1…移動局装置、3…受信部、5…スケジュール部、7…チャネル復調部、9…データ処理部、11…制御信号処理部、15…チャネル測定部、17…符号化部、21…ランダムアクセス制御部、23…チャネル変調部、25…送信電力制御部、27…送信部、31…ハンドオーバー制御部、33…ハンドオーバー管理部、35…下り同期管理部、37…上位レイヤ、41…基地局装置、43…受信部、45…スケジュール部、47…データ処理部、51…制御信号処理部、53…チャネル測定部、55…符号化部、56…チャネル変調部、61…送信電力制御部、63…送信部、65…基地局ハンドオーバー制御部、67…基地局ハンドオーバー管理部、68…上位レイヤ。
図1は、本発明の一実施の形態による通信技術で使用する無線フレームの構成の一例を示す図である。図1では、横軸に時間軸をとっており、縦軸に周波数軸をとっている。無線フレームAは、周波数軸を複数のサブキャリアの集合で構成される一定の周波数領域(BR)と、一定の送信時間間隔(スロット)で構成される領域を一単位AR1として構成されている。
また、1スロットの整数倍(図では2倍)のスロットにより構成される送信時間間隔をサブフレームと呼ぶ。更に、複数のサブフレームをまとめたものをフレームと呼ぶ。図1では、1サブフレームが2スロットから構成される場合を示している。この一定の周波数領域(BR)と1スロット長とで区切られた領域を、リソースブロックと呼ぶ。図1中のBWはシステム帯域幅を示しており、BRはリソースブロックの帯域幅を示している。
次に、本発明の実施の形態で使用する物理チャネルとその役割について説明する。物理チャネルは、データチャネルと制御チャネルとに分けられる。制御チャネルには、同期チャネル、報知情報チャネル、ランダムアクセスチャネル、下りリファレンスシグナル、上りリファレンスシグナル、下り共用制御チャネル、上り共用制御チャネルがある。このうち、本発明に関わる物理チャネルについて以下に説明を加える。
同期チャネルは、移動局装置が基地局装置と無線同期を取るために基地局装置より既知の信号パターンで送信される下りチャネルである。同期チャネルには、タイミング同期のために使用するプライマリ同期チャネルと、フレーム同期とセル識別のために使用するセカンダリ同期チャネルと、が存在する。また、同期チャネルをSynchonization Signalと呼ぶ場合もあるが、意味は同じである。
報知情報チャネルは、特定の移動局装置向けではなく、あるエリア内に位置する移動局装置が共通して使用する情報(報知情報)を送信するための下りチャネルである。移動局装置は報知情報チャネルによって基地局装置の情報などを取得する。
ランダムアクセスチャネルは、移動局装置が使用する上りリソースがスケジューリングされていない場合の、上り送信を行うために使用される上りチャネルである。ランダムアクセスチャネルは、基地局装置が移動局装置を識別するために使用されるシグネチャから構成されるプリアンブルと呼ばれる信号から成る。
下りリファレンスシグナル(Downlink Reference Signal)は、移動局装置が下り受信品質を測定するための下り信号である。移動局装置は、下り受信品質としてEUTRA Carrier RSSI(Received Signal Strength Indicator)とRSRP(Reference Signal Received Power)、品質情報指標(Channel Quality indicator、CQI)を測定する。RSSIとRSRPは測定報告メッセージとして、上りデータチャネルで送信される。また、CQIは上り共用制御チャネルを用いて基地局装置へ送信される。基地局装置は移動局装置から通知されたCQIに基づいて、移動局装置に対する下りのスケジューリングを行う。
上りリファレンスシグナル(Uplink Reference Signal)は、基地局装置が上り受信品質を測定するためのチャネルである。基地局装置は、上り受信品質に基づいて上りのスケジューリングを行う。上りリファレンスシグナルは、上りデータチャネルの振幅、位相や周波数の変動量を計算し、上りデータチャネルを利用して送信された信号を復調するための参照信号としても使用される。
下り共用制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局装置から移動局装置へ送信される下りチャネルである。基地局装置は、送信タイミング情報やスケジュール情報(上り、および下りリソース割当情報)、送信電力制御情報を移動局装置に通知するために、下り共用制御チャネルを用いる。
上り共用制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、移動局装置から基地局装置への信号の送信に利用される上りチャネルである。移動局装置は、品質情報指標(CQIなど)、HARQ(Hybrid Auto Repeat Request:ハイブリッドARQ)、ACK/NACK(Acknowledge/Not Acknowledge)、上りリソース要求などの情報を基地局装置に通知するために、上り共用制御チャネルを用いる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態による移動局装置の一構成例を示す機能ブロック図である。本実施の形態による移動局装置1は、受信部3、スケジュール部5、チャネル復調部7、データ処理部9、制御信号処理部11、チャネル測定部15、符号化部17、ランダムアクセス制御部21、チャネル変調部23、送信電力制御部25、送信部27、ハンドオーバー制御部31、ハンドオーバー管理部33、下り同期管理部35、上位レイヤ37、から構成される。
受信信号(基地局装置からの送信信号)は、受信部3において受信される。受信信号はチャネル復調部7へと送られ、スケジュール部5より入力されるスケジューリング情報を基に復調され、データチャネル、制御チャネルに分類される。分類された各チャネルは、データチャネルであればデータ処理部9へ、制御チャネルであれば制御信号処理部11へ送信される。また、制御チャネルのうち下りリファレンスシグナルはチャネル測定部15へと送信される。データ処理部9は、ユーザデータを取り出して上位レイヤへと送信する。
制御信号処理部11は、制御データを取り出して上位レイヤへと送信する。また、制御チャネルに含まれるスケジューリング情報はスケジュール部5へと送信される。チャネル測定部15では、下りリファレンスシグナルの受信品質を測定し、測定データとして上位レイヤ37へ送信する。また、前記各チャネルより下り同期のためのデータが下り同期管理部35へ入力される。下り同期のためのデータとは、下りの受信電力や受信品質、ブロック誤り率などが使用される。下り同期管理部35では、前記下り同期のためのデータから、移動局装置の下り同期状態を判断し、判断結果を同期データとして上位レイヤ37へと送信する。
上位レイヤ37は、上り物理チャネル及び下り物理チャネルに関する送受信のタイミングや多重方法、変調または復調情報が含まれるスケジューリング情報をスケジュール部5に対して出力する。
一方、上位レイヤ37からはユーザデータと制御データとが符号化部17に対して出力され、送信データとして符号化される。制御データは上りリファレンスシグナルと上り共用制御チャネルのデータとを含む。また、ランダムアクセスチャネルの送信時は、ランダムアクセス制御部21に必要なランダムアクセス情報が入力され、シグネチャの選択が行われた後に符号化部17で符号化される。符号化部17において符号化された各送信データは、チャネル変調部23に入力される。また、基地局装置からハンドオーバー指示が通知されたとき、上位レイヤ37よりハンドオーバー情報がハンドオーバー制御部31とハンドオーバー管理部33に対して出力される。ハンドオーバー情報とは、ハンドオーバー指示メッセージに含まれるターゲットセル情報、ハンドオーバー実行時間、上りリソース割当情報などである。ハンドオーバー管理部33にはハンドオーバーの実行時間や上りリソース割当時間などタイミングに関する情報が入力され、それ以外の情報はハンドオーバー制御部31へ入力される。また、ターゲットセルへの下り同期確立が完了したときに、当該時間情報は下り同期時間情報としてハンドオーバー管理部33へ入力される。ハンドオーバー管理部33は、入力された時間情報(ハンドオーバー実行時間、ハンドオーバーの最大許容時間、下り同期時間情報、上りリソース割当時間)を管理し、それぞれの時間情報の対応関係に従ってハンドオーバー制御部31に対して後述する適切なハンドオーバー手順を行うよう制御する。ハンドオーバー制御部31は、ハンドオーバー管理部33からの指示に従い、指示されたハンドオーバー手順に必要なハンドオーバー制御情報を適切なブロック(符号化部17、ランダムアクセス制御部21、スケジュール部5)へと出力する。チャネル変調部23は、スケジュール部5より入力される各送信データに対応した適切な変調方式に従って変調処理を行い、物理チャネルへのマッピングを行う。送信電力制御部25は、スケジュール部5の指示に従って各物理チャネルに適切な電力制御を行う。チャネル変調部23で変調されたデータは送信部27に入力され、送信電力制御部25から電力制御されて送信される。尚、その他の移動局装置の構成要素は、本発明における特徴部分ではないためその説明を省略する。また、各ブロックの動作は、以下に説明する手順を実行するよう上位レイヤ37によって統括的に制御される。
図3は、本実施の形態による通信技術における基地局装置の構成の一例を示すブロック図である。基地局装置41は、受信部43、スケジュール部45、データ処理部47、制御信号処理部51、チャネル測定部53、符号化部55、チャネル変調部56、チャネル復調部57、送信電力制御部61、送信部63、基地局ハンドオーバー制御部65、基地局ハンドオーバー管理部67、上位レイヤ68,から構成される。
受信信号(移動局装置及び基地局装置からの送信信号)は、受信部43において受信される。受信信号はチャネル復調部57へと送られ、スケジュール部45より入力されるスケジューリング情報を基に、データチャネル、制御チャネルに分類される。分類された各チャネルは、データチャネルであればデータ処理部47へ、制御チャネルであれば制御信号処理部51へと送信される。また、制御チャネルのうち上りリファレンスシグナルはチャネル測定部53へと送信される。データ処理部47では、ユーザデータの復号化処理を行い上位レイヤ68へ送信する。制御信号処理部51では、制御データを取り出して上位レイヤ68へと送信する。また、チャネル復調部57とデータ処理部47とに関連する制御データは各ブロックへ送信される。チャネル測定部53は、上りリファレンスシグナルから上り受信品質を測定し、測定データとして上位レイヤへ送信する。また、上りリファレンスシグナルがチャネル復調用の参照データとして使用される場合、上りリファレンスシグナルより上り信号の位相や振幅の補正情報を生成し、チャネル復調部57にフィードバックする。上位レイヤ68は、複数の移動局装置のデータ多重方法やリソース割り当て方法などを決定し、これらをスケジューリング情報としてスケジュール部45に対して出力する。
一方、上位レイヤ68からの送信要求を契機として、ユーザデータと制御データが符号化部55に対して出力される。制御データは同期チャネルや報知情報チャネル、下りリファレンスシグナル、下り共用制御チャネルを含む。符号化部55において符号化されたユーザデータと制御データとは、チャネル変調部56に対して出力される。また、移動局装置へハンドオーバー指示を送信する場合、上位レイヤ68よりハンドオーバー制御情報が基地局ハンドオーバー制御部65および基地局ハンドオーバー管理部67に対して出力される。ハンドオーバー制御情報とは、ターゲットセル情報、ハンドオーバー実行時間、上りリソース割当情報などである。基地局ハンドオーバー管理部67には、ハンドオーバー実行時間や上りリソース割当時間などタイミングに関する情報が、それ以外の情報は基地局ハンドオーバー制御部65に対して出力される。これらの情報はソースセルとターゲットセルとで共通である。基地局ハンドオーバー管理部67は、ハンドオーバー実行時間、上りリソース時間情報などのタイミング情報から、同期ハンドオーバーが可能か否かを決定する。また、移動局装置のハンドオーバー手順に応じて、基地局ハンドオーバー制御部65を制御する。基地局ハンドオーバー制御部65は、基地局ハンドオーバー管理部67に従い、移動局装置に必要な情報(上り同期情報、上りリソース割当情報)を符号化部55に対して出力し、スケジュール部45に対してはスケジューリング情報を出力する。チャネル変調部56は、スケジュール部45から送信されるスケジューリング情報に従って、送信する移動局装置を決定し、前記移動局装置に対応する各送信データを適切な変調方式で変調処理を行い、物理チャネルへのマッピングを行う。送信電力制御部61は、スケジュール部45の指示に従って各物理チャネルに適切な電力制御を行う。チャネル変調部56で変調されたデータは送信部63に対して出力され、送信電力制御部61から電力制御されて送信される。なお、その他の基地局装置の構成要素は特徴部分でないため説明を省略してある。また、各ブロックの動作は、以下に説明する手順を実行するよう上位レイヤ68によって統括的に制御される。
図4は、本発明の第1の実施の形態における、移動局装置の同期ハンドオーバー手順の処理の流れを示すフローチャート図である。ステップS1において、ハンドオーバー手順を開始し、移動局装置は、ハンドオーバー指示メッセージを受信したときに、当該メッセージよりハンドオーバー情報を取得する。ハンドオーバー情報とは、同期ハンドオーバーか否かの情報、ハンドオーバー実行時間、ターゲットセル情報、ハンドオーバー保護時間、上りリソース割当情報を含む情報である。ハンドオーバー保護時間とは、ターゲットセルに同期するまでの最大許容時間であり、ハンドオーバー保護時間が満了した場合、移動局装置はハンドオーバーが失敗したと判断する。上りリソース割当情報とは、同期ハンドオーバー後に移動局装置がターゲットセルへ上り送信を行うために必要なリソース情報である。また、ハンドオーバー実行時間と上りリソース割当情報で指定された送信時間との時間差を下り同期確立見込時間と称する。下り同期確立見込時間とは、移動局装置がターゲットセルに同期するのに必要な予測時間であり、移動局装置の移動局能力やハンドオーバー時の下り受信品質、移動速度などを考慮することで適応的に決定されても良いし、事前に定義されていても良い。また、ハンドオーバー保護時間≧下り同期確立見込時間である。図4に戻り、ステップS2において、前記ハンドオーバー情報から同期ハンドオーバーか否かの判断を行う。移動局装置は、同期ハンドオーバーでなければ(ステップS2でNo)、ハンドオーバー完了後にランダムアクセス送信を伴う通常のハンドオーバー手順を実行するが(ステップS3)、その詳細は一般的なものであるため説明を省略する。同期ハンドオーバーであった場合には(ステップS2でYes)、ハンドオーバー実行時間であるか否かを判定する(ステップS4)。
ここで、ハンドオーバー実行時間が指定されている場合には、ハンドオーバー実行時間に至るまではソースセルにおける受信処理を継続する(ステップS4でNo)。尚、即時実行が指定されたときは、ハンドオーバー指示メッセージの受信時刻をハンドオーバー実行時間とみなす。ハンドオーバー実行時間になった場合(ステップS4でYes)、移動局装置は、ハンドオーバー情報に従ってセル切り替え制御を行い、ソースセルへの送受信を停止し、続いてターゲットセルに対して下り同期確立処理を開始する(ステップS5)。このとき、下り同期確立されたか否かについては、所定の間隔(例えば1サブフレーム毎)で確認する。下り同期確立が未確立の場合で(ステップS6でNo)、事前に規定されたハンドオーバー保護時間が満了した場合、ハンドオーバー失敗と判断し(ステップS7でYes)、ハンドオーバー処理を終了する(ステップS11)。満了していない場合は、下り同期確立処理を継続する。下り同期確立が成功した場合(ステップS6でYes)、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が成功したかを判定し(ステップS8)、下り同期確立見込時間以内であれば(ステップS8でYes)、ターゲットセルに対して上り同期確立が不要と判断し、ランダムアクセスが不要な同期ハンドオーバー処理を行う(ステップS9)。一方、下り同期確立見込時間を越えていた場合(ステップS8でNo)、ターゲットセルに対して上り同期確立が必要と判断し、ランダムアクセス送信によって上り送信タイミングの調整が必要なコンテンションベースのハンドオーバー処理を行う(ステップS10)。いずれの場合も処理を終了する(ステップS11)。
図5および図6は、第1の実施の形態による通信装置におけるハンドオーバー手順を示したシーケンス図であり、下り同期確立に至るまでの経過時間によって、同期ハンドオーバーを行う場合(図5)と、通常のハンドオーバーを行う場合(図6)との処理の流れを示したシーケンス図である。いずれも、ソースセルとターゲットセルとがセル間同期の場合で、移動局装置がソースセルと通信を行っている状態から開始し、ターゲットセルへハンドオーバーする制御を示している。
図5の同期ハンドオーバー処理について以下に説明する。移動局装置1は、ソースセル71に対して少なくともソースセル71とターゲットセル73の受信品質の測定結果、あるいはハンドオーバー実施要求を含んだ測定報告メッセージ77を通知している。ソースセル71とターゲットセル73との間においてセル間同期75が行われている。
ソースセル71は、前記測定報告メッセージ77の内容からターゲットセルへのハンドオーバーが必要であると判断したとき、ソースセル71からターゲットセル73へハンドオーバー要求メッセージ79によって移動局装置1のハンドオーバーの必要性を通知し、ハンドオーバーのための準備を要求する。前記ハンドオーバー要求メッセージ79を受信したターゲットセル73は、ハンドオーバーが実行可能と判断した場合、ハンドオーバー要求許可メッセージ81をソースセル71に通知する。ハンドオーバー要求許可メッセージ81を受信したソースセル71は、移動局装置1に対し、下りリソース割当メッセージ83と共に、同期ハンドオーバー指示メッセージ85を通知する。同期ハンドオーバーか否かの判断は、ソースセル71とターゲットセル73とのどちらが判断しても良い。同期ハンドオーバー指示メッセージ85には、ハンドオーバー完了メッセージのための上りリソース割当情報が含まれている。
移動局装置1が前記メッセージを受信することで同期ハンドオーバー処理が実施される。なお、同期ハンドオーバー指示メッセージ85にハンドオーバー実行時間が含まれている場合、移動局装置1は、ハンドオーバー実行時間87に至った後にハンドオーバーを実行する。ハンドオーバー実行時間87として、即時実行が指定される場合もある。
移動局装置1は、ハンドオーバー実行時間87において無線周波数や送受信回路の制御パラメータの切り替えを行い、その後にターゲットセルとの下り無線同期を確立するための下り同期確立処理を行う(89)。下り同期確立処理のためのパラメータは、先の同期ハンドオーバー指示メッセージ85に含まれるか、事前にソースセル71より報知または通知される。下り同期確立が完了した移動局装置1は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間だけ経過した時間(すなわち、上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー後の上り送信時間(93))とを比較し、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していた場合(91)、同期ハンドオーバー指示メッセージ85に含まれていた上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ97をターゲットセルへ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
図6の通常のハンドオーバーを伴う同期ハンドオーバー処理について以下に説明する。なお、図5と同一の制御については同じ符号を用いる。下りリソース割当メッセージ83を受信するまでは図5と同様の処理となる。移動局装置1は、同期ハンドオーバー指示メッセージ107を受信し、ターゲットセルに対して下り同期確立処理を開始する。下り同期確立が完了した移動局装置1は、下り同期確立が完了した時間(91)と、ハンドオーバー実行時間87から下り同期確立見込時間97だけ経過した時間(すなわち、上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー後の上り送信時間(93))とを比較し、下り同期確立見込時間95を過ぎて下り同期確立が完了していた場合(91)、同期ハンドオーバー指示メッセージ107に含まれていた上りリソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージ93の送信のため、ランダムアクセスチャネル119を用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセル73に要求する必要がある。このとき、ランダムアクセスに使用するシグネチャはランダムに選択される。ランダムアクセスチャネル119を受信したターゲットセル73は、当該移動局装置1の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する(121)。移動局装置1は、前記情報を基に上り送信タイミングを調整し、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ97をターゲットセル73へ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
尚、図5および図6は、同期ハンドオーバー指示メッセージにハンドオーバー完了メッセージ送信ための上りリソース割当情報が含まれている場合のシーケンス例を示す図であるが、上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。また、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合、または下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合であっても、下り同期確立の完了に要した時間と下り同期確立見込時間とを比較し、同期ハンドオーバーを行うか否かの判断を行うという主旨は変わらない。また、各メッセージ、または制御信号の再送が発生した場合であって本発明は適用可能である。
上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合を以下に示す。
下り同期確立処理が完了した移動局装置1は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間だけ経過した時間(すなわち、上り制御信号リソース割当情報で指定された上り制御信号のリソース割当時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していた場合に、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた上り制御信号リソース割当情報が指定した上りリソースを用いて割り当て時間において上り制御信号を送信し、上り制御信号を受信したターゲットセルは、ハンドオーバー完了メッセージのための上りリソース割当情報を通知する。そして、移動局装置1は、前記上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージを送信し、同期ハンドオーバーを完了する。一方、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していなかった場合、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた上り制御信号リソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージの送信のため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。このとき、ランダムアクセスチャネルに使用するシグネチャはランダムに選択するか、または事前に指定されている場合は、指定されたシグネチャを用いる。ランダムアクセスチャネルを受信したターゲットセルは、当該移動局装置1の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する。移動局装置1は、前記情報を基に上り送信タイミングを調整し、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージをターゲットセルへ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
次に、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合を以下に示す。
下り同期確立処理が完了した移動局装置1は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間だけ経過した時間(すなわち、下り制御信号リソース割当情報で指定された下り制御信号のリソース割当時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していた場合に、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた下り制御信号リソース割当情報に基づき、指定された下り制御信号リソース割当時間においてターゲットセルより送信される下り制御信号を受信する。前記下り制御信号には、ハンドオーバー完了メッセージを送信するための上りリソース割当情報が含まれている。そして、移動局装置1は、前記上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージを送信し、同期ハンドオーバーを完了する。一方、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していなかった場合、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた下り制御信号リソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージの送信のため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。このとき、ランダムアクセスチャネルに使用するシグネチャはランダムに選択するか、または事前に指定されている場合は、指定されたシグネチャを用いる。ランダムアクセスチャネルを受信したターゲットセルは、当該移動局装置1の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する。移動局装置1は、前記情報を基に上り送信タイミングを調整し、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージをターゲットセルへ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
また、ソースセル71の基地局装置は、ハンドオーバー指示メッセージを用いて移動局装置1にシグネチャを事前に割り当てることによって、移動局装置1が送信するプリアンブルを指定し、下り同期確立完了後のランダムアクセス送信をコンテンションフリーにすることも可能である。これに関して図7に例を示す。
図7は、ターゲットセルへの下り同期確立の完了時間が、下り同期確立見込時間以内でない場合の処理が図4と異なるので、それまでの処理(ステップS21〜S29)について説明を省略し、以下にそれ以降の処理について説明する。移動局装置は、ランダムアクセス送信に用いられるシグネチャが事前に割り当てられているかを確認し(ステップS30)、割り当てがされている場合(ステップS30でYes)、前記割り当てられたシグネチャを用いたコンテンションフリーなランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する(ステップS32)。一方、割り当てがされていない場合(ステップS30でNo)、ランダムに選択されたシグネチャを用いたランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する(ステップS31)。いずれの場合も、その後の処理を終了する(ステップS33)。
図8は、本実施の形態における、基地局装置が同期ハンドオーバーか否かを判断するための処理の流れを示すフローチャート図である。基地局装置は、同期ハンドオーバーを実施する場合、リソースの空き状況や通信品質、下り同期確立見込時間を考慮してハンドオーバー後に移動局装置が上り送信を行うための上りリソース割当時間を決定する(ステップS41)。また、移動局装置が間欠受信を行っている場合は、ハンドオーバー指示メッセージを受信可能なタイミングが制限されるため、上りリソース割当時間は間欠受信間隔も同時に考慮して決定する(ステップS42)。尚、移動局装置が間欠受信を行っていない場合は間欠受信間隔を考慮しなくて良い。前記ステップS42で決定された上りリソース割当時間が、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも長い場合(ステップS43でNo)、同期ハンドオーバーではなく、通常のハンドオーバーを移動局装置に対して指示する(ステップS45)。一方、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも短い場合(ステップS43でYes)、同期ハンドオーバーを移動局装置に対して指示する(ステップS44)。そして、いずれの場合も、ハンドオーバー手順決定処理を終了する(ステップS46)。
本実施の形態により、下り同期確立見込時間を経過した後でもハンドオーバー手順を実行することが可能となり、移動局装置に対して柔軟なハンドオーバー手順を提供することが可能となる。また、移動局装置にとっては、同期ハンドオーバー手順による高速ハンドオーバーが実施可能という利点を有する。また、ハンドオーバー手順を切り替えることによって同期ハンドオーバーが出来ない場合でもハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。さらに、ハンドオーバーの失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となる。また、ハンドオーバーの失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。また、基地局装置にとっては、上りリソース割当の時間を移動局装置の下り同期確立までの最大許容時間と無関係に設定することが可能となり、移動局装置に応じた適応的なスケジューリングを実行することが可能となり、リソースの利用効率が向上するという利点がある。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態による通信技術について図面を参照しながら以下に説明を行う。本実施の形態による通信技術の特徴は、下り同期確立までの時間以外に、上り同期の有効時間を考慮する点である。
図9は、本発明の第2の実施の形態による通信技術に係る移動局装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。図9に示す移動局装置10は、図2と同じ構成を有しているが、ハンドオーバー管理部133へ上り同期タイマ情報L1が入力される点のみが異なっている。上り同期タイマ情報L1とは、基地局装置より移動局装置の上り送信タイミングのずれを調整するために通知される上り同期情報を基にした、移動局装置の上り送信タイミングが維持されている有効時間を示す時間情報(上り同期維持時間)である。上り同期維持時間は上り同期タイマ情報を基に決定され、上り同期維持時間が終了した時点で上り同期外れとなる。ハンドオーバー管理部133は、入力された時間情報(ハンドオーバー実行時間、ハンドオーバーの最大許容時間、下り同期時間情報、上りリソース割当時間、上り同期タイマ情報)を管理し、それぞれの時間情報の対応関係に従ってハンドオーバー制御部31に対して後述する適切なハンドオーバー手順を行うよう制御する。
図10は、本発明の第2の実施の形態による通信技術に係る基地局装置41aの構成の一例を示すブロック図である。基地局ハンドオーバー管理部33aに、上位レイヤ68から移動局上り同期タイマ情報L1aが入力される以外は図3と同じため、その他の構成ブロックについては図3と同じ符号を用いてその説明を省略する。移動局上り同期タイマ情報L1aとは、ハンドオーバー指示を行う移動局装置に対して上り同期情報を送信した時間情報、または上り同期外れと判断するまでの残り時間を示した時間情報である。基地局ハンドオーバー管理部33aは、ハンドオーバー実行時間、上りリソース時間情報などのタイミング情報に加え、移動局上り同期タイマ情報を用いて同期ハンドオーバーが可能か否かを決定する。また、移動局装置のハンドオーバー手順に応じて、基地局ハンドオーバー制御部31aを制御する。
図11は、本発明の第2の実施の形態における、移動局装置の同期ハンドオーバー手順の流れを示すフローチャート図である。移動局装置は、ハンドオーバー指示メッセージを受信したときに、当該メッセージよりハンドオーバー情報を取得する。ハンドオーバー情報の内容は、第1の実施の形態において説明した情報と同じである。図11に戻り、前記のハンドオーバー情報から同期ハンドオーバーか否かの判断を行う(ステップS52)。移動局装置は、同期ハンドオーバーでなければ(ステップS52でNo)、ハンドオーバー完了後にランダムアクセスを伴う通常のハンドオーバー処理を実行する(ステップS53)。一方、同期ハンドオーバーであった場合で(ステップS52でYes)、ハンドオーバー実行時間が指定されている場合、ハンドオーバー実行時間に至るまではソースセルにおける受信処理を継続する(ステップS54でNo)。なお、即時実行が指定されたときは、ハンドオーバー指示メッセージの受信時刻をハンドオーバー実行時間とみなす。ハンドオーバー実行時間になった場合(ステップS54でYes)、移動局装置は、ハンドオーバー情報に従ってセル切り替え制御を行い、ソースセルへの送受信を停止し、続いてターゲットセルに対して下り同期確立処理を開始する(ステップS55)。このとき、下り同期確立について所定の間隔(例えば1サブフレーム毎)で確認する。下り同期確立が未確立の場合で(ステップS56でNo)、事前に規定されたハンドオーバー保護時間が満了した場合、ハンドオーバー失敗と判断し(ステップS57でYes)、ハンドオーバー処理を終了する(ステップS62)。満了していない場合は、下り同期確立処理を継続する(ステップS57でNo)。下り同期確立が成功した場合(ステップS56でYes)、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が成功したかを判定し(ステップS58)、下り同期確立見込時間以内であれば(ステップS58でYes)、続いて上り同期維持時間以内に下り同期確立が成功したか否かを判定する(ステップS59)。上り同期維持時間以内であれば(ステップS59でYes)、ターゲットセルに対して上り同期確立が不要と判断し、ランダムアクセスが不要な同期ハンドオーバー処理を行う(ステップS60)。
一方、下り同期確立見込時間、または上り同期維持時間を越えていた場合(ステップS58、S59のいずれかがNo)、ターゲットセルに対して上り同期確立が必要と判断し、ランダムアクセス送信によって上り送信タイミングの調整が必要なコンテンションベースのハンドオーバー処理を行う(ステップS61)。
図12および図13は、本実施の形態によるハンドオーバー処理の手順を示すシーケンス図であり、下り同期確立に至るまでの経過時間によって、同期ハンドオーバーを行う場合(図12)と、通常のハンドオーバーを行う場合(図13)とを示した図である。いずれも、ソースセルとターゲットセルとがセル間同期の場合で、移動局装置がソースセルと通信を行っている状態から処理を開始し、ターゲットセルへハンドオーバーする制御を示している。
図12を参照しながら以下に説明する。ソースセル71とターゲットセル73との間においてセル間同期125が行なわれている。移動局装置10はソースセル71に対して少なくともソースセル71とターゲットセル73との受信品質の測定結果、あるいは、ハンドオーバー実施要求を含んだ測定報告メッセージ127を通知している。ソースセル71は、前記測定報告メッセージ127の内容からターゲットセル73へのハンドオーバーが必要であると判断したとき、ソースセル71からターゲットセル73へハンドオーバー要求メッセージ129によって移動局装置10のハンドオーバーの必要性を通知し、ハンドオーバーのための準備を要求する。このハンドオーバー要求メッセージ129を受信したターゲットセル73は、ハンドオーバーが実行可能と判断した場合に、ハンドオーバー要求許可メッセージ131をソースセル71に対して通知する。ハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信したソースセル71は、移動局装置10に対し、下りリソース割当メッセージ135と共に、同期ハンドオーバー指示メッセージ137を通知する。同期ハンドオーバーか否かの判断はソースセル71とターゲットセル73のどちらが判断しても良い。同期ハンドオーバー指示メッセージ137には、ハンドオーバー完了メッセージのための上りリソース割当情報が含まれている。移動局装置10が前記メッセージを受信することで同期ハンドオーバー処理が実施される。尚、同期ハンドオーバー指示メッセージ137にハンドオーバー実行時間が含まれている場合は、移動局装置10は、ハンドオーバー実行時間139に至った後にハンドオーバーを実行する。ハンドオーバー実行時間として、即時実行が指定される場合もありえる。移動局装置10は、ハンドオーバー実行時間において無線周波数や送受信回路の制御パラメータの切り替えを行い、その後にターゲットセル73との下り無線同期を確立するための下り同期確立処理を行う(145)。下り同期確立処理のためのパラメータは、先の同期ハンドオーバー指示メッセージ137に含まれるか、事前にソースセル71より報知または通知される。さらに、ハンドオーバー手順と平行して、移動局装置の上り送信タイミングのずれを調整する上り同期情報133がソースセル71より通知されたとき、移動局装置10は、上り同期確立が保証される区間である上り同期維持時間141を計算し、計時を行う。
下り同期確立が完了した(147)移動局装置は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間143だけ経過した時間(すなわち、上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー後の上り送信時間)、および最後に上り同期情報を受信してから上り同期維持時間141だけ経過した時間(すなわち、上り同期外れとみなされる時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内かつ上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していた場合、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ151をターゲットセル73へ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。上り同期維持時間141は、上り同期情報133の送信タイミングから上り同期維持時間141が満了するタイミング148までである。下り同期確立見込み時間143は、ハンドオーバー実行時間139から上りリソース割当時間153までの時間である。
図13について以下に説明する。なお、図12と同一の制御については同じ符号を用いる。同期ハンドオーバー指示メッセージ137を受信し、ターゲットセル73に対して下り同期確立処理145を開始するまでは図12と同じである。下り同期確立が完了した移動局装置10は、下り同期確立が完了した時間147と、ハンドオーバー実行時間139から下り同期確立見込時間143だけ経過した時間(すなわち、上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー後の上り送信時間)、および最後に上り同期情報133を受信してから上り同期維持時間141だけ経過した時間(すなわち、上り同期外れとみなされる時間)とを比較する。
下り同期確立見込時間143を過ぎて下り同期確立が完了(147)していた場合、同期ハンドオーバー指示メッセージ137に含まれていた上りリソース割当情報を使用することができない。
同様に、上り同期維持時間141を過ぎて下り同期確立が完了(147)していた場合、上り同期外れとなっているため、上りリソース割当情報を使用することは出来ない。そのため、図13に示すように、下り同期確立見込時間143、または上り同期維持時間141の少なくとも一方の時間を過ぎて下り同期確立が完了(147)していた場合は、ランダムアクセスチャネル169を用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。
このとき、ランダムアクセスに使用するシグネチャはランダムに選択される。ランダムアクセスチャネルを受信したターゲットセル73の基地局装置は、移動局装置10の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を下り制御チャネル170に含めて移動局装置10に通知する。移動局装置10は、前記情報を基に上り送信タイミングの調整、および、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ151をターゲットセル73へ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
なお、図12および図13は、同期ハンドオーバー指示メッセージにハンドオーバー完了メッセージ送信ための上りリソース割当情報が含まれている場合の例を示しているが、上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。また、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合、または下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合であっても、下り同期確立の完了に要した時間と、上り同期維持時間および下り同期確立見込時間とを比較し、同期ハンドオーバーを行うか否かの判断を行うという主旨は変わらない。また、各メッセージ、または制御信号の再送が発生した場合であって本発明は適用可能である。また、上り同期情報が通知されるタイミングは、ハンドオーバー実行時間以前であればどのタイミングでもよく、また、上り同期維持時間の満了時間(上り同期外れとなる時間)は最後に上り同期情報を受信してから所定の時間(例えば500ms)が経過した時点とし、図12、図13と異なっていても良い。上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合を以下に示す。
下り同期確立処理が完了した移動局装置10は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間だけ経過した時間(すなわち、上り制御信号リソース割当情報で指定された上り制御信号のリソース割当時間)、および最後に上り同期情報を受信してから上り同期維持時間だけ経過した時間(すなわち、上り同期外れとみなされる時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内かつ上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していた場合に、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた上り制御信号リソース割当情報が指定した上りリソースを用いて割り当て時間において上り制御信号を送信し、上り制御信号を受信したターゲットセルは、ハンドオーバー完了メッセージのための上りリソース割当情報を通知する。そして、移動局装置10は、前記上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージを送信し、同期ハンドオーバーを完了する。一方、下り同期確立見込時間、または、上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していなかった場合、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた上り制御信号リソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージの送信のため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。このとき、ランダムアクセスチャネルに使用するシグネチャはランダムに選択するか、または事前に指定されている場合は、指定されたシグネチャを用いる。ランダムアクセスチャネルを受信したターゲットセルは、当該移動局装置10の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する。移動局装置10は、前記情報を基に上り送信タイミングを調整し、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージをターゲットセルへ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
次に、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合を以下に示す。
下り同期確立処理が完了した移動局装置10は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間だけ経過した時間(すなわち、下り制御信号リソース割当情報で指定された下り制御信号のリソース割当時間)、および最後に上り同期情報を受信してから上り同期維持時間だけ経過した時間(すなわち、上り同期外れとみなされる時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内かつ上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していた場合に、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた下り制御信号リソース割当情報に基づき、指定された下り制御信号リソース割当時間においてターゲットセルより送信される下り制御信号を受信する。前記下り制御信号には、ハンドオーバー完了メッセージを送信するための上りリソース割当情報が含まれている。そして、移動局装置10は、前記上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージを送信し、同期ハンドオーバーを完了する。一方、下り同期確立見込時間、または、上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していなかった場合、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていた下り制御信号リソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージの送信のため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報と上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。このとき、ランダムアクセスチャネルに使用するシグネチャはランダムに選択するか、または事前に指定されている場合は、指定されたシグネチャを用いる。ランダムアクセスチャネルを受信したターゲットセルは、当該移動局装置10の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する。移動局装置10は、前記情報を基に上り送信タイミングを調整し、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージをターゲットセルへ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
また、ソースセル71の基地局装置は、ハンドオーバー指示メッセージを用いて移動局装置10にシグネチャを事前に割り当てることによって、移動局装置10が下り同期確立完了後のランダムアクセス送信をコンテンションフリーにすることも可能である。この処理について図14を参照しながら説明を行う。図14は、ターゲットセルへの下り同期確立の完了時間が、下り同期確立見込時間以内でない場合、および上り同期維持時間以内でない場合の処理が図11に示す処理とは異なる。すなわち、ステップS77までは図11のステップS57までの処理と同じである。移動局装置は、下り同期確立が成功した場合(ステップS76でYes)、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が成功したかを判定し(ステップS78)、下り同期確立見込時間以内であれば(ステップS78でYes)、続いて上り同期維持時間以内に下り同期確立が成功したか否かを判定する(ステップS79)。上り同期維持時間以内であれば(ステップS79でYes)、ターゲットセルに対して上り同期確立が不要と判断し、ランダムアクセスが不要な同期ハンドオーバー処理を行う(ステップS80)。ステップS78及びステップS79において、いずれかがNoの場合に、移動局装置は、ステップS81において、ランダムアクセス送信に用いられるシグネチャが事前に割り当てられているか否かを確認し、割り当てがなされている場合には(ステップS81でYes)、ステップS83において割り当てられたシグネチャを用いたコンテンションフリーなランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する。一方、割り当てがされていない場合(ステップS81でNo)、ランダムに選択されたシグネチャを用いたコンテンションベースのランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する。
図15は、本実施の形態による基地局装置が同期ハンドオーバーか否かを判断するための処理の流れを示すフローチャート図である。まず、ステップS91において、ハンドオーバー手順の決定処理を開始し、ステップS92において、上りリソース割当時間を確認し、間欠受信間隔を確認し、上り同期維持時間を確認する。すなわち、基地局装置は、同期ハンドオーバーを実施する場合に、リソースの空き状況や通信品質、下り同期確立見込時間を考慮してハンドオーバー後に移動局装置が上り送信を行うための上りリソース割当時間を決定する。また、移動局装置が間欠受信を行っている場合は、ハンドオーバー指示メッセージを受信可能なタイミングが制限されるため、上りリソース割当時間は間欠受信間隔も同時に考慮して決定する。尚、移動局装置が間欠受信を行っていない場合は特に考慮しなくて良い。さらに、上りリソース割当時間が上り同期維持時間以内であるか否かを考慮する。前記ステップS92で決定された上りリソース割当時間が、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも長いか否かを判定し(ステップS93)、長い場合には同期ハンドオーバーが可能でないため(ステップS93においてNo)同期ハンドオーバーではなく、通常のハンドオーバーを移動局装置に対して指示する(ステップS95)。
一方、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも短い場合は(ステップS93でYes)、同期ハンドオーバーを移動局装置に対して指示する(ステップS94)。次いで、ステップS96において、いずれの場合もハンドオーバー手順決定処理を終了する。
また、例えば間欠受信中に同期ハンドオーバーを行う場合など、ハンドオーバー完了後の上りリソース割当時間となるまでに、移動局装置の上り同期が外れてしまうと予測される場合、ソースセルは移動局装置に対して上り再同期要求処理を実施し、当該移動局装置に対して上り再同期のための上り同期情報を生成することも可能である。上り再同期要求処理のために基地局装置で測定する上りチャネルは、任意の上りチャネルでよい。また、上り同期情報は下りリソース割当メッセージ、または同期ハンドオーバー指示メッセージに含めて送信しても良い。
このときのシーケンスを図16に示す。なお、図12と同一の制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。ハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信したターゲットセルは、移動局装置10に対し、上りリソース割当時間における上り同期が維持されるかを判定し、上り再同期が必要である場合、上り再同期要求処理138を実施する。不要のときは特に何もしない。なお、図16は、同期ハンドオーバー指示メッセージ137を通知してから上り再同期要求処理138を実施している例を示しているが、ソースセル71は、ターゲットセル73からハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信してからハンドオーバー実行時間となるまでのどのタイミングで上り再同期要求処理138を行っても良い。また、上り再同期要求処理138によって生成した移動局装置10の上り同期情報133−2は、下りリソース割当メッセージ135と、同期ハンドオーバー指示メッセージ137と共に通知することも可能である。
図17は、本実施の形態による基地局装置が同期ハンドオーバーか否かを判断し、更に上り再同期要求が必要かを判定するための処理フローを示す図である。処理を開始すると(ステップS91)、基地局装置は、ステップS92において、同期ハンドオーバーを実施する場合に必要となる、リソースの空き状況や通信品質、下り同期確立見込時間を考慮してハンドオーバー後に移動局装置が上り送信を行うための上りリソース割当時間を決定する。また、移動局装置が間欠受信を行っている場合は、ハンドオーバー指示メッセージを受信可能なタイミングが制限されるため、上りリソース割当時間は間欠受信間隔も同時に考慮して決定する。なお、移動局装置が間欠受信を行っていない場合は特に考慮しなくて良い。更に、上りリソース割当時間が上り同期維持時間以内であるかを考慮する。前記ステップS92により決定された上りリソース割当時間が、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも長い場合であって、かつ、上り再同期要求を行うことで同期ハンドオーバーが可能となる場合、上り再同期要求処理を実施し、同期ハンドオーバーを指示する(ステップS97、S98、S94)。上り再同期を行っても同期ハンドオーバーが実施できない場合は、通常のハンドオーバーを移動局装置に対して指示する(ステップS95)。一方、同期ハンドオーバーとして許容される遅延時間よりも短い場合、同期ハンドオーバー(ステップS94)を移動局装置に対して指示する。本実施の形態により、下り同期確立見込時間と上り同期維持時間とを考慮したハンドオーバー手順を実行することが可能となり、移動局装置に対して柔軟なハンドオーバー手順を提供することが可能となる。また、移動局装置は、同期ハンドオーバー手順による高速ハンドオーバーが実施可能という利点と、ハンドオーバー手順を切り替えることによって同期ハンドオーバーが出来ない場合でもハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。さらに、ハンドオーバー失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となり、また、ハンドオーバー失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。加えて、基地局装置は、上りリソース割当の時間を上り同期維持時間以内であれば移動局装置の下り同期確立までの最大許容時間と無関係に設定することが可能となり、移動局装置に応じた適応的なスケジューリングを実行することが可能となり、リソースの利用効率が向上する。
[第3の実施の形態]
次に本発明の第3の実施の形態による通信装置について図面を参照しながら以下に説明する。本実施の形態による通信技術は、ハンドオーバー指示メッセージがハンドオーバー実行時間より遅れて受信されたときの例を示す。
図18は、本発明の第3の実施の形態による通信技術に係る移動局装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。図18に示す移動局装置20は、図9と同じ構成を有しているが、ハンドオーバー管理部233へハンドオーバー指示メッセージ受信時間情報L2が上位レイヤ37から入力される点のみが異なっている。その他の構成ブロックについては図9と同じ符号を用いてその説明を省略する。ハンドオーバー指示メッセージ受信時間情報L2とは、ソースセルの基地局装置より移動局装置へ通知されたハンドオーバー指示メッセージを、実際に移動局装置が受信した時点のフレーム、またはサブフレーム番号を示す時間情報である。ハンドオーバー管理部233は、入力された時間情報(ハンドオーバー実行時間、ハンドオーバーの最大許容時間、下り同期時間情報、上りリソース割当時間、上り同期タイマ情報、ハンドオーバー指示メッセージ受信時間情報)を管理し、それぞれの時間情報の対応関係に従ってハンドオーバー制御部31に対して、後述する適切なハンドオーバー手順を行うよう制御する。また、基地局装置の構成例は図3、または図10と同じでよい。
図19は、本実施の形態による通信技術におけるハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図19は、ソースセル71とターゲットセル73とが、セル間同期の場合で、移動局装置20がソースセル71と通信を行っている状態から開始し、ターゲットセル73へハンドオーバーを行う制御例を示している。ハンドオーバー要求許可メッセージ131をソースセル71が受信するまでは図13と同じため、図13と同じ制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。ハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信したソースセル71は、移動局装置20に対し、下りリソース割当メッセージ135と共に、同期ハンドオーバー指示メッセージ137を通知する。同期ハンドオーバーか否かの判断は、ソースセル71とターゲットセル73のどちらが判断しても良い。同期ハンドオーバー指示メッセージ137には、ハンドオーバー完了メッセージのための上りリソース割当情報が含まれている。
ここで、同期ハンドオーバー指示メッセージ137に即時実行以外のハンドオーバー実行時間が含まれている場合であって、ハンドオーバー実行時間188が過去の時間を示していた場合について説明する。このとき、移動局装置20は、同期ハンドオーバー指示メッセージ137が繰り返し再送されたことで本来指定されたハンドオーバー実行時間188を過ぎてからメッセージを受信したのか、元々次の周期のハンドオーバー実行時間188が指定されているのかを判断できない。そこで、移動局装置20は、前記ハンドオーバー実行時間188と、実際に同期ハンドオーバー指示メッセージ137を受信した時間とのフレームまたはサブフレーム単位の時間差(実行時間差)191を計算する。この実行時間差191は、ハンドオーバー管理部233で計算される。このとき、前記実行時間差191がある閾値未満の場合には、本来指定された時間を過ぎてからメッセージを受信したと判断し、次の周期まで待たずに即座にハンドオーバー処理145を開始する。前記閾値は、ハンドオーバー指示メッセージ137、測定に関する制御情報、報知情報のいずれかで通知されるか、または、移動局装置20で設定される。即座にハンドオーバー処理を開始する場合、移動局装置20は、無線周波数や送受信回路の制御パラメータの切り替えを行い、その後にターゲットセル73との下り無線同期を確立するための下り同期確立処理145を行う。下り同期確立処理145のためのパラメータは、先の同期ハンドオーバー指示メッセージ137に含まれるか、事前にソースセル73より報知されまたは通知される。更に、ハンドオーバー手順と平行して、移動局装置20の上り送信タイミングのずれを調整する上り同期情報133がソースセル71より通知されたとき、移動局装置20は上り同期確立が保証される区間である上り同期維持時間141を計算し、計時を行う。なお、以後の詳細な動作は本発明の第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する(153、147)。
また、ソースセル73の基地局装置は、ハンドオーバー指示メッセージ137を用いて移動局装置20にシグネチャを事前に割り当てることによって、移動局装置20が下り同期確立完了後のランダムアクセス送信をコンテンションフリーにすることも可能であるが、詳細な動作は第2の実施の形態と同様であることから説明を省略する。
なお、図19は、同期ハンドオーバー指示メッセージ137にハンドオーバー完了メッセージ送信ための上りリソース割当情報が含まれている場合の例であるが、上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。また、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合、または下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合であっても、同期ハンドオーバー指示メッセージの受信時間、ハンドオーバー実行時間、下り同期確立見込時間と上り同期維持時間の関係から、同期ハンドオーバーを行うか否かの判断を行うという主旨は変わらない(適用例は実施の形態2を参照)。
また、上り同期情報が通知されるタイミングは、ハンドオーバー実行時間以前であればどのタイミングでもよく、また、上り同期維持時間の満了時間(上り同期外れとなる時間)は最後に上り同期情報を受信してから所定の時間(例えば500ms)が経過した時点とし、図19と異なっていても良い。
また、例えば間欠受信中に同期ハンドオーバーを行う場合など、ハンドオーバー完了後の上りリソース割当時間となるまでに、移動局装置の上り同期が外れてしまうと予測される場合、ソースセルは移動局装置に対して上り再同期要求処理を実施し、当該移動局装置に対して上り再同期のための上り同期情報を生成することも可能である。上り再同期要求処理のために基地局装置で測定する上りチャネルは、任意の上りチャネルでよい。また、上り同期情報は下りリソース割当メッセージ、または同期ハンドオーバー指示メッセージに含めて送信しても良い。
本実施の形態により、また、下り同期確立見込時間と上り同期維持時間とを考慮したハンドオーバー手順を実行することが可能となり、移動局装置に対して柔軟なハンドオーバー手順を提供することが可能となる。また、移動局装置は、ハンドオーバー実行時間を越えて受信されたハンドオーバー指示メッセージを即時実行することが可能となるため、ハンドオーバーの成功確率が向上するほか、同期ハンドオーバー手順による高速ハンドオーバーが実施可能という利点と、ハンドオーバー手順を切り替えることによって同期ハンドオーバーが出来ない場合でもハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。
また、ハンドオーバー失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となり、更にハンドオーバー失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。また、基地局装置は、上りリソース割当の時間を上り同期維持時間以内であれば移動局装置の下り同期確立までの最大許容時間と無関係に設定することが可能となり、移動局装置に応じた適応的なスケジューリングを実行することが可能となり、リソースの利用効率が向上する。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は、下り制御信号リソース割当時間および下り同期確立見込時間に関する2つのリソース割当情報が同期ハンドオーバーメッセージで通知される場合の方法を示す。本実施形態の移動局装置の構成は図9と同じでよい。また、基地局装置の構成は図3、または図10と同じでよい。
図20は、本実施の形態による通信技術におけるハンドオーバー手順のフローチャート図である。移動局装置は、ステップS101より処理を開始し、ハンドオーバー指示メッセージを受信したときに、当該メッセージよりハンドオーバー情報を取得する。ハンドオーバー情報の内容は、第1の実施の形態に加え、下り同期確立見込時間に関するリソース割当時間1(上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー完了メッセージの送信時間)と、下り制御信号に関するリソース割当時間2(下り制御信号リソース情報で指定された下り制御信号の受信時間)が含まれる。ここで、リソース割当時間1≦リソース割当時間2であり、かつ、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間までの時間は、必ず上り同期維持時間が満了する前に設定されている必要がある。すなわち、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間までの時間は、必ず上り同期維持時間が満了する前に設定されている必要がある。リソース割当時間1およびリソース割当時間2は、移動局装置の移動局能力やハンドオーバー時の下り受信品質、移動速度などを考慮することで適応的に決定されるか、事前に定義されている。
図20に戻り、前記ハンドオーバー情報から同期ハンドオーバーか否かの判断を行う(ステップS102)。移動局装置は、同期ハンドオーバーでなければ(ステップS102でN0)、ハンドオーバー完了後にランダムアクセスを伴う通常のハンドオーバー処理を実行するが、詳細は省略する(ステップS103)。
同期ハンドオーバーであった場合で(ステップS102でYes)、ハンドオーバー実行時間が指定されている場合、ハンドオーバー実行時間に至るまではソースセルにおける受信処理を継続する(ステップS104でNo)。尚、即時実行が指定されたときは、ハンドオーバー指示メッセージの受信時刻をハンドオーバー実行時間とみなす。ハンドオーバー実行時間になった場合(ステップS104でYes)、移動局装置は、ハンドオーバー情報に従ってセル切り替え制御を行い、ソースセルへの送受信を停止し、続いてターゲットセルに対して下り同期確立処理を開始する(ステップS105)。このとき、下り同期確立について所定の間隔(例えば1サブフレーム毎)で確認する(ステップS106)。下り同期確立が未確立の場合(ステップS106でNo)で、事前に規定されたハンドオーバー保護時間が満了した場合、ハンドオーバー失敗と判断し(ステップS107でYes)、ハンドオーバー処理を終了する(ステップS113)。
満了していない場合(ステップS106でYes)は、下り同期確立処理を継続する。下り同期確立が成功した場合(ステップS106でYes)、リソース割当時間2以内に下り同期確立が成功したかを判定し(ステップS108)、リソース割当時間2以内であれば(ステップS108でYes)、続いてリソース割当時間1以内に下り同期確立が成功したかを判定する(ステップS110)。リソース割当時間1以内であれば(ステップS110でYes)、ターゲットセルに対して上り同期確立が不要と判断し、ランダムアクセスが不要な同期ハンドオーバー処理を行う(ステップS112)。
リソース割当時間2を過ぎて下り同期確立が完了していた場合(ステップS108でNo)、同期ハンドオーバー指示メッセージに含まれていたリソース割当時間1における上りリソース割当情報、およびリソース割当時間2における下り制御信号リソース割当情報を使用することができないため、ハンドオーバー完了メッセージの送信のため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報および上りリソース割当情報をターゲットセルに要求する必要がある。移動局装置は、ランダムに選択されたシグネチャを用いたランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する(ステップS109)。
一方、リソース割当時間2以内であるがリソース割当時間1を過ぎて下り同期確立が完了していた場合、同じく上り同期外れとなっているため、ランダムアクセスチャネルを用いて、上り同期情報をターゲットセルに要求する必要がある(ステップS111)。このとき、移動局装置はリソース割当時間2における下り制御信号リソース割当情報に基づいて下り制御信号を受信する。移動局装置は、前記下り制御信号で指定されたシグネチャを用いたコンテンションフリーなランダムアクセス送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する。
図21は、本実施の形態4における同期ハンドオーバー時の基地局装置から移動局装置へ通知されるリソース割当について説明するためのシーケンス図であり、ソースセルとターゲットセルがセル間同期の場合で、移動局装置がソースセルと通信を行っている状態を示す。また、図22、図23、図24は、各々本実施の形態4におけるハンドオーバー手順を示したシーケンス図であり、下り同期確立に至るまでの経過時間によって、同期ハンドオーバーを行う場合(図22)と、コンテンションフリーなランダムアクセス送信のハンドオーバーを行う場合(図23)と、コンテンションベースなランダムアクセス送信のハンドオーバーを行う場合(図24)を示したものである。
図21について以下に説明する。なお、図13と同一の制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。ソースセル71とターゲットセル73との間においてセル間同期125が行なわれている。移動局装置10はソースセル71に対して少なくともソースセル71とターゲットセル73の受信品質の測定結果、あるいはハンドオーバー実施要求を含んだ測定報告メッセージ127を通知している。ソースセル71は、前記測定報告メッセージ127の内容からターゲットセル73へのハンドオーバーが必要であると判断したとき、ソースセル71からターゲットセル73へハンドオーバー要求メッセージ129にて移動局装置1のハンドオーバーの必要性を通知し、ハンドオーバーのための準備を要求する。前記ハンドオーバー要求メッセージ129を受信したターゲットセル73は、ハンドオーバーが実行可能と判断した場合、ハンドオーバー要求許可メッセージ131をソースセル71に通知する。
ハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信したソースセル71は、移動局装置10に対し、下りリソース割当メッセージ135と共に、同期ハンドオーバー指示メッセージ137を通知する。同期ハンドオーバーか否かの判断はソースセル71とターゲットセル73のどちらが判断しても良い。同期ハンドオーバー指示メッセージ137には、ハンドオーバー完了後の移動局装置10からの上り送信に関する2つのリソース割当情報が含まれている。前記2つのリソース割当情報は、移動局装置10がリソース割当時間1(153−1)においてハンドオーバー完了メッセージを送信するための上りリソース割当情報と、リソース割当時間2(153−2)においてランダムアクセス送信のための下り制御信号を受信するための下り制御信号リソース割当情報を示す。
実際のハンドオーバーシーケンスについて図22、図23、図24を用いて説明する。なお、図22〜図24において、図21と同一の制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。
図22について以下に説明する。同期ハンドオーバー指示メッセージ137を受信し、ターゲットセル73に対して下り同期確立処理145を開始するまでは図21と同じであるため説明を省略する。下り同期確立が完了した移動局装置は、下り同期確立が完了した(147)時間と、リソース割当時間1(153−1)およびリソース割当時間2(153−2)との時間関係とを比較する。ここで、図22に示すように、下り同期確立が完了した時間が、リソース割当時間1およびリソース割当時間2で指定された時間よりも早い場合、移動局装置10は、リソース割当時間1(153−1)で指定された上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ151をターゲットセルに送信し、ハンドオーバー手順を完了する。前記ハンドオーバー完了メッセージ151を受信したターゲットセル73の基地局装置は、リソース割当時間2(153−2)、に関する下り制御信号リソース割当情報を不要と判断し当該リソースを他の移動局装置も使用可能なように再割り当てを行う。
図23について以下に説明する。同期ハンドオーバー指示メッセージ137を受信し、ターゲットセル73に対して下り同期確立処理145を開始するまでは図21と同じであるため説明を省略する。下り同期確立が完了した移動局装置は、下り同期確立が完了した(147)時間と、リソース割当時間1(153−1)およびリソース割当時間2(153−2)との時間関係とを比較する。ここで、図23に示すように、下り同期確立が完了した時間が、リソース割当時間1で指定された時間より遅く、リソース割当時間2で指定された時間よりも早い場合、移動局装置10は、リソース割当時間1(153−1)においてハンドオーバー完了メッセージ151を送信することは出来ない。この場合、移動局装置10は、リソース割当時間2(153−2)で指定された下り制御信号リソース割当情報が指定した下り制御信号150を受信する。前記下り制御信号150には、コンテンションフリーなランダムアクセス送信のためのシグネチャが割り当てられている。移動局装置10は、前記割り当てられたシグネチャを用いたコンテンションフリーなランダムアクセスチャネル169の送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する。ランダムアクセスチャネル169を受信したターゲットセル73の基地局装置は、移動局装置10の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する(170)。移動局装置10は、前記情報を基に上り送信タイミングの調整、および、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ171をターゲットセル73へ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
図24について以下に説明する。同期ハンドオーバー指示メッセージ137を受信し、ターゲットセル73に対して下り同期確立処理145を開始するまでは図21と同じであるため説明を省略する。下り同期確立が完了した移動局装置10は、下り同期確立が完了した時間(147)と、リソース割当時間1(153−1)およびリソース割当時間2(153−2)との時間関係とを比較する。ここで、図24に示すように、下り同期確立が完了した時間が、リソース割当時間1およびリソース割当時間2で指定された時間よりも遅い場合、移動局装置10は、リソース割当時間1においてハンドオーバー完了メッセージ151を送信することも、リソース割当時間2において、下り制御信号150も受信することが出来ない。この場合、移動局装置10は、任意のシグネチャを一つ選択してコンテンションベースなランダムアクセスチャネル172の送信を行い、基地局装置に対して上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を要求する。ランダムアクセスチャネル172を受信したターゲットセル73の基地局装置は、移動局装置10の上り送信タイミング調整のための上り同期情報とハンドオーバー完了メッセージ送信のための上りリソース割当情報を通知する(170)。移動局装置10は、前記情報を基に上り送信タイミングの調整、および、指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ171をターゲットセル73へ送信し、ハンドオーバー手順を完了する。なお、図21〜図24は、同期ハンドオーバー指示メッセージでリソース割当時間1におけるハンドオーバー完了メッセージ送信ための上りリソース割当情報が含まれている場合の例であるが、上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。また、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合、または下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合であっても、下り同期確立の完了に要した時間と、リソース割当時間1およびリソース割当時間2とを比較し、同期ハンドオーバーを行うか、あるいは、コンテンションフリーまたはコンテンションベースなランダムアクセス送信を伴うハンドオーバー行うかという本実施形態の主旨は変わらない。また、各メッセージ、または制御信号の再送が発生した場合であって本発明は適用可能である。
また、上り同期情報が通知されるタイミングは、ハンドオーバー実行時間以前であればどのタイミングでもよく、また、上り同期維持時間の満了時間(上り同期外れとなる時間)は最後に上り同期情報を受信してから所定の時間(例えば500ms)が経過した時点とし、図21〜図24と異なっていても良い。
また、例えば間欠受信中に同期ハンドオーバーを行う場合など、ハンドオーバー完了後の上りリソース割当時間となるまでに、移動局装置の上り同期が外れてしまうと予測される場合、ソースセルは移動局装置に対して上り再同期要求処理を実施し、当該移動局装置に対して上り再同期のための上り同期情報を生成することも可能である。上り再同期要求処理のために基地局装置で測定する上りチャネルは、任意の上りチャネルでよい。また、上り同期情報は下りリソース割当メッセージ、または同期ハンドオーバー指示メッセージに含めて送信しても良い。
本実施の形態により、下り同期確立見込時間と上り同期維持時間とを考慮したハンドオーバー手順を実行することが可能となり、移動局装置に対して柔軟なハンドオーバー手順を提供することが可能となる。また、移動局装置は、同期ハンドオーバー手順による高速ハンドオーバーが実施可能という利点と、ハンドオーバー手順を切り替えることによって同期ハンドオーバーが出来ない場合でもコンテンションフリーまたはコンテンションベースのハンドオーバー手順のどちらかを行うことでハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。また、ハンドオーバー失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となり、更にハンドオーバー失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。また、基地局装置は、上りリソース割当の時間を上り同期維持時間以内であれば移動局装置の下り同期確立までの最大許容時間と無関係に設定することが可能となり、移動局装置に応じた適応的なスケジューリングを実行することが可能となり、リソースの利用効率が向上する。
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は、ハンドオーバー完了メッセージが基地局装置で受信できなかった場合における、移動局装置のハンドオーバー手順を示す。本実施形態の移動局装置の構成は図9と同じでよい。また、基地局装置の構成は図3、または図10と同じでよい。
図25は、本実施の形態による通信技術におけるハンドオーバーを実施した後のフローを示した図である。移動局装置が、同期ハンドオーバー手順を行うまでの制御については、前述した実施の形態1〜4、または従来方式のいずれかの手順を用いることが可能である。本手順はステップS121より開始される。ステップS122において、同期ハンドオーバー手順を実施し、下り同期確立が完了した移動局装置は、上りリソース割当情報に従って指定された上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージをターゲットセルの基地局装置に送信する。移動局装置は、ターゲットセルからのハンドオーバー完了メッセージの受信応答(ACK、NACK)が上り共用制御チャネルで通知されるのを待ち、ACKを受信した場合は(ステップS123でYes)、ハンドオーバー完了メッセージがターゲットセルで正しく受信されたとみなして同期ハンドオーバー手順を終了する(ステップS127)。しかしながら、伝播状況の劣化などの理由によって、ACKの受信ができない、あるいはNACKを受信する場合がある(ステップS123でNo)。このとき、移動局装置は、ハンドオーバー完了メッセージの再送のために、ランダムアクセスチャネルを用いて新たな上りリソース情報の取得を試みる。このとき、事前に使用するシグネチャが割り当てられている場合(ステップS124でYes)、コンテンションフリーのランダムアクセス送信を用いるコンテンションフリーのハンドオーバー処理を行い(ステップS126)、シグネチャの割り当てがない場合は(ステップS124でNo)、コンテンションベースのランダムアクセス送信を用いるコンテンションベースのハンドオーバー処理を行う(ステップS125)。
図26は、本実施の形態におけるハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。下り同期確立が完了するまでは図13と同じ制御であるため、図13と同一の制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。下り同期確立が完了した移動局装置10は、下り同期確立が完了した(147)時間と、ハンドオーバー実行時間139から下り同期確立見込時間143だけ経過した時間(すなわち、上りリソース割当情報で指定されたハンドオーバー後の上り送信時間(153))、および最後に上り同期情報133を受信してから上り同期維持時間141だけ経過した時間(すなわち、上り同期外れとみなされる時間)とを比較し、下り同期確立見込時間以内かつ上り同期維持時間以内に下り同期確立が完了していた場合、同期ハンドオーバー指示メッセージ137に含まれていた上りリソース割当情報が指定した上りリソースを用いてハンドオーバー完了メッセージ(メッセージ1)151aをターゲットセル73へ送信する。その後、当該メッセージ1に対し、ターゲットセル73の基地局装置よりNACKを受信した場合、またはACK未受信の場合、移動局装置10は、ランダムアクセスチャネル169をターゲットセル73へ送信する。このとき、ソースセル71の基地局装置は、ハンドオーバー指示メッセージ137を用いて移動局装置10にシグネチャを事前に割り当てることによって、移動局装置10が下り同期確立完了(147)後のランダムアクセスチャネル169の送信をコンテンションフリーにすることも可能である。そして、ターゲットセル73の基地局装置より上りリソース割当情報と、必要ならば上り同期情報を取得して(170)、前記情報を用いて再度ハンドオーバー完了メッセージ(メッセージ2)151bを送信し、ハンドオーバー手順を終了する。
尚、図26は、同期ハンドオーバー指示メッセージ137にハンドオーバー完了メッセージ(メッセージ1)151a送信ための上りリソース割当情報が含まれている場合の例であるが、上り制御信号の送信のための上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。また、下り制御信号の送信のための下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合にも適用可能である。上り制御信号リソース割当情報が含まれている場合、または下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合であっても、ハンドオーバー後の上り送信に対する応答(ACK/NACK)の受信に応じて、次の制御を選択するという本実施形態の主旨は変わらない。また、上り同期情報が通知されるタイミングは、ハンドオーバー実行時間以前であればどのタイミングでもよく、また、上り同期維持時間の満了時間(上り同期外れとなる時間)は最後に上り同期情報を受信してから所定の時間(例えば500ms)が経過した時点とし、図26と異なっていても良い。
また、例えば間欠受信中に同期ハンドオーバーを行う場合など、ハンドオーバー完了後の上りリソース割当時間となるまでに、移動局装置の上り同期が外れてしまうと予測される場合、ソースセルは移動局装置に対して上り再同期要求処理を実施し、当該移動局装置に対して上り再同期のための上り同期情報を生成することも可能である。上り再同期要求処理のために基地局装置で測定する上りチャネルは、任意の上りチャネルでよい。また、上り同期情報は下りリソース割当メッセージ、または同期ハンドオーバー指示メッセージに含めて送信しても良い。
本実施の形態により、同期ハンドオーバー後にハンドオーバー完了メッセージに対する基地局装置からの応答がない場合であっても、ハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。また、ハンドオーバー失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となり、更にハンドオーバー失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は、下り制御信号が移動局装置で受信できなかった場合における、移動局装置のハンドオーバー手順を示す。本実施形態の移動局装置の構成は図9と同じでよい。また、基地局装置の構成は図3、または図10と同じでよい。図27は、本実施の形態による通信技術における移動局装置の、下り同期確立後のハンドオーバー手順のフローを示した図である。移動局装置が、同期ハンドオーバー手順を行うまでの制御については、前述した実施の形態1〜4、または従来方式のいずれかの手順を用いることが可能である。ただし、同期ハンドオーバー指示メッセージには、下り制御信号リソース割当情報が含まれている場合についてのみ対象とする。本手順はステップS131より開始される。ステップS132において、同期ハンドオーバー手順を実施し、下り同期確立が完了した移動局装置は、下り制御信号リソース割当情報で指定された下り制御信号の受信処理(ステップS133)を行い、受信が成功した場合(ステップS133でYes)、そのまま同期ハンドオーバー処理(ステップS136)を行う。
しかしながら、伝播状況の劣化などの理由によって、下り制御信号の受信ができない場合(ステップS133でNo)がある。このとき、移動局装置は、下り制御信号が再送される区間中においては下り制御信号の受信を継続して試み(ステップS134でYes)、一度でも受信が成功した場合は同期ハンドオーバー処理を行うが、再送制御を行っても下り制御信号を受信できなかった場合(ステップS134でNo)、ハンドオーバー完了メッセージの再送のために、ランダムアクセスチャネルを用いて新たな上りリソース情報の取得を試みる。このとき、ハンドオーバー指示メッセージにシグネチャが割り当てられている場合(ステップS135でYes)、コンテンションフリーのランダムアクセス送信を用いるコンテンションフリーのハンドオーバー処理を行い(ステップS138)、割り当てがない場合(ステップS135でNo)は、コンテンションベースのランダムアクセス送信を用いるコンテンションベースのハンドオーバー処理を行う(ステップS137)。なお、ハンドオーバー完了メッセージ送信後の制御フローは図25と同じでも良い。
図28は、本実施の形態におけるハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。ハンドオーバー要求許可メッセージ131をソースセル71が受信するまでは図13と同じため、図13と同じ制御については同じ符号を用いて、その説明を省略する。ハンドオーバー要求許可メッセージ131を受信したソースセル71は、移動局装置10に対し、下りリソース割当メッセージ135と共に、同期ハンドオーバー指示メッセージ173を通知する。同期ハンドオーバーか否かの判断は、ソースセル71とターゲットセル73のどちらが判断しても良い。同期ハンドオーバー指示メッセージ173には、上りソース割当163が送信されるリソース情報を示す下り制御信号リソース割当情報が含まれている。移動局装置10が前記メッセージを受信することで同期ハンドオーバー処理が実施される。なお、同期ハンドオーバー指示メッセージ173にハンドオーバー実行時間が含まれている場合は、移動局装置10は、ハンドオーバー実行時間139に至った後にハンドオーバーを実行する。ハンドオーバー実行時間として、即時実行が指定される場合もありえる。移動局装置10は、ハンドオーバー実行時間において無線周波数や送受信回路の制御パラメータの切り替えを行い、その後にターゲットセル73との下り無線同期を確立するための下り同期確立処理を行う(145)。下り同期確立処理のためのパラメータは、先の同期ハンドオーバー指示メッセージ173に含まれるか、事前にソースセル71より報知または通知される。さらに、ハンドオーバー手順と平行して、移動局装置の上り送信タイミングのずれを調整する上り同期情報133がソースセル71より通知されたとき、移動局装置10は、上り同期確立が保証される区間である上り同期維持時間141を計算し、計時を行う。
下り同期確立が完了した(147)移動局装置は、下り同期確立が完了した時間と、ハンドオーバー実行時間から下り同期確立見込時間143だけ経過した時間(すなわち、下り制御信号リソース割当情報で指定された上り制御信号163の送信時間161)とを比較し、下り同期確立見込時間以内に下り同期確立が完了していた場合、同期ハンドオーバー指示メッセージ173に含まれていた下り制御信号リソース割当情報が指定した上り制御信号163の受信を試みる。このとき、無線品質の一時的な劣化などの影響により、移動局装置が上り制御信号163が受信できなかった場合、移動局装置は、下り制御信号受信が失敗したと判断し、ランダムアクセスチャネル169をターゲットセル73へ送信する。このとき、ソースセル71の基地局装置は、ハンドオーバー指示メッセージ173を用いて移動局装置10にシグネチャを事前に割り当てることによって、移動局装置10が下り同期確立完了後のランダムアクセス送信をコンテンションフリーにすることも可能である。そして、基地局装置より上りリソース割当情報と、必要ならば上り同期情報を上り制御チャネル170より取得して、前記情報を用いて再度ハンドオーバー完了メッセージ151を送信し、ハンドオーバー手順を終了する。
また、上り同期情報が通知されるタイミングは、ハンドオーバー実行時間以前であればどのタイミングでもよく、また、上り同期維持時間の満了時間(上り同期外れとなる時間)は最後に上り同期情報を受信してから所定の時間(例えば500ms)が経過した時点とし、図28と異なっていても良い。
また、例えば間欠受信中に同期ハンドオーバーを行う場合など、ハンドオーバー完了後の上りリソース割当時間となるまでに、移動局装置の上り同期が外れてしまうと予測される場合、ソースセルは移動局装置に対して上り再同期要求処理を実施し、当該移動局装置に対して上り再同期のための上り同期情報を生成することも可能である。上り再同期要求処理のために基地局装置で測定する上りチャネルは、任意の上りチャネルでよい。また、上り同期情報は下りリソース割当メッセージ、または同期ハンドオーバー指示メッセージに含めて送信しても良い。
本実施の形態により、移動局装置は、ハンドオーバー後の下り制御信号の受信に失敗した場合であっても、ハンドオーバー手順を継続させ、ハンドオーバー成功確率を向上させることが可能となり、リソースの利用効率が向上する。また、ハンドオーバー失敗による通話品質の劣化を防ぐことが可能となり、更にハンドオーバー失敗後の再セル選択手順に伴う電力消費を抑えることが可能となる。
尚、以上に説明した各実施の形態において、移動局装置および基地局装置の各部の機能又はこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行っても良い。伝送媒体からプログラムを取得する形態でも良い。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を指す。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線(伝送媒体)を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、同期ハンドオーバー手順において、下り同期確立までの時間と上りリソース割当時間との比較により、最適なハンドオーバー手順を選択することが可能となり、ハンドオーバー性能が向上するという利点がある。