JP5158272B2 - 伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法 - Google Patents

伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法 Download PDF

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Description

本発明は、輸送機器の足回り部品などに用いるのに好適な高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法に関するもので、特に、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法に関するものである。
近年、自動車の安全性向上と環境保全につながる燃費向上の観点から自動車用熱延鋼板の高強度軽量化に対する要求が高まっている。自動車用部品の中でも特に足回り系と呼ばれるフレーム類やアーム類等の質量は、車体全体の質量に占める割合が高いため、こうした部位に用いられる素材を高強度化することによって薄肉化することにより、その軽量化を実現することが可能となる。また、この足回り系に使用される材料は、プレス成形が多用され、プレス成型時の割れを防止する観点から高い曲げ加工性が要求され、高強度鋼板が広く用いられている。中でも、価格の優位性などから、熱延鋼板が主に用いられている。また、補強材や床下部材、特に、シート用スライドレールなど小さな曲げ加工用部材には、高強度鋼板を用いることにより板厚を減少させて軽量化を図る目的から、冷延鋼板や亜鉛めっき鋼板が主に用いられている。
このうち、高強度と、良加工性・良成形性を両立させうる高強度鋼板としては、フェライト相とマルテンサイト相を複合させた低降伏比DP鋼板や、フェライト相と(残留)オーステナイト相を複合させたTRIP鋼板が知られている。しかし、これらの鋼板は、高強度と加工性・延性には優れるものの、穴拡げ性、即ち、伸びフランジ性や曲げ加工性に優れているとは言えず、足回り部品などのような伸びフランジ成形性が要求される構造用部品においては、延性ではやや劣るものの、ベイナイト系の鋼板が使用されるのが一般的である。
フェライト相とマルテンサイト相の複合組織鋼板(以降、「DP鋼板」と記載する場合がある)等の複合組織鋼板が、伸びフランジ性に劣る理由の一つとして、軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相の複合体であるため、穴拡げ加工時に両相の境界部に応力集中し、変形に追随できず破断の起点になり易いからであると考えられている。
こうした問題点を克服するために、DP鋼板をベースとして、機械的強度特性と、曲げ加工性や穴拡げ性(加工性)を両立させることを目的とした幾つかの鋼板が提案されている。例えば、微細分散粒子による応力緩和を指向した技術として、特許文献1に、フェライト相とマルテンサイト相の複合組織鋼板(DP鋼板)中に微細なCuの析出または固溶体を分散させた鋼板が開示されている。この特許文献1に示す技術においては、固溶しているCuもしくはCu単独で構成される粒子サイズが2nm以下のCu析出物が曲げ加工性向上に非常に有効であり、かつ加工性も損なわないことを見出して、各種成分の組成比を限定している。
また、複合相の強度差を小さくすることによる応力緩和を指向した技術として例えば、特許文献2には、できるだけ低C化することにより主相をベイナイト組織とするとともに、固溶強化または析出強化したフェライト組織を適切な体積比率で含有させ、これらフェライトとベイナイトの硬度差を小さくし、更に粗大な炭化物の生成を回避するベイナイト鋼に係わる技術が開示されている。
特許文献3には、酸化物系介在物が、曲げ加工時の割れの原因であるとして、この酸化物系介在物のサイズと個数を規定することで、曲げ加工性に優れた高強度鋼板を得る技術が開示されている。
そして、更に、特許文献4、5には、鋼中に存在して、疲労特性と伸びフランジ性(穴拡げ加工性)を低下させる原因となる延伸したMnS系介在物を、割れ発生の起点となり難い微細球状介在物として鋼板中に分散させることで、伸びフランジ性と疲労特性に優れた高強度鋼板を得る技術が開示されている。
特開平11−199973号公報 特開2001−200331号公報 特開2002−363694号公報 特開2008−274336号公報 特許4431185号公報
ところで、上記特許文献1に開示されているような、DP鋼板中に微細なCuの析出または固溶体を分散させた鋼板は、確かに高い疲労強度を示すものの、顕著な伸びフランジ性の向上は確認できていない。また、上記特許文献2に開示されている様な、鋼板組織をベイナイト相主体とし、粗大な炭化物の生成を抑制した高強度熱延鋼板は、確かに優れた伸びフランジ性を示すものの、Cuを含有したDP鋼板に比べてその曲げ加工性は必ずしも優れているとは言えない。また、粗大な炭化物の生成を抑制しただけでは厳しい穴拡げ加工を行った場合に亀裂の発生を防止することができない。
そして、特許文献3に開示されているような、粗大な酸化物系介在物の生成量を削減した高強度冷延鋼板は、優れた曲げ加工性を示すものの、疲労特性の改善、伸びフランジ性の顕著な向上は確認できていない。また、MnおよびSが所定量含有されていることから、本発明者らの実験的知見によれば、粗大なMnS系介在物が生成されていると考えられるため、後述の通り、粗大な酸化物系介在物の生成の量を削減するのみでは、厳しい穴拡げ加工を行った場合、亀裂の発生を防止することが充分とは言えない。
また、特許文献4に開示されているMnS系介在物を微細球状介在物として鋼板中に分散させた高強度鋼板は、優れた伸びフランジ性と疲労特性を示すものの、製鋼での溶製段階で、実質的にAlを用いず、比較的高いフリー酸素が存在する条件下での脱硫処理を用いることとなるため、極低硫まで脱硫することは困難であり、また、実質的にAlを用いずに、Ce又はLa等で脱酸を行うために、より多くの添加が必要となるとともに、CeまたはLa等の添加歩留まりが低いため、過剰に添加する必要があるという問題がある。
さらに、特許文献5に開示されているMnS系介在物を微細球状介在物として鋼板中に分散させた高強度鋼板は、製鋼での溶製段階で、Alによる脱酸を行い、Ce又はLa等で脱酸を行うために、CeまたはLa等の添加歩留まりが良好で、かつ極低硫まで脱硫することはもちろん比較的高いS濃度においても、優れた伸びフランジ性と疲労特性を示す。しかし、Al−Ce系の酸化物が多量に生成するため、製鋼段階の連続鋳造工程において取鍋ノズルの閉塞や、浸漬ノズルの閉塞を起こし、生産障害となり成品を連続的に生産することが不可能であるという課題と、これを回避するためにCaを添加した場合、図3に示すようなCaO−Al系の低融点の酸化物や図4に示すようなFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合した粗大なCaS系介在物を生成したりするため、MnS系介在物と同様に延伸し伸びフランジ性を損ない、複合析出させるMnS系介在物も粗大化するため延伸しやすく伸びフランジ性を損ないやすいという課題があった。また、特許文献5ではTiを添加しているので、TiSとして粗大な介在物が析出する。前記低融点CaO−Al系の低融点の酸化物やTi酸化物が複合した酸化物にCaS、TiSが不均質核生成する為、粗大なCaO−AlTi酸化物CaSTiS複合酸硫化物が生成し、これらがクラスタリングして更に粗大化するため、穴拡げ性に大きな影響を与え、圧延中に伸延、もしくは、破砕され、材質を劣化させる大きな要因となっていた。
本発明者らの研究によれば、特許文献1、2、3、4および5に記載の課題の原因は、図2に示すような伸びフランジ性に影響を及ぼすアルミナ介在物の形態は制御しても、主に、図1に示すような鋼板中のMnSを主体とする延伸した硫化物系介在物、図3に示すような低融点のCaO−Al系介在物および図4に示すような粗大な延伸するFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaS系介在物の存在にあることが分かった。即ち、繰返し変形を受けると、表層またはその近傍に存在する延伸した粗大なMnS系介在物の周辺に内部欠陥が発生し、亀裂として伝播することによって、疲労特性が劣化するとともに、穴拡げ加工、曲げ加工時の割れ発生の起点となり易いため、伸びフランジ性、曲げ加工性が低下する要因となる。
即ち、特許文献1、2、3、4および5に記載のMnSを主体とする硫化物系介在物の存在について詳述すると、Mnは、CやSiとともに材料の高強度化に有効に寄与する元素であるため、高強度鋼板では、強度確保のため、Mnの濃度を高く設定するのが一般的であり、さらに、通常の製鋼工程の処理では、Sも5〜50ppm程度は含まれてしまうため、鋳片中にはMnSが存在するのが通常である。
また、同時に、可溶性Tiを高めていくと、粗大なTiSや、MnSと一部化合して(Mn、Ti)Sが析出するようになる。鋳片が熱間圧延および冷間圧延されると、こうしたMnS系介在物やTiSは圧延中に変形するため、延伸した介在物となり、これが、疲労特性と伸びフランジ性(穴拡げ加工性)を低下させる原因となる。
そこで、特許文献4記載の発明では、MnS系介在物を微細球状介在物として鋼板中に分散させることにより、伸びフランジ性(穴拡げ性)と疲労特性を良好にしている。しかし、実質的にAl脱酸を行わないため、高酸素ポテンシャルとなり、このため脱硫反応が起こりにくい。このため、比較的高いS濃度のまま、介在物組成・形態の極値を求め、材質を向上させている。したがって、極低硫まで脱硫することには、対応できていない。
即ち、酸素ポテンシャル、硫黄ポテンシャル、そして、材質を向上させるための介在物組成・形態について詳述すると、酸可溶Alは、一般的には、その酸化物がクラスター化して粗大になり易く、伸びフランジ性、曲げ加工性や疲労特性を劣化させるので、極力、抑制することが望ましい。それ故、酸可溶Al濃度が0.01%超にならない程度での比較的高い酸素ポテンシャルにおいて、脱硫処理を行うことになる。
脱硫反応は還元反応であるので、低酸素ポテンシャル下では容易に進行するが、高酸素ポテンシャル下では、高硫黄ポテンシャルとなり、極低硫までの脱硫は非常に困難である。そこで、Ce、Laを過剰に添加して、酸素ポテンシャルを極力下げているものの、酸素ポテンシャルは充分に低下しないだけでなく、コストも多くかかってしまう。即ち、S濃度が比較的高い状態で、Sを無害化するという発想で、Ce、Laを過剰に添加して介在物組成・形態を制御し、伸びフランジ性と疲労特性を向上させている。
しかしながら、S濃度が比較的高い状態で、Sを無害化するためにCe、Laを過剰に添加して介在物組成・形態の制御を行ったとしても、S濃度が比較的高いために、Sの無害化には限度があり、より良好な伸びフランジ性(穴拡げ性)と疲労特性を有する高強度鋼板が望まれている。
しかし、製鋼段階での操業性も含めて、酸素ポテンシャル、硫黄ポテンシャル、介在物組成・形態の3者を総合的に制御するとの視点にたち、伸びフランジ性、曲げ加工性と疲労特性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法を提案した例はない。
また、Mnは、CやSiとともに材料の高強度化に有効に寄与する元素であるため、高強度鋼板では強度確保のためMnの濃度を高く設定するのが一般的であり、さらに通常の製鋼工程の処理ではS濃度も50ppm程度は含まれてしまう。このため、鋳片中にはMnSが存在するのが通常である。鋳片が熱間圧延および冷間圧延されると、こうしたMnS系介在物は変形し易いため、延伸したMnS系介在物となり、これが曲げ加工性と伸びフランジ性(穴拡げ加工性)を低下させる原因となる。しかし、これまで、こうしたMnS系介在物の析出・変形制御の視点にたって伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法を提案した例は見られない。
一方、特許文献5においてAl脱酸を行うことで酸素ポテンシャル、硫黄ポテンシャル、そして、材質を向上させるためにAl脱酸を行うことで、操業性を上げようとすると、Ca添加が必要となり、それに付随して低融点の酸化物を生成するため、それが材質を低下させることになっていた。Caは溶融鉄中では、液体もしくは気化蒸発するため、最初に低融点の酸化物を生成する。こうした、溶融鉄中で液体である酸化物を先に生成させると、液体介在物が凝集合体して、粗大化したCaO−Al系の低融点の酸化物やFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaSを生成するため、その後にCeもしくはLa等を添加して介在物形態を制御しようと試みても、不可能であった。
こうした低融点酸化物であるCaO−Al系酸化物や、Fe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaS系介在物、そして、Mnを添加することにより必ず生じるMnS系介在物は、鋳塊が熱間圧延および冷間圧延されると、変形し易いため、延伸したCaO−Al系酸化物、粗大なCaS系介在物やMnS系介在物となり、これが曲げ加工性と伸びフランジ性(穴拡げ加工性)を低下させる原因となる。しかし、これまで、こうしたCaO−Al系酸化物、粗大なFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaS系介在物やMnS系介在物の析出・変形制御の視点にたって伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法を提案した例は見られない。
また、Tiは析出物として微細なTiNやTiCを生成するので、強度を向上させる効果があるが、上記のように圧延中に変形する粗大なTiSを生成しやすいという課題も有った。そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、製鋼段階で溶鋼の複合的な脱酸を行い、鋳塊中にCaO−Al系酸化物、粗大なFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaSを生成させず、併せて、穴広げ性に悪影響を及ぼす粗大なTiSの生成を制御して、比較的コストを上げずにかつ高い易操業性を確保しながらも、伸びフランジ性、曲げ加工性と疲労特性を向上させた、伸びフランジ性、曲げ加工性と疲労特性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法を提供することにある。
上述の問題点を解決するため、本発明者らは、鋳片中に微細なMnSの介在物を析出させ、さらに、圧延時に変形を受けず、割れ発生の起点となり難い微細球状介在物として鋼板中に分散させ、伸びフランジ性、曲げ加工性を向上させる方法、および疲労特性を劣化させない添加元素の解明を中心に、鋭意研究を進めた。
その結果、図5(a)および図5(b)に示すように、Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種、かつ、Ca、かつ、O、Sから1種または2種とからなる化学成分の第1の介在物相と、Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種と、かつ、Caと、かつ、O、Sから1種または2種と、さらに、Mn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種または4種とからなる化学成分の第2の介在物相との、異なる成分の第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成り、円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成している球状介在物の個数割合が円相当径0.5〜5μmの大きさの全介在物個数の50%以上であり、加えて、円相当径5μm超の介在物の個数密度が10個/mm未満であるように介在物を制御すると、鋼板中には、穴広げ性に悪影響を及ぼす延伸したMnSや粗大な介在物が著しく減少し、繰返し変形時や穴拡げ加工、曲げ加工時において、粗大な介在物やMnS系介在物が、割れ発生の起点や、亀裂伝播の経路となり難くなり、これが、穴拡げ性等の向上につながることが判明した。
また、析出物を微細な酸化物、MnS系介在物とすることに加え、低硫まで脱硫処理し、残存する硫黄分を確実に微細で硬質な介在物に固定するため、Si、Mn、Al、(Ce、La、Nd、Pr)、Caで逐次複合脱酸することも検討した。その結果、Siで脱酸を行った後、TiおよびAlで脱酸し、その後、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加して脱酸した後、Caを添加した溶鋼において、質量ベースで、所定の(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが得られて、かつ、最後にCaを添加している場合、溶鋼中の酸素ポテンシャルが低下し、この低い酸素ポテンシャル下では、さらに、微細なTiS系介在物とすることができ、残存する硫黄分を確実に微細で硬質な介在物に固定できることを見出し、そして、この場合、飛躍的に、伸びフランジ性、および曲げ加工性が向上することを知見した。
なお、TiNが、Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種を含有し、かつ、Caを含有し、かつ、O、Sから1種または2種を含有する第1の介在物相と、さらに、Mn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種または4種を含有する第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物上に複合析出、もしくは単独析出する例も観察されたが、析出物は微細であるので伸びフランジ性、曲げ加工性および疲労特性にはほとんど影響がないことが確認されたので、TiNは、本発明が対象とするMnS系介在物には該当しない。また、Tiを添加して鋼中の酸可溶Tiを高めることで、固溶TiまたはTiの炭窒化物によりピン止め効果を発現して、結晶粒を微細化することもできることが分かった。伸びフランジ性と曲げ加工性にはほとんど影響がないことが確認されたため、TiNはMnS系介在物の対象としない。
本発明の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板に係る発明は、上記知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.03〜0.25%、
Si:0.03〜2.0%、
Mn:0.5〜3.0%、
P:0.05%以下、
T.O:0.0050%以下、
S:0.0001〜0.01%、
酸可溶Ti:0.008〜0.20%、
N:0.0005〜0.01%、
酸可溶Al:0.01%超、
Ca:0.0005〜0.005%、
Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上の合計:0.001〜0.01%、
さらに、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10で、
残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼板であり、
Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種、かつ、Ca、かつ、O、Sから1種または2種との化学成分からなる第1の介在物相と、
Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種と、かつ、Caと、かつ、O、Sから1種または2種と、さらに、Mn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種または4種との化学成分からなる第2の介在物相との、異なる成分の第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成る球状介在物を含有し、該球状介在物の内で円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成している球状介在物の個数割合が円相当径0.5〜5μmの大きさの全介在物個数の50%以上であり、加えて、円相当径5μm超の介在物の個数密度が10個/mm未満であることを特徴とする伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(2) 前記球状介在物が円相当直径1μm以上の介在物で、かつ、長径/短径が3以下の延伸介在物の個数割合が円相当直径1μm以上の全介在物個数の50%以上であることを特徴とする上記(1)記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(3) 前記球状介在物中に平均組成でCe、La、NdおよびPrの1種または2種以上を合計で0.5〜95質量%含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(4) 前記鋼板の組織における結晶の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(5) 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
Nb:0.01〜0.10%、
V:0.01〜0.10%、
の1種または2種含有していることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(6) 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
Cu:0.1〜2%、
Ni:0.05〜1%、
Cr:0.01〜1.0%、
Mo:0.01〜0.4%、
B:0.0003〜0.005%、
の1種または2種以上含有していることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(7) 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
Zr:0.001〜0.01%、
を含有していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
(8) 製鋼における精錬工程において、質量%で、Pが0.05%以下、Sが0.0001%以上に処理された溶鋼に、Cが0.03〜0.25%、Siを0.1〜2.0%、Mnを0.5〜3.0%、Nが0.0005〜0.01%となる様に添加もしくは調整し、その後、Alを酸可溶Alで0.01%超、T.Oが0.0050%以下となる様に添加し、さらにその後、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加して、さらに、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上の合計を0.001〜0.01%とした後に、Caが0.001〜0.005%となる様に添加もしくは調整することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
(9) 前記精錬工程において、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加する前に、さらに、質量%で、Nbを0.01〜0.10%、Vを0.01〜10%のいずれか1種または2種となる様に添加することを特徴とする上記(8)に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
(10) 前記精錬工程において、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加する前に、さらに、質量%で、Cuを0.1〜2%、Niを0.05〜1%、Crを0.01〜1.0%、Moを0.01〜0.4%、Bを0.0003〜0.005%の1種または2種以上となる様に添加することを
特徴とする上記(8)または(9)に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
ちなみに、本発明における高強度鋼板とは、通常の熱延、冷延鋼板でそのままの裸での使用や、めっき、塗装などの表面処理が施されて使用される場合を含むものである。
本発明に係る伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板では、Al脱酸、Ce、La、Nd、Prによる脱酸、その後のCa脱酸により溶鋼の成分調整の安定化を図られており、粗大なアルミナ介在物の生成が抑制され、鋳片中に微細な異なる介在物相からなる複合介在物として生成されていることで、圧延時に変形を受けず、割れ発生の起点となり難い微細球状介在物として鋼板中に分散させることができ、また、組織の結晶粒径を微細なものとすることができ、伸びフランジ性と曲げ加工性を向上させることが可能となる。
また、本発明に係る伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板の溶鋼の溶製方法では、Ce、La、Nd、Prによる脱酸、その後のCa脱酸により溶鋼の成分調整の安定化を図りつつ、粗大なアルミナ介在物の生成を抑制でき、鋳片中に微細な異なる介在物相からなる複合介在物として生成させることで、圧延時に変形を受けず、割れ発生の起点となり難い微細球状介在物として鋼板中に分散させることができ、また、Tiを添加することで組織の結晶粒径を微細なものとすることができ、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度熱延鋼板を得ることができる。
MnSを主体とする延伸した硫化物系介在物を示す図である。 伸びフランジ性に影響を及ぼすアルミナ系介在物の形態を示す図である。 伸びフランジ性に影響を及ぼす延伸したCaO−Al系の低融点の酸化物を示す図である。 伸びフランジ性に影響を及ぼす延伸したFe、MnやOを固溶したり、CaO−Alと複合したCaS系介在物を示す図である。 (a)および(b)は、本発明での球状化した複合介在物の例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、まず、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板について、詳細に説明をする。ここで、組成における質量%は、単に%と記載する。
本発明を完成するに至った実験について説明する。
本発明者は、C:0.06%、Si:1.0%、Mn:1.4%、P:0.01%以下、S:0.005%、N:0.003%を含有し残部がFeである溶鋼に対して様々な元素を用いて脱酸を行い、鋼塊を製造した。得られた鋼塊を熱間圧延して3mmの熱延鋼板とした。これら製造した熱延鋼板を引張試験、穴拡げ試験および曲げ試験に供すると共に、鋼板中の介在物個数密度、形態および平均組成を調査した。
まず、Siを添加して、その後にAlで脱酸して約2分程度撹拌した後、Tiを添加して約2分程度撹拌した後に、さらにその後にCe、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加した後にCaで脱酸した鋼板について伸びフランジ性及び曲げ加工性を調査した。その結果、この様なSi、次いでAlおよびTi、並びにCe、La、Nd、Prの1種または2種以上、およびCaの5段階により逐次脱酸した鋼板では、伸びフランジ性と曲げ加工性をより向上させることができることが確認できた。
その理由は、AlおよびTiで脱酸した際に生じた、MnやSiを一部含むAl酸化物、Ti酸化物、またはAl−Ti複合酸化物が、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の添加による脱酸により変質して、(Ce、La、Nd、Pr)−(O)介在物および(Mn、Si、Ti、Al)−(Ce、La、Nd、Pr)−(O)介在物が形成し、これにSが吸収されることで、(Ce、La、Nd、Pr)−(O、S)介在物および(Mn、Si、Ti、Al)−(Ce、La、Nd、Pr)−(O、S)介在物も形成し、これらの介在物がCaの脱酸により還元されて、全介在物相にCaが含まれて(Ce、La、Nd、Pr)−(O、S)−(Ca)介在物相(以下、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相、或いは単に第1の介在物相ということがある。)および(Mn、Si、Ti、Al)−(Ce、La、Nd、Pr)−(O、S)−(Ca)介在物相(以下、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相或いは単に第2の介在物相ということがある。)が形成し、これらの介在物が合体するか、もしくは、介在物相として析出することで、異なる介在物相を持つ複合介在物が生成したと考えられる。
生成した複合介在物の例を図5(a)および図5(b)に示す。
尚、上記の(Mn、Si、Ti、Al)−(Ce、La、Nd、Pr)−(O、S)−(Ca)介在物相の表現で、(Mn、Si、Ti、Al)とはMn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種、または4種の元素を含むという意味であり、(Ce、La、Nd、Pr)とは、Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種の元素を含むという意味であり、(O、S)とは、O、Sから1種または2種の元素を含むという意味であり、(Ca)とはCa元素を含むという意味である。
この複合介在物は、最後に本発明で扱った元素の内、最も脱酸力の強いCaで脱酸を行なう為に介在物の融点が高くなっているので、形成した複合介在物の圧延時の変形が長径と短径の比で3以下と変形しにくい。
併せて、Ce、La、Nd、PrおよびCaは脱酸力が強いが溶鋼との濡れ性が良いので生成した複合介在物は微細に分散する。
即ち、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成り、円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成する。
上記で、「異なる第1と第2の介在物相」と表現したのは、複合介在物の中で介在物相として光学的もしくは電子像として識別でき、介在物相の組成を調べると濃度に差が有るので、異なる介在物相と発明者が判断したものである。すなわち、一方の介在物相には極めて微量に元素が含まれ、他方の介在物相には多量の同一の元素が含まれる場合には異なると判断している。
本発明者は、これらの複合介在物が円相当径で0.5〜5μmの球形介在物であり、この球形介在物が介在物個数割合で円相当径で0.5〜5μmの全介在物個数の50%以上あれば、穴広げ性が向上することを見出した。なお、球形介在物の介在物個数割合は、多いほど好ましいが98%程度が上限と考えられる。
本発明では長径と短径の比が3以下であり、本発明ではこれらの介在物を球形介在物と称している。発明者が調査した限りでは0.5〜5μmの介在物の内、およそ80%以上の介在物が長径と短径の比が3以下である球形介在物であることが判っている。
尚、本発明の場合には、0.5〜5μmの介在物の個数密度は数10個/mm程度、即ち、10〜100個/mmである。
更に、発明者はTiを添加した際に生成されるTiSの挙動についても検討した。その結果、高温ではTiとSは上記の複合介在物上に取り込まれ、TiSとしての粗大な介在物としては析出しないことを見出した。併せて、固体内で微細に析出するTiSは拡散が遅い為に微細なまま固体内に留まることを見出した。
発明者が観察したところ、第1の介在物相と第2の介在物相との異なる介在物相からなる複合介在物を形成した本発明の鋼においては、TiSの大きさは最大でも3μmに留まり、この大きさ以下の介在物は、介在物個数割合で30%以下の場合には穴広げ性に悪影響を及ぼさないことを見出した。
また、Tiを添加すると、併せてTiN粒子も生成しているが、これが圧延前の加熱時において鋼板組織の結晶粒の成長を抑制する、いわゆるピン止めの機能の発揮に寄与することにより、鋼板組織の結晶粒径も微細なものとなる。その結果、繰り返し変形時や穴拡げ加工時において、これらの複合析出した酸化物またはオキシサルファイドである介在物が割れ発生の起点や亀裂伝播の経路となり難くなる。また、鋼板組織の結晶粒径も微細なものであるので、上述の如き耐疲労性等の向上につながると考えられる。
また、一部、5μm超の介在物として、球状、クラスター状、もしくは、圧延時に破砕された形状の介在物が検出された。これらは、(Ce、La、Nd、Pr)が一部検出されるものの、その濃度は低いことから、スラグの巻き込みや耐火物に付着した酸化物が溶鋼中に混入したいわゆる外来性の介在物が主体であると考えられる。
発明者は、これら5μm超の介在物について穴広げ性についての影響度を検討した。その結果、個数密度で10個/mm以下の場合には、穴広げ性について悪影響を与えないことを見出した。
本発明の場合には、(Ce、La、Nd、Pr)を添加した後に、Caを溶鋼中に吹き込んで添加する。この際に金属Caまたは金属Caを含んだ合金をCaO等のいわゆるフラックスを搬送粉体として用いるので、この際に外来性の介在物が浮上して溶鋼が清浄化すると考えられる。
本発明者らは、引き続き、Al、Ti脱酸を行いながら、(Ce、La、Nd、Pr)の組成を変化させつつ脱酸を行い、Caを添加して鋼塊を製造した。得られた鋼塊を熱間圧延して3mmの熱延鋼板とした。これら製造した熱延鋼板を穴拡げ試験および曲げ試験に供すると共に、鋼板中の介在物個数密度、形態および平均組成を調査した。
このような実験を通じて、Siを添加した後、TiおよびAlで脱酸し、その後Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加し、最後にCaを添加して脱酸した溶鋼において、質量ベースで、所定の(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al比、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/S比が得られている場合、急激に溶鋼中の酸素ポテンシャルが低下する結果が得られた。
すなわち、Al、Ti、(Ce、La、Nd、Pr)、Caの順での複合的な脱酸の効果により、これまで種々の脱酸元素で脱酸を行ってきた系のうち、最も、酸素ポテンシャルが低下する効果が得られた。これらの複合脱酸の効果により、生成する酸化物についてもAl濃度が極めて低くできるため、Alで殆ど脱酸することなく製造した鋼板と同様に、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れる鋼板が得られることが分かった。
発明者は、前記所定の(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al比とは、具体的には、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2であることを見出した。
更に、発明者は鋼板の化学成分(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比で規定し、整理することを着想した。
具体的には、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10と言う範囲にする。
70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2であり、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10の場合には、後述するように、円相当径で2μm以下の微細な介在物が分散する。
一方、100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Alの値が70を超えると、介在物の径が大きくなる。逆に100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Alの値が0.2未満であるとAlが増加する。
また、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2未満の時には大きなMnSが析出する。逆に、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが10を超えて大きくなると、効果が飽和するがCe、La、Nd、Prのコストが高くなる。
本発明において、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れる鋼板が得られる理由は、以下の通りと考えられる。
前記、本発明の球形の5μm以下の複合介在物が、円相当径で0.5μm以上のものを観察した場合に長径と短径の比が3以下のものが介在物の個数割合で50%以上の場合には、伸びフランジ性(穴広げ性)が更に向上することを発明者は見出した。この理由は、本発明の複合介在物は、5μm以下の大きさで微細に分散しているのに加えて、硬質である為に、圧延時にもこの複合介在物の変形を抑制することができ、加えて、鋼板中には延伸した粗大なMnS系介在物を著しく減少させることにより曲げ加工性等を向上できるという効果が得られること。更に、複合脱酸により溶鋼の酸素ポテンシャルを低下できることにより、成分組成のばらつきを小さくできる。
なお、(Ce、La、Nd、Pr)の添加前に、Caを添加しても微細な球状複合化合物は得られない。これは、伸延性の有るCaSが先に生成すると、このCaSは(Ce、La、Nd、Pr)により還元出来ないで残存する為と考えられる。
これら実験的検討から得られた知見に基づいて、本発明者は、以下に説明するように、鋼板の化学成分条件の検討を行い、本発明の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板を完成させるに至った。
以下、本発明において鋼板の化学成分を限定した理由について説明をする。
(C:0.03〜0.25%)
Cは、鋼の焼き入れ性と強度を制御する最も基本的な元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて疲労強度の向上に対して有効に寄与する。即ち、このCは、鋼板の強度を確保するために必須の元素であり、高強度鋼板を得るためには少なくとも0.03%が必要である。しかし、このCが過剰に含まれ0.25%を超えると、加工性ならびに溶接性が劣化する。必要な強度を達成し、加工性・溶接性を確保するために、本発明においては、Cの濃度を0.25%以下とする。
(Si:0.03〜2.0%)
Siは主要な脱酸元素の一つであり、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイト数を増加させ、オーステナイトの粒成長を抑制するとともに、焼入れ硬化層の粒径を微細化させる機能を担う。このSiは、炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制するとともに、ベイナイト組織の生成に対しても有効であるため、伸びを大きく損なうことなく強度を向上し、低降伏強度比で穴拡げ性を改善するために重要な元素である。溶鋼中の溶存酸素濃度を低下させ、一旦SiO系介在物を生成させ、複合脱酸により最終的な溶存酸素の極小値を得るためには(このSiO系介在物を後から添加したAlが還元してアルミナ系介在物を生成し、その後さらに、Ce、La、Nd、Prが還元することによりアルミナ系介在物を還元させるため)、Siを0.1%以上添加する必要があるため、本発明においては、Siの下限を0.1%とした。これに対して、Siの濃度が高すぎると、靭延性が極端に悪くなり、表面脱炭や表面疵が増加するため曲げ加工性が却って悪くなる。これに加えて、Siを過剰に添加すると溶接性や延性に悪影響を及ぼす。このため、本発明においては、Siの上限を2.0%とした。
(Mn:0.5〜3.0%)
Mnは、製綱段階での脱酸に有用な元素であり、C、Siとともに鋼板の高強度化に有効な元素である。このような効果を得るためには、このMnを0.5%以上は含有させる必要がある。しかしながら、Mnを、3.0%を超えて含有させるとMnの偏析や固溶強化の増大により延性が低下する。また、溶接性や母材靭性も劣化するのでこのMnの上限を3.0%とする。
(P:0.05%以下)
PはFe原子よりも小さな置換型固溶強化元素として作用する点において有効である。しかし、このP濃度が0.05%を超えると、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることにより、ねじり疲労強度を低下させ、加工性の劣化を引き起こす原因にもなりえるため、上限を0.05%とする。また固溶強化の必要がなければPを添加する必要はなく、Pの下限値は0%を含むものとする。
(T.O:0.0050%以下)
T.O(全酸素量)は、不純物として酸化物を形成する。T.Oが高すぎる場合、主としてAl系介在物が増大し、系の酸素ポテンシャルを極小にすることができなくなり、靭延性が極端に悪くなり、表面疵が増加するため曲げ加工性が却って悪くなる。このため、本発明においては、T.Oの上限を0.0050%とした。
(S:0.0001%〜0.01%)
Sは、不純物として偏析して、SはMnS系の粗大な延伸介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させるため、極力低濃度であることが望ましい。一方、0.01%程度の比較的高いS濃度においても、本発明のMnS系の粗大な延伸介在物を形態制御により、二次精錬での脱硫負荷をかけず、脱硫コストをかけずに、コストに見合った以上の材質が得られる。従って、本発明におけるS濃度の範囲として、二次精錬での脱硫を前提とした極低S濃度から、比較的高S濃度までの0.0001%%〜0.01%までの範囲とした。
また、本発明では、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成り、円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成する。
Sの濃度の上限値は後述の通り、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計量との関係で規定される。
更には、0.01%を超えるとセリュウムオキシサルファイド、ランタンオキシサルファイド、ネオジムオキシサルファイドおよびプラセオジムオキシサルファイドの1種または2種以上が成長し、5μmを超える大きさとなってきて、粗大化した場合には、靭延性が極端に悪くなり、表面疵が増加するため曲げ加工性が却って悪くなる。このため、本発明においては、Sの上限を0.01%とした。
すなわち、本発明では上記の通り、MnSの生成を[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物を形成することで抑制するので、Sの濃度0.01%以下の範囲で、比較的高くても、それに応じた量のCe、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加することで、材質に悪影響を及ぼすことを防止することができる。すなわち、Sの濃度がある程度高くても、これに応じたCe、La、Nd、Prの1種又は2種以上の添加量を調整することにより、実質的な脱硫効果が得られ、極低硫鋼と同様の材質が得られる。換言すれば、このS濃度は、Ce、La、Nd、Prとの合計量との間で適切に調整することにより、その上限についての自由度を高くすることが可能となる。したがって、本発明では、極低硫鋼を得るための二次精錬での溶鋼脱硫を行う必要がなく、省略することも可能となり、製造プロセスの簡略化、またこれに伴う脱硫処理コストの低減を実現することが可能となる。
(酸可溶Ti:0.008〜0.20%)
Tiは主要な脱酸元素の一つであるとともに、炭化物、窒化物、炭窒化物を形成し、熱間圧延前で充分な加熱を行うことにより、オーステナイトの核生成サイト数を増加させ、オーステナイトの粒成長を抑制するため微細化・高強度化に寄与し、熱間圧延時の動的再結晶に有効に作用し、伸びフランジ性を著しく向上させる機能を担う。これには、酸可溶Tiを0.008%以上添加する必要があることを実験的に知見した。このため、本発明においては、酸可溶Tiの下限を0.008%とした。ちなみに、熱間圧延前における充分な加熱温度は、鋳造時に生成した炭化物、窒化物、炭窒化物を、一旦、固溶するために充分な温度であることが要求され、1200℃超は必要である。一方、1250℃を超えて高い温度とすることは、コストやスケール生成の観点から、好ましくない。従って、1250℃程度が好適である。一方、0.2%を超えて含有すると、脱酸における効果が飽和するのみならず、熱延前で充分な加熱を行っても、粗大な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成してしまい、かえって材質の劣化を招き、含有量に見合う効果が期待できない。このため、本発明においては、酸可溶Tiの濃度の上限を0.2%とする。ちなみに、酸可溶Ti濃度とは、酸に溶解したTiの濃度を測定したもので、溶存Tiは酸に溶解し、Ti酸化物は酸に溶解しないことを利用した分析方法である。ここで、酸とは、例えば塩酸1、硝酸1、水2の割合(質量比)で混合した混酸が例示できる。この様な酸を用いて、酸に可溶なTiと、酸に溶解しないTi酸化物とに分別でき、酸可溶Ti濃度が測定できる。
本発明では、Tiを上記の範囲に調整すること、(Ce+La+Nd+Pr)/Sを0.2〜10とすること、およびCe、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加した後に、Caを添加するとTiSの大きさが3μm以下に出来ることを見出した。
この理由は、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる成分を含む介在物相の複合介在物中の全介在物相にCaが含まれる為に、TiとSがこの複合介在物に吸収されやすくなっており、高温で析出しようとするTiS介在物はこの複合介在物に取りこまれやすくなり単独では析出しなくなる。また、この複合介在物上に競合析出することも無い。この為に、TiS介在物として単独析出するには低温になってTiとSの溶解度積が析出領域に達した際に析出するTiS介在物に留まるので、析出したとしてもその大きさが3μm以下になる。
また、MnSの抑制と同様に(Ce+La+Nd+Pr)/Sを0.2〜10に調整していることも、TiSの析出を遅らせてその大きさと個数割合を小さくすることに効果があると考えられる。
尚、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加する前にCaを添加すると、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を含む介在物にMnS、TiS、(Mn、Ti)Sを複合析出させることは出来るが、CaSが単独で生成する。すなわち、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を含む介在物中にCaが存在しないので、本発明の介在物のようにTiとSが複合介在物中に吸収されやすくなることは無い。したがって、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加する前にCaを添加すると、TiS介在物の大きさいは3μm以上になることもあり伸びフランジ性は本発明の鋼板に比べると悪い。
(N:0.0005〜0.01%)
Nは、溶鋼処理中に空気中の窒素が取り込まれることから、鋼中に不可避的に混入する元素である。Nは、Al、Ti等と窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進する。しかしながら、このNは0.01%を超えて含有すると、AlやTi等と粗大な析出物を生成し、伸びフランジ性を劣化させる。このため、本発明においては、Nの濃度の上限を0.01%とする。一方、Nの濃度を0.0005%未満とするにはコストが高くなるので、工業的に実現可能な観点から0.0005%を下限とする。
(酸可溶Al:0.01%超)
酸可溶Alは一般的には、その酸化物がクラスター化して粗大になり易く、伸びフランジ性や曲げ加工性を劣化させるため極力抑制することが望ましい。しかしながら、本発明においては、Al脱酸を行いつつも、Si、Ti、(Ce、La、Nd、Pr)、Caの複合的、かつ逐次的な脱酸効果と、酸可溶Al濃度に応じたCe、La、Nd、Prの1種又は2種以上の濃度とすることにより、上述の通り、極低酸素ポテンシャルを達成しつつ、Al脱酸で生成したAl系介在物について、一部のAl系介在物は浮上除去され、溶鋼中の残りのAl系介在物は、後から添加したCe、La、Nd、Prの1種又は2種以上が還元分解して、クラスターを分断し、微細な介在物を形成し、アルミナ系酸化物がクラスター化して粗大にならない領域を新たに見出した。
このため、本発明においては、従来のようにアルミナ系酸化物の粗大なクラスターを避けるために実質的にAlを添加しないという制限を設ける必要もなくなり、特にこの酸可溶Alの濃度に関して自由度を高くすることが可能となる。酸可溶Alを0.01%超とすることにより、Al脱酸とCe、La、Nd、Prの1種又は2種以上の添加による脱酸、およびCa脱酸を併用させることが可能となり、従来のように脱酸に必要なCe、La、Nd、Prの1種又は2種以上の添加量を必要以上に多くすることもなくなり、Ce、La、Nd、Prの1種又は2種以上の脱酸による鋼中の酸素ポテンシャルの上昇の問題を解消でき、各成分元素の組成のバラツキを抑制できるという効果も享受できる。
酸可溶Alの濃度の上限値は、後述の通り、Ce、La、Nd、Prの1種又は2種以上の合計量との関係で規定される。
また、ここでいう酸可溶Al濃度とは、酸に溶解したAlの濃度を測定したもので、溶存Alは酸に溶解し、Alは酸に溶解しないことを利用した分析方法である。ここで、酸とは、例えば塩酸1、硝酸1、水2の割合(質量比)で混合した混酸が例示できる。この様な酸を用いて、酸に可溶なAlと、酸に溶解しないAlとに分別でき、酸可溶Al濃度が測定できる。
(Ca:0.0005〜0.005%)
Caは、本発明においては、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物を形成する重要な元素である。
即ち、(Ce、La、Nd、Pr)で脱酸して生成した介在物はCaを添加することで、還元して、全ての介在物相中にCaが含まれるようにすることで上記の複合介在物を形成させる。一方、Caを添加しないと上記の複合介在物は形成しない。
この複合介在物の形成により、鋼の伸びフランジ性と曲げ加工性を向上することができる。これらの効果を得るためにはCaの添加量を0.0005%以上とすることが好ましい。
しかし、Caを多量に含有させても効果は飽和し、かえって鋼の清浄性を損ない、延性を劣化させる。そのため、0.005%を上限とする。好ましくは0.002〜0.004%である。
(Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計:0.001〜0.01%)
Ce、La、Nd、PrはSi脱酸により生成したSiO、逐次的にAl脱酸により生成したAlを還元し、かつ粗大化しようとするAlクラスターを分断する効果がある。加えて、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上添加後にCaを添加することで、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物を形成する効果を有している。
このような介在物を得るためには、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計濃度を0.0005%以上0.01%以下にする必要があることを、実験的に知見した。
Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計濃度が0.0005%未満ではSiO、Al介在物を還元できず、0.01%超ではセリュウムオキシサルファイド、ランタンオキシサルファイド等が多量に生成し、粗大な介在物となり伸びフランジ性や曲げ加工性を劣化させる。
また、上記で述べた本発明の鋼板中における、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上からなる酸化物またはオキシサルファイドにMnSが析出した形態の介在物の存在条件として、MnSがCe、La、Nd、Prの1種または2種以上からなる酸化物またはオキシサルファイドで如何に改質されているかを捉えることをSの濃度を用いて規定できる点に着目し、鋼板の化学成分(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比で規定し、整理することを着想した。
具体的には、この質量比が小さいときには、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上からなる酸化物および/またはオキシサルファイドが少なく、MnSが単独で多数析出することになる。この質量比が大きくなってくると、MnSに比し、第1の介在物相と、第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物の形態の介在物が多くなってくる。すなわち、MnSがCe、La、Nd、Prの1種または2種以上からなる酸化物および/またはオキシサルファイドで改質されてくる。こうして、伸びフランジ性と曲げ加工性を向上させるために、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上からなる酸化物および/またはオキシサルファイドにMnSを析出させ、MnSの延伸を防止することに繋がる。このため、上記質量比は、これらの効果を奏するか否かを識別するためのパラメータとして整理することが可能となる。
そこで、MnS系介在物の延伸抑制に有効な化学成分比を明らかにするため、鋼板の(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比を変化させて成分を調整した後にCaを添加した後の、介在物の形態、伸びフランジ性と曲げ加工性を評価した。その結果、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比が0.2〜10である場合に、伸びフランジ性と曲げ加工性が共に飛躍的に向上することが判明した。
(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比が0.2未満になると、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物の形態の介在物個数割合が少な過ぎるため、これに対応して、割れ発生の起点となり易いMnS系延伸介在物の個数割合が多くなり過ぎ、伸びフランジ性と曲げ加工性が低下する。
一方、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比が10超になると、第1の介在物相と、第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物を生成して、伸びフランジ性と曲げ加工性を良好にするという効果が飽和してしまい、コスト的に見合わなくなる。以上の結果から、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比は0.2〜10と限定する。ちなみに、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比が過大となり、例えば70を超えてしまうと、セリュウムオキシサルファイド、ランタンオキシサルファイドが多量に生成し、粗大な介在物となるため、逆に、伸びフランジ性や曲げ加工性を劣化させることからも、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比の上限は10とする。
尚、本発明の[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物中には、Ce、La、Nd、Prは、1種または2種以上の合計で0.5〜95%含まれる。この合計濃度が0.5%未満の場合には複合介在物が硬質にならないで、圧延すると長径/短径の比が3以上になり、鋼板の穴広げ性に悪影響を及ぼす。また、95%を超えると介在物が脆化しやすくなり、圧延時に粉砕して連なった形で残存して、伸延介在物と同様になり鋼板の穴広げ性に悪影響を及ぼす。
以下、本発明においての、選択元素について化学成分を限定した理由について説明をする。これらの元素は選択元素であることから、添加の有無は任意であり、1種だけ加えても良く、2種以上加えてもよい。
Nb、Vについて
Nb、Vは、CもしくはNと炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進し、靭性向上に寄与する。
(Nb:0.01〜0.10%)
上述した複合炭化物、複合窒化物等を得るためこのNb濃度を0.01%以上とするのが好ましい。しかし、このNb濃度が0.10%を超えて多量に含有してもかかる母材組織の細粒化の効果が飽和し、製造コストが高くなる。このため、Nb濃度は0.10%を上限とする。
(V:0.01〜0.10%)
上述した複合炭化物、複合窒化物等を得るためにはこのV濃度を0.01%以上とするのが好ましい。しかし、このV濃度が0.10%を超えて多量に含有しても効果が飽和し、製造コストが高くなる。このため、V濃度は0.10%を上限とする。
Cu、Ni、Cr、Mo、Bについて
Cu、Ni、Cr、Mo、Bは、強度を向上し、鋼の焼き入れ性を向上する。
(Cu:0.1〜2%)
Cuは、フェライトの析出強化や疲労強度向上に寄与し、さらに鋼板の強度を確保するために、必要に応じて含有することができ、この効果を得るためには0.1%以上添加することが好ましい。しかし、このCuの多量の含有はかえって強度−延性のバランスを劣化させる。そのため、2%を上限とする。
(Ni:0.05〜1%)
Niは、フェライトの固溶強化することができるため、さらに鋼板の強度を確保するために、必要に応じて含有することができ、この効果を得るためには0.05%以上添加することが好ましい。しかし、このNiの多量の含有はかえって強度−延性のバランスを劣化させる。そのため、1%を上限とする。
(Cr:0.01〜0.1%)
Crは、さらに鋼板の強度を確保するために、必要に応じて含有することができ、この効果を得るためには0.01%以上添加することが好ましい。しかし、このCrの多量の含有はかえって強度−延性のバランスを劣化させる。そのため、1%を上限とする。
(Mo:0.01〜0.4%)
Moは、さらに鋼板の強度を確保するために、必要に応じて含有することができ、これらの効果を得るためには0.01%以上添加することが好ましい。しかし、このMoの多量の含有はかえって強度−延性のバランスを劣化させる。そのため、0.4%を上限とする。
(B:0.0003〜0.005%)
Bは、さらに粒界を強化し、加工性を向上するために、必要に応じて含有することができ、これらの効果を得るためには0.0003%以上添加することが好ましい。しかし、このBを0.003%を超えて多量に含有させてもその効果は飽和し、かえって鋼の清浄性を損ない、延性を劣化させる。そのため、0.005%を上限とする。
Zrについて
Zrは、硫化物の形態制御により、粒界を強化し、加工性を向上するために、必要に応じて含有することができる。
(Zr:0.001〜0.01%)
Zrは、上述した硫化物を球状化して母材の靭性を改善する効果を得るためには0.001%以上添加することが好ましい。しかし、このZrの多量の含有はかえって鋼の清浄性を損ない、延性を劣化させる。そのため、0.01%を上限とする。
次に、本発明の鋼板中における介在物の存在条件について説明する。ここでいう鋼鈑とは、熱間圧延、或いはさらに冷間圧延を経て得られた圧延後の板を意味している。また、本発明の鋼板中における介在物の存在条件を、種々の観点から規定している。
伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた鋼板を得るためは、割れ発生の起点や割れ伝播の経路となり易い延伸した粗大なMnS系介在物を鋼板中でできるだけ低減することが重要である。
そこで、本発明者は、上述の通り、Siを添加した後、Alで脱酸し、その後、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加して脱酸した後にCaで脱酸する鋼板で、質量ベースで、前記の(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al比、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/S比が得られている場合、複合脱酸により急激に溶鋼中の酸素ポテンシャルが低下するとともに、Al脱酸により生成するAlを還元し、かつ粗大化しようとするAlクラスターを分断するため、Alで殆ど脱酸することなく製造した鋼板と同様に、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れることを知見した。
また、Ce、La、Nd、Prの添加による脱酸および、その後のCa添加により、若干Alを含むものの大部分を占める生成した微細で硬質な[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物が生成して、圧延時にもこの析出したMnS等の変形が起こり難いため、鋼板中には延伸した粗大なMnSが著しく減少することも併せて知見した。
そこで、質量ベースで、前記の(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al比、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/S比が得られている場合、円相当直径2μm以下の微細な介在物個数密度が急増し、その微細な介在物が鋼中に分散することがわかった。
この微細な介在物は、凝集しづらいため、その形状は殆どが球状あるいは紡錘状のものである。また、長径/短径(以降、「延伸割合」と記載する場合がある。)で表記すると3以下、好ましくは2以下である。本発明ではこれらの介在物を球形介在物と称している。
実験的には、走査型電子顕微鏡(SEM)等による観察で同定が容易であり、円相当直径5μm以下の介在物の個数密度に着目した。ちなみに、円相当直径の下限値は特に規定するものではないが、数字でカウントできる大きさとして、0.5μm程度以上の介在物を対象とすることが好適である。ここで、円相当直径とは、断面観察した介在物の長径と短径から、(長径×短径)0.5として求めたものと定義する。
これら5μm以下の微細な介在物が分散して微細化するのは、Al脱酸とCe、La、NdおよびPrの1種または2種以上からなる成分の調整による溶鋼の酸素ポテンシャルの低下と、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上からなる酸化物および/またはオキシサルファイドに、Ti、Si、Al、Caの1種または2種以上を含有する介在物相が形成され、更にCaが各介在物相に全て存在することで、複合介在物の凝集が起こりにくくなり、また、複合介在物の硬度が大きくなったことにより微細化するものと考えられる。これにより、伸びフランジ成形時等に生じる応力集中を緩和する機構が働き、穴拡げ性を急激に向上する効果があると推察され、その結果、繰り返し変形時や穴拡げ加工時において、これらの複合介在物が割れ発生の起点や亀裂伝播の経路となり難くなり、かえって微細であるため応力集中の緩和に寄与し、伸びフランジ性、耐曲げ加工性等の向上につながっているものと考えられる。
一方、本発明者は、割れ発生の起点や割れ伝播の経路となり易い延伸した粗大なMnS系介在物を鋼板中で低減できているかを調査した。
本発明者は、円相当径1μm未満であれば、延伸したMnSでも割れ発生起点としては無害であり、伸びフランジ性や曲げ加工性を劣化させないことを実験を介して知見しており、また、円相当直径1μm以上の介在物は走査型電子顕微鏡(SEM)等による観察も容易であることから、鋼板における円相当直径が0.5μm以上の介在物を対象として、その形態および組成を調査し、延伸したMnSの分布状態を評価した。
なお、MnSの円相当直径の上限は特に規定するものではないが、現実的には1mm程度のMnSが観察される場合がある。
延伸介在物の個数割合は、SEMを用いてランダムに選んだ円相当直径1μm以上の複数個(例えば50個程度)の介在物を組成分析すると共に、介在物の長径と短径をSEM像から測定する。ここで延伸介在物を、長径/短径(延伸割合)が3超の介在物と定義して、検出した上記延伸介在物の個数を、調査した全介在物個数(上述の例でいうと50個程度)で除すことにより、上記延伸介在物の個数割合を求めることができる。一方、球形介在物とは長径/短径(延伸割合)が3以下の介在物と定義出来る。
この延伸割合を3超とした理由は、Ce、La、Nd、Prの1種又は2種以上を添加しない比較鋼板中の延伸割合3超の介在物は、殆どMnSであったためである。尚、MnSの延伸割合の上限は特に規定するものではないが、現実的には図1に示すように延伸割合50程度のMnSが観察される場合もある。
その結果、延伸割合3以下の延伸介在物の個数割合が50%以上に形態制御された鋼板では、伸びフランジ性と曲げ加工性が向上することが判明した。即ち、延伸割合3以下の延伸介在物の個数割合が50%未満になると、割れ発生の起点となり易いMnS系延伸介在物の個数割合が多くなり過ぎ、伸びフランジ性と曲げ加工性が低下する。そこで、本発明においては、延伸割合3以下の延伸介在物の個数割合は50%以上とする。
また、伸びフランジ性や曲げ加工性は延伸したMnS系介在物が少ないほど良好であるため、その延伸割合3超の延伸介在物の個数割合の下限値は0%を含む。ここで、円相当直径1μm以上の介在物で、かつ、延伸割合3超の延伸介在物の個数割合の下限値が0%の意味するところは、円相当直径が1μm以上の介在物であるが延伸割合3超のものが存在しない場合、又は延伸割合3超の延伸介在物であっても、円相当直径がすべて1μm未満という場合である。
また、延伸介在物の最大円相当直径も、組織の結晶の平均粒径に比し小さいことが確認され、これにより、伸びフランジ性と曲げ加工性が飛躍的に向上できた要因と考えられる。
また、(Ce+La+Nd+Pr)/S質量比が0.2〜10で、延伸割合3以下の延伸介在物の個数割合が50%以上に形態制御された鋼板では、これに対応して、第1の介在物相と、第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成り、円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成している。
なお、TiNが微細で硬質なCe酸化物、La酸化物、セリュウムオキシサルファイド、ランタンオキシサルファイド上にMnS系介在物と共に複合析出してくる場合もある。但し、前述の通り、TiNは伸びフランジ性と曲げ加工性にはほとんど影響がないことが確認されたため、TiNは本発明のMnS系介在物の対象としない。
次に、上記で述べた本発明の鋼板中における介在物の存在条件として、介在物の単位体積当たりの個数密度で規定することとした。
介在物の粒径分布は、スピード法による電解面のSEM評価で実施した。スピード法による電解面のSEM評価とは、試料片の表面を研磨後、スピード法による電解を行い、試料面を直接SEM観察することにより介在物の大きさや個数密度を評価するものである。なお、スピード法とは、10%アセチルアセトン−1%テトラメチルアンモニュウムクロライド−メタノールを用いて試料表面を電解し、介在物を抽出する方法であるが、電解量としては試料表面の面積1cm当たり1C(クーロン)の電荷を与える条件で電解した。このようにして電解した表面のSEM像を画像処理して、円相当直径に対する頻度(個数)分布を求めた。この粒径の頻度分布から平均円相当直径を算出すると共に、観察した視野の面積と、電解量から求めた深さで頻度を除すことにより介在物の体積当たりの個数密度も算出した。また、個数の割合も算出した。
そこで、MnS系介在物の延伸抑制に有効な組成を明らかにするため、第1の介在物相と第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成り、円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物の組成分析を実施した。
但し、この介在物の円相当直径が0.5μm以上であれば観察が容易なことから、便宜的に、円相当直径0.5μm以上を対象とした。但し、観察が可能であれば、円相当直径が0.5μm未満の介在物も含めても良い。
その結果、円相当直径0.5μm以上、かつ、延伸割合3以下の介在物中に平均組成でCe、La、Nd、Prの1種または2種の合計を0.5〜95%含有させると、伸びフランジ性と曲げ加工性が向上することが判明した。
一方、円相当直径0.5μm以上、かつ、延伸割合3以下の介在物中におけるCe、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計の平均含有率が0.5質量%未満になると、第1の介在物相と第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物の個数割合が大きく減少するため、これに対応して、割れ発生の起点となり易いMnS系延伸介在物の個数割合が多くなり過ぎ、伸びフランジ性と曲げ加工性が低下する。
他方、円相当直径0.5μm以上、かつ、延伸割合3以下の介在物中におけるCe、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計の平均含有率が95%超になると、セリュウムオキシサルファイド、ランタンオキシサルファイド、ネオジムオキシサルファイド、プラセオジムオキシサルファイドの1種又は2種以上が多量に生成し、円相当直径が50μm程度以上の粗大な介在物となるため、伸びフランジ性や曲げ加工性を劣化させる。
次に、鋼板の組織について説明する。
本発明では、鋳片中に微細なMnS系介在物を析出させ、さらに圧延時に変形を受けず、割れ発生の起点となり難い微細球状介在物として鋼板中に分散させることにより、伸びフランジ性と曲げ加工性を向上させるものであり、鋼板のミクロ組織は特に限定するものではない。
鋼板のミクロ組織は特に限定するものではないが、ベイニティック・フェライトを主相とする組織にした鋼板、フェライト相を主相とし、マルテンサイト相、ベイナイト相を第2相とする複合組織鋼板、そしてフェライト、残留オーステナイトおよび低温変態相(マルテンサイトもしくはベイナイト)からなる複合組織鋼板の、いずれの組織でも良い。
また、熱間圧延前において1250℃程度の充分な加熱を行うことにより、鋳造時に生成した炭化物、窒化物、炭窒化物を、一旦、固溶して鋼中の酸可溶Tiを高め、その後、固溶TiもしくはTiの炭窒化物の効果により結晶粒を微細化することができることにより、鋼板の組織における結晶粒径を10μm以下と微細化することができる。
従って、いずれの組織であっても、結晶粒径を10μm以下に微細化することができるため、穴拡げ性と曲げ加工性を向上させることができるため好ましい。平均粒径が10μmを超えると、延性・曲げ加工性の向上が小さくなる。穴拡げ性と曲げ加工性の向上のためには、より好ましくは8μm以下である。ただし一般的には、足回り部品などのような、優れた伸びフランジ性を得るには、延性ではやや劣るものの望ましくは、フェライトもしくはベイナイト相が面積比で最大の相であることが好ましい。
次に、鋼板の製造条件を説明する。
本発明では転炉で吹錬して脱炭し、或いは更に真空脱ガス装置を用いて脱炭した溶鋼中に、C、Si、Mn等の合金を添加し撹拌して、脱酸と成分調整を行う。
また、Sについては、前述の通り、精錬工程で脱硫を行わなくても良いため、脱硫工程を省略できる。但し、S≦20ppm程度の極低硫鋼を溶製するために二次精錬で溶鋼脱硫が必要な場合は、脱硫を行って、成分調整を実施することでも良い。
上記のSi添加後、3分程度してから、Alを添加してAl脱酸を行い、Alを浮上分離するために、約3分程度の浮上時間を確保することが好ましい。Ti添加は、Al脱酸後に行う。
その後、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加して、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10となるように成分調整を行う。
ちなみに、選択元素を添加する場合は、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上を添加する前までに行い、十分撹拌し、必要に応じて選択元素の成分調整が行われた後に、Ce、La、Nd、Prの1種または2種以上の添加を行う。
その後、十分撹拌し、Ca添加を行う。このようにして溶製された溶鋼を連続鋳造して鋳片を製造する。
連続鋳造については、通常の250mm厚み程度のスラブ連続鋳造に適用されるだけでなく、ブルームやビレット、さらにはスラブ連続鋳造機の鋳型厚みが通常より薄い、例えば150mm以下の薄スラブ連続鋳造に対して十分に適用可能である。
高強度熱延鋼板を製造するための熱延条件について述べる。
熱延前のスラブの加熱温度は鋼中の炭窒化物などを、一旦、固溶させることが必要であり、そのためには1200℃超とすることが重要である。
これら炭窒化物を固溶させておくことにより、圧延後の冷却過程で延性の向上にとって好ましいフェライト相が得られる。一方、熱延前のスラブの加熱温度が1250℃を超えるとスラブ表面の酸化が著しくなり、特に粒界が選択的に酸化されることに起因する楔状の表面欠陥がデスケーリング後に残り、それが圧延後の表面品位を損ねるので上限を1250℃とすることが好ましい。
上記の温度範囲に加熱された後に、通常の熱間圧延を行うが、その工程の中で仕上げ圧延完了温度は鋼板の組織制御を行う場合に重要である。仕上げ圧延完了温度が、Ar3点+30℃未満では表層部の結晶粒径が粗大になり易く、曲げ加工性上好ましくない。一方、Ar3点+200℃超では圧延終了後のオーステナイト粒径が粗大になり、冷却中に生成する相の構成および分率が制御しづらくなるので、上限をAr3点+200℃とすることが好ましい。
また、仕上げ圧延後の鋼板の平均の冷却速度を10〜100℃/秒とし、450〜650℃の範囲で巻き取り温度とする場合、仕上げ圧延後680℃まで約5℃/秒で空冷保持し、その後30℃/秒以上の冷却速度で冷却し、400℃以下で巻き取り温度とする場合とで、目的とする組織構成に応じて選択する。圧延後の冷却速度と巻き取り温度をコントロールすることによって、前者の圧延条件では、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライト、およびベイナイト相から一つまたは二つ以上の組織とその分率を持った鋼板を、後者の圧延条件では、延性に優れる多量のポリゴナル・フェライト相とマルテンサイト相の複合組織をもつDP鋼板を得ることができる。
上記の平均の冷却速度が10℃/秒未満では伸びフランジ性に好ましくないパーライトが生成しやすくなり好ましくない。一方、組織制御の上では冷却速度に上限を設ける必要はないが、余りに速い冷却速度は鋼板の冷却を不均一にするおそれがあり、またそうした冷却を可能にするような設備の製造には多額の費用が必要となり、そのことで鋼板の価格上昇を招くと考えられる。このような観点から、冷却速度の上限は100℃/秒とするのが好ましい。
本発明による高強度冷延鋼板は、熱延、巻き取り後、酸洗、スキンパス等の工程を経た鋼板を、冷間圧延し、焼鈍を行うことにより製造される。バッチ焼鈍、連続焼鈍などの焼鈍工程で焼鈍して、最終的な冷延鋼板とする。
また、本発明による高強度鋼板は電気めっき用鋼板として適用してもよいことは言うまでもない。電気めっきを施しても本発明高強度鋼板の機械特性には何ら変化が無い。
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
表1に示す化学成分の溶鋼を、転炉、RH工程を経由して、溶製した。その際、二次精錬における溶鋼脱硫工程を通さない時にはSは0.003〜0.011質量%とした。また、溶鋼脱硫を行う際には、S≦20ppmとした。
Siを添加して、表1に示すように成分調整をした後に、3分〜5分程度してから、Alを添加してAl脱酸を行い、Alを浮上分離するために、3分〜6分程度の浮上時間を確保した。その後、Tiを添加した。
その後、実験のチャージによってはCe、La、Nd、Prの1種、2種、3種または4種を添加して、質量ベースで、95≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al≧0.17、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.17〜12.0となるように成分調整を行った。


選択元素を添加する実験のチャージによっては、Ce、La、Nd、Prの1種、2種、3種または4種を添加する前までに行い、十分撹拌し、必要に応じて選択元素の成分調整が行われた後に、Ce、La、Nd、Prの1種、2種、3種または4種の添加を行なった。
その後、十分撹拌し、Ca添加を行なった。このようにして溶製された溶鋼を連続鋳造して鋳塊を製造した。連続鋳造は、通常の250mm厚み程度のスラブ連続鋳造機を用いた。連続鋳造した鋳塊は、表2に示す熱延条件で1200℃超〜1250℃の範囲で加熱した。その後、粗圧延を経て、仕上げ圧延を行なった。仕上げ圧延の完了温度は、Ar3点+30℃以上、Ar3点+200℃以下とした。ここで、Ar3点の算出は通常の成分から導かれる式を用いた。
仕上げ圧延後の鋼板の平均の冷却速度は10〜100℃/秒とした。また、実験のチャージによっては、450〜650℃の範囲で巻き取り温度とする場合には、仕上げ圧延後680℃まで約5℃/秒で空冷保持し、その後30℃/秒以上の冷却速度で冷却した。
この冷却で、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライト、およびベイナイト相から一つまたは二つ以上の組織を有する鋼板を得ることが出来た。
一方、実験のチャージによっては、400℃以下で巻き取り、ポリゴナル・フェライト相とマルテンサイト相の複合組織をもつDP鋼板を得ることが出来た。
高強度冷延鋼板を得る場合、熱延、巻き取り後、酸洗、スキンパス等の工程を経て熱延鋼板を、冷間圧延し、連続焼鈍を行い冷延鋼板とした。さらに、めっき用鋼板を得る場合、電気めっきや溶融亜鉛めっきラインでめっき用鋼板とした。
表1−1及び表1−2に化学成分を示すスラブを表2に示す条件にて熱間圧延し、厚さ3.2mmの熱延板を得た。
この表1−1及び表1−2においては、鋼番号(以下、鋼番という。)1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23については、本発明に係る高強度鋼板の範囲内の組成で構成し、鋼番2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24は質量ベースで(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al比、(Ce+La+Nd+Pr)/S比、S、T.O、Ca、Ce+La+Nd+Pr濃度を本発明に係わる高強度鋼板の範囲から逸脱させたスラブとして構成したものである。
ちなみに、この表1において、鋼番1と鋼番2、鋼板3と鋼番4、鋼番5と鋼番6、鋼番7と鋼番8、鋼番9と鋼番10、鋼番11と鋼番12、鋼番13と鋼番14、鋼番15と鋼番16、鋼番17と鋼番18、鋼番19と鋼番20、鋼番21と鋼番22、鋼番23と鋼番24との間でそれぞれ比較をすることができるように、互いにほぼ同一組成で構成した上で、Ce+La等を互いに異ならせている。
また、この表2においては、条件Aとして、加熱温度を1250℃、仕上圧延完了温度を845℃、仕上げ圧延後の冷却速度を75℃/秒、巻き取り温度を450℃としている。条件Bとして、加熱温度を1250℃、仕上圧延完了温度を860℃、仕上げ圧延後680℃まで約5℃/秒で空冷保持し、その後30℃/秒以上の冷却速度、巻き取り温度を400℃としている。条件Cとして、加熱温度を1250℃、仕上圧延完了温度を825℃、仕上げ圧延後の冷却速度を45℃/秒、巻き取り温度を450℃としている。
鋼番1と鋼番2に対しては、条件Aを、また、鋼番3と鋼番4および鋼番5と鋼番6に対しては、条件Bを、鋼番7〜鋼番10に対しては、条件Cを、更に鋼番11〜鋼番14に対しては、条件Aを、鋼番15と鋼番16に対しては、条件Bを、また、鋼番17と鋼番18に対しては、条件Cを、鋼番19と鋼番20に対しては、条件Aを、鋼番21と鋼番22に対しては、条件Bを、鋼番23と鋼番24に対しては、条件Cを、適用するようにすることで、同一製造条件下で化学組成の影響を比較できるようにしている。
このようにして得られた鋼板の基本特性の強度(MPa)、延性(%)、伸びフランジ性(λ%)、および、曲げ加工性として限界曲げ半径(mm)を調査した。
また、鋼板中の延伸介在物の存在状態として、光学顕微鏡による観察もしくはSEMによる観察で、すべて0.5μm程度以上の介在物を対象として、介在物の面積個数密度、延伸割合3以下の介在物については個数割合、組成、円相当直径を調べた。
さらに、鋼板中の延伸していない介在物の存在状態として、すべて0.5μm程度以上の介在物を対象として、Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種を含有し、かつ、Caを含有し、かつ、O、Sから1種または2種含有する第1の介在物相と、さらに、Mn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種または4種を含有する第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成る球状介在物の個数割合と、延伸割合3以下の介在物の個数割合、Ce、La、Nd、Prの組成を調べた。なお、0.5μm程度以上の介在物を対象としたのは、観察が容易であることに加えて、0.5μm程度未満の介在物は伸びフランジ性や曲げ加工性の劣化に影響しないためである。
その結果を鋼と圧延条件の組み合わせ毎に表3に示す。
強度と延性は、鋼板から圧延方向と平行に採取したJIS5号試験片の引張試験で求めた。伸びフランジ性は、150mm×150mmの鋼板の中央に開けた直径10mmの打抜き穴を、60°の円錐パンチで押し拡げ、板厚貫通亀裂が生じた時点での穴径D(mm)を測定し、穴拡げ値λ=(D−10)/10で求めたλで評価した。曲げ加工性を表す指標として用いた限界曲げ半径(mm)は、曲げ試験片を採取し、ダイとパンチを備えた型を用いたV曲げ試験で求めた。ダイとして、断面V字形の凹み部、開き角度60°のものを用いた。パンチとして、ダイの凹み部に適合する凸部を有するものを用いた。パンチの先端部の尖り部の曲げ半径を、0.5mm単位で変化させたパンチを用意して、曲げ試験を行い、被試験片の曲げ部に割れが発生する限界小のパンチ先端部の尖りの曲率半径を求め、これを限界曲げ半径として評価した。
なお、試験片は同規格に規定の1号試験片であり、平行部が25mm、曲率半径Rが100mm、原板(熱延板)の両面を等しく研削した厚さ3.0mmのものを用いた。
さらに、介在物はSEM観察を行い、ランダムに選んだ円相当直径1μm以上の介在物50個について長径と短径を測定した。さらに、SEMの定量分析機能を用いて、ランダムに選んだ円相当直径1μm以上の介在物50個について組成分析を実施した。それらの結果を用いて、延伸割合3以下の介在物の個数割合、Ce、La、Nd、Prの組成分析、介在物中におけるCe、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計の平均値を求めた。
表3には示していないが、本発明の方法を適用した鋼番1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23では、[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む複合介在物が生成して延伸したMnS系介在物を鋼板中で低減することができた。
即ち、これも表3には示していないが鋼鈑中に存在する円相当直径2μm以下の介在物が存在し、表3から明らかなように[REM]−[Ca]−[O、S]の第1の介在物相と、[Mn、Si、Ti、Al]−[REM]−[Ca]−[O、S]の第2の介在物相との、異なる成分を含む介在物相の球形の複合介在物の個数割合を50%以上、その大きさを0.5〜5μm、鋼鈑中に存在する延伸割合3以下の介在物中のCe、La、Nd、Prの1種または2種以上の合計の平均含有率を0.5%〜95%。円相当直径1μm以上で延伸割合3以下の延伸介在物の個数割合を50%以上、なお、いずれの鋼板の組織においても、平均結晶粒径は、いずれも2〜10μmであり、本発明では10μm以下であった。
その結果、比較鋼と比べて、本発明鋼としての鋼番1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23では、伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた鋼板を得ることができた。
しかし、比較鋼(鋼番2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24)では、平均結晶粒径は、いずれも10μm以下であったにもかかわらず、第1の介在物相と、第2の介在物相との、異なる第1と第2の介在物相を含む球形の複合介在物で0.5〜5μmの小さな複合介在物の個数割合が明らかに小さく、本発明で規定する複合介在物の分布状態と異なるため、鋼板加工時に延伸したMnS系介在物が割れ発生の起点となり、伸びフランジ性と曲げ加工性が低下していた。
加えて、本発明のLaの添加の後にCaを添加した場合(本発明鋼板25参照)とCaの添加後にLaを添加した場合(比較例鋼板26参照)について比較した例を表4と表5に示す。Laの添加の後にCaを添加した場合では、5μm以下の球形介在物の個数割合が増加し、5μm超の介在物密度が減少して穴広げ性が向上している。
また、本発明のCeの添加の後にCaを添加した場合(鋼板27参照)とCaの添加を行なわなかった場合(比較例鋼板28)の例を表6と表7示す。
Ceの添加の後にCaを添加した場合では、5μm以下の球形介在物の個数割合が増加し穴広げ性が向上していることが確認できる。
尚、表6、7の鋼板28においては、連続鋳造中に浸漬ノズルが途中で閉塞して、全ての取鍋内溶鋼を完全に鋳造することができずに、後鍋も鋳造することができずに生産障害を発生した。また、その中でも途中まで鋳造することができたスラブを熱延以降の処理をして製品を得た。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.25%、
    Si:0.03〜2.0%、
    Mn:0.5〜3.0%、
    P:0.05%以下、
    T.O:0.0050%以下、
    S:0.0001〜0.01%、
    酸可溶Ti:0.008〜0.20%、
    N:0.0005〜0.01%、
    酸可溶Al:0.01%超、
    Ca:0.0005〜0.005%、
    Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上の合計:0.001〜0.01%、
    さらに、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10で、
    残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼板であり、
    Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種、かつ、Ca、かつ、O、Sから1種または2種との化学成分からなる第1の介在物相と、
    Ce、La、Nd、Prから1種、2種、3種、または4種と、かつ、Caと、かつ、O、Sから1種または2種と、さらに、Mn、Si、Ti、Alから1種、2種、3種または4種との化学成分からなる第2の介在物相との、異なる成分の第1と第2の介在物相を含む複合介在物から成る球状介在物を含有し、該球状介在物の内で円相当径0.5〜5μmの大きさの複合した1つの球状介在物を形成している球状介在物の個数割合が円相当径0.5〜5μmの大きさの全介在物個数の50%以上であり、加えて、円相当径5μm超の介在物の個数密度が10個/mm未満であることを特徴とする伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  2. 前記球状介在物が円相当直径1μm以上の介在物で、かつ、長径/短径が3以下の延伸介在物の個数割合が円相当直径1μm以上の全介在物個数の50%以上であることを特徴とする請求項1記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  3. 前記球状介在物中に平均組成でCe、La、NdおよびPrの1種または2種以上を合計で0.5〜95質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  4. 前記鋼板の組織における結晶の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  5. 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
    Nb:0.005〜0.10%、
    V:0.01〜0.10%、
    の1種または2種含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  6. 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
    Cu:0.1〜2%、
    Ni:0.05〜1%、Cr:0.01〜1.0%、
    Mo:0.01〜0.4%、
    B:0.0003〜0.005%、
    の1種または2種以上含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  7. 鋼板の化学成分が、さらに、質量%で、
    Zr:0.001〜0.01%、
    を含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板。
  8. 製鋼における精錬工程において、質量%で、Pが0.05%以下、Sが0.0001〜0.01%に処理された溶鋼に、Cが0.03〜0.25%、Siを0.03〜2.0%、Mnを0.5〜3.0%、Nが0.0005〜0.01%となる様に添加もしくは調整し、その後、Alを酸可溶Alで0.01%超、T.Oが0.0050%以下となる様に添加し、さらにその後、Tiを酸可溶Ti:0.008〜0.20%を添加して、さらにCe、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加して、さらに、質量ベースで、70≧100×(Ce+La+Nd+Pr)/酸可溶Al>0.2、かつ、(Ce+La+Nd+Pr)/Sが0.2〜10、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上の合計を0.001〜0.01%とした後に、Caが0.0005〜0.005%となる様に添加もしくは調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
  9. 前記精錬工程において、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加する前に、さらに、質量%で、Nbを0.005〜0.10%、Vを0.01〜0.10%の1種または2種となる様に添加することを特徴とする請求項8に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
  10. 前記精錬工程において、Ce、La、NdおよびPrの1種または2種以上を添加する前に、さらに、質量%で、Cuを0.1〜2%、Niを0.05〜1%、Crを0.01〜1.0%、Moを0.01〜0.4%、Bを0.0003〜0.005%の1種または2種以上となる様に添加することを特徴とする請求項8または9に記載の伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板用の溶鋼の溶製方法。
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