以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の調湿装置(10)は、換気装置であって、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
〈調湿装置の全体構成〉
調湿装置(10)について、図1、図2を適宜参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。図1に示すケーシング(11)では、左手前の側面(即ち、前面)が前面パネル部(12)となり、右奥の側面(即ち、背面)が背面パネル部(13)となり、右手前の側面が第1側面パネル部(14)となり、左奥の側面が第2側面パネル部(15)となっている。
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と内気吸込口(23)と給気口(22)と排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。外気吸込口(24)は、背面パネル部(13)の下側部分に配置されている。内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)の上側部分に配置されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)と中央仕切板(73)と第1仕切板(74)と第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設され、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行な姿勢で、ケーシング(11)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。上流側仕切板(71)は、背面パネル部(13)寄りに配置されている。下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)寄りに配置されている。
第1仕切板(74)及び第2仕切板(75)は、第1側面パネル部(14)及び第2側面パネル部(15)と平行な姿勢で設置されている。第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように、第1側面パネル部(14)から所定の間隔をおいて配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように、第2側面パネル部(15)から所定の間隔をおいて配置されている。
中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)から下流側仕切板(72)に亘って設けられ、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
ケーシング(11)内において、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間は、上下2つの空間に仕切られ、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、内気側フィルタ(27)と内気湿度センサ(96)とが設置されている。外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、外気側フィルタ(28)と外気湿度センサ(97)とが設置されている。
また、上記内気側通路(32)には、室内空気温度を検出する内気温度センサ(98)が設置され、外気側通路(34)は、室外空気温度を検出する外気温度センサ(99)が設置されている。
ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画され、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。また、図示しないが、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。
各吸着熱交換器(51,52)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものであって、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に立設されている。
ケーシング(11)の内部空間において、下流側仕切板(72)の前面に沿った空間は、上下に仕切られ、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が給気側通路(31)を構成し、下側の部分が排気側通路(33)を構成している。
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられている。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられている。
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられている。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられている。
ケーシング(11)内において、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間は、仕切板(77)によって左右に仕切られ、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を給気口(22)へ吹き出す。排気ファン(25)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を排気口(21)へ吹き出す。
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。第1バイパス通路(81)の始端は、外気側通路(34)のみに連通し、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。
ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。第2バイパス通路(82)の始端は、内気側通路(32)のみに連通し、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。
なお、図2の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
〈冷媒回路の構成〉
図3に示すように、冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路で、調湿手段を構成している。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、冷媒回路(50)では、第1吸着熱交換器(51)と電動膨張弁(55)と第2吸着熱交換器(52)とが、四方切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に接続されている。
四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出側と四方切換弁(54)の第1のポートとを繋ぐ配管には、高圧圧力センサ(91)と、吐出管温度センサ(93)とが取り付けられている。高圧圧力センサ(91)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の圧力を計測する。吐出管温度センサ(93)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吸入側と四方切換弁(54)の第2のポートとを繋ぐ配管には、低圧圧力センサ(92)と、吸入管温度センサ(94)とが取り付けられている。低圧圧力センサ(92)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吸入管温度センサ(94)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、四方切換弁(54)の第3のポートと第1吸着熱交換器(51)とを繋ぐ配管には、配管温度センサ(95)が取り付けられている。配管温度センサ(95)は、この配管における四方切換弁(54)の近傍に配置され、配管内を流れる冷媒の温度を計測する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。一方、上記単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図4に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で水分を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図5に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で水分を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図6に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図7に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
〈単純換気運転〉
単純換気運転中における調湿装置(10)の動作について、図8を参照しながら説明する。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、第1バイパス通路(81)から第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入し、その後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
また、単純換気運転中の調湿装置(10)では、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、第2バイパス通路(82)から第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入し、その後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
−ファン制御−
次に、本実施形態のファン制御について説明する。
本実施形態の調湿装置(10)は、図3に示すように、コントローラ(60)を備えている。該コントローラ(60)は、上記低圧圧力センサ(92)等の各センサ信号が入力され、圧縮機(53)などの容量を制御するように構成されている。
更に、上記コントローラ(60)は、図9及び図11に示すように、排気ファン(25)及び給気ファン(26)を制御する回転数制御手段(61)と回転数決定手段(62)と回転数調整手段(63)とを備えている。つまり、上記コントローラ(60)は、ケーシング(11)の内部に形成される複数の空気通路に対応して排気ファン(25)及び給気ファン(26)を制御する。そして、上記複数の空気通路は、給気通路(34,…,36)と排気通路(32,…,35)と換気通路(81,82,…)とを備えている。具体的に、各通路は下記の通り形成される。
尚、給気通路(34,…,36)は、第1吸着熱交換器(51)又は第2吸着熱交換器(52)を通った調湿空気を室内に供給する通路であり、排気通路(32,…,35)は、第2吸着熱交換器(52)又は第1吸着熱交換器(51)を通った排出空気を室外に放出する通路であり、換気通路(81,82,…)は、排気ファン(25)及び給気ファン(26)のみを通る換気空気が流れる通路である。
給気通路(34,…,36)は、除湿換気運転の第1動作時において、外気側通路(34)と第2熱交換器室(38)と給気側通路(31)と給気ファン室(36)とが順に連通して構成される(図4白抜き矢符参照)。
給気通路(34,…,36)は、加湿換気運転の第2動作時において、外気側通路(34)と第2熱交換器室(38)と給気側通路(31)と給気ファン室(36)とが順に連通して構成される(図7斜線矢符参照、除湿換気運転の第1動作と同じ)。
給気通路(34,…,36)は、除湿換気運転の第2動作時において、外気側通路(34)と第1熱交換器室(37)と給気側通路(31)と給気ファン室(36)とが順に連通して構成される(図5白抜き矢符参照)。
給気通路(34,…,36)は、加湿換気運転の第1動作時において、外気側通路(34)と第1熱交換器室(37)と給気側通路(31)と給気ファン室(36)とが順に連通して構成される(図6斜線矢符参照、除湿換気運転の第2動作と同じ)。
排気通路(32,…,35)は、除湿換気運転の第1動作時において、内気側通路(32)と第1熱交換器室(37)と排気側通路(33)と排気ファン室(35)とが順に連通して構成される(図4斜線矢符参照)。
排気通路(32,…,35)は、加湿換気運転の第2動作時において、内気側通路(32)と第1熱交換器室(37)と排気側通路(33)と排気ファン室(35)とが順に連通して構成される(図7白抜き矢符参照、除湿換気運転の第1動作と同じ)。
排気通路(32,…,35)は、除湿換気運転の第2動作時において、内気側通路(32)と第2熱交換器室(38)と排気側通路(33)と排気ファン室(35)とが順に連通して構成される(図5斜線矢符参照)。
排気通路(32,…,35)は、加湿換気運転の第1動作時において、内気側通路(32)と第2熱交換器室(38)と排気側通路(33)と排気ファン室(35)とが順に連通して構成される(図6白抜き矢符参照、除湿換気運転の第2動作と同じ)。
換気通路(81,82,…)は、単純換気運転において、外気側通路(34)と第1バイパス通路(81)と給気ファン室(36)とが順に連通すると共に、内気側通路(32)と第2バイパス通路(82)と排気ファン室(35)とが順に連通して構成される(図8白抜き矢符及び斜線矢符参照)。
上記回転数制御手段(61)は、換気通路(81,82,…)の風量が所定の目標風量になるように上記排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を制御して該換気通路(81,82,…)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。具体的に、上記回転数制御手段(61)は、排気ファン(25)及び給気ファン(26)の消費電力を所定時間が経過するまで積算し、該消費電力の積算値が予め設定された目標風量の必要電力値になるように排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。つまり、上記回転数制御手段(61)は、各運転ごとの各通路における目標風量に対する必要電力と回転数との関係を予め記憶し、消費電力から排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。
尚、上記回転数制御手段(61)は、運転停止の状態から所定の指示が入力されると決定動作を開始する。具体的に、上記回転数制御手段(61)は、外部から作業者等により回転数の確定制御指示の信号が入力された場合及び、フィルタサインがリセットされて運転を再開する場合などに確定動作を行う。つまり、上記内気側フィルタ(27)及び外気側フィルタ(28)が交換されると、空気抵抗が変化するので、上記回転数制御手段(61)は、回転数の確定動作を行うように構成されている。
上記回転数決定手段(62)は、回転数制御手段(61)が決定した換気通路(81,82,…)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数に基づき給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)の風量が所定の目標風量になるように該給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)に対する上記排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。
上記回転数決定手段(62)は、換気通路(81,82,…)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数と、給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数との関係(関係式)を予め記憶し、該関係に基づき給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。
上記回転数調整手段(63)は、排気ファン(25)及び給気ファン(26)の消費電力を所定時間が経過するまで積算し、該消費電力の積算値が予め設定された目標風量の必要電力値になるように排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を制御する。つまり、上記回転数調整手段(63)は、上記回転数制御手段(61)と同様に、各運転ごとの各通路における目標風量に対する必要電力と回転数との関係を予め記憶し、消費電力から排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を調整する。
また、上記回転数調整手段(63)は、調湿運転中に所定時間ごとに回転数調整動作を開始し、例えば、1時間ごとに回転数調整動作を開始する。つまり、調湿運転中に空気温度が変化すると風量が変化するので、上記回転数調整手段(63)は、所定時間ごとに回転数調整動作を開始する。
上記回転数調整手段(63)は、第1運転及び第2運転の運転時間のうち、切換直後の所定の初期時間と切換前の所定の終期時間との間の中間時間を積算時間としている。つまり、運転の切換直後は、回転数や温度等が安定しないので、例えば、切換直後の30秒と切換前の30秒とは積算しないようにしている。
上記回転数調整手段(63)は、換気運転の運転時間のうち、所定の初期時間が経過した後の運転時間を積算時間としている。つまり、運転の切換直後は、回転数や温度等が安定しないので、例えば、換気運転の開始後の30秒は積算しないようにしている。
−ファン制御動作−
次に、上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転数を制御する動作について制御フローに基づいて説明する。
図9に示すように、回転数制御動作を開始すると、ステップST1において、運転停止中において、回転数の調整が指示されると、ステップST2に移る。つまり、運転を停止中において、外部から作業者等により据付時に回転数の確定制御指示の信号が入力された場合又はフィルタサインがリセットされて運転を再開する場合などは、ステップST2に移り、給気ファン(26)の回転数Frs及び排気ファン(25)の回転数Frrを設定し、ファン回転数の確定制御を開始する(図10A参照)。その後、10個のダンパ(41〜48,83,84)を開閉してダンパ確定動作を行い、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)を開放する(図10B,C参照)。つまり、換気運転である単純換気運転の状態とする。
続いて、ステップST4に移り、給気ファン(26)及び排気ファン(25)を駆動し、(図10C参照)、該給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転数が所定の指示回転数になるを待ってステップST4に移り、タイマをスタートさせる(図10D参照)。つまり、給気ファン(26)及び排気ファン(25)がある程度の回転状態になって消費電力を積算する。
次に、ステップST5に移り、タイマが20秒をカウントしたか否かを判定し、20秒が経過するまで待ってステップST6に移り、消費電力を算出する。その後、ファン風量が目標値の±1%以内になるか、または上記ステップST5〜7の動作を5回になるまで、上記ステップST5〜7の動作を繰り返す。
つまり、上記回転数制御手段(61)は、給気ファン(26)及び排気ファン(25)を予め設定された初期値Frs、Frrで回転させて単純換気運転を行い(ステップST3)、20秒の消費電力を積算する(ステップST6)。上記回転数制御手段(61)は、各通路における目標風量に対する必要電力と回転数との関係を予め記憶し、消費電力から換気通路(81,82,…)の排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。
その後、上記ステップST7からステップST8に移り、回転数決定手段(62)は、換気通路(81,82,…)の排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数から給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)の排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定する。つまり、上記回転数決定手段(62)は、換気通路(81,82,…)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数と、給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数との関係式を予め記憶し、該関係式に基づき給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)に対する排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を決定し、ファン確定制御を終了する(図10E参照)。
また、図11に示すように、回転数調整手段(63)は、調湿運転中にファン回転数を調整する。この調整運転を開始すると、先ず、ステップST11において、単純換気運転と除湿換気運転及び加湿換気運転の第1運転及び第2運転の何れかであることを条件にステップST12に移り、消費電力を積算する。
つまり、上記回転数調整手段(63)は単純換気運転と除湿換気運転と加湿換気運転の各運転中に1時間ごとに調整動作を行うので、各運転中の1時間の消費電力を積算する。この積算は、第1運転及び第2運転の運転時間のうち、切換直後の30秒と切換前の30秒とは積算しないようにし、2分間を積算時間としている。また、上記積算は、単純換気運転の運転時間のうち、換気運転の開始後の30秒後を積算時間としている。
その後、上記ステップST12からステップST13に移り、必要電力を算出する。つまり、上記回転数調整手段(63)は、目標風量に対する必要電力と回転数との関係を予め記憶しているので、排気ファン(25)及び給気ファン(26)の消費電力と目標風量の必要電力を算出する。
続いて、上記ステップST13からステップST14に移り、ファン風量が目標値の±1%以内になっているか否かを判定し、ファン風量が所定風量であれば、調整動作を終了する。一方、ファン風量が目標値の±1%以内でない場合、上記ステップST14からステップST15に移り、目標風量の必要電力になるように排気ファン(25)及び給気ファン(26)の回転数を調節し、調整動作を終了する。
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態によれば、1の空気通路のファン回転数を決定した後、この空気通路のファン回転数に基づき他の空気通路のファン回転数を決定するようにしたために、各空気通路の通風抵抗を考慮したファン回転数を決定することができるので、各運転時に最適の風量を流すことができる。この結果、各調湿運転を快適性を向上させることができる。
また、各空気通路の空気抵抗を考慮してファン回転数を決定するので、正確なファン回転数を決定することができる。
特に、給気通路(34,…,36)と排気通路(32,…,35)と換気通路(81,82,…)を有する場合、各通路に適したファン回転数を決定することができるので、確実に調湿運転を快適性を向上させることができる。
また、上記回転数制御手段(61)は、換気通路(81,82,…)に対するファン回転数を決定するので、簡易にファン回転数を決定することができる。つまり、臭気等の関係から換気通路(81,82,…)を初期設定時に使用することから、この換気通路(81,82,…)からファン回転数を決定することにより、他の給気通路(34,…,36)などのファン回転数を迅速に決定することができる。
また、上記回転数制御手段(61)は、排気ファン(25)及び給気ファン(26)の消費電力に基づいてファン回転数を決定するので、温度の影響を排除して正確なファン回転数を決定することができる。特に、上記排気ファン(25)及び給気ファン(26)が第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)の下流側に配置されているので、温度の影響を排除して正確なファン回転数を決定することができる。
また、上記回転数決定手段(62)は、換気通路(81,82,…)のファン回転数と給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)のファン回転数との関係に基づき給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)のファン回転数を決定するので、迅速に給気通路(34,…,36)及び排気通路(32,…,35)のファン回転数を決定することができる。
また、上記回転数制御手段(61)は、所定の指示により決定動作を開始するので、フィルタ交換等が行われて通風抵抗が変化した際、確実にファン回転数を正確に決定することができる。
また、上記回転数調整手段(63)は、排気ファン(25)及び給気ファン(26)の消費電力に基づいてファン回転数を決定するので、温度の影響を排除して正確なファン回転数を調整することができる。特に、上記排気ファン(25)及び給気ファン(26)が第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)の下流側に配置されているので、温度の影響を排除して正確なファン回転数を決定することができる。
その上、給気通路(34,…,36)と排気通路(32,…,35)と換気通路(81,82,…)を有する場合、各通路に適したファン回転数を調整することができるので、確実に調湿運転を快適性を向上させることができる。
また、上記回転数調整手段(63)は、調湿運転中の所定時間ごとに行うので、温度変化に対して正確なファン回転数に調整することができる。
また、上記回転数調整手段(63)は、第1運転と第2運転との切り換え前後の所定時間は消費電力の積算時間に算入しないので、回転数等が不安定な状態の影響が排除され、正確なファン回転数に調整することができる。
また、上記回転数調整手段(63)は、単純換気運転の切り換えから所定時間後に消費電力の積算を開始するので、回転数等が不安定な状態の影響が排除され、正確なファン回転数に調整することができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の冷媒回路(50)では、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行ってもよい。その場合、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、その一方がガスクーラとして動作し、他方が蒸発器として動作する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に担持された吸着剤を冷媒によって加熱し又は冷却しているが、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に対して冷水や温水を供給することで、吸着剤の加熱や冷却を行ってもよい。
−参考例1−
上記調湿装置(10)が次のように構成されていてもよい。
図12に示すように、本参考例の調湿装置(10)は、冷媒回路(100)と2つの吸着素子(111,112)とを備えている。冷媒回路(100)は、圧縮機(101)と凝縮器(102)と膨張弁(103)と蒸発器(104)が順に接続された閉回路である。冷媒回路(100)で冷媒を循環させると、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。第1吸着素子(111)及び第2吸着素子(112)は、ゼオライト等の吸着剤を備えている。各吸着素子(111,112)には多数の空気通路が形成され、この空気通路を通過する際に空気が吸着剤と接触する。
本参考例の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
除湿換気運転中や加湿還気運転中の調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を所定の時間間隔で交互に繰り返し行う。除湿換気運転中の調湿装置(10)は、室外空気を第1空気として取り込み、室内空気を第2空気として取り込む。一方、加湿換気運転中の調湿装置(10)は、室内空気を第1空気として取り込み、室外空気を第2空気として取り込む。
先ず、除湿換気運転及び加湿還気運転の第1動作について、図12(A)を参照しながら説明する。第1動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された第2空気を第1吸着素子(111)へ供給する。第1吸着素子(111)では、吸着剤が第2空気によって加熱され、吸着剤から水分が脱離する。また、第1動作中の調湿装置(10)は、第1空気を第2吸着素子(112)へ供給し、第1空気中の水分を第2吸着素子(112)に吸着させる。第2吸着素子(112)に水分を奪われた第1空気は、蒸発器(104)を通過する際に冷却される。
次に、除湿換気運転及び加湿還気運転の第2動作について、図12(B)を参照しながら説明する。第2動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された第2空気を第2吸着素子(112)へ供給する。第2吸着素子(112)では、吸着剤が第2空気によって加熱され、吸着剤から水分が脱離する。また、第1動作中の調湿装置(10)は、第1空気を第1吸着素子(111)へ供給し、第1空気中の水分を第1吸着素子(111)に吸着させる。第1吸着素子(111)に水分を奪われた第1空気は、蒸発器(104)を通過する際に冷却される。
そして、除湿換気運転中の調湿装置(10)は、除湿された第1空気(室外空気)を室内へ供給し、吸着素子(111,112)から脱離した水分を第2空気(室内空気)と共に室外へ排出する。また、加湿換気運転中の調湿装置(10)は、加湿された第2空気(室外空気)を室内へ供給し、吸着素子(111,112)に水分を奪われた第1空気(室内空気)を室外へ排出する。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、冷媒回路(100)の圧縮機(101)が停止状態になると共に、第1吸着素子(111)と第2吸着素子(112)のうち一方を室外空気が通過して他方を室内空気が通過する。そして、室外空気は吸着素子(111,112)を通過後に室内へ供給され、室内空気は吸着素子(111,112)を通過後に室外へ排出される。単純換気運転中の調湿装置(10)において、室外空気や室内空気の流通経路の切り換えは行われない。
−参考例2−
上記調湿装置(10)が次のように構成されていてもよい。
図13に示すように、本参考例の調湿装置(10)は、本体ユニット(150)と熱源ユニット(165)とを備えている。
本体ユニット(150)の内部空間は、給気通路(151)と排気通路(152)とに区画されている。給気通路(151)は、その始端が外気吸込口(153)に連通し、その終端が給気口(154)に連通している。給気通路(151)には、その始端から終端へ向かって順に、利用側熱交換器(161)と、加湿エレメント(162)と、給気ファン(157)とが配置されている。排気通路(152)は、その始端が内気吸込口(155)に連通し、その終端が排気口(156)に連通している。排気通路(152)には、排気ファン(158)が配置されている。
熱源ユニット(165)は、一対の連絡配管(166)を介して利用側熱交換器(161)と接続されている。図示しないが、熱源ユニット(165)は、圧縮機や膨張弁などを備えている。この熱源ユニット(165)は、利用側熱交換器(161)と共に冷媒回路(167)を形成している。利用側熱交換器(161)は、空気を冷媒と熱交換させる空気熱交換器である。冷媒回路(167)は、利用側熱交換器(161)が蒸発器となる冷凍サイクル動作と、利用側熱交換器(161)が凝縮器となる冷凍サイクル動作とを選択的に行う。
図示しないが、加湿エレメント(162)では、水通路と空気通路とが透湿膜を挟んで形成されている。水通路では、外部から供給された水道水が流通する。空気通路では、給気通路(151)を流れる空気が流通する。透湿膜は、液体である水は通過させずに水蒸気のみを通過させる。
本参考例の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、利用側熱交換器(161)が蒸発器となる冷凍サイクル動作を冷媒回路(167)が行うと共に、加湿エレメント(162)に対する給水が停止される。この運転中において、利用側熱交換器(161)における冷媒の蒸発温度は、室外空気の露点温度よりも低い値に設定される。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)を通過する際に冷却され、室外空気中の水分が凝縮してドレン水となる。利用側熱交換器(161)を通過した室外空気は、加湿エレメント(162)を通過した後に給気口(154)を通って室内へ供給される。利用側熱交換器(161)で生じたドレン水は、室外へ排出される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、利用側熱交換器(161)が凝縮器となる冷凍サイクル動作を冷媒回路(167)が行うと共に、加湿エレメント(162)に対する給水が行われる。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)を通過する際に加熱された後に加湿エレメント(162)へ送られる。加湿エレメント(162)では、透湿膜を通過した水蒸気が空気に付与される。加湿エレメント(162)で加湿された空気は、給気口(154)を通って室内へ供給される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、冷媒回路(167)の運転と加湿エレメント(162)に対する給水の両方が停止され、給気ファン(157)及び排気ファン(158)の運転のみが行われる。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)と加湿エレメント(162)を順に通過し、その後に給気口(154)を通って室内へ供給される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
−その他の実施形態−
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態において、ファン回転数を自動的に制御するようにしたが、このファン回転数は、自動制御する制御手段の他に、手動により複数のファン回転数に設定する手動制御の制御手段を設けるようにしてもよい。つまり、各運転後に9種類のファンタップを設けてファン回転数を手動設定する機能を設けるようにしてもよい。
また、上記参考例は、調湿装置について説明したが、単純換気運転のみを行う換気装置であってもよい。つまり、上記第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)等を備えず、上記ファン(25,26)のみを備えて換気通路の空気通路を有するものであってもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。