JP5160935B2 - ミラー装置およびミラーアレイ - Google Patents

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Description

本発明は、通信用の光スイッチ等に使用されるミラー装置、および複数のミラー装置を2次元的に配置したミラーアレイに関するものである。
インターネット通信網などにおける基盤となる光ネットワークの分野では、多チャンネル化、波長分割多重(WDM)化および低コスト化を実現する技術として、光MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術が脚光を浴びており、この技術を用いて光スイッチが開発されている(例えば、特許文献1参照)。このMEMS型の光スイッチの構成部品として最も特徴的なものがミラーアレイであり、ミラーアレイは複数のミラー装置を2次元的にマトリクス状に配設したものである。図1は本発明の第1の実施の形態に係るミラー装置の構成を示す分解斜視図、図2は図1のミラー装置の断面図であるが、従来のミラー装置においても機械的な構成は同様であるので、図1、図2を用いて従来のミラー装置を説明する。
ミラー装置100は、ミラーが形成されたミラー基板(上部基板)200と、電極が形成された電極基板(下部基板)300とが平行に配設された構造を有する。ミラー基板200は、平面視略円形の開口を有する板状の枠部210と、平面視略円形の開口を有し、一対のトーションバネ211a,211bにより枠部210の開口内に配設された可動枠220と、一対のトーションバネ221a,221bにより可動枠220の開口内に配設された平面視略円形のミラー230とを有する。枠部210、トーションバネ211a,211b,221a,221b、可動枠220およびミラー230は、例えば単結晶シリコンで一体形成されている。ミラー230の表面には例えば3層のTi/Pt/Au層が形成されている。
一対のトーションバネ211a,211bは、枠部210と可動枠220とを連結している。可動枠220は、一対のトーションバネ211a,211bを通る図1の可動枠回動軸xを軸として回動することができる。同様に、一対のトーションバネ221a,221bは、可動枠220とミラー230とを連結している。ミラー230は、一対のトーションバネ221a,221bを通る図1のミラー回動軸yを軸として回動することができる。可動枠回動軸xとミラー回動軸yとは、互いに直交している。結果として、ミラー230は、直交する2軸で回動する。
電極基板300は、板状の基部310と、基部310の表面(上面)から突出し、対向するミラー基板200のミラー230と対向する位置に形成された段丘状の突出部320を有する。基部310と突出部320は例えば単結晶シリコンからなる。突出部320は、基部310の上面に形成された角錐台の形状を有する第2テラス322と、この第2テラス322の上面に形成された角錐台の形状を有する第1テラス321と、この第1テラス321の上面に形成された柱状の形状を有するピボット330とから構成される。このピボット330は、第1テラス321のほぼ中央に位置するように形成される。これにより、ピボット330は、ミラー230の中心に対向する位置に配設される。
突出部320の四隅とこの四隅に続く基部310の上面には、対向するミラー基板200のミラー230と同心の円内に4つの電極340a〜340dが形成されている。また、基部310の上面には、突出部320を挟むように並設された一対の凸部360a,360bが形成されている。さらに、基部310の上面の突出部320と凸部360aおよび凸部360bとの間の箇所には、それぞれ配線370が形成されており、この配線370には、引き出し線341a〜341dを介して電極340a〜340dが接続されている。なお、基部310の表面には酸化シリコン等からなる絶縁層311が形成されており、この絶縁層311の上に電極340a〜340d、引き出し線341a〜341d、配線370が形成されている。
以上のようなミラー基板200と電極基板300とは、ミラー230とこのミラー230に対応する電極340a〜340dとが対向配置されるように、枠部210の下面と凸部360a,360bの上面とを接合することにより、図2に示すようなミラー装置100を構成する。このようなミラー装置においては、ミラー230を接地し、電極340a〜340dに正の電圧を与えて、しかも電極340a〜340d間に非対称な電位差を生じさせることにより、ミラー230を静電引力で吸引し、ミラー230を任意の方向へ回動させることができる。
特開2003−57575号公報
従来のミラー装置では、電極340a〜340dに直流電圧を印加するため、電極340a〜340dとミラー230との間に存在する浮遊容量(例えば絶縁層311)が電極340a〜340dへの電圧印加により分極し、あるいは何らかの理由で帯電し、これが徐々に放電あるいは充電されてミラー230の駆動力に影響を与えるため、ミラー230の動作時に、ミラー230と電極340a〜340d間の電位が時間と共に変動して、ミラー230の回動角度が徐々に変動する現象、すなわちドリフトが発生してしまうという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ミラーのドリフトの発生を抑制することができるミラー装置およびミラーアレイを提供することを目的とする。
本発明のミラー装置は、回動可能に支持されたミラーと、このミラーから離間して配置された複数の電極と、前記ミラーにミラー印加電圧を供給するミラー電圧印加手段と、前記複数の電極のそれぞれに駆動電圧を供給する駆動電圧印加手段とを備え、前記ミラー電圧印加手段は、第1の電位が継続する第1の区間と、前記第1の電位と絶対値が等しく極性の異なる第2の電位が継続する第2の区間とが交互に生じるように、前記ミラー印加電圧を前記ミラーに供給し、前記駆動電圧印加手段は、第3の電位が前記第1の区間と等しい時間幅だけ継続する第3の区間と、前記第3の電位と絶対値が等しく極性の異なる第4の電位が前記第2の区間と等しい時間幅だけ継続する第4の区間とが交互に生じるように、前記駆動電圧を前記電極のそれぞれに供給し、前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極に供給する駆動電圧の前記第3の区間の開始する時間を、前記ミラーの所望の回動角に応じて前記第1の区間の始めから前記第2の区間の終わりまでの時間で変化させることを特徴とするものである。
また、本発明のミラー装置の1構成例において、前記第1の電位および第2の電位の絶対値は、前記第3の電位および第4の電位の絶対値と異なることを特徴とするものである。
また、本発明のミラー装置の1構成例において、前記ミラー電圧印加手段は、平均直流成分が略零となる前記ミラー印加電圧を生成し、前記駆動電圧印加手段は、平均直流成分が電極毎に略零となる前記駆動電圧を生成することを特徴とするものである。
また、本発明のミラー装置の1構成例において、前記ミラー印加電圧および駆動電圧の周波数は、前記ミラーの回動の共振周波数よりも高いことを特徴とするものである。
また、本発明は、ミラー装置を、ミラーが2次元的に並ぶように複数配置したミラーアレイにおいて、1つの前記ミラー電圧印加手段を各ミラー装置で共有し、各ミラーに共通のミラー印加電圧を供給することを特徴とするものである。
本発明によれば、ミラー電圧印加手段が、第1の電位が継続する第1の区間と、第1の電位と絶対値が等しく極性の異なる第2の電位が継続する第2の区間とが交互に生じるように、ミラー印加電圧をミラーに供給し、駆動電圧印加手段が、第3の電位が第1の区間と等しい時間幅だけ継続する第3の区間と、第3の電位と絶対値が等しく極性の異なる第4の電位が第2の区間と等しい時間幅だけ継続する第4の区間とが交互に生じるように、駆動電圧を電極のそれぞれに供給することにより、電極とミラーとの間に存在する浮遊容量に溜まる電荷を零に近づけることができ、ミラーのドリフトの発生を抑制することができる。また、本発明では、複数の電極のうち少なくとも1つの電極に供給する駆動電圧の第3の区間の開始する時間を、ミラーの所望の回動角に応じて第1の区間の始めから第2の区間の終わりまでの時間で変化させることにより、ミラーの回動角を制御することができる。
また、本発明では、第1の電位および第2の電位の絶対値を、第3の電位および第4の電位の絶対値と異なるようにすることにより、ミラーのドリフトの発生を更に抑制することができる。
また、本発明では、ミラー印加電圧および駆動電圧の周波数を、ミラーの回動の共振周波数よりも高くすることにより、ミラーの振動を抑制することができる。結果として、本発明のミラー装置を光スイッチに用いた場合に、ミラーの振動による出力光のパワーの低下を防ぐことができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るミラー装置の構成を示す分解斜視図、図2は図1のミラー装置の断面図である。ミラー装置100は、ミラーが形成されたミラー基板(上部基板)200と、電極が形成された電極基板(下部基板)300とが平行に配設された構造を有する。
ミラー基板200は、平面視略円形の開口を有する板状の枠部210と、平面視略円形の開口を有し、一対のトーションバネ211a,211bにより枠部210の開口内に配設された可動枠220と、一対のトーションバネ221a,221bにより可動枠220の開口内に配設された平面視略円形のミラー230とを有する。枠部210、トーションバネ211a,211b,221a,221b、可動枠220およびミラー230は、例えば単結晶シリコンで一体形成されている。ミラー230の表面には例えば3層のTi/Pt/Au層が形成されている。
一対のトーションバネ211a,211bは、枠部210と可動枠220とを連結している。可動枠220は、一対のトーションバネ211a,211bを通る図1の可動枠回動軸xを軸として回動することができる。同様に、一対のトーションバネ221a,221bは、可動枠220とミラー230とを連結している。ミラー230は、一対のトーションバネ221a,221bを通る図1のミラー回動軸yを軸として回動することができる。可動枠回動軸xとミラー回動軸yとは、互いに直交している。結果として、ミラー230は、直交する2軸で回動する。
電極基板300は、板状の基部310と、基部310の表面(上面)から突出し、対向するミラー基板200のミラー230と対向する位置に形成された段丘状の突出部320を有する。基部310と突出部320は例えば単結晶シリコンからなる。突出部320は、基部310の上面に形成された角錐台の形状を有する第2テラス322と、この第2テラス322の上面に形成された角錐台の形状を有する第1テラス321と、この第1テラス321の上面に形成された柱状の形状を有するピボット330とから構成される。このピボット330は、第1テラス321のほぼ中央に位置するように形成される。これにより、ピボット330は、ミラー230の中心に対向する位置に配設される。
突出部320の四隅とこの四隅に続く基部310の上面には、対向するミラー基板200のミラー230と同心の円内に4つの電極340a〜340dが形成されている。また、基部310の上面には、突出部320を挟むように並設された一対の凸部360a,360bが形成されている。さらに、基部310の上面の突出部320と凸部360aおよび凸部360bとの間の箇所には、それぞれ配線370が形成されており、この配線370には、引き出し線341a〜341dを介して電極340a〜340dが接続されている。
以上のようなミラー基板200と電極基板300とは、ミラー230とこのミラー230に対応する電極340a〜340dとが対向配置されるように、枠部210の下面と凸部360a,360bの上面とを接合することにより、図2に示すようなミラー装置100を構成する。このようなミラー装置100においては、ミラー230を接地し、電極340a〜340dに正の電圧を与えて、しかも電極340a〜340d間に非対称な電位差を生じさせることにより、ミラー230を静電引力で吸引し、ミラー230を任意の方向へ回動させることができる。
前述のとおり、枠部210、トーションバネ211a,211b,221a,221b、可動枠220およびミラー230は、導電性の材料(本実施の形態では単結晶シリコン)で一体形成されている。一方、単結晶シリコン等からなる基部310の表面には酸化シリコン等からなる絶縁層311が形成されており、この絶縁層311の上に電極340a〜340d、引き出し線341a〜341d、配線370が形成されている。
本実施の形態と従来のミラー装置との大きな相違点は、従来のミラー装置ではミラーを接地し、電極340a〜340dに直流の駆動電圧を印加しているのに対して、本実施の形態では、ミラー230に平均直流成分が略零で矩形波であるミラー印加電圧を供給すると共に、電極340a〜340dにミラー230に供給した電圧と同じ周波数の矩形波である駆動電圧を供給し、各駆動電極への駆動電圧振幅が共通である点にある。そして、ミラー230を回動させる際、ミラー230の角度に応じて、ミラー印加電圧に対する各電極への駆動電圧の位相のみを変化させることで、ミラー230の角度を制御する。以下、本実施の形態と従来のミラー装置との相違点についてより詳細に説明する。図3は本実施の形態のミラー装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。
ミラー電圧印加部400は、枠部210とトーションバネ211a,211bと可動枠220とトーションバネ221a,221bとを介してミラー230にミラー印加電圧を供給する。ミラー印加電圧は、平均直流成分が略零の交流電圧であり、ミラー230の回動角度に依存せずに常に一定の振幅である。
駆動電圧印加部401は、駆動電圧として平均直流成分が電極340a〜340d毎に略零となる交流電圧をミラー230の所望の回動角に応じて電極340a〜340d毎に生成して印加する。電極340a〜340dには、それぞれ引き出し線341a〜341dを介して駆動電圧が印加される。このときの各電極への交流電圧の振幅もミラー230の回動角度に依存せず一定である。位相制御部402がミラー印加電圧に対する各電極への駆動電圧の位相を制御することによって、ミラー230は電極340a〜340dそれぞれとの間の電位差に応じた方向に回動する。
ミラー230を実際に制御する際には、位相制御部402が以下のような処理を行う。駆動電圧印加部401は、予めミラー230の回動角と各電極毎の位相差(ミラー印加電圧と駆動電圧との間の位相差)との関係が設定されたテーブル403を内部に備えている。位相制御部402は、ミラー230の所望の回動角に対応する位相差の値をテーブル403から取得して、ミラー印加電圧に対して当該位相差を持った駆動電圧を電極340a〜340dに供給する。
ミラー230に電圧を印加する方法を説明する。ミラー電圧印加部400は、ミラー印加電圧として図4(A)に示すような振幅0.5V1の矩形波電圧をミラー230に供給する。ここで、電圧V1は、ミラー230を接地して電極に直流の駆動電圧を印加した場合に、ミラー230の回動角度が使用目的に必要な最大角度となる駆動電圧である。
一方、駆動電圧印加部401も、初期状態として、図4(A)に示したミラー印加電圧と周波数、振幅および位相が等しい駆動電圧を電極340a〜340dに供給する(図4(B))。このとき、全く同じ波形をミラー230と電極340a〜340dの双方に印加しているため、ミラー230と電極340a〜340d間の電位差は時間によらず常に0Vになる。
次に、ミラー230の傾きを制御するために、ミラー230に供給するミラー印加電圧に対して電極340a〜340dのうち少なくとも1つの電極に供給する駆動電圧の位相を図4(C)のように変化させる。ここでは、電極340bに供給する駆動電圧の位相を変化させるものとする。これにより、駆動電圧の位相を変化させた電極340bのミラー230に対する電位差は図4(D)のようになる。すなわち、接地電位を中心に、振幅V1で幅がWの矩形波パルスが正負交互に発生するような電位差となる。したがって、ミラー230と電極340b間の静電引力と、ミラー230と電極340d間の静電引力に差が生じるので、ミラー230は電極340b側に引き寄せられるようにミラー回動軸yの周りを回動する。ここで、ミラー印加電圧および駆動電圧として与える矩形波の周波数を、ミラー230が矩形波の電圧変化に追従できないほど十分に早い周波数とすることにより、ミラー230の回動角は矩形波に追従することなく、一定の回動角となる。具体的には、矩形波の周波数は、ミラー230の回動方向に関する共振周波数の2倍以上とすることが望ましい。
そして、電極340bに供給する駆動電圧の位相差φを0度から180度の間で大きくするに従い、矩形波パルスの幅Wは広くなり、ミラー230の回動角が大きくなっていく。図4(D)に示した電位差は、ミラー230を接地電位にして電極340bに図4(D)のような駆動電圧を印加する場合に生じる電位差と同等である。
ミラー230の回動角と駆動電圧の位相差φとの関係について説明する。ミラー230の駆動力となる静電引力は、ミラー230と電極間の電位差の二乗に比例するため、電位差が正負どちらの電圧であっても静電引力に変わりはない。そのため、ミラー230に図4(A)に示したミラー印加電圧を与え、電極340bに図4(A)と逆相の駆動電圧(すなわち、ミラー印加電圧と180度位相がずれた(φ=180)電圧)を与えた場合、ミラー230と電極340b間の電位差は+V1と−V1が交互に現れる矩形波電圧となる。このとき、ミラー230は、ミラー230に接地電位を与え、電極340bに正あるいは負の直流電圧V1を与えた場合と同じ角度だけ回動する。
一方、電極340bに供給する駆動電圧の位相差φを0度から180度の間で変化させた場合、ミラー230と電極340b間の電位差は図4(D)のような電圧になるが、ミラー印加電圧および駆動電圧の周波数が、先に述べたようにミラー230が追従できないほど十分に早い周波数である場合、ミラー230の駆動に影響を与える実効的な電位差は、図4(D)の電位差の2乗値を時間平均した値となる。すなわち、ミラー230と電極340bとの間に図4(D)のような電位差が生じた場合、ミラー230の駆動に影響を与える実効的な電位差は、図4(D)の矩形波パルスの幅Wに比例する。
図5は、3つの電極340a,340c,340dにミラー印加電圧と同じ位相の図4(B)のような駆動電圧を印加し、電極340bに供給される駆動電圧のミラー印加電圧に対する位相差φを変化させたときに、電極340b側に傾くミラー230の回動角度θを測定した結果である。ミラー230に供給するミラー印加電圧と電極340bに供給する駆動電圧との位相差φが0度のときは前述のようにミラー230と電極340a〜340d間の電位差は常に0となるため、ミラー230の回動角度は0度、すなわちミラー230は枠部210と平行になる。
一方、ミラー230に供給するミラー印加電圧と電極340bに供給する駆動電圧との位相差φが180度となったとき、ミラー230と電極340b間の電位差は、振幅がV1でパルス幅WがT/2(Tはミラー印加電圧および駆動電圧の周期)の負の矩形波パルスと振幅がV1でパルス幅WがT/2の正の矩形波パルスとが交互に現れる波形となる。このとき、ミラー230は、ミラー230に接地電位を与え、電極340bに正あるいは負の直流電圧V1を与えた場合と同じ角度だけ回動し、必要な最大角度を得ることができる。
図5によれば、駆動電圧の位相差φを0度から180度まで変化させていくことで、ミラー230の回動角度は「最大角度」に向けて増加していく結果が示されている。すなわち、電極に供給する駆動電圧の位相のみを変化させることにより、ミラー230を所望の角度に回動させることができる。また、位相を180度から360度に変化させた場合は180度で回動角が最大となり、徐々に角度が小さくなる。どちらの場合も角度の増減が逆になる以外は同様の角度制御が可能であるため、どちらを使用しても良い。
以下、本実施の形態の効果について説明する。ミラー印加電圧および駆動電圧によって浮遊容量(例えば絶縁層311)に溜まる電荷の正負は、ミラー印加電圧および駆動電圧の正負によって異なる。したがって、ミラー230にミラー印加電圧として平均直流成分が略零となる交流電圧(正負の電圧印加時間幅が略等しく、かつ正負の振幅が略等しい交流電圧)を印加すると共に、電極340a〜340dに駆動電圧として平均直流成分が電極340a〜340d毎に略零となる交流電圧を印加すれば、浮遊容量に溜まる電荷の充電は交流電圧に応じた正負で相殺し合うため、浮遊容量に溜まる電荷は平均的に見れば零に近づく。結果として、本実施の形態では、浮遊容量に溜まる電荷が要因となるミラー230のドリフトの発生を抑制することができる。
ドリフトの発生が抑制できるため、本実施の形態のミラー装置では、ミラー230の回動角と駆動電圧の位相差との関係が設定されたテーブル403に従って、電極340a〜340dに供給する駆動電圧の位相を制御するだけで、ミラー230の所望の回動角が得られるようになる。すなわち、ミラー230の動作の制御が容易になる、という効果が得られる。また、ミラー回動角と位相は図5のようにほぼ比例関係となっている。直流電圧でその振幅により回動角を制御する場合、回動角は振幅の2乗に比例するのに対し、本実施の形態の位相による制御では線形に近づくため、ミラー回動角制御が非常に容易になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは、電極に供給する駆動電圧が異なるのみであるため、その相違点のみを詳細に説明する。ミラー装置の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図1〜図3の符号を用いる。
まず、ミラー電圧印加部400は、図6(A)に示すように図4(A)と全く同じミラー印加電圧をミラー230に供給する。
一方、駆動電圧印加部401は、図6(A)に示したミラー印加電圧と周波数および位相が等しく、(0.5V1+V2)の振幅を持つ駆動電圧を電極340a〜340dに供給する(図6(B))。すなわち、駆動電圧は、振幅が(0.5V1+V2)の正の矩形波パルスと振幅が(0.5V1+V2)の負の矩形波パルスとが交互に現れる波形となる。
ここで、電圧(V1+V2)は、第1の実施の形態と同様に、ミラー230を接地して電極に直流の駆動電圧を印加した場合に、ミラー230の回動角度が使用目的に必要な最大角度となる駆動電圧である。また、電圧V2は、ミラー230の角度ドリフトによって変化する見かけ上の電圧よりも大きければよい。例えば、ミラー230の最大角度ドリフト量をミラー駆動電圧の変化に換算した場合、最大駆動電圧に対して1割以下の変化であった場合、電圧V2は、0.1×V1以上とすればよい。
ミラー230の傾きを制御するには、第1の実施の形態と同様に、ミラー230に供給するミラー印加電圧に対して電極340a〜340dのうち少なくとも1つの電極に供給する駆動電圧の位相を図6(C)のように0度から180度の間で変化させればよい。ここでは、電極340bに供給する駆動電圧の位相を変化させるものとする。これにより、駆動電圧の位相を変化させた電極340bのミラー230に対する電位差は図6(D)のようになる。すなわち、接地電位を中心に、振幅(V1+V2)で幅がWの矩形波パルスが、+V2あるいは−V2の電位を経由して正負交互に発生するような電位差となる。したがって、ミラー230と電極340b間の静電引力と、ミラー230と電極340d間の静電引力に差が生じるので、ミラー230は電極340b側に引き寄せられるようにミラー回動軸yの周りを回動する。
そして、電極340bに供給する駆動電圧の位相差φを0度から180度の間で大きくするに従い、矩形波パルスの幅Wは広くなり、ミラー230の回動角が大きくなっていく。図6(D)に示した電位差は、ミラー230を接地電位にして電極340bに図6(D)のような駆動電圧を印加する場合に生じる電位差と同等である。
先に述べたように、ミラー印加電圧および駆動電圧の周波数が、ミラー230が追従できないほど十分に早い周波数である場合、ミラー230の駆動に影響を与える実効的な電位差は図6(D)の電位差の2乗値の時間平均であるから、ミラー230と電極340b間の電位差が+V2あるいは−V2となる区間ではミラー230は電位差+V2,−V2に追従しない。よって、駆動電圧の位相差φとミラー230の回動角度との関係は、第1の実施の形態で示した図5とほぼ同様の関係になる。
このように、本実施の形態では、電極340bに供給する駆動電圧の振幅を、ミラー230に供給するミラー印加電圧の振幅よりも僅かに大きくすることにより、第1の実施の形態に比べて、ミラー230のドリフトの発生を更に抑制することができる。すなわち、第1の実施の形態では、ミラー230と電極340b間の電位差が正のときと負のときは浮遊容量に溜まる電荷を零に近づけることができるが、電位差が0のときには浮遊容量に溜まる電荷の影響を取り除くことができないため、若干角度ドリフトの影響が残ってしまう。これに対して、本実施の形態では、図6(D)からも分かるように、ミラー230と電極340b間の電位差が0の区間は存在しない。よって、浮遊容量に溜まる電荷の影響を正負の電位差で常に相殺することが可能なので、第1の実施の形態に比べて、ミラー230のドリフトの発生を更に抑制することができる。また、この例では駆動電圧の振幅をミラー印加電圧よりも大きくしたが、逆にミラー印加電圧を駆動電圧よりも大きくした場合も、ミラーと駆動電極間の電位差は同様の波形となり、全く同じ効果を得ることができる。
また、従来のミラー装置のようにミラー230を接地し、図4(D)あるいは図6(D)のような駆動電圧を電極340a〜340dに供給する場合、駆動電圧印加部の構成が非常に複雑になるという問題があった。これに対して、第1、第2の実施の形態では、ミラー印加電圧に対する駆動電圧の位相差を変化させてミラー230の回動を制御するので、ミラー230の傾きによらずミラー印加電圧と駆動電圧の両方に同等の波形を用いることが可能なので、駆動電圧の作成を容易にすることが可能となる。
また、従来のミラー装置では、ミラー230に必要な最大角度を得るための電圧V1と同等程度の振幅の駆動電圧が必要となるため、大きな耐圧を持つ駆動素子を組み合わせて駆動電圧印加部の回路を作製する必要があった。これに対して、第1、第2の実施の形態では、ミラー印加電圧および駆動電圧の最大値は電圧V1の約半分にすれば良いため、ミラー電圧印加部400および駆動電圧印加部401内の駆動素子に耐圧が小さいものを利用することができる。
なお、第1、第2の実施の形態では、電極340bに供給する駆動電圧のミラー印加電圧に対する位相差のみを変化させたが、これに限るものではなく、各電極340a〜340dに供給する駆動電圧の位相差を電極毎に独立に変化させてもよいことは言うまでもない。
また、ミラーがアレイ状に配置されたミラーアレイの場合、ミラー駆動電圧は各ミラーで共通にすることができるので、アレイ化した場合でも回路規模が大きくなることはない。すなわち、ミラーアレイの場合は、ミラー装置毎にミラー電圧印加部400を設けるのではなく、複数のミラー装置で1つのミラー電圧印加部400を共有することができる。
第1、第2の実施の形態では、正電位及び負電位のデューティー比が50%となるパルス電圧を用いていた。しかしミラー角度ドリフトの原因となる浮遊電荷のチャージ量が正電圧印加時と負電圧印加時で異なる場合があり、この場合、第1、第2の実施の形態ではチャージの増加を防ぐことができない。その場合、正負印加電圧による浮遊電荷のチャージ特性に合わせ、正電位および負電位のデューティー比を調整し、平均が0でなくなるようにすることで回避できる。
本発明は、ミラー装置、および複数のミラー装置を2次元的に配置したミラーアレイに適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るミラー装置の構成を示す分解斜視図である。 図1のミラー装置の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るミラー装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態においてミラーに印加するミラー印加電圧、電極に印加する駆動電圧、および電極とミラーとの間の電位差の1例を示す波形図である。 本発明の第1の実施の形態において駆動電圧の位相差とミラーの回動角度との関係を示す図である。 本発明の第2の実施の形態においてミラーに印加するミラー印加電圧、電極に印加する駆動電圧、および電極とミラーとの間の電位差の1例を示す波形図である。
符号の説明
100…ミラー装置、200…ミラー基板、211a,211b,221a,221b…トーションバネ、220…可動枠、230…ミラー、300…電極基板、340a〜340d…電極、400…ミラー電圧印加部、401…駆動電圧印加部、402…位相制御部、403…テーブル。

Claims (5)

  1. 回動可能に支持されたミラーと、
    このミラーから離間して配置された複数の電極と、
    前記ミラーにミラー印加電圧を供給するミラー電圧印加手段と、
    前記複数の電極のそれぞれに駆動電圧を供給する駆動電圧印加手段とを備え、
    前記ミラー電圧印加手段は、第1の電位が継続する第1の区間と、前記第1の電位と絶対値が等しく極性の異なる第2の電位が継続する第2の区間とが交互に生じるように、前記ミラー印加電圧を前記ミラーに供給し、
    前記駆動電圧印加手段は、第3の電位が前記第1の区間と等しい時間幅だけ継続する第3の区間と、前記第3の電位と絶対値が等しく極性の異なる第4の電位が前記第2の区間と等しい時間幅だけ継続する第4の区間とが交互に生じるように、前記駆動電圧を前記電極のそれぞれに供給し、
    前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極に供給する駆動電圧の前記第3の区間の開始する時間を、前記ミラーの所望の回動角に応じて前記第1の区間の始めから前記第2の区間の終わりまでの時間で変化させることを特徴とするミラー装置。
  2. 請求項1に記載のミラー装置において、
    前記第1の電位および第2の電位の絶対値は、前記第3の電位および第4の電位の絶対値と異なることを特徴とするミラー装置。
  3. 請求項1または2記載のミラー装置において、
    前記ミラー電圧印加手段は、平均直流成分が略零となる前記ミラー印加電圧を生成し、
    前記駆動電圧印加手段は、平均直流成分が電極毎に略零となる前記駆動電圧を生成することを特徴とするミラー装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のミラー装置において、
    前記ミラー印加電圧および駆動電圧の周波数は、前記ミラーの回動の共振周波数よりも高いことを特徴とするミラー制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のミラー装置を、ミラーが2次元的に並ぶように複数配置したミラーアレイにおいて、
    1つの前記ミラー電圧印加手段を各ミラー装置で共有し、各ミラーに共通のミラー印加電圧を供給することを特徴とするミラーアレイ。
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