JP5146060B2 - インクジェット方式用インクの評価方法、カラーフィルターの製造方法、および液晶表示装置 - Google Patents

インクジェット方式用インクの評価方法、カラーフィルターの製造方法、および液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、カラーフィルターの画素を形成するためのインクジェット方式用インクの評価方法、当該評価方法で組成を設定したインクを用いるカラーフィルターの製造方法、および得られたカラーフィルターを用いた画像表示装置に関する。
近年、カラー液晶表示装置、固体撮像素子などの光学素子が急速に普及してきている。光学素子用部材の1つであるカラーフィルターには、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルター等がある。
カラーフィルターの着色層(画素)などを所定のパターン形状で形成する方法としては、例えば顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBの着色層を形成する。
また、他の方法としては染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBの着色層を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより着色層(着色層部)を形成することが記載されている。インクジェット方式では、R、G、Bの各色の着色層の形成を、一工程で行うことが可能で、大幅な製造工程の簡略化と、大幅なコストダウン効果を得ることができる。
カラーフィルターにおいて透明基板上のブラックマトリックス層に囲まれた領域にインクジェット方式により着色層が形成されると、そのインクとブラックマトリックス層表面との親和性やブラックマトリックス層の高さ、吐出するインキ量などの関係から、ブラックマトリックス層に囲まれた開口部における着色層の形状は、凸形状となったり、逆に、凹形状となったり、さらに、その表面が凹凸形状になるなど、厚みが不均一な着色層になりやすい。着色層が凸形状になると、着色層中心部の濃度が高く、遮光境界部の濃度が低くなる着色層内着色濃度分布が発生する。
一方、製造されたカラーフィルターの色の管理は、一般的にSEMIスタンダード,FPDテクノロジ部会,FPDカラーフィルター委員会で規格化検討されている、Draft Doc.#2846「カラーフィルターの色特性の測定方法」に代表される方法に準拠したものが主として用いられている。測定方法は、先ず着色層の透過率と比較するための基準となるリファレンス基板(一般にカラーフィルターで使用されるガラス基板)の分光測定を行う。次にリファレンス基板上に成膜した着色層の分光測定を行う。該測定で得た各波長における比が分光透過率となる。そして必要に応じて、該測定で得られた分光透過率からCIE1931xy色度図やCIE1976L表色系などの規格により色度座標として表している。当該測定方法では、顕微分光光度計の装置仕様として、分光波長範囲が380nm〜780nmで、波長分解能が10nm以下のもので、且つ測定スポット径は2μm〜50μm程度まで調整できるものが適当とされている。そのため、測定スポット径は50μm以下であり、通常、着色層の1/40程度の範囲を測定していることになる。
前記Draft Doc.#2846「カラーフィルターの色特性の測定方法」に準拠した測定は、顔料分散法で作製されたような膜厚が均一である着色層の場合には、着色層に着色濃度分布がないため、色管理に問題なく用いることができる。しかしながら、インクジェット方式で作成した場合のように着色層の厚みが均一ではなく、着色層の膜厚に分布のあるカラーフィルターでは、着色層内に着色濃度分布が発生するため、前記Draft Doc.#2846「カラーフィルターの色特性の測定方法」に準拠した測定を単に行っても、測定条件により色特性が正確に測定できないという問題が発生してしまう。すなわち、着色層のごく一部のみを測定するため、着色層内の着色濃度分布が存在しているカラーフィルターでは、測定スポットの大きさや場所により様々な色度座標を得てしまい、着色層の実際の色度座標を求めることができない。例えば、着色層内の着色濃度分布が着色層中心部で濃度が高く、遮光境界部で濃度が低い場合には、画素の中央部を測定すると色純度が高い色度座標に、遮光境界部付近で測定すると色純度が低い色度座標になってしまい、着色層の実際の色度座標に対して評価ができない。そして、このように管理したカラーフィルターを用いて実際にパネル組みしたものは、色度座標が目標色度座標とずれてしまう問題や、輝度が低下してしまう問題も発生している。
膜厚が不均一な着色層の色管理を適切に行うための方法は、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献2には、画素の開口部面積の30%〜100%の面積を有する領域を測定することにより、着色濃度分布を包括して着色領域の分光スペクトルを測定するカラーフィルターの色特性評価方法が開示されている。このような方法は、上記分光スペクトルの測定領域を広くすることにより、測定値の位置依存性を小さくすることができる点において有用である。
しかしながら、上記のような画素内で膜厚分布を有する着色層の透過型分光スペクトルを正確に測定するには、上記着色層の遮光部付近の厚みが薄い部位のスペクトルを漏れなく測定することが必要とされるため、測定範囲が上記着色層が形成された開口部の面積よりも小さいと正確なスペクトルを測定することができないという問題点があった。
また、上記開口部の形状は単純な四角形ではなく、複雑な形状を有するものであること、および、上記開口部の形状はカラーフィルターが用いられるディスプレイ規格や画面サイズによって無数の種類が存在するものであることから、分光スペクトルの測定範囲と開口部の面積とを完全に同一にして測定するためには、その都度、評価系を変更しなければならないため、実用性に著しく欠けるという問題点があった。
さらに、特許文献2記載の評価方法によれば、膜厚が不均一な着色層が適切な色度座標を持っているかどうかを評価することはできる。しかし、膜厚が不均一でありながら目標値どおりの所望の色度座標を持つ着色層を形成するためには、時間と労力をかけて試行錯誤を繰返す必要があるため効率が悪い。
また特許文献3には、色特性が異なる2種類以上の着色層構成単位(例えばカラーフィルターの各色の画素)を、所定の二次元配列パターンに従って混在させて配置した着色層を備える光学素子用部材の当該着色層を構成する着色層構成単位のうち、特定の1種類の着色層構成単位の色特性を評価するために、当該特定の色特性を有する着色層構成単位のみを上記光学素子用部材と同じ二次元配列パターンに従って隣接させて連続配置した評価用着色層を準備し、この評価用着色層の面積全体または少なくとも着色層構成単位2個分以上の面積を測定領域として、いわゆる広域分光測定を行うことを特徴とする評価方法が記載されている。
この評価方法も、分光スペクトルの測定領域を広くすることにより、測定値の位置依存性を小さくすることができる。それゆえ、特許文献3記載の評価方法によれば、膜厚が不均一な着色層が適切な色度座標を持っているかどうかを評価することはできる。しかし、特許文献3も特許文献2と同様、膜厚が不均一でありながら目標値どおりの所望の色度座標を持つ着色層を形成するためには、時間と労力をかけて試行錯誤を繰返す必要があるため効率が悪い。
特開平9−21910号公報 特開2000−346744号公報 特開2007−279167号公報
上記実情に鑑み、本発明は、カラーフィルターの画素をインクジェット方式で作成する際に、目標どおりの色度座標を所望の膜厚で達成できるインク組成を試行錯誤を重ねることなく効率よく決定することが出来るインク評価方法を提供し、それによってTFTアレイ基板等を組み合わせてモジュール化した際の目標色度座標からのずれを手間をかけずに極めて小さくすることを目的とする。
本発明のインクジェット方式用インクの評価方法は、特定の一成分又は特定の2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群および1種類のみ又は特定の量比で組み合わせた2種類以上の他の成分からなる所定の基本組成を基準とするインク系列を評価対象として設定し、当該基本組成中の前記特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることで、当該特定の一成分又は成分群の含有量が異なるインクを2種類以上準備する工程、
前記各インクをインクジェット方式で基板上に塗布して画素を形成し、当該画素の平均膜厚を測定し、さらに当該画素の分光測定をその測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして行うことで、各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定する工程、
前記各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定した結果に基づいて、これらのインクが属するインク系列において、前記特定の成分又は成分群の含有量と、目標とする色度座標を達成できる前記画素の平均膜厚との関係を特定する工程、及び、
前記インクについて特定された前記関係に基づいて、当該インク系列に属するインクの中から所定の平均膜厚において前記目標とする色度座標を達成できるインクの組成を決定する工程、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、インクジェット方式によりカラーフィルターの画素を形成するためのインクの組成を評価する際に、目標どおりの色度座標を所望の膜厚で達成できるインク組成を試行錯誤を重ねることなく効率よく決定することが出来る。
本発明においては、前記インクを準備する工程において、前記基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換えることで、当該特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることができる。
本発明においては、前記インクを準備する工程において、前記基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換えることで、P/V比が異なるインクを準備することができる。
本発明は、前記インクを準備する工程においてP/V比が異なるインクを準備し、P/V比を調節する目的に好適に適用される。
本発明においては、前記画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして画素単位で測定を行うことができる。
本発明においては、前記各インクをインクジェット方式で基板上に塗布する際に、同じ色の画素のみを隣接配置した画素群を形成した後、画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を、複数の画素を含む大きさにして測定を行うことができる。
本発明においては、上記評価方法で組成を決定したインクをインクジェット方式で基板に塗布して画素を形成することで、設計段階で調節した色度座標とのずれが極めて小さいカラーフィルターを製造することができる。
そして、得られたカラーフィルターを、液晶駆動側基板と対向させ、両者の間に液晶を封入することにより、液晶表示装置を製造することができる。
本発明のインク評価方法は、インクジェット方式によりカラーフィルターの画素を形成するためのインクの組成を評価する際に、目標どおりの色度座標を所望の膜厚で達成できるインク組成を試行錯誤を重ねることなく効率よく決定することが出来るので、インク設計のための労力軽減及び所要時間短縮を実現できる。
また、本発明により決定したインク組成は、カラーフィルターの画素をインクジェット方式で作成するために好適に用いられ、且つ、得られたカラーフィルターは、TFTアレイ基板等を組み合わせてモジュール化した際の目標色度座標からのずれが極めて小さい。
本発明のインクジェット方式用インクの評価方法は、
特定の一成分又は特定の2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群および1種類のみ又は特定の量比で組み合わせた2種類以上の他の成分からなる所定の基本組成を基準とするインク系列を評価対象として設定し、当該基本組成中の前記特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることで、当該特定の一成分又は成分群の含有量が異なるインクを2種類以上準備する工程、
前記各インクをインクジェット方式で基板上に塗布して画素を形成し、当該画素の平均膜厚を測定し、さらに当該画素の分光測定をその測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして行う(画素分光分析または広域分光)ことで、各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定する工程、
前記各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定した結果に基づいて、これらのインクが属するインク系列において、前記特定の成分又は成分群の含有量と、目標とする色度座標を達成できる前記画素の平均膜厚との関係を特定する工程、及び、
前記インクについて特定された前記関係に基づいて、当該インク系列に属するインクの中から所定の平均膜厚において前記目標とする色度座標を達成できるインクの組成を決定する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインク評価方法は、画素の色度座標の変動因子のなかで、インク中に含有される特定の一成分の含有量又は特定の2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群の含有量と、当該インクを用いて形成した画素の膜厚を変更するが、それ以外の変動因子を変更せずに、比較的少ない数のサンプル画素を形成し、各サンプル画素の平均膜厚と色度座標を測定する。また、色度座標を測定するための分光測定法としては、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして行うことにより、測定値の位置依存性を小さくし、膜厚が不均一な着色層の色度座標を適切に評価する。
この測定結果に基づいて、目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚と、インク中の特定成分の含有量の相関関係を、効率よく短時間で導き出す。そして、この導き出した相関関係に基づいて、目標とする色度座標を所望の膜厚において達成することができるインク組成を決定する。
以下、本発明の評価方法について詳しく説明する。
本発明によって評価されるインクジェット用インクは、カラーフィルターの画素を形成するためのものであり、顔料、バインダー樹脂を必須とし、さらに必要に応じて、顔料分散剤、分散補助剤、界面活性剤、重合性モノマー等を含有し、これらの成分を溶剤に溶解または分散させてなるものである。
顔料としては、公知の有機及び無機顔料の中から任意のものを選んで使用することができる。有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。
顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤などを使用できる。
バインダー形成系は、画素に成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために含有させる。本発明において、バインダー形成系とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ、固定するために含有させる液状混合物である。
インクジェット方式により所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー形成系としては、必ずしも露光現像が可能な光硬化性バインダー形成系を用いなくても良く、熱可塑性樹脂組成物等の非硬化性の被膜形成樹脂を用いても良いが、硬化性の樹脂を含むバインダー形成系を用いることが硬化皮膜に充分な硬度を付与するため好ましい。
溶剤は、当該インクを保存用の高濃度液として又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために配合される。
このほか、着色層の端部の盛り上がりを少なくするためにレベリング剤を添加しても良い。
インクジェット用インクは、通常、固形分濃度を15〜20重量%、P/V比を、R画素を形成する場合には0.4〜1.0、G画素を形成する場合には0.5〜1.2、B画素を形成する場合には0.3〜0.5の範囲に調整する。ここで、P/V比とは、インク中の顔料以外の固形分量(V:ビヒクル)に対する、顔料含有量(P:ピグメント)の重量比である。
先ず最初の工程において、特定の一成分又は特定の2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群および1種類のみ又は特定の量比で組み合わせた2種類以上の他の成分からなる所定の基本組成を基準とするインク系列を評価対象として設定する。そして、当該基本組成中の前記特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることで、当該特定の一成分又は成分群の含有量が異なるインクを2種類以上準備する工程、
基本組成中の特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変える方法としては、当該基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換える方法か、或いは、当該基本組成に対し当該特定の一成分又は成分群の追加又は削除を行う方法がある。
この工程においては、つまり、評価対象とすべきインク系列の基準となる組成(基本組成)を設定し、当該基本組成に含まれる特定の1種類又は2種類以上の成分の含有量に着目し、その含有量を変えた何種類かのインクを測定用サンプルとして準備する。
着目すべき成分は、基本組成のなかの1種類だけである場合もあるが、2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群である場合もある。前者の例としては、例えば、ただ1種類のレベリング剤を含有するインク中のレベリング剤の含有量を変え、他の条件は変えないインク系列を評価する場合が該当する。また後者の例としては、2種類以上の顔料を含有するインクのP/V比を変え、他の条件は変えないインク系列を評価する場合が該当する。
着目すべき成分又は成分群の含有量以外の条件を統一する観点から、基本組成に含まれる成分を、着目すべき成分又は成分群とその他の成分又は成分群とに分類し、それぞれの含有量を考慮する。着目すべき成分又は成分群の含有量を調節する方法には、次の2つの方法があるが、通常は、準備されるインクの固形分濃度が等しくなる前者の方法で、インクを準備する。
インク中の成分の含有量を調節する第一の方法では、基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換える。これによって、着目すべき成分又は成分群の含有量が異なり、且つ、その他の成分については条件が統一されている、2種類以上のインクが得られる。このインク系列においては、成分の全量は基本組成と同じ(すなわちインクの固形分濃度が共通する)であるが、固形分中に含まれる特定の一成分又は成分群と、その他の成分又は成分群の量比が相違する。固形分濃度が変わらず、P/V比が異なるインク系列は、この例に該当する。
或いは、第二の方法として、基本組成に対し当該特定の一成分又は成分群の追加又は削除を行ってもよい。この方法によっても、着目すべき成分又は成分群の含有量が異なり、且つ、その他の成分については条件が統一されている、2種類以上のインクが得られる。このインク系列においては、その他の成分の含有量と溶剤の含有量は基本組成と同じであるが、着目すべき特定の一成分又は成分群の量が基本組成から増量又は減量され、それに伴い固型分濃度も基本組成とは異なっている。
インクジェット用インクの成分のなかで、色度座標に最も大きな影響を与えるのは顔料の含有量である。本発明は、目標とする色度座標を得るために、所望の膜厚に合わせてP/V比を調節したい場合に特に好適に利用される。
そこで、本発明によりインクのP/V比を決定する場合を例にとって具体的に説明する。
インクのP/V比を決定したい場合には、先ず、P/V比のみ異なるインク系列に属するインクを2種類以上準備する。例えば、P/V比が各々a、bおよびcである3種類のインクを準備する。
顔料を2種類以上含有するインク系列を評価する場合には、各顔料の量比を変えずに、顔料の合計量が異なるインクを準備する。顔料の量比は、通常は重量比で特定すればよい。ここで、P/V比のみ異なるインク系列とは、固形分濃度が同じであり、含有成分の種類が同じであり、顔料を2種類以上含む場合には顔料相互の量比が同じであり、その他の成分を2種類以上含む場合にはそれらの量比が同じであるが、固形文中に含まれる顔料の合計量と、その他の成分の合計量の量比が異なることを意味する。
次の工程では、前記各インクをインクジェット方式で透明基板上に塗布して画素を形成し、当該画素の平均膜厚を測定し、さらに当該画素の分光測定をその測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして行うことで、各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定する。このような分光測定は、例えば、後述する画素分光分析または広域分光分析の手法により行うことができる。
本発明においては、各色のインクが目標とする色度座標(すなわち当該インクにより形成される画素が有すべきとして設定される色度座標)は、XYZ表色系におけるx値およびy値で特定されるが、画素の色に応じてx値およびy値のうち少なくとも一方のみが目標値として設定される場合もあるし、x値およびy値の組み合わせが目標値として設定される場合もある。R画素の場合には、少なくともx値が目標値として設定され、G画素およびB画素の場合には、少なくともy値が目標値として設定される。
本発明の評価方法は、インク中の特定の成分の含有量と、画素の平均膜厚以外は実質的に統一した条件で評価を行うことが要求されるので、評価に使用する基板についても、各インクに対して共通の特性を持つものを用いる。可能な限り、評価によって決定したインクを用いて実際にカラーフィルターを製造する際に用いる基板を用いることが好ましい。
画素の平均膜厚が等しくても画素の表面形状または断面形状が異なると色度座標が相違する可能性があり、当該画素の表面形状または断面形状は、ブラックマトリックス層の開口部寸法とブラックマトリックス層の高さに大きく影響されるので、少なくとも評価用基板のブラックマトリックス層の開口部寸法と高さが、実際のカラーフィルター製造に用いられる基板に設けられるものと同じであることが好ましい。
透明基板は、特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
ブラックマトリックス層は、画素形成用のインクを所定領域に付着させるための遮光性を備えた隔壁である。インクジェットカラーフィルターにおいて、画素間及び画素形成領域の外側を取り囲むようにブラックマトリックス層が設けられることにより、表示画像のコントラストを向上させることができる。ブラックマトリックス層は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、ブラックマトリックス層は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法と、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法がある。
ブラックマトリックス層の厚さは、通常、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
画素を形成する工程においては、各インクごとに、1水準以上の平均膜厚を有する画素(すなわち平均膜厚が互いに異なる2種類以上の画素)を形成する。そして形成した各画素の分光測定を行い、目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚をインクごとに特定する。目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を実測できない場合でも、図1(a)に示すように、異なるP/V比a、bおよびc各々について、色度座標と平均膜厚の関係を示すグラフを作成することにより、P/V比a、bおよびcごとに目標とする色度座標を有する膜厚を特定できる。
画素の平均膜厚は、画素を二次元方向に一定の距離間隔をおいて膜厚測定地点を設定し、各地点における画素の膜厚を測定し、測定値を平均化することで得られる。評価の精度を高める観点から、5μm以下ごとに膜厚を測定することが好ましく、更に測定効率とのバランスの点からも1〜2.5μmごとに膜厚を測定することが好ましい。
着色層の膜厚分布を測定する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。例えば、非接触式では光干渉方式の米国マイクロマップ製 Micromap557N、接触式では日本真空技術(株)製Dectak-3030ST、光源としてレーザーを使用した共焦点方式のキーエンス(株)製VK-9500などにより測定することができる。
本発明において画素の分光分析を行う際には、厚みまたは形状が不均一な画素を顕微分光測定のような微小スポット測定するのでは一画素領域内に色度座標のばらつきが存在することを考慮し、一画素全体の色度座標を適正に測定するために、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして分光測定を行う。
1.画素分光分析法
上記要求を満たす分光測定法の一つとして、画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして、画素単位で測定を行う方法がある。ここで、「画素単位」で分光測定を行うとは、一画素分の領域又は二画素分以上の領域を測定領域に含めても良いが、ある画素の一部だけが測定領域に含まれ、同じ画素の他の部分が測定領域から外れる状態であってはいけないことを意味する。
本発明では、この方法を画素分光分析法と称する。画素分光測定には、例えば、大塚電子株式会社製の顕微分光装置(画素分光)LCF-8000 A80FG等の測定機を使用できる。画素分光測定の手順を以下に説明する。
本発明に適用される画素分光分析法は、少なくとも、カラーフィルター配置工程と、可視光照射工程と、可視光受光工程とを有する。図2は、手順の一例を示す概略図である。図2に例示するように、基材1と、上記基材1上に形成され、複数の開口部を有するブラックマトリックス層2と、上記開口部内に形成された複数色の画素3とを有するカラーフィルター10を所定の位置に配置するカラーフィルター配置工程(図2(a))と、上記カラーフィルター10の画素3に、スリットSおよびレンズL1を通して、光源30から発振される可視光を照射する可視光照射工程(図2(b))と、上記画素3を透過した可視光をレンズL2を通じて、検出器20で受光する可視光受光工程(図2(c))とにより、上記画素の分光スペクトルを測定するものである。
図3および図8は、画素分光分析を行う際の、画素開口部の面積に占める測定領域の面積比の例を示したものである。ここで、「測定領域」とは、分光測定を行う際に測定光を一体として照射する領域を意味する。
図3は本発明に属する例であり、測定領域4が画素3の開口部を完全に覆いつくし、周囲のブラックマトリックス層2を一部覆うまで拡張されている。これによって、膜厚が不均一な画素であっても分光分析の測定値の位置依存性を小さくすることができる。また、図3に示す例では、測定領域4が隣接する他の画素の開口部に到達する面積よりも小さいので、画素が異なる色の画素が隣接する場合であっても、評価対象とする画素だけ選択的に分光測定を行うことができる。
一方、図8は本発明に属しない例であり、ブラックマトリックス層2のパターンにより画素3が仕切られて配列しており、当該画素3の開口部に対する測定領域4の面積比は約30%程度である。この方法も画素分光分析であり、顕微分光分析と比べれば膜厚が不均一な画素を分光分析する際の測定値の位置依存性を小さくすることができるが、測定領域が一画素全体を覆う場合と比べると不充分である。
(1)カラーフィルター配置工程
本工程は、評価用インクをインクジェットインク方式により塗布して製造した評価用のカラーフィルターを、画素分光測定の可視光照射を正確に行うために、所定の位置に配置する工程である。
本工程に用いられる評価用のカラーフィルターは、基材と、上記基材上に形成され、複数の開口部を有するブラックマトリックス層と、上記開口部内に形成された複数色の画素とを有するものであり、本発明により上記画素の分光スペクトルが評価されるものである。
(2)可視光照射工程
可視光照射工程は、カラーフィルター配置工程の後、所望の位置に配置されたカラーフィルターの画素に可視光を照射する工程であり、上記画素に照射される可視光が単色の画素のみに照射され、かつ、その照射面積(すなわち測定領域)が上記可視光が照射される画素が形成された開口部の面積よりも大きいことを特徴とするものである。本発明は、本工程がこのような方法で可視光を照射するものであることにより、測定対象となる個々の画素の全領域の分光スペクトルを測定することが可能になるため、上記画素が画素内で膜厚分布を有するものであっても正確な透過型分光スペクトルを測定することができる。
本工程は、上記画素に照射される可視光が、単色の画素のみに照射され、かつ、その照射面積が上記可視光が照射される画素が形成された開口部の面積よりも大きいことを特徴とするものである。ここで、上記「画素に照射される可視光の面積」とは、上記カラーフィルターに照射される可視光の照射面積と同意である。また、上記「可視光が照射される画素が形成された開口部の面積」とは、上記カラーフィルターが有する開口部のうち、上記可視光が照射された範囲内に存在する画素が形成された開口部の面積を意味するものである。したがって、例えば、上記可視光が照射された範囲内に画素が形成された開口部が複数存在する場合は、すべての開口部の面積の和を意味するものである。
(以下、上記「画素に照射される可視光の面積」を単に「照射面積」と称する場合がある。また、上記「可視光が照射される画素が形成された開口部の面積」を単に「被照射開口部面積」と称する場合がある。)
また、上記「単色の画素のみ」とは、本工程により可視光が照射される画素はすべて同一色のものであり、例えば、隣接する複数色の画素に可視光が照射されることが無いことを意味するものである。
本工程における上記照射面積は、上記被照射開口部面積よりも大きければ特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、上記被照射開口部面積を100とした場合に、上記照射面積が101〜140の範囲内であることが好ましく、特に103〜130の範囲内であることが好ましく、さらには105〜120の範囲内であることが好ましい。
本工程において可視光が照射される画素の数としては、本発明によって所望の強度を有する分光スペクトルを測定できる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、1〜10の範囲内であることが好ましく、特に1〜5の範囲内であることが好ましく、なかでも1〜3の範囲内であることが好ましい。
本工程において複数の画素に可視光を照射する場合、その照射態様としては単色の画素が形成された所望の数の開口部に可視光を照射できる態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、例えば、互いに隣接する複数の同一色の画素に照射する態様であってもよく、または、互いに隔離された複数の同一色の着色層に照射する態様であってもよく、さらには、上記互いに隣接する複数の画素に照射する態様と上記互いに隔離された複数の画素に照射する態様とを組み合わせた態様であってもよい。
本工程において上記画素に照射される可視光は、色特性の評価対象となるカラーフィルターが備える開口部の形状に応じて照射面積を変化させることが必要となるが、上記照射面積を変化させる方法としては、上記被照射開口部面積に対する上記照射面積の比率を所望の範囲内とすることができる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、所望の形状、かつ、所望の面積の貫通孔を有するスリットを用い、上記スリットに可視光を通過させる方法が好適に用いられる。このような方法によれば上記貫通孔の形状または面積を変更することにより、上記照射面積を容易に変化させることができるからである。
本工程に用いられるスリットとしては、上記貫通孔の形状および面積が可変であるものが好ましい。一般的に液晶表示装置等に用いられるカラーフィルターは、使用されるディスプレイ規格や画面サイズによって上記開口部の大きさが異なる種類のものが多数存在するが、上記スリットとして上記貫通孔の形状および面積が可変であるものを用いることにより、開口部の大きさ等が異なる複数種のカラーフィルターの評価に対応することが可能になるからである。
上記貫通孔の形状および面積が可変であるスリットしては、本発明により色特性を評価するカラーフィルターの開口部の形状および面積等に応じて上記貫通孔の形状を任意に変化させることができるものであれば特に限定されない。このようなスリットとしては、例えば、上記貫通孔の形状が四角形である場合は、2組の対向する2辺のうち少なくとも1組の2辺の長さが可変であるものや、4辺すべての長さが可変であるもの等を例示することができる。
本工程に用いられる光源としては、本発明により分光スペクトルを測定する画素の最大吸収波長の可視光を照射することができるものであれば特に限定されるものではない。このような光源としては、例えば、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、LED、有機EL、無機EL、メタルハライドランプ、および、水銀ランプ等を用いることができる。
また、本工程において上記画素に可視光を照射する際には、レンズを通じて照射することが好ましい。レンズを通じて照射することにより、レンズとカラーフィルターとの距離を調整して上記照射面積を任意に変更することが可能になるため、上記被照射開口部面積に対する上記照射面積の比率を所望の範囲内とすることが容易になるからである。
さらに本工程においては、上記画素に照射する可視光が平行光であることが好ましい。これにより、本工程において上記画素に可視光を照射した際に、可視光がカラーフィルターを構成する基材等において多重反射することを防止することができるため、より正確な色特性を評価することができるからである。
ここで、本工程において上記画素に照射される可視光を平行光にする方法としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知の方法を用いることができる。なかでも本工程においては、上記光源と上記スリットとの間にコリメーターレンズを配置する方法を好適に用いることができる。
このような方法で平行光を照射する方法について図を参照しながら説明する。図4は、本工程において、上記画素に平行光を照射する場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように、本工程において画素3に平行光を照射する方法としては、光源30とスリットSとの間にコリメーターレンズL3を配置する方法が用いられることが好ましい。
本工程において、上記画素に照射させる光源を平行光にする場合、上記光源としてはより強度の可視光を照射できるものが用いられることが好ましい。特に光源から照射された可視光を集光するレンズを用いない場合は、上記画素に照射される可視光の強度が低くなり、評価精度が低下する虞があるため特に強度の高い可視光を照射できる光源が用いられることが好ましい。このような光源として好適なものの例としては、例えばメタルハライドランプを挙げることができる。
なお、本工程において上記画素に可視光を照射する際に、当該可視光が照射される面としては、評価対象となるカラーフィルターの基材側であってもよく、または、画素が形成された側であってもよい。
(3)可視光受光工程
次に、可視光受光工程について説明する。本工程は、上記可視光照射工程によって、上記カラーフィルターの画素に照射され、上記画素を透過した可視光を検出器で受光する工程である。
本工程に用いられる検出器は、上記画素の最大吸収波長の可視光を受光し、その強度を測定できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、上記着色層を透過した可視光を受光する受光部の形状が四角形である検出器を用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明によって色特性が評価されるカラーフィルターは、通常、上記開口部の形状が四角形であることから、上記画素を透過した可視光は、四角形の照射形状を有した状態で検出器によって受光されることになる。この際、例えば、図5(a)に示すように、本工程に用いられる検出器20の上記受光部21の形状が円形であると、上記受光部21内に上記可視光Lを受光しない部位ができてしまうことから検出器の実質的な感度が低下してしまい、色特性を評価するのに時間がかかってしまう懸念がある。
しかしながら、例えば、図5(b)に例示するように、上記受光部21の形状が四角形であることにより、上記受光部21内の上記可視光Lを受光しない部位を少なくすることができるため、上記検出器の実質的な感度を向上させることができ、これにより短時間で色特性を評価することができるようになるからである。
さらに、上記可視光照射工程において上記スリットが用いられる場合は、本工程に用いられる検出器は、上記受光部の形状が、上記スリットが備える貫通孔の形状の相似形であるものが好ましい。本工程において検出器で受光する可視光の形状は、通常、上記スリットの貫通孔の形状に相似したものになるため、上記検出器として上記受光部の形状が、上記スリットが備える貫通孔の形状の相似形であるものを用いることにより、上記受光部内の上記可視光を受光しない部位をさらに少なくすることができるからである。
また、本工程において検出器で可視光を受光する際には、レンズを通じて受光することが好ましい。レンズを通じて受光することにより、レンズと検出器との距離を調整することにより上記検出器の受光部に受光される可視光の面積を任意に変更することが可能となることから、上記受光部内の上記可視光を受光しない部位を少なくすることが容易になるからである。
また本工程においては、カラーフィルターと、上記検出器との間にスリットを配置することが好ましい。これにより、さらに高精度で色特性を評価することが可能になるからである。
本工程において上記スリットが配置される位置としては、カラーフィルターが備える画素と検出器との間であれば特に限定されるものではないが、本工程において上記レンズを用いる場合には、通常、上記レンズと上記画素との間に配置される。
本工程に用いられるスリットが備える貫通孔の大きさは、上記多重反射に伴う測定精度の低下を防止できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、可視光が照射される着色層が形成された開口部を囲うブラックマトリックス層の幅をM、上記ブラックマトリックス層と上記スリットが備える貫通孔とが重なり合う幅をNとした場合に、N/Mで表される比が0.02〜1の範囲内であることが好ましく、なかでも0.025〜0.5の範囲内であることが好ましく、特に0.03〜0.3の範囲内であることが好ましい。上記N/Mが上記範囲内であることにより、上記多重反射に伴って隣接する画素を透過した可視光を上記スリットにより効果的に遮蔽することができるからである。
ここで、上記MおよびNについて図を参照しながら具体的に説明する。図6は、上記MおよびNについて説明する概略図である。図6に例示するように、上記Mは、本発明において分光スペクトルの測定対象となる画素3’が形成された開口部を囲うブラックマトリックス層の幅である。また、上記Nは、本工程おいて用いられるスリットの貫通孔と、上記画素3’が形成された開口部を囲うブラックマトリックス層とが重なり合う幅である。
ここで、図6におけるCは本工程に用いられるスリットの貫通孔の大きさを表すものである。
なお、本工程に用いられるスリットが備える貫通孔の大きさは、当該貫通孔のすべての辺において上記N/Mで表される比が上記範囲内であるような大きさであることが好ましい。
また、本工程に用いられるスリットが備える貫通孔の大きさは、当該貫通孔のすべての辺において、上記Nが0.5μm〜15μmの範囲内、より好ましくは1μm〜10μmの範囲内、さらに好ましくは3μm〜7μmの範囲内となるような大きさであることが好ましい。上記貫通孔の大きさがこのような範囲内であることにより、本工程において上記スリットを用いる場合に、スリットを配置する位置合わせが容易になるからである。
本工程に用いられるスリットとしては、上記貫通孔の形状および面積が可変であるものが好ましい。一般的に液晶表示装置等に用いられるカラーフィルターは、使用されるディスプレイ規格や画面サイズによって上記開口部の大きさが異なる種類のものが多数存在するが、上記スリットとして上記貫通孔の形状および面積が可変であるものを用いることにより、開口部の大きさ等が異なる複数種のカラーフィルターの評価に対応することが可能になるからである。
上記貫通孔の形状および面積が可変であるスリットしては、色特性を評価するカラーフィルターの開口部の形状および面積等に応じて上記貫通孔のサイズを、上記貫通孔の形状を任意に変化させることができるものであれば特に限定されない。このようなスリットとしては、例えば、上記貫通孔の形状が四角形である場合は、2組の対向する2辺のうち少なくとも1組の2辺の長さが可変であるものや、4辺すべての長さが可変であるもの等を例示することができる。
なお、上述した可視光照射工程において画素に平行光を照射する場合は、上述した多重反射が生じることがないため、当該多重反射を防止することを目的として上記スリットを用いる必要は無くなる。
2.広域分光分析法
本発明において、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして分光測定を行うという要求を満たす分光測定法の別の例として、インクをインクジェット方式で基板上に塗布して、測定対象とする画素のみ(すなわち一色のみの画素)を所定の配列パターンに従って配置した画素群を形成した後、画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を、複数の画素を含む大きさにして測定を行う方法である。特に好ましくは、測定領域の面積を、画素群全体またはそれと同等の測定結果が得られる数の画素を含む大きさにして測定を行う。いわゆる広域分光分析と称する方法であり、例えば、商品名「島津自記分光光度計UV−3100PC」、島津製作所社製等、市販の測定機を用いることができる。
広域分光装置を用いた分光測定結果に基づく色特性の評価によれば、光学素子用部材の着色層の分光測定に通常用いられる顕微分光測定と異なり、測定スポットが着色層構成単位の一部領域に限定されないので、着色層全体の色特性を適正に評価することができる。
画素分光測定の手順を以下に説明する。図7は、分光装置からの測定光が、インクジェット方式により形成された画素を透過する様子を示す断面図である。インクジェット方式により得られる画素を顕微分光装置を用いて分光測定する場合、図7(a)のように、一つの画素3の一部分のみを測定するため、厚みが一定でない画素全体を評価することが難しい。また、ひとつひとつの画素の形状が完全に一致するわけではないないため、評価の信頼性を上げるために多数の画素について測定を繰り返さなければならず、効率が悪い。
一方、測定光が広い範囲を照射することができる広域分光装置は、図7(b)のように、画素3の膜厚が最も大きい部分から最も小さい部分まで含む全領域を測定することができ、しかも、個々の画素間で形状がばらつく可能性がある画素群を一度にまとめて測定することができるので、信頼性の高い分光データを迅速に得ることができる。
本発明で用いる広域分光装置は、同じ色の画素を隣接配置した画素群に含まれる100個以上、更に200個以上、特に300個以上の画素であり、且つ20mm以上、更に30mm以上、特に40mm以上の着色層に対して、一度に照射することが可能な測定光を使用するものが好ましい。このような広範囲を照射することができる分光装置による分光データは、各画素の形状が平均化され、近似的には実際の光学素子用部材の着色層中に分散配置されている特定の画素群全体の分光データということができ、実機又は実機相当試験により得られる分光データとの相関性が非常に高い。
具体的には、まず、評価用に形成した画素群のうち、画素を除いた部分のみを有する部材をリファレンスとして測定する。例えば、光学素子用部材がインクジェットカラーフィルターの場合は、ブラックマトリックスパターンを形成したガラス基板をリファレンスとする。その後、画素群の測定を行う。
得られる分光データは、400〜700nmで5nm刻みのデータ形式であることが、
後のデータ処理上好ましい。
分光データから、着色層の色度座標を求める方法としては、例えば、CIE1931 XYZ表色系における、ある光源に対する色度座標(x,y)及び輝度Yを計算する方法が挙げられる。
XYZ表色系を用いる場合、色度座標(x,y)及び輝度Yについて所定の計算式に基づいて計算を行う。
評価用着色層の分光透過率τ(λ)、光源の分光スペクトルP(λ)、及びXYZ表色系における等色関数を用いて、下記式(1)〜(6)より色度座標(x,y)及び輝度Yを計算することができる。尚、光源及び等色関数の種類は、光学素子用部材の仕様に応じて適宜選択する。
Figure 0005146060
インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定した後、その結果を用いて、各インクに含まれる前記特定の成分又は成分群の含有量と、目標とする色度座標を達成できる前記画素の平均膜厚との関係を特定する。
例えば、図1(a)のグラフにおいて、P/V比aのインクを用いて形成した画素が目標色度座標を有する時の平均膜厚がTa、P/V比bのインクを用いて形成した画素が目標色度座標を有する時の平均膜厚がTb、およびP/V比cのインクを用いて形成した画素が目標色度座標を有する時の平均膜厚がTcと特定されたとする。この場合、これら平均膜厚Ta、TbおよびTcを、図1(b)に示すように、画素の平均膜厚の軸とP/V比の軸を有するグラフに挿入することで、各インクに含まれる特定の成分又は成分群の含有量と、目標とする色度座標を達成できる画素の平均膜厚との関係を特定したグラフが得られる。このグラフから、さらに近似式を誘導しても良い。
そして、インクについて特定された前記関係に基づいて、当該インク系列に属するインクの中から所定の平均膜厚において目標とする色度座標を達成できるインクの組成を決定する。例えば、図1(b)に示すグラフ又はこのグラフから誘導された近似式に基づいて、設計上の目標とする平均膜厚Tdにおいて目標とする色度座標を達成できるP/V比がdであると決定できる。
以上説明した評価方法は、目標どおりの色度座標を所望の膜厚で達成できるインク組成を試行錯誤を重ねることなく効率よく決定することが出来る。この評価方法で組成決定したインクを用い、インクジェット方式で基板上に塗布することによって、目標どおりの膜厚と色度座標を有するカラーフィルターの画素を形成できる。
スピンコート用のインクを評価する方法をインクジェット用インクに適用して目標膜厚と目標色度座標を有する画素のP/V比を決定した場合には、決定した組成を有するインクをインクジェット方式で基板上に塗布してカラーフィルターをTFTアレイ基板等と組み合わせてモジュール化し、モジュール全体として分光測定を行うと、目標色度座標からのずれを生じていた。これに対し、本発明の評価方法で組成決定したインクを用いてインクジェット方式によりカラーフィルターを製造する場合には、上述したようなモジュール化した際の目標色度座標からのずれを手間をかけずに極めて小さくすることができる。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明により製造されるカラーフィルターであることを特徴とする。本発明によれば、上記カラーフィルターが用いられていることにより、高品質な液晶表示装置を提供することができる。
上記のようにして得られるカラーフィルター(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明により製造される液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In‐Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
(1)実施例1におけるインク評価の手順
(1−1)赤色顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液、PR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液、及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):15重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(1−2)バインダー性エポキシ化合物の合成
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で表1に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
Figure 0005146060
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(1−3)バインダーの調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従ってバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダーの組成]
・合成した上記バインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):10重量部
(1−4)インクの調製
表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPR254顔料分散液、PR177顔料分散液、PY150顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(1A)およびインク(1B)を調製した。これらのインクは、実施例1に属するインク系列を評価するために用いた。
Figure 0005146060
(1−5)画素の形成
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.0μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
常圧プラズマ装置を用いてブラックマトリクス層上部におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの接触角(θ)が50°となる基板を作製した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された画素形成部に、上記インク(1A)をインクジェット方式によって付着させた。
その後、23℃のホットプレート上で240秒間、20Paで減圧乾燥を行い、更に、90℃のホットプレート上で60分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、240℃で40分加熱してポストベークを行って、基板上に、インク(1A)を用いた赤色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成した。
同様の手順を繰り返して、インク(1A)を用いて平均膜厚が異なる画素を形成し、得られた画素について画素分光分析を行った。
同様に、インク(1B)を用いて画素を形成し、得られた画素について画素分光分析を行った。
得られた画素の、乾燥後の平均膜厚は、光干渉方式の三次元非接触表面形状計測装置(米国マイクロマップ製 製品名Micromap557N)により測定した。
また、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして画素単位で分光測定を行う、いわゆる画素分光分析としては、大塚電子株式会社製の顕微分光装置(画素分光)LCF-8000 A80FGを用い、可視波長域(400〜700nm)の分光透過スペクトル測定を行った。光源は、C光源を使用した
インク(1A)及び(1A)を用いて形成した各画素の平均膜厚と各膜厚でのx値(XYZ表色系)の測定結果を表3に示す。
Figure 0005146060
上記平均膜厚測定と画素分光分析の結果に基づいて、前記図1(a)に相当するグラフ(横軸:色度x、縦軸:インクジェット画素の平均膜厚)を作成した。作成したグラフを図9(a)に示す。図9(a)において、実線はインク1Aの実測値をプロット(ひし形)して得られた線であり、このインク1Aの線上で横軸x=0.648に位置する点(三角)に対応する縦軸の値、すなわち平均膜厚は2.2μmであった。同様にして、点線はインク1Bをプロット(ひし形)して得られた線であり、このインク1Bの線上で横軸x=0.648に位置する点(三角)に対応する縦軸の値、すなわち平均膜厚は1.65μmであった。
この結果から、インク(1A)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有する画素の平均膜厚は2.2μmであり、インク(1B)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有する画素の平均膜厚は1.65μmであると特定した(表2参照)。
さらに、上記図9(a)のグラフから得られた結果に基づいて、前記図1(b)に相当するグラフ(横軸:インクジェット画素の平均膜厚、縦軸:P/V比)を作成した。作成したグラフを図9(b)に示す。図9(b)のグラフから、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.58)を決定した。決定したインク組成を表5に示す。
(2)実施例2におけるインク評価の手順
実施例1と同様の手順で実施例2のインク系列を評価した。
予め、PG36顔料分散液、PY150顔料分散液を調製した。次に、表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPG36顔料分散液、PY150顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(2A)及び(2B)を調製した。これらのインクは、実施例2に属するインク系列を評価するために用いた。
インク(2A)及び(2B)を用いて実施例1と同様の手順で、基板上にインク(2A)又は(2B)を用いた緑色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成し、得られた画素の平均膜厚測定と画素分光分析を行った。平均膜厚測定と画素分光分析の結果から、インク(2A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有する画素の平均膜厚は2.47μmであり、インク(2B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有する画素の平均膜厚は1.65μmであると特定した(表2参照)。
この結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.88)を決定した。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(3)実施例3におけるインク評価の手順
実施例1と同様の手順で実施例3のインク系列を評価した。
予め、PB15:6顔料分散液、及びPV23顔料分散液を調製した。次に、表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPB15:6顔料分散液、PV23顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(3A)及び(3B)を調製した。これらのインクは、実施例3に属するインク系列を評価するために用いた。
インク(3A)及び(3B)を用いて実施例1と同様の手順で、基板上にインク(3A)又は(3B)を用いた青色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成し、得られた画素の平均膜厚測定と画素分光分析を行った。平均膜厚測定と画素分光分析の結果から、インク(3A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有する画素の平均膜厚は2.15μmであり、インク(3B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有する画素の平均膜厚は1.6μmであると特定した(表2参照)。
この結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.39)を決定した。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(4)実施例4におけるインク評価の手順
実施例1と同様の手順で実施例4のインク系列を評価した。
予め、PR254顔料分散液、PR177顔料分散液、及びPY150顔料分散液を調製した。本実施例4においては、顔料分散剤として、Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)を用いた。
次に、表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPR254顔料分散液、PR177顔料分散液、PY150顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(4A)及び(4B)を調製した。これらのインクは、実施例4に属するインク系列を評価するために用いた。
インク(4A)及び(4B)を用いて実施例1と同様の手順で、基板上にインク(4A)又は(4B)を用いた赤色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成し、得られた画素の平均膜厚測定と画素分光分析を行った。平均膜厚測定と画素分光分析の結果から、インク(4A)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有する画素の平均膜厚は2.25μmであり、インク(4B)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有する画素の平均膜厚は1.7μmであると特定した(表2参照)。
この結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.6)を決定した。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(5)実施例5におけるインク評価の手順
実施例1と同様の手順で実施例5のインク系列を評価した。
予め、PG36顔料分散液、PY150顔料分散液を調製した。本実施例5においては、顔料分散剤として、Solsperse2000(Avecia社製)を用いた。
次に、表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPG36顔料分散液、PY150顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(5A)及び(5B)を調製した。これらのインクは、実施例5に属するインク系列を評価するために用いた。
インクジェットインク(5A)及び(5B)を用いて実施例1と同様の手順で、基板上にインク(5A)又は(5B)を用いた緑色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成し、得られた画素の平均膜厚測定と画素分光分析を行った。平均膜厚測定と画素分光分析の結果から、インク(5A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有する画素の平均膜厚は2.5μmであり、インク(5B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有する画素の平均膜厚は1.7μmであると特定した(表2参照)。
この結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.9)を決定した。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(6)実施例6におけるインク評価の手順
実施例1と同様の手順で実施例6のインク系列を評価した。
予め、PB15:6顔料分散液、及びPV23顔料分散液を調製した。本実施例6においては、顔料分散剤として、Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)を用いた。
次に、表2に示される配合割合(固形分換算の割合で表示)で、上記調製したPB15:6顔料分散液、PV23顔料分散液、バインダー組成物、及びレベリング剤を充分に混合し、P/V比が異なる2種類のインク(6A)及び(6B)を調製した。これらのインクは、実施例6に属するインク系列を評価するために用いた。
インク(6A)及び(6B)を用いて実施例1と同様の手順で、基板上にインク(6A)又は(6B)を用いた青色画素のみを所定配列で隣接配置してなる画素パターンを形成し、得られた画素の平均膜厚測定と画素分光分析を行った。平均膜厚測定と画素分光分析の結果から、インク(6A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有する画素の平均膜厚は2.2μmであり、インク(6B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有する画素の平均膜厚は1.65μmであると特定した(表2参照)。
この結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.41)を決定した。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(7)比較例1におけるインク評価の手順
(7−1)インクの調製
実施例1と共通のインク(1A)及び(1B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
(7−2)塗膜の形成
実施例1〜6で用いたのと同じ透明基板(ただしブラックマトリックス層がない)を準備した。この基板上に、上記インク(1A)をスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による赤色の塗膜を形成し、その膜厚を測定した。なおスピンコート膜なので、膜厚を平均値化する必要はなかった。
同様の手順を繰り返して、インク(1A)を用いて膜厚が異なるスピンコート膜を形成し、得られた塗膜について実施例1と測定領域の面積を等しくし、その他の条件も同じにして分光分析を行った。
同様に、インク(1B)を用いて膜厚が異なるスピンコート膜を形成し、得られた塗膜について分光分析を行った。
インク(1A)及び(1B)を用いて形成した各スピンコート膜の膜厚と各膜厚でのx値(XYZ表色系)の測定結果を表4に示す。
Figure 0005146060
上記膜厚測定と分光分析の結果から、前記図1(a)に相当するグラフ(横軸:色度x、縦軸:インクジェット画素の平均膜厚)を作成した。作成したグラフを図10(a)に示す。図10(a)において、実線はインク1Aをプロット(ひし形)して得られた線であり、このインク1Aの線上で横軸x=0.648に位置する点(三角)に対応する縦軸の値、すなわち平均膜厚は2.11μmであった。同様にして、点線はインク1Bをプロット(ひし形)して得られた線であり、このインク1Bの線上で横軸x=0.648に位置する点(三角)に対応する縦軸の値、すなわち平均膜厚は1.5μmであった。
この結果から、インク(1A)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有するスピンコート膜の膜厚は2.11μmであり、インク(1B)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有するスピンコート膜の膜厚は1.5μmであると特定した(表2参照)。実施例1のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
さらに、上記図10(a)のグラフから得られた結果に基づいて、前記図1(b)に相当するグラフ(横軸:インクジェット画素の平均膜厚、縦軸:P/V比)を作成した。作成したグラフを図10(b)に示す。図10(b)のグラフから、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.52)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例1のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(8)比較例2におけるインク評価の手順
実施例2と共通のインク(2A)及び(2B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
比較例1と同様の手順で、上記インク(2A)又は(2B)をブラックマトリックス層が無い基板上にスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による緑色の塗膜を形成し、得られた塗膜の膜厚測定と分光分析を行った。
上記膜厚測定と分光分析の結果から、インク(2A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有するスピンコート膜の膜厚は2.13μmであり、インク(2B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有するスピンコート膜の膜厚は1.4μmであると特定した(表2参照)。実施例2のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
以上のスピンコート法による結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.73)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例2のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(9)比較例3におけるインク評価の手順
実施例3と共通のインク(3A)及び(3B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
比較例1と同様の手順で、上記インク(3A)又は(3B)をブラックマトリックス層が無い基板上にスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による青色の塗膜を形成し、得られた塗膜の膜厚測定と分光分析を行った。
上記膜厚測定と分光分析の結果から、インク(3A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有するスピンコート膜の膜厚は2μmであり、インク(3B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有するスピンコート膜の膜厚は1.4μmであると特定した(表2参照)。実施例3のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
以上のスピンコート法による結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.33)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例3のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(10)比較例4におけるインク評価の手順
実施例4と共通のインク(4A)及び(4B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
比較例1と同様の手順で、上記インク(4A)又は(4B)をブラックマトリックス層が無い基板上にスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による赤色の塗膜を形成し、得られた塗膜の膜厚測定と分光分析を行った。
上記膜厚測定と分光分析の結果から、インク(4A)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有するスピンコート膜の膜厚は2.11μmであり、インク(4B)について目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を有するスピンコート膜の膜厚は1.5μmであると特定した(表2参照)。実施例4のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
以上のスピンコート法による結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(x値のみ設定)x=0.648を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.52)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例4のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(11)比較例5におけるインク評価の手順
実施例5と共通のインク(5A)及び(5B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
比較例1と同様の手順で、上記インク(5A)又は(5B)をブラックマトリックス層が無い基板上にスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による緑色の塗膜を形成し、得られた塗膜の膜厚測定と分光分析を行った。
上記膜厚測定と分光分析の結果から、インク(5A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有するスピンコート膜の膜厚は2.13μmであり、インク(5B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を有するスピンコート膜の膜厚は1.4μmであると特定した(表2参照)。実施例5のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
以上のスピンコート法による結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.601を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.73)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例5のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(12)比較例6におけるインク評価の手順
実施例6と共通のインク(6A)及び(6B)を用いて、スピンコート法で塗膜を形成し、P/V比を決定するための評価を行った。
比較例1と同様の手順で、上記インク(6A)又は(6B)をブラックマトリックス層が無い基板上にスピンコート法によって付着させた。
その後、実施例1と同様の手順でプリベーク、ポストベークを行って基板上にスピンコート法による青色の塗膜を形成し、得られた塗膜の膜厚測定と分光分析を行った。
上記膜厚測定と分光分析の結果から、インク(6A)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有するスピンコート膜の膜厚は2μmであり、インク(6B)について目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を有するスピンコート膜の膜厚は1.4μmであると特定した(表2参照)。実施例6のインクジェット法により形成した画素と比べると、目標とする色度座標を達成する膜厚が相違している。
以上のスピンコート法による結果に基づいて、目標とする平均膜厚1.9μmにおいて目標とする色度座標(y値のみ設定)y=0.108を達成できるP/V比を持つインク(P/V比=0.33)を決定した。最終決定したP/V比も、実施例6のインクジェット法により評価して決定した値と相違する。決定したインクのP/V比と組成を表5に示す。
(13)最終決定されたインク組成を用いた色特性の評価
(13−1)実施例1〜3のインクの色特性
実施例1のインク(R画素)、実施例2のインク(G画素)、実施例3のインク(B画素)を用い、実施例においてP/V比決定の手順で行ったのと同様に、ブラックマトリックス層がある基板上に、インクジェット方式でインクを塗布し、平均膜厚1.9μmの単色の画素のみを所定配列で隣接配置した画素パターンを形成し、画素分光分析を行った。その結果、各インクは目標の色度座標(実施例1がx=0.648、実施例2がy=0.601、実施例3がy=0.108)を達成していることが確認された。測定結果を表6に示す。この測定結果は、カラーフィルター単体の状態で画素の色特性を評価した結果と等しいと考えられる。
次に、実施例1のインク(R)、実施例2のインク(G)および実施例3のインク(B)を用い、P/V比決定の手順で用いたものと同じ基板にインクジェット方式で塗布し、ブラックマトリックス層パターンで仕切られた所定配列のR、G、B画素を形成し、カラーフィルターを得た。
得られたカラーフィルターと、TFTアレイ基板を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール材により接合し、基板間の間隙に液晶を満たして密封することによりモジュール化し、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置をについて、カラーフィルター側表面から70cm離した箇所で分光放射計(TOPCON製 SR−2)によりスポット計2度の測定条件で色度x、yと輝度Yを測定した。この測定結果も表6に示す。
実施例1のインクを用いて形成したR画素は、カラーフィルター単体の状態で測定したときに得られる色度座標(x1,y1)と、モジュール化した後の状態で測定したときに得られる色度座標(x2,y2)の差(x1−x2,y1−y2)が(−0.001,−0.001)であり、その差が極めて小さかった。
実施例2のインクで形成したG画素および実施例3のインクで形成したB画素も、同様の結果を示した(表6参照)。
(13−2)比較例1〜3のインクの色特性
比較例1のインク(R)、比較例2のインク(G)および比較例3のインク(B)は、それぞれ実施例1のインク(R)、実施例2のインク(G)および実施例3のインク(G)の組成と類似しているが、スピンコート法により評価を行ってP/V比を決定したものである。
これら比較例1のインク(R)、比較例2のインク(G)および比較例3のインク(B)を用い、比較例においてP/V比決定の手順で行ったのと同様に、ブラックマトリックス層がない基板上に、スピンコート法でインクを塗布し、平均膜厚1.9μmの単色の塗膜を形成し、分光分析を行った。その結果、各インクは目標の色度座標(比較例1がx=0.648、比較例2がy=0.601、比較例3がy=0.108)を達成していることが確認された。測定結果を表6に示す。
次に、比較例1のインク(R)、比較例2のインク(G)および比較例3のインク(B)を用い、実施例においてP/V比決定の手順で用いたものと同じブラックマトリックス層がある基板にインクジェット方式で塗布し、ブラックマトリックス層パターンで仕切られた所定配列のR、G、B画素を形成し、カラーフィルターを得た。
得られたカラーフィルターを用い、実施例1〜3のインクを用いたカラーフィルターと同様の手順でモジュール化し、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置について、同様に色度x、yと輝度Yを測定した。この測定結果も表6に示す。
しかしながら、比較例1のインクを用いて形成した画素は、スピンコート法により形成した塗膜の状態で測定したときに得られる色度座標(x1,y1)と、同じインクをインクジェット方式により基板上に塗布して製造したカラーフィルターをモジュール化した後の状態で測定したときに得られる色度座標(x2,y2)の差(x1−x2,y1−y2)が(0.011,−0.002)であり、x値およびy値の両方とも実施例1より大きなずれが生じ、特にx値のずれが大きかった。
比較例2のインクは、x値およびy値の両方とも実施例2より大きなずれが生じ、特にy値のずれが大きかった(表6)。比較例3のインクは、x値およびy値の両方とも実施例3より大きなずれが生じ、特にx値のずれが大きかった(表6)。
(13−3)実施例4〜6のインクの色特性
実施例4のインク(R画素)、実施例5のインク(G画素)、実施例6のインク(B画素)を用い、実施例においてP/V比決定の手順で行ったのと同様に、ブラックマトリックス層がある基板上に、インクジェット方式でインクを塗布し、平均膜厚1.9μmの単色の画素のみを所定配列で隣接配置した画素パターンを形成し、画素分光分析を行った。その結果、各インクは目標の色度座標(実施例4がx=0.648、実施例5がy=0.601、実施例6がy=0.108)を達成していることが確認された。測定結果を表6に示す。この測定結果は、カラーフィルター単体の状態で画素の色特性を評価した結果と等しいと考えられる。
次に、実施例4のインク(R)、実施例5のインク(G)および実施例6のインク(B)を用い、P/V比決定の手順で用いたものと同じ基板にインクジェット方式で塗布し、ブラックマトリックス層パターンで仕切られた所定配列のR、G、B画素を形成し、カラーフィルターを得た。
得られたカラーフィルターと、TFTアレイ基板を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール材により接合し、基板間の間隙に液晶を満たして密封することによりモジュール化し、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置をについて、カラーフィルター側表面から70cm離した箇所で分光放射計(TOPCON製 SR−2)によりスポット計2度の測定条件で色度x、yと輝度Yを測定した。この測定結果も表6に示す。
実施例4のインクを用いて形成したR画素は、カラーフィルター単体の状態で測定したときに得られる色度座標(x1,y1)と、モジュール化した後の状態で測定したときに得られる色度座標(x2,y2)の差(x1−x2,y1−y2)が(−0.001,−0.001)であり、その差が極めて小さかった。
実施例5のインクで形成したG画素および実施例6のインクで形成したB画素も、同様の結果を示した(表6参照)。
(13−4)比較例4〜6のインクの色特性
比較例4のインク(R)、比較例5のインク(G)および比較例6のインク(B)は、それぞれ実施例4のインク(R)、実施例5のインク(G)および実施例6のインク(G)の組成と類似しているが、スピンコート法により評価を行ってP/V比を決定したものである。
これら比較例4のインク(R)、比較例5のインク(G)および比較例6のインク(B)を用い、比較例においてP/V比決定の手順で行ったのと同様に、ブラックマトリックス層がない基板上に、スピンコート法でインクを塗布し、平均膜厚1.9μmの単色の塗膜を形成し、分光分析を行った。その結果、各インクは目標の色度座標(比較例4がx=0.648、比較例5がy=0.601、比較例6がy=0.108)を達成していることが確認された。測定結果を表6に示す。
次に、比較例4のインク(R)、比較例5のインク(G)および比較例6のインク(B)を用い、実施例においてP/V比決定の手順で用いたものと同じブラックマトリックス層がある基板にインクジェット方式で塗布し、ブラックマトリックス層パターンで仕切られた所定配列のR、G、B画素を形成し、カラーフィルターを得た。
得られたカラーフィルターを用い、実施例4〜5のインクを用いたカラーフィルターと同様の手順でモジュール化し、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置について、同様に色度x、yと輝度Yを測定した。この測定結果も表6に示す。
しかしながら、比較例4のインクを用いて形成した画素は、スピンコート法により形成した塗膜の状態で測定したときに得られる色度座標(x1,y1)と、同じインクをインクジェット方式により基板上に塗布して製造したカラーフィルターをモジュール化した後の状態で測定したときに得られる色度座標(x2,y2)の差(x1−x2,y1−y2)が(0.016,−0.003)であり、x値およびy値の両方とも実施例4より大きなずれが生じ、特にx値のずれが大きかった。
比較例5のインクは、x値およびy値の両方とも実施例5より大きなずれが生じ、特にy値のずれが大きかった(表6)。比較例6のインクは、x値およびy値の両方とも実施例6より大きなずれが生じ、特にx値のずれが大きかった(表6)。
Figure 0005146060
Figure 0005146060
本発明に係るインクジェット方式用インクの評価方法を実施する手順を説明するグラフである。 画素分光分析の手順を説明する図である。 画素分光分析を行う際の画素開口部面積に占める測定領域の面積比の例(100%以上)を示す図である。 画素分光分析を行う際に、画素に平行光を照射する一例を示す図である。 画素分光分析を行う際に、可視光受光工程で用いる検出器の受光部の形状を説明する図である。 画素分光分析を行う際に、ブラックマトリックス層と検出器の間に配置されるスリットとの関係(ブラックマトリックス層の幅Mと、ブラックマトリックス層とスリット貫通孔とが重なり合う幅Nの比:N/M)を説明する図である。 広域分光分析を行う際に、測定光が画素を通過する様子を説明する図である。 画素分光分析を行う際の画素開口部面積に占める測定領域の面積比の例(約30%以上)を示す図である。 実施例1のインク系列において、色度(x値)とインクジェット画素の平均膜厚の関係を各P/V比ごとに示したグラフである。 実施例1のインク系列において、目標色度(x値)を達成するインクジェット画素の平均膜厚とP/V比の関係を示したグラフである。 比較例1のインク系列(実施例1と同じインク系列)において、色度(x値)とスピンコート膜の膜厚の関係を各P/V比ごとに示したグラフである。 比較例1のインク系列(実施例1と同じインク系列)において、目標色度(x値)を達成するスピンコート膜の膜厚とP/V比の関係を示したグラフである。
符号の説明
1 基板
2 ブラックマトリクス層
3 画素
4 測定領域

Claims (7)

  1. 特定の一成分又は特定の2種類以上の成分を特定の量比で組み合わせた成分群および1種類のみ又は特定の量比で組み合わせた2種類以上の他の成分からなる所定の基本組成を基準とするインク系列を評価対象として設定し、当該基本組成中の前記特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることで、当該特定の一成分又は成分群の含有量が異なるインクを2種類以上準備する工程、
    前記各インクをインクジェット方式で基板上に塗布して画素を形成し、当該画素の平均膜厚を測定し、さらに当該画素の分光測定をその測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして行うことで、各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定する工程、
    前記各インクごとに目標とする色度座標を有する画素の平均膜厚を特定した結果に基づいて、これらのインクが属するインク系列において、前記特定の成分又は成分群の含有量と、目標とする色度座標を達成できる前記画素の平均膜厚との関係を特定する工程、及び、
    前記インクについて特定された前記関係に基づいて、当該インク系列に属するインクの中から所定の平均膜厚において前記目標とする色度座標を達成できるインクの組成を決定する工程、を含むことを特徴とする、カラーフィルターの画素を形成するためのインクジェット方式用インクの評価方法。
  2. 前記インクを準備する工程において、前記基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換えることで、当該特定の一成分又は成分群と他の成分との量比を変えることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット方式用インクの評価方法。
  3. 前記インクを準備する工程において、前記基本組成の一部を当該特定の一成分又は成分群或いは他の成分のいずれか一方から他方に置き換えることで、P/V比が異なるインクを準備することを特徴とする、請求項2に記載のインクジェット方式用インクの評価方法。
  4. 前記画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を画素開口部の面積よりも大きくして画素単位で測定を行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット方式用インクの評価方法。
  5. 前記各インクをインクジェット方式で基板上に塗布する際に、同じ色の画素のみを隣接配置した画素群を形成した後、画素の分光測定を行う際に、測定領域の面積を、複数の画素を含む大きさにして測定を行うことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインクジェット方式用インクの評価方法。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の評価方法で組成を決定したインクをインクジェット方式で基板に塗布して画素を形成することを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
  7. 前記請求項6の製造方法で製造されたカラーフィルターを、液晶駆動側基板と対向させ、両者の間に液晶を封入することを特徴とする、液晶表示装置の製造方法。
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