JP5121426B2 - 半導電性共重合ポリイミドベルト、その製造方法及び中間転写ベルト - Google Patents

半導電性共重合ポリイミドベルト、その製造方法及び中間転写ベルト Download PDF

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本発明は、カラー画像形成装置を備えた電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機、さらにはデジタル印刷機などの中間転写ベルトとして使用される半導電性共重合ポリイミドベルト及びその製造方法に関する。また、該製造方法により得られる半導電性共重合ポリイミドベルトからなる電子写真機器の中間転写ベルトに関する。
電子写真方式を応用した画像形成装置では、まず無機又は有機光導電性感光体からなる潜像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザや発光ダイオード光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、前記トナー像を静電的に中間転写ベルト上へ一次転写し、さらに中間転写ベルト上のトナー像を記録紙に静電的に二次転写して、これを加熱や加圧により定着させることによって、所要の再生画像を得る中間転写方式が知られている。
近年、OA機器では高速化及び高画質化への対応だけでなくキーパーツの高耐久化が図られ、中間転写ベルトにおいても長期間安定して高品質の転写画像を得るために必要な材料設計が不可欠となってきている。カラー画像形成装置において正確な転写を実現することができ、転写電圧による抵抗変化を防止し、長期間安定して高品質の転写画像を得ることができる等の優れた電気的特性とともに、ベルトの幅方向にかかる荷重による塑性変形による平面性の悪化がなく、屈曲耐久性に優れ、長期間走行させても安定した使用が可能である等の優れた物理的特性を兼ね備えた中間転写ベルトに仕上げることが重要な技術と位置付けされている。
前記画像形成装置に用いられる中間転写部材の材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PC/ポリアルキレンフタレート(PAT)のブレンド材料等の熱可塑性樹脂からなる半導電性の無端ベルト等が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの熱可塑性樹脂で構成された導電性材料は、JIS K 7113に準じて測定した応力−ひずみ曲線で記録される引張降伏強さが100MPa以下と機械特性に劣るために、駆動時のベルトにかかる応力に対してベルトが塑性変形を起こし、中間転写ベルトに適用した場合に高品質の転写画像が安定して得られないなどの問題があった。
また、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを反応させた高分子量のポリアミド酸溶液を原料とし、これに導電フィラーを分散した半導電性ポリイミド樹脂ベルト(例えば、特許文献4参照)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの共重合体ベルトの製造方法(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
しかし、これらの特許文献に記載されたベルトは、剛直なポリイミド樹脂にカーボンブラックを20重量%近傍まで含有させた半導電ベルトであるために非常に脆く、ポリイミド樹脂本来の強靭性が失われ、中間転写ベルトとして使用した場合、幅方向にかかる荷重によるクラックや割れが発生するという問題があった。この原因の一つは、ポリイミド樹脂が比較的高い結晶構造を持っているため、応力の不均一な分布すなわち応力集中をもたらし、この応力集中によりポリイミド樹脂の分子鎖の局所的な破断がおきるためである。
特許文献4又は5では、ポリイミド系樹脂製中間転写部材の製造方法として回転成形法が行われている。ポリイミド樹脂の前駆体溶液を円筒金型の内周面に塗布、遠心成形して被膜を形成した後、被膜がそれ自体支持できるまで一部溶媒の除去及び一部イミド転化を行った後、前記金型から剥離し、管状金型の外周に差し替えて溶媒の除去及びイミド転化反応の完結を行う方法にて製造されている。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とするポリアミド酸溶液を用いた場合、回転成形法の後、金型に貼り付いた状態でイミド転化を完結させようとすると、溶媒揮発やイミド化反応での体積収縮力やイミド化反応での強い面配向による収縮応力で円筒金型の内面から剥がれてしまうため、イミド転化の工程においては円筒金型から剥離し、管状金型の外周に差し替えて行われる。
しかしながら、上記のように管状金型を用いてイミド転化する場合、剥離ベルトに残存する溶媒の蒸発により、蒸発分が抜けきらず、ベルトと管状金型の間に溜まることによってベルトの膨らみ、そしてイミド化反応時に生じるベルトの収縮により、ベルト平面性の悪化、そして波打ちが発生するなどの問題があった。
また、導電剤が分散されたガラス転移点が245℃以下のポリイミド樹脂から形成された中間転写体が開示されており(例えば、特許文献6参照)、該ポリイミド樹脂はビフェニルテトラカルボン酸二無水物とオキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)とを300℃以下の温度で脱水縮合反応して得られることが開示されている。しかし、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分については記載されていないものであり、導電ベルトの物性、環境特性、電気特性などの点で充分に満足できるものではなかった。
特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−149083号公報 特開平10−063115号公報 特開2003−266454号公報 特開2000−231270号公報
本発明は、カラー画像形成装置において正確な転写を実現することができ、転写電圧による抵抗変化を防止し、長期間安定して高品質の転写画像を得ることができる等の優れた電気的特性とともに、大きな張力やベルトの幅方向にかかる荷重による塑性変形、そしてベルト端部のクラックが発生しにくく、さらに張力をかけたときにもベルト平面性を保つことができ、長期間走行させても、安定した使用が可能である等の優れた物理的特性を兼ね備えた半導電性共重合ポリイミドベルトを提供する。また、そのような半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法、および該製造方法により得られる半導電性共重合ポリイミドベルトからなる電子写真機器の中間転写ベルトを提供する。
本発明者は、機械特性の観点よりポリイミド樹脂の組成と、電気特性の観点よりカーボンブラックの充填量に着目し、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、
前記ポリイミド樹脂を、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分、又は、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分
から得られる樹脂とする、半導電性共重合ポリイミドベルトとすることで、上記の目的を達成できることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
項1.ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、
前記ポリイミド樹脂が、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト。
項2.ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、
前記ポリイミド樹脂が、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト。
項3.前記芳香族ジアミン成分が、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む項1又は2記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
項4.前記カーボンブラックが、オイルファーネス法で製造されたカーボンブラックを酸化処理したものであり、酸化処理後カーボンブラックのpHが2〜5、揮発分含有量が2〜5重量%、窒素吸着比表面積が80〜150m/g、ジブチルフタレート吸収量が50〜100ml/100g、かつ未分解原料炭化水素の抽出量が10ppm以下である項1〜3のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
項5.JIS K7113に準じて測定した応力−ひずみ曲線で記録される引張降伏強さ:σyが140MPa以上であり、引張破断強さ:σbとの関係が
(引張破断強さ:σb)/(引張降伏強さ:σy)≧1.1
を満たす項1〜4のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
項6.ベルト幅方向の平面度が2mm以下である項1〜5のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
項7.ガラス転移点が280℃以上である項1〜6のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
項8.15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒中で反応して重量平均分子量が25000以下のポリイミド前駆体溶液を製造し、該ポリイミド前駆体溶液に、カーボンブラックを分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法であって、
(1)重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転する円筒金型の内周面に、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する工程、
(2)該円筒金型を重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転させたまま100〜140℃の温度で加熱して、自己支持性の皮膜を形成する工程、及び
(3)該皮膜を円筒金型の内周面に付着した状態のまま300℃以上の温度で加熱してイミド化する工程、
を含むこと特徴とする製造方法。
項9.15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒に溶解してナイロン塩型モノマー溶液を調製し、該ナイロン塩型モノマー溶液に、カーボンブラックを分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法であって、
(1)重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転する円筒金型の内周面に、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する工程、
(2)該円筒金型を重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転させたまま100〜140℃の温度で加熱して、自己支持性の皮膜を形成する工程、及び
(3)該皮膜を円筒金型の内周面に付着した状態のまま300℃以上の温度で加熱してイミド化する工程、
を含むこと特徴とする製造方法。
項10.前記芳香族ジアミン成分が、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む項8又は9記載の半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法。
項11.項8〜10のいずれかに記載の製造方法により得られる半導電性共重合ポリイミドベルトからなる電子写真機器の中間転写ベルト。
以下、本発明を詳細に説明する。
1. 半導電性共重合ポリイミドベルト
本発明は、ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、前記ポリイミド樹脂が、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト、または、
前記ポリイミド樹脂が、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト
に関する。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトは、ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含むものであるが、ポリイミド樹脂を72〜78重量%及びカーボンブラックを28〜22重量%含むことが好ましい。ポリイミド樹脂及びカーボンブラックの配合量が前記範囲内にあることで、例えば、カラー画像形成装置の中間転写ベルトなどとして使用した場合に電荷の帯電安定性と徐電を適切に行うことができ、かつ長期間安定して高品質の転写画像を得ることができるものであり、さらに、中間転写ベルトとしての強度を保持し、長期間の使用でも中間転写部材の破損などの問題が発生しないため、好ましい。
1.1 ポリイミド樹脂
本発明で用いるポリイミド樹脂としては、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られるポリイミド樹脂(1)、または、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られるポリイミド樹脂(2)
であれば特に限定されるものではない。
以下、ポリイミド樹脂(1)について説明する。
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の配合割合としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物15〜50モル%と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物85〜50モル%であり、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物20〜30モル%と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80〜70モル%であることが好ましい。前記配合割合とすることで、可撓性と剛性のバランスが良好で、かつベルト端部の反りなどがない平面性に優れたベルトの製造が可能になるため好ましい。
また、非対称性の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、50モル%を超えて含有させると、高次構造における凝集力が小さくなり、降伏強度が低下し、塑性変形を起こしやすくなる。その結果、塑性変形の増加に伴う分子鎖の配向硬化が充分に得られず破断に至る傾向があるため、好ましくない。
また、芳香族ジアミン成分としては、2種の芳香族ジアミンを含むものであればよく、特に限定されないが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20〜80モル%とp−フェニレンジアミン80〜20モル%であることが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル40〜60モル%とp−フェニレンジアミン60〜40モル%であることがより好ましい。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが20モル%未満であると、金型に貼り付いた状態でイミド転化を完結させようとした場合に、溶媒揮発やイミド化反応での体積収縮力やイミド化反応での強い面配向による収縮応力で円筒金型の内面から剥がれてしまうため、イミド転化の工程においては円筒金型から剥離し、管状金型の外周に差し替える必要があるため、好ましくない。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが80モル%を超えて含有すると、引張降伏強さ:σyが140MPa未満となる傾向がある。
また、このような配合割合でビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と芳香族ジアミン成分を含む組成物から得られる半導電性共重合ポリイミドベルトを中間転写ベルトとして使用した場合に、ベルトの幅方向にかかる荷重による塑性変形による平面性の悪化がなく、屈曲耐久性に優れ、長期間走行させても安定した使用が可能である等の優れた物理的特性を兼ね備えた中間転写ベルトとなるため好ましい。
ポリイミド樹脂(1)の合成方法としては特に限定されるものではなく、通常用いられている方法を採用することができるが、前記ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と、芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒中で反応してポリイミド前駆体溶液を製造し、その後加熱処理によりイミド化する方法が好ましい。
有機極性溶媒としては、特に限定されるものではないが、非プロトン系有機極性溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と言うこともある)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。これらの中でも、沸点が200℃以上と高く、熱イミド化中に膜から揮発しにくく、残留溶媒の可塑化効果によりイミド化は進行しやすくなるなどの点から、NMPが特に好ましい。
有機極性溶媒中で反応して得られるポリイミド前駆体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、25000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあることで有機極性溶媒に対する溶解性を高め、高濃度化が実現できるため好ましい。ただし、本発明においては、重量平均分子量が25000をこえるポリイミド前駆体の溶液を用いることもできる。
ポリイミド前駆体溶液の30℃における粘度は、特に限定されるものではないが、例えば、3.0〜50Pa・sであることが好ましく、5.0〜20Pa・sであることがより好ましい。
次に、ポリイミド樹脂(2)について説明する。
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルの配合割合としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル15〜50モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル85〜50モル%であり、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル20〜30モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル80〜70モル%であることが好ましい。2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルが50モル%を超えると、得られたベルトの降伏強さと弾性率が弱く、中間転写ベルトとして使用した場合、駆動での応答性が悪いだけでなく、初期の段階で幅方向にかかる荷重による塑性変形が発生する傾向がある。一方、15モル%未満の場合には、高結晶性で剛直なポリイミドが生成されるため、カーボンブラックを15重量%近傍まで含有した半導電ベルトは非常に脆く、強靭性が失われてしまう傾向がある。
なお、上記2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル、または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルは、市販されているか又は公知の方法により製造することができる。
製造方法としては、例えば、対応するビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モルに対し、対応するアルコール(低級アルコール、好ましくはC1−3アルコール等)を2モル反応させる等の公知の方法により容易に製造することができる。これにより、原料の酸無水物がアルコールと反応して開環して、2つのベンゼン環上の隣接する炭素上にそれぞれエステル基とカルボキシル基を有するジエステル(ハーフエステル)が製造される。
また、芳香族ジアミン成分としては、前記ポリイミド樹脂(1)で記載したものと同様のものが挙げられる。
ポリイミド樹脂(2)の合成方法としては特に限定されるものではなく、通常用いられている方法を採用することができるが、前記ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒に溶解してナイロン塩型モノマー溶液を調製し、該ナイロン塩型モノマー溶液をその後加熱処理してイミド化する方法が好ましい。
有機極性溶媒としては、ポリイミド樹脂(1)で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
ナイロン塩型モノマー溶液中のビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と芳香族ジアミン成分は、有機極性溶媒中で下記に示すようなビフェニルテトラカルボン酸ジエステルのカルボン酸イオンと芳香族ジアミンのアンモニウムイオンのイオン対が、実質的モノマー状態をとっていると考えられる。
Figure 0005121426
(式中、Arはビフェニルテトラカルボン酸ジエステルから2つのカルボキシル基と2つのエステル基を除いた4価の残基、Ar’は芳香族ジアミンから2つのアミノ基を除いた2価の残基、Rはアルキル基(炭素数1〜3)を表す)
前述のようにナイロン塩型モノマー溶液中では、ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と芳香族ジアミン成分が実質的モノマー状態で存在するため上記の有機極性溶媒に極めて溶解しやすく、使用する溶媒の量を極力低減できるというメリットがある。
このナイロン塩型モノマー溶液の30℃における粘度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜20Pa・sであることが好ましく、0.3〜10Pa・sであることがより好ましい。
前記ポリイミド樹脂(1)又は(2)のポリイミド前駆体溶液またはナイロン塩型モノマー溶液の固形分濃度は、25重量%以上であることが好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。固形分濃度が前記範囲内であることにより、容易に膜厚90μm以上あるベルトを製造することができ、使用する溶媒の量が少ないためコストが抑えられ溶媒の蒸発除去が簡便になる。本発明においては、非対称性のビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むため、ポリイミド前駆体の有機極性溶媒への溶解性を高めることが可能となり、前述のような高い固形分濃度に調整することができるものである。
また、蒸発させる溶媒が多い場合、乾燥過程における温度対流や蒸発対流を起こす浮力と表面張力、溶媒蒸発による粘度変化、密度変化などが大きく、カーボンブラックの分散状態が不均一になって起こる「浮きまだら現象」が発生する。しかし、本発明のポリイミド前駆体溶液組成物では溶媒の含有量が少ないためこの様な問題が極力抑えることができる。
前述のように、本発明で用いるポリイミド樹脂は、ビフェニルテトラカルボン酸無水物成分またはビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分を所定量混合したものを、芳香族ジアミン成分と共重合することにより、ポリイミド樹脂の分子構造が曲がって、ポリイミド樹脂ベルトにフレキシブル性が生まれる。
一般に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルからポリイミドを作製すると、その高い対称性に由来して容易に結晶構造を形成する。結晶性樹脂ではカーボンブラックが結晶化部分から排除されるため、非結晶性樹脂に比べ少量のカーボンブラックで同一の表面抵抗率が得られる傾向になる。しかし、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物又は2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを加えて共重合すると、分子鎖の規則性が阻害されるために結晶の形成が抑制され、非晶構造が支配的となる。そのために、カーボンブラックとの親和性も高くなり、ポリイミド樹脂中のカーボンブラック濃度も高めることができる。カーボンブラック濃度は、例えば20〜30重量%(特に22〜28重量%)の高濃度に調製できる。
本発明においては、カーボンブラックをポリイミド前駆体溶液又はナイロン塩型モノマー溶液に混合してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を製造するが、混合方法としては、カーボンブラックがポリイミド前駆体溶液中またはナイロン塩型モノマー溶液中に均一に混合、分散される方法であれば特に制限はなく、例えば、サンドミル、ビーズミル、超音波ミル、3本ロール等を用いた方法を挙げることができる。
カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物中のカーボンブラックの含有量は、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の全固形分中20〜30重量%であることが好ましく、22〜28重量%であることがより好ましい。
ここで、前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物中のカーボンブラックの含有量とは、該組成物から得られる半導電性ポリイミド樹脂ベルト中のカーボンブラック含有量と同様である。
なお、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、上記組成物中にイミダゾール系化合物(2-メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2-メチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤等)等の添加剤を加えてもよい。
上記方法によりカーボンブラックが均一分散されたカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を製造することができる。
溶液中に分散しているカーボンブラックの平均粒径は、0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。また、分散しているカーボンブラックの最大粒子径は1μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。
1.2 カーボンブラック
本発明で使用するカーボンブラックは、特に限定されるものではなく、例えば、カーボンブラック粒子表面にポリマーをグラフト化させたり、絶縁材を被覆したりすることで導電特性を制御したカーボンブラックでもよく、また、カーボンブラック粒子表面に酸化処理を施したカーボンブラック等であってもよい。これらの中でも、オイルファーネス法のカーボンブラックは、燃料を燃やした1400℃以上の高温ガス中で炭化水素を還元雰囲気で熱分解してつくるため、粒子内部や表面の酸素含有量や不純物が著しく少なく、結晶子が発達するため好ましい。さらに、オイルファーネス法で製造されたカーボンブラックを、さらに酸化処理により揮発分含有量2〜5重量%に調整(より好ましくは2.5〜5重量%)されたものが好ましい。
以下に、オイルファーネス法で製造されたカーボンブラックをさらに酸化処理により揮発分含有量2〜5重量%に調整されたカーボンブラックについて説明する。
酸化処理で用いる酸化剤としては、硝酸を含む窒素酸化物、オゾン、次亜塩素酸類、硫酸ガス等の酸化剤を挙げることができる。これらの中でも、酸化処理後のカーボンブラックに酸化剤の残存が少なく、未分解原料炭化水素(PAH)が分解される点から、オゾンを含む酸化剤が好ましく、オゾンが特に好ましい。未分解原料炭化水素(PAH)は可能な限り少ない方が良く、具体的には10ppm以下であればよい。
酸化処理により揮発分2〜5重量%に調整されたカーボンブラックの表面には、フェノール性水酸基やカルボニル基、カルボキシル基等の酸素官能基(特に、カルボキシル基)を含むため、ポリイミド前駆体溶液中での流動性及び分散安定性が向上し、またポリイミド樹脂への親和性も向上する。
また、オイルファーネス法で製造された同じ比表面積及びジブチルフタレート(DBP)吸収量のカーボンブラックであれば、その揮発分量と粉体抵抗はほぼ比例関係にある。該カーボンブラック表面の揮発分である酸素官能基はπ電子の流れを阻害する絶縁物としてはたらくため、酸化処理されていないオイルファーネス法によるカーボンブラックよりも粉体抵抗が大きくなり、揮発分を上記の範囲に設定することにより、カーボンブラックの粉体抵抗を3〜30Ω・cm程度の高い値で制御することができる。
そのため、ポリイミド樹脂ベルトの表面抵抗率を所望の範囲(108〜1014Ω/□)に設定する場合に、ポリイミド樹脂中へ該カーボンブラックを高充填(ポリイミド樹脂ベルト(ポリイミド樹脂とカーボンブラックの総重量)中カーボンブラックが20〜30重量%)することができる。これにより、カーボンブラック同士の連鎖による導電性が付与され、外部環境や印加電圧に影響を受けにくい安定した電気特性を有するポリイミド樹脂ベルトを得ることができる。換言すれば、本発明の半導電性共重合ポリイミドベルト中にカーボンブラックが20〜30重量%の高含有量に制御できることになる。
なお、カーボンブラックの揮発分は、実施例に記載の方法により測定される。
揮発分が2%未満のカーボンブラック(例えば、三菱化学(株)製 三菱カーボンブラック「MA11」「MA100」、デクサ製「Printex 95」「Printex L6」など)では、ポリイミド前駆体溶液に対する親和性に問題があり、分散後にファンデルワールス力によって2次凝集体を形成しやすい傾向がある。
また、揮発分が6%を越えるカーボンブラック(例えば、デクサ製「Color Black FW200」「Special Black 5」「Special Black 4」「Printex 150T」など)は、チャンネル法のカーボンブラックがほとんどであり、水素や酸素以外に、硫黄や未分解原料炭化水素(PAH)などの不純物が多く含まれ、この不純物がポリイミド樹脂などのバインダー樹脂本来の機械的特性を低下させる傾向がある。また、オイルファーネス法のカーボンブラックであり揮発分6%を超えて酸化処理した場合、粉体抵抗が大幅に高くなるため(絶縁性カーボンブラックになるため)、中間転写ベルトとして必要な表面抵抗率108〜1014Ω/□を実現できない傾向がある。
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(JIS K6217)が80〜150m/gであることが好ましく、100〜130m/gであることがより好ましい。
一般にカーボンブラックを各種の方法で酸化すると、比表面積が大きくなるほど酸素官能基は多く付与される。しかし、カーボンブラックの粉体抵抗やこれを各種材料に配合した際の物性は、酸素官能基の絶対量でなく単位表面に付与している酸素官能基の数と相関している。
窒素吸着比表面積が80m/g未満であると、ポリイミド前駆体溶液やナイロン塩型モノマー溶液との親和性が得られず粉体抵抗も充分に高い値にならない傾向がある。また、150m/gを越えると、高比表面積のカーボンブラック、即ち一次粒子が小さいか又は同一粒子径においても細孔を形成したカーボンブラックとなり、酸素官能基を付与しても結果的にカーボンブラックの粉体抵抗が高くならないため、カーボンブラック含有量が高い(例えば、20重量%以上の高濃度で充填した)半導電性ポリイミド樹脂ベルトが得られなくなる傾向がある。つまり、低いカーボンブラック充填量の半導電性ポリイミド樹脂ベルトしか得られない傾向がある。
本発明で使用するカーボンブラックのpHは、2〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。
また、本発明で使用するカーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、50〜100ml/100gであることが好ましく、60〜80ml/100gであることがより好ましい。DBP吸収量が100ml/100gを越えると、酸化処理を施してもカーボンブラックの粉体抵抗が高くならないため、カーボンブラックを20重量%以上の高濃度で充填した半導電性ポリイミド樹脂ベルトが得られなくなる傾向がある。DBP吸収量が50ml/100g未満であると、粉体抵抗が高くなりすぎるため、該固形分中のカーボンブラック濃度は30重量%を越えて充填しないと半導電性ポリイミド樹脂ベルトが得られなくなる。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトの表面抵抗率は、1×10〜1×1014Ω/□であり、1×1010〜1×1013Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率がこの範囲にあることで、トナー層に作用する転写電界が強くなり、1次転写効率、2次転写効率ともに増加するため好ましい。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルト、特に、半導電性共重合ポリイミドベルトからなる電子写真機器の中間転写ベルトの材料設計において引張降伏強さ:σyと引張破断強さ:σbとは、ベルトとしての材料設計の重要な強度因子であり、少なくとも引張降伏強さ:σyは140MPaであることが好ましく、150MPaであることがより好ましい。引張降伏強さ:σyがこの範囲にあることで、実装中に負荷される場合の応力にて塑性変形(伸びによる寸法変化)が起こらないため好ましい。
また、引張破断強さ:σbは、引張降伏強さ:σyより大きいことも必要で、ベルト回転の耐寿命(タフネス)に寄与する。したがって、σb/σy≧1.10であること好ましく、σb/σy≧1.15であることがより好ましい。σb/σyが1.10未満では、塑性変形する前にベルトが破壊する傾向がある。また、σb/σyの上限値としては特に限定されない。
ここで、引張破断強さ:σbと引張降伏強さ:σyは、JIS K7113に準じて測定した応力−ひずみ曲線で記録される引張破断強さと引張降伏強さである。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトのベルト幅方向の平面度が2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。平面度が2mmをこえるとベルト駆動を行う駆動ロールと中間転写ベルトとの密着性が変化し、結果的にベルトの移動速度が変動する。その結果、高精度の画像合わせが不可能となり、色ずれなどの画像欠陥が発生する。また、中間転写ベルトの端部に反りなどがあると他の部材に接触し放電を起こし、端部よりダメージを受け破断する傾向がある。ここで、平面度とは実施例に記載の方法により測定される値をいう。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトのガラス転移点が280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。ガラス転移点がこの範囲にあることで、脱水イミド化をほぼ完結させることができる。また、イミド化未反応分がわずか数%あったとしても、半導電性ポリイミドベルトの物性、環境特性、電気特性などに影響を与えないものであり、好適に用いることができる。また、ガラス転移点の上限値については特に限定されるものではない。ここで、ガラス転移点とは、動的粘弾性の温度依存性から測定される値であり、実施例に記載の方法により測定される。
また、本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法は、特に限定されるものではないが、下記方法により製造することが好ましい。
2.導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法
本発明は、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒中で反応して重量平均分子量が25000以下のポリイミド前駆体溶液を製造し、該ポリイミド前駆体溶液に、カーボンブラックを均一分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法、
15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と2種の芳香族ジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒に溶解してナイロン塩型モノマー溶液を調製し、該ナイロン塩型モノマー溶液に、カーボンブラックを分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法であって、
(1)重力加速度の0.5〜10倍程度の遠心加速度で回転する円筒金型の内周面に該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を均一な厚さで塗布する工程、
(2)該円筒金型を重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転させたまま100〜140℃の温度で加熱して、自己支持性の皮膜を形成する工程、及び
(3)該皮膜を円筒金型の内周面に付着した状態のまま300℃以上の温度で加熱してイミド化する工程、
を含むこと特徴とする半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法に関する。
以下、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物(以下、簡略化して「液体原料」とも言う)を使った半導電性ポリイミドベルトの製造方法について説明する。
なお、前記製造方法で用いる液体原料としては、前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を好適に用いることができる。
液体原料は、重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で低速回転する円筒金型の内周面に均一な厚さで塗布される。つまり、重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度という低速回転で、液体原料が供給されることで回転方向に受けるせん断力が小さく、分子鎖の配向やカーボンブラックなどのフィラーのストラクチャー配向を抑制できる。
前記の遠心加速度が重力加速度の0.5倍未満であると、供給された液体原料が円筒金型の内周面に密着せずに流れ落ちる(たれ)危険性がある。一方、重力加速度の10倍より大きくなると、供給時に受ける回転方向へのせん断力による分子鎖の配向やカーボンブラックなどのフィラーのストラクチャー配向だけでなく、遠心力による液体原料の流動が発生し、平面度に影響を与える傾向がある。
なお、本発明で使用する遠心加速度(G)は、下記式から導かれる。
G(m/s2)=r・ω2=r・(2・π・n)2
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がr.p.m.)を示す。比較する重力加速度(g)は、9.8 (m/s2)である。
液体原料の供給手段は、ノズル法やスプレー法で吐出させながら回転する円筒金型の回転軸方向に移動させることによって、円筒金型の内周面に液体原料を均一な厚みで塗布する。ここで、均一な厚みとは、円筒金型の内周面に塗布平均厚みに対して±5%の範囲で塗布することをいう。
液体原料の供給手段としては、液体原料を霧化することで、供給時の流動を限りなく小さく、回転する円筒金型の内周面に瞬間的に密着できる点、液体原料の粘度にもあまり影響されず同一回転速度下で原料供給できる点、薄い厚みの塗膜を容易に得ることができ、液体原料の不揮発分濃度を高く設定することが可能である点から、スプレー法が好ましい。
塗布ヘッドの形状は、特に制約はなく、円形や矩形など適時使用できる。また、その大きさも特に制約はなく、吐出される液体原料の粘度との組み合わせによって、適正な吐出圧力となるように設計することが可能である。
スプレーヘッドと円筒金型の距離は任意でよく、5〜200mm程度が好ましい。吐出圧力の方式には特に制限はないが、圧縮空気や高粘度液対応のモーノポンプ、ギヤポンプなどが用いられる。
このように円筒金型の内周面に均一な厚みで液体原料を塗布した場合は、円筒金型の高速回転、即ち、遠心力によって液体原料を流動させ塗膜の膜厚を均一にさせる必要はない。遠心力を利用した回転成形では、原料を供給後、遠心力により液体原料を円筒金型の内面に均一に流延させる。そして遠心力によって生じる流動によってカーボンブラックの粒子が流動方向にストラクチャーを成形したように並ぶ。そのため、これによってポリイミド製中間転写ベルトの電気特性に悪影響を引き起こす場合がある。これに対し、高速回転しない本発明の方法によれば、この様な問題はほとんど生じない。
円筒金型の内周面には、ポリイミド樹脂が密着しないように、離型剤を塗布することが好ましい。離型材の種類に制限はないが、液体原料の溶媒や加熱反応時に樹脂から発生する水の蒸気などに侵されないものであれば特に限定はない。
液体樹脂の皮膜形成工程においては、重量加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で低速回転させたまま、100〜140℃の温度で溶媒を揮発して固形分濃度を40重量%以上とすることで円筒金型の内周面に自己支持性を有する皮膜を形成することで達成できる。
ポリイミド樹脂皮膜形成工程においては、ポリイミド樹脂の種類によって異なるが円筒金型の内周面に付着した状態のまま、60〜120分間で約250℃に上昇する。次に完全にポリイミド転化する温度、例えば300〜350℃で30〜90分間、皮膜を加熱させることでポリイミド樹脂皮膜を形成することができる。皮膜形成を円筒金型の内周面に付着した状態で行うことで、イミド化反応や溶媒揮発で起こる収縮を抑えてその応力でポリマー鎖を面内方向に均一配向させることが可能となる。
以上のように、本発明で用いるカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物は、高い固形分濃度を有するものであり、さらに、高含有量でカーボンブラックを含んでいるものである。さらに、これを用いて成形される半導電性ポリイミド樹脂ベルトは高いカーボンブラック濃度を有しており、しかも、ポリイミド樹脂の本来の機械的特性(強靭性等)が充分に保持されている。
得られる半導電性ポリイミドベルトの平均膜厚は、通常50〜150μm程度、好ましくは60〜125μm程度に調節される。
また、表面抵抗率は、通常108〜1014Ω/□程度、好ましくは109〜1014Ω/□程度、より好ましくは1010〜1013Ω/□程度になるように調節される。
このように製造した本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトは、例えば、電子写真機器のカラー画像形成装置の中間転写ベルトとして使用した場合、電荷の帯電安定性と徐電を適切に行うことができ、また、カラー画像形成装置において正確な転写を実現することができ、転写電圧による抵抗変化を防止し、長期間安定して高品質の転写画像を得ることができる。また、ベルトの幅方向にかかる荷重によるクラックや割れが発生しにくく、長期間走行させても、耐久性に優れ、安定した使用が可能となる。さらに、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分が増加するとガラス転移点が高温側にシフトする。そのため、転写と定着を一本のベルトで同時に行ってしまう転写兼定着ベルト方式のベルト基材としての使用も有効となる。
カラー画像形成装置は、本発明の半導電性ポリイミドベルトを少なくとも1種類以上備えることを特徴とする電子写真方式の画像形成装置である。本発明の半導電性ポリイミドベルトを中間転写ベルト、直接転写ベルトあるいは転写兼定着ベルトとして備えることで、高画質の転写画像を得ることができる。転写兼定着ベルトとして使用する場合には、表面に付着するトナーの剥離性向上のため、表面に非粘着性の樹脂皮膜を形成することが有効である。その非粘着性の樹脂皮膜の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂などが好ましい。また、弾性シリコーン樹脂、フッ素ゴム樹脂、弾性フロロシリコーン樹脂、弾性ポリシロキサンなどを用いてもよい。
本発明の半導電性共重合ポリイミドベルトは、カラー画像形成装置において正確な転写を実現することができ、転写電圧による抵抗変化を防止し、長期間安定して高品質の転写画像を得ることができる。また、ベルトの幅方向にかかる荷重によるクラックや割れが発生しにくく、長期間走行させても、耐久性に優れ、安定した使用が可能となる。さらに、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含むため、高いガラス転移点を有する。そのため、転写と定着を一本のベルトで同時に行うことができる転写兼定着ベルト方式のベルト基材としての使用も有効となる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
全ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分に対して、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物30モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物70モル%、全芳香族ジアミン成分に対して、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20モル%とp−フェニレンジアミン80モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量32,000)を5kg用意した。この溶液は粘度5.3Pa・s(30℃)、固形分濃度18.5重量%であった。
この溶液にオイルファーネス系カーボンブラック(CB1:pH2.3、揮発分含有量3.3重量%、窒素吸着比表面積110m/g、DBP吸収量65ml/100g、未分解原料炭化水素(PAH)の抽出量1.5ppm)を0.28kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(以下、液体原料)Aを作製した。この液体原料Aの不揮発分濃度は17.8重量%であり、不揮発分重量のうち、カーボンブラックの含有量は、23.2重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.23μm、最大粒径は0.38μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Aを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にスプレー法にて塗布し、重量加速度の9.0倍の遠心加速度(約231.7r.p.m.)で回転させながら、長さ500mmの円筒金型内周面に長さ480mmの均一な展開膜を得た。塗布の厚さは、不揮発分濃度から算出し、ポリイミド樹脂ベルトの厚さが90μmになるように決定した。その後も重量加速度の9.0倍の遠心加速度(約231.7r.p.m.)で回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で90分間保持して溶媒を揮発させた。
次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入し、120分間かけて320℃に昇温し(昇温速度:約1.67℃/分)、320℃で60分間高温加熱することでポリイミド転化を完了した。その後、室温まで冷却し、金型内面より剥離し、平均厚さ90μmのカーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトを得た。
実施例2
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
全ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分に対して、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物20モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80モル%、全芳香族ジアミン成分に対して、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50モル%とp−フェニレンジアミン50モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 20,000)を5kg用意した。この溶液は粘度10Pa・s(30℃)、固形分濃度30重量%であった。
この溶液にオイルファーネス系カーボンブラック(CB2:pH3.5、揮発分含有量4.8重量%、窒素吸着比表面積130m/g、DBP吸収量60ml/100g、未分解原料炭化水素(PAH)の抽出量0.8ppm)を0.52kgとNMP2kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(以下、液体原料)Bを作製した。
この液体原料Bの不揮発分濃度は26.9重量%であり、不揮発分重量のうち、カーボンブラックの含有量は、25.7重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.24μm、最大粒径は0.41μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Bを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にスプレー法にて塗布し、重量加速度の5倍の遠心加速度(約172.7r.p.m.)で回転させながら、長さ500mmの円筒金型内周面に長さ480mmの均一な展開膜を得た。塗布の厚さは、不揮発分濃度から算出し、ポリイミド樹脂ベルトの厚さが90μmになるように決定した。その後も重量加速度の5.0倍の遠心加速度(約172.7r.p.m.)で回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で80分間保持して溶媒を揮発させた。
次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入、実施例1と同様の温度条件でポリイミド転化を完了し、カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製した。
実施例3
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
NMP溶液とメタノールの混合溶媒(NMP:メタノール=100:22(重量比))に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物50モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物50モル%を投入し、酸無水物がアルコールと反応して開環して、芳香環上の隣接する炭素上にそれぞれエステル基とカルボキシル基を有するジエステル(ハーフエステル)を合成した後、この溶液に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50モル%とp−フェニレンジアミン50モル%とを投入し、50℃で3時間攪拌した後、過剰なメタノールは60℃で1時間かけて取り除くことでナイロン塩型モノマー溶液を5kg用意した。この溶液は粘度0.2Pa・s(30℃)、固形分濃度40.0重量%であった。
この溶液に実施例2と同じCB2を0.52kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Cを用意した。この液体原料Cの不揮発分濃度は35.9重量%であり、不揮発分重量のうちカーボンブラックの含有量は、20.6重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.27μm、最大粒径は0.67μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Cを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にスプレー法にて塗布し、重量加速度の1倍の遠心加速度(約77.2r.p.m.)で回転させながら、長さ500mmの円筒金型内周面に長さ480mmの均一な展開膜を得た。塗布の厚さは、不揮発分濃度から算出し、ポリイミド樹脂ベルトの厚さが90μmになるように決定した。その後も重量加速度の1.0倍の遠心加速度(約77.2r.p.m.)で回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で60分間保持して溶媒を揮発させた。
次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入、実施例1と同様の温度条件でポリイミド転化を完了し、カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製した。
実施例4
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
全ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分に対して、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物20モル%と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80モル%、全芳香族ジアミン成分に対して、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル80モル%とp−フェニレンジアミン20モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 22,000)を5kg用意した。この溶液は粘度10Pa・s(30℃)、固形分濃度28重量%であった。
この溶液に実施例1と同じCB1を0.45kgとNMP2.0kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Dを作製した。この液体原料Dの不揮発分濃度は24.8重量%であり、不揮発分重量のうち、カーボンブラックの含有量は、24.3重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.24μm、最大粒径は0.44μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
上記液体原料Dを用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製した。
比較例1
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 33,000)を5kg用意した。この溶液は粘度5.0Pa・s(30℃)、固形分濃度18.0重量%であった。
この溶液に実施例1と同じCB1を0.27kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Eを用意した。この液体原料Eの不揮発分濃度は17.3重量%であり、不揮発分重量のうちカーボンブラックの含有量は、23.1重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.26μm、最大粒径は0.51μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Eを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にノズル式の吐出装置にて指定量を投入した。次に、重力加速度の100倍の遠心加速度(約772.3r.p.m.)で、投入した液体原料を内周面に均一な塗膜厚みに流延させた。遠心加速度が小さいと液体原料の流動が充分に行われず、円筒金型への投入した部位の塗膜厚みが大きいままで成形されてしまう。そのため、遠心力を利用した回転成形法では、大きな遠心加速度で液体原料を円筒金型の内周面に均一に流延させることが最小限必要となる。
その後、重力加速度の5.0倍の遠心加速度(約172.7r.p.m.)の回転に変更し、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で90分間保持して溶媒を揮発させた。次に、成形したベルトを円筒金型の内周面より取り外し、外径295mm、長さ420mmのアルミニウム製の管状金型を取り外したベルトの内側に挿入した。その後、180分間で350℃に昇温し、350℃で60分間高温加熱することでポリイミド転化を完了した。いったん、成形用の円筒金型から取り外した理由は、150〜250℃でのイミド転化にともなう面内方向への反応収縮によって、ベルトが円筒金型の内周面より剥がれる、もしくは破損するためである。その後、室温まで冷却し、管状金型より取り外し、平均厚さ90μmのカーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトを得た。
比較例2
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物100モル%とp−フェニレンジアミン100モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 30,000程度)を5kg用意した。この溶液は粘度5Pa・s(30℃)、固形分濃度18.5重量%であった。
この溶液にチャンネル系カーボンブラックであるデグサ製カーボンブラック「Special Black 4(SB4)」(pH3.0、揮発分含有量14.5重量%、窒素吸着比表面積180m/g、DBP吸収量230ml/100g、未分解原料炭化水素(PAH)の抽出量20ppm)を0.17kgとNMP2kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Fを用意した。この液体原料Fの不揮発分濃度は15.3重量%であり、不揮発分重量のうち、カーボンブラックの含有量は、15.5重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.27μm、最大粒径は0.51μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Fを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にノズル式の吐出装置にて指定量を投入した。次に、重力加速度の30倍の遠心加速度(約423r.p.m.)で、投入した液体原料を内周面に均一な塗膜厚みに流延させた。その後、比較例1と同様の方法でポリイミド転化を完了し、カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製した。
比較例3
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物100モル%及び、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 30,000程度)を5kg用意した。この溶液は粘度5Pa・s(30℃)、固形分濃度18.5重量%であった。
この溶液に比較例2で用いたチャンネル系カーボンブラックであるデグサ製カーボンブラック「Special Black 4(SB4)」を0.17kgとNMP2kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Gを用意した。この液体原料Gの不揮発分濃度は15.3重量%であり、不揮発分重量のうち、カーボンブラックの含有量は、15.5重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.27μm、最大粒径は0.58μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
前記液体原料Gを、外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型内周面にスプレー法にて塗布し、重力加速度の11倍の遠心加速度(約256.1r.p.m.)で、液体原料を内周面に均一な塗膜厚みに流延させた。その後も重量加速度の11倍の遠心加速度(約256.1r.p.m.)で回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で90分間保持して溶媒を揮発させた。
次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入し、120分間かけて280℃に昇温し(昇温速度:約1.33℃/分)、280℃で60分間高温加熱することでポリイミド転化を完了した。その後、室温まで冷却し、金型内面より剥離し、平均厚さ90μmのカーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトを得た。
比較例4
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物100モル%及び、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 20,000程度)を5kg用意した。この溶液は粘度1.4Pa・s(30℃)、固形分濃度19.5重量%であった。
この溶液に実施例2と同じCB2を0.33kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Hを用意した。この液体原料Hの不揮発分濃度は19.1重量%であり、不揮発分重量のうちカーボンブラックの含有量は、25.3重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.26μm、最大粒径は0.51μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
上記液体原料Hを用いた以外は実施例2と同様にして、カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製した。
比較例5
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
NMP溶液とメタノールの混合溶媒(NMP:メタノール=100:22(重量比))に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物100モル%を投入し、酸無水物がアルコールと反応して開環して、芳香環上の隣接する炭素上にそれぞれエステル基とカルボキシル基を有するジエステル(ハーフエステル)を合成した後、この溶液に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50モル%とp−フェニレンジアミン50モル%とを投入し、50℃で3時間攪拌した後、過剰なメタノールは60℃で1時間かけて取り除くことでナイロン塩型モノマー溶液を5kg用意した。この溶液は粘度0.2Pa・s(30℃)、固形分濃度40.0重量%であった。
この溶液にCB2を0.52kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Iを用意した。この液体原料Iの不揮発分濃度は35.9重量%であり、不揮発分重量のうちカーボンブラックの含有量は、20.6重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.27μm、最大粒径は0.67μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
上記液体原料Iを用いた以外は実施例3と同様にしてカーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製しようとしたところ、120℃の加熱処理中に円筒金型内周面の塗膜に無数のクラックが入りはじめ、最終的に粉状に破損してしまった。
ナイロン塩型モノマー溶液から生成されるアミド酸の分子量が非常に小さいため、溶剤揮発によって膜が脆弱になり、粉状に破損してしまったと考えられる。
比較例6
(カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の作製)
全ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物100モル%、全芳香族ジアミン成分に対して、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50モル%とp−フェニレンジアミン50モル%とを、NMP溶液中で合成したポリイミド前駆体溶液(重量平均分子量 22,000)を5kg用意した。この溶液は粘度1.8Pa・s(30℃)、固形分濃度19.5重量%であった。
この溶液にCB1を0.31kgとNMP1.5kgを加えて、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行い、液体原料Jを用意した。この液体原料Jの不揮発分濃度は18.9重量%であり、不揮発分重量のうちカーボンブラックの含有量は、24.1重量%であった。また、溶液中でのカーボンブラックの平均粒子径は0.27μm、最大粒径は0.58μmであった。
(カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトの作製)
上記液体原料Jを用いた以外は実施例1と同様にしてカーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルト(平均膜厚:90μm)を作製しようとしたところ、高温加熱炉に投入し、120分間かけて320℃に昇温し、320℃で60分間高温加熱した後、室温まで冷却したところ粉状に破損してしまっていた。
ポリアミド酸溶液の重量平均分子量が22,000で、かつカーボンブラックが24.1重量%のフィルムのため、120〜200℃の乾燥工程中の解重合による分子量低下でフィルムが機械的に脆弱になり、結果として熱イミド化時のフィルム面内方向への反応収縮に耐えきれず割れを生じてしまったと考えられる。
以上の実施例1〜4、比較例1〜6で得られたカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物および液体原料について表1に記載する。
Figure 0005121426
本明細書に記載される各物性値の測定は、以下のようにして行った。
(1)窒素吸着表面積
窒素吸着表面積は、JIS K6217(低温窒素吸着法)に準拠して測定した。或いは、市販カーボンの特性データを参照した。
(2)DBP吸収量
DBP吸収量は、JIS K6217に準拠して測定した。或いは、市販カーボンの特性データを参照した。
(3)カーボンブラックの揮発分含有量
揮発分含有量は、JIS K6221に準拠して、該カーボンブラックを950℃で7分間加熱した時の減量を測定し、加熱前のカーボンブラック重量に対する減量をパーセント表示(重量%)した。
(4)カーボンブラックのpH
pH値は、ASTM D1512に準拠した値とした。
(5)カーボンブラックの未分解原料炭化水素(PAH)の抽出量
80℃で24時間乾燥したカーボンブラック5gを円筒状のガラス濾紙に入れ、溶媒としてモノクロルベンゼンを180cc用いソックスレー抽出を48時間行う。この抽出液を濃縮し、液体クロマトグラムにより抽出量を定量し、カーボンブラック重量で割り含有量とした。液体クロマトグラム分析計は、(株)島津製作所製 LC−6A フローコントローラ (株)島津製作所製 SCL−6A 検出器 ミリポアー社製 Watera 490E型 注入量 5μlで実施した。
(6)溶液中でのカーボンブラックの粒度
溶液中でのカーボンブラックの粒度は、HORIBA社製LA−920型レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
(7)ポリイミド前駆体溶液組成物中の固形分及びその濃度
カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物の固形分濃度は、次のように算出された値である。試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をA(g)とする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×15分、180℃×15分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をB(g)とする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
固形分濃度(%)=B/A×100
(8)ポリイミド前駆体の重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC法(溶媒:NMP、ポリエチレンオキサイド換算)により測定した値である。
(9)半導電性ベルトの表面抵抗率と体積抵抗率
得られた半導電性ベルトを長さ400mmにカットしたものをサンプルとして、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・URプロ−ブ”を使って、幅方向に等ピッチで3カ所と縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について各々測定し、全体の平均値で示した。電圧100V印加の下10秒経過後に測定した。
(10)力学特性の評価
各例で得られたベルトを幅5mm、長さ100mmにカットし、これを試験片として一軸引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)にて、引張スパン40mm、ひずみ速度50mm/分で測定した。記録されたS―Sカーブ曲線から降伏強さ及び破断強さを読み取った。
(11)平面度測定
得られた各カーボンブラック充填ポリイミドシームレスベルトを幅350mmにカットし、図1に示すような直径30mmの2本のローラー(3)に35Nの張力で張架した状態で、キーエンス(株)製のレーザ変位計(製品番号:タイプKL080)(2)でベルトの幅方向にベルト表面の変位量を読み取った。そして、図2に示すように、最大値から最小値を差分した値を幅方向の平面度とした。
(12)ガラス転移点(tan δのピーク)
Rheometrics社製Rheometrics Solids Analyzer RSAIIを用いて、各実施例および比較例で得られたベルトを幅6mm、長さ27mmにカットし、これを試験片として評価した。測定条件は昇温速度;2℃/分、温度範囲;60〜400℃、周波数;10Hz、動的ひずみ:0.02%で行った。
(13)高電圧印加テスト及び空転耐久テスト
10℃、30%RHの環境下で図3に示す通電システムにて評価した。実施例および比較例で得られたベルト(1)を、電圧印加ローラー(5)により5.0kV(通電電流約55〜80μA)の印加電圧で、50時間運転して後の表面抵抗率の変動を測定した。その後、印加電圧なしで走行速度を280mm/sで空転耐久評価を実施し、連続300時間を耐久性クリアとした。
Figure 0005121426
比較例1,2は円筒金型の中に液体原料を投入し、遠心力により液体原料を円筒金型の内面に均一に流延させる工法である。液体原料は遠心力によって流動が起こり、この流動によって液体原料の塗膜厚みが決定する。遠心力により原料溶液を金型の内面に流延させてベルトを成形する工法なため、塗膜厚みは円筒金型の各部位での遠心力の大きさ、つまり回転半径によって決まるため、金型の真円度(内径うねり)が厚み精度に影響を与えたと考えられる。
試験例
実施例1〜4及び比較例1〜4で製造された半導電性ベルトについて、S−S曲線、平面度、ガラス転移点の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005121426
表3より、実施例1〜4で得られたベルトでは、降伏強さに対する破断強さの比が高いため、脆性的な破壊は回避できる。
実施例1〜4及び比較例1〜4で製造された半導電性ベルトについて、高電圧印加テスト及び空転耐久テストを行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005121426
表4より、実施例1〜4のベルトは、高電圧印加テストにおいても表面抵抗率の変化(低下)はほとんどなかった。これは、カーボンブラックが平面方向において可能な限り連続した均一な分散状態であるためと考える。さらに、空転耐久評価で連続300時間行ってもベルトが破損すること、かつ耐久評価による平面度の悪化はほとんど無かった。これらの結果は、例えば中間転写ベルトとして用いた場合、過大な電流を繰り返し流しても表面抵抗率の変化がなく高品質の転写画像が得られ、しかも長期間の使用でも破損することがないことを意味する。
平面度測定方法の概略図を示す。 図1のAA断面図を示す。 高電圧印加テスト及び空転耐久テストに用いる通電システムの模式図を示す。
符号の説明
1 無端管状フィルム
2 レーザ変位計
3 ローラー
4 レーザ変位計の走査方向
5 電圧印加ローラー
6 走行方向

Claims (9)

  1. ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、
    前記ポリイミド樹脂が、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト。
  2. ポリイミド樹脂を70〜80重量%及びカーボンブラックを30〜20重量%含み、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□である半導電性共重合ポリイミドベルトであって、
    前記ポリイミド樹脂が、15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルと85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分から得られる半導電性共重合ポリイミドベルト。
  3. 前記カーボンブラックが、オイルファーネス法で製造されたカーボンブラックを酸化処理したものであり、酸化処理後カーボンブラックのpHが2〜5、揮発分含有量が2〜5重量%、窒素吸着比表面積が80〜150m/g、ジブチルフタレート吸収量が50〜100ml/100g、かつ未分解原料炭化水素の抽出量が10ppm以下である請求項1又は2に記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
  4. JIS K7113に準じて測定した応力−ひずみ曲線で記録される引張降伏強さ:σyが140MPa以上であり、引張破断強さ:σbとの関係が
    (引張破断強さ:σb)/(引張降伏強さ:σy)≧1.1
    を満たす請求項1〜のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
  5. ベルト幅方向の平面度が2mm以下である請求項1〜のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
  6. ガラス転移点が280℃以上である請求項1〜のいずれかに記載の半導電性共重合ポリイミドベルト。
  7. 15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分と、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒中で反応して重量平均分子量が25000以下のポリイミド前駆体溶液を製造し、該ポリイミド前駆体溶液に、カーボンブラックを分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法であって、
    (1)重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転する円筒金型の内周面に、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する工程、
    (2)該円筒金型を重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転させたまま100〜140℃の温度で加熱して、自己支持性の皮膜を形成する工程、及び
    (3)該皮膜を円筒金型の内周面に付着した状態のまま300℃以上の温度で加熱してイミド化する工程、
    を含むこと特徴とする製造方法。
  8. 15〜50モル%の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル及び85〜50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルを含むビフェニルテトラカルボン酸ジエステル成分と、20〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと80〜20モル%のp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分との略等モル量とを、有機極性溶媒に溶解してナイロン塩型モノマー溶液を調製し、該ナイロン塩型モノマー溶液に、カーボンブラックを分散させてポリイミド前駆体溶液組成物を調製し、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を回転成形法にて管状物に成形し、該成形体を加熱処理してイミド化する半導電性共重合ポリイミドベルトの製造方法であって、
    (1)重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転する円筒金型の内周面に、該カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する工程、
    (2)該円筒金型を重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度で回転させたまま100〜140℃の温度で加熱して、自己支持性の皮膜を形成する工程、及び
    (3)該皮膜を円筒金型の内周面に付着した状態のまま300℃以上の温度で加熱してイミド化する工程、
    を含むこと特徴とする製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の製造方法により得られる半導電性共重合ポリイミドベルトからなる電子写真機器の中間転写ベルト。
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