JP5137122B2 - ロール周速度制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼帯の製造設備に設けられ、モーターで回転駆動されて鋼帯を搬送するロールの周速度を、鋼帯の搬送速度に等しく設定される目標周速度に適合するように制御するロール周速度制御装置に関する。
鋼帯は、一般的に複数の装置が連続的に配置される連続製造設備で製造される。鋼帯の連続製造設備では、その設備内における鋼帯の搬送距離が長いので、設備出側の巻取装置のみで設備内全長にわたって鋼帯を搬送することが困難である。したがって、鋼帯製造設備には、設備内で鋼帯を搬送するためのロールが設けられる。このようなロールは、鋼帯に接するように設けられ、モーターで回転駆動されて鋼帯を搬送する。
図6は、鋼帯を搬送するロールが設けられる焼鈍酸洗設備1の構成を概略的に示す。焼鈍酸洗設備1は、鋼帯8を焼鈍酸洗する装置であり、ペイオフリール2と、溶接機3と、焼鈍炉4と、塩浴槽5と、酸洗槽6と、テンションリール7とを含んで構成される。ペイオフリール2は、焼鈍酸洗する鋼帯8を巻戻して設備内へ送込む装置である。溶接機3は、巻戻される鋼帯8を、既に設備に装入されて処理中の鋼帯8に接続する装置である。焼鈍炉4は、鋼帯8を加熱昇温して軟化する装置である。塩浴槽5は、焼鈍によって鋼帯8の表面に生成される酸化物を溶融アルカリ塩にて溶解し、次工程の酸洗での酸化スケール除去を容易にする酸洗前処理を行う装置である。酸洗槽6は、焼鈍によって鋼帯8の表面に生成される酸化スケールを除去する装置である。テンションリール7は、酸洗後の鋼帯8を巻取る巻取装置である。
図7は、塩浴槽5を拡大して示す。塩浴槽5の中には、溶融アルカリ塩10が入れられる。鋼帯8を搬送する2本のロール11,12は、溶融アルカリ塩10に浸漬されるようにして設けられる。便宜上鋼帯搬送方向上流側に設けられるロールを前ロール11、下流側に設けられるロールを後ロール12と呼ぶ。前ロール11および後ロール12は、塩浴槽5内の鋼帯8に接するように設けられ、前ロール用モーター13および後ロール用モーター14でそれぞれ回転駆動されて、塩浴槽5内で鋼帯8を搬送する。前および後ロール11,12のように鋼帯製造設備に設けられて鋼帯8を搬送するロールの周速度は、鋼帯の搬送速度に等しく設定される目標周速度に適合するようにロール周速度制御装置で制御される。
図8は、従来のロール周速度制御装置20の構成を簡略化して示す。従来のロール周速度制御装置20は、塩浴槽5に設けられる前ロール11の周速度制御についての事例を示す。後ロール12も前ロール11と同様にして制御されるので、前ロール11を代表例として示す。以下、前ロール11を単にロール11、前ロール用モーター13を単にモーター13と表記する。ロール周速度制御装置20は、出力手段21と、駆動手段22と、モーター13と、減速機23と、ロールの周速度を検出する周速度検出手段24と、制御手段25と、を含む。
出力手段21は、たとえば焼鈍酸洗設備1の操作盤に設けられる目標周速度出力装置21である。目標周速度出力装置21は、鋼帯8の搬送速度に等しく設定されるロール11の目標周速度Vrefを電圧値として設定し、抵抗回路を介して電流信号として出力する。目標周速度Vrefは、たとえば次のようにして出力される。目標周速度Vrefを目標周速度出力装置21のメモリに予め入力しておき、操作者の操作に応じてメモリから読み出して制御手段25へ出力する。または搬送される鋼帯8に応じて操作者が目標周速度Vrefを目標周速度出力装置21へ入力し、目標周速度出力装置21から制御手段25へ出力する。駆動手段22は、後述する制御手段25から出力される指令信号に応じて、モーター13を回転駆動させる電流をモーター13に対して供給する駆動装置である。モーター13には、直流モーターが用いられる。モーター13とロール11との間に設けられる減速機23は、モーター13の回転速度を減速してロール11に伝達する。減速機23の減速比は、限定されるものではなく、所望の減速の程度に応じて選択される。ロール周速度制御装置20では、減速比1/56が用いられる。
周速度検出手段24は、タコジェネレータ26と、周速演算手段27とを含んで構成される周速度検出装置である。タコジェネレータ26は、一種の直流発電機であり、モーター13の単位時間当たりの回転数(回転速度)Nを検出し、回転速度に比例する電圧を出力する。周速演算手段27は、演算回路であり、タコジェネレータ26が検出する回転速度Nを用いて以下の式(1)に基づきロール11の周速度Vを演算する。式(1)のDは、ロール11の径であり、1/56は減速機23の減速比である。周速演算手段27によるロール周速度Vは、抵抗回路を介し電流信号として制御手段25へフィードバックされる。
V=π×D×N×1/56 ・・・(1)
制御手段25は、速度偏差演算手段28と、制御部29とを含む制御装置である。速度偏差演算手段28は、たとえば加算器であり、鋼帯の搬送速度と等しく設定されるロールの目標周速度Vrefと、周速度検出手段24で得られる周速度Vとの速度偏差ΔV(=Vref−V)を演算する。制御部29は、たとえば比例積分制御回路である。制御部29は、速度偏差演算手段28から出力される速度偏差ΔVがゼロに近づくように駆動手段22に指令信号を出力して、駆動手段22がモーター13に供給する電流を制御する。すなわち、速度偏差ΔVが正(Vref>V)のとき、制御部29は、駆動手段22がモーター13に供給する電流を大きくして回転速度を速くするように、駆動手段22の動作を制御する。速度偏差ΔVが負(Vref<V)のとき、制御部29は、駆動手段22がモーター13に供給する電流を小さくして回転速度を遅くするように、駆動手段22の動作を制御する。速度偏差ΔVがゼロ(Vref=V)のとき、制御部29は、駆動手段22がモーター13に供給する電流をそのまま維持して回転速度の増減がないように、駆動手段22の動作を制御する。
このように周速度制御されるロール11により塩浴槽5内を搬送される鋼帯8の表面に疵が発生することがある。鋼帯8に表面疵が発生する原因は、モーター13で回転駆動されるロール11の周速度と、鋼帯8の搬送速度とに差が生じてスリップすることにあると考えられる。周速度制御を行っているにも関わらず、ロール11の周速度と、鋼帯8の搬送速度とに差が生じる原因の一つとして、ロール11の径が変化することが挙げられる。上記式(1)で周速度の演算に用いるロール11の径Dは、塩浴槽5内に設置する前に常温環境で測定したものである。しかし、塩浴槽5内に設置して操業すると、ロール11の温度が昇温するため、熱膨張によりロール径が変化する。また、継続的使用による摩耗によってもロール径が変化する。演算に用いるロール径Dと実際のロール径とが異なる場合、周速演算手段27で演算される周速度と実際の周速度とに差が生じるので、周速度制御を行っているにも関わらず、鋼帯8とロール11との間でスリップが発生する。
搬送される鋼帯と、鋼帯を搬送するロールとの間のスリップを防止する先行技術として以下の技術が提案されている。一つの先行技術は、ロールの鋼帯搬送トルクを検出し、その搬送トルクからロール周速度と鋼帯の搬送速度との関係を推定し、推定結果に基づいてロール径を修正し、修正されたロール径を用いてロール周速度制御を行うものである(特許文献1参照)。他の先行技術は、ロール径を用いて演算されるモーターの回転速度演算値と、モーターの回転速度検出値との差が、予め定める基準値よりも大きくなると、鋼帯とロールとの間でスリップが発生したと判定し、モーターの駆動電流を減少させて回転速度を減ずるように制御をおこなうものである(特許文献2参照)。特許文献1および特許文献2では、操業に伴うロール径の変化は、ロールの外周全体にわたって均一に生じるものとみなしてロール周速度を制御する。
図9は、ロールと鋼帯とのスリップにより発生するスリップ疵の状態を示す。本件発明者が実見したところによれば、図9に示すように、鋼帯8とロール11とのスリップで発生するスリップ疵31は、連続していない。また、スリップ疵31の発生するピッチLは、ロール周長よりも短く、ロール周長の範囲内でスリップ疵31が複数個発生する。スリップ疵31が連続的でないことから、ロール径が全体で均一に増大または減少したものでないことが判る。ロール径が全体で均一に増大または減少する場合、ロール11の外周全長にわたってスリップするためスリップ疵が連続的になるからである。また、ロール周長の範囲内でスリップ疵31が複数個発生することから、ロール径が局部的に増大または減少し、局部的にロール周速度と鋼帯搬送速度とに差異が生じてスリップしたものであると考えられる。
図10は、ロール径が局部的に変化したロール11で鋼帯8を搬送する状態を示す。図10(a)中のライン33は、ロール11の周速度Vを表し、直線34は鋼帯8の搬送速度Vsすなわちロール11の目標周速度を表す。図10(b)に示すようにロール径が局部的に変化したロール11では、その径が、a部分およびc部分で増大してそれぞれDa、Dcになり、b部分で減少してDbになる。図10(b)でロール径の変化部分を示すa,bおよびcの各部分は、図10(a)中のa,bおよびcの各部分にそれぞれ対応する。ロール径が増大するa,c部分では、ロール11と、張力を負荷されて搬送される鋼帯8との摩擦抵抗が大きくなるので、ロール周速度Vは鋼帯搬送速度Vsよりも遅くなり、逆に、ロール径が減少するb部分では、ロール11と鋼帯8との摩擦抵抗が小さくなるので、ロール周速度Vは鋼帯搬送速度Vsよりも速くなる。このように、ロール径が局部的に変化すると、ロール周速度Vも局部的に変化し、鋼帯8の搬送速度Vsとの局部的な差異が生じる。ライン33で表すロール11の周速度Vと、直線34で表す鋼帯8の搬送速度Vsとの差が大きくなると、ロール11と鋼帯8とがスリップしてスリップ疵が発生する。
図11は、塩浴槽5において鋼帯8にスリップ疵が発生する場合のロール周速度Vおよびモーター電流値Iを示す。仮に鋼帯8の搬送速度Vsが変動するロール周速度Vの上限値または下限値いずれかの近傍にあるとすれば、ロール周速度Vの変動幅ΔVが鋼帯8の搬送速度Vsとの速度差に当たる。スリップ疵が発生する位置と、ロール周速度Vの変動幅ΔVとの対応を見ると、変動幅ΔVが2m/min以上になる場合、鋼帯8とロール11とがスリップして疵が発生する。逆にスリップ疵の発生を防止するには、ロール周速度Vの変動幅の最大値ΔVmax、すなわち鋼帯8の搬送速度Vsとロール周速度Vとの速度差を2m/min未満にする必要がある。なお、この速度差2m/min未満に対応するモーター電流値Iの変動幅ΔImaxは0.2A未満である。
特開平04−72259号公報 特開平06−335283号公報
ロール径がロール全体で均一に増大または減少して変化することを前提としてロール周速度を制御する特許文献1および特許文献2の技術では、上記のようなロール径が局部的に変化することによって、ロール周長よりも短いピッチで発生するスリップ疵を防止することができないという問題がある。
本発明の目的は、ロール径が局部的に変化して発生するスリップ疵を防止することができるロール周速度制御装置を提供することである。
本発明は、鋼帯の製造設備に設けられ、モーターで回転駆動されて鋼帯を搬送するロールの周速度を、鋼帯の搬送速度に等しく設定される目標周速度に適合するように制御するロール周速度制御装置において、
モーターの電流を測定して実測電流を得る電流測定手段と、
実測電流の平均値として目標電流値を求める目標電流値演算手段と、
目標電流値から実測電流を減算して電流偏差を求める電流偏差演算手段と、
電流偏差に対応する周速度補正値を目標周速度に加算し、目標周速度の補正値である補正目標周速度を求める補正目標周速度演算手段と、
モーターで回転駆動されるロールの周速度を検出する周速度検出手段と、
補正目標周速度と周速度検出手段で検出される周速度との差がゼロに近づくようにモーターの電流を制御する制御手段と、を含むことを特徴とするロール周速度制御装置である。
また、本発明で、前記電流偏差演算手段は、前記実測電流を移動平均演算する移動平均演算手段を含み、前記補正目標周速度演算手段は、前記周速度補正値を、前記電流偏差に重み付けして対応させる調整手段を含むことが好ましい。
本発明のロール周速度制御装置によれば、ロール径が局部的に変化する場合であっても、ロール径が局部的に変化した部分のロール周速度を鋼帯の搬送速度に一致させるか、または近づけることができるので、ロール周長より短いピッチのスリップ疵の発生を防止することができる。
また、ロール周速度制御装置が、移動平均演算手段を含むことによって、実測されるモーター電流を平滑化して応答速度を調整することができる。また、調整手段を含むことによって、ロール周速度を鋼帯の搬送速度に適合させるための補正値を調整することができるので、ロール周速度を鋼帯搬送速度に一層精度よく適合させてスリップ疵の発生を防止することができる。
図1は、本発明の実施形態であるロール周速度制御装置40の構成を簡略化して示す。本発明のロール周速度制御装置40は、先に示すロール周速度制御装置20と類似する部分を含むので、当該部分については同一の参照符号を付して説明を簡略化または省略する。
ロール周速度制御装置40は、鋼帯の製造設備に設けられ、モーターで回転駆動されて鋼帯を搬送するロールの周速度を、鋼帯の搬送速度に適合するように制御することに用いられる。ロール周速度制御装置40が設けられる鋼帯の製造設備としては、鋼帯を搬送するロールを有する焼鈍酸洗設備の焼鈍炉や塩浴槽などが挙げられる。ロール周速度制御装置40の特徴は、電流測定手段41と、目標電流値演算手段43と、電流偏差演算手段44と、補正目標周速度演算手段46とを含むことである。さらに電流偏差演算手段44は、実測電流を移動平均する移動平均演算手段42を含み、補正目標周速度演算手段46は、調整手段45を含むことが好ましい。これらの構成に加えて、ロール周速度制御装置40は、先のロール周速度制御装置20と同一に構成される出力手段である目標周速度出力装置21、駆動手段22、モーター13、減速機23、周速度検出手段24および制御手段25を、含む。
電流測定手段41は、たとえばクランプ型のセンサーを備える電流測定装置であり、モーター13の電流を測定して実測電流を得る。実測電流は、そのまま電流偏差演算手段44へ出力してもよいが、移動平均演算手段42によって移動平均するのが好ましい。移動平均演算手段42は、以下の式(2)に示す演算を実行する演算回路であり、実測電流を移動平均して電流偏差演算手段44へ出力する。実測電流を移動平均することによって時系列データを平滑化し応答性を調整することができる。予め定める時間が経過するのに伴い、最も古いデータI1を1つ削除し、新たなデータIn+1を1つ加えて移動平均することによって、時間経過に伴う時系列データを順次平滑化することができる。図2は、実測電流を移動平均する状態を示す。図2(a)はデータ数nが大きい場合の事例を示し、図2(b)はデータ数nが小さい場合の事例を示す。データ数nが大きいほど、データは一層平滑化される。
移動平均=(I1+I2+・・・+In)/n ・・・(2)
目標電流値演算手段43は、実測電流の平均値として目標電流値を演算する演算回路である。実測電流の平均値は、予め定める時間ごとに求められる。予め定める時間は、特に限定されるものではないが、ここでは、ロール11の1回転に相当する5msecとする。5msecごとに、実測電流の最大値Imaxと、最小値Iminとを用いて、以下の式(3)に基づき平均値を求める。式(3)で得られる電流を予め定める時間における目標電流値とし、予め定める時間が経過するごとに演算して目標電流値とする。目標電流値演算手段43は、目標電流値を求めて電流偏差演算手段44へ出力する。
目標電流値=(Imax−Imin)/2+Imin ・・・(3)
電流偏差演算手段44は、たとえば加算器であり、この電流偏差演算手段44には、前述の移動平均演算手段42が付帯することが好ましい。電流偏差演算手段44は、目標電流値演算手段43で求められる目標電流値から、電流測定手段41で測定する実測電流又は移動平均演算手段42で移動平均される実測電流を減算した電流偏差を求め、調整手段45へ出力する。
調整手段45は、設定部47と、調整部48とを含む調整装置であり、電流偏差に重み付けをする。設定部47は、たとえば操作盤に設けられるキーボードなどの入力部であり、所望の調整係数K1を入力して設定することができる。調整部48は、電流偏差に設定部47から与えられる調整係数K1を乗算する演算回路であり、調整係数K1を掛けることによって電流偏差に重み付けする。電流偏差に調整係数を掛けて重み付けしたものを、補正目標周速度演算手段46へ出力してロールの目標周速度Vrefを補正するために用いるので、周速度補正値Vcと呼ぶ。周速度補正値Vcは、電流偏差に対応する電流信号として得られる。これは、目標周速度出力装置21から出力される目標周速度Vrefおよび周速度検出手段24で検出されて制御手段25にフィードバックされるロール周速度Vが電流信号であることと、演算上の整合をとるためである。なお、目標周速度Vrefおよびロール周速度Vを電圧信号とし、これに整合するように電流偏差に対応する周速度補正値Vcを電圧信号に変換するようにしてもよい。
図3は、調整係数K1と周速度補正値Vcとの関係を示す。調整係数K1の大きさを変えることによって、電流偏差に対応する周速度補正値Vcとして調整部48から出力される電流信号の振幅を変えることができる。電流偏差に重み付けして周速度補正値Vcとすることによって、目標周速度Vrefの補正量を調整することができる。ロール周速度制御装置40において、移動平均演算手段42および調整手段45は、必須の構成ではない。しかし、移動平均演算手段42を含むことによって実測電流を平滑化して応答速度を調整することができ、また調整手段45を含むことによって目標周速度Vrefの補正量を調整することができるので、ロール周速度を鋼帯搬送速度に一層精度よく適合させることが可能になる。なお、ロール周速度制御装置40では、移動平均演算手段42、目標電流値演算手段43、電流偏差演算手段44および調整手段45は、プログラマブルロジックコントローラとして構成される。
補正目標周速度演算手段46は、たとえば加算器であり、この補正目標周速度演算手段46には、前述の調整手段45が付帯することが好ましい。補正目標周速度演算手段46は、ロールの周速度補正値Vcを、鋼帯の搬送速度に等しく設定されて目標周速度出力装置21から出力されるロールの目標周速度Vrefに加算し、目標周速度Vrefの補正値である補正目標周速度Vcrを求める。図4は、補正目標周速度演算手段46での演算処理を説明する。目標電流値から実測電流を減算して得られる電流偏差に対応する周速度補正値Vcは、実測電流が目標電流値よりも高いところは負になり、実測電流が目標電流値よりも低いところは正になる。すなわち、周速度補正値Vcは、目標電流値に対する実測電流の信号の符号と正負が逆の信号となる。この周速度補正値Vcを目標周速度Vrefに加算すると、目標周速度Vrefに対して大きい実測電流が得られた部分、すなわちロール周速度が目標周速度Vrefより速い部分では目標周速度Vrefを減速するように補正し、目標周速度Vrefに対して小さい実測電流が得られた部分、すなわちロール周速度が目標周速度Vrefより遅い部分では目標周速度Vrefを加速するように補正した補正目標周速度Vcrが得られる。
鋼帯の搬送速度に等しく設定した目標周速度Vrefを、ロール周速度を制御する指令信号として出力しているにも関わらず、ロール径が局部的に変化すると、ロールの局部的な周速度が目標周速度Vrefと差異を生じるようになる。このとき、ロールの周速度制御の目標値とする周速度を、目標周速度Vrefから上記のように補正した補正目標周速度Vcrに変更することによって、ロール径が局部的に変化した部分のロール周速度を、鋼帯の搬送速度に等しい目標周速度Vrefに適合させることができる。
制御手段25は、速度偏差演算手段28と、制御部29とを含む制御装置であり、先のロール周速度制御装置20の制御装置25と構成を同じくする。しかし、本発明のロール周速度制御装置40では、速度偏差演算手段28に入力される信号が先の装置20の場合と異なる。速度偏差演算手段28には、目標周速度出力装置21から出力される目標周速度Vrefに周速度補正値Vcを加算した補正目標周速度Vcrが入力される。速度偏差演算手段28は、補正目標周速度Vcrと、周速度検出手段24で検出されてフィードバックされるロール周速度Vとの速度偏差ΔVcr(=Vcr−V)を演算する。制御部29は、速度偏差ΔVcrがゼロに近づくように、駆動手段22に指令信号を与えてモーター13に供給する電流を制御する。
ロール周速度制御装置40では、回転駆動するモーター13の電流を測定して実測電流を求め、実測電流を移動平均して平滑化し、目標電流値から移動平均した実測電流を減算して電流偏差を求める。次に重み付けした電流偏差に対応する周速度補正値Vcを、目標周速度Vrefに加算して補正目標周速度Vcrを求める。この補正目標周速度Vcrが、ロール11を回転駆動させる指令信号として用いられ、ロール周速度を制御する。さらに、補正目標周速度Vcrに応じて回転駆動されるロール11の周速度Vを検出してフィードバックし、補正目標周速度Vcrと検出される周速度Vとの速度偏差ΔVcrを求め、速度偏差ΔVcrがゼロに近づくように、ロール11を回転駆動させるモーター13の動作を制御する。
ロール周速度制御装置40によれば、目標周速度Vrefに対してロール11の周速度が速い部分では目標周速度Vrefを減速するように補正し、目標周速度Vrefに対してロール11の周速度が遅い部分では目標周速度Vrefを加速するように補正した補正目標周速度Vcrを得、この補正目標周速度Vcrをロール周速度制御の目標値にすることができる。この補正目標周速度Vcrは、ロール径が局部的に変化してロール周速度と目標周速度Vrefとの間に差異が生じている部分に対して、ロール周速度が目標周速度Vrefよりも速い部分では減速する目標値に補正し、ロール周速度が目標周速度Vrefよりも遅い部分では加速する目標値に補正したものである。補正目標周速度Vcrを目標値としてロール11の周速度制御を行うことによって、ロール径が局部的に変化する場合であっても、ロール径が変化する部分のロール周速度を鋼帯8の搬送速度に適合させることができる。このことによって、ロール径が局部的に変化する場合であっても、鋼帯8とロール11とのスリップを防止して疵の発生を防止することができる。さらに、補正目標周速度Vcrと、実測するロール周速度Vとの差がゼロに近づくようにフィードバック制御するので、補正目標周速度Vcrに対する実際のロール周速度Vの追従精度を一層向上することができる。
図5は、ロール周速度制御装置40による制御結果を示す。図5(a)は周速度検出手段24で検出されるロール周速度Vを示し、図5(b)は電流測定手段41で測定されるモーター電流値Iを示す。ロール周速度制御装置40で制御することによって、ロール径が局部的に変化する場合であっても、その局部的なロール径変化部分のロール周速度Vを、一定速度で搬送される鋼帯の搬送速度に近づけることができる。したがって、図5(a)に示すように、ロール周速度Vの変動が極めて小さく抑制され、ロール周速度Vの最大変動幅ΔVmaxは2m/min未満を満足する。また、ロール周速度Vに対応するモーター電流値Iの最大変動幅ΔImaxも0.2A未満に抑えられる。このようにロール周速度の変動幅が極めて小さくなるように制御されるとき、一定速度で搬送される鋼帯8の搬送速度との差が小さくなるので、鋼帯8とロール11とのスリップが防止され、スリップ疵の発生も防止される。
なお、ロール径がロール全体として均一に変化する場合、目標電流値と実測電流との電流偏差は、ロールの周方向の位置に関わらずほぼ一定になるので、一層容易にロール周速度を鋼帯8の搬送速度に一致させるか、または近づけることができ、スリップ疵の発生を防止することが可能である。
本発明の実施形態であるロール周速度制御装置40の構成を簡略化して示す図である。 実測電流を移動平均する状態を示す図である。 調整係数K1と周速度補正値Vcとの関係を示す図である。 補正目標周速度演算手段46の演算処理を説明する図である。 ロール周速度制御装置40による制御結果を示すグラフである。 鋼帯を搬送するロールが設けられる焼鈍酸洗設備1の構成を概略的に示す図である。 塩浴槽5を拡大して示す断面図である。 従来のロール周速度制御装置20の構成を簡略化して示す図である。 ロールと鋼帯とのスリップにより発生するスリップ疵31の状態を示す平面図である。 ロール径が局部的に変化したロール11で鋼帯8を搬送する状態を示す図である。 塩浴槽5において鋼帯8にスリップ疵が発生する場合のロール周速度Vおよびモーター電流値Iを示すグラフである。
符号の説明
20,40 ロール周速度制御装置
21 目標周速度出力装置
22 駆動装置
23 減速機
24 周速度検出装置
25 制御装置
28,44,46 加算器
41 電流測定装置
42 移動平均演算回路
43 目標電流値演算回路
45 調整装置

Claims (2)

  1. 鋼帯の製造設備に設けられ、モーターで回転駆動されて鋼帯を搬送するロールの周速度を、鋼帯の搬送速度に等しく設定される目標周速度に適合するように制御するロール周速度制御装置において、
    モーターの電流を測定して実測電流を得る電流測定手段と、
    実測電流の平均値として目標電流値を求める目標電流値演算手段と、
    目標電流値から実測電流を減算して電流偏差を求める電流偏差演算手段と、
    電流偏差に対応する周速度補正値を目標周速度に加算し、目標周速度の補正値である補正目標周速度を求める補正目標周速度演算手段と、
    モーターで回転駆動されるロールの周速度を検出する周速度検出手段と、
    補正目標周速度と周速度検出手段で検出される周速度との差がゼロに近づくようにモーターの電流を制御する制御手段と、を含むことを特徴とするロール周速度制御装置。
  2. 前記電流偏差演算手段は、前記実測電流を移動平均演算する移動平均演算手段を含み、
    前記補正目標周速度演算手段は、前記周速度補正値を、前記電流偏差に重み付けして対応させる調整手段を含むことを特徴とする請求項1記載のロール周速度制御装置。
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