JP5079242B2 - Dna損傷チェックポイント活性化剤 - Google Patents

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本発明は、抗癌剤として有用な新規なDNA損傷チェックポイント活性化剤に関する。
細胞周期の進行を秩序正しく行うための制御機構の一つであるDNA損傷チェックポイン
トは、DNAの損傷や複製の遅れを感知し、DNAが正常に修復されるまで細胞周期を一時停止するなどの機能を担っており、その機能の低下や消失は発癌に至る多様な遺伝子変化を引き起こすことが知られている。従って、近年、新たな作用機序を有する抗癌剤としてDNA
損傷チェックポイント活性化作用を有する物質が注目されており、これに関連して、非特許文献1では、酵母のG1/S期チェックポイント変異株がDNA損傷に対して高感受性を示すことを利用した、ヒトを含む高等真核細胞のDNA損傷チェックポイントを活性化する物質の
スクリーニング方法が提案されている。DNA損傷チェックポイントに関しては未だ完全に
解明はされていないが、このスクリーニング方法は、出芽酵母のDNA損傷チェックポイン
トはRAD9を中心としてMEC1およびRAD53を介したシグナルにより伝わり、DNA修復系の酵素の転写活性化と細胞周期の停止がなされることに基づき、RAD9遺伝子を破壊した酵母を用いることで、欠損したRAD9をバイパスしてDNA損傷チェックポイントシグナルに関わるRAD53を活性化する物質や、RAD9のかわりに細胞周期を停止できる物質を見出すためのものであり、同文献中では微生物の培養液から得られるDNA損傷チェックポイント活性化作用を
有する物質として抗生物質であるボレリディン(Borrelidin)などが示されている。
土屋英子、酵母を利用した制癌剤の開発、平成10〜12年度 醸造微生物機能の高度利用に関する研究((財)広島県産業技術振興機構)、p53〜p60、(2001)
しかしながら、微生物の代謝産物以外の食材を含めた植物をはじめとする天然資源にはさらなる新規なDNA損傷チェックポイント活性化作用を有する物質が存在することが考え
られる。
そこで本発明は、抗癌剤として有用な新規なDNA損傷チェックポイント活性化剤を提供
することを目的とする。
本発明者らは、上記の点に鑑みて食材となる植物を中心にDNA損傷チェックポイント活
性化作用を有する物質の探索を行った結果、キク科植物(Compositae)であるモミジガサ(Cacaliadelphiniifolia:別名は山菜として食用される「シドケ」)に含まれるエンド
パーオキサイド化合物が、DNA損傷チェックポイント活性化作用を有することを見出した
上記の知見に基づいてなされた本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤は、請求項1記載の通り、下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
Figure 0005079242
また、本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤の調製方法は、請求項2記載の通り、キク科植物であるモミジガサからの抽出操作により、下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)を単離取得することを特徴とする(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
Figure 0005079242
また、本発明の抗癌剤は、請求項3記載の通り、下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
Figure 0005079242
本発明によれば、抗癌剤として有用な新規なDNA損傷チェックポイント活性化剤が提供
される。
本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤は、下記の一般式(1)で表されるエンドパーオキサイド化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするものである。
Figure 0005079242
[式中、R1、R2は、同一または異なって、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキル基、水酸基を示す。nは1〜10の整数を示す。]
ここで、低級アルキル基とは、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。低級アルキル基が有していてもよい置換基とし
ては、カルボキシル基、水酸基、低級アルコキシ基などが挙げられる。ここで低級アルコキシ基とは、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基などが挙げられる。
一般式(1)で表されるエンドパーオキサイド化合物の内、代表的な化合物としては、
ビサボラン型セスキテルペンのエンドパーオキサイド化合物である下記の構造式(2)で
表される3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン(3,6-epidioxy-1,10-bisaboladiene)
が挙げられる。3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンは、例えば、薬用植物であるメリコペ ボルボニカ(Melicopeborbonica)の葉に含まれる抗カビ活性を有する物質として
既に公知であるが(必要であればSimonsen et al, Phytother. Res., 18, 542-545, 2004を参照のこと)、山菜として食用されるシドケにこの物質が含まれていることはこれまでに報告された例はなく、この物質がシドケに含まれていることは今般の本発明者らによる新たな知見である。
Figure 0005079242
一般式(1)で表されるエンドパーオキサイド化合物をキク科植物などの天然資源から
分離精製する場合、その操作は、一般的な天然有機化合物の分離精製方法、例えば、アルコール(メタノールやエタノールなど)、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタンなどの有機溶媒や水を用いた抽出操作、イオン交換樹脂、非イオン性吸着樹脂、ゲルろ過クロマトグラフィー、活性炭やアルミナやシリカゲルなどの吸着剤によるクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーを用いた分離操作の他、結晶化操作、減圧濃縮操作、凍結乾燥操作などの各種操作を単独または適宜組み合わせて行えばよい。なお、本発明のエンドパーオキサイド化合物は、自体公知の有機合成化学手法で合成することもできる。また、本発明のエンドパーオキサイド化合物は、複数の不斉炭素を有するので、種々の立体異性体や光学異性体が存在し得るが、本発明はそのいずれをも権利範囲に包含するものである。
一般式(1)で表されるエンドパーオキサイド化合物が塩の形態をとりえる場合、その
薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどとの無機塩、低級アルキルアミン、低級アルコールアミンなどとの有機塩、リジン、アルギニン、オルニチンなどとの塩基性アミノ酸塩の他、アンモニウム塩などの公知のものが挙げられる。
本発明のエンドパーオキサイド化合物またはその薬学的に許容される塩は、DNA損傷チ
ェックポイント活性化剤の有効成分として用いることができる。医薬品としてヒトや動物に対して投与する場合の投与方法は、経口的な投与方法であってもよいし、非経口的な投与方法であってもよい。非経口的な投与方法としては、例えば、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、経皮投与、経肺投与、経鼻投与、経腸投与、口腔内投与、経粘膜投与などが挙げられ、この場合、本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤は、これら
の投与方法に適した形態に自体公知の方法で製剤化されて投与される。この場合、有効成分となるエンドパーオキサイド化合物は、高度に精製された形態で製剤化されてもよいし、キク科植物などからの粗抽出物の形態で製剤化されてもよい。製剤形態としては、例えば、注射剤、坐剤、エアゾール剤、経皮吸収テープ、点眼剤、点鼻剤などが挙げられる。注射剤を調製する場合、適宜、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤などを添加して注射剤とする。経口投与製剤としては、例えば、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、液剤、これらの製剤学的に許容され得る徐放化製剤などが挙げられる。液剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤(ドライシロップを含む)、エリキシル剤などを含む。例えば、錠剤は、公知の製剤学的製造法に準じ、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤などとともに調製することができる。この場合、担体や賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末などを用いることができる。結合剤としては、例えば、デンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどを用いることができる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴールなどを用いることができる。着色剤としては、医薬品に添加することが許容されているものを用いることができる。錠剤や顆粒剤は、必要に応じ、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸
重合体などで被膜してもよいし、2層以上の層で被膜してもよい。さらにエチルセルロー
スやゼラチンなどを用いてカプセル化してもよい。また、有効成分となるエンドパーオキサイド化合物の揮発性が高い場合、そのアロマを利用してもよい。
本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤が有効に作用する疾患は癌である。本発明
のDNA損傷チェックポイント活性化剤を抗癌剤として患者に投与する場合、その投与量は
、患者の年齢や体重、症状の程度、健康状態などの条件によって適宜設定すればよいが、標準的には、成人1日当たり約10mg〜約10gを、経口的または非経口的に1日1回〜数回にて投与すればよい。点眼剤の場合、有効成分の濃度が0.003〜5(w/v)%の点眼剤を、1日数
回、1回数滴投与すればよい。
また、本発明のDNA損傷チェックポイント活性化剤は、もともと山菜として食用される
シドケに含まれている物質であるので、種々の形態の食品(サプリメントを含む)に、DNA損傷チェックポイント活性化作用を発揮するに足る有効量を添加して食してもよい(体
重1kg当たり0.1mg〜100mgの摂取が標準的である)。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
この実施例において、DNA損傷チェックポイント活性化作用の評価は、非特許文献1に記載の方法に従って行った。使用する酵母は前述の通りRAD9遺伝子を破壊した酵母であるが、この酵母はさらに温度感受性を有するため、37℃で培養するとDNA損傷が誘導され、チ
ェックポイント制御系が働かないために細胞周期を停止できず、異常なまま細胞***が起こってしまい急速に死滅する性質を有する特徴がある。これは癌のモデル化の一つと考えられ、培養時に欠損したRAD9をバイパスしてDNA損傷チェックポイントシグナルに関わるRAD53を活性化する物質や、RAD9のかわりに細胞周期を停止できる物質が共存すると、この酵母は37℃における致死効果が抑圧されて生育する(図1を参照)。即ち、非特許文献1に記載の評価方法は、抗癌活性をこれまでの癌細胞などを殺すという活性とは逆の、酵母を生育させるという生育円としての表現型(=物質を染み込ませたディスクの周りに酵母が生育する)で検出するポジティブスクリーニング系である。従って、毒性が少なく特異性の高い活性物質を見出すことができる。実際に、抗癌活性を有するヒドロキシウレアやミコフェノール酸が生育円を示すことから、この方法で見出されたDNA損傷チェックポイン
ト活性化作用を有する物質はヒトに対して有効な抗癌剤になり得るものである。今日、臨床の現場で使用されている抗癌剤には副作用や薬剤感受性の低下の問題などがあることから、新たな化学構造と作用機序を有する抗癌剤が求められていることは周知の通りであるが、この方法によれば、既存の抗癌剤とは作用機序が異なる新しい抗癌剤の提供が可能となる。
参考例1:スクリーニング系の詳細
RAD9遺伝子を破壊した酵母(遺伝子破壊酵母:ΔRAD9)の温度感受性変異株をYPD培地
(イーストエキストラクト10g/l、ペプトン 20g/l、デキストロース20g/1、pH6.5)で28
℃、一晩前培養し、得られたA590=0.8の培養液1.75mlとYPD寒天培地48.25mlをよく懸濁
し、シャーレに12.5mlずつ分注した。測定用の各種濃度のサンプル(濃度調整はメタノールによる)をペーパーディスク(8mm、thick)に40μlしみ込ませてシャーレの上に載せ
、37℃で6時間DNA損傷を誘導した後、28℃で2日間培養してから生育円の大きさを測定し
、DNA損傷チェックポイント活性化作用による上記の変異株を生育させる効果(=抗癌活
性)を評価した。ポジティブコントロールは、免疫抑制剤であり抗癌活性を有することが知られているミコフェノール酸(平均生育円18.1mm、50μg/disc)とした。
実施例1:
(1)モミジガサからの3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンの単離精製
岩手県産の生のモミジガサ(山菜であるシドケとして販売されているもの)651.7gを室温で乾燥させ57.28gの乾燥物を得た。これをメタノールに浸清して抽出操作を行い、得られた抽出物を濃縮し、水溶性の残渣について酢酸エチルで抽出操作を行った。酢酸エチル抽出物を濃縮し、得られた濃縮物(収量3.06g)についてヘキサン-酢酸エチルの混合溶媒系でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、ヘキサン-酢酸エチル=10:1と5:1の混合溶媒を用いた際の溶出画分(合計収量1.14g)について75%メタノールでODSカラムを
用いたクロマトグラフィーを行い、遺伝子破壊酵母(ΔRAD9)の温度感受性変異株の生育円を指標にしてDNA損傷チェックポイント活性化作用があるピークを分取することで、3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンを25.3mg得た。
<3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンの物理化学データ>
colorless oil、UV (MeOH) λmax (logε)=末端吸収、1H and 13C NMR data:表1および表2(2種類のジアステレオマーの混合物として取得されることから量が多い方をmajor体
、少ない方をminor体としてそれぞれ記載:シグナルの帰属のナンバリングは下記の通り
)、HR-ESI-MS m/z 237.1850、 [M+H]+ (calcd for C15H25O2, 237.1855)
Figure 0005079242
Figure 0005079242
Figure 0005079242
(2)3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンのDNA損傷チェックポイント活性化作用
単離精製された3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンを種々の濃度でペーパーディスクにしみ込ませ(濃度調整はメタノールによる)、そのDNA損傷チェックポイント活性化
作用を遺伝子破壊酵母(ΔRAD9)の温度感受性変異株の生育円の大きさで評価した。その結果をポジティブコントロールとして用いたミコフェノール酸の評価結果とともに表3に
示す。
Figure 0005079242
表3から明らかなように、3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンは、ポジティブコン
トロールとして用いたミコフェノール酸よりも低濃度で優れたDNA損傷チェックポイント
活性化作用を発揮することがわかった。
(3)3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンの抗癌作用
10%FBS-RPMI1640培地に5×105cells/mlで懸濁したヒト慢性骨髄性白血病細胞K562を96
穴のマイクロウエルに100μlまき、そこに各種濃度の3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン(濃度調整はメタノールによる)を加え、37℃、5%CO2存在下で3日間培養し、MTTア
ッセイにより細胞毒性を調べ、50%阻害濃度を求めた。また、10%FBS-RPMI1640培地に1×106cells/mlで懸濁したヒト前立腺癌細胞LNCaPを96穴のマイクロウエルに100μlまき、そ
こに各種濃度の3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン(濃度調整はメタノールによる)を加え、37℃、5%CO2存在下で2日間培養し、MTTアッセイにより細胞毒性を調べ、50%阻害濃度(IC50)を求めた。それぞれの細胞について、3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンの濃度と50%阻害濃度の関係を表4に示す。また、表4には、比較対照として、3,6-エピ
ジオキシ-1,10-ビサボラジエンと構造類似のビサボラン型セスキテルペンである下記の構造式(3)で表されるα-クルクメン(α-Curcumene:市販のジンジャーエッセンシャルオイルから自体公知の単離精製方法にて取得したもの)のそれぞれの細胞に対する50%阻害
濃度をあわせて示す。
Figure 0005079242
Figure 0005079242
表4から明らかなように、3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンはα-クルクメンに比較して優れた抗癌作用を有することがわかった。
製剤例1:注射剤
3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン1.5gを可溶化剤としてエタノールを含有する生理食塩水100mlに溶解し(合計1.5g/100ml)、バイアルに充填した後、加熱殺菌を行って
、静注用注射剤を製造した。
製剤例2:錠剤
以下の組成で各成分を混合し、打錠して、3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエンを50mg含む500mgの錠剤400個を製造した。
3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン ・・・ 20g
馬鈴薯澱粉 ・・・ 6g
ステアリン酸タルク ・・・ 4g
6%HPC乳糖 ・・・ 170g
(合計200g)
製剤例3:顆粒剤
以下の組成で各成分を混合し、圧縮成形し、粉砕し、整粒して、20〜50メッシュの5%顆粒剤を製造した。
3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン ・・・ 10g
乳糖 ・・・ 187g
ステアリン酸マグネシウム ・・・ 3g
(合計200g)
製剤例4:カプセル剤
以下の組成で各成分をよく混合し、混合物を1号カプセルに充填して、カプセル剤300個を製造した。
3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン ・・・ 5g
乳糖 ・・・ 40g
馬鈴薯澱粉 ・・・ 50g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース ・・・ 3.5g
ステアリン酸マグネシウム ・・・ 1.5g
(合計100g)
製剤例5:点眼剤
以下の各成分を滅菌精製水100mlに溶解し、常法により点眼剤を製造した。
3,6-エピジオキシ-1,10-ビサボラジエン ・・・ 0.1g
塩化ナトリウム ・・・ 0.9g
塩化ベンザルコニウム ・・・ 微量
1N水酸化ナトリウム ・・・ 適量
1N塩酸 ・・・ 適量
エタノール ・・・ 適量
本発明は、抗癌剤として有用な新規なDNA損傷チェックポイント活性化剤を提供するこ
とができる点において、産業上の利用可能性を有する。
遺伝子破壊酵母を用いたDNA損傷チェックポイント活性化作用のスクリーニング原理を示す図。

Claims (3)

  1. 下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするDNA損傷チェックポイント活性化剤(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
    Figure 0005079242
  2. キク科植物であるモミジガサからの抽出操作により、下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)を単離取得することを特徴とするDNA損傷チェックポイント活性化剤の調製方法(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
    Figure 0005079242
  3. 下記の構造式(2)で表されるエンドパーオキサイド化合物である3,6−エピジオキシ−1,10−ビサボラジエン(3,6−epidioxy−1,10−bisaboladiene)またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする抗癌剤(但し構造式(2)で表される化合物を含むモミジガサの乾燥粉末を有効成分とする態様を除く)。
    Figure 0005079242
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