以下に添付図面を参照し、本発明の移動体通信無線基地局装置および移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法にかかる第1実施形態〜第3実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態の一例で開示する移動体通信無線基地局装置は、携帯電話端末装置を移動体通信端末とする携帯電話端末装置通信システムにおける無線基地局装置であるとする。
しかし、これに限定されず、無線基地局装置と無線通信することによって、相手方の通信装置と通信可能な端末装置、例えば、PHS(Personal Handyphone System)端末装置、PDA(Personal Digital Assistant)端末装置、通信機能を有する携帯型パーソナルコンピュータなどを移動体通信端末装置とする移動体通信システムにおける無線基地局装置に広く適用可能である。
なお、以下の各実施形態の一例において、時間を表す単位は、例えば「ミリ秒」である。また、以下の各実施形態の一例において、一人のユーザが一台の携帯電話端末装置を使用してサービスを利用することを前提とする。このため、携帯電話端末装置のユーザの識別と、携帯電話端末装置の識別とは、同一である。
最初に、図1〜図9を参照して、第1実施形態の一例を説明する。先ず、第1実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの構成図を示す。図1は、第1実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの概略構成を説明するための説明図である。
図1に示すように、第1実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムSは、ユーザごとの携帯電話端末装置200a1、200a2、・・・、200n1、200n2と、無線リソース管理を行う基地局(無線基地局装置)100a〜100nと、回線交換網300と、コアネットワーク部500への関門であるゲートウェイ400と、IP(Internet protocol)パケットなどのルーティングをおこなうためのコアネットワーク部500とを有する。
携帯電話端末装置200a1、200a2、・・・、200n1、200n2は、基地局100a〜100nと無線通信をおこなう。基地局100a〜100n(これらを総称して、基地局100と総称する)は、携帯電話端末装置200a1、200a2、・・・、200n1、200n2と送受信するデータを、回線交換網300からゲートウェイ400を経由して、コアネットワーク部500との間で送受信する。
コアネットワーク部500は、例えば、インターネット網であり、携帯電話端末装置200a1、200a2、・・・、200n1、200n2(これらを総称して、携帯電話端末装置200と呼ぶ)からのサービス要求に応じてサービスを提供する、サービス提供装置(図示せず)が接続されている。
次に、第1実施形態の一例にかかる無線基地局装置が有するベースバンド処理部の構成を説明する。図2は、第1実施形態の一例にかかる無線基地局装置が有するベースバンド処理部の構成を示す機能ブロック図である。なお、第1実施形態の一例にかかる無線基地局装置が有するベースバンド処理部の構成の説明は、省略する。
図2に示すように、第1実施形態の一例にかかる基地局100が有するベースバンド処理部100aは、コアネットワーク部500から携帯電話端末装置200へのデータを処理する機能として、データ受信部10と、データ処理部20aと、符号処理部30と、変調処理部40と、スケジューラ部90とを有する。
基地局100は、データ受信部10がコアネットワーク部500からデータを受信したことをスケジューラ部90に通知したのち、スケジューラ部90によるスケジューリング結果に基づき、データ処理部20aにてデータ多重後、符号処理部30にて符号化をおこなう。そして、変調処理部40にてベースバンド信号からRF(Radio Frequency)信号へと変調処理を行って、携帯電話端末装置200へと、無線通信によって送信する。
また、基地局100は、携帯電話端末装置200からコアネットワーク部500へのデータを処理する機能として、復調処理部50と、復号処理部60と、データ処理部70と、データ送信部80とを有する。
基地局100は、携帯電話端末装置200から受信したデータを、先ず、復調処理部50にてRF信号からベースバンド信号へと信号復調する。そして、復号処理部60にて復号処理し、データ処理部70にてデータ解析をおこなった後に、データ送信部80によってコアネットワーク部500へ送信する。なお、復調処理部50、復号処理部60およびデータ処理部70は、それぞれの処理が完了した後に、スケジューラ部90へ、完了通知を通知する。
次に、第1実施形態の一例にかかるサービスデータ処理の原理を説明する。図3は、第1実施形態の一例にかかるサービスデータ処理の原理を説明するための説明図である。同図は、コアネットワーク部500から携帯電話端末装置200へのサービスデータのデータ多重処理について説明する説明図である。
図3に示すように、ベースバンド処理部100aのデータ受信部10は、コアネットワーク部500から受信した、ユーザごとサービスごとの携帯電話端末装置200へのサービスデータをバッファリングする。
なお、ユーザとは、携帯電話端末装置200を使用して、コアネットワーク部500のサービス提供装置(図示せず)から各種サービスの提供を受ける利用者である。また、サービスとは、コアネットワーク部500のサービス提供装置から携帯電話端末装置200のユーザへと提供される、各種情報、各種機能などを指す。
図3では、一例として、データ受信部10は、携帯電話端末装置1へのサービスAのサービスデータ、携帯電話端末装置1へのサービスBのサービスデータ、・・・、携帯電話端末装置NへのサービスAのサービスデータ、携帯電話端末装置NへのサービスBのサービスデータをバッファリングしている状況を示している。
先ず、ベースバンド処理部100aが有するスケジューラ部90は、スケジューリング計算結果から、データ受信部10にバッファリングされている、ユーザごとの携帯電話端末装置200の選択をおこなう。
次に、データ処理部20aのサービスデータ組み立て部21は、選択された携帯電話端末装置200ごとに多重するサービスデータを、データ受信部10から取り出して多重する。そして、データ多重処理部21は、選択されたすべての携帯電話端末装置200のサービスデータそれぞれを、データ多重処理時間が、あらかじめ規定される規定処理時間内に収まるように、データ多重処理を行う。
なお、データ多重処理とは、携帯電話端末装置200ごとに割り当てられる規定処理時間に収まるように、当該携帯電話端末装置200へと送信する複数のサービスデータを、携帯電話端末装置200ごとに、シリアルに組み立てることを指す。
しかしながら、近年のサービス提供へのユーザニーズ多様化にともなうサービスの種類の増加およびユーザへ提供するサービスデータの大規模化と、基地局100と携帯電話端末装置200との間、基地局100とコアネットワーク部500との間の通信伝送速度の高速化にともない、ベースバンド処理部100aで処理するデータ量が増加している。
そのため、従来のデータ多重処理方式では、ベースバンド処理部100aでは、前述した規定処理時間内ですべてのサービスデータの多重処理が完了せず、処理が大幅に遅延してしまい、延いては、サービスデータが破棄されて、携帯電話端末装置200へと送信されない場合があるという問題があった。本第1実施形態の一例は、この問題を克服するものである。
具体的には、先ず、データ処理部20aの多重制御部22は、携帯電話端末装置200ごとの多重情報(現在利用されているサービスの情報)に基づき、サービスデータごとにデータ多重に要する処理時間を予測する。
そして、多重制御部22は、すべての携帯電話端末装置について、すべてのサービスのデータ多重に必要な予測時間を合計し、規定処理時間を越えるか否かを予測する。例えば、予測時間の合計が規定処理時間を越えない場合には、従来どおりに、データ多重処理部21は、スケジューラ部90によって選択された携帯電話端末装置200に関して、データ多重すべきすべてのサービスデータをデータ受信部10から取り出してデータ多重する。
また、多重制御部22は、サービスデータの処理量増加に伴って、すべての携帯電話端末装置について、すべてのサービスデータのデータ多重に必要な予測データ多重処理時間が規定処理時間を越える場合には、データ多重処理部21によるデータ多重の制御をおこなう。
多重制御部22は、例えば、すべての携帯電話端末装置200に、規定処理時間の一部を割り当て、各携帯電話端末装置200において優先度の高い順序でサービスデータをデータ多重する。これによって、サービスデータが輻輳しても、規定処理時間内で多重処理をおこなうことができる。
また、サービスデータが輻輳しても、すべての携帯電話端末装置200の、少なくとも優先度が高いサービスのサービスデータは、データ多重を経て当該携帯電話端末装置200に送信されることとなるので、サービスデータを全く受信できず、ユーザが苛立ちを覚えるといった不都合を回避することができる。
ここで、データ多重の予測データ多重処理時間が規定処理時間を越えるか否かを予測する方法は、規定処理時間と携帯電話端末装置ごとの多重情報と多重予測時間とに基づいておこなうことによる。
例えば、図4に示すように、携帯電話端末装置1のユーザは、サービスA〜Dを利用している。この場合に、携帯電話端末装置1へのサービスA〜D、・・・それぞれのサービスデータを多重処理する予測データ多重処理時間を予測する。
この予測データ多重処理時間の予測方法は、例えば、携帯電話端末装置1のユーザが利用するサービスのメニューごとに定められている標準処理時間を、それぞれ予測データ多重処理時間A1〜D1、・・・とする。
若しくは、この標準時間に、携帯電話端末装置1のユーザが利用するサービスのメニューの利用頻度に応じた重み付け係数を乗じて、予測データ多重処理時間A1〜D1、・・・を算出することとしてもよい。
また、携帯電話端末装置2のユーザは、サービスA〜Dを利用している。そして、携帯電話端末装置1と同様に、携帯電話端末装置2のサービスA〜D、・・・の予測データ多重処理時間A2〜D2、・・・を予測する。
そして、次式が成り立つ場合には、データ多重処理部21は、従来方式に従って、サービスデータのデータ多重処理をおこなう。
また、次式が成り立つ場合には、データ多重処理部21は、多重制御部22による制御に従って、データ多重の制御(多重制御)をおこなう。
次に、第1実施形態の一例にかかるデータ処理部の詳細構成について説明する。図5は、第1実施形態の一例にかかるデータ処理部の詳細構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、データ処理部20aは、サービスデータ組み立て部21と、多重制御部22とを有する。
サービスデータ組み立て部21は、データ多重処理部21aと、データ管理部21bと、API(Application Program Interface)部21cと、データ転送部21dとを有する。
データ多重処理部21aは、携帯電話端末装置200ごとおよびサービスごとに、サービスデータの多重処理(組み立て)をおこなう。データ管理部21bは、データ受信部10にサービスデータが到着する度に、図6−1に示すようなサービスデータ管理テーブルに、携帯電話端末装置200ごとおよびサービスごとに、データ受信部10におけるサービスデータの格納アドレスを記憶する。
データ多重処理部21aは、サービスデータ管理テーブルのサービスデータの格納アドレスを参照して、データ多重に必要なサービスデータを、データ受信部10から取り出して多重する。
また、API部21cは、基地局100の上位制御アプリケーションから受け渡されるサービス情報を、データ多重処理部21aに受け渡す。サービス情報は、例えば、図6−2に示すように、現在通信中の携帯電話端末装置200およびサービス種別を少なくとも含む。
データ多重処理部21aは、例えば、API部21cから受け渡されたサービス情報に基づいて、データ管理部21bに格納されるサービスデータ管理テーブルを参照して、携帯電話端末装置200およびサービス種別を特定して、対応するサービスデータの格納アドレスを取得する。
そして、データ多重処理部21aは、データ受信部10から、取得した格納アドレスに格納されるサービスデータを取得して、データ多重をおこなう。最後に、データ多重処理部21aは、データ多重したデータを、データ転送部21dを介して、符号処理部30へと出力する。
一方、多重制御部22は、予測処理時間算出部22aと、処理時間割り当て処理部22bと、データ多重用テーブル格納部22cと、規定処理時間判定部22dとを有する。予測処理時間算出部22aは、データ管理部21bに格納されるサービスデータ管理テーブルの携帯電話端末装置200およびサービスの組み合わせに基づいて、対応するサービスデータをデータ多重処理部21aにおけるデータ多重処理に必要な予測データ多重処理時間を予測する。
予測処理時間算出部22aによって予測された予測データ多重処理時間は、図7に一例を示す、データ多重用テーブル格納部22cに格納されるデータ多重用テーブルに、対応する携帯電話端末装置200およびサービスの「予測データ多重処理時間」のカラムに格納される。
そして、予測処理時間算出部22aは、予測データ多重処理時間の予測が終了したことを、処理時間割り当て処理部22bに対して通知する。処理時間割り当て処理部22bは、予測データ多重処理時間の予測が終了した通知を受けると、規定処理時間判定部22dに対して、規定処理時間判定処理を指示する。
規定処理時間判定部22dは、上記(1)式または上記(2)式のいずれの関係式が成り立つかを判定することによって、規定処理時間判定処理をおこなう。規定処理時間判定処理は、具体的には、データ多重用テーブル格納部22cに格納されるすべての「予測データ多重処理時間」を合計し、上記(1)式または上記(2)式のいずれの関係式が成り立つか判定する。
上記(1)式が成り立つ場合には、規定処理時間判定部22dは、多重制御部22によらず、従来通りの方式によって、携帯電話端末装置200ごとおよびサービスごとにサービスデータをデータ多重するように、データ多重処理部21aに対して指示する。
一方、上記(2)式が成り立つ場合には、規定処理時間判定部22dは、処理時間割り当て処理部22bに対して、すべての携帯電話端末装置200に対して、規定処理時間X(例えば、300ミリ秒)を、均等に割り当てる処理をおこなう。
すなわち、第1実施形態の一例では、図7に一例を示すデータ多重用テーブルによれば、携帯電話端末装置200は、携帯電話端末装置1〜6の6台がサービス利用中であるので、この6台に均等に50ミリ秒ずつ、データ多重処理時間を割り当てて、この「50ミリ秒」の値を、各携帯電話端末装置1〜6それぞれの「割り当てが可能な処理時間」のカラムに格納する。この処理が終了すると、処理時間割り当て処理部22bは、規定処理時間判定部22dへ、データ多重処理時間の割り当ての終了を通知する。
規定処理時間判定部22dは、処理時間割り当て処理部22bによるデータ多重処理時間の割り当て終了の通知を受けると、データ多重処理部21aに対して、各携帯電話端末装置200に割り当てられた処理時間内にデータ多重可能なサービスデータを最大限抽出して、データ多重をおこなう。
このデータ多重の際に、規定処理時間判定部22dは、携帯電話端末装置200の優先度、または、携帯電話端末装置200の優先度および携帯電話端末装置200ごとのサービスの優先度に応じて、優先度が高い携帯電話端末装置200またはサービスを優先させて、データ多重をおこなうこととしてもよい。
次に、第1実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理について説明する。図8は、第1実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、予測処理時間算出部22aは、多重すべきサービスに対応するサービスデータ多重処理に必要な時間を算出する(ステップS101)。
次に、規定処理時間判定部22dは、「規定処理時間≧全携帯電話端末装置の予測データ多重処理時間」、すなわち、上記(1)式が成り立つか否かを判定する(ステップS102)。上記(1)式が成り立つと判定された場合に(ステップS102肯定)、データ多重判定処理は終了し、上記(1)式が成り立つと判定されなかった場合に(ステップS102否定)、ステップS103へ移る。
ステップS103では、処理時間割り当て処理部22bは、各携帯電話端末装置200へのデータ多重処理のための割り当て時間を、規定処理時間をサービス利用中のすべての携帯電話端末装置の台数で均等に割ることによって算出する。
続いて、規定処理時間判定部22dは、処理時間割り当て処理部22bによって算出された平均割り当て時間内でデータ多重可能なサービスデータ数(データ多重数)を、携帯電話端末装置200ごとに算出する(ステップS104)。この処理が終了すると、データ多重判定処理は終了する。
例えば、図8に示した、第1実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理をおこなった結果は、図9に示すようになる。図9は、第1実施形態の一例のデータ多重方法の概略を示す図である。規定処理時間は、「300ミリ秒」、サービス利用中の携帯電話端末装置は6であることを前提とする。
同図に示すように、各携帯電話端末装置1〜6には、それぞれ「50ミリ秒」のデータ多重(データ組み立て)時間が割り当てられている。各携帯電話端末装置200に割り当てられた「50ミリ秒」のデータ多重処理時間内にデータ多重処理可能なサービスデータを最大限抽出して、データ多重をおこなった場合、携帯電話端末装置1は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが1つ、今回のデータ多重によっては多重されず、次回以降のデータ多重処理に回される。
同様に、携帯電話端末装置2は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが1つ、携帯電話端末装置3は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが1つ、携帯電話端末装置4は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが2つ、携帯電話端末装置5は、データ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータが1つおよびデータ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが1つ、携帯電話端末装置6は、データ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータ1つが、今回の多重処理によってデータ多重されず、次回以降のデータ多重処理に回される。
上記第1実施形態の一例によれば、すべての携帯電話端末装置のいずれかのサービスは必ずデータ多重されることになるので、各携帯電話端末装置200のユーザが、サービス要求への応答が全くないといった不都合を回避し、サービス提供の公平性を確保することができる。
次に、図10〜図13を参照して、第2実施形態の一例を説明する。図10に示す第2実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20bの構成は、第1実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20aの構成と同一であり、処理が異なるのみであるので、差異部分のみについて説明する。
データ処理部20bの処理時間割り当て処理部22b−1は、各携帯電話端末装置200へのデータ多重処理のための割り当て時間として、携帯電話端末装置200ごとに、最小限必要な割り当て時間を算出する。
例えば、第2実施形態の一例では、図11に一例を示すデータ多重用テーブルによれば、携帯電話端末装置200は、携帯電話端末装置1〜6の6台がサービス利用中である。ここで、各携帯電話端末装置1〜6において、サービスの優先度を考慮すると、それぞれ最低40ミリ秒ずつ、データ多重処理時間が必要であるとする。
よって、各携帯電話端末装置1〜6に40ミリ秒ずつデータ多重のための時間を割り当てて、この「40ミリ秒」の値を、各携帯電話端末装置1〜6それぞれの「割り当てが可能な処理時間」のカラムに格納する。
しかし、規定処理時間判定部22d−1によって、規定処理時間は300ミリ秒であるので、なお「60ミリ秒」のマージンが残ると判定される。そこで、処理時間割り当て処理部22b−1は、携帯電話端末装置1〜6の優先度を考慮して、「60ミリ秒」のマージンを、携帯電話端末装置1〜6に追加して割り当てる。
例えば、優先度が上位3位までの携帯電話端末装置1〜3に、さらに10ミリ秒ずつ均等に、データ多重のための時間を追加して割り当てる。すなわち、携帯電話端末装置1〜3の「割り当てが可能な処理時間」は、「40ミリ秒」から「60ミリ秒」へと増加することとなる。この処理が終了すると、処理時間割り当て処理部22b−1は、規定処理時間判定部22d−1へ、データ多重処理時間の割り当ての終了を通知する。
なお、データ多重のための時間の追加割り当ての方法は、上記に限定されず、優先度が最も高い携帯電話端末装置1のみに「60ミリ秒」すべてを、データ多重処理時間として追加割り当てしてもよい。
または、優先度が一定順位までの携帯電話端末装置に対して、均等または傾斜配分によって、「60ミリ秒」分をデータ多重処理時間として追加割り当てしてもよい。または、優先度に応じて、すべての携帯電話端末装置1〜6に、「60ミリ秒」を、傾斜配分によりデータ多重処理時間として追加割り当てしてもよい。
次に、第2実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理について説明する。図12は、第2実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートである。なお、図8に示した第1実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートとの差異部分のみ説明する。なお、同一の処理は、同一のステップ番号を付与している。
規定処理時間判定部22d−1が、「規定処理時間≧全携帯電話端末装置の予測データ多重処理時間」、すなわち、上記(1)式が成り立つと判定した場合に(ステップS102肯定)、データ多重判定処理は終了し、上記(1)式が成り立つと判定されなかった場合に(ステップS102否定)、ステップS113へ移る。
ステップS113では、処理時間割り当て処理部22b−1は、各携帯電話端末装置200へのデータ多重処理のための割り当て時間を、規定処理時間をサービス利用中のすべての携帯電話端末装置ごとにデータ多重に必要な最低時間Uminを算出する。
続いて、規定処理時間判定部22d−1は、すべての携帯電話端末装置にわたる、上記のデータ多重に必要な最低時間の合計ΣUminが、データ多重のための規定処理時間以下である(規定処理時間≧ΣUmin)か否かを判定する(ステップS114)。
データ多重に必要な最低時間の合計ΣUminが、データ多重のための規定処理時間以下であると判定された場合に(ステップS114肯定)、ステップS115へ移り、データ多重に必要な最低時間の合計が、データ多重のための規定処理時間以下であると判定されなかった場合に(ステップS114否定)、ステップS104へ移る。
ステップS115では、処理時間割り当て処理部22b−1は、各携帯電話端末装置200へのデータ多重処理のための割り当て時間を、規定処理時間からΣUminを差し引いた割り当て時間の残余時間を、サービス利用中の携帯電話端末装置の優先度に応じて、追加割り当てする。この処理が終了すると、ステップS104へ移る。
例えば、図12に示した、第2実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理をおこなった結果は、図13に示すようになる。図13は、第2実施形態の一例にかかるデータ多重方法の概略を示す図である。規定処理時間は、「300ミリ秒」、サービス利用中の携帯電話端末装置は6であることを前提とする。
同図に示すように、当初は、各携帯電話端末装置1〜6に、それぞれ「40ミリ秒」ずつ、データ多重時間として割り当てられていた。そして、割り当て時間の残余時間「60ミリ秒」を、優先度に応じて、携帯電話端末装置1〜3に、「20ミリ秒」ずつ追加して割り当てられる。よって、携帯電話端末装置1〜3へのデータ多重のために割り当てられた処理時間はそれぞれ「60ミリ秒」になる。
そして、「60ミリ秒」以内にデータ多重可能なサービスデータを最大限抽出して、データの組立てをおこなった場合、携帯電話端末装置1〜3は、すべてのサービスデータが、今回のデータ多重によって多重されることとなる。
しかし、携帯電話端末装置4は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが3つ、携帯電話端末装置5は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが2つおよびデータ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータが1つ、携帯電話端末装置6は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータ1つおよびデータ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータ1つが、今回のデータ多重処理によってデータ多重されず、次回以降のデータ多重処理に回される。
上記第2実施形態の一例によれば、携帯電話端末装置200ごとサービスごとの予測データ多重処理時間をもとに、各携帯電話端末装置200に最低限必要な割当て時間を確保することが可能になり、全くサービスデータを受信できないユーザの発生を回避し、サービス提供の公平性を確保することができる。
さらに、各携帯電話端末装置200へデータ多重割り当て時間を割り当てた後に、優先度の高い携帯電話端末装置200には、さらにデータ多重割り当て時間を、追加して割り当てるので、割り当て可能な規定処理時間を最大限に使用することができる。
次に、図14〜図17を参照して、第3実施形態の一例を説明する。図14に示す第3実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20cの構成は、第1実施形態および第2実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20aおよびデータ処理部20bに、データ多重の実処理時間を計測して、データ多重割り当て時間をフィードバック制御する構成が追加となっている以外は同一であるので、差異部分のみについて説明する。
第3実施形態の一例にかかるデータ処理部20cのサービスデータ組み立て部21−1は、データ多重処理部21aによって、携帯電話端末装置200ごとサービスごとにサービスデータの多重処理に要した実時間を計測するデータ多重処理実時間計測部21eをさらに有する。
また、データ処理部20cの多重制御部22−1は、データ多重処理実時間計測部21eによって計測された携帯電話端末装置200ごとサービスごとのサービスデータの多重処理に要した実時間を、予測処理時間算出部22aによるデータ多重処理の予測時間に反映させる処理時間フィードバック部22eを有する。
すなわち、予測処理時間算出部22aは、処理時間フィードバック部22eから受け渡された、データ多重処理実時間計測部21eによって計測された携帯電話端末装置200ごとサービスごとのサービスデータの多重処理に要したデータ多重処理実時間を以って、データ多重処理の予測時間を算出する。
ただし、予測処理時間算出部22aは、データ多重処理実時間計測部21eによって計測されたサービスデータの多重処理に要した実時間のデータが存在しない携帯電話端末装置200のサービスのデータ多重処理の予測時間は、第1実施形態の一例または第2実施形態の一例に示した方法で算出する。
例えば、第3実施形態の一例では、図15に一例を示すデータ多重用テーブルによれば、携帯電話端末装置200は、携帯電話端末装置1〜6の6台がサービス利用中である。ここで、携帯電話端末装置1において、データ多重処理実時間計測部21eによってサービスごとのサービスデータの多重処理に要したデータ多重処理実時間が計測されたとする。
このサービスごとのサービスデータの多重処理に要した実時間は、図15によれば、サービスAおよびサービスBがそれぞれ「10ミリ秒」、サービスCおよびサービスDがそれぞれ「5ミリ秒」であり、これらの数値がデータ多重用テーブルの「フィードバック補正値」のカラムに格納される。
すなわち、携帯電話端末装置1において、合計で「30ミリ秒」だけ、予測データ多重処理時間よりデータ多重処理実時間の方が少ない。よって、この「30ミリ秒」を、他の携帯電話端末装置2〜6への追加割り当て可能なデータ多重処理時間とすることができる。
このデータ多重処理時間の追加割り当ては、処理時間割り当て処理部22bまたは処理時間割り当て処理部22b−1によっておこなわれる。例えば、当初割り当てられたデータ多重処理時間では、すべてのサービスデータを多重することができなかった携帯電話端末装置4〜6が、データ多重処理時間の追加割り当て対象となる。
さらに、携帯電話端末装置4〜6のうち、優先度に応じて、例えば、優先度が最も高い携帯電話端末装置4に対して、「30ミリ秒」すべてのデータ多重処理時間の再割り当てをおこなう。
なお、データ多重処理時間の追加割り当て方法は、上記に限定されず、優先度が一定順位までの携帯電話端末装置に対して、均等または傾斜配分によって、「30ミリ秒」を、データ多重のための時間として追加して割り当ててもよい。
または、優先度に応じて、携帯電話端末装置1以外のすべての携帯電話端末装置2〜6に、「30ミリ秒」を、データ多重のための時間として傾斜配分して追加して割り当ててもよい。
次に、第3実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理について説明する。図16は、第3実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートである。なお、図8および図12に示した第1実施形態および第2実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートとの差異部分のみ説明する。なお、同一の処理は、同一のステップ番号を付与している。
先ず、処理時間フィードバック部22eは、サービスデータの初回送信であるか否かを、すなわち、データ多重処理実時間計測部21eによって計測された携帯電話端末ごとサービスごとのデータ多重処理実時間のデータが存在するか否かを判定する(ステップS121)。
サービスデータの初回送信であると判定された場合に(ステップS121肯定)、ステップS101へ移り、サービスデータの初回送信であると判定されなかった場合に(ステップS121否定)、ステップS122へ移る。
ステップS122では、処理時間フィードバック部22eは、データ多重処理実時間計測部21eによって計測された携帯電話端末装置200ごとサービスごとのサービスデータの多重処理に要したデータ多重処理実時間を以って、データ多重処理の予測時間を算出する。
なお、ステップS122では、予測処理時間算出部22aは、データ多重処理実時間計測部21eによって計測されたサービスデータの多重処理に要した実時間のデータが存在しない携帯電話端末装置200のサービスのデータ多重処理の予測時間は、第1実施形態の一例または第2実施形態の一例に示した方法で算出する。ステップS122が終了すると、ステップS101へ移る。ステップS101以降は、第2実施形態の一例で示したデータ多重判定処理と同一である。
例えば、図16に示した、第3実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理をおこなった結果は、図17に示すようになる。図17は、第3実施形態の一例にかかるデータ多重方法の概略を示す図である。規定処理時間は、「300ミリ秒」、サービス利用中の携帯電話端末装置は6であることを前提とする。
同図に示すように、当初は、携帯電話端末装置1〜3にはそれぞれ「60ミリ秒」、携帯電話端末装置4〜6にはそれぞれ「40ミリ秒」のデータ多重時間が割り当てられていた。
そして、携帯電話端末装置1のデータ多重実処理時間が予測時間より「30ミリ秒」少なかったので、優先度に応じて、サービスデータのすべての多重処理が完了しなかった携帯電話端末装置4に対して、「30ミリ秒」を追加して割り当てる。よって、携帯電話端末装置1〜6へデータ多重のために割り当てられた処理時間はそれぞれ「30ミリ秒」、「60ミリ秒」、「60ミリ秒」、「70ミリ秒」、「40ミリ秒」、「40ミリ秒」になる。
そして、携帯電話端末装置1〜6へ割り当てられた各データ多重処理時間以内にデータ多重可能なサービスデータを最大限抽出して、データの組立てをおこなった場合、携帯電話端末装置1〜4は、すべてのサービスデータが、今回のデータ多重によって多重されることとなる。
しかし、携帯電話端末装置5は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータが2つおよびデータ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータが1つ、携帯電話端末装置6は、データ多重処理時間が「10ミリ秒」のサービスデータ1つおよびデータ多重処理時間が「20ミリ秒」のサービスデータ1つが、今回の多重処理によってデータ多重されず、次回以降のデータ多重処理に回される。
上記第3実施形態の一例によれば、携帯電話端末装置200ごとサービスごとの予測データ多重処理時間に対するデータ多重処理実時間のフィードバック制御をおこなうので、データ多重処理をさらに効率的におこなうことができる。
なお、データ多重処理実時間計測部21eは、データ多重実処理時間を、携帯電話端末装置ごとおよび/または携帯電話端末装置ごとサービスごとに統計的に累計する。そして、処理時間フィードバック部22eは、データ多重処理実時間計測部21eによって統計的に累計された、携帯電話端末装置ごとおよび/または携帯電話端末装置ごとサービスごとのデータ多重実処理時間に対して、平均算出などの各種統計処理をおこなう。そして、処理時間フィードバック部22eは、予測処理時間算出部22aによって予測された各携帯電話端末装置へのサービスデータのデータ多重処理時間、および、処理時間割り当て処理部22bまたは処理時間割り当て処理部22b−1によって各携帯電話端末装置に割り当てられたデータ多重割り当て時間をフィードバック制御により補正することとしてもよい。
このように、統計処理結果に基づき、データ多重割り当て時間をフィードバック制御により補正することによって、データ多重処理時間の精度が向上し、さらに効率的にデータ多重処理をおこなうことが可能になる。
次に、図18〜図21を参照して、第4実施形態の一例を説明する。図18に示す第4実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20d及び多重制御部22−2の構成は、第3実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局の多重制御部22−1のデータ多重用テーブル格納部22cの機能、及び、他の機能ブロックとのデータ接続関係が異なる以外は同一であるので、差異部分のみについて説明する。
第4実施形態の一例は、携帯電話端末装置200のユーザが基地局100とサービス接続した際に、ユーザへ提供するサービスデータ多重に要した実処理時間の情報を携帯電話端末装置200ごと、サービスごとに記憶しておく。
そして、次に、携帯電話端末装置200のユーザが基地局100とサービス接続した際に、実処理時間の情報が記録されていれば、該実処理時間を予測データ多重処理時間として、予測データ多重処理時間算出処理を省略する。このようにすることによって、携帯電話端末装置200のユーザが基地局100とサービス接続する際に、より迅速にサービスデータ多重処理を行うことができる。
第4実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ多重用テーブル格納部22c−1のデータ多重用テーブルには、処理時間フィードバック部22eによって、携帯電話端末装置200ごとサービスごとのサービスデータの多重処理に要した実時間が記録される。
すなわち、データ多重用テーブルは、ユーザに多重されたサービスを多重処理中にフィードバックしている実処理時間をデータベースとして蓄積する。また、新規ユーザまたはサービス追加時は、蓄積された実処理時間から同一ユーザの同一サービスまたは他のユーザの同一サービスの実処理時間を抽出し、予測データ多重処理時間に設定する。
なお、新規ユーザまたはサービス追加時は、蓄積された実処理時間から同一ユーザの同一サービスまたは他のユーザの同一サービスの実処理時間を抽出する際には、該実処理時間が記録された日時が最新のものを抽出する方法、実処理時間の平均を取って予測データ多重処理時間に設定する方法、サービスごとに予め定められた初期値を使用する方法など、様々な方法がある。
次に、第4実施形態の一例にかかるデータ多重用テーブルについて説明する。図19は、第4実施形態の一例にかかるデータ多重用テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、第1実施形態にかかるデータ多重用テーブルに、「実処理時間」のカラムを追加したものとなっている。「実処理時間」のカラムには、実処理時間とともに該実処理時間のフィードバックにより日時が記録される。なお、図19では、携帯電話端末装置1〜3のすべてについて実処理時間及びタイムスタンプが記録されているが、携帯電話端末装置が始めてサービス提供を受ける場合、若しくは、新しいサービスの提供を受ける場合は、実処理時間のデータが存在しないので、“Null”が格納されている。
次に、第4実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理について説明する。図20は、第4実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、予測処理時間算出部22aは、異なるIDを有する携帯端末装置ごと、ユーザごとに見て、今回のサービスデータ送信が初回送信であるか否かを判定する(ステップS201)。今回のサービスデータ送信が初回送信であると判定された場合に(ステップS201肯定)、ステップS202へ移り、今回のサービスデータ送信が初回送信であると判定されなかった場合に(ステップS201否定)、ステップS205へ移る。
ステップS202では、予測処理時間算出部22aは、データ多重用テーブル格納部22c−1のデータ多重用テーブルを参照し、該当する携帯端末装置およびサービス、若しくは該当するサービスにフィードバックされた実処理時間が有るか否かを判定する(ステップS202)。該当する携帯端末装置およびサービス、若しくは該当するサービスにフィードバックされた実処理時間が有ると判定された場合に(ステップS202肯定)。ステップS203へ移り、該当する携帯端末装置およびサービス、若しくは該当するサービスにフィードバックされた実処理時間が有ると判定されなかった場合に(ステップS202否定)、ステップS204へ移る。
ステップS203では、予測処理時間算出部22aは、データ多重用テーブルの予測データ多重処理時間に、フィードバックされた実処理時間を格納する。ステップS204では、予測処理時間算出部22aは、多重すべきサービスに対応するサービスデータ多重処理に必要な時間を予測する。また、ステップS205では、予測処理時間算出部22aは、ステップS203と同一の処理をおこなう。これらの処理が終了すると、ステップS206へ移る。
なお、ステップS203では、予測処理時間算出部22aは、該当する携帯端末装置200及びサービス、または、該当するサービスのフィードバックされた実処理時間データが複数ある場合には、複数の実処理時間データうち、最新の実処理時間データ、最長時間の実処理時間データまたは複数の実処理時間データの平均などを多重用テーブルの予測データ多重処理時間に格納することとしてもよい。
ステップS206では、予測処理時間算出部22aは、全てのユーザおよび全てのサービスについて予測データ多重処理時間が算出されたか否かを判定する。全てのユーザおよび全てのサービスについて予測データ多重処理時間が算出されたと判定された場合に(ステップS206肯定)、ステップS207へ移り、全てのユーザおよび全てのサービスについて予測データ多重処理時間が算出されたと判定されなかった場合に(ステップS206否定)、ステップS201へ移る。
なお、ステップS207、ステップS208、ステップS209は、第1実施形態の一例にかかるステップS102、ステップS103、ステップS104とそれぞれ同一の処理である。
以上のステップS201〜ステップS206の処理をおこなうことによって、予測データ多重処理時間算出処理を省略することができる場合があるので、より迅速にサービスデータ多重処理を行うことができる。また、新規ユーザ又は新規サービス追加時のスループット低下の確率を低減することが可能となる。また、予測データ多重処理時間に対して、実処理時間を蓄積したデータベースを元にデータ多重処理をおこなうことにより、効率的にデータ多重処理を行うことができる。
例えば、図21に第4実施形態の一例にかかるデータ多重方法の概略を示すように、全てのデータ多重の実処理時間が分かっている場合、予測上のデータ組み立て状態、実際のデータ組み立て状態およびデータ組み立て結果のタイムチャートは全て一致し、予測データ多重処理時間算出を省略でき、迅速なデータ多重処理がおこなえることが分かる。
次に、図22及び図23を参照して、第5実施形態の一例を説明する。第5実施形態の一例は、各ユーザに多重されるサービス毎の予測処理時間から全ユーザ分の予測処理時間を算出し、規定時間内に収まる場合はデータ多重制限を行わない。規定処理時間内に収まらないと予測された場合、データ多重数の制限(組み立て不可とされるサービスが生じる)を行う。一方で、各ユーザ(サービス)データ組み立て後、規定時間からデータ組み立て時間を差し引いた処理可能時間に対し、組み立て不可としたサービスの処理予測時間がおさまる場合、追加でデータ組み立てをおこなう実施形態である。
第5実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20eの構成は、第4実施形態の一例にかかる携帯電話端末装置通信システムの無線基地局のデータ処理部20dと構成が同一であるので、説明を省略する。
次に、第5実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理について説明する。図22は、第5実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理手順を示すフローチャートである。なお、同図に示すステップS211〜ステップS219の処理は、第4実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理のステップS201〜ステップS209とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
ステップS219の処理が終了すると、ステップS220へ移る。ステップS220では、データ多重処理部21aは、サービス多重処理をおこなう。続いて、処理時間割り当て処理部22b(または22b−1)は、「(規定処理時間−実処理時間)>多重不可とした予測時間」が成り立つか否かを判定する(ステップS221)。ここで、“多重不可とした予測時間”とは、データ多重処理されなかったデータの予測データ多重処理時間である。
「(規定処理時間−実処理時間)>多重不可とした予測時間」が成り立つと判定された場合に(ステップS221肯定)、ステップS22へ移り、「(規定処理時間−実処理時間)>多重不可とした予測時間」が成り立つと判定されなかった場合に(ステップS221否定)、第5実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理は終了する。
ステップS222では、処理時間割り当て処理部22b(または22b−1)は、「(規定処理時間−実処理時間)>多重不可とした予測時間」を上限として、各ユーザ、各サービスの優先順位に従って、若しくは、ランダムにユーザ及びサービスを選択して、各ユーザのデータ多重数を追加する。この処理が終了すると、第5実施形態の一例にかかるデータ多重判定処理は終了する。
例えば、図23に第5実施形態の一例にかかるデータ多重方法の概略を示すように、予測上のデータ組み立て状態に従えば多重されないデータも、データ多重処理の実時間を反映した実際のデータ組み立て状態からすると、データ多重可能である場合がある。この場合、先ず、予想データ多重時間のデータ組立て状態に従ってデータを多重し、余った時間を予測上のデータ組み立て状態に従って多重されなかったデータを多重することができる。すなわち、予測データ多重処理時間では多重不可であったサービスが多重可能となるため、基地局100のデータ処理部20e、特に、サービスデータ組み立て部21−1のスループットが向上する。
なお、データ多重処理の実処理時間は、携帯電話端末装置200が別の基地局100の圏内へと移動した場合に、ハンドオーバー情報として、携帯電話端末装置ID及びサービスの識別情報とともに、ハンドオーバー先の基地局100へと受け渡されることとしてもよい。このようにすると、携帯電話端末装置200がいずれの基地局100の圏内にあっても、基地局100が上記第4実施形態の一例および/または第5実施形態の一例で示した基地局であれば、スムースなサービス多重処理をおこなうことが可能になる。
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、さらに種々の異なる実施形態で実施されてもよいものである。また、実施形態に記載した効果は、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
以上の第1実施形態の一例〜第5実施形態の一例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)移動体通信システムにおいて、移動体通信端末から送信されてきたサービスの要求に応じて提供されるデータを、前記移動体通信端末ごとに、ベースバンド処理部で処理して前記移動体通信端末へ送信する移動体通信無線基地局装置であって、
前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを前記ベースバンド処理部で処理するために必要なデータ処理時間を、前記サービスごとに予測するデータ処理時間予測部と、
前記データ処理時間予測部によって算出された、すべての前記移動体通信端末にわたる前記データ処理時間の合計が、あらかじめ規定されている規定処理時間を超過する場合に、各前記移動体通信端末に、前記規定処理時間を分割した分割規定処理時間をそれぞれ割り当てる分割規定処理時間割り当て部と
前記分割規定処理時間割り当て部によって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間内に収まるように、前記移動体通信端末ごとの前記サービス要求に応じて提供されるデータを多重処理するデータ多重処理部と
を有することを特徴とする移動体通信無線基地局装置。
(付記2)前記データ多重処理部は、前記分割規定処理時間割り当て部によって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間に多重処理できなかったデータを、前記分割規定処理時間割り当て部によって次回に割り当てられる分割規定処理時間で多重処理することを特徴とする付記1に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記3)前記分割規定処理時間割り当て部は、前記移動体通信端末に、前記規定処理時間を均等に分割した前記分割規定処理時間を割り当てることを特徴とする付記1または2に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記4)前記データ処理時間予測部は、前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために必要最低限の必要最低限データ処理時間をさらに予測し、
前記分割規定処理時間割り当て部は、前記サービス要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末の前記必要最低限データ処理時間の合計が、前記規定処理時間を超過しない場合に、前記規定処理時間から前記必要最低限データ処理時間の合計を差し引いた差を、あらかじめ定められた優先順位に従って、前記移動体通信端末にさらに割り当てることを特徴とする付記1または2に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記5)前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために実際に要したデータ実処理時間を、前記サービスごとに計測するデータ実処理時間計測部と、
前記データ実処理時間計測部によって計測された前記データ実処理時間に基づき、前記データ処理時間予測部によって予測された前記データ処理時間、および、前記分割規定処理時間割り当て部によって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間を補正する割り当て時間補正部と
をさらに有することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記6)前記データ実処理時間計測部は、前記データ実処理時間を、前記移動体通信端末ごとおよび/または前記移動体通信端末ごと前記サービスごとに累計し、
前記割り当て時間補正部は、前記データ実処理時間計測部によって累計された、前記移動体通信端末ごとおよび/または前記移動体通信端末ごと前記サービスごとの前記データ実処理時間に基づき、前記データ処理時間予測部によって予測された前記データ処理時間、および、前記分割規定処理時間割り当て部によって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間を補正することを特徴とする付記5に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記7)前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために実際に要したデータ実処理時間を、前記サービスごとに計測するデータ実処理時間計測部と、
前記データ実処理時間計測部によって計測された前記データ実処理時間を蓄積記録する実処理時間蓄積記録部と
をさらに有し、
前記データ処理時間予測部は、該当する移動体通信端末及びサービス、又は、該当するサービスの実処理時間が前記実処理時間蓄積記録部に蓄積記録されている場合に、前記実処理時間を予測した前記データ処理時間とする
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記8)前記実処理時間蓄積記録部は、前記データ実処理時間の記録日時とともに前記データ実処理時間を蓄積記録し、
前記データ処理時間予測部は、該当する移動体通信端末及びサービスの実処理時間、又は、該当するサービスの実処理時間が前記実処理時間蓄積記録部に複数蓄積記録されている場合に、記録日時が最新の実処理時間、最長の実処理時間または複数の実処理時間の平均を予測した前記データ処理時間とする
ことを特徴とする付記7に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記9)前記分割規定処理時間割り当て部は、前記規定処理時間と移動体通信端末すべてにわたる前記分割規定処理時間の合計との差が、前記データ多重処理部によって多重処理されなかったサービスの前記データ処理時間をこえる場合に、前記多重処理されなかったサービスをさらに多重処理することを特徴とする付記7または8に記載の移動体通信無線基地局装置。
(付記10)移動体通信システムにおいて、移動体通信端末から送信されてきたサービスの要求に応じて提供されるデータを、前記移動体通信端末ごとに、ベースバンド処理部で処理して前記移動体通信端末へ送信する移動体通信無線基地局装置がおこなう移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法であって、
前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを前記ベースバンド処理部で処理するために必要なデータ処理時間を、前記サービスごとに予測するデータ処理時間予測ステップと、
前記データ処理時間予測ステップによって算出された、すべての前記移動体通信端末にわたる前記データ処理時間の合計が、あらかじめ規定されている規定処理時間を超過する場合に、各前記移動体通信端末に、前記規定処理時間を分割した分割規定処理時間をそれぞれ割り当てる分割規定処理時間割り当てステップと
前記分割規定処理時間割り当てステップによって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間内に収まるように、前記移動体通信端末ごとの前記サービス要求に応じて提供されるデータを多重処理するデータ多重処理ステップと
を有することを特徴とする移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記11)前記データ多重処理ステップは、前記分割規定処理時間割り当てステップによって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間に多重処理できなかったデータを、前記分割規定処理時間割り当てステップによって次回に割り当てられる分割規定処理時間で多重処理することを特徴とする付記10に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記12)前記分割規定処理時間割り当てステップは、前記移動体通信端末に、前記規定処理時間を均等に分割した前記分割規定処理時間を割り当てることを特徴とする付記10または11に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記13)前記データ処理時間予測ステップは、前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために必要最低限の必要最低限データ処理時間をさらに予測し、
前記分割規定処理時間割り当てステップは、前記サービス要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末の前記必要最低限データ処理時間の合計が、前記規定処理時間を超過しない場合に、前記規定処理時間から前記必要最低限データ処理時間の合計を差し引いた差を、あらかじめ定められた優先順位に従って、前記移動体通信端末にさらに割り当てることを特徴とする付記10または11に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記14)前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために実際に要したデータ実処理時間を、前記サービスごとに計測するデータ実処理時間計測ステップと、
前記データ実処理時間計測ステップによって計測された前記データ実処理時間に基づき、前記データ処理時間予測ステップによって予測された前記データ処理時間、および、前記分割規定処理時間割り当てステップによって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間を補正する割り当て時間補正ステップと
を含むことを特徴とする付記10〜13のいずれか一つに記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記15)前記データ実処理時間計測ステップは、前記データ実処理時間を、前記移動体通信端末ごとおよび/または前記移動体通信端末ごと前記サービスごとに累計し、
前記割り当て時間補正ステップは、前記データ実処理時間計測ステップによって累計された、前記移動体通信端末ごとおよび/または前記移動体通信端末ごと前記サービスごとの前記データ実処理時間に基づき、前記データ処理時間予測ステップによって予測された前記データ処理時間、および、前記分割規定処理時間割り当てステップによって各前記移動体通信端末に割り当てられた前記分割規定処理時間を補正することを特徴とする付記14に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記16)前記サービスの要求を送信してきたすべての前記移動体通信端末について、前記サービス要求に応じて提供されるデータを処理するために実際に要したデータ実処理時間を、前記サービスごとに計測するデータ実処理時間計測ステップと、
前記データ実処理時間計測ステップによって計測された前記データ実処理時間を蓄積記録する実処理時間蓄積記録部に蓄積記録する実処理時間蓄積記録ステップと
をさら含み、
前記データ処理時間予測ステップは、該当する移動体通信端末及びサービス、又は、該当するサービスの実処理時間が前記実処理時間蓄積記録部に蓄積記録されている場合に、前記実処理時間を予測した前記データ処理時間とする
ことを特徴とする付記10〜13のいずれか一つに記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記17)前記実処理時間蓄積記録ステップは、前記データ実処理時間の記録日時とともに前記データ実処理時間を蓄積記録し、
前記データ処理時間予測ステップは、該当する移動体通信端末及びサービスの実処理時間、又は、該当するサービスの実処理時間が前記実処理時間蓄積記録部に複数蓄積記録されている場合に、記録日時が最新の実処理時間、最長の実処理時間または複数の実処理時間の平均を予測した前記データ処理時間とする
ことを特徴とする付記16に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。
(付記18)前記分割規定処理時間割り当てステップは、前記規定処理時間と移動体通信端末すべてにわたる前記分割規定処理時間の合計との差が、前記データ多重処理部によって多重処理されなかったサービスの前記データ処理時間をこえる場合に、前記多重処理されなかったサービスをさらに多重処理することを特徴とする付記16または17に記載の移動体通信無線基地局装置におけるデータ多重処理方法。