JP5078203B2 - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄型の液晶表示素子に関し、特に高速スイッチングを要求されるOA機器のディスプレイ等のハイインフォメーション表示体や、広告板、案内板、装飾表示板等の公衆表示、またはテレビ等に好適に利用される薄型の液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
小さなセルギャップの液晶表示素子を作製するためには、均一性を高めるために液晶を真空注入するのが一般的である。また、注入時間を早めるために、真空注入する際に液晶の粘性の低い高温状態や等方性液体相状態で行うことが一般的に知られている。
重合性官能基を有する液晶性化合物と、重合性官能基を有していない液晶性化合物とからなる重合性液晶組成物をセル内に注入し、電界や磁界の印加などにより所望の配向状態に整えたうえで、紫外線等の活性エネルギー線を照射する。その結果、重合性液晶組成物中に高分子鎖が形成され、この高分子鎖によって重合性官能基を有していない液晶材料の配向が安定化した高分子安定型液晶表示素子を作製することができる。
この場合、重合性液晶組成物には、紫外線等によって重合が開始するような重合開始剤が添加されるが、このような重合性液晶組成物を製造に用いる際に、ある製造条件において適切なタイミングで硬化させるのは非常に困難である。
特に、重合性液晶組成物を薄型のセル内に注入する際には、真空度を高めるために長時間の真空に曝されたりする。また、注入時間短縮のために長時間の高温状態に保持されることにより、重合開始剤が揮発して重合反応が起きないこともある。また、熱重合が生じて適切なタイミングで硬化できない等の問題があり、所望の特性を得ることができなかった。
【0003】
特開平11−21554号公報において、強誘電性液晶に液晶性アクリレートモノマーを含ませ、直流電圧を印加しながら硬化させる、液晶表示素子の製造方法が記載されている。そして、中間調表示ができるとされているが、重合性液晶組成物を薄型のセルに均一に注入する際の問題点については認識されていない。
また、特許第3055208号公報において、液晶材料と光重合性組成物を真空注入法によってセル内に注入し、液晶表示素子を製造する方法が記載されているが、重合性官能基を有する液晶性化合物を用いることについては述べられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薄型のセル、特に対角サイズの大きな薄型のセル内に重合性液晶組成物を含む液晶材料を注入する際に、長時間の真空状態または加熱状態に保持しても、重要な重合反応の過程を安定に制御しようとするものである。重合性が損われたりせず、または重合が開始してしまうなどの重合特性が変質しない重合性液晶組成物を用いて液晶表示素子を製造することにある。特に、重合性液晶組成物として強誘電性液晶または反強誘電液晶を用い、中間調表示を可能とした薄型の液晶表示素子を提供しようとする。
また、本発明の目的は、薄型の液晶表示素子を用いて、同一表示単位で時間と共に異なる色を発色させる、フィールドシーケンシャル方式で駆動が行われる液晶表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、重合特性を変質させることなく薄型のセル内に重合性液晶組成物を注入する方法について鋭意検討した結果、特定の重合開始剤を含有した重合性液晶組成物を真空注入することにより、セル内における液晶材料全体としての重合特性を変質させることなく、薄型のセルに均一に重合性液晶組成物を狭持させることができることを知見し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板が備えられ、セルギャップが6μm以下とされ、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物とアシルフォスフィンオキサイド化合物とを含有する重合性液晶組成物がセル内に真空注入せしめられ、紫外線照射によって重合性液晶組成物が重合されてなる液晶表示素子を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記基板が対角10cm以上である前記液晶表示素子を提供する。
【0008】
ここで、前記重合性液晶組成物が、さらに、重合性官能基を有していない液晶性化合物を含むものであり、該重合性官能基を有していない液晶性化合物が、前記重合性液晶組成物の40〜98質量%であることが好ましい。
【0009】
また、前記重合性液晶組成物は、さらに、ニトロソ化合物を含有することが好ましく、前記重合性液晶組成物の25℃における粘度は、400〜760mPa・sであることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板より形成されるセルギャップが6μm以下のセル内に、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物、重合性官能基を有していない液晶性化合物およびアシルフォスフィンオキサイド化合物を含有する重合性液晶組成物を、真空注入し、紫外線を照射することを特徴とする液晶表示素子の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の製造方法においては、セル内を13.3Pa以下の真空度とし、前記セルと前記重合性組成物とを70℃以上に加温して、真空注入することが好ましい。
【0012】
また、前記重合性液晶組成物は強誘電性液晶または反強誘電性液晶であることが好ましく、強誘電相または反強誘電相を示す状態に配向させながら、または配向した後、紫外線を照射することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、前記液晶表示素子を用いて、フィールドシーケンシャル方式で駆動が行われる液晶表示装置を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板が備えられ、セルギャップが6μm以下とされ、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物とアシルフォスフィンオキサイド化合物とを含有する重合性液晶組成物が重合されてなることを特徴としている。
【0015】
セルは、ガラス、金属またはプラスチックフィルムなどの透明な一対の基板の内面上に、それぞれITO(インジウムにスズをドープした導電性酸化物)などの透明電極、ラビング処理をしたポリイミド膜やSiO斜方蒸着膜などの液晶配向膜を順次積層し、液晶配向膜が互いに対向するように配し、所定のセルギャップを実現するための粒状スペーサーを挟み、注入孔を除いた基板の周囲を封止剤により封じることにより形成される。液晶配向膜は、ラビング処理を施したものを使用する。または、所望の配向状態で光硬化することにより配向を安定化することもできるので、ラビング処理を施さなくてもよい。
セルギャップは0.7〜6μmであり、好ましくは4μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。セルの大きさは特に制限されないが、セルを構成する基板が対角10cm以上であることが好ましく、さらには対角13cm以上、特には対角16cm以上であることが好ましい。
また、本発明においては、上記基板のうち少なくとも一方は透明であり、その2枚の間に狭持される調光層を外界から視認できるようになっていればよい。但し、完全な透明性を必須とするものではなく、基板には、不透明な電極がその一部に配置されていてもよい。反射型液晶表示素子の構成の場合は、裏面側に反射電極または透明電極および反射膜を設ける。
【0016】
セルギャップが6μm以下の薄型のセル内に重合性液晶組成物を真空注入する際は、セル内の真空度は13.3Pa以下であることが好ましく、1.33Pa以下であることがさらに好ましい。また、真空注入時の温度は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。特に、真空度と温度の両方が上記条件を同時に満たしていることが好ましい。すなわち、13.3Pa以下、かつ、70℃以上で真空注入することが好ましく、1.33Pa以下、かつ、80℃以上で行うことが特に好ましい。この条件であれば、セルギャップ6μm以下および/または基板が対角10cm以上のセル内に重合性液晶組成物を均一に注入できる。
【0017】
このように、薄型のセル内に重合性液晶組成物を注入する際に、重合性液晶組成物は長時間の真空状態または高温状態に曝される。しかし、本発明の重合性液晶組成物は、重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド化合物を含有することにより、このような条件下においても重合特性が劣化しない。
【0018】
アシルフォスフィンオキサイド化合物は、少量の添加により重合性液晶組成物に優れた硬化性を与えることができる。アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、重合性液晶組成物の硬化物の低臭気を達成する目的、及び真空注入等の減圧加熱プロセスに曝された時の低揮発性を確保する目的から、分子量280以上、さらに好ましくは分子量300以上、特に好ましくは分子量320以上の化合物を選択することが好ましい。このような化合物としては、BASF社のルシリンTPO、ルシリン−TPO−L、チバスペシャリティケミカルズ社のイルガキュア819を挙げることができる。このような重合開始剤の好ましい濃度は、重合性液晶組成物中に含有される重合性官能基を有する液晶性化合物の質量総和に対して0.05〜2質量%である。0.07〜1質量%がさらに好ましく、0.1〜0.5質量%が特に好ましい。アシルフォスフィンオキサイド化合物の添加量が多過ぎると重合性液晶組成物の硬化物が黄色に着色してしまう傾向があり、添加量が少な過ぎると優れた硬化性を得られない傾向がある。
【0019】
アシルフォスフィンオキサイド化合物を重合開始剤として用いると、少量の添加により優れた硬化性が得られるが、重合性液晶組成物として保存性の向上や望ましくない熱重合の誘起を抑制するため、重合禁止剤を添加することが好ましい。このような化合物としては、ヒドロキノンや第3ブチルカテコール等のフェノール類、チオフェノール類、ニトロソ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類等が挙げられるが、ニトロソ化合物類が特に好ましい。
ニトロソ化合物は、望ましくない熱重合の抑制に特に有効であり、本発明の重合性液晶組成物に含有されるアシルフォスフィンオキサイド化合物と併用し、各々の濃度を調節することによって、製造プロセスに適合した適切な硬化性が得られることが、発明者等の検討によって明らかとなっている。
ニトロソ化合物としては、重合性液晶組成物の硬化物の低臭気を達成する目的、及び真空注入等の減圧加熱プロセスに曝された時の低揮発性を確保する目的から、分子量280以上、さらに好ましくは分子量300以上、特に好ましくは分子量320以上の化合物を選択することが好ましい。このような化合物としては、和光純薬のQ−1301がある。このような重合禁止剤の濃度は、重合性液晶組成物中に含有される重合性材料の質量総和に対して50〜1,000ppmが好ましく、70〜700ppmがさらに好ましく、100〜500ppmが特に好ましい。
【0020】
このような重合禁止剤を添加する場合、重合性液晶組成物への添加の順序が重要である。重合性官能基を有する液晶性化合物を含有する重合性材料に対して、まず重合禁止剤を添加し溶解させたうえ、さらに重合開始剤を添加すると、安定な品質の重合性液晶組成物を調製できる。また、重合開始剤や重合禁止剤が重合性官能基を有する液晶性化合物を含有する重合性材料と、均一に相溶しにくい時には、重合開始剤、重合禁止剤、重合性材料に共通する良溶媒を添加して各々の成分を相溶させ、その後、溶媒のみを自然乾燥または減圧留去、減圧加熱留去等により溶媒を留去することにより、安定な品質の重合性液晶組成物を調製できる。
【0021】
本発明の重合性液晶組成物に含有される重合性官能基を有する液晶性化合物は、組成物全体として液晶性を示していれば、化合物自体が液晶性を示しても、また示さなくてもよい。重合性官能基としては、ラジカル重合性のアクリレート基やメタクリレート基、エポキシ基、ビニルエーテル基から選ばれる官能基が好ましい。また、一つの分子内に有する重合性官能基の数は特に制限がなく、官能基も複数の種類を併用してもよい。また、重合性官能基を有する液晶性化合物の化学構造も特に制限はなく、この技術分野で重合性の液晶性化合物として使用できるものであればよい。例えば、特公平8−3586号公報に開示されているような式(1)
【化1】
Figure 0005078203
(式中、mは1〜15の整数を表す)で表されるような液晶性ジアクリレートや類縁化合物(2)〜(4)
【化2】
Figure 0005078203
(式中、mは1〜12の整数を表す)で表されるような液晶性ジアクリレートを含有していてもよい。
【0022】
また、USP5567349号公報に開示されている化合物(5)
【化3】
Figure 0005078203
(式中、mは4〜12の整数を、pは2〜12の整数を表す)で表される液晶性テトラアクリレート、
また、USP5593617号公報に開示されている化合物(6)
【化4】
Figure 0005078203
(式中、mは4〜11の整数を表す)で表される液晶性トリアクリレート、
また、特開平10−310612号公報に開示されている化合物(7)
【化5】
Figure 0005078203
で表される液晶性ジアクリレート等の液晶骨格を2つ以上有するような重合性官能基を有する液晶性化合物を含有していてもよい。
【0023】
また、一つの重合性官能基を有する液晶性化合物としては一般式(I)
【化6】
Figure 0005078203
(式中、X1 は水素原子又はメチル基を表し、nは0または1の整数を表し、6員環A、環B、環Cはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つまたは隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表し、これらの6員環A、環B、環Cは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシル基、アルカノイル基、又はシアノ基、ハロゲン原子で一つ以上置換されていてもよく、Y1 、Y2 はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO- 、-OCO- 、-C≡C-、-CH=CH- 、-CF=CF- 、-(CH2)4-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CH-CH2CH2-、-CH2CH2-CH=CH-、-CH=CH-COO- 、-OCO-CH=CH- を表し、Y3 は単結合、-O- 、-OCO- 、-COO- 、-CH=CH-COO- を表し、Z1 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表す。)で表される化合物を含有することは好ましい。
【0024】
一般式(I)で表されるような液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物は、二つ以上の重合性官能基を有する液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物より粘度が低く、また液晶下限温度を低くすることができる傾向がある。一般式(I)で表される化合物の具体的な例として化合物(8)〜(32)を示す。しかしながら、本発明の液晶組成物において使用することができる化合物はこれらに限定されるものではない。(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、数字は相転移温度を表し、Cは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相をそれぞれ表す。)
【0025】
【化7】
Figure 0005078203
【化8】
Figure 0005078203
【化9】
Figure 0005078203
【0026】
このような化合物の中でも、化合物(11)、(19)、(20)のトラン化合物は、複屈折率が大きく、かつ液晶性を示す温度が50〜60℃付近と低く有用な化合物である。また、化合物(8)のフェニルシクロヘキサン化合物は、液晶性を示す温度が30℃付近と非常に低いため、特に有用である。化合物(11)と化合物(8)を等量混合した場合には、25℃においてネマチック相を示すため、特に有用である。
【0027】
本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶性化合物が含有されていてもよい。重合性官能基を有していない液晶性化合物としては、一般式(II)、(III)
【化10】
Figure 0005078203
(式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立的にフッ素置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基またはアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基、または炭素原子数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、環D、環E、環F、環G及び環Hはそれぞれ独立的にフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、3−メチル−1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、フルオレン−2,7−ジイル基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基またはピリダジン−2,5−ジイル基を表し、l2 、m2 はそれぞれ独立的に0、1または2を表し、Z2 、Z3 、Z4 、Z5 はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O- 、-COO- 、-OCO- 、-C=C- または-C≡C-を表し、X3 はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、水素原子、3,3,3−トリフルオロエトキシ基、R' または−OR' を表し、R' は炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基または、2〜12の直鎖状アルケニル基を表し、X2 、X4 は水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。)から選ばれる化合物を1種または2種以上を含有するのが好ましい。
【0028】
このような化合物の中において、R1 、R2 、R3 としては、それぞれ独立的にフッ素置換されていてもよく、不斉炭素原子を有していてもよい炭素原子数2〜8のアルキル基またはアルコキシル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基、または炭素原子数1〜5のアルコキシル基で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基が好ましく、環D、環E、環F、環G及び環Hとしては、それぞれ独立的にフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレン基または、トランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、Z2 、Z3 、Z4 、Z5 としてはそれぞれ独立的に単結合、-COO- 、-OCO- 、-C=C- または-C≡C-が好ましく、単結合、-COO- 、-OCO- がさらに好ましい。また、X2 、X3 、X4 のうち2つがフッ素原子であり、他の1つが水素原子であることや、X3 がシアノ基であることが好ましい。
【0029】
本発明の重合性液晶組成物中の重合性官能基を有していない液晶性化合物の含有量は、5〜99質量%が好ましく、40〜98質量%がさらに好ましく、80〜98質量%が特に好ましい。重合性官能基を有していない液晶性化合物は特に制限がなく、この技術分野において液晶性化合物と認識されるものであれば使用することができるが、極性基としてシアノ基やフッ素原子等のハロゲン原子を有する液晶性化合物は、電界の印加によって配向を制御しやすいので、このような化合物を用いることが好ましい。特に極性基としてフッ素原子等のハロゲン原子のみを有するように重合性液晶組成物を設計すると、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等の能動素子による駆動に適した高い保持率を示す重合性液晶組成物が得られるので特に好ましい。
【0030】
さらに、本発明の重合性液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する高分子を得ることを目的として、キラル化合物を添加することもできる。そのような目的で使用するキラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要はなく、また重合性官能基を有していても、有していなくてもよい。また、その螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択できる。そのようなキラル化合物としては、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2-メチルブチル基を有するビーディーエイチ社(BDH社;イギリス国)製の「CB−15」、「C−15」、メルク社(ドイツ国)製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」;キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。キラル化合物を添加する場合の好ましい添加量は、液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量が好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
【0031】
本発明の重合性液晶組成物は、液晶性を示す温度範囲が下記条件を満たすことが好ましい。まず、液晶下限温度が35℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることが特に好ましい。液晶下限温度が25℃以下である場合、室温において液晶状態を安定に得ることができるため、配向処理等の製造プロセスにおいても特に加熱する必要がなくなり、望ましくない熱重合を回避するのが容易になる。液晶上限温度は、30℃以上であるのが好ましく、35℃以上がさらに好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、本発明の重合性液晶組成物を等方性液体相の状態で、液晶セルへの注入や基板への塗布等を行う必要がある場合に、熱重合の誘起を避けるため、液晶上限温度を120℃以下にするのが好ましく、80℃以下がさらに好ましく、60℃以下が特に好ましい。
また、本発明の重合性液晶組成物の複屈折率は、0.04〜0.45の範囲が好ましく、0.05〜0.35の範囲がさらに好ましく、0.08〜0.24の範囲が特に好ましい。
【0032】
重合性液晶組成物に望まれる液晶相の種類は用途によって異なるが、ネマチック相、キラルネマチック相、スメクチックA相、スメクチックC相、キラルスメクチックC相、キラルスメクチックCA 相を示すことが好ましく、キラルスメクチックC相(強誘電相)、キラルスメクチックCA 相(反強誘電相)がさらに好ましい。
【0033】
重合性液晶組成物が強誘電相または反強誘電相を示す場合は、重合性官能基を有する液晶性化合物または重合性官能基を有していない液晶性化合物のうちいずれか一方、特に重合性官能基を有していない液晶性化合物が強誘電性液晶または反強誘電性液晶であることが好ましい。
このとき、本発明の重合性液晶組成物中に含有される強誘電性液晶または反強誘電性液晶は、重合性液晶組成物の40〜98質量%であることが好ましく、80〜98質量%であることがさらに好ましい。
重合性液晶組成物が強誘電性液晶または反強誘電性液晶である場合は、強誘電相または反強誘電相を示す状態で紫外線を照射することにより、高速応答性を有し、コントラスト比が高く、中間調表示が可能な液晶表示素子が得られる。
このとき、液晶表示素子のセルギャップは2μm以下であることが好ましく、1.7μm以下がさらに好ましい。セルギャップを小さくすることで、強誘電相または反強誘電相の配向状態を安定化させることができる。
また、本発明の重合性液晶組成物の25℃における粘度は、400〜760mPa・sの範囲においても問題ない。
次に、本発明の液晶表示素子の製造方法について説明する。
【0034】
本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板より形成されるセルギャップが6μm以下のセル内に、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物とアシルフォスフィンオキサイド化合物とを含有する重合性液晶組成物を、セル内に真空注入し、紫外線を照射することを特徴としている。必要な場合は、重合性液晶組成物はさらに重合性官能基を有していない液晶性化合物を含んでいてもよい。以下、本発明の液晶表示素子の製造方法のフローチャートを図1に示し、フローチャートに沿って各工程を詳しく説明する。
【0035】
はじめに、セルを作製し、このセルに注入するための重合性液晶組成物を調製する。セルの作製方法は上述した通りである。また、本発明の製造方法において使用する重合性液晶組成物は、前述の重合性液晶組成物が好適である。
次に、真空注入装置内に、セルと容器に収容した重合性液晶組成物を置き、以下のようにして、重合性液晶組成物を空セル内に注入する。
重合性液晶組成物は、真空注入する前に脱気するのが好ましい。脱気は、重合性液晶組成物が等方性液体相となる温度に加温し、真空状態で行うのが好ましい。この際、真空度は13.3Pa以下であることが好ましい。脱気を長時間行うと重合性が損われる場合があるので、3時間以内とすることが好ましく、30分以内とすることがさらに好ましい。
【0036】
脱気した後、容器に収容した重合性液晶組成物とセルとを、真空下、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上に昇温し、重合性液晶組成物に空セルの注入孔を浸す。その後常圧に戻し、注入完了後、セルを室温まで徐冷する。このように真空注入法を用いて、セルギャップが6μm以下のセル内に注入しようとする場合、セル内を13.3Pa以下の真空度とすることが好ましく、さらには1.33Pa以下の真空度とすることが好ましい。真空度が足りないと、セル全体に重合性液晶組成物が入らない欠陥が発生する場合がある。
【0037】
特に、重合性液晶組成物が強誘電性液晶または反強誘電性液晶である場合は粘度が高いため、セルギャップが6μm以下および/または基板が対角10cm以上のセルに均一に注入するのは困難であるので、セル内を13.3Pa以下の真空度とし、セルと重合性液晶組成物とを70℃以上に加温して、真空注入するのが好ましく、特には、セル内を1.33Pa以下とし、セルと重合性液晶組成物とを80℃以上に加温して、真空注入するのが好ましい。
【0038】
重合性液晶組成物を注入した後は、注入孔を封止する。注入孔を封止する方法は特に制限されないが、例えば以下のようにして行える。まず、基板間に狭持したセルを好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上に加熱する(加熱工程)。安定後、基板の両面から加圧し(加圧工程)、封止材を注入孔に塗布した後(注入孔封止工程)、加圧を緩める(減圧工程)ことにより封止材を注入孔に注入し、硬化させて封止する方法が挙げられる。封止材は、紫外線硬化性樹脂または二液性硬化封止材が使用できるが、紫外線照射による重合性液晶組成物の硬化を避けるためには、二液性硬化封止材を使用するのが好ましい。
【0039】
このようにして製造された液晶表示素子は、セル中の液晶を所望の配向に整えながらまたは整えた後に、紫外線を照射することが好ましい。
配向を整える前に、均一な配向を実現しやすくするため、液晶表示素子を重合性液晶組成物が等方性液体相となる温度に昇温し、その温度で約10分〜2時間保持した後、徐冷することが好ましい。
液晶表示素子を所望の配向を示す温度まで冷却した後、紫外線を照射し光重合させることにより、配向に沿った高分子鎖を形成させ、液晶の配向を安定化することができる。
重合性液晶組成物がネマチック相またはキラルネマチック相である場合、広視野角や双安定性が良好な表示装置を実現できる。
【0040】
また、重合性液晶組成物が強誘電性液晶または反強誘電性液晶である場合には、強誘電相または反強誘電相を示す状態に配向させながら、または配向した後に、紫外線照射により、対角サイズの大きなセルを用いて、安定で均一な配向を実現するこことが困難であった問題が解消される。
紫外線を照射する際は、直流電圧を印加して配向を整えることが好ましい。直流電圧を印加して配向を整えた後は、直流電圧を印加した状態で紫外線を照射してもよいが、重合性液晶組成物がメモリー性を有する場合には、直流電圧の印加を切った状態で紫外線を照射してもよい。
【0041】
例えば、重合性液晶組成物が強誘電性液晶である場合には、強誘電相を示す温度で直流電圧を印加することにより、重合性官能基を有する液晶性化合物の骨格の配向方向を強誘電相の双安定状態のうち、どちらか一方の配向と一致させることができ、この状態で紫外線を照射して光硬化させれば、駆動電圧を印加していない状態の強誘電相の配向方向は、紫外線照射時の強誘電性液晶の配向方向とほぼ一致する。これは硬化物の液晶骨格の配向安定化効果によるものと考えられる。このとき、セルギャップは2μm以下とすることが好ましく、1.7μm以下がさらに好ましい。このようにして得られる高分子安定型強誘電性液晶表示素子は、駆動電圧を印加することにより、双安定状態の一方の配向方向からもう一方の配向方向まで連続的に制御できるので、中間調表示を達成できる。
このとき、紫外線の照射強度は、1〜300mW/cm2 の範囲が好ましく、1〜3mW/cm2 の範囲がさらに好ましい。
【0042】
また、重合性液晶組成物として反強誘電性液晶を用いる場合には、反強誘電相を示す温度で電圧無印加状態で紫外線を照射して光硬化させる。これにより3状態スイッチングをV字型スイッチングに変えることができ、中間調表示ができるようになる。
【0043】
上述のようにして得られる高分子安定型強誘電性液晶表示素子または単安定型強誘電性液晶表示素子は、スタティック型のフルドット、または非フルドット表示素子において、同一表示単位で時間と共に異なる色を発色させるフィールドシーケンシャル方式で駆動を行う液晶表示装置に好適に使用される。
この方式の液晶表示装置は、照明手段が複数の発光色を持つ光源で、CCTあるいはLEDからなる。上記光源を独立に制御し、表示部と同期させて点灯することで部分的に任意の着色を行う。
【0044】
この方式の液晶表示装置においては、照明手段が複数の発光色を持つ光源を独立に制御でき、かつ、各光源の点滅を1フレームとしてそれを1秒間に50フレーム以上切り替えられるものであること、および照明手段の光源の切り替えと駆動手段とが同期されていることが重要である。そして、CCTまたはLED等からなるR、G、Bなどの複数の単色光源を有し、高速に切り替えられる照明手段を設け、表示部と同期させて点灯させることにより部分的に任意の着色を行うことができる。
【0045】
照明手段の光源の切り替えと駆動手段との同期は次のように行う。フリッカーを感じない表示とするために、例えば1秒間に60フレーム程度の信号を書き込むことを行う。この場合、1回のフレーム時間は16.6msとなる。R、G、Bの3色バックライトをこの時間内に順次点灯させるとすると、1色あたりの点灯時間は約5.5msとなる。ここで、高分子安定型強誘電性液晶や単安定型強誘電性液晶や双安定型強誘電性液晶の場合の立ち上がり時間は200μs、立ち下がり時間は300μsである。
したがって、液晶の立ち上げと同時にRのバックライトを5.5ms点灯させ、液晶の立ち下げと同時にRのバックライトを消灯する。順次、G、Bを同様に点灯または非点灯させればよい。これらの単色画像は、肉眼の残像現象によって混色されるので、高分子安定型強誘電性液晶や単安定型強誘電性液晶の場合、各色毎に電圧制御にて液晶の中間調表示を行えば、さらなる多色化も可能となる。
【0046】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(例1)高分子安定型強誘電性液晶表示素子の作製
はじめに、空セルとそれに注入する重合性液晶組成物(B)を調製した。
<重合性液晶組成物(B)の調製>
式(8)で表される化合物50質量部
【化11】
Figure 0005078203
および式(11)で表される化合物50質量部
【化12】
Figure 0005078203
からなる組成物を調製した。この組成物は、室温(25℃)でネマチック相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は46.1℃であった。また、589nmで測定したne (異常光の屈折率)は1.662で、no (常光の屈折率)は1.510、複屈折率は0.152であった。
【0047】
この組成物に対し、重合開始剤として式(33)で表されるアシルフォスフィンオキサイド化合物である2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ルシリン−TPO、BASF社)の0.1質量%
【化13】
Figure 0005078203
および重合禁止剤として式(34)で表されるニトロソ化合物であるアルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン(商品名:Q−1301、和光純薬製)の300ppm
【化14】
Figure 0005078203
を添加して、重合性液晶組成物(A)を調製した。
この重合性液晶組成物(A)の2質量%に、重合性官能基を有していない強誘電性液晶化合物(商品名:FELIX M4851/100、クラリアント社製)の98質量%を添加して重合性液晶組成物(B)を調製した。この重合性液晶組成物(B)の25℃における粘度は、460mPa・sであった。
<空セルの作製>
パターニングしたITO電極を有する対角13cmの2枚のガラス基板に、それぞれITO側に配向膜(商品名:RN1286、日産化学製)を塗布し膜厚を約150Åとした。配向膜には弱いラビングを実施し、ギャップスペーサーは1.7μmのシリカ熱固着ビーズを使用し、2枚の基板をラビング方向がパラレル配向となるように張り合わせ、注入孔を除く外周部をシールして、セルギャップ1.7μmの空セルを作製した。
【0048】
次に、調製した重合性液晶組成物(B)を、以下のようにして空セルに真空注入した。
まず、真空注入装置内に、容器に収容した重合性液晶組成物(B)と空セルを置いた。
次に、重合性液晶組成物(B)を脱気した。加温温度は重合性液晶組成物(B)が等方性液体相となる80℃とし、約30分間の真空状態とした。その後、重合性液晶組成物(B)の温度を室温に戻し、空セルを真空度1.33Paになるまで脱気した。脱気に要した時間は約2時間であった。
脱気後、重合性液晶組成物(B)と空セルを80℃に加熱し、安定後、空セルの注入孔を重合性液晶組成物(B)に浸し、常圧に戻して注入を開始させた。注入時間は約2時間であった。
注入後、重合性液晶組成物(B)を基板間に狭持したセルを80℃に加熱し、安定後、両面より約1.2kg/cm2 で加圧して約40分間静置した。その後、注入孔に2液性硬化封止剤を塗布し、塗布後に加圧条件を1.1kg/cm2 に減圧して10分間静置して硬化させた。その後、室温まで戻した後、セルを洗浄した。この高温加圧封止により対角サイズの大きなセルであっても、そのセルギャップが均一に保たれた。
【0049】
次に、配向を安定化するために、得られたセルを再度80℃まで上げて1時間保持した後、徐冷した。室温まで戻した後、セルの全面に直流電圧15Vを印加した状態で、ガラス基板透過後の強度が2.47mW/cm2 となる条件で中心波長365nmの紫外線を約60秒間照射し、重合性液晶組成物を光硬化させ、高分子安定型強誘電性液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶層は強誘電相を示し、欠陥がない均一な一軸配向をしていることが認められた。
この液晶表示素子に一対の偏光板をクロスニコル状態で配置し、電圧が無印加状態で最も暗状態となるように配置した。電圧を印加した時の光学的な変化を図2に示す。また、図3にはコントラスト比を、図4には電圧を変化させた時の応答速度を示す。
図2〜4より、得られた液晶表示素子は、中間調表示が可能で、コントラスト比が高く、かつ、高速応答表示ができることが理解できる。
【0050】
(例2)高分子安定型双安定ツイストネマチック液晶表示素子の作製
はじめに、空セルとそれに注入する重合性液晶組成物(C)を調製した。
<重合性液晶組成物(C)の調製>
例1で調製した重合性液晶組成物(A)の4.3質量%に、重合性官能基を持たない室温ネマチック液晶化合物ZLI−5049−100(メルク社製)の94質量%とキラル剤S−811(メルク社製)の1.7%を添加して重合性液晶組成物(C)を調製した。このときのピッチは約5μmとなった。この重合性液晶組成物(C)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。
【0051】
<空セルの作製>
パターニングされたITO電極を有する対角20cmの2枚のガラス基板に、それぞれITO側に配向膜(商品名:SE−3510、日産化学製)を塗布し膜厚を約300Åとした。配向膜にはラビング処理を施し、プレチルト角約4°を実現した。ギャップスペーサーは3.5μmのシリカ熱固着ビーズを使用し、2枚の基板をラビング方向がアンチパラレル配向となるように張り合わせ、注入孔を除く外周部をシールして、セルギャップ3.5μmの空セルを作製した。
【0052】
次に、調製した重合性液晶組成物(C)を空セルに真空注入した。
まず、真空注入装置内に容器を収容した重合性液晶組成物(B)と空セルを置いた。
次に、重合性液晶組成物(C)を脱気した。加温温度は重合性液晶組成物(C)が等方性液体相となる80℃とし、約30分間の真空状態とした。その後、重合性液晶組成物(C)の温度を室温に戻し、空セルを真空度1.33Paになるまで脱気した。脱気に要した時間は約2時間であった。
脱気後、空セルの注入孔を重合性液晶組成物(C)に浸し、常圧に戻して注入を開始させた。注入時間は約30分間であった。
注入後、重合性液晶組成物(C)を狭持したセルを、両面より約0.3kg/cm2 で加圧して約15分間静置した。静置後、注入孔に2液性硬化封止剤を塗布し、塗布後に加圧条件を0.25kg/cm2 に減圧して8時間静置して硬化させた。その後、セルを洗浄した。
次に、配向を安定化するために、得られたセルを再度80℃まで加温し、10分間保持した後、徐冷した。室温まで戻した後、セルの全面に20Vの交流電場を印加した状態で、画素部をマスクし、中心波長360nmで2mW/cm2 の強度の紫外線を5分間、ほぼ画素間の領域に照射した。これによりメモリー状態が長時間安定した高分子安定型双安定ツイストネマチック液晶表示素子を作製できた。
【0053】
(例3)
例2の重合開始剤の代わりに、式(35)で表される2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュア−651、チバスペシャリティケミカルズ社)
【化15】
Figure 0005078203
重合禁止剤の代わりに、式(36)で表される4−メトキシフェノール
【化16】
Figure 0005078203
を用いた場合には、途中で望ましくない熱重合が誘起されてしまい、所望の液晶表示素子を作製することができなかった。
したがって、本発明の重合性液晶組成物は、重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド化合物、重合禁止剤としてニトロソ化合物を含有することにより、加熱減圧条件に対して耐性があることがわかる。
【0054】
(例4)
次に、例1で作製した高分子安定型強誘電性液晶表示素子をスタティック駆動させ、裏面にレッドとシアンの発光が可能なCCTバックライトを設置し、1サブフレーム目でレッドの発光、2サブフレーム目でシアンの発光をさせるように同期させた。赤を表示したいセグメントには1サブフレーム目でオンとし、2サブフレーム目でオフとなるような駆動を行い、白色を表示したいセグメントには1サブフレーム、2サブフレームともオンとなるような駆動を行った結果、カラーフィルターがないにもかかわらず、赤と白の表示ができた。また、視角も広く良好な視認性を示した。
【0055】
上記と同じ液晶表示素子をスタティック駆動させ、裏面にR、G、Bの発光が可能なLEDバックライトを設置し、1サブフレーム目でR、2サブフレーム目でG、3サブフレーム目でBの発光をさせるように同期させた。赤を表示したいセグメントには1サブフレーム目でオンとし、2サブフレーム目と3サブフレーム目でオフとなるような駆動を行い、白色を表示したいセグメントには全サブフレームともオンとなるような駆動を行った結果、カラーフィルターがないにも関わらず、赤と白の表示ができた。また、視角も広く良好な視認性を示した。
【0056】
例1で作製した高分子安定型強誘電性液晶表示素子を、フィールドシーケンシャル方式で駆動を行う液晶表示装置のセグメントパターンの一例を図5に示す。
図5中、白い部分が表示部であり、孤立している所が独立した表示部を示す。黒い部分は非表示部であり、遮光を目的としてブラックマスク処理されている。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、セルギャップ6μm以下の薄型のセル内に重合性液晶組成物を均一に狭持させた液晶表示素子が得られる。また、本発明の液晶表示素子は、重合性組成物を注入した後に、所望の配向状態で紫外線を照射することにより、液晶材料の配向を安定化することができる。特に、重合性液晶組成物として強誘電性液晶または反強誘電性液晶を用いる場合には、高速応答性を有し、コントラスト比が高く、中間調表示を可能とした液晶表示素子が得られるので、特に高速応答性が要求されるフィールドシーケンシャル方式で駆動を行う液晶表示装置に好適に使用でき、OA機器のディスプレイ等のハイインフォメーション表示体や、広告板、案内板、装飾表示板等の公衆表示、またはテレビ等に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示装置の製造方法のフローチャートを示す図である。
【図2】 本発明の液晶表示素子に電圧を印加した時の光学的な変化を示す図である。
【図3】 本発明の液晶表示素子のコントラスト比を示す図である。
【図4】 本発明の液晶表示素子の電圧を変化させた時の応答速度を示す図である。
【図5】 本発明の液晶表示装置のセグメントパターンの一例を示す図である。

Claims (10)

  1. 少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板が備えられ、セルギャップが6μm以下とされ、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物と分子量280以上のアシルフォスフィンオキサイド化合物とを含有する重合性液晶組成物がセル内に真空注入せしめられ、紫外線照射によって重合性液晶組成物が重合されてなる液晶表示素子。
  2. 前記基板が対角10cm以上である請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 前記重合性官能基がアクリレート基、メタクリレート基、エポキシ基、およびビニルエーテル基から選ばれる少なくとも一つの官能基である請求項1または2に記載の液晶表示素子。
  4. 前記重合性液晶組成物が、さらに、重合性官能基を有していない液晶性化合物を含むものであり、該重合性官能基を有していない液晶性化合物が、前記重合性液晶組成物の40〜98質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素子。
  5. 前記重合性液晶組成物が、さらに、ニトロソ化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示素子。
  6. 前記重合性液晶組成物の25℃における粘度が、400〜760mPa・sである請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示素子。
  7. 少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板より形成されるセルギャップが6μm以下のセル内に、少なくとも1つの重合性官能基を有する液晶性化合物と分子量280以上のアシルフォスフィンオキサイド化合物とを含有する重合性液晶組成物を、真空注入し、紫外線を照射することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  8. セル内を13.3Pa以下の真空度とし、前記セルと前記重合性組成物とを70℃以上に加温して、真空注入することを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子の製造方法。
  9. 前記重合性液晶組成物が強誘電性液晶または反強誘電性液晶であって、強誘電相または反強誘電相を示す状態に配向させながら、または配向した後、紫外線を照射することを特徴とする請求項7または8に記載の液晶表示素子の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子を用いて、フィールドシーケンシャル方式で駆動が行われる液晶表示装置。
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