JP5167461B2 - 炎症性腸疾患予防剤 - Google Patents

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Description

本発明は、炎症性腸疾患予防剤に関する。
食品は、大きく三つの機能に分けることができる。栄養機能である1次機能、嗜好機能である2次機能、および生体調節や疾病予防機能である3次機能がある。食品の3次機能は、食品中の成分を長期間にわたり継続的に摂取することによる共存有害物質に対する中和解毒作用や、人の様々な体調機能の調節、生命維持、健康増進に働く作用など、高次の生命活動に対する調節機能である。
具体的には、食品による生体リズムの調節、吸収機能の調節、神経の覚醒と鎮静、免疫機能の強化や調節等の生体防御、老化抑制などに関わる機能と定義されている。その生理活性の例として、抗酸化活性(脂質過酸化抑制、ラジカル消去、潰瘍予防、動脈硬化予防)、抗菌活性、血圧上昇抑制、抗炎症活性、抗アレルギー活性、育毛促進活性、抗変異原性、発ガン抑制、抗腫瘍活性等が報告されている。
一方、動物は食品を食べ、水分を補給することで、生命を維持するために必要なエネルギーやからだをつくるために必要な原料を得ている。このように食物を体内に取り込み、消化、吸収し、最終的には不要物を***するまでの役割を消化器官が行っている。消化器は、胃や腸はもちろん、食物を取り込む口(口腔)や栄養素を貯蔵・加工する肝臓なども消化器に含まれる。消化器のうち、食物や水分の通り道となる部分が消化管といわれている。消化管は口腔にはじまり、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)大腸、肛門までを指し、全長は約6mに及んでいる。食物はこの消化管を通り、消化・吸収され、やがて流動体の残りかす(不要物)が大腸で糞便となり、***される。特に大腸では水と電解質が吸収され、消化吸収されなかったものや老廃物を肛門まで運搬する働きをしている。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)に、びらんや潰瘍ができる大腸の疾患であり、クローン病等と共に炎症性腸疾患に分類されている。米国では約100万人の患者がいるといわれ、日本での潰瘍性大腸炎の患者数は、77,073人(平成14年度特定疾患医療受給者証交付件数より)と報告されており、毎年おおよそ5,000人増加している。その原因は、これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられているが、まだ原因は明らかになっていない。
この疾患の実験モデルとして、マウスにデキストラン硫酸ナトリウムを投与することで潰瘍性大腸炎を誘発させることが知られている。デキストラン硫酸ナトリウムが投与されたマウスは、潰瘍性大腸炎を誘発し、大腸が萎縮するだけでなく、炎症並びに固有構造の消失が起こり、体重減少、さらには衰弱死に至る。
潰瘍性大腸炎には原則的に薬による内科的治療が行われる。現在、潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はないが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在する。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることである。潰瘍性大腸炎の内科的治療には、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤や副腎皮質ステロイド剤、血球成分除去療法、免疫抑制剤が用いられている。
プロアントシアニジンは植物の二次代謝産物として生合成されるポリフェノール(カテキン、フラボン、アントシアニン、イソフラボン、カルコンなどフラボノイド類や、カフェー酸、クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸などフェノールカルボン酸を含む、一分子内にフェノール性水酸基を複数有する化合物の総称)の一種であり、カテキン類が2分子以上結合した構造を有し、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、大麦、グァバ、ホップ、小豆、松樹皮など多くの植物に存在することが報告されている。
潰瘍性大腸炎の治療又は予防に関する技術としては、特許文献1には、プロアントシアニジン配合オタネニンジン抽出物製剤が潰瘍性大腸炎に対する優れた治療効果を示すことが記載されている。プロアントシアニジンおよびオタネニンジン抽出物それぞれ単独よりも併用することで顕著な効果を発揮する。プロアントシアニジンの抹消血管拡張作用,活性酸素除去作用、抗炎症作用が奏効したと考えられるとしている。プロアントシアニジンとして、具体的にはフランス海岸松樹皮由来のプロアントシアニジンをあげている。潰瘍性大腸炎患者への投与試験にて治療効果を調べているが、予防効果については言及されていない。
特許文献2には分泌性下痢の治療および予防に有用なクロトンspp.またはカロフィラムspp.から分離されたプロアントシアニジン重合体組成物の腸溶性コーティング製剤が記載されている。主にコレラ菌や腸毒素大腸菌,赤痢菌等の引き起こす分泌性下痢の治療および予防について述べているが、非伝染性の病因が非特異性の下痢、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患症候群にも有効であると記載されているが、実施例での記載はない。
非特許文献1にはDSSによる潰瘍性大腸炎誘発実験において、カテキンが抑制作用を示し、潰瘍性大腸炎の予防に有用であることが記載されているが、カテキンと今回発明のプロアントシアニジンはでは単量体と重合体の差があり、物質的に異なる。
また、潰瘍性大腸炎の治療又は予防以外の植物由来プロアントシアニジンに関する従来技術には、特許文献3(APC遺伝子の変異に起因する疾患の予防・治療剤)、特許文献4(抗酸化剤)、特許文献5(***症の予防および治療剤)、特許文献6(細菌毒素中和剤)、特許文献7(アポトーシス誘導剤)、特許文献8(免疫調節剤)などが挙げられる。
また、上記以外の潰瘍性大腸炎の治療又は予防に関する先行技術としては、特許文献(N−アダマンチルメチル誘導体および中間体)、特許文献10(イノシン化合物(塩))、特許文献11(リン酸誘導体)、特許文献12(CD23に対する抗体)、特許文献13(ポリアミノ酸骨格,非ステロイド性抗炎症剤)、特許文献14(スクラルファート製剤)などが挙げられる。
特開2004−75587 特表2001−524938 特開2001-64172 特表2001-500546 特表2001-515860 特開2004-155719 特開2005-75790 特開2005-82497 国際出願番号PCT/SE02/002057 国際出願番号PCT/US02/009335 国際出願番号PCT/JP00/001005 国際出願番号PCT/GB99/001434 国際出願番号PCT/US96/007563 特開平08-268895 山崎英俊ら、「DSS大腸炎モデルにおけるカテキンの影響」実験潰よう、Vol28,No.2,pp150−152(2001)
本発明の課題は、潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患の、食品由来成分による安全で効果的な予防剤を提供することにある。
このような背景の下、本発明者らは、植物由来プロアントシアニジンについて各種実験を行い、生化学的・医学的な見地から鋭意研究に努めた結果、植物性プロアントシアニジンが潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患の予防剤として有用であることを見出した。すなわち本発明は、植物、特にはリンゴからポリフェノールを精製し、さらにそれよりプロアントシアニジン画分を精製したリンゴプロシアニジン画分を、予めマウスに継続的に投与することによって、その後大腸炎を誘発させるために投与するデキストラン硫酸ナトリウムの影響を軽減し、潰瘍性大腸炎による諸現象を軽減することを見出した。
従って本発明は植物性プロアントシアニジンを有効成分とする炎症性腸疾患の予防剤を提供するものである。本発明において、植物性プロアントシアニジンはリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、大麦、グァバ、ホップ、小豆、松樹皮由来であっても良い。また、炎症性腸疾患として、植物由来のプロアントシアニジン成分を摂取することは安全性の面からもこれまでの食経験があり、毎日摂取することにも問題が少ないと考えられ、安全でかつ有効な予防および治療剤を提供することができる。また、その安全性についても報告されている。
本発明により、植物プロアントシアニジンを有効成分とする、炎症性腸疾患の予防剤が提供された。本発明によると、特に潰瘍性大腸炎の予防剤として有用であり、医薬品、食品、飼料および飲料として使用可能である。
本発明は、植物由来プロアントシアニジンを有効成分とすることを特徴とする、安全性の高い新規な炎症性腸疾患予防剤、並びにこれを含有する医薬品および機能性食品・飲料を提供することにある。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明において腸管免疫寛容誘導剤の有効成分として用いられるプロアントシアニジン成分は市販のものや、植物から直接抽出・分離したものが利用できる。本発明でいうプロアントシアニジンは、植物体中に存在する縮合型タンニン類、すなわちフラバン−3−オール類を構成単位として4→8又は4→6で縮合もしくは重合により結合した化合物の混合物であって、これらは酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成する。本発明では、上記構成単位の2〜15量体の高分子プロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等のプロアントシアニジンである。
例えば、リンゴ果実からのプロアントシアニジン成分の抽出・精製は特開平7−285876号公報、特開2000−16951号公報および特開2002−87978号公報に記載の方法を利用することができる。原料であるリンゴは特開平7−285876号に記載されているようにリンゴ未熟果を利用しても良いし、特願2000−277228に記載されているようにリンゴ野生種(Crab Apple)を利用しても良い。
まず、特開平7−285876号の方法に基づいて抽出物を得る。具体的には、リンゴ果実を洗浄した後、そのままもしくは亜硫酸を添加しながら破砕、圧搾により果汁を得、遠心分離、濾過などにより清澄果汁を調製できる。清澄果汁は適宜、公知の手法により濃縮しても良い。粗リンゴポリフェノール成分の抽出方法としては、得られた果汁を原料として用いても良いが、果実をアルコール類と混合して破砕し、そのまま浸漬し、圧搾、又は加熱還流しながら抽出し、次いでアルコールを溜去した後、遠心分離及び濾過、又はヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒による分配及び濾過を行い、清澄抽出物を得てもよい。
ついで、特開2000−16951の方法にて上記抽出物を精製する。具体的には、ポリフェノールを選択的に吸着できる吸着剤、例えばスチレンジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂、陰イオン交換樹脂などが充填されたカラムに上記の清澄果汁又は清澄抽出液を通すことによりポリフェノール成分を吸着させる。次いで、蒸留水によってカラムを洗浄した後、20〜100%、好ましくは30〜60%のアルコール溶液をカラムに通すことによりポリフェノール成分を溶出、回収できる。得られたアルコール溶液画分からアルコールを溜去すると粗リンゴポリフェノール画分となる。この粗リンゴポリフェノール画分には、図1のような成分が含まれている。
更に、粗リンゴポリフェノール画分を特開2002−87978号公報に開示された方法で処理し、プロアントシアニジン画分を得る。具体的には、得られた粗ポリフェノール画分を酢酸メチルを液相として用いた固液抽出によりプロシアニジン2〜5量体画分と6量体以上画分に分離精製することも可能である。酢酸メチルに抽出されないプロシアニジン6量体以上画分は、公知の方法により酢酸メチルを溜去する。酢酸メチルに抽出されたプロシアニジン2〜5量体画分は公知の方法により抽出溶液を濃縮した後、蒸留水に溶解させる。更に、プロシアニジン2〜5量体画分は順相クロマトグラフィーにより重合度別(分子量別)に分離精製し、重合度数の均一なプロシアニジンオリゴマーを得ることができる。
また、プロアントシアニジンとしては、合成法によって得られたものも用いることができる。
このようにして調製されたプロアントシアニジン製剤は炎症性腸疾患予防剤として医薬品に用いることができる。医薬品組成物としては、従来からの炎症性腸疾患治療剤と混合しても良い。炎症性腸疾患予防剤を含有する医薬品は、公知の方法により錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などの経口剤とすることができる。この経口投与剤は、形態に応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を添加して通常使用されている方法によって製造することができる。
本発明の炎症性腸疾患予防剤により、炎症性腸疾患を予防する効果を得るための成人1日あたりの投与量は、リンゴ抽出物あるいはリンゴプロアントシアニジンとして、100〜2500mgであるが、好ましくは150〜1500mg、更に好ましくは150〜1000mg、特に150〜750 mgであるのが好ましい。
本発明の炎症性腸疾患予防剤を利用する場合、ポリフェノール類の吸収の点から、1日あたりのリンゴ抽出物量あるいはリンゴプロアントシアニジン量を少ない回数で摂取する方がプロアントシアニジン類の血中濃度が高くなり、プロアントシアニジン類の作用を発現しやすい。
本発明の炎症性腸疾患予防剤は、飲料を含む、広く食品一般に食品添加物として添加して用いることができ、例えばスープ類、飲料(ジュース、酒、ミネラルウォーター、コーヒー、茶、ノンアルコールビール等)、菓子類(ガム、キャンディー、チョコレート、スナック、ゼリー等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、アルコール飲料(ビール、発泡酒、カクテル、チューハイ、焼酎、日本酒、ウィスキー、ブランデー、ワイン等)に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
日本国弘前市で6月に採取されたリンゴ「ふじ」の未熟果(個々の果実の平均重量は約10g)3kgをピロ亜硫酸カリウム(0.1%w/w)の存在下でホモジナイズし、その粉砕物を4℃、24時間保持した。粉砕物を圧搾して得られる果汁を集め、遠心分離(3500g)にて清澄にし、ガラスフィルターでろ過をした。ろ液(1.8L)をスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂セパビーズ SP−850(三菱化成製)を充填したカラム(径25mm×285mm)に供した。水溶性成分を除去するため蒸留水(300ml)で洗浄後、80%エタノール画分(200ml)をエタノール除去、凍結乾燥を行い、粗リンゴポリフェノール画分を得た。この粗リンゴポリフェノール画分を逆相系高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、クロロゲン酸類(約20%)、フロレチン配糖体類(約5%)、フラボノール類(約15%)、プロアントシアニジン類(約50%)及びその他褐変物質(約10%)からなることが確認できた。更に、このプロアントシアニジン類はMALDI-TOF/MSによる解析の結果、フラバン−3−オール類であるカテキンやエピカテキンからなる2量体から15量体までが確認され、高分子のポリフェノールであった[M.Ohnishi-Kameyamaら, Mass Spectrometry, 11, 31-36, 1997]。
さらに、上記粗リンゴポリフェノール画分を蒸留水に溶解し、5N水酸化ナトリウムでpH6.5に調整し、スチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂ダイアイオン HP−20ss(三菱化成製)を充填したカラムに供した。蒸留水でカラムを洗浄後、25%エタノールにて溶質した画分を濃縮、凍結乾燥し、プロアントシアニジン画分を得た。[T. Shoji, et al., J. Argic. Food Chem., 51, 386-3813(2003)]。こうして得られたリンゴ由来プロアントシアニジン画分は、後述する潰瘍性大腸炎に与える影響を評価するための試料とした。
試験例1:経口自由摂取における腸管免疫系に及ぼす影響
下記手法により実施例1で得たリンゴ由来プロアントシアニジン画分について試験に用いた。潰瘍性大腸炎へ作用する可能性を検討するために、リンゴ由来アントプロシアニジン画分をマウスに自由経口摂取させて、その影響を検討した。
すなわち、6週齢の雄性C57BL6マウスにリンゴ由来プロアントシアニジン画分を0.1%、0.3%、1.0%の各濃度で純水に溶解したものを飲用水として2.5%デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran Sulfate Sodium、略してDSS)水溶液に変更開始の14日間前から自由に摂取させた。2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液の自由摂取は4日間とし、その後飲用水を純水に変更し、20日間飼育を継続した。なお、リンゴ由来プロアントシアニジン画分を含まない純水を自由飲水して2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液による同様の潰瘍性大腸炎の誘導を施した群を対照群とした。この試験により、リンゴ由来プロアントシアニジン画分の用量が検討できる。
試験例2
次に、6週齢の雄性C57BL6マウスにリンゴ由来プロアントシアニジン画分を1.0%の濃度で純水に溶解したものを飲用水として2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液に変更開始の3日間、7日間、14日間前から自由に摂取させた。2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液の自由摂取は4日間とし、その後飲用水を純水に変更し、20日間飼育を継続した。なお、リンゴ由来プロアントシアニジン画分を含まない純水を自由飲水して2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液による同様の潰瘍性大腸炎の誘導を施した群を対照群とした。この試験により、1%リンゴ由来プロアントシアニジン画分水溶液を飲用水とした場合の前投与期間が検討できる。
試験例1における上記手法により、リンゴ由来プロアントシアニジン画分の潰瘍性大腸炎モデルマウスにおける経口自由摂取の炎症性腸疾患に与える影響を検討した。まず、前投与期間14日間のリンゴ由来プロアントシアニジン画分の各濃度の影響では、デキストラン硫酸ナトリウムによる潰瘍性大腸炎の影響である体重は、コントロール群に比べリンゴ由来プロアントシアニジン群では0.3%と1.0%の群が有意にその体重減少を抑制した。また、生存率についてもリンゴ由来プロシアニジンの0.3%と1.0%の群が生存率を大幅に向上させ、特に1.0%群では生存率は100%であった(Fig.12)。 さらに、コントロール群と1%リンゴ由来プロアントシアニジン前投与群の大腸の写真を図3に示す。デキストラン硫酸ナトリウムによって引き起こされる大腸の萎縮がリンゴ由来プロアントシアニジンを前投与することにより抑制されることがわかった。これらの結果から、潰瘍性大腸炎の予防には、プロアントシアニジンのある程度の濃度が必要であることが示唆された。
次に試験例2における上記手法により、リンゴ由来プロアントシアニジン画分1.0%の濃度での前投与期間が3日間、7日間、14日間の影響では、デキストラン硫酸ナトリウムによる潰瘍性大腸炎の影響である体重は、コントロール群に比べ1.0%のリンゴ由来プロアントシアニジン群では前投与7日間と14日間の群がその体重減少を抑制した。また、生存率については、1.0%のリンゴ由来プロアントシアニジンの前投与の期間依存的に、コントロール群では生存率40%であったが、前投与3日間の群では60%、前投与7日間の群では80%、前投与14日間の群では100%と、生存率を大幅に向上させた(Fig.14)。これらの結果から、潰瘍性大腸炎の予防には、プロアントシアニジンのある程度の濃度で、より長期間の前投与が効果的であることが示唆された。
処方例
(1)錠剤
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 2.0g
乳糖 15.0g
ステアリン酸マグネシウム 3.0g
合計 20g
上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って錠剤とした。
(2)カプセル剤
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 2.0g
乳糖 15.0g
ステアリン酸マグネシウム 3.0g
合計 20g
上記の各重量部を均一に混合し、常法に従ってカプセル剤とした。
(3)散剤、顆粒剤
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 4.0g
乳糖 10.0g
デンプン 6.0g
合計 20g
上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って散剤、顆粒剤とした。
(4)飴
ショ糖 15.0g
クエン酸 0.2g
香料 0.1g
アスコルビン酸ナトリウム 0.05g
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 0.5g
水 94.45g
上記の各重量部の各成分を用い、常法に従って飴とした。
(5)ジュース
濃縮ミカン果汁 15.0g
果糖 4.5g
クエン酸 0.2g
香料 0.1g
色素 0.2g
アスコルビン酸ナトリウム 0.05g
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 0.5g
水 49.45g
上記の各重量部の各成分を用い、常法に従ってジュースした。
(6)麦茶
麦茶 1.0g
水 599g
合計 600g
上記の各重量部の各成分を用い、常法に従って麦茶成分を抽出した後、
アスコルビン酸ナトリウム 0.36g
実施例1のリンゴ由来プロアントシアニジン画分 3.0g
を配合して麦茶とした。
実施例1で得られたリンゴ由来プロアントシアニジン抽出画分に含まれるプロシアニジンの構造式を示した。 潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるリンゴ由来プロアントシアニジンの濃度別抑制効果を示すグラフである。 DSS投与による大腸炎に対するリンゴ由来プロアントシアニジンの作用を示す図である。 潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるリンゴ由来プロアントシアニジンの前投与期間別抑制効果を示すグラフである。

Claims (2)

  1. リンゴ由来プロアントシアニジンを有効成分として含むことを特徴とする炎症性腸疾患予防剤。
  2. プロアントシアニジンがプロシアニジンであることを特徴とする請求項1記載の炎症性腸疾患予防剤。
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