JP5077752B2 - マグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁場と電界が直交するマグネトロン放電を利用して基板表面に薄膜を形成するマグネトロンスパッタリング装置に関する。
半導体ICや液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の電子部品の製造プロセスにおいては、基板表面に薄膜を形成するために、薄膜の堆積速度が速くしかも基板への電子の衝突が起こらないので低温で成膜が可能となるという利点を有するマグネトロンスパッタリング装置が使用されている。マグネトロンスパッタリング装置によれば、真空チャンバー内にアノード側の基板と相対するように配置したターゲットを例えば所定の電源に接続してカソードとし、13.33〜0.13Paの不活性ガス(例えばArガス)を導入した後電極間に電圧を印加してグロー放電を起こして不活性ガスをイオン化し、ターゲットから放出された二次電子を磁界と直交する面内で捕獲し、ターゲット表面でサイクロイド運動を行わせてガス分子と衝突させることによりイオン化を促進し、ターゲット材が中性の原子として基板上に凝縮して堆積することにより、薄膜の形成が行われる。
すなわちマグネトロンスパッタリング装置においては、プラズマ状態に励起された不活性ガスが、ターゲットの背面に配置された磁気回路が発生する磁束線の影響により、ターゲット表面に閉じこめられたような形で存在し、ターゲット表面にてグロー放電が行われ、ターゲット表面の分子をたたき出すことで、スッパタリングが行われる。
特に液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の製造においては、基板を一枚ずつ処理する枚葉式スパッタリング装置が用いられている。また画面の大型化やディスプレイの製造コスト低減の要求により、その基板サイズが大型化(大面積)することに伴い、スパッタリング装置を含む製造装置も大型化してきている。しかし、製造装置が大型化するとその製造コストが高騰するので、基板サイズの大型化によるコストメリットがなくなってしまう。また、スパッタリング装置の性能面でも、基板サイズに比例して薄膜の均一性の向上が必要とされる。
プラズマ状態の不活性ガスを閉じこめるための閉じた空間(トンネル状の空間)をつくりだすためには、通常、漏洩磁場の方向成分としては、水平成分(10mT以上)が大きく寄与している。そこでマグネトロンスパッタリング装置における通常の磁気回路では、この領域をつくりだす(平面からみてレーストラック状の漏洩磁場を発生させる)ために、ターゲット表面に平行に、高さ方向に磁化したブロック磁石からなる中央磁石と、中央磁石を取り囲むようにそれと逆方向に磁化したブロック磁石と円弧状磁石からなる外周磁石とをヨークの表面に固設した構造を有する磁石ユニットをターゲットの背面側に備えている。
すなわち通常の磁気回路では、中央磁石が発生する主たる磁束の方向は、磁化方向と平行な方向であり、ターゲットに対して垂直な方向となっているので、外周磁石の極性を中央磁石と変えることにより、ターゲット表面に水平方向の磁束の流れを作りだしている。しかし、成膜に必要な漏洩磁場の方向に対し、それと垂直な方向に磁化方向をもつ永久磁石を使用しているため、磁気抵抗が大きくなり、永久磁石の効率を低下させている。そのため、磁気回路が大型化せざるを得ない。
マグネトロンスパッタリング装置においては、成膜の際にターゲットの表面に必然的にエロージョンが発生し、特に上記の磁気回路構造によれば、中央磁石の上方に形成される磁場の水平方向の成分(磁束密度)が低い(0.1T以下)ので、ターゲット表面の中央磁石に対向する領域のエロージョン進行が遅くなり(局部的にスパッタされる)、基板上に形成される薄膜の膜厚が不均一になるという欠点がある。そこで、外周磁石のコーナー部形状を馬蹄形にして、ターゲット上の磁力線の磁束密度を各個所で均一になるようにした磁気回路構造が提案されている(特許文献1参照)。
またレーストラック状プラズマを発生させる磁石移動型マグネトロンスパッタリング装置により均一な膜質の分布を得るために、ターゲット表面磁場のうち、マグネット長辺方向端部における垂直磁場の最大値を、マグネット短辺方向の垂直磁場の最大値の0.8倍以下にすることが提案されている(特許文献2参照)。
さらに、マグネトロンスパッタリング装置においては、生産性を向上するために、例えば、長さ方向に着磁された長四角状の第1の永久磁石の両側に磁極の向きを同じにして、第2及び第3の永久磁石を並置し、これらの永久磁石の磁極端面を揃え、さらに第1の永久磁石の磁極端面を囲みつつ第2及び第3の永久磁石の磁極端面を磁気的に短絡させるヨークを第2及び第3の永久磁石の磁極端に取付けた磁気回路装置の両面で成膜を行うことが提案されている(特許文献3参照)。
特開平7−34244号公報(第3頁、図1) 特開平9−310176号公報(第3〜4頁、図1、図2) 特公平2−52842号公報(第1〜2頁、図3)
特許文献1及び2に記載されているような従来の磁気回路構造においても、永久磁石の漏洩磁場発生側の磁極面上に強磁性体(ポールピース)を配置すれば、磁場の均一性を向上させることは可能であるが、ポールピースの設置スペースが取れないので、実用に供し得ないという難点がある。そこで磁場の均一性を確保するために、永久磁石単体の磁気特性のばらつきを低減することが考えられるが、大型のマグネトロンスパッタリング装置に使用する磁気回路において、全ての永久磁石を一体品で形成することは困難であり、適当な大きさに分割されたものを多数組み合わせて使用することになる。しかし所定の磁場強度を確保するために、工業生産上、Nd-Fe−B系希土類焼結磁石のような磁気特性の大なる永久磁石を使用することになる。ただこの希土類焼結磁石は製造工程における製造条件の微妙な違いにより磁気特性のばらつきを生じやすいため、多数の永久磁石の磁気特性を全て測定し、適正な永久磁石を選別することになるため、永久磁石の製造歩留まりが低下し、磁気回路の製造コストの上昇を招来することになる。
また特許文献1及び2に記載された構成により、膜厚分布の均一性は向上するが、中央部の永久磁石の磁極と逆極性の磁極をもつ永久磁石をその外側に配置されており、これらの永久磁石の磁化方向は、プラズマ状態の不活性ガスを閉じこめる空間をつくり出すための磁場を形成するために必要な磁束密度の成分方向に対して垂直な方向となっている。そのため、閉じこめに必要な磁場を作り出すために大量の永久磁石を必要とする。しかも磁路となるヨーク(強磁性体)が永久磁石の磁極面の一方にのみ配置されているので、永久磁石から発生する磁束のかなりの部分が磁気回路の外部に漏洩してしまい、発生磁束の利用効率が低下する。そこで発生磁束の利用効率を高めるために、ヨークの表面に大量の永久磁石を設置する必要がある。したがって磁気回路の全重量に占める永久磁石の比率が高いため、磁気回路の重量が大となり、またその製造コストも増大するといった問題がある。
特許文献3に記載された磁気回路構造では、3種類の永久磁石と一対のヨークを組み合わせた複雑な構造となり、製造コストが増大するとともに、狭い範囲にしか成膜できないので、実用に供し得ないという問題がある。
従って本発明の目的は、従来よりも効率的に不活性ガスを閉じこめる領域を閉じた空間とするための磁場をより均一に作り出すことが可能で、さらに薄膜の生産性が向上し、装置の製造コストの高騰が防止されるマグトロンスパッタリング装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明のマグネトロンスパッタリング装置は、真空容器と、その内部に所定間隔をおいて設置された一対のターゲットと、前記各ターゲットの表面に沿ってトンネル状の漏洩磁場を発生させる磁石ユニットと、前記磁場と直交する方向に電界を発生させる電界発生手段と、前記磁場と前記電界により発生したレーストラック状のプラズマにより薄膜が形成される一対の基板とを備え、前記磁石ユニットは、直線部とその両端部のコーナー部を有し、少なくとも直線部は、強磁性体からなる中央ヨークと、前記中央ヨークを取り囲む外周ヨークと、前記中央ヨークと前記外周ヨークとの間に設置され、前記中央ヨークに同極性の磁極が向くように磁化された永久磁石を有することを特徴とするものである。
本発明のマグネトロンスパッタリング装置において、前記真空容器の内部にそれから隔離されたチャンバーを設置し、前記チャンバーの内部に前記磁石ユニットを収容することが好ましい。
本発明のマグネトロンスパッタリング装置において、前記磁石ユニットは、漏洩磁場を発生する側の面に対向する非磁性体からなる保護カバーを有することが好ましい。
本発明のマグネトロンスパッタリング装置において、前記電界発生手段は、前記各ターゲットを支持するカソード電極と、前記各基板を介して前記カソード電極と対向するアノード電極と、前記各ターゲットに高周波電圧を印加する1個又は2個の電源を有することが好ましい。
本発明のマグネトロンスパッタリング装置によれば、永久磁石の使用量を低減することが可能となり、マグネトロンスパッタリング装置の製造コストに占める永久磁石の割合を大幅に低減することができるため、スパッタリング装置の大型化による製造コストの増大を抑制することができる。
本発明では、下記のような理由により永久磁石の使用量を低減することができる。
(1)必要な漏洩磁場と平行な方向の磁化方向をもつ永久磁石を左右対称に配置し、磁気回路を構成するので、磁気回路の磁気抵抗は大幅に低下し、永久磁石の磁束を有効に利用する(効率的に閉じこめに必要な磁場を発生する)ことができる。
(2)不活性ガスを閉じこめる領域を閉じた空間とするために必要な磁束密度成分と平行な方向に磁化方向をもつ永久磁石を使用するので、効率的に閉じこめに必要な磁場を発生することができる。
(3)レーストラック状の磁場を発生させる永久磁石の各磁極面にヨークが接触しており、永久磁石からの漏洩磁束が低減されるので、従来よりも少ない量の永久磁石で所定の磁場強度を得ることができる。
またマグネトロンスパッタリング装置の性能面でも、中央部と外周部に当接する永久磁石の磁極面に強磁性体ヨークを配置することで、永久磁石単体が持つ磁気特性のばらつきを強磁性体ヨークが吸収するため、強磁性体ヨークから発生する磁束をより均一にすることができるという効果が得られる。
特に、中央部と外周部に当接する永久磁石の磁極面に強磁性体からなるヨークを設けることで、マグネトロンスパッタリング装置のメンテナンス(ターゲットの交換作業など)を円滑に行えるという効果も得られる。
永久磁石はターゲット面に対し上下対称に配置されるため、通常は磁気回路の一方の面に配置されるターゲットを磁気回路の両面に配置することができ、磁気回路の上下の2面でマグネトロンスパッタリングを行うことが可能となり、これにより生産性を大幅に向上することができる。
以下本発明の詳細を添付図面により説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図、図2は本発明の第2の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図、図3は本発明の第3の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図、図4は本発明の第4の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図、図5は図1において磁石ユニットをA方向から見た矢視図、図6は図5のB−B線断面図、図7は磁石ユニットの他の例を示す断面図であり、図2〜7において、図1と同一の機能を有する部分は同一の参照符号で示す。
(第1の実施の形態)
図1に示すマグネトロンスパッタリング装置(以下単にスパッタリング装置という。)は、真空ポンプに連通する真空排気口と不活性ガスを導入するガス導入管(いずれも不図示)を有する真空容器2の内部(中央部)に、磁石ユニット3が設置され、磁石ユニット3の両側に一対のターゲット4a、4bが配置されるとともに、各ターゲットの表面に電界を発生させる電界発生手段5a(5b)が設置されている。また成膜時には、真空容器2の内部には、各ターゲットの表面に対向するように基板6a、6bが配置される。電界発生手段5a(5b)は、ターゲット4a(4b)の裏面に配置されたカソード電極51a(51b)と、基板6a(6b)のターゲット4a(4b)と反対側に配置されたアノード電極52a(52b)と、両電極に電圧を印加する高周波電源53a(53b)を含む。また磁石ユニット3は後述するように、中央ヨークと外周ヨークと永久磁石を組み合わせた磁気回路構造を有し、各ターゲット4a(4b)の表面にレーストラック状のトンネル状磁場を発生するように構成されている。
このスパッタリング装置によれば、真空容器2の内部に不活性ガス(例えば10〜10−6PaのArガス)を導入し、ターゲットに高周波電圧(例えば0.2〜10kV)を印加して、連続したトンネル状の磁場と直交する電界[例えば電力密度:(3〜30)×10−6W/m]により、ターゲット4a(4b)の表面近傍に高密度プラズマが生成されるので、基板6a(6b)の表面に薄膜が生成される。
図1において、2つの高周波電源53a、53bを使用することにより、ターゲット4aとターゲット4bとで成膜条件を変更することができる。また2つの高周波電源54a、54bを使用する代わりに、単一の高周波電源53(一点鎖線で示す。)を使用し、この電源にカソード電極51a(51b)とアノード電極52a(52b)を接続することができる。これにより、一方の電源を省略できるので、スパッタリング装置の低コスト化を図ることができる。
(第2の実施の形態)
図2に示すスパッタリング装置は、図1において、真空容器2の内部を一対の遮蔽板21a、21bで仕切り、これらの間に真空部から隔離されたチャンバー20を形成し、そこに磁石ユニット3を配置した構造を有する。この構造によれば、磁石ユニット3が真空室から隔離されるので、磁石ユニット3の耐久性を向上することができる。
(第3の実施の形態)
図3に示すスパッタリング装置は、図1において、磁石ユニット3をスライド機構7a、7bを介して真空容器1内に支持するとともに、単一の高周波電源53を使用し、この電源にカソード電極51a(51b)とアノード電極52a(52b)を接続した構造を有する。スライド機構7a(7b)は、磁石ユニット3の両端(上端面及び下端面)に固定されたリニアガイド71と真空容器2の内面に固定されたスライドベース72の間に滑り軸受73を介装したものである。このスライド機構7a(7b)を設けることにより、磁石ユニット3をターゲットの表面に沿って移動できるので、磁石ユニットを真空容器1の内部に容易に設置することができる。
(第4の実施の形態)
図4に示すスパッタリング装置は、図3において、真空容器2の内部を一対の遮蔽板21a、21bで仕切り、これらの間に真空部から隔離されたチャンバー20を形成し、そこに磁石ユニット3を配置した構造である。この構造によれば、スライド機構7a(7b)を設けることにより、磁石ユニット3をターゲットの表面に沿って移動できるので、磁石ユニットを真空容器1の内部に容易に設置することができることに加えて、磁石ユニット3が真空容器から隔離されるので、磁石ユニット3の損傷が防止される。
(磁石ユニット)
本発明のスパッタリング装置においては、例えば図5に示す磁石ユニット3を使用することができる。この磁石ユニット3は、ターゲットの裏面側に所定間隔をおいて配置されるもので、強磁性体(鉄鋼材料等)からなり、両端部が円弧状に形成された平板状の中央ヨーク31と、強磁性体(鉄鋼材料等)からなり、このヨークを取り囲むように設置された長円形状の外周ヨーク32を有する。図6も参照すると、直線部(長さLa)には、中央ヨーク31と外周ヨーク32との間に形成された長方形状の空間に、水平方向{ターゲットの表面に平行に磁化された複数のブロック状(直方体状)の直線部用永久磁石33が設置されている。各直線部用永久磁石33は、同極性の磁極、例えばN極が中央ヨーク2に向くように設置されている。
コーナー部(長さLb)には、中央ヨーク31と外周ヨーク32との間でかつ中央ヨーク31の両端部側に形成された円弧状の空間、水平方向(ターゲットの表面に平行)に磁化された複数のブロック状(直方体状)のコーナー部用永久磁石34が設置されている。各コーナー部用永久磁石34は、直線部用永久磁石33と同様に、同極性の磁極、例えばN極が中央ヨーク31に向くように放射状に設置されている。
上記の磁石ユニットによれば、各永久磁石のN極から流出した磁束線の殆どは中央ヨーク31を通過後、その上面から外周ヨーク32に流入し、各永久磁石のS極に流入するので、各永久磁石の上方に磁束が集中し、平面からみてレーストラック状に分布された磁場(電極近傍の電場と直交する)が形成される。すなわちプラズマ状態に励起された不活性ガスを閉じこめるために(電子密度の高いプラズマを発生するために)必要な磁場強度(磁束密度水平成分)が10mT以上となる領域は従来に比べ拡大し、ターゲットのエロージョン領域が拡大されるので、ターゲットの寿命が長くなり、しかも基板上に均一な厚さを有する成膜を実現することができる。上記の磁石ユニットは、幅Wが150mm以下の場合に、基板上により均一な厚さを有する成膜を実現することができる。幅Wは、実用上100mm以下が好ましい。なお、長さ方向の寸法は基板サイズに応じて設定すればよい。
また従来の磁石ユニット(磁気回路)に比べて、永久磁石の使用量(重量)を20〜30%程度低減できるので、磁石ユニットの製造コストを大幅に低減することができる。しかも永久磁石の使用量が低減されることにより、一つの磁気回路で10〜20%の軽量化を図ることができるので、多数の磁気回路を並設する形式のスパッタリング装置においては、その大幅な軽量化が可能となる。
スパッタリング装置の大型化に伴い、磁石ユニットも大型(長さ1m以上)となり、しかもその漏洩磁場の下でターゲットの交換作業などが行われるので、従来の磁石ユニットでは、工具が磁石ユニットの永久磁石に接触して永久磁石を破損が発生する不具合が不可避であった。一方、上記の磁石ユニットによれば、永久磁石の磁極面が強磁性体で覆われているので、工具が磁石ユニットに当接した場合でも永久磁石に直接接触することが防止され、もってメンテナンスが円滑に行える(作業効率の向上及び作業者の負担軽減)という利点がある。
上記の磁石ユニットでは、中央ヨーク31及び外周ヨーク32の厚さt1は直線部用永久磁石33の厚さt2以上となるように形成されかつ直線部用永久磁石33は中央ヨーク31及び外周ヨーク32から突出しないように設置されている。このような位置関係を満足することにより、永久磁石が工具などと直接接触する機会が大幅に減少するので、磁石ユニット3をマグネトロンスパッタ装置に設置する際の永久磁石の倒れや破損を防止することができる。なお、中央ヨーク31及び外周ヨーク32と直線部用永久磁石33との間に段差が無い場合でも、永久磁石が工具などと接触する機会が大幅に減少する。
上記の磁石ユニットを備えたスパッタリング装置においては、ターゲットの寿命をさらに延ばすためには、コーナー部でより均一なスパッタリングが行われることが必要なので、コーナー部用永久磁石34は直線部用永久磁石33よりも薄く形成することが好ましい。但しコーナー部用永久磁石34と直線部用永久磁石33との段差が大きすぎると、磁気回路全体の磁場の均一性が損なわれので、この段差は10mm以下であることが好ましい。
磁石ユニットは、図6に示す構造に限らず、図7に示すように、その両面(ターゲットと対向する側の面)に非磁性体からなる保護カバー36a、36bを設けた構造とすることが可能であり、これにより、磁石ユニット3の損傷を防止することができる。
本発明においては、磁石ユニットの直線部のみ図6又は図7に示す構造とし、コーナー部は他の構造とすることができる。すなわちコーナー部は曲率があるので、プラズマが不安定となり、均一な薄膜特性が得られ難いことがあるため、コーナー部を、例えば強磁性体からなる平板状のヨークと、その両面に設置され高さ方向に磁化された第1磁石と、その周囲に設けられ第1磁石と逆方向に磁化されかつそれと同一の高さを有する第2磁石を有する構造とすることができる。この構造でも、磁石ユニットの大部分(直線部)は図6(図7)に示す磁気回路構造を有するので、スパッタリング装置の低コスト化を達成することができる。
本発明において、各永久磁石は、公知の永久磁石材料で形成することができるが、高い磁束密度を得るために希土類磁石を使用することが好ましく、特に、R(RはNd等の希土類元素のうちの一種又は二種以上である。)、T(TはFe又はFe及びCoである。)及びBを必須成分とするR−T−B系異方性焼結磁石(耐食性の点から各種の表面処理を施したもの)を使用することがより好ましい。またこのR−T−B系異方性焼結磁石のうちでは、ターゲット表面の磁束密度を向上し、ターゲットのエロージョン領域を拡大して、ターゲットの寿命を長くし、しかも基板上に均一な厚さを有する成膜を実現するために、最大エネルギー積が40MGOe以上となる磁気特性を有するものがより好ましい。
本発明は、上記の構造に限定されず、種々の変更が可能である。例えばコーナー部の形状(平面からみて)は円弧状に限らず、多角形状(例えば台形状)とすることができる。
この他、一体型のターゲットを使用して大型の基板(例えば第4世代以降)に成膜する場合は、複数の磁気回路を所定間隔をおいて並列に設置し、各磁気回路を支持部材に固定し、各磁気回路を上記間隔と同程度に移動(揺動)させて(各磁気回路の上面とターゲット表面との距離を調節する機構を設けてもよい)、広面積(ターゲットの全域)のスパッタリングが行えるようにしてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係わるマグネトロンスパッタリング装置の断面図である。 図1における磁石ユニットをA方向から見た矢視図である。 図5のB−B線断面図である。 磁石ユニットの他の例を示す断面図である。
符号の説明
1:マグネトロンスパッタリング装置、2:真空容器、3:磁石ユニット、31:中央ヨーク、32:外周ヨーク、33:直線部用永久磁石、34:コーナー部用永久磁石、35:保護板、4a、4b:ターゲット、5、5a、5b:電界発生手段、51a、51b:カソード電極、52a、52b:アノード電極、53、53a、53b:電源、6a、6b:基板、7a、7b:スライド機構部、71:ベース、72:軸受、73:リニアガイド

Claims (4)

  1. 真空容器と、その内部に所定間隔をおいて設置された一対のターゲットと、前記一対のターゲット間に設置されるとともに前記各ターゲットの表面に沿ってトンネル状の漏洩磁場を発生させる磁石ユニットと、前記漏洩磁場と直交する方向に電界を発生させる電界発生手段と、前記漏洩磁場と前記電界により発生したレーストラック状のプラズマにより薄膜が形成される一対の基板とを備え、前記磁石ユニットは強磁性体からなる平板状の中央ヨークと、前記中央ヨークを取り囲む様に設置された強磁性体からなる長円形状の外周ヨークと、前記中央ヨークと前記外周ヨークとの間に形成された長方形状の空間に設置された複数の直線部用永久磁石と、前記中央ヨークと前記外周ヨークとの間で且つ中央ヨークの両端部側に形成された円弧状空間に設置された複数のコーナー部用永久磁石を有し、前記直線部用永久磁石と前記コーナー部用永久磁石は前記ターゲットの表面に平行に磁化されるとともに前記中央ヨークに同極性の磁極が向くように設置された磁気回路を構成し、前記各ターゲットの表面に対向する前記磁気回路の両面において前記漏洩磁場を発生し、さらに、前記中央ヨークと前記外周ヨークと前記直線部用永久磁石及び前記コーナー部用永久磁石の前記ターゲットの表面に垂直な方向の各厚さは、前記中央ヨーク及び前記外周ヨークが前記直線部用永久磁石及びコーナー部用永久磁石よりも厚く且つ前記コーナー部用永久磁石が前記直線部用永久磁石より薄いとともに、前記直線部用永久磁石及び前記コーナー部用磁石が前記中央ヨーク及び前記外周ヨークから突出しないように設置されていることを特徴とするマグネトロンスパッタリング装置。
  2. 前記真空容器の内部にそれから隔離されたチャンバーを設置し、前記チャンバーの内部に前記磁石ユニットを収容したことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  3. 前記磁石ユニットは、各ターゲットと対向する側の面に非磁性体からなる保護カバーを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  4. 前記電界発生手段は、前記各ターゲットを支持するカソード電極と、前記各基板を介して前記カソード電極と対向するアノード電極と、前記各ターゲットに高周波電圧を印加する1個又は2個の電源を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマグネトロンスパッタリング装置。
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