ここで、燃料電池セルスタックを構成する燃料電池セルは、発電に伴い熱を生じる。そして、この燃料電池セルの発電により生じた熱は、隣接する燃料電池セルとの隙間等から放散される。
しかしながら、燃料電池セルを複数個(特には多数固)配列してなる燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルは発電時に燃料電池セル自身のジュール熱や反応熱により熱エネルギーを放散するが、特に配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セルにおいては、燃料電池セルの両側に多数の燃料電池セルが配置されているため、熱エネルギーが放散されにくく高温となる傾向にある。
一方、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セルは、隣接して配置された燃料電池セルが少ない、もしくはないこととなり、熱エネルギーを放散しやすくなる。それにより、燃料電池セルの配列方向における端部側に配置された燃料電池セルは温度が低下する傾向にある。
そのため、燃料電池セルの配列方向における中央部は温度が高く、燃料電池セルの配列方向における端部側は温度が低くなることから、燃料電池セルスタックとしては、燃料電池セルの配列方向における温度分布が不均一(山なり)となり、発電効率が低下するおそれがある。
したがって、本発明の目的は、燃料電池セルの配列方向における温度分布を均一化する(均一に近づける)とともに、発電効率の低下を抑制することができる燃料電池セルスタック、およびそれを収容してなる燃料電池を提供することにある。
本発明の燃料電池セルスタックは、支持基板上に、燃料側電極層、固体電解質層および空気側電極層を順次積層してなる燃料電池セルの複数個を配列して、電気的に直列に接続してなる燃料電池セルスタックであって、前記燃料電池セルの配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔が、前記燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも広いことを特徴とする。
このような燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルの配列方向における中央部(以下、中央部と略す場合がある。)に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔が、燃料電池セルの配列方向における端部(以下、端部と略す場合がある。)に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔と比べて広いことから、燃料電池セルスタックの配列方向における温度分布を均一化する(均一に近づける)ことができる。
すなわち、複数個の燃料電池セルを配列してなる燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルは発電時に燃料電池セル自身のジュール熱や反応熱により熱エネルギーを放散するが、中央部に配置された燃料電池セルは、その両方向に多数の燃料電池セルが配置されているため、この熱エネルギーが放散されにくく高温となる。
一方、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された燃料電池セルは、その一方向に配置された燃料電池セルが少ない、もしくはないこととなり、熱エネルギーを放散しやすいため、温度が低下する傾向にある。
それに伴い、燃料電池セルスタックの中央部は温度が高く、燃料電池セルスタックの端部側は温度が低いといったように温度分布が不均一となり、発電効率が低下する場合がある。
それゆえ、本発明の燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルの配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔を、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも広くすることにより、中央部に配置された複数個の燃料電池セルが熱放散しやすくなり、中央部に配置された複数個の燃料電池セルの温度を下げることができる。さらに、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セルは、その燃料電池セル間の間隔が中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも狭いことから熱放散しにくくなり、温度が低下することを抑制することができる(もしくは温度が上昇する)。それにより、燃料電池セルスタックの温度分布を均一化する(均一に近づける)ことができ、燃料電池セルスタックの発電効率が低下することを抑制することができる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、前記端部に配置された複数個の前記燃料電池セルにおいて、前記燃料電池セルが、前記燃料電池セルの配列方向における端部に向けて、隣接する前記燃料電池セル間の間隔が漸次狭くなるように配置されていることが好ましい。
このような燃料電池セルスタックにおいては、端部に配置された複数個の燃料電池セルにおいて、燃料電池セルが、燃料電池セルの配列方向における端部に向けて、隣接する燃料電池セル間の間隔が漸次狭くなるように燃料電池セルが配置されていることから、燃料電池セルスタックの温度分布をより均一化する(均一に近づける)ことができ、燃料電池セルスタックの発電効率が低下することを抑制することができる。
また、端部に配置された複数個の燃料電池セルにおいて、燃料電池セルの配列方向における端部に向けて、隣接する燃料電池セル間の間隔が漸次狭くなるように燃料電池セルが配置されていることから、例えば隣接する燃料電池セル間の間隔が急激に広くなる(又は狭くなる)といったことにより、端部に配置された複数個の燃料電池セルに過大な応力がかかることを抑制することができ、燃料電池セルスタックの信頼性を向上することができる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、前記燃料電池セルの配列方向における中央部に配置された複数個の前記燃料電池セルの厚みが、前記燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セルの厚みよりも薄いことが好ましい。
このような燃料電池セルスタックにおいては、複数個の燃料電池セルを並べて燃料電池セルスタックを構成するにあたり、同一の大きさ(配列方向における厚みが同一)の燃料電池セルで形成するほか、厚みの異なる燃料電池セルを用いることもできる。
この場合においては、隣接する燃料電池セルの中央部と中央部との距離(例えば燃料ガス通路間の距離)を一定とするとともに、燃料電池セルの配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セルの厚みを、配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セルの厚みよりも薄くすることにより、中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔を、端部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも広くすることができる。それにより、燃料電池セルスタックの配列方向における温度分布を均一化する(均一に近づける)ことができる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、前記燃料電池セルが、中空平板型の燃料電池セルであるとともに、前記燃料電池セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドに立設して配置されていることが好ましい。
このような燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルが、中空平板型であるとともに、燃料電池セルが、燃料電池セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドに立設して配置されていることから、隣接する燃料電池セル間の間隔を変えて燃料電池セルを配置した燃料電池セルスタックを容易に作製することができるとともに、燃料電池セルに燃料ガスを供給することができる。
また、燃料電池セルを中空平板型とすることにより、電気抵抗が小さく、高い発電性能を発現することができるとともに、隣接する燃料電池セルの間隔を異なる配置とした燃料電池セルスタックを容易に作製することができる。
本発明の燃料電池は、上記のうちいずれかに記載の燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルに酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給手段とを収納容器内に収納してなる燃料電池であって、前記燃料電池セルの配列方向に沿って前記燃料電池セルスタックの側面側より酸素含有ガスが供給されるとともに、該酸素含有ガスが前記燃料電池セル間を流通することを特徴とする。
このような燃料電池においては、収納容器内に燃料電池セルスタックと燃料電池セルに酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給手段とを収納し、燃料電池セルの配列方向に沿って、燃料電池セルスタックの側面側より酸素含有ガスを供給し、その供給した酸素含有ガスが燃料電池セル間を流通することから、燃料電池セル間を流通する酸素含有ガスにより、燃料電池セルの温度を下げることができる。
この場合、複数個の燃料電池セルを配列してなる燃料電池セルスタックにおいては、燃料電池セルの配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔が広いことから、中央部に配置された複数個の燃料電池セルの間を流れる酸素含有ガスの流量が多くなり、中央部に配置された複数個の燃料電池セルの冷却効果を大きくすることができる。
一方、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セルにおいては、隣接する燃料電池セル間の間隔が、中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも狭いことから、端部に配置された複数個の燃料電池セルの間を流れる酸素含有ガスの流量は、中央部に配置された燃料電池セルの間を流れる流量より少なくなり、端部に配置された複数個の燃料電池セルの冷却効果は、中央部に配置された複数個の燃料電池セルの冷却効果と比較して小さくなる。
それにより、燃料電池セルスタックの温度分布をより均一化する(均一に近づける)ことができ、燃料電池セルスタックの発電効率が低下することを抑制でき、発電効率が向上した燃料電池とすることができる。
また、本発明の燃料電池は、前記燃料電池セルが集電部材を介して電気的に直列に接続されるとともに、前記集電部材は、前記酸素含有ガスが流通することができる形状であることが好ましい。
このような燃料電池においては、燃料電池セルが集電部材を介して電気的に直列に接続されていることから、燃料電池セルにより発電された電気を効率よく集電することができる。
また集電部材は、酸素含有ガスが流通することができる形状であることから、燃料電池セルの配列方向に沿って燃料電池セルスタックの側面側より供給される酸素含有ガスが、隣接する燃料電池セル間を容易に流通することができ、燃料電池セルスタックの温度分布も均一化する(均一に近づける)ことができることから、発電効率が向上した燃料電池とすることができる。
また、本発明の燃料電池は、前記酸素含有ガス供給手段が、前記酸素含有ガスが前記酸素含有ガス供給手段の内部を前記燃料電池セルに沿って上方から下方に流れるように配置されていることが好ましい。
このような燃料電池においては、酸素含有ガスが酸素含有ガス供給手段の内部を燃料電池セルに沿って上方から下方に流れるように、酸素含有ガス供給手段が配置されていることから、燃料電池セルの上下方向における温度分布を均一化する(均一に近づける)ことができる。
ここで、燃料電池セルスタックを構成する燃料電池セルにおいて、燃料電池セルの上部で温度が高く、燃料電池セルの下部では温度が低くなる傾向にある。
それゆえ、酸素含有ガスが酸素含有ガス供給手段の内部を燃料電池セルに沿って上方から下方に流すことにより、酸素含有ガスが燃料電池セルを上方から下方へと流れるにしたがって温められることとなる。
そして、温められた酸素含有ガスが燃料電池セルの下部に向けて流れることにより、燃料電池セルの下部の温度を上昇させることができる。
それにより、燃料電池セルの上下方向における温度分布を均一化することができることから、燃料電池セルの発電効率を向上することができ、発電効率が向上した燃料電池とすることができる。
また、本発明の燃料電池は、前記燃料電池セルスタックの上方に、前記燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するための改質器が配置されていることが好ましい。
このような燃料電池においては、燃料電池セルスタックの上方に、燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するための改質器が配置されていることから、改質器は燃料電池セルスタックの熱により温められることとなる。
ここで、本発明の燃料電池セルスタックは、燃料電池セルの配列方向における温度分布を均一化する(均一に近づける)ことができることから、改質器の温度をより効率よく上昇させることができる。それにより改質器での改質反応を効率的に行なうことができる。したがって、発電効率がより向上した燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池セルスタックは、配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔が、燃料電池セルの配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル間の間隔よりも広いことから、燃料電池セルスタックの燃料電池セルの配列方向における温度分布を均一化することができ、発電効率の低下を抑制することができる。
図1は、燃料電池セルスタック1を有する燃料電池セルスタック装置10を示し、(a)は燃料電池セルスタック装置10を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置10の一部拡大平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した点線枠で囲った部分の対応する部分を明確とするため矢印にて示している。また、同一の部材については同一の番号を付するものとし、以下同様とする。さらに、図1中において点線で示した矢印は、酸素含有ガスの流れ方向を示している。
ここで、燃料電池セルスタック装置10は、支持基板8上に、燃料側電極層5、固体電解質層6および空気側電極層4を順次積層してなる燃料電池セル2の複数個を、電気的に直列に接続してなる燃料電池セルスタック1を、燃料電池セル2を一列に配列した状態でマニホールド12に固着して形成されている。あわせて、隣接する燃料電池セル2間に集電部材3aが介装されるとともに、燃料電池セル2の配列方向の両側から端部集電部材3bを介して燃料電池セルスタック1を挟持するように、燃料電池セル2に燃料ガスを供給するマニホールド12に立設し固着する合金製の保持部材13を具備する。
なお、燃料電池セル2および保持部材13の一端(下端部)は、例えば耐熱性に優れたガラスシール材(図示せず)によりマニホールド12に埋設され接合される。
本実施形態において、燃料電池セル2は中空平板状とされ、一対の対向する平坦面をもつ柱状の導電性支持基板8の一方の平坦面上に燃料側電極層5、固体電解質層6及び空気側電極層4が積層され、他方の平坦面上にインターコネクタ7が設けられている。また導電性支持基板8の内部には反応ガス(燃料ガス)を流通するための燃料ガス流路9が設けられている。本発明においては、このような形状を中空平板型という。
また、インターコネクタ7の外面(上面)にはP型半導体11を設けることもできる。集電部材3aを、P型半導体11を介してインターコネクタ7に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。なお、燃料電池セル2を構成する各部材については後に詳述する。
また、導電性支持基板8を燃料側電極層5を兼ねるものとし、その表面に固体電解質層6および空気側電極層4を順次積層して燃料電池セル2を構成することもできる。
ここで、本発明の燃料電池セルスタック1は、燃料電池セル2の配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔が、燃料電池セル2の配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔よりも広いことを特徴とする。
なお、本発明において燃料電池セル2の配列方向における中央部(以下、中央部と略する場合がある。)に配置された複数個の燃料電池セル2とは、複数個の燃料電池セル2の配列方向における中央部とその近傍に配置された燃料電池セルを意味し、燃料電池セル2の配列方向における長さや、燃料電池セル2の大きさ等により、適宜該当する燃料電池セルの数を設定することができる。
また、逆に燃料電池セル2の配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル2とは、燃料電池セル2の配列方向における長さや、燃料電池セル2の大きさ等により、適宜該当する燃料電池セルの数を設定することができる。
それゆえ、具体的には、燃料電池セル2の配列方向における中央部を中心として、配列方向における長さの1/3程度の領域に配置された燃料電池セル2を、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2とすることができ、また、燃料電池セル2の配列方向の端部から中央部にかけて配列方向における長さの1/3程度の領域に配置された燃料電池セル2を、端部に配置された複数個の燃料電池セル2とすることができる。なお、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2と、端部に配置された複数個の燃料電池セル2との間に、両方に属さない燃料電池セル2を配置することもできる。
ところで、複数個の燃料電池セルを配列してなる燃料電池セルスタックは、燃料電池セル2の発電に伴い熱を生じる。
ここで燃料電池セルは、発電時に燃料電池セル自身のジュール熱や反応熱により熱エネルギーを放散するが、中央部に配置された燃料電池セル2と端部に配置された燃料電池セル2とでは、この熱エネルギーの放散に差が生じる。
すなわち、中央部に配置された燃料電池セル2の両側は、多数の燃料電池セル2が配置されているため、この熱エネルギーが放散されにくく、端部に配置された燃料電池セル2の一方向においては、隣接して配置された燃料電池セルが少ない、もしくはないことから、熱エネルギーが放散されやすいこととなる。
したがって、複数個の燃料電池セルが配列されて構成される燃料電池セルスタックでは、燃料電池セルの配列方向における温度分布を生じる(中央部が高温となり、端部側が低温となる。)こととなり、それにより燃料電池セルスタックの発電性能が低下するおそれがある。
本発明の燃料電池セルスタック1は、図1からも明らかなように、燃料電池セル2の配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔を、燃料電池セル2の配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔よりも広くすることにより、中央部に配置された燃料電池セル2はより熱エネルギーを放散しやすくなり、燃料電池セルスタック1の中央部の温度を下げることができる。
一方で、端部に配置された複数個の燃料電池セル2は、隣接する燃料電池セル2間の間隔が、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔よりも狭いことから、中央部よりも熱エネルギーを放散しにくいこととなり、燃料電池セルスタック1の端部側の温度が下がることを抑制する、または端部側の温度が上昇することとなる。
それゆえ、本発明の燃料電池セルスタック1は、従来の燃料電池セルスタックよりもなだらかな温度分布とすることができ、さらには隣接する燃料電池セル2間の間隔を調整することで、燃料電池セルスタック1の温度分布を均一に近づけることができる。
したがって、本発明の燃料電池スタック1は、発電性能の向上した燃料電池セルスタック1とすることができる。
また、端部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔は、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔よりも狭ければよく、中央部もしくは端部に配置された複数個の燃料電池セル2において、隣接する燃料電池セル2間の間隔を一定とすることもでき、また端部に配置された複数個の燃料電池セル2において、隣接する燃料電池セル2間の間隔を、端部に向けて徐々に広くなる構成としてもよい。
なお、本発明の燃料電池セルスタック1を構成する他の部材について、以下に説明する。
支持基板8としては、燃料ガスを燃料側電極層5まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ7を介して集電するために導電性であることが要求される。したがって、支持基板8としては、かかる要求を満足するものを材質として採用する必要があり、例えば導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。
集電部材3aおよび端部集電部材3bは、弾性を有する金属または合金からなる部材あるいは金属繊維または合金繊維から成るフェルトに所要の表面処理を加えた部材から構成することができる。なお、本発明における集電部材3aは、間隔の異なる燃料電池セル2を電気的に接続するために、弾性を有する合金からなる部材とするのがより好ましい。それにより、燃料電池セル2を電気的に接続することができる。なお、例えば燃料電池セル2の間隔にあわせて、集電部材3aの大きさを変えて配置することも可能である。なお、集電部材3aの形状については後述する。
空気側電極層4は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。空気側電極層4はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
燃料側電極層5は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニアを称する)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
固体電解質層6は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO2から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
インターコネクタ7は、導電性セラミックスから形成することができるが、燃料ガス(水素ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、それゆえランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ7は支持基板8に形成された燃料ガス通路9を通る燃料ガスおよび支持基板8の外側を流動する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
支持基板8は、例えば中空平板型の支持基板とすることができる。そのような支持基板8としては、立設方向に細長く延びる板状片であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。支持基板8には内部を立設方向に貫通する複数個(図1(b)においては6個)の燃料ガス通路9が形成されている。燃料電池セル2の各々は、燃料ガスを供給するマニホールド12の上壁(天板)に、例えば耐熱性に優れたガラスシール材12によって接合され、燃料電池セル2の燃料ガス通路9は、燃料ガス室(図示せず)に連通せしめられる。
ちなみに、燃料側電極層5および固体電解質層6の少なくとも一方との同時焼成により支持基板8を製造する場合においては、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから支持基板8を形成することが好ましい。また、導電性支持基板8は、所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。
さらに、P型半導体層11としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ7を構成するランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層6の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
なお、図1においては、燃料電池セルスタック1を構成する燃料電池セル2が中空平板型の燃料電池セルであるとともに、同じ厚み(配列方向における厚みが同じ)の燃料電池セル2を用いて構成されている例を示している。それにより、間隔を変化させて燃料電池セル2を配置することで、燃料電池セル2の間隔が変化した燃料電池セルスタック1を容易に作製することができる。なお、燃料電池セルの間隔を所定の間隔として燃料電池セルを配置するにあたり、例えば厚み(配列方向における厚み)を変えることも可能である。
また、中央部に配置された隣接する燃料電池セル間の間隔を、端部側に配置された隣接する燃料電池セル間の間隔よりも広くする場合において、その間隔は燃料電池セルの形状や燃料電池セルの数等により適宜設定できる。例えば、中央部の燃料電池セル間隔を3mm、端部側の燃料電池セル間隔を2mmとすることができる。なお、ここで燃料電池セルの間隔とは、隣接する燃料電池セルの表面間とすることができる。
図2は、燃料電池セル2が、端部に配置された複数個の燃料電池セルにおいて、燃料電池セル2の配列方向における端部に向けて、隣接する燃料電池セル2間の間隔が漸次狭くなるように配置された燃料電池セルスタック装置14の例を示している。なお、(a)は燃料電池セルスタック装置14を概略的に示す側面図であり、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置14の一部拡大平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した点線枠で囲った部分の対応する部分を明確とするため矢印にて示している。
このような燃料電池セルスタック15においては、端部に配置された複数個の燃料電池セル2において、隣接する燃料電池セル2間の間隔が、燃料電池セル2の配列方向における端部に向けて、漸次狭くなるように配置されていることから、燃料電池セルスタック15の温度分布をより均一に近づけることができる。
ここで、端部に配置された複数個の燃料電池セルにおいて、隣接する燃料電池セル2間の間隔が、配列方向における端部に向けて漸次狭くなるように燃料電池セルが配置されていることから、例えば隣接する燃料電池セル2間の間隔が急激に広くなる(または狭くなる)ことにより、燃料電池セル2や集電部材3aに過大な応力がかかることを抑制することができ、燃料電池セルスタック14の信頼性を向上することができる。
さらに、複数個の燃料電池セル2を配置してなる燃料電池セルスタックにおいて、燃料電池セル2を、燃料電池セル2の配列方向における中央部から端部に向けて、隣接する燃料電池セル2の間隔が漸次狭くなるように配置することができる。
図2においては、そのような燃料電池セルスタック装置14を示しており、それにより、燃料電池セルスタック15の温度分布をより均一に近づけることができる。
図3は、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みを、端部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚み(配列方向における厚み)よりも薄くした燃料電池セルスタック装置16の例を示している。なお、(a)は燃料電池セルスタック装置16を概略的に示す側面図であり、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置16の一部拡大平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した点線枠で囲った部分の対応する部分を明確とするため矢印にて示している。
このような燃料電池セルスタック17においては、隣接する燃料電池セルの距離(例えば平面視において燃料電池セル2の中央部間の距離)を所定の距離とするとともに、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みを、端部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みよりも薄くすることにより、中央部に配置された複数個の燃料電池セルにおける隣接する燃料電池セル2間の間隔を、端部に配置された複数個の燃料電池セルにおける隣接する燃料電池セル2間の間隔よりも広くすることができる。
具体的には、例えば隣接する燃料電池セル2間の距離(燃料電池セル2の中央部とそれに隣接する燃料電池セル2の中央部との距離)を5mmとし、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みを2mm、端部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みを3mmとすることにより、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔を、端部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔よりも広くすることができる。なお、隣接する燃料電池セル2の距離や燃料電池セル2の厚みは、燃料電池セルの大きさや燃料電池セルスタックの大きさ等により適宜設定することができ、例えば端部における複数個の燃料電池セルにおいて、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の厚みよりも薄い範囲で、燃料電池セル2の厚みを適宜変更することができる。
それにより、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2はより熱エネルギーを放散しやすくなり、燃料電池セルスタック17の中央部の温度を下げることができ、燃料電池セルスタック17の温度分布を均一に近づけることができる。
そして、上述したような燃料電池セルスタックと、燃料電池セル2に酸素含有ガス(通常は空気である)を供給するための酸素含有ガス供給手段とを収納容器内に収納することにより、本発明の燃料電池とすることができる。
図4は、本発明の燃料電池の一例を示す外観斜視図である。燃料電池18は、直方体状の収納容器19の内部に、上述した燃料電池セルスタックと燃料電池セル2に酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給手段20とが収納されて構成される。なお、燃料電池セルスタックとしては、図1に示した燃料電池セルスタック1を用いた例を示している。
また、燃料電池セル2にて使用する水素ガスを得るために、天然ガスや灯油等の燃料を改質して水素ガスを生成するための改質器21を燃料電池セルスタック1の上部に配置している。なお、図4において燃料電池セルスタック装置10は、改質器6を含めた構成として示している。
また、図4においては、収納容器19の一部(前面および後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置10を後方に取り出した状態を示している。ここで、図4に示した燃料電池18においては、燃料電池セルスタック装置10を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。
図5は、図4で示す燃料電池18の切断面線X−Xから見た断面図である。燃料電池18を構成する収納容器19は、内壁22と外壁23とを有する二重構造で、外壁23により収納容器19の外枠が形成されるとともに、内壁22により燃料電池セルスタック1(燃料電池セルスタック装置10)を収納する発電室24が形成されている。なお、内壁22と外壁23との間は、燃料電池セル2に導入する反応ガスの流路としており、例えば、燃料電池セル2に導入する酸素含有ガス等が流れる。
ここで内壁22には、内壁22の上面から燃料電池セルスタック1の側面側にまで延び、燃料電池セルスタック1の配列方向における幅に対応し、内壁22と外壁23とで形成される流路に連通して、燃料電池セル2に酸素含有ガスを導入するための酸素含有ガス供給手段である酸素含有ガス導入部材20が備えられている。また、酸素含有ガス導入部材20の下端側(燃料電池セル2の下端側)には、燃料電池セル2に酸素含有ガスを導入するための吹出口25が設けられている。
なお図5において、酸素含有ガス導入部材20は、互いに所定間隔を空けて並設された一対の板部材により酸素含有ガス導入流路を形成し、下端側で底部材に接合して形成されている。また、図5においては、酸素含有ガス導入部材20は、収納容器19の内部に並置された2つの燃料電池セルスタック1(燃料電池セルスタック装置10)間に位置するように配置されている。なお、酸素含有ガス導入部材20は、収納される燃料電池セルスタック1の数により、例えば燃料電池セルスタック1の両側面から挟み込むように配置してもよい。
また、酸素ガス導入部材20の内部には、測温部27を有する温度センサ26(例えば熱電対等)が収納容器2の上面側より挿入されている。それにより、燃料電池セルスタック1(燃料電池セル2)の温度を測定することができる。また収納容器19内には、適宜断熱材28が配置されている。なお、温度センサ26は複数配置しても良く、その場合、燃料電池セルスタックの中央部と、端部側に配置することが好ましい。
そして、燃料電池セルスタック1は、マニホールド12より燃料電池セル2に燃料ガスが供給されるとともに、燃料電池セル2に酸素含有ガスが供給され、これらを用いて発電が行なわれる。
図5においては、燃料電池セル2の配列方向に沿って燃料電池セルスタック1の側面側より、酸素含有ガス導入部材20により酸素含有ガスが供給されるとともに、燃料電池セル2間を酸素含有ガスが流通する。
すなわち、酸素含有ガスが、燃料電池セルスタック1の側方より供給され、燃料電池セル2間を流通することにより、燃料電池セル2と酸素含有ガスとにより熱交換が行なわれ、燃料電池セル2の温度を下げることができる。
ここで、酸素含有ガスを供給するにあたっては、燃料電池セル2(燃料電池セルスタック1)の側面方向の特定の箇所から燃料電池セルスタック1全体に向けて酸素含有ガスを供給することが好ましい。
そして、図5に示した収納容器19に収納される燃料電池セルスタック1(図4参照)では、燃料電池セル2の配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間の間隔が広いことから、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間を流れる酸素含有ガスの流量が多くなり、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の冷却効果(熱交換)を大きくすることができる。
一方で、燃料電池セル2の配列方向における端部に配置された複数個の燃料電池セル2においては、隣接する燃料電池セル2間の間隔が狭いことから、端部に配置された複数個の燃料電池セル2間を流れる酸素含有ガスの流量が、中央部に配置された複数個の燃料電池セル2間を流れる酸素含有ガスの流量よりも少なくなり、中央部の燃料電池セル2に対して冷却効果が小さくなる。
それゆえ、燃料電池セル2の配列方向における中央部に配置された複数個の燃料電池セル2の温度がより下がることとなり、燃料電池セルスタック1の温度分布をより均一に近づけることができ、燃料電池セルスタック1の発電効率が低下することを抑制できる。
また、図5に示した酸素含有ガス導入部材20においては、酸素含有ガスが酸素含有ガス供給手段20の内部を燃料電池セル2に沿って上方から下方に流れるように配置されている。
さらに図5においては、燃料電池セルスタック1の上方に、燃料電池セル2(マニホールド12)に燃料ガス(改質ガス)を供給するための改質器21を配置している。
ここで、燃料電池セル2の上端側で未反応の燃料ガスを燃焼させ、改質器21を加熱させる構成の燃料電池においては、燃料電池セルスタック1を構成する燃料電池セル2において、燃料電池セル2の上部で温度が高く、燃料電池セル2の下部では温度が低くなる傾向にある。
それゆえ、酸素含有ガスが酸素含有ガス供給手段20の内部を燃料電池セル2に沿って上方から下方に流すことにより、酸素含有ガスが燃料電池セル2を上方から下方へと流れるにしたがって温められることとなる。
そして、温められた酸素含有ガスは、酸素含有ガス導入部材20の下端側に設けられた吹出口25より、燃料電池セル20の下部に向けて供給されることにより、燃料電池セル20の下部の温度を上昇させることができる。
それにより、燃料電池セル20の上下方向(立設方向)における温度分布を均一化することができることから、燃料電池セル20の発電効率を向上することができる。
あわせて、燃料電池セルスタック1の熱が改質器21に伝わり、改質器21の底面を加熱する。それにより、改質器21は燃料電池セルスタック1の熱を有効に利用して、改質反応を進めることができる。
そして、本発明の燃料電池18は、燃料電池セル2の配列方向における温度分布を均一に近づけることができることから、改質器21の温度もより均一に加熱することができる。したがって、改質器21における改質反応を効率的に行なうことができ、発電効率がより向上した燃料電池18とすることができる。
図6は、燃料電池セルスタック1において、隣接する燃料電池セル2間に設けられる集電部材3aの一例を示したものである。
集電部材3aは隣接する一方の燃料電池セル2の平坦面に当接する第1導電体片30と、隣接する一方の燃料電池セル2の端部から隣接する他方の燃料電池セル2の他方の端部へと傾斜して延びる第2導電体片31と、他方の燃料電池セル2の平坦面に当接する第3導電体片32と、他方の燃料電池セル2の一方の端部から一方の燃料電池セル2の他方の端部へと傾斜して延びる第4導電体片33とを基本要素として具備する。第1〜第4の導電大変はこの順序で端部同士を次々に連結されており、さらにこの順序で繰り返し導電体片が連結されることにより、軸方向に延在する一繋がりの集電部材3aを形成している。
このような集電部材3aを用いることにより、燃料電池セル2により発電された電気を効率よく集電できるとともに、燃料電池セル2の配列方向に沿って燃料電池セルスタック1の側面側より供給される酸素含有ガスが、集電部材3aの隙間を流通して燃料電池セル2間を容易に流通することができ、燃料電池セル2と熱交換することができる。なお、端部集電部材3bについても、同様の形状とすることができる。
したがって、燃料電池セルスタック1の温度分布を均一に近づけることができることから、燃料電池セルスタック1の発電効率が低下することが抑制できる。すなわち、発電効率が向上した燃料電池とすることができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、本発明の燃料電池セルスタックの説明において、燃料電池セルが中空平板型の燃料電池セルを用いて説明したが、平板型や円筒型の燃料電池セルを用いることもできる。その場合において、燃料電池セルの間隔は、燃料電池セルを構成する酸素側電極層や、燃料側電極層や、セパレータ等のサイズを変えることにより、燃料電池セルの間隔を変えることができる。