JP5081479B2 - 反射防止積層体、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止積層体、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、反射防止積層体、偏光板、及び画像表示装置に関する。
反射防止積層体(反射防止フィルム)は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため様々な膜強度、例えば、細かなこすりに対する耐擦傷性や、筆記器具で書かれたときの圧力に耐える膜硬度などが要求される。
近年、LCDおよびPDP等に代表されるディスプレイ市場の拡大とディスプレイの大型化に伴い、ディスプレイの最表面に配置される防眩性積層体についても、防眩性と他の改善が求められている。特に、1)コントラストの改善、2)透過鮮明度の向上、3)文字ボケの軽減、4)ディスプレイを黒表示にした状態での漆黒感の向上(黒締り性)等の改善が要求されている。
防眩性積層体の大型化による表示体の視認性の低下は、防眩性積層体における防眩性能力を向上させることにより解決しうるが、上記1)〜4)の改善要求を満たすことは困難であった。つまり、防眩性向上と、上記1)〜4)の改善要求とは一般的に相反関係にあるとされており、この両者を同時に満足させる防眩性積層体の開発が望まれている。
そこで、上記1)〜4)を同時に満たす方法として、ハードコート性を有する層内で微粒子が5個以上凝集して、ハードコート性を有する層の最表面に所望の凹凸形状を形成させる方法が提案されている(特許文献1)。また、ハードコート性を有する層の凹凸表面の調整及び凹凸形状を形成している表面の凹凸スケール(凹凸の山高さと山間隔)の1/10以下のスケールで凹凸形状に沿って存在している微細な凹凸を目止めして、スムージングを掛けて滑らかな凹凸を形成させることにより、凹凸の山間隔や山高さ、山の頻度(個数)の調整することが可能である表面調整層が提案されている(特許文献2)。しかし、黒締り性の実現性や映り込み防止がまだ十分ではなく、改善が望まれている。黒締り性の更なる改善のためには反射率の低下が有効であり、低屈折率層を設けることが知られている。約100nm程度の薄層を塗布する場合には、塗布表面に凹凸があるとはじき故障を起こしやすい。ディスプレイの大型化に伴い、塗布故障の頻度の少ない反射防止積層体が望まれている。はじき故障の対策のために含フッ素や含シリコーンのレベリング剤を増量すると、塗膜の強度が低下してディスプレイの表面フィルムとして必要な耐擦傷性が低下してしまう傾向を有しており、更なる改良が望まれていた。
特開2005−316413号公報 特開2005−316450号公報
本発明の一側面は、黒締り性と耐擦傷性に優れた反射防止積層体の提供にある。本発明の別の側面は、該積層体を用いた偏光板及び画像表示装置の提供にある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
<1>
支持体上に、微粒子を含有するハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層が、隣接もしくは他の層を介してこの順に積層してなる反射防止積層体において、
該オーバーコート層と該低屈折率層が隣接し、かつ該ハードコート性を有する光散乱層の表面が凹凸形状を有し、
該オーバーコート層が、
1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能の重合性モノマーと、
下記一般式(a)で示されるシランカップリング剤、及び/又は該シランカップリング剤の加水分解物及び縮合反応物を含むオーバーコート層用塗布組成物を塗設してなる厚さ0.5〜3.0μmの層であり、
該低屈折率層が熱硬化性樹脂成分を含む低屈折率用塗布組成物を塗設してなる層であって、
該熱硬化性樹脂成分が、
構成成分(A)として、下記一般式(b)で表されるオルガノシランの加水分解物及び縮合反応物の少なくともいずれかであり、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000である加水分解物及び縮合反応の少なくともいずれかを含有し、
構成成分(B)として、下記一般式(b)で表される化合物と下記一般式(a−2)で表される化合物の加水分解および縮合反応により得られるポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上100000以下であるフルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂とを含有する、反射防止積層体。
一般式(a):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、無置換のアルキル基、水酸基、加水分解可能な基の少なくとも1つである。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
一般式(b):(R10m−Si(X)4-m
上記一般式(b)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。mは、0〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
一般式(a−2):(Rf−L1n−Si(X14−n
上記一般式(a−2)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表す。X1は、水酸基または加水分解可能な基を表す。nは、1〜3の整数を表す。Rf−L1もしくはX1が複数存在するとき、複数のRf−L1もしくはX1はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
<2>
前記ハードコート性を有する光散乱層中に、三次元の立体構造を有する微粒子の凝集部が複数存在する<1>に記載の反射防止積層体。
<3>
凝集部を形成しない他の微粒子が複数連なることにより、複数の前記凝集部間を結ぶものである<2>に記載の反射防止積層体。
<4>
微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmax(μm)とし、反射防止積層体の最表面における凹凸形状の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角(正反射面に対する平均傾斜角度)をθaとした場合に、下記式(I)〜(III):
8R≦Sm≦60R (I)
R<Hmax≦3R (II)
0.3≦θa≦2.5 (III)
を同時に満たす<1>〜<3>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
<5>
低屈折率用塗布組成物が、熱により、酸を発生する化合物を含有する<1>〜<4>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
<6>
低屈折率層が、平均粒径5nm〜200nmの無機微粒子を含有する<1>〜<5>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
<7>
無機微粒子が、内部及び表面の少なくともいずれかに平均孔径0.01nm〜90nmの空孔を有する<6>に記載の反射防止積層体。

微粒子が、有機系材料により形成されてなる微粒子である<1>〜<>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。

微粒子の平均粒子径Rが、1.5μm以上7.0μm以下であり、かつ該微粒子の個数の90%以上において、該微粒子の粒径平均分布がR±0.5μmの範囲内にある<1>〜<>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
10
ハードコート性を有する光散乱層が、前記微粒子の平均粒径と異なる平均粒径を有する第二微粒子をさらに含有する<1>〜<>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
11
微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、第二微粒子の平均粒子径をr(μm)とした場合に、下記式(IV):
0.25R≦r≦1.0R (IV)
を満たすものである、<10>に記載の反射防止積層体。
12
有機系材料が、電離放射線硬化型樹脂であり、かつ第二微粒子が該有機系材料により形成されてなる微粒子である<10>又は<11>に記載の反射防止積層体。
13
反射防止積層体の内部のヘイズ値が80%以下である<1>〜<12>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
14
ヘイズ値が2.0〜65.0(%)であり、60度グロス値が35〜98(%)であり、透過鮮明度の値が70〜350(%)であることを同時に満たすものである、<1>〜<13>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
15
支持体とハードコート性を有する光散乱層との間に帯電防止層を更に有し、かつ前記ハードコート性を有する光散乱層が、通電性微粒子を含有し、反射防止積層体の最表面が通電性をもつ<1>〜<14>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
16
反射防止積層体の表面抵抗値が、1.0×1013Ω/□以下である<1>〜<15>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
17
ハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、支持体の送出しから巻取りまでの間に、逐次連続塗布により形成されてなる<1>〜<16>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
18
ハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、1つの塗布装置で同時に重層塗布して形成されてなる<1>〜<17>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
19
支持体が、25〜70μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムである<1>〜<18>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
20
支持体が、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、及びシクロオレフィン系樹脂フィルムの群から選ばれる<1>〜<18>のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
21
偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、<1>〜<20>のいずれか一項に記載の反射防止積層体である偏光板。
22
<1>〜<20>のいずれか一項に記載の反射防止積層体、又は<21>に記載の偏光板を、表示画面の視認側に有する画像表示装置。
本発明は上記<1>〜<22>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記(1)〜(37)に記載した事項など)についても記載した。
(1)支持体上に、ハードコート性を有する層、オーバーコート層、及び低屈折率層が、隣接もしくは他の層を介してこの順に積層してなる反射防止積層体。
(2)ハードコート性を有する層が、微粒子を含有する光散乱層である前記1に記載の反射防止積層体。
(3)ハードコート性を有する層中に、三次元の立体構造を有する微粒子の凝集部が複数存在し、ハードコート性を有する層の表面が凹凸形状を有する前記2に記載の反射防止積層体。
(4)支持体上に、ハードコート性を有する層、オーバーコート層、及び低屈折率層が、この順に積層してなる反射防止積層体において、オーバーコート層と低屈折率層が隣接しており、ハードコート性を有する層中に、三次元の立体構造を有する有機材料により形成されてなる微粒子の凝集部が複数存在し、ハードコート性を有する層の表面が凹凸形状を有することを特徴とする反射防止積層体。
(5)低屈折率層が、電離放射線硬化性樹脂成分を含む低屈折率用塗布組成物を塗設してなる層である前記1〜4のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(6)低屈折率層が、熱硬化性樹脂成分を含む低屈折率用塗布組成物を塗設してなる層である前記1〜4のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(7)低屈折率層が、熱及び電離放射線硬化性樹脂成分を含む低屈折率用塗布組成物を塗設してなる層である前記1〜4のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(8)凝集部を形成しない他の微粒子が複数連なることにより、複数の前記凝集部間を結ぶものである前記3〜7のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(9)微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmax(μm)とし、反射防止積層体の最表面における凹凸形状の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角(正反射面に対する平均傾斜角度)をθaとした場合に、下記式(I)〜(III):
8R≦Sm≦60R (I)
R<Hmax≦3R (II)
0.3≦θa≦2.5 (III)
を同時に満たす前記3〜8のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(10)電離放射線硬化性樹脂成分及び/又は熱硬化性樹脂成分が、水酸基を含有する樹脂成分である前記5〜9のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(11)電離放射線硬化性樹脂成分及び/又は熱硬化性樹脂成分が、含フッ素ビニルモノマー重合単位、水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及びポリシロキサン構造を少なくとも1種有する樹脂成分である前記5〜10のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(12)電離放射線硬化性樹脂成分及び/又は熱硬化性樹脂成分が、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000であるオルガノシランの加水分解物および縮合反応物の少なくともいずれか(A)、及び/又はポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)を含有する前記5〜10のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(13)電離放射線硬化性樹脂成分及び/又は熱硬化性樹脂成分が、1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物である前記5〜10のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(14)低屈折率用塗布組成物が、含フッ素樹脂成分を含む前記5〜13のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(15)低屈折率用塗布組成物が、熱及び/又は電離放射線により、酸及び/又はラジカルを発生する化合物を含有する前記5〜14のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(16)低屈折率用塗布組成物が、水酸基と反応可能な架橋剤を含有する前記5〜15のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(17)低屈折率用塗布組成物が、下記一般式(a)で示されるシランカップリング剤、及び/又は前記シランカップリング剤の加水分解物及び縮合反応物を含有する前記5〜16のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
一般式(a):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、無置換のアルキル基、水酸基、加水分解可能な基の少なくとも1つである。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
(18)低屈折率層が、平均粒径5nm〜200nmの無機微粒子を含有する前記1〜17のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(19)無機微粒子が、内部及び表面の少なくともいずれかに平均孔径0.01nm〜90nmの空孔を有する前記18に記載の反射防止積層体。
(20)熱及び/又は電離放射線により酸及び/又はラジカルを発生する化合物が、下記の3つの条件を満たす化合物である前記15〜19のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
電離放射放射線により酸及び又はラジカルを発生する ・・・(I)
分子量が300以上 ・・・(II)
最大吸収波長(λmax)が310〜450nm ・・・(III)
(21)オーバーコート層が、下記一般式(a)で示されるシランカップリング剤、及び/又は該シランカップリング剤の加水分解物及び縮合反応物を含むオーバーコート層用塗布組成物を塗設してなる層である前記1〜20のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
一般式(a):(R−Si(X4−m
(但し、Xは、無置換のアルキル基、水酸基、加水分解可能な基の少なくとも1つである。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
(22)オーバーコート層の屈折率が、1.48〜1.65の範囲であり、かつ膜厚が0.5〜10μmの範囲である前記1〜21のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(23)微粒子が、有機系材料により形成されてなる微粒子である前記2〜22のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(24)微粒子の平均粒子径Rが、1.5μm以上7.0μm以下であり、かつ該微粒子の個数の90%以上において、該微粒子の粒径平均分布がR±0.5μmの範囲内にある前記2〜23のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(25)ハードコート性を有する層が、前記微粒子の平均粒径と異なる平均粒径を有する第二微粒子をさらに含有する前記2〜24のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(26)微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、第二微粒子の平均粒子径をr(μm)とした場合に、下記式(IV):
0.25R≦r≦1.0R (IV)
を満たすものである、前記2〜25のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(27)有機系材料が、電離放射線硬化型樹脂であり、かつ第二微粒子が該有機系材料により形成されてなる微粒子である前記25又は26に記載の反射防止積層体。
(28)反射防止積層体の内部のヘイズ値が80%以下である前記1〜27のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(29)ヘイズ値が2.0〜65.0(%)であり、 60度グロス値が35〜98(%)であり、 透過鮮明度の値が70〜350(%)であることを同時に満たすものである、前記1〜28のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(30)支持体とハードコート性を有する層との間に帯電防止層を更に有し、かつ前記ハードコート性を有する層が、通電性微粒子を含有し、反射防止積層体の最表面が通電性をもつ前記1〜29のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(31)反射防止積層体の表面抵抗値が、1.0×1013Ω/□以下である前記1〜30のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(32)ハードコート性を有する層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、支持体の送出しから巻取りまでの間に、逐次連続塗布により形成されてなる前記1〜31のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(33)ハードコート性を有する層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、1つの塗布装置で同時に重層塗布して形成されてなる前記1〜32のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(34)支持体が、25〜70μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムである前記1〜33のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(35)支持体が、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、及びシクロオレフィン系樹脂フィルムの群から選ばれる前記1〜34のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
(36)偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、前記1〜35のいずれか一項に記載の反射防止積層体である偏光板。
(37)前記1〜35のいずれか一項に記載の反射防止積層体、又は前記36に記載の偏光板を、表示画面の視認側に有する画像表示装置。
本発明によれば、低反射率化、耐擦傷性、黒締り性、及び映り込みが改善された反射防止積層体が提供できる。即ち、支持体上に、ハードコート性を有する層、及び低屈折率層をこの順に積層してなる反射防止積層体において、ハードコート性を有する層の上に直接又は間接的にオーバーコート層を設け、さらに低屈折率層を設けることにより、低反射率化、耐擦傷性、黒締り性、及び映り込みが改善される。
微細な凹凸面上に均一な約100nmの低屈折率層を設けることは技術的に難しい。しかし、本発明によれば、ハードコート層の上にオーバーコート層を設けることで、滑らかな凹凸を有するために、設計に近い膜厚を設けることができ、かつ低反射化された反射防止積層体が提供できる。
ハードコート性を有する層の微細な凹凸面上に直接低屈折率層を設けることに対し、ハードコート性を有する層の上に直接又は間接的にオーバーコート層を設け、さらに低屈折率層を設けることにより耐擦傷性が向上する。微細な凹凸面上ではなく、滑らかな凹凸面上に低屈折率層を設けることで、低屈折率層の膜厚の不均一が改良されたり、界面結合が充分取れるようになったと推定される。特に、オーバーコート層に低屈折率層の硬化性成分と結合性を有する界面結合剤を使用することで、膜厚の均一性の向上と耐擦傷性の改良を実現することができる。ハードコート層に隣接して低屈折率層を形成する場合には、界面結合を十分強くする量だけ上記界面結合剤を添加すると、粒子の凝集を変化させてしまい、望む凹凸面を形成するのが困難となり、またハードコート層全体の硬度を低下させる弊害も有している。また、導電性層の上に通電粒子を入れたハードコート層を用いて、フィルムの表面抵抗を下げる場合には、上記界面結合剤により通電粒子が凝集すると通電できる点が減少してしまい表面抵抗が低下しにくくなるという弊害を有している。オーバーコート層にはこのような制約がなく高濃度で界面結合剤を用いることが可能になる。
所望の光学特性(外光や背景の写りこみが少ない、ギラツキの発生が少ない、及び視認性が高い等の少なくとも一つ)を有する反射防止積層体が提供できる。本発明の反射防止積層体は、LCD、PDP、SED等のフラットパネルディスプレイの表面フィルム、又は偏光板用の保護フィルムなどに適用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において使用される用語について説明する。数値が物性値、特性値等を表わす場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。「本発明のフィルム」とは、反射防止積層体と同義で用いる。
本発明の好ましい態様としては、以下の態様が挙げられる。
I.低屈折率層に含フッ素の熱硬化性ポリマーを含有し、オーバーコート層にオルガノシラン化合物又はその加水分解物又はその縮合反応物(界面結合剤)を含有する態様。好ましくは、低屈折率層に更に架橋性化合物、熱硬化触媒、光重合開始剤、オルガノシラン化合物、エチレン性不飽和基を有する硬化性化合物、低屈折無機粒子を含有する。
II.低屈折率層にオルガノシラン化合物の加水分解物又はその縮合反応物を含有し、オーバーコート層にオルガノシラン化合物又はその加水分解物又はその縮合反応物(界面結合剤)を含有する態様。好ましくは、低屈折率層に更に硬化触媒、低屈折無機粒子を含有する。
1.本発明の反射防止積層体における構成物
本発明の反射防止積層体に使用することのできる各種化合物について記載する。
1−(1).硬化性含フッ素ポリマー
本発明の低屈折率層には、硬化性の含フッ素ポリマーを使用することができる。該ポリマーの構成成分について以下に説明する。
(含フッ素ビニルモノマー重合単位)
本発明において、低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素ビニルモノマー重合単位の構造には、特に制限なく、例えば含フッ素オレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどに基づく重合単位を挙げることができる。製造適性と、屈折率や膜強度など低屈折率層に必要とされる性質から、該含フッ素ポリマーは、含フッ素オレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることが好ましく、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることがより好ましい。また、共重合成分として屈折率を低下させる目的でペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどを含んでいてもよい。
ペルフルオロオレフィンとしては、炭素数3〜7のものが好ましく、重合反応性の観点からはペルフルオロプロピレン又はペルフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からペルフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
ポリマー中のペルフルオロオレフィンの含率は25〜75モル%である。素材の低屈折率化のためには、ペルフルオロオレフィンの導入率を高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70モル%程度の導入が限界であり、これ以上は困難である。本発明においては、該含率は30%〜70モル%であることが好ましく、30%〜60モル%であることがより好ましく、35%〜60モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが特に好ましい。
また、本発明では低屈折率化のために下記M1で表わされる含フッ素ビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の範囲で重合体中に導入されていてよいが、好ましくは0〜30モル%であり、特に好ましくは0〜20モル%の場合である。
M1中、R 111は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖{例えば−CFCF、−CH(CFH、−CHCH(CFF(a:2〜12の整数)など}であっても、分岐構造{例えばCH(CF、CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFHなど}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば-CHOCHCFCF、-CHCHOCH(CFH、-CHCHOCH(CFF(b:2〜12の整数)、CHCHOCFCFOCFCFHなど)を有していてもよい。なおR 111で表される置換基はここで述べた置換基に限られるものではない。
M1で表わされる上記単量体は、例えば、“Macromolecules”,32巻(21)、p.7122(1999年)、特開平2−721号公報等に記載のごとくビニロキシアルキルスルホネート、ビニロキシアルキルクロリド等の離脱基置換アルキルビニルエーテル類に対して、塩基触媒存在下含フッ素アルコールを作用させる方法;国際出願特許第92/05135号パンフレット記載のごとく、含フッ素アルコールとブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類をパラジウム触媒存在下で混合してビニル基の交換を行う方法;米国特許第3420793号明細書記載のごとく、含フッ素ケトンとジブロモエタンをフッ化カリウム触媒存在化で反応させた後アルカリ触媒により脱HBr反応を行う方法;等により合成することができる。
以下に、M1で表わされる構成成分の好ましい例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明では、低屈折率化のために、下記M2で表わされるペルフルオロビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の範囲で重合体中に導入されていてよいが、好ましくは0〜30モル%であり、より好ましくは0〜20モル%である。
M2中、R 112は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わし、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10の含フッ化アルキル基であり、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。また、該フッ化アルキル基は置換基を有していてもよい。R 112の具体例としては、−CF{M2−(1)}、−CFCF{M2−(2)}、−CFCFCF{M2−(3)}、−CFCF(OCFCFCF)CF{M2−(4)}などが挙げられる。
(水酸基含有ビニルモノマー重合単位)
本発明で用いられる含フッ素ポリマーは、後述の架橋性化合物と共に用いて、硬化性を付与するために水酸基含有ビニルモノマー重合単位を含み、その含率はポリマー中で10モル%より大きいことが好ましい。水酸基は架橋剤と反応して硬化する機能を有するため、水酸基の含有率が高いほど硬い膜を形成できて好ましく、その含有率は10モル%を超え以上70モル%以下であることが好ましく、10モル%を超えて60モル%以下であることがより好ましく、15モル%以上55モル%以下であることが更に好ましい。
水酸基含有ビニルモノマーは、前述した含フッ素ビニルモノマー重合単位と共重合可能なものであれば、ビニルエーテル類、(メタ)アクリレート類、スチレン類など、特に制限なく使用することができる。例えば含フッ素ビニルモノマーとしてペルフルオロオレフィン(ヘキサフルオロプロピレンなど)を用いた場合には、共重合性が良好な水酸基含有ビニルエーテルを用いることが好ましく、具体的には2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(ポリシロキサン構造を有する構成単位)
本発明の含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するためにポリシロキサン構造を有する構成単位を有することも好ましい。本発明で有用なポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、および(c)側鎖に下記一般式1で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式1:
一般式1中、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、特に好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式1であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
シリコンマクロマーとしては、含フッ素オレフィンとの共重合が可能な重合性基を有しているものであれば良く、好ましくは一般式2〜5のいずれかで表わされる構造である。
一般式2〜5においてR、Rおよびpは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲もそれらと同じである。R〜Rはそれぞれ独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6から20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。Rは水素原子またはメチル基を表わす。Lは炭素数1〜20の任意の連結基を表わし、置換または無置換の直鎖、分岐または脂環式のアルキレン基、または置換または無置換のアリーレン基が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。これらの化合物は例えば特開平6−322053号記載の方法で合成される。
一般式2〜5で表される化合物はどれも本発明に好ましく用いることができるが、これらの中でも特に含フッ素オレフィンとの共重合性の観点から一般式2、3または4で表わされる構造のものが好ましい。上記のポリシロキサン部位はグラフト共重合体中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜10%の場合である。
以下に本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合体グラフト部位の重合単位の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
S−(36) サイラプレーン FM−0711 (チッソ(株)製)
S−(37) サイラプレーン FM−0721 (同上)
S−(38) サイラプレーン FM−0725 (同上)
上記ポリシロキサン構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
(その他の重合単位)
上記以外の重合単位を形成する共重合成分としては、硬度、基材への密着性、溶媒への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40モル%の範囲であり、0〜30モル%の範囲であることが好ましく、0〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
(好ましい含フッ素ポリマーの形態)
本発明で特に好ましいポリマーの形態は、一般式6で表わされる形態である。
一般式6:
一般式6において、Rf11は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基をわす。−CFCF(Rf11)−で表わされる部位を構成するモノマーに付いては、ペルフルオロオレフィンの例として上記した説明があてはまる。一般式6中、Rf12は含フッ素ビニルエーテル(前記の式M2で表される化合物におけるRf112)で述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。A11、B11は、それぞれ水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び任意の構成単位を表わす。A11は、上記で説明した水酸基含有ビニルモノマー重合単位の定義と同じであり、B11は特に制限はないが、共重合性の観点から、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類がより好ましい。具体的には前記(その他の重合単位)において例示したモノマーや前記の式M1で表されるモノマーなどが挙げられる。
11は、ポリシロキサン構造を有する構成単位を表し、その形態は側鎖に前記一般式1で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位であってもよい。それらの定義および好ましい範囲などは前記(ポリシロキサン構造を有する構成単位)で説明したものと同じである。
11は、ポリシロキサン部分構造を主鎖に含む構成成分を表す重合単位であってもよい。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端あるいは両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン部分構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
a〜dはそれぞれ各構成成分のモル分率(%)を表わし、a+b+c+d=100である。それぞれ30≦a≦70(より好ましくは30≦a≦60、さらに好ましくは35≦a≦60)、0≦b≦40(より好ましくは0≦b≦30、さらに好ましくは0≦b≦20)、20≦c≦70(より好ましくは20<c≦60、更に好ましくは25≦c≦55)、0≦d≦40(より好ましくは0≦d≦30)の関係を満たす。
yはポリシロキサンを含有する構成単位の、含フッ素ポリマー全体に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦y≦20(より好ましくは0.05≦y≦15、更に好ましくは0.5≦y≦10)の関係を満たす。
本発明における低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーの数平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは8,000〜500,000であり、特に好ましくは10,000〜100,000である。
ここで、数平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
表1及び表2に本発明で有用なポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表1、2には重合単位の組合せとして表記する。

上記表中、含フッ素ポリマー構成成分に関しては各成分のモル比を示した。略号は以下の通りである。
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
HEVE:2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、 HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
HOVE:8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、
DEGVE:ジエチレングリコールビニルエーテル、
HMcHVE:4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテル、
EVE:エチルビニルエーテル、
cHVE:シクロヘキシルビニルエーテル、
tBuVE:t−ブチルビニルエーテル、
VAc:酢酸ビニル。
本発明に用いられる前記含フッ素ポリマーの合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合によって行うことができる。また回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で合成することができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶媒は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶媒の単独あるいは2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、40〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜5MPa、より好ましくは0.1〜2MPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーは反応液をそのまま本発明の用途に用いることもできるし、再沈殿や分液操作によって精製して用いることもできる。
1−(2).オルガノシランの加水分解物および縮合反応物
本発明の低屈折率層には、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000であるオルガノシランの加水分解物および縮合反応物の少なくともいずれか(A)(構成成分(A))を含むことが、低屈折率層自身の高硬度化の点で好ましい(前述の好ましい態様II)。本発明の構成成分(A)は、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000であるオルガノシランの加水分解物及び縮合反応物の少なくともいずれか1種を指し、加水分解物、縮合反応物、及びこれらの混合物でもよい。また、構成成分(A)は、原料となるオルガノシラン化合物を未反応残存物として含んでいても良い。未反応残存物量としては1%以下が好ましい。以下に構成成分(A)の原料となるオルガノシラン化合物、加水分解反応、縮合反応、生成物の分子量等について説明する。
(オルガノシラン化合物)
本発明に用いる、下記一般式(b)で表される、オルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(b):(R10m−Si(X)4-m
上記一般式(b)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは、0〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは0、1または2である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(b)で表される化合物は、下記一般式(a−1)で表わすことができる。
一般式(a−1):
一般式(a−1)において、R1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(b)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(b)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明において好ましいオルガノシラン化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン等が挙げられる。この中でも硬化組成物中での無機粒子の分散安定性、耐擦傷性の観点からテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
(オルガノシランの加水分解、縮合反応)
オルガノシランの加水分解および縮合反応の少なくともいずれかの反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び金属キレート化合物の少なくともいずれかが用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
本発明において、オルガノシランの加水分解物の生成および縮合反応に用いる金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる
オルガノシランの加水分解および縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。この反応により、本発明の硬化性組成物を製造することができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜70質量%の範囲である。
加水分解および縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして酸触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。 加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシ基等の加水分解性基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。 反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
(オルガノシランの加水分解物および縮合反応物の形状及び分子量)
本発明に用いられるオルガノシランの加水分解物および縮合反応物の形状は鎖状であっても3次元の網目構造であっても良い。また、これらの化合物の質量平均分子量は、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000であることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲にあると、硬化性組成物の塗工および保存安定性が良好であると共に、硬化膜の耐擦傷性を充分に確保でき、好ましい。エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜9000であることがさらに好ましく、300〜8000であることが特に好ましい。
前記質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、DMF、示差屈折計検出によるエチレングリコール換算で表した分子量である。
電離放射線硬化性樹脂成分及び/又は熱硬化性樹脂成分が、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂(B)(構成成分(B))であることが好ましい。
1−(3).フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素化合物
本発明の低屈折率層には、フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素化合物(本発明の構成成分(B))を低屈折率層の主バインダーとして用いることができる(前述の好ましい態様II)。
以下、本発明の構成成分(B)について述べる。
(フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素化合物)
前記含フッ素化合物は、前記一般式(b)とフルオロアルキル構造を有する下記一般式(a−2)の加水分解および縮合反応により得られる。
一般式(a−2):(Rf−L1n−Si(X14−n
上記一般式(a−2)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。X1は、一般式(b)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
nは、1〜3の整数を表す。Rf−L1もしくはX1が複数存在するとき、複数のRf−L1もしくはX1はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは1または2である。
一般式(a−2)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(a−3)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(a−3):Cn2n+1−(CH2m−Si(X23
上記一般式(a−3)中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X2はメトキシ基、エトキシ基、または塩素原子を表す。
一般式(a−3)で表される化合物としては、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、構成成分(B)である、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有する化合物を調製する際に、該含フッ素化合物に用いる前記一般式(b)の中でもテトラエトキシシラン、テトラメトキシシランが好ましい。
含フッ素化合物を得るために加水分解および縮合反応の際に使用される溶剤、触媒、反応条件は、前述の「1−(2).オルガノシランの加水分解物および縮合反応物」において記載したものより、それぞれ適宜選ぶことができる。
含フッ素化合物の前記一般式(b)と前記一般式(a−2)の反応比率に特に制限はないが、一般式(b):一般式(a−2)=1〜10:1、さらに2〜10:1が好ましい(モル比)。
フッ素化合物(B)は、水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかの基を有することが好ましい。フッ素化合物(B)の水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかは、オルガノシランの加水分解物および縮合反応物(A)の少なくともいずれかと、またはフッ素化合物(B)のポリシロキサン構造と反応して、硬化膜の皮膜強度が強くなり、耐擦傷性をさらに向上させることができる。水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかの基は、フルオロアルキル構造に導入されていてもよく、ポリシロキサン構造に導入されていてもよい。水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかの基は、これら官能基を有する化合物を共重合することにより導入できる。
(フルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素化合物の形状および分子量)
本発明に用いられる加水分解物および縮合反応により得られる含フッ素化合物の少なくともいずれかの形状は、鎖状であっても3次元の網目構造であっても良い。また、含フッ素化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上であることが好ましい。さらに、5000〜100000であることが好ましく、5000〜50000であることが特に好ましい。質量平均分子量が5000以上の場合には、硬化膜の耐擦傷性を充分に確保でき好ましい。一方、質量平均分子量が100000以下の場合は、硬化性組成物の塗工性および保存安定性が維持されて好ましい。
質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明のフッ素化合物(B)の具体的な例は、例えば、特開2000−191977号公報、特開2000−204319号公報、特開2000−328001号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
1−(4).多官能の重合性モノマー
本発明のハードコート性を有する層、オーバーコート層には、多官能の重合性モノマーを使用することが好ましい。また、前述の好ましい態様Iにおいて、熱硬化性の含フッ素ポリマーとともに多官能の重合性モノマーを用いることで、オーバーコート層との密着力を増加せしめることができる。
(1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物)
具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
1−(5).熱及び/又は電離放射線により酸及び/又はラジカルを発生する化合物
本発明において、ハードコート性を有する層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも一層を形成する塗布組成物に、
熱及び/又は電離放射線により酸を発生する化合物(熱又は感光性酸発生剤)、及び
熱及び/又は電離放射線によりラジカルを発生する化合物(熱又は光ラジカル開始剤)
の少なくとも一種を併用することができる。
(熱及び/又は電離放射線によりラジカルを発生する化合物(開始剤))
本発明のフィルムを作製するに当り、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を併用することができる。各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
熱及び/又は電離放射線によりラジカルを発生する化合物が感光する波長は、1200nm以下が化合物および設備上好ましい。さらに好ましいのは200nm以上800nm以下であり、特に好ましいのは250nm以上600nm以下である。
<光ラジカル開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull.Chem.Soc.Japan“42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503号公報のp14〜p30、特開昭55−77742号公報のp6〜p10、特公昭60−27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、USP−4701399号のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。「最新UV硬化技術」、(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」、加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組合せが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱ラジカル開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
<硬化性含フッ素ポリマーと共に使用できる高極性の重合開始剤>
本発明においては、オーバーコート層と低屈折率層の界面の密着に対して、低屈折率層に高極性の重合開始剤を使用すすることが好ましい。
(SP値)
化合物のSP値とは溶解性パラメーターで、どれだけ溶剤などに溶けやすいかということを数値化したものであり、有機化合物ではよく使われる極性と同義で、このSP値が大きい程、極性が大きいことを表す。本発明で重合開始剤と共に用いる低屈折率層のバインダーポリマーは、熱硬化性および/または電離放射線硬化性の含フッ素ポリマーであり、Fedors法で計算したSP値は例えば20以下となる。上述の好ましい態様Iにおいて、低屈折率層には、熱硬化性の含フッ素の熱硬化性ポリマーに加えてエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物を含有することができる。本発明で用いる重合開始剤とエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物のそれぞれのSP値は合わせて用いる前記バインダーポリマーよりも大きいものが好ましい。このSP値差により添加する少なくとも1種の重合開始剤とエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物が低屈折率層の下部に局在化すると考えている。このため、低屈折率層とオーバーコート層の界面の結合が強化され耐擦傷性が向上する。
本発明で好ましく用いることができる開始剤とエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物の構造とSP値(Fedors法にて計算)を下記に示すが、これらに制限はない。
開始剤
化合物1.
SP値=29.1
化合物2.
SP値=25.4
化合物3.
SP値=24.7
化合物4.
SP値=24.3
化合物5.
SP値=27.8
開始剤と結合したオルガノシラン化合物
化合物6.
SP値=24
水溶性開始剤
化合物7.
SP値=計算不可(パラメーターなし)。
エチレン性不飽和基を有する硬化性化合物と重合開始部位が分子内で連結結合した化合物
化合物8.
SP値=25.7
化合物9.
SP値=21.7
1−(6).架橋性化合物
本発明を構成するモノマーあるいはポリマーバインダ−が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。
例えば前述の1−(1).で記載したポリマーのうち、ポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素、その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
(硬化触媒(熱酸発生剤))
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線または熱の照射により発生した酸を使用することができる。
熱酸発生剤は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
熱酸発生剤は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性および沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる熱酸発生剤について説明する。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表わすと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜10.5である必要があり、6.0〜10.0であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。下記表に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明の有機塩基の沸点は、35℃以上85℃以下である。これ以上の温度では耐擦傷性の悪化が生じ、また35℃未満では塗布液が不安定となる。沸点は45℃以上80℃以下であることがさらに好ましく、55℃以上75℃以下であることが最も好ましい。
本発明の熱酸発生剤として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いても良いし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いても良い。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いても良いし、複数種類のものを混合して用いても良い。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
この熱酸発生剤使用割合は、上記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。
本発明では上述した熱酸発生剤の他に光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加しても良い。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;(5)トリハロメチルトリアジン類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
(感光性酸発生剤(光酸発生剤))
本発明には感光性酸発生剤を用いることもできる。光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。前記酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
また、感光性酸発生剤が示す最大吸収波長は450nmであることが好ましい。より好ましいのは250nm〜450nm、特に好ましいのは310nm〜450nmである。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
1−(7).一般式(a)で示されるシランカップリング剤又はその加水分解物・縮合反応物
本発明の低屈折率層及び/又はオーバーコート層の硬化性組成物は、下記一般式(a)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物の少なくともいずれかを含有することが、低屈折率層とオーバーコート層の界面結合を強化、低屈折率層塗布時のはじき低減の点で好ましい(以降、本明細書において、一般式(a)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物を一般式(a)で示される界面結合剤という。)。シランカップリング剤として一般式(a)で示される化合物を用いることにより、密着性、特に界面密着性に優れた反射防止フィルムが得られる。
一般式(a):(R−Si(X4−m
一般式(a)においてRに含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
は、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基のうちのいずれかの基を有する置換基であることが好ましく、エポキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基のうちのいずれかの基を有する置換基であることがより好ましく、アクリロイルオキシ基であることが特に好ましい。
が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(a)で表される化合物は、下記一般式(4)で表されるビニル重合性の置換基を有するシランカップリング剤として表わすことができる。
は、無置換のアルキル基、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO基(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO基、CCOO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1≦m≦3で示される整数である。RもしくはXが複数存在するとき、複数のRもしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは0〜2である。
一般式(a)で表されるシランカップリング剤は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。シランカップリング剤として一般式(4)で示される化合物を用いることにより、界面密着性がさらに優れた反射防止フィルムが得られる。
一般式(4):
一般式(4)において、Rは、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
シランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物を得るために加水分解および縮合反応の際に使用される溶剤、触媒、反応条件は、オルガノシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物(A)において既に記載した溶剤、触媒、反応条件を適用できる。
一般式(a)で示されるシランカップリング剤又はこのシランカップリング剤の加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物は、鎖状であってもよいし、3次元の網目構造を有していてもよい。また、この成分のポリスチレン換算による質量平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。さらに、800〜9000であることが好ましく、1000〜8000であることが特に好ましい。質量平均分子量が上記範囲にあると、低屈折率層の耐擦傷性を充分に確保できる。
質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明においては、該化合物は、低屈折率層又はオーバーコート層に使用することが好ましく、層の全固形分に対する質量%で3〜50%が好ましく、更に好ましくは4〜40%が更に好ましく、最も好ましくは6〜30%である。この範囲にすることで、塗膜自身の硬度を低下させることなく界面結合を強化できる。
1−(8).無機微粒子
本発明の低屈折率層には、耐擦傷性の改良、低屈折率化の観点から無機微粒子を使用することができる。無機微粒子の平均粒径は5〜200nmが好ましく、より好ましくは10〜100nm、更に好ましくは15〜85nmである。また、硬化膜中に無機微粒子は5〜80質量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは15〜65質量%である。無機微粒子の含有量が該下限値以上であれば、効果的に耐擦傷性を改善することができ、また該上限値以下であれば、硬化膜表面に微細な凹凸ができたり、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化したりする不具合が生じないので、無機微粒子の含有量はこの範囲内とすることが好ましい。
硬化膜に含有される無機微粒子は、低屈折率であることが望ましい。このような無機微粒子としては、例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子を挙げることができる。特に、屈折率、分散安定性、コストの観点からシリカ微粒子を用いることが好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、非晶質でもいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
硬化膜の屈折率上昇をより一層少なくするためには、無機微粒子として内部、及び表面の少なくともいずれかに空孔を有する無機微粒子、中でもシリカ微粒子を用いることが好ましい。特に、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。中空シリカ微粒子はその屈折率が1.17〜1.40、さらには1.17〜1.35、特には1.17〜1.30の範囲であることが好ましい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空シリカ微粒子を形成している外殻のシリカ成分のみの屈折率を表わすものではない。中空シリカ微粒子の屈折率は、粒子の強度及び該中空粒子を含む低屈折率層の耐擦傷性の観点から、1.17以上とすることが好ましい。
なお、これら中空シリカ微粒子の屈折率はアッベ屈折率計[アタゴ(株)製]にて測定することができ、25℃、D線での値である。
中空粒子等の無機微粒子が含有する空孔の平均孔径が小さすぎると、屈折率を下げる効果が少なく、大きすぎると粒子の強度が落ち、耐擦傷性が低下する問題が発生する傾向がある。従って、内部及び表面の少なくともいずれかに有する(存在する)空孔の平均孔径は、0.01nm〜90nmが好ましく、より好ましくは4〜90nm、更に好ましくは4〜80nmである。無機微粒子の屈折率および強度の観点から、平均孔径は上記範囲にすることが好ましい。
(中空微粒子(空孔含有微粒子)の調製方法)
中空微粒子の好ましい製造方法を以下に記載する。第1段階として、後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、下記の無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。吸着水量を減らすことで、後述の反射防止フィルムの水滴付着跡を低減することができる。
シェル厚を厚くすることで粒子表面の吸着サイトを減少させ、吸着水量を低減することが可能であるが、導電性の成分でシェルを形成すると導電性が付与できて好ましい。特に好ましくは、コア粒子としてシリカ系の多孔質または中空の粒子を用い、シェルとして、ZnO、Y、Sb、ATO、ITO、SnOを用いる組合せである。以下特に好ましい酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子について述べる。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子が酸化アンチモン被覆層によって被覆されている。
前記多孔質シリカ系微粒子には、多孔質のシリカ微粒子とシリカを主成分とする複合酸化物微粒子が含まれ、特開平7−133105号公報に記載された、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で被覆した低屈折率のナノメーターサイズの複合酸化物微粒子を好適に用いることができる。
また、内部に空洞を有するシリカ系微粒子としては、特開2001−233611号公報に記載された、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなり、内部に空洞を有する低屈折率のナノメーターサイズのシリカ系微粒子も好適に用いることができる。
このような多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、平均粒子径が4〜100nm、さらには8〜90nmの範囲にあることが好ましい。得ることが容易であり、安定性があり、単分散の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子が得られる点で、平均粒子径が4nm以上のシリカ系微粒子が好ましい。得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が100nmを越えることが少なく、透明被膜の透明性やヘイズの点で、平均粒子径は90nm以下が好ましい。
前記多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子の屈折率は、シリカの屈折率である1.45以下、さらには1.40以下であることが好ましい。なお、屈折率が1.45〜1.46である非孔質のシリカ微粒子を単独で用いることもできるが、反射防止性能が不充分となることがある。
前記シリカ系微粒子は、被覆層の平均厚さが0.5〜30nm、好ましくは1〜10nmの範囲にある酸化アンチモンで被覆されている。シリカ系微粒子を完全に被覆することが容易で、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の導電性が充分である点で、被覆層の平均厚さは0.5nm以上が好ましい。導電性の向上効果が大きく、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が小さい場合でも屈折率が充分である点で、被覆層の厚さは30nm以下が好ましい。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、平均粒子径が5〜100nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。得ることが容易であり、凝集粒子が少なく、分散性が充分であるために透明被膜に用いた場合、透明性、ヘイズ、被膜強度、基材との密着性等の点で、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径は5nm以上が好ましい。透明被膜の透明性やヘイズ、基材との密着性の点で、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径は100nm以下が好ましい。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の屈折率は1.35〜1.60、さらには1.35〜1.50の範囲にあることが好ましい。得ることが容易であり、粒子強度が充分である点で、屈折率は1.35以上が好ましい。他方、基材の屈折率にもよるが透明被膜の反射防止性能の点で、屈折率は1.60以下が好ましい。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の体積抵抗値は10〜5000Ω/cm、さらには10〜2000Ω/cmの範囲にあることが好ましい。得ることが容易であり、屈折率が1.6を越えにくく、透明被膜の反射防止性能が充分となる点で、体積抵抗値は10Ω/cm以上が好ましい。他方、透明被膜の帯電防止性能が充分となる点で、体積抵抗値は5000Ω/cm以下が好ましい。
(無機微粒子の吸着水量の測定)
本発明において、無機微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃、55%RHで1時間保存した。島津(株)製“DTG−50”を用い、乾燥後の試料約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/分で温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として下記数式により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(ここで、W20:昇温開始時の初期質量、W200:200℃まで昇温した時点での質量。)
なお、粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
層中に粒子サイズや調製条件が異なる粒子を複数種含む場合においては、それら粒子の少なくとも1種の吸着水量が6.1質量%以下であればよい。但し、吸着水量が6.1質量%以下の粒子の全粒子にしめる割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。吸着水量が上記範囲であれば、水滴付着跡が改善される。
無機微粒子は、分散液中もしくは塗布液中での分散安定化を図るために、又はバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
1−(9).防汚剤
本発明のフィルム、特にフィルムの最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
1−(10).高屈折率粒子
後述の高屈折率層、中屈折率層をはじめとして、本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiOが好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。TiOを主成分とする粒子の一次粒子の重量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
1−(11).帯電防止剤(導電剤)
帯電防止剤を含んでなることにより、光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物、導電性微粒子、通電性微粒子、前記に列記した化合物を高分子量化した化合物等が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー又は官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるのものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。導電性微粒子としては、平均粒径が0.1nm〜0.1μmのものが好ましい。
本発明においては、上記導電性粒子を含む導電性層の上に、通電性微粒子を含有するハードコート層を有し、ハードコート層の表面抵抗を下げる態様も好ましい。
通電性微粒子は金属メッキされた樹脂粒子が好ましく、金属の具体例としては、Au、Ag、Cu、Pt、Cr、Ni、Zn等が挙げられる。メッキは、前記の金属単独でも2種以上を使用しても良い。通電性微粒子としては、0.1μm〜10μmのものが好ましい。
前述の1−(7)に記載の化合物は低屈折率層の隣接層に使用することで界面密着に有効であるが、通電性粒子の金属表面に吸着し、通電性粒子の分散性を変化させる性質を有している。従って、該化合物は、通電性粒子を含むハードコート層に添加する量を減らし、オーバーコート層に添加することが好ましい。通電性粒子を含むハードコート層中の全固形分に対する1−(7)に記載の化合物の使用割合(質量%)は、10%未満が好ましく、最も好ましくは0~1%である。
本発明の好ましい態様によれば、樹脂と帯電防止剤との添加比が、樹脂100質量部に対して5質量部以上25質量部以下であり、好ましくは上限が20質量部以下であり下限が5質量部以上である。
1−(12).レベリング剤
ハードコート性を有する層やオーバーコート層は、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤の好ましいものとしては、フッ素系またはシリコーン系等が挙げられる。レベリング剤を添加したハードコート性を有する層や表面調整層は、塗工面を良好にし、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性の効果とを付与することを可能とする。上層を塗工する観点から、界面に残ることによりハジキなどの面状欠点や界面結合力の低下による耐擦傷性悪化を防ぐためにレベリング剤は非反応性のレベリング剤が好ましい。
1−(13).塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
(その他)
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−(14).光散乱層に用いることのできる微粒子
本発明において、ハードコート層に光散乱性を付与するために、無機又は有機の微粒子を用いることができる。
<第一微粒子/第二微粒子>
第一微粒子及び第二微粒子は、球状、例えば真球状、楕円状等のものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。なお、微粒子を少なくとも二種用いる場合、微粒子を第一微粒子、第二微粒子等と称することがある。特記が無い限り、微粒子とは第一微粒子、第二微粒子等を含む意味で用いる。
本発明にあっては、微粒子の平均粒子径R(μm)は1.5μm〜7.0μm以下であり、好ましくは2.0μm〜7.0μmであり、更に好ましくは2.0μm〜6.5μmである。
また、前記微粒子の全体の90%以上が、前記微粒子の粒径平均分布がR±0.5μmの範囲内にあるものが好ましく、全体の95%以上が、前記微粒子の粒径平均分布がR±0.3μmの範囲内にあるものがより好ましく、更に好ましくは95%以上が、前記微粒子の粒径平均分布がR±0.2μmの範囲内にあるものが好ましく、特に好ましくは98%以上が、前記微粒子の粒径平均分布がR±0.2μmの範囲内にあるものが好ましい。この場合にあっては、Rが上記微粒子の平均粒子径の範囲にあることがより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、微粒子とその平均粒径が異なる第二微粒子をさらに含んでなるものが好ましくは挙げられる。第二微粒子は、微粒子の平均粒径と異なるものを有するものである。また、本発明の好ましい態様によれば、第二微粒子の単体自体またはその凝集部自体のみでは、前記ハードコート性を有する層において防眩性を発揮しないものである。
本発明にあっては、微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、第二微粒子の平均粒子径をr(μm)とした場合に、0.25R(好ましくは0.50)≦r≦1.0Rが好ましく、更に好ましくは0.50R≦r≦0.85R、とくに好ましくは0.50R≦r≦0.70Rを満たす反射防止積層体が好ましい。
rが0.25R以上であることにより、組成物の分散が容易となり、粒子が凝集することがない。また、塗布後の乾燥工程においてフローティング時の風の影響を受けることなく、均一な凹凸形状を形成することができる。また、rが0.85R以下であることにより、微粒子と第一粒子との役割を明確に区別することが可能となるので好ましい。また、rは、1.0R以下であることから、凹凸を形成する上で、第一粒子と第二粒子が同一サイズで同一組成の粒子のものでも可能とし、更に、第一粒子と第二粒子が同一サイズでありながら、組成の異なるもの(例えば、極性の高い樹脂成分(親水性)の中で、第一粒子は、親水性粒子、第二粒子は、疎水性粒子、あるいは、その反対でも良いものとする)を使用して凹凸の凝集具合を調整しても良い。
微粒子は、無機系、有機系(樹脂粒子)のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは、透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、無機系であればシリカビーズ、有機系であればプラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。本発明の好ましい態様によればその表面に疎水性基を有したプラスチックビーズが好ましく使用され、例えばスチレンビーズが挙げられる。
本発明に係る樹脂粒子の圧縮強度は、2〜10kgf/mmが好ましく、4〜8kgf/mmがより好ましく、4〜6kgf/mmがさらに好ましい。この範囲であると膜硬度増加への寄与もあり、かつ脆性悪化による粒子破壊も起こりにくい。
圧縮強度は粒子径が10%変形するときの圧縮強度をいう。粒径が10%変形するときの圧縮強度とは、粒子圧縮強度(S10強度)であり、島津製作所製微小圧縮試験機MCTW201を用いて樹脂粒子単体を1gfの荷重まで圧縮試験を行い、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子径とを次式に導入して得られる値である。
S10強度(kgf/mm)=2.8×荷重(kgf)/{(π×粒子径(mm)×粒子径(mm))
1−(15).ハードコート層用硬化性樹脂
本発明によるハードコート性を有する層は、(硬化型)樹脂により形成することができる。硬化型樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げら、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明のハードコート性を有する層における樹脂には、ハードコート性を有する層の屈折率を高めるために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、およびアンチモンの群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物からなるものを含有させることが好ましい。この場合、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーを含有させてもよい。
これらの無機フィラーの添加量は、ハードコート性を有する層の固形分全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として作用する。
本発明のハードコート性を有する層の透光性樹脂バインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率、すなわち、防眩性ハードコート層(のマトリクス)の屈折率は、1.48〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.65、更に好ましくは1.52〜1.62である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択することにより行うことができる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤としては市販の物を使用することができ、例えば、光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(184,907)等が好ましい例として挙げられる。光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは3〜7質量部の範囲である。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。本発明の好ましい態様によれば、透明基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース系樹脂を用いことにより、透明基材と帯電防止層(必要に応じて)との密着性と透明性とを向上させることができる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
本発明による反射防止積層体は、ハードコート性を有する層が5個以上の微粒子による凝集部を複数有してなるものである。ここで、「5個以上の微粒子による凝集部」とは、5個以上の微粒子が寄せ集まって重なりあったもの、または硬化樹脂または微粒子自体の物理的化学的性質により凝集したもの等、いずれのものを含む概念である。「5個以上の微粒子による凝集部」は三次元立体構造を有し、その結果ハードコート性を有する層の最表面に凹凸が形成され優れた防眩性と画像形成を実現するものと考えられる。また、本発明による「5個以上の微粒子による凝集部」はその表面がハードコート性を有する層を形成する樹脂により実質的に被覆されてなるものが好ましい。
1−(16).支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム((アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、)等が使用できる。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。支持体はロール状態の巻物として扱うことができ、巻長は100~10000mが好ましい。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては力学特性、透明性、平面性などを改良する目的のため、種々の改良技術が知られており、公開技報2001−1745に記載された技術は公知のものとして本発明のフィルムに用いることができる。
本発明ではセルロースアシレートフィルムの中でもセルローストリアセテートフィルムが特に好ましく、セルロースアシレートフィルムに酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
(ハードコート性を有する層)
特に制限はないが、物理的強度を付与するために設けられる。支持体より高い弾性率を有し、JIS K 5400に記載の方法で求められる支持体上に設けられたハードコート性を有する層の積層体の鉛筆硬度が2H以上であることが望まれる。
ハードコート性を有する層は電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明の好ましい態様にあっては、三次元の立体構造を有する微粒子の凝集部が複数存在し、表面凹凸形状を形成することが好ましい。本発明にあっては、凝集部同士がさらに寄り集まる(凝集することをも含む)ことなく形成されてなるものであり、凝集部同士がそれぞれ独立し、一定のまたはランダムの間隔をもってハードコート性を有する層内に形成されてなるものである。
ハードコート性を有する層の厚さは、0.5μm〜12μmであり、好ましくは1μm〜9μm、更に好ましくは、2μm〜9μmである。
(オーバーコート層)
本発明においては、ハードコート性を有する層の上にオーバーコート層を塗設し、更に低屈折率層を有することが必須である。オーバーコート層は、低屈折率層に隣接する下面として、低屈折率層との界面結合強化のために、前記1−(7)に記載の一般式(a)で示されるシランカップリング剤又はその加水分解物・縮合反応物(一般式(a)で示される界面結合剤)を含有することができる。また、本発明にあっては、ハードコート性を有する層の凹凸表面を調整する目的で、オーバーコート層を形成してもよい。オーバーコート層は、ハードコート性を有する層の凹凸形状を形成している表面粗さにおいて凹凸スケール(凹凸の山高さと山間隔)の1/10以下のスケールで凹凸形状に沿って存在している微細な凹凸を目止めして、スムージングを掛けて滑らかな凹凸を形成させること、または、凹凸の山間隔や山高さ、山の頻度(個数)の調整することが可能となる。また、オーバーコート層は、帯電防止、屈折率調整、高硬化、防汚染性、等を付与することを目的として形成されるものである。オーバーコート層の膜厚(硬化時)は0.4μm〜12μmであり、好ましくは0.5μm〜8μm、更に好ましくは0.5μm〜3μmである。この厚みにすることで、表面に微細な凹凸を有しはじきやすいハードコート性を有する層の上でも塗布することが容易である。
オーバーコート層に次に挙げる素材を適宜導入できる。帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、撥水剤、撥油剤、指紋付着防止剤、高硬化剤および硬度調整剤(緩衝性付与剤)からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられる。
(高屈折率層、中屈折率層)
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層ののヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
(低屈折率層)
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いる必要がある。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.25〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
低屈折率層には、本発明の微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることが出来るが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数が0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
<反射防止積層体>
本発明による反射防止積層体は、前記微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、前記凝集部の鉛直方向での基材面からの高さの最大値をHmax(μm)とし、前記反射防止積層体の最表面における凹凸形状の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、下記式(I)〜(III):
8R≦Sm≦60R (I)
R<Hmax≦3R (II)
0.3≦θa≦2.5 (III)
を同時に満たすものが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、上記各式において、
10R≦Sm≦55R (I)
R<Hmax≦2.8R (II)
0.3≦θa≦2.3 (III)
を同時に満たすものがより好ましい。
本発明のより好ましい態様によれば、上記各式において、
15R≦Sm≦50R (I)
1.5R<Hmax≦2.6R (II)
0.5≦θa≦2.1 (III)
を同時に満たすものがより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、ヘイズ値が2.0〜65.0%、好ましくは3.0〜60.0%、更に好ましくは3.0〜55.0%であり、60度グロス値が35〜98(%)、好ましくは35〜90%、更に好ましくは40〜85%であり、透過鮮明度の値が70〜350(%)、好ましくは80〜300(%)、さらに好ましくは100〜250%であることを同時に満たす反射防止積層体が提供される。
また、本発明の好ましい別の態様によれば、反射防止積層体の最表面の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下、好ましくは5.0×1012Ω/□以下、好ましくは5.0×1011Ω/□以下である防眩性積層体が提供される。
積層体を得る場合、隣接する層の密着性を高めることが求められる。また、厚さ100nm前後の薄膜において高い密着性や耐擦傷性を達成するためには、低屈折率層自体の強度のほかに、隣接する下層との密着性を高めることが重要である。
ウェット塗布による方法においては、熱または光硬化性樹脂等の各種の硬化性樹脂を順次に塗布、硬化することが行われている。この場合、層間密着性を向上させるためには、下層を形成する硬化性樹脂を塗工後、ハーフキュアの状態で、上層を形成する硬化性樹脂を塗工し、その後、上層と下層を硬化させる方法が提案されている(例えば、特開2003−311911号公報)。
しかし、この方法でも、上層と下層の密着性が不十分となる場合があるという問題があった。また、上層を塗り重ねたときに上層と下層の界面が混合し、面状が悪化し、所望の光学特性が得られなくなる場合があるという問題もあった。
そのため、層間の密着性を向上させ、尚且つ光学特性に影響がない範囲で界面の混合を抑えるには、下記に記載する範囲で、硬化前の表面二重結合量Aと硬化後の残存表面二重結合量Bとの比の範囲でハーフキュアを実施することが望ましい。
(硬化前の表面二重結合量Aと硬化後の残存表面二重結合量Bとの比)
本発明において、特に層は規定しないが、ハーフキュアする層の硬化前の表面二重結合量Aと硬化後の残存表面二重結合量Bとの比は、0.3≦B/A≦0.9が好ましい。残存比B/Aは、ハーフキュアする層の二重結合残存率であり、B/Aが0に近づくほど完全硬化に近いことを表す。下層の未反応の結合性基を特定の範囲で残存させることにより、密着性を向上できる。なお、表面の二重結合量は、不飽和結合を臭素で修飾しておき、ESCAでピーク強度を測定することにより定量化することができる。
残存率B/Aは、0.3≦B/A≦0.7であることがより好ましい。二重結合の残存率B/Aが0.3未満であると、低屈折率層との結合サイトが不足するため、耐擦傷性が不十分になる。逆に、B/Aが0.9を超えると、界面で界面混合を起こすため、面状が悪化する。さらに、B/Aは0.7以下とするのが好ましい。B/Aを0.7以下とすることで、所望の光学特性を得ることができ、界面混合による膜厚の減少を予め考慮した設計をする必要がなく、製造ロバスト性の低下も抑えることができるため好ましい。
硬化前の表面二重結合量Aと硬化後の残存表面二重結合量Bとの比は、硬化時の酸素濃度と照射量にて制御することで可能となる。上記比が上述の範囲内となるような酸素濃度としては、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下である。また、上記硬化時の照射量は200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下、特に好ましいのは80mJ/cm2以下とするのが好ましい。酸素濃度の制御は、窒素の流量や、窒素と空気との混合比を変えることで行うことができる。
表面二重結合残存率は具体的には以下のように求めることが出来る。
二重結合残存率は、二重結合をBrで修飾してX線光電子分光法(ESCA)で定量した。この方法は、たとえば日本表面科学会編の表面分析技術選書「X線光電子分光法」(丸善)の63頁にも記載されている。
具体的には、2質量%の臭素水を入れた密閉容器中の気相に試料を1時間放置し、二重結合部にBrを付加させた。この試料表面のESCA Br2pとC1sのシグナル面積強度を測定し、両者の比Br/Cを求め表面二重結合量の指標とした。硬化前のBr/Cに対する、硬化後のBr/Cの値を表面二重結合の残存率とした。
(塗布液の調製)
<調製>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<塗布液物性>
低屈折率層・中屈折率層・高屈折率層・防汚層などの200nm以下の乾燥膜厚となる塗布液については、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cc/m]であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
透光性粒子を含むハードコート性を有する層においては、粒子の沈降防止の観点で4cp以上の粘度に調製することが好ましく、6cp以上の粘度に調製することが更に好ましい。
オーバーコート層においては、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、2cp以上の粘度に調製することが好ましく、4cp以上の粘度に調製することが更に好ましい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルタは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜50μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜40μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルタ部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
(塗布前の処理)
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
(塗布)
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
特に光拡散層の上にオーバーコート層や低屈折率層などのように2層以上を塗設する場合は、図5に示されるような一つの塗布装置で2層以上を同時に塗設する方法(重層塗布)(特開2002−86050号、特開2003−260400号、特開平7−108213号明細書参照)や、塗布・乾燥・硬化装置を多段階に並べることで、1回の巻取りで2層以上塗布する方法(逐次連続塗布)(特開2003−205264号参照)が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工するコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図1は、本発明を実施したスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図2は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間Gとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図3は、本発明を実施した塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間G、Gが存在する。
図4は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは、図のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジなどで留められている構造でもよい。
(乾燥)
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
(硬化)
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
(鹸化処理)
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
(偏光膜の作製)
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光膜として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
3.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルタは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることが出来る。
(液晶表示装置)
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
(液晶表示装置以外のディスプレイ)
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルタをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルタを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
4.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法を示す。
(凹凸形状の平均間隔Sm)
凹凸形状の平均間隔Smは、例えば(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型、(株)RYOKA SYSTEM社製の「マイクロマップ」機、走査型プローブ顕微鏡“SPI3800”{セイコーインスツルメンツ(株)製})を用いて測定することができる。
(凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmax(μm))
Hmaxは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察から求めることが出来る。具体的には、ウルトラミクロトーム(REICHERT ULTRACUT E、Reichert-Jung社製)により反射防止積層体の断面切削サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(S−570LB型、日立製作所製)で、基材面から凝集部の鉛直方向を5,000倍、基材面からの平行方向を1,000倍の条件で、水平方向を1mm分を連続的に観察し、その中での凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmaxとした。
(平均傾斜角θa)
反射防止フィルム表面の凹凸形状は、(株)RYOKA SYSTEM製の「マイクロマップ」機や走査型プローブ顕微鏡“SPI3800”{セイコーインスツルメンツ(株)製})により評価することができる。
測定する装置はこれらの他いくつかあるが、一例として、走査型プローブ顕微鏡“SPI3800”{セイコーインスツルメンツ(株)製})を用いた場合について説明する。
平均傾斜角は、島(凹凸形状の凸の部分)の平均半径の変化量の高さ平均値(の角度換算値)であり、具体的には次のような手順で求められる。
(1)ある高さZでの島の数Nと総面積STを求める。
(2)島の面積の平均値SVを求める。
V=ST/N
(3)島が円であると仮定して、その半径の平均値RVを求める。
(4)高さZを変えて手順(1)〜(3)を繰り返し、各高さZ毎の平均半径RV(Z)を求める。
(5)微小高さΔZに対するRV(Z)の変化量ΔRV(Z)を求め、全高さH(=最大高低差P−V)で平均する。
(6)RVHを平均傾斜角(θa)に換算する。
θa=arctan(RVH/ΔZ)
(透過鮮明度)
透過鮮明度は写像性測定器(スガ試験機(株)、品番;「ICM−2D型」)を用いて、JIS K7105に準拠し、4種類の光学くし(0.125mm、0.5mm、1mm、および2mm)で測定した数値の合計をもって、透過鮮明度とした。
(60度グロス値)
60度グロス値は光沢度計(日本電色工業株式会社製、VG 2000)を用い、JIS−Z8741に準拠して測定した。
(ヘイズ)
ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが0.1%〜35%であることが好ましく、0.5%〜30%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は0.5%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは0.5%〜80%であり、最も好ましくは0.5%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2]得られた光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(表面抵抗の評価)
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計“TR8601”{(株)アドバンテスト製}を用いて、25℃、湿度60%RHの条件下で測定した。
(積分反射率)
積分反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ILV−471”を装着して、380〜780nmの波長領域において、フィルムの透明支持体面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
(鏡面反射率)
積分反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、フィルムの透明支持体面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
(色味)
本発明の反射防止能付き偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L色空間のL、a、b値を求めることで色味を評価することができる。
、a、b値は、それぞれ3≦L≦20、−7≦a≦7、且つ、−10≦b≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L≦10、0≦a≦5、且つ、−7≦b≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL色度図上でのaより、色味の変化率は、下記数式に従って得ることができる。
ここで、a max及びa minは、それぞれa値の最大値及び最小値;b max及びb minは、それぞれb値の最大値及び最小値;a av及びb avは、それぞれa値及びb値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEは、下記数式に従って求めることができる。
ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔL,Δa,Δbは、耐候性試験前後のL値,a値,b値それぞれの変化量である。
(平均粒子径、粒径平均分布)
粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。平均粒径は得られた粒子分布から算出する。
(最大吸収波長)
最大吸収波長は、分光光度計にて測定した吸光度Aが最大になる波長を指す。吸光度Aは、測定標品0.2%のジクロロメタン溶液、リファレンスにジクロロメタンを用いて紫外可視近赤外分光光度計(UV−3150、(株)島津製作所製)にて測定した。
(黒締り性)
視認側表面に光学フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について黒締り感を官能評価する。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれのフィルムで比較する。
(映り込み性)
視認側表面に光学フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について映り込み感を官能評価する。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時と電源on時の黒味(黒い画像)での映り込み性で比較する。
(三次元立体構造の有無試験)
反射防止積層体を光学顕微鏡で測定し、ハードコート性を有する層における三次元の凝集構造の有無を評価する。
(ギラツキ評価試験)
透過型白色面光源のバックライトビュアの上に、解像度100ppiのマトリックスフィルタ(厚さ:0.7mm)を介して、暗室環境下で全方位におけるギラツキ(ザラツキ感)の発生有無を評価する。
(スチールウール耐傷性評価)
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm
こすり速度:13cm/秒
荷重:500g/cm、および200g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm
こすり回数:10往復
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
下記試料F−101〜F−132、F−136、F−201〜F−232、F−301〜F−327、F−401〜F−410、F−418、F−501、F−502は、「本発明」とあるのを、「参考例」と読み替えるものとする。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液a−1の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液a−1を得た。質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(ゾル液a−2の調製) 温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還流下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a―2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また、1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式(80:20はモル比を意味する)で表される構造であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(ゾル液b(濃度15.7%)の調製))
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、ジメチルジメトキシシラン116質量部、i−プロパノール600質量部とジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3質量部を仕込み、撹拌下室温でイオン交換水20.0質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で4時間反応させた後、室温まで冷却しゾル液bを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=2,500であった。
(含フッ素化合物溶液の調製(ゾル液c(濃度7.9%)の調製))
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた2,000mlの反応容器に、Si(OC2545.5質量部、CF3(CF25(CH22Si(OCH33 47.0質量部とi−プロパノール600質量部を仕込み、撹拌下室温で0.1モル/L塩酸14.5質量部をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間撹拌した後、60℃で8時間反応させ、その後室温まで冷却しゾル液cを得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、Mw=8,800であった。
(中空シリカ微粒子ゾル分散液aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液bのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(中空シリカ微粒子ゾル分散液bの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製)に対し、シリカ100質量部にジメチルオクタデシル−3−トリメトキシ・シリルプロピルアンモニウムクロライド(東芝シリコーン製:XS70−241)を5重量%添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された空隙を有するシリカ微粒子20重量%のイソプロピルアルコール分散液を得た。この分散液にほぼシリカの含量一定となるようにメチルイソブチルケトンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をメチルイソブチルケトンで調整し20質量%にした。得られた分散液bのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(中空シリカ微粒子ゾル分散液cの調製)
中空シリカ微粒子ゾル分散液c(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31)は、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製) 二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。この粒子257.1質量部に、下記分散剤(化33)41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液の調製)
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−1)の調製)
PETA 21.61質量部
DPHA 9.28質量部
アクリルポリマー 2.61質量部
スチレン・アクリルポリマー 0.65質量部
イルガキュア184 2.02質量部
イルガキュア907 0.34質量部
1.9μmアクリルビーズ(30%) 18.23質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.014質量部
トルエン 33.64質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−2)の調製)
PETA 20.82質量部
DPHA 7.72質量部
アクリルポリマー 3.06質量部
スチレン・アクリルポリマー 1.86質量部
イルガキュア184 1.86質量部
イルガキュア907 0.31質量部
4.6μmアクリルビーズ<1>(30%) 27.37質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 27.24質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−3)の調製)
PETA 21.28質量部
DPHA 8.63質量部
アクリルポリマー 3.18質量部
イルガキュア184 1.96質量部
イルガキュア907 0.33質量部
4.6μmアクリルビーズ<1>(30%) 16.53質量部
※透光性第一微粒子
3.5μmアクリルビーズ<1>(30%) 5.50質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 30.98質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)の調製)
PETA 21.28質量部
DPHA 8.63質量部
アクリルポリマー 3.02質量部
スチレン・アクリルポリマー 0.16質量部
イルガキュア184 1.96質量部
イルガキュア907 0.33質量部
3.5μmアクリルビーズ<1>(30%) 16.53質量部
※透光性第一微粒子
3.5μmアクリルビーズ<2>(30%) 5.50質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 30.98質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−5)の調製)
PETA 20.96質量部
DPHA 8.02質量部
アクリルポリマー 3.10質量部
イルガキュア184 1.89質量部
イルガキュア907 0.32質量部
5.0μmスチレンビーズ(30%) 16.03質量部
※透光性第一微粒子
1.8μmメラミンビーズ(30%) 9.63質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 28.44質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−6)の調製)
PETA 21.28質量部
DPHA 8.63質量部
アクリルポリマー 3.18質量部
イルガキュア184 1.96質量部
イルガキュア907 0.33質量部
4.6μmアクリルビーズ<1>(30%) 16.53質量部
※透光性第一微粒子
3.5μmアクリルビーズ<1>(30%) 5.50質量部
※透光性第二微粒子
金‐ニッケルコート樹脂ビーズ(30%) 0.33質量部
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 30.75質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−7)の調製)
PETA 20.82質量部
DPHA 7.72質量部
アクリルポリマー 3.06質量部
スチレン・アクリルポリマー 1.86質量部
イルガキュア184 1.86質量部
イルガキュア907 0.31質量部
7.0μmアクリルビーズ 15.86質量部
※透光性第一微粒子
2.5μm不定形シリカビーズ 4.58質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 35.13質量部
シクロヘキサノン 8.78質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−8)の調製)
PETA 21.61質量部
DPHA 9.28質量部
アクリルポリマー 2.61質量部
スチレン・アクリルポリマー 0.65質量部
イルガキュア184 2.02質量部
イルガキュア907 0.34質量部
1.1μmアクリルビーズ(30%) 18.23質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.014質量部
トルエン 33.64質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−9)の調製)
PETA 20.82質量部
DPHA 7.72質量部
アクリルポリマー 3.06質量部
スチレン・アクリルポリマー 1.86質量部
イルガキュア184 1.86質量部
イルガキュア907 0.31質量部
10μmアクリルビーズ(30%) 27.37質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 27.24質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−10)の調製)
PETA 20.82質量部
DPHA 7.72質量部
アクリルポリマー 3.06質量部
スチレン・アクリルポリマー 1.86質量部
イルガキュア184 1.86質量部
イルガキュア907 0.31質量部
4.6μmアクリルビーズ<2>(30%) 27.37質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 27.24質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−11)の調製)
PETA 21.28質量部
DPHA 8.63質量部
アクリルポリマー 3.18質量部
イルガキュア184 1.96質量部
イルガキュア907 0.33質量部
4.6μmアクリルビーズ<1>(30%) 16.53質量部
※透光性第一微粒子
1.0μmアクリルビーズ(30%) 5.50質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.013質量部
トルエン 30.98質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−12)の調製)
PETA 22.55質量部
DPHA 11.11質量部
アクリルポリマー 3.51質量部
イルガキュア184 2.21質量部
イルガキュア907 0.37質量部
3.5μmスチレンビーズ(30%) 7.43質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.015質量部
トルエン 41.20質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−13)の調製)
PETA 19.88質量部
DPHA 5.90質量部
アクリルポリマー 2.81質量部
イルガキュア184 1.68質量部
イルガキュア907 0.28質量部
3.5μmスチレンビーズ(30%) 38.00質量部
※透光性第一微粒子
FZ−2191 0.011質量部
トルエン 19.80質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−14)の調製)
PETA 20.13質量部
DPHA 6.39質量部
アクリルポリマー 2.88質量部
イルガキュア184 1.73質量部
イルガキュア907 0.29質量部
4.6μmアクリルビーズ<1>(30%) 5.87質量部
※透光性第一微粒子
3.5μmアクリルビーズ<1>(30%) 29.40質量部
※透光性第二微粒子
FZ−2191 0.012質量部
トルエン 21.71質量部
シクロヘキサノン 11.60質量部
上記の各成分は以下の通りである。
「PETA」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製、屈折率1.51)
「DPHA」:日本化薬製、屈折率1.51
「アクリルポリマー」:(三菱レイヨン製、分子量75,000)
「スチレン・アクリルポリマー」:(ザ・インクテック社製、分子量65,000)
「イルガキュア184」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
「イルガキュア907」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
「1.9μmアクリルビーズ(30%)」:平均粒径1.9μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.53)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「4.6μmアクリルビーズ<1>(30%)」:平均粒径4.6μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.52)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「3.5μmアクリルビーズ<1>(30%)」:平均粒径3.5μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.53)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「3.5μmアクリルビーズ<2>(30%)」:平均粒径3.5μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.52)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「5.0μmスチレンビーズ(30%)」:平均粒径5.0μmスチレンビーズ(綜研化学製、屈折率1.60)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「1.8μmメラミンビーズ(30%)」:平均粒径1.8μmメラミンビーズ(日本触媒製、屈折率1.65)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「金‐ニッケルコート樹脂ビーズ(30%)」:金‐ニッケルコート樹脂ビーズ(ブライトGNR4.6−EH、日本化学工業製)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「7.0μmアクリルビーズ(30%)」:平均粒径7.0μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.53)。
「2.5μm不定形シリカビーズ」:EXG40−77(Z−15M)(平均粒子径2.5μmの不定形シリカの樹脂(PETE)分散液:大日精化製)
「1.1μmアクリルビーズ(30%)」:平均粒径1.1μmアクリルビーズの30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「10μmアクリルビーズ(30%)」:平均粒径10μmアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.52)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「4.6μmアクリルビーズ<2>(30%)」:平均粒径4.6μm、粒度分布2.6〜6.6μmのアクリルビーズの30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「1.0μmアクリルビーズ(30%)」:平均粒径1.0μmアクリルビーズの30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「3.5μmスチレンビーズ(30%)」:平均粒径3.5μmスチレンビーズ(綜研化学製、屈折率1.60)の30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用。
「二次粒径1μm凝集性シリカ」:二次粒径1μm。日本シリカ社製。)。
「FZ−2191」:ポリエーテル変性シリコーン。(東レ・ダウコーニング(株)製)
(オーバーコート層用塗布液の調製)
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−1)の調製)
DPHA 39.30質量部
アクリルポリマー 3.13質量部
イルガキュア184 2.12質量部
イルガキュア907 0.43質量部
FZ−2191 0.19質量部
トルエン 49.53質量部
シクロヘキサノン 5.48質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−2)の調製)
DPHA 31.44質量部
KBM−5103 7.86質量部
アクリルポリマー 3.13質量部
イルガキュア184 2.12質量部
イルガキュア907 0.43質量部
FZ−2191 0.19質量部
トルエン 49.53質量部
シクロヘキサノン 5.48質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−3)の調製)
DPHA 31.44質量部
ゾル液a−2 7.86質量部
アクリルポリマー 3.13質量部
イルガキュア184 2.12質量部
イルガキュア907 0.43質量部
FZ−2191 0.19質量部
トルエン 49.53質量部
シクロヘキサノン 5.48質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−4)の調製)
C−4456 S−7 21.60質量部
DPHA 28.69質量部
イルガキュア184 1.56質量部
MIBK 33.70質量部
シクロヘキサノン 14.40質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−5)の調製)
KZ−7973 17.18質量部
PETA 18.59質量部
アクリルポリマー 0.94質量部
イルガキュア184 1.56質量部
イルガキュア907 0.26質量部
FZ−2191 0.038質量部
トルエン 14.34質量部
シクロヘキサノン 15.76質量部
MEK 2.80質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−6)の調製)
Z−7404 75.00質量部
KBM−5103 5.00質量部
FZ−2191 0.008質量部
MEK 20.00質量部
上記の各成分は以下の通りである。
「DPHA」:日本化薬製、屈折率1.51
「PETA」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製、屈折率1.51)
「アクリルポリマー」:(三菱レイヨン製、分子量75,000)
「イルガキュア184」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
「イルガキュア907」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
「FZ−2191」:ポリエーテル変性シリコーン。(東レ・ダウコーニング(株)製)
「KBM−5103」:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
「C−4456 S−7」:(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45%日本ペルノックス(株)製)
「KZ−7973」:ジルコニア含有塗料組成物(JSR(株)製、屈折率1.69の樹脂マトリックス、固形分50%)
「Z−7404」:ジルコニア含有塗料組成物(JSR(株)製、屈折率1.72の樹脂マトリックス、固形分60%)
「MIBK」:メチルイソブチルケトン
「MEK」:メチルエチルケトン
(帯電防止層用塗布液の調製)
下記に示す成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(帯電防止層用塗布液(ASL−1)の調製)
C−4456 S−7 2.00質量部
MIBK 2.84質量部
シクロヘキサノン 1.22質量部
上記の各成分は以下の通りである。
「C−4456 S−7」:(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45% 日本ペルノックス(株)製)
「MIBK」:メチルイソブチルケトン
(中/高屈折率層用塗布液の調製)
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(中屈折率層用塗布液(ML−1)の調製)
前記二酸化チタン分散液 99.1質量部
DPHA 68.0質量部
イルガキュア907 3.6質量部
カヤキュアーDETX 1.2質量部
MEK 279.6質量部
シクロヘキサノン 1049.0質量部
(高屈折率層用塗布液(HL−1)の調製)
前記二酸化チタン分散液 469.8質量部
DPHA 40.0質量部
イルガキュア907 3.3質量部
カヤキュアーDETX 1.1質量部
MEK 526.2質量部
シクロヘキサノン 459.6質量部
上記の各成分は以下の通りである。
「カヤキュア−DETX」:光増感剤(日本化薬(株)製)。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径3μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー 5.43質量部
サイメル303 1.36質量部
キャタリスト4050 0.13質量部
MEK 89.1質量部
シクロヘキサノン 2.9質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.42であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−2)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー 3.64質量部
サイメル303 0.91質量部
キャタリスト4050 0.08質量部
MEK−ST−L 7.6質量部
MEK 83.8質量部
シクロヘキサノン 2.9質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−3)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー 3.00質量部
サイメル303 0.75質量部
キャタリスト4050 0.07質量部
MEK−ST−L 6.4質量部
ゾル液a−1 5.8質量部
MEK 79.2質量部
シクロヘキサノン 2.9質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.44であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−4)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー 3.00質量部
サイメル303 0.75質量部
キャタリスト4050 0.07質量部
MEK−ST−L 6.4質量部
ゾル液a−1 5.8質量部
化合物1. 0.04質量部
MEK 79.2質量部
シクロヘキサノン 2.9質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.44であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−5)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー 3.44質量部
サイメル303 0.86質量部
キャタリスト4050 0.08質量部
中空シリカ微粒子ゾルa 19.5質量部
ゾル液a−1 3.4質量部
MEK 116.1質量部
シクロヘキサノン 2.9質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.39であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−6)の調製)
前記パーフルオロオレフィン共重合体(1)(固形分 30%) 15.0質量部
X−22−164C 0.15質量部
イルガキュア907 0.23質量部
ゾル液a−1 2.4質量部
化合物1. 0.02質量部
MEK 81.2質量部
シクロヘキサノン 2.8質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.45であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−7)の調製)
コルコートN103(2%) 590質量部
オプスターJTA105(5%) 100質量部
オプスタ−JTA105A(5%) 1質量部
イソプロピルアルコール 23質量部
酢酸ブチル 120質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−8)の調製)
コルコートN103(2%) 245質量部
オプスターJTA105(5%) 100質量部
オプスタ−JTA105A(5%) 1質量部
IPA−ST−L(30%) 23質量部
酢酸ブチル 365質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.44であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−9)の調製)
コルコートN103(2%) 245質量部
オプスターJTA105(5%) 100質量部
オプスタ−JTA105A(5%) 1質量部
中空シリカ微粒子ゾルc 35質量部
酢酸ブチル 375質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.39であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−10)の調製)
ゾル液b 13.7質量部
ゾル液c 11.0質量部
ゾル液a−1 7.0質量部
IPA−ST−L 2.3質量部
サイメル303 0.1質量部
p−トルエンスルホン酸 0.03質量部
化合物1. 0.05質量部
i−プロパノール 36.0質量部
MEK 30.0質量部
ブタノール 4.8質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.44であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−11)の調製)
中空シリカ微粒子ゾルb 14.67質量部
スタティサイド 0.24質量部
PETA 1.71質量部
イルガキュア907 0.11質量部
MIBK 83.26質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−12)の調製)
TM086 34.14質量部
JUA701 0.85質量部
MIBK 65.00質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
上記の各成分は以下の通りである。
「熱架橋性含フッ素ポリマー」:特開平11−189621号公報実施例1に記載の含フッ素含シリコーン熱硬化ポリマー
「サイメル303」:硬化剤(日本サイテックインダストリーズ(株)製)
「キャタリスト4050」:硬化触媒(日本サイテックインダストリーズ(株)製)
「MEK−ST−L」:コロイダルシリカ分散液(平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
「IPA−ST−L」:コロイダルシリカ分散液(平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
「X22−164C」:反応性シリコーン(信越化学工業(株)製)
「イルガキュア907」:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
「コルコートN103」:オルガノシロキサンオリゴマ−(平均分子量950、コルコート社製)
「オプスタ−JTA105」:本発明のフッ素化合物(B)(ポリエチレングリコール、ヘキサメチロールメラミン、酸発生剤含有、JSR社製)
「オプスタ−JTA105A」:硬化剤(JSR社製)
「スタティサイド」:帯電防止剤(4級アンモニウム化合物、三井物産プラスチック社製)
「PETA」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製、屈折率1.51)
「TM086」:フッ素樹脂系低反射層用組成物(JSR(株)製)
「JUA701」:光重合開始剤(JSR(株)製)
「MIBK」:メチルイソブチルケトン
「MEK」:メチルエチルケトン
[実施例1]
(反射防止フィルムの作製)
上記のハードコート性を有する層(防眩層)用塗布液(HCL−4)、オーバーコート層用塗布液(OCL−1)、低屈折率層(LL−1)を用いて、下記に記載の塗布、乾燥方法にしたがって塗布を行った。80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.48)に、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)を、搬送速度20m/minの条件でグラビアコーターを用いて塗布し、第一(最初)の乾燥ゾーン内で30℃30秒間の乾燥の後、更に以降の第二の乾燥ゾーン内で110℃、2分の乾燥の後、酸素濃度0.05%以下の窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、巻き取った。上記第一の乾燥ゾーン内の風速は、最大で0.2m/sであり、乾燥ゾーン内で塗布膜はセットしていることが確認された。このハードコート性を有する層は層厚6μmであった。
続いて、上記のオーバーコート層用塗布液(OCL−1)を搬送速度20m/minの条件でグラビアコーターを用いて塗布し、第一(最初)の乾燥ゾーン内で30℃30秒間の乾燥の後、110℃で2分間乾燥し、酸素濃度0.05%以下の窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、巻き取った。
続いて、上記の低屈折率層用塗布液(LL−1)を搬送速度20m/minの条件でグラビアコーターを用いて塗布し、第一(最初)の乾燥ゾーン内で25℃30秒間の乾燥の後、90℃で2分間乾燥し、120℃10分で加熱硬化し、更に酸素濃度0.05%以下の窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量200mJ/cmの紫外線を照射して低屈折率層を設けた。このようにして反射防止積層体(F−101)を作製した。
さらに、表6に示されるように、各層に対して、示された塗布液を各々使用してF−101と同様に、反射防止積層体(F−102)〜(F−136)を作製した。表7は、示された各層の硬化条件(熱硬化及び/又はUV硬化) を示す。表8は、示された各層の乾燥膜厚を示す。表9は、示された各層の硬化前の表面二重結合量Aと硬化後の残存表面二重結合量Bとの比を示す。
下記表6乃至9中において、帯電防止層、防眩層、オーバーコート層、反射防止層の各表記は、表の左から順番に支持体上に積層される層を意味する。例えば、試料F−101は、支持体上に防眩層、オーバーコート層、及び反射防止層をこの順に有し、試料F−128は、支持体上に防眩層、オーバーコート層、及び反射防止層(ML-1、HL-1、及びLL-4の各塗布液を硬化してなる層)をこの順に有する。
上記表において、試料F−107乃至109に示される1)は、記載の条件にて硬化させ、低屈折率層を巻き取った後、温度60℃、相対湿度90%で40時間追加の熱処理を実施したことを意味する。
上記表において、二重結合残存率(B/A)は、2質量%の臭素水を入れた密閉容器中の気相に試料を1時間放置し、二重結合部にBrを付加させた。この試料表面のESCA Br2pとC1sのシグナル面積強度を測定し、両者の比Br/Cを求め表面二重結合量の指標とした。硬化前のBr/Cに対する、硬化後のBr/Cの値を表面二重結合の残存率とした。
(反射防止積層体の評価)
得られたフィルム試料について、以下の項目の評価を行い、その結果を表10及び11に示す。
(1)三次元の凝集構造の有無試験
光学顕微鏡(×400)で観察し、粒子の三次元凝集構造の有無を下記基準により評価した。
評価基準
評価○:複数の凝集構造が寄せ集まることなく独立に存在し、海島の凹凸形状を形成し、凝集構造を形成しない他の微粒子が複数連なることにより、複数の凝集構造間を結んでいる。
評価×:凝集塊の存在、海島の凹凸形状不成立、複数の凝集構造の寄せ集まり形成、微粒子の分散不良による複数の凝集塊の存在を理由に、三次元凝集構造が形成されなかった。
(2)黒締り性
視認側表面に光学フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について黒締り感を官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれのフィルムで比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で表した。
◎ : 黒味が強く、画面が非常に強くしまって見える。
○ : 黒味が強く、画面が強くしまって見える。
△ : 黒味にグレー味が若干あるが、画面はしまって見える。
△× : 黒いがグレー味があって、画面のしまり感が弱い。
× : かなりグレー味が強く、画面のしまり感がない。
(3)映り込み性
視認側表面に光学フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について映り込み感を官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時と電源on時の黒味(黒い画像)での映り込み性をそれぞれのフィルムで比較し、以下の基準で評価した。
◎ : 映り込みが気にならない。
○ : 映り込みが認識できるが、ほとんど気にならない。
△ : 映り込みが認識でき、若干気になる。
× : 映り込みがかなり気になる。
(4)凹凸形状の平均間隔Sm
凹凸形状の平均間隔Smは、(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型により測定した。
(5)凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値:Hmax(μm)
Hmaxは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察から求めた。ウルトラミクロトーム(REICHERT ULTRACUT E、Reichert-Jung社製)により反射防止積層体の断面切削サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(S−570LB型、日立製作所製)で、基材面から凝集部の鉛直方向を5,000倍、基材面からの平行方向を1,000倍の条件で、水平方向を1mm分を連続的に観察し、その中での凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmaxとした。
(6)積分反射率
積分反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ILV−471”を装着して、380〜780nmの波長領域において、フィルムの透明支持体面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
(7)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2]得られた光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(8)60度グロス値
光沢度計(日本電色工業株式会社製、VG 2000)を用い、JIS−Z8741に準拠して測定した。
(9)透過鮮明度
写像性測定器(スガ試験機(株)、品番;「ICM−2D型」)を用いて、JIS K7105に準拠し、4種類の光学くし(0.125mm、0.5mm、1mm、および2mm)で測定した数値の合計をもって、本発明の透過鮮明度とした。
(10)表面抵抗値
反射防止積層体の最外層を有する側の表面の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計“TR8601”{(株)アドバンテスト製}を用いて、25℃、湿度60%RHの条件下で測定した。
(11)スチールウール耐傷性評価(SW)
ラビングテスターを用いて、以下の条件で各反射防止フィルム試料表面のこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に、スチールウール「グレードNo.0000」{日本スチールウール(株)製}を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm
こすり速度:13cm/秒
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm
こすり回数:10往復
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×:一目見ただけで分かる傷がある。
本発明と比較例を比較した場合、本発明はオーバーコート層上に低屈折率層を設けることで、黒締り性と映り込みの両立が図れている事がわかる。また、本発明F−112と比較例F−134を比較した場合、本発明はオーバーコート層上に低屈折率層を設けることで、低反射率化と耐傷性が良化していることがわかる。本発明F−102とF−103を比較した場合、F−103の低屈折率層にシランカップリング剤(一般式(a)で示される界面結合剤)を導入することで、耐傷性が良化していることがわかる。また、本発明F−112と本発明F―117〜126を比較した場合、F−117〜126のオーバーコート層にシランカップリング剤(一般式(a)で示される界面結合剤)を導入することで、耐傷性が良化していることがわかる。本発明F−104とF−113,114を比較した場合、F−113、114は低屈折率層に加え、オーバーコート層にもシランカップリング剤(一般式(a)で示される界面結合剤)を導入することで、耐傷性が更に良化していることがわかる。
[実施例2]
(反射防止積層体(F−201)の作製)
超音波除塵器で、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.48)の塗布側表面を除電処理した上に、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−1)を図1に示すダイコーター10を用いて30m/minの塗布速度で、18.0cc/mの塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.5kPaとした。HCL−1の塗布に於いては、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GLを100μmにして塗布を行った。塗布されたウェブはその後80℃で乾燥した後、酸素濃度が0.05体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて巻取り、厚さ6μmのハードコート性を有する層を形成した。
上記のハードコート性を有する層の上に、オーバーコート層用塗布液(OCL−1)を前記ダイコーターを用いて30m/minの塗布速度、3.0cc/mの塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.55kPaとした。塗布されたウェブはその後、第一(最初)の乾燥ゾーン内で25℃30秒間の乾燥の後、90℃で2分間乾燥し、120℃10分で加熱硬化し、酸素濃度0.05%以下の窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて巻取り、厚さ1μmのオーバーコートを設けた。
上記のオーバーコート層の上に、低屈折率層用塗布液(LL−1)を前記ダイコーターを用いて30m/minの塗布速度、5.0cc/mの塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.55kPaとした。塗布されたウェブはその後、第一(最初)の乾燥ゾーン内で25℃30秒間の乾燥の後、90℃で2分間乾燥し、120℃10分で加熱硬化し低屈折率層を設けた。このようにして反射防止積層体(F−201)を作製した。
さらに、F−201と同様に反射防止積層体。(F−202)〜(F−234)を作製した。(F−202)〜(F−234)の塗布液、硬化条件、膜厚は(F−102)〜(F−134)に対応する。
(反射防止積層体の評価)
前記に得られたフィルム試料について、実施例1と同様の評価を行い、同じ塗布液を用いて作製したフィルム試料は同様の結果を得た。
[実施例3]
(反射防止積層体(F−301)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、まず、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−1)を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が0.05体積%以下での窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層をハーフキュアさせ、ハードコート性を有する層を形成する。その上にオーバーコート層用塗布液(OCL−1)を線数180本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が0.05体積%以下での窒素パージ下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層をハーフキュアさせ、オーバーコート層を形成する。更にその上に低屈折率層用塗布液(LL−1)を線数180本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに120℃10分加熱硬化し低屈折率層を硬化させ、ハードコート性を有する層、オーバーコート層、低屈折率層を3層連続に塗布・硬化し、1回で巻き取った。
さらに、F−301と同様に反射防止積層体(F−302)〜(F−327)を作製した。(F−302)〜(F−327)の塗布液、硬化条件、膜厚は(F−202)〜(F−227)に対応する。
(反射防止積層体の評価)
前記に得られたフィルム試料について、実施例1と同様の評価を行い、同じ塗布液を用いて作製したフィルム試料は同様の結果を得た。
[実施例4]
実施例1、2、3に使用される支持体であるトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.48)を光学用易接着層付きPETフィルム(東洋紡績社製コスモシャインA4300)に変更し、実施例1,2,3と同様に反射防止積層体を得た。反射防止積層体の評価も同様の結果を得た。かつ、実施例1,2,3と比較し寸度安定性が改善された反射防止積層体が得られた。
[実施例5]
実施例1、2、3に使用される支持体であるトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.48)を2.0kW、ライン速度12m/minの条件でコロナ放電処理を施したシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製ゼオノア)に変更し、実施例1,2,3と同様に反射防止積層体を得た。反射防止積層体の評価も同様の結果を得た。かつ、実施例1,2,3と比較し吸水率が低い反射防止積層体が得られた。
[実施例6]
(偏光板用保護フィルムの作製)
実施例1、2、3で作製した防眩性(反射防止)フィルム(F−101)〜(F−132)、(F−201)〜(F−232)、(F−301)〜(F−327)において、ハードコート性を有する層を有する側とは反対側の透明支持体の表面に、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、及び水288質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液を塗布して、その透明支持体の表面を鹸化処理した。鹸化処理した透明支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
層厚75μmのポリビニルアルコールフィルム{(株)クラレ製}を、水1000g、ヨウ素7g、ヨウ化カリウム10.5gからなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
次に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、上記本発明の各防眩性(反射防止)フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム“TD80UF”{富士写真フィルム(株)製}を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の各偏光板をTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に装着して、その評価を行ったところ、これらの液晶表示装置は、何れも反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。
[実施例7]
(偏光板の作製)
光学補償フィルム「ワイドビューフィルム A 12B」{富士写真フィルム(株)製}の、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例6と同様の条件で鹸化処理した。
次に、実施例6で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例6で作製した各反射防止積層体(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の各偏光板をTNモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置に装着してその評価を行ったところ、これらの液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない、前記の偏光板を装着した液晶表示装置よりも、何れも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、更に、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
[実施例8]
以下の支持体を使用して偏光板を作製した。
支持体1:特開2001−249223号公報の実施例1に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体2:特開2001−249223号公報の実施例2に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体3:特開2003−170492号公報の実施例2に準じて作製したトリアセチルセルロースフィルム。
支持体4:80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム「フジタックTD−80U」{富士写真フィルム(株)製}。
それぞれのレターデーション値を以下に示す。
支持体1:Re=40nm,Rth=130nm。
支持体2:Re=50nm,Rth=240nm。
支持体3:Re=64nm,Rth=120nm。
支持体4:Re=4nm,Rth=45nm。
[偏光板(P−1)の作製]
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜(PF−1)を作製した。まず市販のトリアセチルセルロース(支持体4)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(PF−1)の片側に貼り付けた。次いで上記支持体1にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(PF−1)の反対側に貼り付けた。その際に、偏光膜(PF−1)の透過軸と支持体1の遅相軸とは平行になるように配置し、偏光膜(PF−1)の透過軸と市販のトリアセチルセルロースフィルム(支持体4)の遅相軸とは、直交するように配置して偏光板を作製した。このようにして得られた偏光板をP−1とした。
[偏光板(P−2)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体1の代わりに、支持体2を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−2)を作製した。
[偏光板(P−3)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体1の代わりに、支持体3を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−3)を作製した。
[偏光板(P−4)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体1の代わりに、支持体4を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−4)を作製した。
[偏光板(P−1A)の作製]
偏光板(P−1)において、支持体4の代わりに、実施例2の防眩性(反射防止)フィルム試料F−201を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−1A)を作製した。
[偏光板(P−2A)の作製]
偏光板(P−2)において、支持体4の代わりに、実施例2の防眩性(反射防止)フィルム試料F−208を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−2A)を作製した。
[偏光板(P−3A)の作製]
偏光板(P−3)において、支持体4の代わりに、実施例2の防眩性(反射防止)フィルム試料F−212を用いた以外は全く同様にして偏光板(P−3A)を作製した。
[実施例9]
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置"VL−1530S"{富士通(株)製}に設けられている、一対の偏光板及び一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例6で作製した偏光板を、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に1枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。作製した液晶表示装置について、画像を表示し、外光や背景の写りこみ、ギラツキの官能評価を行った。
偏光板(P−1〜4)を有する装置に比べ、本発明の偏光板(P−1A〜3A)有する装置は、外光や背景の写りこみが少なく、またギラツキの発生なく極めて視認性が高いことが分かった。
[実施例10]
実施例2の光学フィルム(F−205、211、213、214、215、228、229、231)において、支持体として易接着層付きPET(東洋紡製コスモシャインA4100、膜厚188μm)を用いた以外は同様にして反射防止積層体を作製した。前面板なしの42インチプラズマディスプレイ(パイオニア製ダイレクトカラーフィルタ方式PDU−42H6A1)の表面フィルムを剥がし、代わりに低屈折率層が外側になるように本発明の反射防止積層体を粘着剤で貼り付けたところ、低反射・耐擦傷・黒締り性に優れることが確認された。
[実施例11]
実施例2の光学フィルム(F−205、211、213、214、215、228、229、231)において、低屈折率層の反対側の面にλ/4板を粘着剤で貼り合せ円偏光板を作製した。有機ELディスプレイの表面に低屈折率層が外側になるように円偏光板を粘着剤で貼り付けたところ、低反射・耐擦傷・黒締り性に優れることが確認された。
[実施例12]
反射型液晶ディスプレイおよび半透過型液晶ディスプレイの表面の偏光板として、低屈折率層が外側になるように実施例11の円偏光板を用いたところ、低反射・耐擦傷・黒締り性に優れることが確認された。
[実施例13]
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−15)の調製)
ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ5質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−4)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−15)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−16)の調製)
ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ10質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−4)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−16)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−17)の調製)
ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ20質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−4)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−17)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−18)の調製)
ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−4)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ40質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−4)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−18)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−19)の調製)
通電粒子を含有しハードコート性を有する層用塗布液(HCL−6)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ5質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−6)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−19)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−20)の調製)
通電粒子を含有しハードコート性を有する層用塗布液(HCL−6)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ10質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−6)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−19)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−21)の調製)
通電粒子を含有しハードコート性を有する層用塗布液(HCL−6)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ20質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−6)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−19)を調製した。
(ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−22)の調製)
通電粒子を含有しハードコート性を有する層用塗布液(HCL−6)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ40質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(HCL−6)と同様にして、ハードコート性を有する層用塗布液(HCL−19)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製)
PETA 28.00質量部
DPHA 11.30質量部
アクリルポリマー 3.13質量部
イルガキュア184 2.12質量部
イルガキュア907 0.43質量部
FZ−2191 0.19質量部
トルエン 49.53質量部
シクロヘキサノン 5.48質量部
(オーバーコート層用塗布液(OCL−8)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ5質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−8)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−9)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ10質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−9)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−10)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ20質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−10)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−11)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ40質量%をゾル液a−2に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−11)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−12)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ20質量%をゾル液a−1(固形分相当)に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−12)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−13)の調製)
オーバーコート層用塗布液(OCL−7)の調製において、PETAとDPHAのそれぞれ5質量%をKBM−5103に置き換えた以外は(OCL−7)と同様にして、オーバーコート層用塗布液(OCL−13)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−13)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−5)の調製において、ゾル液a−1を除去し、固形分濃度が(LL−5)と同じになるようMEKの量を調整し、低屈折率層用塗布液(LL−13)を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−14)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−5)の調製において、低屈折率層の全固形分に対して0.6質量%の光重合開始剤(本文例示化合物:化合物1)を添加した以外は(LL−5)と同様にして、低屈折率層用塗布液(LL−14)を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
(低屈折率層用塗布液(LL−15)の調製)
コルコートN103(2%) 400質量部
ゾル液c(7.9%) 25質量部
中空シリカ微粒子ゾルc 35質量部
酢酸ブチル 250質量部
この塗布液により形成される層の屈折率は1.43であった。
(反射防止フィルムの作製)
上記のハードコート性を有する層(防眩層)用塗布液(HCL−4)、オーバーコート層用塗布液(OCL−7)、低屈折率層(LL−5)を用いて、実施例1の試料(F−101)と同様の作成条件で、反射防止積層体(F−401)を作製した。
さらに、表12に示されるように、各層に対して、示された塗布液を各々使用する以外はF−401と同様の作製条件で、反射防止積層体(F−402)〜(F−420)を作製した。得られた試料は、実施例1の評価に加えて更に以下の評価を行った。
(反射防止積層体の評価)
(12)塗布面状(はじき)
各試料をA4の大きさのシートに切り出し、裏面に黒色粘着剤付きPETフィルムを貼り付け、3波長蛍光灯500ルックス下で目視で、以下の基準で評価した。A4のシート5枚を観察し、はじきの発生の頻度を評価した。また、目視に加えて、光学顕微鏡で400倍の条件で0.2mm角中のはじきの数を観察した。
◎ :目視でも顕微鏡でもはじきが認められない。
○ :目視ではじきが認められないが、顕微鏡で初めて認められるはじきが1mm角中に1〜3個認められる。
○△:目視ではじきが認められないが、顕微鏡で初めて認められるはじきが1mm角中に4〜10個認められる。
△ :目視ではじきと認識できる故障がA4シート5枚中に1〜4個認められる。
× :目視ではじきを認識できる故障がA4シート5枚中に5個以上認められる。
(13)鉛筆硬度
JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
評価結果を表13に示す。
表13より、一般式(a)で示される界面結合剤をオーバーコート層に含む態様は、SW耐性に優れる。オーバーコート層を無くし、防眩層にシランカップリング剤を使用した場合には、SW耐性が改良される量まで添加すると、粒子の凝集構造が変わったり、鉛筆硬度が減少してしまう問題を有していた。
[実施例14]
(反射防止フィルムの作製)
上記の帯電防止層用塗布液(ASL−1)、ハードコート性を有する層(防眩層)用塗布液(HCL−6)、オーバーコート層用塗布液(OCL−7)、低屈折率層(LL−5)を用いて、表14に示す膜厚になるように塗布量を調節した以外は実施例1の試料(F−132)と同様の作製条件で、反射防止積層体(F−501)を作製した。
さらに、表14に示されるように、各層に対して、示された塗布液を各々使用する以外はF−501と同様の作製条件で、反射防止積層体(F−502)〜(F−507)を作製した。得られた試料は、上記の実施例に準じた評価を行った。評価結果を表15に示す。
表15によれば、オーバーコート無しの試料F-503は、表面抵抗は最も低いものの、塗布面状やSWに劣るが、オーバーコート層を用い本発明に従えば、表面抵抗の低い、黒しまり性、SW耐性に優れた試料が得られることが分かる。オーバーコート層を無くし、防眩層に一般式(a)で示される界面結合剤を使用した場合には、SW耐性が改良される量まで添加すると、表面抵抗値の上昇、粒子の凝集構造の変化や、鉛筆硬度が減少してしまった。また、表面抵抗値の上昇は、一般式(a)で示される界面結合剤が防眩層中の通電粒子の分散状態を変え、通電の効率が低下したものと推定している。
本発明におけるスロットダイ13を用いたコーター10の断面図の一例である。 (A)は本発明におけるスロットダイ13の断面形状の一例を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状の一例を示す。 本発明における塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図の一例である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図の一例である。(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体) 本発明における2層以上を同時に塗設できるコーターの断面図の一例である。
符号の説明
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
バックプレート40aとウェブWの間の隙間
サイドプレート40bとウェブWの間の隙間
上流側リップランドのランド長さ
中流側リップランドのランド長さ
下流側リップランドのランド長さ

Claims (22)

  1. 支持体上に、微粒子を含有するハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層が、隣接もしくは他の層を介してこの順に積層してなる反射防止積層体において、
    該オーバーコート層と該低屈折率層が隣接し、かつ該ハードコート性を有する光散乱層の表面が凹凸形状を有し、
    該オーバーコート層が、
    1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能の重合性モノマーと、
    下記一般式(a)で示されるシランカップリング剤、及び/又は該シランカップリング剤の加水分解物及び縮合反応物を含むオーバーコート層用塗布組成物を塗設してなる厚さ0.5〜3.0μmの層であり、
    該低屈折率層が熱硬化性樹脂成分を含む低屈折率用塗布組成物を塗設してなる層であって、
    該熱硬化性樹脂成分が、
    構成成分(A)として、下記一般式(b)で表されるオルガノシランの加水分解物及び縮合反応物の少なくともいずれかであり、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000である加水分解物及び縮合反応の少なくともいずれかを含有し、
    構成成分(B)として、下記一般式(b)で表される化合物と下記一般式(a−2)で表される化合物の加水分解および縮合反応により得られるポリスチレン換算による質量平均分子量が5000以上100000以下であるフルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有する含フッ素樹脂とを含有する、反射防止積層体。
    一般式(a):(R−Si(X4−m
    (但し、Xは、無置換のアルキル基、水酸基、加水分解可能な基の少なくとも1つである。Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを有する置換基、mは1≦m≦3で示される整数である。)
    一般式(b):(R10m−Si(X)4-m
    上記一般式(b)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。mは、0〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
    一般式(a−2):(Rf−L1n−Si(X14−n
    上記一般式(a−2)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表す。X1は、水酸基または加水分解可能な基を表す。nは、1〜3の整数を表す。Rf−L1もしくはX1が複数存在するとき、複数のRf−L1もしくはX1はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
  2. 前記ハードコート性を有する光散乱層中に、三次元の立体構造を有する微粒子の凝集部が複数存在する請求項1に記載の反射防止積層体。
  3. 凝集部を形成しない他の微粒子が複数連なることにより、複数の前記凝集部間を結ぶものである請求項2に記載の反射防止積層体。
  4. 微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、凝集部の鉛直方向における基材面からの高さの最大値をHmax(μm)とし、反射防止積層体の最表面における凹凸形状の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角(正反射面に対する平均傾斜角度)をθaとした場合に、下記式(I)〜(III):
    8R≦Sm≦60R (I)
    R<Hmax≦3R (II)
    0.3≦θa≦2.5 (III)
    を同時に満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  5. 低屈折率用塗布組成物が、熱により、酸を発生する化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  6. 低屈折率層が、平均粒径5nm〜200nmの無機微粒子を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  7. 無機微粒子が、内部及び表面の少なくともいずれかに平均孔径0.01nm〜90nmの空孔を有する請求項6に記載の反射防止積層体。
  8. 微粒子が、有機系材料により形成されてなる微粒子である請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  9. 微粒子の平均粒子径Rが、1.5μm以上7.0μm以下であり、かつ該微粒子の個数の90%以上において、該微粒子の粒径平均分布がR±0.5μmの範囲内にある請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  10. ハードコート性を有する光散乱層が、前記微粒子の平均粒径と異なる平均粒径を有する第二微粒子をさらに含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  11. 微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、第二微粒子の平均粒子径をr(μm)とした場合に、下記式(IV):
    0.25R≦r≦1.0R (IV)
    を満たすものである、請求項10に記載の反射防止積層体。
  12. 有機系材料が、電離放射線硬化型樹脂であり、かつ第二微粒子が該有機系材料により形成されてなる微粒子である請求項10又は11に記載の反射防止積層体。
  13. 反射防止積層体の内部のヘイズ値が80%以下である請求項1〜12のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  14. ヘイズ値が2.0〜65.0(%)であり、60度グロス値が35〜98(%)であり、透過鮮明度の値が70〜350(%)であることを同時に満たすものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  15. 支持体とハードコート性を有する光散乱層との間に帯電防止層を更に有し、かつ前記ハードコート性を有する光散乱層が、通電性微粒子を含有し、反射防止積層体の最表面が通電性をもつ請求項1〜14のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  16. 反射防止積層体の表面抵抗値が、1.0×1013Ω/□以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  17. ハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、支持体の送出しから巻取りまでの間に、逐次連続塗布により形成されてなる請求項1〜16のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  18. ハードコート性を有する光散乱層、オーバーコート層、及び低屈折率層の少なくとも2層が、1つの塗布装置で同時に重層塗布して形成されてなる請求項1〜17のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  19. 支持体が、25〜70μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムである請求項1〜18のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  20. 支持体が、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、及びシクロオレフィン系樹脂フィルムの群から選ばれる請求項1〜18のいずれか一項に記載の反射防止積層体。
  21. 偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜20のいずれか一項に記載の反射防止積層体である偏光板。
  22. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の反射防止積層体、又は請求項21に記載の偏光板を、表示画面の視認側に有する画像表示装置。
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