JP5083144B2 - 静電容量型センサーデバイスの容量変化検出回路、静電容量型センサーモジュール、静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法及び電子機器 - Google Patents

静電容量型センサーデバイスの容量変化検出回路、静電容量型センサーモジュール、静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法及び電子機器 Download PDF

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Description

この明細書で説明する発明は、静電容量型センサーデバイスに対する操作入力又は位置入力の検出技術に関する。なお、この明細書で提案する発明は、静電容量型センサーデバイスの容量変化検出回路、静電容量型センサーモジュール、静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法及び電子機器としての側面を有する。
今日、様々な種類の位置入力装置が存在する。その一つに、指や指と同等の電気特性を有する専用のポインティングデバイスを用いるセンサーデバイスがある。この種のセンサーデバイスは用途に応じて様々な方式が存在する。以下では、静電容量型センサーデバイスとその駆動回路(容量変化測定回路)で構成される静電容量型センサーモジュールについて検討する。
図1及び図2に、静電容量型センサーモジュールの概略構成例を示す。静電容量型センサーモジュールは、静電容量型センサーデバイス1とその容量変化を検出する回路(以下、「容量変化測定回路」という。)11とで構成される。センサーデバイス1は、平板状の基材3の片面に複数本の電極パターン5を配線し、基材3の他面に複数本の電極パターン7を配線した構造を有している。
例えば上面側の電極パターン5はY軸方向に延びるように配線され、下面側の電極パターン7はX軸方向に延びるように配線される。なお、上面側の電極パターン5の表面は不図示の保護膜で覆われている。また、電極パターン5及び7の交点部分には微小な容量が形成され、当該容量を通じて上面側の電極パターン5と下面側の電極パターンとが電気的に接続されている。
なお、表示デバイスの表面に配置してタッチパネルとして使用される静電容量型センサーデバイス1の場合には、基材3及び電極パターン5、7のそれぞれが、表示画面を視認できるように透過性の高い材質で構成される。例えば基材3には、ガラス基板やプラスチックフィルムが用いられる。また例えば、電極パターン5及び7には、ITO電極が用いられる。
一方、容量変化測定回路11は、静電容量型センサーデバイス1との間に閉回路を形成し、閉回路に発生する電気特性の変化の検出を通じて操作の有無と操作位置を検出できるように構成されている。因みに、閉回路は、引き出し配線パターン、電極パターン5、電極パターンの交点に形成される容量、電極パターン7、引き出し配線パターン及び容量変化測定回路11によって構成される。
特表2002−530680号公報
ところで、容量変化測定回路11が検出対象とする電気特性の変化量は一般に小さい。その一方で、容量変化測定回路11には、高い検出精度が要求される。例えば、実用的には、2nsの精度が要求される。
ところが、この検出精度を一般的な同期式のクロックで実現するには、500MHzのクロックが必要になる。
そこで、発明者らは、低周波数の動作クロックを用いながらも、高周波数の動作クロックを用いる場合と同等の検出精度を実現できる技術を提案する。
(A)静電容量型センサーデバイスの容量変化検出回路
例えば静電容量型センサーデバイスの容量変化検出回路として、以下のデバイスを有するものを提案する。
(1)静電容量型のセンサーデバイスを構成する複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部
(2)容量素子を有し、第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持するピークホールド回路
(3)パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で容量素子の放電を開始する電流源
(4)容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータと、
(5)コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段
(6)複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部
(7)記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を単位遅延時間長の精度で検出する検出部
なお、前述した遅延回路段における遅延量の範囲は、検出信号に変化点が出現する可能性がある時間幅以上であることが望ましい。
もっとも、前述した遅延回路段における遅延量の範囲は、検出信号の信号値に変化点が出現する可能性がある時間幅未満であり、測定対象とする時間量の検出は、記憶部に対する信号値の記憶動作と検出動作を複数時点について繰り返すことにより実行することが望ましい。
(B)静電容量型センサーモジュール
また、発明者らは、例えば静電容量型センサーモジュールとして、以下のデバイスを有するものを提案する。
(1)複数列の第1の電極パターンと、第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイス
(2)複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部
(3)容量素子を有し、複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持するピークホールド回路
(4)パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で容量素子の放電を開始する電流源
(5)容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータ
(6)コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段
(7)複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部
(8)記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を単位遅延時間長の精度で検出する検出部
(9)検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部
(C)静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法
また、発明者らは、例えば静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法として、以下の処理を有するものを提案する。
(1)静電容量型センサーデバイスを構成する複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する処理
(2)第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンを通じて取り出される検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持する処理
(3)パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、静電容量型センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で容量素子の放電を開始する処理と、
(4)容量素子の電圧と基準値とを比較する処理と、
(5)比較処理によって得られる比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する処理
(6)複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶部に記憶する処理
(7)記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を単位遅延時間長の精度で検出する処理
(D)電子機器
また、発明者らは、例えば電子機器として、以下のデバイスを有するものを提案する。
(1)表示デバイス
(2)表示デバイスの表面に配置される静電容量型のセンサーデバイスであって、複数列の第1の電極パターンと、第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイス
(3)複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部
(4)容量素子を有し、複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持するピークホールド回路
(5)パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で容量素子の放電を開始する電流源
(6)容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータ
(7)コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段
(8)複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部
(9)記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を単位遅延時間長の精度で検出する検出部
(10)検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部
(11)システム全体の動作を制御するシステム制御部
(E)電子機器
また、発明者らは、例えば電子機器として、以下のデバイスを有するものを提案する。
(1)複数列の第1の電極パターンと、第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイス
(2)複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部
(3)容量素子を有し、複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持するピークホールド回路
(4)パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で容量素子の放電を開始する電流源
(5)容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータ
(6)コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段
(7)複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部
(8)記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を単位遅延時間長の精度で検出する検出部
(9)検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部
(10)システム全体の動作を制御するシステム制御部
発明者らの提案する発明の場合、検出信号と基準値との比較結果である比較出力信号が、遅延回路段で順次遅延される。このとき、遅延回路段には、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の比較出力信号が常時存在する。そして、遅延回路段に存在する複数の比較出力信号の各信号値を記憶部に取り出して測定対象とする時間量を検出する。この際、検出される時間量は、遅延回路段を構成する遅延素子の1段分に相当する単位遅延時間長の精度で特定される。結果的に、動作クロックが低速であったとしても、高精度にて操作入力に伴う検出信号の波形変化を検出することが可能になる。
以下、発明の最良の形態を以下の順番に説明する。
(A)静電容量型センサーモジュールの外観構成
(B)静電容量型センサーモジュールの機能構成
(C)形態例1:ピークホールド後の経過時間計測型(単発ストローブ型)
(D)形態例2:ピークホールド後の経過時間計測型(連続ストローブ型)
(E)形態例3:立ち上がり時間計測型
(F)形態例4:パルス幅相当の経過時間計測型
(G)他の形態例
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
(A)静電容量型センサーモジュールの外観構成
図3に、静電容量型センサーモジュールの外観構成例を示す。静電容量型センサーモジュール21は、静電容量型センサーデバイス23と、その引出し配線であるFPC(フレキシブルプリント配線基板)25と、容量変化測定回路27で構成される。
静電容量型センサーデバイス23は、前述したように基材の両面に電極パターンを格子状に形成した構造を有している。また、容量変化測定回路27は、前述したように線順次に閉回路を選択して入力パルス信号を印加し、その検出信号に基づいて静電容量の変化の有無を測定する回路機能を有している。
なお、容量変化測定回路27は、半導体集積回路として形成される場合だけでなく、FPC上に回路パターンとして形成される場合も含まれる。また、容量変化測定回路27の一部処理は、コンピュータによるアプリケーション処理を通じて実現されるようにしても良い。
(B)静電容量型センサーモジュールの機能構成
図4に、静電容量型センサーモジュールの機能面における構成例を示す。なお、図4のうち図3と対応する機能ブロックには同一符号を付して示す。
機能面から見た静電容量型センサーモジュール21も、静電容量型センサーデバイス23と、容量変化測定回路27で構成される。
容量変化測定回路27は、静電容量型センサーデバイス23に対する入力パルス信号の供給機能と、その応答波形に現れる変化の測定機能とを実現する回路デバイスである。
図4の場合、容量変化測定回路27は、前処理部31、容量変化検出回路33、判定部35を基本構成とする。
このうち、前処理部31は、静電容量型センサーデバイス23から入力される応答波形に対する前処理を実行する処理回路である。ここでの前処理には、例えば応答波形の増幅処理、応答波形のピークホールド処理等がある。どのような処理を実行するかは、後段に位置する容量変化検出回路33や判定部35の処理動作との関係に応じて定まる。なお、図4では、前処理部31を容量変化検出回路33の前段に配置しているが、前処理回路31は必須ではない。すなわち、容量変化測定回路27の最小構成は、容量変化検出回路33と判定部35である。
従って、この明細書でいう検出信号は、前処理部31を用いる場合にはその出力信号をいい、前処理部31を用いない場合には静電容量型センサーデバイス23の出力信号をいう。
容量変化検出回路33は、測定対象となる閉回路の容量成分に生じた変化を、検出信号の波形変化として検出する回路デバイスである。なお、容量変化検出回路33は、検出信号の波形変化を、検出信号と基準値との比較結果に現われる変化点によって規定される測定量として検出する。具体的な検出方法については、後述する各形態例において説明する。
判定部35は、容量変化検出回路33の検出結果に基づいて、測定対象となる閉回路に容量成分の変化が生じたか否かを判定する回路デバイスである。すなわち、判定部35は、容量変化検出回路33で検出された測定量の変化に基づいて、人体又はこれと同等の電気的特性を有する物体による操作入力の有無を判定する回路デバイスである。
(C)形態例1
(C−1)検出手法
この形態例では、入力パルス信号に対する応答波形の正極ピークレベルに着目する。図5に、ある測定点(閉回路)に着目した応答波形の波形変化を示す。図中横軸は、入力パルス信号の立ち下がりタイミングからの経過時間であり、図中縦軸は応答波形に対応する電流量である。
図5に示すように、操作面に指が触れていない場合のピークレベルが最も高く、指と操作面との間に形成される容量成分が大きいほどピークレベルが小さくなる。すなわち、指と操作面との接触面積が増えるほどピークレベルが低下する。このピークレベルに現れる振幅方向の変化は、操作面上の位置によらず共通である。
そこで、この形態例では、応答波形のピークレベルをピークホールド回路に保存して定電流源で引き出し、ピークホールド電圧が基準値以下になるまでの時間を計測することでピークレベルの振幅変化を検出する。
ただし、ピークレベルの出現位置は、操作面と指との接触状態により時間軸方向にずれる特性が認められる。図5の場合であれば、10ns以上のずれが認められる。
このことは、計測開始時刻にずれがあることを意味し、測定結果に誤差が含まれることを意味する。従って、この誤差を排除し、検出精度を高める仕組みが必要となる。
そこで、この形態例の場合には、ピークホールド電圧の引出しを開始する時刻を揃える仕組みを採用する。
図6に、この形態例で採用する仕組みを示す。図中横軸は、入力パルス信号の立ち下がりタイミングからの経過時間であり、図中縦軸は応答波形に対応する電流量及び電圧である。
図6に示すように、この形態例では、ピークホールド電圧の引出し開始時刻を、ピークレベルが出現する可能性のある時間位置よりも後方の時点T0に設定する。
この設定により、応答波形の形状によらず、放電開始時刻を揃えることができる。ピークレベルの違いによる時間差だけを正確に測定することが可能になる。
以下、この検出手法を採用する静電容量型センサーデバイス23の一例を説明する。
(C−2)システム構成
(1)全体構成
図7に、この形態例に係る静電容量型センサーモジュール41のシステム構成例を示す。なお、静電容量型センサーモジュール41では、静電容量型センサーデバイス43を簡略化して表している。
静電容量型センサーモジュール41は、静電容量型センサーデバイス43と、容量変化測定回路45で構成される。
容量変化測定回路45は、発振器51、デマルチプレクサ53、マルチプレクサ55、シーケンサ57、電流入力電圧出力型アンプ59、ピークホールド回路61、可変電流源63、電流値テーブル65、放電制御スイッチ67、コンパレータ69、測定部71、判定部73で構成される。
(2)発振器
発振器51は、予め設定された固定周波数の矩形形状の入力パルス信号を発生する回路である。
もっとも、入力パルス信号の波形は矩形波に限らず、正弦波や三角波その他の形状でも良い。この形態例の場合、発振器51は、500kHzの周波数で入力パルス信号を発生する。
(3)デマルチプレクサ
デマルチプレクサ53は、シーケンサ57が指示する順番に入力パルス信号の供給先を切り替える回路である。入力パルス信号の供給先は、複数本の電極パターン5のうちいずれか1つである。
(4)マルチプレクサ
マルチプレクサ55は、シーケンサ57が指示する順番に応答波形を取り出す電極パターン7を切り替える回路である。
(5)シーケンサ
シーケンサ57は、入力パルス信号を供給する電極パターン5への接続順序と応答波形の取り出し元となる電極パターン7への接続順序を座標情報(X,Y)として出力する回路である。この形態例の場合、シーケンサ57は、入力パルス信号の立ち下がりエッジに同期して制御タイミングを管理する。
この形態例の場合、シーケンサ57は、放電制御スイッチ67、測定部71、判定部73等に対する制御タイミングを発生する。例えばシーケンサ57は、入力パルス信号の立ち下がりエッジから基準時間T0が経過した後、放電制御スイッチ67を閉制御するタイミングパルスを放電制御スイッチ67に対して供給する。基準時間T0は、可変電流源63によるピークホールド値の放電を開始するタイミングである。図6について説明したように、基準時間T0は、応答波形のピークレベルが出現するタイミング以降に設定される。
また例えばシーケンサ57は、コンパレータ69から入力される比較出力信号を記憶領域に格納するタイミングを与えるタイミングパルスを測定部71に対して供給する。
また例えばシーケンサ57は、測定点に対する操作入力の有無を判定する判定部73に対して供給する。
(6)電流入力電圧出力型アンプ
電流入力電圧出力型アンプ59は、静電容量型センサーデバイス43から取り出される応答波形を増幅する回路である。この電流入力電圧出力型アンプ59において、応答波形の信号形式が電流形式から電圧形式に変換される。
(7)ピークホールド回路
ピークホールド回路61は、検出信号の正極側のピークレベルを検出する回路である。図7に示すように、ピークホールド回路61は、ダイオードDと容量Cとで構成される。ダイオードDは、整流機能により検出信号の正極部分だけを取り出すのに用いられる。また、容量Cは、検出信号のピークレベルに対応する電位を格納するのに用いられる。
(8)可変電流源
可変電流源63は電流値の可変が可能な定電流回路であり、ピークホールド回路61を構成する容量Cの電荷を放電するのに用いられる。なお、可変電流源63の電流値は、電流値テーブル65に指示に従い、可変的に指定される。なお、いずれの電流値の場合にも、容量Cの電荷を入力パルス信号の印加開始から1周期以内に判定動作を終了できるように設定される。具体的には、次の入力パルス信号が供給されるまでの間に、測定対象である容量Cの電位が基準電位Vref 以下に放電されるように設定する。この明細書では、この放電動作を「初期化動作」と呼ぶことにする。
(9)電流値テーブル
電流値テーブル65は、測定点の座標と、可変電流源63に指示する電流値とを対応づけて保存する記憶領域である。測定点に応じて電流値を可変するのは、容量Cの保持電圧の低下速度を調整するためである。具体的には、容量Cの電荷が基準電位Vref 以下に低下するタイミングの出現範囲を、測定部71の測定範囲に収めるためである。
以下では、電流値の可変制御が必要な理由を詳細に説明する。
ここでは説明のため、図8に示す簡略化した構造の静電容量型センサーデバイス43を考える。図8は、基材3の上面側に4本の電極パターン5を形成すると共に、下面側に4本の電極パターン7を形成した静電容量型センサーデバイス43の平面構造である。従って、操作面上には16個の測定点が形成されることになる。
ところで、図8に示すように、計8本の電極パターンには、それぞれフレキシブルプリント配線基板25の導電線(例えばカーボン導電線)81が接続されている。
図8に示すように、各測定点を通る伝搬経路は、これら導電線81の長さと電極パターン5及び7の長さの組み合わせによって規定される。このことから、測定点毎に伝搬経路の長さが異なることが分かる。
以下では、操作面の4隅に位置する各測定点にI からIVの数字を割り当てることにより、対応する伝搬経路の特性の違いを説明する。
図9に、各測定点に対応する伝搬経路の等価回路を示す。図9に示すように、伝搬経路が短い導電線81の抵抗成分は約100Ω、伝搬経路が長い導電線81の抵抗成分は約1kΩである。また、伝搬経路が短い電極パターン5及び7は、約100Ωの抵抗成分と約4.7pFの容量成分とで構成される分布定数的なローパスフィルタと考えることができる。
なお、図中に実線で示す直列容量(約2pF)は、電極パターン5と電極パターン7の間に静的に形成される容量成分である。また、図中に破線で示す並列容量83は、電極パターン5と指との間に形成される容量成分と電極パターン7と指との間に形成される容量成分をそれぞれ表している。図9では、上面側の容量成分と下面側の容量成分の和が、0pFから20pFの間で変化することを表している。
図10に、これら4つの測定点I〜IVに対応する伝搬経路の電気的な特性の組み合わせ状態の概要を示す。
また、図11に、これら4つの測定点I〜IVに対応する検出信号の波形を示す。なお、図11に示す4つのグラフの縦軸は電流値μAであり、横軸は時間[ns]である。図11からも、操作面に指が接していない場合のピークレベルが最大であり、操作面と指との間に形成される容量成分が最大(20pF)のときピークレベルが最小になる関係が分かる。
ところで、図11の4つのグラフを比較すると、縦軸のスケールと横軸のスケールが大きく違うことが分かる。
そこで、この4つのグラフのスケールの違いが分かるように図12を示す。図12は、同じスケール上に4つの検出信号の波形をマッピングして表した図である。ただし、図12においては、非接触の場合(0pF)に対応する4つの検出信号のみを表している。
図12に示すように、操作面上の位置が異なると(伝搬経路長が異なると)、ピークレベルの振幅及び出現位置が大きく異なることが分かる。
図13に、前図の縦軸をピークホールド電圧[mV]に変更し、かつ、横軸の時間スケールを8倍にした図を示す。また、図13は、コンパレータ69が参照する基準電圧Vref が0(ゼロ)Vであり、可変電流源63の電流値が操作面上の全ての領域について固定である場合を示す。
また、図13では、入力パルス信号の立ち上がりエッジから0.2μs後に、可変電流源63による容量Cの放電動作を開始する場合を表している。
この場合、容量Cの電位の低下速度は、ピークレベルの違いによらず一定である。従って、容量Cの電位が基準電位Vref 以下になるタイミングの出現範囲は、操作面上の測定位置により大きく異なってしまう。しかも、操作入力の有無による該当タイミングの出現範囲が分散すると、測定部71の監視範囲が非常に広くなってしまう。
そこで、この形態例では、図14に示すように、容量Cの放電速度を調整する。具体的には、ピークレベルが高い測定点Iについては放電速度を上げ、ピークレベルの低い測定点IVについては放電速度を下げるようにする。なお、ピークレベルが中程度の測定点IIとIII については放電速度を中程度に設定する。図14の場合は、放電速度の調整により、各測定点で出現し得るピークレベルの最大値について、放電開始から基準電位Vref 以下になるまでの経過時間が同じになるように定めている。この設定により、ピークレベルの変動に伴う前述した経過時間の可変幅を狭めることができる。
以上の観点から、電流値テーブル65には、図15に示す対応関係を保存する。図15に示すように、X座標とY座標の組み合わせについて1つの電流値が対応付けて保存される。図16に、電流値テーブル65の対応関係を操作面上に重ねて表示する。図16に示すように、この形態例の場合、測定点Iには60μAを割り当て、測定点IIとIII には20μAを割り当て、測定点IVには10μAを割り当てるように設定する。
なお、測定点の座標情報は、シーケンサ57から与えられる。
(10)放電制御スイッチ
放電制御スイッチ67は、ピークホールド回路61の容量Cに保存された電荷の放電開始を主に制御するスイッチ素子である。この形態例の場合、図13や図14に示したように、放電の開始は、シーケンサ57によって入力パルス信号の立ち下がりタイミングから基準経過時間T0後に設定されている。
(11)コンパレータ
コンパレータ69は、容量Cの保持電位と基準電位Vref とを比較し、比較結果を比較出力信号として常時出力する回路デバイスである。なお、コンパレータ69の論理出力レベルは、ピークホールド電位が基準電位Vref を交差するタイミングで変化する。この交差タイミングが、測定部71が検出対象とする変化点である。
なお、基準電位Vref は、操作面上の全ての測定点について想定されるピークレベルの最小値よりも小さい値に設定されている。
(12)測定部
測定部71は、コンパレータ69から入力される比較出力信号に現れる論理出力レベルの変化点を検出する回路デバイスである。図17に、この形態例に係る測定部71の構成例を示す。測定部71は、遅延回路段91、記憶部93、イネーブル制御回路95、アンド回路97、変化点検出部99で構成される。
遅延回路段91は、全て同じ単位遅延時間を有する遅延素子の直列回路で構成される。この形態例の場合、常温での単位遅延時間は2nsに設定されている。この単位遅延時間が変化点の検出精度に相当する。以下では、各遅延素子の出力端子から出力される比較出力信号を、遅延出力信号ということにする。
なお、遅延素子の段数は、遅延回路段91に存在する複数時点の遅延出力信号の時間長が、遅延出力信号に論理出力レベルの変化点が出現する可能性のある時間幅よりも長く設定される。
記憶部93は、遅延素子の各出力段に現れる遅延出力信号を対応する記憶領域に、ストローブパルスに同期して取り込む記憶デバイスで構成される。この形態例の場合、記憶部93は、遅延素子と同数のフリップフロップ回路で構成される。なお、フリップフロップ回路の入力端子は、それぞれ対応する遅延素子の出力端子に接続される。
また、フリップフロップ回路の出力端子は、それぞれ変化点検出部99に接続される。また、フリップフロップ回路のクロック端子は、入力端子に現れる信号値の取り込みタイミングを規定するストローブ信号の入力に用いられる。
イネーブル制御回路95とアンド回路97は、前述したストローブ信号の発生用である。なお、イネーブル制御回路95は、ストローブ信号の出力可能期間を指定するイネーブル信号を発生する。例えばイネーブル制御回路95はカウンターで構成される。イネーブル制御回路95のカウント動作は、基準時間T0の経過が通知された時点で開始される。
このとき、イネーブル制御回路95は、50MHzで入力されるクロック信号をカウントし、そのカウント値が事前に設定した値に達した時点でカウント動作を終了する。イネーブル制御回路95は、この終了時点にイネーブル信号を1発だけ出力する。アンド回路97は、イネーブル信号とクロック信号との論理積演算によりストローブ信号を発生する。
図18に、ストローブ信号と他の信号との位相関係を示す。図18(A)は、入力パルス信号の波形である。図18(B)は、放電期間を制御する放電制御信号の波形である。図18(C)は、比較出力信号の波形である。ここでは、容量Cの保持電位が基準電位Vref より高い期間を「Hレベル」で示し、容量Cの保持電位が基準電位Vref より低い期間を「Lレベル」で示している。図18(D)は、ストローブ信号の波形である。なお、図18(D)に両方矢印で示す期間が、ストローブ信号の出力時点に遅延回路段91に存在する遅延出力信号の範囲である。図18(E)は、応答波形(実線)と検出信号(破線)の波形である。
変化点検出部99は、ストローブ信号の出力時点に記憶部93に取り込まれた複数時点の遅延出力信号に基づいて、放電動作による容量Cの保持電位が基準電位Vref 以下に低下するタイミングを検出する回路デバイスである。例えば容量Cの保持電位が基準電位Vref より大きい期間には「1」が連続し、容量Cの保持電位が基準電位Vref より小さい期間には「0」が連続する。この形態例の場合、変化点検出部99は、「1」の数をカウントとし、カウント値を変化点が現われるまでの期間長情報として出力する。
図19に、変化点検出部99に取り込まれる数列例を具体的に示す。なお、図19(A)は、入力パルス信号の波形である。図19(B)は、クロック信号の波形である。前述したように、クロック信号は、50MHz(20ns)で与えられる。図19(C)は、ストローブ信号の波形である。図19(D1)は、操作入力が無い場合に対応する取り込み例1の数列例である。図19(D2)は、操作入力があった場合に対応する取り込み例2の数列例である。図19(D1)と図19(D2)を比較して分かるように、操作入力の有無により「1」の数が大きく変化する。
なお、カウント値の1個分の違いは、2ns(500MHz)の違いに相当する。ただし、後続する判定部73での判定が正確に実行されるためには、操作入力が無い場合におけるカウント値の数が基準点に出現することが必要になる。すなわち、キャリブレーション動作が必要である。
また、遅延素子の単位遅延時間は、外温や発熱による素子温度の変動により大きく変動する特徴がある。すなわち、遅延回路段91に保存される時間幅も温度条件によって変動する特徴がある。従って、変化点の測定精度を上げる上でも、測定動作の開始前にキャリブレーション動作が必要である。
この形態例の場合、キャリブレーション動作は、測定動作が開始される前に実行される。具体的には、変化点が事前に設定した位置で検出されるまで、ストローブ信号の出力位相をシフトすることで実行する。
(13)判定部
判定部73は、変化点の検出位置情報(すなわち、変化点検出部99から出力されるカウント値)に基づいて、操作入力の有無を判定する回路デバイスである。判定部73は、測定点について検出されたカウント値が基準値に一致又は許容誤差の範囲内の場合には、測定点に対する操作入力は無かったものと判定する。一方、判定部73は、測定点について検出されたカウント値と基準値とが一致しない場合又は許容誤差の範囲を超えて異なる場合、測定点に対する操作入力が有ったものと判定する。
(C−3)処理動作の内容
以下では、シーケンサ57の動作フロー(図20)に従って、静電容量型センサーモジュール41の処理動作を説明する。なお、図20は、上面側の電極パターン5と下面側の電極パターン7が共に4本の場合について表している。
まず、シーケンサ57は、測定対象とする操作面上の位置を指定する座標を発生する(S1)。ここで、シーケンサ57は、入力パルス信号の1周期毎に、上面側の電極パターン5の座標値Xを“1”だけ増加させる。因みに、図20の場合、増加後の座標値Xが“5”に達すると座標値Xを“1”に戻すと共に、下面側の電極パターンの座標値Yを“1”だけ増加させる。なお、増加後の座標値Yが“5”に達すると座標値Yを“1”に戻す。
このように発生された座標値XとYが、デマルチプレクサ53と、マルチプレクサ55と、電流値テーブル65と、判定部73とに与えられる。なお、入力パルス信号の周波数が500kHzの場合(1周期は2μs)、4本の電極パターン5と4本の電極パターン7とで規定される16箇所の座標点の判定動作は、32μsの間に実行することができる。
次に、シーケンサ57は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出を待つ(S2)。エッジが検出されると、シーケンサ57は、放電開始時刻である基準時間T0の経過を待つ(S3)。
ここで、基準時間T0の経過が検出されると、シーケンサ57は、放電制御スイッチ67をオン制御し、ピークホールド回路61に保持された電位の放電を指示する(S4)。なお、放電動作が開始されるまでには、可変電流源63の電流値は、電流値テーブル65の指示により測定点に応じた電流値に切り替えられている。従って、放電開始後は、各測定点に応じた電流値による放電が開始される。
このとき、遅延回路段91では、2nsずつ時間差を有する遅延出力信号が発生され、ストローブ信号の入力時に存在する遅延出力信号が記憶部93に一斉に取り込まれる。
そして、変化点検出部99において、比較出力信号に現れる変化点の検出動作が実行される。
シーケンサ57は、この変化点の検出処理が完了するのを待機する(S5)。
この後、シーケンサ57は、判定部73に割り込み要求を出力する(S6)。この割り込み要求が入力された判定部73は、検出されたカウント値と基準値とを比較し、比較結果に基づいて測定点に対する操作入力の有無を判定する。
この後、シーケンサ57は、停止要求が存在するか否かを判定する(S7)。そして、停止要求が確認されない場合は、再びXY座標の発生動作に戻って、以上の動作を繰り返す。なお、停止要求が確認された場合、シーケンサ57は、一連の動作を終了する。
(C−4)まとめ
以上説明したように、形態例1に係る容量変化測定回路45の採用により、従来技術に比して圧倒的に高速の判定動作が可能になる。例えば10地点についての判定処理を実行する場合、従来技術では20msもの時間が必要とされたが、形態例の場合には20μsあれば済む。このため、従来技術では応用が難しかった高速入力への対応が可能になる。
勿論、形態例に係る容量変化測定回路45は、多地点検出にも利用できる。
また、電流入力電圧出力型アンプ59の入力段までは電流モードで動作するため、高いノイズ耐性が期待できる。すなわち、形態例に係る容量変化測定回路45は、検出精度についても実用上十分な精度が期待できる。
また、この形態例の場合、50MHz(20ns)の動作クロック信号を用いながら、500MHz(2ns)のクロック信号を用いる場合と同等の精度で変化点の出現位置を検出することができる。
すなわち、従来方式に比して低周波数で動作する容量変化測定回路45を実現することができる。なお、動作クロックを低周波数化できることにより、容量変化測定回路45の低消費電力化を実現することができる。この低消費電力化は、特に静電容量型センサーモジュール41を携帯型の電子機器に搭載する場合に、動作時間の長寿命化を実現するのに有利である。また、このことから携帯型の電子機器に対する静電容量型センサーモジュール41の搭載を促進できる。
また、動作クロックの低周波数化により、PLL(Phase-Locked
Loop)回路等のクロック逓倍回路を無くすことが可能になる。その分、容量変化測定回路45の集積化が容易になる。
(D)形態例2
(D−1)
図21に、この形態例に係る静電容量型センサーモジュール101のシステム構成例を示す。なお、図21には、形態例1に係る図7との対応部分に同一符号を付して示す。
静電容量型センサーモジュール101は、静電容量型センサーデバイス43と、容量変化測定回路103とで構成される。
容量変化測定回路103は、発振器51、デマルチプレクサ53、マルチプレクサ55、シーケンサ57、電流入力電圧出力型アンプ59、ピークホールド回路61、可変電流源63、電流値テーブル65、放電制御スイッチ67、コンパレータ69、測定部105、判定部73で構成される。
以下では、変更点である測定部105の構成について説明する。図22に、測定部105の構成例を示す。測定部105は、遅延回路段121、記憶部123、イネーブル制御回路125、アンド回路127、マルチプレクサ129、変化点検出部131で構成される。
遅延回路段105の基本構成は、形態例1に係る遅延回路段71と同じである。すなわち、遅延回路段105は、全て同じ単位遅延時間を有する遅延素子の直列回路で構成される。また、遅延素子の常温での単位遅延時間も2nsに設定する。
違いは、遅延回路段105を構成する遅延素子の段数である。この形態例の場合、遅延回路段105を構成する遅延素子の段数は、ストローブ信号の出力周期に対応する時間長に相当する段数だけあれば良い。
この形態例の場合、ストローブ信号は50MHzのクロック信号に同期して出力される。従って、この形態例の場合であれば、10段分(=20ns÷2ns)以上で可能な限り少ない段数の遅延素子で構成すれば良い。この構成が可能になるのは、この形態例の場合、ストローブ信号を複数回連続して出力するためである。すなわち、1回当たりの検出範囲は狭くても、検出動作を複数回連続的に実行することで検出範囲を拡大できるためである。この結果、遅延回路段105の回路面積は、形態例1に比べて小さくなる。
記憶部123は、遅延素子の各出力段に現れる遅延出力信号を対応する記憶領域に、ストローブパルスに同期して取り込む記憶デバイスで構成される。この形態例の場合も、記憶部は、遅延素子と同数のフリップフロップ回路で構成する。従って、記憶部123の回路面積も、形態例1に比べて小さくなる。
因みに、フリップフロップ回路の入力端子は、それぞれ対応する遅延素子の出力端子に接続される。また、フリップフロップ回路の出力端子は、それぞれ変化点検出部131に接続される。また、フリップフロップ回路のクロック端子は、入力端子に現れる信号値の取り込みタイミングを規定するストローブ信号の入力に用いられる。この形態例の場合、フリップフロップ回路は、ストローブ信号の入力の度、その時点で出力されている遅延出力信号を取り込んで保存する。
イネーブル制御回路125とアンド回路127は、前述したストローブ信号の発生用である。なお、イネーブル制御回路125は、ストローブ信号の出力可能期間を指定するイネーブル信号を発生する。例えばイネーブル制御回路125は、基準時間T0の経過が通知されると、イネーブル信号の出力を開始する。
この後、イネーブル制御回路125は、変化点検出部131から変化点の検出(すなわち、「0」値の検出)が通知されるまでイネーブル信号の出力を継続する。
なお、イネーブル制御回路125は、不図示のキャリブレーション信号が入力されると、強制的にイネーブル信号を発生する。また、イネーブル制御回路125は、キャリブレーション信号が入力されると、マルチプレクサ129に、入力端子の切り替えを指示する制御信号を出力する。遅延回路段121に入力される信号をキャリブレーション用の信号に切り替えるためである。
アンド回路127は、イネーブル信号とクロック信号との論理積演算によりストローブ信号を発生する。
図23に、ストローブ信号と他の信号との位相関係を示す。図23(A)は、入力パルス信号の波形である。図23(B)は、放電期間を制御する放電制御信号の波形である。図23(C)は、比較出力信号の波形である。ここでは、容量Cの保持電位が基準電位Vref より高い期間を「Hレベル」で示し、容量Cの保持電位が基準電位Vref より低い期間を「Lレベル」で示している。
図23(D)は、ストローブ信号の波形である。図23(D)に示すように、この形態例の場合、ストローブ信号は、放電開始から変化点の検出が通知されるまで実行される。図23(D)に示すように、ストローブ信号の出力期間長が長いことが分かる。図23(E)は、応答波形(実線)と検出信号(破線)の波形である。
マルチプレクサ129は、測定用の入力信号(比較出力信号)とキャリブレーション用の入力信号との切り替え動作を実行する回路デバイスである。測定用の入力端子には、コンパレータ69の出力端が接続されている。一方、キャリブレーション用の入力端子には、不図示のトグルクロックの信号源と接続されている。
図24を用いて、トグルクロック信号を説明する。図24(A)は、クロック信号である。ここでは、50MHzの場合を想定する。図25(B)は、トグルクロック信号である。トグルクロック信号は、クロック信号を分周して生成する。この例の場合25MHzとなる。結果的に、トグルクロックがHレベル又はLレベルの期間長は、クロック信号の1周期に対応する。
マルチプレクサ129は、キャリブレーション時に、トグルクロック信号を遅延回路段121に入力するように動作する。入力端子の切り替えは、前述したようにイネーブル制御回路125を通じて実行される。
変化点検出部131は、ストローブ信号が出力される度に記憶部123に取り込まれた複数時点の遅延出力信号を一組として、その都度、容量Cの保持電位が基準電位Vref 以下に低下するタイミングの有無を検出する。
例えば通常の測定動作時には、変化点検出部131は、ストローブ信号が入力される度、記憶部123から読み出した数列に「0」が出現するか否かを監視する。このとき、「0」の出現が検出されるまで、ストローブ信号の出力数を1つカウントアップする。この形態例の場合、1つ目のストローブ信号が入力された場合のカウント値を0とする。従って、ここでのカウント値は、入力したストローブ信号の出力数−1で与えられる。
この形態例の場合、変化点検出部131は、変化点の出現位置を次式により算出する。なお、次式では、1ストローブ信号当たり遅延素子数をA、「0」が出現するストローブ信号の入力回で「0」が出現するまでの「1」の数をBとする。
出現位置=カウント値×A+B
図25を用いて、前述した出現位置の測定動作例を具体的に説明する。図25(A)は、入力パルス信号の波形である。図25(B)は、クロック信号の波形である。図25(C)は、ストローブ信号の波形である。この形態例の場合、図に示すように、複数のクロック信号の期間にわたって連続的に出力される。
図25(D)は、ストローブ信号の出力回数のカウント値である。この図の場合、ストローブ信号は7発出力されている。なお、カウント値は、前述したように、6(=7−1)である。図26(E1)〜(E7)は、ストローブ信号の各入力回において記憶部123に取り込まれた遅延出力信号の数値列である。
この図の場合、ストローブ信号の7回目の出力回に遅延回路段121から取り込まれた遅延出力信号の数値列が「11111100000000000000000000000000」で与えられる。ここで、ストローブ信号が出力されて次のストローブ信号が出力されるまでの間に、遅延回路段121内の遅延出力信号が遅延素子の10個段分進むものとすると、変化点の出現位置は、66(=6×10+6)で計算される。
ところで、出現位置の計算では、ストローブ信号が1発出力される間に、遅延出力信号が何段分の遅延素子を伝搬するかが位置関係を特定する上で非常に重要になる。
前述したように、遅延素子は外温や発熱によって単位遅延時間が大きく変動する特性がある。以下では、図26を用いてキャリブレーション動作の具体例を説明する。図26(A)は、トグルクロックの波形である。図26(B)は、クロック信号の波形である。図26(C)は、ストローブ信号の波形である。キャリブレーション動作の場合、ストローブ信号は1発のみ出力する。図26(D1)と(D2)は、ストローブ信号によって記憶部123に取り込まれた遅延出力信号の数値例である。
ここで、トグルクロックが「1」又は「0」である期間長は、図24にて説明したように、1クロック分の期間長と一致する。従って、1発のストローブ信号で取り込まれる数列中に現れる「1」の連続数又は「0」の連続数が、ストローブ信号が1発出力されている間に、遅延出力信号が進行する遅延素子の段数と一致する。因みに、図26(D1)は、ストローブ信号の1発分の期間長が遅延素子の8個分の遅延時間に相当する例である。また、図26(D2)は、ストローブ信号の1発分の期間長が遅延素子の10個分の遅延時間に相当する例である。
変化点検出部131は、キャリブレーションの実行時には、記憶部123から読み出した数値列から「1」又は「0」で挟まれた「0」又は「1」の出力数をカウントすることにより、ストローブ信号の1発分の期間長を確定する。
(D−3)処理動作の内容
以下では、シーケンサ57の動作フローに従って、静電容量型センサーモジュール101の処理動作を説明する。なお、シーケンサ57の動作フローは、形態例1と同じである。従って、シーケンサ57は、図20に示す手順により処理動作を進行する。なお、処理動作の実行前には、前述したキャリブレーション動作を実行しているものとする。
まず、シーケンサ57は、測定対象とする操作面上の位置を指定する座標を発生する(S1)。ここで、シーケンサ57は、入力パルス信号の1周期毎に、上面側の電極パターン5の座標値Xを“1”だけ増加させる。因みに、図20の場合、増加後の座標値Xが“5”に達すると座標値Xを“1”に戻すと共に、下面側の電極パターンの座標値Yを“1”だけ増加させる。なお、増加後の座標値Yが“5”に達すると座標値Yを“1”に戻す。
このように発生された座標値XとYが、デマルチプレクサ53と、マルチプレクサ55と、電流値テーブル65と、判定部73とに与えられる。なお、入力パルス信号の周波数が500kHzの場合(1周期は2μs)、4本の電極パターン5と4本の電極パターン7とで規定される16箇所の座標点の判定動作は、32μsの間に実行することができる。
次に、シーケンサ57は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出を待つ(S2)。エッジが検出されると、シーケンサ57は、放電開始時刻である基準時間T0の経過を待つ(S3)。
ここで、基準時間T0の経過が検出されると、シーケンサ57は、放電制御スイッチ67をオン制御し、ピークホールド回路61に保持された電位の放電を指示する(S4)。なお、放電動作が開始されるまでには、可変電流源63の電流値は、電流値テーブル65の指示により測定点に応じた電流値に切り替えられている。従って、放電開始後は、各測定点に応じた電流値による放電が開始される。
また、測定部105では、放電動作の開始指示に従い、イネーブル信号の出力を開始する。
さて、容量Cの放電動作が開始されると、遅延回路段91では、比較出力信号が2nsずつ遅延され、遅延出力信号として次段へと転送される。この形態例の場合、ストローブ信号は、クロック信号の入力周期で繰り返し発生される。
ストローブ信号が出力されると、その都度、遅延出力信号が遅延回路段121から一斉に記憶部123に取り込まれる。そして、それらの数列中に「0」が含まれるか否かが、変化点検出部99において判定される。そして、「1」のみが出現する場合には、イネーブル信号の発生を継続させ、「0」が出現した場合には、イネーブル信号の発生を停止する。
シーケンサ57は、この変化点の検出処理が完了するのを待機する(S5)。
この後、シーケンサ57は、判定部73に割り込み要求を出力する(S6)。この割り込み要求が入力された判定部73は、検出されたカウント値と基準値とを比較し、比較結果に基づいて測定点に対する操作入力の有無を判定する。
この後、シーケンサ57は、停止要求が存在するか否かを判定する(S7)。そして、停止要求が確認されない場合は、再びXY座標の発生動作に戻って、以上の動作を繰り返す。なお、停止要求が確認された場合、シーケンサ57は、動作を終了する。
(D−4)まとめ
以上説明したように、形態例2に係る容量変化測定回路103を採用する場合には、遅延回路段121や記憶部123に必要な素子数を削減でき、形態例1に比して回路面積を小さくすることができる。
(E)形態例3
(E−1)検出原理
この形態例では、入力パルス信号に対する検出信号の立ち上がり速度の違いに着目する。図27に、測定点(閉回路)に着目した応答波形と測定する時間長ΔTとの関係を示す。図では、操作入力がない場合の検出信号を実線で示し、操作入力がある場合の検出信号を破線で示している。
図に示すように、操作入力がない場合に比して操作入力がある場合の立ち上がり速度は遅くなる。この形態例では、入力パルス信号の立ち下がりエッジから検出信号が基準電位Vref を越えるまでの時間長を測定する。
なお、図中の横軸は、入力パルス信号の立ち下がりタイミングからの経過時間であり、図中の縦軸は応答波形に対応する電流量である。
(E−2)システム構成
図28に、この形態例に係る静電容量型センサーモジュール141のシステム構成例を示す。なお、図28には、形態例1に係る図7との対応部分に同一符号を付して示している。
静電容量型センサーモジュール141は、静電容量型センサーデバイス43と、容量変化測定回路143とで構成される。
容量変化測定回路143は、発振器51、デマルチプレクサ53、マルチプレクサ55、シーケンサ145、電流入力電圧出力型アンプ59、コンパレータ69、基準値テーブル147、測定部149、判定部73で構成される。
この形態例の場合、電流入力電圧出力型アンプ59から出力される検出信号の立ち上がり速度を計測するため、形態例1のようなピークホールド回路やその放電回路は不要である。
以下では、この形態例に新規な構成部分についてのみ説明する。
(1)シーケンサ
シーケンサ145は、入力パルス信号を供給する電極パターン5への接続順序と応答信号の取り出し元となる電極パターン7への接続順序を座標情報(X,Y)として出力する回路である。この形態例の場合、シーケンサ145は、入力パルス信号の立ち下がりエッジに基づいて、制御タイミングを管理する。この機能は、形態例1と同じである。
この形態例の場合も、シーケンサ145は、測定部149、判定部73等の制御タイミングを発生する点において形態例1と共通する。ただし、この形態例に係るシーケンサ145は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出信号を測定部149に出力する。この形態例では、検出信号の立ち上がり速度の違いを測定対象とするためである。
(2)基準値テーブル
基準値テーブル147は、測定点の座標と基準値Vrefとを対応づけて保存する記憶領域である。測定点に応じて基準電位Vref を可変するのは、図12に示すように、測定点に応じて検出信号の振幅や波形が大きく変化するためである。また、この形態例の場合、検出信号が基準電位Vref を越えるタイミングの出現範囲を、測定部149の測定範囲に収めるためである。
(3)測定部
測定部149は、コンパレータ69から入力される比較出力信号に現れる論理出力レベルの変化点を検出する回路デバイスである。図29に、この形態例に係る測定部149の構成例を示す。なお、図29には、図17との対応部分に同一符号を付して示す。
測定部149は、遅延回路段91、記憶部93、イネーブル制御回路151、アンド回路97、変化点検出部153で構成される。
この形態例の場合、測定部149は、形態例1と同じ構造の遅延回路段91を採用する。すなわち、遅延回路段91は、全て同じ単位遅延時間を有する遅延素子の直列回路で構成する。この形態例の場合も、常温での単位遅延時間が2nsの遅延素子を使用する。
なお、この形態例の場合、遅延回路段91を構成する遅延素子の段数は、遅延回路段91上に同時刻に存在する複数時点の遅延出力信号の時間長が、遅延出力信号に論理出力レベルの変化点が出現する可能性のある時間幅よりも長く設定する。すなわち、形態例1と同じ検出方法を採用する。因みに、形態例2と同じ検出方法を採用することも可能である。以下では、形態例1と同じ検出手法を採用するものとして説明する。
記憶部93は、遅延素子の各出力段に現れる遅延出力信号を対応する記憶領域に、ストローブパルスに同期して取り込む記憶デバイスで構成される。この形態例の場合も、記憶部93は、遅延素子と同数のフリップフロップ回路で構成する。なお、フリップフロップ回路の入力端子は、それぞれ対応する遅延素子の出力端子に接続する。
また、フリップフロップ回路の出力端子は、それぞれ変化点検出部153に接続する。また、フリップフロップ回路のクロック端子は、入力端子に現れる信号値の取り込みタイミングを規定するストローブ信号の入力に用いられる。
イネーブル制御回路151とアンド回路97は、前述したストローブ信号の発生用である。なお、イネーブル制御回路151は、ストローブ信号の出力可能期間を指定するイネーブル信号を発生する。例えばイネーブル制御回路151はカウンターで構成される。イネーブル制御回路151のカウント動作は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出信号taの通知により開始される。
このとき、イネーブル制御回路151は、50MHzで入力されるクロック信号をカウントし、そのカウント値が事前に設定した値に達した時点でカウント動作を終了する。イネーブル制御回路151は、この終了時点にイネーブル信号を1発だけ出力する。アンド回路97は、イネーブル信号とクロック信号との論理積演算によりストローブ信号を発生する。
変化点検出部153は、ストローブ信号の出力時点に記憶部93に取り込まれた複数時点の遅延出力信号に基づいて、検出信号が基準電位Vref 以上に上昇するタイミングを検出する回路デバイスである。例えば検出信号が基準電位Vref
より小さい期間には「0」が連続し、検出信号が基準電位Vref より大きい期間には「1」が連続する。この形態例の場合、変化点検出部153は、「1」が検出されるまでに出現した「0」の数をカウントとし、カウント値を変化点の情報として出力する。
図30に、変化点検出部153に取り込まれる数列例を具体的に示す。なお、図30(A)は、入力パルス信号の波形である。図30(B)は、クロック信号の波形である。前述したように、クロック信号は、50MHz(20ns)で与えられる。図30(C)は、ストローブ信号の波形である。図30(D1)は、操作入力がある場合に対応する取り込み例1の数列例である。図30(D2)は、操作入力が無い場合に対応する取り込み例2の数列例である。図30(D1)と図30(D2)を比較して分かるように、操作入力の有無により「1」が検出するまでに出現する「0」の数が大きく変化する。
なお、カウント値の1個分の違いは、2ns(500MHz)の違いに相当する。ただし、後続する判定部73での判定が正確に実行されるためには、操作入力が無い場合におけるカウント値の数が基準点に出現することが必要になる。すなわち、キャリブレーション動作が必要である。キャリブレーションの方法については、形態例1と同様である。
(E−3)処理動作の内容
以下では、シーケンサ145の動作フロー(図31)に従って、静電容量型センサーモジュール141の処理動作を説明する。
まず、シーケンサ145は、測定対象とする操作面上の位置を指定する座標を発生する(S11)。ここで、シーケンサ145は、入力パルス信号の1周期毎に、上面側の電極パターン5の座標値Xを“1”だけ増加させる。因みに、図31の場合、増加後の座標値Xが“5”に達すると座標値Xを“1”に戻すと共に、下面側の電極パターンの座標値Yを“1”だけ増加させる。なお、増加後の座標値Yが“5”に達すると座標値Yを“1”に戻す。
このように発生された座標値XとYが、デマルチプレクサ53と、マルチプレクサ55と、基準値テーブル147と、判定部73に与えられる。これにより、基準値テーブル147からコンパレータ69には、各測定点に適した基準値Vref が与えられる。また、入力パルス信号の入力に備えてデマルチプレクサ53とマルチプレクサ55が切替制御される。
一方、シーケンサ145は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出を待つ(S12)。ここで、立ち下がりエッジが検出されると、シーケンサ145は、このエッジ検出を測定部149に通知し、イネーブル制御回路151によるイネーブル信号の出力を開始させる。
このとき、遅延回路段91では、2nsずつ時間差を有する遅延出力信号が発生され、ストローブ信号の入力時に存在する遅延出力信号が記憶部93に一斉に取り込まれる。
この後、変化点検出部153は、検出信号が基準値Vref を越えるタイミング(すなわち、変化点)を検出する。
シーケンサ145は、この変化点の検出処理が完了するのを待機する(S13)。
次に、シーケンサ145は、判定部73に割り込み要求を出力する(S14)。この割り込み要求が入力された判定部73は、検出されたカウント値と基準値とを比較し、比較結果に基づいて測定点に対する操作入力の有無を判定する。
この後、シーケンサ145は、停止要求が存在するか否かを判定する(S15)。そして、停止要求が確認されない場合は、再びXY座標の発生動作に戻って、以上の動作を繰り返す。なお、停止要求が確認された場合、シーケンサ145は、動作を終了する。
(E−4)まとめ
以上説明したように、検出信号が基準電位Vref を越えるまでの時間長を検出して操作入力の有無を判定する場合にも、従来技術に比して圧倒的に高速の判定動作が可能になる。例えば10地点についての判定処理を実行する場合、従来技術では20msもの時間が必要とされたが、形態例の場合には20μsあれば済む。このため、従来技術では応用が難しかった高速入力への対応が可能になる。
勿論、この形態例に係る容量変化測定回路143も多地点検出に利用できる。
また、電流入力電圧出力型アンプ59の入力段までは電流モードで動作するため、高いノイズ耐性が期待できる。すなわち、形態例に係る容量変化測定回路143は、検出精度についても実用上十分な精度が期待できる。
また、この形態例の場合、50MHz(20ns)のクロック信号を用いながら、500MHz(2ns)のクロック信号を用いる場合と同等の精度で変化点の出現位置を検出することができる。
すなわち、従来方式に比して低周波数で動作する容量変化測定回路143を実現することができる。なお、動作クロックを低周波数化できることにより、容量変化測定回路143の低消費電力化を実現することができる。この低消費電力化は、特に静電容量型センサーモジュール141を携帯型の電子機器に搭載する場合に、動作時間の長寿命化を実現するのに有利である。また、このことから携帯型の電子機器に対する静電容量型センサーモジュール141の搭載を促進できる。
また、動作クロックの低周波数化により、PLL(Phase-Locked
Loop)回路等のクロック逓倍回路を無くすことが可能になる。その分、容量変化測定回路143の集積化が容易になる。
(F)形態例4
(F−1)検出原理
この形態例では、入力パルス信号に対する検出信号のパルス幅の違いに着目する。図32に、測定点(閉回路)に着目した応答波形と測定するパルス幅ΔTとの関係を示す。図では、操作入力がない場合の検出信号を実線で示し、操作入力がある場合の検出信号を破線で示している。
図に示すように、操作入力がない場合のパルス幅ΔT1に比して操作入力がある場合のパルス幅ΔT2の方が長くなる。この形態例では、検出信号が基準電位Vref を越えている間の時間長をパルス幅として測定する。
なお、図中の横軸は、入力パルス信号の立ち下がりタイミングからの経過時間であり、図中の縦軸は応答波形に対応する電流量である。
(F−2)システム構成
図33に、この形態例に係る静電容量型センサーモジュール161のシステム構成例を示す。なお、図33には、形態例1に係る図7との対応部分に同一符号を付して示している。
静電容量型センサーモジュール161は、静電容量型センサーデバイス43と、容量変化測定回路163とで構成される。
容量変化測定回路163は、発振器51、デマルチプレクサ53、マルチプレクサ55、シーケンサ165、電流入力電圧出力型アンプ59、コンパレータ69、基準値テーブル167、測定部169、判定部73で構成される。
この形態例の場合、電流入力電圧出力型アンプ59から出力される検出信号のパルス幅を計測するため、形態例1のようなピークホールド回路やその放電回路は不要である。
以下では、この形態例に新規な構成部分についてのみ説明する。
(1)シーケンサ
シーケンサ165は、入力パルス信号を供給する電極パターン5への接続順序と応答信号の取り出し元となる電極パターン7への接続順序を座標情報(X,Y)として出力する回路である。この形態例の場合、シーケンサ165は、入力パルス信号の立ち下がりエッジに基づいて、制御タイミングを管理する。この機能は、形態例1と同じである。
この形態例の場合も、シーケンサ165は、測定部169、判定部73等の制御タイミングを発生する点において形態例1と共通する。ただし、この形態例に係るシーケンサ165は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出信号を測定部169に出力する。この形態例では、検出信号のパルス幅の違いを測定対象とするためである。
(2)基準値テーブル
基準値テーブル167は、測定点の座標と基準値Vrefとを対応づけて保存する記憶領域である。測定点に応じて基準電位Vref を可変するのは、図12に示すように、操作点に応じて検出信号の振幅や波形が大きく変化するためである。そこで、この形態例の場合には、測定点毎に基準電位Vref を最適化し、操作入力の有無をパルス幅の変化として測定できるようにしている。
(3)測定部
測定部169は、コンパレータ69から入力される比較出力信号に現れる論理出力レベルの変化点を検出する回路デバイスである。図34に、この形態例に係る測定部169の構成例を示す。なお、図34には、図29との対応部分に同一符号を付して示す。
測定部169は、遅延回路段91、記憶部93、イネーブル制御回路151、アンド回路97、変化点検出部171で構成される。
この形態例の場合、測定部169は、形態例1と同じ構造の遅延回路段91を採用する。すなわち、遅延回路段91は、全て同じ単位遅延時間を有する遅延素子の直列回路で構成する。この形態例の場合も、常温での単位遅延時間が2nsの遅延素子を使用する。
なお、この形態例の場合、遅延回路段91を構成する遅延素子の段数は、遅延回路段91上に同時刻に存在する複数時点の遅延出力信号の時間長が、遅延出力信号として「1」が出現する可能性のある時間幅よりも長く設定する。すなわち、形態例1と同じ検出方法を採用する。勿論、形態例2の検出方法を応用することもできる。以下では、形態例1と同じ検出方法を採用する場合について説明する。
記憶部93は、遅延素子の各出力段に現れる遅延出力信号を対応する記憶領域に、ストローブパルスに同期して取り込む記憶デバイスで構成される。この形態例の場合も、記憶部93は、遅延素子と同数のフリップフロップ回路で構成する。なお、フリップフロップ回路の入力端子は、それぞれ対応する遅延素子の出力端子に接続する。
また、フリップフロップ回路の出力端子は、それぞれ変化点検出部171に接続する。また、フリップフロップ回路のクロック端子は、入力端子に現れる信号値の取り込みタイミングを規定するストローブ信号の入力に用いられる。
イネーブル制御回路151とアンド回路97は、前述したストローブ信号の発生用である。なお、イネーブル制御回路151は、ストローブ信号の出力可能期間を指定するイネーブル信号を発生する。例えばイネーブル制御回路151はカウンターで構成される。イネーブル制御回路151のカウント動作は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出信号taの通知により開始される。
このとき、イネーブル制御回路151は、50MHzで入力されるクロック信号をカウントし、そのカウント値が事前に設定した値に達した時点でカウント動作を終了する。なお、カウント動作の終了タイミングは、測定点毎に設定することが望ましい。パルス幅の測定に必要な期間長は、測定点に応じて大きく異なるためである。
イネーブル制御回路151は、この終了時点にイネーブル信号を1発だけ出力する。アンド回路97は、イネーブル信号とクロック信号との論理積演算によりストローブ信号を発生する。
変化点検出部171は、ストローブ信号の出力時点に記憶部93に取り込まれた複数時点の遅延出力信号に基づいて、検出信号が基準電位Vref 以上である期間長を検出する回路デバイスである。変化点検出部171は、遅延出力信号として出現する「1」の数をカウントする。
図35に、変化点検出部171に取り込まれる数列例を具体的に示す。なお、図35(A)は、入力パルス信号の波形である。図35(B)は、クロック信号の波形である。前述したように、クロック信号は、50MHz(20ns)で与えられる。図35(C)は、ストローブ信号の波形である。
図35(D1)は、操作入力が無い場合に対応する取り込み例1の数列例である。図35(D2)は、操作入力が有る場合に対応する取り込み例2の数列例である。図35(D1)と図35(D2)を比較して分かるように、操作入力の有無により「1」の数が大きく変化する。
因みに、図35(D1)は、検出信号のパルス幅が遅延素子の14個分で与えられる場合を示している。一方、図35(D2)は、検出信号のパルス幅が遅延素子の20個分で与えられる場合を示している。
なお、カウント値の1個分の違いは、2ns(500MHz)の違いに相当する。ただし、後続する判定部73での判定が正確に実行されるためには、操作入力が無い場合におけるカウント値の数が基準点に出現することが必要になる。すなわち、キャリブレーション動作が必要である。キャリブレーションの方法については、形態例1と同様である。
(F−3)処理動作の内容
以下では、シーケンサ165の動作フロー(図36)に従って、静電容量型センサーモジュール161の処理動作を説明する。
まず、シーケンサ165は、測定対象とする操作面上の位置を指定する座標を発生する(S21)。ここで、シーケンサ165は、入力パルス信号の1周期毎に、上面側の電極パターン5の座標値Xを“1”だけ増加させる。因みに、図36の場合、増加後の座標値Xが“5”に達すると座標値Xを“1”に戻すと共に、下面側の電極パターンの座標値Yを“1”だけ増加させる。なお、増加後の座標値Yが“5”に達すると座標値Yを“1”に戻す。
このように発生された座標値XとYが、デマルチプレクサ53と、マルチプレクサ55と、基準値テーブル167と、判定部73に与えられる。これにより、基準値テーブル167からコンパレータ69には、各測定点に適した基準値Vref が与えられる。また、入力パルス信号の入力に備えてデマルチプレクサ53とマルチプレクサ55が切替制御される。
一方、シーケンサ165は、入力パルス信号の立ち下がりエッジの検出を待つ(S22)。ここで、立ち下がりエッジが検出されると、シーケンサ165は、このエッジ検出を測定部169に通知し、イネーブル制御回路151によるイネーブル信号の出力を開始させる。
このとき、遅延回路段91では、2nsずつ時間差を有する遅延出力信号が発生され、ストローブ信号の入力時に存在する遅延出力信号が記憶部93に一斉に取り込まれる。
この後、変化点検出部171は、検出信号が基準値Vref より大きい期間の長(すなわち、パルス幅)を、読み出された数列の「1」の個数として検出する。
シーケンサ165は、測定点について想定される2回目の変化点の出現タイミングの経過を待つ(S23)。
次に、シーケンサ165は、判定部73に割り込み要求を出力する(S24)。この割り込み要求が入力された判定部73は、検出されたカウント値と基準値とを比較し、比較結果に基づいて測定点に対する操作入力の有無を判定する。
この後、シーケンサ165は、停止要求が存在するか否かを判定する(S25)。そして、停止要求が確認されない場合は、再びXY座標の発生動作に戻って、以上の動作を繰り返す。なお、停止要求が確認された場合、シーケンサ165は、動作を終了する。
(F−4)まとめ
以上説明したように、検出信号が基準電位Vref より大きくなる期間の長さを検出することによって操作入力の有無を判定する場合にも、従来技術に比して圧倒的に高速の判定動作が可能になる。例えば10地点についての判定処理を実行する場合、従来技術では20msもの時間が必要とされたが、形態例の場合には20μsあれば済む。このため、従来技術では応用が難しかった高速入力への対応が可能になる。
勿論、この形態例に係る容量変化測定回路163も多地点検出に利用できる。
また、電流入力電圧出力型アンプ59の入力段までは電流モードで動作するため、高いノイズ耐性が期待できる。すなわち、形態例に係る容量変化測定回路163は、検出精度についても実用上十分な精度が期待できる。
また、この形態例の場合、50MHz(20ns)のクロック信号を用いながら、500MHz(2ns)のクロック信号を用いる場合と同等の精度で変化点の出現位置を検出することができる。
すなわち、従来方式に比して低周波数で動作する容量変化測定回路163を実現することができる。なお、動作クロックを低周波数化できることにより、容量変化測定回路143の低消費電力化を実現することができる。この低消費電力化は、特に静電容量型センサーモジュール161を携帯型の電子機器に搭載する場合に、動作時間の長寿命化を実現するのに有利である。また、このことから携帯型の電子機器に対する静電容量型センサーモジュール161の搭載を促進できる。
また、動作クロックの低周波数化により、PLL (Phase-Locked
Loop)回路等のクロック逓倍回路を無くすことが可能になる。更に、クロック逓倍回路が不要になることでコンデンサのチャージ動作が不要となり、その分、容量変化測定回路163の集積化が容易になる。また、外付けのコンデンサを用いる場合に比して、集積回路に必要なピン数を削減することができる。
(G)他の形態例
(G−1)測定部の他の構成1
前述の形態例においては、いずれもイネーブル信号とクロック信号の論理積によりストローブ信号を生成する場合について説明した。
しかしながら、ストローブ信号を生成しない回路構成も考えられる。
図37に、この種の構成に対応する測定部181の回路例を示す。なお、図37には、図17との対応部分に同一符号を付して示している。測定部181は、遅延回路段91、入力選択部183、記憶部185、イネーブル制御回路187、変化点検出部189で構成する。同一符号を付して示すように、遅延回路段91の構成は、前述した形態例と同様である。すなわち、遅延回路段91は、同じ単位遅延量を有する遅延素子を直列に接続した回路構成を有している。また、遅延素子の段数は、前述した各形態例で要求される測定期間長に応じて設定されている。
入力選択部183と記憶部185は、いずれも遅延素子の出力端子に対応するマルチプレクサとフリップフロップで構成される回路デバイスである。
ここで、マルチプレクサは、イネーブル信号が有効値である場合(前述した形態例のHレベルに対応する。)、対応する遅延素子から入力される遅延出力信号を選択するように動作する。一方、マルチプレクサは、イネーブル信号が無効値である場合(前述した形態例のLレベルに対応する。)、対応するフリップフロップの出力信号を選択するように動作する。
すなわち、入力選択部183を構成するマルチプレクサは、イネーブル信号が有効値の間は、対応する遅延素子の遅延出力信号をフリップフロップへ転送し、その他の期間はフリップフロップの出力値をループするのに用いられる。
一方、記憶部185を構成するフリップフロップは、クロック信号が入力されるたびに、マルチプレクサの出力信号を取り込む動作を実行する。このように、入力選択部183と記憶部185とによって、前述した各形態例と同等の動作を実現する。
なお、イネーブル制御回路187には、前述した各形態例に対応したタイミングでイネーブル信号を発生する回路デバイスを使用する。また、変化点検出部189についても、前述した各形態例に対応した変化点を検出する回路デバイスを使用する。すなわち、この回路構成の測定部181は、前述したいずれの形態例に対しても応用することができる。
(G−2)測定部の他の構成2
前述の形態例においては、いずれも遅延素子を直列に接続して遅延回路段を構成する場合について説明した。
しかしながら、単位遅延時間ずつ遅延量が異なる遅延出力信号は他の回路構成によっても実現できる。
図38に、この種の構成に対応する測定部191の回路例を示す。なお、図38には、図17との対応部分に同一符号を付して示している。測定部191は、遅延回路段193、記憶部93、イネーブル制御回路195、アンド回路97、変化点検出部197で構成する。
図38に示すように、遅延回路段193は、遅延素子の段数が1段ずつ異なる並列回路で構成される。
すなわち、遅延回路段193は、遅延素子が1個の回路と、遅延素子が2個の回路、遅延素子が3個の回路…というように、遅延量が単位遅延時間ずつ異なる回路の並列接続で構成する。この回路構成は、必要とされる遅延時間の範囲が広いほど回路面積が大きくなる問題があるが、遅延時間の範囲が小規模で済む場合には十分実用可能な回路構成である。
因みに、イネーブル制御回路195には、前述した各形態例に対応したタイミングでイネーブル信号を発生する回路デバイスを使用する。また、変化点検出部197についても、前述した各形態例に対応した変化点を検出する回路デバイスを使用する。すなわち、この回路構成の測定部181は、前述したいずれの形態例に対しても応用することができる。
(G−3)検出信号の他の測定方法
前述した形態例1及び2の場合には、検出信号の正極周期のピークレベルを検出する場合について説明した。すなわち、検出信号の最大値を検出し、その放電に要する時間長を計測する場合について説明した。
しかしながら、前述した技術は、検出信号の負極周期のピークレベルを検出する場合にも適用できる。すなわち、検出信号の最小値を検出し、その充電に要する時間長を計測する場合にも適用できる。
図39に、この検出方法に対応する静電容量型センサーモジュール201のシステム構成例を示す。なお、図39には、図7との対応部分に同一符号を付して示している。
静電容量型センサーモジュール201は、静電容量型センサーデバイス43と、容量変化測定回路203で構成される。
容量変化測定回路203は、発振器51、デマルチプレクサ53、マルチプレクサ55、シーケンサ57、電流入力電圧出力型アンプ59、ピークホールド回路205、可変電流源207、電流値テーブル65、放電制御スイッチ67、コンパレータ69、測定部209、判定部73で構成される。
図39の場合、ピークホールド回路205は、検出信号の負極側のピークレベルを検出する。このため、ピークホールド回路205を構成するダイオードDの陽極と陰極の向きが、図7のピークホールド回路61とは逆向きに接続される。なお、ここでの接地電位は負電源に接続される。
また、図39の場合、可変電流源207には充電型の電流源を使用する。また、図39の測定部209は、遅延出力信号の信号値が「1」に変化するまでに現われる「0」の数をカウントすることにより、容量Cの電位が基準電位Vref’を越えるまでの時間長を測定点毎に検出する手法を採用する。
(G−4)製品例
(a)システム構成
前述の説明では、静電容量型センサーモジュールの構造と動作内容について説明した。しかし、前述した静電容量型センサーモジュールは、各種の電子機器に実装した商品形態でも流通される。以下、電子機器への実装例を示す。
図40及び図41に、電子機器の機能構成例を示す。
図40に示す電子機器211は、表示デバイス213の表面に静電容量型センサーモジュール215を積層するタイプの電子機器を想定した機能構成である。なお、電子機器211には、システム全体を制御するシステム制御部217が搭載される。また、表示デバイス213には、例えば液晶パネル、有機ELディスプレイパネル、FEDパネル、プラズマパネルその他を使用する。
図41に示す電子機器221は、表示デバイスを用いない電子機器を想定した機能構成である。この種の電子機器221には、例えば取り込み範囲を、静電容量型センサーモジュール223を透過して視認しながら指定するスキャナ等が想定される。勿論、この場合、静電容量型センサーを構成する配線等は、透過性の材料で形成される。勿論、電子機器221には、システム全体を制御するシステム制御部225が搭載される。
(b)具体例
以下では、電子機器の具体的な外観例を示す。
図42に、テレビジョン受像機231の外観例を示す。テレビジョン受像機231は、筐体233の正面に表示画面235と、静電容量型センサーモジュール237を配置した構造を有している。ここでの静電容量型センサーモジュール237に、前述した各種の形態例を応用する。
図43に、デジタルカメラ241の外観例を示す。図43(A)が正面側(被写体側)の外観例であり、図43(B)が背面側(撮影者側)の外観例である。
デジタルカメラ241は、保護カバー243、撮像レンズ部245、表示画面247、静電容量型センサーモジュール249、コントロールスイッチ251及びシャッターボタン253で構成される。ここでの静電容量型センサーモジュール249に、前述した各種の形態例を応用する。
図44に、ビデオカメラ261の外観例を示す。ビデオカメラ261は、本体263の前方に被写体を撮像する撮像レンズ265、撮影のスタート/ストップスイッチ267及び表示画面269、静電容量型センサーモジュール271で構成される。ここでの静電容量型センサーモジュール271に、前述した各種の形態例を応用する。
図45に、携帯端末装置としての携帯電話機281の外観例を示す。図45に示す携帯電話機281は折りたたみ式であり、図45(A)が筐体を開いた状態の外観例であり、図45(B)が筐体を折りたたんだ状態の外観例である。
携帯電話機281は、上側筐体283、下側筐体285、連結部(この例ではヒンジ部)287、主表示画面289、静電容量型センサーモジュール291、補助表示画面293、静電容量型センサーモジュール295、ピクチャーライト297及び撮像レンズ299で構成される。ここでの静電容量型センサーモジュール291と295に、前述した各種の形態例を応用する。
図46に、ノート型コンピュータ301の外観例を示す。図46に示すノート型コンピュータ301は、下側筐体303、上側筐体305、キーボード307、表示画面309、静電容量型センサーモジュール311、タッチパネル313で構成される。ここでの静電容量型センサーモジュール311やタッチパネル313に、前述した各種の形態例を応用する。なお、タッチパネル313に使用する場合の静電容量型センサーは、不透性の材料で構成することができる。
この他、この明細書における「電子機器」には、携帯型のオーディオ再生装置、ゲーム機、電子ブック、電子辞書、据え置き型家電機器、産業機械、事務機器等が含まれる。
(G−5)その他
前述した形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
静電容量型センサーモジュールの概略平面構成を示す図である。 静電容量型センサーモジュールの概略断面構成を示す図である。 静電容量型センサーモジュールの外観構成例を示す図である。 静電容量型センサーモジュールの機能構成例を説明する図である。 入力パルス信号に対する応答波形の形状を説明する図である。 ピークホールド電圧を放電する場合の電位変化を説明する図である。 静電容量型センサーモジュールの形態例を示す図である。 操作面上に形成される伝搬経路長の違いを説明する図である。 操作面上に形成される伝搬経路の等価回路を示す図である。 操作面上に形成される伝搬経路の概略特性を示す図である。 各測定点に対応する検出波形の変化を説明する図である。 測定点に対応する検出波形の振幅の違いを説明する図である。 検出波形の振幅の違いによる測定時間長の違いを説明する図である。 測定点毎の電流制御による測定時間長の調整を説明する図である。 電流値テーブルの一例を示す図である。 電流値と測定点との対応関係を説明する図である。 測定部の内部構成例を示す図である。 ストローブ信号の出力タイミングを説明する図である。 ストローブ信号によって取り込まれる遅延出力信号の数列例を示す図である。 シーケンサの動作例を説明するフローチャート図である。 静電容量型センサーモジュールの機能構成例を説明する図である。 測定部の内部構成例を示す図である。 ストローブ信号の出力タイミングを説明する図である。 トグルクロック信号を説明する図である。 ストローブ信号によって連続的に取り込まれる遅延出力信号の数列例を示す図である。 キャリブレーション動作を説明する図である。 検出波形の振幅の違いによる測定時間長の違いを説明する図である。 静電容量型センサーモジュールの機能構成例を説明する図である。 測定部の内部構成例を示す図である。 ストローブ信号によって取り込まれる遅延出力信号の数列例を示す図である。 シーケンサの動作例を説明するフローチャート図である。 検出波形の振幅の違いによる測定時間長の違いを説明する図である。 静電容量型センサーモジュールの機能構成例を説明する図である。 測定部の内部構成例を示す図である。 ストローブ信号によって取り込まれる遅延出力信号の数列例を示す図である。 シーケンサの動作例を説明するフローチャート図である。 測定部の他の内部構成例を示す図である。 測定部の他の内部構成例を示す図である。 静電容量型センサーモジュールの他の機能構成例を説明する図である。 電子機器の概念構成例を示す図である。 電子機器の概念構成例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。
符号の説明
1 静電容量型センサーデバイス
21 静電容量型センサーモジュール
23 静電容量型センサーデバイス
27 容量変化測定回路
33 容量変化検出回路
35 判定部

Claims (7)

  1. 静電容量型のセンサーデバイスを構成する複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部と、
    容量素子を有し、前記第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を前記容量素子に保持するピークホールド回路と、
    前記パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、前記センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で前記容量素子の放電を開始する電流源と、
    前記容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段と、
    前記複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を前記単位遅延時間長の精度で検出する検出部と
    備えた静電容量型のセンサーデバイスの容量変化検出回路。
  2. 前記遅延回路段における遅延量の範囲は、前記検出信号の信号値に変化点が出現する可能性がある時間幅以上である
    請求項1に記載の容量変化検出回路。
  3. 前記遅延回路段における遅延量の範囲は、前記検出信号の信号値に変化点が出現する可能性がある時間幅未満であり、
    前記測定対象とする時間量の検出は、前記記憶部に対する信号値の記憶動作と検出動作を複数時点について繰り返すことにより実行する
    請求項1に記載の容量変化検出回路。
  4. 数列の第1の電極パターンと、前記第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイスと、
    前記複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部と、
    容量素子を有し、前記複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を前記容量素子に保持するピークホールド回路と、
    前記パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、前記センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で前記容量素子の放電を開始する電流源と、
    前記容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段と、
    前記複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を前記単位遅延時間長の精度で検出する検出部と、
    前記検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部と
    備えた静電容量型センサーモジュール。
  5. 静電容量型センサーデバイスを構成する複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する処理と、
    前記第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンを通じて取り出される検出信号のピークレベルに対応する電圧を容量素子に保持する処理と、
    前記パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、前記静電容量型センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で前記容量素子の放電を開始する処理と、
    前記容量素子の電圧と基準値とを比較する処理と、
    前記比較処理によって得られる比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する処理と、
    前記複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶部に記憶する処理と、
    前記記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を前記単位遅延時間長の精度で検出する処理と
    備えた静電容量型センサーデバイスの容量変化検出方法。
  6. 表示デバイスと、
    前記表示デバイスの表面に配置される静電容量型のセンサーデバイスであって、複数列の第1の電極パターンと、前記第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイスと、
    前記複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部と、
    容量素子を有し、前記複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を前記容量素子に保持するピークホールド回路と、
    前記パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、前記センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で前記容量素子の放電を開始する電流源と、
    前記容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段と、
    前記複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を前記単位遅延時間長の精度で検出する検出部と、
    前記検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部と、
    システム全体の動作を制御するシステム制御部と
    備えた電子機器。
  7. 数列の第1の電極パターンと、前記第1の電極パターンと他層にて交差する複数列の第2の電極パターンとを有する静電容量型のセンサーデバイスと、
    前記複数列の第1の電極パターンに、所定周期でパルス信号を線順次に入力する電極駆動部と、
    容量素子を有し、前記複数列の第2の電極パターンを通じて取り出された検出信号のピークレベルに対応する電圧を前記容量素子に保持するピークホールド回路と、
    前記パルス信号に同期した所定のタイミングにおいて、前記センサーデバイスにおける座標に応じた放電速度で前記容量素子の放電を開始する電流源と、
    前記容量素子の電圧と基準値とを比較するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較出力信号を順次遅延し、単位遅延時間長ずつ比較時点の異なる複数の遅延出力信号を生成する遅延回路段と、
    前記複数の遅延出力信号に対応する信号値を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された複数の信号値に基づいて、測定対象とする時間量を前記単位遅延時間長の精度で検出する検出部と、
    前記検出部で検出された時間量に基づいて、人体又は同等の電気的特性を有する物体による操作入力を判定する判定部と、
    システム全体の動作を制御するシステム制御部と
    備えた電子機器。
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