JP5135559B2 - 電子ビーム溶接継手及び電子ビーム溶接用鋼材とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子ビームが被溶接部に照射され、溶接される電子ビーム溶接用鋼材とその製造方法、さらに、該鋼材の被溶接部に電子ビームを照射して形成された電子ビーム溶接継手に関するものである。
本願は、2010年11月22日に、日本に出願された特願2010−260485号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、地球環境の温暖化の一因であるCO2ガスの削減や、石油等の化石燃料の将来的な枯渇に対処するため、再生可能な自然エネルギーの利用が積極的に試みられている。風力発電も、有望視されている再生可能エネルギーの一つであり、大規模な風力発電プラントが建設されつつある。
風力発電に最も適している地域は、絶えず強風を期待できる地域である。そのため、洋上風力発電が、世界的規模で計画され、実現されている(特許文献1〜4、参照)。
洋上に風力発電用鉄塔を建設するためには、海底の地盤に、鉄塔の基礎部分を打ち込む必要がある。海水面から、風力発電用のタービン翼高さを十分に確保するためには、基礎部分も十分な長さを持つことが必要である。
そのため、鉄塔の基礎部分の構造は、板厚が50mm超、例えば、100mm程度、直径が4m程度の大断面を有する鋼管構造となる。鉄塔の高さは80m以上に達する。そして、近年、風力発電用鉄塔のような巨大な鋼構造物を、建設現場近くの海岸にて、電子ビーム溶接で、簡易に、しかも、高能率で組み立てることが求められている。
即ち、板厚100mmにも及ぶ極厚鋼板を、建設現場で、しかも、高能率で溶接するという、従来にない技術的要請がなされている。
一般に、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接などの高エネルギー密度ビーム溶接は、効率的な溶接である。しかし、レーザービームで溶接できる板厚には限度がある。また、従来の電子ビーム溶接は真空チャンバー内で高真空状態を維持して溶接を行う必要があった。そのため、従来、高エネルギー密度ビーム溶接で溶接することができる鋼板の板厚や大きさは、溶接装置の能力や真空チャンバーの大きさによって制限されていた。
これに対して、近年、被溶接部の近傍を減圧し、板厚100mm程度の極厚鋼板を、効率よく、建設の現地で溶接できる電子ビーム溶接方法が提案されている。例えば、英国の溶接研究所では、低真空下で施工が可能な溶接方法(RPEBW:Reduced Pressured Electron Beam Welding:減圧電子ビーム溶接)が開発されている(特許文献5、参照)。
このRPEBW法を用いれば、風力発電用鉄塔のような大型鋼構造物を建設する場合にも、溶接する部分を、局所的に真空状態におき、効率的に溶接することができる。RPEBW法は、真空チャンバー内で溶接する方法に比べ、真空度が低い状態で溶接する溶接方法である。
一般に、溶接構造物の安全性を定量的に評価する指標として、破壊力学に基づく、破壊靭性値δcが知られている。破壊靭性値δcは、CTOD(Crack Tip Opening Displacement:亀裂端開口変位)試験で求められる。破壊靭性には試験片のサイズが影響するので、従来のVノッチシャルピー衝撃試験のような小型の試験で良好な結果が得られても、大型鋼構造物の溶接継手に対するCTOD試験で、良好な破壊靭性値δcが得られるとは限らない。
また、電子ビーム溶接法は、電子ビームの持つエネルギーにより、溶接部の母材を一旦溶融し、凝固させて溶接する方法である。通常、電子ビーム溶接法による溶融金属部の成分組成は母材(鋼材)とほぼ同等である。一方、エレクトロガス溶接等の大入熱アーク溶接法では、溶接ワイヤー等により、溶接金属の硬さや、破壊靭性値δcなどの機械特性を調整する。電子ビーム溶接法でこの手法を利用することは難しい。
そこで、電子ビーム溶接継手の破壊靭性値δcを向上させるために、溶接金属(WM)の硬さや清浄度を適正化する方法が提案されている(例えば、特許文献6、7、参照)。特許文献6には、溶接金属の硬さを、母材の硬さの110%超220%以下とし、かつ、溶接金属の幅を鋼材の板厚の20%以下とすることが提案されている。また、特許文献7には、溶接金属中のOの量を20ppm以上とし、粒径2.0μm以上の酸化物の量を10個/mm2以下とすることが提案されている。
日本国特開2008−111406号公報 日本国特開2007−092406号公報 日本国特開2007−322400号公報 日本国特開2006−037397号公報 国際公開99/16101号パンフレット 日本国特開2007−21532号公報 日本国特開2008−88504号公報
洋上風力発電用鉄塔の建設においては、鋼材を突き合わせて溶接した後、溶接部に熱処理を施すことなく、そのまま使用する。このため、溶接金属(WM)及び溶接熱影響部(HAZ:Heat-Affected Zone。以下、単に「熱影響部」という。)には、優れた靭性が要求される。電子ビーム溶接の場合、通常溶接ワイヤーを使用しないので、母材の成分組成を調整して、溶接金属及び熱影響部の靭性を制御する。
従来、溶接金属における介在物、溶接金属の硬さと母材の硬さの関係、又は、溶接金属の幅を制御する方法が提案されているが、熱影響部の靭性が不十分であると、溶接継手部の全体としての破壊靭性は低下する。
なお、板状又は箔状のNi箔など(インサートメタル)を溶接面(開先面)に張付けて電子ビーム溶接を行い、溶接金属(WM)の靭性を、母材の靭性以上に高めることができる。しかし、この場合も母材の成分組成が適正でないと、溶接金属の硬さと熱影響部の硬さの差が顕著となる。すると、硬さの差が非常に大きくなった部分である熱影響部の破壊靭性値δcが大きく低下することになる。
また、本発明者らの検討によれば、電子ビーム溶接継手において、靱性向上のために適切な成分組成が、溶接金属と熱影響部(母材)とで、必ずしも一致しない。そのため、従来のアーク溶接用高HAZ靭性鋼に、そのまま、電子ビーム溶接を施しても、溶接金属で、高い靱性は得られない。一方、電子ビーム溶接により形成された溶接金属の靱性を考慮して、アーク溶接用鋼材の成分組成を最適化しても、熱影響部で高靱性は得られない。
即ち、電子ビーム溶接とアーク溶接とは、溶接手法及び形成される継手構造の点で基本的に異なるから、電子ビーム溶接に係る課題は、アーク溶接に係る課題解決手法で解決することはできない。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、洋上風力発電用鉄塔の基礎部分を構成する、板厚45mm以上の電子ビーム溶接用鋼材であって、高強度で、かつ、溶接金属(WM)、熱影響部(HAZ)、及び、母材(BM:Base Metal)の破壊靱性が適度にバランスした電子ビーム溶接継手を形成することができる鋼材とその製造方法である。本発明の別の目的は、上記鋼材の被溶接部に電子ビームを照射して形成された破壊靱性に優れる電子ビーム溶接継手を提供することである。
本発明においては、上記課題を解決するため、Mnを1.5質量%以上添加して、焼入れ性を確保するとともに、脱酸元素のAlを極力低減し、適量のTiを添加して、Tiを10%以上含有する微細な酸化物粒子(以下、単にTi含有酸化物という。)を鋼中に分散させる。このTi含有酸化物を、粒成長を抑制するピンニング粒子、及び、粒内変態の生成核として利用して、溶接金属(WM)、熱影響部(HAZ)、及び、母材(BM)の破壊靭性を適度にバランスさせる。
特に、WM幅及びHAZ幅が狭く、入熱量が低い電子ビーム溶接においては、Ti含有酸化物が、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の粒内変態の生成核として極めて有用であり、ミクロ組織の粗大化の抑制に顕著に貢献する。
そして、本発明においては、新たに導入した電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEBを制御して、鋼材(BM)、溶接金属(WM)、及び、熱影響部(HAZ)の破壊靱性を、適度にバランスさせ、溶接部全体として、所要の破壊靱性を確保する。さらに、本発明においては、焼入れ性を高めるため、Mn量を増大し、一方で、Cr、Mo、Cu、Ni、及び/又は、Nbの各量を低減し、電子ビーム溶接用鋼材の製造コストを低減する。
電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEBは、電子ビーム溶接継手の破壊靭性の向上のため、本発明者らが、新規に導入した指標である。指標CeEBの技術的意義については、後述する。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)本発明の一態様にかかる電子ビーム溶接継手は、鋼材が電子ビームで溶接された電子ビーム溶接継手であって、前記鋼材の組成が、質量%で、C:0.02%〜0.10%、Si:0.03%〜0.30%、Mn:1.5%〜2.5%、Ti:0.005%〜0.015%、N:0.0020%〜0.0060%、O:0.0010%〜0.0035%、Nb:0%〜0.020%、V:0%〜0.030%、Cr:0%〜0.50%、Mo:0%〜0.50%、Cu:0%〜0.25%、Ni:0%〜0.50%、及び、B:0%〜0.0030%を含有し、S:0.010%以下に制限し、P:0.015%以下に制限し、Al:0.004%以下に制限し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、前記鋼材の組成を下記の式1に代入して求められる指標値CeEBが0.49%〜0.60%であり、前記鋼材の前記指標値CeEBに対する質量%で表した前記鋼材のC量の比であるC/CeEBが、0.04〜0.18であって、前記鋼材の板厚方向に沿った断面の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物の数が20個/mm以下であり、前記板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物の数が1×10〜1×10個/mmである。
電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEB=C+(9/40)Mn+(1/15)Cu+(1/15)Ni+(1/5)Cr+(1/5)Mo+(1/5)V ・・・(式1)
ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、所定の鋼材の組成中の各元素の質量%。
)上記(1)の電子ビーム溶接継手で、前記鋼材の厚さが45〜150mmであってもよい。
)上記(1)又は2)の電子ビーム溶接継手で、溶接金属のCTOD値をδWM、溶接熱影響部のCTOD値をδHAZ、及び、前記鋼板のCTOD値をδBMと定義すると、0.5≦δWM/δBM≦1.1、及び0.5≦δHAZ/δBM≦1.1、を満足してもよい。
)本発明の別の一態様にかかる電子ビーム溶接用の鋼材は、その組成が、質量%で、C:0.02%〜0.10%、Si:0.03%〜0.30%、Mn:1.5%〜2.5%、Ti:0.005%〜0.015%、N:0.0020%〜0.0060%、O:0.0010%〜0.0035%、Nb:0%〜0.020%、V:0%〜0.030%、Cr:0%〜0.50%、Mo:0%〜0.50%、Cu:0%〜0.25%、Ni:0%〜0.50%、及び、B:0%〜0.0030%を含有し、S:0.010%以下に制限し、P:0.015%以下に制限し、Al:0.004%以下に制限し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、前記鋼材の組成を下記の式1に代入して求められる指標値CeEBが0.49%〜0.60%であり、前記鋼材の前記指標値CeEBに対する質量%で表した前記鋼材のC量の比であるC/CeEBが、0.04〜0.18であって、前記鋼材の板厚方向に沿った断面の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物の数が20個/mm以下であり、前記板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物の数が1×10〜1×10個/mmであることを特徴とする電子ビーム溶接用鋼材。
電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEB=C+(9/40)Mn+(1/15)Cu+(1/15)Ni+(1/5)Cr+(1/5)Mo+(1/5)V ・・・(式1)
ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、所定の鋼材の組成中の各元素の質量%。
)上記(4)の電子ビーム溶接用の鋼材で、前記鋼材の厚さが45〜150mmであってもよい。
)本発明の別の一態様にかかる電子ビーム溶接用鋼材の製造方法は、上記(4)又は(5)の電子ビーム溶接用鋼材を製造する方法であって、前記鋼材を鋳造する際、前記鋼材を、1300〜1100℃の温度域での冷却速度が9℃/min以上となるように冷却する工程と、前記鋳造工程の後、前記鋼材を950〜1150℃に加熱し、その後、加工熱処理を施す工程と、を有する。
電子ビーム溶接継手において、所定のCTOD値(破壊靭性値)を確保するためには、鋼材(BM)、溶接金属(WM)、及び、熱影響部(HAZ)の破壊靱性値を、適度にバランスさせることが重要である。
即ち、鋼材(母材)の破壊靱性と熱影響部の破壊靱性が優れていても、溶接金属の破壊靱性が劣っていると、溶接金属が破壊の起点となる。溶接金属の破壊靱性が優れていても、熱影響部の破壊靭性が劣っていると、熱影響部を起点として破壊が進行する。このように、溶接継手の各部で破壊靭性にばらつきがあると、溶接継手全体としての破壊靱性は劣化する。
電子ビーム溶接を適用した降伏強度355MPa級の鋼材の溶接部(溶接金属及び熱影響部)での脆性破壊は、旧オーステナイト粒から生成する粗大な粒界フェライト、上部ベイナイトやフェライトサイドプレート等から発生する。
そして、上記ミクロ組織が起点となって脆性破壊するときの破面単位は、旧オーステナイトの粒径に依存する。従って、析出物によるピンニング効果や粒内変態を利用して、溶接金属及び熱影響部におけるミクロ組織の粒径を小さくすることにより、溶接部の破壊靭性を改善することができる。
そこで、本発明においては、Al量を低減して、Tiを添加し、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)に、適切な粒径の微細なTi含有酸化物を、適量生成させることを基本思想とする。微細なTi含有酸化物は、粒成長を抑制するピンニング粒子として機能し、また、粒内変態の生成核となる。この結果、溶接金属と熱影響部に、粒内フェライトが生成される。なお、このTi含有酸化物は、Tiを10%以上含有する酸化物であり、例えばTiOまたはTiである。このTi含有酸化物には、Tiや酸素以外の元素を含んでも何ら差し支えない。
その結果、溶接金属及び熱影響部の組織が微細になり、鋼材(母材)、溶接金属、及び、熱影響部の破壊靭性が向上するとともに、これら3つの破壊靱性のバランスが向上する。
本発明によれば、降伏強度355MPa級の鋼材の電子ビーム溶接継手において、溶接金属及び熱影響部における破壊靭性の劣化を抑制することができる。また、鋼材(母材)、熱影響部、溶接金属の破壊靱性が適度にバランスした電子ビーム溶接継手を提供し、かつ、該溶接継手を形成し得る鋼材を低コストで提供することができる。
鋼材の強度及び靭性と金属組織との関係を定性的に示す図である。 焼入れ性と溶接金属の結晶粒径との関係を定性的に示す図である。 焼入れ性と熱影響部の高炭素マルテンサイト量との関係を定性的に示す図である。 鋼材(母材)の硬さに対する溶接金属の硬さの比と、溶接金属及び熱影響部の破壊靭性と、の関係を定性的に示す図である。 CeEBと溶接金属及び熱影響部の破壊靭性値(δc)の関係を定性的に示す図である。 溶接金属の破壊靭性値とC/CeEBとの関係を定性的に示す図である。 熱影響部の破壊靭性値とC/CeEBとの関係を定性的に示す図である。 ノッチを導入した試験片を示す図である。 溶接継手のCTOD試験結果と、鋼材に含まれる酸化物の個数との関係を示す図である。 鋳片の冷却速度と、鋼材に含まれる微小なTi含有酸化物粒子の数との相関を示す図である。 鋳片の冷却速度と、鋼材に含まれる粗大な酸化物粒子の数との相関を示す図である。 鋼材中の全酸素量と、鋼材に含まれる微小なTi含有酸化物粒子の数との相関を示す図である。
洋上風力発電用鉄塔の建設においては、鋼材を溶接した後、継手部に熱処理を施すことなく、そのまま使用する。このため、溶接金属及び熱影響部には、優れた靭性が要求される。電子ビーム溶接の場合、通常溶接ワイヤーを使用しないので、母材の成分組成を調整して、溶接金属及び熱影響部の靭性を制御する。
従来、電子ビーム溶接は、CrやMoを多量に含有する鋼(いわゆるCr−Mo鋼)やステンレス鋼または高Ni鋼など、溶接金属の酸化物の生成が必要とされない鋼材に適用されてきた。ステンレス鋼の場合、熱影響部には脆化相が生成しない。また、Cr−Mo鋼の場合、熱影響部の組織は、図1に定性的に示したように靭性に優れる下部ベイナイトとなり、非常に高い靭性が得られる。
本発明の実施形態にかかる電子ビーム溶接継手に用いる鋼材の板厚や強度は、特に限定されないが、例えば、洋上風力発電用鉄塔などに使用される、板厚が45〜150mm、YP(降伏点)が約315MPa〜550MPa、TS(引張強さ)が約450MPa〜690MPaの構造用鋼を好適に使用できる。必要に応じて、板厚上限を120mm又は130mmとしてもよい。YP下限を340MPa又は355MPaに、YP上限を500MPa、460MPa又は420MPaとしてもよい。TS下限を470MPa又は490MPaに、TS上限を600MPa、570MPa又は550MPaとしてもよい。この種の鋼材は、Cr−Mo高強度鋼に比べて強度が低く、熱影響部の組織は、図1に定性的に示したように靭性が低い上部ベイナイトになる。このような鋼材を電子ビーム溶接すると、特に、熱影響部では、粒界フェライトや上部ベイナイトなどの粗大な組織が発達し、高炭素マルテンサイト(島状マルテンサイト又はM−A constituentともいう)が生成しやすい。従って、構造用鋼を電子ビーム溶接する場合、熱影響部の靭性の確保は容易ではない。
組織と靭性との関係については、結晶粒径の微細化が特に溶接金属の靭性の向上に有効であること、高炭素マルテンサイトが特に熱影響部の靭性を低下させることが知られている。また、成分と組織との関係については、焼入れ性指標Ceqを大きくすると、図2Aに示すように溶接金属の粒径が微細になること、図2Bに示すように熱影響部の高炭素マルテンサイトが増加することが知られている。
また、溶接金属及び熱影響部の靭性を高めるには、溶接金属の硬さと鋼材(母材)の硬さとのバランスが重要である。すなわち、図3に示したように、鋼材(母材)の硬さに対して、溶接金属の硬さを高めると、溶接金属の靭性は向上する。しかし、溶接金属の硬化の影響によって熱影響部に変形が集中するため、熱影響部の靭性は低下する。従って、靭性の劣る上部ベイナイトの生成を防止するために焼入れ性を高めると、溶接金属の硬化が起こり、この影響によって、熱影響部の靭性が損なわれるという問題が生じる。
このように、鋼の焼入れ性とWMの結晶粒径やHAZの高炭素マルテンサイトとの関係、鋼材(母材)の硬さに対するWMの硬さの比と溶接継手の靭性との関係は、定性的には公知であった。しかし、従来、鋼材の成分によって溶接継手の破壊靭性のバランスを制御するという考え方は存在しなかった。そのため、例えば、焼入れ性を高めた鋼材(母材)を電子ビーム溶接すると、WMの靭性は向上するものの、HAZの靭性が著しく低下するなどの問題が生じた。
そこで、本発明者らは、電子ビーム溶接継手において、所要の靭性を確保するため、電子ビーム溶接に適した焼入れ性を表示する指標を検討し、新たに“CeEB”を考案し導入した。即ち、下記(式1)で定義する“電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEB”は、電子ビーム溶接継手の破壊靭性をより高めるために、鋼材の組織の形成に大きく影響する焼入れ性に着目し、所要の組織の生成を確実に確保することを考慮した新たな指標である。
CeEB=C+9/40Mn+1/15Cu+1/15Ni+1/5Cr+1/5Mo+1/5V ・・・(式1)
ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、電子ビーム溶接継手の母材、つまり、電子ビーム溶接継手に用いる鋼材における各成分の含有量(質量%)である。
上記(式1)で定義するCeEBは、硬さと相関する公知の炭素当量Ceq(=C+1/6Mn+1/15Cu+1/15Ni+1/5Cr+1/5Mo+1/5V)を基に、Mnが、電子ビーム溶接の際に蒸発して減少して焼入れ性が低下することを考慮して作成された指標である。なお、経験的に得られた焼入れ性の低下の度合いに基づいて、Mnの係数を9/40とした。
指標CeEBは、(1)電子ビーム溶接前の鋼材(母材)において焼入れ性を所要の範囲内で確保し、(2)溶接金属において、微細なフェライトの生成を促進し、かつ、(3)熱影響部において、靭性を低下させる上部ベイナイトや高炭素マルテンサイトなどの生成を抑制するための指標である。
図4に、電子ビーム溶接継手における溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の破壊靱性値(δc)とCeEBとの関係を定性的に示す。実線は溶接金属の破壊靭性値(δcwm)であり、破線は熱影響部の破壊靭性値(δcha)である。二点鎖線は、仮想的にWMの硬さの影響を無視した場合の熱影響部の破壊靭性値(HAZ靭性の予測値)である。このHAZ靭性の予測値は、HAZの熱履歴を模擬した熱処理を施した試験片の破壊靭性試験により測定することができる。
指標CeEBが大きくなると、WMの組織が微細になってδcwmが向上する。一方、HAZでは高炭素マルテンサイトの増加とHAZの硬化によってHAZ靭性の予測値が低下する。また、CeEBが大きくなるとWMが硬化し、その影響を受けて、δchaはHAZ靭性の予測値よりも低下する。
このように、指標CeEBによって溶接金属及び熱影響部の破壊靭性を総合的に調整することが可能になる。CeEBを適正範囲に定めれば、溶接金属及び熱影響部の破壊靱性値を両方とも、一点鎖線で示す目標値以上にすることができる。後述するピンニング粒子や粒内変態を活用する場合は、ピンニングや粒内変態の効果に応じて、δcwm及びδchaが向上することになる。
次に、本発明者らは、鋼材(母材)のC量及びCeEBと、母材、溶接金属、及び、熱影響部の靭性との関係について検討した。その結果、母材のC量とCeEBとの比“C/CeEB”を特定の範囲に調整することが好ましいことが解った。以下に、比“C/CeEB”の技術的意義について説明する。
比“C/CeEB”は、溶接金属部の焼入れ性と、熱影響部の焼入れ性が極端に偏らないようにするための指標である。図5AにCeEBと溶接金属の破壊靭性値との関係を示し、図5BにCeEBと熱影響部の破壊靭性値との関係を示す。
CeEBは焼入れ性の指標である。CeEBが大きくなると、溶接金属では粒径が微細になるため破壊靭性値が高くなり、熱影響部では高炭素マルテンサイトの生成が促進されて破壊靭性値が低下する。また、電子ビーム溶接では、溶接金属のMnの一部が蒸発して、Mn量が減少する。
そのため、図5Aに示すように、溶接金属の破壊靭性を向上させるためには、C/CeEBを高めて焼入れ性を確保することが好ましい。一方、熱影響部では、C量の増加によって高炭素マルテンサイトの生成が促進される。そのため、図5Bに示すように、破壊靭性値を確保するには、C/CeEBを制限することが好ましい。
さらに、本発明者らは、溶接金属の破壊靭性値と熱影響部の破壊靱性値のバランスを改善する手法について検討した。その結果、Ti含有酸化物がピンニング粒子として機能すると、熱影響部における粒成長が抑制され、熱影響部及び溶接金属の靭性が向上することが解った。また、Ti含有酸化物を生成核とする粒内変態を利用して、粒内フェライトを生成させると、熱影響部及び溶接金属の靭性が向上することが解った。
本発明者らは、更に、Ti含有酸化物を含む鋼中酸化物粒子のサイズや個数が、電子ビーム溶接継手の破壊靱性値に対して及ぼす影響について、予備実験を行って検証した。以下に詳述するように、この予備実験では、鋼中の全酸素量や鋳片の冷却速度を変化させることで、異なる個数やサイズの酸化物粒子を有する複数の鋼材を作成した。これらの鋼材を用いて電子ビーム溶接継手を製作し、破壊靱性値を検査した。
この予備試験において、酸化物粒子の計測、破壊靭性値の計測は、鋼板の板厚方向中心部を対象にして行った。この理由は以下の通りである。第一の理由は、CTOD試験で検証されるように、電子ビーム溶接継手において、力学的に最も拘束力が高く、破壊の起点となりやすいのは板厚中心部であるからである。さらに、鋼板の板厚方向中心部では、連続鋳造における凝固偏析(中心偏析)により、溶質元素が濃化して組織が硬化しやすい。このため、板厚方向中心部は、板厚方向の表層に近い部分に比べて冶金学的に脆性破壊が発生しやすい状態となっていることが、第二の理由である。重ねて、本発明の対象である電子ビーム溶接継手は、通常のアーク溶接継手とは異なり、融合面が板厚方向にほぼ平行な平面状であるため、上述した板厚方向の力学的・冶金的な影響を受けて、粗大な酸化物粒子が脆性破壊の起点となりやすい。すなわち、電子ビーム溶接継手の熱影響部及び溶接金属の破壊靱性値は、通常のアーク溶接継手と比べて、板厚中心部に存在する酸化物粒子のサイズや個数に大きな影響を受けやすいことが、第三の理由である。
後述の予備実験により酸化物粒子の数と破壊靭性値との関係を調査した結果、以下の知見が得られた。Tiを10%以上含有する酸化物粒子は、その円相当径が0.05μm以上の時に、高い効率でピンニング作用及び粒内変態促進作用を示し、結晶粒の細粒子化に大きく貢献する。一方、粒径の比較的大きい酸化物(Ti含有酸化物を含む全酸化物)の粒子は、脆性破壊の起点ともなる。介在物粒子の円相当径が0.5μmを超えると、脆性破壊の起点となる傾向が現れ始め、とりわけ、円相当径が1.0μm以上であると、破壊の起点となる傾向が特に高いため、その個数を可能な限り制限することが望ましい。その上で、円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の、Ti含有酸化物粒子を鋼材に適量含有させれば、脆性破壊を発生させること無く、効果的に結晶粒を細粒子できることが判った。
この予備実験では、鋼材内の酸化物粒子のうち、(1)円相当径が0.05μm以上0.5μm未満で、Tiを10%以上含む酸化物粒子(以下単に「微小なTi含有酸化物」と称することがある)、(2)円相当径が1.0μm以上の全酸化物(以下単に、「粗大な酸化物」と称することがある)、の2クラスについてその数量を測定した。その上で、鋼材内の各クラスの酸化物粒子の数量と、この鋼材を用いた電子ビーム溶接後の継手の靭性値との関係を定量的に検証した。
予備実験では、小型実験炉を用いて、質量%で、C:0.07%、Si:0.06%、Mn:2.0%、P:0.007%、S:0.002%、Ti:0.009%、Al:0.002%、N:0.006%を目標とした鋳片を製造した。鋳片の製造にあたって、各クラスの酸化物の個数を制御するために、以下の2つの工程を制御した。(i)溶湯の真空脱ガス処理の処理時間を変化させることによって鋳片の全酸素量を調整した。(ii)鋳造時に、鋳片を冷却するための冷却水量を調整することによって、1300〜1100℃の温度域の鋳片の冷却速度を1〜30℃/minの範囲で制御した。この予備実験で製造された各鋳片の成分組成は、上記の成分組成の目標値と、ほぼ一致した。また、製造された各鋳片の全酸素量は10ppm〜41ppmであった。得られた鋳片を用いて、後述のACCにより板厚50mmの鋼板を製造した。
上記鋼材の酸化物粒子の個数の測定方法は、後述の実施例で用いた方法に準じる。
さらに、これらの鋼材に対して後述の実施例で用いた電子ビーム溶接を施して、I開先の突合せ溶接継手を作製した。この溶接方法の詳細は、後述の実施例に準ずる。これらの溶接継手の融合部(FL:Fusion Line)部分にノッチが形成されたCTOD試験片を作成し、試験温度0℃でCTOD試験を実施した。この結果得られたHAZの破壊靭性値、δHAZが0.5mm以上の場合は、そのサンプルを合格とし、これ以外の場合は不合格とした。この予備実験の結果を図7〜9に示す。図7〜9において、CTOD試験に合格したサンプルは中空のプロットで、不合格のサンプルは塗りつぶされたプロットで示した。また、鋼中の酸素量が0.0035%以下のサンプルは菱型、0.0035%超のサンプルは三角形のプロットで示した。
図7は、CTOD試験の結果と、上記微小なTi含有酸化物及び上記粗大な酸化物の個数との関係を示す。図7上で、CTOD試験に合格した溶接継手のプロット(中空の菱型)は全て、「本発明の範囲」として示した破線の四角の範囲内にある。つまり、HAZのCTOD値、δHAZが0.5mm以上となる条件は、(1)鋼材の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物(上記粗大な酸化物)が20個/mm以下であり、かつ、(2)板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物(上記微小なTi含有酸化物)が1×10〜1×10個/mmである、ことだった。
次に、鋳片の1300〜1100℃の温度域での冷却速度と、上記微小なTi含有酸化物粒子の数量との相関を検討した。図8Aに示すように、冷却速度が上昇すると、板厚中心部における微小なTi含有酸化物の数量が増加する傾向があった。特に真空脱ガス工程によって鋼中の全酸素量を0.0035%以下としたサンプル(菱型のプロット)では、鋳片の冷却速度が9℃/min以上の場合に、冷却速度に依存して酸化物の数量が増加する傾向が明確になった。この結果、上記の全酸素量及び冷却速度の範囲において、上記微小なTi含有酸化物の数量を1×10〜1×10個/mmの範囲に制御できた。図8A上で、この冷却速度範囲を「本発明の範囲」として破線と矢印で示す。また、上記の全酸素量及び冷却速度の範囲を満たす全サンプルで、HAZのCTOD値、δHAZは、0.5mm以上だった(菱型の中空のプロット)。
次に、鋳片の1300〜1100℃の温度域での冷却速度と、上記粗大な酸化物粒子の数量との相関を検討した。図8Bに示すように、冷却速度が上昇すると、板厚中心部における粗大な酸化物の数量が減少する傾向があった。特に脱ガス処理によって鋼中の全酸素量を0.0035%以下としたサンプル(菱型のプロット)では、鋳片の冷却速度が9℃/min以上の場合、上記粗大なTi含有酸化物の数量は20個/mm以下の範囲にあった。図8B上で、この冷却速度範囲を「本発明の範囲」として破線と矢印で示す。
次に、鋼中の全酸素量と、上記微小なTi含有酸化物粒子の数量との相関を検討した。図9に示すように、全酸素量が上昇すると、板厚中心部における上記微小なTi含有酸化物粒子の数量は増加する傾向があった。全酸素量が0.0035%超であると、鋳片の冷却速度を9℃/min以上としても、上記微小なTi含有酸化物の数量を1×10個/mm以下に制御できない場合がある。この場合、過剰な酸化物粒子が脆性破壊の起点となり、CTOD試験値を悪化させていると考えられる。図9上では、全酸素量が0.0035%(35ppm)以下の範囲を「本発明の範囲」として破線と矢印で示す。この酸素量の範囲内では、鋳片の冷却速度を9℃/min以上とした全てのサンプルが、0.5mm以上のδHAZ値を示した(菱型の中空のプロット)。
上記予備実験の結果を総合して、発明者らは、以下の知見を得た。(1)板厚中心部に存在する粗大な酸化物粒子を少なくし、(2)粒内変態の変態核となる微小なTi含有酸化物粒子の量を適切に制御することによって、電子ビーム溶接継手の熱影響部及び溶接金属の破壊靱性を向上できる。また、酸化物粒子のサイズや個数を制御するためには、(3)鋼材中の全酸素濃度を適切な範囲に制御すること、及び(4)鋼材の鋳造時の冷却速度を適切な範囲に制御すること、が効果的であることがわかった。なお、予備実験で得られた鋳片の必要冷却速度9℃/minは、鋼の溶製及び鋳造を行う製鋼工場の取鍋精錬設備や鋳造設備の条件など(例えば、真空脱ガスの真空度、鋳造時の堰の形状など)により、変化するものと考えられる。このため、CTOD試験結果の向上のためには、所定の成分範囲で所定の酸化物の数が得られればよく、必ずしも鋳造時の冷却速度を9℃/min以上に限定する必要はない。
上記予備実験の結果に鑑み、本発明では、鋼材(母材)のC量、O量、CeEB、C/CeEB及び、酸化物粒子のサイズや個数を適正な範囲内に制御し、Alの含有量を低減し、適量のTiを添加する。この結果、溶接時に、微細なTi含有酸化物がピンニング粒子及び粒内変態の生成核として利用され、母材の破壊靭性値に対する溶接金属及び熱影響部の破壊靭性値の比を適切な範囲にし、破壊靱性値δcのばらつきを極力抑制することができる。
本発明の実施形態にかかる鋼材の組成は、質量%で、少なくとも、C:0.02%〜0.10%、Si:0.03%〜0.30%、Mn:1.5%〜2.5%、Ti:0.005%〜0.015%、N:0.0020%〜0.0060%、O:0.0010%〜0.0035%を含有する。また、上記鋼材の組成に含まれる不可避的不純物のうち、S:0.010%以下、P:0.015%以下、Al:0.004%以下に制限する必要がある。また、必要に応じて、Nb:0%〜0.020%、V:0%〜0.030%、Cr:0%〜0.50%、Mo:0%〜0.50%、Cu:0%〜0.25%、Ni:0%〜0.50%、及び、B:0%〜0.0030%を含有してもよい。上記鋼材の組成の残部は鉄及び不可避的不純物からなる。
以下、各元素の添加理由及び添加量について説明する。なお、%は質量%を意味する。
Cは、強度の向上に寄与する元素である。溶接構造体としての強度を確保するため、0.02%以上添加する。C量が少ないと、溶接金属の焼入れ性が不足して、靭性を損なうことがある。好ましい下限は0.03%であり、より好ましい下限は0.04%である。一方、C量が0.10%を超えると焼入性が増大しすぎて、特に溶接金属及び熱影響部の靭性が低下するので、C量の上限は0.10%とする。好ましい上限は0.08%又は0.07%であり、より好ましくは0.06%である。
Siは、脱酸元素であり、鋼板の強度を確保するためにも有効な元素である。そのため、0.03%以上添加する。しかし、Siを過剰に添加すると、特に熱影響部に高炭素マルテンサイトが多量に生成し、靭性が低下する。このためSi量の上限を0.30%とする。好ましい上限は0.25%又は0.20%であり、より好ましい上限は0.15%である。
Mnは、靭性を確保し、かつ、焼入れ性を高めて鋼板の強度を確保するのに有効な元素である。Mn量が1.5%未満では、鋼材の靭性、強度、及び、焼入れ性を十分に確保できない。また、電子ビーム溶接時、Mnは溶接金属から蒸発して失われる。従って、鋼材の靭性、強度、及び、焼入れ性、さらに、溶接金属の焼入れ性を高めて靭性を確保するため、1.5%以上のMnを添加する。
Mn量の好ましい下限は1.6%又は1.7%、より好ましくは1.8%である。ただし、Mn量が2.5%を超えると、焼入れ性が過大に増大し、特に熱影響部の靭性が低下するので、Mn量の上限を2.5%とする。好ましい上限は2.4%であり、より好ましい上限は2.3%である。
Pは、不可避的不純物であり、鋼材(BM)、溶接金属(WM)、及び、熱影響部(HAZ)の靭性に悪影響を及ぼす。特に、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の靭性を確保するためには、Pは少ないことが好ましく、0.015%以下に制限する。好ましいP量は、0.010%以下又は0.006%以下である。P量の下限を特に限定する必要はなく、その下限は0%であってもよい。しかし、製造コストの観点から、0.001%以下の極低P化は不必要であり、P量は0.001%以上としてもよい。
Sは、不可避的不純物であり、MnSを形成する。MnSは、微細なTi含有酸化物を核として析出し、Mn希薄領域を形成して、粒内フェライトの生成(粒内変態)を促進する。粒内変態を促進するためには、Sを0.0001%以上含有させることが好ましい。好ましいS量の下限は0.001%である。必要に応じて、S量の下限を0.002%としてもよい。また、S量の下限を限定せず、下限を0%としてもよい。一方、Sを過剰に含有すると、特に、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の靭性が低下する。このため、S量を0.010%以下に制限する。好ましいS量の上限は0.007%又は0.005%である。
Alは、強力な脱酸元素であり、Ti含有酸化物の生成を妨げる。本発明の実施形態では、Ti含有酸化物の生成を促進するため、Al量を0.004%以下に制限する。必要に応じて、Al量の上限を0.003%又は0.0025%に制限してもよい。Al量は少ないほど好ましいのでその下限を規定する必要はなく、下限を0%としてもよい。一方、Al量の下限を、0.0005%又は0.001%としてもよい。
Tiは、本発明において極めて重要な元素であり、鋼の脱酸に用いる。溶接時に、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)に、粒内変態の生成核として機能するTi含有酸化物を生成させ、靭性を高めるため、Tiを0.005%以上添加する。Ti量は、0.007%以上が好ましいが、過剰であると、粗大なTiNが生成し、靭性が劣化するので、上限は0.015%とする。好ましいTi量の上限は0.012%である。
Nは、Tiと結合して、TiNを形成する。TiNによる結晶粒の粗大化を抑制するため、Nを0.0020%以上添加する。好ましいN量の下限は0.0030%である。一方、N量が過剰であると、溶接金属及び熱影響部の靭性に悪影響を及ぼすので、N量の上限を0.0060%とする。好ましいN量の上限は0.0050%である。
Oは、Tiと結合して、ピンニング粒子及び粒内変態の生成核として機能するTi含有酸化物を形成し、溶接金属及び熱影響部の靭性を向上させる。O量が少ないと、十分なTi含有酸化物粒子が得られないので、下限を0.0010%とする。一方、O量が過剰であると、過剰に酸化物が生成して脆性破壊の起点となるなど、鋼材及び熱影響部の靭性に悪影響を及ぼす。このため、鋼材のO量の上限を0.0035%とする。組成や製造工程等の条件で鋼材に過剰な酸化物が生成しやすい場合、鋼材のO量の上限を0.0032%、0.0029%、または0.0025%としてもよい。また、微細なTi含有酸化物粒子量をより多く求める場合は、鋼材のO量の下限を0.0020%としてもよい。
なお、本発明の実施形態に従って一般的な条件で電子ビーム溶接を行うと、その過程において、溶接金属部では、鋼材のO量の内、約半分程度が失われる場合が多い。従って、鋼材のO量が0.0035%以下のとき、溶接後の継手において、溶接金属中のO量は約0.0020%以下となる場合が多い。溶接金属のO量を、20ppm未満、18ppm以下又は17ppm以下としてもよい。溶接金属のO量の下限を設ける必要はないが、8ppm以上、10ppm以上又は12ppm以上としても、差し支えない。
本発明の実施形態にかかる鋼板では、Mg又はCaを添加する必要はなく、不可避的不純物中の、Mg量、Ca量をそれぞれ0.0002%以下に制限してもよい。
本発明の実施形態にかかる鋼板は、さらに、Nb及び/又はVを、以下の理由で、一定の限度内で含有してもよい。
Nbは、母材の焼入れ性を向上させて、強度を高めるのに有効な元素であり、添加は必須でないが、必要に応じて添加してもよい。添加効果を得るためには、Nbを0.001%以上添加する。好ましくはNbを0.003%以上添加する。ただし、過剰に添加すると、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の靭性が低下するので、Nb量の上限を0.020%とする。好ましい上限は0.012%であり、より好ましい上限は0.010%である。Nbの下限を特に限定する必要はなく、Nb量が0%でもよい。
Vは、少量の添加で、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める作用をなす元素であり、添加は必須でないが、必要に応じて添加してもよい。添加効果を得るためには、Vを0.005%以上添加する。好ましくはVを0.010%以上添加する。ただし、過剰に添加すると、溶接金属(WM)及び熱影響部(HAZ)の靭性が低下するので、V量の上限を0.030%とする。好ましい上限は0.025%であり、より好ましい上限は0.020%である。Vの下限を特に限定する必要はなく、V量が0%でもよい。
本発明の実施形態にかかる鋼板は、必要に応じ、さらに、Cr、Mo、Cu、Ni及び、Bの1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素の添加は必須ではないが、添加すると靭性および強度の向上に有効である。この効果を得るためには、Cr、Mo、Cu、及び/又は、Niを、それぞれ、0.05%以上添加する。Bは、少量添加で焼入性を大きく向上させる元素であるため、冷却速度を確保するのが困難な場合など必要に応じて、0.0030%を上限に添加してもよい。焼入性向上効果を得るためには、0.0002%以上添加する。
しかし、Cr、Mo、Cu、及び、Niは高価であるので、経済的観点から、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Cu:0.25%以下、Ni:0.50%以下の添加量とする。特に、Mn量を高めた本発明の鋼材では、これらの元素を過剰に添加すると、焼入れ性が高くなりすぎて、靭性のバランスを損なうことがある。従って、好ましくは、Cr、Mo、Cu、及び/又は、Niの合計量を0.70%以下とする。さらに好ましくはこの合計量を0.50%以下とする。必要に応じて、この合計量を0.40%、0.30%又は0.20%に制限してもよい。B添加による鋼材の割れなどを回避するために、B量の上限を0.0020%、0.0017%又は0.0014%に制限してもよい。Cr、Mo、Cu、Ni及び、Bの下限を特に限定する必要はなく、それぞれの添加量が0%であってもよい。
また、本発明の実施形態にかかる鋼材においては、上記成分組成のもとで、下記(式1)で定義する電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEBを0.49〜0.60%とする。
CeEB=C+9/40Mn+1/15Cu+1/15Ni+1/5Cr+1/5Mo+1/5V ・・・(式1)
ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、鋼材成分の鋼材中の含有量(質量%)である。
なお、これらの成分のうちいずれかが鋼材に添加されていない場合、その元素の含有量に0を代入して(式1)を用いればよい。例えば、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vがいずれも含有されない鋼材の場合、CeEBは上記(式1)に替えて下記の(式1´)を用いればよい。
CeEB=C+9/40Mn ・・・(式1´)
ただし、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vが不可避的不純物として含有している場合には、(式1)によりCeEBを計算することが好ましい。
電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEBは、電子ビーム溶接に特有の溶接金属におけるMn量の減少を考慮して焼入れ性を表示する指標である。CeEBが0.49未満であると、溶接金属の焼入れ性が不足し、上部ベイナイトが生成して、溶接継手の破壊靭性が不十分になる。
CeEBが0.50%以上、好ましくは0.51%以上であると、鋼材の破壊靱性が、さらに向上する。しかし、CeEBが0.60%を超えると、熱影響部(HAZ)の破壊靭性が不十分になる。それ故、CeEBの上限は0.59%が好ましく、より好ましくは0.58%である。
本発明の実施形態にかかる鋼材の、板厚方向に沿った断面の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物(粗大な酸化物)の数は20個/mm以下とする。また、同じく板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物(微小なTi含有酸化物)の数は1×10〜1×10個/mmとする。上記粗大な酸化物の数が20個/mm超であると、この酸化物が破壊の起点となって、熱影響部および溶接金属の破壊靭性が不十分になる。上記微小なTi含有酸化物の数が1×10未満であると、Ti含有酸化物によるピンニング作用や粒内変態促進作用が不十分となって、熱影響部および溶接金属の靭性に悪影響を及ぼす。上記微小なTi含有酸化物の数が1×10超であると、過剰なTi含有酸化物粒子が破壊の起点となる傾向が高まり、熱影響部および溶接金属の破壊靭性が不十分になる。
なお、粗大な酸化物数の測定方法は、例えば、鋼材の板厚方向の中央部の断面試料を用いてFE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope)による測定を行う。
またTi含有酸化物数の測定方法は、例えば、鋼材の板厚方向の中央部の断面試料を用いてFE−TEM(Field Emission Transmission Electron Microscope)による測定を行う。さらに、抽出レプリカ膜を作成してTEMで観察し、EDX法(Energy Dispersive X−ray Spectrometry)で測定されるTiの重量比が10%以上である粒子について、Tiを10%以上含有する酸化物であると判定する。
電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEBに対するC量の比(C/CeEB)は、溶接金属の焼入れ性と、熱影響部及び母材の焼入れ性のバランスを表示する指標である。C/CeEBは、0.04〜0.18の値を取ることが好ましい。電子ビーム溶接では、Mnが蒸発して、溶接金属のMn量が母材のMn量より少なくなるので、母材のC量を増加して、焼入れ性を確保することが好ましいが、C量が過剰になるとHAZに高炭素マルテンサイトが生成する。
C/CeEBが0.04未満であると、溶接金属の焼入れ性が不足して、破壊靭性が低下するので、下限を0.04とする。好ましい下限は0.05である。一方、C/CeEBが0.18を超えると、熱影響部の破壊靭性が低下することがあるので、上限は0.18とする。好ましい上限は0.15であり、さらに好ましい上限は、0.10である。
本発明の実施形態にかかる鋼材を用いて、電子ビーム溶接で形成された溶接継手において、溶接金属のCTOD値:δWM、熱影響部のCTOD値:δHAZ、及び、鋼材のCTOD値:δBMが、下記(式2)と(式3)を満足することが好ましい。
0.5≦δWM/δBM≦1.1 ・・・(式2)
0.5≦δHAZ/δBM≦1.1 ・・・(式3)
ただし、δWM、δHAZ、及び、δBMは、0℃で三点曲げCTOD試験を6回行ったときのCTOD値の最低値である。なお、δBM、δHAZ、及び、δWMのうち、δBMが最も大きくなるが、測定データのばらつきを考慮して、δWM/δBM、及び、δHAZ/δBMの上限を1.1とする。またCTOD値が1.0mm以上となった場合は延性破壊したものとみなし、CTOD値を1.0mmとして上記計算を行う。
δWM/δBM、及び、δHAZ/δBMが0.5未満になると、δWM、δHAZ、及び、δBMのバランスが極端に悪くなり、溶接部の破壊靱性が大きく低下する。従って、δWM/δBM、及び、δHAZ/δBMの下限は0.5とする。好ましい下限は0.60であり、より好ましい下限は0.7である。微細なTi含有酸化物を利用する粒内変態は、HAZ及びWMの組織の微細化に極めて有効であり、本発明の実施形態にかかる鋼材を電子ビーム溶接すれば、溶接継手のHAZ及びWMの破壊靭性を顕著に高めることができる。
即ち、本発明の鋼材によれば、電子ビーム溶接後の溶接継手における溶接金属及び熱影響部の破壊靭性は、母材の破壊靱性と比較しての劣化が顕著に抑制されている。このため、各部の破壊靱性が適度にバランスした溶接継手を得ることができる。
電子ビーム溶接は、簡易な設備で達成できる低真空度、例えば、10Pa以下の減圧下で行うことができる。真空度の下限は、設備の能力にもよるが、10-2Paが好ましい。溶接条件は、加速電圧130〜180V、ビーム電流100〜130mA、溶接速度100〜250mm/分の範囲内で、装置の性能や鋼材の板厚に応じて決定する。例えば、板厚80mmの場合、加速電圧175V、ビーム電流120mA、溶接速度125mm/分程度が推奨される。
次に、本発明の鋼材の製造方法について説明する。本発明にかかる方法では、スラブ(鋼片)などの鋼材を鋳造する鋳造工程において、例えば9℃/min以上の速度で冷却することによって、上記粗大な酸化物の数量を20個/mm以下に制限することができる。同時に、上記微小なTi含有酸化物を1×10以上確保することが出来る。
鋼材(鋼片)の製造方法は、工業的には、連続鋳造法が好ましい。連続鋳造法によれば、鋳造後の冷却速度を高めれば、破壊の原因となる粗大な酸化物の生成を抑制することができる。このため、靭性向上の点からも連続鋳造法が好ましい。
連続鋳造において、鋳片の冷却速度を9℃/min以上に高める具体的な手段としては、連続鋳造機内の冷却帯の高圧化および高水量化、鋳型厚みの減厚化、鋳片未凝固層の圧下によるスラブ厚減少等が挙げられる。これらの手段を用いた場合、鋳片の冷却速度の上限は、一般的には30℃/min程度となる。
本発明にかかる方法では、鋳造された前記成分組成の鋼材(鋼片)を、950〜1150℃に加熱する。加熱温度が950℃未満であると、熱間圧延時の変形抵抗が大きくなり、生産性が低下する。一方、1150℃を超えて加熱すると、鋼材(鋼片)のTi窒化物が粗大化して、鋼材(母材)や熱影響部の靱性が低下することがある。
鋼材(鋼片)を950〜1150℃に加熱した後、必要な鋼材の強度や靭性を得るために、加工熱処理(TMCP:Thermo-Mechanical Controlled Processing)を施す。加工熱処理は、鋼材の強度及び靱性を高めるために有効で、例えば、(1)制御圧延(CR:Controlled Rolling)、(2)制御圧延−加速冷却(ACC:Accelerated Cooling)、(3)圧延後直接焼入れ−焼戻し処理(DQT:Direct Quenching and Tempering)等の方法がある。本発明では、破壊靭性の向上の点で、(2)制御圧延−加速冷却、及び、(3)圧延後直接焼入れ−焼戻し処理が好ましい。
未再結晶温度域(約900℃以下)で行う制御圧延は、鋼材の組織を微細化し、強度及び靭性の向上に有効である。本発明では、加工フェライトの生成を防止するため、制御圧延を、Ar変態点以上の温度で終了することが好ましい。
特に、制御圧延を行う場合、引き続き、加速冷却を行うと、ベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相が生成して、強度が向上する。強度及び靭性を確保するためには、加速冷却の停止温度は400〜600℃が好ましい。圧延後の直接焼入れは、制御圧延の温度域より高温の温度域で熱間圧延を行った後、水冷等によって焼入れる方法である。この方法によれば、通常、強度が過剰に上昇するので、焼戻しを行って靭性を確保する。焼戻し温度は400〜650℃が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1及び表2に示す成分組成の鋼材を用いて、表3及び表4に示す条件により、鋼材を製造した。鋼材から試験片を採取し、引張試験及びCTOD試験を行い、母材の引張強度及び破壊靭性値を測定した。母材の強度は、板厚1/2部から圧延方向を長手方向として試験片を採取し、JIS Z 2241に基づいて測定した。
鋼材に電子ビーム溶接を施し、I開先の突合せ溶接継手を作製した。電子ビーム溶接は、RPEBW法を採用し、1mbar程度の真空下で、電圧175V、電流120mA、溶接速度125mm/分程度の条件で行った。溶接ビード幅は3.0〜5.5mmである。
そして、溶接継手から、(a)板厚60mm未満の場合は、t(板厚)×2tの寸法の試験片、(b)板厚60mm以上の場合は、t(板厚)×tの寸法の試験片を、各6本採取した。試験片に、ノッチとして、50%疲労亀裂を、溶接金属(WM)の中央、融合部(FL)、及び、母材(BM)の各位置に導入した。ノッチを導入した試験片を図6に示す。
なお、電子ビーム溶接では、熱影響部の幅が狭いので、融合部にノッチを導入した試験片を用いて、熱影響部のCTOD値δHAZを測定した。
試験温度0℃で、CTOD試験を実施し、破壊靭性値δcを求めた。またCTOD値が1.0以上となった場合は延性破壊したものとみなし、CTOD値を1.0として上記計算を行った。それぞれのノッチ位置で、6本の最低値を、それぞれ、破壊靭性値δWM、δHAZ、δBMとした。表3及び4には、溶接継手の溶接金属(WM)のCTOD値δWM、熱影響部(HAZ)のCTOD値δHAZ、及び、母材(BM)のCTOD値δBMに基づくδWM/δBM、及び、δHAZ/δBMを示した。
鋼材の酸化物粒子の個数は、以下の方法で測定した。板厚方向の中央部の断面試料を各鋼材から作製し、円相当径が1.0μm以上の酸化物(粗大な酸化物)については、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope)を用いて観察し、その粒子サイズと個数を測定した。円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物(微小なTi含有酸化物)については、同じく板厚方向の中央から試料を採取し、SPEED法(Selective Potentiostatic Etching by Electrolyic Dissolution)で電解研磨した試料から、抽出レプリカ膜を作成して10000〜1000000倍のFE−TEM(Field Emission Transmission Electron Microscope)で観察した。EDX法(Energy Dispersive X-ray Spectrometry)により、特性X線から求められたTiの重量比が10%以上の酸化物をTi含有酸化物と判定した。これらの結果から、Ti含有酸化物のサイズと個数を測定した。各試料の板厚中心部において20視野以上の観察を行い、単位面積あたりの酸化物粒子(上記微小なTi含有酸化物及び上記粗大な酸化物)の個数の平均値を計算した。
Figure 0005135559
空欄は、合金元素を意図的には添加しないことを意味する。
Figure 0005135559
下線は、本発明の範囲外又は好ましい範囲外であることを意味する。
空欄は、合金元素を意図的には添加しないことを意味する。
Figure 0005135559
加工熱処理欄の凡例は、以下の通りである。
CR:制御圧延(強度・靭性に最適な温度での圧延)
ACC:加速冷却(制御圧延後に400〜600℃の温度域まで水冷)
DQT:圧延直後に焼入れ−焼き戻し処理
靭性値(CTOD値)が1.0mm以上となった場合は、鋼材が延性破壊したものとみなし、靭性値を1.0mmとして計算を行った。
Figure 0005135559
下線は、比較例にかかる鋼材、または数値が好ましい範囲外であることを意味する。
加工熱処理欄の凡例は、以下の通りである。
CR:制御圧延(強度・靭性に最適な温度での圧延)
ACC:加速冷却(制御圧延後に400〜600℃の温度域まで水冷)
DQT:圧延直後に焼入れ−焼き戻し処理
靭性値(CTOD値)が1.0mm以上となった場合は、鋼材が延性破壊したものとみなし、靭性値を1.0mmとして計算を行った。δcの目標値は0.5mm以上とし、0.5mm以上を合格と判定した。
表1及び表3に示すように、発明例の鋼材No.1〜31は、成分組成、CeEB、C/CeEBが、いずれも、本発明の範囲内にあり、母材(BM)、熱影響部(HAZ)、及び、溶接金属(WM)」のδcの比、δHAZ/δBM、及び、δWM/δBMは十分な値を示した。
これに対し、表2及び表4に示すように、鋼材No.32は、C量が少なく、Mn量が多く、また、CeEB値が高く、C/CeEBが低い。このため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値は低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMは十分な値を示さなかった。
鋼材No.33は、C量が多く、C/CeEBが高いため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値は不十分だった。鋼材No.35は、Mn量が少なく、CeEBが低い。このため、母材(BM)の強度が低く、さらに、溶接金属(WM)の焼入れ性が不足して、溶接金属(WM)のCTOD値が低下し、δWM/δBMの値は不十分だった。
鋼材No.34は、Si量が多いため、脆化相の生成が多く、熱影響部(HAZ)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMの値が不十分だった。鋼材No.36は、Mn量が多く、CeEBが高いため、熱影響部(HAZ)のCTOD値が低くなり、δHAZ/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.37及びNo.38は、それぞれ、P量及びS量が多いため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。鋼材No.39及びNo.40は、それぞれ、Nb量及びV量が多いため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.41は、Ti量が少なく、鋼材No.43は、Al量が多い。このため、これらの鋼材では粒内変態フェライトの核となる酸化物が少なくなって、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。鋼材No.45は、O量が少なく、粒内変態の生成が不十分であり、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.42は、Ti量が多いため、鋼材No.44は、N量が多いため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.46は、O量が多く、破壊の起点となる酸化物が多いため、熱影響部(HAZ)と溶接金属(WM)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMとδWM/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.47〜No.48は、鋼材の成分組成は本発明の範囲内であるが、鋼材No.46は、CeEBが低く、鋼材No.47は、C/CeEBが低い。このため、これらの鋼材では、溶接金属(WM)の焼入れ性が不足して、溶接金属のCTOD値が低下し、δWM/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.49は、CeEBが高く、鋼材No.50は、C/CeEBが高いため、熱影響部(HAZ)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMの値が不十分だった。
鋼材No.51は、鋼材の成分組成は本発明の範囲内であるが、鋳造速度が遅いため、鋼材の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物が多い。このため、熱影響部(HAZ)のCTOD値が低く、δHAZ/δBMの値が不十分だった。
本発明にかかる降伏強度が355MPa級の鋼材の電子ビーム溶接継手では、溶接金属及び熱影響部において、母材の破壊靭性に比較して、破壊靱性の劣化が少ないので、各部の破壊靱性が適度にバランスした電子ビーム溶接継手と、該溶接継手を形成できる。また、酸化物粒子の粒径および数量が適切に調節されているので、良好な破壊靱性を持つ。このため、洋上風力発電用鉄塔の基礎部分の建設に適した鋼材を安価に提供することができる。よって、本発明は、大型鋼構造物建設産業において利用可能性が高いものである。

Claims (6)

  1. 鋼材が電子ビームで溶接された電子ビーム溶接継手であって、前記鋼材の組成が、質量%で、
    C:0.02%〜0.10%、
    Si:0.03%〜0.30%、
    Mn:1.5%〜2.5%、
    Ti:0.005%〜0.015%、
    N:0.0020%〜0.0060%、
    O:0.0010%〜0.0035%、
    Nb:0%〜0.020%、
    V:0%〜0.030%、
    Cr:0%〜0.50%、
    Mo:0%〜0.50%、
    Cu:0%〜0.25%、
    Ni:0%〜0.50%、及び、
    B:0%〜0.0030%を含有し、
    S:0.010%以下に制限し、
    P:0.015%以下に制限し、
    Al:0.004%以下に制限し、
    残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
    下記の式1で定義する指標値CeEBが0.49%〜0.60%であり、
    前記鋼材の前記指標値CeEBに対する質量%で表した前記鋼材のC量の比であるC/CeEBが0.04〜0.18であって、
    前記鋼材の板厚方向に沿った断面の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物の数が20個/mm以下であり、
    前記板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物の数が1×10〜1×10個/mmであることを特徴とする電子ビーム溶接継手。
    電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEB=C+(9/40)Mn+(1/15)Cu+(1/15)Ni+(1/5)Cr+(1/5)Mo+(1/5)V ・・・(式1)
    ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、所定の鋼材の組成中の各元素の質量%。
  2. 前記鋼材の厚さが45〜150mmであることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム溶接継手。
  3. 溶接金属のCTOD値をδWM、溶接熱影響部のCTOD値をδHAZ、及び、前記鋼材のCTOD値をδBMと定義すると、
    0.5≦δWM/δBM≦1.1、及び
    0.5≦δHAZ/δBM≦1.1、
    を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子ビーム溶接継手。
  4. 電子ビーム溶接用の鋼材であって、前記鋼材の組成が、質量%で、
    C:0.02%〜0.10%、
    Si:0.03%〜0.30%、
    Mn:1.5%〜2.5%、
    Ti:0.005%〜0.015%、
    N:0.0020%〜0.0060%、
    O:0.0010%〜0.0035%、
    Nb:0%〜0.020%、
    V:0%〜0.030%、
    Cr:0%〜0.50%、
    Mo:0%〜0.50%、
    Cu:0%〜0.25%、
    Ni:0%〜0.50%、及び、
    B:0%〜0.0030%を含有し、
    S:0.010%以下に制限し、
    P:0.015%以下に制限し、
    Al:0.004%以下に制限し、
    残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
    前記鋼材の組成を下記の式1に代入して求められる指標値CeEBが0.49%〜0.60%であり、
    前記鋼材の前記指標値CeEBに対する質量%で表した前記鋼材のC量の比であるC/CeEBが、0.04〜0.18であって、
    前記鋼材の板厚方向に沿った断面の板厚中心部において、円相当径が1.0μm以上の酸化物の数が20個/mm以下であり、
    前記板厚中心部において、Tiを10%以上含有する円相当径が0.05μm以上0.5μm未満の酸化物の数が1×10〜1×10個/mmであることを特徴とする電子ビーム溶接用鋼材。
    電子ビーム溶接焼入れ性指標CeEB=C+(9/40)Mn+(1/15)Cu+(1/15)Ni+(1/5)Cr+(1/5)Mo+(1/5)V ・・・(式1)
    ここで、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれ、所定の鋼材の組成中の各元素の質量%。
  5. 前記鋼材の厚さが45〜150mmであることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム溶接用鋼材。
  6. 請求項又はに記載の電子ビーム溶接用鋼材の製造方法であって、
    前記鋼材を鋳造する際、前記鋼材を、1300〜1100℃の温度域での冷却速度が9℃/min以上となるように冷却する工程と、
    前記鋳造工程の後、前記鋼材を950〜1150℃に加熱し、その後、加工熱処理を施す工程と、
    を有することを特徴とする電子ビーム溶接用鋼材の製造方法。
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