JP5108675B2 - 複合フィルム - Google Patents
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Description
特に近年では有機ELに代表される自発光素子の開発が進み、液晶ディスプレイのようにバックライトを採用せざるを得ないがために多くの部材を必要とする画像表示装置にとって変わろうとしており、このような用途でもガラスの欠点のひとつである割れ易さや重さを改良したいという要求が年々高まってきている。
さらに本発明は、上記の複合フィルムを含むフレキシブルエレクトロニクスデバイス基板を包含するものであり、フレキシブルエレクトロニクスデバイスがフレキシブル有機ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池からなる群から選ばれる少なくとも1つであるものをその好ましい態様として含むものである。
<無機ガラス層(A)>
本発明の無機ガラス層(A)を構成する無機ガラス層(A)は厚み25μm以上300μm以下の薄膜無機ガラスで構成される。本発明の無機ガラス層(A)は通常のガラス板に較べて非常に薄いことが特徴であり、ガラスでありながら曲げることが可能であり屈曲性を有している。一方、厚みが上限を超えると屈曲性が失われてしまう。また厚みが下限に満たない場合、薄すぎて屈曲性が失われてしまい脆くなる。
無機ガラスの種類は特に限定されず、通常使用される種類の無機ガラスを使用することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(B)を構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。
複合フィルムの樹脂補強層を構成する樹脂としてポリエステルを用いることにより、基板として使用する場合に必要な強度、特に衝撃などに対する破壊強度を大幅に向上させることができ、一方、ガスバリア性を低下させる樹脂由来のガスの発生が少なく、屈曲性、耐熱性を阻害することがない。
ポリエステルが共重合体である場合、共重合成分として、例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸成分、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如きジオール成分を好ましく用いることができる。
重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において更に固相重合を施してもよい。
また二軸配向フィルムに製膜した後のポリエステルの固有粘度は0.45dl/g以上0.85dl/g以下であることが好ましく、0.47dl/g以上0.80g/dl以下であることがさらに好ましい。
なお、固有粘度はo−クロロフェノールを溶媒として用いて、35℃で測定した値(単位:dl/g)である。
滑剤を含有する場合、フィルム(B)の重量を基準として1重量%以下で含有することが好ましい。また滑剤の平均粒径は特に限定されないが、0.001〜1μmであることが好ましい。
また滑剤の種類は特に特定されず、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、シリカ、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が挙げられる。
二軸配向ポリエステルフィルム(B)の厚みは、12μm以上500μm以下であることが好ましく、25μm以上350μm以下であることがさらに好ましく、50μm以上250μm以下であることが特に好ましく、75μm以上125μm以下の範囲が最も好ましい。
<複合フィルム>
本発明の複合フィルムは、無機ガラス層(A)およびその少なくとも片面に二軸配向ポリエステルフィルム(B)が積層されてなる複合フィルムであり、該ガラス層(A)の厚みが25μm以上300μm以下であり、該フィルム(B)の厚みが5μm以上250μm以下である。
複合フィルムの50%破壊エネルギーは、0.03J以上であることが好ましい。複合フィルムの50%破壊エネルギーは、0.04J以上であることがより好ましく、0.05J以上であることがさらに好ましく、0.10J以上であることが特に好ましい。また、複合フィルムの50%破壊エネルギーは、上限は特に限定されないが、二軸配向ポリエステルフィルムの特性上、高々0.6Jである。
かかる50%破壊エネルギーを有するフィルムは、無機ガラス層を保護する樹脂層として5μm以上250μm以下の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを用いることによって達成することができる。
本発明の複合フィルムは、無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)との間に接着層を有することが好ましい。接着層を有することにより、無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)を積層する際、容易に両層を接着することができ、接着工程において厚みの薄い無機ガラス層(A)に無理な負荷がかかりにくいため、破壊を防ぎやすくなる。また該接着層を有することにより、複合フィルムの破壊強度を高めることができる。
塗布層は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の水溶性または水分散性高分子樹脂からなることが好ましく、特にポリエステル樹脂とアクリル樹脂の両方を含むのが好ましい。塗布層のポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃のものである。該ポリエステル樹脂は、水に可溶性または分散性のポリエステルが好ましい。
多塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6ーナフタレンジカルボン酸、1、4ーシクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。これら酸成分を2種以上用いて共重合ポリエステル樹脂を合成する。
かかる塗布層は、後述するように二軸配向ポリエステルフィルム(B)の製膜工程において設けることができる。その後、塗布層を介して無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)を積層し、複合フィルムにすることができる。
本発明の接着剤層は、ガラス及びポリエステルと接着力を有する接着剤を用いた層であれば特に限定されないが、例えば熱圧着させるタイプの接着剤、熱または紫外線で硬化させるタイプの接着剤を用いた層が挙げられる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましくは3μm以上50μm以下の範囲である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは下記の方法により製造することができる。
二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば前出のポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で縦方向、横方向に倍率2.0〜5.0倍で2軸方向に延伸し、(Tm−100)〜(Tm―5)℃の温度で1〜100秒間熱固定することで所望のフィルムを得ることができる。ここでTgはポリエステルのガラス転移温度、Tmはポリエステルの融点をそれぞれ表す。
延伸は一般に用いられる方法、例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、縦方向、横方向を同時に延伸してもよく、また縦方向、横方向に逐次延伸してもよい。
弛緩処理の方法としては、テンターにより両エッジを保持し、オーブン内で長手方向にはクリップ間隔を狭めて、幅方向にはレール幅を狭めて弛緩処理する方法を用いることが好ましい。かかる方法を用いることにより、幅方向の耐熱寸法安定性も容易にコントロールすることができる。
その他、以下のような弛緩処理方法を用いてもよい。
i)熱固定後、ロールに巻き取るまでの間で、熱固定ゾーンの途中において、フィルムの両端部を切り離し、フィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法。
ii)2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法。
iii)加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ、加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法。
iv)熱固定後、熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法。
v)製膜機で巻き取った後、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ、搬送ロールの速度を減速する方法。
vi)加熱オーブン内やIRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら、加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より減速する方法。
逐次延伸の場合、一方向に延伸した一軸配向フィルムに水性塗液を塗布し、そのままもう一方向に延伸し、熱固定する方法により塗布層を設けることができる。
塗布方法としては、公知の任意の塗布法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることができる。塗布量は、走行しているフイルム1m2あたり0.5〜20g、更に1〜10gが好ましい。水性液は水分散液又は乳化液として用いるのが好ましい。
本発明の複合フィルムは下記の方法により製造することができる。
複合フィルムは、無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)とを別々に製造し、それらをさらに別の工程で積層させることにより製造することができる。
両層を積層するに際し、接着層を介して積層することが好ましい。
その他、接着剤層を用い、接着剤層を介して無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)とを積層し、接着剤の種類に応じて熱圧着、熱硬化、UV硬化させて積層体を得る方法が挙げられる。
本発明の複合フィルムは、フレキシブルエレクトロニクスデバイスの基板フィルムに好適に用いることができる。フレキシブルエレクトロニクスデバイスの種類として、フレキシブル有機ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池、反射型液晶、有機TFT、フレキシブルプリント回路などが例示され、これらの中でも特にフレキシブル有機ELディスプレイ、電子ペーパー及び太陽電池からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく例示される。
本発明の複合フィルムをフレキシブルエレクトロニクスデバイス用基板に用いた場合、従来の樹脂フィルムでは得られなかった、高いガスバリア性を有しつつ、フレキシブルエレクトロニクデバイス基板に求められる柔軟性、基板加工に耐えられる耐熱性を備え、しかもガラスに樹脂をコートした従来の複合体では得られなかった破壊強度をも備えるものである。
電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
フィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに150℃に設定したオーブンで30分間熱処理を行い、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルム連続製膜方向(MD方向)と、製膜方向に垂直な方向(TD方向)において、それぞれ下記式にて熱収縮率を算出し、それらの平均値を求めた。
熱収縮率(%)={(熱処理前標点間距離−熱処理後標点間距離)/熱処理前標点間距離}×100
MOCON社製のパーマトランW1Aを用いて40℃90RH%雰囲気下における水蒸気透過率を測定し、下記基準にて評価した。
〇: 水蒸気透過率≦0.05g/m2/day ・・・・バリア性極めて良好
×: 0.05g/m2/day<水蒸気透過率 ・・・・バリア性不良
複合フィルムを50cm長のシートに切り出し、シートの両端部が重なるようシートを丸めて、下記の基準で判断した。
○: 割れることなくシートを丸めることができ、十分な柔軟性を有している
×: 途中でシートが割れてしまい、十分な柔軟性を有していない
150℃×30分熱処理した際の複合フィルムの状態を以下のような基準にて観察した。
○:ガラス/フィルム間での剥がれ、反りなし (耐熱性良好)
×:ガラス/フィルム間での剥がれ、反り発生 (耐熱性不良)
フィルムの50%破壊エネルギーE(J)を、図1の装置にて測定し、JIS規格 K7211に基づき算出した。なお、図1中の1はおもり(質量300gまたは500g)、2はU型ポンチ(先端部直径4mm、質量142g)、3はフィルム固定治具、4は試料フィルムである。
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルおよびエチレングリコールをモノマー原料として用い、エステル交換後、重縮合反応を行って得られた、粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度0.61dl/g)を(B)層のポリエステルとして用いた。エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩、重縮合触媒として三酸化アンチモンを用いた。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。本実施例の複合フィルムは、ガスバリア性、耐熱性、破壊強度、及び柔軟性に優れていた。
二軸配向ポリエステルフィルムの延伸条件、熱固定温度、アニール処理(弛緩処理)、ポリエステルの種類および複合フィルムの層構成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムの特性を表1に示す。なお、比較例6はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの代わりにポリエチレンテレフタレートを用いた。
無機ガラス層、接着層を用いず、二軸配向ポリエステルフィルムの厚みを変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
実施例1と同様に作成した二軸配向ポリエステルフィルムに、スパッタリング法を用いて厚さ30nmのSiO2膜からなるガスバリア層を片面に形成した。その結果を表1に示す。
比較例2のフィルムの反対面にも同様なガスバリア層を形成した。その結果を表1に示す。
100μmの極薄ガラス単体の評価を行った。その結果を表1に示す。
2 ポンチ
3 フィルム固定治具
4 試料フィルム
Claims (6)
- 25μm以上300μm以下の厚みの無機ガラス層(A)およびその少なくとも片面に5μm以上250μm以下の厚みの二軸配向ポリエステルフィルム(B)が積層されてなり、
二軸配向ポリエステルフィルム(B)を構成するポリエステルがポリエチレンナフタレンジカルボキシレートであり、
二軸配向ポリエステルフィルム(B)の150℃で30分間熱処理した後の長手方向および幅方向の平均熱収縮率が0.05%以上0.10%以下である
ことを特徴とする複合フィルム。 - 複合フィルムの50%破壊エネルギーが0.03J以上である請求項1に記載の複合フィルム。
- 無機ガラス層(A)と二軸配向ポリエステルフィルム(B)との間に接着層を有する請求項1または2に記載の複合フィルム。
- フレキシブルエレクトロニクスデバイス基板用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の複合フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の複合フィルムを含むフレキシブルエレクトロニクスデバイス基板。
- フレキシブルエレクトロニクスデバイスがフレキシブル有機ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項5に記載のフレキシブルエレクトロニクスデバイス基板。
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