JP5079339B2 - 毛髪処理剤組成物 - Google Patents
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Description
例えば、下記の特許文献1は、室温で固形状である油性成分を界面活性剤を用いることなく乳化した水中油滴型乳化組成物に関するが、その段落「0021」等において「油分の配合量を組成物全体の10重量%以下に抑えると、べたつきのない使用感が得られて好ましい」旨を指摘している。
本願発明者は、上記課題の解決手段を追求して試行錯誤を重ねる過程で、以下の(a)〜(c)の3点の対策の同時に実施した場合、毛髪処理剤における油分の配合量を例えば10質量%以下に低減させても上記したデメリットを有効に防止できることを見出し、本発明を完成した。
(a)油分として比較的少量の液状の油分を用いる。
(b)カチオン化オリゴ糖、水溶性高分子及びカチオン性界面活性剤を一定範囲の割合で併せ配合する。
(c)媒体である水の配合量80質量%以上を確保する。
なお、カチオン化オリゴ糖は商品名「Oligoquat M(オリゴクオートM)」等として上市されており、例えば下記の特許文献2に係る抗菌剤にも配合されている。
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、下記の(A)成分〜(E)成分を含有する、毛髪処理剤組成物である。
(A)成分:カチオン化オリゴ糖 0.1質量%〜3.0質量%
(B)成分:25°Cにおいて液状の油分 0.1質量%〜10.0質量%
(C)成分:水 80.0質量%〜98.0質量%
(D)成分:水溶性高分子 0.1質量%〜5.0質量%
(E)成分:カチオン性界面活性剤 1.0質量%〜5.0質量%
この第1発明の(B)成分について、「25°Cにおいて液状の油分」とは、25°C又はそれ以下の温度域において流動性を示し、あるいは表面張力が支配しない程度の大きさの小塊状の油分が重力に抗してその塊形状を維持できないような油分をいう。
第1発明によれば、(B)成分により上記対策(a)が実現され、(A)、(D)、(E)の各成分を(B)成分と併せ配合することにより上記対策(b)が実現され、(C)成分の配合量を80.0質量%〜98.0質量%の範囲内とすることにより上記対策(c)が実現される。
後述する実施例で実証されているように、(B)成分と、(A)、(D)、(E)の各成分とのいずれの1成分が欠けても、あるいは、(A)〜(E)成分のいずれかの配合割合が過少又は過剰であっても、本発明の効果を確保することは困難である。又、油分として、25°C(あるいはそれ以上の温度域)において固形状であるもののみを用いて液状である油分を用いない場合、毛髪上での延びが悪くなり、均一に塗布することが困難となるため本発明の効果を得られない。
その結果、第1発明では、(B)成分の配合量を0.1質量%〜10.0質量%という比較的少量の範囲内にとどめて、毛髪処理剤のべたつき防止や軽い仕上がりを図っても、その反面のデメリットとしての「(クリーム剤等としての)コクのなさ」、「毛髪塗布時の実感度の低さ」、「処理した毛髪のなめらかさ、弾力、根元の軽さの不足」等を有効に防止することができる。
なお、(A)成分の配合量が上記の範囲を下回ると毛髪処理剤にコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られない。(A)成分の配合量が上記の範囲を上回ると仕上がり後の毛髪のなめらかさは得られるものの毛髪処理剤が水っぽくなってコクを失い、仕上がり後の毛髪の弾力が得られない。(A)成分の配合量は、より好ましくは0.25質量%〜1.5質量%である。
(B)成分の配合量が0.1質量%未満であると絶対量の不足から油分の配合効果自体を確保できず、その配合量が10.0質量%を超えると「油分の配合量抑制」という意味が失われ、べたつき防止や軽い仕上がりを確保できない。(B)成分の配合量は、より好ましくは1.0質量%〜8.0質量%である。
(C)成分の配合量が80.0質量%未満であると、処理剤のコクは確保できるが仕上がり後の毛髪の弾力が得られず、その配合量が98.0質量%を超えると、他の有効成分の配合量を確保できないために本発明の効果が得られない。(C)成分の配合量は、より好ましくは82.0質量%〜95.0質量%である。
(D)成分の配合量が上記の範囲を下回ると毛髪処理剤にコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られない。(D)成分の配合量が上記の範囲を上回ると、仕上がり後の毛髪のなめらかさ、弾力は僅かに向上するものの、クリーム剤等としての毛髪処理剤が硬くなってしまい、コクが得られない。(D)成分の配合量は、より好ましくは0.5質量%〜3.0質量%である。
(E)成分の配合量が上記の範囲を下回ると仕上がり後の毛髪のなめらかさが感じられず、毛髪の弾力も得られない。(E)成分の配合量が上記の範囲を上回ると毛髪処理剤にコクがなく、仕上がり後の毛髪の弾力も得られない。(E)成分の配合量は、より好ましくは1.5質量%〜4.0質量%である。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪処理剤組成物が更に以下の(F)成分を含有する、毛髪処理剤組成物である。
(F)成分:有機酸及び有機アルカリからなるpH緩衝成分
第2発明のように、毛髪処理剤組成物はpH緩衝成分である(F)成分によってpHを安定化させることが好ましい。毛髪処理剤組成物のpHを安定化させることにより、毛髪を構成するタンパク質の構造を化学的により安定化させ、それに伴い物理的特性が向上するため、仕上がり感の向上に寄与させるという効果を期待できる。その際、無機のpH緩衝成分は効果が強すぎるため、有機酸及び有機アルカリを用いることが好ましい。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る(B)成分が、ジメチコン、フェニルジメチコン、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン共重合体、ジメチコノール、デカメチルシクロペンタシロキサン、PCAジメチコン、炭化水素、脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油分である、毛髪処理剤組成物である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明に係る(D)成分が、少なくともデンプン誘導体及びセルロース誘導体が包含される多糖類及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子である、毛髪処理剤組成物である。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第2発明〜第4発明に係る(F)成分における有機酸が、少なくともグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びコハク酸を包含するカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸である、毛髪処理剤組成物である。
(F)成分における有機酸としては、第5発明に列挙するカルボン酸の少なくとも1種が特に好ましい。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第1発明〜第5発明に係る毛髪処理剤組成物が以下の(1)〜(3)のいずれかの用途に用いられるものである、毛髪処理剤組成物である。
(1)パーマネントウエーブ処理の後処理剤。
(2)毛髪脱色処理又は酸化染毛処理の後処理剤。
(3)シャンプー剤、リンス剤又はスタイリング剤。
〔毛髪処理剤組成物〕
本発明に係る毛髪処理剤は、少なくとも(A)成分:カチオン化オリゴ糖、(B)成分:25°Cにおいて液状の油分、(C)成分:水、(D)成分:水溶性高分子、及び(E)成分:カチオン性界面活性剤を含有し、かつ、これらの各成分の配合量が下記の範囲内である。
(A)成分 0.1質量%〜3.0質量%
(B)成分 0.1質量%〜10.0質量%
(C)成分 80.0質量%〜98.0質量%
(D)成分 0.1質量%〜5.0質量%
(E)成分 1.0質量%〜5.0質量%
本発明に係る毛髪処理剤は、より好ましくは、更に、(F)成分:有機酸及び有機アルカリからなるpH緩衝成分を含有する。
各種の毛髪処理剤組成物において、溶媒又は分散媒として水を配合することにより各成分の濃度を調整することは一般的であるが、本発明においては、(C)成分としての水の配合量を80.0質量%〜98.0質量%の範囲内に調整することが重要な意味を持つ。(C)成分以外の各成分については、後述の「毛髪処理剤の主な成分」の項で詳しく説明する。
〔毛髪処理剤の用途及び剤型〕
本発明の毛髪処理剤の用途は、毛髪を処理するものである限りにおいて特段に限定されない。より好ましくは、パーマネントウエーブ処理の後処理剤、毛髪脱色処理又は酸化染毛処理の後処理剤、あるいは、シャンプー剤、リンス剤、又はスタイリング剤として使用される。
パーマネントウエーブ処理とは、少なくともアルカリ剤と還元剤とを含有する第1剤で毛髪の還元を行った後、毛髪にウエーブの賦形等を行ったもとで、少なくとも酸化剤を含有する第2剤で毛髪の酸化を行う処理をいう。毛髪脱色処理とは、少なくともアルカリ剤を含有した第1剤と、少なくとも過酸化水素等の酸化剤を含有した第2剤とを使用時に混合して施用することにより、毛髪の脱色を行う処理をいう。酸化染毛処理とは、少なくともアルカリ剤及び酸化染料(主要中間体とカップラー)を含有した第1剤と、少なくとも過酸化水素等の酸化剤を含有した第2剤とを使用時に混合して施用することにより、毛髪の脱色と染料の酸化発色による染毛とを行う処理をいう。
〔毛髪処理剤のpH〕
毛髪処理剤のpHも特段に限定されないが、一般的にはpH3.0〜8.0程度が好ましく、特にpH3.5〜7.0程度が好ましい。pH3.0未満であると毛髪タンパク質の過収斂による毛髪感触の悪化が懸念され、pH8.0を超えると毛髪タンパク質の分解による毛髪損傷が懸念される。
毛髪処理剤におけるこれらの範囲内のpHを安定的に維持するためにpH緩衝成分を配合することが好ましいが、pH緩衝成分については次の「毛髪処理剤の主な成分」の項で詳しく説明する。
〔毛髪処理剤の主な成分〕
(カチオン化オリゴ糖)
(A)成分であるカチオン化オリゴ糖とは、糖モノマーの重合度が2〜100程度であるオリゴ糖のカチオン化誘導体であって、オリゴ糖を構成する糖モノマーの種類は限定されず、例えばグルコース、マンノース、フルクトース、キシロース、ラムノース、ガラクトース、リボース、グルコサミン、ガラクトサミン、アルトロース、タロース、アラビノース、イドース、リキソース、アロース、グロース、タガトース、ソルボース、リブロース、キシルロース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、ブシコース等の各種の単糖又はそれらの任意の組み合わせであり得るし、カチオン化誘導体とするための誘導体基の種類も限定されず、例えばアルキル4級アンモニウム基、ヒドロキシアルキル4級アンモニウム塩、アシルアルキル四級アンモニウム基等であり得る。
カチオン化オリゴ糖の具体例として、例えばステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖(糖モノマーの重合度が2〜100のもの)等を好ましく例示することができる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(液状の油分)
(B)成分である液状の油分は25°Cにおいて液状のものである。当然ながら25°C以下の温度域において液状である油分も包含される。「第1発明」の項で前記した理由から、25°Cあるいはそれ以上の温度域で固形状である油分のみを配合することは、好ましくない。
このような(B)成分の種類は限定されないが、25°Cにおいて液状であることを前提として、ジメチコン、フェニルジメチコン、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン共重合体、ジメチコノール、デカメチルシクロペンタシロキサン、PCAジメチコン、炭化水素、高級アルコール類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油分を好ましく例示することができる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ラノリン脂肪酸イソステアリル等が挙げられる。
植物油としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、パーシック油、ククイナッツ油、月見草油、ハイオレイックヒマワリ油、メドウホーム油、へーゼルナッツ油、ピスタシオ種子油、ホホバ油等が挙げられる。
(水溶性高分子)
(D)成分である水溶性高分子としては、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)、カチオン化グアーガム等の植物性高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース誘導体等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等のカチオン性合成高分子等が例示される。
水溶性高分子として、特に好ましくは多糖類及びその誘導体、とりわけデンプン誘導体及びセルロース誘導体が挙げられる。水溶性高分子は、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(E)成分であるカチオン性界面活性剤の種類は限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、クオタニウム−91(INCI名称)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート、酸中和型の第三級アミドアミン等が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(F)成分であるpH緩衝成分としては、酸成分が有機酸からなり、アルカリ成分が有機アルカリからなるものが好ましい。有機酸としては、カルボン酸が特に好ましく、とりわけ、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、L−アルギニン、L−リジン、グルタミン酸及びコハク酸から選ばれるものが好ましい。有機アルカリとしては、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルコール類、L−アルギニン、L−リジン、L−ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。これらの酸成分、アルカリ成分は、それぞれその1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
〔毛髪処理剤のその他の成分〕
本発明の毛髪処理剤には、本発明特有の効果を阻害しない限りにおいて、上記以外の成分も配合することができる。このような成分として、前記(B)成分以外の油性成分、例えば「25°Cにおいて固形状の油分」を加えることも可能である。その他にも、上記の「主な成分」には該当しない界面活性剤、タンパク加水分解物、ポリオール類、ビタミン類、セラミド、キレート剤、香料、殺菌・防腐剤、紫外線吸収剤、噴射剤、増粘剤、パール化剤等を、必要に応じて、あるいは任意に、配合することができる。
これらの内の幾つかの成分についての具体例を以下に列挙する。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、上記したカチオン性界面活性剤を除く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
(タンパク加水分解物)
タンパク加水分解物としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、エッグ、シルク、コンキオリン、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質を、あるいはコメ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、エンドウ、アーモンド、ブラジルナッツ、ジャガイモ及びトウモロコシなどの植物から得られるタンパク質を、それぞれ酸、アルカリ、酵素等により加水分解したタンパク加水分解物が挙げられる。
〔実施例及び比較例の内容〕
末尾の表1に示す実施例1〜実施例17、表2に示す比較例1〜比較例19、表3に示す実施例18〜実施例32、表4に示す実施例33〜実施例46に係る組成の毛髪処理剤(ヘアトリートメント)を常法に従って調製した。これらの毛髪処理剤の剤型はクリーム状であり、pHはいずれも3.0〜8.0の範囲内である。
〔実施例及び比較例の評価〕
脱色(ブリーチ)処理を3回繰り返したダメージ毛である、長さ20cmのヒト直毛の毛束を所要の本数だけ準備した。なお、後述の「毛髪の根元の軽さ」の評価においては、同様に脱色処理を3回繰り返したモデルウィッグの毛髪を準備した。以下、これらを「毛髪試料」と言う。これらの毛髪試料をシャンプー処理した後、それぞれ50g入り軟膏容器に充填しておいた上記各実施例及び比較例に係るヘアトリートメントをこれらの毛髪試料に対してそれぞれ均一に塗布した。そして各例に係るヘアトリートメントについて、容器からすくい取る際の取り易さ、塗布時のなじみ易さ、塗布時の伸びの良さ、毛髪試料の仕上がり感、毛髪矯正効果、効果の持続性等を評価するため、以下の評価項目を以下の評価方法によって評価した。
10名のパネラーが各自、上記各実施例及び比較例に係るヘアトリートメントを毛髪試料に塗布した際に感じたコク感を評価した。クリームにコク、厚みがあり、毛髪に対する効果が十分にありそうに感じた場合を4点、クリームにコク、厚みがあり、毛髪に対する効果がありそうに感じた場合を3点、クリームにコクをあまり感じず、毛髪に対する効果があまりなさそうに感じた場合を2点、クリームに厚みを全く感じず、毛髪に対する効果が全くなさそうに感じた場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーが各自、上記各実施例及び比較例に係るヘアトリートメントを毛髪試料に塗布し、その直後(約10秒後)に洗い流してから乾燥させた際の毛髪試料のなめらかさを評価した。十分になめらかさを感じた場合を4点、なめらかさを感じた場合を3点、あまりなめらかさを感じなかった場合を2点、全くなめらかさを感じなかった場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーが各自、上記各実施例及び比較例に係るヘアトリートメントを毛髪試料に塗布し、その直後(約10秒後)に洗い流してから乾燥させた際の毛髪試料の弾力を評価した。十分に弾力を感じた場合を4点、弾力を感じた場合を3点、あまり弾力を感じなかった場合を2点、全く弾力を感じなかった場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーが各自、上記各実施例及び比較例に係るヘアトリートメントを毛髪試料に塗布し、その直後(約10秒後)に洗い流してから乾燥させた際の毛髪試料の根元の軽さを評価した。十分に根元の軽さを感じ、ボリュームを損なわずふんわりしていた場合を4点、根元の軽さを感じ、ふんわりしていた場合を3点、根元の軽さをあまり感じず、ふんわり感に欠けていた場合を2点、根元の軽さを全く感じず、毛髪試料がしぼんでいた場合を1点とする4段階で評価した。
表1、表3及び表4に示す評価結果から分かるように、実施例1〜実施例46は、いずれの評価項目においても非常に高い評価結果であった。
又、表2に示す評価結果から分かるように、比較例1〜比較例19は、前記第1発明に記載した(A)成分〜(E)成分のいずれかを含まず、又はこれらの成分の配合量が過少あるいは過剰であるため、実施例1〜実施例46との対比において、極めて低い評価に止まっている。
更に具体的に述べると、表2に示す評価結果の全体から、以下の諸点を指摘することができる。
1)(A)成分の配合量が過少であると、クリームにコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られず、過剰であると、毛髪のなめらかさは得られるもののクリームが水っぽくなってコクが感じられず適切な弾力性も得られない。(A)成分を配合しない場合や、(A)成分に代えて「A比」成分を配合した場合は、毛髪のなめらかさは全く感じられず、仕上がり後の毛髪の弾力も得られない。
3)(C)成分の配合量が過少であると、クリームのコクは多少得られるが、仕上がり後の毛髪の弾力性が得られない。
4)(D)成分の配合量が過少であると、クリームにコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られず、過剰であると、毛髪のなめらかさ、弾力性は僅かに向上するもののクリームが硬くなってしまいコクが得られない。(D)成分を配合しない場合や、(D)成分に代えて「D比」成分を配合した場合は、クリームにコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られない。
5)(E)成分の配合量が過少であると、毛髪のなめらかさが全く感じられず仕上がり後の毛髪の弾力も得られず、過剰であると、クリームにコクがなく仕上がり後の毛髪の弾力が得られない。(E)成分を配合しない場合や(E)成分に代えて「E比」成分を配合した場合は、毛髪のなめらかさが全く感じられず仕上がり後の毛髪の弾力も得られない。
Claims (4)
- 下記の(A)成分〜(F)成分を含有することを特徴とする毛髪処理剤組成物。
(A)成分:ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.1質量%〜3.0質量%
(B)成分:25°Cにおいて液状の油分 0.1質量%〜10.0質量%
(C)成分:水 80.0質量%〜98.0質量%
(D)成分:ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、カチオン化セルロース及びプルランから選ばれる水溶性高分子 0.1質量%〜5.0質量%
(E)成分:カチオン性界面活性剤 1.0質量%〜5.0質量%
(F)成分:有機酸及び有機アルカリからなるpH緩衝成分 - 前記(B)成分が、ジメチコン、フェニルジメチコン、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン共重合体、ジメチコノール、デカメチルシクロペンタシロキサン、PCAジメチコン、炭化水素、脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油分であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤組成物。
- 前記(F)成分における有機酸が、少なくともグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びコハク酸を包含するカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪処理剤組成物。
- 前記毛髪処理剤組成物が以下の(1)〜(3)のいずれかの用途に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物。
(1)パーマネントウエーブ処理の後処理剤。
(2)毛髪脱色処理又は酸化染毛処理の後処理剤。
(3)シャンプー剤、リンス剤又はスタイリング剤。
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