本発明者らは、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)を有し、かつ軽量で、取り扱い性に優れた反射型偏光板について鋭意検討した結果、分子量を制御した樹脂からなる樹脂層と、その樹脂層上に間隔をあけて形成された複数の線状金属層とによって反射型偏光板を構成することで、上記課題を一挙に解決することを究明した。すなわち、かかる反射型偏光板によれば、高輝度の液晶表示装置を提供することに成功したものである。
本発明の反射型偏光板は、以下の(手順1)〜(手順5)により定義されるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wが5重量%以下である樹脂層1と、該樹脂層上に間隔を開けて複数形成された線状金属層2からなることを特徴とする。
(手順1):樹脂層1の表層を削り取る(重量をW1(g)とする)。
(手順2):(手順1)で削り取った表層をクロロホルムに溶解させ、不溶物と溶液とに分離し、不溶物を乾燥させる(不溶物の重量をW2(g)とする)。
(手順3):(手順2)で得た溶液の溶媒を除去して残査を得る。
(手順4):(手順3)で得た残査を、ゲル浸透クロマトグラフ(以下、GPC)により、ポリスチレン換算分子量曲線を求め、その分子量曲線から、残査中に含まれるポリスチレン換算分子量が5,000以下の割合R(重量%)を求める。
(手順5):下記式(1)により、樹脂層におけるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wを求める。
・含有量W(重量%)=(W1−W2)×R/W1 (1)。
すなわち、本発明の反射型偏光板は、樹脂層に含まれるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wを5重量%以下として、さらに該樹脂層上に線状金属層を形成したことによって初めて高い光学特性を達成し得たところに特徴を有するものであるが、かかる効果について以下に説明する。
従来の反射型偏光板に用いられる樹脂層1には、通常、未反応物や添加剤、オリゴマーなどの低分子量有機成分を多く含んでおり、これらの低分子量有機成分は樹脂層1の表面に金属層を形成する工程でアウトガスとして放出されやすくなる。該金属層の形成過程で樹脂層1からアウトガスが発生した場合、そのアウトガスを取り込みながら樹脂層1に金属が堆積するため、形成される金属層の結晶配列は乱れ、線状金属層2の金属性が低下する。そうなると、金属層2は光を吸収するようになり、反射型偏光板としての反射特性、偏光特性、光利用効率が低下する。さらに、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状の樹脂パターン(以下、線状樹脂パターン10とする)を形成した上で、その線状樹脂パターン10の特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合においても、樹脂層1中に低分子量有機成分が多く含まれていると、線状樹脂パターン形成工程においてパターンを高精度に成形するのが困難となる。また、線状樹脂パターンが高精度に成形できたとしても、そのパターン上へ選択的に線状金属層2を形成する時、方向性をもってパターン近傍に接近してきた金属原子が樹脂層1から放出されるアウトガスと衝突し、散乱してしまうので、線状金属層2の選択的形成性が低下することになる。そうなると、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下したり、線状樹脂パターンの長期形状保持性が低くなったりする現象がみられる。したがって、従来の樹脂層を用いた反射型偏光板においては、十分な光学特性を得ることができなかった。
一方、本発明の反射型偏光板のように、樹脂層1に含まれる低分子量成分の含有量Wを5重量%以下となるように制御し、その樹脂層1上に線状金属層2を形成すれば、金属層2の形成工程において該樹脂層1に含まれる低分子量有機成分を主としたアウトガスの発生を抑制することができる。その結果、樹脂層1上に金属層2を安定した形で形成することができ、金属層の結晶性を高めることができる。以上のことから、樹脂層1上に緻密で結晶性の高い線状金属層2を形成することが可能となり、反射型偏光板としての反射特性、偏光特性、光利用効率を向上させることができる。また、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成し、その線状樹脂パターンの特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合においても、金属原子とアウトガスとの衝突確率が低下するので該金属層の選択的形成性を向上させることができ、反射型偏光板としての透過特性、偏光特性を向上させることができる。さらには、低分子量成分を制御することによって、線状樹脂パターン10の長期形状保持性が増し、光学特性の点でも長期耐久性を兼ね備えることになる。その結果、従来にはない高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)を有する反射型偏光板を得ることができ、それを液晶表示装置に搭載させることによって高輝度の表示装置とすることができるというものである。
樹脂層1に含まれるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wを求める方法を以下に詳述する。
(手順1)では、樹脂層1の最表面から深さ1μm以下の範囲内を削り取り、その重量を計ることでW1(g)を求める。また、樹脂層1が樹脂層1と異なる材料に積層している構造の場合で、かつ樹脂層1の厚さが1μm以下の場合は、樹脂層1のみを削り取り、その重量を計ることでW1(g)を求める。
(手順2)では、標準物質が溶解する溶媒のうち、(手順1)で得た樹脂層が最も溶解可能な溶媒を用いて、該樹脂1重量部に対し、溶媒100重量部以上で溶解させる。なお、溶解させる際には、適宜、加温や、超音波照射などを適宜行う。こうして得た溶液に、溶媒に不溶な成分を含んでいる場合には、フィルターによる濾過や、遠心分離、デカンテーションなどにより不溶成分の除去を行い、得られた不溶物を加熱乾燥または真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させた後、その重量を計ることでW2(g)を求める。なお、残留物を加熱乾燥する場合には、乾燥温度は残留物のTg1以上分解温度以下で行う。
(手順3)では(手順2)で不溶物を取り除いた溶液からエバポレーター等を用いて溶媒を除去して濃縮を行い、残査を得る。
(手順4)では、(手順3)で得た残査の分子量分布をGPCにより測定を行い、それにより、ポリスチレン換算分子量曲線を求めて得られた分子量曲線から、残査中に含まれるポリスチレン換算分子量が5,000以下の割合R(重量%)を求める。このときのGPCの測定条件は任意で決められるが、本手順4では、理論段数は14000段のカラムを使用、流速を1.0mL/minとした場合でもって、分子量分布の測定を行う。
測定の手順としては、まず、分子量既知の標準単分散ポリスチレンの混合試料を標準物質が溶解する溶媒のうち、最も(手順1)により得た表層が溶解可能な溶媒溶解させ、その溶液を用いて同様の条件にてGPCで測定を実施し、各分子量成分の溶出時間を求める。このとき溶出時間は各分子量成分に該当するピークにおける極大値でもって溶出時間とする。得られた溶出時間と分子量を用いて、横軸に溶出時間、縦軸に分子量でプロットを行い、較正曲線を作成する。次に(手順3)で得た残査を同じ溶媒に同濃度となるように溶解させ、その溶液を用いてGPC測定を行い、得られた結果を、較正曲線と重ね合わせることで、残査の各溶出時間における相対分子量(ポリスチレン換算分子量)とその重量分率(dW/dlogM)を求める。次に、横軸にポリスチレン換算分子量、縦軸に重量分率でプロットを行うことで分子量分布曲線を求め、その得られた分子量分布曲線から、分子量分布全体の積分値Itと、ポリスチレン換算分子量5,000以下のピーク面積の積分値Imを求め、下記式(2)により、残査中に含まれるポリスチレン換算分子量が5,000以下の割合R(重量%)を求める。
・R(%)=Im/It×100 (2)
(手順5)では、上述の(手順1)〜(手順4)で求めた、削り取った樹脂層1の重量W1(g)、不溶物の重量W2(g)、残査中に含まれるポリスチレン換算分子量が5,000以下の割合R(重量%)から、下記式(1)により、樹脂層1に含まれるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wを求めることができる。
・含有量W(重量%)=(W1−W2)×R/W1 (1)。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が上述の(手順1)〜(手順5)により定義されるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有率Wが5重量%以下であることを特徴とするが、その含有率Wとしては、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。該ポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有率Wが5重量%より上回ると、樹脂層1中には低分子量成分が多く含まれるため、線状金属層2の形成工程において該樹脂層1から低分子量有機成分がアウトガスとして発生し、その結果、金属層の結晶性が低下して、十分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。また、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成し、該パターンの特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合に、高精度な線状樹脂パターン成形が困難となったり、あるいは線状樹脂パターン10が高精度に成形できたとしても、その樹脂層上へ線状金属層2を形成する際に選択的形成性が低下し、反射型偏光板としての透過特性や偏光分離特性が低下したり、光学特性の長期耐久性が低下したりするため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1のポリスチレン換算分子量が5,000以下の成分の含有率Wを5重量%以下とすることによって、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)の反射型偏光板とすることができる。
本発明の反射型偏光板において、該樹脂層1の熱分解開始温度Tdが150℃以上であるのが好ましい。ここでいう熱分解開始温度Tdとは、上述の(手順1)にて削り取って得た樹脂層の、室温から10℃/minの速度で加熱していったときの重量変化を測定し、得られた減量曲線から、ベースラインの延長した直線と、熱分解による重量減少部分の接線とが交わる点でもって熱分解開始温度Tdとした求めたものであり、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃である。該樹脂層1の熱分解開始温度Tdが150℃に満たない場合、線状金属層2の形成工程において該樹脂層1が熱分解を起こし、低分子量有機成分をアウトガスとして放出することになる。その結果、金属層の結晶性が低下し、十分な偏光特性が得られないため、好ましくない。また、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成し、該パターンの特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合に、金属の選択的形成性が低下し、その結果、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下したりするため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、該樹脂層1の熱分解開始温度Tdを150℃以上とすることによって、線状金属層2の金属性を高く保つことができ、その結果、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)の反射型偏光板を得ることができる。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1は熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか又はこれらの混合物を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。ここで、該樹脂中において50重量%を越える組成物を主成分と定義する。
前記熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらを成分とする共重合体、またはこれらの混合物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記光硬化性樹脂の例としては、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性を有する化合物、またはカチオン重合性を有する化合物等が挙げられる。ラジカル重合性を有する化合物としては、活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤の存在下で活性エネルギー線照射により高分子化または架橋反応する化合物が挙げられる。例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個含むもの、1官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含むもの、またはこれらのオリゴマー、ポリマー、混合物などが挙げられる。また、分子内に少なくとも一つのカチオン重合性を有する化合物としては、オキシラン環を有する化合物、オキセタン環を有する化合物、ビニルエーテル化合物から選ばれる一つあるいは2種以上の化合物から選ばれるものが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらより選択される1種類もしくは2種類以上の混合物などを用いることができる。
かかる光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂には重合開始剤が配合される。該光硬化性樹脂の場合には感光波長および重合形式に合わせ、活性エネルギー線の照射によりラジカル種またはカチオン種を発生する光重合開始剤を用い、また該熱硬化性樹脂の場合にはプロセス温度に合わせた熱重合開始剤を用いることが好ましい。
これらの樹脂は、使用波長、すなわち液晶表示装置に用いる場合には400〜800nmの可視光領域において、透明であり、特定波長における吸収ピークがみられないものが好ましい。また、光線を実質的に散乱しないものが好ましく、膜厚100μmの平坦なシート状としたときのヘイズ値でおよそ30%以下であるのが好ましい。より好ましくはヘイズが20%以下、更に好ましくはヘイズが10%以下である。
ここで、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、その熱可塑性樹脂は、GPC測定によるポリスチレン換算重量平均分子量Mwが10,000以上であることが好ましい。ここでいう熱可塑性樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量Mwとは、標準物質として単分散ポリスチレンを用いたGPC測定により求められる値であり、具体的には以下の(手順6)〜(手順9)により得られる値である。
(手順6):分子量既知の標準物質の単分散ポリスチレンなどの混合試料を、標準物質と、測定する熱可塑性樹脂の両方が溶解する溶媒に溶解させ、その溶液を用いてGPCで測定を実施し、各分子量成分の溶出時間を求める(なお、このときのGPCの測定条件は任意で決められるが、本手順6では、理論段数は14000段のカラムを使用、流速を1.0mL/minとした場合でもって、分子量分布の測定を行う。)
このとき溶出時間は各分子量成分に該当するピークにおける極大値でもって溶出時間とする。
(手順7):得られた溶出時間と分子量を用いて、横軸に溶出時間、縦軸に分子量でプロットを行い、較正曲線を作成する。
(手順8):熱可塑性樹脂を用いて(手順6)と同濃度の溶液を調整し、その溶液を用いて、(手順6)と同様の条件にてGPC測定を行い、得られた結果を、(手順7)で得た較正曲線と重ね合わせることで、各溶出時間における相対分子量(ポリスチレン換算分子量)とその重量分率(dW/dlogM)を求める。
(手順9):下記式(3)によって、ポリスチレン換算重量平均分子量Mwを求める。
・Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)・・・(3)
ここで、Miは分子量較正曲線を介して得られたGPC曲線のi番目の溶出位置の分子量、Niは分子量Miの分子数である。
なお、かかる測定において、熱可塑性樹脂に有機微粒子、無機微粒子、金属、金属塩、その他添加剤等で溶媒に不溶な成分を含んでいる場合には、フィルターによる濾過や、遠心分離などにより、不溶成分の除去を行った後に、該樹脂の溶媒溶液を調製して測定した値である。また、該樹脂組成物に可塑剤、界面活性剤、染料などの添加剤を含んでいる可能性がある場合は、不溶成分を除去した後に、最沈殿法、再結晶法、クロマトグラフィー法、抽出法等により、前記同様にかかる不溶添加剤を除去した後に、再度該樹脂組成物の溶媒溶液を調製して測定した値である。より好ましくはポリスチレン換算重量平均分子量Mwが15,000以上、更に好ましくは20,000以上である。ポリスチレン換算重量平均分子量Mwが10,000に満たないと、樹脂層1中には低分子量成分が多く含まれるため、線状金属層2の形成工程において該樹脂層1から低分子量有機成分がアウトガスとして発生し、その結果、金属層の結晶性が低下し、十分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。
また、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターンを形成し、該パターンの特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合に、高精度な線状樹脂パターンを成形するのが困難となったり、あるいは線状樹脂パターン10が高精度に成形できたとしても、その基材上へ線状金属層2を形成する際に選択的形成性が低下し、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下したり、光学特性の長期耐久性が低下したりするため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、その熱可塑性樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量Mwを10,000以上とすることによって、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)と光学特性の長期安定性を両立することができる。
また、本発明における反射型偏光板おいて、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、樹脂層1のポリスチレン換算重量平均分子量Mwの上限値として、100,000以下が好ましく、更に好ましくは90,000以下、特に好ましくは80,000以下である。ポリスチレン換算重量平均分子量Mwが100,000を上回ると、線状樹脂パターン10の成形が困難となり、そのパターン上へ選択的に線状金属層2を形成する際に、金属の選択的形成性が低下し、その結果、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下したりするため好ましくない。本発明の樹脂層1において、該樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、樹脂層1のポリスチレン換算重量平均分子量Mwの上限を100,000以下とすることにより、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)の反射型偏光板とすることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、その熱可塑性樹脂はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwとポリスチレン換算数平均分子量Mnから計算される多分散度Mw/Mnが3.0以下であることが好ましい。ここでいう多分散度Mw/Mnとは、上述の(手順6)〜(手順8)において、測定された結果を基に、下記式(4)にて算出される値である。
・Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi ・・・(4)
ここで、Miは分子量較正曲線を介して得られたGPC曲線のi番目の溶出位置の分子量、Niは分子量Miの分子数である。
より好ましくは多分散度Mw/Mnが2.5以下、さらに好ましくは2.0以下である。なお、このとき、多分散度Mw/Mnの理論上の最下限値は1.0であり、この場合完全単分散を意味し、多分散度Mw/Mnが大きい程、分子量の異なる成分(特に、低分子量側成分)が多く含まれていることを意味している。すなわち、多分散度Mw/Mnが1に近いほど、分子量がより均一であること意味する。
多分散度Mw/Mnが3.0を上回る場合、低分子量成分が多く含まれているため、線状金属層2の形成工程において該樹脂層1から低分子量有機成分がアウトガスとして発生し、その結果、金属層の結晶性が低下し、十分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。また、後述するような方法にて樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成し、該パターンの特定の場所へ選択的に線状金属層2を形成する場合においても、線状樹脂パターン10を高精度に成形することが困難となったり、あるいは線状樹脂パターン10が高精度に成形できたとしても、その基材上へ線状金属層2を形成する際に選択的形成性が低下し、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下したり、光学特性の長期耐久性が低下したりするため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、その熱可塑性樹脂の多分散度Mw/Mnを3.0以下とすることによって、高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)の反射型偏光板とすることができる。
また、本発明の反射型偏光板おいて、後述するように樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有し、かつその樹脂層が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、その熱可塑性樹脂はGPCによるポリスチレン換算Z平均分子量Mzとポリスチレン換算重量平均分子量Mwから計算される多分散度Mz/Mwが2.0以下であることが好ましい。ここでいう、ポリスチレン換算Z平均分子量Mzとは、上述の(手順6)〜(手順8)において、測定された結果を基に、下記式(5)にて算出される値である。
・Mz=Σ(Ni・Mi3)/Σ(Ni・Mi2)・・・(5)
ここで、Miは分子量較正曲線を介して得られたGPC曲線のi番目の溶出位置の分子量、Niは分子量Miの分子数である。
より好ましくは多分散度Mz/Mwが1.9以下、更に好ましくは、好ましくは1.7以下である。ここで、多分散度Mz/Mwの理論上の最下限値は1.0であり、この場合完全単分散を意味し、多分散度Mz/Mwが大きい程、分子量の異なる成分(特に、高分子量成分)が多く含まれていることを意味している。すなわち、多分散度Mz/Mwが1に近いほど、分子量がより均一であること意味する。
多分散度Mz/Mwが2.0を上回る場合、高分子量成分が多く含まれているため、線状樹脂パターン10の成形が困難となって、その基材上に選択的に線状金属層2を選択的に形成する際に金属の選択的形成性が低下し、その結果、反射型偏光板としての透過特性や、偏光分離特性が低下するため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合で、該樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、多分散度Mz/Mwを2.0以下とすることにより高い光学特性(高透過率、高反射率、高偏光度、高光利用効率)の反射型偏光板とすることができる。
ここで、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、該ポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wが5重量%以下、ポリスチレン換算重量平均分子量Mwが10,000以上、多分散度Mw/Mnが3.0以下,Mz/Mwが2.0以下となるように制御して重合を行うのが好ましいが、これらの範囲外となっても、分取GPC法、再沈殿法、再結晶法、抽出法等の方法を施すことにより、その範囲内にすることができる。具体的には、分取GPC法の場合、まず、上述の(手順6)に基づき、標準試料として単分散ポリスチレン等の混合試料溶液を測定し、各ピークにおけるピークトップの溶出時間とその分子量から較正曲線を作成する。続いて、上述の(手順7)に基づき、熱可塑性樹脂の該樹脂層を測定し、較正曲線から相対分子量(ポリスチレン換算分子量)と各分子量成分が溶出される時間を求めることができる。 次に、各分子量成分の溶出時間を元にして、GPCによる分取物の回収を、ポリスチレン換算分子量5,000の成分含有率Wが溶出された段階で終了し、得られた分取物はエバポレーター等で濃縮した後、加熱乾燥または真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させることにより得ることができる。なお、このとき、分取物を加熱乾燥する場合には、乾燥温度は該樹脂のガラス転移温度Tg以上熱分解開始温度Td以下とする。
次に、再沈殿法の場合は、熱可塑性樹脂を少量の良溶媒に溶解させて得た溶液に、その熱可塑性樹脂に対する貧溶媒を少しずつ添加していく。すると高分子量成分から順に析出し、沈殿していくので、ポリスチレン換算分子量5,000の成分が析出した段階で、貧溶媒の添加を終了し、得られた沈殿物をフィルターによる濾過や、遠心分離、デカンテーション濾過、デカンカンテーション等で分離後、得られた沈殿物を加熱乾燥または真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させることで得ることができる。なお、このとき、沈殿物を加熱乾燥する場合には、乾燥温度は該樹脂のガラス転移温度Tg以上熱分解開始温度Td以下とする。
再結晶法の場合は、熱可塑性樹脂の溶解度の温度依存性が大きい溶媒を用い、その溶媒に熱可塑性樹脂を加熱しながら溶解させた後に冷却させる。すると高分子量成分から順に結晶として析出し、沈殿していく。一方、低分子量成分は溶媒に溶解したままであるので、析出した沈殿物をフィルターによる濾過や、遠心分離、デカンテーション濾過、デカンカンテーション等で分離後、得られた沈殿物を加熱乾燥または真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させることで得ることができる。なお、このとき、沈殿物を加熱乾燥する場合には、乾燥温度は該樹脂のガラス転移温度Tg以上熱分解開始温度Td以下とする。
抽出法の場合は、熱可塑性樹脂を良溶媒に溶解させて得た溶液に、その溶媒とは混合しない溶媒を加えて攪拌し、静置する。すると、二相に分離する際に高分子量成分は良溶媒に溶けたままであるが、低分子量成分はもう一方の溶媒の方に移動する。これを分離し、得られた溶液から、得られた分取物はエバポレーター等で濃縮した後、加熱乾燥または真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させることにより得ることができる。なお、このとき、分取物を加熱乾燥する場合には、乾燥温度は該樹脂のガラス転移温度Tg以上熱分解開始温度Td以下とする。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂を主たる成分とする場合、該ポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wが5重量%以下となるように制御して架橋反応を起こさせるのが好ましいが、5重量%以上となっても、樹脂層1を作製した後にさらに光を照射したり、熱処理を行ったりすることによって、架橋反応を進めたり、減圧雰囲気下で長時間保持したりすることによって、低分子量成分を取り除くことが出来る。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10が形成された樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、そのガラス転移温度Tgは、示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる昇温過程(昇温速度:10℃/min)におけるガラス転移温度Tgが、70〜160℃であるのが好ましい。ここで、ガラス転移温度Tgとは、JIS K−7121(1999)に準じた方法により求められた値であり、昇温速度10℃/minで走査した時に得られる示差走査熱量測定チャート中のガラス転移に伴う階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移に伴う階段状の変化部分の曲線とが交わる点から求めた値である。より好ましくは、ガラス転移温度Tg100〜160℃、更に好ましくは110〜150℃の範囲である。ガラス転移温度Tgが70℃に満たないと、線状金属層2の形成工程における熱負荷によって樹脂層そのもの、あるいは樹脂層1の表面に設けた線状樹脂パターン10が変形したり、反射型偏光板としての耐熱性が低くなり、光学特性の長期安定性に欠けるため好ましくない。また、160℃を越えると、線状樹脂パターン10の形成時に高精度な形状を形成することが困難となり、その上に線状金属層2を形成しても十分な光学特性を得ることが難しくなるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10を設けた樹脂層1が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、そのガラス転移温度Tgを70〜160℃とすることで、良好なパターン形成性と線状金属層2形成工程中のパターン形状の保持性を両立することができ、その結果、高い光学特性の反射型偏光板を得ることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10が形成された樹脂層1が熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂を主たる成分とする場合は、ガラス転移温度Tgが70〜160℃の範囲外となっても良いが、その場合においては熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂の架橋物の熱分解開始温度Tdは、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、もっとも好ましくは250℃であるものがよい。熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂の架橋物の熱分解開始温度Tdが150℃に満たないと、線状金属層2の形成工程において樹脂層、もしくは線状樹脂パターン10が変形したりすることがあるだけでなく、線状金属層2の形成工程中に低分子量有機成分がアウトガスとして放出され、金属層の結晶配列が乱れてその金属性が低下し、その結果、光学特性が低下するので好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10を設けた樹脂層1が熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂を主たる成分とする場合、その熱分解開始温度Tdを150℃以上とすることで、線状金属層2の金属性を高く保つことができ、高い光学特性の反射型偏光板を得ることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10を設けた樹脂層1が熱可塑性樹脂の場合は、25℃での光弾性係数kが、好ましくは50×10−12Pa−1以下、より好ましくは、40×10−12Pa−1以下、最も好ましくは30×10−12Pa−1以下であるのがよい。
ここでいう光弾性係数kとは、樹脂を溶融製膜、溶液製膜など、公知の方法でシート化し、そのシートを25℃、65RH%の雰囲気下、厚みd(nm)のシートに無張力の時の位相差Γ1(nm)、張力F(Pa)を加えたときに生じる位相差をΓ2(nm)としたときに、
・k=(Γ2−Γ1)/(d×F)
で定義される値のことである。なお、位相差Γの測定は、フィルムに1kg/mm2(9.81×106Pa)の張力をかけた状態で、直交ニコル、光源としてはナトリウムD線(波長589nm)を備えた偏光顕微鏡を用いて、25℃の雰囲気下で行う。
かかる光弾性係数kが50×10−12Pa−1より大きいと、樹脂層1および樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を加工する際に光学歪みが残り、さらに線状金属層2を設けて反射型偏光板としても、面内において光学特性が変化し、色調のムラなどが発生することがあるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1、および後述するような方法にて線状樹脂パターン10を設けた樹脂層1が熱可塑性樹脂の場合は、25℃での光弾性係数kが50×10−12Pa−1以下とすることによって、加工時に光学歪みが残ることなく線状凹凸構造を形成することができ、その結果、線状金属層2を形成して反射型偏光板としたときに、面内において均一な光学特性を得ることができる。
これらの樹脂には、必要に応じて各種成分を添加することも好ましい。かかる添加剤として、例えば、界面活性剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定化剤、可塑剤、粘度調整剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を好ましく用いることができる。
ここで、本発明の反射型偏光板において樹脂層1は、図1に示すように樹脂層1の表面に、それぞれが平行に配列した線状樹脂パターン10を有していることが好ましい。その効果を以下に説明する。
まず一つ目の特徴は、線状樹脂パターン10を形成することによって、複屈折性を発現させることである。入射する波長以下のピッチで周期的な凹凸を有する線状樹脂パターン10を形成すると、パターン長手方向とそれに直交する方向とで屈折率の異方性、すなわち複屈折が発現する。ここで、パターンを構成する凸部11の幅、ピッチ、高さおよび材質単体の屈折率を適切に設定することにより、樹脂層1の複屈折性を制御することが可能となる。
本発明の反射型偏光板を好適に搭載することができる液晶表示装置には、面光源が組み込まれているが、面光源から出射される光は導光板やプリズムシートなど、界面での反射や屈折を利用した部材の影響により、完全な無偏光状態ではなく偏光状態に偏りがみられることがある。よって、反射型の偏光板を液晶セルの面光源側に配置しても、この偏った方向と、反射型の偏光板が透過する偏光軸とが合致していない場合には、反射成分が多くなり、結果として光の利用効率が上がらないことになる。
そこで、本発明の反射型偏光板のように樹脂層1に複屈折性を発現させ、該樹脂層1側から光を入射することで、樹脂層1の複屈折によって偏った偏光状態が解消され、光の利用効率を上げることができる。例えば、パターンを構成する凸部11の幅、ピッチおよび材質が同じ場合には、凸部11の高さを高くすることによって、より偏光状態を解消できる。なお、複屈折性を活用するためには、線状金属層2が線状樹脂パターン10の凸部11周辺だけに形成された構造が好ましい。また、この場合、線状樹脂パターン10部分だけでなく、樹脂層1全体が複屈折をもつ場合も同様に好ましい。
また、二つ目の特徴としては、金属のパターニングが容易なことである。詳細は製造方法の項で説明するが、半導体製造プロセスなどを利用した、レジストのパターニングとエッチング処理という煩雑なプロセスを経ることなく、予め樹脂層1の表面にパターンを形成しておくことで、そのパターン形状に応じた線状金属層2を容易に形成することが可能となる。
また、三つ目の特徴としては、形成した線状金属層2の機械的強度が高いということである。半導体製造プロセスなどを利用した、レジストのパターニングとエッチング処理により作製された反射型偏光板は、平面上に金属の細線を形成させているため、線状金属層2と樹脂層1との界面の面積が僅かであり、金属パターンが外力に対して弱く、容易に倒壊、剥離してしまう。一方、本発明の反射型偏光板では、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10上に線状金属層2を形成させているため、線状金属層2と樹脂層1との界面の面積が大きくなり、線状金属層2の接着性が向上するだけでなく、パターン凸部11が線状金属層2を補強する効果も有し、外力に対する強度を高めることが可能となる。
上述の通り、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10が存在することにより、高い光学特性、機械的強度を有する反射型偏光板を容易なプロセスで形成することが可能となる。
図1に、本発明の反射型偏光板を構成する線状樹脂パターン10が形成された樹脂層1の形状の一例を示す。図1(a)は、断面が矩形状の凸部11を含む線状樹脂パターン10を一方の表面に有する樹脂層1の断面図である。図中に凸部11のピッチp、幅w、高さhをそれぞれ示している。本発明における幅wは、凹凸が繰り返される方向における長さであって、また、凸部11の高さhの2分の1、すなわち樹脂層1面(凹部12底面)からh/2の高さの樹脂層1面に平行な平面における長さのことをいう。図1(b)は、凸部11が周期的に形成されてなる平行な線状樹脂パターン10を有する樹脂層1の斜視図を例示している。
図1(a)および図2(a)〜(e)は、本発明の反射型偏光板を構成する樹脂層1の好ましい断面形状の例を示している。凸部11の断面形状としては、例えば、矩形(図1(a))、台形(図2(a))、またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図2(b)(c))、波形(図2(d))、三角形(図2(e))等が挙げられるが、これらに限定されることなく、面内に線状樹脂パターン10が形成されていれば好ましく用いることができる。また、隣接する凸部11間には、図1(a)および図2(a)〜(c)のように平坦部が形成されていてもよいし、図2(d)(e)のように平坦部が形成されていなくてもよい。 これらのうち、断面が矩形、台形の凸部11、またはそれらの角や側面が曲線状の形状の凸部11であって、隣接する凸部11がそれ自体の底部で繋がっていないもの(たとえば図1(a)および図2(a)〜(c))が、線状金属層2を形成した後に高い光学的異方性を発現させるため好ましい。
ここで、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10について、隣接する凸部11の底部が図1(a)、図2(a)(b)(c)に示すように繋がっていない形状の場合、線状金属層2を凸部11周辺だけに形成しやすく、好ましい。図2(d)のような断面形状が波形の場合にも、凸部11周辺だけに線状金属層2を形成することは可能であるが、斜面が多く線状金属層2の形成部位が広がりやすいため制御が難しい。
本発明の反射型偏光板において、線状樹脂パターン10は図1(b)に示すようにライン、すなわち凸部11が平行に形成されてなるが、実質的に平行であればよく、完全に平行でなくてもよい。また、各ラインは、面内において光学的な異方性を最も発現しやすい直線であることが好ましいが、隣接するラインが接触しない範囲で曲線や折れ線であってもよい。また同様に、光学的な異方性を発現しやすくするため連続した直線であることが好ましいが、長さが少なくとも適用する波長以上であれば破線であってもよい。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、樹脂層1の片側だけでなく、両側に形成されることも好ましい。樹脂層1の両側に形成する場合には、線状樹脂パターン10の長手方向が表裏で平行になるように形成することが好ましい。この場合、樹脂層1の両側に形成した線状樹脂パターンのうち、片側の樹脂パターンのみに線状金属層2を形成、あるいは両側の樹脂パターンに線状金属層2を形成させてもどちらでもかまわないが、両側の線状樹脂パターンに線状金属層2を形成させることで、より高偏光度の反射型偏光板とすることができる。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10の長手方向に垂直な断面における凸部11の寸法は、適用する光の波長領域によって適宜選択される。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチp=50〜800nm、幅w=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチp=50〜400nm、幅w=20〜380nmで形成するのがよい。この寸法で樹脂層1に線状樹脂パターン10を形成し、さらに線状金属層2が形成することによって、それぞれのピッチpおよび幅wに適用する光の波長領域において、高い偏光特性を発現する反射型偏光板を得ることができる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、ピッチpが400nmを越えると、可視光領域のうち短波長側の偏光度が低下するので好ましくない。また、ピッチpが50nmを下回ると、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成することが難しくなるだけでなく、該線状樹脂パターン10に沿って線状金属層2を形成することが難しくなるため好ましくない。可視光の波長領域に適用する場合においてピッチpの範囲は、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、可視光の波長領域に適用する場合において、幅wが20nmよりも狭くなると、成形が困難となるだけでなく、成形できたとしても機械的強度が低く、線状樹脂パターン10の倒壊が起こりやすくなるため好ましくない。また、幅wは、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nm、可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合、線状樹脂パターン10上に線状金属層2形成した場合に、該パターン形状に反映した形に該金属層を形成するのが難しかったり、また、該金属層を形成できたとしても開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなるので好ましくない。幅wについて、近赤外光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは、20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10のピッチpおよび幅wは、面内において偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましいが、前記範囲内において種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても偏光特性を発現させることができ、近赤外線用または赤外線用の反射型偏光板としても使用可能である。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の高さhに応じて、偏光特性が光の入射角度に依存することがある。線状樹脂パターン10の凸部11の高さhとしては、近赤外光の波長領域に適用する場合は10〜800nm、可視光の波長領域に適用する場合は10〜400nmであることが好ましい。近赤外光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜600nm、最も好ましくは30〜400nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜300nm、最も好ましくは30〜300nmである。凸部11の高さhが、400nmを越えると、光の入射角度によって偏光度が変化することがあるため好ましくない。一方、高さhが10nmを下回ると、それに沿って線状金属層2が形成されたとしても充分な光学異方性が得られない場合があるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の高さhを、近赤外光の波長領域に適用する場合は10〜800nm、可視光の波長領域に適用する場合は10〜400nmとすることにより、光の入射角度に依存せず、均一な偏光特性を得ることができ、特に、広い視野角が求められる用途に好適に用いることができる。ただし、本発明の反射型偏光板を、狭い視野角の範囲で用いる場合、例えば、法線方向だけを利用する光学素子、又は正面方向だけ利用する表示装置などの場合、光の入射角度は考慮しなくてもよいため、高さhが上記範囲を越えてもよい。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の高さhと幅wの比(h/w)が、0.5〜5の範囲であることが好ましい。より好ましくは1〜5、さらに好ましくは2〜5である。比h/wが0.5に満たない場合には、線状金属層2の選択的形成が困難となり、構造的な異方性を充分に発揮することができず、充分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。また比h/wが5を越える場合には線状樹脂パターン10の形成が困難となり、蛇行して倒れたり、破断したりして、面内で偏光特性にむらが現れることがあるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の高さhと幅wの比h/wを0.5〜5とすることで、高い偏光特性、機械的強度を有し、かつそれら特性の面内均一性に優れた偏光板とすることができる。
また本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の高さhと、凸部11間の幅、すなわち凹部12の幅(p−w)との比h/(p−w)が、1〜5の範囲であることが好ましい。より好ましくは、比h/(p−w)が1.2〜5、更に好ましくは1.3〜5である。比h/(p−w)が5を超えると、線状樹脂パターン10の形成が困難となるため好ましくなく、また、1に満たないと線状金属層2の選択的形成が困難となり、構造的な異方性を充分に発揮することができず、充分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11高さhと凹部12の幅(p−w)の比h/(p−w)を1〜5とすることによって、線状金属層2の選択的形成性が高くなり、特に凸部11周辺だけへの線状金属層2の形成が容易となり、高い偏光特性を有する偏光板を得ることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の幅wとピッチpの比(w/p)が0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。より好ましくは比w/pが、0.1〜0.45、さらに好ましくは0.1〜0.40である。比w/pが0.5を超えると、線状金属層2を形成後に十分な開口率を確保できないため、透過率が低下するため好ましくない。また、比w/pが0.1に満たないと、線状金属層2を形成しても十分な偏光度を得ることができないため、好ましくない。本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10は、その長手方向に垂直な断面における凸部11の幅wとピッチpの比w/pを0.1〜0.5とすることによって、線状金属層2を形成した際に、高い偏光度と透過率を両立する反射型偏光板とすることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1は有機または無機材料で構成された支持体と積層されていることが好ましい。積層構造にすることによって、支持体で機械的強度、耐熱性を確保しながら、樹脂層1が平坦な場合には、その平面性を高めることができ、また樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成させる場合には、樹脂層1に賦形しやすい材質を用いることができるので好ましい。なお、支持体となる層は、それ自体が単層であっても複数層の積層構造であってもよい。
ここで、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成させる場合において、樹脂層1に用いられる賦形しやすい材質とは、前述の熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のことをいう。後述するように、生産性などの観点から樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を賦形するには金型転写法が好ましいが、これらの樹脂を用いることで、より高精細なパターン形成ができるので好ましい。
また、支持体となる層としては、ガラス、金属などの無機基材、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、脂環族ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂、ポリカーボネートなどに代表される樹脂基材など、各種材質を用いることができる。ガラス、金属などの無機基材を支持体として用いた場合には、平坦性や機械的強度、耐熱性に優れる偏光板とすることができる。また、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート等に代表される可撓性のある樹脂基材を用いた場合には、さらに柔軟性、軽量化、薄膜化、取扱性を付与することができるために、より好ましい。上記材質の中でも、ポリエステル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂シートであることが好ましく、機械的強度、耐熱性を向上させるためには、一軸延伸または二軸延伸ポリエステル樹脂シートであることが特に好ましい。二軸延伸されたポリエステル樹脂シートを用いると、機械的強度および耐熱性を確保しながら、薄膜化、柔軟性および軽量化が達成可能となるため最も好ましい支持体である。特に、無機基材であるガラスに比べ、薄膜化したときの耐衝撃性に優れる。また、延伸することによってシートに複屈折性が発現するため、前述したように入射光の偏光状態の偏りを解消し、液晶表示装置などの輝度を向上できるため好ましい。ここで用いるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、またはこれらをベースとしたその他成分との共重合体などのポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、このポリエステル樹脂を主成分とし、その他の相溶性又は/及び非相溶性の成分を添加した樹脂組成物も好ましく用いられる。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1が支持体との積層構造とした場合、線状樹脂パターン10を含む樹脂層1の屈折率n1と、支持体の屈折率n2との差Δn=|n1−n2|をできるだけ小さくすることが好ましく、好ましくは屈折率差Δnを0〜0.15、より好ましくは0〜0.10、さらに好ましくは0〜0.06、最も好ましくは0〜0.03である。屈折率差Δnが0〜0.15の範囲を外れると、樹脂層1と支持体との屈折率差、および線状凹凸構造の高さhや、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10の凹部最下部から、該線状樹脂パターン10が形成されていない側の面までの間隔(以下、膜厚とする)h’などに起因する薄膜干渉が大きくなる。この薄膜干渉によって本来、反射して再利用されるべき光が失活し、特に、支持体側から光を入射させた場合に、その影響が顕著に表れて反射率が大きく低下する。その結果、反射型偏光板としての光の利用効率が低下し、液晶表示装置に組み込んだ際に輝度向上効果が十分に得られなくなる。また、この光利用効率の低下は、光の波長によって変化する場合もあり、液晶表示装置の色彩が面内の観察場所や観察角度によってムラとなって現れ、色均一性が低下する事もあるので好ましくない。
本発明の反射型偏光板において、線状樹脂パターン10を含む樹脂層1の屈折率n1と、支持体の屈折率n2との差Δn=|n1−n2|を0〜0.15とすることにより、色均一性が良好で光線の利用効率に優れた反射型偏光板とすることができる。具体的には、支持体として二軸延伸したポリエステルフィルムを用いた場合、樹脂層1の屈折率n1は1.58〜1.7が好ましく、より好ましくは1.60〜1.68である。上記屈折率n1を達成するためには、その樹脂の分子骨格に、シクロヘキサン、イソボルニル、アダマンタンなどの脂環族基や、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ビフェニル、ビスフェノールなどの芳香環、臭素、塩素、ヨウ素などのハロゲン原子、硫黄などを導入することにより得ることができる。この中で、環境問題などから、脂環族基、芳香族基を導入することが好ましい。
本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に形成した線状樹脂パターン10の凹部最下部から、該線状樹脂パターン10が形成されていない側の面までの膜厚h’は1〜1000μmが好ましく、より好ましくは1〜500μm、更に好ましくは1〜200μmである。
また、樹脂層1が支持体との積層構造とした場合は、線状樹脂パターン10を有する樹脂層1の凹部最下部から、樹脂層1と支持体との界面までの膜厚h’は0〜2μmが好ましく、より好ましくは0〜1μm、更に好ましくは0〜500nmである。なお、この場合、支持体の厚みは特に限定されないが、機械的強度および薄膜化の観点から、例えば、無機基材の場合には0.1〜3mm、樹脂基材の場合には50μm〜3mmが好ましい。
本発明の反射型偏光板は、線状金属層2を樹脂層1の片面のみに形成させる場合、線状金属層2が形成されていない側の樹脂層1の表面に、空気と樹脂層1との界面の屈折率差に由来して生じる光の反射を防止する反射防止層が形成されていることが好ましい。反射防止層を形成させることにより、線状金属層2が形成されていない側の空気と樹脂層1との界面で生じる反射を抑制することができ、光線の利用効率をさらに高めることができる。反射防止層としては、反射を防止する性質を有する材料で形成して反射防止機能を発揮してもよいし、その層を特定形状に形成することで反射防止機能を発揮してもよい。
また、本発明の反射型偏光板において、支持体として光拡散性を示す材質を用いることも、反射型偏光板と光拡散板との機能統合が達成できるという点で好ましい構成となる。なお、光拡散性を発現させるためには、例えば、支持体の内部に粒子などを分散させたり、線状樹脂パターン10を形成していない表面に微粒子を含む材料をコーティングしたり、凹凸形状を賦形したりすることなどで達成できる。樹脂層1の内部に粒子などを分散させることによって、樹脂層1自体に光拡散性を付与する場合、主に等方的な光拡散効果を発現させることができるが、樹脂層1の線状樹脂パターン10を形成していない表面に光拡散層を設ける場合は、表面の形状を任意に設計できるため、等方的な拡散性以外に、任意の光拡散性を容易に制御することができる。
また、本発明の反射型偏光板において、支持体には1/4波長板の機能を付与することも好ましい。樹脂層1と1/4波長板の機能を有する支持体との積層構造である場合、支持体側から光を入射させた光は、樹脂層1に設けられた線状金属層2によって偏光分離され、該金属層2で反射した方の直線偏光は再び支持体へと戻っていく。すると、その直線偏光は支持体内で円偏光に変換されて面光源へと戻り、さらに面光源内で反射することにより、逆周りの円偏光を多く含む光(ただし、一部は偏光状態が解消される)となって、再び支持体に戻ってくる。この逆回りの円偏光が支持体を通過すると、円偏光から線状金属層2と透過する側の直線偏光に変換されて通過する。よって、反射型偏光板として光の利用効率を上げることができる。
また、支持体として、光吸収性を示す材質や光反射性を示す材質を用いることもできる。その場合、特定の偏光成分を反射する偏光反射板として使用することができる。
本発明の反射型偏光板は、樹脂層1の表面に間隔を開けて複数形成された線状金属層2が形成されていること特徴とする。それによって一方の偏光を透過し、もう一方の偏光を反射することが可能な反射型偏光板とすることができる。
本発明の反射型偏光板について、その線状金属層2の形態を図3〜4を用いて説明する。
図3は、表面が平坦な樹脂層1上に線状金属層2が部分的に形成されている態様の断面形状の例を示している。線状金属層2の断面形状としては、例えば、矩形(図3(a))、台形(図3(b))、三角形(図3(c))またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図3(d)〜(f))、等が挙げられるが、これらに限定されることなく、面内に線状金属層2が部分的に形成されていれば好ましく用いることができる。また、図3(g)は、図3(a)の断面形状をもつ樹脂層1の斜視図を示しており、線状金属層2が樹脂層1の表面に線状に形成されている様子を表している。
また、図4は、断面が矩形の凸部11を有する線状樹脂パターン10上に、線状金属層2が部分的に形成されている態様の例を示している。例えば、線状金属層2が線状樹脂パターン10の凸部11の頂部に形成される場合(図4(a))、隣接する凸部11間、すなわち凹部12に形成される場合(図4(b))、凸部11の側面に形成される場合(図4(c))、凸部11の周囲に形成される場合(図4(d))、またはこれらを組み合わせた形状(図4(e))に形成される場合などが好ましい例として挙げられる。また、図4(f)は、図4(a)の断面形状をもつ樹脂層1の斜視図を示しており、線状金属層2が樹脂層1の線状樹脂パターン10に沿って線状に形成されている様子を表している。
本発明の反射型偏光板において、線状金属層2の膜厚Hは、10〜200nmであることが好ましい。ここでいう線状金属層2の膜厚Hとは、樹脂層1凸部11の高さ方向に測定した厚みであって、樹脂層1の上の少なくとも一部に前記範囲を満たす膜厚で線状金属層2が形成されていればよい。線状金属層2の膜厚Hとして、より好ましくは30〜200nm、さらに好ましくは50〜200nmである。膜厚Hが10nmに満たないと、十分な偏光度を得ることができないので好ましく、また、200nmをこえると線状金属層2の形成が困難となるので好ましくない。本発明の反射型偏光板において、線状金属層2の膜厚を10〜200nmとすることによって、高い偏光度を有する反射型偏光板を容易に形成できる。
本発明の反射型偏光板において、線状金属層2の長手方向に垂直な断面における寸法などは、適用する光の波長領域によって適宜選択される。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチP=50〜800nm、幅W=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチP=50〜400nm、幅W=20〜380nmで形成するのが好ましい。この寸法の線状金属層2が形成されることにより、それぞれ適用する光の波長領域において、高い偏光特性を発現する反射型偏光板を提供することができる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、かかるピッチPについては、400nmを越えると、可視光の短波長領域の偏光度が低下することになり好ましくない。また、ピッチPが50nmを下回ると、線状金属層2を形成することが難しくなるので好ましくない。かかるピッチPとして、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、線状金属層2の幅Wについては、20nmより狭くなると、形成が困難となるだけでなく、成形できたとしても、線状金属層2として機能しないことがあるため好ましくない。また、かかる幅Wは、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nmよりも太い場合、また可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合のいずれにおいても、ピッチPの範囲を考慮すると、開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなるため好ましくない。したがって、かかる幅Wについては、近赤外光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、また、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
かかるピッチPおよび幅Wは、面内において偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましいが、前記範囲内において種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で反射型偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても偏光特性を発現させることができ、近赤外線用または赤外線用の反射型偏光板としても使用可能である。
ここで、本発明の反射型偏光板において、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10が形成されている場合、高い光利用効率と高透過率を得るためには、線状金属層2が凸部11周辺だけに形成されること(例えば、図4(a)、(c)〜(e)など)が好ましく、特に図4(a)のように凸部11の頂上部に形成されるのが、高透過率、高偏光度の点において好ましい。この場合、凸部11上に形成された線状金属層2の膜厚Hと、凸部11の高さhを足し合わせた高さは、400nm以下であることがより好ましい。足し合わせた高さが400nmを越えると、偏光特性が光の入射角度に依存することがあるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、凸部11上に形成された線状金属層2の膜厚Hと凸部11の高さhを足し合わせた高さを400nm以下とすることによって、光の入射角度に依存せず、均一な偏光特性を得ることができる。
また、本発明の反射型偏光板において、線状金属層2および凸部11の総幅TWは、凸部11のピッチpとの比、すなわちTW/pが、0.1〜0.7であることが好ましい。ここで、この比率を算出するために必要な総幅TWならびにピッチpとは、樹脂層1面に平行で、かつ、凹凸が繰り返される方向における線状金属層2の長さが最大となる同一平面で測定されるものとする。より好ましくはTW/pが0.2〜0.6、更に好ましくは0.3〜0.6である。この比率が0.7を越える場合には、光利用効率と透過率が低下するため好ましくない。また、0.1に満たないと、十分な偏光度を得ることができないため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、線状金属層2及び凸部11の総幅TWとピッチの比TW/pを0.1〜0.7とすることによって、高い偏光度と透過率を両立することができる。
本発明の反射型偏光板において、線状金属層2は「高反射性金属からなる層」、及び/又は「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」であることが好ましい。また、これらが混ざり合った層でもよいし、積層された構造であってもよい。
ここで、「高反射性金属からなる層」とは、単一の金属または複数の金属からなる合金からなる線状金属層2であり、一層もしくは異なる材質からなる二層以上の積層構造が好ましく用いられる。異なる材質からなる二層以上の積層構造の場合には、少なくとも一層が高反射性金属からなる層であればよく、例えば、反射性の低い金属酸化物などが線状金属層2の表面に積層されていてもよい。特に、酸化しやすい高反射性金属を用いる場合には、予め保護層として線状金属層2表面に該金属の酸化物からなる層を形成し、経時安定性を高めることは好ましく行われる。
また、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」に含まれる高反射性金属粒子および高反射性金属により被覆された粒子は、粒子径が1〜100nmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜50nmである。ここでいう粒子径とはメジアン径d50のことをいう。粒子径が100nm以下の金属粒子は融着温度が低下するため、例えば200〜300℃での低温熱処理でも粒子が連結し始め、金属としての特性を発現し光反射性が向上するため好ましい。また、粒子径が50nm以下になると、より低温かつ短時間の熱処理で粒子が融着するため、さらに好ましい。これら粒子の形状は特に限定されることなく、いずれの形態であっても好ましく用いることができる。また、高反射性金属に被覆される内層の粒子は、例えば、アクリル樹脂などの架橋樹脂粒子や、シリカ、アルミナなどの無機粒子など、特に限定されることなく好ましく用いられる。これら高反射性金属粒子、高反射性金属粒子で被覆された粒子は、粒子単独、または粒子と分散剤の組み合わせ、さらには、粒子と分散剤とバインダーとなる熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか又はこれらの混合物を主成分とする樹脂組成物と組み合わせられることにより、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」を形成することが好ましい。
本発明の反射型偏光板において、高反射性金属としては、アルミニウム、クロム、銀、銅、ニッケル、白金および金からなる群金属を含むことが好ましい。より好ましくはこれらの群の金属が主たる成分とするのがよい。ここで、主たる成分とするとは線状金属層2中における該金属の含量が50重量%を超える場合をいう。また、高反射性とは、使用する光の波長領域において高い反射率を示すことであり、具体的には表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7)上に100nmの厚さで形成させ、その線状金属層2側から入射させたときの反射率が、適用する波長領域全体にわたって75%以上であることをいう。より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。反射率が75%に満たない金属を線状金属層2として用いた場合、光学ロスが多くなって光利用効率を十分に得ることができなかったり、光学ロスが小さくても偏光度が低下することがあるため好ましくない。本発明の反射型偏光板において、75%以上の反射率を有する線状金属層2を使用することにより、光利用効率を高くできるだけでなく、高い偏光度を得ることができる。前記金属のうち、アルミニウム、クロム、銀が、可視光領域の全域に亘って反射率が高いためより好ましい。
本発明の反射型偏光板は上述の構成からなるものであって、その特徴として、高透過率、高反射率でかつ高偏光度であることがあげられる。具体的には、樹脂層1側から測定した透過率が30%以上、反射率が30%以上で、かつ線状金属層2側から測定した偏光度が90%以上であるのが好ましい。より好ましくは透過率が35%以上、反射率が35%以上、偏光度が95%以上、さらに好ましくは透過率が35%以上、反射率が40%以上、偏光度が99%以上である。
本発明の反射型偏光板は以下の方法で製造することができる。
まず、樹脂層1が平坦である場合は、次の工程(a−1)〜工程(a−4)の順に製造することができる。
工程(a−1):樹脂層1を作製する工程(基材形成工程)
工程(a−2):樹脂層1の表面に金属層を形成する工程(金属層形成工程)
工程(a−3):金属層上にレジストパターンを形成する工程(レジストパターン形成工程)
工程(a−4):金属層を部分的に除去する工程(選択的除去工程)
また、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成させる場合は、上記製法での形成も可能であるが、次の工程(b−1)〜工程(b−4)の順で製造する方が、工程数が少なく、生産性に優れるという点で好ましい。
工程(b−1):樹脂層1を作製する工程(基材作製工程)
工程(b−2):樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成する工程(パターン形成工程)
工程(b−3):工程(b−2)で作製した線状樹脂パターン10上に線状金属層2を形成する工程(線状金属層形成工程)
以下、各工程について詳細を説明する。
<工程(a−1)、工程(b−1):基材作製工程>
本発明の反射型偏光板製造方法において、樹脂層1の形成方法としては、例えば、樹脂層1を形成する材料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。また、樹脂層1を形成する材料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状に形成し、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
また、支持体の上に樹脂層1を積層させる方法としては、例えば、樹脂層1および支持体を形成する材料が異なる熱可塑性樹脂の場合、2つの押出機を用いてそれぞれの材料を溶融して、押出経路内でそれぞれの材料が積層するように口金から押出し、それを冷却したキャストドラムで受けてシート状に加工することによって、樹脂層1と支持体とを同時に形成する方法(共押出法)、単膜で作製した支持体の上に、樹脂層1の材料を押出機に投入し、溶融押出によって支持体上にラミネートする方法(溶融ラミネート法)、樹脂層1と支持体とをそれぞれ別々に単膜作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して張り合わせる方法(接着法)、樹脂層1の材料を溶媒に溶解させ、その溶液を支持体上に塗布する方法(コーティング法)等を使用することができる。
また、樹脂層1の材料が光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の場合は、上述の方法のうち、接着法、コーティング法が好ましく用いられる。
支持体としては、易接着層などの塗布層を形成したものが樹脂層1との接着力の点で好ましく用いられる。この場合、塗布層を構成する樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂等の熱可塑性樹脂、およびそれらの混合物等を適宜選択して用いられるが、支持体として二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた場合は、接着性の点からポリエステル系樹脂を主たる成分としたものが好ましく用いられる。ここでいう主たる成分とは、塗布層を構成する熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル系樹脂が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上から成ることを示すものである。
また、支持体と塗布層との密着性向上、耐ブロッキング防止等の点で、塗布層に、架橋剤を含有するのが好ましい。かかる架橋剤としては、塗布層を構成する樹脂に存在する官能基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基、アミド基等と架橋反応する樹脂や化合物が好ましく用いられ、その例としてはメチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂及びエポキシ化合物、イソシアネート化合物、カップリング剤、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等、及びそれらの混合物等を使用することができる。かかる架橋剤種類、および含有量は、支持体、樹脂層1、塗布層を構成する樹脂、架橋剤の種類等によって適宜選択されるが、通常は樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.2〜30重量部の範囲がよい。また、かかる架橋剤には、触媒を併用して架橋反応を促進させることも好ましく行われる。なお、架橋反応方式としては、加熱方式、電磁波照射方式、吸湿方式などのいずれでも構わないが、通常は加熱による方法が好ましく用いられる。
また、塗布層には、塗布層の滑り性改良や、耐ブロッキング性のために微粒子を含有するのが好ましい。その例として、無機微粒子や有機微粒子などを使用することができる。かかる無機微粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム 、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、その他タルクおよびカオリンなどを用いることができる。また、有機微粒子としては、架橋スチレンや架橋アクリルなどの架橋微粒子の他、塗布層を構成する熱可塑性樹脂に対して非相溶だが、微分散して海島構造を形成する熱可塑性樹脂も微粒子として用いることもできる。かかる微粒子の形状としては、真球状、回転楕円体状、扁平体状、数珠状、板状または針状等のものを用いることができるが、特に限定されない。かかる微粒子の平均粒径は0.05〜15μmが分散性、滑り性、耐ブロッキング性の点から好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。また、かかる微粒子の添加量は任意であるが、通常は樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
また、塗布層には、効果が失われない範囲内で、必要に応じて各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、pH調整剤および塩などを使用することができる。
上記、塗布層を支持体上へ形成する方法としては、上述の塗布層を構成する材料を溶媒に溶解/分散させ、その塗液を支持体上に塗布、乾燥する手段が好ましく用いられる。この際、用いる溶媒は任意であるが、安全性の点から水を主たる成分として用いることが好ましい。その場合、塗布性や溶解性などの改良のため、水に溶解する有機溶剤を少量添加させても構わない。かかる有機溶剤の例として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n―ブチルアルコールなどの脂肪族または脂環族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール類、メチルセロソロブ、エチルセロソロブプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのジオール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N−メチルピロリドンなどのアミド類など、および、これらの混合物を使用することができるが、これらに限定されない。
塗布層を支持体上に塗設する方法としては、支持体の製膜中に塗設するインラインコーティング法、製膜後の原反に塗設するオフラインコーティング法があげられ、どちらでも用いることが出来るが、より好ましくは支持体の製膜と同時にできて効率的であり、かつ塗布層の支持体への接着性が高いという理由からインラインコーティング法が好ましく用いられる。また、塗設する際には、塗布液の支持体上への濡れ性向上、接着力向上の観点から支持体表面へコロナ処理なども好ましく行われる。
また、支持体として、一軸もしくは二軸延伸したフィルム基材を選択した場合、樹脂層1の形成方法として、上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法等の方法の他に、樹脂層1が熱可塑性樹脂からなる場合においては、二台の押出機を用いて樹脂層1の材料と、支持体形成用のポリエステル材料とをそれぞれ溶融し、押出経路内でそれぞれの材料が積層するようにして口金から吐出させ、それを冷却したキャストドラム上でシート状に形成、続いて二軸延伸と熱処理を施す方法(共押出二軸延伸法)も好ましく行われる。
二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法や、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
また、熱処理工程における熱処理温度Taは、樹脂層1の融点(もしくは軟化点)をTm1、支持体の融点をTm2とした時に、Tm2>Ta>Tm1とすることが好ましい。この温度範囲で熱処理を行うことで、支持体を熱固定して機械的強度を付与すると同時に、樹脂層1を溶融させて均一化し、易成形性を付与することができる。
<工程(b−2):パターン形成工程>
工程(b−1)の工程により得られたシートを用いて、樹脂層1の少なくとも片側の表面に、線状樹脂パターン10を形成する。
本発明の反射型偏光板の作製方法において、線状樹脂パターン10の形成方法としては、半導体製造プロセス等で用いられるフォトリソグラフィーやエッチング法を用いることも可能であるが、これらはプロセスが複雑であるので、生産性およびコストの面で金型転写法による賦形が好ましい。すなわち、加熱・加圧または電磁波照射を用いた金型転写により樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成する。加熱・加圧を用いた方法においては、図5(a)に示すように、基材と金型50を重ねて加熱・加圧し、離型することにより、樹脂層1の表面に金型形状が転写される。このとき、少なくとも樹脂層1の表面が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で構成されているのが好ましい。また、電磁波照射を用いた方法においては、図5(b)に示すように、金型50に光硬化性樹脂を直接充填、または支持体に光硬化性樹脂をコーティングし、そのコート面を金型50に押しあてることで該樹脂を充填して電磁波照射を行い、樹脂を硬化させ、離型することによって金型50形状を転写する。少なくとも樹脂層1が電磁波、例えば紫外線、可視光、電子線によって硬化する樹脂で構成されているのが好ましい。
本発明の反射型偏光板の製造方法において、線状樹脂パターン10を形成するために用いる金型50の作製方法としては、特に限定されるものではないが、本発明の反射型偏光板の寸法を鑑みると、X線、電子線、紫外線、または紫外線レーザーなどを用いて、金型材質上に形成したレジスト層をパターニングし、その後にエッチングなどの工程を経て作製するのが好ましい。
金型50の材質としては、ガラス、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、あるいはニッケル(Ni)など各種材料を利用でき、特に限定されるものではないが、金型50の加工性の点から、シリコンやガラス、離形性と耐久性からはステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)などの金属材質が好ましい。
金型50は上述の材質をそのまま用いても構わないが、金型転写後に成形品を容易に離型できるように、金型50の表面を表面処理剤で処理し、易滑性を付与するのが好ましい。表面処理後の金型50の表層の接触角は、好ましくは80°以上、より好ましくは100°以上である。
金型50の表面処理の方法としては、表面処理剤を金型50表面に化学結合させる方法(化学吸着法)や、表面処理剤を金型50表面に物理的に吸着させる方法(物理吸着法)等を使用することができる。この中で、表面処理効果のくり返し耐久性、および成形品への汚染防止の観点から化学吸着法により表面処理するのが好ましい。
化学吸着法に用いられる表面処理剤の好ましい例としては、フッ素系シランカップリング剤を使用することができる。これを用いた表面処理方法としては、まず、有機溶剤(アセトン、エタノール等)中での超音波処理や、硫酸等の酸、過酸化水素等の過酸化物の溶液中での煮沸などにより金型50の表面を洗浄した後、フッ素系シランカップリング剤をフッ素系溶剤に溶解させた溶液に浸漬する方法(湿式法)や真空蒸着させて金型50表面に析出させる方法(乾式法)などを使用することができる。湿式法の場合には、浸漬時に溶液を加熱することも好ましく行われる。浸漬時には、溶液を加熱することも好ましく行われる。また、浸漬後に加熱処理することも好ましく行われる。
上記金型50を用いて、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を形成する方法の例を、図5を用いて説明する。
図5(a)は加熱・加圧を用いて金型賦形する場合の例を示すものである。熱可塑性樹脂からなる樹脂層1のみ、または該樹脂層1と支持体との積層体であるシート材料40を、該樹脂層1のガラス転移温度Tg以上融点Tm未満の温度範囲内に加熱し(図5(a−1))、シート材料40における該樹脂層1側の面と金型50とを接近させ、そのまま所定圧力でプレス、所定時間保持する(図5(a−2))。次に、プレスした状態を保持したまま降温し、最後にプレス圧力を解放して金型50からシートを離型する(図5(a−3))。
加熱・加圧を用いて金型賦形する場合、加熱温度およびプレス温度T1は、Tg〜Tg+60℃の範囲内であることが好ましい。加熱温度およびプレス温度T1がTgに満たないと、熱可塑性樹脂からなる樹脂層1が十分に軟化していないため、プレスしたときに金型50の凹凸形状が転写されにくく、成形に必要な圧力が非常に高くなる。また、加熱温度およびプレス温度T1がTg+60℃を上回ると、エネルギー的に非効率であり、また、加熱/冷却時に金型50および樹脂層1の体積変動量の差が大きくなりすぎて、シートが金型50に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けてしまうので好ましくない。加熱温度およびプレス温度(T1)をTg〜(Tg+60℃)とすることで、良好な成形性と離型性を両立することができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力は、プレス温度T1における、シート材料40を構成する樹脂層1の弾性率等によって適宜調整されるが、好ましくは0.5〜50MPa、より好ましくは1〜30MPaである。プレス圧力が0.5MPaに満たないと、金型50内への樹脂の充填が不十分となり、パターン精度が低下する。また、50MPaを超えると、荷重が大きくなり過ぎるため金型50への負荷が大きく、金型50の凹凸を変形させてしまうため好ましくない。プレス圧力を0.5〜50MPaとすることで、良好な転写性を得ることができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力保持時間は、プレス温度T1における、シート材料40を構成する樹脂層1の弾性率等や成形圧力によって適宜調整されるが、平板プレスの場合、10秒〜10分が好ましい。プレス圧力保持時間が10秒に満たないと、金型50内への樹脂の充填が不十分となり、パターン精度が低下したり、面内均一性が低下する。また、10分を超えると、樹脂の熱分解による劣化などが起こり、成形品の機械的強度が低下する可能性があるので好ましくない。プレス圧力保持時間を10秒〜10分とすることで、良好な転写性と成形品の機械的強度の両立ができる。ただし、ロールtoロール成形の場合は、プレス圧力保持時間が10秒以下であっても構わない。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力開放温度T2は、(Tg−10℃)〜(Tg+30℃)の温度範囲内で、かつプレス温度T1より低いのが好ましく、より好ましくは(Tg−10℃)〜(Tg+20℃)である。Tg−10℃に満たないと、プレス時の樹脂の変形が残留応力として残り、離型時にパターンが崩壊したり、離型できたとしても成形品の熱的な安定性が低下するため好ましくない。また、Tg+30℃を上回ると、圧力解放時にはまだ樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したり、転写精度が低下したりするので好ましくない。プレス圧力開放温度T2を(Tg−10℃)〜(Tg+30℃)とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、離型温度T3は20℃〜T2℃の温度範囲内であることが好ましく、より好ましくは20℃〜Tg℃の温度範囲である。離型温度T3がT2を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有していたりして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型温度を20℃〜T2℃とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
図5(b)は電磁波照射を用いて金型賦形する場合の例を示すものである。光硬化性樹脂からなる樹脂層1のみ、または該樹脂層1と支持体との積層体であるシート材料40と、転写すべきパターンと反転した凹凸を有する金型50とを、シート材料40の樹脂層1側の面と金型50とを接近させ(図5(b−1))、そのまま所定圧力でプレスした後、金型50側もしくはシート40側のいずれかから電磁波を照射して樹脂を硬化させる(図5(b−2))。次にプレス圧力を解放して金型50からシート材料40を離型する(図5(a−3))。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、プレス圧力は、賦形温度での賦形される材料の粘度に依存するが、好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。プレス圧力が0.05MPaに満たないと金型50内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下するので好ましくない。また、10MPaを超えると、荷重が大きくなり過ぎるため金型50への負荷が大きく、金型50の凹凸を変形させてしまうので好ましくない。プレス圧力を0.05〜10MPaとすることで、良好な転写性を得ることができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、電磁波の照射量は、積算エネルギー照射する波長での吸光率などに依存するが、10〜5000mJ/cm2である。電磁波の照射量が10mJ/cm2に満たないと、樹脂の硬化が不十分となりパターン精度が低下したり、強度が不足し離型応力によって破断したりするため、成型面内均一性が低下し好ましくない。また、5000mJ/cm2を超えると、樹脂が硬化しすぎて収縮し、カールが起こる可能性があるので好ましくない。電磁波の照射量を10〜5000mJ/cm2とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、一連の工程中の温度は特に制限はないが、プレス温度としては室温〜200℃、より好ましくは室温〜150℃、最も好ましくは室温〜120℃である。プレス温度が200℃より高いと、樹脂の流動性が高くなりすぎてプレス前に流れたり、また、プレス前に樹脂が硬化したりして、成形が不十分となるので好ましくない。また、離型温度T3は、光硬化性樹脂からなる樹脂層1のガラス転移温度Tg以下がよく、より好ましくはTg−10℃、最も好ましくはTg−20℃である。T3がTgを上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有したりして、離型時にパターンが変形してやすくなり、精度が低下することがあるので好ましくない。離型時の温度T3を、光硬化性樹脂からなる樹脂層1のガラス転移温度Tg以下とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、金型賦形して線状樹脂パターン2を形成した樹脂層1に熱処理を施すことによって、さらに、樹脂の硬化度を向上することができる。その方法としては、前述の金型50のプレス時に金型50もしくは樹脂層1の少なくとも一方を加熱しておく方法、電磁波照射して樹脂を硬化させ、離型する前に金型50もしくは樹脂層1の少なくとも一方を加熱する方法、離型した後にパターン形成した樹脂層1を熱処理する方法、いずれも好適に用いられる。そのうち、金型プレス時に金型50もしくは樹脂層1の少なくとも一方を加熱しておく方法は、工程数を減らすことができるため好適に行われる。また、硬化度をさらに高めるために、これらを組み合わせて行っても構わない。
本発明の反射型偏光板製造方法において、パターン形成方法としては上述の方法があげられるが、図5に示したような平版をプレスする方法(平版プレス法)の他に、表面に凹凸を形成したロール状の金型を用いて、ロール状シートに成形し、ロール状の成形体を得るロールtoロールの連続成形であってもよい。ロールtoロール連続成形の場合、生産性の点で平版プレス法より優れている。
<工程(a−2):金属層形成工程、工程(b−3):線状金属層形成工程>
樹脂層1が平坦である場合は、工程(a−1)により形成した樹脂層全面に線状金属層2を形成する。また,樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は工程(b−2)により、少なくとも樹脂層1の片面に形成した線状樹脂パターン10の上に、間隔を開けて複数形成された線状金属層を形成させ、本発明の反射型偏光板を形成することができる。
本発明の反射型偏光板の製造方法において、線状金属層2を形成させる方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法、めっき法、などの湿式法などが好ましく用いられる。
樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、樹脂層1表面の法線方向に対して金属源の配置角度(以下、蒸着角度という)を制御することにより、線状樹脂パターン10の凸部11周辺だけに線状金属層2を形成することが可能となり、位置選択的に線状金属層2を形成出来る有効な手段である。たとえば、図6に示すように、樹脂層1の法線方向に対して斜め方向で、かつ、線状樹脂パターン10の長手方向に対して垂直な方向から蒸着またはスパッタすることが好ましい。
次に、コーティング法は、金属粒子もしくは金属により被覆された粒子を含有した塗剤を樹脂層1上に塗布することにより線状金属層2を形成するものであり、塗膜厚み、溶媒の極性、塗布条件を制御することにより、部分的に線状金属層2の形成が可能となる。
また、めっき法については固体表面に外部電源を用いて金属などを電気的に析出(電着)させる電解めっき法、線状金属層2を化学的に還元析出させる無電解めっき法、等があげられる。めっき法については、樹脂層1に線状金属層2を蒸着等により形成した後にめっきを成長させたり、または、銀やパラジウム等の触媒となる微粒子を樹脂層1上にコーティングした後にめっきを成長させるなどが挙げられる。樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、例えば、線状樹脂パターン10の凹部12に触媒となる金属粒子を充填させた後、無電解めっきを施すことで凹部12のみに線状金属層2が形成される。
線状樹脂パターン10を有する樹脂層1の表面に線状金属層2を設ける場合、該線状金属層2の形成位置が制御しやすく、かつ形成される該線状金属層2の金属性が高いという点で、蒸着法およびスパッタ法などの乾式法がより好ましく用いられる。
乾式法による線状金属層2の形成方法の例としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。この中でも、金属性の高い緻密な膜を高選択的に形成できるという点で、電子ビーム蒸着法、および電子ビーム法に種々のアシスト法を組み合わせた方法が好ましい。
かかる真空蒸着法による金属層、または線状金属層2の形成において、系内の真空度は、好ましくは8.0×10−4Pa以下,より好ましくは1.0×10−4Pa以下,更に好ましくは5.0×10−5Pa以下である。本発明の反射型偏光板製造方法において、蒸着時の真空度を8.0×10−4Pa以下とすることで、緻密な膜を選択的に形成し易くなり、その結果、高光学特性の反射型偏光板を得ることができる。
かかる真空蒸着法による金属層、または線状金属層2形成において、蒸着速度は好ましくは2Å/sec以上,より好ましくは5Å/sec以上,更に好ましくは10Å/sec以上である。本発明の反射型偏光板の製造方法において、蒸着速度を2Å/sec以上とすることで、緻密な膜を選択的に形成し易くなり、その結果、高光学特性の反射型偏光板を得ることができる。
本発明の反射型偏光板の製造方法において、蒸着角度θは、樹脂層1が平坦である場合はどの様な角度でも構わないが、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10を有する場合は、樹脂層1の凹凸形状に依存し、好ましくは図6に示すように、金属の蒸着方向M1が、樹脂層1表面の法線L3と、樹脂層1表面に平行でかつ線状樹脂パターン10の長手方向L1と垂直な線L2からなる面内に含まれることがよい。
樹脂層1表面に線状樹脂パターン10を有する場合において、金属の蒸着方向M1が、樹脂層1表面の法線L3と、樹脂層1表面に平行でかつ線状樹脂パターン10の長手方向と垂直な線L2とからなる面内に含まれるとき、蒸着角度θ(°)は、tanθ≧(p−w)/hとなるのが好ましい。より好ましくはtan(θ−5°)≧(p−w)/h、さらに好ましくは蒸着角度tan(θ−10°)≧(p−w)/h以上である。蒸着角度θ(°)がtanθ≧(p−w)/hに満たないと、線状金属層2の選択的形成が困難となり、光学特性が低下することがあるので好ましくない。本発明の反射型偏光板の製造方法において、蒸着角度θをtanθ≧(p−w)/hとすることによって、選択的に金属を付着させることが可能となり、その結果、高光学特性の反射型偏光板を得ることができる。
本発明の反射型偏光板の製造方法において、樹脂層1と金属蒸着源との距離は遠い方が良く、好ましくは15cm以上、より好ましくは20cm以上である。本発明の反射型偏光板の製造方法において、樹脂層1と金属蒸着源との距離を15cm以上とすることによって、偏光板面内での光学特性が均一になり易くなる。
<工程(a−3):レジストパターン形成工程>
樹脂層1が平坦である場合は、工程(a−2)にて形成した金属層上にレジストパターンを形成する。
その方法としては、まず、金属層上に電磁波照射により架橋、もしくは分解可能な化合物を含む材料からなる薄膜を形成し、その薄膜にフォトマスクを用いた露光、電子ビーム描画、干渉露光などの手法によって部分的に架橋もしくは分解させる。次いで、溶媒を用いて露光部もしくは非露光部を選択的に溶解させることにより、形成させることができる。
また、その他の方法としては、工程(b−2)で挙げたような加熱・加圧または電磁波照射を用いた金型転写によってもレジストパターンを形成することができる。その具体的な方法は、金属層上に熱可塑性を有する材料や、加熱もしくは電磁波照射により架橋可能な材料の薄膜を形成し、その形成した薄膜に工程(b−2)と同様の方法で金型形状を転写することにより形成することができる。
ここで、金型転写でレジストパターンを形成する場合、形成した凹凸形状の凹部底面には一般的に樹脂が残るため、そのままでは後の(a−4)選択的除去工程で金属層の不要な部分を除去することが困難である。そのため、凹部に残存する樹脂をドライエッチングや、ウェットエッチング等の公知の方法を用いて除去し、部分的に金属層を露出することも好ましく行われる。
このようにして形成されたレジストパターンは、続く(a−4)選択的除去工程に用いることが可能である。また、そのレジストパターンを元にリフトオフを行うことで、金属層上に別の金属パターンを形成する事も好ましく行われる。この場合、レジストパターンをそのまま用いる場合と比べて、(a−4)選択的除去工程における除去の選択性を高めることができ、その結果、高光学特性の反射型偏光板を形成できるため好ましく行われる。
<工程(a−4):選択的除去工程>
樹脂層1が平坦である場合は工程(a−3)にて金属層上に形成したレジストパターン(もしくはレジストパターンを元にリフトオフして形成した金属パターン)を元に、金属層を部分的に除去することにより、目的とする反射型偏光板を形成することができる。
その方法としてはドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。この中で、高い選択性で金属層が除去できるという点で、ドライエッチング法が好ましい。ドライエッチングに用いられるガスは金属層および、レジストパターン(もしくはレジストパターンを元にリフトオフして形成した金属パターン)の材質により、適宜選択される。
本発明の反射型偏光板は、上述の工程により形成されるが、形成したパターンの機械的強度を高めたり、表面に耐摩擦性を付与するために、形成したパターンの表面やパターンが形成されている面の全面に、透明樹脂や金属酸化膜などによる保護膜を形成したり、形成したパターンの間の凹部に透明樹脂を充填したりしてもよい。透明樹脂は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、等を好適に用いることができる。また、金属酸化物についても、透明であれば特に限定されない。また、本発明の反射型偏光板の表面に保護フィルム等の別のフィルムを張り合わせることも好適に行われる。
また、本発明の反射型偏光板のパターンの未形成面側には、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層など、任意の層を形成することができる。また、他の機能を有するフィルム等と貼り合わせることによって、多機能を有する機能統合高性能シートとすることも可能である。
本発明の反射型偏光板は、ある一軸方向の偏光成分を透過し、かつ該偏光成分とは垂直方向の偏光成分を反射する偏光分離機能を有することを特徴とし、本機能が求められる各種用途に使用することができるが、その用途の一例としては、特に液晶表示装置の中に組み込んで使用した場合に、輝度向上効果が発揮されることがあげられる。このメカニズムについて説明する。
液晶表示装置の構成は、面光源700と液晶セル800とに大きく分けられる。
図7は、光源700としてサイドライト型面光源を用いた液晶表示装置の例を示している。図7において、導光板300の上面側に拡散シート500が配置され、さらにその上にプリズムシート600が配置されている。また、導光板300の下面側には反射シート400が配置され、さらに、導光板300の側面には蛍光管200が配置されている。蛍光管200から照射される光は、導光板300の側面から導光板300内に入り、導光板300の上面から拡散シート500、プリズムシート600を経て上方に出射する。なお、前記構成例に制限されず、導光板300の表裏面にドットやプリズム状など、様々な加工を施したものを用いたり、蛍光管200を複数本設置したりしてもよく、また、蛍光管200のかわりに発光ダイオード(LED)を用いても構わない。さらには、光拡散シート500やプリズムシート600に関しては、どちらか一方のみ使用する場合やそれぞれ複数枚用いる場合など、種々の部材および構成が好ましく用いられる。
また、図8は、光源700として直下型面光源を用いた液晶表示装置の例を示している。図8においては、反射シート400が敷き詰められた筐体410の内部に複数の線状の蛍光管200が並び、蛍光管200の上側に拡散板310、さらにその上側に光拡散シート500、プリズムシート600が順に配置された構成である。直下型面光源の場合も、各種構成部材はそれぞれ種々の部材や構成を採用することができる。たとえば、蛍光管の形状は直線状に限られず、また、蛍光管200のかわりに発光ダイオード(LED)を用いても構わない。拡散板、光拡散シート、プリズムシートについても上記同様、種々の部材、構成のものを用いることができる。
また、面光源700としては、上記の面光源だけでなく、任意の面光源を用いることができる。
そして、上記のような面光源の光源700の上側に、本発明の反射型偏光板100と、液晶セル800が順に積層配置されている。
液晶セル800は、2枚の偏光板810、830と、2枚の偏光板810、830の間に設けられた液晶層820などで構成される。液晶セル800に用いられる偏光板810、830は、一般的に吸収型といわれる偏光板であり、透過軸と直交する方向の偏光成分は吸収される。よって、理論的な光の利用効率は50%である。
しかし、本発明の反射型偏光板100を、液晶セルよりも光源側に配置することにより、透過できない偏光は面光源部700側へ反射させることができる。反射された偏光は、面光源部700内で偏光状態を解消し、再度、液晶セル800側に戻すことが可能となる。よって、光利用効率を高めて輝度を向上させることができる。すなわち、反射型偏光板100を、液晶セル800の面光源700側に配置されている下側偏光板810と偏光軸の方向を合致させて液晶セル800と面光源700との間に設置することで、従来、下側偏光板810で吸収されていた偏光成分を面光源700側に反射させて戻し、その光を再利用することができる。このサイクルを繰り返すことにより、全光線のうち50%しか利用できなかった従来の面光源と比べて、光利用効率を高めることが可能となり、輝度を向上させることができる。ここで、本発明の反射型偏光板100の偏光軸の方向と、下側偏光板810の偏光軸の方向がなす交角は、5°以下であれば充分に効果が得られるため好ましく、完全に方向が合致する0°が最も輝度向上効果が発現するためさらに好ましい。
また、本発明の反射型偏光板を液晶表示装置に設置する場合、線状金属層2形成面を液晶セル800側に向けて設置することが好ましい。このように設置することにより、樹脂層1に複屈折性を有する樹脂を用いた場合でも偏光特性を損なうことなく、高輝度な液晶表示装置とすることができるので好ましい。ただし、樹脂層1として等方性の樹脂を用いた場合は、上記に限らず、どちらの面を液晶セル800側に配置しても構わない。
また、本発明の反射型偏光板の偏光度pが90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上と高い偏光度を有する場合は、図9、図10に示す様に、液晶セル800の下側偏光板810の代替として使用することも好ましい形態である。この場合、従来の吸収型偏光板を使用した場合に比べて、光を再利用することができる分、高輝度な液晶表示装置とすることができるだけでなく、従来の吸収型偏光板よりも薄くすることができるため、薄型化の観点でも好ましい。
液晶セル800の下側偏光板810の代替として本発明の反射型偏光板を使用する場合も、線状金属層2形成面を液晶セル800側に向けて設置することが好ましい。このように設置することによって、樹脂層1に複屈折性を有する樹脂を用いた場合でも偏光特性を損なうことがないので好ましい。ただし、樹脂層1として等方性の樹脂を用いた場合は、上記に限らず、どちらの面を液晶セル800側に配置しても構わない。
以上のように、本発明の反射型偏光板を液晶表示装置に組み込むことにより光利用効率が向上し、従来の液晶表示装置と比べて、高輝度の液晶表示装置とすることが可能となる。
本発明の液晶表示装置は、携帯電話、電子手帳、ノートPC、モニタ、TV、各種表示媒体などに好適に用いることができる。
[特性の評価方法]
A.ポリスチレン換算分子量5,000以下の成分含有率W、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw
樹脂層1の表面をカッターにて削り取り、その重量W1を測定した。次に、削り取った表層をクロロホルムに溶解させ、孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過して、不溶物と溶液とに分離し、不溶物を一晩真空乾燥させて得たものの重量W2を測定した。また、溶液はエバポレーターで溶媒を濃縮し、得られた残査にクロロホルムを添加し、溶液濃度が0.2重量%となるように調製した。また、単分散標準ポリスチレンの混合試料を濃度0.2重量%となるようにクロロホルムに溶解させた。
これらの溶液を、検出器は昭和電工(株)製示差屈折率検出器RI(RI−71型、感度64)、カラムは東ソー(株)製TSKgel GMHHR−M(φ7.8mm×30cm、理論段数14,000段)を2本備えた、東ソー(株)製ゲル浸透クロマトグラフGPC(8)で測定を行うことで、樹脂製基材の表層の樹脂の、各溶出時間における相対分子量(ポリスチレン換算分子量)とその重量分率(dW/dlogM)を求め、分子量分布曲線を作製し、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mzを求め、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mwを算出した。なお、移動層にはクロロホルムを用い、流速は1.0mL/min、カラム温度は23℃±2℃、注入量は0.200mLで行った。
また、上記GPCによって得られた分子量曲線から、分子量分布全体のピーク面積Itとポリスチレン換算分子量5,000以下のピーク面積Imをもとめ、下記式(2)により、残査中に含まれるポリスチレン換算分子量が5,000以下の割合Rを求めた。
・R(%)=Im/It×100 (2)。
次に、得られたW1,W2,Rを用いて、下記式(1)により、樹脂層1に含まれるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分の含有量Wを求めた。
・含有量W(重量%)=(W1−W2)×R/W1 (1)。
B.ガラス転移温度Tg
樹脂層1の表面をカッターにて削り取り、それをJIS K7121(1999)に従って、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を用いて測定を実施した。データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いた。サンプルパンにチップ、もしくはシートを5mgずつ秤量し、昇温速度は10℃/minで走査した。ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量測定(1stRUN)チャート中のガラス転移に伴う階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線と、ガラス転移に伴う階段状の変化部分の接線とが交わる点から求めた。なお、樹脂製基材が積層体の場合は、線状金属層2が設けられる側の樹脂製基材のガラス転移温度Tgを求めた。
C.熱分解開始温度Td
樹脂層1の表面をカッターにて削り取り、それをJIS K7120(1987)に従って、(株)島津製作所製熱重量測定装置TGA−50を用いて測定を実施した。データ解析には熱分析システムTA−50を用いた。サンプルパンにチップ、もしくはシートを10mgずつ秤量し、窒素ガス流量は50ml/min、昇温速度は10℃/minで走査した。得られた減量曲線から、ベースラインを延長した直線と、熱分解による重量減少部分の接線とが交わる点でもって熱分解開始温度Tdとした。
D.断面観察
各実施例・比較例で作製した反射型偏光板について、線状金属層2の長手方向に垂直な断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”で写真を撮影し、50000倍で断面観察を行なった。得られた断面観察像から、線状樹脂パターン10を構成する凸部11の寸法(ピッチp(nm)、幅w(nm)、高さh(nm))、線状金属層2の膜厚(nm)、および線状金属層2および凸部11の総幅TW(nm)を計測した。樹脂層1が平坦である場合は任意の箇所5箇所において、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10が形成されている場合は、線状金属層2が形成されている部位のうち、凸部11上の任意の箇所5カ所において、樹脂層1の法線方向に計測したときの厚みを求め、それらの平均値を求めた。また、線状金属層2のピッチ、幅については、樹脂層1の表面に平行な方向で任意の箇所5カ所において計測し、その平均値を求めた。なお、樹脂層1の表面に線状樹脂パターン10が形成されている場合の線状金属層2および凸部11の総幅TWは、任意の箇所5カ所における平均値を求めた。
E.透過率、偏光度
各実施例・比較例で作製した反射型偏光板について、セルギャップ検査装置RETS−1100(大塚電子(株)製)を用い、偏光板特性評価モードにて、測定径φ2mmで、波長400〜800nmの範囲における透過率、偏光度を測定した。なお測定は、測定装置の光源側に線状金属層2が対向するように設置し、光線の入射角0°で行った。
得られた光学特性について、以下のように判定した。
1)透過率
波長550nmでの透過率を用い、以下のように判定した。
・35%以上の場合:A、
・32%以上35%未満の場合:B
・30%以上32%未満の場合:C
・30%未満の場合:D
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
また、透過率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける透過率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
・20%未満の場合:A
・20%以上30%未満の場合:B
・30%以上の場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
2)偏光度
波長550nmの偏光度を用い、以下のように判定した。
・99%以上の場合:A
・95%以上99%未満の場合:B
・90%以上95%未満の場合:C
・90%未満の場合:D
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
また、偏光度の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける偏光度を比較し、それら偏光度の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
・10%未満の場合:A
・10%以上15%未満の場合:B
・15%以上の場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
F.全光線絶対反射率
各実施例・比較例で作製した反射型偏光板について、大型偏光子ASSYを搭載した分光光度計UV−3150型(島津製作所(株)製)を用い、波長400〜800nmの範囲において、その反射率が最大となる偏光成分の反射率(最大反射率)と、それとは垂直方向の偏光成分の反射率(最小反射率)Hsをそれぞれ光線の入射角5°で測定した。得られた絶対反射率Hp、Hsを下記式に当てはめることにより、全光線絶対反射率を求めた。
・全光線絶対反射率(%)=(Hp+Hs)/2
なお測定は、測定装置の光源側に線状金属層2が対向するように設置した場合、樹脂層1が対向する様に設置した場合、それぞれについて実施した。
得られた光学特性について、波長550nmでの全光線絶対反射率を用い、以下のように判定した。
・40%以上の場合:A
・35%以上40%未満の場合:B
・30%以上35%未満の場合:C
・30%未満の場合:D
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
また、絶対反射率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける絶対反射率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
・15%未満の場合:A
・15%以上25%未満の場合:B
・25%以上場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
G.輝度
G−1.輝度(1)
1.5インチサイズのLEDサイドライト型バックライト(LED2灯型、反射板として“ESR”(住友スリーエム(株))製搭載)の導光板上側に光拡散シート“GM3”(きもと(株)製)およびプリズムシートBEFIII(住友スリーエム(株)製)を配置してサイドライト型面光源を組み上げ、6Vの電圧を印加してLEDを点灯させ、暗室内で面光源を立ち上げた。次いで、プリズムシート上に、各実施例・比較例の反射型偏光板を重ね、さらにその上に吸収型偏光板(LN−1825T、ポラテクノ(株)製)を透過軸の方向が一致するように置き、色彩輝度計BM−7/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角0.1°で中心輝度L11を測定した。次いで、各実施例・比較例の反射型偏光板のみを取り外して同様にして中心輝度L10を測定した。なお、測定は、各実施例・比較例の反射型偏光板の線状金属層2が吸収型偏光板と対向するように設置した。各実施例・比較例の反射型偏光板を挿入していない場合の輝度L10、挿入した場合の輝度L11から下記式によって得られる輝度向上率B1を算出した。
・輝度向上率B1(%)=100×(L11−L10)/L10。
なお、輝度向上率B1は次のように判定した。
・15%以上の場合:A
・10%以上15%未満の場合:B
・5%以上10%未満の場合:C
・5%未満の場合:D
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
G−2.輝度(2)
1.5インチサイズのLEDサイドライト型バックライト(LED2灯型、反射板として“ESR”(住友スリーエム(株))製搭載)の導光板上側に光拡散シート“GM3”(きもと(株)製)およびプリズムシートBEFIII(住友スリーエム(株)製)を配置してサイドライト型面光源を組み上げ、その上に、下側に本発明の反射型偏光板(線状金属層を液晶セル側になるように設置)、上側にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて、LEDおよび、液晶セルを暗室内で立ち上げた。液晶画面全面を白色表示とし、点灯10分後の中心輝度L21を色彩輝度計BM−7/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角0.1°測定した。次いで、同じ面光源を用い、下側両方にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて同様に、画面全面白色表示時の中心輝度L20を測定した。下側偏光板としてヨウ素型偏光板を用いた輝度L20、本発明の反射型偏光板を用いた場合の輝度L21から下記式によって得られる輝度向上率B2を算出した。
・輝度向上率B2(%)=100×(L21−L20)/L20。
なお、輝度向上率B2は次のように判定した。
・20%以上の場合:A
・15%以上20%未満の場合:B
・10%以上15%未満の場合:C
・10%未満の場合:D
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
H.耐熱性
各実施例、比較例で作製した反射型偏光板を、115℃に加熱したESPEC(株)製高性能クリーンオーブンPVHC−331で、それぞれ10分間熱処理した。試験後の反射型偏光板について、上述のE項、F項、G項に基づいて、透過率、偏光度、全光線絶対反射率、輝度を測定した。
〔実施例〕
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
なお、GPCによるポリスチレン換算分子量5,000以下の成分を除去(分取)する方法は、検出器として(株)島津製作所製RI検出器(RID−10A)カラムとしてShodex K2003(φ20mm×300mm)1本、Shodex K2002(φ20mm×300mm)2本を備えた、(株)島津製作所製分取クロマトグラフ(LC−6A)を用いて行った。移動層にはクロロホルムを用い、流速は3.0mL/min、カラム温度は45℃、一回の樹脂の注入量:60mgで行った。
〔溶液の調整〕
溶液中の樹脂組成物濃度が5重量%となるように樹脂組成物と、標準試料である単分散ポリスチレンをそれぞれクロロホルムに溶解させ、溶液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した。
得られた溶液を用い、まず、単分散ポリスチレン標準試料を測定し、各分子量成分の溶出時間を求めた。このとき溶出時間は各分子量成分に該当するピークにおける極大値でもって溶出時間とする。得られた溶出時間と分子量を用いて、横軸に溶出時間、縦軸に分子量でプロットを行い、較正曲線を作成した。続いて該樹脂組成物溶液を測定し、得られた結果を構成曲線と重ね合わせることによって、樹脂組成物の微分分布値d(重量W)/dLog(ポリスチレン換算重量平均分子量Mw)を求め、該樹脂組成物のポリスチレン換算分子量5,000以上の成分が溶出される時間を求め、その時間を元にポリスチレン換算分子量5,000以上の成分と、ポリスチレン換算分子量5,000以上の成分に分取した。
分取したもののうち、ポリスチレン換算分子量5,000以上の成分をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥を行って残留溶媒を揮発させることで、ポリスチレン換算分子量5,000以下の成分を除去(分取)した樹脂を作製した。
(実施例1)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを10重量%となるように60℃のトルエンに溶解させて得た溶液に、イソプロピルアルコールを90重量部攪拌させながら添加した。添加後、攪拌を停止し、しばらく静置して析出した樹脂組成物を沈殿させ、得られた溶液の上澄み液をデカンテーションにて除去し、残った固形物をイソプロピルアルコールで洗浄した後、80℃で4時間真空乾燥させて、固形物を得た。
得られた固形物を80℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内にて280℃で溶融させて、口金から20℃のキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ150μmのシートを得た。
得られたシートから表面をカッターで削り取り、そのガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
結果を表1に示す。次に、このシート表面に、蒸発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度10Å/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、基材面法線方向からアルミニウムを電子ビーム蒸着し、膜厚100nmの金属層を形成した。
得られた“アデカオプトマー”(登録商標)KRM−2199(旭電化工業(株)製)10重量部、アロンオキセタン OXT−221(東亜合成(株)製)1重量部、“アデカオプトマー”(登録商標)SP170(旭電化工業(株))製)0.25重量部からなる塗液を、下記金型1の表面形状が付与された面に、スピンコーターで塗布(1st−500rpmで10秒、2nd−2,000rpmで30秒)し、その塗膜の上面に上述の基材を金属層が塗膜側になるように重ねて、フィルム側からローラーにて圧力をかけ密着させた。次に、この状態を保ったままフィルム面側より合計1,000mJ/cm2の紫外線を照射した後、金型を離型した。
「金型1」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:90nm、凸部高さ:130nm
凹部断面形状:矩形状。
金型から離型した基材の形状を観察すると、アルミニウム層上にほぼ金型形状を反転した断面を有する線状の樹脂パターンが得られていることを確認した(表1参照)。
「アルミニウム層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:150nm、幅w:60nm、高さh:129nm、凹部底部厚さ:100nm。
次いで、酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により凹部底部の残膜を除去して、アルミニウム層上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターン間の露出したアルミニウム層を、四塩化炭素(CCl4)ガスを用いたドライエッチング法により選択的に除去して線状金属層を形成した。最後に、酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により残った樹脂層を除去してサンプルを得た。
得られたサンプルの形態を観察すると、基材表面および線状金属層の形態は図3(d)に示すような形態であり、線状金属層間のピッチは150nmで、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は100nmであった。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。樹脂層に用いる樹脂組成物を再沈殿法により分取したことで、反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、膜厚400μmのシートを作製した。この基材と下記金型1とを重ね合わせて真空チャンバー内に設置し、50Pa以下の真空度に到達後、予熱を165℃で1分行い、プレス温度165℃、プレス圧力15MPaで5分間プレス後、135℃まで冷却した後、圧力を解放し、その後30℃まで冷却した後、基材と金型を離型した。
「金型1」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:90nm、凸部高さ:130nm
凹部断面形状:矩形状。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:58nm、高さh:129nm。
次に、この基材の線状樹脂パターン側に、蒸発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度10Å/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、線状樹脂パターンの長手方向に垂直で、且つ基材面法線方向から45°傾いた斜め方向から、アルミニウムを膜厚50nmで電子ビーム蒸着し、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で45nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。実施例1と同様に再沈殿によって分取した樹脂をシート状にし、さらにそのシート表面に線状樹脂パターンを設け、そのパターンの凸部に金属層を形成しても、反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(実施例3)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを10重量%となるように60℃のトルエンに溶解させて得た溶液に、イソプロピルアルコールを80重量部攪拌させること以外は実施例1と同様の方法で、膜厚400μmのシートを作製し、シート表面のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
次に、実施例2と同様の方法にて、得られたシートの表面に金型を押し付け、線状樹脂パターンを形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンがられていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:58nm、高さh:128nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で46nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。実施例1と同様に、樹脂組成物を再沈殿にて分取する際に貧溶媒の添加量を変化させても、反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(参考例1)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを、分取用GPCを用いてポリスチレン換算分子量5,000以下の成分を除去し、固形物を得た。得られた固形物のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
上記固形物を35℃のシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1.5/1.5/1溶液中に20重量%の濃度となるように溶解させた。得られた溶液を100μm厚のポリエステルフィルム‘ルミラー’(登録商標)U46(東レ(株)製)上にメタバーを(♯30)を用いて塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚5μmの表層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の表層側に金型を押し付けたこと以外は、実施例2と同様の方法にて、線状樹脂パターンを形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:58nm、高さh:128nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で45nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。樹脂層に用いる樹脂組成物をGPC法によって分取し、さらに得られた固形物を溶媒に溶かして支持体へ塗布する方法で樹脂層を形成しても、実施例2と同様に反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(参考例2)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを、分取用GPCを用いてポリスチレン換算分子量5,000以下の成分を除去し、固形物を得た。得られた固形物のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
次に、得られた固形物をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1/1/1溶液80重量部に溶解させ、その溶液を、厚み0.6mmのガラス基材1737(Corning製)上にスリットダイコーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚8μmの表層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の表層側に金型を押し付けること以外は実施例2と同様の方法にて線状樹脂パターンを形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表2参照)。
「基材の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:59nm、高さh:128nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で44nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。支持体となる層に無機材料を用いても、実施例2と同様に反射型偏光板として十分な特性が得られるとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(参考例3)
金型として下記金型2を用いた以外は実施例4と同様の方法にて、線状樹脂パターンを形成した。
「金型2」
材質:ニッケル
ピッチ:130nm、凸部幅:80nm、凸部高さ:130nm
凹部断面形状:矩形状。
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表1参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:130nm、幅w:49nm、高さh:127nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは65nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で43nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。線状樹脂パターンのピッチならびに幅を小さくしたことにより、反射型偏光板として実施例2〜3、参考例1〜2よりも優れた特性が得られるとともに、より高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、線状樹脂パターンの形状が細かくなったにもかかわらず、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(参考例4)
金型として下記金型3を用いた以外は参考例1と同様の方法にて、線状樹脂パターンを形成した。
「金型3」
材質:ニッケル
ピッチ:120nm、凸部幅:75nm、凸部高さ:120nm
凹部断面形状:矩形状。
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表1参照)。
「基材の線状樹脂パターン」
ピッチp:120nm、幅w:43nm、高さh:116nm。
次いでアルミニウムの蒸着膜厚を45nmとした以外は実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した(表2参照)。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは58nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で41nmであった(表2参照)。
得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。線状樹脂パターンのピッチならびに幅をより小さくしたことで、反射型偏光板として実施例2〜3、参考例1〜2よりも優れた特性が得られるとともに、より高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、線状樹脂パターンの形状がより細かくなったにもかかわらず、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(実施例4)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン50mol%、エチレングリコール50mol%共重合したポリエステルを用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて再沈殿し、固形物を得た。この固形物を用いて、実施例1と同様の方法で、400μm厚のシートを作製し、そのシートの表層のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、得られた固形物のポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5000以下の成分含有率Wを求めた。
得られたシート基材を用いて、プレス温度を135℃、プレス解放温度を105℃としたこと以外は、実施例2と同様の方法にて線状樹脂パターンを形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:58nm、高さh:128nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは71nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で45nmであった(表1参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。樹脂層に用いる樹脂組成物のTgが異なる場合でも、再沈殿法によって分取したことで、反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。
(参考例5)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン50mol%、エチレングリコール50mol%共重合したポリエステルを、分取用GPCを用いてポリスチレン換算分子量5,000以下の成分を除去し、固形物を得た。得られた固形物のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
次に、参考例1と同様の方法にて積層体を作製し、プレス温度を135℃、プレス解放温度を105℃としたこと以外は参考例1と同様の方法にて、線状樹脂パターンを形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:59nm、高さh:129nm。
次いで実施例2と同様の方法にて、線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で45nmであった(表1参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。樹脂層に用いる樹脂組成物をGPCによって分取したことで、反射型偏光板として十分な特性が得られたとともに高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(参考例6)
膜厚100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート“ルミラー”(登録商標)U10(東レ(株)製)上に、下記光硬化性樹脂組成物を膜厚5μmで塗布した後、該塗布層と実施例1と同様の金型(金型1)を重ね合わせ、基材側から超高圧水銀灯で600mJ/cm2露光し、基材と金型を離型した。
「光硬化性樹脂組成物」
アデカオプトマー(登録商標) KRM−2199(旭電化工業(株)製)10重量部
アロンオキセタン(登録商標) OXT−221(東亞合成(株)製) 1重量部
アデカオプトマー(登録商標) SP170(旭電化工業(株)製) 0.25重量部。
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面を有する線状樹脂パターンが得られた(表1参照)。
「基材表面の線状樹脂パターン」
ピッチp:150nm、幅w:57nm、高さh:127nm。
真空雰囲気下で30℃−24時間保持した後、基材の表面を削り取り、熱分解開始温度Td、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
次いで実施例1と同様の方法にて、基材の線状樹脂パターン上に線状金属層を形成した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であり、凸部の総幅TWは71nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で45nmであった(表2参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。樹脂層に用いる樹脂組成物が光硬化性樹脂であっても、真空雰囲気下で保持して低分子量成分を取り除くことによって、反射型偏光板として十分な特性が得られるとともに、高い輝度向上効果が発現することがわかった。また、耐熱試験後も光学特性の低下がなく、良好な耐熱性を有することが分かった。
(比較例1)
実施例1と同組成のポリエステルについて、再沈殿またはGPCによる分取を行うことなく、そのまま用いること以外は実施例1と同様にして、膜厚150μmのシートを作製し、そのシート表面のガラス転移温度Tg、熱分解開始温度Td、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw、ポリスチレン換算数平均分子量Mn、ポリスチレン換算Z平均分子量Mz、多分散度Mw/Mn、多分散度Mz/Mw、Mw=5,000以下の成分含有率Wを求めた。
次に、実施例1と同様の方法にて、サンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図3(d)に示すような形態であり、線状金属層間のピッチは150nmで、凸部の総幅TWは70nmであった。なお、線状金属層の膜厚は、凸部頂部で100nmであった(表1参照)。
また、得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表2に示す。実施例1と比較すると明らかなように、樹脂層を形成する樹脂組成物が、ポリスチレン換算分子量Mw=5,000以下の低分子量成分を多く含んでいる場合、反射型偏光板としての光学特性が不足し、十分な輝度向上効果は得られなかった。
(比較例2)
参考例1のポリエステルを、再沈殿またはGPCによる分取を行うことなく、そのまま用いること以外はそれぞれ参考例1と同様の方法にてサンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、いずれも線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であった。凸部の総幅TW、線状金属層の膜厚測定した結果を表2に示す。
得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。参考例1と比較すると明らかなように、樹脂層を形成する樹脂組成物が、ポリスチレン換算分子量Mw=5,000以下の低分子量成分を多く含んでいる場合、反射型偏光板としての光学特性が不足し、十分な輝度向上効果は得られなかった。また、耐熱試験後には光学特性の低下が見られ、耐熱性が不十分であることが分かった。
(比較例3)
参考例5のポリエステルを、再沈殿またはGPCによる分取を行うことなく、そのまま用いること以外はそれぞれ参考例5と同様の方法にてサンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、いずれも線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であった。凸部の総幅TW、線状金属層の膜厚測定した結果を表2に示す。
得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表3に示す。参考例5と比較すると明らかなように、樹脂層を形成する樹脂組成物が、ポリスチレン換算分子量Mw=5,000以下の低分子量成分を多く含んでいる場合、反射型偏光板として光学特性が不足しており、十分な輝度向上効果は得られなかった。また、耐熱試験後には光学特性の低下が見られ、耐熱性が不十分であることが分かった。
(比較例4)
参考例6において、線状樹脂パターン形成後に真空雰囲気下で30℃−24時間保持しないこと以外は、参考例6と同様の方法にてサンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、いずれも線状金属層の形態は図4(e)に示すような形態であった。凸部の総幅TW、線状金属層の膜厚測定した結果を表3に示す。
得られたサンプルの透過率、偏光度、絶対反射率、およびそれらの波長依存性、輝度向上率、耐熱性の評価結果を表2に示す。参考例6と比較すると明らかなように、樹脂層を形成する光硬化性樹脂がポリスチレン換算分子量Mw=5,000以下の低分子量成分を多く含んでいる場合、反射型偏光板として光学特性が不足しており、十分な輝度向上効果は得られなかった。また、耐熱試験後には光学特性の低下が見られ、耐熱性が不十分であることが分かった。