JP5084400B2 - 波形分離方法 - Google Patents

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本発明は試料分析装置で取得したエネルギースペクトルを波形分離する方法に関する。
試料分析装置では、一次粒子線を試料表面に照射し、試料表面から発生する二次粒子を分光・検出して得られるエネルギースペクトルの各ピークから試料表面の元素の定性・定量分析を行っている。
しかし、試料分析装置で得られるエネルギースペクトルは複数のピークを含むが、隣接したピーク同士が重なり合うことが多く、元素の定性・定量分析に支障を来たす。
そこで、測定されたエネルギースペクトルの各ピークを分離して元素の定性・定量分析を行っている。
図1はこのような元素の定性・定量分析を行うオージェ電子分光分析装置の一概略例を示す図である。
図中1は電子銃、2,3は、それぞれ、前記電子銃1からの電子線4を試料5上に集束するための集束レンズ,対物レンズである。
6X,6Yは前記電子銃1から放出された前記電子線4で前記試料5上を、それぞれ、X方向とY方向に走査するためのX方向偏向器とY方向偏向器である。7は前記試料5を載置する試料ステージである。
8はオージェ電子分光分析装置を成す各手段の制御並びに収集データに基づく各種演算処理を行う制御装置である。
9は該制御装置からの指令に基づいて、電子銃用電源9A、集束レンズ用電源9B、偏向器用電源9C、対物レンズ用電源9Dのそれぞれに制御信号を送る電源制御装置、10は前記制御装置8からの指令に基づいて前記試料ステージ7を移動制御する試料ステージ制御装置である。
11は前記試料5から放出されたオージェ電子を分光・検出するオージェ電子分光器で、該オージェ電子分光器の出力信号は増幅器12Aで増幅され、エネルギースペクトル信号に変換される。そして該エネルギースペクトル信号はAD変換器13を介して前記制御装置8に送られる。
14は該エネルギースペクトル信号を記憶する記憶装置、15は前記制御装置8からの指令に基づいて前記記憶装置14から読み出された前記スペクトル信号を表示する表示装置、16はオペレータが各指令を入力する入力装置で、例えば、マウスやキーボードが用いられる。なお、図示しなかったが、このようなオージェ電子分光分析装置には電子線4で試料5上を走査したとき、該試料から発生する二次電子を検出する二次電子検出器が設けられている。
このような構成のオージェ電子分光分析装置において、まず、オペレータは入力装置16で試料5表面を分析するために電子線4の照射条件(電子線の加速電圧、各レンズ電流、電子線の照射個所等)を指定する。制御装置8は前記入力装置16で指定された前記照射条件に基づいて、電源制御装置9に指令を送る。
該電源制御装置は、前記照射条件に基づいて電子銃1から電子線4を発生させるための制御信号を電子銃用電源9Aに、前記照射条件に基づいて試料5上に電子線4を集束させるための制御信号を集束レンズ用電源9Bと対物レンズ用電源9Dに、前記照射条件に基づいて試料5上の分析個所を電子線4で照射するための制御信号を偏向器用電源9Cにそれぞれ送る。
すると、前記電子銃1から放出され所定の加速電圧に基づいて加速された電子線4は、前記集束レンズ2と対物レンズ3により細く絞られて試料5上に集束され、前記X方向偏向器6X及びY方向偏向器6Yにより、前記試料5上の所定個所に照射される。
前記電子線4の照射により試料5表面から発生したオージェ電子は、オージェ電子分光器11により分光・検出される。該オージェ電子分光器の出力信号は、増幅器12A、AD変換器13を介して、エネルギースペクトル信号として制御装置8に送られ、一旦、記憶装置14に記憶される。なお、該記憶装置には各標準試料で測定された各元素及び各化合物における標準スペクトルが記憶されている。
このようにして取得されたエネルギースペクトルが、例えば、図2に示す17の実線で示すような波形のエネルギースペクトルで2つの元素のピークP1、P2が重なり合った形状をしているものとする。
まず、入力装置16からの指示により、制御装置8は記憶装置14から前記取得したエネルギースペクトル信号を読み出し、表示装置15の表示画面上に表示させる。
次に、オペレータは前記入力装置16にて前記表示装置15の表示画面上に表示された前記エネルギースペクトル17の各元素のピーク位置に合ったピーク位置λ1、λ2の標準スペクトルを前記入力装置16にて指定する。
該入力装置16の指定により前記制御装置8は記憶装置14から指定された標準スペクトルを読み込み、図2の各破線に示すように前記エネルギースペクトル17を、元素のピークP1に対応する標準スペクトル18と、元素のピークP2に対応する標準スペクトル19に波形分離する。
特開2006−275522号公報
さて、分析すべき試料には化合物の標準スペクトルを用いて測定されたエネルギ−スペクトルの波形分離を行うことがある。このような化合物の標準スペクトルの中には化学結合に関与している外殻電子の結合エネルギーが変化し、スペクトルのピーク位置やピーク形状が変化するものがあって、該化合物の標準スペクトルを用いて測定されたエネルギースペクトルを各元素のエネルギースペクトルに波形分離することはできない場合がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので新規な波形分離方
法を提供することを目的とする。
本発明のエネルギースペクトルの波形分離方法は、分析すべき試料に一次粒子線を照射することにより該試料から発生した二次粒子に基づいて該試料に関するエネルギースペクトル信号を得て該スペクトルを表示手段に表示するようにしたエネルギースペクトル測定方法において、前記一次粒子線を少なくとも二つの異なる一次粒子エネルギーで夫々前記試料に照射し、該各照射により得られた各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号を記憶手段に記憶し、前記試料を成す各元素のエネルギースペクトルのピーク強度の一次粒子線、一次粒子エネルギー変化に応じた変化率を分析情報変化率として求め、前記記憶手段に記憶された各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号と前記求めた試料を成す各元素の分析情報変化率とから前記試料を成す各元素のエネルギースペクトルのピーク強度を分離するように成したことを特徴とする。
本発明によれば、波形分離に用いる標準スペクトルのピーク波形が結合状態の違いにより大きく変化して、二つの元素のピークが重なったエネルギースペクトルを各元素のエネルギースペクトルに波形分離することができない場合においても、測定されたエネルギースペクトルを各元素のエネルギースペクトルに波形分離することとができる。
以下に図面に沿って本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図3は本発明のエネルギースペクトルの波形分離方法を実施する装置の一例としてオージェ電子分光分析装置の一概略例を示したもので、前記図1にて使用した記号と同一記号の付されたものは同一構成要素を示す。
図3において、12Bはオージェ電子分光器11で分光・検出され、増幅器12Aでエネルギースペクトル信号に変換された信号を微分する微分演算装置、21は入力装置16から指定された各加速電圧の値を電源制御装置9とオージェ電子分光器11に設定する設定手段、22は該設定手段からの指令に基づいて分析情報変化率を算出する分析情報変化率算出手段、23は前記分析情報変化率算出手段22からの指令に基づいて記憶装置14から読み出された加速電圧毎に取得されたエネルギースペクトルと前記分析情報変化率算出手段22からの分析情報変化率とに基づいて測定されたエネルギースペクトルの波形分離処理を行う波形分離処理手段23である。
次に、このような構成のオージェ電子分光分析装置で、例えば、TiNのエネルギースペクトルの波形分離を行う方法を図3、図4、図5、図6、図7を用いて説明する。なお、或る加速電圧で加速した電子線のTiNへの照射によって分光・検出、増幅及び微分されて得られたエネルギースペクトル信号は図4に示すようにエネルギーが380eV付近で2種類の元素のTi−LMMピークとN−KLLピークが重なっているとする。
なお、このエネルギースペクトル信号はバックグランドを除去した微分ピーク強度信号である。
次に、電子銃1からの電子線4を集束レンズ2及び対物レンズ3で試料5上に集束させ、X方向偏向器6XとY方向偏向器6Yで偏向された電子線4で前記試料5上を走査する。該走査により前記試料5から放出された二次電子を検出し、該検出された二次電子信号に基づいて表示装置15の表示画面上に前記試料の二次電子像を表示させる。
オペレータは前記表示装置15に表示された二次電子像から試料5上の元素分析すべき個所を決める。
そして、試料5上で元素分析する個所が決まったら、オペレータは入力装置16にて分析に使われる電子線の加速電圧を複数、例えば、5kVと10kVを指定する(S301)。
該指定された加速電圧5kV、10kVは前記設定手段21のメモリ(図示せず)に一旦記憶されると同時に、該設定手段は該メモリ(図示せず)から前記加速電圧5kVを読み出し、加速電圧5kVで試料分析を行う指令を前記電源制御装置9とオージェ電子分光器11に送る。
該電源制御装置は前記設定手段21からの指令に基づいて、電子銃1には加速電圧5kVで電子線4を加速させる制御信号を、集束レンズ2と対物レンズ3には加速電圧5kVで加速した電子線4を試料5上で集束させるための制御信号を、X方向偏向器6XとY方向偏向器6Yには試料5上の分析すべき個所に該電子線が照射されるための制御信号をそれぞれ送るので、前記試料5上の分析個所に、加速電圧5kVで加速された電子線4が照射される(S302)。
該電子線の照射により試料5表面の分析個所から放出されたオージェ電子は電子分光器11により分光・検出される(S303)。
前記オージェ電子分光器11の出力は、増幅器12Aと微分演算装置12B及びAD変換器13を介してエネルギースペクトル信号として前記制御装置8に送られ、記憶装置14に加速電圧5kVに関連づけて記憶される。この記憶されたエネルギースペクトルをD5kVとする。
前記設定手段21は、所定の分析設定した加速電圧5kVと10kVでの分析が終了したかどうか判定し(S304)、分析が終了していない場合には、S302に移行し、前記設定手段21はメモリ(図示せず)から加速電圧10kVを読み出し、加速電圧10kVで分析を行う指令を前記電源制御装置9と前記オージェ電子分光器11に送る。
該電源制御装置は前記設定手段21からの指令に基づいて、電子銃1には加速電圧10kVで電子線4を加速させる制御信号を、集束レンズ2と対物レンズ3には、加速電圧10kVで加速した電子線4を試料5上で集束させるための制御信号を、偏向器6Xと6Yには試料5上の分析すべき個所と同一個所に電子線4が照射されるための制御信号をそれぞれ送るので、前記試料5上の分析個所に加速電圧10kVで加速された電子線4が照射され(S302)、前記電子線4の照射により前記分析個所から放出されたオージェ電子はオージェ電子分光器11により分光・検出される(S303)。
前記オージェ電子分光器11の出力信号は、増幅器12Aと微分演算装置12B及びAD変換器13を介して、エネルギースペクトル信号として前記制御装置8に送られ、記憶装置14に加速電圧10kVに関連づけて記憶される。この記憶されたエネルギースペクトルをD10kVとする。
次に、前記設定手段21が分析の終了を認識すると(S304)、該設定手段は分析完了の指令を分析情報変化率算出手段22に送る。
該分析情報変化率算出手段は、送られてきた分析完了指令に基づいて前記設定手段21から加速電圧5kV及び10kVを読込み、分析情報変化率を算出する(S305)。
ここで、分析情報変化率は、イオン化断面積の変化率と比例する。また、イオン化断面積は任意のエネルギーを持つ電子が原子内の結合エネルギーEcの内殻電子を励起する確率を現わすもので、図6に示すように原子に衝突する電子のエネルギーに依存して変化する。なお、図6において横軸は試料に照射する一次電子線のエネルギーに対応する加速電圧Ep(eV)を結合エネルギーEc(eV)で除した値(一次電子線のエネルギーEp/結合エネルギーEc)を、縦軸は最大値を1.0に規格化したイオン化断面積の値を示しており、前記分析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
前記分析情報変化率算出手段22は、次のようにして分析情報変化率を算出する。
まず、該分析情報変化率算出手段は、該分析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)に予め記憶されている一次電子線のエネルギーEp/結合エネルギーEcに対する規格化されたイオン化断面積のデータ(図6のグラフ)を読み込む。
前記分析情報変化率算出手段22は、仮に、チタン(Ti)と窒素(N)の結合エネルギーをそれぞれ455eV と399eVとすると、チタン(Ti)に対する加速電圧5kVと結合エネルギー455eVの比10.99(=5000/455)、窒素(N)に対する加速電圧5kVと結合エネルギー399eVの比12.53(=5000/399)にそれぞれ対応する規格化されたイオン化断面積の値α(Ti)、β(N)を前記読み込まれたデータから求める。
更に、チタン(Ti)に対する加速電圧10kVと結合エネルギー455eVの比21.98、N(窒素)に対する加速電圧10kVと結合エネルギー399eVの比25.06にそれぞれ対応する規格化されたイオン化断面積の値α´(Ti)、β´(N)を同様に前記読込まれたデータから求める。
そして、前記分析情報変化率算出手段22は前記求めたイオン化断面積α
(Ti)とα´(Ti)からTiの分析情報変化率rTi(=α´(Ti)/α(Ti))と、β(N)とβ´(N)からNの分析情報変化率rN(=β´(N)/β(N))とを算出する。
該算出されたチタン(Ti)と窒素(N)の分析情報変化率rTi、rNは前記分析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)に一旦記憶される。
このようにして、チタン(Ti)と窒素(N)の分析情報変化率の算出が完了すると、前記分析情報変化率算出手段22は波形分離処理手段23に分析情報変化率算出完了の指令を送る。
該波形分離処理手段は該指令に基づいて前記記憶装置14から加速電圧5kVでのエネルギースペクトルD5kV と10kVでのエネルギースペクトルD10kVを、前記分析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)からチタン(Ti)と窒素(N)の分析情報変化率rTi、rNをそれぞれ読み込み、波形分離演算処理を行う(S306)。
さて、加速電圧5kVで加速した電子線で試料に照射して得られるチタン(Ti)のエネルギースペクトルを仮にR5kV(Ti)とし、窒素(N)のエネルギースペクトルを仮にR5kV(N)とすると、次の(1)、(2)の関係式が成り立つ。
Figure 0005084400
Figure 0005084400
(1)と(2)の連立方程式より、次の(3)、(4)式が得られる。
Figure 0005084400
Figure 0005084400
前記波形分離処理手段23はこのような演算を行うことにより、チタン(Ti)のエネルギースペクトルR5kV(Ti)と窒素(N)のエネルギースペクトルR5kV(N)を算出する。
前記波形分離処理手段23は算出したチタン(Ti)のエネルギースペクトルR5kV(Ti)の信号と窒素(N)のエネルギースペクトルR5kV(N)の信号を、制御装置8を通じて表示装置15に送る。
該表示装置は図7に示すようにエネルギー380eV付近にTi-LMMピークPTi、N-KLLピークPNを有するチタン(Ti)のエネルギースペクトルGTiと窒素(N)のエネルギースペクトルGNをそれぞれ分離して表示する(S307)。
上記実施例では試料を成す各元素のエネルギースペクトルピークのイオン化断面積を求め、同一元素の異なる加速電圧の各イオン化断面積の比に基づいて元素の分析情報変化率を求める例を説明したが、該分析情報変化率は、測定されたエネルギースペクトルの各元素のピークに基づく相対感度係数から求めることもできる。
ここで、相対感度係数とは、元素によって異なるエネルギースペクトルのピーク感度を補正するもので、基準元素のピーク強度に対する強度比を相対感度係数としている。
まず、オペレータは入力装置16にて電子線の加速電圧を複数、例えば、加速電圧5kV及び10kVを指定し(S301)、前記と同様に加速電圧5kV、10kVに関連づけたエネルギースペクトル信号D´5kV、D´10kVを得て記憶装置14に一旦記憶する(S302、S303)。
次に、分析情報変化率算出手段22は、制御装置8を介して前記記憶装置14から各加速電圧に対するエネルギースペクトルD´5kVとエネルギースペクトルD´10kVを読み出し、事前に加速電圧10kVで加速された電子線を標準試料(例えば銅)に照射して得た銅ピーク強度を基準として前記エネルギースペクトルD´5kVとD´10kVの元素固有の各ピークTi-LMM、N-KLLの相対感度係数Si Ti‐LMM、相対感度係数Si N‐KLLを算出する。図8はこのようにして算出された5kV、10kVにおけるTi-LMMピークとN-KLLピークの相対感度係数を表す。
次に、前記分析情報変化率算出手段22は加速電圧5kVの相対感度係数Si Ti‐LMMと加速電圧10kVの相対感度係数Si Ti‐LMMから分析情報変化率(例えば、図8中の括弧内の数値で加速電圧5kVのとき1.1435、加速電圧10kVのとき1.0)、加速電圧5kVの相対感度係数Si N‐KLLと加速電圧10kVの相対感度係数Si N‐KLLから分析情報変化率(例えば、図8中の括弧内の数値で加速電圧5kVのとき1.0、加速電圧10kVのとき0.6556)をそれぞれ算出する(S305)。
該算出されたチタンと窒素の、各加速電圧におけるそれぞれの分析情報変化率は前記析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)に一旦記憶される。
このようにして、各加速電圧のチタンのTi−LMMピークと窒素のN−KLLピークに対する分析情報変化率の算出が完了すると、前記分析情報変化率算出手段22は波形分離処理手段23に分析情報変化率算出完了の指令を送る。
該波形分離処理手段は該指令に基づいて前記記憶装置14から加速電圧5kVでのエネルギースペクトルD´5kV と加速電圧10kVでのエネルギースペクトルD´10kVと、前記分析情報変化率算出手段22内のメモリ(図示せず)から前記分析情報変化率の値をそれぞれ読み込み、波形分離演算処理を行う(S306)。
さて、加速電圧5kVで加速した電子線で試料5に照射して得たチタン(Ti)のエネルギースペクトルを仮にR5kV´(Ti)とし、窒素(N)のエネルギースペクトルを仮にR5kV´(N)とすると、次の(5)、(6)の関係式が成り立つ。
Figure 0005084400
Figure 0005084400
前記波形分離処理手段23はこのような関係式から、チタン(Ti)のエネルギースペクトルR5kV´(Ti)と窒素(N)のエネルギースペクトルR5kV´(N)を算出する演算を行う。
前記波形分離処理手段23は算出したチタン(Ti)のエネルギースペクトルR5kV´(Ti)の信号と窒素(N)のエネルギースペクトルR5kV´(N)の信号を、制御装置8を通じて表示装置15に送る。
該表示装置は図7に示すようにエネルギー380eV付近にTi-LMMピークPTi、N-KLLピークPNを有する。チタン(Ti)のエネルギースペクトルGTiと窒素(N)のエネルギースペクトルGNをそれぞれ分離して表示する(S307)。
このように分析すべき試料に電子線のエネルギーを変えた照射を行って得たエネルギースペクトル信号と電子線のエネルギーから試料を成す各元素のエネルギースペクトルピークのイオン化断面積を求め、同一元素の異なる加速電圧における各イオン化断面積の比に基づいて該元素の分析情報変化率を算出した値とから各元素のエネルギースペクトルを求めることができる。
また、前記例では、分析試料表面上への電子線の照射はスポット照射、または電子線を走査するものであっても良い。
また、前記例では、2種類の元素のピークが完全に重なるエネルギースペクトルの場合を例に挙げて説明したが、本発明の方法は3種類以上の元素のピークが完全に重なるエネルギースペクトルの波形分離する場合についても応用可能である。但し、3種類以上の元素のピークが完全に重なる場合や前記加速電圧の設定が3設定以上の場合には波形分離処理の演算は未知数の数が多くなり前記連立方程式で算出することができなくなるので、この場合の波形分離処理の演算は多変量解析手法を用いる。
また、前記例では、オージェ電子分光分析装置(AES)を用いて取得したエネルギースペクトルを波形分離する方法を例に挙げて説明したが、本発明の方法は他の装置、例えば、X線光電子分光分析装置(XPS),電子線マイクロアナライザ(EPMA)においても適用することが可能である。
但し、該X線光電子分光分析装置の場合、分析情報変化率は照射X線のエネルギーに応じて変化する元素のイオン化断面積のデータを用いる。
従来のオージェ電子分光分析装置の一概略例を示したものである。 従来のエネルギースペクトル分離方法を説明するのに用いた図である。 本発明のエネルギースペクトル波形分離方法を実施する装置例であるオージェ電子分光分析装置の一概略例を示したものである。 TiNのエネルギースペクトルを示す。 本発明のエネルギースペクトル波形分離方法の一工程例を示したフローチャートである。 本発明のエネルギースペクトル波形分離方法の動作を説明に用いた図である。 本発明のエネルギースペクトル波形分離方法で得られた分離エネルギースペクトルを示す。 本発明の他の実施例で使用される5kV、10kVにおけるTi−LMMピークとN−KLLピークの相対感度係数を示す。
符号の説明
1…電子銃
2…集束レンズ
3…対物レンズ
4…電子線
5…試料
6X…X方向偏向器
6Y…Y方向偏向器
7…試料ステージ
8…制御装置
9…電源制御装置
9A…電子銃用電源
9B…集束レンズ用電源
9C…偏向器用電源
9D…対物レンズ用電源
11…オージェ電子分光器
12A…増幅器
12B…微分演算装置
13…AD変換器
14…記憶装置
15…表示装置
16…入力装置
17…エネルギースペクトル
18、19…標準スペクトル
21…設定手段
22…分析情報変化率算出手段
23…波形分離処理手段

Claims (5)

  1. 分析すべき試料に一次粒子線を照射することにより該試料から発生した二次粒子に基づいて該試料に関するエネルギースペクトル信号を得て該スペクトルを表示手段に表示するようにしたエネルギースペクトル測定方法において、前記一次粒子線を少なくとも二つの異なる一次粒子エネルギーで夫々前記試料に照射し、該各照射により得られた各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号を記憶手段に記憶し、前記試料を成す各元素のエネルギースペクトルのピーク強度の一次粒子エネルギー変化に応じた変化率を分析情報変化率として求め、前記記憶手段に記憶された各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号と前記求めた試料を成す各元素の分析情報変化率とから前記試料を成す各元素のエネルギースペクトルのピーク強度を分離するように成したエネルギースペクトル測定方法。
  2. (一次粒子エネルギー/結合エネルギー)に対するイオン化断面積の関係データから各一次粒子エネルギーに対する前記試料を成す各元素のエネルギースペクトルピークのイオン化断面積を求め、同一元素の異なる一次粒子エネルギーにおける各イオン化断面積の比に基づいて該元素の前記分析情報変化率を算出するようにした請求項1記載のエネルギースペクトル測定方法。
  3. 分析すべき試料に一次粒子線を照射することにより該試料から発生した二次粒子に基づいて該試料に関するエネルギースペクトル信号を得て該スペクトルを表示手段に表示するようにしたエネルギースペクトル測定方法において、前記一次粒子線の一次粒子エネルギーを少なくとも一回変えて前記試料に照射し、該各照射により得られた各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号を記憶手段に記憶し、前記一次粒子エネルギーで加速した一次粒子線で標準試料に照射して得た標準試料元素のエネルギースペクトルのピーク強度を基準として各一次粒子エネルギーに対する前記分析すべき試料を成す各元素の相対感度係数を求め、該求めた相対感度係数から各一次粒子エネルギーに対する前記分析すべき試料を成す各元素の分析情報変化率を算出し、前記記憶手段に記憶された各一次粒子エネルギーに対するエネルギースペクトル信号と前記算出した試料を成す各元素の分析情報変化率とから前記試料を成す各元素のエネルギースペクトル信号を算出し、該試料を成す各元素のエネルギースペクトルを表示装置に表示するように成したエネルギースペクトル測定方法。
  4. 前記分析すべき試料に照射する一次粒子線は電子である請求項1若しくは3記載のエネルギースペクトル測定方法。
  5. 前記分析すべき試料に照射する一次粒子線はX線である請求項1若しくは3記載のエネルギースペクトル測定方法。
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