JP5099261B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
従来の空燃比制御装置(従来装置)は、機関の排気通路であって触媒の下流側に配設された下流側空燃比センサを備える。従来装置は、気筒に吸入される空気量に基づいて「機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量」を求め、その基本燃料噴射量を少なくとも下流側空燃比センサの出力値に基づいて補正するようになっている。
より具体的に述べると、下流側空燃比センサは濃淡電池型酸素濃度センサであって出力値Voxsを出力する(図3を参照。)。下流側空燃比センサの出力値Voxsは、触媒から流出するガス(以下、「触媒流出ガス」とも称呼される。)の空燃比が理論空燃比よりも小さい場合(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である場合)、即ち、触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていない場合、最大出力値Vmaxとなる。「触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていない場合」とは、触媒流出ガス中の「未燃物と酸素と」が結合した結果、酸素が不足し未燃物が残る場合を言う。換言すると、「触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれていない場合」とは、触媒流出ガス中の未燃物を総て酸化するのに必要な量よりも少ない量の酸素が触媒流出ガス中に含まれている場合のことである。
更に、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きい場合(理論空燃比よりもリーン側の空燃比である場合)、即ち、触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれている場合、最小出力値Vminとなる。「触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれている場合」とは、触媒流出ガス中の「未燃物と酸素と」が結合した結果、未燃物は消滅し酸素が残る場合を言う。換言すると、「触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれている場合」とは、触媒流出ガス中の未燃物を総て酸化するのに必要な量よりも多い量の酸素が触媒流出ガス中に含まれている場合のことである。
このように、触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていると出力値は最小出力値Vminとなり、触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていなければ出力値は最大出力値Vmaxとなるので、出力値Voxsが「最大出力値Vmaxと最小出力値Vminとの中央の値Vmid(即ち、中央値Vmid=(Vmax+Vmin)/2)」に一致している場合、触媒流出ガスの空燃比は理論空燃比に一致していると考えられている。
そして、従来装置は、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「理論空燃比に相当する値(即ち、中央値Vmid)に設定された下流側目標値Voxsref」に一致するように空燃比のフィードバック量を比例・積分制御(PI制御)等に基づいて算出する。この空燃比のフィードバック量は、便宜上「サブフィードバック量」とも称呼される。従来装置は、基本燃料噴射量をサブフィードバック量により補正することにより、機関に供給される混合気の空燃比を制御し、以って、触媒流入ガスの空燃比を制御する(例えば、特開2005−171982号公報を参照。)。
従って、時刻t0以降における出力値Voxsは中央値Vmidよりも大きくなるので、従来装置によって算出されるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を減少(減量補正)する値になる。これにより、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比へと制御される。以下、理論空燃比よりもリーン側の空燃比を、単に「リーン空燃比」とも称呼する。
この結果、触媒流入ガスには過剰な酸素が含まれるので、触媒に吸蔵されている酸素の量(以下、「酸素吸蔵量OSA」とも称呼する。)は増加する。触媒の酸素吸蔵量OSAが比較的小さい場合、触媒は酸素を効率良く吸蔵することができる。従って、時刻t0における酸素吸蔵量OSAが比較的小さい場合、時刻t0以降において触媒流入ガスに含まれる過剰な酸素の殆どは触媒に吸蔵される。その結果、触媒流出ガスに酸素が含まれなていない状態が継続するので、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmaxに向けて増大し続ける。
その後、時刻t1において触媒の酸素吸蔵量OSAが所定の上限値CHiに到達すると、触媒は酸素を効率良く吸蔵することができなくなる。よって、触媒流出ガスに比較的多量の酸素が含まれ始める。この結果、時刻t1の直後の時点である時刻t2から下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vminに向けて減少し始める。
ところが、時刻t2からその後の時刻t5までの期間、出力値Voxsは中央値Vmid(従来装置の下流側目標値Voxsref)よりも大きいので、従来装置によるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を減少する値になり続ける。この結果、時刻t2以降においても酸素吸蔵量OSAは増大し続け、時刻t5より前の時刻t4にて「触媒の酸素吸蔵量OSAの最大値である最大酸素吸蔵量Cmax」に到達する。
このとき、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりリーン側の空燃比であり、従って、機関に供給される混合気の空燃比も理論空燃比よりリーン側の空燃比である。このため、触媒流入ガスには多量のNOx(窒素酸化物)が含まれている。ところが、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達しているから、触媒はNOxを充分に浄化することができない。この結果、時刻t4から時刻t5までの期間において、比較的多量のNOxが触媒の下流に排出される場合がある。このように、従来装置は、触媒による排気浄化作用にとって不必要な「燃料噴射量の減量補正」を行う場合がある(図39のハッチング部を参照。)。換言すると、従来装置によれば、触媒流入ガスの空燃比が「触媒の排気浄化効率を良好な値に維持するために必要とされる空燃比(以下、「触媒流入ガス要求空燃比」とも称呼する。)」よりもリーン側の空燃比に制御されてしまう。
一方、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「中央値Vmidに設定された下流側目標値Voxsref」よりも小さい場合、従来装置によって算出されるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を増大(増量補正)する値となる。それにより、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に制御される。以下、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比を、単に「リッチ空燃比」とも称呼する。
この結果、触媒流入ガスには過剰な未燃物(CO、HC及びH2等)が含まれるので、触媒に吸蔵されている酸素はその未燃物の浄化に使用される。従って、酸素吸蔵量OSAは減少する。しかしながら、触媒の酸素吸蔵量OSAが比較的大きい場合、触媒流入ガスに含まれる酸素はそのまま触媒下流に流出する。更には、下流側空燃比センサの近傍又は下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する酸素を完全に消費するのに充分な量の未燃物が触媒下流に流出しない。その結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値を維持する。
その後、触媒の酸素吸蔵量OSAが所定の下限値CLo(<CHi)にまで減少すると、触媒は触媒流入ガスに含まれる酸素を効率良く吸蔵し始めるとともに触媒流入ガスに含まれる未燃物を完全には浄化できなくなる。よって、触媒流出ガスに酸素が含まれなくなるとともに、比較的多量の未燃物が含まれ始める。この未燃物により、下流側空燃比センサの近傍又は下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する酸素が消費される。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値から最大出力値Vmaxに向けて増大し始める。
ところが、その時点から暫くの間、出力値Voxsは下流側目標値Voxsref(中央値Vmid)よりも小さいから、従来装置によるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を増大する値になり続ける。この結果、触媒の酸素吸蔵量OSAは減少し続け「0」に到達する。
このとき、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりリッチ側の空燃比であり、従って、機関に供給される混合気の空燃比も理論空燃比よりリッチ側の空燃比である。このため、触媒流入ガスには多量の未燃物が含まれる。更に、酸素吸蔵量OSAが「0」に達しているから、触媒はその未燃物を充分に浄化することができない。この結果、多量の未燃物が触媒の下流に排出される場合がある。このように、従来装置は、触媒による排気浄化作用にとって不必要な「燃料噴射量の増量補正」を行う場合がある。換言すると、従来装置によれば、触媒流入ガスの空燃比が「触媒流入ガス要求空燃比」よりもリッチ側の空燃比に制御されてしまう。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、実際の触媒流入ガスの空燃比が「触媒流入ガス要求空燃比」に出来るだけ一致するように「機関に供給される混合気の空燃比」を制御することにより、エミッションを更に改善することができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。更に、本発明の目的の他の一つは、触媒が担持する貴金属の量を低減することにより触媒の最大酸素吸蔵量Cmaxを低下させても、エミッションが悪化することのない空燃比制御装置を提供することにある。
本発明者は、下流側空燃比センサの出力値Voxsの時間的変化(時間の経過に伴う変化、変化速度)は触媒の状態(酸素吸蔵状態)を表すので、下流側空燃比センサの出力値Voxsの時間的変化に基づいて「触媒流入ガスの空燃比(即ち、機関に供給される混合気の空燃比)」を制御することにより、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比」に一致させることができるとの知見を得た。
以下、下流側空燃比センサの出力値Voxsの時間的変化が「触媒の状態を表す」理由について場合分けしながら説明する。
(1)酸素吸蔵量OSAが上述した下限値CLo(即ち、「0」に近い所定値)以下である状態の触媒(酸素不足状態にある触媒、酸素不足触媒)に、理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガスを供給した場合。
この場合、図4に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「未燃物(HC等)」と「過剰の酸素(O2)」とが含まれている。酸素は触媒43中の酸素吸蔵材と結合することにより触媒43に吸蔵される。未燃物は「触媒流入ガス中の酸素又は触媒43に残存している酸素」と結合する。このように、触媒流入ガスに含まれる酸素は触媒43内において吸蔵又は消費されるので、触媒流出ガス中に酸素は存在しない。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍の値となる。
(2)触媒に理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガスを供給し続けることにより、酸素吸蔵量OSAが上述した上限値CHi(即ち、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い所定値)以上となった場合。
この場合、図5に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「未燃物」と「過剰の酸素」とが含まれている。この時点において、触媒の酸素を吸蔵する余力は小さくなっているので、触媒流入ガス中の酸素は、その一部が触媒43に吸蔵されるものの、残りの多くは触媒43の下流に流出し始める。未燃物は「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合する。従って、触媒流出ガスが過剰の酸素を含み始める。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍に向けて急激に減少し始め、その後、最小出力値Vminに到達する。
以上の説明から理解されるように、理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガスを触媒に供給している場合に下流側空燃比センサの出力値Voxsが最大出力値Vmax近傍の値から減少を開始した時、触媒の酸素吸蔵量OSAは相当に大きくなっている。従って、この状態において、触媒に「理論空燃比よりもリーン側の空燃比のガス」を供給することは適切でない。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが比較的迅速に減少している場合、「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
(3)酸素吸蔵量OSAが上述した上限値CHi以上である状態の触媒(酸素過剰状態にある触媒、酸素過剰触媒)に、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガスを供給した場合。
この場合、図6に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「過剰の未燃物」と「酸素」とが含まれている。未燃物は「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合する。従って、触媒流入ガス中の酸素は触媒43を通過し、触媒43の下流に流出する。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値となる。
(4)触媒に理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガスを供給し続けることにより、酸素吸蔵量OSAが上述した下限値CLo(即ち、「0」に近い所定値)以下となった場合。
この場合、図7に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「過剰の未燃物」と「酸素」とが含まれている。このとき、それまでに吸蔵していた酸素を未燃物に対して与える触媒の余力は小さくなっているので、触媒流入ガス中の未燃物は、その一部が「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合し且つ他の一部が「触媒流入ガス中の酸素」と結合するものの、残りの多くは触媒43の下流に流出し始める。従って、触媒流出ガスには酸素が含まれず、未燃物が含まれ始める。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍に向けて急激に増大し、その後、最大出力値Vmaxに到達する。
以上の説明から理解されるように、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガスを触媒に供給している場合に下流側空燃比センサの出力値Voxsが最小出力値Vmin近傍の値から増大を開始した時、触媒の酸素吸蔵量OSAは相当に小さくなっている。従って、この状態において、触媒に「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比のガス」を供給することは適切でない。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが比較的迅速に増大している場合、「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
このような知見に基づいてなされた本発明の内燃機関の空燃比制御装置は、
排気通路に触媒が配設された内燃機関に適用され、
前記排気通路の前記触媒よりも下流に配設された濃淡電池型酸素濃度センサである下流側空燃比センサと、
前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて「前記触媒に流入するガスである触媒流入ガス」の空燃比を変更するように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御する空燃比制御手段と、
を備える。
前記下流側空燃比センサは、
「前記触媒から流出したガスである触媒流出ガス」に含まれる酸素の量が、「同触媒流出ガスに含まれる未燃物を酸化するために必要な量」よりも少ないときに「最大出力値Vmax」を出力するとともに、
触媒流出ガスに含まれる酸素の量が、「同触媒流出ガスに含まれる未燃物を酸化するために必要な量」よりも多いときに「最小出力値Vmin」を出力する、
ようになっている。
更に、前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合(時間の経過とともに小さくなっている場合)に「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」となるように、且つ、前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合(時間の経過とともに大きくなっている場合)に「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」となるように、前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する。このような空燃比のフィードバック制御を、「通常空燃比フィードバック制御」とも称呼する。
前述したように、下流側空燃比センサの出力値が比較的迅速に減少している場合、たとえ下流側空燃比センサの出力値が中央値Vmidよりも大きいときであっても、触媒の酸素吸蔵量OSAは「0」近傍の量ではなく、寧ろ、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い値にまで増大している。従って、下流側空燃比センサの出力値が減少している場合(より具体的には、下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが「0である所定の第1変化速度閾値又は0よりも大きい所定の第1変化速度閾値」以上である場合)、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
それ故、上記構成によれば、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点において「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを減少させ始めることができる(図39の時刻t3以降における実線を参照。)。即ち、本発明の装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の減量補正を行わないので、多量のNOxが触媒の下流に排出されることを回避することができる。
加えて、前述したように、下流側空燃比センサの出力値が比較的迅速に増大している場合、たとえ下流側空燃比センサの出力値が中央値Vmidよりも小さいときであっても、触媒の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxの近傍ではなく、寧ろ、「0」に近い値にまで減少している。従って、下流側空燃比センサの出力値が増大している場合(より具体的には、下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが「0である所定の第2変化速度閾値又は0よりも大きい所定の第2変化速度閾値」以上である場合)、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
それ故、上記構成によれば、酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点において「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを増大させ始めることができる(図39の時刻t7以降における実線を参照。)。即ち、本発明の装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の増量補正を行わないので、多量の未燃物が排出されることを回避することができる。
なお、上記第1変化速度閾値と上記第2変化速度閾値とは同一であっても異なっていてもよい。また、上記第1変化速度閾値及び上記第2変化速度閾値のそれぞれは、「0」又は実質的に「0」である小さい値であってもよい。
以上の説明から理解されるように、従来装置は酸素吸蔵量OSAが「0から最大酸素吸蔵量Cmaxまでの範囲」において変動するように「触媒流入ガスの空燃比(即ち、機関の空燃比)」を制御していたのに対し、本発明の装置は酸素吸蔵量OSAが「0よりも大きい値(上記下限値CLo近傍の値)から最大酸素吸蔵量Cmaxよりも小さい値(上記上限値CHi近傍の値)までの範囲」において変動するように「触媒流入ガスの空燃比(即ち、機関の空燃比)」を制御する。従って、触媒の状態を「未燃物及びNOxを効率よく浄化する状態」に維持することができ、未燃物及びNOxの排出量をより低減することができる。
加えて、本発明の装置によれば、酸素吸蔵量OSAが「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに到達し難いので、空燃比のフィードバック制御(上記通常空燃比フィードバック制御)中における「触媒流入ガスの空燃比(即ち、機関の空燃比)」を「理論空燃比から大きく乖離した空燃比」に設定してもエミッションは悪化しない。これにより、「触媒のリッチ被毒及びリーン被毒」による最大酸素吸蔵量Cmaxの実質的な低下、及び、それに伴う排気浄化効率の低下を回避することもできる。
即ち、触媒のリッチ被毒は、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である状態が比較的長い時間継続したとき、触媒が担持する貴金属の周囲にHC等が付着することによって発生する。このリッチ被毒は触媒の浄化効率の低下をもたらす。リッチ被毒は、「理論空燃比に対して大きくリーン側に偏移した空燃比」のガスを触媒に供給することにより解消することができる。
触媒のリーン被毒は、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である状態が比較的長い時間継続したとき、触媒が担持する貴金属が酸化してその貴金属の表面積が実質的に低下することによって発生する。このリーン被毒も触媒の浄化効率の低下をもたらす。リーン被毒は、「理論空燃比に対して大きくリッチ側に偏移した空燃比」のガスを触媒に供給することにより解消することができる。
本発明の空燃比制御装置が備える空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が、「所定の第1閾値」よりも小さく且つ「その第1閾値よりも小さい所定の第2閾値」よりも大きいとき、前記通常空燃比フィードバック制御を実行するように構成され得る。
前記第1閾値は、「前記最大出力値と前記最小出力値との中央の値(半分の値、平均値)」である中央値と、前記最大出力値と、の間の値であって、且つ、同中央値よりも同最大出力値に近い値に設定される。
より具体的には、前記第1閾値は、「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」であり且つ前記触媒の酸素吸蔵量が増大している場合であって、「前記触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの「前記下流側空燃比センサの出力値」に等しくなるように設定される。
下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値よりも大きい場合、触媒は酸素不足状態であると考えられる。即ち、触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」又は実質的に「0」である場合(触媒が酸素不足状態である場合)、触媒流入ガスの空燃比に関わらず、酸素は触媒の下流に流出しない(図4及び図7を参照。)。従って、触媒が酸素不足状態であるとき、下流側空燃比センサの出力値は最大出力値Vmax近傍の値となるので、下流側空燃比センサの出力値は上記第1閾値以上となる。
従って、そのような場合には、下流側空燃比センサの出力値が減少したとしても、「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に設定しないほうがよい。よって、上記のように第1閾値を設定し、且つ、下流側空燃比センサの出力値がその第1閾値以上であれば、上記通常空燃比フィードバック制御を行わないようにすることが望ましい。
前記第2閾値は、前記中央値と前記最小出力値との間の値であって、且つ、同中央値よりも同最小出力値に近い値に設定される。
より具体的には、前記第2閾値は、「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」であり且つ前記触媒の酸素吸蔵量が減少している場合であって、「前記触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの「前記下流側空燃比センサの出力値」に等しくなるように設定される。
下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値よりも小さい場合、触媒は酸素過剰状態であると考えられる。即ち、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである場合(触媒が酸素過剰状態である場合)、触媒流入ガスの空燃比に関わらず、酸素は触媒の下流に流出する(図5及び図6を参照。)。従って、触媒が酸素過剰状態であるとき、下流側空燃比センサの出力値は最小出力値Vmin近傍の値となるので、下流側空燃比センサの出力値は上記第2閾値以下となる。
従って、そのような場合には、下流側空燃比センサの出力値が増大したとしても、「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に設定しないほうがよい。よって、上記のように第2閾値を設定し、且つ、下流側空燃比センサの出力値がその第2閾値以下であれば、上記通常空燃比フィードバック制御を行わないようにすることが望ましい。
本発明の空燃比制御装置が備える空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」となるように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御することが好適である。
上述したように、触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」又は実質的に「0」であって、触媒が酸素不足触媒である場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍の値となる。
より詳細に述べると、所定の運転条件(例えば、触媒過熱防止増量を実行するべき条件)が成立すると、機関に供給される混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定される。この状態が継続すると触媒に吸蔵されている酸素が消費され、酸素吸蔵量OSAは「0」に到達する。
このような酸素不足状態にある触媒に「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガス」が継続して流入した場合、図7に示したように、触媒の下流に酸素は流出せず、且つ、触媒の下流に未燃物が流出する。従って、下流側空燃比センサの近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層等に残存する酸素は未燃物により完全に消費される。この結果、図8の時刻t1〜時刻t2に示したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsは実質的に最大出力値Vmaxとなる。
その後、このような酸素不足状態にある触媒に「理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガス」が流入した場合、図4に示したように、触媒の下流に酸素は流出しない。更に、触媒流入ガスに含まれる未燃物は触媒において酸化される。このとき、触媒流出ガスは未燃物も酸素も含んでいない。即ち、触媒流出ガスの空燃比は理論空燃比である。しかしながら、下流側空燃比センサの近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層等に残存する酸素は完全に消費されているから、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、図8の時刻t2〜時刻t3に示したように僅かに減少するものの、時刻t3〜t4に示したように中央値Vmidと最大出力値Vmaxとの間の値であって最大出力値Vmaxに近い値(例えば、ストイキ上限値VHilimit)を暫くの間維持する。
その後、酸素吸蔵量OSAがある程度まで大きくなると、図5に示したように、触媒流出ガスに酸素が含まれ始める。その結果、図8の時刻t4以降に示したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsは急激に減少し始める。
以上から明らかなように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが、「中央値Vmidよりも最大出力値Vmaxに近い上記第1閾値を含む所定幅範囲内の値(図8におけるVmax−α1に相当する値)」以上である場合、酸素吸蔵量OSAは極めて小さいので、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である。従って、上記構成のように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(Vmax−α1)よりも大きい場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度に関わらず、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」となるように「機関に供給される混合気の空燃比」を制御することが望ましい。これにより、酸素吸蔵量OSAを速やかに増大させることができる。その結果、触媒の排気浄化効率を迅速に高くすることができる。なお、値(Vmax−α1)は、上記第1閾値又は上記ストイキ上限値VHilimitと一致していることが望ましい。
同様な理由により、本発明の空燃比制御装置が備える空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、「前記触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」となるように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御することが好適である。
上述したように、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxであって、触媒が酸素過剰状態である場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値となる。
より詳細に述べると、例えば、フューエルカット(F/C)運転を実行するべき条件が成立してフューエルカット運転が実行されると、多量の酸素が触媒に流入する。この状態が継続すると酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する。
このような酸素過剰状態にある触媒に「理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガス」が継続して流入した場合、図5に示したように、触媒の下流に酸素が流出し続ける。この結果、図9の時刻t1〜時刻t2に示したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsは実質的に最小出力値Vminとなる。
その後、このような酸素過剰状態にある触媒に「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガス」が流入した場合、図6に示したように、「触媒流入ガスに含まれる未燃物」は「触媒に吸蔵されている酸素」及び「触媒流入ガスに含まれる酸素」と結合することにより酸化され、「触媒流入ガスに含まれる残余の酸素」は触媒の下流に極めて僅かだけ流出する。即ち、この場合、触媒流出ガスの空燃比は実質的に理論空燃比であると言うことができる。しかしながら、下流側空燃比センサの近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層等には酸素が残存している。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、図9の時刻t2〜時刻t3に示したように僅かに増大するものの、時刻t3〜t4に示したように中央値Vmidと最小出力値Vminとの間の値であって最小出力値Vminに近い値(例えば、ストイキ下限値VLolimit)を暫くの間維持する。
その後、酸素吸蔵量OSAがある程度まで小さくなると、図7に示したように、触媒流出ガスに未燃物が含まれ始める。これにより、下流側空燃比センサの近傍又は拡散抵抗層に残存する酸素が未燃物により消費される。その結果、図9の時刻t4以降に示したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsは急激に増大し始める。
以上から明らかなように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが、「中央値Vmidよりも最小出力値Vminに近い上記第2閾値を含む所定範囲内の値(図9におけるVmin+α2に相当する値)」以下である場合、酸素吸蔵量OSAは極めて大きいので、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である。従って、上記構成のように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(Vmax+α2)よりも小さい場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度に関わらず、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」となるように「機関に供給される混合気の空燃比を制御」することが望ましい。これにより、酸素吸蔵量OSAを速やかに減少させることができる。その結果、触媒の排気浄化効率を迅速に高くすることができる。なお、値(Vmax+α2)は、上記第2閾値又は上記ストイキ下限値VLolimitと一致していることが望ましい。
更に、本発明の空燃比制御装置の一つの態様において、前記空燃比制御手段は、基本燃料噴射量算出手段と、サブフィードバック量算出手段と、燃料噴射手段と、を備える。
基本燃料噴射量算出手段は、前記機関に吸入される吸入空気量を取得(検出又は推定)するとともに、その取得された吸入空気量に基づいて「前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量」を算出する。
サブフィードバック量算出手段は、「前記基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック量」である「サブフィードバック量」を、前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出する。
燃料噴射手段は、前記基本燃料噴射量を前記サブフィードバック量により補正することにより得られる量(指示噴射量、最終燃料噴射量)の燃料を前記機関に噴射供給する。
この場合、前記サブフィードバック量算出手段は、前記通常空燃比フィードバック制御を実行するために、
(1)前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合(下流側空燃比センサの出力値の変化速度が負の場合)、前記サブフィードバック量が前記基本燃料噴射量を「同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより増大させる値」となり、且つ、
(2)前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合(下流側空燃比センサの出力値の変化速度が正の場合)、前記サブフィードバック量が前記基本燃料噴射量を「同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより減少させる値」となるように、
前記サブフィードバック量を算出するように構成されることが好適である。
下流側空燃比センサの出力値Voxsが最小出力値Vminに向けて減少している場合、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいたために過剰な酸素が触媒から流出し始めたと考えることができる。更に、その減少速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいていると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少している場合、その減少速度の大きさが大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリッチ側の空燃比」に設定することにより、酸素吸蔵量OSAを迅速に減少させることが望ましい。
そこで、上記構成においては、下流側空燃比センサの出力値が減少している場合、サブフィードバック量は「基本燃料噴射量を下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほどより増大させる値」となるように算出される。この結果、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点にて酸素吸蔵量OSAを適切に減少させることができるので、触媒の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
一方、下流側空燃比センサの出力値Voxsが最大出力値Vmaxに向けて増大している場合、酸素吸蔵量OSAが「0」に近づいたために過剰な未燃物が触媒から流出し始めたと考えることができる。更に、その増大速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは「0」に近づいていると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大している場合、その増大速度の大きさが大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリーン側の空燃比」に設定することにより、酸素吸蔵量OSAを迅速に増大させることが望ましい。
そこで、上記構成においては、下流側空燃比センサの出力値が増大している場合、サブフィードバック量は「基本燃料噴射量を下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほどより減少させる値」となるように算出される。この結果、酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点にて酸素吸蔵量OSAを適切に増大させることができるので、触媒の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
本発明の空燃比制御装置の他の態様において、前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック量であるサブフィードバック量を前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記サブフィードバック量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
を備える。
更に、前記サブフィードバック量算出手段は、
(A)前記通常空燃比フィードバック制御を実行するために、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより増大させ、且つ、前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより減少させるサブフィードバック量の微分項を、「下流側空燃比センサの出力値の変化速度」に「所定の微分ゲインkd」を乗じることにより算出する微分項算出手段、
を含むことが好適である。
上述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少している場合、その減少速度の大きさが大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリッチ側の空燃比」に設定することが望ましい。即ち、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少している場合、触媒流入ガス要求空燃比は「出力値Voxsの減少速度の大きさが大きいほど理論空燃比との偏差がより大きいリッチ空燃比」である。
更に、上述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大している場合、その増大速度の大きさが大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリーン側の空燃比」に設定することが望ましい。即ち、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大している場合、触媒流入ガス要求空燃比は「出力値Voxsの増大速度の大きさが大きいほど理論空燃比との偏差がより大きいリーン空燃比」である。
そこで、上記構成においては、下流側空燃比センサの出力値の変化速度(単位時間あたりの下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化量に相当)に所定の微分ゲインkdを乗じた値が「サブフィードバック量の微分項」として算出される。微分ゲインkdは、下流側空燃比センサの出力値が時間の経過とともに減少しているとき、微分項が正の値(即ち、基本燃料噴射量を増大する値)となるように定められる。また、微分ゲインkdは、下流側空燃比センサの出力値が時間の経過とともに増大しているとき、微分項が負の値(即ち、基本燃料噴射量を減少する値)となるように定められる。この微分項を用いることにより、触媒流入ガス要求空燃比に応じた空燃比のガスを触媒に流入させることができる。この結果、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は「0」に到達することがないので、触媒の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
更に、前記サブフィードバック量算出手段が前記微分項算出手段を含んでいる場合、そのサブフィードバック量算出手段は、更に、以下に述べるように構成された比例項算出手段を含むことが望ましい。
即ち、前記比例項算出手段は、
(B1)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値以上である場合、「前記第1閾値と、前記下流側空燃比センサの出力値と、の差」にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値と、「前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された所定の目標値(例えば、前記中央値)と、前記第1閾値と、の差」に第1ゲインKpS1を乗じた値と、の和を、「前記基本燃料噴射量を減少させる」ことによって「前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に制御するための「前記サブフィードバック量の比例項」として算出し、
(B2)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値以下である場合、「前記第2閾値と、前記下流側空燃比センサの出力値と、の差」にリッチ制御用ゲインKpRを乗じた値と、「前記目標値と、前記第2閾値と、の差」に第2ゲインKpS2を乗じた値と、の和を、「前記基本燃料噴射量を増大させる」ことによって「前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に制御するための「前記サブフィードバック量の比例項」として算出として算出し、
(B3)前記下流側空燃比センサ出力値が前記第1閾値と前記第2閾値との間にある場合、前記目標値と前記下流側空燃比センサの出力値との差に第3ゲインKpS3を乗じた値を「前記サブフィードバック量の比例項」として算出する。
下流側空燃比センサの出力値Voxsが、「前記第1閾値を含む所定範囲内の値(図8におけるVmax−α1、好ましくはストイキ上限値VHilimit)」と「前記第2閾値を含む所定範囲内の値(図9におけるVmin+α2、好ましくはストイキ下限値VLolimit)」との間にある場合、触媒の酸素吸蔵量OSAは適量に近いと考えることができる。即ち、この場合、酸素吸蔵量OSAは、明らかに最大酸素吸蔵量Cmaxの近傍ではなく、且つ、明らかに「0」の近傍でもない。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にある場合、出力値Voxsを「前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定される目標値(例えば、中央値Vmid)」に近づけるためのサブフィードバック量の比例項を大きくする必要性は小さい。
これに対し、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、酸素吸蔵量OSAは「0」に近いので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。この場合、従来装置は、「下流側空燃比センサの出力値Voxsと中央値Vmidに設定された目標値との差」に「所定のゲイン」を乗じることにより「サブフィードバック量の比例項」を算出していた。しかしながら、前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第1閾値を含む所定範囲内の値以下であるとき、大きな値を有する比例項により触媒流入ガスの空燃比をリーン側に移行する必要性は小さい。従って、従来装置のように比例項を求めると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第1閾値以上である場合の比例項が過大となる恐れがある。
そこで、上記構成(B1を参照。)においては、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値以上である場合、「前記第1閾値と、前記下流側空燃比センサの出力値と、の差」にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値と、「前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された所定の目標値と、前記第1閾値と、の差」に第1ゲインKpS1を乗じた値と、の和を「前記サブフィードバック量の比例項」として算出する。即ち、出力値と目標値との偏差を、「出力値と第1閾値との偏差」及び「第1閾値と目標値」との偏差に区分し、それぞれの偏差に固有のゲインを乗じることによって比例項を求める。
これにより、リーン制御用ゲインKpLと第1ゲインKpS1とを異なる値に設定することができる(例えば、KpL>KpS1)。従って、「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定するための比例項が過大となりすぎることにより、酸素吸蔵量OSAが逆に最大酸素吸蔵量Cmax近傍にまで一気に増大する事態が発生すること」を回避することができる。
同様に、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに近いので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。この場合においても、従来装置は、「下流側空燃比センサの出力値Voxsと中央値Vmidに設定れた目標値との差」に「所定のゲイン」を乗じることにより「サブフィードバック量の比例項」を算出していた。しかしながら、前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第2閾値を含む所定範囲内の値以上であるとき、大きな値を有する比例項により触媒流入ガスの空燃比をリッチ側に移行する必要はない。従って、従来装置のように比例項を求めると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第2閾値以下である場合の比例項が過大となる恐れがある。
そこで、上記構成(B2を参照。)においては、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値以下である場合、「前記第2閾値と、前記下流側空燃比センサの出力値と、の差」にリッチ制御用ゲインKpRを乗じた値と、「前記目標値と、前記第2閾値と、の差」に第2ゲインKpS2を乗じた値と、の和を「前記サブフィードバック量の比例項」として算出する。即ち、出力値と目標値との偏差を、「出力値と第2閾値との偏差」及び「第2閾値と目標値」との偏差に区分し、それぞれの偏差に固有のゲインを乗じることによって比例項を求める。
これにより、リッチ制御用ゲインKpRと第2ゲインKpS2とを異なる値に設定することができる(例えば、KpR>KpS2)。この結果、「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に設定するための比例項が過大となりすぎることにより、酸素吸蔵量OSAが逆に「0」近傍にまで一気に減少する事態が発生すること」を回避することができる。
そして、前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にある場合、サブフィードバック量の比例項を大きくする必要性は小さい。よって、上記構成(B3を参照。)においては、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にある場合、前記目標値と前記下流側空燃比センサの出力値との差に適切な第3ゲインKpS3(例えば、ゲインKpL及びゲインKpRよりも小さいゲイン)を乗じた値を「前記サブフィードバック量の比例項」として算出する。以上により、酸素吸蔵量OSAを適切な範囲に維持するための比例項が算出される。
なお、リーン制御用ゲインKpLの絶対値と、リッチ制御用ゲインKpRの絶対値と、は相違した値であってもよく、同じ値(閾値外偏差用ゲイン)であってもよい。また、第1ゲインKpS1と第2ゲインKpS2と第3ゲインKpS3とは、互いに相違する値であってもよく、同じ値(閾値内偏差用ゲイン)であってもよい。第3ゲインKpS3は、第1ゲインKpS1及び第2ゲインKpS2よりも小さく、「0」であってもよい。
上記比例項算出手段を含む内燃機関の空燃比制御装置において
前記比例項算出手段は、
(C1)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値よりも大きい場合、前記目標値を前記第1閾値と前記中央値との間の値である第1目標値に設定し、
(C2)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値よりも小さい場合、前記目標値を前記第2閾値と前記中央値との間の値である第2目標値に設定し、
(C3)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値と前記第2閾値を含む所定範囲内の値との間にある場合、前記目標値を前記第1目標値と前記第2目標値との間の値である第3目標値(好ましくは、前記中央値)に設定するように構成され得る。
上記(C1)の構成によれば、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値よりも大きい場合、前記目標値が「前記第1閾値と前記中央値との間の値、即ち、第1目標値」に設定されるので、前記目標値が「前記中央値」に設定される場合と比較して、「第1閾値と目標値(第1目標値)との差の大きさ(即ち、上記第1ゲインKpS1が乗じられる偏差)」が過大とならない。従って、比例項を「下流側空燃比センサの出力値を前記第1閾値以下に移行させるために必要ではあるが過大ではない値」に設定することができる。
同様に、上記(C2)の構成によれば、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値よりも小さい場合、前記目標値が「前記第2閾値と前記中央値との間の値、即ち、第2目標値」に設定されるので、前記目標値が「前記中央値」に設定される場合と比較して、「第2閾値と目標値(第2目標値)との差の大きさ(即ち、上記第2ゲインKpS2が乗じられる偏差)」が過大とならない。従って、比例項を「下流側空燃比センサの出力値Voxsを前記第2閾値以上に移行させるために必要ではあるが過大ではない値」に設定することができる。
更に、上記(C3)の構成によれば、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値と前記第2閾値を含む所定範囲内の値との間にある場合、前記目標値が「前記第1目標値と前記第2目標値との間の値、即ち、第3目標値」に設定されるので、比例項を「下流側空燃比センサの出力値を前記第1閾値と前記第2閾値との間に維持するために適切な値」に設定することができる。
前記微分項算出手段及び前記比例項算出手段を備える本発明の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記比例項算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほど前記サブフィードバック量の比例項の大きさを小さくする(上記比例項の大きさが小さくなるように同比例項を補正する)ように構成されることが好適である。
前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmax近傍に接近していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、サブフィードバック量は基本燃料噴射量をより大きく増量補正する値となることが望ましい。ところが、下流側空燃比センサの出力値Voxsが目標値よりも大きいと、比例項は基本燃料噴射量を減量補正する値となる。従って、上記構成のように、前記下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほど前記サブフィードバック量の比例項の大きさを小さくすれば、比例項が「下流側空燃比センサの出力値の変化に基づく微分項による適切な空燃比制御」を阻害しないので、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax近傍に到達してしまう可能性を低減することができる。
同様に、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは「0」近傍に到達していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、サブフィードバック量は基本燃料噴射量をより大きく減量補正する値となることが望ましい。ところが、下流側空燃比センサの出力値Voxsが目標値よりも小さいと、比例項は基本燃料噴射量を増量補正する値となる。従って、上記構成のように、前記下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほど前記サブフィードバック量の比例項の大きさを小さくすれば、比例項が「下流側空燃比センサの出力値の変化に基づく微分項による適切な空燃比制御」を阻害しないので、酸素吸蔵量OSAが「0」近傍に到達してしまう可能性を低減することができる。
本発明の空燃比制御装置が備える空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
メインフィードバック量算出手段と、
サブフィードバック量算出手段と、
燃料噴射手段と、
を備える。
前記メインフィードバック量算出手段は、
「前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比」が理論空燃比に一致するように「前記基本燃料噴射量を補正するフィードバック量(メインフィードバック量)」を算出する。
前記サブフィードバック量算出手段は、
(D1)前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合、前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し、且つ、
(D2)前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合、前記基本燃料噴射量を減少させるように前記基本燃料噴射量を補正する、
「サブフィードバック量」を算出する。
前記燃料噴射手段は、
前記基本燃料噴射量を、「前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量」からなる「空燃比補正量」により補正することによって得られる量、の燃料を前記機関に噴射供給する。
更に、前記メインフィードバック量算出手段は、
(E1)前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を減少させる値」になっているとき、前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定し、且つ、
(E2)前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を増大させる値」になっているとき、前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定する、
ように構成されてもよい。
一般に、機関に供給される混合気の空燃比の過渡的(一時的)な乱れを速やかに補償するために、「上流側空燃比センサの出力値に基づいて算出されるメインフィードバック量」を用いるメインフィードバック制御が、「下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出されるサブフィードバック量」を用いるサブフィードバック制御とともに実行されることが多い。
ところで、上述したように、前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合(特に、前記下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少し且つその変化速度の大きさが第1変化速度閾値以上である場合)、酸素吸蔵量OSAはもはや「0」近傍ではなく、寧ろ最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいている。従って、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である。このとき、基本燃料噴射量が減少(減量補正)されること(即ち、触媒流入ガスの空燃比がリーン空燃比に制御されること)は触媒にとって好ましくない。しかしながら、例えば、「機関に供給される混合気の空燃比の過渡的変動」に起因してメインフィードバック量が「基本燃料噴射量を大きく減量補正するような値」になった場合、「前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量」が全体として「前記基本燃料噴射量を減量補正する値」になることがある。即ち、空燃比補正量が「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に設定するような値になる場合がある。
そこで、上記(E1)に記載したように、前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合(即ち、触媒流入ガス要求空燃比が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である場合)、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を減少させる値」になっているのであれば、前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定することが望ましい。
これによれば、「前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を過度に減少させてしまい、その結果、「触媒流入ガス要求空燃比と相違する空燃比(この場合、理論空燃比よりもリーン側の空燃比)のガスが触媒に流入する可能性」を低減することができる。
同様に、前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合(特に、前記下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大し且つその変化速度の大きさが第2変化速度閾値以上である場合)、酸素吸蔵量OSAはもはや最大酸素吸蔵量Cmax近傍ではなく、寧ろ「0」に近づいている。従って、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である。このとき、基本燃料噴射量が増大(増量補正)されることは触媒にとって好ましくない。しかしながら、例えば、「機関に供給される混合気の空燃比」の過渡的変動に起因してメインフィードバック量が「基本燃料噴射量を大きく増量補正するような値」になった場合、「前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量」が全体として「前記基本燃料噴射量を増大させる値」になることがある。即ち、空燃比補正量が「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に設定するような値になる場合がある。
そこで、上記(E2)に記載したように、前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合(即ち、触媒流入ガス要求空燃比が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である場合)、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を増大させる値」になっているのであれば、前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定することが望ましい。
これによれば、「前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を過度に増大させてしまい、その結果、「触媒流入ガス要求空燃比と相違する空燃比(この場合、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)のガスが触媒に流入する可能性」を低減することができる。
更に、前記メインフィードバック量算出手段は、
(F1)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を増大させる値」であるとき、同メインフィードバック量を0に設定し、
(F2)前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、前記メインフィードバック量が「前記基本燃料噴射量を減少させる値」であるとき、同メインフィードバック量を0に設定する、
ように構成されることが好ましい。
前述したように、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、酸素吸蔵量OSAは「0」又は実質的に「0」である。従って、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」であるから、前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を増大(増量補正)することは触媒にとって好ましくない。
そこで、上記(F1)に記載したように、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合において前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を増大させる値であるとき、前記メインフィードバック量を0に設定すれば、「前記メインフィードバック量が、触媒流入ガス要求空燃比と相違する空燃比のガスを触媒に流入させてしまうように作用すること」を回避することができる。
同様に、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmax又は実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである。従って、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」であるから、前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を減少(減量補正)することは触媒にとって好ましくない。
そこで、上記(F2)に記載したように、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合において前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を減少させる値であるとき、前記メインフィードバック量を0に設定すれば、「前記メインフィードバック量が触媒にとって不都合な空燃比のガスを供給するように作用すること」を回避することができる。
更に、本発明の空燃比制御装置における前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記最大出力値となっているときに「前記触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の所定リーン空燃比」に制御し、その状態において前記下流側空燃比センサの出力値が「前記最小出力値」又は「前記最小出力値に所定値を加えた値」に到達するまでの期間において、「同下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが最小となった時点」における「同下流側空燃比センサの出力値」を前記第1閾値として取得する、ストイキ上限値取得手段を含むことが好適である。
図8の時刻t1〜t2に示したように、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である状態が継続すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmaxに到達する。このとき(時刻t2)、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比に制御されると、下流側空燃比センサの出力値Voxsは時刻t2〜t3において僅かに減少し、時刻t3〜t4において略一定値となり、時刻t4以降において最小出力値Vminに向けて急激に減少する。この時刻t3〜t4の期間において、触媒は触媒流入ガスに含まれる酸素を急激に吸蔵していて、触媒流出ガスの空燃比は実質的に理論空燃比である。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「時刻t3〜t4において示す値」を超えないように触媒流入ガスを制御すれば、触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」近傍の値にならないので、未燃物及びNOxは良好に浄化される。
そして、この時刻t3〜t4における出力値Voxsは、出力値Voxsが最大出力値Vmaxから最小出力値Vmin又はその近傍へと変化するまでの期間において「出力値Voxsの変化速度の大きさが最小となった時点」における出力値Voxsである。よって、上記構成によれば、時刻t3〜t4における出力値Voxsを「前記第1閾値、又は、前記ストイキ上限値」として取得することができる。
更に、本発明の空燃比制御装置における前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記最小出力値となっているときに「前記触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の所定リッチ空燃比」に制御し、その状態において前記下流側空燃比センサの出力値が「前記最大出力値」又は「前記最大出力値から所定値を減じた値」に到達するまでの期間において、「同下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが最小となった時点」における「同下流側空燃比センサの出力値」を前記第2閾値として取得する、ストイキ下限値取得手段を含むことが好適である。
図9の時刻t1〜t2に示したように、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比(図9の例においてはフューエルカット運転)である状態が継続すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vminに到達する。このとき(時刻t2)、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に制御されると、下流側空燃比センサの出力値Voxsは時刻t2〜t3において僅かに増大し、時刻t3〜t4において略一定値となり、時刻t4以降において最大出力値Vmaxに向けて急激に増大する。この時刻t3〜t4の期間においては、触媒は吸蔵している酸素を急激に放出することにより未燃物を酸化していて、触媒流出ガスの空燃比は実質的に理論空燃比である。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「時刻t3〜t4において示す値」を下回らないように触媒流入ガスを制御すれば、触媒の酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax近傍の値にならないので、未燃物及びNOxは良好に浄化される。
そして、この時刻t3〜t4における出力値Voxsは、出力値Voxsが最小出力値Vminから最大出力値Vmax又はその近傍へと変化するまでの期間において「出力値Voxsの変化速度の大きさが最小となった時点」における出力値Voxsである。よって、上記構成によれば、時刻t3〜t4における出力値Voxsを「前記第2閾値又は前記ストイキ下限値」として取得することができる。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比が理論空燃比に一致するように「前記基本燃料噴射量を補正するメインフィードバック量」を算出するメインフィードバック量算出手段と、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を減少させるように「前記基本燃料噴射量を補正するサブフィードバック量」を算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を「前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量」からなる空燃比補正量により補正することにより得られる量、の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
前記空燃比補正量が前記基本燃料噴射量を増大させる値である状態が継続している場合に「同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が増大させられる量」の積算値を求め、同求めた積算値の大きさが所定の増量閾値に到達したとき、同空燃比補正量に関わらず、「前記機関に供給される混合気の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)」が「所定の第1の触媒回復時間」だけ「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」となるように「前記燃料噴射手段から噴射供給される燃料の量」を制御する触媒機能回復手段(第1回復手段)、
を含むことが好適である。
上述したように、触媒流入ガスの空燃比が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である状態が長時間継続したとき、触媒が担持する貴金属の周囲にHCが付着することによって触媒のリッチ被毒が発生する。触媒のリッチ被毒は触媒の浄化効率の低下をもたらす。触媒のリッチ被毒は、理論空燃比に対して大きくリーン側に偏移した空燃比のガスを触媒に供給することにより解消することができる。
そこで、上記触媒機能回復手段は、「前記メインフィードバック量と前記サブフィードバック量とからなる前記基本燃料噴射量の補正量、即ち、空燃比補正量」が「同基本燃料噴射量を増大させる値である状態」が継続している場合に、「同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が増大させられる量」の積算値を求め、その積算値の大きさが「所定の増量閾値」に到達したとき、触媒のリッチ被毒が発生する可能性が高いと判断し、「機関に供給される混合気の空燃比」を第1の触媒回復時間だけ「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に制御する。この結果、触媒のリッチ被毒が解消されるので、「触媒のリッチ被毒に起因して触媒の浄化効率が低下すること」を回避することができる。
同様に、上記空燃比制御手段が、上記基本燃料噴射量算出手段と、上記上流側空燃比センサと、上記メインフィードバック量算出手段と、上記サブフィードバック量算出手段と、上記燃料噴射手段と、を含む場合、更に、上記空燃比制御手段は、
前記空燃比補正量が前記基本燃料噴射量を減少させる値である状態が継続している場合に「同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が減少させられる量」の積算値を求め、同求めた積算値の大きさが所定の減量閾値に到達したとき、同空燃比補正量に関わらず、前記機関に供給される混合気の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)が「所定の第2の触媒回復時間」だけ「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」となるように「前記燃料噴射手段から噴射供給される燃料の量」を制御する触媒機能回復手段(第2回復手段)、
を含むことが好適である。
上述したように、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比である状態が長時間継続したとき、触媒が担持する貴金属が酸化して表面積が低下することによって触媒のリーン被毒が発生する。触媒のリーン被毒も触媒の浄化効率の低下をもたらす。触媒のリーン被毒は、理論空燃比に対して大きくリッチ側に偏移した空燃比のガスを触媒に供給することにより解消することができる。
そこで、上記触媒機能回復手段は、「前記メインフィードバック量と前記サブフィードバック量とからなる前記基本燃料噴射量の補正量、即ち、空燃比補正量」が同基本燃料噴射量を減少させる値である状態が継続している場合に、「同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が減少させられる量」の積算値をもとめ、その積算値の大きさが所定の減量閾値に到達したとき、触媒のリーン被毒が発生する可能性が高いと判断し、「機関に供給される混合気の空燃比」を第2の触媒回復時間だけ「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に制御する。この結果、触媒のリーン被毒が解消されるので、「触媒のリーン被毒に起因して触媒の浄化効率が低下すること」を回避することができる。
更に、本発明による空燃比制御装置の他の態様において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が「前記第1閾値よりも小さく且つ前記第2閾値よりも大きい値」となっていて「前記通常空燃比フィードバック制御が実行されている期間」における「同出力値の変動周波数」を取得するとともに、同取得した変動周波数が所定の閾値周波数以下となった場合、「前記通常空燃比フィードバック制御」に代え、前記触媒の酸素吸蔵量を推定するとともに「同推定した酸素吸蔵量」が「所定の酸素吸蔵量下限値と、同酸素吸蔵量下限値よりも大きい所定の酸素吸蔵量上限値と、の間」になるように、同推定した酸素吸蔵量に基づいて「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御する「酸素吸蔵量フィードバック制御」を実行するように構成される。
前記通常空燃比フィードバック制御を実行している場合、下流側空燃比センサの出力値の変動周波数が小さくなる状態が発生し得る。ここで、下流側空燃比センサの出力値の変動周波数とは、下流側空燃比センサの出力値が前記中央値Vmidを中心にして同中央値Vmidを上下する際の周期の逆数である。より具体的に述べると、下流側空燃比センサの出力値の変動周波数は、例えば、「下流側空燃比センサの出力値が前記中央値Vmidより小さい値から大きい値へと変化した時点から、下流側空燃比センサの出力値がその後前記中央値Vmidより大きい値から小さい値へと変化し、更に、前記中央値Vmidより小さい値から大きい値へと再び変化する時点までの時間」を「一周期」とした場合の周波数である。従って、下流側空燃比センサの出力値の変動周波数は、「下流側空燃比センサの出力値が前記中央値Vmidより大きい値から小さい値へと変化した時点から、下流側空燃比センサの出力値がその後前記中央値Vmidより小さい値から大きい値へと変化し、更に、前記中央値Vmidより大きい値から小さい値へと再び変化する時点までの時間」を「一周期」とした場合の周波数でもある。
下流側空燃比センサの出力値の変動周波数が小さくなる状態は、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比に極めて近い空燃比となっている状態であり、その場合、触媒のリッチ被毒及び触媒のリーン被毒が解消され難い。換言すると、エミッションが悪化しない範囲において「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比を中心として大きく変動させる場合」の方が、「触媒流出ガスの空燃比」を「理論空燃比近傍の略一定の空燃比に維持し続ける場合」よりも、触媒の浄化効率は向上する。
そこで、上記構成のように、「通常空燃比フィードバック制御中の下流側空燃比センサの出力値の変動周波数」が所定の閾値周波数以下となった場合、「前記通常空燃比フィードバック制御」を停止し、触媒の酸素吸蔵量が「酸素吸蔵量下限値から酸素吸蔵量上限値までの範囲」において変動するように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御する。これによれば、触媒流入ガスの変動が大きくなるので、触媒の浄化効率を改善することができる。なお、前記酸素吸蔵量上限値と前記酸素吸蔵量下限値とは、それらの差が最大酸素吸蔵量Cmaxよりも小さい値になるように定められている。
更に、このような「酸素吸蔵量フィードバック制御」を実行する空燃比制御手段は、
前記酸素吸蔵量フィードバック制御が実行されている期間に、前記下流側空燃比センサの出力値が「前記第1閾値以上となるか又は前記第2閾値以下となった場合」、前記酸素吸蔵量フィードバック制御を終了するとともに、「前記下流側空燃比センサの出力値に基づいた前記機関に供給される混合気の空燃比の制御」を再開するように構成されることが望ましい。
これによれば、下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値以上になることによりエミッションが悪化する可能性が生じた場合、下流側空燃比センサの出力値を前記第1閾値よりも小さくさせる空燃比制御が直ちに実行され、下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値以下となることによりエミッションが悪化する可能性が生じた場合、下流側空燃比センサの出力値を前記第2よりも大きくさせる空燃比制御が直ちに実行される。
従って、酸素吸蔵量フィードバック制御を実行することによって、酸素吸蔵量が「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいた場合であっても、エミッションが悪化することを回避することができる。
図2は、図1に示した上流側空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。
図3は、図1に示した下流側空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。
図4は、酸素不足状態にある触媒にリーン空燃比(理論空燃比よりもリーン側の空燃比)のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。
図5は、酸素過剰状態にある触媒にリーン空燃比のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。
図6は、酸素過剰状態にある触媒にリッチ空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。
図7は、酸素不足状態にある触媒にリッチ空燃比のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。
図8は、触媒にリッチ空燃比のガスが所定時間以上流入した後にリーン空燃比のガスが流入した場合の下流側空燃比センサの出力値の変化の様子を示したタイムチャートである。
図9は、フューエルカット運転が所定時間以上継続した後にリッチ空燃比のガスが流入した場合の下流側空燃比センサの出力値の変化の様子を示したタイムチャートである。
図10は、第1制御装置が通常空燃比フィードバック制御を実行している期間における、「下流側空燃比センサの出力値、触媒の酸素吸蔵量、及び、触媒流入ガスの空燃比」を示したタイムチャートである。
図11は、第1制御装置の作動を示す概略フローチャートである。
図12は、第1制御装置のCPUが実行する、燃料噴射量の計算及び噴射指示を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
図13は、第1制御装置のCPUが実行する、下流側空燃比センサの出力値の変化速度を取得するためのルーチンを示したフローチャートである。
図14は、第1制御装置のCPUが実行する、メインフィードバック量を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図15は、第1制御装置のCPUが実行する、リーン否定判定及びリッチ否定判定を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
図16は、第1制御装置のCPUが実行する、メインフィードバック量の補正を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
図17は、第1制御装置のCPUが実行する、サブフィードバック量(サブフィードバック量の微分項を含む。)を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図18は、第1制御装置のCPUが実行する、サブフィードバック量の比例項を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図19は、サブフィードバック量の比例項の算出に用いられる偏差を説明するための下流側空燃比センサの出力値のタイムチャートである。
図20は、第1制御装置のCPUが実行する、サブフィードバック量の比例項を制限するためのルーチンを示したフローチャートである。
図21は、第1制御装置のCPUが実行する、「ストイキ上限値及びストイキ下限値」を取得する際の作動について説明するためのタイムチャートである。
図22は、ストイキ下限値を検出するための制御を行うルーチンを示したフローチャートである。
図23は、ストイキ下限値を検出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図24は、ストイキ上限値を検出するための制御を行うルーチンを示したフローチャートである。
図25は、ストイキ上限値を検出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図26は、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第2制御装置)のCPUが実行する、触媒リッチ状態及び触媒リーン状態を判定するためのルーチンを示したフローチャートである。
図27は、第2制御装置のCPUが実行する、サブフィードバック量の比例項の目標値(下流側目標値)を変更するためのルーチンを示したフローチャートである。
図28は、第2制御装置における下流側目標値の変化の様子を示したタイムチャートである。
図29は、第2制御装置における下流側目標値の変化の様子を示したタイムチャートである。
図30は、本発明の第3実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第3制御装置)のCPUが実行する、メインフィードバック量の補正を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
図31は、本発明の第4実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第4制御装置)のCPUが実行する、触媒被毒対策制御を開始・実行するためのルーチンを示したフローチャートである。
図32は、第4制御装置のCPUが実行する、触媒被毒対策制御を終了するためのルーチンを示したフローチャートである。
図33は、本発明の第5実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第5制御装置)のCPUが実行する、サブフィードバック量の比例項を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
図34は、第5制御装置のCPUが実行する、酸素吸蔵量フィードバック制御を開始するか否かを判定するためのルーチンを示したフローチャートである。
図35は、第5制御装置のCPUが実行する、酸素吸蔵量フィードバック制御を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。
図36は、第5制御装置のCPUが実行する、酸素吸蔵量フィードバック制御を終了するか否かを判定するためのルーチンを示したフローチャートである。
図37は、本発明の変形例に係る内燃機関の空燃比制御装置のCPUが実行する、触媒リッチ状態及び触媒リーン状態を判定するためのルーチンを示したフローチャートである。
図38は、本発明の他の変形例に係る内燃機関の空燃比制御装置のCPUが実行する、触媒リッチ状態及び触媒リーン状態を判定するためのルーチンを示したフローチャートである。
図39は、従来の空燃比制御装置及び本発明による空燃比制御装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
1.第1実施形態
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る空燃比制御装置(以下、「第1制御装置」とも称呼する。)が適用される内燃機関10の概略構成を示している。機関10は、4サイクル・火花点火式・多気筒(本例において4気筒)・ガソリン燃料機関である。機関10は、本体部20、吸気系統30及び排気系統40を備えている。
本体部20は、シリンダブロック部とシリンダヘッド部とを備えている。本体部20は、ピストン頂面、シリンダ壁面及びシリンダヘッド部の下面からなる複数(4個)の燃焼室(第1気筒#1乃至第4気筒#4)21を備えている。
シリンダヘッド部には、各燃焼室(各気筒)21に「空気及び燃料からなる混合気」を供給するための吸気ポート22と、各燃焼室21から排ガス(既燃ガス)を排出するための排気ポート23と、が形成されている。吸気ポート22は図示しない吸気弁により開閉され、排気ポート23は図示しない排気弁により開閉されるようになっている。
シリンダヘッド部には複数(4個)の点火プラグ24が固定されている。各点火プラグ24は、その火花発生部が各燃焼室21の中央部であってシリンダヘッド部の下面近傍位置に露呈するように配設されている。各点火プラグ24は、点火信号に応答して火花発生部から点火用火花を発生するようになっている。
シリンダヘッド部には更に複数(4個)の燃料噴射弁(インジェクタ)25が固定されている。燃料噴射弁25は、各吸気ポート22に一つずつ(即ち、一つの気筒に対して一つ)設けられている。燃料噴射弁25は、噴射指示信号に応答し、「その噴射指示信号に含まれる指示噴射量の燃料」を対応する吸気ポート22内に噴射するようになっている。
更に、シリンダヘッド部には、吸気弁制御装置26が設けられている。この吸気弁制御装置26は、インテークカムシャフト(図示せず)とインテークカム(図示せず)との相対回転角度(位相角度)を油圧により調整・制御する周知の構成を備えている。吸気弁制御装置26は、指示信号(駆動信号)に基いて作動し、吸気弁の開弁タイミング(吸気弁開弁タイミング)を変更することができるようになっている。
吸気系統30は、インテークマニホールド31、吸気管32、エアフィルタ33、スロットル弁34及びスロットル弁アクチュエータ34aを備えている。
インテークマニホールド31は、各吸気ポート22に接続された複数の枝部と、それらの枝部が集合したサージタンク部と、を備えている。吸気管32はサージタンク部に接続されている。インテークマニホールド31、吸気管32及び複数の吸気ポート22は、吸気通路を構成している。エアフィルタ33は吸気管32の端部に設けられている。スロットル弁34はエアフィルタ33とインテークマニホールド31との間の位置において吸気管32に回動可能に取り付けられている。スロットル弁34は、回動することにより吸気管32が形成する吸気通路の開口断面積を変更するようになっている。スロットル弁アクチュエータ34aは、DCモータからなり、指示信号(駆動信号)に応答してスロットル弁34を回動させるようになっている。
排気系統40は、エキゾーストマニホールド41、エキゾーストパイプ(排気管)42、上流側触媒43及び下流側触媒44を備えている。
エキゾーストマニホールド41は、各排気ポート23に接続された複数の枝部41aと、それらの枝部41aが集合した集合部(排気集合部)41bと、からなっている。エキゾーストパイプ42は、エキゾーストマニホールド41の集合部41bに接続されている。エキゾーストマニホールド41、エキゾーストパイプ42及び複数の排気ポート23は、排ガスが通過する通路を構成している。なお、本明細書において、エキゾーストマニホールド41の集合部41b及びエキゾーストパイプ42により形成される通路を、便宜上、「排気通路」と称呼する。
上流側触媒43は、セラミックからなる担持体に「触媒物質である貴金属」及び「酸素吸蔵物質であるセリア(CeO2)」を担持していて、酸素吸蔵・放出機能(酸素吸蔵機能)を有する三元触媒である。上流側触媒43はエキゾーストパイプ42に配設(介装)されている。上流側触媒43は所定の活性温度に到達すると、「未燃物(HC、CO及びH2等)と窒素酸化物(NOx)とを同時に浄化する触媒機能」及び「酸素吸蔵機能」を発揮する。上流側触媒43は、スタート・キャタリティック・コンバータ(SC)又は第1触媒とも称呼される。
下流側触媒44は、上流側触媒43と同様の三元触媒である。下流側触媒44は、上流側触媒43よりも下流においてエキゾーストパイプ42に配設(介装)されている。下流側触媒44は、車両のフロア下方に配設されているため、アンダ・フロア・キャタリティック・コンバータ(UFC)又は第2触媒とも称呼される。なお、本明細書において、単に「触媒」と言うとき、その「触媒」は上流側触媒43を意味する。
第1制御装置は、熱線式エアフローメータ51、スロットルポジションセンサ52、機関回転速度センサ53、水温センサ54、上流側空燃比センサ55、下流側空燃比センサ56及びアクセル開度センサ57を備えている。
熱線式エアフローメータ51は、吸気管32内を流れる吸入空気の質量流量を検出し、その質量流量(機関10の単位時間あたりの吸入空気量)Gaを表す信号を出力するようになっている。
スロットルポジションセンサ52は、スロットル弁34の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
機関回転速度センサ53は、インテークカムシャフトが5°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともにインテークカムシャフトが360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。機関回転速度センサ53から出力される信号は後述する電気制御装置60により機関回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、電気制御装置60は、機関回転速度センサ53及び図示しないクランク角センサからの信号に基いて、機関10のクランク角度(絶対クランク角)を取得するようになっている。
水温センサ54は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
上流側空燃比センサ55は、エキゾーストマニホールド41の集合部41bと上流側触媒43との間の位置においてエキゾーストマニホールド41及びエキゾーストパイプ42の何れか(即ち、排気通路)に配設されている。上流側空燃比センサ55は、例えば、特開平11−72473号公報、特開2000−65782号公報及び特開2004−69547号公報等に開示された「拡散抵抗層を備える限界電流式広域空燃比センサ」である。
上流側空燃比センサ55は、図2に示したように、上流側空燃比センサ55の配設位置を流れる排ガスの空燃比(触媒43に流入するガスである「触媒流入ガス」の空燃比、検出上流側空燃比abyfs)に応じた出力値Vabyfsを出力する。出力値Vabyfsは触媒流入ガスの空燃比が大きくなるほど(即ち、触媒流入ガスの空燃比がリーン側の空燃比になるほど)増大する。
電気制御装置60は、図2に示した空燃比変換テーブル(マップ)Mapabyfsを記憶している。電気制御装置60は、出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより、実際の上流側空燃比abyfsを検出する(検出上流側空燃比abyfsを取得する)ようになっている。
再び、図1を参照すると、下流側空燃比センサ56は、上流側触媒43と下流側触媒44との間の位置においてエキゾーストパイプ42(即ち、排気通路)に配設されている。下流側空燃比センサ56は、周知の濃淡電池型の酸素濃度センサ(O2センサ)である。下流側空燃比センサ56は、例えば、固体電解質層と、固体電解質層の外側に形成された排ガス側電極層と、大気室(固体電解質層の内側)に露呈し且つ固体電解室層を挟んで排ガス側電極層と対向するように固体電解質層の内側に形成された大気側電極層と、排ガス側電極層を覆い且つ排ガスが接触する(排ガス中に晒されるように配置される)拡散抵抗層と、を備える。固体電解質層は試験管状であってもよく、板状であってもよい。下流側空燃比センサ56は、下流側空燃比センサ56の配設位置を流れる排ガス(即ち、触媒43から流出するガスである「触媒流出ガス」)の空燃比(下流側空燃比afdown)に応じた出力値Voxsを出力するようになっている。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは、図3に示したように、触媒流出ガス(被検出ガス)の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であって、触媒流出ガスの酸化平衡後のガスの酸素分圧が小さいとき最大出力値Vmax(例えば、約0.9V又は1.0V)となる。即ち、下流側空燃比センサ56は、触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれていないときに最大出力値Vmaxを出力する。
また、出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であって、触媒流出ガスの酸化平衡後のガスの酸素分圧が大きいとき最小出力値min(例えば、約0.1V又は0V)となる。即ち、下流側空燃比センサ56は触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれているとき最小出力値Vminを出力する
更に、この出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比からリーン側の空燃比へと変化する際に最大出力値Vmaxから最小出力値Vminへと急激に減少する。逆に、出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比からリッチ側の空燃比へと変化する際に最小出力値Vminから最大出力値Vmaxへと急激に増大する。
図1に示したアクセル開度センサ57は、運転者によって操作されるアクセルペダルAPの操作量を検出し、アクセルペダルAPの操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置60は、「CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、並びに、ADコンバータを含むインターフェース等」からなる「周知のマイクロコンピュータ」を含む回路である。
電気制御装置60が備えるバックアップRAMは、機関10を搭載した車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチの位置(オフ位置、始動位置及びオン位置等の何れか)に関わらず、車両に搭載されたバッテリから電力の供給を受けるようになっている。バックアップRAMは、バッテリから電力の供給を受けている場合、CPUの指示に応じてデータを格納する(データが書き込まれる)とともに、そのデータを読み出し可能となるように保持(記憶)する。バックアップRAMは、バッテリが車両から取り外される等によりバッテリからの電力供給が遮断されると、データを保持することができない。即ち、それまでに保持していたデータが消失(破壊)される。
電気制御装置60のインターフェースは、前記センサ51〜57と接続され、CPUにセンサ51〜57からの信号を供給するようになっている。更に、そのインターフェースは、CPUの指示に応じて、各気筒の点火プラグ24、各気筒の燃料噴射弁25、吸気弁制御装置26及びスロットル弁アクチュエータ34a等に指示信号(駆動信号)等を送出するようになっている。なお、電気制御装置60は、取得されたアクセルペダルの操作量Accpが大きくなるほどスロットル弁開度TAが大きくなるように、スロットル弁アクチュエータ34aに指示信号を送出するようになっている。
(第1制御装置による空燃比制御の概要)
次に、上記第1制御装置による「空燃比のフィードバック制御」の概要について説明する。図10は、定常状態における空燃比フィードバック制御(以下、「通常空燃比フィードバック制御」とも称呼する。)中の「下流側空燃比センサ56の出力値Voxs、触媒43の酸素吸蔵量OSA、触媒43に流入するガスである触媒流入ガスの空燃比」を示したタイムチャートである。なお、図10においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化されたものが示されている。図11は、第1制御装置の空燃比制御に係る作動を示す概念フローチャートである。なお、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが後述する「第1閾値と第2閾値」との間にある場合に、図11に示した作動を実質的に行う。
図10に示した例においては、時刻t0における酸素吸蔵量OSAが下限値CLo(「0」近傍の値)であり、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比(リーン空燃比)に制御されいていると仮定している。この仮定によれば、触媒流入ガスはリーン空燃比であるから、過剰の酸素が触媒43に流入する。従って、酸素吸蔵量OSAは次第に増大する。
その後、時刻t1において酸素吸蔵量OSAは「下限値CLoよりも大きい上限値(最大酸素吸蔵量Cmax近傍の値)CHi」に到達する。このとき、触媒43は酸素を効率良く吸蔵することができなくなる。よって、触媒43から流出するガスである触媒流出ガスに比較的多量の酸素が含まれ始める。この結果、時刻t1の直後の時点である時刻t2から下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは最小出力値Vminに向けて減少し始める。その後、時刻t3にて出力値Voxsの変化速度の大きさ|Voxs|は、第1変化速度閾値ΔV1th以上となる。第1変化速度閾値ΔV1thは「0」又は「0」より大きい所定値である。
このとき、第1制御装置は、図11に示した「出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負であるか否かを判定するステップ1110」にて「Yes」と判定し、「出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であるか否かを判定するステップ1120」にても「Yes」と判定する。なお、第1変化速度閾値ΔV1thが「0」である場合、ステップ1120は省略され得る。
そして、第1制御装置はステップ1130に進み、機関に供給される混合気の空燃比(以下、「機関の空燃比」とも称呼する。)を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比(リッチ空燃比)に制御することにより、触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に制御する。この結果、触媒43に過剰の未燃物が流入するので、図10の時刻t3以降に示したように、酸素吸蔵量OSAは減少を開始する。
このように、触媒流入ガスの空燃比がリーン空燃比である場合に下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少を開始したとき(時刻t2)、その出力値Voxsが中央値Vmid(最大出力値Vmaxと最小出力値Vminとの平均値=(Vmax+Vmin)/2)より大きくても、触媒43の酸素吸蔵量OSAはもはや「0」近傍の量ではなく、寧ろ、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い値(上限値CHiを超える値)にまで増大している。
従って、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合(特に、出力値Voxsが減少し且つ出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上である場合)、触媒43に供給すべき燃焼ガスの空燃比(即ち、触媒流入ガス要求空燃比)はリッチ空燃比である。それ故、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上となったとき(時刻t3)、触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に設定する。この結果、触媒43の酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点において、酸素吸蔵量OSAを減少させ始めることができる(時刻t3以降を参照。)。従って、第1制御装置は、「酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達することに起因してNOxの排出量が増大すること」を回避することができる。
酸素吸蔵量OSAは時刻t3以降において次第に減少する。一方、時刻t1直後において触媒43から流出したガス(触媒流出ガス)に多量に含まれていた過剰の酸素は、下流側空燃比センサ56の近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する。そのため、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは減少し続ける。
その後、酸素吸蔵量OSAは、時刻t4にて下限値CLoに到達する。このとき、触媒43は触媒流入ガスに含まれる多量の未燃物を浄化することができなくなる。よって、触媒流出ガスに比較的多量の未燃物が含まれ始める。この未燃物により、下流側空燃比センサ56の近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する酸素は消費される。よって、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは、時刻t4の直後の時点である時刻t5から、最大出力値Vmaxに向けて増大し始める。そして、時刻t6にて出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|は、第2変化速度閾値ΔV2th以上となる。第2変化速度閾値ΔV2thは「0」又は「0」より大きい所定値である。
このとき、第1制御装置は、図11に示した「出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負であるか否かを判定するステップ1110」にて「No」と判定し、「出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であるか否かを判定するステップ1140」にて「Yes」と判定する。なお、第2変化速度閾値ΔV2thが「0」である場合、ステップ1140は省略され得る。
そして、第1制御装置はステップ1150に進み、機関の空燃比をリーン空燃比に制御することにより、触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に制御する。この結果、触媒43に過剰の酸素が流入するので、図10の時刻t6以降に示したように、酸素吸蔵量OSAは増大を開始する。
このように、触媒流入ガスの空燃比がリッチ空燃比である場合に下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大を開始したとき(時刻t6)、その出力値Voxsが中央値Vmidより小さくても、触媒43の酸素吸蔵量OSAはもはや最大酸素吸蔵量Cmax近傍の量ではなく、寧ろ、「0」に近い値(下限値CLoを下回る値)にまで減少している。
従って、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合(特に、出力値Voxsが増大し且つ出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上である場合)、触媒流入ガス要求空燃比はリーン空燃比である。それ故、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上となったとき(時刻t6)、触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に設定する。この結果、触媒43の酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点において、酸素吸蔵量OSAを増大させ始めることができる(時刻t6以降を参照。)。従って、第1制御装置は、「酸素吸蔵量OSAが「0」に到達することに起因して未燃物の排出量が増大すること」を回避することができる。
酸素吸蔵量OSAは時刻t6以降において次第に増大する。一方、時刻t4直後において触媒流出ガスに多量に含まれていた過剰の未燃物は、下流側空燃比センサ56の近傍及び下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する。そのため、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは増大し続ける。
その後、酸素吸蔵量OSAは、時刻t7にて上限値CHiに再び到達する。この結果、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは時刻t8にて減少を開始する。そして、時刻t9にて出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上となると、第1制御装置は、時刻t3以降と同様、触媒流入ガスをリッチ空燃比に制御する。
なお、第1制御装置は、図11のステップ1120及びステップ1140の何れかにて「No」と判定すると、触媒流入ガスの空燃比をそれ以前の空燃比に維持する。以上が、定常状態における「第1制御装置の通常空燃比フィードバック制御」の概要である。このように、第1制御装置は、定常状態において、酸素吸蔵量OSAを「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに到達させることなく、酸素吸蔵量OSAを下限値CLoの近傍から上限値CHiの近傍までの範囲内において変動させる。従って、NOx及び未燃物が多量に排出してしまうことを回避することができる。
以上から理解されるように、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxs(変化速度ΔVoxsの符号及び/又は変化速度ΔVoxsの大きさ)に基づいて、触媒43の状態が「酸素過剰状態(酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax近傍である状態)」であるのか、「酸素不足状態(酸素吸蔵量OSAが「0」近傍である状態)」であるのかを判定して、触媒流入ガスの空燃比を制御する。
より具体的には、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少していれば、触媒43の状態はもはや酸素不足状態ではないと判定する。更に、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であれば、触媒43の状態は酸素過剰状態であるか又は酸素過剰状態に近い状態であると判定する。
更に、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が大きくなるほど、触媒43の状態が酸素過剰状態に近づいていると判定するように構成され得る。
従って、第1制御装置は、触媒43の状態が酸素過剰状態に近づいている場合ほど(下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|Voxs|が大きくなるほど)、触媒流入ガスの空燃比を「より深いリッチ空燃比」に設定するように構成されることもできる。ここで、より深いリッチ空燃比とは、理論空燃比との差の大きさがより大きいリッチ空燃比のことである。
加えて、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大していれば、触媒43の状態はもはや酸素過剰状態ではないと判定する。更に、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であれば、触媒43の状態は酸素不足状態であるか又は酸素不足状態に近い状態であると判定する。
更に、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が大きくなるほど、触媒43の状態が酸素不足状態に近づいていると判定するように構成され得る。
従って、第1制御装置は、触媒43の状態が酸素不足状態に近づいている場合ほど(下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が大きくなるほど)、触媒流入ガスの空燃比を「より深いリーン空燃比」に設定するように構成されることもできる。ここで、より深いリーン空燃比とは、理論空燃比との差の大きさがより大きいリーン空燃比のことである。
(実際の作動)
次に、第1制御装置の実際の作動について説明する。以下、説明の便宜上、「MapX(a1,a2,…)」は、a1,a2,…を引数とする値Xを求めるためのテーブルを表すものとする。
<燃料噴射制御>
CPU71は、図12にフローチャートにより示した最終燃料噴射量Fiの計算及び噴射指示を行うルーチンを、各気筒のクランク角が各気筒の吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、任意の気筒のクランク角度が上記所定クランク角度になると、CPU71はステップ1200から処理を開始してステップ1205に進み、上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比stoich(例えば、14.6)に設定する。
次に、CPUはステップ1210に進み、リッチコントロールフラグXrichcontの値、強制リッチフラグXENrichの値、及び、酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値のうちの何れかが「1」であるか否かを判定する。いま、これらのフラグの値は総て「0」であると仮定する。なお、これらのフラグは、機関10が搭載された図示しない車両のイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更された際、CPUにより実行されるイニシャルルーチンにおいて「0」に設定される。これらのフラグの値の「1」への変更については後述する。
この仮定に従えば、CPUはステップ1210にて「No」と判定してステップ1220に進み、リーンコントロールフラグXleancontの値、強制リーンフラグXENleanの値、及び、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAleanの値のうちの何れかが「1」であるか否かを判定する。更に、ここでは、これらのフラグの値も総て「0」であると仮定する。これらのフラグの値も、前述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定される。これらのフラグの値の「1」への変更については後述する。
この仮定に従えば、CPUはステップ1220にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1240及びステップ1265の処理を順に行ってステップ1295に進む。
ステップ1240:CPUは、テーブルMapMc(Ga,NE)に基づいて「今回の吸気行程を迎える気筒」に吸入される筒内吸入空気量Mc(k)を取得(推定・決定)する。今回の吸気行程を迎える気筒は「燃料噴射気筒」とも称呼される。Gaは、エアフローメータ51が計測している吸入空気量である。NEは、別途求められている機関回転速度である。筒内吸入空気量Mc(k)は、各気筒の吸気行程に対応されながらRAMに記憶されていく。なお、CPUは周知の「空気モデル」を用いて筒内吸入空気量Mc(k)を推定してもよい。
ステップ1245:CPUは、下記の(1)式に従って、筒内吸入空気量Mc(k)を上流側目標空燃比abyfrで除することにより、機関の空燃比を上流側目標空燃比abyfrに一致させるための基本燃料噴射量Fbaseを求める。この場合、上流側目標空燃比abyfrは、上述したステップ1205において「理論空燃比stoich」に設定されている。従って、基本燃料噴射量Fbaseは機関の空燃比を理論空燃比に一致させるためのフィードフォワード量となる。
Fbase=Mc(k)/abyfr …(1)
ステップ1250:CPUは、下記の(2)式に従って、最終燃料噴射量Fiを求める。即ち、CPUは、基本燃料噴射量Fbaseを、メインフィードバック量DFmainにより補正するとともに、サブフィードバック量DFsubにより補正することによって、最終燃料噴射量Fiを算出する。即ち、CPUは、基本燃料噴射量Fbaseに、メインフィードバック量DFmainとサブフィードバック量とを加えることによって、最終燃料噴射量Fiを求める。なお、メインフィードバック量DFmainとサブフィードバック量DFsubとの和(DFmain+DFsub)は、基本燃料噴射量Fbaseを補正する補正量であるので、空燃比補正量とも称呼される。
Fi=Fbase+DFmain+DFsub …(2)
ステップ1255:CPUはフューエルカット(燃料供給遮断)条件が成立しているか否かを判定する。フューエルカット条件(FC条件)は、例えば、アクセルペダル操作量Accp又はスロットル弁開度TAが「0」であり、且つ、機関回転速度NEがフューエルカット回転速度NEFC以上であるときに成立する。更に、フューエルカット条件は、フューエルカット中(フューエルカット条件成立中)においてアクセルペダル操作量Accp又はスロットル弁開度TAが「0」でなくなるか、若しくは、機関回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEFK以下となったときに不成立となる。フューエルカット復帰回転速度NEFKは、フューエルカット回転速度NEFCよりも小さい。
CPUは、フューエルカット条件が成立しているとき、ステップ1255にて「Yes」と判定してステップ1260に進み、最終燃料噴射量Fiを「0」に設定してからステップ1265に進む。これに対し、フューエルカット条件が不成立であるとき、CPUはステップ1255にて「No」と判定し、ステップ1265に直接進む。
ステップ1265:CPUは、最終燃料噴射量(指示噴射量)Fiの燃料が燃料噴射気筒に対する燃料噴射弁25から噴射されるように、その燃料噴射弁25に対して噴射指示を行う。従って、フューエルカット条件が成立しているとき最終燃料噴射量Fiは「0」であるから、燃料噴射は実行されない。
<下流側空燃比センサの出力値の変化速度取得>
CPUは、所定時間tsが経過する毎に図13にフローチャートにより示した「下流側空燃比センサ出力値変化速度取得ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図13のステップ1300から処理を開始してステップ1310に進み、「現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxs」から「所定時間ts前の出力値Voxsである前回出力値Voxsold」を減じたを「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxs」として取得する。
次に、CPUはステップ1320に進み、現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを前回出力値Voxsoldとして記憶する。その後、CPUはステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
<メインフィードバック量の算出>
CPUは、所定時間が経過する毎に図14にフローチャートにより示した「メインフィードバック量算出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図14のステップ1400から処理を開始してステップ1405に進み、「メインフィードバック制御条件(上流側空燃比フィードバック制御条件)」が成立しているか否かを判定する。
メインフィードバック制御条件は以下の総ての条件が成立したときに成立する。
(A−1)上流側空燃比センサ55が活性化している。
(A−2)機関の負荷(負荷率)KLが閾値KLth以下である。
(A−3)フューエルカット中でない。
なお、負荷率KLは、ここでは下記の(3)式により求められる。この負荷率KLに代え、アクセルペダル操作量Accpが用いられても良い。(3)式において、Mc(k)は筒内吸入空気量であり、ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは機関10の排気量(単位は(l))、「4」は機関10の気筒数である。
KL=(Mc(k)/(ρ・L/4))・100% …(3)
いま、メインフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ1405にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ1410乃至ステップ1435の処理を順に行い、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1410:CPUは、下記(4)式に示したように、上流側空燃比センサ55の出力値Vabyfsを図2に示したテーブルMapabyfsに適用することにより、検出上流側空燃比abyfsを取得する。
abyfs=Mapabyfs(Vabyfs) …(4)
ステップ1415:CPUは、下記(5)式に従って、「現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室21に実際に供給された燃料の量」である「筒内燃料供給量Fc(k−N)」を求める。即ち、CPUは、「現時点よりもNサイクル(即ち、N・720°クランク角)前の時点における筒内吸入空気量Mc(k−N)」を「検出上流側空燃比abyfs」にで除すことにより、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求める。
Fc(k−N)=Mc(k−N)/abyfs …(5)
このように、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を検出上流側空燃比abyfsで除すのは、「燃焼室21内での混合気の燃焼により生成された排ガス」が上流側空燃比センサ55に到達するまでに「Nストロークに相当する時間」を要しているからである。
ステップ1420:CPUは、下記(6)式に従って、「現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室21に供給されるべきであった燃料の量」である「目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)」を求める。即ち、CPUは、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を上流側目標空燃比abyfrで除すことにより、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を求める。
Fcr=Mc(k−N)/abyfr …(6)
ステップ1425:CPUは、上記(7)式に従って、筒内燃料供給量偏差DFcを取得する。即ち、CPUは、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減じることにより、筒内燃料供給量偏差DFcを求める。この筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストローク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す量となる。
DFc=Fcr(k−N)−Fc(k−N) …(7)
ステップ1430:CPUは、下記の(8)式に従って、メインフィードバック量DFmainを求める。この(8)式において、Gpは予め設定された比例ゲインである。これにより、検出上流側空燃比abyfsを上流側目標空燃比abyfrに一致させるための「メインフィードバック量DFmain」が算出される。
DFmain=Gp・DFc …(8)
ステップ1435:CPUは、図15及び図16に示したルーチンを実行することによって、メインフィードバック量DFmainを「触媒流入ガス要求空燃比」に応じて補正(制限)する。図15及び図16に示したルーチンについては後述する。
以上により、メインフィードバック量DFmainが求められ、このメインフィードバック量DFmainが前述した図12のステップ1250の処理により最終燃料噴射量Fiに反映される。なお、CPUは、筒内燃料供給量偏差DFcの積分値に積分ゲインGiを乗じた積分項を上記比例項であるGp・DFcに加えることにより、メインフィードバック量DFmainを求めてもよい。
一方、図14のステップ1405の判定時において、メインフィードバック制御条件が不成立であると、CPUはそのステップ1405にて「No」と判定してステップ1440に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、メインフィードバック制御条件が不成立であるとき、メインフィードバック量DFmainは「0」に設定される。従って、基本燃料噴射量Fbaseのメインフィードバック量DFmainによる補正は行われない。
<リーン否定及びリッチ否定の判定>
次に、上記ステップ1435において実行されるメインフィードバック量DFmainの補正について説明する。CPUは、先ず、図15にフローチャートにより示した「リッチ否定・リーン否定判定ルーチン」を実行する。
このルーチンにおいて、触媒43の状態が「酸素過剰状態ではない」とき、「リーン否定」であるとの判定がなされ、リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」に設定されるとともに、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「0」に設定される。触媒43の状態が酸素過剰状態であることは、「触媒43の酸素吸蔵量OSAが所定の上限値CHi以上であって、触媒43の最大酸素吸蔵量Cmaxに実質的に等しい状態である」ことと同義である。
更に、このルーチンにおいて、触媒43の状態が「酸素不足状態ではない」とき、「リッチ否定」であるとの判定がなされ、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」に設定されるとともに、リーン否定フラグXNOTleanの値が「0」に設定される。触媒43の状態が酸素不足状態であることは、「触媒43の酸素吸蔵量OSAが所定の下限値CLo以下であって、「0」に実質的に等しい状態である」ことと同義である。
前述したように、CPUは、図14のステップ1435に進んだとき、図15にフローチャートにより示した「リッチ否定・リーン否定判定ルーチン」を実行する。即ち、CPUが図14のステップ1435に進むと、そのCPUは図15のステップ1500から処理を開始してステップ1510に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負である(0より小さい)か否かを判定する。
前述したように、変化速度ΔVoxsが負であれば(即ち、変化速度ΔVoxsが「0」よりも小さく、出力値Voxsが減少していれば)、触媒43の状態はもはや酸素不足状態ではない。そこで、CPUは変化速度ΔVoxsが負であるとき、ステップ1510にて「Yes」と判定し、ステップ1520にてリッチ否定フラグXNOTrichの値を「1」に設定する。次に、CPUはステップ1530にてリーン否定フラグXNOTleanの値を「0」に設定し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、変化速度ΔVoxsが正(即ち、変化速度ΔVoxsが「0」よりも大きく、出力値Voxsが増大していれば)、触媒43の状態はもはや酸素過剰状態ではない。そこで、CPUは変化速度ΔVoxsが正であるとき、ステップ1510にて「No」と判定し、変化速度ΔVoxsが正であるか否かを判定するステップ1540にて「Yes」と判定する。そして、CPUはステップ1550にてリッチ否定フラグXNOTrichの値を「0」に設定し、続くステップ1560にてリーン否定フラグXNOTleanの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、変化速度ΔVoxsが「0」であるとき、CPUはステップ1510及びステップ1540の両ステップにて「No」と判定し、ステップ1595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
<メインフィードバック量の制限>
更に、前述したように、CPUは、図14のステップ1435に進んだとき、図15に示したルーチンに続いて図16にフローチャートにより示した「メインフィードバック量補正(制限)ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは図16のステップ1600から処理を開始してステップ1610に進み、メインフィードバック量DFmainが正であるか否かを判定する。即ち、CPUは、ステップ1610にて「メインフィードバック量DFmainが、基本燃料噴射量Fbaseを増量補正する値(機関の空燃比と等しい触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に補正しようとする値)」であるか否かを判定する。
このとき、メインフィードバック量DFmainの値が正であると(即ち、メインフィードバック量DFmainが触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に移行させる値であると)、CPUはステップ1610にて「Yes」と判定してステップ1620に進み、リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ1620にて、触媒43の状態が「酸素過剰状態でない」と判定されているか否かを判定する。
このとき、リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」であると(即ち、触媒43の状態が「酸素過剰状態でない」と)、もはや触媒43にリッチ空燃比のガスを供給する必要はない。即ち、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比又はリーン空燃比であって、リッチ空燃比ではない。そこで、この場合、CPUはステップ1620にて「Yes」と判定してステップ1630に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainが、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比」とは異なる空燃比(この場合、リッチ空燃比)に補正することがないように補正(設定・制限)される。
なお、CPUはステップ1630にて、メインフィードバック量DFmainに「1」より小さい正の係数を乗じた値を最終的なメインフィードバック量DFmainとして設定してもよい。即ち、CPUはステップ1630にてメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくしてもよい。
また、CPUはステップ1630にて、メインフィードバック量DFmainと後述するサブフィードバック量DFsubとの和である「空燃比補正量(DFmain+DFsub)」が正の値(基本燃料噴射量Fbaseを増大する値)である場合に、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」(基本燃料噴射量Fbaseを増大することのない値)となるようにメインフィードバック量DFmainを修正してもよい。
これに対し、CPUがステップ1620に進んだときリーン否定フラグXNOTleanの値が「0」であると、CPUはステップ1620にて「No」と判定し、ステップ1695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ1610に進んだとき、メインフィードバック量DFmainの値が負(又は0)であると(即ち、メインフィードバック量DFmainが触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に移行させる値であると)、CPUはステップ1610にて「No」と判定してステップ1640に進み、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ1640にて、触媒43の状態が「酸素不足状態でない」と判定されているか否かを判定する。
このとき、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」であると(即ち、触媒43の状態が「酸素不足状態でない」と)、もはや触媒43にリーン空燃比のガスを供給する必要はない。即ち、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比又はリッチ空燃比であって、リーン空燃比ではない。そこで、この場合、CPUはステップ1640にて「Yes」と判定してステップ1650に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainが、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比」とは異なる空燃比(この場合、リーン空燃比)に補正することがないように補正(設定・制限)される。
なお、CPUはステップ1650にて、メインフィードバック量DFmainに「1」より小さい正の係数を乗じた値を最終的なメインフィードバック量DFmainとして設定してもよい。即ち、CPUはステップ1650にてメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくしてもよい。
また、CPUはステップ1650にて、メインフィードバック量DFmainとサブフィードバック量DFsubとの和である「空燃比補正量(DFmain+DFsub)」が負の値(基本燃料噴射量Fbaseを減少する値)である場合に、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」(基本燃料噴射量Fbaseを減少することのない値)となるようにメインフィードバック量DFmainを修正してもよい。
これに対し、CPUがステップ1640に進んだときリッチ否定フラグXNOTrichの値が「0」であると、CPUはステップ1640にて「No」と判定し、ステップ1695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。以上により、メインフィードバック量DFmainが求められる。
<サブフィードバック量の算出>
CPUは、所定時間が経過する毎に図17にフローチャートにより示した「サブフィードバック量算出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図17のステップ1700から処理を開始してステップ1710に進み、「サブフィードバック制御条件(下流側空燃比フィードバック制御条件)」が成立しているか否かを判定する。
サブフィードバック制御条件は以下の総ての条件が成立したときに成立する。
(B−1)メインフィードバック制御条件が成立している。
(B−2)下流側空燃比センサ56が活性化している。
(B−3)上流側目標空燃比abyfrが理論空燃比stoichに設定されている。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ1710にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1720乃至ステップ1760の処理を順に行い、その後、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1720:CPUは図18に示した「比例項算出ルーチン」を実行することによりサブフィードバック量DFsubの比例項SPを算出する。比例項算出ルーチンについては後述する。
ステップ1730:CPUは、「現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsから、本ルーチンを前回実行した時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsである前回値Voxsoldsubを減じた値」を、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの微分値DVoxsとして求める。なお、微分値DVoxsは、図13に示したルーチンにより求められている変化速度ΔVoxsにより置換されてもよい。微分値DVoxsは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度であり、単位時間あたりの下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化量と言うこともできる。
ステップ1740:CPUは、下記の(9)式に示したように、微分値DVoxsに微分ゲイン(微分定数)Kdを乗じることによってサブフィードバック量の微分項SDを求める。微分ゲインKdは負の値である。従って、出力値Voxsが減少しているとき、微分値DVoxsは負の値となり、微分項SDは正の値となる。これにより、出力値Voxsが減少しているとき、微分項SDは触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比へと補正する値となる。また、出力値Voxsが増大しているとき、微分値DVoxsは正の値となり、微分項SDは負の値となる。これにより、出力値Voxsが増大しているとき、微分項SDは触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比へと補正する値となる。更に、(9)式から明らかなように、微分項SDは、変化速度の大きさ|ΔVoxs|が大きいほど、その大きさ|SD|が大きくなる。
SD=Kd・DVoxs …(9)
ステップ1750:CPUは、現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを前回値Voxsoldsubとして記憶する。
ステップ1760:CPUは、下記の(10)式に示したように、ステップ1720にて求められている比例項SPと、ステップ1740にて求められている微分項SDと、を加えることによりサブフィードバック量DFsubを算出する。以上の処理により、所定時間の経過毎にサブフィードバック量DFsubが更新される。
DFsub=SP+SD …(10)
一方、サブフィードバック制御条件が成立していない場合、CPUは図17のステップ1710にて「No」と判定してステップ1770に進み、サブフィードバック量DFsubを「0」に設定する。その後、CPUはステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
<サブフィードバック量の比例項の算出>
前述したように、CPUは、図17のステップ1720に進んだとき、図18にフローチャートにより示した「サブフィードバック量の比例項算出ルーチン」を実行するようになっている。従って、CPUが図17のステップ1720に進むと、CPUは図18のステップ1800から処理を開始してステップ1810に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」以上であるか否かを判定する。
第1閾値は、「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの最大出力値Vmaxと最小出力値Vminとの中央値Vmid(=(Vmax+Vmin)/2)」と「最大出力値Vmax」との間の値である。即ち、第1閾値は、中央値Vmidよりも最大出力値Vmaxに近い所定値である。
ストイキ上限値VHilimitは、触媒43が酸素不足状態にある場合(即ち、触媒43の酸素吸蔵量OSAが「0」又は「0」近傍である場合)であってリーン空燃比のガスが触媒43に流入している場合において、触媒43がその流入する酸素を取り込んでいて触媒43からは酸素も未燃物も実質的に流出しない状態にあるときの出力値Voxsである(図8の時刻t3〜t4における出力値Voxsを参照。)。
いま、出力値Voxsがストイキ上限値VHilimit以上であると仮定する。この場合、CPUはステップ1810にて「Yes」と判定してステップ1820に進み、下記の(11)式に従ってサブフィードバック量DFsubの比例項SPを算出する。
SP=(VHilimit−Voxs)・KpL+(Voxsref−VHilimit)・KpS1 …(11)
(11)式において、KpLはリーン制御用ゲインであり、正の値である。KpS1は第1ゲインであり、正の値である。Voxsrefは下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの目標値(下流側目標値Voxsref、サブフィードバック目標値)である。第1制御装置において、下流側目標値Voxsrefは一定であり、中央値Vmidに設定されている。この結果、出力値Voxsがストイキ上限値VHilimit以上である場合、比例項SPは必ず負の値となる。即ち、比例項SPは触媒流入ガスの空燃比(=機関の空燃比)をリーン空燃比に設定する値となる。
このように、第1制御装置は、出力値Voxsと下流側目標値Voxsrefとの偏差を、出力値Voxsと第1閾値(ここでは、ストイキ上限値VHilimit)との偏差(図19における偏差d1を参照。)と、ストイキ上限値VHilimitと下流側目標値Voxsrefとの偏差(図19における偏差d2を参照。)と、に分け、それぞれの偏差に対して異なる比例ゲイン(KpL,KpS1)を乗じる。そして、第1制御装置は、それらの和を比例項SPとして求める。
即ち、上記ステップ1810及び上記ステップ1820は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値(本例において、ストイキ上限値VHilimit)以上である場合、
(1)「第1閾値VHilimitと、下流側空燃比センサの出力値Voxsと、の差」にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値((VHilimit−Voxs)・KpL)と、
(2)「第1閾値VHilimitと後述する第2閾値VLolimitとの間に設定された所定の目標値Voxsref(本例において、中央値Vmid)」と、第1閾値VHilimitと、の差に第1ゲインKpS1を乗じた値((Voxsref−VHilimit)・KpS1)と、
の和を、「機関10に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御する」ための「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出するステップである。
次に、CPUはステップ1830に進み、図20にフローチャートにより示した「サブフィードバック量の比例項制限ルーチン」を実行する。より具体的に述べると、CPUは図20のステップ2000から処理を開始してステップ2010に進み、比例項SPが正であるか否かを判定する。
前述したように、出力値Voxsが第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit以上であるとき、ステップ1820にて算出される比例項SPは負の値となる。従って、CPUはステップ2010にて「No」と判定してステップ2050に進み、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」であるか否かを判定する。
いま、触媒43の状態が酸素不足状態(酸素吸蔵量OSAが実質的に「0」である。)であると仮定すると、出力値Voxsは減少することなく(即ち、変化速度ΔVoxsは負ではなく)、且つ、出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍の値を維持する。従って、リッチ否定フラグXNOTrichの値は、図15のルーチンのステップ1520において「1」に設定されることはなく、通常「0」に維持されている。この場合、CPUは図20のステップ2050にて「No」と判定し、ステップ2095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、比例項SPは制限されることなく、負の値を維持する。
これに対し、触媒43が酸素不足状態を脱すると、出力値Voxsは減少する(変化速度ΔVoxsが負となる)。そのため、リッチ否定フラグXNOTrichの値は、図15のステップ1510及びステップ1520の処理によって「1」に設定される。このとき、CPUがステップ2050に進むと、CPUはそのステップ2050にて「Yes」と判定し、ステップ2060に進む。
CPUはステップ2060にて比例項反映率(比例項補正係数、リーン制限係数)Kbを求める。より具体的に述べると、CPUは下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値をステップ2060内に記載した反映率テーブルMapKb(|ΔVoxs|)に適用することにより比例項反映率Kbを求める。この反映率テーブルMapKb(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「0と、第1変化速度閾値ΔV1thよりも所定値だけ小さい値と、の間の値」であるとき、比例項反映率Kbは「1」に設定される。更に、反映率テーブルMapKb(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「第1変化速度閾値ΔV1thよりも所定値だけ小さい値と、第1変化速度閾値ΔV1thと、の間の値」であるとき、比例項反映率Kbは絶対値|ΔVoxs|が増大するにつれて「1」から「0」に向けて減少する値に設定される。加えて、反映率テーブルMapKb(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「第1変化速度閾値ΔV1th以上の値」であるとき、比例項反映率Kbは「0」に設定される。
次に、CPUはステップ2070に進み、比例項SPに比例項反映率Kbを乗じた値を最終的な比例項SPとして求める。この結果、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が大きいほど、サブフィードバック量DFsubの比例項SPの大きさは小さくなる。その後、CPUはステップ2095を経由して、図18のステップ1895へと進み、図18のルーチンを一旦終了する。
なお、図20のステップ2060内に破線により示したように、比例項反映率Kbは、絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1thよりも小さいときに「1」に設定され、絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であるときに「0」に設定されてもよい。
再び、図18を参照すると、CPUがステップ1810に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」よりも小さいと、CPUはそのステップ1810にて「No」と判定してステップ1840に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」以下であるか否かを判定する。
第2閾値は、中央値Vmidと最小出力値Vminとの間の値である。即ち、第2閾値は、中央値Vmidよりも最小出力値Vminに近い所定値である。
ストイキ下限値VLolimitは、触媒43が酸素過剰状態にある場合(即ち、触媒43の酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は最大酸素吸蔵量Cmax近傍である場合)であってリッチ空燃比のガスが触媒43に流入している場合において、触媒43が内部に吸蔵している酸素を未燃物の酸化のために消費していて触媒43からは酸素も未燃物も実質的に流出しない状態にあるときの出力値Voxsである(図9の時刻t3〜t4における出力値Voxsを参照。)。
いま、出力値Voxsがストイキ下限値VLolimit以下であると仮定する。この場合、CPUはステップ1840にて「Yes」と判定してステップ1850に進み、下記の(12)式に従ってサブフィードバック量DFsubの比例項SPを算出する。
SP=(VLolimit−Voxs)・KpR+(Voxsref−VLolimit)・KpS2 …(12)
(12)式において、KpRはリッチ制御用ゲインであり、正の値である。リッチ制御用ゲインKpRはリーン制御用ゲインKpLと同じであってもよい。KpS2は第2ゲインであり、正の値である。第2ゲインKpS2は第1ゲインKpS1と同じであってもよい。この結果、出力値Voxsがストイキ下限値VLolimit以下である場合、比例項SPは必ず正の値となる。即ち、比例項SPは触媒流入ガスの空燃比(=機関の空燃比)をリッチ空燃比に設定する値となる。
このように、第1制御装置は、出力値Voxsと下流側目標値Voxsrefとの偏差を、出力値Voxsと第2閾値(ここでは、ストイキ下限値VLolimit)との偏差(図19における偏差d3を参照。)と、ストイキ下限値VLolimitと下流側目標値Voxsrefとの偏差(図19における偏差d4を参照。)と、に分け、それぞれの偏差に対して異なる比例ゲイン(KpR,KpS2)を乗じる。
即ち、上記ステップ1840及び上記ステップ1850は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値(本例において、ストイキ下限値VLolimit)以下である場合、
(1)「第2閾値と、下流側空燃比センサの出力値と、の差」にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値((VHilimit−Voxs)・KpL)と、
(2)「第1閾値と第2閾値との間に設定された所定の目標値Voxsref(本例において、中央値Vmid)」と、第2閾値と、の差に第2ゲインKpS2を乗じた値((Voxsref−VLolimit)・KpS2)と、
の和を、「機関10に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御する」ための「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出するステップである。
次に、CPUはステップ1830に進み、図20のステップ2000及びステップ2010に進む。この場合、比例項SPは正である。従って、CPUはステップ2010にて「Yes」と判定してステップ2020に進み、リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」であるか否かを判定する。
いま、触媒43の状態が酸素過剰状態(酸素吸蔵量OSAが実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである。)であるとすると、出力値Voxsは増大することなく(即ち、変化速度ΔVoxsは正ではなく)、且つ、出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値を維持する。従って、リーン否定フラグXNOTleanの値は、図15のルーチンのステップ1560において「1」に設定されることはなく、通常「0」に維持されている。この場合、CPUは図20のステップ2020にて「No」と判定し、ステップ2095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、比例項SPは制限されることなく、正の値を維持する。
これに対し、触媒43が酸素過剰状態を脱すると、出力値Voxsは増大する(変化速度ΔVoxsが正となる)。そのため、リーン否定フラグXNOTleanの値は、図15のステップ1540及びステップ1560の処理によって「1」に設定される。このとき、CPUがステップ2020に進むと、CPUはそのステップ2020にて「Yes」と判定し、ステップ2030に進む。
CPUはステップ2030にて比例項反映率(比例項補正係数、リッチ制限係数)Kaを求める。より具体的に述べると、CPUは下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値をステップ2030内に記載した反映率テーブルMapKa(|ΔVoxs|)に適用することにより比例項反映率Kaを求める。この反映率テーブルMapKa(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「0と、第2変化速度閾値ΔV2thよりも所定値だけ小さい値と、の間の値」であるとき、比例項反映率Kaは「1」に設定される。更に、反映率テーブルMapKa(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「第2変化速度閾値ΔV2thよりも所定値だけ小さい値と、第2変化速度閾値ΔV2thと、の間の値」であるとき、比例項反映率Kaは絶対値|ΔVoxs|が増大するにつれて「1」から「0」に向けて減少する値に設定される。加えて、反映率テーブルMapKa(|ΔVoxs|)によれば、絶対値|ΔVoxs|が「第2変化速度閾値ΔV2th以上の値」であるとき、比例項反映率Kaは「0」に設定される。
次に、CPUはステップ2040に進み、比例項SPに比例項反映率Kaを乗じた値を最終的な比例項SPとして求める。この結果、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が大きいほど、サブフィードバック量DFsubの比例項SPの大きさは小さくなる。その後、CPUはステップ2095を経由して、図18のステップ1895へと進み、図18のルーチンを一旦終了する。
なお、図20のステップ2030内に破線により示したように、比例項反映率Kaは、絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2thよりも小さいときに「1」に設定され、絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であるときに「0」に設定されてもよい。
再び、図18を参照すると、CPUがステップ1810に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」よりも小さいと、CPUはそのステップ1810からステップ1840に進む。更に、CPUがステップ1840に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」よりも大きいと、CPUはそのステップ1840にて「No」と判定してステップ1860に進む。即ち、出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にあるとき、CPUはステップ1860に進む。
CPUはステップ1860にて、下記の(13)式に従ってサブフィードバック量DFsubの比例項SPを算出する。
SP=(Voxsref−Voxs)・KpS3 …(13)
(13)式において、KpS3は第3ゲインであり、正の値である。第3ゲインKpS
3は、第1ゲインKpS1及び第2ゲインKpS2と同じであってもよい。この結果、出力値Voxsが下流側目標値Voxsrefよりも大きく且つ第1閾値VHilimit以下であるとき、比例項SPは負であって、触媒流入ガスの空燃比をリーン側空燃比に設定する値となる。これに対し、出力値Voxsが下流側目標値Voxsrefよりも小さく且つ第2閾値VLolimit以上であるとき、比例項SPは正であって、触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に設定する値となる。
なお、但し、第3ゲインKpS3は、「0」を含む極めて小さい値(例えば、微分項SDが正であるときにサブフィードバック量DFsub(=SD+SP)が負となることがない値、及び、微分項SDが負であるときにサブフィードバック量DFsub(=SD+SP)が正となることがない値)に選択されていることが好ましい。或いは、比例項SPは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが、「第1閾値を含む所定範囲内の値(Vmax−α1)」よりも小さく且つ「第2閾値を含む所定範囲内の値(Vmax+α2)」よりも大きいとき、「0」になるように決定されることが好ましい。
その後、CPUはステップ1830(図20のルーチン)の処理を行う。この場合、出力値Voxsは「第1閾値VHilimitと第2閾値VLolimitとの間」にあるので、触媒43は通常、酸素不足状態でも酸素過剰状態でもない。従って、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|は「0」ではないので、CPUが図15のルーチンを実行することにより、リーン否定フラグXNOTleanの値及びリッチ否定フラグXNOTrichの値のうちの何れか一方は「1」に設定されている。更に、触媒43が「酸素不足状態でも酸素過剰状態でもない」場合、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|は、第1変化速度閾値ΔV1th又は第2変化速度閾値ΔV2thよりも大きいか、或いは、それらの近傍の値となることが多い。従って、図20のステップ2030において求められる反映率Ka又はステップ2060により求められる反映率Kbは「1」よりも小さく、特に、出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が大きい場合、反映率Ka及び反映率Kbは「0」になる。
よって、このような場合、サブフィードバック量DFsubの比例項SPは実質的に「0」となるので、サブフィードバック量DFsubは微分項SDのみに応じて変化することになる。その後、CPUはステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値VHilimitと第2閾値VLolimitとの間」にある場合、サブフィードバック量DFsubは実質的に微分項SDのみを含むことになる。よって、サブフィードバック量は、出力値Voxsが減少しているときに触媒流入ガスの空燃比(=機関の空燃比)をリッチ空燃比に設定し、出力値Voxsが増大しているときに触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に設定する値になる。
<ストイキ上限値及びストイキ下限値の取得>
次に、ストイキ下限値VLolimit及びストイキ上限値VHilimitの取得方法について説明する。CPUは機関10の運転開始後に「ストイキ下限値VLolimit及びストイキ上限値VHilimit」を一度も取得していない場合、所定時間以上に渡るフューエルカット運転が実行された後に「ストイキ下限値VLolimit及びストイキ上限値VHilimit」を取得するための制御を行う。
CPUは、上述したフューエルカット条件が成立したときフューエルカット運転を実行する。それにより、触媒43には多量の酸素が流入する。従って、フューエルカット運転が所定時間以上継続すると、触媒43の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する。その結果、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは、図21の時刻t1以前に示したように、最小出力値Vminになる。その後、フューエルカット条件が不成立となると、フューエルカット運転が終了する。
このとき、「ストイキ下限値VLolimit及びストイキ上限値VHilimit」が今回の機関10の運転開始後において取得されていなければ、CPUはそれらを取得するために、先ず、機関の空燃比をリッチ空燃比に設定する(図21の時刻t1以降を参照。)。
この結果、触媒流入ガスに含まれる未燃物は「触媒に吸蔵されている酸素及び触媒流入ガスに含まれる酸素」と結合することにより酸化される。即ち、この場合、触媒流出ガスの空燃比は実質的に理論空燃比であると言うことができる。しかしながら、下流側空燃比センサ56の近傍及び下流側空燃比センサ56の拡散抵抗層等には、フューエルカット運転中に供給された酸素が残存している。従って、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは、図21の時刻t1以降において僅かに増大するものの、中央値Vmidと最小出力値Vminとの間の値であって且つ最小出力値Vmin近傍の値を暫くの間維持する。このときの出力値Voxsがストイキ下限値VLolimitである。
そこで、CPUは「時刻t1」から「出力値Voxsが実質的に最大出力値Vmaxに到達する時点(時刻t3)」までの期間において出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさが最小となる時点(時刻t2を参照。)を検出し、その時点の出力値Voxsをストイキ下限値VLolimitとして取得する。
その後、時刻t3において「出力値Voxsが最大出力値Vmaxに到達する」と、CPUは機関の空燃比をリーン空燃比に設定する(図21の時刻t3以降を参照。)。この状態において、触媒43の酸素吸蔵量OSAは「0」である。
これにより、触媒43は酸素を吸蔵し始めるので、触媒43の下流に酸素は流出しない。更に、触媒流入ガスに含まれる未燃物は触媒において酸化される。このとき、触媒流出ガスは未燃物も酸素も含んでいない。即ち、触媒流出ガスの空燃比は理論空燃比である。しかしながら、下流側空燃比センサ56の近傍及び下流側空燃比センサ56の拡散抵抗層等に残存する酸素は完全に消費されているから、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、図21の時刻t3以降に示したように僅かに減少するものの、中央値Vmidと最大出力値Vmaxとの間の値であって且つ最大出力値Vmaxの近傍の値を暫くの間維持する。このときの出力値Voxsがストイキ上限値VHilimitである。
そこで、CPUは「時刻t3」から「出力値Voxsが実質的に最小出力値Vminに到達する時点(時刻t5)」までの期間において出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの大きさが最小となる時点(時刻t4を参照。)を検出し、その時点の出力値Voxsをストイキ上限値VHilimitとして取得する。以上が、ストイキ下限値VLolimit及びストイキ上限値VHilimitの取得方法である。
次に、CPUの実際の作動について説明すると、CPUは、所定時間が経過する毎に図22にフローチャートにより示した「ストイキ下限値検出用リッチ制御ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図22のステップ2200から処理を開始してステップ2210に進み、現時点がフューエルカット運転の終了直後(即ち、フューエルカット条件が不成立となった直後)であるか否かを判定する。このとき、現時点がフューエルカット運転の終了直後でなければ、CPUはステップ2210からステップ2295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ2210に進んだとき、その時点がフューエルカット運転の終了直後であると、CPUはそのステップ2210にて「Yes」と判定してステップ2220に進み、ストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値が「0」であるか否かを判定する。
ところで、CPUは、機関10の今回の運転開始時において、ストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値を「0」に設定するとともに、ストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値を「0」に設定する。即ち、CPUは、前述したイニシャルルーチンにおいて、これらのフラグの値を「0」に設定する。また、CPUは後述するように、機関10の今回の運転開始後において、ストイキ下限値VLolimitが取得されたときストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値を「1」に設定し、ストイキ上限値VHilimitが取得されたときストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値を「1」に設定する。
従って、今回の運転開始後においてストイキ下限値VLolimitが取得されていないとすると、ストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値は「0」である。この場合、CPUはステップ2220にて「Yes」と判定してステップ2230に進み、その時点の直前に終了したフューエルカット運転が所定時間以上継続していたか否かを判定する。換言すると、CPUは触媒43の酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達しているか否かを判定する。従って、このステップ2230は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが最小出力値Vminであるか否かを確認するステップに置換され得る。
いま、その時点の直前に終了したフューエルカット運転が所定時間以上継続していたと仮定すると、CPUはステップ2230にて「Yes」と判定してステップ2240に進み、リッチコントロールフラグXrichcontの値を「1」に設定する。次いで、CPUはステップ2250に進み、最小変化速度ΔVoxsminの値を予め定められた変化速度初期値ΔVoxsminInitialに設定する。その後、CPUはステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、CPUは上記ステップ2220にて「No」と判定した場合、及び、上記ステップ2230にて「No」と判定した場合、ステップ2295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
上記ステップ2240にてリッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」に設定されると、CPUは図12のステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1215に進み、上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリッチ側の空燃比AFrich(例えば、14.2)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリッチ空燃比AFrichに制御される。
更に、CPUは、所定時間が経過する毎に図23にフローチャートにより示した「ストイキ下限値検出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図23のステップ2300から処理を開始してステップ2310に進み、リッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、リッチコントロールフラグXrichcontの値が「0」であると、CPUはステップ2310にて「No」と判定し、ステップ2395に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、上述した図22のステップ2240の処理によってリッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」に変更されると、CPUはステップ2310にて「Yes」と判定してステップ2320に進むようになる。そして、CPUは、出力値Voxsが最小出力値Vminに微小な正の値δ2を加えた値(Vmin+δ2)よりも大きいか否かを判定する。
いま、フューエルカット運転が終了した直後であってリッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」に変更された直後であると仮定すると、出力値Voxsは最小出力値Vminに微小な正の値δ2を加えた値以下である(図21の時刻t1の直後を参照。)。この場合、CPUはステップ2320にて「No」と判定し、ステップ2395に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
この状態が継続すると、出力値Voxsは次第に増大し、最小出力値Vminに微小な正の値δ2を加えた値(Vmin+δ2)を上回る。このとき、CPUがステップ2320の処理を実行すると、CPUはそのステップ2320にて「Yes」と判定してステップ2330に進み、変化速度ΔVoxsの大きさ(変化速度ΔVoxsの絶対値)|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsminよりも小さいか否かを判定する。なお、最小変化速度ΔVoxsminは、当初、前述した図22のステップ2250にて変化速度初期値ΔVoxsminInitialに設定されている。
このとき、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsmin以上であると、CPUはステップ2330にて「No」と判定し、ステップ2360に直接進む。これに対し、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsminよりも小さいと、CPUはステップ2340にて変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|を最小変化速度ΔVoxsminとして取得するとともに、ステップ2350にて出力値Voxsをストイキ下限値VLolimitとして取得する。
このステップ2330乃至ステップ2350の処理が繰り返し実行されるにより、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小となった時点における出力値Voxsがストイキ下限値VLolimitとして取得される。
次いで、CPUはステップ2360に進み、出力値Voxsが「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」よりも大きいか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2360にて「出力値Voxsが最大出力値Vmaxに実質的に到達したか否か」を判定する。
図21の時刻t1〜時刻t3に示したように、リッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」に設定されてから暫くの値、出力値Voxsは値(Vmax−δ1)よりも小さい。従って、CPUはステップ2360にて「No」と判定し、ステップ2395に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
そして、この状態が継続すること、出力値Voxsは値(Vmax−δ1)よりも大きくなる。このとき、CPUがステップ2360に進むと、CPUはそのステップ2360にて「Yes」と判定してステップ2370に進み、リッチコントロールフラグXrichcontの値を「0」に設定する。更に、CPUはステップ2380にて、ストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値を「1」に設定し、ステップ2395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
この結果、リッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」に設定されてから、出力値Voxsが最大出力値Vmax近傍の値(Vmax−δ1)に到達するまでの期間において、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小となったときの出力値Voxsがストイキ下限値VLolimitとして取得される。
加えて、CPUは、所定時間が経過する毎に図24にフローチャートにより示した「ストイキ上限値検出用リーン制御ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図24のステップ2400から処理を開始してステップ2410に進み、現時点がリッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」から「0」へと変化した直後であるか否かを判定する。
このとき、現時点が「リッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」から「0」へと変化した直後」でなければ、CPUはステップ2410にて「No」と判定してステップ2495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点が、「リッチコントロールフラグXrichcontの値が「1」から「0」へと変更された直後」であると、CPUはステップ2410にて「Yes」と判定してステップ2420に進み、ストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値が「0」であるか否かを判定する。
ところで、前述したように、CPUは、機関10の今回の運転開始時において、ストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値を「0」に設定するとともに、ストイキ上限値VHilimitが取得されたときストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値を「1」に設定する。
従って、今回の運転開始後においてストイキ上限値VHilimitが取得されていないとすると、ストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値は「0」である。この場合、CPUはステップ2420にて「Yes」と判定してステップ2430に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」より大きいか否かを判定する。即ち、CPUはステップ2420にて、触媒43の酸素吸蔵量OSAが実質的に「0」であるか否か、換言すると、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが実質的に最大出力値Vmaxであるか否かを判定する。
そして、CPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」より大きい場合、ステップ2430にて「Yes」と判定してステップ2440に進み、リーンコントロールフラグXleancontの値を「1」に設定する。次いで、CPUはステップ2450に進み、最小変化速度ΔVoxsminの値を予め定められた変化速度初期値ΔVoxsminInitialに設定する。その後、CPUはステップ2495に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、CPUは上記ステップ2420にて「No」と判定した場合、及び、上記ステップ2430にて「No」と判定した場合、ステップ2495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
上記ステップ2440にてリーンコントロールフラグXleancontの値の値が「1」に設定されると、CPUは図12のステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1225に進み、上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリーン側の空燃比AFlean(例えば、15.0)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリーン空燃比AFleanに制御される。
更に、CPUは、所定時間が経過する毎に図25にフローチャートにより示した「ストイキ上限値検出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図25のステップ2500から処理を開始してステップ2510に進み、リーンコントロールフラグXleancontの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、リーンコントロールフラグXleancontの値が「0」であると、CPUはステップ2510にて「No」と判定し、ステップ2595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、上述した図24のステップ2440の処理によってリーンコントロールフラグXleancontの値が「1」に変更されると、CPUはステップ2510にて「Yes」と判定してステップ2520に進むようになる。そして、CPUは、出力値Voxsが「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」より小さいか否かを判定する。
いま、前述した図24のステップ2440にてリーンコントロールフラグXleancontの値が「1」に変更された直後であると仮定すると、出力値Voxsは「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」以上である(図24のステップ2430及び図21の時刻t3の直後を参照。)。この場合、CPUはステップ2520にて「No」と判定し、ステップ2595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
この状態が継続すると、出力値Voxsは次第に減少し、「最大出力値Vmaxから微小な正の値δ1を減じた値(Vmax−δ1)」よりも小さくなる。このとき、CPUがステップ2520の処理を実行すると、CPUはそのステップ2520にて「Yes」と判定してステップ2530に進み、変化速度ΔVoxsの大きさ(変化速度ΔVoxsの絶対値)|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsminよりも小さいか否かを判定する。なお、この時点における最小変化速度ΔVoxsminは、前述した図24のステップ2450にて変化速度初期値ΔVoxsminInitialに設定されている。
このとき、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsmin以上であると、CPUはステップ2530にて「No」と判定し、ステップ2560に直接進む。これに対し、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小変化速度ΔVoxsminよりも小さいと、CPUはステップ2540にて変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|を最小変化速度ΔVoxsminとして取得するとともに、ステップ2550にて出力値Voxsをストイキ上限値VHilimitとして取得する。
このステップ2530乃至ステップ2550の処理が繰り返し実行されるにより、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小となった時点における出力値Voxsがストイキ上限値VHilimitとして取得される。
次いで、CPUはステップ2560に進み、出力値Voxsが「最小出力値Vminに微小な正の値δ2を加えた値(Vmin+δ2)」よりも小さいか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2560にて「出力値Voxsが最小出力値Vminに実質的に到達したか否か」を判定する。図21の時刻t3〜時刻t5に示したように、リーンコントロールフラグXleancontの値が「1」に設定されてから暫くの値、出力値Voxsは値(Vmin+δ2)よりも大きい。従って、CPUはステップ2560にて「No」と判定し、ステップ2595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
そして、この状態が継続すること、出力値Voxsは値(Vmin+δ2)よりも小さくなる。このとき、CPUがステップ2560に進むと、CPUはそのステップ2560にて「Yes」と判定してステップ2570に進み、リーンコントロールフラグXleancontの値を「0」に設定する。更に、CPUはステップ2580にて、ストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値を「1」に設定し、ステップ2595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
この結果、リーンコントロールフラグXleancontの値が「1」に設定されてから、出力値Voxsが最小出力値Vmin近傍の値(Vmin+δ2)に到達するまでの期間において、変化速度ΔVoxsの大きさ|ΔVoxs|が最小となったときの出力値Voxsがストイキ上限値VHilimitとして取得される。
加えて、図23のステップ2370にてリッチコントロールフラグXrichcontの値が「0」に設定されるとともに、図25のステップ2570にてリーンコントロールフラグXleancontの値が「0」に設定されるので、この時点以降、CPUは図12のステップ1210及びステップ1220の両ステップにて「No」と判定し、ステップ1215又はステップ1225の処理を行わなくなる。従って、上流側目標空燃比abyfrはステップ1205にて設定された理論空燃比stoich(例えば、14.6)に設定される。
更に、図23のステップ2380にてストイキ下限値取得完了フラグXLolimitdetの値が「1」に設定され、図25のステップ2580にてストイキ上限値取得完了フラグXHilimitdetの値が「1」に設定される。従って、次に、機関10が始動されるまで(上述したイニシャルルーチンが実行されるまで)、CPUは、図22のステップ2220にて「No」と判定するとともに、図24のステップ2420にて「No」と判定するようになる。従って、上流側目標空燃比abyfrをリッチ空燃比AFrichに設定することよるストイキ下限値VLolimitの取得、及び、上流側目標空燃比abyfrをリーン空燃比AFleanに設定することによるストイキ上限値XHilimitの取得は行われない。もちろん、第1制御装置は、機関が運転されている間、所定時間以上に渡るフューエルカット運転が行われれば、ストイキ下限値VLolimitの取得、及び、ストイキ上限値XHilimitの取得を繰り返し実行してもよい。
以上、説明したように、第1制御装置は、濃淡電池型酸素濃度センサである下流側空燃比センサ56と、その下流側空燃比センサ56の出力値Voxsに基づいて触媒43に流入するガスである「触媒流入ガス」の空燃比を変更するように「機関10に供給される混合気の空燃比」を制御する空燃比制御手段(図11のルーチンを参照。)と、を備える。
更に、その空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように(図11のステップ1110及びステップ1130を参照。)、且つ、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように(図11のステップ1110及びステップ1150を参照。)、機関10に供給される混合気の空燃比を制御する(即ち、通常空燃比フィードバック制御を実行する)ように構成されている。
特に、その空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値の変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の第1変化速度閾値ΔV1th以上であるとき、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように(図11のステップ1120及びステップ1130を参照。)、且つ、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値の変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の第2変化速度閾値ΔV2th以上であるとき、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように(図11のステップ1140及びステップ1150を参照。)、機関10に供給される混合気の空燃比を制御するように構成されている。
より具体的には、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合における同出力値の変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の第1変化速度閾値ΔV1th(「0」を含む値)以上であるとき、図20のステップ2060にて反映率Kbが「0」に設定されることからサブフィードバック量DFsubの比例項SPはステップ2070にて「0」に設定され、且つ、微分項SDは正の値になるので(図17のステップ1730及びステップ1740を参照。)、基本燃料噴射量Fbaseはサブフィードバック量DFsub(この場合、微分項SDのみを含むことになる)によって増量補正され、その結果、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリッチ空燃比に制御される。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少していて、且つ、その変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であれば、触媒43から過剰の酸素が流出していることを意味するので、たとえ下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが中央値Vmidよりも大きいとき(従来技術におけるリッチ検出時)であっても、触媒43の酸素吸蔵量OSAは「0」近傍ではなく、寧ろ、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い値にまで減少している。従って、このような場合、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比(リッチ空燃比)である。従って、上述したように、このような場合、第1制御装置は触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に制御する。
それ故、第1制御装置によれば、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点において触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを減少させ始めることができる。この結果、第1制御装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の減量補正を行わないので、多量のNOxが排出されることを回避することができる。
更に、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合における同出力値の変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の第2変化速度閾値ΔV2th(「0」を含む値)以上であるとき、図20のステップ2030にて反映率Kaが「0」に設定され、且つ、微分項SDは負の値になるので(図17のステップ1730及びステップ1740を参照。)、基本燃料噴射量Fbaseはサブフィードバック量DFsub(微分項SD)によって減量補正され、その結果、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリーン空燃比に制御される。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大していて、且つ、その変化速度の大きさ|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であれば、触媒43から過剰の未燃物が流出していることを意味するので、たとえ下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さいとき(従来技術におけるリーン検出時)であっても、触媒43の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxの近傍ではなく、寧ろ、「0」に近い値にまで減少している。従って、このような場合、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比(リーン空燃比)である。従って、上述したように、このような場合、第1制御装置は触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に制御する。
それ故、第1制御装置によれば、酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点において触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを増大させ始めることができる。この結果、第1制御装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の増量補正を行わないので、多量の未燃物が排出されることを回避することができる。
更に、第1制御装置が備える空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が、「所定の第1閾値」よりも小さく且つ「その第1閾値よりも小さい所定の第2閾値」よりも大きいとき、実質的に「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」に基づくことなく、実質的に「サブフィードバック量DFsubの微分項SD」に基づく「通常空燃比フィードバック制御」を実行するように構成されている。
より具体的には、前記第1閾値は、ストイキ上限値VHilimitに設定されている。ストイキ上限値VHilimitは、「触媒流入ガスの空燃比」が「リーン空燃比」であり且つ触媒43の酸素吸蔵量OSAが増大している場合であって、「触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの「下流側空燃比センサ56の出力値Voxs」に等しくなるように設定される。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値以上であって、触媒43が酸素不足状態であると考えられる場合、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少したとしても、「触媒流入ガスの空燃比」をリッチ空燃比に設定しないほうがよい。従って、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値以上であれば、上記通常空燃比フィードバック制御を行わないようにしている。
また、前記第2閾値は、ストイキ下限値VLolimitに設定されている。ストイキ下限値VLolimitは、「触媒流入ガスの空燃比」が「リッチ空燃比」であり且つ触媒43の酸素吸蔵量OSAが減少している場合であって、「触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの「下流側空燃比センサ56の出力値Voxs」に等しくなるように設定される。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値以下であって、触媒43が酸素過剰状態であると考えられる場合、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大したとしても、「触媒流入ガスの空燃比」をリーン空燃比に設定しないほうがよい。従って、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値以下であれば、上記通常空燃比フィードバック制御を行わないようにしている。
加えて、第1制御装置の空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが、前記第1閾値を含む所定範囲内の値(例えば、Vmax−α1、好ましくはストイキ上限値VHilimit)以上である場合(図18のステップ1810にて「Yes」と判定される場合)、「触媒流入ガスの空燃比」がリーン空燃比となるように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御するように構成されている。
これは、出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(例えば、Vmax−α1、好ましくはVHilimit)以上である場合、
・図18のステップ1820にて算出されるサブフィードバック量DFsubの比例項SPが「負の値であって、その大きさ|SP|が相当に大きな値」となること、
・出力値Voxsが減少しないことが多く、出力値Voxsが減少しないときには、リッチ否定フラグXNOTrichが図15のステップ1520にて「1」に設定されないので比例項SPが減少されず(図20のステップ2050からステップ2095に直接向う流れを参照。)、且つ、微分項SDが正の値とならないので、サブフィードバック量DFsub(=SP+SD)は負の値(基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値)になること、
・出力値Voxsが減少したとしても、その出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|は第1変化速度閾値ΔV1thよりも相当に小さいので比例項SPは減少されず(図20のステップ2060及びステップ2070を参照。)、且つ、微分項SDは正の値となるけれども変化速度の大きさ|ΔVoxs|はそれほど大きくないことから微分項の大きさ|SD|は比較的小さく、従って、サブフィードバック量DFsub(=SP+SD)は負の値になること、
によって、実現される。
前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(Vmax−α1、好ましくはストイキ上限値VHilimit)以上である場合、触媒43の酸素吸蔵量OSAは極めて小さいので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。従って、第1制御装置は、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度に関わらず、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように「機関に供給される混合気の空燃比を制御」する。その結果、第1制御装置は、触媒43の酸素吸蔵量OSAを速やかに増大させることができるので、触媒43の排気浄化効率を迅速に高くすることができる。
更に、第1制御装置の空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが、前記第2閾値を含む所定範囲内の値(例えば、Vmin+α2、好ましくはストイキ下限値VLolimit)以下である場合(図18のステップ1840にて「Yes」と判定される場合)、「触媒流入ガスの空燃比」がリッチ空燃比となるように「前記機関に供給される混合気の空燃比」を制御するように構成されている。
これは、出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(例えば、Vmax+α2、好ましくはストイキ下限値VLolimit)以下である場合、
・図18のステップ1850にて算出されるサブフィードバック量DFsubの比例項SPが「正の値であって、その大きさ|SP|が相当に大きな値」となること、
・出力値Voxsが増大しないことが多く、出力値Voxsが増大しないときには、リーン否定フラグXNOTleanが図15のステップ1560にて「1」に設定されないので、比例項SPが減少されず(図20のステップ2020からステップ2095に直接向う流れを参照。)、且つ、微分項SDが負の値とならないので、サブフィードバック量DFsub(=SP+SD)は正の値(基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値)になること、
・出力値Voxsが増大したとしても、その出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|は第2変化速度閾値ΔV2thよりも相当に小さいので比例項SPは減少されず(図20のステップ2030及びステップ2040を参照。)、且つ、微分項SDは負の値となるけれども変化速度の大きさ|ΔVoxs|はそれほど大きくないことから微分項の大きさ|SD|は比較的小さく、従って、サブフィードバック量DFsub(=SP+SD)は正の値になること、
によって、実現される。
前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(例えば、Vmax+α2、好ましくはストイキ下限値VLolimit)以下である場合、触媒43の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに近いので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。従って、第1制御装置は、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度に関わらず、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように「機関に供給される混合気の空燃比を制御」する。その結果、第1制御装置は、触媒43の酸素吸蔵量OSAを速やかに減少させることができるので、触媒43の排気浄化効率を迅速に高くすることができる。
更に、第1制御装置の空燃比制御手段は、
機関10に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて「機関に供給される混合気の空燃比」を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量Fbaseを算出する基本燃料噴射量算出手段(図12のステップ1215、ステップ1240及びステップ1245を参照。)と、
基本燃料噴射量Fbaseを補正するためのフィードバック量である「サブフィードバック量DFsub」を下流側空燃比センサ56の出力値Voxsに基づいて算出するサブフィードバック量算出手段(図17及び図18のルーチンを参照。)と、
基本燃料噴射量Fbaseをサブフィードバック量DFsubにより補正することにより得られる量(最終燃料噴射量)Fiの燃料を機関10に噴射供給する燃料噴射手段(図12のステップ1265及び燃料噴射弁25等を参照。)と、
を備える。
そして、前記サブフィードバック量算出手段は、前述した「通常空燃比フィードバック制御」を実行するために、
(1)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合(DVoxs<0)、サブフィードバック量DFsubが、基本燃料噴射量Fbaseを「出力値Voxsの変化速度の大きさ|DVoxs|の大きさが大きいほどより増大させる値」となり、且つ、
(2)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合(DVoxs>0)、サブフィードバック量DFsubが、基本燃料噴射量Fbaseを「出力値Voxsの変化速度の大きさ|DVoxs|が大きいほどより減少させる値」となるように、
サブフィードバック量DFsubを算出する(図17のステップ1730乃至ステップ1750、及び、ステップ1760を参照。)。
下流側空燃比センサの出力値Voxsが最小出力値Vminに向けて急激に減少している場合、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいたために触媒43から過剰な酸素が流出していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少している場合、その変化速度の大きさ(減少速度の大きさ)|DVoxs|が大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリッチ側の空燃比」に設定することが望ましい。
そこで、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合、基本燃料噴射量Fbaseを変化速度の大きさ|DVoxs|が大きいほどより増大させる値となるように、サブフィードバック量DFsub(実際には、微分項SD)を算出する。この結果、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点にて酸素吸蔵量OSAを減少させ始めることができるので、触媒43の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
一方、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが最大出力値Vmaxに向けて急激に増大している場合、酸素吸蔵量OSAが「0」に近づいたために触媒43から過剰な未燃物が流出していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合、その変化速度の大きさ(増大速度の大きさ)|DVoxs|が大きいほど「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもよりリーン側の空燃比」に設定することが望ましい。
そこで、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合、基本燃料噴射量Fbaseを変化速度の大きさ|DVoxs|が大きいほどより減少させる値となるように、サブフィードバック量DFsub(実際には、微分項SD)を算出する。この結果、酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点にて酸素吸蔵量OSAを増大させ始めることができるので、触媒43の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
更に、具体的に述べると、上記「第1制御装置のサブフィードバック量算出手段」は、前記通常空燃比フィードバック制御を実行するために、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合に基本燃料噴射量Fbaseを「出力値Voxsの変化速度の大きさ|DVoxs|」が大きいほどより増大させ、且つ、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合に基本燃料噴射量Fbaseを「出力値Voxsの変化速度の大きさ|DVoxs|」が大きいほどより減少させるように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度DVoxsに所定の微分ゲインkdを乗じた値(kd・Dvoxs)を「サブフィードバック量DFsubの微分項SD」として算出する微分項算出手段を含んでいる(図17のステップ1730乃至ステップ1750、及び、ステップ1760を参照。)。
このように、第1制御装置によれば、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度(単位時間あたりの下流側空燃比センサの出力値の変化量に相当)DVoxsに所定の微分ゲインkdを乗じた値(kd・DVoxs)が「サブフィードバック量の微分項SD」として算出される。微分ゲインkdは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが時間の経過とともに減少しているとき微分項SDが正の値(基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値)となり、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが時間の経過とともに増大しているとき微分項SDが負の値(基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値)となるように定められる。この微分項SDを用いることにより、触媒流入ガス要求空燃比に応じた空燃比のガスを触媒に流入させることができる。この結果、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は「0」に到達することがないので、触媒43の排気浄化効率を高い値に維持することができる。
また、第1制御装置が備えるサブフィードバック量算出手段は、以下に述べるように構成された比例項算出手段を含んでいる。
即ち、その比例項算出手段は、
(B1)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第1閾値(例えば、ストイキ上限値VHilimit)以上である場合、前記第1閾値と前記出力値Voxsとの差にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値(VHilimit−Voxs)・KpLと、
前記第1閾値(例えば、ストイキ上限値VHilimit)と前記第2閾値(例えば、ストイキ下限値VLolimit)との間に設定された所定の目標値Voxsrefと、前記第1閾値と、の差に、第1ゲインKpS1を乗じた値(Voxsref−VHilimit)・KpS1と、
の和を、「前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御するための前記サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する(図18のステップ1820を参照。)。
更に、その比例項算出手段は、
(B2)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第2閾値(例えば、ストイキ下限値VLolimit)以下である場合、前記第2閾値と前記出力値Voxsとの差にリッチ制御用ゲインKpRを乗じた値(VLolimit−Voxs)・KpRと、
前記目標値Voxsrefと前記第2閾値との差に第2ゲインKpS2を乗じた値(Voxsref−VLolimit)・KpS2と、
の和を、「前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御するための前記サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する(図18のステップ1850を参照。)。
更に、その比例項算出手段は、
(B3)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第1閾値と前記第2閾値との間にある場合、前記目標値と前記下流側空燃比センサの出力値との差に第3ゲインKpS3を乗じた値(Voxsref−Voxs)・KpS3を、「前記サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する(図18のステップ1860を参照。)。
下流側空燃比センサの出力値Voxsが、「前記第1閾値を含む所定範囲内の値(図8におけるVmax−α1、好ましくはストイキ上限値VHilimit)」と「前記第2閾値を含む所定範囲内の値(図9におけるVmin+α2、好ましくはストイキ下限値VLolimit)」との間にある場合、酸素吸蔵量OSAは適量に近いと考えることができる。即ち、この場合、酸素吸蔵量OSAは、明らかに最大酸素吸蔵量Cmaxの近傍ではなく、且つ、明らかに「0」の近傍でもない。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にある場合、出力値Voxsを「前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定される目標値(例えば、中央値Vmid)」に近づけるためのサブフィードバック量の比例項SPを大きくする必要性は小さい。
これに対し、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、酸素吸蔵量OSAは「0」に近いので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。この場合、従来装置は、「下流側空燃比センサの出力値Voxsと中央値Vmidに設定された目標値Voxsrefとの差(Voxsref−Voxs)」に「所定のゲイン」を乗じることにより「サブフィードバック量の比例項SP」を算出していた。しかしながら、比例項SPは出力値Voxsを第1閾値にまで低下させるように機能すれば充分であるので、従来装置のように比例項SPを求めると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第1閾値以上である場合の比例項SPが過大となる恐れがある。
そこで、第1制御装置は、上記(B1)に記載したように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第1閾値以上である場合、(VHilimit−Voxs)・KpLと(Voxsref−VHilimit)・KpS1との和を「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する。これにより、リーン制御用ゲインKpLと第1ゲインKpS1とを異なる値に設定することができる(例えば、KpL>KpS1)。従って、「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定するための比例項SPが過大となりすぎて、酸素吸蔵量OSAが逆に最大酸素吸蔵量Cmax近傍にまで一気に増大する事態」を回避することができる。
同様に、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxに近いので、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。この場合においても、従来装置は、「下流側空燃比センサの出力値Voxsと中央値Vmidに設定された目標値Voxsrefとの差(Voxsref−Voxs)」に「所定のゲイン」を乗じることにより「サブフィードバック量の比例項SP」を算出していた。しかしながら、比例項SPは出力値Voxsを第2閾値にまで増加させるように機能すれば充分であるから、従来装置のように比例項を求めると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが前記第2閾値以下である場合の比例項SPが過大となる恐れがある。
そこで、第1制御装置は、上記(B2)に記載したように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第2閾値以下である場合、(VLolimit−Voxs)・KpRと(Voxsref−VLolimit)・KpS2との和を「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する。これにより、リッチ制御用ゲインKpRと第2ゲインKpS2とを異なる値に設定することができる(例えば、KpR>KpS2)。従って、「触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に設定するための比例項が過大となりすぎて、酸素吸蔵量OSAが逆に0近傍にまで一気に減少する事態」を回避することができる。
そして、第1制御装置は、上記(B3)に記載したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが第1閾値と第2閾値との間にある場合、従来技術と同様、前記目標値と前記下流側空燃比センサの出力値との差に適切な第3ゲインKpS3を乗じた値(Voxsref−Voxs)・KpS3を「サブフィードバック量DFsubの比例項SP」として算出する。以上により、酸素吸蔵量OSAを適切な範囲に維持するための比例項SPが算出される。
なお、リーン制御用ゲインKpLの絶対値と、リッチ制御用ゲインKpRの絶対値と、は相違した値であってもよく、同じ値(閾値外偏差用ゲイン)であってもよい。第1ゲインKpS1と第2ゲインKpS2と第3ゲインKpS3とは、互いに相違する値であってもよく、同じ値(閾値内偏差用ゲイン)であってもよい。また、前述したように、第3ゲインKpS3は、第1ゲインKpS1及び第2ゲインKpS2よりも小さく、「0」であってもよい。
更に、第1制御装置の上記比例項算出手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|(又は、|DVoxs|)が大きいほど、サブフィードバック量の比例項SPの大きさを小さくする、ように構成されている(図20のステップ2030、ステップ2040、ステップ2060及びステップ2070を参照。)。
前述したように、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmax近傍に接近していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、サブフィードバック量DFsubは基本燃料噴射量Fbaseをより大きく増量補正する値となることが望ましい。ところが、下流側空燃比センサの出力値Voxsが目標値Voxsrefよりも大きいと、サブフィードバック量DFsubの比例項SPは基本燃料噴射量Fbaseを減量補正する値となる。従って、第1制御装置のように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの出力値の変化速度の大きさが大きいほどサブフィードバック量DFsubの比例項SPを小さくすれば(「0」に設定することを含む。)、微分項SDが効果的に作用するので、「酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax近傍に到達してしまうことを回避する」ことができる。
同様に、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、酸素吸蔵量OSAは「0」近傍に接近していると考えることができる。従って、下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大し且つその出力値Voxsの変化速度の大きさが大きいほど、サブフィードバック量DFsubは基本燃料噴射量Fbaseをより大きく減量補正する値となることが望ましい。ところが、下流側空燃比センサの出力値Voxsが目標値Voxsrefよりも小さいと、比例項SPは基本燃料噴射量Fbaseを増量補正する値となる。従って、第1制御装置のように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの出力値の変化速度の大きさが大きいほどサブフィードバック量DFsubの比例項SPを小さくすれば(「0」に設定することを含む。)、微分項SDが効果的に作用するので、「酸素吸蔵量OSAが「0」近傍に到達してしまうことを回避する」ことができる。
また、第1制御装置の空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量Fbaseを算出する基本燃料噴射量算出手段(図12のステップ1205、ステップ1240及びステップ1245を参照。)と、
機関10の排気通路であって触媒43よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値Vabyfsを出力する上流側空燃比センサ55と、
前記上流側空燃比センサの出力値Vabyfsにより表される上流側空燃比abyfsが理論空燃比に一致するように「基本燃料噴射量Fbaseを補正するメインフィードバック量DFmain」を算出するメインフィードバック量算出手段(図14のルーチンを参照。)と、
基本燃料噴射量Fbaseを補正する上記サブフィードバック量DFsubを算出するサブフィードバック量算出手段(図17のルーチン及び図18のルーチンを参照。)と、
基本燃料噴射量Fbaseを「メインフィードバック量DFmain及びサブフィードバック量DFsubからなる空燃比補正量(DFmain+DFsub)」により補正して得られる量Fiの燃料を機関10に噴射供給する燃料噴射手段(図12のステップ1250、ステップ1265及び燃料噴射弁25等を参照。)と、
を備える。
更に、前記メインフィードバック量算出手段は、
(E1)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合、メインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値(即ち、負の値)」になっているとき、そのメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくするか又は0に設定するように構成されている(図15のステップ1510、ステップ1520、図16のステップ1610、ステップ1640、及び、ステップ1650を参照。)。
更に、前記メインフィードバック量算出手段は、
(E2)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合、メインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値(即ち、正の値)」になっているとき、そのメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくするか又は0に設定するように構成されている(図15のステップ1510、ステップ1540、ステップ1560、図16のステップ1610、ステップ1620、及び、ステップ1630を参照。)。
このように、第1制御装置は、機関10に供給される混合気の空燃比の過渡的(一時的)な乱れを速やかに補償するために、上流側空燃比センサの出力値Vabyfsに基づいて算出されるメインフィードバック量DFmainによるメインフィードバック制御を、下流側空燃比センサの出力値Voxsに基づいて算出されるサブフィードバック量DFsubによるサブフィードバック制御とともに実行する。
しかしながら、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合、酸素吸蔵量OSAはもはや「0」近傍ではなく最大酸素吸蔵量Cmax近傍に向って変化しているので、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である。従って、このとき、基本燃料噴射量Fbaseが減少(減量補正)されることは触媒43にとって好ましくない。しかしながら、例えば、空燃比の過渡的変動に起因してメインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを減量補正するような値」になった場合、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が基本燃料噴射量Fbaseを減量補正する値になることがある。
そこで、第1制御装置は、上記(E1)に記載したように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが減少している場合(即ち、触媒流入ガス要求空燃比が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」である場合)、メインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値」になっているのであれば、そのメインフィードバック量DFmainを小さくする(メインフィードバック量DFmainの大きさを小さくする)か又は0に設定する。
これによれば、「メインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを過度に減少させてしまい、その結果、触媒流入ガス要求空燃比と相違する空燃比(この場合、リーン空燃比)のガスが触媒に流入すること」を回避することができる。
同様に、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合、酸素吸蔵量OSAはもはや最大酸素吸蔵量Cmax近傍ではなく、寧ろ「0」に近づいている。従って、触媒流入ガス要求空燃比は「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である。このとき、基本燃料噴射量Fbaseが増大(増量補正)されることは触媒43にとって好ましくない。しかしながら、例えば、「機関に供給される混合気の空燃比」の過渡的変動に起因してメインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを大きく増量補正するような値」になった場合、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「基本燃料噴射量Fbaseを増量補正するような値」になることがある。
そこで、第1制御装置は、上記(E2)に記載したように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大している場合(即ち、触媒流入ガス要求空燃比が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」である場合)、メインフィードバック量DFmainが「基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値」になっているのであれば、そのメインフィードバック量DFmainを小さくする(メインフィードバック量DFmainの大きさを小さくする)か又は0に設定する。
これによれば、「メインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを過度に増大させてしまい、その結果、触媒流入ガス要求空燃比と相違する空燃比(この場合、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)のガスが触媒に流入すること」を回避することができる。
更に、第1制御装置の空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが最大出力値Vmaxとなっているときに「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の所定リーン空燃比」に制御し、(図24のステップ2430及びステップ2440、図12のステップ1220、ステップ1225乃至ステップ1250を参照。)、その状態において下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「最小出力値Vmin」又は「最小出力値Vminに所定値δ2を加えた値」に到達するまでの期間において、「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が最小となった時点」における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを「前記第1閾値(ストイキ上限値VHilimit)」として取得する「ストイキ上限値取得手段」を含んでいる(図25のルーチン、特に、ステップ2530乃至ステップ2550を参照。)。
これにより、触媒43が「触媒流入ガスに含まれる酸素を急激に吸蔵している状態」であるときの、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを「前記第1閾値(VHilimit)」として取得することができる。
なお、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の温度を検出するか或いは排ガス温度等から推定し、この下流側空燃比センサ56の温度と、予め求めておいた「下流側空燃比センサ56の温度と第1閾値(VHilimit)との関係」と、から、第1閾値(VHilimit)を推定してもよい。
加えて、第1制御装置の空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが最小出力値Vminとなっているときに「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の所定リッチ空燃比」に制御し(図22のステップ2230及びステップ2240、図12のステップ1210、ステップ1215、及びステップ1230乃至ステップ1250を参照。)、その状態において下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「最大出力値Vmax」又は「最大出力値Vmaxから所定値δ1を減じた値」に到達するまでの期間において、「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度の大きさ|ΔVoxs|が最小となった時点」における「下流側空燃比センサ56の出力値Voxs」を「前記第2閾値(ストイキ下限値VLolimit)として取得する「ストイキ下限値取得手段」を含んでいる(図23のルーチン、特に、ステップ2330乃至ステップ2350を参照。)。
これにより、触媒43が「触媒流入ガスに含まれる酸素を急激に放出している状態」であるときの、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを「前記第2閾値(VLolimit)」として取得することができる。
なお、第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の温度を検出するか或いは排ガス温度等から推定し、この下流側空燃比センサ56の温度と、予め求めておいた「下流側空燃比センサ56の温度と第2閾値(VLolimit)との関係」と、から、第2閾値(VLolimit)を推定してもよい。
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第2制御装置」とも称呼する。)について説明する。第2制御装置は、触媒の状態が、「酸素不足状態(触媒リッチ状態)」、「酸素過剰状態(触媒リーン状態)」及び「酸素不足状態でもなく且つ酸素過剰状態でもない通常状態」のうちのどの状態であるかに応じて下流側目標値Voxsrefを変更する点のみにおいて、第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
<触媒状態の判定>
第2制御装置のCPUは、第1制御装置のCPUが実行するルーチンに加え、更に、図26にフローチャートにより示した「触媒リッチ・リーン状態判定ルーチン」と、図27にフローチャートにより示した下流側目標値変更ルーチン」を、所定時間が経過する毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは図26のステップ2600から処理を開始してステップ2610に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「ストイキ上限値VHilimitに「0以上の微小な値γ1」を加えた値(VHilimit+γ1)」以上であるか否かを判定する。値(XHilimit+γ1)は最大出力値Vmax以下の値であり且つストイキ上限値VHilimit以上の値である。よって、値(VHilimit+γ1)は、最大出力値Vmaxであってもよく、ストイキ上限値VHilimitであってもよい。なお、本例において、値(VHilimit+γ1)は、前記第1閾値を含む所定範囲内の値(Vmax−α1)に設定されている。
触媒43の酸素吸蔵量OSAが実質的に「0」であると(即ち、触媒43の状態が酸素不足状態であると)、触媒流出ガスに酸素は含まれなくなるので、出力値Voxsは値(VHilimit+γ1)以上となる。従って、出力値Voxsが値(VHilimit+γ1)以上であるとき、CPUはステップ2610にて「Yes」と判定してステップ2620に進み、触媒リッチ状態フラグ(酸素不足状態フラグ)XCCROrichの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ2640に進む。これに対し、出力値Voxsが値(VHilimit+γ1)より小さいとき、CPUはステップ2610にて「No」と判定してステップ2630に進み、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ2640に進む。
CPUはステップ2640に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「ストイキ下限値VLolimitから「0以上の微小な値γ2」を減じた値(VLolimit−γ2)以下であるか否かを判定する。値(VLolimit−γ2)は最小出力値Vmin以上の値であり且つストイキ下限値VLolimit以下の値である。よって、値(VLolimit−γ2)は、最小出力値Vminであってもよく、ストイキ下限値VLolimitであってもよい。なお、本例において、値(VLolimit−γ2)は、前記第2閾値を含む所定範囲内の値(Vmin+α2)に設定されている。
触媒43の酸素吸蔵量OSAが実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxであると(即ち、触媒43の状態が酸素過剰状態であると)、触媒流出ガスに未燃物は含まれなくなるので、出力値Voxsは値(VLolimit−γ2)以下となる。従って、出力値Voxsが値(VLolimit−γ2)以下であるとき、CPUはステップ2640にて「Yes」と判定してステップ2650に進み、触媒リーン状態フラグ(酸素過剰状態フラグ)XCCROleanの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ2695に進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、出力値Voxsが値(VLolimit−γ2)より大きいとき、CPUはステップ2640にて「No」と判定してステップ2660に進み、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ2695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上のように、CPUは下流側空燃比センサ56の出力値Voxs(変化速度の大きさ|ΔVoxs|ではなく、出力値Voxsそのものの大きさ)に基づいて触媒43の状態を判定し、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値及び触媒リーン状態フラグXCCROleanの値を変更する。
<下流側目標値(サブフィードバック量の比例項の目標値)の変更>
前述したように、CPUは図27に示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUはステップ2700から処理を開始してステップ2710に進み、上述したサブフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する(図17のステップ1710を参照。)。このとき、サブフィードバック制御条件が成立していなければ、CPUはステップ2710にて「No」と判定し、ステップ2795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、サブフィードバック制御条件が成立していると、CPUはステップ2710にて「Yes」と判定してステップ2720に進み、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「1」であると、CPUはステップ2720にて「Yes」と判定してステップ2730に進み、下流側目標値Voxsrefを「ストイキ上限値VHilimitから正の所定値β1を減じた値(VHilimit−β1)」に設定する。但し、所定値β1は、値(VHilimit−β1)が常に中央値Vmidよりも大きくなるように、微小な値に設定されている。その後、CPUはステップ2795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
このように、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「1」であるとき、即ち、触媒43の酸素吸蔵量OSAが実質的に「0」であって、触媒43の状態が酸素不足状態であるとき、下流側目標値Voxsrefはストイキ上限値VHilimitよりも僅かに小さく且つ中央値Vmidよりも大きい値(VHilimit−β1)に設定される(図28の時刻t1〜t2を参照。)。値(VHilimit−β1)は第1目標値とも称呼される。
一方、CPUがステップ2720に進んだとき、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「0」であると、CPUはステップ2720にて「No」と判定してステップ2740に進み、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「1」であると、CPUはステップ2740にて「Yes」と判定してステップ2750に進み、下流側目標値Voxsrefを「ストイキ下限値VLolimitに正の所定値β2を加えた値(VLolimit+β2)」に設定する。但し、所定値β2は、値(VLolimit+β2)が常に中央値Vmidよりも小さくなるように、微小な値に設定されている。その後、CPUはステップ2795に進み、本ルーチンを一旦終了する。値(VLolimit+β2)は第2目標値とも称呼される。
このように、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「1」であるとき、即ち、触媒43の酸素吸蔵量OSAが実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxであって、触媒43の状態が酸素過剰状態であるとき、下流側目標値Voxsrefはストイキ下限値VLolimitよりも僅かに大きく且つ中央値Vmidよりも小さい値(VLolimit+β2)に設定される(図29の時刻t1〜t2を参照。)。
これに対し、CPUがステップ2740に進んだとき、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「0」であると、CPUはそのステップ2740にて「No」と判定してステップ2760に進み、下流側目標値Voxsrefを「第1目標値と第2目標値との間の値である第3目標値(本例において、中央値Vmid)」に設定する。その後、CPUはステップ2795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値及び触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が共に「0」であると、下流側目標値Voxsrefは中央値Vmidに設定される(図28の時刻t1以前及び時刻t2以降、並びに、図29の時刻t1以前及び時刻t2を参照。)。
以上、説明したように、第2制御装置は、サブフィードバック量DFsubの比例項SPを算出する比例項算出手段を備える(図18、図26及び図27のルーチンを参照。)。
そして、この比例項算出手段は、
(C1)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(VHilimit+γ1、第3閾値とも言う。)よりも大きい場合、目標値Voxsrefを「前記第1閾値と中央値Vmidとの間の値(=第1目標値、VHilimit−β1)」に設定する(図26のステップ2610、ステップ2620、図27のステップ2720及びステップ2730を参照。)。
これによれば、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(VHilimit+γ1)よりも大きい場合、目標値Voxsrefが「第1閾値と中央値との間の値、即ち、第1目標値(VHilimit−β1)」に設定されるので、「第1閾値と目標値(第1目標値)との差の大きさ(即ち、上記第1ゲインKpS1が乗じられる偏差(Voxsref−VHilimit)の大きさ」が過大とならない。従って、比例項SPを「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを第1閾値(実際には、ストイキ上限値VHilimit)以下に移行させるために必要ではあるが過大ではない値」に設定することができる。
更に、この比例項算出手段は、
(C2)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(VLolimit−γ2、第4閾値とも言う。)よりも小さい場合、目標値Voxsrefを「前記第2閾値と中央値Vmidとの間の値である第2目標値(VLolimit+β2)」に設定する(図26のステップ2640、ステップ2650、図27のステップ2740及びステップ2750を参照。)。
これによれば、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(VLolimit−γ2)よりも小さい場合、目標値Voxsrefが「第2閾値と中央値との間の値、即ち、第2目標値(VLolimit+β2)」に設定されるので、「第2閾値と目標値(第2目標値)との差の大きさ(即ち、上記第2ゲインKpS2が乗じられる偏差(Voxsref−VLolimit)の大きさ」が過大とならない。従って、比例項SPを「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを第2閾値(実際には、ストイキ下限値VLolimit)以上に移行させるために必要ではあるが過大ではない値」に設定することができる。
更に、この比例項算出手段は、
(C3)下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(VHilimit+γ1)と前記第2閾値を含む所定範囲内の値(VLolimit−γ2)との間にある場合、目標値Voxsrefを「前記第1目標値と前記第2目標値との間の値」である「第3目標値(本例においては中央値Vmid)」に設定する(ステップ2720、ステップ2740及びステップ2760を参照。)。
これによれば、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが前記第1閾値を含む所定範囲内の値と前記第2閾値を含む所定範囲内の値との間にある場合、目標値Voxsrefが中央値Vmidに設定されるので、比例項SPを「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを前記第1閾値と前記第2閾値との間に維持するために適切な値」に設定することができる。
3.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第3制御装置」とも称呼する。)について説明する。第3制御装置は、触媒43の状態が「酸素不足状態」である場合にメインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値であるときメインフィードバック量DFmainを0に設定する点、及び、触媒43の状態が「酸素過剰状態」である場合にメインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値であるときメインフィードバック量DFmainを0に設定する点、において第1制御装置又は第2制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
<触媒状態の判定>
第3制御装置のCPUは、第2制御装置のCPUと同様、第1制御装置のCPUが実行するルーチンに加え、更に、図26にフローチャートにより示した「触媒リッチ・リーン状態判定ルーチン」を、所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、第3制御装置のCPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値(VHilimi+γ1)より大きいとき、触媒43の状態が酸素不足状態であると判定し、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値を「1」に設定する。更に、第3制御装置のCPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値(VLolimit−γ2)より小さいとき、触媒43の状態が酸素過剰状態であると判定し、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値を「1」に設定する。
<メインフィードバック量DFmainの補正(制限)>
更に、第3制御装置のCPUは、図30にフローチャートにより示した「メインフィードバック量の補正ルーチン」を、所定時間が経過する毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは図30のステップ3000から処理を開始してステップ3010に進み、メインフィードバック量DFmainが「0」より大きいか否かを判定する。換言すると、CPUは、ステップ3010にてメインフィードバック量DFmainが「触媒流入ガスの空燃比(=機関の空燃比)をリッチ空燃比に移行させる値」となっているか否かを判定する。
メインフィードバック量DFmainが「0」より大きいと、CPUはステップ3010にて「Yes」と判定してステップ3020に進み、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「1」であると、CPUはステップ3020にて「Yes」と判定してステップ3030に進み、メインフィードバック量DFmainを「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainは基本燃料噴射量Fbaseを増量補正も減量補正も行わない値になる。その後、CPUはステップ3095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ3020に進んだとき、触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値が「0」であると、CPUはステップ3020にて「No」と判定し、ステップ3095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ3010に進んだとき、メインフィードバック量DFmainが「0」以下であると、CPUはステップ3010にて「No」と判定してステップ3040に進み、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「1」であると、CPUはステップ3040にて「Yes」と判定してステップ3050に進み、メインフィードバック量DFmainを「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainは基本燃料噴射量Fbaseを増量補正も減量補正も行わない値になる。その後、CPUはステップ3095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ3040に進んだとき、触媒リーン状態フラグXCCROleanの値が「0」であると、CPUはステップ3040にて「No」と判定し、ステップ3095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、第3制御装置のメインフィードバック量算出手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(VHilimit+γ1)よりも大きい場合にメインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値であるときメインフィードバック量DFmainを0に設定し(図30のステップ3010乃至ステップ3030を参照。)、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(VLolimit−γ2)よりも小さい場合にメインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値であるときメインフィードバック量DFmainを0に設定する(図30のステップ3010、ステップ3040及びステップ3050を参照。)、
ように構成されている。
前述したように、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値を含む所定範囲内の値(VHilimit+γ1)よりも大きい場合、触媒43の酸素吸蔵量OSAは「0」又は実質的に「0」である。従って、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリーン側であるから、メインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを増量補正することは触媒43にとって好ましくない。そこで、第3制御装置は、そのような場合、メインフィードバック量DFmainを0に設定する。その結果、「メインフィードバック量DFmainが触媒43にとって不都合な空燃比のガスを供給するように作用すること」を回避することができる。
同様に、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第2閾値を含む所定範囲内の値(VLolimit−γ2)よりも小さい場合、触媒43の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmax又は実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである。従って、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側であるから、メインフィードバック量DFmainが基本燃料噴射量Fbaseを減量補正することは触媒43にとって好ましくない。そこで、第3制御装置は、そのような場合、メインフィードバック量DFmainを0に設定する。その結果、「メインフィードバック量DFmainが触媒43にとって不都合な空燃比のガスを供給するように作用すること」を回避することができる。
4.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第4制御装置」とも称呼する。)について説明する。第4制御装置は、触媒被毒対策制御を行う点、において第1乃至第3制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
触媒被毒(触媒のリッチ被毒及び触媒のリーン被毒)が発生すると、最大酸素吸蔵量の低下し、それに伴って触媒の排気浄化効率が低下する。
触媒43のリッチ被毒は、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である状態が長時間継続したとき、触媒43が担持する貴金属の周囲にHCが付着することによって発生する。このリッチ被毒は触媒43の浄化効率の低下をもたらす。リッチ被毒は、理論空燃比に対して大きくリーン側に偏移した空燃比のガスを触媒43に所定時間に渡って供給することにより解消することができる。
触媒43のリーン被毒は、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比である状態が長時間継続したとき、触媒43が担持する貴金属が酸化して表面積が低下することによって発生する。このリーン被毒も触媒43の浄化効率の低下をもたらす。リーン被毒は、理論空燃比に対して大きくリッチ側に偏移した空燃比のガスを触媒に所定時間に渡って供給することにより解消することができる。
<触媒被毒対策制御(触媒機能回復制御)>
実際には、第4制御装置のCPUは、図31にフローチャートにより示した「触媒被毒対策制御開始ルーチン」と、図32にフローチャートにより示した「触媒被毒対策制御終了ルーチン」と、を所定時間が経過する毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは図31のステップ3100から処理を開始してステップ3105に進み、上述したサブフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。なお、このステップ3105にて判定されるサブフィードバック制御条件は、図17のステップ1710における条件(上記(B1)〜(B3)に記載した条件)に加え、後述する「強制リーンフラグXENleanの値及び強制リッチフラグXENrichの値が、何れも「1」でないこと」という条件が追加されている。この強制リーンフラグXENlean及び強制リッチフラグXENrichは、何れも上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していないと仮定する。この場合、CPUはステップ3105にて「No」と判定し、ステップ3195に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、サブフィードバック制御条件が成立すると、CPUはステップ3105にて「Yes」と判定してステップ3110に進み、メインフィードバック量DFmainとサブフィードバック量DFsubとの和である空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」以上であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ3110にて、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が基本燃料噴射量Fbaseを増加させる値、即ち、触媒流入ガスの空燃比(=機関の空燃比)をリッチ空燃比に移行させる値となっているか否かを判定する。
このとき、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」より小さいと、CPUはステップ3110にて「No」と判定してステップ3140に進み、増量補正量積算値ΣRichを「0」に設定する。その後、CPUはステップ3145以降の処理を実行する。なお、ステップ3145以降の処理については後述する。
いま、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」以上となっていると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ3110にて「Yes」と判定してステップ3115に進み、減量補正量積算値ΣLeanを「0」に設定する。
次に、CPUはステップ3120に進み、空燃比補正量(DFmain+DFsub)の積算値を「増量補正量積算値ΣRich」として求める。即ち、CPUは、下記の(14)式に従って、「現時点における増量補正量積算値ΣRich」に「現時点における空燃比補正量(DFmain+DFsub)」を加えることにより、増量補正量積算値ΣRichを更新する。なお、(14)式において、ΣRich(n+1)は更新後の増量補正量積算値ΣRichであり、ΣRich(n)は更新前の増量補正量積算値ΣRichである。
ΣRich(n+1)=ΣRich(n)+(DFmain+DFsub) …(14)
前述したように、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」より小さいと、ステップ3140において増量補正量積算値ΣRichは「0」に設定される。従って、増量補正量積算値ΣRichは、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」以上である状態が継続している場合における空燃比補正量(DFmain+DFsub)の積算値となる。更に、空燃比補正量(DFmain+DFsub)は基本燃料噴射量Fbaseに加えら得れる値であるから、増量補正量積算値ΣRichは「空燃比補正量(DFmain+DFsub)によって基本燃料噴射量Fbaseが増大させられる量(増量量)」の積算値となる。
次に、CPUはステップ3125に進み、ステップ3120にて更新された増量補正量積算値ΣRichが「所定の増量閾値ΣRichth」よりも大きいか否かを判定する。このとき、増量補正量積算値ΣRichが「所定の増量閾値ΣRichth」以下であると、CPUはステップ3125にて「No」と判定し、ステップ3195に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、増量補正量積算値ΣRichが「所定の増量閾値ΣRichth」よりも大きくなったと仮定する。この場合、CPUはステップ3125にて「Yes」と判定してステップ3130に進み、強制リーンフラグXENleanの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ3135にて増量補正量積算値ΣRichを「0」に設定し、ステップ3195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このようにして強制リーンフラグXENleanの値が「1」に設定されると、CPUが図12のステップ1210に進んだときそのステップ1210にて「No」と判定してステップ1220に進み、そのステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1225に進む。そして、CPUはそのステップ1225にて上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリーン側の空燃比AFlean(例えば、15.0)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリーン空燃比AFleanに制御される。
一方、CPUは、所定のタイミングになると、図32のステップ3200から処理を開始してステップ3210に進み、現時点が「強制リーンフラグXENleanの値が「0」から「1」に変更されてから第1の触媒回復時間が経過した直後の時点である」か否かを判定する。
前述の仮定に従えば、現時点は「強制リーンフラグXENleanの値が「0」から「1」に変更された直後」である。即ち、現時点は第1の触媒回復時間が経過した直後の時点ではない。よって、CPUはステップ3210にて「No」と判定し、ステップ3230に直接進む。ステップ3230以降の処理については後述する。
その後、この状態が継続すると、強制リーンフラグXENleanの値が「0」から「1」に変更されてから第1の触媒回復時間が経過する。このとき、CPUが図32のステップ3210に進むと、CPUはそのステップ3210にて「Yes」と判定し、ステップ3220に進んで強制リーンフラグXENleanの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ3230に進む。
以上の処理により、強制リーンフラグXENleanの値は第1の触媒回復時間だけ「1」に維持される。従って、増量補正量積算値ΣRichが「所定の増量閾値ΣRichth」よりも大きくなった時点から第1の触媒回復時間が経過する時点までの期間、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリーン空燃比AFleanに制御される。
このように、CPUは、「メインフィードバック量DFmainとサブフィードバック量DFsubとからなる基本燃料噴射量Fbaseの補正量、即ち、フィードバック量の全体値である空燃比補正量(DFmain+DFsub)」が基本燃料噴射量Fbaseを増大させる値である状態が継続している場合(ステップ3110にて「Yes」と判定される場合)、増量補正量積算値ΣRichが「所定の増量閾値ΣRichth」に到達したとき、触媒43のリッチ被毒が発生する可能性が高いと判断し、「機関に供給される混合気の空燃比」を所定時間(第1の触媒回復時間)だけ「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に制御する(図31のステップ3125及びステップ3130、図32のステップ3210及びステップ3220を参照。)。この結果、触媒43のリッチ被毒が解消されるので、「触媒43のリッチ被毒に起因して触媒43の浄化効率が低下すること」を回避することができる。
次に、サブフィードバック制御条件が成立しているとともに、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」よりも小さい値になっていると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ3105にて「Yes」と判定するとともに、ステップ3110にて「No」と判定してステップ3140に進み、増量補正量積算値ΣRichを「0」に設定する。
次に、CPUはステップ3145に進み、空燃比補正量(DFmain+DFsub)の絶対値の積算値を「減量補正量積算値ΣLean」として求める。即ち、CPUは、下記の(15)式に従って、「現時点における減量補正量積算値ΣLean」に「現時点における空燃比補正量(DFmain+DFsub)の絶対値|DFmain+DFsub|」を加えることにより、減量補正量積算値ΣLeanを更新する。なお、(15)式において、ΣLean(n+1)は更新後の減量補正量積算値である、ΣLean(n)は更新前の減量補正量積算値ΣLeanである。
ΣLean(n+1)=ΣLean(n)+|DFmain+DFsub| …(15)
前述したように、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」以上であると、ステップ3115において減量補正量積算値ΣLeanは「0」に設定される。従って、減量補正量積算値ΣLeanは、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が「0」より小さい状態が継続している場合における空燃比補正量(DFmain+DFsub)の絶対値の積算値となる。更に、空燃比補正量(DFmain+DFsub)は基本燃料噴射量Fbaseに加えら得れる値であるから、減量補正量積算値ΣLeanは「空燃比補正量(DFmain+DFsub)によって基本燃料噴射量Fbaseが減少させられる量(減量量)」の積算値となる。
次に、CPUはステップ3150に進み、ステップ3145にて更新された減量補正量積算値ΣLeanが「所定の減量閾値ΣLeanth」よりも大きいか否かを判定する。このとき、減量補正量積算値ΣLeanが「所定の減量閾値ΣLeanth」以下であると、CPUはステップ3150にて「No」と判定し、ステップ3195に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、減量補正量積算値ΣLeanが「所定の減量閾値ΣLeanth」よりも大きくなったと仮定する。この場合、CPUはステップ3150にて「Yes」と判定してステップ3155に進み、強制リッチフラグXENrichの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ3160にて減量補正量積算値ΣLeanを「0」に設定し、ステップ3195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このようにして強制リッチフラグXENrichの値が「1」に設定されると、CPUが図12のステップ1210に進んだとき、そのステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1215に進み、上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリッチ側の空燃比AFrich(例えば、14.2)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリッチ空燃比AFrichに制御される。
一方、CPUは、所定のタイミングになると、図32のステップ3200から処理を開始してステップ3210に進み、そのステップ3210にて「No」と判定してステップ3230に直接進む。そして、CPUは、図32のステップ3230にて、現時点が「強制リッチフラグXENrichの値が「0」から「1」に変更されてから第2の触媒回復時間が経過した直後の時点である」か否かを判定する。
前述の仮定に従えば、現時点は「強制リッチフラグXENrichの値が「0」から「1」に変更された直後」である。即ち、現時点は第2の触媒回復時間が経過した直後の時点ではない。よって、CPUはステップ3230にて「No」と判定し、ステップ3295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、この状態が継続すると、強制リッチフラグXENrichの値が「0」から「1」に変更されてから第2の触媒回復時間が経過する。このとき、CPUが図32のステップ3210に進むと、CPUはそのステップ3210にて「No」と判定してステップ3230に直接進む。そして、CPUは、そのステップ3230にて「Yes」と判定してステップ3240に進み、強制リッチフラグXENrichの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ3295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上の処理により、強制リッチフラグXENrichの値は第2の触媒回復時間だけ「1」に維持される。従って、減量補正量積算値ΣLeanが「所定の減量閾値ΣLeanth」よりも大きくなった時点から第2の触媒回復時間が経過する時点までの期間、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリッチ空燃比AFrichに制御される。
このように、CPUは、空燃比補正量(DFmain+DFsub)が基本燃料噴射量Fbaseを減少させる値である状態が継続している場合(ステップ3110にて「No」と判定される場合)、減量補正量積算値ΣLeanが「所定の減量閾値ΣLeanth」に到達したとき、触媒43のリーン被毒が発生する可能性が高いと判断し、「機関に供給される混合気の空燃比」を所定時間(第2の触媒回復時間)だけ「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に制御する(図31のステップ3155及びステップ3155、図32のステップ3230及びステップ3240を参照。)。この結果、触媒43のリーン被毒が解消されるので、「触媒43のリーン被毒に起因して触媒43の浄化効率が低下すること」を回避することができる。
5.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第5制御装置」とも称呼する。)について説明する。第5制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが第1閾値であるストイキ上限値VHlilimitと第2閾値であるストイキ下限値VLolimitとの間にある場合、上記第1乃至第4制御装置と同様にサブフィードバック量DFsubを求め、サブフィードバック制御を実行する。
但し、第5制御装置は、そのようなサブフィードバック制御中において、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの周波数(出力値Voxsが中央値Vmidを中心として変動するときの周波数)が所定の周波数閾値以下となった場合、触媒43の酸素吸蔵量OSAを「酸素吸蔵量下限値OSALothと酸素吸蔵量上限値OSAHithとの間」に制御する空燃比フィードバック制御(酸素吸蔵量フィードバック制御)を行う。第5制御装置は、その他の点において、第1乃至第4制御装置の何れかと同様に空燃比制御を実行する。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第5制御装置のCPUは、図17のステップ1720に進んだとき、図18に代わる図33にフローチャートにより示した「サブフィードバック量の比例項算出ルーチン」を実行するようになっている。図33に示したステップのうち図18に示したステップと同一のステップには同一の符号が付されている。これらのステップの詳細な説明は省略される。
図33に示したルーチンにおいては、ステップ3310とステップ3320とが図18に示したルーチンに対し追加されている。具体的に述べると、CPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」と「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」との間にあるとき、ステップ1810、ステップ1840を経由してステップ3310に進む。そして、CPUはそのステップ3310にて、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」であるか否かを判定する。酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値は、上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、後述する酸素吸蔵量フィードバック制御が実行されるとき「1」に設定される。
いま、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」であると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ3310にて「Yes」と判定してステップ1860に進み、サブフィードバック量DFsubの比例項SPを上記(13)式に従って算出する。その後、CPUは上述したステップ1830の処理を行い、ステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUは図34にフローチャートにより示した「酸素吸蔵量フィードバック制御開始判定ルーチン」を所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図34のステップ3400から処理を開始してステップ3405に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」であるか否かを判定する。
前述した仮定に従うと、現時点において酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値は「0」である。従って、CPUはステップ3405にて「Yes」と判定してステップ3410に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsがストイキ上限値VHilimit以下であるか否かを判定する。
更に、いま、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの値が「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」以上であり、且つ、「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」以下であると仮定する。この場合、CPUはステップ3410にて「Yes」と判定するとともに、「出力値Voxsがストイキ下限値VLolimit以上であるか否かを判定する」ステップ3415にても「Yes」と判定する。
そして、CPUはステップ3420にて、現時点が「出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さい値から中央値Vmidよりも大きい値へと変化した直後の時点」であるか否かを判定する。このとき、現時点が「出力値Voxsが中央値Vmidを横切った直後の時点」でなければ、CPUはステップ4320にて「No」と判定し、ステップ3495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点が「出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さい値から中央値Vmidよりも大きい値へと変化した直後の時点」であると、CPUはステップ3420にて「Yes」と判定してステップ3425に進み、出力値Voxsの周波数Fvを取得する。この周波数Fvは、出力値Voxsの変動周期の逆数である。即ち、周波数Fvは、出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さい値から中央値Vmidよりも大きい値へと変化した時点taから、その後、出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さい値となり、更に、出力値Voxsが再び中央値Vmidよりも小さい値から中央値Vmidよりも大きい値へと再び変化した時点tbまでの周期T(T=tb−ta)の逆数である。
次いで、CPUはステップ3430に進み、周波数Fvの積算値ΣFvを求める。即ち、CPUはその時点までの積算値ΣFvに上記ステップ3425にて得られた周波数Fvを加え、新たな積算値ΣFvを取得する。
次に、CPUはステップ3435にてカウンタCFvの値を「1」だけ増大する。そして、CPUはステップ3440にてカウンタCFvがカウンタ閾値CFvth以上であるか否かを判定する。このとき、カウンタCFvがカウンタ閾値CFvth以上でなければ、CPUはステップ3440にて「No」と判定してステップ3495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、カウンタ閾値CFvthは「1」であってもよい。
これに対し、カウンタCFvがカウンタ閾値CFvth以上であると、CPUはステップ3440にて「Yes」と判定してステップ3445に進み、積算値ΣFvをカウンタCFvの値で除することにより、周波数Fvの平均値FvAveを求める。
そして、CPUはステップ3450に進み、周波数平均値FvAveが閾値周波数Fvth以下であるか否かを判定する。即ち、CPUは、出力値Voxsの変動が緩やかであるか否かを判定する。このとき、平均値FvAveが閾値周波数Fvthよりも大きいと、CPUはステップ3450にて「No」と判定してステップ3495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、平均値FvAveが閾値周波数Fvth以下であると、CPUはステップ3450にて「Yes」と判定してステップ3455に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値を「1」に設定する。そして、CPUはステップ3495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、CPUが本ルーチンを実行した際、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの値が「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」よりも大きいとき、CPUはステップ3410にて「No」と判定してステップ3460に進み、積算値ΣFvを「0」に設定する。そして、CPUはステップ3465に進んでカウンタCFvを「0」に設定し、その後、ステップ3495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
また、CPUが本ルーチンを実行した際、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの値が「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」よりも小さいとき、CPUはステップ3415にて「No」と判定し、上記ステップ3460及び上記ステップ3465の処理を実行し、その後、ステップ3495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
加えて、CPUは、所定時間が経過する毎に図35にフローチャートにより示した「酸素吸蔵量フィードバック制御ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図35のステップ3500から処理を開始してステップ3505に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」であると、CPUはステップ3505にて「No」と判定し、ステップ3595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、上述した図24のステップ3455において酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」に設定されると、CPUはステップ3505にて「Yes」と判定してステップ3510に進み、現時点が「酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」から「1」へと変化した直後の時点」であるか否かを判定する。
このとき、「酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」から「1」へと変化した直後の時点」でなければ、CPUはそのステップ3510にて「No」と判定し、ステップ3525に直接進む。
いま、現時点が「上述した図24のステップ3455において酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」に設定された時点」の直後であると仮定する。この場合、CPUはステップ3510にて「Yes」と判定してステップ3515に進み、酸素吸蔵量OSAの値(相対的な推定値)を「0」に設定する。次に、CPUはステップ3520に進み、酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ3525に進む。
このようにして酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値が「1」に設定されると、CPUが図12のステップ1210に進んだとき、そのステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1215に進み、上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリッチ側の空燃比AFrich(例えば、14.2)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリッチ空燃比AFrichに制御される。このため、触媒流入ガスには過剰な未燃物が含まれるので、酸素吸蔵量OSAは次第に減少する。
CPUはステップ3525にて、下記の(16)式に従って、酸素吸蔵量OSAの変化量ΔOSAを算出する。この(16)式において、値「0.23」は大気中に含まれる酸素の重量割合である。mfは所定時間(本ルーチンが実行される周期tsam)内の燃料噴射量Fiの合計量である。stoichは理論空燃比(例えば、14.6)である。abyfsは所定時間tsamにおいて上流側空燃比センサ55により測定された検出上流側空燃比である。なお、abyfsは前記所定時間tsam内において上流側空燃比センサ55により検出された上流側空燃比abyfsの平均値としてもよい。
ΔOSA=0.23・(abyfs−stoich)・mf …(16)
次に、CPUはステップ3530に進み、その時点における酸素吸蔵量OSAに、上記ステップ3525にて求められた酸素吸蔵量OSAの変化量ΔOSAを加えることにより、最新の酸素吸蔵量OSAを算出する。
その後、CPUはステップ3535に進み、酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値が「1」であるか否かを判定する。現時点においては、上記ステップ3520にて酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値は「1」に設定されている。従って、CPUはステップ3535にて「Yes」と判定してステップ3540に進み、ステップ3530にて算出した酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量下限値OSALoth以下であるか否かを判定する。酸素吸蔵量下限値OSALothは「0」より小さく、且つ、その絶対値は最大酸素吸蔵量Cmaxの絶対値の1/2よりも小さい値に選択されている。このとき、酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量下限値OSALothよりも大きいと、CPUはステップ3540にて「No」と判定し、ステップ3595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、この状態が継続すると、機関の空燃比はリッチ空燃比AFrichに制御され続けるので、酸素吸蔵量OSAは次第に減少して酸素吸蔵量下限値OSALoth以下となる。このとき、CPUがステップ3540の処理を実行すると、CPUはそのステップ3540にて「Yes」と判定し、ステップ3545にて酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値を「0」に設定する。更に、CPUはステップ3550に進み、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAleanの値を「1」に設定し、ステップ3595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
この結果、CPUは図12のステップ1210に進んだときそのステップ1210にて「No」と判定してステップ1220に進み、そのステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1225に進むようになる。そして、CPUはそのステップ1225にて上流側目標空燃比abyfrを理論空燃比よりもリーン側の空燃比AFlean(例えば、15.0)に設定する。更に、CPUは図12のステップ1230にてメインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定するとともに、ステップ1235にてサブフィードバック量DFsubの値を「0」に設定する。この結果、CPUがステップ1240以降の処理を実行すると、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)はリーン空燃比AFleanに制御される。このため、触媒流入ガスには過剰な酸素が含まれるので、酸素吸蔵量OSAは次第に増大する。
更に、所定時間が経過してCPUが図35のルーチンの処理を開始すると、CPUはステップ3505、ステップ3510、ステップ3525及びステップ3530の処理を実行し、ステップ3535にて「No」と判定してステップ3555に進む。
CPUはステップ3555にて、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAleanの値が「1」であるか否かを判定する。現時点においては、ステップ3550にて酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAleanの値は「1」に設定されている。従って、CPUはステップ3555にて「Yes」と判定してステップ3560に進み、ステップ3530にて算出した酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量上限値OSAHith以上であるか否かを判定する。酸素吸蔵量上限値OSAHithは、酸素吸蔵量下限値OSALothよりも所定量だけ大きい値に設定されている。酸素吸蔵量上限値OSAHithは、「0」より大きく、且つ、最大酸素吸蔵量Cmaxの絶対値の1/2よりも小さい値に選択されている。
このとき、酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量上限値OSAHithよりも小さいと、CPUはステップ3560にて「No」と判定し、ステップ3595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、この状態が継続すると、機関の空燃比はリーン空燃比AFleanに制御され続けるので、酸素吸蔵量OSAは次第に増大して酸素吸蔵量上限値OSAHith以上となる。このとき、CPUがステップ3560の処理を実行すると、CPUはそのステップ3560にて「Yes」と判定し、ステップ3565にて酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの値を「1」に設定する。更に、CPUはステップ3570に進み、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAleanの値を「0」に設定し、ステップ3595に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、機関の空燃比は再びリッチ空燃比AFrichに制御される。
以上に説明したように、酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量下限値OSALoth以下となると機関の空燃比はリーン空燃比AFleanに設定され、それにより、酸素吸蔵量OSAが増大せしめられる。更に、酸素吸蔵量OSAが酸素吸蔵量上限値OSAHith以上となると、機関の空燃比はリッチ空燃比AFrichに設定され、それにより、酸素吸蔵量OSAが減少せしめられる。即ち、酸素吸蔵量のフィードバック制御が実行される。
加えて、CPUは、所定時間が経過する毎に図36にフローチャートにより示した「酸素吸蔵量フィードバック制御終了判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図36のステップ3600から処理を開始してステップ3610に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」であると、CPUはステップ3610にて「No」と判定し、ステップ3695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において酸素吸蔵量フィードバック制御が実行されていて、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「1」であると、CPUはステップ3610にて「Yes」と判定してステップ3620に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」よりも大きいか否かを判定する。
このとき、出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」よりも大きいと、CPUはステップ3620にて「Yes」と判定してステップ3630に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcont、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAlean及び酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの各値を「0」に設定する。
これにより、CPUが図12に示したルーチンを実行するとき、CPUはステップ1210及びステップ1220の両ステップにて「No」と判定してステップ1240に直接進むようになる。この結果、上流側目標空燃比abyfrは理論空燃比stoichに設定される(ステップ1205を参照。)。更に、ステップ1230及びステップ1235の処理が行われないので、上流側空燃比センサ55の出力値Vabyfsに基づくメインフィードバック量DFmainによる制御と、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsに基づくサブフィードバック量DFsubによる制御と、が再開される。
これにより、CPUがその後において図33のステップ3310に進んだとき、そのステップ3310にて「No」と判定してステップ1860に進むようになる。従って、酸素吸蔵量フィードバック制御は中止させられる。
一方、CPUがステップ3620に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第1閾値としてのストイキ上限値VHilimit」以下であると、CPUはそのステップ3620にて「No」と判定してステップ3640に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」よりも小さいか否かを判定する。
このとき、出力値Voxsが「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」よりも小さいと、CPUはステップ3640にて「Yes」と判定してステップ3630に進み、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcont、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAlean及び酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichの各値を「0」に設定する。
従って、この場合においても、上流側目標空燃比abyfrは理論空燃比stoichに設定され、メインフィードバック量DFmainによる制御と、サブフィードバック量DFsubによる制御と、が再開される。
一方、CPUがステップ3640に進んだとき、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「第2閾値としてのストイキ下限値VLolimit」以上であると、CPUはそのステップ3640にて「No」と判定し、ステップ3695に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、この場合、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcont、酸素吸蔵量調整用リーンフラグXOSAlean及び酸素吸蔵量調整用リッチフラグXOSArichは変更されないので、それまでの酸素吸蔵量フィードバック制御が継続して実行される。
なお、ステップ3630の処理により、酸素吸蔵量制御フラグXOSAcontの値が「0」に設定された後、CPUが図33のステップ3310に進むと、CPUはそのステップ3310にて「No」と判定してステップ1860に進むようになる。
以上、説明したように、第5制御装置は、酸素吸蔵量フィードバック制御を実行する空燃比制御手段を備えている。
即ち、その空燃比制御手段は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「前記第1閾値(ストイキ上限値VHilimit)よりも小さく且つ前記第2閾値(ストイキ下限値VLolimit)よりも大きい値」となっていて「前記通常空燃比フィードバック制御が実行されている期間」における「同出力値の変動周波数(平均値FvAve)」を取得する。
そして、空燃比制御手段は、
取得した変動周波数(平均値FvAve)が所定の閾値周波数Fvth以下となった場合(図34のステップ3450を参照。)、「前記通常空燃比フィードバック制御」に代え、前記触媒の酸素吸蔵量OSA(酸素吸蔵量のある時点における値からの相対値)を推定するとともに、その推定した酸素吸蔵量が「酸素吸蔵量下限値と酸素吸蔵量上限値との間」になるように機関10に供給される混合気の空燃比を制御する(図34のステップ3455及び図35のルーチンを参照。)。
この結果、エミッションが悪化しない範囲において「触媒流入ガスの空燃比」が理論空燃比を中心として大きく変動させられるので、触媒43のリッチ被毒又はリーン被毒が解消され易くなり、触媒43の浄化効率を改善することができる。
更に、上記空燃比制御手段は、
酸素吸蔵量フィードバック制御が実行されている期間に、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが「前記第1閾値以上となるか又は前記第2閾値以下となった場合」、前記酸素吸蔵量フィードバック制御を終了するとともに、「前記下流側空燃比センサの出力値に基づいた前記機関に供給される混合気の空燃比の制御」を再開するように構成されている(図36のルーチンを参照。)。
従って、酸素吸蔵量フィードバック制御を実行することによって、酸素吸蔵量が「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに近づいた場合であっても、エミッションが悪化することを回避することができる。
以上、説明したように、本発明による内燃機関の空燃比制御装置の各実施形態は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsとその変化速度ΔVoxsとを用いて触媒43の状態(酸素吸蔵状態)を推定し、その推定した状態に応じて触媒流入ガスの空燃比を制御している。従って、触媒流入ガスの実際の空燃比が「触媒流入ガス要求空燃比」に応じた値となるので、エミッションを一層良好にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、各実施形態の変形例に係るCPUは、図26のルーチンに代わる「図37に示した触媒リッチ・リーン状態判定ルーチン」を所定時間が経過する毎に実行することにより、触媒43の状態を以下のように判定してもよい。
即ち、CPUは、ステップ3710にて下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負であるか否かを判定し、変化速度ΔVoxsが負である場合にはステップ3720にてその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上であるか否かを判定する。そして、変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上である場合、触媒43が「酸素過剰状態にある」と判定し、ステップ3730にて触媒リーン状態フラグ(酸素過剰状態フラグ)XCCROleanの値を「1」に設定する。このとき、CPUはステップ3740にて触媒リッチ状態フラグ(酸素不足状態フラグ)XCCROrichの値を「0」に設定する。
更に、CPUは、ステップ3750にて下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが正であるか否かを判定し、変化速度ΔVoxsが正である場合にはステップ3760にてその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上であるか否かを判定する。そして、変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上である場合、触媒43が「酸素不足状態にある」と判定し、ステップ3770にて触媒リッチ状態フラグXCCROrichの値を「1」に設定する。このとき、CPUはステップ3780にて
触媒リーン状態フラグXCCROleanの値を「0」に設定する。
このように、各実施形態の変形例は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負であり且つその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上であるとき、触媒43が酸素不足状態にあると判定するように構成されてもよい。更に、各実施形態の変形例は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが正であり且つその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が所定の変化速度閾値ΔVth以上であるとき、触媒43が酸素過剰状態にあると判定するように構成されてもよい。
更に、各実施形態の他の変形例に係るCPUは、図26のルーチンに代わる「図38に示した触媒リッチ・リーン状態判定ルーチン」を所定時間が経過する毎に実行することにより、触媒43の状態を以下のように判定してもよい。なお、図38に示したステップのうち図37に示したステップと同一のステップには同一の符号が付されている。これらのステップの詳細な説明は省略される。
図38に示したルーチンは、図37に示したステップ3720及びステップ3760を、ステップ3820及びステップ3860にそれぞれ置換したルーチンである。ステップ3820において、CPUは変化速度の大きさ|ΔVoxs|が触媒リーン判定用変化速度閾値ΔVthL(Voxs)以上であるか否かを判定する。この触媒リーン判定用変化速度閾値ΔVthL(Voxs)は、ステップ3820の近傍に図示したように、出力値Voxsの大きさ|Voxs|(=Voxs)が大きくなるほど大きくなるように設定される。
これは、出力値Voxsが大きいほど触媒43の酸素吸蔵量OSAが小さい可能性が高いので、出力値Voxsが大きい場合には変化速度の大きさ|ΔVoxs|が相当に大きくならない限り、触媒43が酸素過剰状態にあるとは判定しないようにするためである。
このように、CPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが負であり且つその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が「出力値Voxsが大きいほど大きくなる触媒リーン判定用変化速度閾値ΔVthL以上であるとき、触媒43が酸素過剰状態にあると判定するように構成されてもよい。
更に、ステップ3860において、CPUは変化速度の大きさ|ΔVoxs|が触媒リッチ判定用変化速度閾値ΔVthR(Voxs)以上であるか否かを判定する。この触媒リッチ判定用変化速度閾値ΔVthR(Voxs)は、ステップ3860の近傍に図示したように、出力値Voxsの大きさ|Voxs|(=Voxs)が大きくなるほど小さくなるように設定される。
これは、出力値Voxsが小さいほど触媒43の酸素吸蔵量OSAが大きい可能性が高いので、出力値Voxsが小さい場合には変化速度の大きさ|ΔVoxs|が相当に大きくならない限り、触媒43が酸素不足状態にあるとは判定しないようにするためである。
このように、CPUは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが正であり且つその変化速度の大きさ|ΔVoxs|が「出力値Voxsが大きいほど小さくなる触媒リッチ判定用変化速度閾値ΔVthR以上であるとき、触媒43が酸素不足状態にあると判定するように構成されてもよい。
即ち、本発明の実施形態及び変形例に係る空燃比制御装置は、
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsと下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度のΔVoxsとに基づいて触媒43の酸素吸蔵状態を推定し、その推定した状態に基づいて、同触媒の酸素吸蔵量が「0」より大きい第1酸素吸蔵量から同第1酸素吸蔵量よりも大きく且つ同触媒の最大酸素吸蔵量よりも小さい第2酸素吸蔵量までの間にて変化するように同触媒に流入するガスの空燃比を制御する装置である。
Claims (19)
- 排気通路に触媒が配設された内燃機関に適用され、
前記排気通路の前記触媒よりも下流に配設され且つ同触媒から流出したガスである触媒流出ガスに含まれる酸素の量が同触媒流出ガスに含まれる未燃物を酸化するために必要な量よりも少ないときに最大出力値を出力するとともに同触媒流出ガスに含まれる酸素の量が同触媒流出ガスに含まれる未燃物を酸化するために必要な量よりも多いときに最小出力値を出力する濃淡電池型酸素濃度センサである下流側空燃比センサと、
前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて前記触媒に流入するガスである触媒流入ガスの空燃比を変更するように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、
を備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少していて同出力値の変化速度の大きさが第1変化速度閾値以上である場合、前記出力値が前記最大出力値と前記最小出力値との中央の値である中央値よりも大きいときであっても前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように、且つ、前記下流側空燃比センサの出力値が増大していて同出力値の変化速度の大きさが第2変化速度閾値以上である場合、前記出力値が前記中央値よりも小さいときであっても前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように、前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する通常空燃比フィードバック制御を実行するように構成された空燃比制御装置。 - 請求の範囲1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が所定の第1閾値よりも小さく且つ同第1閾値よりも小さい所定の第2閾値よりも大きいとき前記通常空燃比フィードバック制御を実行するように構成され、
前記第1閾値は、前記最大出力値と前記最小出力値との中央の値である中央値と前記最大出力値との間の値であって且つ同中央値よりも同最大出力値に近い値に設定され、
前記第2閾値は、前記中央値と前記最小出力値との間の値であって且つ同中央値よりも同最小出力値に近い値に設定された、
空燃比制御装置。 - 請求の範囲2に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記第1閾値は、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であり且つ前記触媒の酸素吸蔵量が増大している場合であって、前記触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比であるときの前記下流側空燃比センサの出力値に等しくなるように設定され、
前記第2閾値は、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であり且つ前記触媒の酸素吸蔵量が減少している場合であって、前記触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比であるときの前記下流側空燃比センサの出力値に等しくなるように設定された、
空燃比制御装置。 - 請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置。 - 請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置。 - 請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御し、且つ、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲6の何れか一項に記載の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック量であるサブフィードバック量を前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記サブフィードバック量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
を備え、
前記サブフィードバック量算出手段は、
前記通常空燃比フィードバック制御を実行するために、前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記サブフィードバック量が前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより増大させる値となり、且つ、前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記サブフィードバック量が前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより減少させる値となるように、前記サブフィードバック量を算出するように構成された、
空燃比制御装置。 - 請求の範囲6に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック量であるサブフィードバック量を前記下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記サブフィードバック量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
を備え、
前記サブフィードバック量算出手段は、前記通常空燃比フィードバック制御を実行するために、前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより増大させ且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を同出力値の変化速度の大きさが大きいほどより減少させるサブフィードバック量の微分項を、同出力値の変化速度に所定の微分ゲインkdを乗じることにより算出する微分項算出手段、
を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲8に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記サブフィードバック量算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値以上である場合、前記第1閾値と前記下流側空燃比センサの出力値との差にリーン制御用ゲインKpLを乗じた値と、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された所定の目標値と前記第1閾値との差に第1ゲインKpS1を乗じた値と、の和を、前記基本燃料噴射量を減少させることによって前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側の空燃比に制御するための前記サブフィードバック量の比例項として算出し、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値以下である場合、前記第2閾値と前記下流側空燃比センサの出力値との差にリッチ制御用ゲインKpRを乗じた値と、前記目標値と前記第2閾値との差に第2ゲインKpS2を乗じた値と、の和を、前記基本燃料噴射量を増大させることによって前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に制御するための前記サブフィードバック量の比例項として算出し、
前記下流側空燃比センサ出力値が前記第1閾値と前記第2閾値との間にある場合、前記目標値と前記下流側空燃比センサの出力値との差に第3ゲインKpS3を乗じた値を前記サブフィードバック量の比例項として算出する比例項算出手段、
を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲9に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記比例項算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値よりも大きい場合、前記目標値を前記第1閾値と前記中央値との間の値である第1目標値に設定し、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値よりも小さい場合、前記目標値を前記第2閾値と前記中央値との間の値である第2目標値に設定し、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値と前記第2閾値を含む所定範囲内の値との間にある場合、前記目標値を前記第1目標値と前記第2目標値との間の値である第3目標値に設定するように構成された、
空燃比制御装置。 - 請求の範囲9又は請求の範囲10に記載の内燃機関の空燃比制御装置において
前記比例項算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが大きいほど前記比例項の大きさをより小さくするように構成された空燃比制御装置。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲6の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比が理論空燃比に一致するように前記基本燃料噴射量を補正するメインフィードバック量を算出するメインフィードバック量算出手段と、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を減少させるように前記基本燃料噴射量を補正するサブフィードバック量を算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
を備え、
前記メインフィードバック量算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を減少させる値になっているとき前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定し、
前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を増大させる値になっているとき前記メインフィードバック量の大きさを小さくするか又は0に設定する、
ように構成された空燃比制御装置。 - 請求の範囲6に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比が理論空燃比に一致するように前記基本燃料噴射量を補正するメインフィードバック量を算出するメインフィードバック量算出手段と、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を減少させるように前記基本燃料噴射量を補正するサブフィードバック量を算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
を備え、
前記メインフィードバック量算出手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値を含む所定範囲内の値以上である場合に前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を増大させる値であるとき同メインフィードバック量を0に設定し、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第2閾値を含む所定範囲内の値以下である場合に前記メインフィードバック量が前記基本燃料噴射量を減少させる値であるとき同メインフィードバック量を0に設定する、
ように構成された空燃比制御装置。 - 請求の範囲2、請求の範囲3、請求の範囲4、請求の範囲6、請求の範囲8、請求の範囲9、請求の範囲10、請求の範囲11及び請求の範囲13の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記最大出力値となっているときに前記触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリーン側の所定リーン空燃比に制御し、その状態において前記下流側空燃比センサの出力値が前記最小出力値又は前記最小出力値に所定値を加えた値に到達するまでの期間において同下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが最小となった時点における同下流側空燃比センサの出力値を前記第1閾値として取得するストイキ上限値取得手段を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲2、請求の範囲3、請求の範囲5、請求の範囲6、請求の範囲8、請求の範囲9、請求の範囲10、請求の範囲11、請求の範囲13及び請求の範囲14の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記最小出力値となっているときに前記触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の所定リッチ空燃比に制御し、その状態において前記下流側空燃比センサの出力値が前記最大出力値又は前記最大出力値から所定値を減じた値に到達するまでの期間において同下流側空燃比センサの出力値の変化速度の大きさが最小となった時点における同下流側空燃比センサの出力値を前記第2閾値として取得するストイキ下限値取得手段を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲6の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比が理論空燃比に一致するように前記基本燃料噴射量を補正するメインフィードバック量を算出するメインフィードバック量算出手段と、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を減少させるように前記基本燃料噴射量を補正するサブフィードバック量を算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
前記空燃比補正量が前記基本燃料噴射量を増大させる値である状態が継続している場合に同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が増大させられる量の積算値を求め、同求めた積算値の大きさが所定の増量閾値に到達したとき、同空燃比補正量に関わらず、前記機関に供給される混合気の空燃比が所定の第1の触媒回復時間だけ理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるように前記燃料噴射手段から噴射供給される燃料の量を制御する触媒機能回復手段、
を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲6の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記機関に吸入される吸入空気量を取得するとともに同取得された吸入空気量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記排気通路であって前記触媒よりも上流に配設されるとともにその配設部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
前記上流側空燃比センサの出力値により表される上流側空燃比が理論空燃比に一致するように前記基本燃料噴射量を補正するメインフィードバック量を算出するメインフィードバック量算出手段と、
前記下流側空燃比センサの出力値が減少している場合に前記基本燃料噴射量を増大させるように前記基本燃料噴射量を補正し且つ前記下流側空燃比センサの出力値が増大している場合に前記基本燃料噴射量を減少させるように前記基本燃料噴射量を補正するサブフィードバック量を算出するサブフィードバック量算出手段と、
前記基本燃料噴射量を前記メインフィードバック量及び前記サブフィードバック量からなる空燃比補正量により補正することにより得られる量の燃料を前記機関に噴射供給する燃料噴射手段と、
前記空燃比補正量が前記基本燃料噴射量を減少させる値である状態が継続している場合に同空燃比補正量によって同基本燃料噴射量が減少させられる量の積算値を求め、同求めた積算値の大きさが所定の減量閾値に到達したとき、同空燃比補正量に関わらず、前記機関に供給される混合気の空燃比が所定の第2の触媒回復時間だけ理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように前記燃料噴射手段から噴射供給される燃料の量を制御する触媒機能回復手段、
を含む空燃比制御装置。 - 請求の範囲6に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値よりも小さく且つ前記第2閾値よりも大きい値となっていて前記通常空燃比フィードバック制御が実行されている期間における同出力値の変動周波数を取得するとともに同取得した変動周波数が所定の閾値周波数以下となった場合、前記通常空燃比フィードバック制御に代え、前記触媒の酸素吸蔵量を推定するとともに同推定した酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量下限値と同酸素吸蔵量下限値よりも大きい所定の酸素吸蔵量上限値との間になるように、同推定した酸素吸蔵量に基づいて前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する酸素吸蔵量フィードバック制御を実行するように構成された、
空燃比制御装置。 - 請求の範囲18に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記酸素吸蔵量フィードバック制御が実行されている期間に、前記下流側空燃比センサの出力値が前記第1閾値以上となるか又は前記第2閾値以下となった場合、前記酸素吸蔵量フィードバック制御を終了するとともに、前記下流側空燃比センサの出力値に基づいた前記機関に供給される混合気の空燃比の制御を再開するように構成された、
空燃比制御装置。
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