JP5143544B2 - 帯状材の送り装置 - Google Patents
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Description
ここで、図12(a)に示すように、レベラの下流側とロールフィーダの上流側には、帯状材1の後述するたるみ部分(ループ1b)の端の下面に接触するRガイドがそれぞれ設けられている。このRガイドは、例えば特許文献3や特許文献4に示されるように、帯状材1の下面に接触して自転可能なガイドロールが、側面から見て帯状材1の流れ線に沿うように複数配設されてなるものである。
特に、従来中心であったダブルクランク式型抜機、油圧式型抜機に代わるものとして最近開発されたサーボプレスを使用したプレス加工設備では、送り装置に要求される加速度が、従来の1G程度から2G以上に高まっている。なお、サーボプレスは、型抜部の駆動をサーボモータを制御して加圧する方式の型抜機で、型抜のスピード、位置、加圧力を任意に設定出来るものである。
このうち図13(a)、図14(d)は、ロールフィーダの送り動作の加速時におけるループ1bの状態を示す図である。この図に示すように、ロールフィーダの加速時には、ループ1bの下流側が急に送られるため、点線で示す状態から実線で示す状態にループ1bが変化する。次に図13(b)や図14(a)は、ロールフィーダの送り動作の減速時におけるループ1bの状態を示す図である。この図13(b)に示すように、ロールフィーダの減速時には、慣性でループ1bが点線で示す状態から実線で示す状態に跳ねるように浮き上がり、下流側のRガイド(即ち、ロールフィーダ側のRガイド)の付近で帯状材1の座屈が起きて、図14(a)に示す如くこの付近で帯状材1が局所的に大きく浮き上がる。そして、浮き上がった帯状材1はその後に図14(b)に示すようにRガイドにたたきつけられ、Rガイドの出口側からRガイドに接触してゆくが、Rガイド入口側で帯状材1がコブ状に浮き上がり、そのコブ状部分がムチを打った状態となってレベラ側に伝播してゆく。図13(c)や図14(c)は、ロールフィーダの送り動作の停止後におけるループ1bの状態を示す図である。この図に示すように、ロールフィーダの停止後には、減速時に発生した局所的な浮き上がりが上流側に伝播する。特にロールフィーダの加速度が重力加速度の1Gを超えて大きくなる程、浮き上がりは顕著になる。
なお実際には、以上説明した浮き上がりと横揺れが組み合わさり、ループ1bが大きく動く揺れが発生する。
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記下流側送り機構の減速時に前記帯状材が前記Rガイドの位置で浮き上がる動作に追従するように前記昇降可能なガイドロールを定常位置から上昇させる機能と、前記浮き上がる動作が終了した後に重力加速度を超えない加速度で前記ガイドロールを定常位置まで下降させる機能を設けたことを特徴とする。
また請求項1は、前記駆動制御手段が前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させるタイミングが、前記下流側送り機構の加速時であるという特徴をさらに有し、また請求項2は、前記タイミングが前記下流側送り機構の減速直前であるという特徴をさらに有する。
また、「重力加速度」とは、いわゆる1Gを意味する。
また請求項1は、後述する請求項3と同様の効果も実現し、請求項2は、後述する請求項4と同様の効果も実現する。
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記昇降可能なガイドロールを予め定常位置から上昇させておき、前記下流側送り機構の加速時に前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させる機能を設けたことを特徴とする。
また、送り動作の加速時に、ループの引き上げ加速度と送り出し加速度に上述した差を作り出すことができるため、下流側送り機構のモータ容量を軽減できるという効果もある。
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記昇降可能なガイドロールを予め定常位置から上昇させておき、前記下流側送り機構の減速直前に前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させる機能を設けたことを特徴とする。
(第1形態例)
まず、第1形態例を説明する。
図1は、本例の送り装置の全体構成を示す図である。また、図2(a)は後述するRガイド10aの側面図であり、図2(b)はRガイド10aの正面図である。また、図3(a)は後述するガイドロール30a,30bを駆動し制御する駆動制御手段を構成する空圧回路を示す回路図であり、図3(b)はロールフィーダ10の制御系の一例を説明する図である。また図4は、後述する制御装置40の処理動作等を示すフローチャートである。また図5は、後述する各機器の状態変化を示す図であり、最上段はロールフィーダ10の送り速度の変化を示し、上から2段目は電磁弁53の状態変化を示し、上から3段目は位置検知器42の状態変化を示し、最下段はガイドロール30a,30bの位置変化を示す。
このロールフィーダ10において、フィードロール11a,11bの入口側における帯状材1の幅方向両側の位置には、この場合扇状の形状をした側板31(図2(a)に示す)がそれぞれ設置されている。上記ガイドロール30は、円筒状の部材であり、帯状材1の幅方向において、これら側板31の内側に配置され、これら側板31に対して支持されてその中心軸回りに自転可能とされている。これら側板31とガイドロール30が前述のRガイド10aを構成している。
なお、ここで定常状態とは、フィードロール11a,11bによる送り動作の加速や減速の影響、或いは後述するガイドロール30a,30bの上昇によって、ループ1bが浮き上がったり揺れたりしていない状態を意味する。
ここで、各ガイドロール30a,30bは、図2(b)に示すスライド機構33によって側板31にそれぞれ昇降可能に取付けられ、前記定常位置から上昇し、また上昇した位置から前記定常位置に下降する動作が可能となっている。
スライド機構33は、各ガイドロール30a,30b毎に設けられており、固定フレーム32と、移動フレーム34と、スライドガイド35と、固定レール36とよりなる。固定フレーム32は、側板31の内面に固定された部材であり、図2(a)では図示省略しているが、ガイドロール30a,30bの上昇可能ストロークの分だけ上部が側板31の上縁よりも上方に伸びている。移動フレーム34は、ガイドロール30a,30bの両端と固定フレーム32の間に配置されて、ガイドロール30a,30bが自転可能に軸着される部材である。スライドガイド35は、移動フレーム34の側面の2箇所から固定フレーム32の内面に向かって突出するように設けられ、固定レール36に沿って上下動可能な部材である。このスライドガイド35は、移動フレーム34に固定されて固定レール36に沿って摺動する構成でもよいし、移動フレーム34に自転可能に軸着されて固定レール36に沿って転動する構成でもよい。固定レール36は、固定フレーム32の内面に固定され、スライドガイド35を上下方向に案内する部材であり、例えばスライドガイド35を挟むように図2(b)における手前側と向こう側に一対設けられている。
また図2(b)において、符号42で示すものは、各シリンダ37に取り付けられた位置検知器である。この位置検知器42は、例えばロッド38の位置を検出するもので、図5の上から3段目に示すように、ガイドロール30a,30bが定常位置にあると検知信号がオンし、ガイドロール30a,30bが定常位置よりも上昇すると検知信号がオフする。
次に、フィードロール11a,11bは、帯状材1を後流設備(例えば、プレス機)に送り込む力を帯状材1に加えるロールであり、帯状材1を挟み付けた状態で回転可能に配設され、この場合下側のフィードロール11bが、その下方に配設されたモータ12によって回転駆動される。モータ12はサーボモータであり、このモータ12の出力軸の回転を入力とするエンコーダ13が同軸上に取り付けられている。
いずれにしろ、上記コントローラ14によれば、モータ12の回転位置の偏差(指令値とフィードバック値の差)が常にゼロに近づくように、モータ12が駆動され、その結果、帯状材1が後流設備の運転に同期した所定タイミングで設定された送り量だけ送り出される。
この空圧回路は、空気源51と、この空気源51の出力に接続された減圧弁52と、この減圧弁52の出力圧をシリンダ37の何れかの作動室に切替えて入力する電磁弁53と、シリンダ37のロッド側作動室と電磁弁53との間に接続された急速排気弁54とを備える。
急速排気弁54は、前記ロッド側作動室と電磁弁53のポートBの間に接続され、ポートBに所定圧が加わると、ポートBと前記ロッド側作動室を接続して前記ロッド側作動室に所定圧を加え、ポートBが所定圧未満になると、前記ロッド側作動室を消音器58に接続して前記ロッド側作動室の圧力を瞬時に大気開放するものである。
なお、このガイドロール30a,30bの下降動作においては、可変絞り55の作用で下降の加速度や速度が調整でき、少なくともガイドロール30a,30bの下降時の加速度は1G以下とされている。
なお、図1に示した制御装置40は、本例の場合、上述した各コントローラ(アンコイラ用コントローラ、レベラ用コントローラ、ロールフィーダ用コントローラ14、ガイドロール用コントローラ)から構成される制御系全体に相当する。
ガイドロール用コントローラは、まずステップS1及びS4において、ロールフィーダ10の送り動作(即ち、フィードロール11a,11bの回転動作)の減速が開始され、さらにこの送り動作が完了したこと(即ち、フィードロール11a,11bの回転が停止したこと)を、例えばロールフィーダ用コントローラ14からの信号(図示省略)によって判定する。
ステップS5を経るとステップS7に進み、位置検知器42の信号がオンしたか否か判定する。そして、位置検知器42がオンした場合には、ステップS8に進んで電磁弁53の状態を「B」から「A」に切替える。
即ち、ロールフィーダ10の送り動作の減速が開始されると(即ち、ステップS1の判定が肯定的になると)、高速送りの場合、Rガイド10aの部分のループ1bが浮き上がるように上昇する(ステップS2)。すると、ガイドロール30a,30bは、このループ1bの上昇に追従するように上昇を開始する(ステップS3)。何故ならこの際、電磁弁53の状態は「A」となっていて、各ロッド38及びガイドロール30a,30bが所定の駆動力で上昇方向に付勢されているからである。また、シリンダ37の各ロッド38の最大ストローク(最大上昇距離)は、前記送り動作によるループ1bの浮き上がりの最大上昇距離と同じかそれ以上に設定されている。このため、ステップS3以降、ガイドロール30a,30bは、ループ1bの上昇に最後まで追従して上昇する。
次に、第2形態例を説明する。この第2形態例は、ガイドロール30a,30bを駆動し制御する駆動制御手段の構成に特徴を有し、他の構成は第1形態例と同じであるため、第1形態例と同様の構成要素については同符号を使用して説明を省略する。
図6(a)はRガイド10aの側面図であり、図6(b)はRガイド10aの正面図である。また、図7は制御装置40の処理動作等を示すフローチャートである。また図8は、各機器の状態変化を示す図であり、最上段はロールフィーダ10の送り速度の変化を示し、上から2段目はガイドロール30a,30bの速度変化を示し、上から3段目はガイドロール30a,30bの位置変化を示し、最下段は後述する位置検知器72の状態変化を示す。
サーボモータ61には、後端に位置検出器61a(例えば、パルス発生器;いわゆるエンコーダ)が付設され、例えばコントローラ14(図3(b)に示す)と同様のコントローラによってフィードバック制御される。なおこの場合、サーボモータ61は、図6(b)に示すように出力軸を上に向けた姿勢で、取付部材63,64によって固定フレーム32に固定されている。またサーボモータ61の出力軸外周には、ベルト伝動用の駆動プーリ65が固定されている。
ネジ支持体66は、取付部材63,69によって固定フレーム32に固定されている。このネジ支持体66には、駆動ネジ67が上下に貫通しており、駆動ネジ67はこのネジ支持体66によって上下動可能に支持されている。例えば、駆動ネジ67は、ネジ支持体66に対してスプラインで結合され、上下動のみが可能で回転不能となっている。
駆動ネジ67は、上述したようにネジ支持体66に上下動可能に支持された丸棒状の部材であり、上端が前述の取付部材41を介して移動フレーム34に固定されている。これにより、駆動ネジ67が上昇するとガイドロール30a,30bが上昇し、駆動ネジ67が最下方まで下降するとガイドロール30a,30bが前記定常位置に戻る構成となっている。
ここで、取付部材63,64,69は、既述したスライド機構33や従動プーリ65等と干渉しないように、例えば図6(b)においてスライド機構33や従動プーリ65等よりも向う側に配置されているため、図6(b)では点線で図示している。
また図6(b)において、符号72で示すものは、移動フレーム34に取り付けられた位置検知器である。この位置検知器72は、例えばネジ支持体66を検出するもので、図8の最下段に示すように、ガイドロール30a,30bが定常位置にあると検知信号がオンし、ガイドロール30a,30bが定常位置よりも上昇すると検知信号がオフする。なお、サーボモータ61を制御するための位置検出器61aにおいて、相対位置検出器ではなくて、絶対位置検出器を選択してシステムを構築すれば、位置検知器72が無くても定常位置を検出できる。
ガイドロール用コントローラは、まずステップS11において、ロールフィーダ10の送り動作(即ち、フィードロール11a,11bの回転動作)の減速が開始されたことを、例えばロールフィーダ用コントローラ14からの信号(図示省略)によって判定する。そして、上記送り動作の減速が開始されたと判定すると、ステップS12,S15へと順に進みサーボモータ61を制御してガイドロール30a,30bを上昇させて後述する最高上昇位置で停止させる。
ステップS15を経るとステップS16に進み、ロールフィーダ10の送り動作の加速が開始されたことを、例えばロールフィーダ用コントローラ14からの信号によって判定する。そして、上記送り動作の加速が開始されたと判定すると、ステップS17,S18へと順に進みサーボモータ61を制御してガイドロール30a,30bを下降させ、ガイドロール30a,30bを定常位置に戻して停止させる。
即ち、ステップS12によってガイドロール30a,30bが上昇を開始すると、位置検知器72がオフする(ステップS13)。また、ガイドロール30a,30bが上昇を完了するのと同時に、ロールフィーダ10の送り動作が完了する(ステップS14)。また、ステップS18によってガイドロール30a,30bが下降を完了すると、位置検知器72がオンに戻る(ステップS19)。
しかもこれに加えて、次のような効果も得られる。即ち、ロールフィーダ10の送り動作における加速前に、昇降可能なガイドロール30a,30bが予め定常位置から上昇し、Rガイド10aの位置の帯状材を定常位置から上昇させ浮き上がらせてたるませる。そして、前記送り動作における加速時に、ガイドロール30a,30bが定常位置に下降し、Rガイド10aの位置の帯状材1を定常位置に向けて下降させる。このため、ロールフィーダ10が高速送り動作のための加速を行っても、少なくとも加速開始時点では、ガイドロール30a,30bによって予め浮き上がって弛んでいた帯状材1の下流側(ループ1aの下流側)のみがロールフィーダ10の送り出し加速度で引っ張られて、ループ1aの上流側(予め浮き上がっていた部分よりも上流側)の部分はループ1aの下流側と同じ加速度では引っ張られない。つまり、送り動作の加速時(少なくとも加速開始時点)に、ループ1aの上流側の部分の加速度(ループの引き上げ加速度)を、ロールフィーダ10の送り出し加速度よりも小さい加速度とすることができる。したがって、帯状材1のループ1a全体が急に下流側に引っ張られて図13(a)に示すように全体が浮き上がる現象や、図13(e)のように全体が横揺れする現象を防止することができ、高速送り時(特に加速時)の帯状材の損傷などの既述した弊害を抑制できる。
また、送り動作の加速時に、ループの引き上げ加速度と送り出し加速度に上述した差を作り出すことができるため、ロールフィーダ10のモータ12の容量を軽減できるという効果もある。
次に、他の形態について説明する。
本発明の主な実施例としては、図15に示すような実施例1〜12があり得る。図15は、ガイドロールの駆動に使用するアクチュエータの種類、ガイドロールの上昇時制御方式、ガイドロールの下降時制御方式、ガイドロールの上昇タイミング、ガイドロールの下降タイミングを各実施例毎に示している。なお、前述の第1形態例は実施例2に相当し、第2形態例は実施例9及び実施例11に相当する。また、実施例1〜8は本願請求項1(送り動作における減速時にガイドロールを上昇させる点に特徴を有する発明)に対応し、実施例9は本願請求項2(送り動作における加速時にガイドロールを下降させる点に特徴を有する発明)に対応し、実施例10は本願請求項3(送り動作における減速直前にガイドロールを下降させる点に特徴を有する発明)に対応し、実施例11は本願請求項4(請求項1の特徴に請求項2の特徴を組み合わせた発明)に対応し、実施例12は本願請求項5(請求項1の特徴に請求項3の特徴を組み合わせた発明)に対応する。
(実施例1)
実施例1は、シリンダ駆動で上昇下降ともに出力制御の場合である。例えば、電磁弁の切替無しで、常時上昇方向の駆動力をシリンダでガイドロールに加える構成である。なお、電磁弁を用いて上昇時と下降時とで上記駆動力の高低を切替えてもよい。この場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化は、図5に示したものと略同様となる。
(実施例3)
実施例3は、上昇時と下降時が実施例2(第1形態例)と逆の構成である。
実施例4は、シリンダ駆動で上昇下降ともに位置制御の場合である。例えば、上昇時(送り動作における減速時)には、上昇方向にシリンダを作動させて、最高上昇位置までガイドロールを上昇させる。そして下降時には、電磁弁を切替えて下降方向にシリンダを作動させて、定常位置(例えばシリンダの下降方向のストロークエンドであって、位置検知器がオンする位置)までガイドロールを下降させる構成である。この場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化等は、図9に示したものとなる。なお、図9に示した電磁弁の状態「A」は、下降方向の駆動力がガイドロールに加えられる電磁弁の状態である。また図9に示した電磁弁の状態「B」は、上昇方向の駆動力がガイドロールに加えられる電磁弁の状態である。
(実施例5)
実施例5は、サーボモータ駆動で上昇下降ともに出力制御の場合である。サーボモータによって、常時上昇方向の駆動力(帯状材1等の自重よりも小さな駆動力)をガイドロールに加える構成である。なお、上昇時と下降時とで上記駆動力の高低を切替えてもよい。この場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化は、図5に示したものと略同様となる。
実施例6は、サーボモータ駆動で上昇が出力制御で下降が位置制御の場合である。即ちサーボモータによって、下降時以外では上昇方向の駆動力(帯状材1等の自重よりも小さな駆動力)をガイドロールに加える出力制御を実行し、下降時にはサーボモータを下降方向に作動させて定常位置まで下降させる位置制御を行う構成である。この場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化は、図5に示したものと略同様となる。
(実施例7)
実施例7は、上昇時と下降時が実施例6と逆の構成である。
実施例8は、サーボモータ駆動で上昇下降ともに位置制御の場合である。例えば、上昇時(送り動作における減速時)には、サーボモータを上昇方向に作動させて、最高上昇位置までガイドロールを上昇させる。そして下降時には、サーボモータを下降方向に作動させて、定常位置(例えば位置検知器がオンする位置)までガイドロールを下降させる構成である。この場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化は、図5に示したものと略同様になる。
実施例10,12は、送り動作における減速直前にガイドロールを下降させる点に特徴を有し、サーボモータ駆動で上昇下降ともに位置制御の場合である。このうち、実施例10はガイドロールの上昇タイミングを特に限定しない態様(即ち、送り動作における減速直前よりも前の任意のタイミングでガイドロールを予め定常位置から上昇させておく態様)である。実施例12は、ガイドロールの上昇タイミングを送り動作の減速時に限定した態様である。
この実施例10,12では、送り動作における減速直前よりも前に、昇降可能なガイドロールが予め定常位置から上昇し、Rガイドの位置の帯状材を定常位置から上昇させた状態で支持してたるませる。そして、送り動作における減速時の直前に、昇降可能なガイドロールが定常位置に下降し、Rガイドの位置の帯状材を定常位置に向けて下降させる。このため、Rガイドの位置の帯状材が、送り動作の減速時に浮き上がる現象が抑制され、この浮き上がりによる帯状材の損傷などの既述した弊害を抑制できる。特に実施例12の態様であると、送り動作の減速時にガイドロールが上昇することによって前記弊害が防止できる効果に加えて、送り動作の減速直前にガイドロールが下降することによっても前記弊害が抑制されて効果が著しくなる。実施例12の場合、ロールフィーダの速度変化とガイドロールの位置変化等は、例えば図10に示したものとなる。
また図16は、実施例12の場合の制御動作例を示すフローチャートである。
ガイドロール用コントローラは、まずステップS21において、ガイドロールが上昇中か判定し、上昇中であればステップS23に進み、上昇中でなければステップS22でガイドロールを上昇させてステップS23に進む。なお、ステップS21,S22は、設備が稼動を開始した最初の時点で予めガイドロールを上昇させておくための制御である。次にステップS23で送り動作が開始されると、ステップS24に進み、ガイドロール下降開始タイミングであるか否か判定する。ガイドロール下降開始タイミングは、フィーダ減速開始の直前にガイドロールの下降が完了するのに丁度良い下降開始のタイミングである。ステップS24では、このガイドロール下降開始タイミングになっていると判定するとステップS25に進む。そしてステップS25では、ガイドロールを下降させる。次いで、ガイドロールの下降が完了した後、ステップS26で送り動作の減速が開始されると、ステップS27に進んでガイドロールを上昇させる。なお、ステップS27によってガイドロールの上昇が完了すると、その後ステップS23に進んで次の送り動作が開始され、ステップS23以降が繰り返される。
まず、前述した実施例1〜12は本願発明の具体例の一部を例示したものであり、本願発明がこれら実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、請求項1〜5の全ての発明において、使用されるアクチュエータは、サーボモータの場合と、シリンダの場合がある。また、請求項1〜5の全ての発明において、制御方式は、ガイドローラの上昇時と下降時のそれぞれについて、出力制御の場合と、位置制御の場合がある。
また、図5,8,9,10には、ロールフィーダやガイドロールの速度変化パターンの例として、台形状又は三角形状の速度変化パターンを示した。しかし、このような完全な直線によって構成される速度変化パターンに限定されない。例えば、加減速部分の傾きを直線ではなくS字状にした速度変化パターンとしてもよい。
また、前述した図1に示す構成において、レベラ5を削除した構成としてもよい。この場合、アンコイラ2が本発明の上流側送り機構になる。
また既述した第1形態例や第2形態例等では、ガイドロールの昇降動作の開始や終了のタイミングを、送り動作の加速や減速の開始や終了と同時とする態様を例示したが、このような態様に限定されない。ガイドロールの昇降動作の開始や終了のタイミングは、送り動作の加速や減速の開始や終了のタイミングに対して、例えば若干ずらしてもよい。
またガイドロールは、完全な鉛直方向に昇降させる態様に限らず、鉛直方向に対して斜めに昇降させる態様でもよい。また、ガイドロールの昇降方向は、ガイドロール毎に異なっていてもよい。例えば、Rガイドにおける帯状材の流れ線(浮き上がりが生じていない定常状態のもの)に対して直交する法線方向において、ガイドロールが進退運動する態様でもよい。
またガイドロールの動作は、必ずしも直線的なものでなくてもよい。例えば、円弧状の軌跡を描いて昇降する態様でもよい。
また、前述の形態例ではガイドロール毎にアクチュエータを設けた構成を例示したが、これに限定されない。リンク機構などを使用して一つのアクチュエータで複数のガイドロールを駆動する構成としてもよい。
1b ループ
2 アンコイラ
5 レベラ(上流側送り機構)
10 ロールフィーダ(下流側送り機構)
10a Rガイド
30 ガイドロール
30a,30b 昇降可能なガイドロール
37 シリンダ(駆動制御手段)
40 制御装置(駆動制御手段)
53 電磁弁(駆動制御手段)
61 サーボモータ(駆動制御手段)
62 駆動機構(駆動制御手段)
Claims (4)
- 帯状材を供給するラインの上流側で前記帯状材を送る上流側送り機構と、この上流側送り機構よりも下流側で前記帯状材を送る下流側送り機構とを有し、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の送り動作の違いを吸収するために、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の間に前記帯状材のたるみ部分が形成され、前記下流側送り機構の直前には、前記帯状材の下面に接触して自転可能な複数のガイドロールを備えて前記帯状材のたるみ部分の端部を前記下流側送り機構に向けて案内するRガイドが設けられた帯状材の送り装置において、
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記下流側送り機構の減速時に前記帯状材が前記Rガイドの位置で浮き上がる動作に追従するように前記昇降可能なガイドロールを定常位置から上昇させる機能と、前記浮き上がる動作が終了した後に重力加速度を超えない加速度で前記ガイドロールを定常位置まで下降させる機能を設け、
前記駆動制御手段が前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させるタイミングが、前記下流側送り機構の加速時であることを特徴とする帯状材の送り装置。 - 帯状材を供給するラインの上流側で前記帯状材を送る上流側送り機構と、この上流側送り機構よりも下流側で前記帯状材を送る下流側送り機構とを有し、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の送り動作の違いを吸収するために、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の間に前記帯状材のたるみ部分が形成され、前記下流側送り機構の直前には、前記帯状材の下面に接触して自転可能な複数のガイドロールを備えて前記帯状材のたるみ部分の端部を前記下流側送り機構に向けて案内するRガイドが設けられた帯状材の送り装置において、
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記下流側送り機構の減速時に前記帯状材が前記Rガイドの位置で浮き上がる動作に追従するように前記昇降可能なガイドロールを定常位置から上昇させる機能と、前記浮き上がる動作が終了した後に重力加速度を超えない加速度で前記ガイドロールを定常位置まで下降させる機能を設け、
前記駆動制御手段が前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させるタイミングが、前記下流側送り機構の減速直前であることを特徴とする帯状材の送り装置。 - 帯状材を供給するラインの上流側で前記帯状材を送る上流側送り機構と、この上流側送り機構よりも下流側で前記帯状材を送る下流側送り機構とを有し、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の送り動作の違いを吸収するために、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の間に前記帯状材のたるみ部分が形成され、前記下流側送り機構の直前には、前記帯状材の下面に接触して自転可能な複数のガイドロールを備えて前記帯状材のたるみ部分の端部を前記下流側送り機構に向けて案内するRガイドが設けられた帯状材の送り装置において、
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記昇降可能なガイドロールを予め定常位置から上昇させておき、前記下流側送り機構の加速時に前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させる機能を設けたことを特徴とする帯状材の送り装置。 - 帯状材を供給するラインの上流側で前記帯状材を送る上流側送り機構と、この上流側送り機構よりも下流側で前記帯状材を送る下流側送り機構とを有し、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の送り動作の違いを吸収するために、前記上流側送り機構と前記下流側送り機構の間に前記帯状材のたるみ部分が形成され、前記下流側送り機構の直前には、前記帯状材の下面に接触して自転可能な複数のガイドロールを備えて前記帯状材のたるみ部分の端部を前記下流側送り機構に向けて案内するRガイドが設けられた帯状材の送り装置において、
前記Rガイドにおける前記ガイドロールの少なくとも一部を昇降可能とし、
この昇降可能なガイドロールを定常位置に対して昇降させることが可能な駆動制御手段を設け、この駆動制御手段には、前記昇降可能なガイドロールを予め定常位置から上昇させておき、前記下流側送り機構の減速直前に前記昇降可能なガイドロールを定常位置に下降させる機能を設けたことを特徴とする帯状材の送り装置。
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