JP5165197B2 - 平版印刷版用捨版およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平版印刷版用捨版およびその製造方法に関する。
多色印刷に使用される平版印刷用捨版について、粗面化処理したアルミニウム板上に水溶性樹脂からなる保護膜を設けてなる捨版が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、このような水溶性樹脂のみからなる保護膜が塗布された捨版は、印刷開始時に、不必要に付着したインキを完全に除去するために必要な印刷枚数(損紙枚数)が増大する欠点を有しており、また、高温高湿下で長期保存された場合には、インキを受け付けやすくなり、汚れの原因ともなる。これは、水溶性樹脂である保護膜が厚く塗られたり、あるいは長期保存したために、湿し水への溶解性が劣化するためと考えられる。
また、親水性表面を有する金属支持体上に水溶性化合物の下塗層および水不溶性の非感光性樹脂層が設けられた捨版(例えば、特許文献2を参照。)、親水性表面を有する金属支持体上に水溶性化合物の下塗層および表面がマット化された水不溶性の非感光性樹脂層が設けられた捨版(例えば、特許文献3を参照。)が提案されている。しかしながらこのような捨版を作るには、少なくとも2または3回以上の塗布工程を行わなければならない。このため、このような捨版は、製造効率が悪く、安価に製造できない欠点がある。また、印刷時には、非感光性樹脂層を現像液等のアルカリ水溶液で除去しなければならず、現像液の疲労を早める等の問題点を有している。
更に、親水性表面を有する金属支持体上に水溶性樹脂が塗布乾燥された版材を水または水溶液で該水溶性樹脂を溶出させる捨版の製造方法並びに該捨版を用いた平版印刷方法が記載されている(例えば、特許文献4を参照。)。しかしながら、この方法は、溶出処理工程を1つ増やすので手間のかかる方法でもある。
特開平3−175090号公報 特開平11−240266号公報 特開平11−254848号公報 特開平11−240267号公報
本発明は、たとえ長期保存した場合でも、印刷汚れが発生せず、損紙枚数も大幅に少なく、また、高温高湿下で保存された場合でも表面のタック性が少なく、製版時には水または現像液等の水溶液で溶出処理をしなくても製造できる平版印刷用捨版を提供し、また、合紙なしで積み重ねた場合でも、版同士の接着やキズ等が発生しづらい捨版の積層体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の1つの側面によると、金属支持体と、支持体の表面上に設けられた保護層であって、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を含む処理液を塗布、乾燥してなる保護層とのみを備えた平版印刷用捨版が提供され、更に、表面がマット化された平版印刷用捨版が提供される。また、本発明の他の側面によると、金属支持体に、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を含む処理液を塗布するステップと、該処理液を乾燥させて保護層を得るステップと、さらに前記保護層の表面をマット化させるステップを含む、金属支持体と該金属支持体の表面上に設けられた保護層とのみを備えた平版印刷用捨版の製造方法が提供される。更に、このように製造された平版印刷用捨版を合紙なしで積層した平版印刷用捨版積層体が提供される。
本発明の平版印刷用捨版は、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を含有する処理液が塗布されており、塗膜中にアクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩に由来する化合物が存在している。アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩は、金属支持体、特にアルミニウム板の表面の保護膜として働き、表面の酸化を防止する役目を有する。更に、高温高湿下で長期保存された場合でも、表面のタック性(表面のベト付き)が非常に少なく、合紙が無い場合でも版同士が付着するようなことなく、又、作用は明確でないが、長期保存して後で印刷機にかけても、湿し水を受け付けやすく、印刷時の汚れが発生しない。
また、本発明の平版印刷用捨版は、単なる1層のみ、あるいは2回塗布であるので、製造効率が良く、塗布された膜について水または現像液等の水溶液で溶出処理等の工程を行ってもよいが、行わなくても印刷機にセットすることができるので、印刷に使用するPS版と同じ作業で捨版を製造することが出来る等の長所を有している。
また、積層体として積み重ね、長期保存された場合や高温、高湿下で保管された場合でも、版同士の接着等が発生しづらく、印刷時での地汚れや損紙枚数も少ない等の長所を有している。
以下に詳細に説明するように、本発明によれば、水または現像液等の水溶液で溶出処理することなく、そのまま印刷機にセット可能で、初期印刷時の損紙枚数が少なく、また、版を直接積み重ねて高温、多湿雰囲気中に長期保存した場合でも、版同士の付着もなく、単層あるいは2回塗布だけでの平版印刷用捨版、並びに当該捨版を合紙なしで積層した積層体を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。もっとも、以下に説明する実施の形態は本発明を限定するものではない。本発明の平版印刷用捨版は、金属支持体上にアクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩含む処理液を塗布、乾燥してなる保護層、場合によっては更に表面がマット化されたものである。
上記金属支持体は、金属からなる支持体の他、プラスチックフィルム等の非金属の表面に金属からなる層が設けられたものであってもよい。特に、金属支持体は、金属としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたもの(本明細書にあっては、アルミニウム支持体とも記す。)であることが好ましい。具体的には、アルミニウム支持体として、純アルミニウム板、またはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板を用いることができ、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムを用いることもできる。このように本発明に適用される金属支持体は、その組成が特定されるものでなく、従来公知公用の素材のアルミニウム板等の金属支持体を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金属支持体の厚みは、好ましくはおおよそ0.1〜0.5mm、より好ましくは0.15〜0.3mmである。
金属支持体を粗面処理するに先立ち、表面の圧延油を除去するために、金属支持体には、例えば、界面活性剤、又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が施されることが好ましい。
また、金属支持体には、粗面化処理が施されることが好ましい。金属支持体の表面の粗面化処理は、種々の方法により行うことができる。例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を粗面化する方法または化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ブラシ研磨、ボール研磨、ブラスト研磨、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化方法としては、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭53−123204号公報に開示されている機械的方法と電気化学的な方法を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化された金属支持体には、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施されることが好ましい。金属支持体の陽極酸化処理に用いられる電解質として、一般的に硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いることができる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜60質量%溶液、液温は5〜60℃、電流密度2〜50A/dm2、電圧1〜100V、電解時間5秒〜3分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は0.5〜4.0g/m2が適当で、0.5g/m2未満であると耐摩耗性が悪くなる場合があり、4.0g/m2を超えると、製造コストがかかり、また、印刷時にインキがカラミ易くなるので好ましくない場合がある。
陽極酸化を施された後、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を含有する処理液を塗布するが、その前に、陽極酸化された金属支持体は、さらに、例えばアルカリ金属ケイ酸塩、リン酸ナトリウム、弗化ナトリウム、弗化ジルコニウム、アルキルチタネート、トリヒドロキシ安息香酸等の単独あるいは混合液による化成処理や、熱水溶液への浸漬もしくは水蒸気浴等による封孔処理や、特開平10−297130号に記載の表面処理や、または酢酸ストロンチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、もしくは安息香酸カルシウム等の水溶液による被覆処理等をすることができる。
本発明に用いられるアクリルアミド/アクリロニトリル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩は、好ましくはアクリルアミドを20〜90モル%、より好ましくは35〜85モル%、アクリロニトリルを5〜60モル%、より好ましくは10〜50モル%、α,β−不飽和カルボン酸を1〜60モル%、より好ましくは2〜50モル%の割合で共重合させ、苛性ソーダや苛性カリ等で中和して取り出すことができる。
上記共重合体中、アクリルアミドが20モル%未満の場合には、水に溶けづらくなり、水溶液として作製しづらくなる場合があり、90モル%を超える場合には、水に過剰に溶けやすくなり、塗布した時に水分を吸収しやすくなるので好ましくない場合がある。
上記共重合体中、アクリロニトリルが5モル%未満の場合には、塗膜にした時に、ベタ付きやすくなる場合があり、60モル%を超える場合には、水または印刷時の湿し水に溶解しづらくなる場合がある。
上記共重合体中、α,β−不飽和カルボン酸が1モル%未満の場合には、水に溶けづらくなる場合があり、60モル%を超える場合には、逆に水に過剰に溶けやすくなり、塗膜にした時に水分を吸着してベトつく場合があるので好ましくない。
上記反応は過硫酸カリウム等を、モノマー全体の0.01〜1質量%、触媒として使用し、反応温度は、通常10〜90℃の範囲で行う。
本発明に用いられる上記アクリルミド/アクリロニトリル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体の平均重量分子量は3,000〜50,000の範囲が好ましく、平均重量分子量3,000未満の場合には、水に過剰に溶けやすくなり、湿気によりベタ付く傾向になり、50,000を超える場合には、水に溶けづらくなり、印刷時に汚れの要因になるので好ましくない。
本発明における共重合体は、効果を損なわない範囲において、上記3成分の他に従来公知の他のモノマー成分を導入して多元共重合体としてもよい。
処理液を塗布することで保護層を設ける際の、処理液中のアクリルアミド/アクリロニトリル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩の濃度は、好ましくは処理液の0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜10質量%である。0.1質量%未満では好ましい塗布被覆量を得るのが難しい場合があり、30質量%を超えると、厚く塗布されやすく、例えば塗布量が1.0g/m2を越えると、印刷時の湿し水での溶解が遅れ、インキ離れ性が悪くなる場合があるため、損紙が多くなるという問題が出やすい。さらに、高湿下で、合紙なしで長期保存された場合に、版同士が接着し易くなり、搬送不良等のトラブルを引き起こす場合がある。また、一旦溶解したものがゲル化する等して好ましくない場合がある。
本発明の処理液には、性能を損なわない限りにおいて、例えば水溶性樹脂、界面活性剤、有機溶剤、染料および必要に応じ防腐剤、防黴剤、消泡剤並びにキレート剤等を添加することができる。
水溶性樹脂としては、例えばアラビアガム、デキストリン、ゼラチン、例えばアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような水溶性セルロース、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類等を挙げることができる。これらの水溶性樹脂は、必要に応じて2種以上組み合わせて使用することができる。
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン界面活性剤、例えば脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のアニオン界面活性剤、例えばベタイン型、グリシン型、アラニン型、スルホベタイン型の両性界面活性剤及びシリコーン系並びにフッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、処理適性の改善や水への溶出性改善のために用いられるが、泡発生等の弊害も出るため、処理液の処方に準じて添加量を調整する必要がある。
有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが好ましく挙げられる。有機溶剤の添加は、被覆膜のレベリング性や乾燥性を向上させるとともに、処理液の消泡効果をもたらすので好ましいが、それに反して、環境汚染の原因ともなるので、必要最小限の添加に心がけることに越したことはない。
染料としては、メチレンブルー、ビクトリアブルー、クリスタルバイオレット、ローダミンB等の塩基性染料、エオシン、エリスロシン、ローズベンガル等の酸性染料、オイルブルー613(オリエント化学工業製)等の油溶性染料、および食用赤色106号等の染料が挙げられる。染料は、本発明の平版印刷用捨版の着色を目的として添加するためであると共に処理塗布液の濃度管理や塗布状態の確認のために使用する。従って、少量の添加で着色力の大きい染料が好ましく、蛍光増白染料等のように無着色でありながら、紫外線を照射すると蛍光を発するような染料も使用できる。それら染料の使用や添加量に制限はないが、処理液がアルマイト層に接触するので、アルマイト層に浸透し着色したり、ムラ、汚染並びに感脂化等の原因となり印刷に弊害を及ぼすような染料の選択や添加は好ましくない。
本発明において、保護層を塗布した後、さらに表面をマット化する場合がある。表面をマット化する方法としては、本発明明の処理液にマット剤等を添加する方法、保護層表面に水溶液樹脂あるいは水溶性樹脂とマット剤等を溶解、分散させた溶液をスプレー塗布する方法等がある。マット剤としては、例えば二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉末、澱粉、コンスターチ、重合体粒子(例えばポリアクリル酸、ポリスチレン等の粒子)等が挙げられる。
本発明の処理液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、回転塗布、押し出し塗布、バーコーター塗布、ロール塗布、エアーナイフ塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等を挙げることができる。塗布量は、乾燥後の保護層の重量に換算して、好ましくは0.01〜1.0g/m2、より好ましくは0.02〜0.8g/m2であることが好ましい。保護層の重量が0.01g/m2未満であると、保護膜としての機能が損なわれ、表面が酸化される等して汚れやすくなる場合がある。保護層の重量が1.0g/m2を超えると、印刷時の湿し水での溶解が遅れ、インキ離れ性が悪くなる場合があるため、損紙が多くなるという問題が出やすい。さらには高湿下で、合紙なしで長期保存された場合に、版同士が接着し易くなり、搬送不良等のトラブルを引き起こす場合がある。
なお、塗布された処理液の乾燥は、種々の方法で行うことができ、特に限定されるものでない。具体的には、エアードライヤー、熱風ドライヤー、赤外線ヒーター、遠赤外線ヒーター等で乾燥させる。
また、本発明の側面によると、上記平版印刷版用捨版を、水及び/又は水溶液で処理することなく印刷機にセットして印刷する平版印刷版用捨版を用いた印刷方法が提供される。本発明にかかる印刷方法は、上記平版印刷版用捨版を用いる他は、従来と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。なお、上記文献2、4等に、平版印刷版用捨版を用いた印刷方法について詳述されている。なお、上記したように、本発明にかかる平版印刷版用捨版を用いた印刷方法にあたっては、水及び/又は水溶液で処理する必要がない。これは、本発明の捨版の表面が長期に亘っても親水性を保持しており、そのまま印刷機に掛けても印刷機上の湿し水を受け付け、インキを弾く性質を有しており、印刷汚れが生じないためである。これは多分にも本発明の保護膜中アクリルアミド/アクリロニトリル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩を使用した場合の特異的効果のためであると考えられる。他方、上記文献2、4に記載されている捨版は、このまま印刷機に掛けるとインキが付着し、汚れになるので、水または現像液等で表面の樹脂を一旦溶解除去し、再度グラビアガム等を塗布して不感脂化した後に使用される捨版である。
本発明の捨版は、表面が親水性表面を有しており、折り曲げ部を付けてそのまま印刷機にセットし、湿し水ローラー、インキローラーを備えた通常のオフセット印刷機で印刷可能である。また、本発明の捨版は、従来使われている感光性平版印刷版(PS版)用現像液或いはコンピュータートゥープレート(CTP)用現像液及びガム液で処理した後に印刷機にセットして印刷しても、汚れ等が発生せず、捨版としての機能を充分に発揮する。従って、本発明の捨版は、製版方法として、従来のPS版用自動現像機、プレヒート有り又は無しのCTP用自動現像機等を通過させた後で、捨版として使用しても、何ら問題は発生しない。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に示すが、本実施例は本発明を限定するものでない。
[アクリルアミド/アクリロニトリル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩の合成例]
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素導入管を備えた1L四つ口フラスコに脱イオン水63g、アクリルアミド50g(46.9モル%)、アクリロニトリル20g(22.2モル%)、アクリル酸30g(27.9モル%)、開始剤として過硫酸カリウム1gを仕込み、窒素ガスを通じながら加熱して70℃で2時間反応して重合を完結した。40℃以下に冷却後、25質量%苛性ソーダで中和する。次いで脱イオン水で希釈し、pH6.5、濃度15質量%、25℃での粘度が10,000mPa・sの淡黄色透明の共重合体水溶液(1)を得た。
[支持体の作製]
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、よく水洗した。次いで、70℃、15質量%水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/m2エッチングした後、さらに水洗を行い、1N塩酸浴中で200クーロン/dm2で電解粗面化処理を行った。引き続き水洗した後、15質量%水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行った後、20質量%の硝酸水溶液に浸漬して、デスマットした。次いで、15質量%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.0g/m2の酸化皮膜を形成した。この支持体を水洗後、75℃の珪酸ナトリウムの5%水溶液に10秒間浸漬処理し、水洗、乾燥して、支持体1を作製した。
[実施例1〜3、比較例1]
この後、下記表1の組成処理液を、乾燥後の被覆量が0.2g/m2になるようにロール塗布して、各平版印刷用捨版を作製した。
Figure 0005165197
[実施例4]
上記支持体1と同じようにアルミニウム表面を研磨、粗面化し、陽極酸化処理したのち、珪酸ナトリウムの処理をせずに水洗、乾燥して、支持体2を作製し、この支持体上に実施例1と同じ組成処理液1を、乾燥後の被覆量が0.2g/m2になるようにロール塗布して、平版印刷用捨版を作製した。
[比較例2]
上記支持体1をそのまま平版捨版板として使用し性能比較した。
[平版印刷用捨版の性能評価]
上記のように作製した実施例1〜4、比較例1〜2の平版印刷用捨版について、下記の性能評価を行った。
[損紙枚数評価]
得られた各平版印刷用捨版をそのままオフセット輪転印刷機にかけ、東洋インキ株式会社のTK両面機エコー墨インキと、湿し水は真水(水道水)を用いて毎時10万枚のスピードで印刷開始し、全面ベタ汚れから湿し水ローラーを落とした後、汚れが消えるまでの枚数を比較した。結果を下記表2に示す。
[保存性能評価]
得られた各平版印刷用捨版を35℃、85%の高温、多湿雰囲気中に10日間放置後、上記の印刷条件にて印刷し、汚れの発生状態を目視評価した。結果を下記表2に示す。
評価基準;○印刷紙面に汚れが見られず。△僅かに小点状の汚れが発生する。×印刷紙面全体に薄い汚れが発生し、5000部印刷しても汚れが残る。
Figure 0005165197
[実施例5]
厚さ0.3mm、幅850mmのコイル状アルミニウム板を支持体1と同様なる処理をし、次いで実施例1と同様に、上記処理液1を塗布・乾燥した後、ポリアクリル酸10質量%水溶液をスプレー塗布して表面をマット化した。マットの高さは平均8μm、大きさは平均20μm、塗布量は100mg/m2であった。かくして得られたコイル状アルミニウム板を幅400mmとなるように合紙を重ねることなく、スリッター装置にて裁断したのち、カット長1100mmのシートに切断し、合紙がないまま連続的に自動集積し、500枚積み重ねて大量包装した。このように作製、集積された版を、版さばきのための水平エアーブローおよび吸盤ゴムで1枚毎に版材を自動給版する装置で給版したところ、2枚もち上がりやキズ等の発生はなかった。長期(6ヶ月)保管および35℃、湿度85%7日間保管後においても、版同士の接着も発生せず、また、印刷では損紙枚数100枚程度で問題なかった。
[比較例3]
実施例5において上記比較例1で用いた処理液4を塗布乾燥後、実施例5と同様の裁断、集積を行った。35℃、湿度85%7日間保管後では、版同士の接着しているものがあった。
表2から明らかなように、本発明の平版印刷用捨版は、水または現像液のような水溶液で溶出処理することなく、そのまま印刷機にセットでき、初期印刷時の損紙枚数が少なく、また、高温、多湿雰囲気中に長期保存した場合でも、印刷汚れが発生しない平版印刷用捨版であることが分かった。

Claims (4)

  1. 金属支持体と、該金属支持体の表面上に設けられた保護層とのみを備えた平版印刷用捨版であって、
    前記保護層が、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩からなる平版印刷用捨版。
  2. 前記保護層の表面が、マット化された請求項1に記載の平版印刷用捨版。
  3. 金属支持体に、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を含む処理液を塗布するステップと、
    該処理液を乾燥して保護層を得るステップと、
    さらに前記保護層の表面をマット化するステップと
    を含む、金属支持体と該金属支持体の表面上に設けられた保護層とのみを備えた平版印刷用捨版の製造方法。
  4. 金属支持体に、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩からなる保護層を設け、該保護層の表面をマット化してなる、金属支持体と該金属支持体の表面上に設けられた保護層とのみを備えた平版印刷用捨版を、合紙を重ねることなく積層して得られる平版印刷用捨版積層体。
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