JP5103793B2 - 障害物検出装置および位置特定方法 - Google Patents
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Description
この従来の障害物検出装置では、送信波として電波レーダを用いており、その反射波の受信波形の振幅や周波数等を得ている。
しかしながら、電波レーダには、指向性等の問題があるため、角度によって受信部(センサ)の受信感度に違いが生じてしまう。また、その外にも、外乱ノイズの影響や障害物が人体のような複数の反射面を有する場合には、同じ障害物からの反射波であっても、受信波形にばらつきが生じてしまう。
このような受信波形のばらつきは、反射波の受信時刻(立ち上がりタイミング)のばらつきの原因となるため、その後の三角測量による座標計算にも悪影響を与えることになる。また、受信波形のばらつきにより振幅等が異なると、同じ障害物からの反射波であっても、別の障害物からの反射波と誤認してしまい、最終的に各障害物の位置の精度が低下してしまうことになる。
バースト波の超音波を測定タイミング毎に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された超音波の反射波を異なる受信位置にてそれぞれ受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した各反射波を検波することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得する包絡線波取得手段と、
前記包絡線波取得手段が取得した各包絡線波から、各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する推測手段と、
前記推測手段が推測した各立ち上がり時刻のうちから、前回の測定タイミングで推測された立ち上がり時刻と所定の関係を満たす立ち上がり時刻を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された立ち上がり時刻を、複数の測定回数分保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された立ち上がり時刻を平均化する平均化手段と、
前記平均化手段により平均化された立ち上がり時刻に基づいて、障害物の位置を特定する位置特定手段と、
を備える、ことを特徴とする。
前記推測手段は、前記包絡線波取得手段が取得した各包絡線波について、頂点の電圧値及び当該頂点前の所定範囲の電圧値から近似直線をそれぞれ求め、当該各近似直線から各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する。
バースト波の超音波を送信部から計測タイミング毎に送信し、当該超音波の反射波を異なる受信位置にてそれぞれ受信する障害物検出装置における位置特定方法であって、
各受信位置にて受信した各反射波を検波することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得する包絡線波取得ステップと、
前記包絡線波取得ステップにて取得した各包絡線波から、各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する推測ステップと、
前記推測ステップにて判別した各立ち上がり時刻のうちから、前回の測定タイミングで推測された立ち上がり時刻と所定の関係を満たす立ち上がり時刻を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにて抽出された立ち上がり時刻を、テーブルに格納し、複数の測定回数分の立ち上がり時刻を保持させる格納ステップと、
前記テーブルに格納された立ち上がり時刻を平均化する平均化ステップと、
前記平均化ステップにて平均化された立ち上がり時刻に基づいて、障害物の位置を特定する位置特定ステップと、
を備える、ことを特徴とする。
前記推測ステップは、前記包絡線波取得ステップにて取得した各包絡線波について、頂点の電圧値及び当該頂点前の所定範囲の電圧値から近似直線をそれぞれ求め、当該各近似直線から各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する。
また、この発明の位置特定方法によれば、反射波のばらつきによる影響を低減することにより、各障害物の位置を精度良く検出することができる。
本実施形態に係る障害物検出装置100が適用される車両10は、図1(a),(b)に示すように、跳ね上げ式のPBD(Power Back Door)11を備えた、いわゆるハッチバック車であり、センサユニット110、センサECU(Electronic Control Unit)130、及び、PBD用ECU140等が適宜設置されている。
昇圧コイル112は、40kHz発信器113から供給されるパルス電圧を昇圧して、送信部111に駆動電圧を供給する。
バースト発信器114は、タイミング回路115に制御され、バースト波を40kHz発信器113に供給する。
タイミング回路115は、センサECU130に制御され、一定タイミング(例えば、0.1秒)毎に、バースト発信器114からバースト波を供給させる。
なお、受信部121及び、送信部111等によりセンサユニット110を構成し、上述した図1(b)等に示すように、PBD11における例えば、ライセンスランプの横に設置される。
より詳細には、図3に示すように、受信部121aと受信部121b、及び、送信部111と受信部121cが、鉛直方向(Y軸方向)にそれぞれ並んで配置され、また、受信部121aと送信部111、及び、受信部121bと受信部121cが、水平方向(X軸方向)にそれぞれ並んで配置されている。つまり、受信部121と送信部111は、正方形状に配列されている。
なお、受信部121と送信部111とを別構成とした場合について説明しているが、何れか1つの受信部121が送信部111を兼ねるようにしてもよい。
BPF123(123a〜123c)は、アンプ122から供給された信号のうち、所定周波数範囲の信号だけを通過させて、検波部124に供給する。
S/H125(125a〜125c)は、S/Hトリガー制御部126に制御され、検波部124により全波整流された信号をサンプリングし、AD入力部127がAD変換を行えるように、一時的に保持する。
AD入力部127(127a〜127c)は、積分方式のAD変換器等からなり、アナログの信号電圧をデジタルの電圧カウンタ値に変換し、センサECU130に供給する。
この電圧カウンタ値は、受信部121にて受信した信号が、アンプ122により増幅され、検波部124により全波整流され、AD入力部127により積分されることにより、反射波の包絡線(包絡線波)の値となる。
また、センサECU130は、内部に備えたタイマ回路等により、超音波の発信時からのタイム計測を開始する。そして、反射波として有効となる、タイマカウンタ値が所定範囲内で、かつ、閾値(例えば、電圧カウンタ値6000)以上の包絡線波の電圧カウンタ値をAD入力部127から順次取得し、包絡線波の頂点を特定すると共に、包絡線波の立ち上がり時刻を推測する。
例えば、図4に示すように、今回の測定タイミングで、受信部121にて5つの反射波を受信し、AD入力部127から包絡線波W1〜W5が得られた場合を一例として説明すると、まず、センサECU130は、各包絡線波の頂点P1〜P5を特定し、各頂点前の所定範囲の電圧カウンタ値を用いて、最小二乗法等により近似直線L1〜L5を求める。そして、各近似直線が電圧カウント値0と交差するタイマカウント値(ゼロクロス時刻)を求める。すなわち、各包絡線波の立ち上がり推測値T1〜T5を特定する。
なお、センサECU130は、このような頂点の特定及び、立ち上がり推測値の特定を、各受信箇所(受信部121a〜121cにて受信した反射波)についてそれぞれ行う。
そして、センサECU130は、頂点のタイマカウンタ値、頂点の電圧カウンタ値、及び、立ち上がり推測値(タイマカウンタ値)を、候補テーブルに格納する。
例えば、センサECU130は、内部のメモリに、図5に示すような候補テーブル200の領域を確保し、対応する受信箇所(受信部121a〜121c)について算出した各データ(各包絡線波についての頂点のタイマカウンタ値、頂点の電圧カウンタ値、立ち上がり時刻を推測値)をそれぞれセットする。
例えば、センサECU130は、内部のメモリに、図6に示すような平均テーブル300の領域を確保する。この平均テーブル300は、各候補に対応したものとなっている。そして、今回の測定タイミングにて得られた立ち上がり推測値を、前回の測定タイミングの立ち上がり推測値と比較し、所定の上限下限の範囲内(一例として、受信部121同士の間隔Dを音が伝達する時間に相当する+200〜−200の範囲内)となる立ち上がり推測値だけを平均テーブル300に追加してセットする。
具体的に、平均テーブル300が図6に示すような状態で、今回の測定タイミングにて、候補テーブル200に図7(a)に示すような値が得られた場合を一例として説明すると、センサECU130は、図6の測定タイミング1の立ち上がり推測値(つまり、前回の測定タイミングの立ち上がり推測値)を基準として、差分が200以内の立ち上がり推測値を、図7(a)の候補テーブル200からそれぞれ抽出する。そして、図7(b)に示すように、平均テーブル300の測定タイミング2に、抽出した立ち上がり推測値をセットする。
センサECU130は、このような立ち上がり推測値の抽出及び平均テーブル300へのセットを、各候補についてそれぞれ行う。
また、このような平均テーブル300は、容量等の制限から有限となるため、頂点の電圧カウント値の高いものから優先して、所定数までの立ち上がりを推測値平均テーブル300へセットするようにしてもよい。
すなわち、図8に示すように、受信部121a及び受信部121bでの受信時刻によって、障害物BのY軸方向の位置y(座標値)とZ軸方向の位置(距離z)を求めることができる。
具体的に説明すると、次式が成立する。
L2=C・T2−L1
L2:受信部121aと物体Bとの距離
C:超音波の速度
T1:受信部121aで受信した反射波(包絡線波)の立ち上がり推測値
T2:受信部121bで受信した反射波(包絡線波)の立ち上がり推測値
y =D/2−(D 2 +L2 2 −L1 2 )/(2・D)
z =√{L2 2 −((D 2 +L2 2 −L1 2 )/(2・D) 2 }
例えば、センサECU130は、内部のメモリに、図9に示すよう障害物位置テーブル400の領域を確保し、各障害物の三次元位置(x位置、y位置、z位置)をセットする。
このようにして得られた障害物の位置は、反射波のばらつきを低減するために平均化された立ち上がり推測値に基づいて求めたものであるため、精度の良いものとなる。
なお、PBD用ECU140は、開閉させるPBD11のドア角度信号をセンサECU130に供給する。また、センサECU130から障害物検知信号が供給されると、モータ150を停止させる。
操作SW160は、ユーザに操作され、指示信号をPBD用ECU140に供給する。
障害物検出装置100は、例えば、車両10の後進時(リバース時)やPBD11の開閉時に、図10のフローチャートに示す障害物検出処理を開始する。なお、この障害物検出処理は、車両10の後進やPBD11の開閉が終了するまで、測定タイミング毎に、繰り返し実行されるものとする。
つまり、センサECU130は、包絡線波の頂点を特定すると、その頂点近傍の立ち上がり部分を近似する近似直線を求め、その近似直線が電圧カウンタ値0と交差するゼロクロス時刻を求めることにより、包絡線波の立ち上がり時刻を推測する。
そして、センサECU130は、頂点のタイマカウンタ値、頂点の電圧カウンタ値、及び、立ち上がり推測値(タイマカウンタ値)を、上述した候補テーブル200に格納する。
つまり、前回の測定タイミングで平均テーブル300に格納した立ち上がり推測値を基準として、差分が例えば200以内の立ち上がり推測値を、今回の測定タイミングでセットした候補テーブル200からそれぞれ抽出する。そして、抽出した立ち上がり推測値を平均テーブル300に追加してセットする。
すなわち、反射波(包絡線波)のばらつきを低減するために、平均化した立ち上がり推測値を求める。
つまり、候補のなかから適切な組合せを適宜選択すると、平均化した立ち上がり推測値を反射波の受信時刻として、三角測量の要領で障害物の三次元位置を算出する。
なお、特定した障害物の位置がPBD11の近傍である場合に、センサECU130は、障害物検知信号をPBD用ECU140に供給するなどして、障害物への接触等を防止する。
そして、最終的な障害物の位置は、波形のばらつきが低減された立ち上がり推測値に基づいて求めたものであるため、精度の良いものとなる。
例えば、上記の説明では、超音波を用いる場合について説明したが、超音波以外に、レーザ光や電磁波を用いる場合でも適宜適用可能である。
11 PBD
111 送信部(送信手段)
121a〜121c 受信部(受信手段)
124a〜124c 検波部(検波手段、包絡線波取得手段)
127a〜127c AD入力部(サンプリング手段、包絡線波取得手段)
130 センサECU(推測手段、抽出手段、保持手段、平均化手段、位置特定手段)
Claims (6)
- バースト波の超音波を測定タイミング毎に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された超音波の反射波を異なる受信位置にてそれぞれ受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した各反射波を検波することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得する包絡線波取得手段と、
前記包絡線波取得手段が取得した各包絡線波から、各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する推測手段と、
前記推測手段が推測した各立ち上がり時刻のうちから、前回の測定タイミングで推測された立ち上がり時刻と所定の関係を満たす立ち上がり時刻を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された立ち上がり時刻を、複数の測定回数分保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された立ち上がり時刻を平均化する平均化手段と、
前記平均化手段により平均化された立ち上がり時刻に基づいて、障害物の位置を特定する位置特定手段と、
を備える、ことを特徴とする障害物検出装置。 - 前記抽出手段は、前回の測定タイミングで推測された立ち上がり時刻を基準として、差分が所定値以内のものを、前記推測手段が推測した各立ち上がり時刻から抽出する、ことを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
- 前記抽出手段は、前記所定の関係を満たす包絡線波の立ち上がり時刻のうち、当該包絡線波の頂点の電圧値が高いものから所定数まで抽出する、ことを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
- 前記包絡線波取得手段は、前記受信手段が受信した各反射波をそれぞれ整流し、当該整流した各反射波形をそれぞれ積分することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得し、
前記推測手段は、前記包絡線波取得手段が取得した各包絡線波について、頂点の電圧値及び当該頂点前の所定範囲の電圧値から近似直線をそれぞれ求め、当該各近似直線から各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の障害物検出装置。 - バースト波の超音波を送信部から計測タイミング毎に送信し、当該超音波の反射波を異なる受信位置にてそれぞれ受信する障害物検出装置における位置特定方法であって、
各受信位置にて受信した各反射波を検波することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得する包絡線波取得ステップと、
前記包絡線波取得ステップにて取得した各包絡線波から、各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測する推測ステップと、
前記推測ステップにて判別した各立ち上がり時刻のうちから、前回の測定タイミングで推測された立ち上がり時刻と所定の関係を満たす立ち上がり時刻を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにて抽出された立ち上がり時刻を、テーブルに格納し、複数の測定回数分の立ち上がり時刻を保持させる格納ステップと、
前記テーブルに格納された立ち上がり時刻を平均化する平均化ステップと、
前記平均化ステップにて平均化された立ち上がり時刻に基づいて、障害物の位置を特定する位置特定ステップと、
を備える、ことを特徴とする位置特定方法。 - 前記包絡線波取得ステップは、前記受信ステップにて受信した各反射波をそれぞれ整流し、当該整流した各反射波形をそれぞれ積分することにより、各反射波の包絡線波をそれぞれ取得し、
前記推測ステップは、前記包絡線波取得ステップにて取得した各包絡線波について、頂点の電圧値及び当該頂点前の所定範囲の電圧値から近似直線をそれぞれ求め、当該各近似直線から各包絡線波の立ち上がり時刻をそれぞれ推測するものであることを特徴とする請求項5に記載の位置特定方法。
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