JP5140304B2 - フコキサンチンとフコイダンの同時製造方法 - Google Patents

フコキサンチンとフコイダンの同時製造方法 Download PDF

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本発明は、オキナワモズクを原料として、フコキサンチンとフコイダンとを同時に抽出によって入手するフコキサンチンとフコイダンの製造方法に関する。
従来から、コンブ、ワカメ、オキナワモズクなどの海藻類にはフコイダンやフコキサンチンといった硫酸化多糖やカロテノイドが含まれており、そのうちのフコイダンは優れた抗コレステロール作用、血液清澄作用、抗血液凝固作用、抗腫瘍作用などの、またフコキサンチンもコレステロール低減作用、抗腫瘍作用、神経細胞保護効果などの種々の薬理効果を有することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
従って、フコイダンやフコキサンチンは、このような優れた作用を有するため、これらの薬理作用を利用する医薬品だけでなく、天然の海藻類から得られる安全性の高い物質であるため、広く化粧品や健康食品などへの利用も検討されている。
そして、従来からこのようなフコイダンやフコキサンチンを効率的に入手するために、種々の方法が試みられている。
例えば、フコイダンについては、海藻類から水や温水、塩酸を用いて抽出して高粘性のフコイダン含有溶液を得る方法(例えば、特許文献3参照)、モズクから60〜100℃の熱水を用いて抽出してフコイダンを含む熱水抽出物を得る方法(例えば、特許文献4参照)、養殖オキナワモズクから塩酸や硫酸などの無機酸を抽出剤として抽出するフコイダンの抽出方法(例えば、特許文献5参照)などが提案されている。また、フコキサンチンについては、海藻類の盤状体または糸状体を有機溶媒で抽出するフコキサンチンとフコステロールの取得方法(例えば、特許文献6参照)、遮光雰囲気下でエタノールを用いて海藻類を抽出するフコキサンチンの精製方法(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
これらの方法は、その処理操作の中に加熱したり、塩酸などの強い酸で処理するという工程があるため、フコイダンまたはフコキサンチンの品質に悪影響があったり、製造装置の腐食の問題などがあった。また、いずれもフコイダンまたはフコキサンチンのいずれかのみを単独で、またはその他の成分とともに得ることを目的として検討されたものであり、そのための好ましい方法や条件を開示しているが、いずれも優れた薬理作用を有するフコイダンとフコキサンチンとを同一の処理工程の中で同時に効率よく製造する方法はまだ知られていない。
特開2001−335480号公報 特開平10−151856号公報 特開昭61−57519号公報 特開平10−70970号公報 特開平10−165114号公報 特開2004−35528号公報 特開2004−75634号公報
即ち、本発明は、このような従来の方法の課題を解決し、フコイダンとフコキサンチンとを同時に効率よく製造する方法を提供することをその目的とするものである。
本発明者らは、フコイダンとともにフコキサンチンを含有する海藻類であるオキナワモズクに注目して、これらの成分を効率よく入手することのできる方法について鋭意検討を行い、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
(1)予め破砕処理を行ったオキナワモズクを、抽出時の実質濃度が65〜85容積%のエタノールで温度10〜50℃で抽出処理し、固液分離後の抽出液を樹脂吸着処理に付して、この吸着樹脂から濃度85〜100容積%のエタノールで溶出させた溶出液からフコキサンチンを得るとともに、固液分離後の抽出残渣を有機酸を用いてpH2〜6の範囲で抽出し、この抽出液からフコイダンを得ることを特徴とするフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(2)抽出時のエタノールの実質濃度が70〜80容積%、温度が20〜30℃であることを特徴とする、前記(1)記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(3)樹脂吸着処理の吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(4)樹脂吸着処理した樹脂をカラムに充填し、溶出液として濃度85〜100容積%のエタノールを用いて溶出した溶出液からフコキサンチンを分離することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(5)
固液分離後のエタノール抽出残渣1000質量部あたり、有機酸の使用量を1〜100質量部の範囲内の値とすることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(6)有機酸が、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、前記(1)または(5)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(7)有機酸による抽出の温度が25〜95℃であることを特徴とする、前記(1)、(5)または(6)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
本発明のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法によれば、一連の一つの製造工程によって、オキナワモズクを原料として、これから簡便な操作で、かつ効率よくフコイダンとともにフコキサンチンを同時に得ることができる。
また、本発明の方法によれば、その工程中で加熱処理を行うことがないのでフコキサンチンの加熱による分解や劣化がなく、また、フコイダンがフコキサンチンを抽出後の残渣から得られたものであるので、従来のものに比べて色相の良好な、淡茶白色のものが得られる。
本発明のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法の工程の概略を図1に示す。以下、図1によって本発明を説明する。
原料のオキナワモズクをまず破砕処理し、これにエタノールを加えて抽出処理を行う。このエタノールによる抽出処理は、オキナワモズクに作用するエタノールの実質濃度が65〜85容積%、好ましくは70〜80容積%であることが必要である。原料に生オキナワモズクや湿潤オキナワモズクを使用する場合は、この中の水分による希釈を考慮する必要があり、この場合には一般的に抽出用のエタノールとしては85〜100容積%の濃度のものを用い、これがオキナワモズク中の水分で希釈されて、抽出処理の際のエタノールの実質濃度が65〜85容積%となるように調整する。
このエタノールの実質濃度が65容積%未満の場合には、フコキサンチンの抽出溶媒への溶解性が低くなるため抽出液中にフコキサンチンが十分に抽出されず、フコキサンチンの収率が低下する。更に、抽出液の中に溶解して流出するフコイダン成分が増加して、抽出残渣から得られるフコイダンの量が減少してしまう。また、抽出液へフコイダンが混入するため、抽出液からフコキサンチンを得る場合にフコキサンチンの精製に支障をきたす。エタノールの実質濃度が85容積%を超える場合には、抽出液への不純物のクロロフィルの溶解量が増加してしまい、フコキサンチンの精製が困難となるという問題がある。
また、抽出処理の温度は10〜50℃であり、好ましくは15〜35℃、より好ましくは20〜30℃の室温である。抽出温度が10℃未満の場合には、抽出溶媒へのフコキサンチンの溶解性が低下し、フコキサンチンの収率が減少し、また50℃を超える場合には加熱によるフコキサンチンの分解と抽出溶媒に使用するエタノールの揮発による抽出溶媒濃度の低下が起こり、フコキサンチンの収率が減少し、いずれも好ましくない。
この抽出処理は、原料のオキナワモズクが1質量部に対してエタノールが1〜6質量部、好ましくは2〜5質量部の割合で、オキナワモズクにエタノールを加えて、これを緩やかに攪拌して抽出処理する。処理時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜3時間である。
抽出処理が終わったオキナワモズクとエタノールの混合物を固液分離装置によって、エタノール抽出液とオキナワモズクの抽出残渣とに分離する。固液分離装置としては、一般的に使用されている種々のタイプのろ過装置や遠心分離機が使用できる。
次に、固液分離後の抽出液を樹脂吸着処理に付して、樹脂にフコキサンチンを選択的に吸着させ、フコキサンチンの精製を行う。また、抽出液中のフコキサンチンの濃度が非常に希薄であるので、この樹脂吸着処理によって比較的容易に濃縮、精製することができ、加熱したり減圧下に濃縮する必要がない。固液分離後の抽出液には、不純物としてクロロフィルが混入し、抽出に使用するエタノール濃度が高くなるほどその混入量が増加してくる。樹脂吸着処理によって、フコキサンチンを選択的に樹脂に吸着させ、クロロフィルを分離除去する。
この樹脂吸着処理はフコキサンチンを選択的に効率よく吸着する必要がある。この目的
のためには、樹脂としてはスチレンージビニルベンゼン共重合体のものが好ましい。この
ような吸着樹脂としては、例えば、商品名として、Diaion HP20(三菱化学(株)製)が
好ましく使用することができる。このほかにも、Diaion HP21、Diaion
SP207、Diaion
SP825(いずれも三菱化学(株)製)、Amberlite
XAD1180、Amberlite XAD1600(いずれ
もロームアンドハース(株)製)、Amberchrom CG161(トーソーハース(株)製)なども
使用することができる。
次いで、この樹脂に吸着したフコキサンチンをエタノールによって溶出させ、精製フコキサンチンを得る。溶出液は、その濃度が85〜100容積%、好ましくは95容積%のエタノールを用いる。溶出操作は容器中に樹脂とエタノールを入れて攪拌するバッチ法でもよいが、より好ましくはカラムに樹脂を充填し、ここに溶出液のエタノールをカラムの上部から流入させ、流出する溶出液を分取することが好ましい。この方法によって、フコキサンチンの濃度の高い画分を選択的に採取することができる。このようにして精製されたフコキサンチンを得ることができる。
このようにして得られた精製フコキサンチン抽出液は、その保存安定性や取り扱い性の点から、これを食用油に加えて、フコキサンチン成分を油に分配したものとすることが好ましい。この場合には、抽出液のエタノール濃度が50容積%前後のものが最も効率よく食用油に移行し、溶解する。食用油としては、サフラワー油、ひまわり油、ツバキ油、オリーブ油などが使用できる。これらの食用油にエタノール濃度を50容積%前後に調整したフコキサンチン抽出液を加え、1時間から一晩放置してフコキサンチンを食用油に移行させる。
一方、エタノール抽出処理による固液分離後の抽出残渣は、更に抽出剤としての有機酸と一定量の水と混合し、pHが2〜6の範囲内となる条件で再度抽出処理を行う。この場合の抽出残渣と有機酸との混合比率は、質量比で抽出残渣が1000部に対し有機酸が1〜100部であり、好ましくは抽出残渣が1000部に対し有機酸が5〜30部である。抽出残渣が1000部に対して有機酸の使用量が1部未満となると、単位時間あたりの抽出効率が著しく低下するため、また、有機酸の使用量が100部を超えると、不純物量が多くなったりフコイダンの抽出効率が低下する場合があるため好ましくない。
抽出剤としての有機酸は、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であるが、この中でもクエン酸が特に好ましい。
有機酸による抽出は、pHが2〜6の範囲内で行うことが必要であり、好ましくはpHが2〜4の範囲である。抽出温度は25〜95℃であり、好ましくは85〜95℃である。このような条件で抽出を行うことによってフコイダンを高い効率で得ることができる。
本発明で原料として使用するオキナワモズクは養殖および天然オキナワモズクが使用できるが、いずれも収穫後、保存性を良好にするため塩蔵したり、冷蔵してあることが多い。このため、一般に使用前に前処理として、塩抜きしたり、解凍することが好ましい。具体的には、水道水を用いて表面の塩を洗い流した後、一例として、1000リットルの容器内に、250Kgの割合でオキナワモズクを収容した状態で、水を流しながら0.5〜5時間浸漬するのが好ましい。
また、抽出効率を上げるために、オキナワモズクを小片に破砕するのが好ましい。この小片の大きさについても特に制限されるものではないが、具体的に、カッターミキサー等を用いて、長さ(長辺)を0.1〜50mmの範囲内の値とするのが好ましく、0.5〜30mmの範囲内の値とするのがより好ましく、1〜5mmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
本発明の方法でのオキナワモズクのエタノールによる抽出処理は、抽出容器内にて撹拌することが好ましい。具体的には、撹拌翼を用いて、5〜200rpmの回転数で撹拌することが好ましく、10〜100rpmの回転数で撹拌することがより好ましく、20〜80rpmの回転数で撹拌することがさらに好ましい。この理由は、撹拌翼の回転数が5rpm未満となると、抽出効率が著しく低下する場合があるためであり、一方、撹拌翼の回転数が200rpmを超えると、気泡を巻き込みやすくなり、逆に抽出効率が低下したり、製造設備が大掛かりとなる場合があるためである。
以上のような本発明のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法によって、フコイダンとともに医薬をはじめ種々の用途に有用なフコキサンチンを一つの製造プロセスで効率よく取得することができる。また、本発明の方法によれば、フコキサンチンの製造工程では80℃以上のような高い温度の加熱処理がないので、得られるフコキサンチンの加熱による劣化や分解がない。更に、本発明の方法で得られるフコイダンは、その製造過程でフコキサンチンが除かれたものであり、従来の方法で得られるフコイダンが濃い茶色であるのに比べて製品の色が薄く、淡茶白色をしており、保湿剤や化粧品などの用途への利用にも有利である。
次に、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、いずれも特に注記しない限り質量基準である。
(1) オキナワモズクの抽出
湿潤状態の破砕処理したオキナワ生モズク(産地:沖縄県宮古島産)の50g(内訳、モズク:5g、含有水:45g)を用い、これに表1に示すように95容積%エタノールまたは水を添加して、種々のエタノール濃度となるエタノールとオキナワモズクの混合物を調製した。ただし、試験10に関しては、50g生モズクを40℃で24時間通風乾燥した藻体を用い、99.5容積%のエタノールを使用して抽出した。この混合物を室温で2時間、回転数200rpmのプロペラ攪拌機で攪拌して抽出処理を行った。抽出処理の終了後、これを毎分6000回転の遠心分離機に10分間かけて、さらにこれを減圧濾過(ろ紙保留粒子径1μm)して抽出液と固形分残渣に分離した。
Figure 0005140304
(2) フコキサンチンの精製と定量
固液分離後の抽出液をエタノール濃度50容積%に調製した後、吸着樹脂(Diaion HP20、三菱化学(株)製)を添加し、室温で1時間攪拌して吸着処理を行った。吸着樹脂を回収し洗浄した後、これをカラムに充填し、溶出液として99.5容積%のエタノールを用いて溶出し、溶出液中のフコキサンチンの定量を行った。
フコキサンチンの定量は、以下の条件で高速液体クロマトグラフによって行った。なお、フコキサンチン標準品としては、NMRにより純度検定したフコキサンチンを用いた。
<測定機器および測定条件>
機 種 : Waters社製高速液体クロマトグラフ装置
測定波長: 450nm
カラム : Gemini 5μ、C18/10A、150×4.60mm
カラム温度: 30℃
移動相及び分析時間: 80%→100%MeOHの直線勾配、30分
流 速 : 1.0mL/mL
(3) フコイダンの抽出と定量
オキナワモズクをエタノール抽出した後固液分離で得られた固形分残渣10〜15gに、30mMのクエン酸溶液100mLを加え、pHが2〜3の範囲で95℃で1持間攪拌して抽出処理を行った。この混合物を6000rpmで15分間の遠心分離にかけ、次いで減圧濾過し、得られたろ液を脱塩し、凍結乾燥後秤量した。フコイダンの分析はアントロン硫酸法によりフコース量を定量した。
以上によって得られた種々のエタノール濃度におけるフコキサンチンの収量と収率を表2に、フコイダンの収量と収率を表3に示す。また、これをグラフに表したものを図2に示す。
Figure 0005140304
Figure 0005140304
(4) クロロフィル
固液分離後のエタノール抽出液の中のクロロフィルの溶解量は、分光光度計で660nmにおける吸光度を測定して、得られた吸光度の値からクロロフィルの溶解量の相対的な値を評価した。その結果を表4及び図3に示す。
Figure 0005140304
表2および表3の結果からわかるように、オキナワモズクの抽出溶媒であるエタノールの実質濃度が65容積%未満であると、目的物質のひとつであるフコキサンチンの収量と収率が大幅に低下してしまう。また、エタノール濃度が85容積%を超える場合には、不純物であるクロロフィルの量が急激に増加してしまい好ましくない。エタノール濃度が65〜85容積%でオキナワモズクを抽出処理し、抽出液をHP20樹脂での樹脂吸着処理に付し、抽出残渣のモズクをクエン酸で抽出することによって、不純物の混入が少なく高純度のフコキサンチンとフコイダンの両方を効率よく抽出によって得ることができる。
図1に従った本発明の方法の製造実施例を示す。
塩蔵された500Kgのオキナワモズク(産地:今帰仁)を、流水で3回洗浄し、表面の塩分を取り除いた後、1、000リットルの容器内に収容し、さらに水を流しながら1時間水道水に浸漬した。次いで、容器からオキナワモズクを取り出し、カッターミキサーを用いて、オキナワモズクの長さ(長辺)を約2mmに裁断した。この小片化した湿潤状態のオキナワモズクを用いて、以下の抽出条件で抽出を行いフコキサンチンとフコイダンを製造した。
抽出容器として、内容積が2500リットル、攪拌機付きのステンレス製の容器を用い、これに上記の破砕処理した湿潤状態のオキナワモズク400kgと濃度85容積%の精製エタノール1600Lを投入し、室温で約2時間攪拌して抽出処理を行った。抽出処理後の混合物を3500Gで連続遠心分離にかけ、抽出液約1900リットル(エタノール濃度約70容積%)と固形物残渣約60〜80kgとに分離した。
得られた抽出液1900リットルを精密ろ過にかけ、これに吸着樹脂としてDiaion HP
20(三菱化学(株)製)を12リットル加えて、室温で約1時間の間攪拌し、樹脂吸着処
理を行った。終了後、混合物をろ過して、吸着樹脂と廃エタノールに分離した。廃エタノ
ールは、これを精留塔で濃縮精製して抽出溶媒として再利用した。一方、吸着樹脂は、こ
れをカラム(直径200mm×高さ800mm)に充填し、まず60Lの精製水で洗浄し
、次に濃度95容積%の精製エタノール16Lをカラムの頂部から導入して、吸着物を溶
出させた。溶出液を10Lの分液ロートに採取した。
この溶出液に水を加えてエタノール濃度が50容積%となるように調整し、さらにここにサフラワー油1.0Lと0.025%のビタミンEを加えて十分に攪拌した後一晩放置した。その後、2層に分かれた下層を廃棄し、上層を回収した。この回収した上層はフコキサンチンを約1%含むサフラワー油であった。
一方、エタノール抽出後の遠心分離で得られた固形物残渣約60〜80kgに約2倍量の水を加え、更にクエン酸によってpHを3前後に調整し、90℃で約40分間攪拌して抽出した。次いで、中和した後この混合物を3500Gで連続遠心分離にかけ、更に限外ろ過にかけて脱塩し、その後殺菌、濃縮して、粗フコイダンのエキス或いはスプレードライしてエキス末を得た。
本発明の方法によれば、オキナワモズクからフコイダンとフコキサンチンを容易に、かつ効率よく、一つの工程で抽出によって得ることができる。フコイダンとフコキサンチンは、抗コレステロール作用、血液清澄作用、抗血液凝固作用などがあり医薬品だけでなく健康食品や化粧品などにも有用である。従って、本発明の方法はこのような医薬品などに有用なフコイダンとフコキサンチンを入手する方法として有用なものである。
図1は本発明の方法の概要を示すフローチャートである。 図2は実施例1で得られたフコキサンチンとフコイダンの収率を示すグラフである。 図3は実施例1においてクロロフィルの溶解量に対応するOD660nmにおける吸光度を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 予め破砕処理を行ったオキナワモズクを、抽出時の実質濃度が65〜85容積%のエタノールで温度10〜50℃で抽出処理し、固液分離後の抽出液を樹脂吸着処理に付し、この吸着樹脂から濃度85〜100容積%のエタノールで溶出させた溶出液からフコキサンチンを得るとともに、固液分離後の抽出残渣を有機酸を用いてpH2〜6の範囲で抽出し、この抽出液からフコイダンを得ることを特徴とするフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  2. 抽出時のエタノールの実質濃度が70〜80容積%、温度が20〜30℃であることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  3. 樹脂吸着処理の吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  4. 樹脂吸着処理した樹脂をカラムに充填し、溶出液として濃度85〜100容積%のエタノールを用いて溶出した溶出液からフコキサンチンを分離することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  5. 固液分離後のエタノール抽出残渣1000質量部あたり、有機酸の使用量を1〜100質量部の範囲内の値とすることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  6. 有機酸が、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、請求項1または5に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
  7. 有機酸による抽出の温度が25〜95℃であることを特徴とする、請求項1、5または6のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
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