JP5085963B2 - 電磁棒鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、降伏強度が高くかつ磁気特性に優れ、しかも被削性にも優れた電磁棒鋼とその製造方法に関する。本発明にかかる電磁棒鋼は、切削加工や鍛造に供する加工用素材としても有用である。
電気自動車やハイブリッド型電気自動車のメインモータに代表されるように、近年、モータには省エネルギー化や高効率化が強く求められている。
省エネルギー化や高効率化を図るには、高周波化が有効な手段の一つとして挙げられるが、周波数が上がるとモータの回転速度も増大する。モータの回転数が増大すると、ローターを構成するコアに加わる遠心力も増大するため、コア材には高い降伏強度が要求される。即ち、コア材の降伏強度が不十分な場合は、遠心力によってコア材が塑性変形を起こし、ローターコアとステーターコア間のエアギャップが設計値から変化することでモータ性能が劣化したり、更には、回転中にローターとステーターが接触しモータを破損する結果となる。このため、高周波化によりモータの省エネルギー化や高効率化を図るには、ローターコア材の高強度化が不可欠となる。
ところで、ローターコアの製造方法としては、これまでは板厚0.35〜0.5mm程度の電磁鋼板を積層するのが一般的であったが、所定のコア形状に電磁鋼板を一枚一枚打抜き、これを数百枚積層するのに多大な費用を要するため、電磁鋼板に替えて、積層が不要な電磁棒鋼を用いてローターを作製するモータが実用化され始めている。
しかしながら、現状の電磁棒鋼は電磁鋼板と同様に低炭素鋼若しくは珪素鋼からなり、フェライトの固溶強化を主な強化機構としているため、強度は必ずしも高くない。例えば、3%Si鋼の場合でも降伏強度は350MPa程度であり、また、電磁鋼板の例ではあるが、特許文献1に開示されているように、高強度化を目的としたものでも降伏強度は概略300〜450MPa程度であり、十分な降伏強度が得られていない。
また、特許文献2には、フェライトの組織にTiとMoおよびWの少なくとも一方とを含む10nm未満の炭化物を分散析出させることによって、高位の磁束密度および高強度を併せ持つ回転鉄心用の熱延鋼板について記載されている。
この特許文献2に記載の熱延鋼板では、磁気特性に関して、成分を規定した上で、組織をフェライトとし、フェライト中に微細析出物を分散析出させること、炭化物の長辺と短辺の長さの比を規定することが述ベられているが、磁気特性上重要な磁壁移動については何ら配慮されておらず、従って実用上十分な磁気特性を有するとは言えない。事実、特許文献2の実施例においては、30000A/mと励磁電流が極端に高く、ほぼ成分(特にFe)によってのみ決まる飽和磁束密度近傍の磁束密度B300の値のみが示されている。しかし、モーター等の性質にとっては、5000A/mでの磁束密度B50に代表されるような、より低磁場領域での磁束密度が重要であり、特許文献2に記載の技術では高いB50が得られ
ない。
また、モーター等の効率を支配する鉄損については、一切考慮されておらず、鉄損値も高いため、実用上十分な磁気特性を具備するに至っていない。さらに、棒鋼に必要とされる特性の内、被削性には特段の配慮がなされていないため、工具寿命の点からは必ずしも良好な特性を示さないという問題も残されていた。
特開2002−371340号公報 特開2003−288509号公報
そこで、本発明は、ローターコア材として十分な磁気特性と共に、高い降伏強度を有し、しかも被削性に優れる電磁棒鋼とその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、フェライト単相組織中に粒径10nm未満の微細析出物を分散析出させてフェライトを析出強化すると、著しい高強度化が図れることを見出した。また、従来、析出物は磁気特性に有害と考えられていたが、析出物が10nm未満と微細な場合には、磁気特性に悪影響を及ぼさないことを新たに見出した。
さらに、10nm未満と極めて微細な析出物でフェライトを強化した、上記鋼の被削性について検討を行った結果、フェライトの結晶粒径を所定の範囲に制御し、組織の均一細粒化を図ることによって、磁気特性並びに被削性を兼備した電磁棒鋼が得られることも知見した。
本発明は以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨構成は次の通りである。
1.質量%で
C:0.04〜0.12%、
Si:0.5%以下、
Mn:0.5〜3.0%、
Al:0.1%以下、
Ti:0.03〜0.35%および
Mo:0.05〜0.8%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有し、平均結晶粒径が30μm以上80μm以下のフェライトの面積率が95%以上の組織からなり、粒径が10μm以下のフェライトの面積率が20%以下であり、かつフェライト中に粒径10nm未満の微細析出物が分散していることを特徴とする電磁棒鋼。
2.前記成分組成は、下記(1)式を満たすことを特徴とする前記1に記載の電磁棒鋼。

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)]≦1.50 …(1)
ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
3.前記微細析出物は、TiおよびMoの炭化物であることを特徴とする前記1または2に記載の電磁棒鋼。
4.前記成分組成は、更に質量%で
Nb:0.08%以下、
V:0.15%以下および
W:1.5%以下
の1種または2種以上を含むことを特徴とする前記1に記載の電磁棒鋼。
5.前記成分組成は、下記(2)式を満たすことを特徴とする前記4に記載の電磁棒鋼。

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184))≦1.50…(2)
ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
6.前記微細析出物は、TiおよびMoを含み、かつNb、VおよびWのうちの少なくとも1種を含む炭化物であることを特徴とする前記4または5に記載の電磁棒鋼。
7.前記成分組成は、更に質量%で
S:0.01〜0.1%を含み、かつ
Pb:0.2%以下、
Ca:0.005%以下、
Bi:0.1%以下および
B:0.02%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1ないし6のいずれかに記載の電磁棒鋼。
8.前記粒径が10μm以下のフェライトの面積率は5%以下であることを特徴とする前記1ないし7に記載の電磁棒鋼。
9.質量%で
C:0.04〜0.12%、
Si:0.5%以下、
Mn:0.5〜3.0%、
Al:0.1%以下、
Ti:0.03〜0.35%および
Mo:0.05〜0.8%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上に加熱した後、熱間圧延を、開始パスにおける減面率が25%以上、最終パスにおける減面率が15%以上35%以下および仕上温度880℃以上で施し、次いで1.0℃/s以下の冷却速度で冷却することを特徴とする電磁棒鋼の製造方法。
ここで、減面率(%)は、
((各パスにおける圧延前の断面積−(各パスにおける圧延後の断面積))/(各パスにおける圧延前の断面積)×100
にて求めることができる。
10.前記鋼素材は、下記(1)式を満たすことを特徴とする前記9に記載の電磁棒鋼の製造方法

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)]≦1.50 …(1)
ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
11.前記鋼素材は、更に質量%で
Nb:0.08%以下、
V:0.15%以下および
W:1.5%以下
の1種または2種以上を含むことを特徴とする前記9に記載の電磁棒鋼の製造方法
12.前記鋼素材は、下記(2)式を満たすことを特徴とする前記11に記載の電磁棒鋼の製造方法

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)]≦1.50…(2)
ただし、化学成分は当該成分の含有量(質量%)を示す。
13.前記鋼素材は、更に質量%で
S:0.01〜0.1%を含み、かつ
Pb:0.2%以下、
Ca:0.005%以下、
Bi:0.1%以下および
B:0.02%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記9ないし12のいずれかに記載の電磁棒鋼の製造方法。
14.前記熱間圧延を、開始パスにおける減面率を30%以上として前記9ないし13のいずれかに記載の方法で製造された棒鋼に対し、下記温度域Tにて焼鈍することを特徴とする電磁棒鋼の製造方法。

Mn含有量が1.7%以下のとき:600℃≦T≦800℃
Mn含有量が1.7%超のとき:600℃≦T≦750℃
本発明によれば、十分な磁気特性を有すると共に、降伏強度の高い電磁棒鋼が提供されることから、モータの回転速度を増大しても上述した不具合を回避することができる。従って、モータにおける周波数の一層の増加が可能となり、モータの省エネルギー化ならびに高効率化が実現されるため、本発明は産業上極めて有用といえる。
さらに、棒鋼に必要とされる被削性についても、工具寿命の延長を実現するに足る良好な被削性を与えることができる。
本発明の成分組成、ミクロ組織および製造条件について以下に詳述する。なお、成分組成に関する「%」表示は、特に断らない限りは「質量%」を意味する。
[成分組成]
C:0.04〜0.12%
Cが0.04%未満であると、微細析出物の析出量が不足し、高い降伏強度が得られないため、Cは0.04%以上とする必要がある。一方、Cは0.12%を超えて含有すると析出物が粗大化し、やはり高い降伏強度が得られないため、Cの上限は0.12%とする必要がある。
Si:0.5%以下
Siは冷間加工性を低下させるため、添加量は0.5%以下とする。より好ましくは、0.15%以下である。
Mn:0.5〜3.0%、
本発明では、析出物の析出挙動がオーステナイトからフェライトへの変態(以降、フェライト変態という)の進行と密接に関係しており、圧延後の冷却中に生じるフェライト変態の変態開始温度と析出物の析出開始温度との差が小さく、フェライト変態と析出が競合する場合に、析出物がフェライト中に微細に分散析出する。すなわち、Mnは、フェライト変態温度を下げ、フェライト変態の変態開始温度と析出物の析出開始温度との差を減少させることで、フェライト変態と析出を競合させることに寄与する。そのためには、Mnを0.5%以上添加する必要がある。一方、Mn量が3.0%を超えると、フェライト以外にベイナイト等の低温変態相が生成するようになり、微細析出物による強化が不足し、また低温変態相が生成すると磁束密度も低下するため、Mnの上限は3.0%とする
なお、Mn量が1.7%以下で、特に高い磁束密度B50が得られるため、高い磁気特性を得ようとする場合には、1.7%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.6〜1.65%である。一方、Mn量を1.7%超で添加することにより、Mnの固溶強化による高強度化の効果が顕著になる。よって、特に高強度化を指向する場合は1.7%超とすることが好ましい。より好ましくは、1.75〜2.85%である。
Al:0.1%以上
Alは、脱酸元素として添加しても良く、この場合は0.01%以上で添加する必要がある。しかし、過剰に添加するとその効果が飽和するだけでなく、Nとの析出物であるAlNの量が増え、AlNは10nm未満の径で析出することがないため、磁気特性を劣化させることになる。これを避けるために、Alの添加量は0.1%以下とする。より好ましくは、0.05%以下である。
Ti:0.03〜0.35%
Tiは、Ti系炭化物やTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ硬度を上昇させる。高い降伏強度を確保するためには、0.03%以上が必要であり、一方0.35%を超えて添加すると析出物が粗大化し、却って強度が低下するため、Tiは0.03〜0.35%とする。より好ましくは、0.03〜0.30%である。
Mo:0.05〜0.8%
Moは、Mo系炭化物やTi-Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、強度を向上させるために添加する。また、Moは拡散速度が遅く、Tiと共に析出する場合、析出物の成長速度が低下し、微細な析出物が得られ易いという利点も有する。ここで、高い降伏強度を確保するためには、0.05%以上のMo添加が必要であり、一方、0.8%を超えて添加すると、フェライト以外にベイナイト等の低温変態相が生成するようになり、微細析出物による析出強化が不足し強度が低下すると共に磁気特性が劣化する。このため、Moは0.05〜0.8%とする。より好ましくは、0.15〜0.50%である。
上記成分組成において、特にC、TiおよびMo量の原子比に関し、下記(1)式を満足させると析出物の微細化に有利となる。

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)]≦1.50・・・(1)
本パラメーターは、析出物の大きさに影響を与えるもので0.50以上1.50以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となり好ましい。
尚、微細なTi-Mo系炭化物では、炭化物中のTiおよびMoは原子比でTi/Moが0.2〜2.0、更に微細な炭化物では0.7〜1.5であることが観察された。
以上必須成分について説明したが、本発明では強度や靭性等の一層の向上を図るため、Nb、VおよびWの1種または2種以上を添加することができる。
Nb:0.08%以下、
Nbは、TiやMoと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また、フェライトを整粒化することで延性および靭性を向上させる。これらの効果を得るには、0.005%以上添加することが好ましい。但し、0.08%を超えて含有するとフェライトが微細化し、微細析出物が磁気特性に悪影響をおよぼすことになるため、添加量は0.08%以下とする。より好ましくは、0.04%以下である。
V:0.15%以下
VもTiやMoと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与することから、好ましくは0.005%以上添加するが、0.15%を超えて含有すると析出物が粗大化するため、添加量は0.15%以下とする。より好ましくは、0.10%以下とする。
W:1.5%以下
WもTiやMoと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与することから、好ましくは0.01%以上添加するが、1.5%を超えて含有すると析出物が粗大化するため、添加量は1.5%以下とする。より好ましくは、1.0%以下である。
これらの元素を添加した場合、これらの元素とC、TiおよびMo量の原子比を下記(2)式のように規定すると析出物の微細化に有利となる。

0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)]≦1.50…(2)
本パラメーターは、析出物の大きさに影響を与えるもので、0.50以上1.50以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。
尚、Nb、VおよびWの1種または2種以上を含む微細な炭化物では、炭化物中のTi、Mo、Nb、VおよびWの原子比(Ti+Nb+V)/(Mo+W)が0.2〜2.0、更に微細な炭化物では0.7〜1.5であることが観察された。
更に、本発明では、部品加工時の被削性を向上させるため、S:0.01〜0.1%とした上で、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、Bi≦0.1%およびB≦0.02%の1種または2種以上を添加することができる。
ここで、S量を0.01〜0.1%としたのは、S量が0.01%未満であると、被削性の向上が図られないためであり、0.1%を超えると延性や靭性が低下するためである。なお、Sは0.01%未満で不純物として含有されるものである。本発明において、0.1%以下の含有量では強度ならびに磁気特性には影響を及ぼさない。そのため、積極的に添加して0.01〜0.1%の含有量とすることができる。
また、Pb、Ca、BiおよびBについても、添加量がそれぞれの上限を超えると延性や靭性が低下するため、その添加量は、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、Bi≦0.1%、B≦0.02%とする必要がある。
その他、延性および靭性を向上させる目的で、Cr、NiおよびCuの1種または2種以上をCr≦0.5%、Ni≦0.5%およびCu≦0.5%の範囲で添加しても構わない。
不可避的不純物であるPとNは、磁気特性にとって好ましくない元素であるため、できるだけ低減することが望ましい。具体的には、Pについては0.03%以下に規制することが好ましい。Nについては0.01%以下に規制することが好ましく、0.005%以下に規制することが更に好ましい。
尚、これら元素の添加の有無や含有量により、本発明の効果が損なわれることは無い。
[ミクロ組織]
本発明では、ミクロ組織を、平均結晶粒径が30μm以上80μm以下のフェライトの面積率が95%以上で、粒径10μm以下のフェライト粒の圧延方向断面での面積率が20%以下であり、10nm未満の微細析出物が分散析出した組織に規定する。以下に、組織の限定理由について説明する。
まず、フェライトの面積率を95%以上、好ましくは98%以上とするのは、フェライト相が磁気特性にとって最も好ましい組織であるからである。なお、本発明におけるフェライトの面積率は、断面組織観察(200倍の光学顕微鏡組織観察)で求める。以下、フェライトの面積率が95%以上の組織をフェライト単相組織という
そして、本発明では、フェライトの平均結晶粒径30μm以上80μm以下のフェライト単相で、かつ粒径10μm以下の微細なフェライトの面積率を20%以下とする。すなわち、フェライトの平均粒径を30μm以上としたのは、従来磁気特性にとって有害と考えられてきた析出物であっても、その析出物が10nm以下と微細な場合には、フェライトの平均結晶粒径を30μm以上として、結晶粒径を均一に、さらに微細なフェライトを含まない組織とすることによって、磁気特性への悪影響を防止できるためである。
かような磁気特性の観点からは、フェライトの平均粒径は30μm以上とする必要があるが、粒径が過度に増大すると機械加工時の被削性が劣化するため、フェライトの平均粒径の上限は80μmとする。すなわち、フェライトの粒径を均一にかつ適正化することによって、機械加工での被削性が向上することを新たに見出した。
以下に、上記組織の特徴を決定するために行った実験について詳述する.
本発明の成分組成範囲に従う、C:0.072%、Si:0.07%、Mn:1.41%、Ti:0.19%、Mo:0.25%、P:0.011%、S:0.020%、Al:0.039%およびN:0.0028%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、これを1120℃に加熱後、直径100mmの棒鋼に熱間圧延し、その後、500℃までの平均冷却速度が0.18℃/sで室温まで冷却した。その際、組織を変化させるため、熱間圧延における圧延パススケジュール(各圧下パスの温度および減面率)を種々に変化させた。
かくして得られた棒鋼について、組織観察を行うと共に、引張試験値と磁気特性を測定した。
ここで、引張試験値については、棒鋼の1/4D(D:棒鋼の直径100mm)の位置から、平行部の直径6mmおよび平行部長さ40mmの試験片を棒鋼の長手方向に採取し、各測定に供した。
また、磁気特性については、得られた棒鋼の中央部から内径33mm、外径45mmおよび厚み5mmのリング状試験片を、リング板面が棒鋼断面と平行になるように採取し、1次巻線100回および2次巻線100回を施し、直流の励磁電流5000A/mでの磁束密度B50並びに、交流50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁したときの鉄損W10/50を測定した。
さらに、組織観察として、棒鋼の任意の位置、計20箇所から組織観察用試験片を採取して組織の同定を行った。それぞれの試験片について、各100個の粒を任意に選び、これらの断面積を画像処理によって求め、これと等価な断面積を持つ相当円の直径として計2000個の結晶粒の粒径を個別に算出すると共に、これらの平均値を求めることによって、棒鋼全体の平均結晶粒径を求めた。更にまた、後に詳述する電子顕微鏡観察により析出物の大きさを評価した。
上記組織観察の結果、圧延条件を問わず組織はフェライト単相となっていたが、結晶粒径を変えるために熱間圧延でのパススケジュール並びに焼鈍温度を種々変化させたため、個々のフェライト粒径は2μm程度から100μm程度まで変化していた。また、析出物の大きさに関しては、圧延条件を問わず、ほぼ5nm程度と微細になっていた。
また、これらの棒鋼の引張試験値を測定したところ、最低でも500MPaと高い降伏強度が得られたが、磁気特性はフェライトの平均結晶粒径と微細フェライト粒の分率に依存して変化していた。ここに、図1に、磁束密度B50、鉄損W10/50の値を、フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率にて区分した結果を示す。尚、粒径10μm以下のフェライトの面積率は、前記したフェライト2000個の内、粒径10μm以下であるフェライト粒の断面積の和を求め、これをフェライト2000個の断面積の総和で除することで算出した。
図1から判るように、フェライトの平均粒径が30μm以上の場合、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率が25%以下では、磁束密度は1.61T以上および鉄損は38W/kg以下となり、優れた磁気特性が得られる。ところが、粒径10μm以下のフェライト面積率が25%を超えると、磁束密度が1.56〜1.59Tと低くなり、または鉄損が42〜44W/kgと高くなり、磁束密度および鉄損の少なくとも一方が劣っている。また、フェライトの平均粒径が30μm未満と微細な場合には、粒径10μm以下のフェライト面積率が25%以下であっても、磁束密度が1.56〜1.59Tと低くなり、鉄損も42〜46W/kgと高くなり、低位な磁気特性しか得られない。
このように、析出物が5nmと微細な場合、フェライトの平均粒径を30μm以上とし、更に粒径10μm以下の微細フェライトの分率を低減すれば、磁気特性にとって有害と考えられてきた析出物の影響は防止され、優れた磁気特性を得ることができる。
この点を確認するために、さらに同様の検討を、成分組成、析出物径及びフェライト粒径が種々変化した鋼について行ったところ、析出物の大きさが10nm未満の場合、フェライトの平均粒径を30μm以上とすると共に、粒径10μm以下のフェライトの面積率を25%以下とすれば、高い磁束密度B50と低い鉄損W10/50が得られることが明らかとなった。従って、磁気特性の点からは、フェライトの平均粒径を30μm以上、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を25%以下とする必要がある。
ここで、粒径10μm以下の微細なフェライトが少ない場合には、磁気特性に対する析出物の悪影響が抑制される理由については必ずしも明らかではないが、磁壁移動に対する抑止力と結晶粒径との関係が示唆される。
一般に、磁気特性は、磁壁移動が容易な程好ましく、析出物は、この磁壁移動を妨げることで磁気特性に悪影響をおよぼすとされている。ところで、フェライト粒径が増大すると磁区の大きさも増大し、磁区の境界である磁壁の長さも増大する。ここで、磁壁長さが十分に長く、析出物が十分に微細な場合は、析出物による磁壁移動の抑止力と磁壁移動の駆動力との相対関係から、磁壁移動に対する析出物の影響が事実上無視できるようになると推察される。このため、フェライト粒径は大きい程磁気特性上有利となるが、鋼材全体を考えると、フェライト粒径は必ずしも同一ではなく、フェライト粒径にはある程度バラツキがあることに配慮する必要がある。
フェライト粒径にバラツキがあると、フェライトの大きな部分では磁壁は析出物の影響を受けず容易に移動できるが、フェライトの小さな部分では磁壁移動が析出物によって妨げられるため、これが磁壁の移動をある程度律速することになる。
従って、フェライトの平均的な大きさを増大させることに加えて、磁壁移動の律速となる微細なフェライトが占める割合を低減することが磁気特性上重要となる。このため、粒径10μm以下の微細なフェライトの割合を減じると、磁気特性に対する析出物の悪影響を防止するためのフェライトの平均粒径が、微細なフェライトの割合を特段考慮しない場合より低下するものと考えられる。
上記のように、磁気特性の点からは、フェライトの平均粒径は30μm以上とする必要があるが、粒径が過度に増大すると被削性が劣化するため、平均粒径の上限は80μmとする。以下、この点を説明する。
図1に結果を示した実験にて用いた鋼を、1220℃に加熱後、直径120mmの棒鋼に熱間圧延し、その後、500℃までの平均冷却速度:0.15℃/sで室温まで冷却した。その結晶粒径を変化させるため、熱間圧延における圧延パススケジュールを種々に変化させた。
得られた棒鋼の組織を観察した結果、圧延条件を問わず棒鋼の組織はフェライト単相となっていたが、結晶粒径を変えるために熱間圧延でのパススケジュールを種々変化させたため、個々のフェライト粒径は4μm程度から160μm程度まで変化していた。析出物の大きさに関しては、圧延条件を問わず、ほぼ5nm程度と微細になっていた。また、降伏強度も500MPa以上と十分高い値を示した。
これらの棒鋼を用いて被削性を調査した。被削性は、超硬工具P10を用い、切削速度200m/min、無潤滑の条件により棒鋼の外周切削を行い、工具の逃げ面磨耗が0.2mmに達した時間を工具寿命とした。
図2に、フェライト粒径と被削性との関係を示す。同図から、フェライトの平均粒径が80μm以下の場合、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率が20%以下であれば、工具寿命は15min以上と良好な値を示す。ところが、粒径10μm以下のフェライト面積率が20%を超えると、工具寿命は5min未満となる。更に、フェライトの平均粒径が80μm超と粗大な場合には、粒径10μm以下のフェライト面積率が20%以下であっても、5min未満の工具寿命しか得られない。
以上のように、フェライトの平均粒径が80μm以下であり、粒径10μm以下の微細フェライトが少ない場合に優れた被削性を得ることができる。この点を確認するために、同様の検討を化学組成、析出物径及びフェライト粒径が種々変化した鋼について行ったところ、析出物の大きさが10nm未満の場合、フェライトの平均粒径を80μm以下とすると共に、粒径10μm以下のフェライトの面積率を20%以下とすれば、これらを満たさないものに比べて工具寿命が大幅に延びることを確認した。これより、被削性の点からは、フェライトの平均粒径を80μm以下、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を20%以下と規定する。
ここで、フェライトの平均粒径が80μmを超えると被削性が劣化するのは、フェライトが過度に粗大になる場合に、粒径の粗大化に伴って切り屑が大きな単位で形成され、切削面が荒れるためと考えられる。また、粒径10μm以下のフェライトの面積率を増大すると、フェライト粒径の差に起因した硬度差の影響が顕在化し、この硬度の不均一性が被削性を劣化させるものと推察される。
以上、本発明の磁気特性と被削性に関する検討結果を纏めると、以下のようになる。
磁気特性の観点からは、フェライトの平均粒径を30μm以上、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を25%以下とする必要がある。また、被削性の観点からは、フェライトの平均粒径を80μm以下、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を20%以下とする必要がある。
本発明では、優れた磁気特性および被削性の両者を具備させることを目的としており、磁気特性及び被削性に対するフェライト粒径の要件が同時に満たされるように、フェライトの平均粒径を30μm以上80μm以下、粒径10μm以下のフェライトの面積率を20%以下と規定する。
次いで、本発明では微細析出物の粒径は10nm未満とする。析出物の粒径が10nm以上の場合、析出強化能が不足する。
微細析出物の粒径は小さい程強度上昇に有効であり、望ましくは5nm、更に望ましくは3nm以下とし、そのような微細析出物としてTiおよびMoを複合含有した炭化物、またそれらに更にNb、VおよびWの1種または2種以上を含む炭化物が好ましい。
なお、微細析出物の個数については、1000個/μm3以上、更に望ましくは5000個/μm3以上あると、高い降伏強度が得易く好適である。
これらの微細析出物は、母相中に均一に分散析出することが望ましい。また、本発明において、析出物の大きさは、全析出物の90%以上が満足すれば高い降伏強度が得られる。
但し、10nm以上の大きさの析出物は析出物形成元素を徒に消費し、強度に悪影響を与えるため、その大きさは50nm以下に抑えることが好ましい。
上述した析出物とは別に、少量のFe炭化物を含有しても本発明の効果は損なわれないが、平均粒径が1μm以上のFe炭化物を多量に含むと磁気特性を阻害するため、本発明においては、含有されるFe炭化物の大きさの上限は1μm、含有率は析出物全体の1%以下とすることが望ましい。
ここに、析出物の大きさおよび微細析出物の全析出物に占める割合は以下の方法により求める。
電子顕微鏡試料として、ツインジェット法を用いた電解研磨法で作製し、加速電圧200kVで観察する。その際、析出物が母相に対して計測可能なコントラストになるように母相の結晶方位を制御し、析出物の数え落としを最低限に抑えるため、焦点を正焦点からずらしたデフォーカス法で観察を行う。また、析出物粒子の計測を行った領域の試料厚さは、電子エネルギー損失分光法を用いて、弾性散乱ピークと非弾性散乱ピーク強度とを測定することで評価する。
この方法により、粒子径および粒子数の計測と試料厚さの計測を同じ領域について実行することができる。粒子径および粒子数の測定は、試料の0.5μm×0.5μmの領域4箇所について行い、1μm2当りに分布する析出物を粒径ごとの個数として算出する。次いで、この値と試料の厚さから析出物の1μm3当りに分布する粒子径ごとの個数を算出する。これにより、析出物の大きさと、全析出物に占める粒径が10nm未満の析出物の割合を求める。
[製造条件]
以下に、望ましい製造条件について説明する。
加熱温度
本発明では、熱間圧延後の冷却中に析出物を微細に析出させるために、熱間圧延前の鋳片に析出している析出物を、加熱炉にて一旦固溶させる必要がある。その際、加熱温度が1100℃未満であると、Ti-Mo系炭化物等が十分に固溶しないため、加熱温度は1100℃以上とする。
減面率
本発明では優れた磁気特性と被削性を得るために、フェライトの平均粒径を30μm以上80μm以下、粒径10μm以下のフェライトの面積率を20%以下とする必要がある。このうち、粒径10μm以下のフェライトの面積率を20%以下とするには、圧延初期に減面率25%以上の強圧下を施し、再結晶核を十分に導入することで圧延初期にオーステナイト粒径を均一化することが重要である。こうすることによって、最終的に得られるフェライト組織も均一化し、微細フェライトの生成を一定量以下に抑制することができる。ここで、粒径10μm以下のフェライトの面積率を20%以下とするには、25%以上の減面率が必要となるため、本発明では、熱間圧延の開始パスにおける減面率を25%以上と規定する。
フェライトの結晶粒径を30μm以上80μm以下とするには、熱間圧延の最終パスにおける減面率を制御することが有効である。具体的には、減面率を15%以上35%以下にすると、粒径30μm以上80μm以下のフェライトが得られるため、熱間圧延の最終パスにおける減面率については、減面率の範囲を15%以上35%以下とする。
仕上温度
本発明では、析出物の析出挙動がフェライト変態の進行と密接に関係しており、圧延後の冷却中に生じるフェライト変態の変態開始温度と析出物の析出開始温度との差が小さく、フェライト変態と析出とが競合する場合に、析出物がフェライト中に微細に分散析出する。フェライト変態と析出とを競合させるには、フェライト変態の開始温度を下げる必要があるが、熱間圧延おける仕上温度が低い場合には、圧延で導入される歪がフェライト変態の開始温度を上昇させ、析出物の微細化を阻害する。これを避けるためには、仕上温度を歪の影響が現れない高温にすれば良く、この点から仕上温度は880℃以上とする。
冷却速度
本発明では、熱間圧延後の冷却中に微細析出物を析出させる。その際、熱間圧延後の冷却速度が1.0℃/sを超えると低温変態相が生成し、析出が十分に進行せず、高い降伏強度が得られなくなる。そこで、熱間圧延後の冷却速度は1.0℃/s以下とする必要がある。また、冷却速度が1.0℃/s以下であれば、本発明鋼は低Cであることから、フェライト単相組織が得られる。尚、析出は500℃までで実質上終了するため、熱間圧延後から500℃までを1.0℃/s以下の冷却速度で冷却すれば良い。
なお、以上説明した製造方法で得られた本発明の棒鋼に対して、さらに焼鈍を施してもよい。熱間圧延の後に焼鈍を施すことにより、微細析出物を十分に析出させ、さらに組織を均一化でき、高い強度、磁気特性並びに被削性を一層高いレベルで兼備させることが可能となる。特に、焼鈍条件の適正化により微細なフェライト粒の面積率をさらに低減することが可能となり、被削性をさらに向上させることが可能となる。
以下、焼鈍を行った場合について、検討した結果を説明する。
本発明の成分組成範囲に従う、C:0.072%、Si:0.07%、Mn:1.41%、Ti:0.19%、Mo:0.38%、P:0.011%、S:0.020%、Al:0.025%およびN:0.0028%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、これを1220℃に加熱後、直径100mmの棒鋼に熱間圧延し、その後、500℃までの平均冷却速度が0.18℃/sで室温まで冷却した。その際、組織を変化させるため、熱間圧延における圧延パススケジュール(各圧下パスの温度および減面率)並びに、その後の焼鈍温度を種々に変化させた。
かくして得られた棒鋼について、組織観察を行うと共に、引張試験値と磁気特性を測定した。組織観察、引張試験、磁気特性の測定方法は、前述した方法と同様とした。
組織観察の結果、圧延条件を問わず組織はフェライト単相となっていたが、結晶粒径を変えるために熱間圧延でのパススケジュール並びに焼鈍温度を種々変化させたため、個々のフェライト粒径は3μm程度から110μm程度まで変化していた。また、析出物の大きさに関しては、圧延条件を問わず、ほぼ5nm程度と微細になっていた。
また、これらの棒鋼の引張試験値を測定したところ、最低でも520MPaと高い降伏強度が得られたが、磁気特性はフェライトの平均結晶粒径と微細フェライト粒の分率に依存していた。ここに、図3に、磁束密度B50、鉄損W10/50の値を、フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率にて区分した結果を示す。尚、粒径10μm以下のフェライトの面積率は、前記したフェライト2000個の内、粒径10μm以下であるフェライト粒の断面積の和を求め、これをフェライト2000個の断面積の総和で除することで算出した。
図3から明らかなように、フェライトの平均粒径が30μm以上の場合、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率を10%以下とすることによって、磁束密度が1.65T以上および鉄損が36W/kg以下というさらに高い磁気特性を得ることができる。この場合も、フェライトの平均粒径が30μm未満と微細な場合や粒径10μm以下のフェライトの面積率が10%を超える場合には、磁束密度が1.65T未満となるか、あるいは鉄損が36W/kg超えとなり、磁束密度が低いか鉄損が高くなっていた。
このように、析出物が5nmと微細な場合、フェライトの平均粒径を30μm以上とし、更に粒径10μm以下の微細フェライトの分率を、さらに10%以下にまで低減すれば、磁気特性にとって有害と考えられてきた析出物の影響は防止され、優れた磁気特性を得ることができる。
この点を確認するために、さらに同様の検討を、成分組成、析出物径及びフェライト粒径が種々変化した鋼について行ったところ、析出物の大きさが10nm未満の場合、フェライトの平均粒径を30μm以上とすると共に、粒径10μm以下のフェライトの面積率を10%以下とすれば、高い磁束密度B50と低い鉄損W10/50が得られることが明らかとなった。従って、磁気特性の点からは、フェライトの平均粒径を30μm以上、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を10%以下とすることが特に好ましい。
また、焼鈍を行うことによって、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率をさらに低減することは、被削性の向上に対しても有効であることもわかった。以下、この点を説明する。
図3に結果を示した実験にて用いた鋼を、1230℃に加熱後、直径120mmの棒鋼に熱間圧延し、その後、500℃までの平均冷却速度:0.15℃/sで室温まで冷却した。その結晶粒径を変化させるため、熱間圧延における圧延パススケジュールならびにその後の焼鈍温度を種々に変化させた。
得られた棒鋼の組織を観察した結果、圧延条件を問わず棒鋼の組織はフェライト単相となっていたが、結晶粒径を変えるために熱間圧延でのパススケジュール並びに焼鈍温度を種々変化させたため、個々のフェライト粒径は4μm程度から140μm程度まで変化していた。析出物の大きさに関しては、圧延条件を問わず、ほぼ5nm程度と微細になっていた。また、降伏強度も520MPa以上と十分高い値を示した。
これらの棒鋼を用いて被削性を調査した。被削性は、超硬工具P10を用い、切削速度200m/min、無潤滑の条件により棒鋼の外周切削を行い、工具の逃げ面磨耗が0.2mmに達した時間を工具寿命とした。
図4に、フェライト粒径と被削性との関係を示す。同図から、フェライトの平均粒径が80μm以下の場合、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率が5%以下であれば、工具寿命は30min以上と特に良好な値を示す。ここでも、フェライトの平均粒径が80μm超と粗大な場合には、粒径10μm以下のフェライト面積率が5%以下であっても、30min以上の工具寿命は向上しない。
以上のように、フェライトの平均粒径が80μm以下である場合には、粒径10μm以下の微細フェライトをさらに減少させることで被削性をより向上させることができる。この点を確認するために、同様の検討を化学組成、析出物径及びフェライト粒径が種々変化した鋼について行ったところ、析出物の大きさが10nm未満の場合、フェライトの平均粒径を80μm以下とすると共に、粒径10μm以下のフェライトの面積率を5%以下とすれば、これらを満たさないものに比べて工具寿命が大幅に延びることを確認した。これより、被削性の点からは、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を5%以下にまで低減することが特に好ましい。
図5、図6は他の成分組成について同様の調査を行った例である。すなわち、C:0.075%、Si:0.09%、Mn:2.15%、Ti:0.24%、Mo:0.48%、P:0.018%、S:0.023%、Al:0.029%およびN:0.0041%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼について、フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と、磁束密度B50、鉄損W10/50との関係を調査した結果を、図5に示す。
ここで、圧延条件を問わず組織はフェライト単相となっていたが、結晶粒径を変えるために熱間圧延でのパススケジュール並びに焼鈍温度を種々変化させたため、個々のフェライト粒径は2μm程度から100μm程度まで変化していた。また、析出物の大きさに関しては、圧延条件を問わず、ほぼ5nm程度と微細になっていた。また、これらの棒鋼の引張試験値を測定したところ、最低でも550MPaと高い降伏強度が得られたが、磁気特性はフェライトの平均結晶粒径と微細フェライト粒の分率に依存していた。
図5から明らかなように、この鋼の場合には、フェライトの平均粒径が30μm以上、かつ、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率を10%以下とすることによって、磁束密度が1.63T以上および鉄損が38W/kg以下となる。ところが、フェライトの平均粒径が30μm未満と微細な場合や粒径10μm以下のフェライトの面積率が10%を超える場合には、磁束密度が1.65T未満となるか、あるいは鉄損が38W/kg超えとなり、磁束密度が低いか鉄損が高くなっていた。
さらに、フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と被削性との関係を調査した結果を図6に示す。同図から、フェライトの平均粒径が80μm以下の場合、粒径10μm以下のフェライトの占める面積率が5%以下であれば、工具寿命は30min以上と良好な値を示す。ところが、粒径10μm以下のフェライト面積率が5%を超えると、工具寿命は30min未満となる。更に、フェライトの平均粒径が80μm超と粗大な場合には、粒径10μm以下のフェライト面積率が5%以下であっても、30min未満の工具寿命しか得られないことがわかる。
以上、本発明の磁気特性と被削性に関する検討結果から、特に好ましい範囲について纏めると、以下のようになる。
磁気特性の観点からは、フェライトの平均粒径を30μm以上、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を10%以下とする必要がある。また、被削性の観点からは、フェライトの平均粒径を80μm以下、粒径が10μm以下のフェライトの面積率を5%以下とする必要がある。
したがって、磁気特性及び被削性に対するフェライト粒径の要件が同時に満たされるように、フェライトの平均粒径を30μm以上80μm以下、粒径10μm以下のフェライトの面積率を5%以下とすることが特に好ましい。
粒径10μm以下のフェライトの面積率を5%以下とするには、上述の製造方法に加えて、以下に示す焼鈍条件を適用することで可能である。
焼鈍温度
本発明では、熱間圧延後の焼鈍によって微細析出物を十分に析出させ、さらに組織を均一化させることによって、高い強度、磁気特性並びに被削性をさらに高いレベルで兼備させることができる。この際、焼鈍温度が600℃未満では、微細析出物を析出させることができないため、高強度化が十分に図れない。加えて、粒径10μm以下のフェライトの面積率を5%以下とすることができず、磁気特性と被削性の改善が図れない。したがって、焼鈍温度は600℃以上とすることが好ましい。また、焼鈍温度が高すぎると微細析出物が粗大化するとともに、焼鈍後の冷却中に第2相が析出することで磁気特性が低下する。鋼中のMn含有量が1.7%以下の場合には、焼鈍温度を800℃以下とすれば良好な磁気特性が確保でき、また、鋼中のMn含有量が1.7%超の場合には、焼鈍温度を750℃以下とすれば良好な磁気特性が確保できることがわかった。
以上のような検討の結果、焼鈍を行う場合の焼鈍温度は、下記の温度域Tとする。

Mn含有量が1.7%以下のとき:600℃≦T≦800℃
Mn含有量が1.7%超のとき:600℃≦T≦750℃
[実施例1]
表1に示す組成の鋼を溶製し、これらを表2および表3に記載の条件に従って、所定寸法の棒鋼に熱間圧延した。 熱間圧延においては、加熱温度、パススケジュール、仕上温度および圧延後から500℃までの冷却速度を変化させた。ここで、圧延仕上寸法を変え、この圧延後に空冷することによって、冷却速度を変化させた。
かくして得られた棒鋼について、組織観察および引張試験を行うと共に、磁気特性ならびに工具寿命を測定した。
組織観察は、棒鋼の任意の位置計20箇所から組織観察用試験片を採取して組織の同定を行うと共に、それぞれの試験片について各100個の粒を任意に選び、これらの断面積を画像処理によって求め、これと等価な断面積を持つ相当円の直径として計2000個の結晶粒の粒径を個別に算出し、これらの平均値を求めて棒鋼全体の平均結晶粒径を求めた。また、計2000個の結晶粒の内、粒径10μm以下のフェライトの断面積の和を求め、これを結晶粒2000個の断面積の総和で除することで粒径10μm以下のフェライトの面積率を算出した。
更に、電解研磨にて薄膜試料を作製し、前記した方法に従い透過型電子顕微鏡(TEM)観察することで析出物の粒子径を測定すると共に、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を併用して析出物の同定を行った。
引張試験は、棒鋼の任意の1/4D位置より、平行部の直径が6mmおよび平行部長さが40mmの試験片を棒鋼の長手方向に採取し、降伏応力YSを測定した。
磁気特性については、得られた棒鋼の中央部から内径33mm、外径45mmおよび厚み5mmのリング状試験片をリング板面が棒鋼断面と平行になるように採取し、1次巻線100回および2次巻線100回を施し、直流の励磁電流5000A/mでの磁束密度B50ならびに、交流50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁したときの鉄損W10/50を測定した。
被削性は、超硬工具P10を用い、切削速度200m/min、無潤滑の条件により棒鋼の外周切削を行い、工具の逃げ面磨耗が0.2mmに達した時間を工具寿命とした。
上記した組織観察、引張試験、磁気測定ならびに工具寿命の測定結果を、表2および表3に示す。
表中のNo.は個々の結果を区分するためのものであり、供試鋼と熱延条件の組合せが明示されるように、鋼番と熱延条件を組み合せて起番した。例えば、鋼番1を条件Aで熱間圧延した場合は1-Aと起番した。
組織については、フェライトはF、ベイナイトやマルテンサイト等の低温変態相が生成し、その体積分率が5%を超える場合をTと略記した。析出物については平均粒子径を記載した。尚、粒子径のばらつきは、10nm未満の析出物で最大でも±1nm、それ以上の大きさの析出物では±3nmから±5nmであった。尚、組織に低温変態相が生成した場合については、結晶粒径と析出物の粒子径の測定は割愛した。
Figure 0005085963
Figure 0005085963
Figure 0005085963
表2は、熱間圧延条件は本発明範囲とし、鋼組成の影響を示したものであるが、同表から明らかなように、鋼組成および熱間圧延条件とも本発明範囲を満たす発明例では500MPa以上の降伏強度(降伏応力)が得られており、磁気特性についても、励磁電流5000A/mにおける磁束密度B50が1.60T以上、鉄損W10/50が38.1W/kg以下と高位の磁気特性を示す。また、切削時の工具寿命も15min以上の値を示している。
これに対して、鋼組成が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度と磁気特性の少なくとも一つが低位の値を示す。
No.17-Aは、Cが低く、微細析出物の析出量が不足しており、降伏強度が低い。
No.18-Aは、Cが高く、析出物が粗大化しており、降伏強度が低い。析出物が粗大な場合には、上述したように、析出物が磁気特性に悪影響を及ぼすため、磁束密度B50は1.57Tおよび鉄損W10/50は43W/kg程度となっており、磁気特性に劣る。
No.19-Aは、Mnが低いためフェライト変態と析出とが十分に競合せず、析出物が粗大に析出する結果、降伏強度が低くなった。また、析出物の粗大化に起因して、磁束密度B50が1.59Tと低く、鉄損W10/50が46W/kgと高い。
Mnの高いNo.20-Aは、低温変態相が生成し、微細析出物による析出強化が不足するため降伏強度が低い。また、低温変態相の生成に起因すると思われるが、磁束密度B50が1.55Tと低い。
No.21-Aは、Tiが低いため微細析出物の析出量が不足し降伏強度が低い。一方、Tiが高いNo.22-Aは、析出物が粗大化しており、降伏強度が低く、磁束密度B50並びに鉄損W10/50とも劣っている。
No.23-Aは、Moが低いために微細析出物の析出量が不足し、降伏強度が低い。一方、Moが高いNo.24-Aは、低温変態相が生成しており、微細析出物による析出強化が不足するため降伏強度が低い。また、Mnが高く、同じく低温変態相を生成したNo.20-Aと同様、磁束密度B50が1.56Tと低くなっている。
表3は、本発明鋼である鋼番2を種々の条件で熱間圧した結果を示したものであるが、同表から明らかなように、本発明鋼である鋼番2を本発明範囲の条件で熱間圧延した発明例では、500MPa以上と高い降伏強度が得られており、磁気特性についても、磁束密度B50が1.60T以上、鉄損W10/50が概略38W/kg以下と優れた値を示している。また、切削時の工具寿命も15min以上の値を示している。
一方、熱間圧延条件が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度、磁気特性、工具寿命の少なくとも一つが低位である。
すなわち、No.2-GおよびNo.2-Mは、熱間圧延における圧延開始パスの減面率が低く、粒径10μm以下のフェライトの面積率が本発明の上限である20%を超えており、析出物が磁気特性に悪影響を及ぼす結果、磁束密度B50と鉄損W10/50の何れか一方が劣っている。
No.2-HとNo.2-Nは熱間圧延における圧延最終パスの減面率が低く、フェライトの平均粒径が本発明の上限である80μmを超えており、工具寿命が短い。
No.2-IとNo.2-Oでは熱間圧延における圧延最終パスの減面率が高く、フェライトの平均粒径が本発明の下限である30μmを下回っており、析出物が磁気特性に悪影響を及ぼす結果、磁束密度B50及び鉄損W10/50が劣っている。
熱間圧延における減面率に加えて、加熱温度、仕上温度及び冷却速度についても適正化が必要であり、これらが本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度が低く500MPa以下となる。
すなわち、No.2-Pは、加熱温度が低く、熱間圧延前の鋳片に析出している析出物が加熱炉にて十分に固溶しないため、析出物の微細析出が阻害される結果、降伏強度が低く、加えて磁気特性も低位である。析出物に関しては、圧延後の冷却中に微細に析出したと思われるものと、鋳片で析出した析出物の溶け残りと思われるものが混在しており、析出物の平均粒子径は100nm以上となっていた。
No.2-Tは、仕上温度が低く、圧延で導入される歪がフェライト変態の開始温度を上昇させ、フェライト変態と析出との競合を妨げる結果、析出物が粗大化し、降伏強度が低下すると共に磁気特性が劣化している。
No.2-Uは、熱間圧延後の冷却速度が過大な例であるが、これのみ冷却速度を増加させるため、圧延後ミスト冷却を行った。冷却速度が速いと低温変態相が生成し、微細析出物の析出を妨げるため、降伏強度が低下することが判る。
[実施例2]
表4に示す組成の鋼を溶製し、これらを表5および表6に記載の条件に従って、所定寸法の棒鋼に熱間圧延した。
熱間圧延においては、加熱温度、パススケジュール、仕上温度および圧延後から500℃までの冷却速度を変化させた。ここで、圧延仕上寸法を変え、この圧延後に空冷することによって、冷却速度を変化させた。さらに、圧延後に、0〜850℃の温度での焼鈍を施した。
かくして得られた棒鋼について、組織観察および引張試験を行うと共に、磁気特性ならびに工具寿命を測定した。
組織観察は、棒鋼の任意の位置より、各々20個の組織観察用試験片を採取し、組織の同定を行った。それぞれの試験片について、JIS G 0552の切断法で結晶粒の平均断面積を求め、これより相当円の直径として各試験片の結晶粒径を算出し、更に各々20個の平均値を算出することによって、各位置の平均結晶粒径D並びに粒径10μm以下の圧延方向断面での面積率をそれぞれ求めた。
更に、電解研磨にて薄膜試料を作製し、前記した方法に従い透過型電子顕微鏡(TEM)観察することによって、析出物の粒子径を測定するとともに、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を併用し、析出物の同定を行った。
引張試験は、棒鋼の任意の1/4D位置より、平行部の直径が6mmおよび平行部長さが40mmの試験片を棒鋼の長手方向に採取し、降伏応力YSを測定した。
磁気特性については、得られた棒鋼の中央部から内径33mm、外径45mmおよび厚み5mmのリング状試験片をリング板面が棒鋼断面と平行になるように採取し、1次巻線100回および2次巻線100回を施し、直流の励磁電流1000および5000A/mでの磁束密度B10、B50ならびに、交流50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁したときの鉄損W10/50を測定した。
工具寿命は、超硬工具P10を用い、切削速度200m/min、無潤滑の条件により棒鋼の外周切削を行い、工具の逃げ面磨耗が0.2mmに達した時間を工具寿命とした。
上記した組織観察、引張試験、磁気測定ならびに工具寿命の測定結果を、表5および表6に示す。
表中のNo.は個々の結果を区分するためのものであり、供試鋼と熱延条件の組合せが明示されるように、鋼番と熱延条件を組み合せて起番した。例えば、鋼番1を条件Aで熱間圧延した場合は1-Aと起番した。
組織については、フェライトはF、ベイナイトやマルテンサイト等の低温変態相が生成し、その体積分率が5%を超える場合をTと略記した。析出物については平均粒子径を記載した。尚、粒子径のばらつきは、10nm未満の析出物で最大でも±1nm、それ以上の大きさの析出物では±3nmから±5nmであった。尚、組織に低温変態相が生成した場合については、結晶粒径と析出物の粒子径の測定は割愛した。
Figure 0005085963
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Figure 0005085963
表5は、熱間圧延条件は本発明範囲とし、鋼組成の影響を示したものであるが、同表から明らかなように、鋼組成および熱間圧延条件とも本発明範囲を満たす発明例では500MPa以上の降伏強度(降伏応力)が得られており、磁気特性についても、励磁電流1000 A/m における磁束密度B10が1.0T以上、5000A/mにおける磁束密度B50が1.65T以上、周波数50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁した際の鉄損W10/50が36W/kg以下と優れた磁気特性を示す。また、切削時の工具寿命も30min以上の値を示している。
これに対して、鋼組成が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度と磁気特性の少なくとも一つが低位の値を示す。
No.13-Aは、Cが低く微細析出物の析出量が不足しており、降伏強度が低い。
No.14-Aは、Cが高く析出物が粗大化しており、降伏強度が低い。析出物が粗大な場合には、前述したように析出物が磁気特性に悪影響をおよぼすため、磁束密度B10が0.87T、B50は1.57Tと低く、鉄損W10/50は40W/kg以上となっており、磁気特性が劣っている。
No.15-Aは、Mnが低いためにフェライト変態と析出が十分競合せず、析出物が粗大に析出する結果、降伏強度が低く、磁気特性が劣る結果となった。一方、Mnの高いNo.16-Aでは、低温変態相が生成し、微細析出物による析出強化が不足するため降伏強度が低い。また、低温変態相の生成に起因すると思われるが、磁束密度B10が0.91Tと低い。
Tiが高いNo.18-Aでは、析出物が粗大化しており、降伏強度が低く、磁束密度B50が低く、鉄損W10/50も劣っている。
No.19-Aは、Moが低いため微細析出物の析出量が不足し降伏強度が低い
表6は、本発明鋼である鋼番4を種々の条件で熱間圧延したのち焼鈍した結果であるが、同表から明らかなように、発明例では500MPa以上と高い降伏強度が得られており、磁気特性についても、磁束密度B10が0.93以上、B50が1.61T以上、鉄損W10/50が40W/kg以下と優れた値を示している。また、工具寿命も25min以上と優れた被削性を有している。発明例のうち、No.4-H鋼およびNo.4-N鋼は、焼鈍を行わないため、粒径10μm以下のフェライトの面積率が高く、焼鈍した鋼に比して磁束密度B10が低位である。
一方、熱間圧延条件あるいは焼鈍条件が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度、磁気特性および被削性の少なくとも一つが低位の値を示す。
No.4-G鋼は、焼鈍温度が高いため、析出物が固溶し、冷却中に第2相が析出する。その結果、強度が低く、磁気特性が劣っている。
No.4-I鋼およびNo.4-O鋼は、熱間圧延における圧延開始パスの減面率が低いため、粒径10μm以下の微細なフェライトの面積率が大きく、磁束密度B10が低位である。
No.4-J鋼は、熱間圧延における圧延最終パスの減面率が低く、フェライトの平均結晶粒径が本発明の上限である80μmを上回っているため、被削性が劣っている。
No.4-P鋼は、熱間圧延における圧延最終パスの減面率が高く、フェライトの平均結晶粒径が本発明の下限である30μmを下回っており、かつ10μm以下のフェライトの面積率も高いため、磁気特性が低位にある。
熱間圧延における減面率に加えて、加熱温度、仕上げ温度および冷却速度についても適正化する必要がある。これらの製造条件が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度が低く、磁気特性が低位である。
No.4-Q鋼は、加熱温度が低いため、熱間圧延前の鋳片の析出物が加熱炉で十分に固溶せず、析出物が粗大化する。その結果、降伏強度が低いことに加え、磁気特性も劣っている。
No.4-U鋼は、仕上げ温度が低く、圧延で導入される歪がフェライト変態の開始温度を上昇させ、フェライト変態と析出の競合を阻害する。その結果、析出物が粗大化し降伏強度が低下することに加え、磁気特性が劣化する。
No.4-V鋼は、熱間圧延後の冷却速度が過大な例であり、冷却速度を増大させるために圧延後にミスト冷却を行った。この冷却速度が速いと低温変態相が生成し、焼鈍を行っても微細析出物が十分に析出しないため、降伏強度が低下する。また、磁気特性も低位となった。
[実施例3]
表7に示す組成の鋼を溶製し、これらを表8および表9に記載の条件に従って、所定寸法の棒鋼に熱間圧延した。
熱間圧延においては、加熱温度、パススケジュール、仕上温度および圧延後から500℃までの冷却速度を変化させた。ここで、圧延仕上寸法を変え、この圧延後に空冷することによって、冷却速度を変化させた。さらに、圧延後に、0〜850℃の温度での焼鈍を施した。
かくして得られた棒鋼について、組織観察および引張試験を行うと共に、磁気特性ならびに工具寿命を測定した。
組織観察は、棒鋼の任意の位置より、各々20個の組織観察用試験片を採取し、組織の同定を行った。それぞれの試験片について、JIS G 0552の切断法で結晶粒の平均断面積を求め、これより相当円の直径として各試験片の結晶粒径を算出し、更に各々20個の平均値を算出することによって、各位置の平均結晶粒径D並びに粒径10μm以下の圧延方向断面での面積率をそれぞれ求めた。
更に、電解研磨にて薄膜試料を作製し、前記した方法に従い透過型電子顕微鏡(TEM)観察することによって、析出物の粒子径を測定するとともに、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を併用し、析出物の同定を行った。
引張試験は、棒鋼の任意の1/4D位置より、平行部の直径が6mmおよび平行部長さが40mmの試験片を棒鋼の長手方向に採取し、降伏応力YSを測定した。
磁気特性については、得られた棒鋼の中央部から内径33mm、外径45mmおよび厚み5mmのリング状試験片をリング板面が棒鋼断面と平行になるように採取し、1次巻線100回および2次巻線100回を施し、直流の励磁電流1000および5000A/mでの磁束密度B10、B50ならびに、交流50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁したときの鉄損W10/50を測定した。
被削性は、超硬工具P10を用い、切削速度200m/min、無潤滑の条件により棒鋼の外周切削を行い、工具の逃げ面磨耗が0.2mmに達した時間を工具寿命とした。
上記した組織観察、引張試験、磁気測定ならびに工具寿命の測定結果を、表8および表9に示す。
表中のNo.は個々の結果を区分するためのものであり、供試鋼と熱延条件の組合せが明示されるように、鋼番と熱延条件を組み合せて起番した。例えば、鋼番1を条件Aで熱間圧延した場合は1-Aと起番した。
組織については、フェライトはF、ベイナイトやマルテンサイト等の低温変態相が生成し、その体積分率が5%を超える場合をTと略記した。析出物については平均粒子径を記載した。尚、粒子径のばらつきは、10nm未満の析出物で最大でも±1nm、それ以上の大きさの析出物では±3nmから±5nmであった。尚、組織に低温変態相が生成した場合については、結晶粒径と析出物の粒子径の測定は割愛した。
Figure 0005085963
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表8は、熱間圧延条件は本発明範囲とし、鋼組成の影響を示したものであるが、同表から明らかなように、鋼組成および熱間圧延条件とも本発明範囲を満たす発明例では550MPa以上の降伏強度(降伏応力)が得られており、磁気特性についても、励磁電流1000 A/m における磁束密度B10が1.0T以上、5000A/mにおける磁束密度B50が1.65T以上、周波数50Hzで磁束密度1.0Tまで励磁した際の鉄損W10/50が36W/kg以下と優れた磁気特性を示す。また、切削時の工具寿命も30min以上の値を示している。
これに対して、鋼組成が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度と磁気特性の少なくとも一つが低位の値を示す。
No.13-Aは、Cが低く微細析出物の析出量が不足しており、降伏強度が低い。
No.14-Aは、Cが高く析出物が粗大化しており、降伏強度が低い。析出物が粗大な場合には、前述したように析出物が磁気特性に悪影響をおよぼすため、磁束密度B10が0.86T、B50は1.56Tと低く、鉄損W10/50は40W/kg以上となっており、磁気特性が劣っている。
No.15-Aは、Mnが低いためにフェライト変態と析出が十分競合せず、析出物が粗大に析出する結果、降伏強度が低く、磁気特性が劣る結果となった。一方、Mnの高いNo.16-Aでは、低温変態相が生成し、微細析出物による析出強化が不足するため降伏強度が低い。また、低温変態相の生成に起因すると思われるが、磁束密度B10が0.94T、B50は1.55Tと低い。
Tiが高いNo.18-Aでは、析出物が粗大化しており、降伏強度が低く、磁束密度B50が低く、鉄損W10/50も劣っている。
No.19-Aは、Moが低いため微細析出物の析出量が不足し降伏強度が低い。一方、Moが高いNo.20-Aでは、低温変態相が生成し、微細析出物による析出強化が不足するため降伏強度が低く、かつ磁気特性も劣っている。
表9は、本発明鋼である鋼番2を種々の条件で熱間圧延したのち焼鈍した結果であるが、同表から明らかなように、発明例では595MPa以上と高い降伏強度が得られており、磁気特性についても、磁束密度B10が0.90T以上、B50が1.60T以上、鉄損W10/50が40W/kg以下と優れた値を示している。また、工具寿命も25min以上と優れた被削性を有している。発明例のうち、No.2-H鋼およびNo.2−N鋼は、焼鈍を行わないため、粒径10μm以下のフェライトの面積率が高く、焼鈍した鋼に比してB10が低位である。
一方、熱間圧延条件あるいは焼鈍条件が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度、磁気特性および被削性の少なくとも一つが低位の値を示す。
No.2-G鋼は、焼鈍温度が高いため、析出物が固溶し、冷却中に第2相が析出する。その結果、強度が低く、磁気特性が劣っている。
No.2-I鋼およびNo.2-O鋼は、熱間圧延における圧延開始パスの減面率が低いため、粒径10μm以下の微細なフェライトの面積率が大きく、磁気密度性B10が低位である。
No.2-J鋼は、熱間圧延における圧延最終パスの減面率が低く、フェライトの平均結晶粒径が本発明の上限である80μmを上回っているため、被削性が劣っている。
No.2-P鋼は、熱間圧延における圧延最終パスの減面率が高く、フェライトの平均結晶粒径が本発明の下限である30μmを下回っており、かつ10μm以下のフェライトの面積率も高いため、磁気特性が低位にある。
熱間圧延における減面率に加えて、加熱温度、仕上げ温度および冷却速度についても適正化する必要がある。これらの製造条件が本発明範囲を外れた比較例では、降伏強度が低く、磁気特性が低位である。
No.2-Q鋼は、加熱温度が低いため、熱間圧延前の鋳片の析出物が加熱炉で十分に固溶せず、析出物が粗大化する。その結果、降伏強度が低いことに加え、磁気特性も劣っている。
No.2-U鋼は、仕上げ温度が低く、圧延で導入される歪がフェライト変態の開始温度を上昇させ、フェライト変態と析出の競合を阻害する。その結果、析出物が粗大化し降伏強度が低下することに加え、磁気特性が劣化する。
No.2-V鋼は、熱間圧延後の冷却速度が過大な例であり、冷却速度を増大させるために圧延後にミスト冷却を行った。この冷却速度が速いと低温変態相が生成し、焼鈍を行っても微細析出物が十分に析出しないため、降伏強度が低下する。また、磁気特性も低位となった。
フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と磁束密度B50および鉄損W10/50との関係を示す図である。 フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と切削工具寿命との関係を示す図である。 フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と磁束密度B50および鉄損W10/50との関係を示す図である。 フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と切削工具寿命との関係を示す図である。 フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と磁束密度B50および鉄損W10/50との関係を示す図である。 フェライトの平均粒径および粒径10μm以下のフェライトの面積率と切削工具寿命との関係を示す図である。

Claims (14)

  1. 質量%で
    C:0.04〜0.12%、
    Si:0.5%以下、
    Mn:0.5〜3.0%、
    Al:0.1%以下、
    Ti:0.03〜0.35%および
    Mo:0.05〜0.8%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有し、平均結晶粒径が30μm以上80μm以下のフェライトの面積率が95%以上の組織からなり、粒径が10μm以下のフェライトの面積率が20%以下であり、かつフェライト中に粒径10nm未満の微細析出物が分散していることを特徴とする電磁棒鋼。
  2. 前記成分組成は、下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電磁棒鋼。

    0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)]≦1.50 …(1)
    ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
  3. 前記微細析出物は、TiおよびMoの炭化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁棒鋼。
  4. 前記成分組成は、更に質量%で
    Nb:0.08%以下、
    V:0.15%以下および
    W:1.5%以下
    の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁棒鋼。
  5. 前記成分組成は、下記(2)式を満たすことを特徴とする請求項4に記載の電磁棒鋼。

    0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)]≦1.50…(2)
    ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
  6. 前記微細析出物は、TiおよびMoを含み、かつNb、VおよびWのうちの少なくとも1種を含む炭化物であることを特徴とする請求項4または5に記載の電磁棒鋼。
  7. 前記成分組成は、更に質量%で
    S:0.01〜0.1%を含み、かつ
    Pb:0.2%以下、
    Ca:0.005%以下、
    Bi:0.1%以下および
    B:0.02%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電磁棒鋼。
  8. 前記粒径が10μm以下のフェライトの面積率は5%以下であることを特徴とする請求項1ないし7に記載の電磁棒鋼。
  9. 質量%で
    C:0.04〜0.12%、
    Si:0.5%以下、
    Mn:0.5〜3.0%、
    Al:0.1%以下、
    Ti:0.03〜0.35%および
    Mo:0.05〜0.8%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上に加熱した後、熱間圧延を、開始パスにおける減面率が25%以上、最終パスにおける減面率が15%以上35%以下および仕上温度880℃以上で施し、次いで1.0℃/s以下の冷却速度で冷却することを特徴とする電磁棒鋼の製造方法。
  10. 前記鋼素材は、下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項9に記載の電磁棒鋼の製造方法。

    0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)]≦1.50 …(1)
    ただし、化学成分表示は当該成分の含有量(質量%)を示す。
  11. 前記鋼素材は、更に質量%で
    Nb:0.08%以下、
    V:0.15%以下および
    W:1.5%以下
    の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項9に記載の電磁棒鋼の製造方法。
  12. 前記鋼素材は、下記(2)式を満たすことを特徴とする請求項11に記載の電磁棒鋼の製造方法。

    0.50≦(C/12)/[(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)]≦1.50…(2)
    ただし、化学成分は当該成分の含有量(質量%)を示す。
  13. 前記鋼素材は、更に質量%で
    S:0.01〜0.1%を含み、かつ
    Pb:0.2%以下、
    Ca:0.005%以下、
    Bi:0.1%以下および
    B:0.02%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の電磁棒鋼の製造方法。
  14. 前記熱間圧延を、開始パスにおける減面率を30%以上として、請求項9ないし13のいずれかに記載の方法にて製造された棒鋼に対し、下記温度域Tにて焼鈍することを特徴とする電磁棒鋼の製造方法。

    Mn含有量が1.7%以下のとき:600℃≦T≦800℃
    Mn含有量が1.7%超のとき:600℃≦T≦750℃
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