JP5103140B2 - 炭化耐火組成物および耐火シート - Google Patents

炭化耐火組成物および耐火シート Download PDF

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本発明は火災時に炭化する炭化耐火組成物に関する。特に、炭化耐火組成物をシート状に成形した、木材や鉄骨などの建築構造物の表面を火災から保護する耐火シートに関する。
住宅などの建築物の構造部には、火災が発生した際にも容易には焼失・機能喪失しない耐火性能が求められており、従来から建築構造物の表面に耐火材料からなる耐火シートを被覆することが行われている。
特許文献1には、熱可塑性樹脂成分にリン化合物、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤が含有されてなる耐火シート状成形体が開示されており、そうした耐火シートで壁や鉄骨表面を被覆し耐火構造とすることが開示されている。
国際公開番号 WO98/031730号
このような耐火構造に用いられる耐火組成物は、火災時に火炎や熱風にさらされた際に炭化物となり、好ましくは膨張して、炭化耐火層を形成するものであるので、火災時に生ずる炭化物が建築構造物を覆うべく、剥離、脱落することなく、建築構造物表面に面状に残る必要がある。そのため、得られる炭化物が容易には飛散・脱落しない、強固な炭化耐火層が得られる耐火組成物が求められている。
また、施工性を向上させるため、鉄骨製の柱に巻きつけるといった施工性に優れた施工方法を取れるように、柔軟な耐火シートが求められていた。
本発明は、火災時に飛散・脱落することなく強固な炭化耐火層を形成可能であり、かつ耐火シートに成形した際に施工性に優れる柔軟なシートが得られるような、炭化耐火組成物を提供することを目的とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、熱可塑性フェノール樹脂と熱可塑性ウレタン樹脂を溶融混練すると、上記課題を達成できる樹脂組成物が得られることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂とを溶融混練してなる樹脂組成物を含むと共に、熱膨張性黒鉛が含まれる炭化耐火組成物である。
さらに、本発明の炭化耐火組成物においては、熱可塑性ウレタン樹脂90〜60重量部に対し、熱可塑性フェノール樹脂を10〜40部が、両者の合計が100重量部となるように配合されて混練され、熱可塑性フェノール樹脂の可塑化温度が、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度よりも低くされる。
前記炭化耐火組成物を、耐火シートにすることができ(請求項)、その耐火シートで建築構造物表面を覆うように施工して炭化耐火層を形成することができる(請求項)。
本発明によれば、熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂とを溶融混練してなる樹脂組成物を含む炭化耐火組成物としたので、加熱溶融して混練してもフェノール樹脂が硬化せず、得られる炭化耐火組成物は柔軟性に富むものとなる。このような炭化耐火組成物から得られる耐火シートは柔軟なものとなり、建築構造物への施工性が良くなるという効果が得られる。
また、熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂とを溶融混練することによって、ウレタン樹脂とフェノール樹脂とを均一かつ微細に分散させることができる。両者を溶融混練しない場合、又は熱硬化性フェノールを使用する場合には、フェノール樹脂の分散が均一でなくなったり分散が粒子状に大きくなったりするために、火災時に炭化するフェノール樹脂が脱落・飛散しやすく、得られる炭化耐火層が脆弱なものとなってしまう。一方、本願発明においては、フェノール樹脂がウレタン樹脂中に微細かつ均一に分散した炭化耐火組成物が得られ、それによれば、火災時に強固な炭化耐火層を得ることができる。
また、本願発明の炭化耐火組成物は、熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂とを溶融混練した樹脂組成物を含むものであるので、火災によって加熱された際に粘着性を発現して、建物構造物に張り付きながら炭化していく。従って、加熱により発現する粘着性により、火災時に耐火シートが建築構造物の表面から剥離・脱落してしまうことが防止される。また、施工事等の常温状態においては、特に粘着性を有しないものとすることもできるので、耐火シートとした場合の取扱性にも優れる。従って、火災時に確実に炭化耐火層を形成することができるとともに、耐火シートを建物構造物に取り付ける際の施工性が向上する。
さらに、本発明では、熱可塑性ウレタン樹脂90〜60重量部に対し、熱可塑性フェノール樹脂を10〜40部を、両者の合計が100重量部となるように配合し混練しているので、炭化耐火組成物として、柔軟性と炭化耐火性に富むものが得られる。
さらに、本発明の炭化耐火組成物には熱膨張性黒鉛が含まれ熱可塑性フェノール樹脂の可塑化温度が、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度よりも低くされているので、熱膨張性黒鉛が膨張する際に、溶融したフェノール樹脂が熱膨張性黒鉛を包み込み、燃焼・炭化したフェノール樹脂が膨張した熱膨張性黒鉛同士の橋架けの役割を果たすため、得られる炭化膨張層の強度・形状保持性が高まる。
さらに、本願発明の炭化耐火組成物からなる耐火シートとすれば(請求項)、施工性がよく、火災時には建築構造物表面を強固な炭化耐火層で覆うことが可能な耐火シートが得られる。また、請求項記載の発明によれば、火災時に炭化耐火層を建築構造物表面に形成し、施工性に優れた方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の炭化耐火組成物は、必須成分として、熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂を溶融混練した樹脂組成物を含むものである。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、エステル系熱可塑性ウレタン樹脂(例えば、商品名SKYTHANE、SK Chemical社製)、エーテル系熱可塑性ウレタン樹脂(例えば、商品名ミラクトラン、日本ポリウレタン工業製)が使用できる。得られる樹脂組成物が適度な弾力性・柔軟性を有するように、使用するウレタン樹脂は硬度がデュロAで60〜90であることが好ましい。
熱可塑性フェノール樹脂としては、いわゆるフェノールノボラック樹脂があり、例えば、商品名スミライトレジン(住友ベークライト製)として市販されているものが使用できる。熱可塑性フェノール樹脂としては、耐火性能を高めるために、固定炭素率の高いものを使用することが好ましく、特に固定炭素率が50%以上である熱可塑性フェノール樹脂を使用することが好ましい。
これら熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂の好ましい配合比率は、熱可塑性ウレタン樹脂90〜60重量部に対し、熱可塑性フェノール樹脂が10〜40部(合計で100重量部)である。ウレタン樹脂の量が少ないと、得られる組成物が柔軟性に劣るものとなり、フェノール樹脂の量が少ないと、火炎などにより加熱された際に強固な炭化耐火層が形成できず焼失しやすくなってしまう。
これら熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂とを、それぞれが溶融する温度以上の温度(たとえば210℃)で溶融混練することにより、本発明の炭化耐火組成物を得ることができる。混練は、押出機やバンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練装置が使用できる。その際、長時間混練するとウレタン樹脂とフェノール樹脂との間で反応が始まったり、ウレタン樹脂の分解が始まったりして、材料の柔軟性が失われやすくなる。従って、実質的に両者間で反応が進まないように、あらかじめ加熱した両者をすばやく(1〜5分)混練して、その後ただちに、シート状やペレット状などの形態に加工して温度を下げることが好ましい。
熱可塑性ウレタン樹脂と熱可塑性フェノール樹脂と溶融混練することによって、両成分が溶融状態で互いに混じり合うことになり、結果得られる組成物では、両者が均一かつ微細に分散する。両成分を溶融混練しない場合や、特に、添加するフェノール樹脂が熱可塑性でない場合においては、フェノール樹脂とウレタン樹脂とが均一に分散しなかったり、あるいは、分散したフェノール樹脂が粒子状にしか分散しないなど、微細かつ均一に分散した組成物が得られない。
溶融混練された炭化耐火組成物は、熱可塑性を有するので、加熱してロール加工するなどすれば、シート状に加工することができるほか、種々の樹脂成形方法によって、さまざまな形態に加工できる。特に、プレス成形や押出成形、カレンダー加工などによって適度な厚みを有するシート状に加工すれば、建築構造物の表面を覆う防火シートとして使用することができる。防火シートは本発明の炭化耐火組成物だけで構成しても良いし、適宜、不燃材料等からなる補強ネットや布帛に一体化させたシートに構成しても良い。
本発明の炭化耐火組成物によって形成された防火シートは、柔軟なシートとなるので、建築構造物の表面に巻きつけたり、金属ビスなどで簡単に取り付けたりすることができ、施工性が良い。
また、一般に、防火シートを構成する耐火組成物が常温で粘着性を有する場合には、建築構造物表面に防火シートをその粘着力によって仮止めできるというメリットはあるものの、防火シートの取扱時や施工時に、防火シートが互いにくっついてしまうなど、その取扱性が必ずしもよいものではなかった。一方、本発明においては、常温で粘着性を有しない炭化耐火組成物を得ることもでき、その場合は、防火シートに形成した際の取扱性を改善できる。
本発明の炭化耐火組成物によって形成された防火シートが、火災時に火炎や熱風などの高温にさらされた場合には、防火シートの温度上昇に伴って、炭化耐火組成物が粘着性を発現する。この粘着性により、防火シートは、建築構造物表面に粘着し、耐火シートが建築構造物表面から浮き上がって隙間ができたり、はがれおちたりしてしまうことを未然に防止できる。
その後、更に温度が上昇するに従って、主にフェノール樹脂が炭化して、炭化耐火層を形成するに至るが、その際、本発明においては、フェノール樹脂とウレタン樹脂とが、均一かつ微細に分散しているので、組成物全体がまんべんなく炭化し、強固な炭化耐火層を形成できる。このようにして、本発明の炭化耐火組成物による防火シートによれば、建築構造物表面に、強固な炭化耐火層を形成することができる。
これに対し、フェノール樹脂の分散が不均一であったり分散が粒子状で大きい場合には、炭化層が形成されずに樹脂組成物が大きく体積減少して焼失してしまったり、炭化したフェノール樹脂が粒子状にぼろぼろと脱落しやすくなるなど、強固な炭化層が形成されない。
以上のように、本発明の炭化耐火組成物は、シート状に加工し、建築構造物の表面を覆う防火シートとして使用できる。壁や鉄骨などの表面への取り付けは、金属ビスなどの周知の方法によることができるが、必要に応じて、粘着テープや接着剤も使用できる。取り付けに当たっては、建築構造物表面に、防火シートが密着するように取り付けることが好ましい。本発明の炭化耐火組成物による防火シートは、加熱された際に粘着性を発現し、火災時には壁や柱に粘着して、崩壊・脱落することが防止されるので、壁や柱への取付け方法を簡素化することも可能である。
また、本発明の炭化耐火組成物は、ひも状に加工して、建物外壁や構造物の隙間を埋めるための防火目地部材としても使用できる。
本発明の炭化耐火組成物には、その性質を大きく変えない範囲で、必要に応じて耐火組成物としての性能を高めるための添加物や他の樹脂成分を添加できる。そのような添加物としては、熱膨張性層状無機物、無機充填材、リン化合物、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、滑剤、顔料などが例示できる。
添加可能な樹脂成分としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴムや、熱可塑性エラストマー(特にスチレン系熱可塑性エラストマー)などの樹脂が例示できる。
また、炭化耐火組成物に常温での粘着性を付与したい場合には、タッキファイアーなどの粘着性成分を添加すれば、炭化耐火組成物に粘着性を付与することもできる。添加するタッキファイアーやオリゴマーは、熱可塑性ウレタン樹脂と相溶性の良い物を選択することが好ましい。
加熱時に膨張する熱膨張性層状無機物を添加することにより、加熱時に組成物を膨張させて、炭化耐火層の断熱性を高めることができる。そのような熱膨張性層状無機物としては、例えば、バーミキュライト、カリオン、マイカ、熱膨張性黒鉛が例示でき、特に熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性黒鉛は、グラファイト粉末を無機酸と強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成したもので、グラファイトの層状構造を維持した従来公知の結晶化合物であり、特に中和処理されたものが好ましく利用される。中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、Graf Guard(Ucar Carbon社製)を例示できる。
本発明の炭化耐火組成物に熱膨張性層状無機物、特に熱膨張性黒鉛を混練する場合には、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度(T1)が、熱可塑性フェノール樹脂の可塑化温度(T2)よりも高い、すなわちT1>T2であることが好ましい。かかる条件を満たす熱膨張性黒鉛と熱可塑性フェノール樹脂を選択することによって、火災時に、火炎によって本発明の炭化耐火組成物が加熱された際に、熱膨張性黒鉛が膨張を開始する前に、フェノール樹脂が可塑化され、溶融した状態となるために、膨張する熱膨張性黒鉛の周囲をフェノール樹脂が包み込むようになるとともに、その状態でフェノール樹脂が炭化して、膨張した熱膨張性黒鉛同士の橋架けの役割を果たすので、得られる炭化膨張層が強固なものとなり、炭化耐火層としての形状保持性を向上できる。例えば、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度が200℃である場合、熱可塑性フェノール樹脂の可塑化温度が100℃であるものを選択することを例示できる。
無機充填材としては、金属炭酸塩(炭酸カルシウムや炭酸亜鉛など)、含水無機物(水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなど)が好ましく、燃焼後の炭化残滓の形状保持性を高めるとともに、炭化耐火組成物の熱容量を高める効果がある。加熱時に生成する水分による吸熱が起こり、耐熱性が高まる点で、特に含水無機物の添加が好ましい。
リン化合物としては、赤リン、リン酸エステル、リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウムが例示でき、リン化合物を添加することにより、難燃性、燃焼後の形状保持性を高めることができる。リン化合物としては、ポリリン酸アンモニウムの添加が特に好ましい。
以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説明する。
表1に示した各種配合組成に従って、各成分をロールミルによって約3分間溶融混練し、参考例及び比較例の樹脂組成物を得た。表中のウレタンとは、熱可塑性ウレタン樹脂を意味し、SK Chemical社製のSKYTHANEを用いた。表中のフェノールとは、熱可塑性フェノール樹脂を意味し、住友ベークライト株式会社製のスミライトレジンを用いた。リン化合物としては、ポリリン酸アンモニウムを用いた。充填材としてはケイ酸カルシウムを、滑剤としてはビスアマイド系滑剤を用いた。
比較例として、樹脂成分が熱可塑性ウレタン樹脂のみからなるもの(比較例1)、熱可塑性フェノール樹脂のみからなるもの(比較例2)、フェノール樹脂として前記スミライトレジンに硬化剤を添加して硬化させた後に粉砕したフェノール樹脂粉末を熱可塑性ウレタン樹脂に混練したもの(比較例3)を用いた。
Figure 0005103140
*1:硬化したフェノール樹脂粉末
得られた樹脂組成物について、比重・強度・伸び・100%モジュラス・硬度の測定をJIS規格に準じて行った。
参考例1ないし参考例4は、防火シートとして施工上好ましい柔軟性を有するものであったが、樹脂成分が熱可塑性フェノール樹脂のみからなる比較例2は、シート状にしても剛直であり、常温時に手作業で建物構造物に沿わせられるような柔軟性は有しなかった。また、参考例1ないし参考例5の炭化耐火組成物は、常温では粘着性を持たず、さらりとした触感を有する樹脂組成物であった。
また、加熱した際の炭化性能の評価は、以下の試験方法で行った。すなわち、厚さ12mmの鉄板を略鉛直状に設け、厚さ3mmのシート状に成形した300mm×300mmの評価サンプルを、合計9本の固定用金属ビスで取り付け、ガスバーナーによって炭化するまで加熱を行って、炭化性能を評価した。炭化性能の評価は、シート形状をほぼ保った状態のまま均一にシートが炭化して、かつ強固な炭化耐火層を形成できたものを○とし、加熱に伴い、炭化は起こるものの不均一である、または生ずる炭化耐火層の強度が弱く脆いものを△とし、炭化層が残らないものを×とした。
樹脂成分が熱可塑性ウレタン樹脂のみからなる比較例1では炭化が起こらず、加熱に伴いシート全体が軟化、さらにはバーナーの炎により燃焼・焼失してしまい、炭化耐火層を形成できなかった。一方、参考例1ないし参考例5については、シート全体にわたって均一に炭化が起こり、生じた炭化層の強度も充分なものであった。またこれら参考例においては、加熱に伴って発現した粘着性の作用により、防火シートが軟化するものの、鉄板に粘着するようにしてその場にとどまり、その状態で炭化が進んで、鉄板から脱落することなく強固な炭化耐火層を形成するに至った。また、熱可塑性ウレタン樹脂に硬化させたフェノール樹脂粉末を混練したもの(比較例3)については、加熱に伴い、炭化はおこるものの、ウレタンとフェノールが溶融混練されていないためフェノールの分散が均一でなく、炭化が均一に起こらず、炭化層にムラが生ずる結果となった。また、得られた炭化層も脆いものであった。
表2には、本発明にかかる、熱膨張性黒鉛を添加した炭化耐火組成物(実施例6ないし実施例8)を示す。熱膨張性黒鉛は、Graf Guard(Ucar Carbon社製)を、樹脂組成物100重量部あたり20重量部添加した。比較例4として、ウレタン樹脂に熱膨張性黒鉛を添加した。
Figure 0005103140
表2の熱膨張性炭化耐火組成物に、同様の耐火試験を行い、形成される炭化耐火層の評価を行った。実施例6ないし実施例8においては、加熱に伴い熱膨張性黒鉛が膨張し、膨張した炭化耐火層が得られた。得られた膨張した炭化耐火層は、形状保持性に優れるものであった。比較例4においては、加熱に伴い熱膨張性黒鉛が膨張し、膨張した炭化耐火層が得られたが、実施例のものに比べ、得られる膨張層が脆弱であり、形状保持性に劣るものであった。
本発明によれば、火災時に飛散・脱落することなく強固な炭化耐火層を形成可能であり、かつ耐火シートに成形した際に施工性に優れる柔軟なシートが得られるような、炭化耐火組成物が提供でき、そのような炭化耐火組成物からなる防火シートや、それら防火シートによる建築構造物表面への炭化耐火層を形成する方法を提供できる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性ウレタン樹脂90〜60重量部に対し、熱可塑性フェノール樹脂を10〜40部を、両者の合計が100重量部となるように配合し溶融混練してなる樹脂組成物を含むと共に、
    熱膨張性黒鉛が含まれる炭化耐火組成物であって、
    熱可塑性フェノール樹脂の可塑化温度が、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度よりも低いことを特徴とする炭化耐火組成物。
  2. 請求項1に記載の炭化耐火組成物からなる耐火シート。
  3. 請求項1に記載の炭化耐火組成物をシート状に形成し、建築構造物表面を覆うように施工することを特徴とする、炭化耐火層の形成方法。
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