JP5107008B2 - 生理用ナプキン - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキンに関し、特に使用後水洗いによって経血の赤みを容易に除去できる生理用ナプキンに関する。
インドネシア、マレーシア等を主な居住圏とするマレー民族に代表される一部の人々は、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。この洗浄習慣は、「血は不浄な物」とするイスラム教の影響や、「不潔な人と思われたくない」との理由によるものの様である。
従来、マレー民族居住圏で主に使用されてきた生理用ナプキンは、吸水性ポリマーを含んでおらず、パルプ繊維を主体とした吸収性材料で構成されているため、水洗が可能であり、吸収した経血等を水で洗い流すことができるものであった。
しかし、吸水性ポリマーを含んでいない生理用ナプキンは、吸収表面に吸収した体液が滲み出すいわゆる液戻りを起こすおそれがあるなど、吸水性能に改善すべき点がある。そこで、吸水性ポリマーを含んでいない従来の水洗可能な生理用ナプキンは、パルプ繊維を多量に使用することで吸収性能の不足を補っている。そのため、斯かる従来の水洗可能な生理用ナプキンは、厚みが厚く、特に折り畳まれ包装されている状態で嵩張りやすくて、持ち歩きに不便であると共に、装着感が悪いことから、厚みの薄い生理用ナプキンが望まれていた。
吸水性能に優れた薄型生理用ナプキンを実現するには、吸水性ポリマーの使用が効果的である。しかしながら、我々の研究によると、吸水性ポリマーを含むナプキンは水洗が困難であり、使用後に水で洗浄しても経血等を充分に洗い流すことが難しく、上述の人々が使用するには問題があった。
吸水性ポリマーが使用され且つ水洗が容易な生理用ナプキンは未だ提供されていない。そもそも、着用中には十分は吸水性能を発揮しながら水洗いが容易な生理用ナプキン、即ち、被水洗能を有しており、使用後に付着した血液を水で洗い流すことができる生理用ナプキンを提供すること自体が、技術課題とされていないのが現状である。
しかし、ナプキンの洗浄習慣がある人々は、上述の居住圏以外の地域にも存在すると考えられ、世界的にみると、吸水性ポリマーが使用され且つ水洗が容易な生理用ナプキンに対する需要は、無視できないものである。
このような現状に鑑み、本発明者らは、吸水性ポリマーが使用され且つ水洗いが容易な生理用ナプキンについて種々検討した結果、金属イオン捕捉剤を含有させたナプキンは水洗いが容易であるとの知見を得た。
吸水性ポリマーが使用された生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品において、キレート剤等の金属イオン捕捉剤を使用することは従来行われていることであるが(例えば、特許文献1〜5参照)、従来の吸収性物品におけるキレート剤の使用目的は、防臭、抗菌あるいは吸水性能の向上等にあり、水洗いが容易な生理用ナプキンの提供とは無関係である。従って、特許文献1〜5に記載のキレート剤に関する技術は、あくまで防臭、抗菌又は吸水性能の向上を達成するためのものであり、特許文献1〜5に記載の技術を利用しても、水洗いが容易な生理用ナプキンを得ることはできない。
特表2002−509451号公報 特開2003−52746号公報 特開2000−350744号公報 特表平5−149号公報 特開平8−52203号公報
従って、本発明の目的は、吸水性ポリマーを含有し且つ水洗いが容易な生理用ナプキンを提供することにある。
本発明(第1発明)は、表面層、裏面層、及びこれら両層間に配置され吸水性ポリマーを含有する吸収層を具備し、使用後に付着した血液を水で洗い流すことができる生理用ナプキンであって、金属イオン捕捉剤を含有し、下記手順1〜3に従って血液が注入され且つ洗浄された後の該血液によって赤色に染まった赤色部分の赤色度合いa*値が、7以下である生理用ナプキンを提供することにより、前記目的を達成したものである。
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、室温25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度5°DHの水で該生理用ナプキンを3分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
また本発明(第2発明)は、表面層、裏面層、及びこれら両層間に配置され吸水性ポリマーを含有する吸収層を具備する生理用ナプキンであって、前記吸水性ポリマーとして遠心保持量が20g/g以上、ボルテックス法による吸水速度が25秒未満である吸水性ポリマーを、前記吸収層中に5〜50g/m2含有し、金属イオン捕捉剤を前記生理用ナプキンに含有されている吸水性ポリマー100質量部に対して200~2000質量部含有し、且つ前記生理用ナプキンを水温25℃、pH6.5のイオン交換水500mLに30分間浸漬した後に測定した該イオン交換水のpHが、6.5以上である生理用ナプキンを提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明の生理用ナプキンは、吸水性ポリマーが含有されているにもかかわらず、水洗い中に破れにくく、しかも水洗いによって吸収した経血等を水できれいに洗い流すことが容易であるため、使用後のナプキンを水で洗浄してから廃棄する習慣がある人々に好適である。また、本発明の生理用ナプキンは、吸水性ポリマーを含んでいるため、液戻りが少ない等の吸収性能が良く、更に、厚みを薄く設計することが可能であるため、嵩張らず、携帯性及び装着感に優れる。
以下、先ず、第1発明の生理用ナプキンを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本実施形態の生理用ナプキンの平面図が示されている。図2は図1におけるX−X線断面図である。
本実施形態の生理用ナプキン1(以下、ナプキン1とも呼ぶ)は、表面層、裏面層、及びこれら両層間に配置され吸水性ポリマーを含有する吸収層を具備している。より具体的には、ナプキン1は、図1に示すように、縦長の形状をしており、液透過性の表面層としての表面シート2、液不透過性の裏面層としての裏面シート3、及びこれら両シート2,3間には液保持性の吸収体4を具備している。吸収体4は、吸収性材料として吸水性ポリマー41及び繊維42を含有する吸収層43と、該吸収層43の略全体を被覆する被覆シート(図示せず)とを具備している。
図2に示すように、表面シート2は、縦長の吸収体4の肌当接面(上面)の全域を覆い、吸収体4の長手方向左右両側縁から延出して吸収体4の非肌当接面(下面)側に巻き込まれている。吸収体4の非肌当接面側に巻き込まれた表面シート2は、その巻き込まれた部分が、吸収体4の非肌当接面側に配された裏面シート3と接合されている。表面シート2は、従来公知のものと同様の材料から構成することができ、例えば親水性の不織布や開孔フィルム等が用いられる。裏面シート3は、例えば液不透過性のフィルムシートから構成されており、この液不透過性のフィルムシートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収体4を被覆する前記被覆シートとしては、例えば親水性の繊維シート、穿孔フィルム等が用いられる。この親水性の繊維シートとしては、例えばティッシュペーパー等の紙や各種不織布を用いることができる。
尚、本明細書において、「肌当接面」は、ナプキン着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌当接面」は、ナプキン着用時に下着側(着用者の肌側とは反対側)に向けられる面である。また、「長手方向」は、ナプキン又は各種部材の長辺方向に沿う方向(図1中では上下方向)であり、「幅方向」は、長手方向と直交する方向である。
吸収層43に含有されている吸水性ポリマー41としては、当該技術分野において通常用いられているものを適宜用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、吸水性ポリマー41としては、通常は粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性ポリマーには、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、何れのタイプも用いることができる。
吸収層43に含有されている吸水性ポリマー41としては、遠心保持量が20g/g以上、ボルテックス(Vortex)法による吸水速度が25秒未満である吸水性ポリマー(以下、高吸水性ポリマーと言う)が好ましく用いられる。後述する第2発明では、高吸水性ポリマーは必須成分である。本発明では、このような高吸水性ポリマーを使用した場合でも、金属イオン捕捉剤を多く含有させることで、水洗い時に過度な力を必要とせず、素早く経血の赤みを除去することが可能となり、洗浄中にナプキンが破けることを有効に防ぐことができる。尚、本発明においてはボルテックス法による吸水速度の評価を、時間を測定することで評価しているため、測定時間が短いほど吸水速度が速いとみなされる。前記遠心保持量及び前記吸水速度は、それぞれ下記測定方法によって測定される。
<遠心保持量の測定方法>
飽和吸水量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(メッシュ開き255、三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250×メッシュ巾×30m)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料である吸水性ポリマー1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)に浸漬させる。浸漬開始から30分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式 H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の重量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量を算出する。
遠心保持量(g/g)=(a’−b−c)/c ;式中、a’は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総重量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の重量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の重量(g)を表す。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
<ボルテックス法による吸水速度の測定方法>
100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を攪拌させる。測定試料である吸水性ポリマー2.0gを、攪拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K 7224(1996)に準拠して該吸水性ポリマーの吸水速度(秒)を測定する。具体的には、吸水性ポリマーのビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)をボルテックス法による吸水速度として記録する。測定はn=5測定し、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に資料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
高吸水性ポリマーの遠心保持量は、特に20〜50g/g、とりわけ20〜40g/gであることが好ましい。遠心保持量が当該範囲にあると、ナプキンにおける経血の吸収性能が高く、ナプキンの薄型化も可能になる。
また、高吸水性ポリマーのボルテックス法による吸水速度は、特に5〜25秒、とりわけ7〜20秒であることが好ましい。該吸水速度が当該範囲にあると、着用中の経血の漏れが一層効果的に防止される。
遠心保持量及びボルテックス法による吸水速度がそれぞれ前記範囲内にある高吸水性ポリマーとしては、例えば、従来市販されている平均粒径を制御した吸水性ポリマーを用いることができ、その好ましい平均粒径の範囲は、350〜150μmであり、更に好ましくは310〜180μmである。吸水性ポリマーの平均粒径は下記測定方法によって測定される。
<吸水性ポリマーの平均粒径の測定方法>
JIS Z 8801で規定された目開き850、600、500、355、300、250、150の7種類の標準篩(例えば東京スクリーン社製の標準篩)及び受け皿を、目開き850の篩を最上位にして垂直方向にこの順で配し、目開き850の篩上に50gの吸水性ポリマーを載せ、振とう機(例えばレッチェ社製、AS200型)を用いて篩分けする。振とうの条件は、50Hz、振幅0.5mm、振とう時間10分間とする。篩い分け作業後、各篩上及び受け皿上にある吸水性ポリマーの重量をそれぞれ測定する。篩い分けは3回行い、3回の平均値を各篩上の吸水性ポリマーの重量とする。得られた各篩上の吸水性ポリマーの重量を50で除して相対頻度を求め、粒度累積曲線を描く。累積曲線の中央累積値(50%)に相当する粒子径を、吸水性ポリマーの平均粒径とする。
吸収層43中における高吸水性ポリマーの散布量は、5〜50g/m2である。高吸水性ポリマーは経血を吸収することに関しては非常に有効である反面、ナプキンの水洗い時には洗浄水を素早く且つ多量に吸水して膨潤し、これが原因となって経血によるナプキンの赤みが十分に除去できなかったり、ナプキンの破れを引き起こすことがある。しかし、吸収層中における高吸水性ポリマーの散布量を上記範囲に設定した場合には、後述する金属イオン捕捉剤を特定量併用することにより、そのような問題を解決することが可能となる。吸収層43中の好ましい高吸水性ポリマーの散布量は、ナプキンの吸収性能と水洗い性(赤み除去と洗浄時の破れ防止)を高いレベルで両立する観点から、10〜35g/m2、特に15〜30g/m2である。
上述した高吸水性ポリマーによる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、ナプキン1(吸収層43)に含有されている全ての吸水性ポリマー41のうち、高吸水性ポリマーの含有量は、全ての吸水性ポリマー41の合計質量に対して、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%であり、ナプキン1に含有されている吸水性ポリマーの全てが高吸水性ポリマーであると、作用効果の点で理想的である。
高吸水性ポリマーに加えて、これ以外の吸水性ポリマーを用いる場合、該吸水性ポリマーとしては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。
尚、本明細書において、「質量」は、特に断りがない限り、「乾燥時の質量」を意味する。ナプキン及びナプキンの構成部材についての「乾燥時の質量」は、以下のようにして測定する。
乾燥時の質量の測定方法:測定対象物を温度25℃、湿度30%の恒温高湿状態の環境下に24時間放置した後、該環境下にて質量を測定し、その測定値を、測定対象物の「乾燥時の質量」とする。
吸収層43中における吸水性ポリマー41(高吸水性ポリマーを含む全ての吸水性ポリマーの総称)の含有量は、液吸収性及び洗浄のし易さの観点から、吸収層43の全質量に対して、好ましくは1〜25質量%、更に好ましくは2〜15質量%である。
ナプキン1(吸収層43)に含有されている全ての吸水性ポリマー41のうち、粒径250μm未満の吸水性ポリマーの含有量は、20質量%未満、特に15質量%未満であることが、長時間の着用時においてナプキン1内への液の吸収時間が短く、漏れが生じにくくなると共に、赤みが除去されやすくなるので好ましい。
また、粒径250μm未満の吸水性ポリマーの含有量が上記範囲にあることに加えて、更に、粒径150μm未満の吸水性ポリマーの含有量が5質量%未満、特に3質量%未満であると、上記効果がより確実に奏されるようになるので好ましい。
前記の「粒径250μm未満の吸水性ポリマーの含有量」及び「粒径150μm未満の吸水性ポリマーの含有量」は、それぞれ下記測定方法によって測定される。尚、下記測定方法から明らかなように、ここでいう、「粒径250μm未満あるいは150μm未満の吸水性ポリマー」は、球状あるいは球状に近い粒状の形状を有する吸水性ポリマーに限定されるものではなく、吸水性ポリマーの形状は問わない。
<吸水性ポリマーの粒径分布の測定方法>
JIS Z 8801で規定された目開き250、150の2種類の標準篩(例えば東京スクリーン社製の標準篩)及び受け皿を、目開き250の篩を最上位にして垂直方向にこの順で配し、目開き250の篩上に、ナプキン1(吸収層43)に含有されている吸水性ポリマーを載せ、振とう機(例えばレッチェ社製、AS200型)を用いて篩分けする。振とうの条件は、50Hz、振幅0.5mm、振とう時間10分間とする。篩い分け作業後、目開き250、150の篩上及び受け皿上にある吸水性ポリマーの質量をそれぞれ測定する。篩い分け作業後においては、「粒径250μm以上の吸収性ポリマー」は目開き250の篩上にあり、「粒径250μm未満の吸水性ポリマー」は、目開き150の篩上及び受け皿上にあり、「粒径150μm未満の吸水性ポリマー」は受け皿上にある。篩い分けは3回行い、3回の平均値を各篩上の吸水性ポリマーの質量とする。得られた各篩上の吸水性ポリマーの質量を全質量に対する質量百分率として計算し、各粒径の存在比率を算出する。
ナプキン1は、上述した高吸水性ポリマーを含有していることにより、薄型にすることが可能である。ナプキン1の厚みは、ナプキン1の薄型化と液吸収性の良好なバランスを図る観点から、好ましくは2〜7mm、更に好ましくは2.5〜6.0mmである。
同様の観点から、吸収体4の坪量は、好ましくは200〜400g/m2、更に好ましくは240〜300g/m2である。
ここでいうナプキンの厚みは、7g/cm2荷重下におけるナプキンの厚みを意味し、次の方法によって測定される。
<厚みの測定方法>
測定対象の製品(ナプキン)の全体を、表面シート側を上にして平らな場所にシワや折れ曲がりがないように載置し、吸収体が配されている領域の上面に、7g/cm2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。厚みの測定には、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が7g/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は、円形又は正方形とする。
吸収層43に含有されている繊維42としては、当該技術分野において通常用いられているものを適宜用いることができる。例えば、木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ナプキンの水洗い時にナプキンに付着した血液が素早く流出しやすいという観点から、繊維42として、ポリオレフィン類等の合成繊維に親水化処理を施したもの(親水性合成繊維)又は前記天然繊維に架橋処理を施した架橋パルプを含むことが好ましい。特に性合成繊維を含むと、水洗い時ナプキンを絞ったときに水がナプキン内に残りにくいので好ましい。
吸収層43に含有されている全繊維42に占める、前記親水性合成繊維と前記架橋パルプとの合計は、好ましくは20〜100質量%、更に好ましくは35〜80重量%である。また、前記親水性合成繊維と前記架橋パルプとの含有重量比(親水性合成繊維/架橋パルプ)は、好ましくは100/0〜20/80、更に好ましくは90/10〜35/65である。
合成繊維の親水化処理の方法としては、例えば、合成繊維に親水性物質を練りこむ方法、合成繊維の表面を界面活性剤により親水化処理する方法が挙げられる。尚、繊維42として前記親水性合成繊維を用いる場合、繊維42が全て上述の天然繊維又は再生繊維である場合に比べ、吸収性能の低下が懸念されるため、吸水性ポリマー41の量を増量する(繊維42が全て上述の天然繊維又は再生繊維である場合における吸水性ポリマー41の含有重量に対して、好ましくは1.2〜2倍)等の対策をとることが好ましい。
吸収層43中における繊維42の含有量は、吸液性と赤み除去の良好なバランスを得る観点から、吸収層43の全質量に対して、好ましくは65〜99重量%、更に好ましくは75〜98重量%である。
吸収体4の吸収層43は、主に吸水性材料(本実施形態では吸水性ポリマー41及び繊維42)から構成される。吸収層43中における吸水性材料の含有量は、吸収層43の全質量に対して、好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%である。
吸収層43中における吸水性材料の含有量は、吸水性能の点では100質量%であることが好ましいが、吸収層43には吸収性材料の他に、必要に応じ、吸湿剤、消臭剤等を含有させることが可能である。吸湿剤としてはシリカゲル等が挙げられ、消臭剤としては活性炭、活性白土、銀含有化合物等が挙げられる。
本実施形態のナプキン1は、金属イオン捕捉剤を含有している。金属イオン捕捉剤は、ナプキン1の水洗いによる経血に起因する赤みの除去に有効な物質である。尚、金属イオン捕捉剤については、後述する第2発明の実施形態において詳細に説明する。
ナプキン1は、金属イオン捕捉剤を含有することにより被水洗能を実現可能にしており、使用後にナプキン1に付着した血液を水で洗い流すことができるものである。より具体的には、ナプキン1は、下記手順1〜3に従って血液が注入され且つ洗浄された後の該血液によって赤色に染まった赤色部分の赤色度合いa*値が、7以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下である。
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度5°DHの水で該生理用ナプキンを3分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水道水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
前記手順1〜3に従って得られたa*値は、金属イオン捕捉剤を含有することによってナプキンが有するようになった被水洗能の優劣を評価する尺度となるものであり、a*値が小さいほど、赤色部分の赤色の度合いが低く、血液が洗浄によってきれいに洗い流されていることを意味する。金属イオン捕捉剤を含有しているナプキンであっても、a*値が7を越える場合には、吸収された経血等がきれいに洗い流されておらず、実用上充分な被水洗能を有しているとは言い難い。これに対し、上述の如き構成を有する本実施形態のナプキン1は、a*値が7以下であり、実用上充分な被水洗能を有している。
前記手順1〜3において、ナプキンに注入する血液としては馬の血液を用いる。より具体的には、(株)日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を用いた。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業(株)製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータ Lアダプタ)で、15mPa・S未満である。
また、前記手順1〜3において、ナプキンの洗浄に用いる水としては、電気伝導度1μS/cm以下のイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを溶解することにより調製される水で、カルシウムイオンとマグネシウムイオンとの含有比(カルシウムイオン:マグネシウムイオン)が7:3で且つドイツ硬度が5°DHの水を用いる。
尚、使用済みの生理用ナプキンを水洗する習慣がある国の一つである、インドネシアの生活用水は、地域によってその硬度が異なるが、前記手順1〜3で用いるドイツ硬度5°DHの水は、少なくともインドネシアの一部で使用されている生活用水と略同じである。
また、前記手順1において、血液を注入されたナプキンを洗浄前に30分間放置する環境は、気温25℃、湿度60%とする。
ナプキンの洗浄は手で行ない、「一方の手で100g程度の水道水をナプキンにかけ、他方の手で該ナプキンを絞る動作」を10秒間に3回繰り返す。即ち、10秒間に行う動作は「水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る」である。従って、前記手順1においてナプキンの3分間洗浄に使用する水の量は、水をかける動作1回で使用する水の量が上述したようにおよそ100gであるので、およそ(100×3×6×3=)5400gである。前記式において、100×3は10秒間に使用する水の量、100×3×6は1分間に使用する水の量に相当する。
ナプキンに水道水をかけるときはビーカー等を利用し、水道水をかけている最中はナプキンを絞らないようにする。
手順1において、ナプキンを3分間洗浄した後で該ナプキンを手で絞るときの圧力、即ち、手の握力は通常10〜15kg程度である。
赤色部分を測定する際は、最も赤みの強い点5箇所を測定する。なお、この5箇所は目視又は画像処理ソフト等によって選択する。
赤色部分の赤色度合いa*値を測定する際は、外光が入らないように測定サンプルと分光色差計とを隙間なく密接させる。分光色差計としては、日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器)を用いることができる。
以下、本実施形態のナプキン1について更に説明する。
ナプキン1の長手方向左右両側部には防水シート5が配されている。防水シート5は、図2に示すように、ナプキン1の長手方向左右両側部において前記被覆シート(図示せず)で被覆された吸収体4の肌当接面及び非肌当接面並びに側面を被覆している。この状態下、防水シート5はその全域が表面シート2によって被覆されている。防水シート5は、例えば液不透過性の樹脂フィルム、樹脂フィルムをラミネートした紙、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布(SMS不織布)等から構成されている。
ナプキン1の肌当接面側(表面シート2側)には、その長手方向左右両側部にナプキン1の長手方向へ延びる防漏溝6,6がそれぞれ形成されている。各防漏溝6は、表面シート2と吸収体4とが表面シート2側からエンボス等の圧搾手段によって圧密化及び一体化されて形成されている。各防漏溝6は、ナプキン1の縦中心線に関してほぼ対称な形状になっている。各防漏溝6はそれらの前後端が互いに連結しており、これによって全体として閉じた形状をなしている。防漏溝6,6が形成されていることにより、防漏溝6,6によって包囲された領域が着用者の身体側へ***するようになるため、該領域を中心として身体形状に対するナプキンの追従性が高まり、良好なフィット性、液吸収性が得られるようになる。
また、各防漏溝6の外方にはナプキン1の長手方向に延びる第2の防漏溝7がそれぞれ形成されている。第2の防漏溝7は、ナプキン1の幅方向内方に向けて若干湾曲しているか、又はほぼ直線状になっている。第2の防漏溝7は、表面シート2、防水シート5及び吸収体4が、ナプキン1の肌当接面側から圧着されて形成されている。第2の防漏溝7は、その長さが防漏溝6の長さと概ね同じになっている。
第2の防漏溝7が表面シート2、防水シート5及び吸収体4を一体的に圧着し固定していることにより、防漏溝6のナプキン幅方向外方に流れた体液等が堰き止られ、ナプキン1の側部からの漏れ(横漏れ)が効果的に防止される。更に、第2の防漏溝7における表面シート2と防水シート5とが熱融着を伴うように固定されていると、表面シートによる滲み現象を抑えることができる。
尚、防漏溝6は、表面シート2と吸収体4との間に防水シート5を介さずに形成されているため、防水シート5を介して形成されている第2の防漏溝7に比して溝の深さが深く、その底部が吸収体4の非肌当接面側に近接しており、このような構成の防漏溝6の存在によって、ナプキン1の洗浄作業がより容易になる。
このように防漏溝6及び第2の防漏溝7が形成されていることによって、生理用ナプキンの洗浄作業(洗浄手順)におけるナプキンの分解を抑えることができるため、洗浄操作がおこないやすく、血液の洗い流しが容易に行えるようになる。
ナプキン1の非肌当接面側(裏面シート3側)には、ナプキン1を下着に固定するための粘着部8が形成されている。本実施形態においては、ナプキン1の長手方向の全長の60〜90%程度の長さを有する所定幅の2本の粘着部8,8が、ナプキン1の幅方向に所定間隔を置いて並列配置されている。
ナプキン1の長手方向前後両端部それぞれには、吸収体4の長手方向端部(図示せず)から長手方向外方に離間した位置にエンドシール部9が形成されている。本実施形態におけるエンドシール部9は、表面シート2、防水シート5及び裏面シート3を一体化して形成されている。より具体的には、本実施形態においては、表面シート2、防水シート5及び裏面シート3は吸収体4の長手方向前後両端それぞれから長手方向に延出しており、その延出部分において互いに熱エンボス処理により接合されてエンドシール部9が形成されている。エンドシール部9は、ナプキン1の洗浄時(湿潤時)に吸収体4を構成する吸水性材料が流れ出すことを防止する効果がある。エンドシール部9には、吸収体4に用いられる水による膨潤等がおこる材料が配置されていないことが、洗浄時にエンドシール部の構成材料である各シート材料の分離をおこさない観点から好ましい。また、エンドシール部9は、シート材料の所定部位にホットメルト等の接着剤を配して熱エンボス処理によって形成されることが、シール部の柔軟性及び湿潤時のシール強度を向上・安定化させる観点からより好ましい。
尚、上述したエンドシール部9の如きシール部はナプキンの長手方向前後両端部だけでなく、ナプキンの長手方向両側縁部それぞれに形成しても良い。ナプキンの長手方向両側縁部におけるシール部は、例えば、表面シートや裏面シート等の吸収体以外の材料における該吸収体の幅方向端縁から幅方向外方への延出部分に熱エンボス処理を施すことにより形成することができる。
本実施形態のナプキン1は、通常のこの種の生理用ナプキンと同様に下着に装着して使用する。
本実施形態のナプキン1は、金属イオン捕捉剤を含有することにより被水洗能を有しているため、吸水性ポリマーを含有し実用上充分な吸収性能を有していながらも、水洗が容易であり、使用後に該ナプキン1に付着した血液を水で洗い流すことができる。特に、本実施形態のナプキン1は、該被水洗能の尺度となる、前記赤色部分の赤色度合いa*値が、7以下であるため、吸収した経血等を水できれいに洗い流すことができ、使用後のナプキンを水で洗浄してから廃棄する習慣がある人々にとって好適に使用できる。
また、本実施形態のナプキン1は、吸水性ポリマーを含有しているため、厚みを薄く設計することが可能であり、嵩張らず、携帯性も装着感も優れたものとすることができる。
次に、第2発明の生理用ナプキンについて説明する。第2発明については、上述した第1発明の生理用ナプキンと異なる構成部分又は特徴的な構成部分を主として説明し、特に説明しない構成部分は、第1発明についての説明が適宜適用される。第2発明における吸水性ポリマー等のナプキンのその他の構成は、第1発明と同様にすることができる。
第2発明の生理用ナプキンは、金属イオン捕捉剤を該ナプキンに含有されている吸水性ポリマー100質量部に対して2002000質量部、好ましくは250〜1500質量部、更に好ましくは300〜1200質量部含有し、且つ該ナプキンを水温25℃、pH6.5のイオン交換水(以下、浸漬水ともいう)500mLに30分間浸漬した後に測定した該イオン交換水(以下、浸漬後水ともいう)のpHが、6.5以上である。浸漬後水のpHは、その水温が25℃のときにpH測定器によって測定された測定値である。尚、本明細書で「イオン交換水」とは電気伝導度が1μS/cm以下まで調整された水を指し、電気伝導度が当該範囲であれば、pHを6.5に調整するために水酸化ナトリウム等のイオン源となる化合物を適宜加えても良い。また浸漬は、ナプキン全体が浸漬水に浸る様に容器に静置して行う。尚、浸漬時のナプキンはその肌当接面側が覆われないように、且つ破れないように折り曲げても良い。
このような特性を有するナプキンは、上述した第1発明と同様に、吸収した経血等を水できれいに洗い流すことができ、使用後のナプキンを水で洗浄してから廃棄する習慣がある人々にとって好適に使用できる。第2発明の生理用ナプキンに対して前記手順1〜3の処理を行った場合、前記a*値は、7以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下である。
第2発明の生理用ナプキンに用いられる金属イオン捕捉剤、即ち、前記浸漬後水のpHを6.5以上とする金属イオン捕捉剤は、ナプキンの使用後(経血吸収後)において血液の赤みの原因となっているヘモグロビンと吸水性ポリマーとの親和性を低下させる能力に優れているため、結果として赤みの除去が容易となるものと考えられる。
浸漬後水の好ましいpHは、6.8〜9.5、特に7〜9であり、金属イオン捕捉剤としては、単独で斯かるpH範囲を実現し得るものが好ましい。該pHが斯かる範囲内にあることによって、ナプキンの赤み除去性能が更に良くなると共に、ナプキンを長時間使用したときに万一液戻り(表面シートを透過して一旦吸収体に吸収された液が該表面シートに滲み出す現象)が生じても、戻ってきた液に起因する肌のトラブルが生じ難く、肌に優しいナプキンとすることができる。
浸漬後水のpHを6.5以上とする観点から、金属イオン捕捉剤としては、当該金属イオン捕捉剤のみを浸漬水500mLに溶解して得られた溶解液のpHが6.5以上となるものが好ましい。該pHは、該溶解液の水温が25℃のときにpH測定器によって測定された測定値である。
また、金属イオン捕捉剤としては、浸漬水に単独で溶解したときの溶解液のpHが6.5未満となるものを用いることもできるが、この場合は該金属イオン捕捉剤と共に緩衝剤等を併用することによって、浸漬後水のpHを6.5以上とする。緩衝剤としては、無機炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、及び硫酸塩等が挙げられる。
金属イオン捕捉剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム、ニトリロ三酢酸(NTA)三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)五ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)三ナトリウム、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)四ナトリウム等のアミノカルボン酸塩系金属イオン捕捉剤;ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)四ナトリウム等のホスホン酸塩系金属イオン捕捉剤;トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、ピロリン酸ナトリウム(TSPP)、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の重合リン酸塩系金属イオン捕捉剤;ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸/マレイン酸コポリマー等の高分子系洗剤用ビルダー;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸等の有機酸のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩;ゼオライト(結晶性アルミノ珪酸塩)、ケイ酸ナトリウム等の無機系金属イオン捕捉剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でもエチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸ナトリウムカリウム、リンゴ酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、ゼオライトが、単独で浸漬液に溶解したときの溶解液のpHが6.5以上となるので好ましい。
金属イオン捕捉剤として特に好ましいものは、クエン酸三ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸ナトリウムカリウム、リンゴ酸二ナトリウムである。これらは、水溶性が高いことから、ナプキンの洗浄作業中に経血存在箇所へ移動し易く赤み除去効果が高い上、生分解性に優れる。生分解性に優れる金属イオン捕捉剤は、ナプキンを洗浄したときにでる洗浄水をそのまま排水しても環境に対する負担が少なく、環境に優しいという利点がある。これらの金属イオン捕捉剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ナプキンの赤みが有効に除去されかつ肌への優しさから、特にクエン酸三ナトリウムが好ましい。
第2発明における金属イオン捕捉剤として特に好ましいものは、前記のように浸漬後水のpHを6.5以上とすることに加えて更に、水溶性であり、且つ下記塩化カルシウム水溶液に濃度が0.33g/Lとなるように該金属イオン捕捉剤を溶解して得られた水溶液のカルシウムイオン濃度(以下、捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度ともいう)が水温25℃において7ppm以下、好ましくは0〜1ppmとなる、金属イオン捕捉能(以下、カルシウムイオン捕捉能ともいう)を有しているものである。
塩化カルシウム水溶液:水温25℃、pH6.5のイオン交換水に、塩化カルシウムを、カルシウムイオン濃度が25.5ppmとなるように溶解させて得られた塩化カルシウム水溶液。
通常、ナプキンの洗浄に使用される洗浄水には2価の金属イオンとして主にカルシウムイオン、マグネシウムイオンが含有されているところ、前記のカルシウムイオン捕捉能を有している金属イオン捕捉剤、即ち、洗浄水中に含まれる代表的な成分であるカルシウムイオンに対して優れた捕捉能を示す金属イオン捕捉剤は、洗浄水中に存在するこれらの金属イオンの捕捉能に優れており、これらを捕捉することによって、ナプキンの水洗いによる赤みの除去を一層促進せしめるものと考えられる。従って、このようなカルシウムイオン捕捉能を有している金属イオン捕捉剤を含有しているナプキンは、特に優れた被水洗能を有しており、使用後に該ナプキンに付着した血液を、簡単に水できれいに洗い流すことができる。
金属イオン捕捉剤をナプキン1に含有させる方法としては、例えば、固体(粉体)として散布する方法;水等の適当な溶媒に金属イオン捕捉剤を溶解、又は分散させて水溶液を得、該水溶液をナプキン1の所定箇所(金属イオン捕捉剤を含有させたい箇所)に噴霧あるいは塗布する方法等が挙げられる。
金属イオン捕捉剤の存在箇所としては、経血の吸液を効率よく行う観点から、吸収体4の内部及びその周辺部位が挙げられる。吸収体4の周辺部位としては、たとえば、1)吸収体4よりも肌当接面側(例えば表面シート2と吸収体4との間)、2)吸収体4よりも非肌当接面側(例えば吸収体4と裏面シート3との間)、3)吸収体4の周縁に沿った一定幅(好ましくは3〜15mm幅)の領域、が含まれる。ナプキン1において、金属イオン捕捉剤10は1箇所に存在していても良く、複数箇所に存在していても良い。
特に好ましい金属イオン捕捉剤の存在箇所は、前記2)吸収体4よりも非肌当接面側の部位である。本発明者らが金属イオン捕捉剤の存在箇所について種々検討したところ、吸収体4よりも肌当接面側に金属イオン捕捉剤を配した形態、あるいは吸収体の内部に金属イオン捕捉剤を配した形態等よりも、吸収体4の非肌当接面側(好ましくは吸収体4と裏面シート3との間)に金属イオン捕捉剤を配した形態の方が、吸収した経血等を水できれいに洗い流すことができた。
本実施形態においては、金属イオン捕捉剤は、吸収層と裏面層との間に存在している。より具体的には、図2中符号10で示す金属イオン捕捉剤は、吸収体4の非肌当接面に隣接配置された内部シート11と裏面シート3との間に存している。図2では、説明を容易にするため、金属イオン捕捉剤10が層を形成しているかのように記載されているが、実際には層を形成しているとは限らない。
内部シート11の存在によって、吸収体4と金属イオン捕捉剤とが分け隔てられ、金属イオン捕捉剤が設計値以上に吸収体4内部へ侵入することが防止できる。内部シート11としては、吸収体4を被覆する前記被覆シート(図示せず)と同様のものを用いることができる。内部シート11の坪量は、好ましくは10〜20g/m2、厚みは、0.05〜0.15mmである。
金属イオン捕捉剤10は、吸収体4と共に吸収体4を被覆する前記被覆シートによって被覆されていても良く、該被覆シートの外側に配されていても良い。
尚、金属イオン捕捉能の指標としては、上述した捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度を用いた指標に換えて、他の指標を用いることもできる。即ち、第2発明における金属イオン捕捉剤として特に好ましいものは、前記のように浸漬後水のpHを6.5以上とすることに加えて更に、水溶性であり、且つ下記測定方法によって測定されるカルシウムイオン捕捉量が100以上である金属イオン捕捉剤が好ましく、更に200以上となる、金属イオン捕捉能を有しているものである。このカルシウムイオン捕捉量は、金属イオン捕捉剤1gが捕捉できる炭酸カルシウム量をmg数で表したもの(単位;mg・CaCO3/g)である。
<カルシウムイオン捕捉量の測定方法>
100mlメスフラスコに0.1gの金属イオン捕捉剤を秤量し、NH4Cl−NH4OH緩衝溶液(NH4Cl=8.558g/lの水溶液を25%アンモニア水でpH10に調整したもの)にてメスアップして捕捉剤溶液を調製する。この捕捉剤溶液に20000mg/kg(CaCO3換算)に相当するCaCl2水溶液(前記緩衝溶液にてpH10に調整)を0.2mlずつ滴下し、カルシウム(Ca)イオン濃度を測定する。滴定量と捕捉剤溶液中の残存Caイオン濃度から、目的とする金属イオン捕捉剤のCaイオン捕捉量を算出する。Caイオン濃度の測定には、HORIBA pH/イオンメーター「D−53S」、カルシウムイオン電極「6583-10C」及びカルシウムイオンチップ「7683」を用いることができる。
前記カルシウムイオン捕捉量が前記範囲内にある金属イオン捕捉剤の具体例としては、前記捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度が7ppm以下である金属イオン捕捉剤の具体例として挙げたものを挙げることができる。
以下に、前記の浸漬後水のpH及び捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度の測定方法を、具体例に基づいて説明する。尚、下記の測定方法においては、浸漬水(水温25℃、pH6.5のイオン交換水)として、次のようにして調製した金属イオン水溶液を用いた。
金属イオン水溶液の調製法:水温25℃、電気伝導度0.1μS/cmのイオン交換水に、1N水酸化ナトリウム水溶液を適量加えてpH6.5とした後、塩化カルシウム・2水和物(関東化学(株)製、特級)を、カルシウムイオン濃度が25.5ppmとなるように溶解させて、目的の金属イオン水溶液を得る。
<浸漬後水のpHの測定方法>
前記金属イオン水溶液500mLを容量1Lのビーカーに入れ、この金属イオン水溶液中にナプキン1枚を全体が浸るように浸漬・静置させる。30分後、該ナプキンを取り出し、ビーカー内に残った水溶液について、pH測定器を用いて、水温25℃でのpHを測定し、その測定値を、前記「浸漬後水のpH」とする。pH測定器としては、HORIBA pHメーター「twin pH B212」を用いることができる。
<捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度の測定方法>
前記金属イオン水溶液に、金属イオン捕捉剤を、該金属イオン捕捉剤の濃度(金属イオン捕捉剤が水和物である場合は、水和水を除いた実分についての濃度)が0.33g/lとなるように溶解させて、金属イオン捕捉剤水溶液を得る。こうして得られた金属イオン捕捉剤水溶液について、HORIBA pH/イオンメーター「D−53S」、カルシウムイオン電極「6583-10C」及びカルシウムイオンチップ「7683」を用いて、該金属イオン捕捉剤水溶液中のカルシウムイオン濃度を測定し、その測定値を、前記捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度(捕捉剤添加後の塩化カルシウム水溶液中のカルシウムイオン濃度)とする。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、本発明の生理用ナプキンは、前記実施形態が具備していた防水シート5、防漏溝6、第2の防漏溝7、粘着部8等を具備していなくても良い。また、吸収体4の長手方向両側縁それぞれからナプキン外方に延出する一対のウイング部を具備していても良い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す如き生理用ナプキン(粘着部8は具備せず)を次のようにして作製し、得られたナプキンを実施例1のサンプルとした。
ホットメルト接着剤(東洋ペトロライト製P−618B)が塗布量5g/m2で塗布された坪量16g/m2のティッシュペーパー(上側被覆シート)の該接着剤の塗布面上に、別途作製したパルプ繊維の繊維ウエブ(坪量240g/m2、幅7cm、長さ17cm)を載置した。このティッシュペーパーは、繊維ウエブよりも寸法が大きい。次いで、繊維ウエブの上から、吸水性ポリマー(前記高吸水性ポリマー、遠心保持量36g/g、ボルテックス法による吸水速度12秒、粒径250μm未満の吸水性ポリマーの含有量46.6質量%、粒径150μm未満の吸水性ポリマーの含有量12.2質量%、日本触媒(株)製、アクアリックCA−W4)0.13gを該繊維ウエブ全体に均一に散布した。更に、繊維ウエブの吸水性ポリマー散布面に、該繊維ウエブと同サイズでホットメルト接着剤が塗布量5g/m2で塗布された内部シートとしてのティッシュペーパー(坪量16g/m2)を、その接着剤の塗布面が該繊維ウエブと対向するように重ねた。該内部シート上から生分解性の金属イオン捕捉剤であるクエン酸三ナトリウム二水和物(関東化学製、特級)1.0gを全体に均一に散布した。次いで、繊維ウエブと同サイズでホットメルト接着剤が塗布量5g/m2で塗布された下側被覆シートとしてのティッシュペーパー(坪量16g/m2)を、その接着剤の塗布面が前記金属イオン捕捉剤散布面と対向するように重ね、前記上側被覆シートにおける該繊維ウエブからの延出部分を該下側被覆シートの上面に巻き上げた後、該繊維ウエブの上下を反転させて、吸収層の略全体がティッシュペーパー(被覆シート)で被覆されてなる平面視において矩形形状の吸収体を得た。
得られた吸収体の長手方向前後両端部を曲線状にカットし、吸収体の非肌当接面側には接着剤を塗布し、該接着剤を介して吸収体の非肌当接面上に防水シートを固定した。固定された防水シートにおける吸収体の側縁部からの延出部分を吸収体の肌当接面側へ巻き上げると共に、該吸収体の肌当接面の全面を表面シートで覆い、該表面シートにおける吸収体の側縁部からの延出部分を該吸収体の非肌当接面側に巻き下げ、防水シート上の内部固定用接着剤で固定した。こうして得られたナプキン前駆体の肌当接面側に対して常法に従ってエンボス処理を施し、防漏溝6及び第2の防漏溝7を順次形成した。次いで、接着剤を塗布した裏面シートを、前記ナプキン前駆体における吸収体の非肌当接面上に固定した後、該裏面シートに非肌当接面の所定箇所に粘着剤を塗布して粘着部を形成し、更に、各シートにおける吸収体の長手方向前後両端からの延出部分において常法に従ってエンドシールを施し、該エンドシール部を曲線状にカットして、ナプキンを得た。このナプキンにおいては、表面シートは繊維太さ2.2dtexの芯鞘複合型繊維(芯PET/鞘PE)を構成繊維とする坪量25g/m2の不織布からなり、裏面シートは幅72mm、坪量22g/m2のポリエチレン製フィルムからなり、長手方向の長さが205mm,幅方向の長さが72mm、長手方向前後両端それぞれのエンドシール部のナプキン長手方向に沿った長さが13mmであった。
〔実施例2〕
実施例1において、金属イオン捕捉剤の散布箇所を、吸収体よりも肌当接面側〔表面シートに隣接する前記上側被覆シートと吸収体(パルプ繊維の繊維ウエブ)との間〕とした以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを実施例2のサンプルとした。
具体的には、ホットメルト接着剤が塗布量5g/m2で塗布された坪量16g/m2のティッシュペーパー(上側被覆シート)の該接着剤の塗布面上に、生分解性の金属イオン捕捉剤であるクエン酸三ナトリウム二水和物(関東化学製、特級)1.0gを全体に均一に散布した。更に、金属イオン捕捉剤散布面に、該上側被覆シートと同サイズでホットメルト接着剤が塗布量5g/m2で塗布されたパルプ繊維の繊維ウエブを、その接着剤の塗布面が上側被覆シートと対向するように重ねた。次いで、繊維ウエブの上から、吸水性ポリマー(日本触媒(株)製、アクアリックCA−W4)0.13gを該繊維ウエブ全体に均一に散布した。更に、繊維ウエブの吸水性ポリマー散布面に、該繊維ウエブと同サイズでホットメルト接着剤が塗布量5g/m2で塗布された下側被覆シートとしてのティッシュペーパー(坪量16g/m2)を、その接着剤の塗布面が前記吸水性ポリマー散布面と対向するように重ね、前記上側被覆シートにおける該繊維ウエブからの延出部分を該下側被覆シートの上面に巻き上げた後、該繊維ウエブの上下を反転させて、吸収層の略全体がティッシュペーパー(被覆シート)で被覆されてなる平面視において矩形形状の吸収体を得た。この吸収体を用いて、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製した。
〔実施例3〕
実施例1において、金属イオン捕捉剤として、クエン酸三ナトリウムに換えてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム(関東化学製 特級)を用い、且つ該金属イオン捕捉剤の散布量を0.5gとした以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを実施例3のサンプルとした。
〔実施例4〕
実施例1において、金属イオン捕捉剤として、クエン酸三ナトリウムに換えてグルコン酸ナトリウム(関東化学製 鹿1級)を用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを実施例5のサンプルとした。
〔比較例1〕
実施例1において、金属イオン捕捉剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
実施例1において、吸水性ポリマー及び金属イオン捕捉剤の両方を使用しなかった以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
〔比較例3〕
実施例1において、金属イオン捕捉剤として、クエン酸三ナトリウムに換えてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二水素二ナトリウム二水和物(関東化学製 特級)を用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例3のサンプルとした。
〔比較例4〕
実施例1において、吸水性ポリマー及び金属イオン捕捉剤の使用量をそれぞれ4倍に増量した以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例4のサンプルとした。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた生理用ナプキンについて、前記手順1〜3に従って赤色度合いa*値を測定すると共に、前記<浸漬後水のpHの測定方法>に従って浸漬後水のpHを測定した。また、これら生理用ナプキンの吸収性能の評価として、下記の方法により液戻り量を測定した。また、金属イオン捕捉剤について前記<捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度の測定方法>に従って捕捉剤添加後カルシウムイオン濃度を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
尚、実施例及び比較例で得られた生理用ナプキンについて、前記<厚みの測定方法>に従って、7g/cm2荷重下における厚みを測定したところ、比較例4以外のナプキンは5.5mm、比較例4のナプキンは5.9mmであった。
<液戻り量の測定方法>
測定対象の生理用ナプキンを水平に置き、直径1cmの注入口のついたアクリル板と錘を載せて、5g/m2の加圧下で該生理用ナプキンに血液6gを注入した。血液の注入完了後1分経過した後、アクリル板と錘を取り除き、生理用ナプキンの肌当接面上(表面シート上)に、7cm×15cmで坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねて載置し、該吸収紙の上から68g/cm2の荷重を1分間かけた。荷重後、吸収紙10枚を取り除き、該吸収紙10枚の重さを測定した。この測定値と、予め求めておいた荷重前の吸収紙10枚の重さの測定値とから、吸収紙10枚に吸収された血液の重量を求め、該重量を液戻り量とした。該液戻り量が少ないほど、ナプキンの吸収性能が高く、高評価となる。
Figure 0005107008
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4のナプキンは、薄いにもかかわらず、実用上充分な吸収性能を有し且つ水洗いによって十分に赤みを除去することが可能なものである。実施例2及び4は、実施例1及び3に比してa*値が大きく、赤み除去の点で若干劣る結果となったが、これは、実施例2においては主として金属イオン捕捉剤の存在箇所に、また、実施例4においては主として金属イオン捕捉剤の種類に、それぞれ起因するものと推察される。
これに対し、比較例1のナプキンは金属イオン捕捉剤を含有していないため、また、比較例3のナプキンは浸漬後水のpHが6.5未満であるため、何れも、a*値が大きく水洗いが容易とは言い難いものであった。
また、比較例2のナプキンは、吸水性ポリマーを含有していないため、水洗いの点では良好な結果が得られたものの、吸収性能(液戻り)の点で劣る結果となった。
また、比較例4のナプキンは、a*値が7を大きく超えており、水洗いが容易とは言い難い結果となったが、これは、主として、吸収層中における高吸水性ポリマーの含有量が50g/m2を超えていることに起因するものと推察される。
本発明の生理用ナプキンの一実施形態の肌当接面側(表面シート側)を示す平面図である。 図1のX−X線断面を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 生理用ナプキン
2 表面シート(表面層)
3 裏面シート(裏面層)
4 吸収体
41 吸水性ポリマー
42 パルプ繊維
43 吸収層
5 防水シート
6 防漏溝
7 第2の防漏溝
8 粘着部
9 エンドシール部
10 金属イオン捕捉剤
11 内部シート

Claims (4)

  1. 表面層、裏面層、及びこれら両層間に配置され吸水性ポリマーを含有する吸収層を具備し、使用後に付着した血液を水で洗い流すことができる生理用ナプキンであって、
    金属イオン捕捉剤を前記生理用ナプキンに含有されている吸水性ポリマー100質量部に対して200〜2000質量部含有し、下記手順1〜3に従って血液が注入され且つ洗浄された後の該血液によって赤色に染まった赤色部分の赤色度合いa*値が、7以下である生理用ナプキン。
    手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、室温25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度5°DHの水で該生理用ナプキンを3分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
    手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa*値を測定する。
    手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
  2. 表面層、裏面層、及びこれら両層間に配置され吸水性ポリマーを含有する吸収層を具備する生理用ナプキンであって、
    前記吸水性ポリマーとして遠心保持量が20g/g以上、ボルテックス法による吸水速度が25秒未満である吸水性ポリマーを、前記吸収層中に5〜50g/m2含有し、
    金属イオン捕捉剤を前記生理用ナプキンに含有されている吸水性ポリマー100質量部に対して2002000質量部含有し、且つ
    前記生理用ナプキンを水温25℃、pH6.5のイオン交換水500mLに30分間浸漬した後に測定した該イオン交換水のpHが、6.5以上である生理用ナプキン。
  3. 前記金属イオン捕捉剤が水溶性であり、且つ下記塩化カルシウム水溶液に濃度が0.33g/Lとなるように該金属イオン捕捉剤を溶解して得られた水溶液のカルシウムイオン濃度が水温25℃において7ppm以下となる、金属イオン捕捉能を有している請求項2記載の生理用ナプキン。
    塩化カルシウム水溶液:水温25℃、pH6.5のイオン交換水に、塩化カルシウムを、カルシウムイオン濃度が25.5ppmとなるように溶解させて得られた塩化カルシウム水溶液。
  4. 前記金属イオン捕捉剤が、前記吸収層と前記裏面層との間に存在する請求項1〜3の何れかに記載の生理用ナプキン。
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