずれかが好適に挙げられる。アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル樹脂とアミノ樹脂との架橋反応物が好適である。
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、全てのアクリル樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)は20〜100℃が好ましく、25〜80℃がより好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)がこの範囲内であると、アクリル樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナー粒子とキャリア粒子との摩擦あるいはキャリア粒子同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、被覆層を破損することなく維持することが可能となる。ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であると、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないことがある。一方、ガラス転移温度(Tg)が100℃を超えると、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎて衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなることがある。
また、アミノ樹脂としては、特に制限はなく、従来から知られているアミノ樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力を著しく向上させることができる。
シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などで変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。前記シリコーン樹脂は、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410、等が挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。なお、シリコーン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
キャリア粒子の被覆層27に用いられる結着樹脂としては、上述の樹脂以外にも、必要に応じてキャリア粒子用被覆樹脂として一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂被覆層27は、例えば、第1粒子G1、第2粒子G2、導電性微粒子G3、結着樹脂等を溶剤に溶解または分散させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を芯材26の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、転動流動層法、スプレー法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、ブチルセロソルブなどが挙げられる。前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
本実施形態において使用されるキャリア粒子の芯材26の体積平均粒径は、特に制限するものではないが、像担持体1へのキャリア粒子付着、キャリア粒子飛散防止の点から、体積平均粒径が20μm以上であるものが好ましく、キャリア粒子スジ等の異常画像発生を防止して、画像品質の低下を防止する観点から、100μm以下のものが好ましく、特に、20〜60μmのものを用いることで、近年の高画質化に対して、より好適に応えることができる。
芯材粒子26としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリア粒子として公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への影響を配慮し、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等を用いることが好適である。
具体的には、MFL−35S、MFL−35HS(パウダーテック社製)、DFC−400M、DFC−410M、SM−350NV(DOWAエレクトロニクス社製)が好適な例として挙げられる。
本発明のキャリア粒子において、その抵抗率は、好ましくは1×1011〜1×1016[Ω・cm]、より好ましくは1×1012〜1×1014[Ω・cm]である。キャリア粒子粒子の抵抗率が1×1011[Ω・cm]よりも低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリア粒子に電荷が誘導されてキャリア粒子付着が発生し易くなる。感光体の線速度、および、現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見られる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著である。通常、カラートナー現像用キャリア粒子は充分なトナー付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一般的である。上記の抵抗率範囲のキャリア粒子は、適正なトナー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度が得られる。また、抵抗率が1×1016[Ω・cm]より大きいとトナー粒子と反対極性の電荷が溜まりやすくなり、キャリア粒子が帯電してキャリア粒子付着が起き易くなる。
上記キャリア粒子の抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
図5に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極12a、12bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル11にキャリア粒子13を充填し、両極間に100Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定する。キャリア粒子の抵抗測定際の充填の度合いは、キャリア粒子13をセル11にあふれるまで入れたのち、セル全体を20回タッピングしたのち、セル11の上面を非磁性でできた水平なへらを用いてセル11の上端に沿って一回の操作で平らにかきとる。充填の際に加圧は不要である。なお、上記キャリア粒子13の抵抗率の調整は、導電性微粒子の量や樹脂被覆層の膜厚の制御等によって可能である。
本発明による現像剤は、本発明による前述のキャリア粒子と、トナー粒子を使用することで作製できる。
本発明において用いられるトナー粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含んで構成され、更に離型剤、帯電制御剤、またこれらの他に、必要に応じてその他の成分を含んでなる。以下にトナー粒子の製造方法について記述するが、トナー粒子の製造方法としては、特に一つのものに限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、粉砕法、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させトナー粒子母体粒子を形成させる、懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等が挙げられる。
本発明において用いられるトナー粒子の結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独あるいは混合して使用できる。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。着色剤のトナー粒子における含有量は1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。融点が、40℃以下であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps以下であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
離型剤の前記トナー粒子における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
前記含有量が、40重量%を超えると、トナー粒子の流動性が悪化することがある。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて正又は負の荷電制御剤を適宜選択して用いることができる。負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体、などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(以上、オリエント化学工業社製))、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(以上、日本化薬社製))、アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(以上、保土谷化学工業社製)、FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(以上、藤倉化成社製)、などが挙げられる。
正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩等を用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(以上、オリエント化学工業社製)、TP−302、TP−415、TP−4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(以上、ヘキスト社製)、FCA(品番:201、201−B−1、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(以上、藤倉化成社製)、PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(以上、四国化成工業社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー粒子製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。前記添加量が10重量部を超えると、トナー粒子の帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.1重量部以下であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
トナー粒子材料には、結着樹脂、離型剤、着色剤、及び帯電制御剤の他に、必要に応じて無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等を添加することができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を用いることができ、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンを用いることがより好ましい。
前記シリカ微粒子としては、例えば、アエロジル(品番:130、200V、200CF、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200)(以上、日本アエロジル社製)、HDK(品番:H20、H2000、H3004、H2000/4、H2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(以上、ワッカーケミカル社製)、カボジル(品番:L−90、LM−130、LM−150、M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530)(以上、キャボット社製)等を用いることができる。無機微粒子の添加量としては、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましく、0.5〜3.2重量部がより好ましい。
本発明におけるトナー粒子の製造方法としては、前述のとおり特に限定するものではないが、粉砕法の製造方法として、以下を例示する。
前記のトナー粒子材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー粒子を製造する。
また、トナー粒子の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。次いで、粗大粒子、凝集粒子の除去を目的に、篩を通過させることでトナー粒子を得ることができる。
本発明においては、感光体表面に形成された静電潜像をトナー像化する現像装置内に収容される現像剤中のキャリア粒子の重量比率は、85wt%以上98wt%以下であることが好ましい。85wt%以下であると現像装置からのトナー粒子の飛散が発生しやすくなり、不良画像の原因となる。98wt%以上であると、トナー粒子の帯電量が過度に上昇したり、トナー粒子の供給量が不足したりするため、画像濃度が低下し、不良画像の原因となる。
本発明においては、後述するように、現像装置に補給用現像剤を収納した現像剤収容器をパイプ等で連結し、現像装置内に新たなキャリア粒子やトナー粒子を補給可能としている。そして、現像剤収容器内に、芯材粒子26表面を被覆する樹脂被覆層27中に、アスペクト比が3〜200の針状あるいは棒状の基材粒子G3aを基材とし、基材粒子表面に二酸化スズを含有する下層、上層が二酸化スズと酸化インジウムを含有する上層と積層して形成された導電性被覆層G3bを設けた導電性微粒子G3を結着樹脂層27に含む、前述したキャリア粒子(図1〜図3参照)とトナー粒子からなる補給用現像剤が収容されている。
後述するように、現像装置内の現像剤収容部内に補給されたトナー粒子とキャリア粒子粒子は、搬送スクリューによって、初期から収容されているトナー粒子とキャリア粒子と共に混合される。トナー粒子とキャリア粒子、あるいはキャリア粒子同士が互いに強く接触するため、この部位では摩擦によってキャリア粒子表面の樹脂被覆層中に含まれる原材料、あるいは樹脂被覆層そのものの遊離が特に発生しやすい。
上記補給用現像剤を収容した現像剤収容器は、着脱可能な補給用現像剤カートリッジとして使用することも可能であり、その場合、トナー粒子とキャリア粒子が接触した状態で保管されることになる。長期間トナー粒子とキャリア粒子が接触した状態でいると、それだけトナー粒子へキャリア粒子表面の樹脂被覆層中に含まれる原材料、あるいは樹脂被覆層そのものが移ってしまうリスクが高くなってしまう。
また、樹脂被覆層27が芯剤粒子26から脱離した場合に最も色汚れの原因として懸念されるのは導電性微粒子G3である。また、導電性微粒子G3の樹脂被覆層27からの脱離は、キャリア粒子の電気抵抗に大きな悪影響を及ぼす。しかし、本発明による現像剤に含まれるキャリア粒子は、導電性微粒子G3の形状をアスペクト比を3〜200の針状あるいは棒状にすることで、樹脂被覆層27からの脱離を非常にしにくいものにすることが可能となる。
また、樹脂被覆層27ごと遊離した場合でも、抵抗制御剤として白色の導電性微粒子G3を用いているため、色汚れの発生を抑制することができる。
更に、好適な例として前述した、D1が1<(D1/h)<10を満たす場合や、更にD2が0.001<(D2/h)<1の関係を満たす場合は、第1粒子G1の一部が、樹脂被覆層27に対して凸となって存在しているため、上述したように、攪拌混合の際に樹脂被覆層27に対してトナー粒子や他のキャリア粒子が接触しても、この樹脂被覆層27表面の凸部によって、その衝撃が緩和される。このため、キャリア粒子表面の膜削れが発生する割合を、大きく抑えることができる。
更に、攪拌時においてキャリア粒子表面に付着したトナー粒子のスペント成分が、凸となって存在する第1粒子によって掻き落とされるため、トナースペントの発生が防止される。また更に、第2粒子G2によって被覆層の強度が高くなっており、膜削れ自体が発生しにくい。そのため、現像剤収容部14内の現像剤は、より安定した帯電制御効果を長く維持することができる。
つまり、本発明者は、上記のような現像方法に特有の色汚れの問題に着目して鋭意研究を行い、その結果、導電性微粒子の形状をアスペクト比を3〜200の針状あるいは棒状にすることで、樹脂被覆層からの脱離を非常にしにくいものにすることができると共に、樹脂被覆層ごと遊離した場合でも、抵抗制御剤として白色の導電性微粒子を用いているため、色汚れが発生しないことから、トナー粒子とキャリア粒子を現像装置に補給するとともに現像装置内で余剰となった現像剤を排出しながら行う現像方法においても色汚れの発生を抑えることができる。また、導電性の付与については、下層が二酸化スズの層、上層が二酸化スズを含む酸化インジウムの層によって構成された導電性被覆層を設けた導電性微粒子を用いることで、色と導電性の両立が可能であるということを確認した。
樹脂被覆層に含まれる導電性微粒子(G3)の含有量は、2〜80重量%、好ましくは10〜50重量%である。2重量%未満であると導電性が不十分となり、抵抗制御が難しくなり、また80重量%を超すと、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、導電性微粒子(G3)の占める割合が多すぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、帯電能力を十分に発揮できなくなる恐れがある。また、前述のように、キャリアの抵抗率は1×1011〜1×1016[Ω・cm]、より好ましくは1×1012〜1×1014[Ω・cm]が好適な範囲である。導電性微粒子の含有量はキャリアの抵抗率を変化させるため、キャリアの抵抗率を上記範囲内で調整できるように処方量を設定することが好ましい。なお、樹脂被覆層に含まれる導電性微粒子(G3)の含有量は、下記式(4)で表される。
導電性微粒子G3の含有量(wt%)=[導電性微粒子G3の含有量/被覆層27に含まれる材料の総量(導電性微粒子G3+第1粒子G1+第2粒子G2+結着樹脂+その他の成分)]×100 (4)
本発明による現像装置では、劣化したキャリア粒子の大半は、現像剤排出装置によって排出される。しかし、劣化したキャリア粒子の一部は、長期にわたって現像装置内の現像剤収容部内に残留する可能性もゼロではなく、また、画像形成装置の作動の際に、トナー粒子の消費量が少ない場合には、現像装置内の現像剤収容部におけるキャリア粒子の交換量が少なく、キャリア粒子が現像剤収容部内に滞留する期間が長くなる場合がある。本発明による実施形態では、現像装置外の現像剤収容器内の補給用現像剤が補給される前から、現像装置内の現像剤収容部内に収容されている現像装置内現像剤にも、補給用現像剤に使用したキャリア粒子と同一キャリア粒子が使用されている。このため、現像剤の交換量が低い場合や、初期から収容されているキャリア粒子の一部が現像剤収容部から排出されずに残留した場合にも、上述したのと同様の機構によって、現像剤収容部内におけるキャリア粒子の劣化が抑えられて、長期間の使用後においても、現像剤の帯電性が安定した状態を保つことができる。
次に、本発明によるキャリア粒子とトナーを混合した現像剤を使用して画像形成する場合について説明する。図6は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
本実施形態に係る画像形成装置本体100内には、4個の像担持体である感光体1M、1C、1Y、1Kを有するプロセスカートリッジたる画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kを、画像形成装置100に対してそれぞれ着脱可能に装着している。画像形成装置100の略中央に無端状の転写ベルト15を複数のローラ間に矢示A方向に回動可能に装着した転写装置8を配置している。
その転写ベルト15の下側の面に、画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kにそれぞれ設けられているドラム状の感光体1M、1C、1Y、1Kが接触するように配置している。そして、その画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kに対応させて、それぞれ使用するトナー粒子の色が異なる現像装置10M、10C、10Y、10Kを配置している。画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kは、同一の構成をしたユニットであり、画像形成ユニット2Mはマゼンタ色に対応する画像を形成し、画像形成ユニット2Cはシアン色に対応する画像を形成し、画像形成ユニット2Yはイエロー色に対応する画像を形成し、画像形成ユニット2Kはブラック色に対応する画像を形成する。
画像形成ユニット2M、2C、2Y、2K内にそれぞれ配置されている現像装置10M、10C、10Y、10Kでは、トナー粒子とキャリア粒子とを含む二成分系現像剤が用いられ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのトナー粒子とキャリア粒子とが混合されたそれぞれの色の現像剤を、現像剤補給装置200M、200C、200Y、200Kから、現像装置10M、10C、10Y、10Kに備えられる図示を省略したトナー濃度センサの出力に応じてトナー補給を行うとともに、キャリア粒子も補給して古い現像剤を排出し、現像剤を交換することが可能な現像方式が採用されている。
画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kの上方空間に配置された現像剤補給装置200M、200C、200Y、200Kは、感光体1M、1C、1Y、1Kに供給されようとしているトナー粒子とは別の、新規なトナー粒子と新規なキャリア粒子を現像装置10M、10C、10Y、10Kに補給するための構成であり、その構成については後述する。
また、その画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kの下方には書込みユニットとしての露光装置6を配置している。露光装置6は、各色毎に用意されたレーザダイオード(LD)方式の4つの光源と、6面のポリゴンミラーとポリゴンモータから構成される1組のポリゴンスキャナと、各光源の航路に配置されたfθレンズ、長尺シリンドルカルレンズ等のレンズやミラーから構成されている。レーザダイオードから射出されたレーザ光はポリゴンスキャナにより偏向走査されて、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色画像に対応するそれぞれの感光体1M、1C、1Y、1K上に照射される。
転写ベルト15と現像剤補給装置200との間には、画像が転写された転写紙の画像を定着する定着装置9が設けられている。その定着装置9の転写紙Pの搬送方向下流側には、排紙路51を形成し、そこに搬送した転写紙Pを排紙ローラ対52により排紙トレイ53上に排出可能にしている。また、画像形成装置100の下部には、転写紙を収納可能な給紙カセット7を配設している。
次に、この画像形成装置100の画像形成における動作について説明する。画像形成の動作を開始させると、各感光体1M、1C、1Y、1Kが図6で時計回り方向にそれぞれ回転する。そして、その各感光体1M、1C、1Y、1Kの表面がそれぞれの帯電ユニット3の帯電ローラ301により一様に帯電される。そして、画像形成ユニット2Mの感光体1Mには、露光装置6によりマゼンタの画像に対応するレーザ光が、画像形成ユニット2Cの感光体1Cにはシアンの画像に対応するレーザ光が、画像形成ユニット2Yの感光体1Yにはイエローの画像に対応するレーザ光が、さらに画像形成ユニット2Kの感光体1Kにはブラックの画像に対応するレーザ光がそれぞれ照射され、各色の画像データに対応した静電潜像がそれぞれ形成される。各潜像は、感光体1M、1C、1Y、1Kが回転することにより現像装置10M、10C、10Y、10Kの位置に達すると、そこでマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各トナー粒子により現像されて、4色のトナー粒子像となる。このように、感光体1M、1C、1Y、1K上に形成されたそれぞれの色のトナー像は、それぞれの一次転写ローラ4からのバイアス電圧を受けて転写ベルト15上に順次重ねられて転写される。
一方、給紙カセット7から転写紙Pが分離給紙部により給紙され、それが転写ベルト15の直前に設けられているレジストローラ対55により、各感光体1M、1C、1Y、1K上に形成されているトナー像と一致するタイミングで搬送される。転写紙Pには、転写ベルト15の入口付近に配設している2次転写ローラ54によりバイアス電圧が印加されて、転写ベルト15の表面に転写された4色重ね合わせのフルカラーのトナー画像が転写される。そして、その転写紙Pは、定着装置9で熱と圧力が加えられることによりトナー像が溶融定着され、その後は排紙系を通って、画像形成装置1上部の排紙トレイ53に排紙される。
次に、本発明による一実施形態の現像装置10周辺の構成について説明する。図7は、本発明の画像形成装置に備えられる一実施形態の現像装置とその周辺の構造を示す概略断面図である。図7において、現像装置10の上方には、現像装置10の現像剤収容部14a内に新規なトナー粒子とキャリア粒子からなる現像剤を補給する現像剤補給装置200が備えられており、現像装置10の下方には、現像装置10内で過剰となった現像剤を排出する現像剤排出装置300が備えられている。
現像装置10は、トナー粒子とキャリア粒子とからなる二成分現像剤Sを収容する現像剤収容部14を有するハウジング10aと、このハウジング10aの開口部側に像担持体としての感光体1と近接した状態で回転するように配設される現像剤担持搬送体としての現像ロール16と、現像剤収容部14内で回転するように配設される現像剤攪拌搬送部材としての2つの搬送スクリュー17a、17bと、現像ローラ16の表面に圧接又は近接した状態で配設される層厚規制部材18とでその主要部が構成されている。
このうち、現像ローラ16は、内部に固定されたマグネットロール120を備えた回転駆動する円筒状のスリーブ121である。また、現像剤収容部14は、中央側の隔壁14cにより2分され、両端側の連通部により連通された収容空間14a、14bからなり、その各収容空間14a、14bで回転する搬送スクリュー17a、17bにより現像剤Sが攪拌されながら収容空間14aと14bとの間を循環搬送されるようになっている。層厚規制部材18は、非磁性部材と磁性部材の二重構造からなり、その先端がマグネットロール120の所定の磁極に対向するように配設されている。
現像剤補給装置200は、補給用の二成分現像剤S1を収容する現像剤収容器230と、現像剤収容器230内の二成分現像剤S1を現像剤収容部14に送り出して供給する現像剤補給器220とから構成されている。現像剤補給器220は、現像剤収容器230と現像装置10との間に、それぞれに接続して備えられている。現像剤補給装置200の詳細な構成については、後に図8〜図12を用いて説明する。
現像剤排出装置300は、現像剤収容部4内で過剰になった二成分現像剤を回収する回収容器330と、過剰になって現像剤収容部14から溢れ出る現像剤Sを回収容器330に送る現像剤排出手段としての排出パイプ331とで構成されている。排出パイプ331は、その上部開口331aが現像剤収容部14内の所定高さに位置するように配設されており、その所定高さにある上部開口331aを乗り越える分の現像剤を排出するようになっている。なお、本発明の現像剤排出装置としては、上記の構成に限られるものではなく、例えばハウジング10aの所定の箇所に現像剤排出口を開設し、排出パイプ331の代わりに、現像剤排出口の近傍に現像剤排出手段としての排出スクリュー等の搬送部材を設置して、現像剤排出口から排出された現像剤を回収容器330に搬送することとしてもよい。また、本実施形態の排出パイプ331の端部又は内部に、この排出スクリューを備えることも可能である。
次に、現像装置の現像動作について、図8を参照して説明する。
まず、現像剤収容部14内に予め収容されている現像装置内現像剤Sが、搬送スクリュー17a、17bより攪拌されて十分に混合されるとともに摩擦帯電された後、現像ローラ16に供給されて、そのスリーブ121表面に層状に付着する。この現像ローラ16に付着する層状の現像剤Sは、層厚規制部材18により所定の厚さに規制されて均一な層にされた後、スリーブ121の回転に伴って感光体1と対向する現像領域Dに搬送される。そして、この現像領域Dにおいて、画像形成装置本体100(図6参照。)側で原稿の画像に応じて感光体1上に形成された静電潜像に二成分現像剤Sのトナー粒子が静電吸着して現像が行われ、感光体1上にトナー像が形成される。感光体1上に形成されたトナー像は、画像形成装置本体100側において転写紙P上に転写され、定着装置9により転写紙P上に定着される。
この現像動作が繰り返されることにより、現像剤収容部14内の現像装置内現像剤Sに含まれるトナー粒子が消費されて徐々に減るが、このトナー粒子の減量が、前記したトナー濃度センサにより検知されると、現像剤補給装置200の現像剤補給器223が駆動する。これにより、現像剤収容器230の現像剤収容部材231内部に収容されている、下記詳述するキャリア粒子とトナー粒子とを含んだ補給用現像剤S1が補給される。現像剤収容部14内に補給された新たな二成分現像剤S1は、現像剤収容部14内で搬送スクリュー17a、17bにより攪拌され、補給前から収容されている現像装置内現像剤Sと十分に混合される。
現像剤収容部14内には、現像剤補給装置200からの補給用現像剤S1の補給により、トナー粒子と共にキャリア粒子も所定の割合で補給されるため、現像剤収容部14内の現像剤量は次第に過剰となる。現像剤収容部14内で過剰になった二成分現像剤Sは、収容部14の規制高さを越えて溢れ出し現像剤排出装置300の排出パイプ331を通して回収容器330内に収容される。
本発明の補給用現像剤S1とは、少なくともトナー粒子とキャリア粒子とを含む物である。現像剤収容器230に収容されている、補給用現像剤のトナー粒子としては後述のトナー粒子が使用可能であり、そのキャリア粒子としては、図1に示すように、芯材26に所定の粒子を有してなる被覆層27を形成した、磁性のキャリア粒子が使用可能である。
また、現像装置内現像剤Sのトナー粒子としては、現像剤収容器230に収容されているトナー粒子と同じものでも、異なるトナー粒子でも使用することができ、また、キャリア粒子としても、現像剤収容器230に収容されているキャリア粒子と同じものでも、異なるキャリア粒子でも使用することができる。
本実施形態の画像形成装置100は、形状が容易に変形する現像剤収納部材231に補給用現像剤S1を充填させ、スクリューポンプ223によってこの補給用現像剤を吸引して、現像装置10に供給する現像剤補給装置200を備えている。
以下に、図8〜図12を参照して、現像剤補給装置200の構成を詳細に説明する。
図8は、本発明で使用される一実施形態の現像剤補給装置200の概略構成図である。現像剤補給装置200に備えられた現像剤収容器230の内部には、減容可能な袋状部材としての現像剤収納部材231が備えられている。現像装置10の現像剤収容部14に補給される新規な補給用現像剤S1は、現像剤収納部材231内部に収容されている。現像剤収納部材231は、この現像剤S1が現像剤収容部14に補給されることによる内部の圧力の減少に伴って減容する。
現像剤補給器220は、ハウジング10aの所定箇所に開設された補給口10bの上端に連結して備えられたスクリューポンプ223と、スクリューポンプ223に接続して備えられたノズル240と、ノズル240に接続して備えられた空気供給手段260とを備えており、現像剤収容部14に設置されるトナー濃度センサ(図示無し)等の検知信号に応じて駆動し、適量の現像剤を現像剤収容器230から現像剤収容部14に供給する。
スクリューポンプ223とノズル240の間には、このスクリューポンプ223に連通される現像剤搬送通路としての搬送チューブ221を有している。この搬送チューブ221は、好ましくは、フレキシブルで耐トナー性に優れたポリウレタン、ニトリル、EPDM等のゴム材料で形成されたものを利用する。また、現像剤補給装置200は、現像剤収納容器としての現像剤収容器230を支持するための容器ホルダ222を有しており、この容器ホルダ222は樹脂等の剛性の高い材料で形成されている。
現像剤収容器230は、柔軟なシート材で形成される袋状部材としての現像剤収納部材231と、現像剤排出口を形成する排出口形成部材としての口金部232を有している。現像剤収容部材231の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好適に用いられる。例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂が好適に挙げられる。
また、口金部232には、スポンジ、ゴム等で形成されるシール材233が設けられており、このシール材233には十字型の切り込みが設けられている。そして、この切り込みに現像剤補給器220のノズル240を通すことで、現像剤収容器230と現像剤補給器220が連通し固定される。本実施形態では、口金部232が、現像剤収容器230の下方に備えられている。ここで、口金部232が下方に備えられている状態とは、現像剤収容器230が現像剤補給装置200に配設された状態において、口金部232が、現像剤収容器230における下方向きの鉛直成分を含んだ位置に備えられていることを表している。なお、口金部232が、現像剤収容器本体に備えられる位置としては、これに限られるものではなく、現像剤収容器230が現像剤補給装置200に配設された状態において、現像剤収容器230本体の水平方向に備えられてもよく、また、斜め方向に備えられることとしてもよい。
現像剤収容器230は、トナー粒子の消耗に応じて順次新しい物と交換されるが、本実施形態の現像剤収容器230は、上述した構成を備えることで、その着脱を容易に行うことが可能であり、また、交換時や使用時におけるトナー漏れを防止することが可能である。なお、現像剤収容部材231としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
現像剤収容部材231の形状としては、例えば、上述した円筒状等のものを好ましく用いることができ、また、その内周面には、スパイラル状の凹凸が形成されていることが好ましい。このような凹凸が形成されていることで、現像剤収容器230を回転させることによって、収容部材231内部に収容されているトナー粒子を、排出口側に円滑に移行させることができる。また更に、上記スパイラル部の一部又は全部が、蛇腹機能を有しているものを用いることが、特に好ましい。本実施形態の現像剤収容器230は、画像形成装置100の現像剤補給装置200への着脱が容易であり、また、保存や、搬送に適していて、取扱性に優れている。
図9(a)は、現像剤補給器220に設けられるノズル240の概略構成を示す外観図であり、図9(b)は、その軸方向断面図であり、図9(c)は、図9(b)中符号A−Aの断面図である。このノズル240は、図9(b)に示すように、内管241とその内管241を内部に収容する外管242とからなる2重管構造を有している。内管241の内部は、現像剤収容器230内の現像剤を排出するための現像剤搬送通路としての現像剤流路241aとなっている。現像剤収容器230内のトナー粒子は、スクリューポンプ223による吸引力により、吸引され、現像剤流路241aを通ってスクリューポンプ223内に引き込まれることになる。
図10は、スクリューポンプ223の概略構成を示す断面図である。このスクリューポンプ223は、一軸偏芯スクリューポンプと呼ばれるもので、内部にロータ224及びステータ225を備えている。ロータ224は、円形断面が螺旋状に捻れた形状を有し、硬い材質で形成されており、ステータ225の内部に嵌合される。一方、ステータ225は、ゴム状の柔軟な材料で形成され、長円形断面が螺旋状に捻れた形状の穴を有しており、この穴にロータ224が嵌合される。また、ステータ225の螺旋のピッチは、ロータ224の螺旋のピッチの2倍の長さに形成されている。また、ロータ224は、ユニバーサルジョイント227及び軸受228を介して、ロータ224を回転駆動させるための駆動モータ226に接続されている。
この構成において、現像剤収容器230からノズル240の現像剤流路241a及び搬送チューブ221を通って搬送されてきたトナー粒子及びキャリア粒子は、スクリューポンプ223のトナー吸引口223aから内部に入り込む。そして、ロータ224とステータ225の間に形成されるスペースに入り込み、ロータ224の回転に伴って、図10中右側方向に吸引搬送される。そして、ロータ224とステータ225の間のスペースを通過したトナー粒子は、トナー落下口223bから下方に落下し、現像装置10の現像剤補給口10bを介して、現像装置10の現像剤収容部14内に供給される。
また、本実施形態で使用される現像剤補給器220は、現像剤収容器230内に空気を供給する空気供給手段260を備えている。図8に示すように、各エア流路244a、244bは、それぞれ、気体供給通路としてのエア供給路261a、261bを介して、別個の空気供給手段としてのエアポンプ260a、260bに接続されている。エア流路244a、244bは、図9(b)に示すように、現像剤補給器220のノズル240の内管241と外管242との間に、空気供給通路として設けられているものであり、このエア流路244a、244bは、図9(c)に示すように、互いに独立した断面半円状の2つの流路244a、244bから構成されている。
また、エアポンプ260a、260bとしては、通常のダイアフラム型のエアポンプを利用することができる。これらエアポンプ260a、260bから送り出される空気は、それぞれ、エア流路244a、244bを通って、各エア流路の気体供給口としてのエア供給口246a、246bからトナー収容器230内に供給される。各エア供給口246a、246bは、トナー流路241aの現像剤排出口としてのトナー流出口247の図中下方に位置している。これにより、各エア供給口246a、246bから供給される空気は、トナー流出口247付近のトナー粒子に対して供給されることになり、使用されないまま長期間放置されてトナー流出口247にトナー粒子が詰まった状態になったとしても、そのトナー流出口247を塞いでいるトナー粒子を崩すことができる。
また、エア供給路261a、261bには、図示省略した気体送出制御手段としての制御部からの制御信号により、開閉動作する閉塞手段としての開閉弁262a、262bが設けられている。開閉弁262a、262bは、制御部からON信号を受け取ると弁を開けて空気を通過させ、制御部からOFF信号を受け取ると弁を閉めて空気の通過を阻止するように動作する。
次に、本実施形態における現像剤補給器220の動作について図8を用いて説明する。上記制御部は、現像装置10からトナー濃度が不足した旨の信号を受け取ることで、現像剤補給動作を開始する。この現像剤補給動作では、まず、エアポンプ260a、260bをそれぞれ駆動させ、現像剤収容器230内に空気を供給するとともに、スクリューポンプ223の駆動モータ226を駆動させて、現像剤の吸引搬送を行う。エアポンプ260a、260bから空気が送り出されると、その空気は、エア供給路261a、261bからノズル240のエア流路244a、244bに入り込み、エア供給口246a、246bから現像剤収容器230内に供給される。この空気によって、現像剤収容器230内の現像剤は、攪拌されて、空気を多く内包した状態となり、流動化が促進される。
また、現像剤収容器230内に空気が供給されると、現像剤収容器230内の内圧が高まることになる。従って、現像剤収容器230の内圧と外圧(大気圧)との間に圧力差が生じ、流動化した現像剤には、圧力の引く方向へ移動する力が働く。これにより、現像剤収容器230内の現像剤は、圧力の引く方向すなわち現像剤流出口247から流出することになる。本実施形態では、スクリューポンプ223による吸引力も作用して、現像剤収容器230内の現像剤が現像剤流出口247から流出する。
上述のようにして、現像剤収容器230から流出した現像剤は、現像剤流出口247からノズル240の現像剤流路241aを通り、搬送チューブ221を介してスクリューポンプ223内に移動する。そして、スクリューポンプ223内を移動した後、現像剤落下口223bから下方に落下し、現像剤補給口10bから現像装置10内に現像剤が補給される。一定量の現像剤補給が完了したら、制御部は、エアポンプ260a、260b及び駆動モータ226の駆動を停止させ、かつ、開閉弁262a、262bを閉じ、トナー補給動作を終了する。このように、トナー補給動作終了時に開閉弁262a、262bを閉じることで、トナー収容器230内のトナー粒子がノズル240のエア供給路244a、244bを通ってエアポンプ260a、260b側に逆流するのを防止している。
また、エアポンプ260a、260bから供給される空気の供給量は、スクリューポンプ223によるトナー粒子及び空気の吸引量よりも少なく設定されている。よって、トナー粒子を消費するにつれて、現像剤収容器230の内圧が減少することになる。ここで、本実施形態における現像剤収容器230の現像剤収納部材231は、柔軟なシート材で形成されているため、内圧の減少に伴って減容する。図11は、現像剤収容部材231に現像剤を充填した状態の斜視図である。図12は、現像剤収容部材231内部の現像剤が排出されて減容した(しぼんだ)状態を示す正面図である。ここで、現像剤収容部材231は60%以上減容されるものが望ましい。
図11に示す現像剤収容器230の現像剤収容部231内部には、上述したように、現像装置10に補給するための、キャリア粒子とトナー粒子からなる補給用現像剤S1が収容されている。補給用現像剤S1は、補給用現像剤S1中のキャリア粒子の重量比率が、3wt%以上30wt%以下であることが好ましい。現像剤収容器230内における補給用現像剤S1中のキャリア粒子の重量比率が、3wt%以下であると、補給されるキャリア粒子の量が非常に少ないため、補給の効果が充分に得られない。一方、30wt%を超えると、補給用現像剤の現像剤収容部への安定した供給が得られない。
次に本発明によるキャリア粒子及びこのキャリア粒子とトナー粒子を混合した現像剤について、以下、本発明による実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
次に本発明によるキャリア粒子及びこのキャリア粒子とトナー粒子を混合した現像剤について、以下、本発明による実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
[トナー粒子の作製]
(結着樹脂合成例1)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(P1)を得た。
次いでプレポリマー(P1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(U1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(E1)を得た。ウレア変性ポリエステル(U1)200部と変性されていないポリエステル(E1)800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、結着樹脂(B1)を単離した。Tgは62℃であった。
(ポリエステル樹脂合成例A)
テレフタル酸 :60部
ドデセニル無水コハク酸 :25部
無水トリメリット酸 :15部
ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド :70部
ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド :50部
上記組成物を、温度計、攪拌器、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた容量1Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し、次いで0.05gのジブチルスズオキシドを加えて温度を200℃に保って反応させポリエステルA得た。このポリエステルAのピーク分子量は4200であり、ガラス転移点は59.4℃であった。
(マスターバッチ作成例1)
顔料:C.I.Pigment Yellow155:40部
結着樹脂:ポリエステル樹脂A :60部
水 :30部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで直径1mmφの大きさに粉砕し、 マスターバッチ(M1)を得た。
(トナー粒子製造例A)
ビーカー内に前記の結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20部、マスターバッチ(M1)8部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーにて12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させ、トナー粒子材料液を用意した。
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。次いで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーにて12000rpmに攪拌しながら、上記トナー粒子材料溶液を投入し10分間攪拌した。次に、この混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
次に、このトナー粒子100部に疎水性シリカ1.0部と、疎水化酸化チタン1.0部をヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー粒子A」を得た。この「トナー粒子A」の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日立社製H−9000H)を用いて、トナー粒子の断面写真(倍率×100,000)を撮影し、写真から、ランダム選択した100点の着色剤部分の分散径から平均値を求めた。ここで、1粒子の分散径は最長径と最短径の平均とし、また、凝集状態にあるものは凝集体自身を1粒子とした。着色剤の平均分散粒径は、0.40μmであった。また、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は、4.5%であった。
次に、「トナー粒子A」の粒径を、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTA2」を用い、アパーチャー径100μmで測定したところ、体積平均粒径(Dv)=6.2μm、個数平均粒径(Dn)=5.1μmであった。引き続き、「トナー粒子A」の円形度を、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測した。測定は、前記装置に、予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜1万個/μlに調整した測定液をセットして行った。得られた「トナー粒子A」の円形度は0.96であった。
(導電性微粒子の製造例)
(製造例1)
酸化アルミニウム(平均一次粒径0.05μm、アスペクト比:197)100gを水1リットルに分散させて水懸濁液とした。この懸濁液を70℃に加温保持した。別途用意した塩化第二スズ(SnCl4・5H2O)11.6gを2N塩酸100ミリリットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを、懸濁液のpHを7〜8に保持するように約40分かけ同時添加した。引き続き別途用意した塩化インジウム(InCl3)36.7gおよび塩化第二スズ(SnCl4・5H2O)5.4gを2N塩酸450ミリリットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを懸濁液のpHを7〜8に保持する様に約1時間かけて同時滴下した。滴下終了後、処理懸濁液を濾過、洗浄し、得られた処理顔料のケーキを110℃で乾燥した。次いで、得られた乾燥粉末を窒素ガス気流中(1リットル/分)で500℃にて1時間熱処理して、白色導電性微粒子Aを得た。平均一次粒径は0.05μm、アスペクト比は197であった。
(製造例2)
基材を酸化アルミニウム(平均一次粒径:0.07μm、アスペクト比:3.2)に変更したこと以外は製造例1と同様にして白色導電性微粒子Bを得た。平均一次粒径は0.07μm、アスペクト比は3.2であった。
(製造例3)
酸化アルミニウム(平均一次粒径0.08μm、アスペクト比:32)100gを水1リットルに分散させて水懸濁液とした。この懸濁液を70℃に加温保持した。別途用意した塩化インジウム(InCl3)36.7gおよび塩化第二スズ(SnCl4・5H2O)5.4gを2N塩酸450ミリリットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを懸濁液のpHを7〜8に保持する様に約1時間かけて同時滴下した。滴下終了後、処理懸濁液を濾過、洗浄し、得られた処理顔料のケーキを110℃で乾燥した。次いで、得られた乾燥粉末を窒素ガス気流中(1リットル/分)で500℃にて1時間熱処理して、白色導電性微粒子Cを得た。平均一次粒径は0.08μm、アスペクト比は32であった。
(製造例4)
基材を酸化アルミニウム(平均一次粒径:0.05μm、アスペクト比:205)に変更したこと以外は製造例1と同様にして白色導電性微粒子Dを得た。平均一次粒径は0.05μm、アスペクト比は205であった。
(製造例5)
基材を酸化アルミニウム(平均一次粒径:0.07μm、アスペクト比:2.4)に変更したこと以外は製造例1と同様にして白色導電性微粒子Eを得た。平均一次粒径は0.07μm、アスペクト比は2.4であった。
(製造例6)
カーボンブラック(ライオンアクゾ製、ケッチェンブラックEC600JD)をそのまま導電性微粒子Fとした。
(製造例7)
基材を酸化チタン(平均一次粒径:0.08μm、アスペクト比:32、ルチル型)に変更したこと以外は製造例1と同様にして白色導電性微粒子Gを得た。平均一次粒径は0.08μm、アスペクト比は32であった。
(製造例8)
基材を酸化チタン(平均一次粒径:0.37μm、アスペクト比:27、ルチル型)に変更したこと以外は製造例1と同様にして白色導電性微粒子Hを得た。平均一次粒径は0.37μm、アスペクト比は27であった。
(キャリア粒子製造例)
(製造例1)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 2130部
[固形分濃度:50重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子A 1500部
・トルエン 6000部
以上の各材料をホモミキサーにて10分間分散し、樹脂層形成液を調合した。キャリア粒子粒子芯材としてDFC−400M(DOWAエレクトロニクス社製、体積平均粒径35μm、フェライト粒子)を用い、上記樹脂溶液を芯材表面に厚みhが0.15μmとなるようにスピラコーター(岡田精工社製)により55℃の雰囲気下で30g/minに割合で塗布し、乾燥させた。層厚の調整は液量によって行った。得られたキャリア粒子を、電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成し、冷却後に目開き100μmの篩を用いて解砕して、キャリア粒子Aを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
芯材の体積平均粒径の測定は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。
前記被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア粒子粒子断面を観察し、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、芯材や粒子上の樹脂部の厚みhcとを、キャリア粒子表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
前記芯材表面から被覆層表面までの厚みT(μm)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア粒子断面の観察をし、芯材表面から被覆層表面までの厚みTを、キャリア粒子表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
(製造例2)
キャリア粒子芯材としてMFL−35HS(パウダーテック社製、体積平均粒径35μm、フェライト粒子)を用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Bを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例3)
キャリア粒子芯材としてSM−350NV (DOWAエレクトロニクス社製、体積平均粒径50μm、マグネタイト粒子)を用い、コート材料量を芯材の粒径から算出した比表面積比で減量(352/502倍)させたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Cを得た。平均厚さTは0.21μmであった。
(製造例4)
導電性微粒子に導電性微粒子Bを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Dを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例5)
導電性微粒子に導電性微粒子Cを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Eを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例6)
導電性微粒子に導電性微粒子Dを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Fを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例7)
導電性微粒子に導電性微粒子Eを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Gを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例8)
導電性微粒子に導電性微粒子Fを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Hを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例9)
導電性微粒子に導電性微粒子Gを用いたこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリア粒子Iを得た。平均厚さTは0.20μmであった。
(製造例10)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 2130部
[固形分濃度:50重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子G 750部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.35μm) 750部
・トルエン 6000部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリア粒子Jを得た。平均厚さTは0.40μmであった。
(製造例11)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 2130部
[固形分濃度:50重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子G 750部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.35μm) 750部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500部
・トルエン 6000部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリア粒子Kを得た。平均厚さTは0.42μmであった。
(製造例12)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 1500部
[固形分濃度:50重量%]
・シリコーン樹脂溶液(SR2410:東レ・ダウコーニング社製)1575部
[固形分濃度:20重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子G 750部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.35μm) 750部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500部
・トルエン 6000部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリア粒子Lを得た。平均厚さTは0.42μmであった。
(製造例13)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 1500部
[固形分濃度:50重量%]
・グアナミン溶液(マイコート106:三井サイテック社製) 450部
[固形分濃度:70重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子G 750部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.35μm) 750部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500部
・トルエン 6000部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリア粒子Mを得た。平均厚さTは0.42μmであった。
(製造例14)
・アクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001:日立化成社製) 1500部
[固形分濃度:50重量%]
・グアナミン溶液(マイコート106:三井サイテック社製) 450部
[固形分濃度:70重量%]
・アミノシラン(H2N(CH2)3Si(OCH3)3) 4部
[固形分濃度:100重量%]
・導電性微粒子H 1500部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500部
・トルエン 6000部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリア粒子Nを得た。平均厚さTは0.42μmであった。
(製造例15)
厚みhが0.05μmとなるように樹脂溶液の塗布量を変更した以外は製造例11と同様にして、キャリア粒子Oを得た。平均厚さTは0.08μmであった。
(製造例16)
厚みhが2.40μmとなるように樹脂溶液の塗布量を変更した以外は製造例11と同様にして、キャリア粒子Pを得た。平均厚さTは3.02μmであった。
〔実施例1〕
トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを7部と、キャリア粒子製造例1で得られたキャリア粒子Aを93部用いて、ミキサーで10分攪拌し、現像機内に収容する現像剤を作成した。また、トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを80部と、キャリア粒子製造例1で得られたキャリア粒子Aを20部用いて、ミキサーで10分攪拌し、補給用現像剤S1を作成した。
(画像の精細性)
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、imagio Neo C600)に図7に示す現像装置を搭載した改造機を用い、現像機内現像剤Sと補給用現像剤S1をセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その文字再現性から画像の精細性の評価を行った。評価のランク分けは次のように行った。◎:非常に良好、○:良好、△:許容、×:実用上使用できないレベル
(耐久性)
上記の画像精細性評価の画像出力を100k枚行い、耐久性評価用のランニング試験とした。このランニング試験後と試験前での、帯電低下量およびキャリア粒子抵抗変化量をもって耐久性の評価を行った。
帯電低下量の測定は以下の方法にて行った。まず、初期のキャリア粒子93重量%に対しトナー粒子7重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル株式会社製、TB−200)にて測定し、この値を初期帯電量とする。次に、ランニング後の現像剤からトナー粒子を前記ブローオフ装置にて除去し、得られたキャリア粒子93重量%に対し新規にトナー粒子を7重量%の割合で混合し、初期のキャリア粒子と同様に摩擦帯電させたサンプルを、初期のキャリア粒子と同様に帯電量測定を行い、初期帯電量との差を帯電低下量とする。帯電低下量の目標値は10.0μC/g以内である。帯電量の低下の原因はキャリア粒子表面へのトナースペントであるため、トナースペントを減らすことで、帯電量の低下を抑えることができる。
キャリア粒子抵抗値変化量の測定は以下の方法にて行った。キャリア粒子を抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1,000Vを印加して30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した。得られた値を体積抵抗率に変換した値を初期抵抗値とする。次に、ランニング後の現像剤中のトナー粒子を前記ブローオフ装置にて除去し、得たキャリア粒子に対して前記抵抗測定方法と同様の方法で抵抗測定を行い、得られた値を体積抵抗率に変換し、初期抵抗値との差をキャリア粒子粒子抵抗値変化量とする。キャリア粒子抵抗値変化量の目標値は絶対値で3.0〔Log(Ω・cm)〕以内である。抵抗変化の原因は、キャリア粒子の被覆層の削れ、トナー成分のスペント、キャリア粒子被覆層中の大粒子脱離などであるため、これらを減らすことで、キャリア粒子抵抗の変化を抑えることができる。
(地肌部キャリア粒子付着)
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、imagio Neo C600)に図7に示す現像装置を搭載した改造機に、現像機内現像剤Sと補給用現像剤S1をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、画像面積1%のA3文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その地肌部のキャリア粒子付着発生個数により評価を行った。評価のランク分けは次のように行った。◎:0個、○:2個以上5個以下、△:6個以上10個以下、×:11個
(色汚れ)
ベタ画像を出力してX−Riteにより測定した。具体的には、現像剤をセットしセット直後の画像をX−Rite(アムテック株式会社製 X−Rite 938 D50)により測定した値(E)と、現像ユニット単独で1時間空攪拌の後画像を出力し、その画像をX−Riteにより測定した値(E')、次式によりΔEを求め以下のようにランク付けした。
ΔE=E−E'
E=(L2+a*2+b*2)1/2
(Yellow ID=1.4時の値を読む)
E=初期剤E値
E'=1時間空攪拌後
◎ :ΔE≦2
○ :2<ΔE≦5
× :5<ΔE
〔比較例1〕
改造を施していないimagio Neo C600を評価用装置として用い、現像剤の補給/回収を行わず、トナー粒子のみを現像機に補給するシステムに変更したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
〔比較例2〜5、実施例2〜12〕
現像装置内現像剤Sと補給用現像剤S1に用いるキャリア粒子を、製造例2〜16にて作成したキャリア粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
〔実施例13〕
トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを98部と、キャリア粒子製造例13で得られたキャリア粒子Mを2部用いて補給用現像剤を作成したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
〔実施例14〕
トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを69部と、キャリア粒子製造例13で得られたキャリア粒Mを31部用いて補給用現像剤を作成したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
〔実施例15〕
トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを16部と、キャリア粒子製造例13で得られたキャリア粒子Mを84部用いて現像機内現像剤を作成したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
〔実施例16〕
トナー粒子製造例で得たトナー粒子Aを1部と、キャリア粒子製造例13で得られたキャリア粒子Mを99部用いて現像機内現像剤を作成したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
上記にて製造したキャリア粒子の概要を図13に示す。実施例1〜16、比較例1〜5にて使用したキャリア粒子と評価結果を図14に示す。
上記図14で示す評価結果から明らかなように、比較例1で示す現像剤の補給及び回収を行わない現像装置を使用したときには、帯電低下量が12.7μc/gと目標とする10.0μc/gを上回り、トナースペントが発生している。また、比較例2で示すキャリア粒子の被覆層内に含まれる導電性微粒子の導電性被覆層として二酸化スズを含む酸化インジウムの層のみで形成した場合には、画像の精細性が悪く実用に耐えない。さらに、比較例3及び4で示すように、導電性微粒子のアスペクト比が205及び2.4と3〜200の範囲を逸脱した場合には、抵抗変化量が目標値3.0log(Ω・cm)の範囲を超えてしまい、キャリア粒子の被覆層の削れやトナー成分のスペント等が発生している。さらに、比較例5で示す導電性材としてカーボンブラックを使用した場合には、色汚れが発生している。
これに対し、本発明による各実施例のものでは、現像剤の補給及び回収を行う現像装置を使用し、3〜200のアスペクト比を有する白色の導電性微粒子を使用するので、上記比較例のものに比して良好な画像の精細性を示し、しかも地肌部キャリア付着及び色汚れを抑制して、良好な画像を形成可能であることが明らかである。
特に、実施例6〜16で示す酸化アルミニウムや酸化チタン等の第1の硬質粒子や第2の硬質粒子を被覆層内に含有させた場合には、帯電低下量や抵抗変化量を抑制することが可能となり良好な結果を示すことが明らかである。