JP5103497B2 - 液体現像剤の製造方法、液体現像剤、液体現像装置及び湿式画像形成装置 - Google Patents
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まず、図面を参照して、本実施形態に係る液体現像装置及び湿式画像形成装置を説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「シート」という用語は、例えば、上質普通紙、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート等、画像を形成することが可能なあらゆる記録媒体を意味する。
本実施形態に係る液体現像剤は、基本的構成として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する。着色粒子は顔料であり、液体現像剤はスチレン系エラストマーを含有する。スチレン系エラストマーの含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。
一般に、電気絶縁性のキャリア液は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。電気絶縁性のキャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、例えば、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上(換言すれば電気伝導度が100pS/cm以下)の有機溶剤が好ましい。このような電気絶縁性の有機溶剤としては常温で液体の脂肪族炭化水素が挙げられ、例えば液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、又はその混合物、ハロゲン化脂肪族炭化水素等が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素が特に好ましい。分岐鎖を有する脂肪族炭化水素としては市販のものを用いてもよく、例えば、エクソンモービル社製の「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーK」、「アイソパーL」、「アイソパーM」、「アイソパーV」等が好適である。また、松村石油研究所社製の流動パラフィン「モレスコホワイトP−40」、「モレスコホワイトP−70」、「モレスコホワイトP−200」等も好ましく用いられ得る。また、コスモ石油社製の流動パラフィン「コスモホワイトP−60」、「コスモホワイトP−70」、「コスモホワイトP−120」等も好ましく用いられ得る。
本実施形態では、着色粒子として、顔料を結着樹脂に分散させたトナーではなく、顔料そのものを用いる。そのような顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料を特に限定することなく用いることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有してもよい。本実施形態で使用し得る分散安定剤としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−116」等が好適である。その他、ルーブリゾール社製の「ソルスパース9000」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」や、ISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」、「Antaron(登録商標)V−220」等も好ましく用いられ得る。
本実施形態に係る液体現像剤は、スチレン系エラストマーを含有する。本実施形態で使用し得るスチレン系エラストマーとしては、従来公知のものを特に限定なく使用することができる。その具体例としては、例えば、芳香族ビニル化合物と、オレフィン系化合物又は共役ジエン化合物とからなるブロック共重合体等が挙げられる。前記ブロック共重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックをAとし、オレフィン系化合物又は共役ジエン化合物からなる重合体ブロックをBとしたときに、式1で表される構造を有するブロック共重合体等が挙げられる。
本実施形態に係る液体現像剤の製造方法は、樹脂溶液調製工程、顔料分散体調製工程、及び樹脂溶液と顔料分散体との混合工程を含む。
スチレン系エラストマーAとして、スチレン−ブタジエン系エラストマー(旭化成ケミカルズ社製の「アサプレン(登録商標)T−413」:スチレン含有量30質量%)1.33質量部を、溶剤としての植物油(花王社製の中鎖脂肪酸トリグリセライド「ココナードMT」)98.67質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を得た。一方、キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)72質量部と、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させることにより、顔料分散体を得た。顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。そして、樹脂溶液と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを1質量%含有するシアンの液体現像剤Aを製造した。
表1に示すように、スチレン系エラストマーAに代えて、スチレン系エラストマーBとして、スチレン−ブタジエン系エラストマー(旭化成ケミカルズ社製の「タフプレン(登録商標)315P:スチレン含有量20質量%」)を用いた他は、液体現像剤Aと同様にして、液体現像剤Bを製造した。
スチレン系エラストマーAを13.33質量部、溶剤を86.67質量部用いた他は、液体現像剤Aと同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを10質量%含有する液体現像剤Cを製造した。
表1に示すように、スチレン系エラストマーAに代えて、スチレン系エラストマーBを用いた他は、液体現像剤Cと同様にして、液体現像剤Dを製造した。
スチレン系エラストマーAを0.14質量部、溶剤を99.86質量部用いた他は、液体現像剤Aと同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを0.1質量%含有する液体現像剤Eを製造した。
表1に示すように、スチレン系エラストマーAに代えて、スチレン系エラストマーBを用いた他は、液体現像剤Eと同様にして、液体現像剤Fを製造した。
スチレン系エラストマーAを0.12質量部、溶剤を99.88質量部用いた他は、液体現像剤Aと同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを0.09質量%含有する液体現像剤Eを製造した。
表1に示すように、スチレン系エラストマーAに代えて、スチレン系エラストマーBを用いた他は、液体現像剤Gと同様にして、液体現像剤Hを製造した。
スチレン系エラストマーAを16質量部、溶剤を84質量部用いた他は、液体現像剤Aと同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを12質量%含有する液体現像剤Iを製造した。
表1に示すように、スチレン系エラストマーAに代えて、スチレン系エラストマーBを用いた他は、液体現像剤Iと同様にして、液体現像剤Jを製造した。
キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)72質量部と、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させることにより、顔料分散体を得た。顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。そして、植物油(花王社製の中鎖脂肪酸トリグリセライド「ココナードMT」)と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%、スチレン系エラストマーを0質量%含有するシアンの液体現像剤Kを製造した。
図1に示された、定着部を備えていない湿式画像形成装置(カラープリンタ)1A(京セラミタ社製の湿式画像形成装置の実験機)を用い、シアンの画像形成ユニットFCにシアンの液体現像剤A〜Kを仕込んで、シートとしての上質普通紙(王子製紙社製のC2紙:90g/m2)上に、顔料載り量で0.026mg/cm2相当の均一塗りつぶしの正方形のソリッド画像(5cm×5cm)を形成した。その場合に、現像ローラ141の周面上における液体現像剤層の厚みを5μmに設定した。また、画像データに基づいた画像を感光体ドラム10の表面に形成するときに現像ローラ141に印加する現像電界を400Vとした。そして、排出部6に排出されたシートを下記の定着性試験に供した。
二次転写部4によりソリッド画像が転写され、排出部6に排出されたシートの画像部分について定着性を評価するために、耐擦過性試験を行った。すなわち、二次転写部4により画像が形成されてから5秒後に、その画像部分の上に、質量が300gの金属製の円柱状の錘(直径:50mm、底面に布(サラシ)をあてたもの)を置き、画像を左右に横切って画像の外まで移動するようにその錘を10往復移動させた。画像が錘の質量で摩擦され、摩耗したか否かを見るために、ソリッド画像の外の部分であって錘が移動した部分について、濃度を分光濃度計(グレタグマクベス社製の「X−riteスペクトロアイ」)で測定した。定着性の評価基準は、濃度が0.01未満のものを「○」、濃度が0.01以上、0.3未満のものを「△」、濃度が0.3以上のものを「×」とした。なお、この試験は、スチレン系エラストマーの被膜の乾燥性の試験を兼ねている。
表1から明らかなように、キャリア液中に顔料が分散された液体現像剤において、スチレン系エラストマーを含有する液体現像剤A〜Jは、スチレン系エラストマーを含有しない液体現像剤Kに比べて、定着性に優れていた。
2 画像形成部
4 二次転写部(転写装置)
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
14 液体現像装置
20 一次転写ローラ(転写装置)
21 中間転写ベルト
141 現像ローラ
142 供給ローラ(アニロックスローラ)
147 現像ローラ帯電装置
Claims (7)
- 電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する液体現像剤の製造方法であって、
スチレン系エラストマーを溶剤に溶解して樹脂溶液を調製する工程と、
着色粒子としての顔料をキャリア液に分散して顔料分散体を調製する工程と、
前記樹脂溶液と前記顔料分散体とを混合する工程と、
を含むことを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - スチレン系エラストマーは、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックをAとし、オレフィン系化合物又は共役ジエン化合物からなる重合体ブロックをBとしたときに、式1で表される構造を有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- スチレン系エラストマーは、重合体ブロックA及び重合体ブロックBが式2で表される構造を有するスチレン−ブタジエン系エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の液体現像剤の製造方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
- スチレン系エラストマーの含有量が0.1〜10質量%である請求項4に記載の液体現像剤。
- 液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を顕像化する液体現像装置であって、
液体現像剤として、請求項4又は5に記載の液体現像剤を用いることを特徴とする液体現像装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光装置と、液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置と、現像された画像を記録媒体に転写する転写装置とを備える湿式画像形成装置であって、
液体現像剤として、請求項4又は5に記載の液体現像剤を用いることを特徴とする湿式画像形成装置。
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