第1の発明は、使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記検出出力が所定時間以上継続して所定閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、前記検出出力の変化率が所定離反値以上である否かで前記使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、前記操作判定部は、前記継続時間の長さに応じて操作判断値を設定し、前記検出出力の変化率が前記操作判断値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
その結果、使用者がタッチスイッチを早く押す場合や、ゆっくり押す場合などの動作に応じて、最適な操作判断値を設定できるので、使用者の指の離反によって検出出力が低下したのか、あるいは水滴とタッチ検出電極との間の放電によって検出出力が低下したのか、をより的確に判断することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記接触判定部が前記使用者の接触が有ったと判定し、前記離反判定部が前記使用者の離反が有ったと判定した後、前記検出出力の変化率が前記操作判断値以上である場合に、前記操作判定部は前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
その結果、ごくわずかな量の水滴がかかった場合など、検出出力の変化率と、使用者が操作した場合の変化率と、がほぼ同じであったとしても、使用者の操作があったと判定されないため、使用者がタッチ検出電極を操作したのか、あるいは水滴がタッチ検出電極に付いたのか、をより正確に判断することができる。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記操作判定部は、前記継続時間が長いほど、前記操作判断値を小さく設定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
その結果、水滴の大きさに応じた判断を行うことができるため、使用者がタッチ検出電極を操作したのか、あるいは水滴がタッチ検出電極に付いたのか、をより正確に判断することができる。つまり、小さな水滴の場合には前記継続時間が短くなり、前記検出出力の変化率が大きくなるため、前記継続時間の長さにより水滴の大きさを推定し、前記操作判断値の値をその特性に合致させて、指と水滴との相違を判断することができる。
また、第4の発明は、使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、前記使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記検出出力が第1の検知閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、前記検出出力が前記第1の検知閾値よりも小さい第2以降の検知閾値以下であるか否かで前記使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、前記操作判定部は、前記検出出力が前記第1の検知閾値以上である状態が継続した時間に応じて前記第2以降の検知閾値を継続させる所定時間を設定し、前記所定時間の間に前記検出出力が第2以降の検知閾値以下となった場合に、前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
その結果、検出出力の変化率の演算処理を行うことなく、検知中の検知閾値を変更するだけで、指や水滴による検出出力の特性に合致した条件を再現でき、使用者がタッチ検出電極を操作したのか、あるいは水滴がタッチ検出電極に付いたのか、をより正確に判断することができる。
また、第5の発明は、第4の発明において、前記継続時間が長いほど、前記所定時間を長く設定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
その結果、使用者がタッチスイッチを早く押す場合や、ゆっくり押す場合などの動作に応じて検知閾値を変化させることができ、また水滴の大きさに応じた判断を行うことができるため、使用者がタッチ検出電極を操作したのか、あるいは水滴がタッチ検出電極に付いたのか、をより正確に判断することができる。
また、第6の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明のタッチスイッチ検出装置と、給水流路を開閉する電磁弁と、前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする給水装置である。
その結果、水滴がかかっても誤動作することなく、より正確な操作判断をして吐水動作を行うことができる。
また、第7の発明は、第6の発明において、前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記接触判定部の所定閾値と、前記操作判断値と、の少なくともいずれかを変更することを特徴とする給水装置である。
その結果、給水装置の吐水開始前の状態と、吐水中で水のかかりやすい状態と、のそれぞれに応じてタッチスイッチ検出装置の判断基準を変更でき、水の影響を考慮したより正確な操作判断を行うことができる。
また、第8の発明は、第7の発明において、前記操作判定部は、前記電磁弁が開放状態の場合、前記電磁弁が閉止状態の場合に比べて前記接触判定部の所定閾値を大きく設定し、前記操作判断値を大きく設定することを特徴とする給水装置である。
その結果、電磁弁が開放状態の場合には、タッチ検出電極に水がかかりやすく、また止水するときに濡れた手で操作されることが多いため、そのタッチ検出電極の操作に関する水滴の影響を考慮してより正確な操作判断を行うことができる。
また、第9の発明は、第6の発明において、前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記接触判定部の第1の検知閾値を変更することを特徴とする給水装置である。
その結果、給水装置の吐水開始前の状態と、吐水中で水のかかりやすい状態と、のそれぞれに応じてタッチスイッチ検出装置の判断基準を変更でき、水の影響を考慮したより正確な操作判断を行うことができる。
また、第10の発明は、第9の発明において、前記操作判定部は、前記電磁弁が開放状態の場合、前記電磁弁が閉止状態の場合に比べて前記接触判定部の第1の検知閾値を大きく設定することを特徴とする給水装置である。
その結果、電磁弁が開放状態の場合には、タッチ検出電極に水がかかりやすく、また止水するときに濡れた手で操作されることが多いため、そのタッチ検出電極の操作に関する水滴の影響を考慮してより正確な操作判断を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置のブロック図を表す。
本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、タッチ検出電極200と、検出部300と、操作判定部400と、を備えている。タッチ検出電極200は、後述するように、例えば給水装置などが有するパネルの直下などに設けられる。なお、使用者や水滴などがこのパネルに触れることは、タッチ検出電極200に触れることと等価である。検出部300は、発振部310と、電圧変換部320と、を有している。また、操作判定部400は、接触判定部410と、離反判定部420と、を有している。
発振部310は高周波信号を出力し、その高周波信号に基づいて高周波電圧を形成してタッチ検出電極200に印加する。使用者がタッチ検出電極200に指で触れていない場合には、タッチ検出電極200に印加される高周波電圧の電圧振幅は変化せず、電圧変換部320へ出力される。これに対して、使用者がタッチ検出電極200に指で触れている場合には、タッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化する。その結果、タッチ検出電極200に印加される高周波電圧の電圧振幅は静電容量の変化に応じて変化し、電圧変換部320へ出力される。電圧変換部320は、発振部310の出力を電圧値の検知信号として操作判定部400へ出力する。
接触判定部410は、電圧変換部320から出力された検知信号(検出出力)を受信すると、後に詳述する動作に基づいて、人の指などがタッチ検出電極200に接触したか否かの判定を行う。一方、離反判定部420は、電圧変換部320から出力された検知信号を受信すると、後に詳述する動作に基づいて、人の指などがタッチ検出電極200から離反したか否かの判定を行う。
図2は、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置のブロック図を表す。
また、図3は、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置の模式図を表す。
本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、例えば給水装置などに用いられる。図2および図3に表した給水装置500は、タッチスイッチ検出装置100と、制御部510と、給水流路を開閉する電磁弁520と、給水流路を介して供給された水を吐水する吐水口530と、を備えている。
図3に表した給水装置は、タッチスイッチ検出装置100a、100b、100cを有しており、例えばタッチスイッチ100a検出装置は「吐水スイッチ」、タッチスイッチ検出装置100bは「流量調整スイッチ」、タッチスイッチ検出装置100cは「止水スイッチ」としての機能を有することができる。
制御部510は、タッチスイッチ検出装置100から出力された信号に基づいて、使用者の操作の有無を判断し、電磁弁520に吐止水動作を指示する。電磁弁520は、制御部510から出力された指示に基づいて弁の開閉動作を行う。これにより、給水装置500の吐水口530からの吐水が制御される。
図4は、タッチ検出電極を乾いた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図4に表したグラフ図の縦軸は電圧値(100mV/div)を表し、横軸は時間(50ms/div)を表している。
使用者がタッチ検出電極200に指で触れると、図1に関して前述したように、タッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化し、検出部300から出力される電圧値の検知信号は変化する。また、タッチ検出電極200に指で触れた場合、タッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に大きくなっていくため、図4に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値(検出出力)は徐々に上昇していく。ここで、電圧変換部320の変換方法は、使用者がタッチ検出電極200に指で触れると、電圧値が低下していくものであってもよい。
使用者がタッチ検出電極200に指で触れている場合には、触れていない場合に対してタッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化(上昇)したままの状態となるため、図4に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値は上昇したままで略一定となる。その後、使用者がタッチ検出電極200から指を離すと、タッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に小さくなっていくため、検出部300から出力される電圧値は徐々に低下していく。指がタッチ検出電極200から完全に離れると、検出部300から出力される電圧値は、図4に表したグラフ図のように、指で触れる前の電圧値まで低下し略一定となる。
図5は、タッチ検出電極に水滴が付いたときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
なお、図5に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図4に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。
タッチ検出電極200に水滴が付くと、指で触れた場合と同様に、タッチ検出電極200と水滴との間の静電容量が変化し、検出部300から出力される電圧値の検知信号は変化する。タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、指で触れる場合と比較すると、タッチ検出電極200に対する水滴の接触面積は速く広がるため、図5に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値の変化率(上昇率)は指で触れた場合の上昇率よりも大きい。ここでも、電圧変換部320の変換方法は、タッチ検出電極200に水滴が付くと、電圧値が低下していくものであってもよい。
また、使用者がタッチ検出電極200を触れている場合は、人は大地とも接触しているため、タッチ検出電極200から使用者に送られた電荷は人体を通して大地へと抜けていく。そのため、使用者が指を離すまでの間に検出部300から出力される電圧値は、ある電圧値に維持される。これに対して、水滴が付いた場合には、タッチ検出電極200から水滴へ電荷が送られることにより、水滴の容量成分に充電が進み、最終的にタッチ電極200と水滴とが同電位になってしまう。そのため、水滴がタッチ検出電極200に付いたままの状態であっても、図5に表したように、電圧値は徐々に低下していく。そして、タッチ検出電極200から水滴に電荷が移る速度は、水滴の容量成分により時定数が決まるが、使用者がタッチ検出電極200から指を離す速度より遅い。そのため、水滴がタッチ検出電極200に付いたままの状態における電圧値の低下率は、使用者がタッチ検出電極200から指を離したときにおける電圧値の低下率よりも小さく、緩やかに低下していく。
次に、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置の動作の具体例について図面を参照しつつ説明する。
図6は、タッチ検出電極を指で速く押した場合を例示する模式図である。なお、図6(a)は、タッチ検出電極に指で触れた状態を表す模式図であり、図6(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指で速く押すと、検出部300から出力された電圧値は徐々に上昇し(範囲A1)、電圧値は上昇したままで略一定となる(範囲B1)。ここで、操作判定部400は、後に詳述するように、検出部300から出力された電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上であるか否かを判定する。その電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上である場合には、指や水滴などがタッチ検出電極200に接触したと判定する。これは、例えば落下物などがタッチ検出電極200に略瞬間的に接触することによって誤動作することを防止するためである。
その後、使用者がタッチ検出電極200から指を離すと、検出部300から出力される電圧値は徐々に低下し(範囲C1)、例えば約20ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置を押す前の電圧値で略一定となる(範囲D1)。ここで、操作判定部400は、電圧値が所定閾値以上となった継続時間(ここでは約50ミリ秒間程度)に応じて、図6(b)に表したように、電圧値の変化率(低下率)の閾値である操作判断値を設定する。電圧値の変化率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも大きい場合には、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。すなわち、検出部300から出力された電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上である場合であって、その後の電圧値の低下率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも大きい場合に、タッチスイッチ検出装置100は使用者の操作を受け付ける。
これに対して、検出部300から出力された電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上である場合であっても、その後の電圧値の低下率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも小さい場合には、後述するように、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
なお、図6に表した具体例においては、使用者がタッチ検出電極200から指を離したときの電圧値の変化率は負(マイナス)であるため、電圧値の変化率と、操作判断値と、のそれぞれの絶対値の大小関係を比較している。使用者がタッチ検出電極200から指を離したときの電圧値の変化率が正(プラス)であれば、絶対値を考慮することなく、電圧値の変化率と、操作判断値と、の大小関係を比較してもよい。このように、検出部300から出力される電圧値の変化率は正の場合と負の場合とがあるため、以下絶対値を考慮に入れて、具体例の動作について説明する。また、検出部300から出力される電圧値の変化率が大きいとは、変化の傾斜が急であることを意味する。一方、検出部300から出力される電圧値の変化率が小さいとは、変化の傾斜が緩やかであることを意味する。
図7は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図7(a)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた状態を表す模式図であり、図7(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
例えば0.1ミリリットル程度の小さな水滴がタッチ検出電極200に付くと、検出部300から出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する(範囲A2)。ここで、図6に関して前述したように、操作判定部400は、電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上であるか否かを判定する。その電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上である場合には、指や水滴などがタッチ検出電極200に接触したと判定する。
ここでは、図5に関して前述したように電圧値が徐々に低下した結果、所定閾値以上の継続時間は例えば約50ミリ秒間程度であったとする(範囲B2)。その後、電圧値はさらに低下し(範囲C2)、例えば約40ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置に水滴が付く前の電圧値で略一定となる(範囲D2)。なお、図7(b)に表した電圧値の変化においては、範囲B2における低下率と、範囲C2における低下率と、は相違しているが、これだけに限られるわけではなく、同じであってもよい。
ここで、操作判定部400は、図6で前述したように、電圧値が所定閾値以上となった継続時間(ここでは約50ミリ秒間程度)に応じて、電圧値の低下率の閾値である操作判断値を設定する。電圧値が所定閾値以上となった継続時間が同じであれば、設定される操作判断値も同じであるため、図6に表した操作判断値と、図7に表した操作判断値と、は同じである。
このとき、図5に関して前述したように、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合の電圧値の低下率の絶対値は、使用者がタッチ検出電極200を指で押した場合の電圧値の低下率の絶対値よりも小さい。そのため、操作判断値の設定によっては、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合の電圧値の低下率の絶対値は、操作判断値の絶対値よりも小さく、且つ使用者がタッチ検出電極200を指で押した場合の電圧値の低下率の絶対値は、操作判断値の絶対値よりも大きい場合がある。電圧値の低下率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも小さい場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
そのため、操作判定部400は、電圧値が所定閾値以上となった継続時間に応じて操作判断値を適宜設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。図6(b)および図7(b)に表した電圧値の低下率であれば、電圧値が低下して略一定となるまでの時間が例えば約30ミリ秒間程度に相当する低下率を操作判断値として設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。
図8は、タッチ検出電極を指でゆっくり押した場合を例示する模式図である。なお、図8(a)は、タッチ検出電極に指で触れた状態を表す模式図であり、図8(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押すと、タッチ検出電極200に対する指の接触面積はゆっくり大きくなっていくため、図6に表した電圧値の上昇率よりも小さい上昇率で上昇していく(範囲A3)。続いて、例えば200ミリ秒間程度だけ電圧値は所定閾値以上で略一定となる(範囲B3)。これは、タッチ検出電極200に対する指の接触時間が、図6(b)に表した場合よりも長いことを表している。続いて、操作判定部400は、電圧値が所定閾値以上となった継続時間(ここでは約200ミリ秒間程度)に応じて、操作判断値を設定する。
この際、電圧値が所定閾値以上となった継続時間が長いほど、操作判断値の絶対値を小さく設定することが好ましい。すなわち、図6(b)に表した操作判断値の絶対値よりも、図8(b)に表した操作判断値の絶対値の方が小さいことが好ましい。これは、使用者がタッチスイッチ検出装置100を指でゆっくり押した場合などのように、電圧値が所定閾値以上となった継続時間が長い場合には、電圧値の低下率の絶対値が小さくなるためである。すなわち、使用者がタッチスイッチ検出装置100を指でゆっくり押した場合には、タッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に小さくなるように指が離れていくためである。
例えば、図8(b)に表したように、使用者がタッチ検出電極200からゆっくり指を離すと、検出部300から出力される電圧値はゆっくり低下し(範囲C3)、例えば約100ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置100を押す前の電圧値で略一定となる(範囲D3)。ここで、図8(b)に表したように、電圧値の低下率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも大きい場合には、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
図9は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図9(a)は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた状態を表す模式図であり、図9(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
例えば0.5ミリリットル程度の大きな水滴がタッチ検出電極200に付くと、検出部300から出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する(範囲A4)。続いて、図5に関して前述したように電圧値が徐々に低下した結果、所定閾値以上の継続時間は例えば約200ミリ秒間程度であったとする(範囲B4)。このように、タッチ検出電極200に大きな水滴が付いた場合の所定閾値以上の継続時間は、小さな水滴が付いた場合の所定閾値以上の継続時間(図7(b)参照)よりも長い。これは、大きな水滴の方が水滴量が多く、容量成分も大きいので、時定数も大きくなるためである。
この際、電圧値が所定閾値以上となった継続時間(ここでは約200ミリ秒間程度)は、図7(b)に表した場合と同じであるため、図9に表した操作判断値は、図7に表した操作判断値と同じに設定される。ここで、操作判断値が同じであっても、タッチ検出電極200に大きな水滴が付いた場合の電圧値の低下率の絶対値は、使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押した場合の電圧値の低下率の絶対値よりも小さいため、操作判断値を適宜設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。図8(b)および図9(b)に表した電圧値の低下率であれば、電圧値が低下して略一定となるまでの時間が例えば約150ミリ秒間程度に相当する低下率を操作判断値として設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。
図10は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合の他の具体例を例示する模式図である。なお、図10(a)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた状態を表す模式図であり、図10(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
図10(b)に表した電圧値の変化は、図7(b)に表した電圧値の変化と同様である。この場合、操作判定部400は、電圧値が所定閾値以上となった継続時間(ここでは50ミリ秒間)に応じて、電圧値の低下率の閾値である大小2つの操作判断値を設定することができる。すなわち、図10(b)に表したように、操作判定部400は、電圧値が所定閾値以上となった継続時間に応じて、操作判断値aを設定し、さらに操作判断値aの絶対値よりも大きい絶対値の操作判断値bを設定することができる。そして、電圧値の低下率の絶対値が、操作判断値aの絶対値と、操作判断値bの絶対値と、の間である場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
これに対して、電圧値の低下率の絶対値が、操作判断値aの絶対値と、操作判断値bの絶対値と、の間にない場合には、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。このように、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、大小2つの操作判断値を設定して、判定基準に一定の幅を設けることによって、より正確に使用者の操作の有無を判定することもできる。
図11は、本実施形態の操作判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
操作判定部400は、まず接触判定部410の動作により、タッチ検出電極200に指や水滴などが接触したか否かを判定する(ステップS102)。図12に関して後述する接触判定部410の動作により、指や水滴などが接触したと判定されると、操作判定部400は、タイマTをスタートさせる(ステップS104)。続いて、検出部300から出力される検出出力(電圧値)を読み込み(ステップS106)、その電圧値が所定の閾値以下か否かを判定する(ステップS108)。電圧値が所定の閾値以下でない場合には(ステップS108:NO)、引き続き電圧値の読み込みを行い、電圧値が所定の閾値以下である場合には(ステップS108:YES)、ステップS104においてスタートさせたタイマTをストップさせる(ステップS110)。
続いて、操作判定部400は、ステップS110でストップさせたタイマTが所定の継続時間よりも大きいか否かを判定する(ステップS112)。タイマTが所定の継続時間よりも小さい場合には(ステップS112:NO)、再びステップS102に戻り、接触判定部410の動作を行う。すなわち、電圧値が所定の閾値以上であっても、所定時間以上継続しなければ、操作判定部400は、実質上、タッチスイッチ検出装置100に指や水滴などは接触していないと判定する。
一方、タイマTが所定の継続時間よりも大きい場合には(ステップS112:YES)、タイマTが分岐判定時間T1以下か否かを判定する(ステップS114)。タイマTが分岐判定時間T1以下でなければ(ステップS114:NO)、タイマTが分岐判定時間T2以下か否かを判定する(ステップS116)。同様に、タイマTが分岐判定時間T2以下でなければ(ステップS116:NO)、タイマTが分岐判定時間Tn−1以下か否かを判定する(ステップS118)。なお、分岐判定時間については、次式の関係が成り立つ。
T1<T2<・・・<Tn−1<Tn 式(1)
続いて、操作判定部400は、タイマTと分岐判定時間との関係に応じて、操作判断値をそれぞれ設定する(ステップS120、ステップS122、ステップS124、ステップS126)。なお、操作判断値の絶対値については、次式の関係が成り立つ。
|α1|>|α2|>・・・>|αn−1|>|αn| 式(2)
続いて、離反判定部420の動作により、タッチ検出電極200から指などが離反したか否かを判定する(ステップS128)。図13に関して後述する離反判定部420の動作により、タッチ検出電極200から指などが離反したと判定されると、操作判定部400は、検出部300から出力される電圧値の変化率(低下率)の絶対値が、ステップS120、ステップS122、ステップS124、あるいはステップS126において設定された操作判断値の絶対値よりも大きいか否かを判定する(ステップS130)。検出部300から出力される電圧値の変化率の絶対値が、設定された操作判断値の絶対値よりも大きい場合には(ステップS130:YES)、操作判定部400は使用者の操作が有ったと判定する(ステップS132)。一方、検出部300から出力される電圧値の変化率の絶対値が、設定された操作判断値の絶対値よりも小さい場合には(ステップS130:NO)、操作判定部400は使用者の操作は無かったと判定する(ステップS134)。操作判定部400は、このような動作を行うことにより、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。
図12は、本実施形態の接触判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
接触判定部410は、まず検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS152)。続いて、読み込んだ電圧値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS154)。電圧値が所定の閾値以上でなければ(ステップS154:NO)、接触判定部410は、タッチ検出電極200に指や水滴などは接触していないと判定し、引き続き電圧値の読み込みを行う(ステップS152)。一方、電圧値が所定の閾値以上であれば(ステップS154:YES)、接触判定部410は、タッチ検出電極200に指や水滴などが接触したと判定し、動作を終了する(ステップS156)。
図13は、本実施形態の離反判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
離反判定部420は、まず検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS202)。続いて、読み込んだ電圧値に基づいて電圧値の変化率(低下率)を演算する(ステップS204)。続いて、ステップS204において算出した変化率の絶対値が、所定の離反値の絶対値よりも大きいか否かを判定する(ステップS206)。変化率の絶対値が所定の離反値の絶対値よりも小さい場合には(ステップS206:NO)、引き続きステップS202に戻り、再度検出部300から出力された検出出力(電圧値)の読み込みを行う。一方、変化率の絶対値が所定の離反値の絶対値よりも大きい場合には(ステップS206:YES)、離反判定部420は、タッチ検出電極200から指などが離反したと判定し、動作を終了する(ステップS208)。
次に、図11〜図13に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図14は、本実施形態の操作判定部の動作の具体例を例示するタイムチャートである。なお、図14(a)は、タッチ検出電極を指で速く押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図14(b)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指で速く押し、図14(a)に表したように、所定閾値以上となった電圧値の継続時間(タイマ)Tが所定継続時間よりも長くなると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、継続時間Tは、図14(a)においては分岐判定時間T1よりも短いため、操作判定部400は操作判断値をα1に設定する。続いて、電圧値の変化率(低下率)の絶対値は所定離反値の絶対値よりも大きいため、離反判定部420はタッチ検出電極200から指などが離反したと判定する。ここで、図14(a)に表した電圧値の変化率の絶対値は、操作判断値α1の絶対値よりも大きいため、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、小さな水滴がタッチ検出電極200に付いた場合には、図14(b)に表したように、電圧値の変化率の絶対値は、操作判断値α1の絶対値よりも小さい。これは、図5に関して前述したように、水滴がタッチ検出電極200に付いた場合の電圧値の低下率の絶対値の方が、タッチ検出電極200から指を離した場合の電圧値の低下率の絶対値よりも小さいためである。そのため、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
図15は、本実施形態の操作判定部の動作の他の具体例を例示するタイムチャートである。なお、図15(a)は、タッチ検出電極を指でゆっくり押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図14(b)は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押し、図15(a)に表したように、所定閾値以上となった電圧値の継続時間Tが所定継続時間よりも長くなると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、継続時間Tは、図15(a)においては分岐判定時間T1よりも長く、分岐判定時間T2よりも短いため、操作判定部400は操作判断値をα2に設定する。続いて、電圧値の変化率の絶対値は所定離反値の絶対値よりも大きいため、離反判定部420はタッチ検出電極200から指などが離反したと判定する。ここで、図15(a)に表した電圧値の変化率の絶対値は、操作判断値α2の絶対値よりも大きいため、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、大きな水滴がタッチスイッチ検出装置に付いた場合には、図15(b)に表したように、電圧値の変化率の絶対値は、操作判断値α2の絶対値よりも小さい。そのため、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
このように、操作判定部400は、所定閾値以上となった電圧値の継続時間に応じて操作判断値を設定し、その操作判断値の絶対値と、電圧値の変化率の絶対値と、を比較することによって、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。また、所定閾値以上となった電圧値の継続時間Tが長いほど、操作判断値の絶対値を小さく設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。つまり、小さな水滴が付いた場合には、電圧値が所定閾値以上となる継続時間が短く、電圧値の低下率の絶対値はより大きい。そのため、水滴の大きさの違いを検知閾値に合致させて判断することができ、指と水滴との判断をより正確に行うことができる。
図16は、本実施形態のタッチ検出電極を濡れた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図16に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図4に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。
使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れると、指に付いた水がタッチ検出電極200に対して速く広がるため、乾いた指で触れた場合よりも大きい上昇率で電圧値は上昇する。さらに、指が水で濡れているため、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する接触面積は広がる。そのため、乾いた指で触れた場合よりも静電容量が大きく、その結果、使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れている間の電圧値は、図16に表したように、乾いた指で触れている間の電圧値よりも大きい(図4参照)。
その後、使用者がタッチ検出電極200から濡れた指を離した場合、指がタッチ検出電極200から離れようとしても、水の表面張力により、タッチ検出電極200と指とが水を介して接触した状態が継続する。ある程度指が離れたところで、水が指から離れ、結果としてタッチ検出電極200から指が一気に離れる。そのため、乾いた指でタッチ検出電極200を押した場合のようには、指とタッチ検出電極200との接触面積が徐々に小さくなっていくことがない。したがって、濡れた指がタッチ検出電極200から離れる場合は、乾いた指の場合よりも大きい変化率で電圧値は低下する。
このように、使用者がタッチ検出電極200を指で押した場合であっても、指の濡れ具合の違いによって検出部300から出力される電圧値の波形は相違する。そのため、操作判定部400は、指が濡れている場合と、指が乾いている場合と、を推定して、それぞれの状態に応じて使用者の操作の有無を判定することが好ましい。そこで次に、指が濡れている場合と、指が乾いている場合と、を推定して使用者の操作の有無を判定する操作判定部400の動作の具体例を説明する。
図17は、本実施形態の操作判定部の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。なお、図17に表した操作判定部の動作は、例えば図2に表した給水装置のように、電磁弁520などの開閉弁を有する装置にタッチスイッチ検出装置100が用いられた場合を例示している。
電磁弁520が開放している場合には、タッチスイッチ検出装置100が用いられた給水装置が使用者によって使用され、使用者の手が濡れている可能性が高い。また、電磁弁520が開放している場合には、その装置が使用者によって使用され、洗浄物などでの反射により、タッチ検出電極200に水滴が付く可能性が高い。そこで、本具体例の操作判定部400は、電磁弁520が開放している場合には、使用者がタッチ検出電極200を濡れた指で押す可能性が高いと推定し、電磁弁が開放しているときと、閉止しているときと、で所定の閾値を変更することができる。
操作判定部400は、まず電磁弁520が閉止しているか否かを判定する(ステップS251)。電磁弁が閉止している場合には(ステップS251:YES)、所定の閾値をVaに設定し、電磁弁が開放している場合には(ステップS251:NO)、所定の閾値をVbに設定する。なお、所定の閾値VaとVbとの間には、次式の関係が成り立つ。
Va<Vb 式(3)
これは、図16に関して前述したように、使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れると、濡れた指で触れている間の電圧値は、乾いた指で触れている間の電圧値よりも大きくなるためである。
続いて、ステップS254、ステップS255、ステップS256、ステップS257、ステップS258、およびステップS259の動作は、図11に表したステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、およびステップS112のそれぞれの動作と同様である。
続いて、操作判定部400は、再度、電磁弁520が閉止しているか否かを判定する(ステップS260)。電磁弁520が閉止している場合には(ステップS260:YES)、図11に表したフローチャート図の動作と同様に、タイマTと、分岐判定時間T1、T2、Tn−1のそれぞれと、の大小関係を判定し、その判定結果に応じて操作判断値α1、α2、αn−1、αnをそれぞれ設定する(ステップS261、ステップS262、ステップS263、ステップS264、ステップS265、ステップS266、ステップS267)。
一方、電磁弁520が開放している場合にも(ステップS260:NO)、電磁弁520が閉止している場合と同様に、タイマTと、分岐判定時間T1、T2、Tn−1のそれぞれと、の大小関係を判定し、その判定結果に応じて操作判断値β1、β2、βn−1、βnをそれぞれ設定する(ステップS268、ステップS269、ステップS270、ステップS271、ステップS272、ステップS273、ステップS274)。なお、分岐判定時間T1、T2、Tn−1については、式(1)の関係が成り立ち、操作判断値α1、α2、αn−1、αnの絶対値については、式(2)の関係が成り立つ。さらに、操作判断値β1、β2、βn−1、βnの絶対値については、式(4)の関係が成り立ち、操作判断値αとβとについては式(5)〜式(8)の関係が成り立つ。
|β1|>|β2|>・・・>|βn−1|>|βn| 式(4)
|α1|<|β1| 式(5)
|α2|<|β2| 式(6)
|αn−1|<|βn−1| 式(7)
|αn|<|βn| 式(8)
続いて、操作判定部400は、図11に表したステップS128、ステップS130、ステップS132、ステップS134、およびステップS136の動作とそれぞれ同様の動作を行い、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる(ステップS275、ステップS276、ステップS277、ステップS278、ステップS279)。
次に、図17に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図18は、タッチ検出電極を指で押して電磁弁を開放させた場合の電圧値を例示する模式図である。なお、図18(a)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、濡れた指で押して電磁弁を閉止させた場合の電圧値を例示する模式図であり、図18(b)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、タッチ検出電極に水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指で押して電磁弁520を開放させる場合には、電磁弁520は閉止されているため、操作判定部400は所定の閾値Vaを設定する。この所定閾値Va以上となった電圧値の継続時間Tが所定継続時間よりも長くなると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、継続時間(タイマ)Tが例えば分岐判定時間T1以下であるとすると、図18(a)に表したように、操作判定部400は電磁弁520が閉止している場合の操作判断値としてα1を設定する。図18(a)に表したタイムチャート図によれば、電圧値の変化率(低下率)の絶対値が、操作判断値α1の絶対値よりも大きいため、操作を受け付けて電磁弁520を開放する。
ここで、電磁弁520が開放されたため、操作判定部400は所定閾値をVbに設定する。これは、前述したように、電磁弁520が開放している場合には使用者の手が濡れている可能性が高く、また洗浄物などでの反射により、タッチ検出電極200に水滴が付く可能性が高いためである。続いて、使用者がタッチ検出電極200を濡れた指で押して電磁弁520を閉止させる場合には、開放させる場合と同様に、所定閾値Vb以上となった電圧値の継続時間Tが所定継続時間よりも長くなると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。継続時間Tが例えば分岐判定時間T1以下であるとすると、図18(a)に表したように、操作判定部400は電磁弁520が開放している場合の操作判断値としてβ1を設定する。
操作判断値β1の絶対値は、操作判断値α1の絶対値よりも大きいが、指が濡れている場合には、図16に関して前述したように、電圧値の低下率の絶対値は乾いた指で押した場合よりも大きくなるため、操作判断値β1の絶対値よりも大きくなることができる。これにより、濡れた指で押した場合と、水滴が付いた場合と、をより明確に判定することができる。図18(a)に表したタイムチャート図によれば、電圧値の低下率の絶対値が操作判断値β1の絶対値よりも大きいため、タッチスイッチ検出装置100は操作を受け付けて、電磁弁520は閉止される。
これに対して、タッチ検出電極200を乾いた指で押して電磁弁520を開放させた後に、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、所定閾値がVaよりも大きいVbに設定されているため、例えば乾いた指で押した場合と略同じ電圧値まで上昇したとしても、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。これは、タッチ検出電極200に水滴が付いたことによって上昇した電圧値が、所定閾値Vb以上とならないためである。
図19は、本実施形態の操作判定部の動作のさらに他の具体例を例示するフローチャート図である。なお、図19に表した操作判定部の動作は、図10に関して前述した具体例の動作にかかるフローチャート図に相当する。
まず、操作判定部400は、図11に関して前述したステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、およびステップS112と同様の動作をそれぞれ行い、タッチ検出電極200に指や水滴などが接触したか否かを判定する(ステップS301、ステップS302、ステップS303、ステップS304、ステップS305、ステップS306)。
続いて、操作判定部400は、タイマTと、分岐判定時間T1、T2、Tn−1のそれぞれと、の大小関係を判定し、その判定結果に応じて大小2つの操作判断値「Lα1、Hα1」、「Lα2、Hα2」、「Lαn−1、Hαn−1」、「Lαn、Hαn」をそれぞれ設定する(ステップS307、ステップS308、ステップS309、ステップS310、ステップS311、ステップS312、ステップS313)。なお、これらの操作判断値の絶対値については、次式の関係が成り立つ。
|Lα1|>|Lα2|>・・・>|Lαn−1|>|Lαn| 式(9)
|Hα1|>|Hα2|>・・・>|Hαn−1|>|Hαn| 式(10)
|Lα1|<|Hα1| 式(11)
|Lα2|<|Hα2| 式(12)
|Lαn−1|<|Hαn−1| 式(13)
|Lαn|<|Hαn| 式(14)
続いて、図13に表した離反判定部420の動作により、タッチ検出電極200から指などが離反したか否かを判定し(ステップS314)、離反したと判定した場合には(ステップS314:YES)、電圧値の低下率(変化率)の絶対値が、操作判断値Lαの絶対値と、操作判断値Hαの絶対値と、の間であるか否かを判定する(ステップS315)。電圧値の低下率(変化率)の絶対値が、操作判断値Lαの絶対値と、操作判断値Hαの絶対値と、の間である場合には(ステップS315:YES)、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない(ステップS316)。一方、電圧値の低下率(変化率)の絶対値が、操作判断値Lαの絶対値と、操作判断値Hαの絶対値と、の間でない場合には(ステップS315:NO)、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける(ステップS317)。
次に、図19に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図20は、本具体例の動作を例示するタイムチャート図である。なお、図20(a)は、タッチ検出電極を指で速く押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図20(b)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
まず、タッチ検出電極200に指などが接触したと判定する動作については、図14(a)に関して前述した動作と同様である。続いて、継続時間Tは、図20(a)においては分岐判定時間T1よりも短いため、操作判定部400は操作判断値を「Lα1、Hα1」に設定する。続いて、図14(a)に関して前述した動作と同様にして、タッチ検出電極200から指などが離反したか否かを判定する。ここで、図20(a)に表した電圧値の低下率の絶対値は、操作判断値Hα1の絶対値よりも大きいため、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、図20(b)に表したように、電圧値の低下率の絶対値が操作判断値Lα1の絶対値よりも大きく、操作判断値Hα1の絶対値よりも小さい場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
図21は、本具体例の他の動作を例示するタイムチャート図である。なお、図21(a)は、タッチ検出電極を指でゆっくり押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図21(b)は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
まず、タッチ検出電極200に指などが接触したと判定する動作については、図14(a)に関して前述した動作と同様である。続いて、継続時間Tは、図21(a)においては分岐判定時間T1よりも長く、分岐判定時間T2よりも短いため、操作判定部400は操作判断値を「Lα2、Hα2」に設定する。続いて、図14(a)に関して前述した動作と同様にして、タッチ検出電極200から指などが離反したか否かを判定する。ここで、図21(a)に表した電圧値の低下率の絶対値は、操作判断値Hα2の絶対値よりも大きいため、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、図21(b)に表したように、電圧値の低下率の絶対値が操作判断値Lα2の絶対値よりも大きく、操作判断値Hα2の絶対値よりも小さい場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。このように、大小2つの操作判断値を設定して、判定基準に一定の幅を設けることによって、より正確に使用者の操作の有無を判定することができる。
図22は、本実施形態の操作判定部の動作のさらに他の具体例を例示するフローチャート図である。なお、図22に表した操作判定部の動作は、図17に表した操作判定部の動作と、図19に表した操作判定部の動作と、を組み合わせた動作である。
図22に表したフローチャート図においては、図17に表したフローチャート図のステップS264、ステップS265、ステップS266、およびステップS267においてそれぞれ設定する操作判断値α1、α2、αn−1、αnを、大小2つの操作判断値「Lα1、Hα1」、「Lα2、Hα2」、「Lαn−1、Hαn−1」、「Lαn、Hαn」にそれぞれ置き換えている(ステップS364、ステップS365、ステップS366、ステップS367)。これと同様にして、図17に表したフローチャート図のステップS271、ステップS272、ステップS273、およびステップS274においてそれぞれ設定する操作判断値β1、β2、βn−1、βnを、大小2つの操作判断値「Lβ1、Hβ1」、「Lβ2、Hβ2」、「Lβn−1、Hβn−1」、「Lβn、Hβn」にそれぞれ置き換えている(ステップS371、ステップS372、ステップS373、ステップS374)。
さらに、図17に表したフローチャート図のステップS276における判定方法を、電圧値の低下率(変化率)の絶対値が操作判断値Lα(β)の絶対値と、操作判断値Hα(β)の絶対値と、の間であるか否かを判定する方法に置き換えている(ステップS376)。その他の動作については、図17に表した動作と同様である。
このように、図17に表した操作判定部の動作と、図19に表した操作判定部の動作と、を組み合わせた動作を行うことによって、濡れた指で押した場合と、水滴が付いた場合と、をより明確に判定することができ、さらに大小2つの操作判断値を設定して、判定基準に一定の幅を設けることによって、より正確に使用者の操作の有無を判定することができる。
次に、図22に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図23は、本具体例の動作を例示するタイムチャート図である。なお、図23(a)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、濡れた指で押して電磁弁を閉止させた場合の電圧値を例示する模式図であり、図23(b)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、タッチ検出電極に水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
操作判定部400は、電磁弁が閉止されている場合には、図18に関して前述したように、所定の閾値Vaを設定し、タッチ検出電極200に指などが接触したか否かを判定する。続いて、継続時間(タイマ)Tが例えば分岐判定時間T1以下であるとすると、図23(a)に表したように、操作判定部400は電磁弁が閉止している場合の操作判断値として「Lα1、Hα1」を設定する。図23(a)に表したタイムチャート図によれば、電圧値の変化率(低下率)の絶対値が、操作判断値Hα1の絶対値よりも大きいため、タッチスイッチ検出装置100は操作を受け付けて、電磁弁520を開放させる。
ここで、電磁弁520が開放されたため、操作判定部400は所定閾値をVbに設定し、タッチ検出電極200に指などが接触したか否かを判定する。続いて、継続時間Tが例えば分岐判定時間T1以下であるとすると、図23(a)に表したように、操作判定部400は電磁弁520が開放している場合の操作判断値として「Lβ1、Hβ1」を設定する。図23(a)に表したタイムチャート図によれば、電圧値の変化率(低下率)の絶対値が、操作判断値Hβ1の絶対値よりも大きいため、タッチスイッチ検出装置100は操作を受け付けて、電磁弁520を閉止させる。
これに対して、タッチ検出電極200を乾いた指で押して電磁弁520を開放させた後に、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、所定閾値がVaよりも大きいVbに設定されているため、例えば乾いた指で押した場合と略同じ電圧値まで上昇したとしても、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。これは、図18(b)に関して前述したように、タッチ検出電極200に水滴が付いたことによって上昇した電圧値が、所定閾値Vb以上とならないためである。
次に、検出部300から出力された電圧値の変化率(低下率)の判定方法として、操作判断値ではなく他の判定基準を用いて判定する方法を説明する。
図24は、タッチ検出電極を指で速く押した場合を例示する模式図である。なお、図24(a)は、タッチ検出電極に指で触れた状態を表す模式図であり、図24(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。すなわち、図24(b)に表した電圧値の変化は、図6(b)に表した電圧値の変化に相当する。
使用者がタッチ検出電極200を指で速く押すと、検出部300から出力された電圧値は徐々に上昇し(範囲A5)、電圧値は上昇したままで略一定となる(範囲B5)。ここで、操作判定部400は、後に詳述するように、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値以上であるか否かを判定する。その電圧値が第1の検知閾値以上である場合には、指や水滴などがタッチスイッチ検出装置100に接触したと判定する。
その後、使用者がタッチ検出電極200から指を離すと、検出部300から出力される電圧値は徐々に低下し(範囲C5)、例えば約20ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置を押す前の電圧値で略一定となる(範囲D5)。ここで、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間(ここでは約50ミリ秒間程度)に応じて所定時間を設定し、その所定時間だけ継続して第1の検知閾値よりも小さい第2の検知閾値を設定する。この所定時間の間に、電圧値が第2の検知閾値以下になった場合には、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。すなわち、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値以上になった場合であって、その後の電圧値が所定時間の間に第2の検知閾値以下になった場合に、タッチスイッチ検出装置100は使用者の操作を受け付ける。
これに対して、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値以上である場合であっても、その後の電圧値が所定時間の間に第2の検知閾値以下にならなかった場合には、後述するように、さらに所定時間だけ継続して第2の検知閾値よりも小さい第3の検知閾値を設定する。この場合の具体例を、図25に関して後述する。
図25は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図25(a)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた状態を表す模式図であり、図25(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。すなわち、図25(b)に表した電圧値の変化は、図7(b)に表した電圧値の変化に相当する。
例えば0.1ミリリットル程度の小さな水滴がタッチ検出電極200に付くと、検出部300から出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する(範囲A6)。ここで、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値以上であるか否かを判定する。その電圧値が第1の検知閾値以上である場合には、指や水滴などがタッチ検出電極200に接触したと判定する。
ここでは、電圧値が徐々に低下した結果、第1の検知閾値以上の継続時間は例えば約50ミリ秒間程度であったとする(範囲B6)。その後、電圧値はさらに低下し(範囲C6)、例えば約40ミリ秒間程度でタッチ検出電極200に水滴が付く前の電圧値で略一定となる(範囲D6)。
ここで、操作判定部400は、図24(b)に関して前述したように、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間(ここでは約50ミリ秒間程度)に応じて所定時間を設定し、その所定時間だけ継続して第1の検知閾値よりも小さい第2の検知閾値を設定する。図25(b)に表したように、その後の電圧値が所定時間の間に第2の検知閾値以下にならなかった場合には、さらに所定時間だけ継続して第2の検知閾値よりも小さい第3の検知閾値を設定する。続いて、図25(b)に表したように、その後の電圧値が所定時間の間に第3の検知閾値以下にならなかった場合には、検知閾値を所定の下限値まで段階的に小さくしていき、電圧値が所定時間の間に下限検知閾値以下にならなかった場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
このように、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間に応じて所定時間を設定し、その所定時間だけ継続して第1の検知閾値よりも小さい第2の検知閾値を設定して使用者の操作を有無を判断するため、検知中の検知閾値の設定変更だけで指や水滴などによる電圧値の変化特性に合致した条件を再現することができる。
図26は、タッチ検出電極を指でゆっくり押した場合を例示する模式図である。なお、図26(a)は、タッチ検出電極に指で触れた状態を表す模式図であり、図26(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。すなわち、図26(b)に表した電圧値の変化は、図8(b)に表した電圧値の変化に相当する。
使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押すと、図24(a)に表した電圧値の上昇率よりも小さい上昇率で上昇していき(範囲A7)、電圧値は第1の検知閾値以上で略一定となる(範囲B7)。ここで、図24に関して前述したように、操作判定部400は、指や水滴などがタッチ検出電極200に接触したか否かを判定する。
その後、使用者がタッチ検出電極200から指を離すと、検出部300から出力される電圧値は徐々に低下し(範囲C7)、例えば約100ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置を押す前の電圧値で略一定となる(範囲D7)。ここで、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間(ここでは約200ミリ秒間程度)に応じて所定時間を設定し、その所定時間だけ継続して第1の検知閾値よりも小さい第2の検知閾値を設定する。
この際、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間が長いほど、第2の検知閾値における所定時間を長く設定することが好ましい。これはすなわち、前述した操作判断値の絶対値を小さくすることと同等である。これは、使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押した場合などのように、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間が長い場合には、タッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に小さくなるように指が離れるため、電圧値もゆっくりと低下していくためである。図26(b)に表したように、電圧値が第2の検知閾値以下になった場合には、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
図27は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図27(a)は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた状態を表す模式図であり、図27(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。すなわち、図27(b)に表した電圧値の変化は、図9(b)に表した電圧値の変化に相当する。
例えば0.5ミリリットル程度の大きな水滴がタッチ検出電極200に付くと、検出部300から出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する(範囲A8)。ここで、図25に関して前述したように、操作判定部400は、指や水滴などがタッチ検出電極200に接触したか否かを判定する。
ここでは、電圧値が徐々に低下した結果、第1の検知閾値以上の継続時間は例えば約200ミリ秒間程度であったとする(範囲B8)。その後、電圧値はさらに低下し(範囲C8)、例えば約200ミリ秒間程度でタッチスイッチ検出装置100に水滴が付く前の電圧値で略一定となる(範囲D8)。
続いて、操作判定部400は、前述したように、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間(ここでは約200ミリ秒間程度)に応じて所定時間を設定し、所定時間だけ継続して第1の検知閾値よりも小さい第2の検知閾値を設定する。この際、図26に関して前述したように、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間が長いほど、第2の検知閾値における所定時間を長く設定することが好ましい。続いて、図27(b)に表したように、検知閾値を所定下限値まで段階的に小さくしていき、電圧値が所定時間の間に検知閾値の下限値以下にならなかった場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
このように、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値以上となった継続時間が長いほど、第2以降の検知閾値における所定時間を長く設定することで、使用者の操作の有無をより正確に判定することができる。つまり、小さな水滴が付いた場合には、電圧値が第1の検知閾値以上となる継続時間が短く、電圧値はより速く低下していく。そのため、水滴の大きさの違いを検知閾値に合致させて判断することができ、指と水滴との判断をより正確に行うことができる。
図28は、複数の検知閾値を用いた場合の操作判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
まず、操作判定部400は、図11に関して前述したステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、およびステップS112と同様の動作をそれぞれ行い、タッチ検出電極200に指や水滴などが接触したか否かを判定する(ステップS402、ステップS404、ステップS406、ステップS408、ステップS410、ステップS411)。なお、接触判定部(ステップS402)の動作については、図29に関して後述する。
続いて、操作判定部400は、タイマTと、分岐判定時間T1、T2、Tn−1のそれぞれと、の大小関係を判定し、その判定結果に応じて所定時間t1、t2、tn−1。tnをそれぞれ設定する(ステップS412、ステップS414、ステップS416、ステップS418、ステップS420、ステップS422、ステップS424)。なお、分岐判定時間については、前述した式(1)の関係が成り立ち、所定時間については次式の関係が成り立つ。
t1<t2<・・・<tn−1<tn 式(15)
続いて、離反判定部420の動作により、タッチ検出電極200から指などが離反したか否かを判定する(ステップS426)。続いて、検知閾値が下限検知閾値Bnか否かを判定する(ステップS428)。検知閾値が下限検知閾値Bnである場合には(ステップS428:YES)、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない(ステップS430)。一方、検知閾値が下限検知閾値Bnでない場合には(ステップS428:NO)、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける(ステップS432)。
図29は、複数の検知閾値を用いた場合の接触判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
接触判定部410は、まず検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS452)。続いて、読み込んだ電圧値が第1の検知閾値A以上であるか否かを判定する(ステップS454)。電圧値が第1の検知閾値A以上でなければ(ステップS454:NO)、接触判定部410は、タッチ検出電極200に指や水滴などは接触していないと判定し、引き続き電圧値の読み込みを行う(ステップS452)。一方、電圧値が第1の検知閾値A以上であれば(ステップS454:YES)、接触判定部410は、タッチ検出電極200に指や水滴などが接触したと判定し、動作を終了する(ステップS456)。
図30は、複数の検知閾値を用いた場合の離反判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
離反判定部420は、まず検知閾値を1段階小さい検知閾値に設定する(ステップS502)。すなわち、離反判定処理動作が開始したときの検知閾値が第1の検知閾値であれば、第2の検知閾値に設定する(ステップS502)。続いて、離反判定部420は、タイマtをスタートさせる(ステップS504)。続いて、検出部300から出力される検出出力(電圧値)を読み込み(ステップS506)、その電圧値が第2以降の検知閾値B以上か否かを判定する(ステップS508)。電圧値が第2以降の検知閾値B以上でなければ(ステップS508:NO)、タッチ検出電極200から指などが離反したと判定し、離反判定部420の動作を終了する(ステップS516)。
一方、電圧値が第2以降の検知閾値B以上であれば(ステップS508:YES)、離反判定部420は、図28に表したステップS418、ステップS420、ステップS422、およびステップS424において設定した所定時間よりもタイマtが長いか否かを判定する(ステップS510)。タイマtが所定時間よりも長くなければ(ステップS510:NO)、引き続き、検出部300から出力される検出出力(電圧値)を読み込み(ステップS506)、その電圧値が第2以降の検知閾値B以上か否かを判定する(ステップS508)。
一方、タイマtが所定時間よりも長ければ(ステップS510:YES)、第2以降の検知閾値Bが下限検知閾値Bnであるか否かを判定する。第2以降の検知閾値Bが下限検知閾値Bnであれば(ステップS512:YES)、離反判定部420の動作は終了し(ステップS516)、第2以降の検知閾値Bが下限検知閾値Bnでなければ(ステップS512:NO)、タイマtをリセットして(ステップS514)、検知閾値を1段階小さい検知閾値に設定する(ステップS502)。
次に、図28〜図30に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図31は、複数の検知閾値を用いた場合の操作判定部の動作の具体例を例示するタイムチャート図である。なお、図31(a)は、タッチ検出電極を指で速く押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図31(b)は、タッチ検出電極に小さな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指で速く押し、図31(a)に表したように、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値A以上になると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、電圧値が第1の検知閾値A以上になった継続時間Tは、図31(a)においては分岐判定時間T1よりも短いため、操作判定部400は所定時間をt1に設定する。続いて、図31(a)に表したように、所定時間t1の間に電圧値が第2の検知閾値B2以下になると、離反判定部420は、タッチ検出電極200から指などが離反したと判定する。そこで、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、小さな水滴がタッチ検出電極200に付いた場合には、図31(b)に表したように、所定時間t1の間に電圧値が第2の検知閾値B2以下にはならない。これは、図5に関して前述したように、水滴がタッチ検出電極200に付いた場合の電圧値の低下率の方が、タッチ検出電極200から指を離した場合の電圧値の低下率よりも小さいためである。続いて、離反判定部420は、第2の検知閾値B2を第3の検知閾値B3に変更する。図31(b)に表したように、所定時間t1の間に電圧値が第3の検知閾値B3以下にならない場合には、段階的に下限検知閾値Bnまで小さくしていく。電圧値が所定時間t1の間に下限検知閾値Bn以下にならなかった場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
図32は、複数の検知閾値を用いた場合の操作判定部の動作の他の具体例を例示するタイムチャート図である。なお、図32(a)は、タッチ検出電極を指でゆっくり押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図32(b)は、タッチ検出電極に大きな水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
使用者がタッチ検出電極200を指でゆっくり押し、図32(a)に表したように、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値A以上になると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、電圧値が第1の検知閾値A以上になった継続時間Tは、図32(a)においては分岐判定時間T1よりも長く、分岐判定時間T2よりも短いため、操作判定部400は所定時間をt2に設定する。この所定時間t2は、前述したように、所定時間t1よりも長い。続いて、図32(a)に表したように、所定時間t2の間に電圧値が第2の検知閾値B2以下になると、離反判定部420は、タッチ検出電極200から指などが離反したと判定する。そこで、操作判定部400は、使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
一方、大きな水滴がタッチ検出電極200に付いた場合には、図32(b)に表したように、所定時間t2の間に電圧値が第2の検知閾値B2以下にはならない。続いて、離反判定部420は、第2の検知閾値B2を第3の検知閾値B3に変更する。図32(b)に表したように、所定時間t2の間に電圧値が第3の検知閾値B3以下にならない場合には、段階的に下限検知閾値Bnまで小さくしていく。電圧値が所定時間t2の間に下限検知閾値Bn以下にならなかった場合には、操作判定部400は、使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
図33は、複数の検知閾値を用いた場合の操作判定部の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。なお、図33に表した操作判定部の動作は、例えば図2に表した給水装置のように、電磁弁520などの開閉弁を有する装置にタッチスイッチ検出装置100が用いられた場合を例示している。
操作判定部400は、まず電磁弁520が閉止しているか否かを判定する(ステップS551)。電磁弁520が閉止している場合には(ステップS551:YES)、第1の検知閾値をA1aに設定し、第2の検知閾値をB1aに設定する(ステップS552)。一方、電磁弁520が開放している場合には(ステップS551:NO)、第1の検知閾値をA1bに設定し、第2の検知閾値をB1bに設定する(ステップS553)。なお、第1の検知閾値A1a、A1b、および第2の検知閾値B1a、B1bの間には、次式の関係が成り立つ。
A1a<A1b 式(16)
B1a<B1b 式(17)
これは、図17に関して前述したように、電磁弁520が開放している場合には使用者の手が濡れている可能性が高く、使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れると、濡れた指で触れている間の電圧値は乾いた指で触れている間の電圧値よりも大きくなるためである。続いて、ステップS554以降の動作については、図28に表したフローチャート図のステップS402以降の動作と同様である。
このように、電磁弁520が閉止されている場合と、開放されている場合と、において検知閾値をそれぞれ設定することで、タッチ検出電極200に濡れた指で触れた場合と、水滴が付いた場合と、をより明確に判定することができる。
図33に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本実施形態の操作判定部の動作をさらに説明する。
図34は、複数の検知閾値を用いた場合の動作を例示するタイムチャート図である。なお、図34(a)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、濡れた指で押して電磁弁を閉止させた場合の電圧値を例示する模式図であり、図34(b)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、タッチ検出電極に水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
操作判定部400は、電磁弁520が閉止されている場合には、図33に関して前述したように、第1の検知閾値をA1aに設定し、第2の検知閾値をB1aに設定する。続いて、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値A1a以上になると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値A1a以上になった継続時間に応じて、所定時間tを設定する。この所定時間tの間に、電圧値が第2の検知閾値B2a以下になったことを離反判定部420が判定すると、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けて、電磁弁520を開放させる。
ここで、電磁弁520が開放されたため、操作判定部400は第1の検知閾値をA1bに設定し、第2の検知閾値をB1bに設定する。続いて、使用者がタッチ検出電極200を濡れた指で押して電磁弁520を閉止させる場合には、開放させる場合と同様に、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値A1b以上になると、操作判定部400はタッチ検出電極200に指などが接触したと判定する。続いて、操作判定部400は、電圧値が第1の検知閾値A1b以上になった継続時間に応じて、所定時間tを設定する。この所定時間tの間に、電圧値が第2の検知閾値B2b以下になったことを離反判定部420が判定すると、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けて、電磁弁520を閉止させる。
これに対して、タッチ検出電極200を乾いた指で押して電磁弁520を開放させた後に、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、第1の検知閾値A1bが検知閾値A1aよりも大きく設定されているため、例えば乾いた指で押した場合と略同じ電圧値まで上昇したとしても、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。これは、タッチ検出電極200に水滴が付いたことによって上昇した電圧値が、電磁弁開放時の第1の検知閾値A1b以上とならないためである。
以上説明したように、本実施形態によれば、検出部300から出力された電圧値が所定時間以上継続して所定閾値以上である場合であって、その後の電圧値の低下率の絶対値が操作判断値の絶対値よりも大きい場合に、タッチスイッチ検出装置100は使用者の操作を受け付ける。これにより、タッチ検出電極200の操作が人の指によるものか、水滴などによるものかを的確に判断することができる。また、検出部300から出力された電圧値が第1の検知閾値以上になった場合であって、その後の電圧値が所定時間の間に第2の検知閾値以下になった場合に、タッチスイッチ検出装置100は使用者の操作を受け付ける。これにより、検知中の検知閾値の設定変更だけで指や水滴などによる電圧値の変化特性に合致した条件を再現することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、本発明の実施の形態の説明においては、指が触れると静電容量の変化を反映した検出出力の電圧値が高くなり、指が離れると電圧値が低くなる場合を例として挙げたが、これだけに限定されず、検出回路の構成によっては、指が触れると検出出力の電圧値が低くなり、指が離れると電圧値が高くなるようにすることもできる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100、100a、100b、100c タッチスイッチ検出装置、 200 タッチ検出電極、 300 検出部、 310 発振部、 320 電圧変換部、 400 操作判定部、 410 接触判定部、 420 離反判定部、 500 給水装置、 510 制御部、 520 電磁弁、 530 吐水口