JP5144054B2 - セパレータ素材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコーンゴムからなる絶縁被覆部が接着層により一面に接着される燃料電池セパレータに用いられるセパレータ素材およびその製造方法に係り、特にセパレータ素材の一面における接着層の形成領域に関する。
固体高分子型燃料電池では、金属セパレータの発電面でMEA(Membrane Electrode Assembly)を挟んだ単位発電セルが多数積層されるとともに、隣接する単位発電セルの間では、金属セパレータの互いに対向する冷媒面の間に冷媒流路が形成されている。このような燃料電池の運転中には、発電により発熱したMEAが冷媒流路に供給された冷媒により冷却される。冷媒の冷媒流路への供給および冷媒流路からの排出は、積層方向の冷媒流路である冷媒供給連通孔および冷媒排出連通孔を通じて行われる。
金属セパレータには、たとえば特許文献1に開示されているように、燃料電池のガス流路や冷媒流路の気密性・液密性を確保するためのシール部材を金属板に一体化したセパレータ(以下、「シール一体型セパレータ」と称する)がある。このようなセパレータでは、シール部材の位置決めの精度やシール性の向上を図ることができるとともに、燃料電池の製造におけるスタックの組立工程数の低減を図ることができる。
シール一体型セパレータとして、図7に示すように、シールリップ部12と絶縁被覆部13とが一体形成されたシール部材15を備えたセパレータ10がある(たとえば特許文献2)。図7は、冷媒面の冷媒流路領域における冷媒供給連通孔および冷媒排出連通孔の周縁部に形成されたシール部材15の構成を表す部分側断面図である。
シールリップ部12は、冷媒面における酸化ガス供給連通孔、燃料ガス排出連通孔,燃料ガス供給連通孔、酸化ガス排出連通孔、冷媒流路、冷媒供給連通孔および冷媒排出連通孔の周縁部に形成され、それら部位をシールしている。絶縁被覆部13は、冷媒面における上記部位以外の領域や、冷媒供給連通孔の内周面、冷媒排出連通孔の内周面に形成され、冷媒を介して流れるリーク電流によるセパレータの腐食を防止している。シールリップ部12および絶縁被覆部13は、製造コスト・品質安定性の観点から、同一材料から構成されている。シール部材15に用いる材料として、接着性が良くて、かつ安価なシリコーンゴムが用いられることが多い。接着層14は、シランカップリング剤、造膜剤、溶剤および触媒を含む接着剤から構成されている。
上記のように構成するセパレータ10の製造では、上記各部位が形成されたセパレータ素材である金属板11の表面に接着剤を塗布することにより接着層14を形成し、射出成形によって、接着層14の上にシールリップ部12および絶縁被覆部13を形成している。
ところで、燃料電池では、一方の金属板11の発電面に形成された酸化剤ガス供給溝に酸化性ガスを流し、他方の金属板11の発電面に形成された燃料ガス供給溝に水素ガスを流すと、MEAにおいて発電反応が生じる。発電反応では、MEAに触れた水素が触媒反応により水素イオン(Hイオン)となって酸化雰囲気となることから、セパレータ10の腐食が発生しやすい。これにより、セパレータ10の金属板11、シールリップ部12および絶縁被覆部13だけでなく、接着層14にも耐酸性の向上が要求されている。
一方、燃料電池の発電反応では、MEAが発熱することによって、冷媒流路を流れる冷媒の温度が高くなることから、冷媒の蒸気圧が高くなって、冷媒が気化しやすくなる。その結果、気化した冷媒(たとえば水蒸気)はシール部材15の絶縁被覆部13や接着層14の微細空隙(層形成時に生じた微細欠損)に侵入する。一方、車載型の燃料電池では、走行状態に応じて出力を変動させる必要があり、たとえば車の停止時や徐行運転時に、発電が停止され、その出力が所定の値からゼロに減少する。
このとき、セパレータ10の周縁部では、絶縁被覆部13に接する冷媒の温度よりも、絶縁被覆部13の下の金属板11の温度の方が低くなる場合がある。このため、上記のように絶縁被覆部13および接着層14の微細空隙に侵入した気化状態の冷媒が凝縮する。凝縮した冷媒は、接着層14および絶縁被覆部13を透過し難いため、図8に示すように、接着層14および絶縁被覆部13を膨潤させるとともに、接着層14と金属板11との間に液体状態となって溜まり、接着層14および絶縁被覆部13にブリスター(水ぶくれ)が発生する。そして、ブリスターによってシール部材15の絶縁被覆部13における冷媒の流通が阻害され、燃料電池の冷却性能が低下してしまう。そこで、ブリスターの発生防止のために、ブリスター発生の原因となる接着層14における微細欠損の低減が要求されている。
以上のように、セパレータ素材である金属板11の表面に形成される接着層14には耐酸性の向上および微細欠損の低減が要求されている。接着層14の耐酸性向上の技術としては、たとえば特許文献3に開示されているようなシリコーンゴムの耐酸性の向上技術を接着層14に適用することが考えられている。たとえば、特許文献4に開示されているように、接着層14を構成する接着剤の造膜剤として高耐酸性の樹脂(たとえばシリコーンレジン系樹脂)を用いることが提案されている。さらに、耐酸性向上のために、シリコーンレジン系樹脂にフェニル基を含有させることが考えられる。一方、微細欠損の低減技術としては、接着剤における溶剤による主剤の希釈倍率を最適化し、接着剤を重ね塗りすることが提案されている(たとえば特許文献5)。
しかしながら、上記のような耐酸性の向上技術では、接着剤における樹脂の含有量が増加すると、金属板11に対する接着剤のぬれ性が悪くなるため、接着剤が金属板11からはじかれ、塗布欠損が増大する。一方、上記のような微細欠損の低減技術は、塗布欠損の発生原因を除去する技術ではない。このため、接着剤における樹脂の含有量を増大させると、それに応じて重ね塗りの回数を増大させ、接着層14を厚くする必要が生じる。この場合、接着層14にせん断力が印加されると、接着層14の中央部で破断しやすくなる。以上のように、セパレータ素材としての金属板11に上記技術を適用した場合、耐酸性の向上および微細欠損の低減を同時に図ることができない。
特開2004―207071号公報(要約) 特開2005―222764号公報(要約) 特開2002−309092号公報(要約) 特開2004−155983号公報(要約) 特願2005−327096号(要約)
したがって、本発明は、接着層の耐酸性の向上および微細欠損の低減を同時に図ることができるセパレータ素材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本出願人は、上記課題の解決手段について鋭意検討してきたところ、セパレータ素材のー面における接着層が形成される領域に対する純水の接触角度を規定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。すなわち、本発明のセパレータ素材は、シリコーンゴムから構成される絶縁被覆部が接着層により一面に接着される金属板からなる燃料電池セパレータ用セパレータ素材であって、接着層は、シランカップリング剤と造膜剤としてのシリコーンレジン系樹脂とを含有し、絶縁被覆部は前記接着層に直接接触し、セパレータ素材の一面に、前記接着層が形成される領域を有し、その領域に対する純水の接触角度α(単位:度)は、20≦α≦75を満たすことを特徴としている。接触角度αは、図6に示すように、水滴の表面22におけるセパレータ素材の表面21との交差部の接線角度であって、水滴の中心部側の接線角度である。
ここで、上記のように接触角度αを規定した理由について説明する。接触角度αが20度未満の場合、セパレータ素材の一面における接着層が形成される領域(以下、接着層形成領域)に接着層の構成材料である接着剤を塗布すると、上記一面における領域で接着剤がにじみ、不要な領域に接着層が形成されてしまう。この場合、接着層の上に絶縁被膜部を形成したときにバリが発生すると、不要な領域の接着層によりバリがセパレータ素材に接着されてしまい、バリの除去が困難となる。一方、接触角度αが75度より大きい場合、上記一面における領域から接着剤がはじかれ、接着層に塗布欠損が生じてしまう。この場合、セパレータ素材から形成されたセパレータを燃料電池に適用すると、燃料電池の発電反応のときに、接着層の塗布欠損にブリスターが発生してしまう。
本発明のセパレータ素材では、一面における接着層形成領域に対する純水の接触角度α(単位:度)が20≦α≦75を満たすことにより、接着剤の所望のぬれ性を得ることができる。これにより、接着層形成領域に接着層を形成するときに、高耐酸性の樹脂を含む接着剤を用いても、その接着剤が上記一面における領域ではじかれることを防止することができるので、接着層における塗布欠損を低減することができる。このように接着層の耐酸性の向上および微細欠損の低減を同時に図ることができるので、本発明のセパレータ素材から形成される金属セパレータを燃料電池に適用した場合、冷媒を介して流れるリーク電流によるセパレータの腐食およびブリスターの発生による冷却性能の低下を防止することができる。
上記セパレータ素材では、金属板表面における接着剤のより良好なぬれ性を得るために、上記接触角度α(単位:度)は30≦α≦60を満たすことがより好適である。
本発明のセパレータ素材の製造方法は、シリコーンゴムから構成される絶縁被覆部が接着層により一面に接着される金属板からなる燃料電池セパレータ用セパレータ素材の製造方法であって、接着層は、シランカップリング剤と造膜剤としてのシリコーンレジン系樹脂とを含有し、絶縁被覆部は接着層に直接接触し、セパレータ素材の一面における接着層が形成される領域に、UV処理あるいはプラズマ処理を行うことにより、その領域に対する純水の接触角度α(単位:度)が、20≦α≦75を満たすとともに水酸基を増加させる工程と、マスクを用いて発電領域および冷媒流路領域以外の領域に接着を選択的に塗布して接着層を設ける工程と、接着層上に射出成形によってシールリップ部および絶縁被覆部を設ける工程とを備えたことを特徴としている。本発明のセパレータ素材と同様な効果を得ることができる。また、接着層形成領域では、UV処理あるいはプラズマ処理によって、接着剤と反応し接着する水酸基が増加するので、そこに接着層を形成した場合、接着層の接着力を向上させることができる。したがって、接着層の耐久接着性を向上させることができるので、接着層の上に絶縁被覆部を形成した場合、絶縁被覆部のセパレータ素材からの剥離を防止することができる。
本発明のセパレータ素材またはその製造方法によれば、一面における接着層が形成される領域に対する純水の接触角度α(単位:度)が20≦α≦75を満たしているので、上記一面における領域では接着剤の良好なぬれ性を得ることができる。これにより、高耐酸性の樹脂を含む接着剤を用いても、その接着剤が上記一面における領域ではじかれることを防止することができるので、接着層における塗布欠損を低減することができる等の効果が得られる。
(1)実施形態の構成
(1−1)燃料電池の構成
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るセパレータ素材である金属板111,121から形成されたセパレータ110,120を備えた固体高分子型燃料電池100の構成を表す側断面図である。図2は、セパレータ110の冷媒面113の全体構成を表す平面図である。なお、図1は、図2のA−A’線における部分側断面図である。図2における矢印は、冷媒の流通方向を示している。金属板121の冷媒面123は、金属板111の冷媒面113と同じ構成を有しているので、その図示を省略している。
固体高分子型燃料電池100(燃料電池)は、単位発電セル101が多数積層された構成を有している。単位発電セル101は、アノード側セパレータ110(燃料電池セパレータ)およびカソード側セパレータ120(燃料電池セパレータ)によりMEA130を挟んだ構成を有している。MEA130は、電解質膜を備えた電極構造体であって、下記発電反応の発生のための触媒を含んでいる。隣接する単位発電セル101の間には、所定の間隔の隙間である冷媒流路140が形成されている。
(1−2)セパレータの構成
アノード側セパレータ110は金属板111(セパレータ素材)を備えている。金属板111の一方の積層面は、MEA130に対向する発電面112であり、他方の積層面は、冷媒面113である。カソード側セパレータ120は金属板121(セパレータ素材)を備えている。金属板121の一方の積層面は発電面122(一面)であり、他方の積層面は冷媒面123(一面)である。
金属板111,121の積層面における左上端部、左下端部、右上端部、および右下端部には、積層方向(=Z方向)を貫通するように、酸化ガス供給連通孔151A、燃料ガス排出連通孔152B、燃料ガス供給連通孔152Aおよび酸化ガス排出連通孔151Bが形成されている。また、金属板111,121の積層面における中央上端部および中央下側端部には、積層方向(=Z方向)を貫通するように、冷媒供給連通孔153Aおよび冷媒排出連通孔153Bが形成されている。
金属板111,121の発電面112,122には、連通孔151A〜153Bに囲まれるようにして、MEA130と接触する発電領域112A,122Aが形成されている。発電領域112Aには、酸化剤ガス(たとえば空気)をMEA130に供給するための酸化剤ガス供給溝112Bが形成されている。金属板121の発電領域122Aには、燃料ガス(たとえば水素ガス)をMEA130に供給するための燃料ガス供給溝122Bが形成されている。
金属板111,121の冷媒面113,123には、連通孔151A〜153Bに囲まれるようにして、冷媒流路領域113A,123Aが形成されている。冷媒流路領域113A,123Aが互いに対向することにより、冷媒流路140が形成されている。冷媒流路140は、冷媒供給連通孔153Aおよび冷媒排出連通孔153Bに連通している。金属板111,121には、互いに対向する冷媒面113,123の間および互いに対向する発電面112,122をシールするシール部材160が形成されている。
シール部材160は、金属板111,121における各部位をシールするためのシールリップ部161(絶縁被覆部)と、冷媒を通じたリーク電流による腐食を防止するための絶縁被覆部162(絶縁被覆部)とを有している。シールリップ部161および絶縁被覆部162は、ともにシリコーンゴムから構成され、それに対応した材料からなるプライマー層163(接着層)により、金属板111,121に接着されている。プライマー層163は、シランカップリング剤、造膜剤、溶剤および触媒を含む接着剤から構成されている。本実施形態では、造膜剤にシリコーンレジン系樹脂を含有し、これによりプライマー層163は高耐酸性を示す。
冷媒面113,123におけるシールリップ部161,161は、凸状に突出しており、接着剤により接着されてシールを行っている。連通孔153A,153Bの周縁部に形成されたシールリップ部161は、燃料電池における冷媒流路140形成のための補強部として機能している。シールリップ部161,161の間の絶縁被覆部162は、冷媒の流路領域である。一方、発電面112,122における絶縁被覆部162,162は、接着剤により接着され、シール機能を兼ね備えている。
(2)実施形態の製造方法
次に、アノード側セパレータ110の製造方法の一例について説明する。なお、カソード側セパレータ120は、アノード側セパレータ110と同様な方法で得ることができるので、その説明は省略している。まず、所定の形状に切断されたステンレス鋼をプレス成形することにより、各部位が形成された発電面112および冷媒面113を有する金属板111を得る。続いて、図3に示すように、たとえばマスク211を用いて、発電面112および冷媒面113におけるプライマー層163が形成される領域、すなわち発電領域112Aおよび冷媒流路領域113A以外の領域(以下、プライマー層形成領域)に、UV処理あるいはプラズマ処理を選択的に行う。この場合、プライマー層形成領域に対する純水の接触角度α(単位:度)が、20≦α≦75を満足するように適宜処理条件を設定する。
次いで、図4に示すように、たとえばマスク212を用いてプライマー層形成領域に接着剤を塗布することにより、プライマー層163を形成する。続いて、プライマー層163の上に、射出成形によってシールリップ部161および絶縁被覆部162を形成する。以上のようにして、アノード側金属セパレータ110を得る。
本実施形態では、発電面112,122および冷媒面113,123におけるプライマー層形成領域に対する純水の接触角度αが20度以上であるから、プライマー層形成領域以外の発電領域112Aおよび冷媒流路領域113A(図4における矢印方向)へ接着剤がにじむことを防止することができる。これにより、プライマー層163の上に絶縁被膜部162を形成したときに、発電領域112Aおよび冷媒流路領域113Aにバリが発生しても、そこでバリが接着されることがないので、バリの除去が容易となる。一方、接触角度αが75度以下であるから、高耐酸性の接着剤を用いても、プライマー層形成領域から接着剤がはじかれることを防止することができ、これにより接着層における塗布欠損の発生を防止することができる。また、プライマー層形成領域では、UV処理あるいはプラズマ処理によって、接着剤と反応し接着する水酸基が増加しているので、プライマー層163の接着力を向上させることができ、これにより耐久接着性を向上させることができる。
(3)実施形態の動作
次に、上記のような構成を有する固体高分子型燃料電池100の動作について説明する。まず、図1に示す燃料電池100において、酸化剤ガス供給溝112Bに空気を流し、燃料ガス供給溝122Bに水素ガスを流すと、MEA130に触れた水素が触媒反応により水素イオン(Hイオン)となる。水素イオンは、固体高分子電解質膜を透過し、カソード側で空気中の酸素と結合し、MEA130のカソード側において水が生成される。この際、カソード側セパレータ120には、水素から電離した電子が与えられるので、アノード側セパレータ110がカソード側セパレータ120に比較して高電位となる。
上記のような発電反応は、積層された各単位発電セル101で生じるので、直列に接続された積層構造の一端側の単位発電セル101のアノード側セパレータ110と、他端側の単位発電セル101のカソード側セパレータ120との間に負荷を接続すると、電流が流れ、発電機能を得ることができる。このとき、MEA130が発熱するが、発熱したMEA130は、冷媒流路140を流通する冷媒によって冷却される。冷媒は、冷媒供給連通孔153Aを通じて冷媒流路140に供給され、冷媒排出連通孔153Bを通じて外部へ排出される。
本実施形態では、上記のようにプライマー層163の耐酸性の向上および微細欠損の低減を同時に図ることができることから、セパレータ110,120を燃料電池100に適用した場合、冷媒を介して流れるリーク電流によるセパレータ110,120の腐食およびブリスターの発生による冷却性能の低下を防止することができる。また、上記のようにプライマー層163の耐久接着性を向上させることができることから、シール部材160の金属板111,112からの剥離を防止することができ、これによりシール部材160のシール性を向上させることができる。
以下、具体的な実施例を参照して本発明の一実施形態をさらに詳細に説明する。
(A)金属板の表面処理
<実施例1,2>
実施例1、2では、UV処理装置を用いて、ステンレス鋼SUS304から構成される金属板の表面にUV処理を行った。UV処理装置として、ヤマト科学社製のUVオゾン洗浄装置OC2507型を使用し、紫外線ランプの照射強度は25W×7灯、紫外線ランプの照射距離は25mmとした。実施例1,2では、紫外線ランプの照射時間をそれぞれ10min,1minとした。そして、金属板の表面に対する純水の接触角度αを測定した結果、実施例1,2では、表1に示すように接触角度αがそれぞれ25度、45度であった。
Figure 0005144054
<実施例3>
実施例3では、プラズマ処理装置を用いて、ステンレス鋼SUS304から構成される金属板の表面にプラズマ処理を行った。プラズマ処理装置として、NAIS社製の大気圧プラズマクリーニング装置Aiplasmaワイドノズルタイプを使用した。そして、金属板の表面に対する純水の接触角度αを測定した結果、実施例3では、表1に示すように接触角度αが67度であった。
<比較例1>
比較例1では、UV処理装置を用いて、ステンレス鋼SUS304から構成される金属板の表面にUV処理を行った。比較例1は、紫外線ランプの照射時間を30minとしたことが実施例1と異なり、それ以外の処理条件は、実施例1と同様にした。そして、金属板の表面に対する純水の接触角度αを測定した結果、比較例1では、表1に示すように接触角度αが17度であった。
<比較例2>
比較例2では、ステンレス鋼SUS304から構成される金属板に上記のような表面処理を行わなかった。そして、金属板の表面に対する純水の接触角度αを測定した結果、比較例2では、表1に示すように接触角度αが81度であった。
(B)接着剤のにじみ性評価
塗布装置を用いて、実施例1〜3および比較例1,2の金属板の表面に接着剤のスプレー塗布を選択的に行い、厚さ5μmのプライマー層を形成した。塗布装置として、特開2005−26902号公報に開示されている装置を用いた。接着剤として、造膜剤にシリコーンレジン系樹脂を含む高耐酸性の接着剤を用いた。そして、接着剤のにじみ測定を行った。にじみ測定では、金属板の表面におけるマスク領域の見切りラインからマスク領域へプライマー層がにじんで形成されている場合、プライマー層のにじみ領域の見切りラインからの最大長をにじみ長とした。なお、見切りラインは金属板の表面のマスク領域と非マスク領域の境界線である。にじみ長が5mm未満の場合、接着剤のにじみ性が良好、にじみ長が5mm以上の場合、接着剤のにじみ性が不良であると評価した。その結果を表1に示す。なお、表1におけるすべての評価結果について、良好の場合は○、不良の場合は×と記している。
表1から判るように、接触角度αが20度以上である実施例1〜3,比較例2では、接着剤のにじみ性が良好であったが、接触角度αが20度未満である比較例1では、接着剤のにじみ性が不良であった。このように接触角度αが20度以上である場合、接着剤の所望のにじみ性を得ることができることを確認した。
(C)プライマー層の形成状態評価
塗布装置を用いて、実施例1〜3および比較例1,2の金属板の表面に接着剤の塗布を行い、厚さ10μmのプライマー層を形成した。接着剤として、造膜剤にシリコーンレジン系樹脂を含む高耐酸性の接着剤を用いた。そして、プライマー層の表面に発生した塗布欠損の個数を調べた。その結果を表1に示す。
表1から判るように、接触角度αが75度以下である実施例1〜3,比較例1では、塗布欠損が発生しておらず、プライマー層の形成状態は良好であったが、接触角度αが75度より大きな比較例2では、塗布欠損が500個以上/cm発生し、プライマー層の形成状態は不良であった。このように接触角度αが75度以下である場合、プライマー層の良好な形成状態を得ることができることを確認した。
(D)プライマー層の接着性評価
塗布装置を用いて、実施例1〜3および比較例1,2の金属板の表面に接着剤の塗布を行い、厚さ5μmのプライマー層を形成した。接着剤として、造膜剤にシリコーンレジン系樹脂を含む高耐酸性の接着剤を用いた。続いて、射出成形によって、プライマー層の上に、シリコーンゴムから構成される厚さ1mmの絶縁被覆部を形成した。シリコーンゴムとして、付加硬化型シリコーンゴム(信越化学製、製品名:KE−1950−50A/B、主剤と硬化剤との配合比は100/100)を用いた。射出成形では、加硫温度は150℃、加硫時間は5minとした。続いて、射出成形後、絶縁被覆部にポストキュアを行った。ポストキュアでは、加熱温度を200℃、加熱時間を2hrとした。
(D−1)せん断剥離試験
上記のように実施例1〜3および比較例1,2の金属板の表面に形成された絶縁被覆部のせん断剥離試験を行った。図5は、せん断剥離試験の様子を表す概略斜視図である。せん断剥離試験では、荷重Fを加えて、幅wが25mmの金属板221から絶縁被覆部223を30mm/minの剥離速度で引き剥がした。剥離試験後の絶縁被覆部222の残存部の金属板221表面に占める面積割合を凝集破壊率とした。たとえば、剥離試験によって、絶縁被覆部222の剥離が金属板221とプライマー層223との界面ですべて行われた場合には凝集破壊率が0%、剥離試験によって絶縁被覆部222の破壊が生じ、金属板221表面のすべてに絶縁被覆部222が残存している場合、凝集破壊率が100%である。絶縁被覆部のせん断剥離試験結果を表1に示す。
(D−2)酸浸漬剥離試験
上記のように実施例1〜3および比較例1,2の金属板の表面に形成された絶縁被覆部の酸浸漬剥離試験を行った。酸浸漬剥離試験では、pH3の水溶液を用い、加熱温度を80℃、試験時間を3000hrとした。絶縁被覆部の酸浸漬剥離試験結果を表1に示す。
表1から判るように、せん断剥離試験において、実施例1〜3,比較例1,2では、絶縁被覆部で破壊が生じ、凝集破壊率が100%であることを確認した。一方、酸浸漬剥離試験において、実施例1〜3,比較例1では、絶縁被覆部で破壊が生じ、凝集破壊率が100%であったが、比較例2では、絶縁被覆部の金属板からの完全な剥離が生じ、凝集破壊率が0%であった。このように接触角度αが75度以下である実施例1〜3,比較例1では、耐久接着性を向上させることができることを確認した。
以上のような接着剤のにじみ性評価、プライマー層の形成状態評価、および接着性評価によれば、金属板表面に対する純水の接触角度α(単位:度)が20≦α≦75を満たすとき、プライマー層として高耐酸性の接着剤を用いても、にじみ性の向上、微細欠損の低減および接着性の向上を同時に図ることができることを確認した。
本発明の一実施形態に係るセパレータ素材である金属板から形成されたアノード側セパレータおよびカソード側セパレータを備えた燃料電池の構成を表す側断面図である。 図1のアノード側セパレータの冷媒面の構成を表す上面図である。 本発明の一実施形態に係るアノード側セパレータの金属板の冷媒面に表面処理を行うために、冷媒流路領域にマスクを配置した様子を表す上面図である。 図3のアノード側セパレータの金属板の冷媒面に接着剤の塗布を行うために、冷媒流路領域にマスクを配置した様子を表す概略斜視図である。 金属板に形成された絶縁被覆部のせん断剥離試験を行う様子を表す拡大斜視図である。 金属板に対する純水の接触角度を説明するための側断面図である。 従来の燃料電池セパレータの部分構成を表す拡大側断面図である。 従来の燃料電池セパレータにおけるブリスターの発生状態を表す拡大側断面図である。
符号の説明
100…燃料電池、110…アノード側セパレータ(燃料電池セパレータ)、120…カソード側セパレータ(燃料電池セパレータ)、111,121…金属板(セパレータ素材)、112,122…発電面(一面)、113,123…冷媒面(一面)、161…シールリップ部(絶縁被覆部)、162…絶縁被覆部(絶縁被覆部)、163…プライマー層(接着層)

Claims (4)

  1. シリコーンゴムから構成される絶縁被覆部が接着層により一面に接着される金属板からなる燃料電池セパレータ用セパレータ素材において、
    前記接着層は、シランカップリング剤と造膜剤としてのシリコーンレジン系樹脂とを含有し、
    前記絶縁被覆部は前記接着層に直接接触し、
    前記セパレータ素材の一面に、前記接着層が形成される領域を有し、前記領域に対する純水の接触角度α(単位:度)は、20≦α≦75を満たすことを特徴とするセパレータ素材。
  2. 前記接触角度αは、30≦α≦60を満たすことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ素材。
  3. 前記接着層は、発電領域および冷媒流路領域以外の領域に選択的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ素材。
  4. シリコーンゴムから構成される絶縁被覆部が接着層により一面に接着される金属板からなる燃料電池セパレータ用セパレータ素材の製造方法において、
    前記接着層は、シランカップリング剤と造膜剤としてのシリコーンレジン系樹脂とを含有し、
    前記絶縁被覆部は前記接着層に直接接触し、
    前記セパレータ素材の一面における前記接着層が形成される領域に、UV処理あるいはプラズマ処理を行うことにより、前記領域に対する純水の接触角度α(単位:度)が、20≦α≦75を満たすとともに水酸基を増加させる工程と、
    マスクを用いて発電領域および冷媒流路領域以外の領域に接着剤を選択的に塗布して前記接着層を設ける工程と、
    前記接着層上に射出成形によってシールリップ部および前記絶縁被覆部を設ける工程とを備えたことを特徴とするセパレータ素材の製造方法。
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