JP5092630B2 - 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液 - Google Patents

微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液 Download PDF

Info

Publication number
JP5092630B2
JP5092630B2 JP2007229555A JP2007229555A JP5092630B2 JP 5092630 B2 JP5092630 B2 JP 5092630B2 JP 2007229555 A JP2007229555 A JP 2007229555A JP 2007229555 A JP2007229555 A JP 2007229555A JP 5092630 B2 JP5092630 B2 JP 5092630B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver powder
fine silver
fine
particles
silver particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007229555A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009062558A (ja
Inventor
裕二 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2007229555A priority Critical patent/JP5092630B2/ja
Publication of JP2009062558A publication Critical patent/JP2009062558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5092630B2 publication Critical patent/JP5092630B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、微粒銀粉およびその製造方法並びに導電性ペースト用分散液に係り、より詳しくは電子回路、特に低温焼成セラッミック基板の配線部材用として優れた電気特性が得られる微粒銀粉およびその製造方法と導電性ペースト用分散液に関する。
近年、大規模的に普及している携帯電話等の小型電子機器を製造するためにLTCC(low−temperature cofired ceramic、低温焼成セラッミック)を基板材料とした電子回路基板が採用され、最近ではこのLTCCを用いたパッケージ(一般に「LTCCパッケージ」と称している)のセラミック多層基板にチップコンデンサやチップインダクタ等の小型電子部品を配置するために、ファインピッチ化された電子回路用の配線部が形成されている。
LTCCパッケージでは、前記したファインピッチ化の要請のため、配線部の導電性を向上させる必要があり、原材料として微粒銀粉が以下のように配線部に用いられて製造される。
すなわち、まず微粒銀粉と有機溶剤等を混練して導電性ペースト(銀ペースト)が作製され、次いでこの導電性ペーストを用いてスクリーン印刷法等によりセラミック材料で作製されたグリーンシート上に配線パターンが印刷される。そして、導電性ペーストとグリーンシートとが焼成炉で同時焼成されて、銀材料で配線部が形成されたLTCCパッケージが製造される。
この際、LTCCパッケージの焼成工程において以下のような現象が生じる。
銀の融点は約960℃であるが、一般的に500℃付近から微粒銀粉の粒子同士の焼結が始まり、それに伴って配線部の微粒銀粉の熱収縮が始まる。一方、LTCCのセラミック材料も微粒銀粉とは別の挙動で収縮する。すなわち、焼結温度が高いセラミック材料は、微粒銀粉より高い温度から熱収縮を開始する。また、一般的にセラミック材料は、収縮量も少ない。したがって、焼成時に微粒銀粉とセラミック材料との間に熱収縮挙動の差が生じるため、電子回路基板においてクラックやデラミネーション等の不具合が発生し易く、この不具合を防止するため双方の熱収縮挙動を調整しつつ焼成工程を行う必要がある。
以上のように電子回路基板のファインピッチ化に対応した導電ペースト用微粒銀粉においては、焼成工程において微粒銀粉とセラミック材料との間の熱収縮挙動の差が少ない微粒銀粉が求められている。
このような要請に対して、従来、より高温から熱収縮を開始するように改善された微粒銀粉が提案されている。例えば、特許文献1には、平均粒径が10μm以下の金属銀粒子表面に原子番号12〜82の範囲内で周期表の2〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物および複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着している表面修飾銀粉が提案されている。前記表面修飾銀粉は、微粒銀粉の表面を無機物で被覆して低温での微粒銀粉の粒子同士の焼結を防止し、熱収縮開始温度をより高温側にシフトさせて熱収縮挙動を改善したものである。
しかしながら、表面修飾銀粉では、高抵抗の表面固着物によって焼成後の比抵抗が高くなるおそれがある上、表面修飾銀粉は、乾式固着法もしくは湿式固着法という製造方法で作製されるため、工程が複雑で高コストになるという問題がある。具体的に説明すると、乾式固着法では、酸化物および/または複合酸化物をオングミル、ハイブリタイザーなどの装置で処理して金属銀微粒子表面に固着する方法がとられる。また、湿式固着法では、まず金属銀微粒子表面にアンミン酸ナトリウム(Al付着のため)、ケイ酸ナトリウム(SiO付着のため)などのような水溶性塩から誘導される金属酸化物および/または複合酸化物を付着させ、洗浄し、乾燥させた後、付着強度を得るため、追加の工程として、当該酸化物および/または複合酸化物が付着している金属銀粒子を、オングミル、ハイブリタイザーなどの装置で固着処理する方法がとられる。 このため、これらの製法では、廃液処理、乾燥工程、固着工程などが必要となり、工程が複雑で高コストになるという問題がある。
さらに、前記乾式法で固着させた場合には、熱収縮率が高くなり、セラミック基板として焼成した場合、クラックやデラミネーションの原因となることが知られている特許文献2で示唆されている。この特許文献2では、微粒銀粉をアルミニウムアルコキシド溶液中に分散し、アルミニウムアルコキシドを加熱分解し、酸化アルミニウムを微粒銀粉の粒子表面に被覆した微粒銀粉であって、比表面積が0.50〜4.0m/g、平均粒径が0.50〜10.0μm、最大粒径が1.0〜30.0μmの酸化アルミニウム被覆微粒銀粉が提案されている。しかしながら、前記酸化アルミニウム被覆微粒銀粉も前記と同様に表面固着物によって焼成後の比抵抗が高くなるおそれがある上、この製造方法も洗浄、乾燥工程などの後工程があり、工程が複雑で高コストとなるという問題がある。
一方、銀合金アトマイズ粉を導電フィラーとして含有する導電性ペースト組成物が特許文献3に提案されている。特許文献3は、アトマイズ法によって作製した銀合金微粉を用い、焼成中に銀合金微粉の表面を酸化物(銀以外の合金元素の酸化物)で被覆させることによって、熱収縮開始温度をより高温側にシフトさせて熱収縮挙動の改善を図ったものである。しかしながら、アトマイズ法を用いた場合、得られる銀合金粉の粒径は大きいものとならざるを得ず、電子回路基板のファインピッチ化に対応した1μm以下の微粉を作製するためには分級が必要であるが、分級効率が悪く、高コストとなるという問題がある。
このため、電子回路基板のファインピッチ化に対応した導電ペースト用微粒銀粉においては、焼成工程における熱収縮挙動が改善され、セラミック材料との間の熱収縮挙動の差が少ない、すなわち、熱収縮開始温度が高く収縮量が少ない微粒銀粉と、効率的でかつ低コストな工業的に適した微粒銀粉の製造技術の開発が望まれている。
特開2001−240901号公報 特開2005―206856号公報 特開2006−302525号公報
本発明は、前記した従来の事情に鑑みてなされたもので、高純度で熱収縮開始温度が高く、収縮量も少ないファインピッチ化した電子回路基板用導電性ペースト用として好適な微粒銀粉と、その微粒銀粉を効率的にかつ低コストで量産できる製造方法、並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液を提供することを目的とするものである。
本願発明者は、微粒銀粉の熱収縮挙動の改善について鋭意検討した結果、特定の形状を有する表面に有機物を吸着させた微粒銀粉は熱収縮挙動が改善されること、その微粒銀粉は、銀微粒子を超高圧に加圧して対向衝突させることで得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明に係る微粒銀粉は、表面に凹凸を有する略球状もしくは略多面体状の粒子であって、前記凹凸を有する表面に有機物が吸着していることを特徴とするものである。
また、この微粒銀粉は、銀粒子を超高圧に加圧して対向衝突させることにより、銀粒子の分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なうことにより得られるものであることを特徴とするものである。
さらに、本発明の微粒銀粉は、平均粒径が0.1〜2μmで、最大粒径が10μm以下であり、さらにまた、本発明の微粒銀粉は、熱収縮開始温度が800℃以上であることを好ましい態様とするものである。
本発明に係る微粒銀粉の製造方法は、湿式分散装置を用いて微粒銀粉を得る製造方法であって、銀粒子を有機溶媒中に分散させてスラリーを得るスラリー化工程、スラリーを100MPa以上の超高圧で対向衝突させてスラリー中の銀粒子の衝突により分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なう分散化工程からなることを特徴とするものである。
また、前記分散化工程においては、スラリーの衝突部への繰り返し導入回数を5〜15回とすることが好ましい。
本発明に係る導電性ペースト用分散液は、前記微粒銀粉を有機溶剤中に分散させたスラリーであることを特徴とするものである。
本発明に係る微粒銀粉は、表面に吸着されている有機物が焼成時に分解してカーボンとなり、銀粒子間の拡散を防止すること、およびその形状が略球状もしくは略多面体状であるため銀粒子間の接触部分が減少することにより熱収縮開始温度が高温となり、また銀粒子を超高圧に加圧して対向衝突させて銀粒子の分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なうことにより得られるものであるから、収縮開始温度がさらに改善され、その上微細で粗粒を含まないため、ファインピッチ化が要求される電子回路基板用として特に好適である。
また、本発明に係る微粒銀粉の製造方法によれば、湿式分散装置を用いてスラリーを超高圧で対向衝突させることで、銀粒子の凝集を解砕するとともに、表面を凹凸にして略球状もしくは略多面体状とし、表面に有機物を吸着あるいは微粉自体を緻密化させることができることにより、高純度で熱収縮開始温度が高く、セラミック基板等の電子回路基板用として好適な微粒銀粉と導電性ペースト用分散液を効率よく低コストで製造することができる。
本発明に係る微粒銀粉において、表面に凹凸を形成するのは、当該微粒銀粉の表面に有機物を付着させやすくするためである。この表面に形成される凹凸は、サイズ的には有機物が十分に吸着される程度の大きさと定義することができる。この表面に有機物が吸着した略球状もしくは略多面体状の粒子の場合、熱収縮開始温度が高温側にシフトする機構は解明されていないが、次のように推察される。
略球状もしくは略多面体状の粒子の表面に形成された凹凸部に存在する有機物が、焼成時に分解してカーボンとなり、銀粒子間の拡散を防止して熱収縮開始温度を高温側にシフトさせるものと考えられる。また同時に、微粒銀粉を略球状もしくは略多面体状とすることで銀粒子間の接触部分が減少し、熱収縮開始温度に影響を及ぼしていると考えられる。
さらに、本発明に係る微粒銀粉として、銀粒子を超高圧に加圧して対向衝突させることにより、銀粒子の分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なうことにより得られるものとしたのは、超高圧に加圧して対向衝突させることにより、銀粒子表面に銀中にカーボンが均一に分散した複合層が形成されて銀粒子の焼結が阻害され、熱収縮開始温度を高温側にシフトさせる効果がより大きくなると考えられるためである。
なお、微粒銀粉表面への有機物吸着量は、カーボン量として0.2〜1.0質量%であることが好ましい。すなわち、0.2質量%未満では銀粒子の焼結を阻害する効果が十分でなく、他方、導電性を考慮しない場合にはカーボン量の上限は特に限定されるものではないが、導電性ペースト用として用いる場合には、1.0質量%を超えると焼成後の導電性が十分ではなくなり好ましくないためである。
本発明において、微粒銀粉の平均粒径を0.1〜2μm、最大粒径を10μm以下としたのは、以下に記載する理由による。
すなわち、平均粒径が0.1μm未満では熱収縮開始温度の改善が十分でなく、他方、平均粒径が2μmまたは最大粒径が10μmを超えると、電子回路のファインピッチ化に対応困難となるためである。なお、ファインビア埋め用の導電ペースト用フィラーとして使用する場合には、平均粒径を0.1〜1μmとし、最大粒径を5μm以下とするのが好ましい。
また、本発明の微粒銀粉の熱収縮開始温度を800℃以上としたのは、焼成時におけるセラミックス材料との熱収縮挙動の差が少なくなり、セラミック基板として焼成した場合にクラックやデラミネーションの発生を防止することができるためである。なお、熱収縮開始温度の上限は特に限定するものではないが、銀の融点(961.8℃)を考慮すると、本発明の微粒銀粉においては950℃が限度である。微粒銀粉の熱収縮開始温度は、熱機械分析装置(例えば、ブルカー・エイエックスエス(株)製、TMA4000SA)を用いて測定することができる。
本発明の微粒銀粉に係る製造方法において、スラリー化工程で得たスラリーを分散化工程で100MPa以上の超高圧で対向衝突させることとしたのは、スラリーを超高圧で対向衝突させることにより、銀粒子を分散化し、表面改質を行うことができるためである。
すなわち、湿式分散装置を用いてスラリーを超高圧で対向衝突させることで、銀粒子の凝集を解砕するとともに、表面を凹凸にして略球状もしくは略多面体状とすること、表面に有機物を吸着させること、あるいは、微粉自体を緻密化させることなどの効果で熱収縮開始温度を高温側にシフトさせることができるためである。ここで、スラリーを対向衝突させる圧力を100MPa以上の超高圧としたのは、100MPa未満では、前記のような効果が十分に得られず熱収縮開始温度を高温側にシフトさせることができないためである。なお、対向衝突させる圧力としては、100〜245MPaとすることがより好ましく、200〜245MPaとすることが特に好ましい。現状では、245MPaを超える圧力で対向衝突させる装置はないが、245MPaを超える圧力でも前記のような効果は得られるものと考えられる。
湿式分散装置としては、カウンタージェットミル方式の湿式分散装置を用いることができる。例えば、スギノマシン製スターバーストが挙げられる。他の方式としては、例えば、高圧を用いるアドバンスト・ナノ・テクノロジィ製ナノメーカーなどを用いることができるが、カウンタージェットミル方式の装置を用いることが好ましく、前記スターバーストを用いることが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、銀粒子をスラリーとして衝突部へ導入して銀粒子の処理を行うが、その導入回数を1〜15回と限定したのは、1回未満では分散性について最適化できず、他方、15回を超えると凝集を起こす可能性があるためである。なお、好ましくは5〜10回である。5回未満では、分散性の最適化が十分でないことがあり、5回以上とすることがより好ましい。
本発明の微粒銀粉の製造方法に用いる銀粒子は、元々結晶性が良い熱プラズマを用いた方法により作製した銀粒子を用いることが好ましい。また、本発明の製造方法では、SEM観察等によって確認できる1次粒子より微細な微細銀粉を得ることができないため、前記1次粒子の平均粒径が0.1〜2μmで最大粒径が10μm以下の銀粒子を用いる必要がある。ただし、1μm以上の微粒銀粉を得ようとする場合には、アトマイズ法から作製した銀粒子を用いてもよい。なお、湿式法による銀粒子を用いても効果は得られるが、好ましくは高温熱処理を行う乾式法による銀粒子を用いることが好ましい。いうまでもなく銀合金粒子あるいは複合銀粒子を用いても本発明の製造方法による効果は得られる。
スラリー化工程における有機溶媒と銀粒子のスラリーを得る方法としては、特に限定されるものではなく、超音波撹拌機、羽撹拌機、ミキサー等などの通常の方法が用いられる。
本発明の微粒銀粉の製造方法は、有機溶媒中に銀粒子を分散させたスラリー同士を衝突させるため、導電性ペーストに使われている有機溶剤を溶媒として使用すれば、分離工程を省略して、処理したスラリーをそのまま、熱収縮開始温度の高い熱収縮挙動が改善された導電性ペースト用分散液として使用できる。例えば、有機溶媒として導電性ペーストに使われている有機溶剤であるテルピネオールを用いれば、有機溶媒による表面被覆、あるいは、不純物混入がなく極めて有利であり、そのままペースト化できる利点があるため、低コストに製造できる。
前記有機溶媒としては、芳香族系、アルコール系、エステル系、ケトン系などの有機溶剤、例えば、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、又はそれらの酢酸エステル、ペンタンジオールアルキルエーテル、ジブチルフタレート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、導電ペーストに用いられる有機溶剤を用いた処理を行い、導電性ペースト用分散液を得るほうが、分離の必要もなく、コスト面を考慮すると好ましいが、分離して得られた乾粉状態の微粒銀粉を再度、有機溶媒に分散させて導電性ペースト用分散液を得ても特に問題はない。乾粉状態の微粒銀粉を得るためには、有機溶媒と微粒銀粉の分離が必要であるが、用いられる方法としては、特に限定されるものではなく、遠心分離、揮発性溶媒による洗浄等が用いられる。
[実施例]
次に、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、原料の銀粒子として、熱プラズマを用いて作製した球状銀粒子を用いた。図1は熱プラズマを用いて作製した原料の略球状銀粒子を示す顕微鏡写真である。この球状銀粒子は、原料スラリーを例えばスギノマシン製スターバーストラボに導入し超音波を照射して分散化させて作製したものである。原料スラリーは、略球状銀粒子(粒度分布:D10=0.37μm、D50=1.32μm、D90=2.82μm、D100=6.54μm、純度>99.5%)20重量部をテルピネオール80重量部中に混合して、超音波を3分間照射して分散化させて作製した。本発明の実施例1〜2においては、前記スギノマシン製スターバーストラボを用い、超高圧に加圧した原料(スラリー)を超高速で噴射・衝突させて得た微細銀粉を採用した。
なお、本実施例1、2における各種測定は、以下の方法にて行なった。
(1)走査型電子顕微鏡観察:走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−4700:以下FE−SEMと記載)を用いて観察した。
(2)粒度分布測定:微粒銀粉を約0.1g採取し、分散媒として0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を約50ml添加した後、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所社製、US−300T)により、300μAの出力で1分間分散させてサンプル液を調製した。レーザー回折法(日機装(株)製、MICROTRAC HRA MODEL:9320−X100)によりサンプル液を測定した。平均粒径は、体積積算で50%の値(D50)を用いた。(3)熱機械分析(熱収縮挙動):微粒銀粉をペレット状(φ約5×t約1.5)に成型(加重200kg、時間1分)した後、熱機械分析(ブルカー・エイエックスエス(株)製、TMA4000SA:以下TMAと記載)を用い、10gの加重をかけながら、98%窒素−2%水素混合ガス(200ml/分)による還元性雰囲気中でおいて、熱収縮特性を測定した。熱収縮特性としては、0.5%収縮時の温度を熱収縮開始温度とし、800℃における収縮率(%)とともに評価した。
前記原料スラリーを約0.5リットル/分で導入し、衝突圧力を200MPaとして衝突部への導入を10回繰り返して処理を行い、微粒銀粉を得た。得られた微粒銀粉について、走査型電子顕微鏡観察(FE−SEM)、粒度分布測定(レーザー回折法)、熱機械分析(TMA)を行ない、評価した。
得られた微粒銀粉のFE−SEM写真を図2に示す。図2より、得られた微粒銀粉は、表面に凹凸があり凝集のない微粉末であることがわかる。また、この微粒銀粉の粒度分布は、体積積算でD10=0.29μm、D50=0.49μm、D90=1.52μm、D100=4.62μmとなり、小粒径化していた。
微粒銀粉のTMA結果を図3に示す。得られた微粒銀粉の熱収縮開始温度は、900℃以上と非常に高い温度を示し、800℃における収縮率も0%であった。
前記原料スラリーを約0.5リットル/分で導入し、衝突圧力を200MPaで衝突部への導入を5回繰り返して処理を行った以外は、実施例1と同様にして微粒銀粉を作製し、評価した。
得られた微粒銀粉は、実施例1とほぼ同様の粒度分布を示し、小粒径化されており、体積積算でD10=0.32μm、D50=0.76μm、D90=1.62μm、D100=3.27μmとなっていた。また、得られた微粒銀粉のTMA結果を図3に併せて示す。得られた微粒銀粉の熱収縮開始温度は、853℃と高い温度を示し、800℃における収縮率も0%であった。
[比較例1]
比較例として、原料の球状銀粒子についてTMAを実施したところ、熱収縮開始温度は604℃と低く、800℃における収縮率も6%と高い値であった。原料の球状銀粒子のTMA結果を図3に併せて示す。
[比較例2]
乾式法であるアトマイズ法で作製した球状銀粉(日本アトマイズ加工(株)製、HXR―AG1.5、平均粒径1.5μm、純度>99.9%)をそのまま試料として用いた。その球状銀粉の粒径分布は、体積積算でD10=0.88μm、D50=1.47μm、D90=2.58μm、D100=6.54μmであった。TMA結果を図3に併せて示す。
本発明の微粒銀粉と比較すると、粒径分布が大きいにもかかわらず、熱収縮開始温度が606℃と低く、800℃における収縮率も12%と高かった。
[比較例3]
湿式法で作製した銀粉(同和鉱業(株)製、AG2−1S、平均粒径1.7μm、純度99.6%)をそのまま試料として用いた。その球状銀粉の粒径分布は、体積積算でD10=0.72μm、D50=1.69μm、D90=3.49μm、D100=10.5μmであった。TMAを図3に併せて示す。
本発明の微粒銀粉と比較すると、粒径分布が大きいにもかかわらず、熱収縮開始温度は232℃と低く、800℃における収縮率も10%と高かった。
上記実施例から明らかなごとく、本発明によって得られる微粒銀粉は、解砕により原料の球状銀粒子と比較して粒度分布が小粒径化されているにもかかわらず、熱収縮開始温度が高温側にシフトして収縮率も低く、熱収縮挙動が改善されていることがわかる。したがって、本発明の微粒銀粉は主に電子回路基板の配線材料として使用される導電性ペースト用微粒銀粉として好適である。
本発明に係る微粒銀粉は、表面に吸着されている有機物が焼成時に分解してカーボンとなり、銀粒子間の拡散を防止すること、およびその形状が略球状もしくは略多面体状であるため銀粒子間の接触部分が減少することにより熱収縮開始温度が高温となり、また銀粒子を超高圧に加圧して対向衝突させて銀粒子の分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なうことにより得られるものであるから、収縮開始温度がさらに改善され、その上微細で粗粒を含まないため、ファインピッチ化が要求される電子回路基板用として特に好適である。さらに顔料、塗料、焼結助剤などとしての利用も可能である。
また、本発明に係る微粒銀粉の製造方法によれば、湿式分散装置を用いてスラリーを超高圧で対向衝突させることで、銀粒子の凝集を解砕するとともに、表面を凹凸にして略球状もしくは略多面体状とし、表面に有機物を吸着あるいは微粉自体を緻密化させることができることにより、高純度で熱収縮開始温度が高く、セラミック基板等の電子回路基板用として好適な微粒銀粉と導電性ペースト用分散液を効率よく低コストで製造することができ、その工業的価値は極めて大である。
本発明の実施例における原料の球状銀粒子を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で得られた微粒銀粉の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1〜2および比較例1〜3における微粒銀粉の熱収縮挙動を示す図である。

Claims (8)

  1. 表面に凹凸を有する略球状もしくは略多面体状の粒子であって、前記凹凸を有する表面に有機物が吸着するとともに該表面に銀中にカーボンが分散した複合層が形成されていることを特徴とする微粒銀粉。
  2. 銀粒子を超高圧に加圧して対向衝突させることにより、銀粒子の分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なうことにより得られることを特徴とする請求項1に記載の微粒銀粉。
  3. 平均粒径が0.1〜2μmで、最大粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒銀粉。
  4. 銀粒子表面への有機物吸着量は、カーボン量として0.2〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒銀粉。
  5. 熱収縮開始温度が800℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒銀粉。
  6. 湿式分散装置を用いた微粒銀粉の製造方法であって、銀粒子を有機溶媒中に分散させてスラリーを得るスラリー化工程、前記スラリーを100MPa以上の超高圧で対向衝突させてスラリー中の銀粒子の衝突により分散と銀粒子表面への有機物吸着を同時に行なう分散化工程からなることを特徴とする微粒銀粉の製造方法。
  7. 前記スラリーの衝突部への繰り返し導入回数が1〜15回であることを特徴とする請求項に記載の微粒銀粉の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒銀粉を有機溶剤中に分散させたことを特徴とする導電性ペースト用分散液。
JP2007229555A 2007-09-04 2007-09-04 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液 Expired - Fee Related JP5092630B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007229555A JP5092630B2 (ja) 2007-09-04 2007-09-04 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007229555A JP5092630B2 (ja) 2007-09-04 2007-09-04 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009062558A JP2009062558A (ja) 2009-03-26
JP5092630B2 true JP5092630B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=40557409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007229555A Expired - Fee Related JP5092630B2 (ja) 2007-09-04 2007-09-04 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5092630B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10941304B2 (en) 2016-04-04 2021-03-09 Nichia Corporation Metal powder sintering paste and method of producing the same, and method of producing conductive material

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5313526B2 (ja) * 2008-03-17 2013-10-09 京都エレックス株式会社 低温焼成多層基板用導電性ペースト
JP5467831B2 (ja) * 2009-09-24 2014-04-09 Dowaエレクトロニクス株式会社 銀粉の製造方法
JP5310967B1 (ja) * 2011-11-18 2013-10-09 住友金属鉱山株式会社 銀粉の製造方法
JP2013196997A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Toray Ind Inc 導電性組成物
JP5890387B2 (ja) * 2013-12-26 2016-03-22 Dowaエレクトロニクス株式会社 導電性ペースト用銀粉および導電性ペースト
JP6158461B1 (ja) 2015-12-25 2017-07-05 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 銀粉末および銀ペーストならびにその利用
JP6967845B2 (ja) 2016-09-27 2021-11-17 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 銀ペーストおよび電子素子

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4047312B2 (ja) * 2004-08-27 2008-02-13 三井金属鉱業株式会社 球状の銀粉、フレーク状の銀粉、球状の銀粉とフレーク状の銀粉との混合粉、及び、これら銀粉の製造方法、当該銀粉を含有する銀インク及び銀ペースト
JP4613362B2 (ja) * 2005-01-31 2011-01-19 Dowaエレクトロニクス株式会社 導電ペースト用金属粉および導電ペースト

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10941304B2 (en) 2016-04-04 2021-03-09 Nichia Corporation Metal powder sintering paste and method of producing the same, and method of producing conductive material
US11634596B2 (en) 2016-04-04 2023-04-25 Nichia Corporation Metal powder sintering paste and method of producing the same, and method of producing conductive material

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009062558A (ja) 2009-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5092630B2 (ja) 微粒銀粉およびその製造方法並びにその微粒銀粉を用いた導電性ペースト用分散液
JP5181434B2 (ja) 微小銅粉及びその製造方法
JP5937730B2 (ja) 銅粉の製造方法
JP7090511B2 (ja) 銀粉およびその製造方法
US20190009341A1 (en) Silver alloy powder and method for producing same
JP7272834B2 (ja) 銀粉およびその製造方法
EP3248713B1 (en) Electroconductive microparticles
JP7007890B2 (ja) 銅粉
JP2020050947A (ja) 易解砕性銅粉及びその製造方法
JP6060225B1 (ja) 銅粉及びその製造方法
CN113242774B (zh) 银浆
TWI755565B (zh) 銀粉及其製造方法
WO2020059291A1 (ja) 易解砕性銅粉及びその製造方法
JP4276031B2 (ja) チタン化合物被覆ニッケル粉末およびこれを用いた導電ペースト
JP5953003B2 (ja) セラミック多層回路基板用導電ペースト
WO2017115462A1 (ja) 銀合金粉末およびその製造方法
Park et al. Electrical properties of silver paste prepared from nanoparticles and lead-free frit
JP7136970B2 (ja) りんを含有する銀粉および該銀粉を含む導電性ペースト
CN113226595B (zh) 银浆
JP2015043429A (ja) セラミック多層回路基板用導電ペースト
TW202400515A (zh) 氧化矽粒子分散液

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5092630

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees