JP5137661B2 - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法 - Google Patents
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Description
原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
しかしながら、所定の厚みを有するレリーフ形成層に印圧に耐える凹凸を有するレリーフを形成するには高エネルギーを要し、レーザー彫刻の速度が遅いため、マスクを介して画像形成するタイプに比較し、生産性が低いという問題がある。
また、他の技術として、例えば、天井温度が600度K未満の高分子充填剤を含有するレーザー彫刻用樹脂凸版印刷版が提案されている(特許文献9参照)。この技術では、解重合温度の低い高分子充填剤を添加することで彫刻感度の向上を図っているが、このような高分子充填剤を用いると、印刷版原版の表面に凹凸がついてしまい、印刷品質に重大な影響を与える。
熱分解性に優れた樹脂を構成する単位としてのヘミアセタールエステル化合物類と無機多孔質体微粒子とを含有し、彫刻カスの除去性が良好な組成物が提案されている(例えば、特許文献10参照。)。ここでは、彫刻カスを液状化させる目的のための一手段として、熱分解性に優れた樹脂を構成する単位としてのヘミアセタールエステル化合物類が例示されている。しかしながら、ここに記載のように、ヘミアセタールエステル化合物類を添加し、その分解しやすさを利用することによる効果だけでは、彫刻感度向上の観点からは不十分であり、改良が望まれていた。
即ち、本発明の目的は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びにそれにより得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。
<2> (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、 (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることを特徴とする<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。ここで、前記一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造の少なくともいずれかに重合性基を有する。
<3> さらに(C)重合開始剤を含有する<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<4> さらに(D)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<6> (1)<5>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むレリーフ印刷版の製造方法。
<7> 前記(1)工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である<6>に記載のレリーフ印刷版の製造方法。
<8> <6>又は<7>に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版。
<9> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である<8>に記載のレリーフ印刷版。
<10> 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である<8>又は<9>に記載のレリーフ印刷版。
また、本発明によれば、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びにそれにより得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
[レーザー彫刻用樹脂組成物]
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(A)重合性化合物として、下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する化合物を少なくとも含有することを特徴とする。(また、以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物については、本発明の樹脂組成物とも称する。)
このような特徴を有する本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施される樹脂造形物の形成用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物の適用態様として具体的には、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層、凹版、孔版、スタンプ、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層に、特に好適に用いることができる。以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有し、且つ、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有することを特徴とする。
このような化合物を以下、適宜、「(A)特定重合性化合物」と称する。本発明に用いられる特定重合性化合物は、以下に示す構造に明らかなように、分子内にヘミアセタールエステル構造を有することを特徴とする。
R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。
本願発明者は、このような構造を有する化合物に重合性基を導入してその構造を最適化してバインダーポリマーとともに用いること、さらに、好ましくは、光熱変換剤や重合開始剤を併用することで、レリーフ印刷版原版の記録層に好適に使用しうるレーザー彫刻用樹脂組成物、詳細には、優れたレーザー彫刻感度を達成しうる樹脂組成物を提供しうることを見出したものである。
また、重合性化合物における重合性基(重合性の不飽和結合)は分子末端に存在することが熱架橋度を高める点で好ましい。前記一般式(I)及び一般式(II)で表される部分構造と重合性基との連結は、本発明の好ましい態様で以下に詳述するように、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、一般式(II−1)又は一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物とを反応させて導入される位置に存在することが、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点で好ましい。即ち、酸性基とビニルエーテル基を有する化合物である一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物又はアルコキシアレン基を有する化合物、即ち、一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物のオキシアルキレン基との付加反応においてはじめて一般式(I)又は一般式(II)で表されるヘミアセタールエステル結合の形成がなされることが好ましい。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
本発明に係る(A)特定重合性化合物は、一般式(I)または一般式(II)で表される如きヘミアセタールエステル構造という有機化学的に非常に熱解裂しやすい部分構造を有しており、低温熱分解性に優れる。このような化合物を(B)バインダーポリマーと併用すると、先に(A)特定重合性化合物が熱分解して、その分解物のガス、即ち、特定重合性化合物の原料やその熱分解物である二酸化炭素などなどが発生して急激に拡散することで、共存する(B)バインダーポリマーの熱分解物の飛散を促進させる。即ち、(A)特定重合性化合物は、該化合物自体が有する優れた熱分解性と、熱分解時に発生する分解物による、共存する(B)バインダーポリマーの熱分解及び分解物の除去をアシストする機能という2つの特性により、樹脂組成物の彫刻感度を効果的に向上させる。
その結果、(A)特定重合性化合物を含む樹脂組成物膜は、ヘミアセタールエステル部位を分子中に持たない重合性化合物や(B)バインダーポリマーのみに比べてレーザー分解性や彫刻感度が飛躍的に向上したと推定される。
即ち、本発明の構成により、熱分解性と熱分解により生じた化合物の消散性の双方に優れるため、本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
なお、熱分解の活性化エネルギーは公知の方法、例えば、「新版 熱分析」、編者:神戸博太郎・小澤丈夫、講談社刊(1992年)P57−86記載の方法で容易に算出可能である。
重合性基は分子内のいずれの部位に存在してもよい。なかでも、合成の簡便さから、一般式(I)又は一般式(II)で表される部分構造におけるAの部分に含まれていることが好ましい。
ここで、Qは、Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である酸基として機能する部分構造を表す。pKa11〜20のQ−Hを有する官能基としては、水素原子よりも電子供与性の高い置換基(例えばアルキル基やアルコキシ基など)を有する芳香族アルコール、脂肪族アルコールが挙げられる。
彫刻感度の向上と、常温での熱安定性を両立するという観点からは、Q−HのpKaとして好ましくは0〜11、より好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜6である。
本発明における好ましい態様である、−Q−HのpKaが11以下の酸基としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
1.酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基
酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などが挙げられ、特に好ましいものは、カルボン酸基である。カルボン酸基を含有する構造としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどがあり、特に好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンであり、これらの1種あるいは2種以上用いることができる。
本発明における酸基のうち酸解離定数(pKa)が5.5以上11以下の酸基について説明する。
このような酸基として、具体的には、例えば、フェノール基(pKa=9.99)、2−メトキシフェノール基(pKa=9.99)、2−クロロフェノール基(pKa=8.55)、2−ヒドロキシ安息香酸メチル基(pKa=9.87)、4−メチルフェノール基(pKa=10.28)、1,3−ベンゼンジオール基(pKa=9.20)、1−ナフトール基(pKa=9.30)、1,2−ベンゼンジオール基(pKa=9.45)、ベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.00)、N−アセチルフェニルベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.94)、4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.58)、N−フェニル−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.30)、N−(4−アセチルフェニル)−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=7.61)、アセチル酢酸エチル基(pKa=10.68)等が挙げられる。これらの中でも、芳香族基上に置換基を有してもよいフェノール基、芳香族基上に置換基を有してもよいベンゼンスルホンアミド基がより好ましい。
Q−HのpKaが3〜6という態様のなかでも、最も好ましいのはQが(−C(=O)O−)で示される構造である場合、即ち、−Q−Hがカルボン酸基の場合である。
(A)特定重合性化合物の熱分解性、分解により生成される化合物の消失性に優れ、彫刻感度が高いという観点から、なかでも脂肪族連結基、脂肪族環状連結基、芳香族連結基であることが好ましく、より好ましくは脂肪族連結基、脂肪族環状連結基である。特に好ましくは、脂肪族環状連結基をA及びBのうち少なくとも1方に部分構造として含む場合である。
ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、
なかでも、彫刻感度向上と、合成適性の観点からは、水素原子、1価の脂肪族基、又は1価の脂肪族環状基が好ましく、より好ましくは水素原子又は1価の脂肪族基であり、特に好ましくは水素原子の場合である。なお、1分子中に複数存在するR1及びR2は、それぞれ同じでも異なってもよいが、合成適性の観点からは同じであることが好ましい。
R3は、水素原子又は1価の有機基を表し、有機基としては、脂肪族基、脂肪族環状基、芳香族基、複素環基などが挙げられる。なかでも、彫刻感度向上と、合成適性の観点からは、水素原子、1価の脂肪族基、又は、脂肪族環状基が好ましく、より好ましくは水素原子、又は、1価の脂肪族基であり、特に好ましくは水素原子の場合である。
(A)特定重合性化合物1分子中における(I)または(II)で表される部分構造の数としては、感度と熱安定性を両立させる観点からは1〜3個が好ましく、より好ましくは1または2個、特に好ましくは1個である。
このような(A)特定重合性化合物は、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることが好ましい。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。
なお、ラジカル重合性基に代表される重合性基は、一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造のいずれに含まれていてもよいが、合成の簡便さから一般式(I−1)に含まれていることが好ましく、特に、一般式(I−1)中のAの部分に含まれていることが好ましい。
以下、(A)特定重合性化合物の合成に使用される化合物について説明する
まず、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物について説明する。
ここで、A及びQは、前記一般式(II)又は一般式(II)におけるのと同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明における一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物としては、Aに重合性基が直接、もしくは、適切な連結基を介して結合している態様を有する化合物であることが好ましい。
Qで表される炭化水素基の好ましい例としては、芳香環基、シクロ環基などを含むもの、カルボニル基を含むものが挙げられる。
より好ましい態様として、以下に示すような態様が挙げられる。
なお、−Q−Hが示すpKaが0〜20の酸基は既述の通りであり、好ましい態様であるpKaが11以下の酸基としては、具体的には一般式(I)および(II)の説明において挙げたものが同様に挙げられる。
以下に、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
次に、一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物について説明する。
このような化合物としては、下記一般式(II−1)、又は、一般式(II−2)で表される部分構造を分子内に有する化合物であれば制限なく使用しうるが、なかでも、合成適性や入手容易性の観点からは、一般式(II−1)又は、一般式(II−2)における連結基Bを介して左右が同一の構造をもつ、下記一般式(II−1−1)、又は、一般式(II−2−1)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(II−1)及び(II−2)における2価の有機連結基であるBは、一般式(I−1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(II−1−1)及び(II−2−1)における2価の有機連結基であるBは、一般式(I−1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
以下、一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
一般式(II−1−1)又は(II−2−1)で表される上記化合物のなかでも、皮膜強度の観点からは、分子内に脂肪族環状構造を有する化合物が好ましい。
なお、合成に際しては、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物、好ましくは、前記一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物のそれぞれ1種ずつを組み合わせればよいし、また一般式(I−1)で表される化合物の複数種と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物から選択される複数種の化合物とを組み合わせて共重合体としてもよい。合成の簡便さの観点で、一般式(I−1)で表される化合物と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物、好ましくは、前記一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物のそれぞれ1種ずつを組み合わせた場合の方が好ましい。
(A)特定重合性化合物は、「ネットワークポリマー」Vol.22, No.4、p.28−37 (2001) や 「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」,第32巻,P9059−9061 (1999年)などの公知の反応条件で、前記2種の化合物を併用して行うことができる。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
反応濃度は、短時間に(A)特定重合性化合物を得ることができるという観点からは、原料である一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と一般式(II−1)又は一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物の合計重量の濃度換算で、30〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは45〜100重量%、特に好ましくは55〜95重量%である。
ここで、合計重量の濃度が100質量%であるとは、これらの原料により、無溶媒で反応させて(A)特定重合性化合物を得ることも可能であることを意味し、無溶媒での反応であれば、特段、開始剤や触媒を加えなくても反応が進行するものであり、本発明においては、このような態様もとりうる。なお、無溶媒で反応させる場合であっても必要に応じて触媒を加えてもよく、合成効率の観点からは触媒を加えるほうが好ましい。
本発明に係る(A)特定重合性化合物である一般式(I)又は一般式(II)で表される部分構造を有する化合物の具体例〔(M−1)〜(M−18)〕を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、(A)特定重合性化合物を1種のみ含んでもよく、2種以上を含有することもできる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物における(A)特定重合性化合物の含有量は、組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%の範囲である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、上記(A)特定重合性化合物とともに、(B)バインダーポリマーを含有する。
バインダーポリマーは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分であり、通常は、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを目的に応じて用いる。本発明においては、前記(A)特定重合性化合物が熱反応性に優れるため、種々の(B)バインダーポリマーを目的とする物性に応じて併用することができる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレーザー彫刻用フレキソ印刷版の記録層として用いる場合、彫刻感度以外の印刷適性、例えば、インキ耐性、耐磨耗性、耐刷性、彫刻部分のエッジ形状などを同時に満足しなければならないことから、これらの特性を付与することも考慮して(B)バインダーポリマーを選択することが好ましい。以下、本発明に好適に用いうるバインダーポリマーについて詳細に説明する。
例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、バインダーポリマーとして、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レーザー彫刻用樹脂組成物を、レーザー彫刻用レリーフ印刷板原版におけるレリーフ形成層に適用する場合であれば、レリーフ形成層用組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷板における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性又は新アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、レーザー彫刻用樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明においてバインダーポリマーとして用いうる各種ポリマーについて説明する。
バインダーポリマーとしては、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーを好適に用いることができる。該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
リブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1〜90質量部、好ましくは5〜80質量部の割合で用いることができる。
なお本発明においては、(A)特定重合性化合物を含有し、さらに、所望により他の重合性化合物を併用するため、(B)バンダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により液状化する熱可塑性ポリマー、エネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテルあるいはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、例えば、フレキソ版などの可撓性を必要とするレリーフ印刷版の製造に適用する場合に好適である。
本発明で用いるバインダーポリマーとしては、親水性又は親アルコール性のものが彫刻後のカスの除去性の観点で好ましい。親水性ポリマーとして詳細には、後述するもの挙げられるが、中でも、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマーが好ましい。また、親水性又は親アルコール性バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリマーも好適に用いることができる。
親水性ポリマーとは、水溶解性又は水膨潤性のポリマーを指す。ここで、本発明において、「水溶解性」とは、25℃の水に5質量%以上溶解することを指し、また、「水膨潤性」とは、25℃の水に5質量%になるように加えた際に、吸水して膨張し、目視で見たときに溶解はしていないが、明らかな固体状(粉末状)の沈殿物は無い状態であることを指す。
PVA及びその誘導体の中でも、特に好ましくは、PVA及びビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体(部分鹸化ポリビニルアルコール)を例示することができ、これらの変性体もこれに該当する。
非PVA誘導体として具体的には、例えば、アジピン酸や1,6−ヘキサンジアミン、ε−カプロラクタムのみの重合によって得られる非水溶性ポリアミドに、ポリエチレングリコールやピペラジンのような親水性基を導入した親水性ポリアミドが挙げられる。親水性ポリアミドは、その親水性基の働きでPVA誘導体との相溶性が発現するため、非PVA誘導体として用いるのに好適である。つまり、このような親水性ポリアミドは、PVA及びその誘導体との相溶性が良好であり、PVA及びその誘導体の分子間に容易に入り込むために、2種のポリマーの分子間力が低下し、ポリマーが柔軟化される。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位を有するポリアミドが得られ、ピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有する親水性ポリアミドが得られる。また、親水性ポリアミドのアミド基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させることで、架橋性の官能基がポリマー中に導入された親水性ポリアミドが得られる。これら非PVA誘導体は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、親水性ポリマーの含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、79質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、PVA誘導体及び非PVA誘導体の合計の含有量を30質量%以上とすることで、原版のコールドフローを効果的に防止することが可能となり、また、80質量%以下とすることで他の成分が不足することがなく、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性を得ることができる。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、PVA誘導体の含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、79質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、フレリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、非PVA誘導体の含有量を1質量%以上とすることで、PVA誘導体の柔軟化が効率的になされて、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性が得られ、かつ非PVA誘導体の強靱な特性からレリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られる。
また、非PVA誘導体の含有量を15質量%以下とすることで、非PVA誘導体が発生源となる粘着質の彫刻カスの発生量を低減することができる。
また、例えば、PVA誘導体を親水性ポリマー(特にガラス転移温度が室温以上)として用いる場合、上記の疎水性ポリマーやエラストマー(ほとんどがガラス転移温度が室温以下)に比べて、ガラス転移温度が低いことに起因する彫刻時のレリーフのエッジ溶融が抑制傾向にあり好ましい。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。本発明においては、これらを単独で、もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
主鎖にオレフィン及び炭素−炭素三重結合の少なくともいずれかを含むポリマーが挙げられ、例えばSB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
本発明においては、前記(A)特定重合性化合物に加えて、上記のような部分構造を有しない公知の重合性化合物を含有することができる。以下、このような重合性化合物を「他の重合性化合物」と称する。他の重合性化合物とは、重合開始剤由来の開始ラジカルの発生を引き金としてラジカル重合可能な炭素-炭素不飽和結合を少なくとも1つ以上有する化合物であって、上記一般式(I)及び一般式(II)に記載の如き部分構造を有しない化合物を意味する。以下に、他の重合性化合物である付加重合性化合物を例に挙げ、より詳しく述べる。
他の重合性化合物を併用する場合、その含有量は(A)特定重合性化合物に100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましい。
(ただし、R及びR'は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
本願では、膜の柔軟性や彫刻感度のバランスの観点で、複数の重合性基を有する重合性化合物と重合性基を1つしかもたない重合性化合物と少なくとも1つずつ組み合わせて用いることが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, "Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications":Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996) 等に多く記載されている。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記の化合物が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
を示す。(Z3)-は(Z2)-と同義の対イオンを表す。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、
この有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、膜(レリーフ形成層)の架橋性の観点から好ましく、さらに、予想外の効果として、彫刻感度向上の観点で特に好ましいことを見出した。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
特に(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合、有機過酸化物の分解に由来して発生した熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつ(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるためより高感度化されるものと推定している。
本発明で用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体をあげることができる。
チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,7−ジメチル−7−メトキシオクチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−シクロヘキシルベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、等を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)で表される化合物を挙げることができる。
ル基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。
炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基を表し、pは1、2又は3を表す。
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。あるいはさらにM.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なかでも(c)有機過酸化物が、本発明の樹脂組成物で用いる重合開始剤として、レリーフ形成層における膜の架橋性と彫刻感度の観点で特に好ましい。
このような(c)有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合の彫刻感度向上の作用は定かではないが以下のように推定している。
即ち、重合開始剤として(c)有機過酸化物を含有する樹脂組成物により形成された膜、即ちレリーフ形成層においては、加熱により、熱架橋を形成した際に(c)有機過酸化物が消尽せず、ある程度の未反応物が残存すると考えられる。この残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として機能し、レーザー彫刻時に露光領域において発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーにこの有機過酸化物の分解に伴う熱がさらに加わることにより、レリーフ形成層の分解と分解物の飛散が増幅され、彫刻感度がさらい高くなるものと推定される。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、700〜1300nmの光を吸収可能な光熱変換剤を含有することが好ましい。即ち、本発明における光熱変換剤は、700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物である。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
下記一般式(d)又は一般式(e)で表される色素は光熱変換性の観点から好ましい。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
上記のような理由から、カーボンブラックが特に高感度になったと考えられる。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
本発明の最も好ましい態様としては、前述の如く、(B)バインダーポリマーとしてガラス転移温度が室温以上のものを用い、(C)重合開始剤である有機過酸化物と(D)光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様を挙げることができる。
(C)重合開始剤として有機過酸化物を用いて膜(レリーフ形成層)を熱架橋した際、未反応の有機過酸化物が膜中に残存し、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなる。ここへさらにカーボンブラックが共存すると、カーボンブラックの光熱変換機能で発生した熱が(B)バインダーポリマーのみならず、有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するので、(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマーの分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に起こる。カーボンブラック以外の有機染料や有機顔料の場合でも機構的には同じような考え方ができるが、前述したように、有機染料や有機顔料は耐熱性が低いために上記相乗的な発熱に耐えられず途中で分解してしまうためにカーボンブラックにおける程の高感度化は達成し得ないものと考えられる。
また、(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合には、前述のように有機過酸化物の分解に由来して発生した熱やカーボンブラックからの発熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつ(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるため、このような固化を奏するものと推定される。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、メチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等がある。また、可塑剤として、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)がある。
−ニトロセルロース−
彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースを加えてもよい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
彫刻感度向上のための添加剤として、熱伝達を補助する目的で、高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。
高熱伝導性物質としては、例えば、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。
金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。
導電性ポリマーとしては、一般に知られる導電性ポリマーを好適に用いることができる。導電性ポリマーのなかでも、特に、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン及びこれらの誘導体が好ましく、高感度であるという点でポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体がさらに好ましく、特に好ましくはポリアニリンである。ポリアニリンを用いる場合、エメラルディンベース又はエメラルディン塩のどちらの形態で添加してもよいが、熱伝達効率が高い点でエメラルディン塩であることが好ましい。
共増感剤を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度をさらに向上させることができる。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、重合開始剤により開始される光反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。
本発明に適用しうる共増感剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂して、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
このような化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等があげられる。
本発明においては、組成物の製造中あるいは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
<着色剤>
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料もしくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させる事ができる。着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、支持体上に、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
レリーフ形成層は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。レーザー彫刻用樹脂組成物として架橋性樹脂組成物を用いると、架橋性のレリーフ形成層が得られる。本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、架橋性のレリーフ形成層を有するものが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層の厚みは、版の取り扱い性(取り付け易さなど)の観点から、0.01μm〜500μm程度であることが好ましく、より好ましくは、0.05μm〜300μmの範囲である。
接着層を設ける場合は、通常、支持体表面に、接着層用組成物を塗布し、乾燥する方法をとる。
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいはレリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、支持体上にレリーフ層を有する本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
工程(3): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(4): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層をさらに架橋する工程(後架橋工程)。
工程(1)レリーフ形成層の架橋において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
レリーフ形成層は、特定重合性化合物、バインダーポリマー、及び、好ましくは光熱変換剤、重合開始剤、及び他の重合性化合物を含むものであり、工程(1)は重合開始剤の作用で特定重合性化合物や他の重合性化合物をポリマー化し架橋を形成する工程である。
重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光あるいは電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムならば、さらに裏面からも活性光線を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、架橋性レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
工程(1)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
なかでも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外レーザーで彫刻する場合に、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻表面をリンスする工程(3)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(4)を追加することが好ましい。
さらに、必要に応じてレリーフ形成層をさらに架橋させる工程(5)を追加してもよい。追加の架橋工程(5)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上0.3mm以下である。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針とかインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定し、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
また、本発明のレリーフ印刷版におけるレリーフ層のショアA硬度は、本発明に製造方法における工程(1)において架橋された後のレリーフ形成層の好ましいショアA硬度と同様、即ち、50°以上90°以下であることが好ましい。
[合成例1:特定重合性化合物(M−1)の合成]
撹拌羽および冷却管をつけた500mlの3つ口フラスコ中に、メタクリル酸(和光純薬製、86g)、1,4−シクロヘキサンジメタノール ジビニルエーテル(mixture of cis and trans、アルドリッチ製、40g)、ピリジニウム p−トルエンスルホネート(東京化成製、0.1g)、テトラヒドロフラン(脱水、和光純薬製、45g)を入れて、60℃で7時間、その後室温で一週間攪拌した。その後、酢酸エチル1Lを投入し、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行い、酢酸エチル層を分取した。この溶液に無水硫酸マグネシウム50gを入れて室温で1時間攪拌した。次に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、得られた濾液から溶媒を減圧留去、さらに真空ポンプで減圧乾燥して淡黄色オイル状液体M−1(45g)を得た。M−1の同定は、1H−NMR(溶媒:重クロロホルム)において、ヘミアセタールエステル単位に由来するメチルプロトン(1.40ppm)とメチンプロトン(5.96ppm)が3:1の比で観測されたこと、IRスペクトルにおいてポリヘミアセタールエステル単位にカルボニル基に由来するピークが1732cm−1に観測されたことより行った。
前記例示化合物(M−2)〜(M−14)についても、出発物質を変更した他は、前記合成例1:特定重合性化合物(M−1)の合成と同様にして行った。なお、前記例示化合物(M−15)〜(M−18)についても、同様或いは類似のスキームで合成することができる。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)バインダーポリマーとして「ゴーセナールT−215(日本合成化学工業(株)製、PVA誘導体)を50g、光熱変換剤(D)として「ハイドリックFT S−802(墨)(E)」(カーボンブラック、大日精化工業製)を2.5g、可塑剤としてジエチレングリコール20g、溶媒としてテトラヒドロフラン50gを入れ、撹拌しながら65℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。さらに(A)特定重合性化合物として前記合成例1で得た例示化合物(M−1)を28g、重合開始剤として“パーブチルZ(t−ブチルオキシベンゾエート、日本油脂製)を1.6g添加して30分間撹拌し、流動性のある架橋性レリーフ形成層用の架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、40℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を作製した。
レリーフ印刷版原版1が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。また、レリーフ層のショアA硬度を、測定対象の表面に圧子を押し込み変形させ、その変形量を測定し、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により算出したところ、72°であった。なお、ショア硬度Aの測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
得られた原版のレリーフ形成層を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋した。
架橋後のレリーフ形成層に対し、近赤外レーザー彫刻機として、最大出力16Wの半導体レーザー(レーザー発振波長840nm)を装備した“FD−100”((株)東成エレクトロビーム製)を用い、彫刻条件を、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻することにより、レリーフ層を形成し、レリーフ印刷版1を得た。
得られたレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層の物性及び彫刻感度について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
−熱分解温度、消散性−
レリーフ形成層の熱分解温度を以下の条件で測定した。サンプル5mgを秤量し、熱質量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、20℃/分の昇温速度で40℃から500℃まで加熱した。
このとき、熱質量測定において、10%質量減少した温度(Td10)を「熱分解温度」と定義した。熱分解温度が低いほど、熱分解が低温で始まることを意味し、熱分解性に優れると評価する。評価は以下の基準で行った。
「熱分解温度(熱分解性)」
○:Td10<250℃
△:Td10=250℃〜300℃
×:Td10>300℃
「消散性」
○:(Td80−Td10)<100℃
△:(Td80−Td10)=100℃〜180℃
×:(Td80−Td10)>180℃
レリーフ印刷版1が有するレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。この彫刻深さが深いほど、同じエネルギーで深い彫刻が可能であり、彫刻感度に優れると評価する。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた(A)特定重合性化合物(M−1)を、前記例示した(A)特定重合性化合物(M−2)〜(M−10)に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜10(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を調製した。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜10に変更した以外は、実施例1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜10を得た。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜10のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、レリーフ印刷版2〜15を得た。
レリーフ印刷版2〜15が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。また、レリーフ層のショアA硬度、彫刻深さについても、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1において、(A)特定重合性化合物(M−1)を添加せず、他の重合性化合物として、「グリセロール 1,3−ジメタクリレート(和光純薬製)」を等量用いた以外は実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層塗布液C−1を調製した。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液C−1に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C−1を得た。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C−1のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、レリーフ印刷版C−1を得た。
レリーフ印刷版C−1が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
これらについても、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
実施例1〜10、比較例1で得たレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を、半導体レーザーから炭酸ガスレーザーに変更して、以下に示すように架橋後のレリーフ形成層の彫刻を行った以外は、実施例1〜10と同様にして、実施例のレリーフ印刷版11〜20、比較例のレリーフ印刷版C−2を作製した。前記各レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
実施例11〜20、比較例2についても、実施例1と同様にして彫刻深さを評価した。結果を下記表2に示す。
Claims (10)
- (A)下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物と、(B)バインダーポリマーとを含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、Qは、−Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である部分構造を表す。
R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。 - (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
前記一般式(I−1)中、Qは、−Q−Hとなったとき、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基として機能する部分構造を表し、Aは2価の有機連結基を表す。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。ここで、前記一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造の少なくともいずれかに重合性基を有する。 - さらに(C)重合開始剤を含有する請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(D)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- (1)請求項5に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋する工程、及び、(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むレリーフ印刷版の製造方法。
- 前記(1)工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である請求項6に記載のレリーフ印刷版の製造方法。
- 請求項6又は請求項7に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項8に記載のレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項8又は請求項9に記載のレリーフ印刷版。
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