JP5102230B2 - メチルn−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶、非晶質体または塩 - Google Patents

メチルn−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶、非晶質体または塩 Download PDF

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本発明は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶、非晶質体、塩および塩の水和物に関する。
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害作用を有する化合物は、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療に有用であると期待されている。例えば、特許文献1には、PDE4阻害作用を有する化合物として下記の構造式を有する化合物が開示されている。
Figure 0005102230
さらに、特許文献2には、PDE4阻害作用を有する、特許文献1記載の化合物がアレルギー性疾患の治療に有用であるとの記載がなされている。
国際公開第99/37622号パンフレット 国際公開第06/093226号パンフレット
本発明者らは、特許文献1に記載の化合物よりも優れたPDE4阻害剤としてメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド等を見出した。本発明の目的は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶、非晶質体および塩を提供することにある。
本発明者らは、鋭意努力の結果、本発明を見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<13>を提供する。
<1> メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドまたはその水和物の結晶。
<2> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.2°、16.5°および/または24.5°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
<3> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 9.4°、16.8°および/または23.3°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
<4> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.6°、9.1°および/または23.2°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
<5> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 7.0°、10.4°および/または12.6°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
<6> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 5.4°、10.9°および/または11.9°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
<7> メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの非晶質。
<8> メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの塩またはその水和物。
<9> メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの無機酸塩またはその水和物。
<10> メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの有機酸塩またはその水和物。
<11> 無機酸塩が塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩またはリン酸塩である<9>に記載のメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド無機酸塩またはその水和物。
<12> 有機酸塩がメタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩である<10>に記載のメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド有機酸塩またはその水和物。
<13> 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト約146.19ppm、約102.78ppmおよび/または約27.47ppmにピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
本発明に係る、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶、非晶質体、塩および塩の水和物は、PDE4阻害作用を有し、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療に有用である。
実施例2で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例3で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例4で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例5で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例6で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例7で得られた非晶質体の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例8で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例9で得られた塩酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例10で得られた臭化水素酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例11で得られた硫酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例12で得られたメタンスルホン酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例13で得られたp−トルエンスルホン酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 実施例14で得られたリン塩酸塩の粉末X線回折パターンを表す図である。 オキサゾロン誘導マウスの掻爬行動の回数を示す図である。 オキサゾロン誘導マウスの皮膚症状所見(1日後)の結果を示す図である。 実施例2で得られた結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
以下に本発明の内容について詳細に説明する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの第1の結晶は、粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.2°、16.5°および/または24.5°に回折ピークを有する。当該結晶は、13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト約146.19ppm、約102.78ppmおよび/または約27.47ppmにピークを有する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの第2の結晶は、粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 9.4°、16.8°および/または23.3°に回折ピークを有する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第1の結晶は、粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.6°、9.1°および/または23.2°に回折ピークを有する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第2の結晶は、粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 7.0°、10.4°および/または12.6°に回折ピークを有する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第3の結晶は、粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 5.4°、10.9°および/または11.9°に回折ピークを有する。
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は、±0.2°の範囲内で誤差が生じうるから、上記回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折における回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2°の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
また、「回折角度(2θ±0.2°) α°、β°および/またはγ°に回折ピークを有する」とは、上記回折ピークのうち少なくとも1つの回折ピークを有するということを意味する。
一般に、13C固体NMRスペクトルにおける化学シフト(ppm)はある程度の誤差が生じうるから、13C固体NMRスペクトルにおけるピーク(化学シフト)が完全に一致する結晶だけでなく、通常の測定条件、もしくは本明細書と実質的に同一の条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフトが実質的に同等なピークを有する結晶をも意味するが、具体的には±0.5ppm程度の範囲内の数値も含むものとして理解される。すなわち、13C固体NMRスペクトルにおけるピーク(化学シフト)が完全に一致する結晶だけでなく、ピーク(化学シフト)が±0.5ppm程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
また、「化学シフト約αppm、約βppmおよび/または約γppmにピークを有する」とは、上記化学シフトのピークのうち少なくとも1つのピークを有するということを意味する。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドは、例えば下記実施例1に記載の方法で製造することができる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの第1の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドをアセトニトリルに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下でアセトニトリルに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。
アセトニトリルの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。より詳細には、下記実施例2に記載の方法に従って、製造することができる。また、下記実施例8に記載の方法に従って、製造することもできる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの第2の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを2−プロパノールに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下で2−プロパノールに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。
2−プロパノールの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
より詳細には、下記実施例3に記載の方法に従って、製造することができる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第1の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドをアセトンに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下でアセトンに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。
アセトンの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
より詳細には、下記実施例4に記載の方法に従って、製造することができる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第2の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドをメタノールに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。
より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下でメタノールに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。メタノールの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
より詳細には、下記実施例5に記載の方法に従って、製造することができる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第3の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドをテトロヒドロフランに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下でテトロヒドロフランに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。晶析化の際に水を加えてもよい。テトロヒドロフランの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
水を加える場合、その量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドに対して0.1〜10倍量(v/w)用いるのが好ましい。より詳細には、下記実施例6に記載の方法に従って、製造することができる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の第3の結晶は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドをテトロヒドロフランに溶解した後、結晶を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドを室温または加熱下でテトロヒドロフランに溶解し、この溶液を4℃〜室温まで徐冷して結晶を析出させる。晶析化の際に水を加えてもよい。テトロヒドロフランの量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、非晶質体の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
水を加える場合、その量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドに対して0.1〜10倍量(v/w)用いるのが好ましい。より詳細には、下記実施例6に記載の方法に従って、製造することができる。
上記の製造方法において使用するメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドは、無水物であっても水和物であってもよく、任意の結晶でも非晶質体でもよく、また、これらの混合物であってもよい。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの塩は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドと塩を形成し、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。塩の水和物も本発明の範囲に含まれる。
無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられ、特に好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩またはリン酸塩である。有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられ、特に好ましくはメタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩である。
無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩等が挙げられる。
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの塩または水和物は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドおよび所定の酸または塩基を溶媒に溶解とした後、この溶液から塩を析出させることで製造することができる。より詳細には、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドおよび溶媒を室温または加熱下で混合し、さらに所定の酸または塩基を加えて溶解する。この溶液を4℃〜室温まで徐冷して塩を析出させる。
溶媒はメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドおよび所定の酸または塩基を溶解するものであれば特に制限されないが、ジメチルスルホキシドが好ましい。溶媒量は特に制限されないが、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが加熱により溶解する量を下限とし、塩の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。
加熱温度は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドが溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは50℃から再結晶溶媒の還流温度である。徐冷速度は、5〜30℃/時間で行うことができる。
酸または塩基の量は、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドに対して0.1〜10当量用いることができる。より詳細には、下記実施例9〜14に記載の方法に従って、製造することができる。
上記の製造方法において使用するメチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドは、無水物であっても水和物であってもよく、任意の結晶でも非晶質体でもよく、また、これらの混合物であってもよい。
本発明の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物を医薬として使用する場合、通常、本発明の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物と適当な添加剤とを混和し、製剤化したものを使用する。ただし、前記は、本発明の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物を原体のまま医薬として使用することを否定するものではない。
上記添加剤としては、一般に医薬に使用される、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等を挙げることができ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
上記賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
上記結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を挙げることができる。
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカ等を挙げることができる。
上記崩壊剤としては、例えば結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等を挙げることができる。
上記着色剤としては、例えば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルミン、カラメル、β−カロチン、酸化チタン、タルク、リン酸リボフラビンナトリウム、黄色アルミニウムレーキ等、医薬品に添加することが許可されているものを挙げることができる。
上記矯味矯臭剤としては、例えばココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等を挙げることができる。
上記乳化剤または界面活性剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
上記溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等を挙げることができる。
上記懸濁化剤としては、前記界面活性剤のほか、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子を挙げることができる。
上記等張化剤としては、例えばブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができる。
上記緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液を挙げることができる。
上記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等を挙げることができる。
上記抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等を挙げることができる。
上記安定化剤としては、一般に医薬に使用されるものを挙げることができる。
上記吸収促進剤としては、一般に医薬に使用されるものを挙げることができる。
また、上記製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤のような経口剤;坐剤、軟膏剤、眼軟膏剤、テープ剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤のような外用剤または注射剤を挙げることができ、好ましくは、患部に対して直接的に作用するため外用剤である。
上記経口剤は、上記添加剤を適宜組み合わせて製剤化する。なお、必要に応じてこれらの表面をコーティングしてもよい。
上記外用剤は、上記添加剤のうち、特に賦形剤、結合剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤または吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
上記注射剤は、上記添加剤のうち、特に乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤または吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
本発明にかかる医薬の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、薬剤に対する感受性差、疾患の具体的な種類等に応じて異なるが、通常、成人の場合は1日あたり経口投与で約30μg〜10g(好ましくは0.1mg〜100mg)の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物を、外用剤の場合には、30μg〜20g(好ましくは100μg〜10g)の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物を、注射剤の場合には、30μg〜1g(好ましくは100μg〜500mg)の結晶、非晶質体、塩または塩の水和物を、1日に1回投与または2〜6回に分けて使用する。
本発明に係る結晶形、非晶質体、塩および塩の水和物は、例えば、以下の製造例、実施例に記載した方法により製造することができる。ただし、これらは例示的なものであって、本発明の化合物は、如何なる場合も以下の具体例に制限されるものではない。
なお、粉末X線回折の測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法にしたがい、以下の条件で行った。
(装置)
理学X線DTAシステム:RINT−2000(株式会社リガク製)
(操作方法)
試料についてメノウ鉢で粉砕後、銅製基板にサンプリングし、以下の条件で測定を行った。
使用X線:CuKα線
管電圧:40kV
管電流:200mA
発散スリット:0.3mm
散乱スリット:1/2deg
走査速度:2°/分
走査ステップ:0.02°
測定範囲(2θ):5〜40°
製造例1
3−(2−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)フェニルアミンの合成
Figure 0005102230
2,4−ジクロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン 25gをトルエン:テトラヒドロフラン:2規定炭酸ナトリウム溶液=1:1:1の混合溶液2.25Lに懸濁した。反応液に3−アミノフェニルホウ素酸1/2硫酸塩21.5gを加えて、混合液を脱気し窒素置換した。反応液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.23gを加え窒素雰囲気下60℃にて撹拌した。反応開始から18時間後、反応液に1.2gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え撹拌を継続し、30時間後さらに1.2gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え撹拌を継続した。反応開始から48時間後、反応液を冷却後分液ロートに移し有機層を分取した。得られた有機層を飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し250gのシリカゲルを通して乾燥剤を除去した。シリカゲルを1.5Lの酢酸エチルで洗浄し、得られた有機層を合わせて濃縮乾固した。残渣を200mLの酢酸エチルでトリチュレーションし得られた固体を濾過した。固体をジエチルエーテル100mLおよびn−ヘプタン:酢酸エチル=1:1の混合溶液200mLで洗浄し通風乾燥し目的物28.2gを得た。収率92.5%。
H−NMR(DMSO−d)δ(ppm):3.86(3H,s),4.01(3H,s),5.40(2H,br),6.79(1H,dd,J=1.6,8.0Hz),6.93(1H,brd,J=8.0Hz),7.02(1H,t,J=1.6Hz),7.24(1H,t,J=8.0Hz),7.41(1H,s),7.43(1H,s).
製造例2
[4−(3−アミノフェニル)−6,7−ジメトキシキナゾリン−2−イル]メチルアミンの合成
Figure 0005102230
3−(2−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)フェニルアミン 14gをテトラヒドロフラン:イソプロパノール=2:1の混合液135mLに懸濁し、反応液にメチルアミンのメタノール溶液89mLを加え、反応液を耐圧封管反応容器中で130℃にて24時間撹拌した。反応液を室温に冷却後、300mLの酢酸エチルで希釈し、300mLの水で洗浄した。水層を100mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて100mLの飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、濃縮乾固し、酢酸エチル:テトラヒドロフラン=3:1の混合溶媒中でトリチュレーションした。得られた固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄後通風乾燥し目的物10gを得た。濾液を50gのシリカゲルカラムに吸着させ、酢酸エチル:メタノール=9:1の混合溶液で溶離後濃縮乾固した。残渣を酢酸エチル中でトリチュレーションし得られた固体を濾過、ジエチルエーテルで洗浄後通風乾燥し目的物1.4gを得た。収率合わせて82.9%
H−NMR(CDCl)δ(ppm):3.12(3H,d,J=5.2Hz),3.80(2H,brs),3.82(3H,s),4.03(3H,s),5.30(1H,br),6.83(1H,dd,J=1.6,8.0Hz),6.99(1H,t,J=1.6Hz),7.04(1H,brd,J=8.0Hz),7.07(1H,s),7.15(1H,s),7.30(1H,t,J=8.0Hz).
製造例3
3−(2−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)フェニルアミン(製造例1)の別法
窒素気流下、炭酸ナトリウム 634g(5.98mol)に水 2.91kgを加え撹拌して溶解し、この溶液へテトラヒドロフラン 3.0L、3−アミノフェニルホウ素酸1水和物 431g(2.78mol)、トリフェニルホスフィン 30.4g(0.116mol)、ジクロロパラジウム 26.0g(0.116mol)を順次加えた。この混合液を60℃にて撹拌しながら、2,4−ジクロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン 600g(2.32mol)のテトラヒドロフラン(12.0L)溶液を2時間で滴下し、同温で16時間撹拌した。反応液へ5%食塩水 3.0kg、テトラヒドロフラン 12.0Lを順次加え、50℃にて1時間撹拌した後25℃へ冷却した。この反応液をセライト濾過して不溶物を除去し、濾液を分液装置に移し有機層を分取した。得られた有機層へ無水硫酸マグネシウム 150g、活性炭 60.0gを加え、50℃にて1時間撹拌した後25℃へ冷却した。この混合液をセライト濾過して不溶物を除去し、濾液を減圧濃縮した。残渣へ水 6.0Lを加え室温にて1時間撹拌した後、析出している結晶を濾過した。得られた結晶を50℃にて減圧乾燥し、目的物 730g(含有率 62.2%)を得た。収率62.1%。
製造例4
[4−(3−アミノフェニル)−6,7−ジメトキシキナゾリン−2−イル]メチルアミン(製造例2)の別法
3−(2−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)フェニルアミンの粗体 200g(含有量 124g:0.394mol)をテトラヒドロフラン 1.2Lとイソプロパノール 0.6Lの混合液に懸濁し、これにメチルアミンのメタノール溶液 1.2Lを加え、SUS製オートクレーブ中で90℃にて15時間撹拌した。反応液を25℃に冷却後、減圧濃縮した。残渣に水 1.0L、クロロホルム 4.0Lを加え、50℃にて0.5時間撹拌した後25℃へ冷却した。この反応液をセライト濾過して不溶物を除去し、濾液を分液装置に移し有機層を分取した。得られた有機層へ無水硫酸マグネシウム 50.0g、活性炭 20.0gを加え、50℃にて1時間撹拌した後25℃へ冷却した。この混合液をセライト濾過して不溶物を除去し、濾液を減圧濃縮した。残渣へクロロホルム 904mLを加え50℃にて1時間撹拌した後、熱源を切って終夜撹拌した。次いで、氷冷下で2時間撹拌し、析出している結晶を濾過した。得られた結晶を50℃にて減圧乾燥し、目的物 76.3gを得た。
収率38.7%。
製造例5
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの合成
Figure 0005102230
(1)[テレフタル酸モノメチルクロリド/N,N−ジイソプロピルエチルアミン]溶液の調製
窒素気流下、テレフタル酸モノメチル1.997kg(11.08mol)と1,2−ジメトキシエタン15.60kgの懸濁液をジャケット温度10℃で冷却しながら撹拌し、これにN,N−ジメチルホルムアミド400mL(5.17mol)を投入、次いでチオニルクロリド1.323kg(10.56mol)を投入し、その容器を1,2−ジメトキシエタン1.00Lで洗い込んだ。この懸濁液を60〜73℃で1時間2分加熱撹拌した後、冷却しながら撹拌した。この溶液をジャケット温度0℃で冷却しながらN,N−ジイソプロピルエチルアミン1.36kg(10.52mol)を滴下し、その容器を1,2−ジメトキシエタン1.00Lで洗い込んだ。次いで、反応液をジャケット温度25℃で撹拌し、内温が20℃に達してから38分後に撹拌を停止した。反応液をポリ容器に移して計量し、[テレフタル酸モノメチルクロリド/N,N−ジイソプロピルエチルアミン]溶液22.00kg(テレフタル酸モノメチルクロリド含有量:1.84kg)を微黄褐色溶液として得た。
(2)メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの合成
窒素気流下、[4−(3−アミノフェニル)−6,7−ジメトキシキナゾリン−2−イル]メチルアミン2.000kg(6.39mol)とテトラヒドロフラン71.14kgの懸濁液をジャケット温度0℃で冷却しながら撹拌した。この懸濁液に[テレフタル酸モノメチルクロリド/N,N−ジイソプロピルエチルアミン]溶液16.70kg(テレフタル酸モノメチルクロリド含有量:1.40kg,7.03mol)を1時間26分かけて滴下し、この容器を1,2−ジメトキシエタン1.40Lで洗い込んだ後、0℃で13時間4分撹拌した。この反応混合物に、0℃冷却下、酢酸エチル36.5kgを加え、次いで、5%重曹水80.1kgを滴下した後、ジャケット温度20℃で1時間10分撹拌した。酢酸エチル37.3kgを投入し、撹拌後、水層を分液した。有機層を5%食塩水40.0kg、水40.2kg、水40.1kgで順次洗浄した。有機層をジャケット温度40℃で減圧濃縮し、濃縮残渣にメタノール23.70kgを加えた後、60〜66℃に加熱しながら1時間1分撹拌した。この懸濁液をジャケット温度50℃で撹拌しながら、2−プロパノール23.60kgを1時間で滴下した。次いで、10℃/時間で徐冷後、ジャケット温度20℃で12時間23分撹拌した。析出した結晶を濾取し、この結晶をメタノール3.00Lと2−プロパノール3.00Lの混合液で洗浄し、さらに2−プロパノ−ル6.00Lで洗浄し、目的物の粗体5.52kg(wet体、目的物含有量:2.57kg、5.44mol)を淡黄色結晶として得た(収率85.3%)。
窒素気流下、目的物の粗体(wet体)5.398kg(目的物含有量:2.518kg,5.33mol)とジメチルスルホキシド8.01Lの懸濁液を60〜70℃で加熱撹拌し、結晶を溶解させた。この溶液を清澄濾過し、ジメチルスルホキシド2.00Lでリンスした。この濾液を、ジャケット温度60℃であらかじめ加熱しておいた210L反応缶に移し、ジメチルスルホキシド2.01Lで洗い込んだ。この溶液に2−プロパノール18.9kgを40分で滴下した後、目的物の種結晶15.02gを投入し、さらに2−プロパノール9.44kgを57分間で滴下した。この懸濁液を60℃で1時間30分撹拌した後、ジャケット温度を80℃に設定して加熱撹拌を37時間24分継続した。次いで、2−プロパノール56.6kgを2時間8分で滴下し、20℃まで徐冷(10℃/時間)した後、同温で65時間50分撹拌した。析出した結晶を濾取し、この結晶をジメチルスルホキシド534mLと2−プロパノール4.81Lの混合液で洗浄し、さらに2−プロパノール8.01Lで洗浄した。得られた結晶をジャケット温度50℃で減圧乾燥し、目的物2.30kgを黄色結晶として得た(収率90.8%)。
実施例1
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの合成
Figure 0005102230
[4−(3−アミノフェニル)−6,7−ジメトキシキナゾリン−2−イル]メチルアミン 16.8gとピリジン8.6gとをテトラヒドロフラン300mLに溶解させたものに、4−クロロカルボニル安息香酸 メチルエステル11.8gを室温にて加え、反応液を24時間攪拌した。反応液にジメチルスルホキシド100mLを加えた後、反応液を酢酸エチル2000mL−テトラヒドロフラン1000mLの混合溶媒と飽和重曹水1000mLで分配し、有機層を分取した。水層をさらに酢酸エチル500mL−テトラヒドロフラン500mLの混合溶媒で抽出した後、合わせた有機層を飽和重曹水1000mL、飽和食塩水1000mLの順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を塩基性シリカゲルパッド100gで濾去し、酢酸エチル2000mLで洗い込んだ。集めた溶出液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をテトラヒドロフラン100mL−ジエチルエーテル500mLの混合溶媒に懸濁させてトリチュレーションした。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテル100mLで2回洗浄後、50℃にて5時間通風乾燥し、表記化合物の結晶13.8g(収率53.2%)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ(ppm):2.88(3H,d,J=4.4Hz),3.74(3H,s),3.89(3H,s),3.92(3H,s),6.99(1H,s),7.00(1H,brs),7.17(1H,s),7.46(1H,d,J=8.0Hz),7.55(1H,t,J=8.0Hz),7.87(1H,brd,J=8.0Hz),8.08(4H,s),8.20(1H,brs),10.61(1H,s).
実施例2
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の無水物結晶1
実施例1で得られた化合物75.28mgにアセトニトリル9mLを加え、油浴中で加温して溶解し、室温まで冷却した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記結晶を得た。
この物質の主なX線回折角(2θ)は、8.2°、16.5°、24.5°であった。X線回折パターンを図1に示す。
実施例3
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の無水物結晶2
実施例1で得られた化合物52.93mgに2−プロパノール12mLを加え、油浴中で加温して溶解し、室温まで冷却した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記結晶を得た。
この物質の主なX線回折角(2θ)は、9.4°、16.8°、23.3°であった。X線回折パターンを図2に示す。
実施例4
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の水和物結晶1
実施例1で得られた化合物75.71mgにアセトン15mLを加え、油浴中で加温して溶解し、室温まで冷却した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記結晶を得た。
この物質の主なX線回折角(2θ)は、8.6°、9.1°、23.2°であった。このX線回折パターンを図3に示す。
実施例5
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の水和物結晶2
実施例1で得られた化合物75.88mgにメタノール16mLを加え、油浴中で加温して溶解し、室温まで冷却した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記結晶を得た。
この物質の主なX線回折角(2θ)は、7.0°、10.4°、12.6°であった。このX線回折パターンを図4に示す。
実施例6
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の水和物結晶3
実施例1で得られた化合物49.90mgにテトラヒドロフラン2mLを加え、油浴中で加温して溶解し、室温まで冷却した後、さらに水10mLを加え、静置した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記結晶を得た。
この物質の主なX線回折角(2θ)は、5.4°、10.9°、11.9°であった。このX線回折パターンを図5に示す。
実施例7
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の非晶質
実施例1で得られた化合物36.49mgにジメチルスルホキシド0.2mLを加え、溶解した。さらに水10mLを加え静置した。沈殿物を濾取後、50℃で一晩乾燥し、表記非晶質を得た。
この物質のX線回折パターンを図6に示す。
実施例8
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(実施例1)の無水物結晶1の別製造方法
テレフタル酸モノメチル10.00g(55.51mmol)と1,2−ジメトキシエタン90mLの懸濁液を10℃の冷水浴で冷却しながら撹拌し、これにN,N−ジメチルホルムアミド2.0mLとチオニルクロリド6.61g(52.75mmol)を順次投入した。この懸濁液を60〜65℃で1時間加熱撹拌後、放冷し、さらに氷水浴で冷却しながら撹拌した。この溶液に、ジイソプロピルエチルアミン6.83g(52.82mmol)を滴下した。次いで、反応液を室温で撹拌し、内温が20℃に達してから30分後に撹拌を停止した。反応液を200mLナスフラスコに移して計量し、[テレフタル酸モノメチルクロリド/ジイソプロピルエチルアミン]混合溶液109.49g(テレフタル酸モノメチルクロリド含有量 8.89g)を微黄褐色溶液として得た。
続いて、[4−(3−アミノフェニル)−6,7−ジメトキシキナゾリン−2−イル]メチルアミン9.50g(30.00mmol)とテトラヒドロフラン380mLの懸濁液を0℃で冷却しながら撹拌した。この懸濁液に上記[テレフタル酸モノメチルクロリド/ジイソプロピルエチルアミン]混合溶液80.71g(テレフタル酸モノメチルクロリド含有量 6.55g,33.00mmol)を1時間かけて滴下し、0℃で11時間撹拌した。この反応混合物に、0℃冷却下、酢酸エチル190mLを加え、次いで、5%重曹水380gを滴下した。反応液を分液ロートへ移し、酢酸エチル190mLで洗い込んだ。抽出後、有機層を分液し、5%食塩水190g、水190mL(2回)で順次洗浄した。有機層を40℃で減圧濃縮し、濃縮残渣にメタノール143mLを加え、40℃に加熱しながら撹拌した。撹拌開始から33分後にオイルバスの設定を75℃に変更し、内温が60℃を超えてから30分後にオイルバスの設定を50℃に変更した。内温が55℃に下がったところで、2−プロパノール143mLを滴下した。次いで、内温27.3℃まで徐冷後、20℃で17時間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過し、メタノール14.3mLと2−プロパノール14.3mLの混合液で洗浄した。真空ラインで10分間吸引して脱液し、目的物の粗体15.72g(wet体、目的物含有量 13.31g)を淡黄色結晶として得た(収率 93.9%)。
目的物の粗体(wet体)15.48g(目的物含有量 13.11g,27.00mmol)とジメチルスルホキシド40mLの懸濁液を60℃で加熱撹拌し、結晶を溶解させた。この溶液を清澄濾過し、ジメチルスルホキシド10mLで洗浄した。この濾液を、あらかじめ60℃の温水ジャケットで加熱しておいた1000mL四頸ガラス容器に移し、ジメチルスルホキシド10mLで洗い込んだ後、60℃で加熱しながら撹拌した。この溶液に2−プロパノール119mLを滴下した後、目的物の種結晶49.3mgを投入し、さらに2−プロパノール60mLを滴下した。この懸濁液を60℃で2時間撹拌した後、ジャケット温度を80℃に設定して加熱撹拌を16.5時間継続した。次いで、2−プロパノール120mLを滴下し、3時間後、さらに2−プロパノール362mLを滴下した後、20℃まで徐冷(10℃/時間)、同温で撹拌した。59.5時間後、析出した結晶を濾取し、結晶をジメチルスルホキシド2.6mLと2−プロパノール24mLの混合液で洗浄し、さらに2−プロパノール40mLで洗浄した後、真空ラインで吸引して脱液した。得られた結晶を減圧乾燥し、目的物9.84gを黄色結晶として得た(収率 73.7%)。
この物質のX線回折パターンを図7に示す。
実施例9
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド塩酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(99.37mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、塩酸(22μL)を加えた。加温下ジメチルスルホキシド(2mL)を加え、溶解させた後、2−プロパノール(3mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(88.65mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):10.52°/100、13.52°/23、14.58°/38、15.98°/22、23.32°/23、24.16°/43、24.94°/37、25.98°/29、26.24°/49、27.38°/41。このうち、特に特徴的なピークは10.52°および14.58°である。X線回折パターンを図8に示す。
実施例10
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド臭化水素酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(100.90mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、臭化水素酸(40μL)を加えた。加温しながら、2−プロパノール(5mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(108.92mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):7.00°/61、8.92°/21、10.44°/100、13.38°/24、16.94°/25、17.30°/23、18.86°/21、21.18°/21、21.82°/25、23.10°/30、25.98°/37。このうち、特に特徴的なピークは7.00°、8.92°および10.44°である。X線回折パターンを図9に示す。
実施例11
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド硫酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(103.92mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、硫酸(26μL)を加えた。加温し溶解させた後、2−プロパノール(3mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(112.12mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):4.42°/68、6.76°/100、7.46°/44、8.22°/34、17.88°/33、22.98°/38。このうち、特に特徴的なピークは4.42°、6.76°および7.46°である。X線回折パターンを図10に示す。
実施例12
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドメタンスルホン酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(98.58mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、メタンスルホン酸(22μL)を加えた。加温下ジメチルスルホキシド(1.5mL)を加え、溶解させた後、2−プロパノール(15mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(119.47mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):4.92°/46、8.72°/100、9.36°/50、16.90°/79、17.56°/54、19.78°/52。このうち、特に特徴的なピークは4.92°、8.72°および19.78°である。X線回折パターンを図11に示す。
実施例13
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドp−トルエンスルホン酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(106.56mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、p−トルエンスルホン酸一水和物(47.98mg)を加えた。加温し溶解させた後、2−プロパノール(5mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(57.34mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):6.60°/100、9.24°/10、14.12°/13、14.64°/15、20.06°/14、23.56°/21。このうち、特に特徴的なピークは6.60°、9.24°および14.12°である。X線回折パターンを図12に示す。
実施例14
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドリン酸塩
メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッド(96.52mg)にジメチルスルホキシド(1mL)、リン酸(25μL)を加えた。加温下ジメチルスルホキシド(0.75mL)を加え、溶解させた後、2−プロパノール(2mL)を加え、室温に冷却して固体化させた。固体を濾取し、標記化合物(114.15mg)を得た。
X線回折データ(回折角(2θ)/相対強度):4.10°/100、5.12°/83、8.38°/51、12.16°/17、17.98°/50、18.44°/35。このうち、特に特徴的なピークは4.10°、5.12°および8.38°である。X線回折パターンを図13に示す。
13 C固体NMRスペクトルの測定
実施例2で得られた結晶の13C固体NMRスペクトルを以下の条件で測定した。スペクトルを図16に示し、化学シフトを表1にまとめた。146.19ppm、102.78ppmおよび27.47ppmに特徴的なピークが認められた。
測定装置:AVANCE400(ブルカー)
プローブ:7mm−CP/MAS(ブルカー)
試料回転数:5000Hz
測定法:CP/TOSS法
コンタクトタイム:1ミリ秒
待ち時間:3秒
積算回数:5120
外部標準:グリシンのカルボニル炭素の化学シフトを176.03ppmとした。
Figure 0005102230
[薬理試験例]
本発明者らは、実施例1の化合物の止痒剤としての効果を確認するため、以下の試験を行った。
試験例1
オキサゾロン誘導掻爬行動モデルにおける化合物評価
<試験方法>
試験動物は、市販の5週齢のNC/Nga雌性マウス(日本エスエルシー)を用いた。馴化のための7日間の予備飼育期間を経た後、一般状態に変化が認められず、順調な体重増加を示した動物を試験に使用した。
1)感作および誘発
感作は馴化期間の経過した6週齢のマウスに1回、マウスの左右耳介部にそれぞれ0.5%4−エトキシメチレン−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン(以下「オキサゾロン」と略す。Sigma社)を含むアセトン(和光純薬株式会社)溶液を20μL塗布することにより行われた。
誘発は、感作後5日目、感作後5日より2日または3日後、さらに前記日より2日または3日後の計3回、マウスの左耳介部に0.3%オキサゾロンを10μL塗布することにより行われた。
2)掻爬行動測定
掻爬行動は客観的な評価を行うため、Micro Act装置(ニューロサイエンス社)を用いて自動的に測定した。ジエチルエーテル(和光純薬株式会社)麻酔したマウスの左後足の皮下にマグネット片(直径1mm、長さ3mm、ニューロサイエンス社)を遅くとも測定の前日までに挿入した。オキサゾロン塗布による掻爬行動を誘発した後、マウスを直ちにコイルが巻かれたチャンバー(直径11cm,高さ18cm)に移し、マウスの足に挿入したマグネットの動きによって誘導される電流を一定時間測定した。掻爬行動を反映する特徴的な波形をMicro Act装置で検出し、検出された波形の出現頻度を掻爬行動の回数としてカウントした。
3)被験物質の評価
試験化合物の調製:実施例1の化合物は混合溶媒(アセトン:エタノール=1:1)に対して0.3%濃度となるよう調製した。
被験物質の群構成として、以下の3群:(1)Normal群:混合溶媒(アセトン:エタノール=1:1)塗布群、(2)Control群:混合溶媒(アセトン:エタノール=1:1)塗布群、(3)実施例1の化合物塗布群を設定した。なお、各群のマウスは、2回目の誘発時の掻爬回数を基に掻爬回数が均一化するよう群分けしておいた。
被験物資の評価:被験物質(Normal群およびControl群は、混合溶媒(アセトン:エタノール=1:1)のみを塗布。)は3回目のオキサゾロン塗布の1時間前に10μL投与した。評価は3回目のオキサゾロン塗布(Normal群は混合溶媒(アセトン:エタノール=1:1)を塗布。)による誘発後2時間の掻爬回数を指標に実施した。併せて、皮膚症状による評価を実施した。すなわち、3回目のオキサゾロン塗布前日と塗布一日後もしくは塗布四日後の掻爬行動関連所見である(1)「擦傷」、(2)「出血・糜爛」のそれぞれの項目に関して0〜3点(0;症状なし、1;軽度、2;中等度、3;重度)の4段階の評点化を行い、オキサゾロンの誘発前後における評点の差を指標として掻爬行動を評価した。なお、評点化は項目ごとに実施し、それらの合計をその個体の評点とした。
<試験結果>
1)掻爬回数の測定結果を図14に示す。(図14における、Normal群はn=11、その他の群はn=17である。)
2)皮膚症状所見の測定結果を図15に示す。図15は投与一日後の評点から投与前の評点を差し引いた値をグラフ化したものである。(図15における、Normal群はn=11、その他の群はn=17である。)
以上の結果より、実施例1の化合物は、掻爬行動を抑制し、かつ掻爬行動によりもたらされる皮膚症状の悪化を抑制していることから、優れた止痒効果を有していることが示された。
試験例2
ヒト凍結肝細胞を用いた薬物代謝酵素(CYP)誘導能評価実験
<試験操作>
ヒト凍結肝細胞(XenoTeck社)を37℃で攪拌させながら素早く融解し、Hepatocytes Isolation Kit(日本農産工業株式会社)を用いて生細胞を分取した。得られた肝細胞を氷冷したWilliam’s Medium E(10%FBS、+PSG)で5×10cells/mLとなるように希釈し、48穴コラーゲンコートプレート(BD Biosciences社)に1×10cells/cmで播種し、37℃、5%COで24時間培養した。その後、培養された肝細胞をHepato−STIM(登録商標:BD Biosciences社)(+EGF、PSG、−FBS)に培地交換し、37℃、5%COの条件下でさらに24時間培養した。その後、当該肝細胞に被検化合物、ヒトCYP1Aのポジティブコントロールとしてβ−ナフトフラボン(SIGMA社)またはヒトCYP3A4のポジティブコントロールとしてリファンピシン(和光純薬工業株式会社)の希釈溶液をそれぞれ添加し、37℃、5%COの条件下で約48時間培養した。被検化合物または各ポジティブコントロールの希釈溶液を24時間ごとに新しいものに交換した。なお、被験化合物及びポジティブコントロールはジメチルスルホキシド(DMSO:和光純薬工業株式会社)で調製し、被験化合物の希釈溶液(最終濃度;1μM、3μM、10μM)およびポジティブコントロールの希釈溶液(最終濃度;10μM)はHepato−STIM(+EGF,PSG,−FBS)を用いてそれぞれ調製した。全ての処理においてDMSOの最終濃度がHepato−STIM(+EGF,PSG,−FBS)に対し0.1%濃度になるようにした。コントロールは最終濃度で0.1%となるようにDMSOをHepato−STIM(+EGF,PSG,−FBS)に添加した。培養終了後、PBSを用いて該肝細胞を1回洗浄した後、Total RNA Purification Kit(Applied Biosystems社)を用いてtotal RNAを精製した。精製したtotal RNAを、TaqMan Reverse Transcription Reagents(Applied Biosystems社)を用いて逆転写させ、cDNAを合成した。
cDNAの合成にはoligo dTを用い、Gene Amp PCR system 9700にて、25℃で10分間反応させた後、48℃で60分間反応させ、95℃、10分で逆転写酵素を失活させた。CYP1A1およびGAPDHのmRNAの定量は、SYBR Green PCR Core Reagents Kit(Applied Biosystems社)を用いてABI7900(Applied Biosystems社)により行った。CYP1A2およびCYP3A4のmRNAの定量は、Taqman PCR Core Reagents Kit(Applied Biosystems社)を用いてABI7900(Applied Biosystems社)により行った。mRNA定量のためPCRに用いたプライマー配列およびPCR条件を表2及び3にそれぞれ示した。
プライマー配列
Figure 0005102230
PCR条件
Figure 0005102230
※変性、アニーリング、伸長反応を1サイクルとして、50サイクル繰り返した。
<CYP誘導能の算出>
被験化合物のCYP1A1誘導能を以下のようにして算出した。
被験化合物のCYP1A1誘導能(%)={[(被験化合物添加時のCYP1A1のmRNA量)/(被験化合物添加時のGAPDHのmRNA量)]/[(DMSOコントロール添加時のCYP1A1のmRNA量)/(DMSOコントロール添加時のGAPDHのmRNA量)]−1}/{[(ポジティブコントロール添加時のCYP1A1のmRNA量)/(ポジティブコントロール添加時のGAPDHのmRNA量)]/[(DMSOコントロール添加時のCYP1A1のmRNA量)/(DMSOコントロール添加時のGAPDHのmRNA量)]−1}×100
CYP1A2およびCYP3A4の誘導能についても同様にして算出した。
<試験結果>
実施例1の化合物の結果を表4に示す。なお、比較例として、WO99/37622の実施例1に記載の化合物(4−(3−ベンゾイルアミノフェニル)−6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン)を用いた。
以上の結果より、実施例1にかかる化合物は、比較例の化合物に比して、CYP誘導能が低いことが示された。
Figure 0005102230
本発明により、アトピー性疾患等の痒みに対して有用な薬剤となる化合物の結晶、非晶質体、塩および塩の水和物を提供することができる。

Claims (6)

  1. 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.2°、16.5°および24.5°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
  2. 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 9.4°、16.8°および23.3°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
  3. 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 8.6°、9.1°および23.2°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
  4. 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 7.0°、10.4°および12.6°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
  5. 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°) 5.4°、10.9°および11.9°に回折ピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの水和物の結晶。
  6. 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト146.19ppm、102.78ppmおよび27.47ppmにピークを有することを特徴とする、メチル N−[3−(6,7−ジメトキシ−2−メチルアミノキナゾリン−4−イル)フェニル]テレフタラミックアシッドの結晶。
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