本発明は、表示装置と、当該表示装置を駆動する表示装置駆動部と、当該表示装置駆動部から送信された表示装置の位置に応じた画像を抽出する画像抽出部と、当該画像抽出部により抽出された画像を該表示装置に表示する画像処理装置とを備えた可動表示システム等に関する。
従来、高い臨場感を提示する映像表示デバイスの一つとしてHMD(Head Mount Display)がある。HMDでは頭部運動に合わせてディスプレイを動かし、この動きに合わせた映像を提示している。しかし、HMDは顔を覆うため、テレビ会議等の双方向コミュニケーションを実現する場合、HMDの装着者の表情を撮影することができないという問題があった。加えて、HMDの装着者は自分の手先を見ることが難しいため、何らの作業を行なう場合はシースルー型のHMDを使用する等の工夫が必要になるという問題もあった。上述の問題を解決するために、頭部を中心に液晶ディスプレイを回転させる能動ディスプレイと呼ばれる映像表示デバイス(システム)が開発された(非特許文献1参照)。この能動ディスプレイでは、HMDのように顔に器具を装着せず、頭部運動に合わせて顔の前にある液晶ディスプレイを動かすことにより、HMDと同様の高い臨場感を提示することができる。従って、表情を外部から撮影しやすく、手先を直接見ることができる。
河合聡志、田村哲也、葛西昭治、妻木勇一、「能動ディスプレイの制御」、日本バーチャルリアリティ学会第10回大会論文集、pp.49−52、2005年9月.
しかし、上述した能動ディスプレイでは、液晶ディスプレイを動かすために大きな出力のアクチュエータが必要であった。このため、人間の近くで使用するためには安全面で注意する必要性が高く、さらにコストが高いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、高い臨場感を提示することができる映像表示デバイス・システムであって、HMDのように顔に器具を装着することがないため表情を外部から撮影しやすく且つ手先を直接見ることができ、安全でコストの低廉な映像表示デバイス・システムを提供することにある。
この発明の可動表示システムは、表示装置と、該表示装置を駆動する表示装置駆動部と、該表示装置駆動部から送信された該表示装置の位置に応じた画像を抽出する画像抽出部と、該画像抽出部により抽出された画像を該表示装置に表示する画像処理装置とを備えた可動表示システムであって、該表示装置の位置は該表示装置の操作者の頭部を中心とする3次元座標系である所定の基準座標系に対するエレベーション角及びアジマス角により表され、前記表示装置駆動部は、前記表示装置をエレベーション角方向に駆動する円弧状のエレベーション角方向駆動部であって、該表示装置のエレベーション角方向の位置を検出して前記画像抽出部へ送信するエレベーション角方向位置検出センサを有するものと、前記表示装置をアジマス角方向に駆動するアジマス角方向駆動部であって、該表示装置のアジマス角方向の位置を検出して前記画像抽出部へ送信するアジマス角方向位置検出センサを有するものとを備え、前記エレベーション角方向駆動部と前記アジマス角方向駆動部とは所定の接続部で接続されており、前記画像抽出部は、現実の空間の画像を撮像する撮像器と、前記エレベーション角方向位置検出センサから送信された前記表示装置のエレベーション角方向の位置と前記アジマス角方向位置検出センサから送信された前記表示装置のアジマス角方向の位置とに基づく現実の空間の画像を前記撮像器に撮像させ、該現実の空間の画像を該表示装置の位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置とを備え、前記画像処理装置は、前記撮像器制御装置により前記表示装置の位置に応じた画像として抽出された前記現実の空間の画像を該表示装置に表示することを特徴とする。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記エレベーション角方向駆動部は、前記表示装置をエレベーション角方向に沿って移動可能に搭載した円弧状のレールであって、該円弧の中心は前記所定の基準座標系の中心であるものと、前記レールに沿って前記表示装置をエレベーション角方向に駆動する駆動部と、前記駆動部による駆動を支援する駆動支援部とを備え、前記アジマス角方向駆動部は、前記表示装置をアジマス角方向に回転させる回転椅子であり、前記所定の接続部は、前記レールの一端を前記回転椅子に接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記所定の接続部は前記レールの一端を前記回転椅子の背面側で接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動部は、前記表示装置を前記レールに沿って往復させ得る該表示装置に設けられた取っ手であり、前記駆動支援部は、ワイヤを介して前記表示装置と接続された錘であって、該ワイヤは前記レールに沿って設けられたものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記所定の接続部は前記レールの一端を前記回転椅子の正面側で接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動支援部は、ワイヤを介して前記表示装置と接続された錘であって、該ワイヤは、該レールの内周部、該レールが前記回転椅子と接続された一端とは別の他の一端及び該レールの外周部に沿って設けられ、該錘は該回転椅子の正面側で該レール上を移動することができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動支援部は、ワイヤを介して前記表示装置と接続された定荷重バネであって、該ワイヤは、該レールの内周部、該レールが前記回転椅子と接続された一端とは別の他の一端及び該レールの外周部に沿って設けられ、該定荷重バネが該ワイヤと接続された一端とは別の他の一端は該レールの外周部に固定されたものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動部は前記表示装置を前記レールに沿って往復させ得る該表示装置に設けられた取っ手であるものとすることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動部は、前記取っ手に設けられ該取っ手に加えられた力を検出する力センサと、該力センサと接続され該力センサにより検出された力に基づき前記ワイヤを駆動するワイヤ駆動装置とをさらに備えることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動部は、第1回転部と、第2回転部と、第1回転部及び第2回転部を覆って繋ぐ繋ぎ部であって第2回転部を覆う部分の繋ぎ部が前記レールの他の一端にある前記ワイヤに接触するものと、第1回転部の回転を制御する回転制御部とを備えることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記駆動部は、前記ワイヤの駆動方向を入力するワイヤ駆動方向入力部と、該ワイヤ駆動方向入力部と接続され該ワイヤ駆動方向入力部に入力された該ワイヤの駆動方向に基づき前記ワイヤを駆動する駆動装置とを備えることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記回転椅子に加えられたトルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサにより検出されたトルクに基づき該回転椅子を回転させる回転装置とをさらに備えることができる。
ここで、この発明の可動表示システムにおいて、前記回転椅子の回転方向を入力する回転方向入力部と、該回転方向入力部に接続され該回転方向入力部に入力された該回転椅子の回転方向に基づき該回転椅子を回転する回転装置とをさらに備えることができる。
この発明の表示装置駆動機は、表示装置を駆動する表示装置駆動機であって、該表示装置駆動機から送信された該表示装置の位置に応じた画像は画像抽出部により抽出され、該画像抽出部により抽出された画像は画像処理装置により該表示装置に表示されるものであり、該表示装置の位置は該表示装置の操作者の頭部を中心とする3次元座標系である所定の基準座標系に対するエレベーション角及びアジマス角により表され、前記表示装置をエレベーション角方向に駆動する円弧状のエレベーション角方向駆動部であって、該表示装置のエレベーション角方向の位置を検出して前記画像抽出部へ送信するエレベーション角方向位置検出センサを有するものと、前記表示装置をアジマス角方向に駆動するアジマス角方向駆動部であって、該表示装置のアジマス角方向の位置を検出して前記画像抽出部へ送信するアジマス角方向位置検出センサを有するものとを備え、前記エレベーション角方向駆動部と前記アジマス角方向駆動部とは所定の接続部で接続されており、前記画像抽出部は、現実の空間の画像を撮像する撮像器と、前記エレベーション角方向位置検出センサから送信された前記表示装置のエレベーション角方向の位置と前記アジマス角方向位置検出センサから送信された前記表示装置のアジマス角方向の位置とに基づく現実の空間の画像を前記撮像器に撮像させ、該現実の空間の画像を該表示装置の位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置とを備え、前記画像処理装置は、前記撮像器制御装置により前記表示装置の位置に応じた画像として抽出された前記現実の空間の画像を該表示装置に表示することを特徴とする。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記エレベーション角方向駆動部は、前記表示装置をエレベーション角方向に沿って移動可能に搭載した円弧状のレールであって、該円弧の中心は前記所定の基準座標系の中心であるものと、前記レールに沿って前記表示装置をエレベーション角方向に駆動する駆動部と、前記駆動部による駆動を支援する駆動支援部とを備え、前記アジマス角方向駆動部は、前記表示装置をアジマス角方向に回転させる回転椅子であり、前記所定の接続部は、前記レールの一端を前記回転椅子に接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記所定の接続部は前記レールの一端を前記回転椅子の背面側で接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動部は、前記表示装置を前記レールに沿って往復させ得る該表示装置に設けられた取っ手であり、前記駆動支援部は、ワイヤを介して前記表示装置と接続された錘であって、該ワイヤは前記レールに沿って設けられたものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記所定の接続部は前記レールの一端を前記回転椅子の正面側で接続する部分であるものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動支援部は、ワイヤを介して前記表示装置と接続された錘であって、該ワイヤは、該レールの内周部、該レールが前記回転椅子と接続された一端とは別の他の一端及び該レールの外周部に沿って設けられ、該錘は該回転椅子の正面側で該レール上を移動することができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動支援部は、前記表示装置とワイヤを介して接続された定荷重バネであって、該ワイヤは、該レールの内周部、該レールが前記回転椅子と接続された一端とは別の他の一端及び該レールの外周部に沿って設けられ、該定荷重バネが該ワイヤと接続された一端とは別の他の一端は該レールの外周部に固定されたものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動部は前記表示装置を前記レールに沿って往復させ得る該表示装置に設けられた取っ手であるものとすることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動部は、前記取っ手に設けられ該取っ手に加えられた力を検出する力センサと、該力センサと接続され該力センサにより検出された力に基づき前記ワイヤを駆動するワイヤ駆動装置とをさらに備えることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動部は、第1回転部と、第2回転部と、第1回転部及び第2回転部を覆って繋ぐ繋ぎ部であって第2回転部を覆う部分の繋ぎ部が前記レールの他の一端にある前記ワイヤに接触するものと、第1回転部の回転を制御する回転制御部とを備えることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記駆動部は、前記ワイヤの駆動方向を入力するワイヤ駆動方向入力部と、該ワイヤ駆動方向入力部と接続され該ワイヤ駆動方向入力部に入力された該ワイヤの駆動方向に基づき前記ワイヤを駆動する駆動装置とを備えることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記回転椅子に加えられたトルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサにより検出されたトルクに基づき該回転椅子を回転させる回転装置とをさらに備えることができる。
ここで、この発明の表示装置駆動機において、前記回転椅子の回転方向を入力する回転方向入力部と、該回転方向入力部に接続され該回転方向入力部に入力された該回転椅子の回転方向に基づき該回転椅子を回転する回転装置とをさらに備えることができる。
本発明の可動表示システムは、ディスプレイと、ディスプレイを駆動する表示装置駆動部と、表示装置駆動部から送信されたディスプレイの3次元空間内の位置に応じた所定の空間内の画像を抽出する画像抽出部と、画像抽出部により抽出された所定の空間内の画像をディスプレイに表示する画像処理装置とを備えている。ディスプレイの3次元空間内の位置は所定の基準座標系に対するエレベーション角およびアジマス角により表す。表示装置駆動部はエレベーション角方向駆動部とアジマス角方向駆動部とを備えている。エレベーション角方向駆動部は、ディスプレイをエレベーション角方向に駆動する円弧状の駆動部であり、ディスプレイのエレベーション角方向の位置を検出して画像抽出部へ送信するエレベーション角方向位置検出センサを有している。アジマス角方向駆動部は、ディスプレイをアジマス角方向に駆動する駆動部であって、ディスプレイのアジマス角方向の位置を検出して画像抽出部へ送信するアジマス角方向位置検出センサを有している。エレベーション角方向駆動部とアジマス角方向駆動部とは所定の接続部で接続されている。画像抽出部は、現実の空間の画像を撮像する撮像器と、上記両センサから送信されたディスプレイのエレベーション角方向およびアジマス角方向の位置とに基づく現実の空間の画像を撮像器に撮像させ、現実の空間の画像をディスプレイの位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置とを備えている。PCは、撮像器制御装置によりディスプレイの位置に応じた画像として抽出された現実の空間の画像をディスプレイに表示する。以上のようにして、本発明の可動表示システムによれば、ディスプレイの動きとCCDカメラ(撮像器)の動きとを同期させることにより、ディスプレイの操作者は現実の空間における見たい方向の画像を見ることができるという効果がある。エレベーション角方向駆動部は、ディスプレイをエレベーション角方向に沿って移動可能に搭載した円弧状のレールと、レールに沿ってディスプレイをエレベーション角方向に駆動する駆動部と、駆動部による駆動を支援する駆動支援部とを備えている。駆動部は、ディスプレイをレールに沿って往復させ得る、ディスプレイに設けられたハンドル(取っ手)とすることが好適である。駆動支援部は、ワイヤを介してディスプレイと接続されたカウンターバランスであり、ワイヤはレールに沿って設けられている。レールの円弧の中心は3次元座標系の中心であり、中心は操作者の頭部中心である。操作者はハンドルを用いてディスプレイをエレベーション角方向、即ちエレベーション軸周りに動かすことができる。ディスプレイは頭部中心からレールの円弧の半径の球面上を運動することができる。以上のように本発明の可動表示システムによれば、カウンターバランスを用いたカウンターバランス機構を利用することにより、重量が問題となるディスプレイをエレベーション軸周りに人力のみの小さな力で軽く動かすことができるという効果がある。アクチュエータを用いて人力を補助することによって、より軽くディスプレイを動かすこともできる。さらに、必要な力をすべてアクチュエータ側で負担することにより、操作者は指令を与えるだけでディスプレイを動かすことも可能となる。アジマス角方向駆動部は、ディスプレイをアジマス角方向に回転させる回転椅子により構成されている。エレベーション角方向駆動部とアジマス角方向駆動部とを接続する所定の接続部は、レールの一端を回転椅子に接続する部分であり、例えば回転椅子の背面側の座面若しくは正面側の座面、または回転椅子の回転軸で接続する部分とすることができ、操作者の頭部中心を中心とする当該円弧状のレールにディスプレイが支えられている。ディスプレイの操作者はこの回転椅子に座り、足を用いて回転椅子を回転させる。ディスプレイは回転椅子の背面側若しくは正面側の座面部分、または回転椅子の回転軸に接続されているため、上記背面側若しくは正面側の座面、または回転軸に対し常に同じアジマス角方向を向くことになる。すなわち、本発明の可動表示システムによれば、操作者が回転椅子を回転させることにより、ディスプレイをアジマス角方向、即ちアジマス軸周りに動かすことができる。アクチュエータとセンサとを用いて必要な力の一部または全部を負担することにより、操作者の負担を減らすことができる。以上により、本発明の可動表示システムによれば、高い臨場感を提示することができる映像表示デバイス・システムであって、HMDのように顔に器具を装着することがないため表情を外部から撮影しやすく且つ手先を直接見ることができ、さらに、大きな出力のアクチュエータを使用しないため、安全でコストの低廉な映像表示デバイス・システムを提供することができるという効果がある。
以下、実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1ないし6に共通する可動表示システム1を示す。図1において、符号10はディスプレイ(表示装置)、20はディスプレイ10を駆動する表示装置駆動部、80は表示装置駆動部20から送信されたディスプレイ10の3次元空間内の位置に応じた所定の空間81内の画像を抽出する画像抽出部、90は画像抽出部80により抽出された所定の空間81内の画像をディスプレイ10に表示する画像処理装置である。ディスプレイ10は好適には薄型液晶ディスプレイであり、画像処理装置90はパーソナルコンピュータPCを用いることができる。以下では画像処理装置90をPC90と表す。ディスプレイ10の3次元空間内の位置は所定の基準座標系に対するエレベーション角およびアジマス角により表すものとする。他の座標の表し方を用いてもよいことは勿論である。
図1に示されるように、表示装置駆動部20はエレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを備えている。エレベーション角方向駆動部30は、ディスプレイ10をエレベーション角方向に駆動する円弧状の駆動部であり、ディスプレイ10のエレベーション角方向の位置を検出して画像抽出部80へ送信するエレベーション角方向位置検出センサ31を有している。アジマス角方向駆動部40は、ディスプレイ10をアジマス角方向に駆動する駆動部であって、ディスプレイ10のアジマス角方向の位置を検出して画像抽出部80へ送信するアジマス角方向位置検出センサ41を有している。エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とは後述する所定の接続部CONで接続されている。
次に、画像抽出部80の一例について説明する。図1に示されるように、画像抽出部80は、現実の空間(所定の空間)81の画像を撮像する撮像器82と、エレベーション角方向位置検出センサ31から送信されたディスプレイ10のエレベーション角方向の位置とアジマス角方向位置検出センサ41から送信されたディスプレイ10のアジマス角方向の位置とに基づく現実の空間81の画像を撮像器82に撮像させ、現実の空間81の画像をディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置83とを備えている。画像抽出部80の構成は非特許文献1に示されるものとほぼ同様であり、撮像器82としては非特許文献1に示されるテレコミュニケータT3のような2自由度のCCDカメラが好適である。以下では撮像器82をCCDカメラ82と表す。撮像器制御装置83は、エレベーション角方向位置検出センサ31およびアジマス角方向位置検出センサ41により検出されたディスプレイ10の2方向の動きに合わせて上記CCDカメラ82を動かすコントローラとしての機能と、CCDカメラ82により撮像させた現実の空間81の画像をPC90へ送る機能とを備えている。PC90は、撮像器制御装置83によりディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出された現実の空間81の画像をディスプレイ10に表示する。以上のようにして、ディスプレイ10の動きとCCDカメラ82の動きとを同期させることにより、ディスプレイ10の操作者(不図示)は現実の空間81における見たい方向の画像を見ることができる。
図2は、本発明の実施例1における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−1を示す。図2で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略するかまたは簡略化する。図2において、エレベーション角方向駆動部30は、ディスプレイ10をエレベーション角方向に沿って移動可能に搭載した円弧状のレール32と、レール32に沿ってディスプレイ10をエレベーション角方向に駆動する駆動部33と、駆動部33による駆動を支援する駆動支援部34とを備えている。図2に示されるように、表示装置駆動部20−1における駆動部33は、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル(取っ手)37とすることが好適である。操作者はハンドル37をレール32に沿って動かすことにより、ハンドル37が設けられたディスプレイ10をレール32に沿って往復させることができる。レール32はディスプレイ10をその円弧上で動かせるものであればよく、例えば直曲ガイド(THK(登録商標)株式会社製)のようなものであってもよい。図2に示されるように、表示装置駆動部20−1における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス(錘)35であって、ワイヤ36はレール32に沿って設けられている。カウンターバランス35はディスプレイ10の重量を補償するものであり、このカウンターバランス35により、操作者はディスプレイ10を軽く動かすことができる。ワイヤ36はステンレス製のものが好適であるが、丈夫で伸びが少ないものであれば他のものであってもよい。
図2に示されるように、レール32の円弧の中心Pは3次元座標系XYZ(所定の基準座標系)の中心(原点)であり、この3次元座標系XYZに対するディスプレイ10の位置をアジマス角(α)およびエレベーション角(β)を用いて表す。例えば、アジマス角(α)はYZ平面からX軸の正方向に測った角度とし、エレベーション角(β)はXY平面からZ軸の正方向に測った角度とすることができる。中心Pは操作者の頭部中心であり、操作者はハンドル37を用いてディスプレイ10をエレベーション角方向、即ちエレベーション軸(X軸)周りに動かすことができる。ディスプレイ10は頭部中心Pからレール32の円弧の半径の球面上を運動することができる。
図2では、エレベーション角方向位置検出センサ31がレール32の頂点に設置された場合の例を示している。エレベーション角方向位置検出センサ31の設置位置は、ディスプレイ10のエレベーション角方向位置を検出可能な位置であればレール32の頂点に限定されるものではない。エレベーション角方向位置検出センサ31としてはリニアエンコーダが好適である。例えば、エレベーション角方向位置検出センサ31の設置位置が固定されている場合、可動部であるワイヤ36に沿って刻みがついたものを貼り付けておき、発光ダイオード等の光源から当てた光を刻みに当てて断続的に反射させ、反射した光をホトダイオード等で受けることにより検出したパルス信号のパルスをカウントすることによって、ディスプレイ10のエレベーション角方向の移動量を検出することができ、その結果としてディスプレイ10のエレベーション角方向の位置を検出することができる。
図2に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、ディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。上述したエレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、レール32の一端を回転椅子42に接続する部分である。図2に示される表示装置駆動部20−1では、所定の接続部CONは、レール32の一端T1を回転椅子42の背面側で座面に接続する部分である場合を示している。レール32の一端T1を回転椅子42の背面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。表示装置駆動部20−1では、操作者の頭部中心Pを中心とする当該円弧状のレール32にディスプレイ10が支えられている。ディスプレイ10の操作者はこの回転椅子42に座り、足を用いて回転椅子42をアジマス角方向へ回転させる。ディスプレイ10は回転椅子42の座面部分または回転軸45に接続されているため、座面部分または回転軸45に対し常に同じアジマス角方向を向くことになる。すなわち、操作者が回転椅子42を回転させることにより、ディスプレイ10をアジマス角方向、即ちアジマス軸(Z軸)周りに動かすことができる。カウンターバランス35は回転椅子42の背面側でレール32上を移動することになる。
図2では、アジマス角方向位置検出センサ41が回転椅子42の回転軸に設置された一例を示している。アジマス角方向位置検出センサ41としては、例えば、回転角度、回転位置等を計測するロータリーエンコーダ、回転角度を検出するロータリーポテンショメータ、2相のコイルを用いるレゾルバ等が挙げられる。ディスプレイ10のアジマス角方向の位置を検出することができるものであれば、他のセンサであってもよい。
以上より、本発明の実施例1によれば、可動表示システム1は、ディスプレイ10と、ディスプレイ10を駆動する表示装置駆動部20と、表示装置駆動部20から送信されたディスプレイ10の3次元空間内の位置に応じた所定の空間81内の画像を抽出する画像抽出部80と、画像抽出部80により抽出された所定の空間81内の画像をディスプレイ10に表示する画像処理装置90とを備えている。ディスプレイ10の3次元空間内の位置は所定の基準座標系に対するエレベーション角およびアジマス角により表す。表示装置駆動部20はエレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを備えている。エレベーション角方向駆動部30は、ディスプレイ10をエレベーション角方向に駆動する円弧状の駆動部であり、ディスプレイ10のエレベーション角方向の位置を検出して画像抽出部80へ送信するエレベーション角方向位置検出センサ31を有している。アジマス角方向駆動部40は、ディスプレイ10をアジマス角方向に駆動する駆動部であって、ディスプレイ10のアジマス角方向の位置を検出して画像抽出部80へ送信するアジマス角方向位置検出センサ41を有している。エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とは所定の接続部CONで接続されている。画像抽出部80は、現実の空間81の画像を撮像するCCDカメラ82と、上記両センサ31および41から送信されたディスプレイ10のエレベーション角方向およびアジマス角方向の位置に基づく現実の空間81の画像をCCDカメラ82に撮像させ、現実の空間81の画像をディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置83とを備えている。PC90は、撮像器制御装置83によりディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出された現実の空間81の画像をディスプレイ10に表示する。以上のようにして、ディスプレイ10の動きとCCDカメラ82の動きとを同期させることにより、ディスプレイ10の操作者は現実の空間81における見たい方向の画像を見ることができる。
表示装置駆動部20−1において、エレベーション角方向駆動部30は、ディスプレイ10をエレベーション角方向に沿って移動可能に搭載した円弧状のレール32と、レール32に沿ってディスプレイ10をエレベーション角方向に駆動する駆動部33と、駆動部33による駆動を支援する駆動支援部34とを備えている。表示装置駆動部20−1における駆動部33は、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル37とすることが好適である。表示装置駆動部20−1における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35であって、ワイヤ36はレール32に沿って設けられている。レール32の円弧の中心Pは3次元座標系XYZの中心であり、中心Pは操作者の頭部中心である。操作者はハンドル37を用いてディスプレイ10をエレベーション角方向、即ちエレベーション軸(X軸)周りに動かすことができる。ディスプレイ10は頭部中心Pからレール32の円弧の半径の球面上を運動することができる。以上のように、カウンターバランス35を用いたカウンターバランス機構を利用することにより、重量が問題となるディスプレイ10をエレベーション軸周りに人力のみの小さな力で軽く動かすことができる。アジマス角方向駆動部40は、ディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、レール32の一端を回転椅子に接続する部分、例えばレール32の一端T1を回転椅子42の背面側の座面または回転軸45で接続する部分であり、操作者の頭部中心Pを中心とする当該円弧状のレール32にディスプレイ10が支えられている。ディスプレイ10の操作者はこの回転椅子42に座り、足を用いて回転椅子42を回転させる。ディスプレイ10は回転椅子42の座面部分または回転軸45に接続されているため、座面部分または回転軸45に対し常に同じアジマス角方向を向くことになる。すなわち、操作者が回転椅子42を回転させることにより、ディスプレイ10をアジマス角方向、即ちアジマス軸(Z軸)周りに動かすことができる。以上により、可動表示システム1は高い臨場感を提示することができる映像表示デバイス・システムであって、HMDのように顔に器具を装着することがないため表情を外部から撮影しやすく且つ手先を直接見ることができ、さらに、大きな出力のアクチュエータを使用しないため、安全でコストの低廉な映像表示デバイス・システムを提供することができる。
図3は、本発明の実施例2における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−2を示す。図3で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。上述したエレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、レール32の一端を回転椅子42に接続する部分である。図3に示される表示装置駆動部20−2では、所定の接続部CONは、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面で接続する部分である。レール32の一端T2を回転椅子42の正面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。図3に示されるように、表示装置駆動部20−2における駆動部33は、実施例1と同様に、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル37とすることが好適である。表示装置駆動部20−2における駆動支援部34は、実施例1と同様にワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。但し、図3に示されるように、実施例2においてワイヤ36は、レール32の内周部A、レール32が回転椅子42と接続された一端T2とは別の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。カウンターバランス35は回転椅子42の正面側でレール32上を移動することになる。操作者は、実施例1と同様に、ハンドル37を用いてディスプレイ10をエレベーション角方向、即ちエレベーション軸(X軸)周りに動かすことができる。ディスプレイ10は頭部中心Pからレール32の円弧の半径の球面上を運動することができる。図3に示されるレール32の長さは一例であり、レール32の他の一端Bの位置は操作者の頭上までの所望の位置まで任意に選択することが可能である。図3では、エレベーション角方向位置検出センサ31がレール32の他の一端Bの位置に設置された場合の例を示している。エレベーション角方向位置検出センサ31の設置位置は、ディスプレイ10のエレベーション角方向位置を検出可能な位置であればレール32の他の一端Bの位置に限定されるものではない。
図3に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、実施例1と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。ディスプレイ10の操作者はこの回転椅子42に座り、足を用いて回転椅子42をアジマス角方向へ回転させる。操作者が回転椅子42を回転させることにより、ディスプレイ10をアジマス角方向、即ちアジマス軸(Z軸)周りに動かすことができる。アジマス角方向位置検出センサ41は実施例1と同様に回転椅子42の回転軸に設置されている。アジマス角方向駆動部40に関しては実施例1と同様であるため詳細な説明は省略する。
以上より、本発明の実施例2によれば、エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、例えば、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面または回転軸45で接続する部分とすることができる。ワイヤ36はレール32の内周部A、レール32の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。表示装置駆動部20−2における駆動部33は、実施例1と同様に、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル37とすることが好適である。表示装置駆動部20−2における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。カウンターバランス35は回転椅子42の正面側でレール32上を移動することになる。操作者は、実施例1と同様に、ハンドル37を用いてディスプレイ10をエレベーション角方向、即ちエレベーション軸(X軸)周りに動かすことができる。レール32の他の一端Bの位置は操作者の頭上までの所望の位置まで任意に選択することが可能である。アジマス角方向駆動部34は、実施例1と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。ディスプレイ10の操作者はこの回転椅子42に座り、足を用いて回転椅子42を回転させる。操作者が回転椅子42を回転させることにより、ディスプレイ10をアジマス角方向、即ちアジマス軸(Z軸)周りに動かすことができる。実施例2のように所定の接続部CONを配置し、ワイヤ36をレール32の内周部A、レール32の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けることにより、実施例1の効果に加えて、表示装置駆動部20−2を小型化することができるという効果を得ることができる。
図4は、本発明の実施例3における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−3を示す。図4で図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図4に示されるように、エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、実施例2と同様に、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面で接続する部分である。レール32の一端T2を回転椅子42の正面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。図4に示されるように、表示装置駆動部20−3における駆動部33は、実施例1と同様に、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル37とすることが好適である。表示装置駆動部20−3における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38である。ワイヤ36は、図4に示されるように、レール32の内周部A、レール32が回転椅子42と接続された一端T2とは別の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。定荷重バネ38はワイヤ36と一端S1で接続されており、当該一端S1とは別の他の一端S2はレール32の外周部CでドラムDRに巻き付けられて固定されている。定荷重バネ38はディスプレイ10の重量を補償するものであり、この定荷重バネ38により、操作者はディスプレイ10を軽く動かすことができる。実施例1および2のようにカウンターバランス35を用いないため、可動部分であるディスプレイ10の慣性(イナーシャ)を小さくすることができる。この結果、操作者は、ハンドル37を用いてディスプレイ10をエレベーション角方向、即ちエレベーション軸(X軸)周りに動かすことができるだけでなく、その操作性を向上させることができる。図3では、エレベーション角方向位置検出センサ31(例えば、リニアエンコーダ)がディスプレイ10に設置された場合の例を示している。エレベーション角方向位置検出センサ31の設置位置は、ディスプレイ10のエレベーション角方向位置を検出可能な位置であればディスプレイ10の位置に限定されるものではない。
図4に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、実施例1等と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。アジマス角方向位置検出センサ41は実施例1等と同様に回転椅子42の回転軸に設置されている。アジマス角方向駆動部40に関しては実施例1等と同様であるため詳細な説明は省略する。
以上より、本発明の実施例3によれば、表示装置駆動部20−3における駆動部33は、実施例1と同様に、ディスプレイ10をレール32に沿って往復させ得る、ディスプレイ10に設けられたハンドル37とすることが好適である。表示装置駆動部20−3における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38である。以上のように可動部分であるディスプレイ10の慣性(イナーシャ)を小さくすることができるため、実施例1および2の効果に加えて、ディスプレイ10の操作性を向上させることができるという効果を得ることができる。
図5は、本発明の実施例4における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−4を示す。図5で図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図5で中心Pおよび3次元座標系XYZの表示は図面の都合上省略する。図5に示されるように、エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、実施例2と同様に、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面で接続する部分である。レール32の一端T2を回転椅子42の正面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。図5に示されるように、表示装置駆動部20−4における駆動部33は、プーリー(第1回転部)51と、プーリー(第2回転部)52と、プーリー51およびプーリー52を覆って繋ぐタイミングベルト(繋ぎ部)53とを備えている。プーリー52を覆う部分のタイミングベルト53はレール32の他の一端Bにあるワイヤ36に接触している。さらに駆動部33は、プーリー51の回転を制御する回転制御部54を備えている。回転制御部54の制御に基づくプーリー51の回転をタイミングベルト53を介してプーリー52へ伝えることにより、プーリー52の回転を介してワイヤ36を駆動させることができ、この結果、ディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。操作者は回転制御部54に設けられたハンドル55を例えば前後に倒すことによりプーリー51の回転方向を左右に変化させて、タイミングベルト53の動きを左右に変化させ、この結果としてプーリー52の回転方向を左右に変化させて、このプーリー52の回転を介してワイヤ36を往復させることができ、この結果、ディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。タイミングベルト53に替えて、テープ状の金属ベルトを用いても良い。あるいは、プーリー51および52に替えて歯車を用い、両歯車を金属チェーンで繋いでも良い。図5に示されるように、表示装置駆動部20−4における駆動支援部34は、実施例2と同様にワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。実施例2と同様に、ワイヤ36は、レール32の内周部A、レール32が回転椅子42と接続された一端T2とは別の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。表示装置駆動部20−4における駆動支援部34は、実施例3と同様に、ディスプレイ10とワイヤ36を介して接続された定荷重バネ38としてもよい(図4参照)。この場合、レール32の他の一端Bに図5に示されるようにプーリー52を取り付ければよい。あとは上述したように、タイミングベルト53、プーリー51および回転制御部54等を設置すればよい。
図5に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、実施例1等と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。アジマス角方向位置検出センサ41は実施例1等と同様に回転椅子42の回転軸に設置されている。アジマス角方向駆動部40に関しては実施例1等と同様であるため詳細な説明は省略する。
以上より、本発明の実施例4によれば、表示装置駆動部20−4における駆動部33は、プーリー51と、プーリー52と、プーリー51およびプーリー52を覆って繋ぐタイミングベルト53とを備えている。プーリー52を覆う部分のタイミングベルト53はレール32の他の一端Bにあるワイヤ36に接触している。駆動部33は、プーリー51の回転を制御する回転制御部54を備えており、回転制御部54の制御に基づくプーリー51の回転をタイミングベルト53を介してプーリー52へ伝えることにより、プーリー52の回転を介してワイヤ36を往復させることができ、この結果、ディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。操作者は回転制御部54に設けられたハンドル55を例えば前後に倒すことによりプーリー51の回転方向を左右に変化させて、タイミングベルト53の動きを左右に変化させ、この結果としてプーリー52の回転方向を左右に変化させて、このプーリー52の回転を介してワイヤ36を駆動させることができこの結果、ハンドル55を前後に倒すという程度の人力でディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。表示装置駆動部20−4における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。駆動支援部34は、ディスプレイ10とワイヤ36を介して接続された定荷重バネ38としてもよい。実施例2等の駆動支援部34であるハンドル37の替わりに、機械的なリンク機構であるプーリー51および52とタイミングベルト53とを用いて、ハンドル55を実施例2等のハンドル37よりも操作者の手元近くに持ってくることができる。この結果、操作者はより楽な姿勢でディスプレイ10を動かすことができる。
図6は、本発明の実施例5における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−5を示す。図6で図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図6に示されるように、エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、実施例2と同様に、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面で接続する部分である。レール32の一端T2を回転椅子42の正面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。図6に示されるように、表示装置駆動部20−5における駆動部33は、ハンドル37に設けられハンドル37に加えられた操作者の力を検出する力センサ60と、力センサ60と接続され力センサ60により検出された力に基づきワイヤ36を駆動するアクチュエータ(ワイヤ駆動装置)61とを有している。ハンドル37に加えられた力に基づきアクチェータ61を駆動することにより、ワイヤ36をレール32に沿って往復させることができる。この結果、ディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。例えば、操作者がハンドル37を前に押すと、当該前に押した力を力センサ60が検出してアクチュエータ61へ前に押されたことを伝え、アクチュエータ61はディスプレイ10を上げる方へワイヤ36を巻く。この結果、ディスプレイ10は上がることになる。逆に、操作者がハンドル37を手前に引くと、当該引かれた力を力センサ60が検出してアクチュエータ61へ引かれたことを伝え、アクチュエータ61はディスプレイ10を下げる方へワイヤ36を巻く。この結果、ディスプレイ10は下がることになる。力センサ60としては、歪ゲージ、半導体圧力センサ等の所望のセンサを用いればよい。アクチュエータ61としては、電気系または機械系の所望のアクチュエータを用いればよい。図6に示されるように、表示装置駆動部20−5における駆動支援部34は、実施例2と同様にワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。実施例2と同様に、ワイヤ36は、レール32の内周部A、レール32が回転椅子42と接続された一端T2とは別の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。表示装置駆動部20−5における駆動支援部34は、実施例3と同様に、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38としてもよい(図4参照)。この場合、レール32の他の一端Bに図5に示されるようにプーリー52を取り付ければよい。あとは上述したように、タイミングベルト53、プーリー51および回転制御部54等を設置すればよい。
図6に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、実施例1等と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。アジマス角方向位置検出センサ41は実施例1等と同様に回転椅子42の回転軸に設置されている。表示装置駆動部20−5におけるアジマス角方向駆動部40は、回転椅子42に加えられたトルクを検出するトルクセンサ43と、トルクセンサ43により検出されたトルクに基づき回転椅子42を回転させるアクチュエータ(回転装置)44とを備えている。操作者が回転椅子42をアジマス角方向へ回転させようとする際のトルクをトルクセンサ43が検出してアクチュエータ44へ伝え、アクチュエータ44は当該方向へ回転椅子42を回転させる。この結果、ディスプレイ10をアジマス角方向へ動かすことができる。トルクセンサ43としては、例えば磁気ヘッド形の非接触式トルクセンサ等、所望のトルクセンサを用いればよい。アクチュエータ44としては、電気系または機械系の所望のアクチュエータを用いればよい。
上述した実施例1乃至4では、アジマス角方向駆動部40に本実施例5のようなトルクセンサ43およびアクチュエータ44は設けられていない。しかし、実施例1乃至4においてもアジマス角方向駆動部40に本実施例5のようなトルクセンサ43およびアクチュエータ44を設けることができる。
以上より、本発明の実施例5によれば、表示装置駆動部20−5における駆動部33は、ハンドル37に設けられハンドル37に加えられた操作者の力を検出する力センサ60と、力センサ60と接続され力センサ60により検出された力に基づきワイヤ36を駆動するアクチュエータ61とを有している。ハンドル37に加えられた力に基づきアクチェータ61を駆動することにより、ワイヤ36をレール32に沿って往復させることができる。この結果、ディスプレイ10をエレベーション角方向へ動かすことができる。表示装置駆動部20−5における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38としてもよい。表示装置駆動部20−5におけるアジマス角方向駆動部40は、回転椅子42に加えられたトルクを検出するトルクセンサ43と、トルクセンサ43により検出されたトルクに基づき回転椅子42を回転させるアクチュエータ44とをさらに備えている。操作者が回転椅子42をアジマス角方向へ回転させようとする際のトルクをトルクセンサ43が検出してアクチュエータ44へ伝え、アクチュエータ44は当該方向へ回転椅子42を回転させる。この結果、ディスプレイ10をアジマス角方向へ動かすことができる。以上のようにアクチュエータ61、44を用いることにより、各々エレベーション角方向、アジマス角方向へディスプレイ10を動かす際の操作者の力を補助することができる。
図7は、本発明の実施例6における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−6を示す。図7で図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図7で中心Pおよび3次元座標系XYZの表示は図面の都合上省略する。図7に示されるように、エレベーション角方向駆動部30とアジマス角方向駆動部40とを接続する所定の接続部CONは、実施例2と同様に、レール32の一端T2を回転椅子42の正面側の座面で接続する部分である。レール32の一端T2を回転椅子42の正面側で回転椅子42の回転軸45に接続してもよい。図7に示されるように、表示装置駆動部20−6における駆動部33は、ワイヤ36の駆動方向を入力するワイヤ駆動方向入力部70と、ワイヤ駆動方向入力部70と接続されワイヤ駆動方向入力部70に入力されたワイヤ36の駆動方向に基づきワイヤ36を駆動するアクチュエータ(駆動装置)61とを有している。操作者がワイヤ駆動方向入力部70にワイヤ36の駆動方向(上下方向)を入力すると、ワイヤ駆動方向入力部70が上下の信号をアクチュエータ61へ送る。アクチュエータ61はこの信号に基づいてワイヤ36を上下に往復させることより、ディスプレイ10を上下に動かすことができる。図7に示されるように、表示装置駆動部20−6における駆動支援部34は、実施例2と同様にワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。実施例2と同様に、ワイヤ36は、レール32の内周部A、レール32が回転椅子42と接続された一端T2とは別の他の一端Bおよびレール32の外周部Cに沿って設けられている。表示装置駆動部20−6における駆動支援部34は、実施例3と同様に、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38としてもよい(図4参照)。この場合、レール32の他の一端Bに図5に示されるようにプーリー52を取り付ければよい。あとは上述したように、タイミングベルト53、プーリー51および回転制御部54等を設置すればよい。
図7に示されるように、アジマス角方向駆動部40は、実施例1等と同様にディスプレイ10をアジマス角方向に回転させる回転椅子42により構成されている。アジマス角方向位置検出センサ41は実施例1等と同様に回転椅子42の回転軸に設置されている。表示装置駆動部20−6におけるアジマス角方向駆動部40は、回転椅子42の回転方向を入力する回転方向入力部72と、回転方向入力部72に接続され回転方向入力部72に入力された回転椅子42の回転方向に基づき回転椅子42を回転するアクチュエータ(回転装置)44とを備えている。操作者が回転方向入力部72に回転椅子42の回転方向(左右方向)を入力すると、回転方向入力部72が左右の信号をアクチュエータ44へ送る。アクチュエータ44はこの信号に基づいて回転椅子42を左右に回転させることより、ディスプレイ10を左右に動かすことができる。
上述したワイヤ駆動方向入力部70および回転方向入力部72は、2自由度のジョイスティック70および72として一纏めにすることが好適である。以上の構成により、操作者の力を使用することなく、アクチュエータ61および44だけでジョイスティック70および72からの操作者の指令に応じてディスプレイ10を動かすことができる。
以上より、本発明の実施例6によれば、表示装置駆動部20−6における駆動部33は、ワイヤ36の駆動方向を入力するワイヤ駆動方向入力部70と、ワイヤ駆動方向入力部70と接続されワイヤ駆動方向入力部70に入力されたワイヤ36の駆動方向に基づきワイヤ36を駆動するアクチュエータ61とを有している。操作者がワイヤ駆動方向入力部70にワイヤ36の駆動方向(上下方向)を入力すると、ワイヤ駆動方向入力部70が上下の信号をアクチュエータ61へ送る。アクチュエータ61はこの信号に基づいてワイヤ36を上下に往復させることより、ディスプレイ10を上下に動かすことができる。表示装置駆動部20−6における駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続されたカウンターバランス35である。あるいは駆動支援部34は、ワイヤ36を介してディスプレイ10と接続された定荷重バネ38としてもよい。表示装置駆動部20−6におけるアジマス角方向駆動部40は、回転椅子42の回転方向を入力する回転方向入力部72と、回転方向入力部72に接続され回転方向入力部72に入力された回転椅子42の回転方向に基づき回転椅子42を回転するアクチュエータ44とを備えている。操作者が回転方向入力部72に回転椅子42の回転方向(左右方向)を入力すると、回転方向入力部72が左右の信号をアクチュエータ44へ送る。アクチュエータ44はこの信号に基づいて回転椅子42を左右に回転させることより、ディスプレイ10を左右に動かすことができる。ワイヤ駆動方向入力部70および回転方向入力部72は、2自由度のジョイスティックとして一纏めにすることが好適である。
図8は、本発明の実施例7における可動表示システム2を示す。図8で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。上述した実施例1乃至6の可動表示システム1では、画像抽出部80は、エレベーション角方向位置検出センサ31から送信されたディスプレイ10のエレベーション角方向の位置とアジマス角方向位置検出センサ41から送信されたディスプレイ10のアジマス角方向の位置とに基づく現実の空間81の画像をCCDカメラ82に撮像させ、この現実の空間81の画像をディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出する撮像器制御装置83とを備えていた。本実施例7では、所定の空間として現実の空間だけではなく仮想空間を用いることもできる。
図8に示されるように、画像抽出部80’は、所定の空間(現実の空間または仮想空間)の画像を記録した画像記録部85と、エレベーション角方向位置検出センサ31から送信されたディスプレイ10のエレベーション角方向の位置とアジマス角方向位置検出センサ41から送信されたディスプレイ10のアジマス角方向の位置とに基づく画像記録部85に記録された所定の空間の画像をディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出する空間画像抽出部86とを備えている。画像記録部85には、所定の空間が現実の空間の場合、撮像された現実の空間の画像データが記録されており、所定の空間が仮想空間の場合、コンピュータグラフィックス等により作製された仮想空間の画像データが記録されている。PC90は、空間画像抽出部86によりディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出された所定の空間の画像をディスプレイ10に表示することができる。画像記録部85としては所望のサイズのメモリを用い、空間画像抽出部86としては画像記録部85の所望の座標に記録されたデータを取り出すメモリ制御器を用いればよい。現実の空間81を撮像するCCDカメラ82と同様に、メモリ制御器86を画族記録部85に記録された所定の空間を撮像する仮想のカメラと捉え、この仮想のカメラをディスプレイ10の動きに合わせて所定の空間内で動かすと考えることもできる。
以上より、本発明の実施例7によれば、所定の空間として現実の空間だけではなく仮想現実の空間を用いることもできる。画像抽出部80’は、所定の空間(現実の空間または仮想空間)の画像を記録した画像記録部85と、エレベーション角方向位置検出センサ31から送信されたディスプレイ10のエレベーション角方向の位置とアジマス角方向位置検出センサ41から送信されたディスプレイ10のアジマス角方向の位置とに基づく画像記録部85に記録された所定の空間の画像をディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出する空間画像抽出部86とを備えている。PC90は、空間画像抽出部86によりディスプレイ10の位置に応じた画像として抽出された所定の空間の画像をディスプレイ10に表示することができる。
本発明の活用例として、表情を外部から撮影しやすく且つ手先を直接見ることができ、安全でコストが低廉であり高い臨場感を提示することができる映像表示デバイス・システムに適用することができる。
本発明の実施例1ないし6に共通する可動表示システム1を示す図である。
本発明の実施例1における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−1を示す図である。
本発明の実施例2における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−2を示す図である。
本発明の実施例3における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−3を示す図である。
本発明の実施例4における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−4を示す図である。
本発明の実施例5における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−5を示す図である。
本発明の実施例6における表示装置駆動部20の一例である表示装置駆動部20−6を示す図である。
本発明の実施例7における可動表示システム2を示す図である。
符号の説明
1、2 可動表示システム、 10 ディスプレイ、 20、20−1、20−2、20−3、20−4、20−5、20−6 表示装置駆動部、 30 エレベーション角方向駆動部、 31 エレベーション角方向位置検出センサ、 32 レール、 33 駆動部、 34 駆動支援部、 35 カウンターバランス、 36 ワイヤ、 37、55 ハンドル、 38 定荷重バネ、 40 アジマス角方向駆動部、 41 アジマス角方向位置検出センサ、 42 回転椅子、 43 トルクセンサ、 44、61 アクチュエータ、 45 回転軸、 51、52 プーリー、 53 タイミングベルト、 54 回転制御部、 60 力センサ、 70 ワイヤ駆動方向入力部、 72 回転方向入力部、 80、80’ 画像抽出部、 81 所定の空間、 82 撮像器、 83 撮像器制御装置、 85 画像記録部、 86 空間画像抽出部、 90 画像処理装置。