JP3891266B2 - 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置 - Google Patents

導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3891266B2
JP3891266B2 JP2001387090A JP2001387090A JP3891266B2 JP 3891266 B2 JP3891266 B2 JP 3891266B2 JP 2001387090 A JP2001387090 A JP 2001387090A JP 2001387090 A JP2001387090 A JP 2001387090A JP 3891266 B2 JP3891266 B2 JP 3891266B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light guide
guide plate
light
lattice
plate according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001387090A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003207646A (ja
Inventor
秀幸 田中
敏之 管野
毅 小林
雅晴 古川
哲哉 斎藤
則晴 横森
芳幸 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Holdings Ltd filed Critical Fuji Electric Holdings Ltd
Priority to JP2001387090A priority Critical patent/JP3891266B2/ja
Publication of JP2003207646A publication Critical patent/JP2003207646A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3891266B2 publication Critical patent/JP3891266B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Light Guides In General And Applications Therefor (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Planar Illumination Modules (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネルの照明光のように決められた方向の偏光を出射する導光板およびこの導光板を用いる液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の表示機器などに使われる液晶パネル5’を用いた液晶表示装置においては、液晶パネル5’は自らは発光しないので、例えば、図65に示す様な照明装置6’と組み合わせて用いられる。図65に図示する照明装置6’は、光源2’として冷陰極管と、透明材料で成形された導光手段40’と、反射板手段30’ (30a’、30b’) と、から構成される。
光源2’から発した光3a’は導光手段40’に入射し、反射手段30’での反射を繰り返しながら導光手段40’内を進み、液晶パネル5’がある方向に出射する。この時、液晶パネル5’を均一に照明するように、導光手段40’の内外には、光を拡散させたり、あるいは指向性を持たせるような構造(詳しくは後述)を備える場合がある。
【0003】
液晶パネル5’は、液晶板52’を偏光板51’,53’により両側から挟むようにして配置されている。液晶板52’は、図示を省略した表示信号が加えられた部分52a’(以下、表示部分52a’)では入射する所定の向きの直線偏光をそのまま透過させ、表示信号が無い部分52b’(以下、透過部分52b’)では、所定の向きの直線偏光が入射すると、その偏光方向を90度回転させて出射するように動作する。このような機能は、ツイストネマティック型と呼ばれる液晶パネルで実用化されている。
【0004】
実際上のツイストネマティック型の液晶パネル5’は、偏光板51’を透過する直線偏光の向きと上述の無制御状態の液晶板52’を透過する直線偏光の向きとを一致させてあり、偏光板53’を透過する偏光の向きと偏光板51’を透過する偏光の向きとを直交させてある。
このような構成のもと、照明装置6’から光が出射されると、照明装置6’から偏光板51’へ進む非偏光な照明光(31j〜34j)は、液晶パネル5’の偏光板51’の偏光分離機能のため、照明装置6’からの入射光(31j〜34j)のうち偏光板51’を透過する紙面に垂直な偏光成分(31d〜34d)だけが透過する。
液晶板52’の図形や文字などの表示部分52a’、および、全体の背景光を構成する透過部分52b’に所定の向きの直線偏光31d〜34dが入射すると、表示部分52a’では偏光方向をそのままに31e,32eが透過し、また、透過部分52b’では偏光方向が90゜変換されて33e,34eが透過する。従って、液晶パネル5’全体としては、無制御状態の表示(透過部分52b’)では偏光板51’を透過する偏光の照明光は液晶パネル5’も透過して(直線偏光33f,34f)液晶パネル5’の全面を明るくし、図形や文字などの表示箇所(表示部分52a’)のみに電圧を印加して図形や文字パターン部分(表示部分52a’)では偏光板53’と直交する光が透過するが偏光板53’で吸収するため黒色の図形・文字パターンとして表示される。
このように、偏光板51’において、照明装置6’からの入射光(31j〜34j)では、透過する光31d〜34d以外の光(紙面に水平な両矢印で図示される偏光成分)、すなわち全光量の半分以上の光は吸収される。
【0005】
次に、従来技術による液晶表示装置・照明装置の開示例を説明する。図66は一連の特許、特許第2813131号公報「回折格子を利用したバックライト導光板」、特許第2865618号公報「導光板および導光板アセンブリ」、特許第2986773号公報「点光源用の導光板」に開示された液晶表示装置に係わり、高輝度と輝度の均一性を図るものである。
図66おいて、光源2’からバックライト導光板71に入射した光は、回折格子72で回折されて、拡散板75および集光用プリズムシート76を介して液晶パネル5’のバックライトとしての照明光が形成される。ここで、回折格子72はサブミクロンから数十ミクロンのピッチで形成し、バックライト導光板71の面上を均一に照らし、また、色収差を拡散板75で解決できることが述べられている。
これらの例に述べられた回折格子72は、光源から導光板内に入射した光を液晶パネルの方向に反射偏光するように用いられている。回折格子72の構造は、上記特許公報に開示されているように正弦波形状、鋸歯形状(ブレーズ形状)、矩形形状などのように単一の形状の繰り返しによるものである。
【0006】
図67は特開平5−142536号公報「照明装置」に開示され、ケーシング77内に一組の光源2’と、この光源2’の間の空間に対向させて配置した反射板77aと、拡散板78と、を有する照明装置であって、更に反射板77aと拡散板78との間に形成される空間に、光源2’から遠ざかるに従って反射板77aとの距離が小さくなる傾斜を有し、かつ光源2’から遠ざかるに従って孔径が大きくなる孔80を多数形成した調光板79が設けられている。
かかる構成により、反射板77aと拡散板78とで反射面および拡散面が形成され、調光板79がケーシング77内の光に対して反射・拡散の両方の機能を営み、孔80の孔径と分布密度により、照明装置の軽量化を可能にして均一な光分布を効率よく形成することが述べられている。
【0007】
図68は特開平8−286043号公報「液晶表示装置の照明用導光板およびその製造方法」に開示され、透光性導光板81の下面に光拡散フィルム82が一体に形成され、透光性導光板81のもう一方の表面にプリズム形状が形成されている。かかる構成により、液晶表示装置への照明光の均一化を図ることができ、従来技術で行われている透光性導光板81の下面のドットパターン印刷の除去や、このドットパターンを見えなくするため、 例えば図66で述べた拡散板75や集光用プリズムシート76の設置によるバックライトの組み立ての煩雑さや、拡散板75の設置による光の利用効率が悪いなどの問題を解決できることが述べられている。
【0008】
また、図69は特開平9−306221号公報「バックライト用照明装置」に開示され、導光板86の背面86a側に施される反射処理87は、光源2’の軸に沿う線状の反射カット87aが形成され、拡散板88は、照明側の表面を光源2’の軸に平行する凹凸面88aとしてあるバックライト用照明装置としたことで、導光板86の背面86aでほぼ全反射を行い、反射効率に優れる反射カット87aを施したときにも、拡散板88に形成した凹凸面88aでこの拡散板88に従来技術による拡散板以上の拡散作用を与えることができ、輝度ムラの防止と明るさの向上を図ることができる。
【0009】
また、図70は特開平5−196820号公報「バックライト導光板」に開示され、液晶パネル5’の後方に光を導く導光板89を備え、その片側もしくは両面の端部に管状の光源2’を備え、この導光板89の後面に側方向から入射されてくる光を前方に反射する微小な反射面89aを形成し、更に粘着テープ91およびV形位置決め爪93からなる光源2’の取付けの位置決め構造を備えることにより、コンパクトで画面が明るく、駆動電力が少なくてすむバックライト光を形成することができる。
【0010】
また、特開平11−281978号公報「バックライトの製造方法および液晶表示装置」は、図71に示すように、液晶板95aの表裏を偏光板95b,95cで挟んでなる液晶パネル95dの表示面の裏面に、拡散板95eと、ホログラム95fを有する導光板95gと、λ/4板95hと、反射板95iを設けたものであり、光源2’から導光板95gに入射した光をホログラム95fが偏光分離し、両偏光を利用することで光利用効率を向上する構成が開示されている。
【0011】
また、特開2001−188126号公報「偏光分離プリズムシートおよび照明装置」には図72に示すように、液晶板96aの表裏を偏光板96b,96cで挟んでなる液晶パネル96dの表示面の裏面に、凹凸形状を有する透光性支持体96eの表面に液晶層96fを有する偏光分離プリズムシート96gと、1/4波長板96hと、導光板96iと、反射板96jを備える照明装置96kを設けたものであり、光源2’から導光板96iに入射する光を偏光分離し、両偏光を利用することで光利用効率を向上する構成が開示されている。
【0012】
また、特開2001−188126号公報に示された構成と同様の考えかたで両偏光を利用し光利用効率を向上する構成が特開平10−253830号公報および特開平11−149074号公報にも述べられている。
また、特開平9−274109号公報「シート状偏光素子及びこれを用いた液晶表示素子」にはシート状のプリズムを利用して導光板に入射する光を偏光分離し、両偏光を利用することで光利用効率を向上する構成が開示されている。
【0013】
その他、特開平10−253830号公報「バックライトユニット」にも、偏光分離機能を有する素子を用いるバックライトが開示されている。
これらの構成では、偏光分離機能を有する素子を用いることによって光利用効率を向上させ、画面が明るく、駆動電力が少なくて済むバックライト光を形成することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術として、図65〜図70を用いて説明したような液晶表示装置・照明装置では、導光板のエッジに配置された光源から液晶パネルなどへの背面に照明する面光源の光輝度性と輝度の均一性が図られている。しかし、液晶パネル自身は、決まった向きの偏光だけを使う被照明対象機器であり、液晶パネルへの入射光の半分は偏光板で除去されて利用されていないという問題点があった。
【0015】
また、他の従来技術として、図71,図72を用いて説明したような液晶表示装置・照明装置では、偏光分離素子を用いることにより、従来は照明に寄与していなかった偏光成分も有効に利用するようにした構成も提案されている。しかしこれらの構成では、偏光分離素子や位相板が新たな部品として加わるため、装置全体の大型化、高コスト化を招く問題があった。
【0016】
本発明は前記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、液晶パネルなどの偏光板で入射が阻止される偏光成分を、導光手段の表面に設けられた格子構造体である偏光分離手段により導光手段内に戻し、偏光変換手段で直線偏光方向を変換させつつ反射板である反射手段により再び偏光分離手段へ入射させることにより、液晶パネルで入射される偏光成分として取り出すようにしたため、従来では有効活用されていない光の偏光成分を取り出せるようにし、発光素子などの部品の点数を削減し、消費電力も減少させるような導光板およびこの導光板を備えた液晶表示装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、導光板を改良し、さらに、このような導光板を採用した液晶表示装置としたため、大幅な薄型化・部品数低減と輝度向上とを共に実現する。
請求項1に係る発明の導光板によれば、
光の偏光方向に応じて反射光と透過光とを分離する偏光分離手段と、
光を反射する反射手段と、
透過する光に対してθ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与える偏光変換手段と、
前記偏光分離手段と前記反射手段との間に前記偏光変換手段を挟み、これらが一体となるように設けた導光手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に係る発明の導光板によれば、
請求項1に記載の導光板において、
好ましくは、前記偏光変換手段の80%以上の領域で、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは45゜≦θ≦135゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に係る発明の導光板によれば、
請求項1または請求項2に記載の導光板において、
さらに好ましくは、前記偏光変換手段の60%以上の領域で、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子からなる格子構造体とすることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に係る発明の導光板によれば、
請求項4に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形という凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項6に係る発明の導光板によれば、
請求項5に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が、0.3〜0.8μm、格子深さが0.2〜0.5μmであることを特徴とする。
【0023】
また、請求項7に係る発明の導光板によれば、
請求項6に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項8に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層を加えた格子構造体であることを特徴とする。
【0025】
また、請求項9に係る発明の導光板によれば、
請求項8に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造であることを特徴とする。
【0026】
また、請求項10に係る発明の導光板によれば、
請求項9に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmであり、
前記格子構造体の表面に設けられる表面層は、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に積層した複数層である、
ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項11に係る発明の導光板によれば、
請求項10に記載した導光板において、
前記格子構造体は、前記誘電体格子と前記表面層との間に0を超えて100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)層を備えることを特徴とする。
【0028】
また、請求項12に係る発明の導光板によれば、
請求項11に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする。
【0029】
また、請求項13に係る発明の導光板によれば、
請求項8〜請求項12の何れか一項に記載の導光板において、
前記格子構造体は、前記誘電体格子の表面に、
スピンコーター法あるいはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後で溶媒を除去する工程を一度または複数回繰り返して形成した表面層、
または、
蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより、一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を形成した表面層、
を備えることを特徴とする。
【0030】
また、請求項14に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の凹部に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、または、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層、を加えた格子構造体であることを特徴とする。
【0031】
また、請求項15に係る発明の導光板によれば、
請求項14に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする。
【0032】
また、請求項16に係る発明の導光板によれば、
請求項15に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmであり、
前記格子構造体の凹部に設けられる表面層は、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に積層した複数層である、
ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項17に係る発明の導光板によれば、
請求項16に記載した導光板において、
前記格子構造体は、誘電体格子と表面層との間に0を超えて100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)層を備えることを特徴とする。
【0034】
また、請求項18に係る発明の導光板によれば、
請求項17に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする。
【0035】
また、請求項19に係る発明の導光板によれば、
請求項14〜請求項18の何れか一項に記載の導光板において、
前記格子構造体は、誘電体格子の表面に、
スピンコーター法あるいはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後で溶媒を除去し、さらに誘電体格子の凸部の頂上にある物質のみを除去する工程を一度あるいは複数回繰り返して凹部に形成した一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる表面層、
または、
蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより、物質を付けた後で凸部の頂上にある物質のみを除去する工程を一度あるいは複数回繰り返して凹部に形成した一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる表面層、
を備えることを特徴とする。
【0036】
また、請求項20に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質が積層状に形成された凸部の周期的な繰り返し構造である格子からなる格子構造体とすることを特徴とする。
【0037】
また、請求項21に係る発明の導光板によれば、
請求項20に記載の導光板において、
前記格子構造体は、その断面形状が矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする。
【0038】
また、請求項22に係る発明の導光板によれば、
請求項21に記載の導光板において、
前記格子構造体は、
スピンコーター法またはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後、溶媒を除去する工程を複数回繰り返し形成した、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる膜、
または、
蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより形成した、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる膜、
に対してエンボス加工を行うことにより形成された格子であることを特徴とする。
【0039】
また、請求項23に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子を設けた格子構造体であることを特徴とする。
【0040】
また、請求項24に係る発明の導光板によれば、
請求項23に記載の導光板において、
前記格子構造体の金属格子は、反射率が60%以上の金属薄膜により形成されることを特徴とする。
【0041】
また、請求項25に係る発明の導光板によれば、
請求項24に記載の導光板において、
前記金属格子の金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする。
【0042】
また、請求項26に係る発明の導光板によれば、
請求項23〜請求項25の何れか一項に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組み合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする。
【0043】
また、請求項27に係る発明の導光板によれば、
請求項26に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が0を超えて0.4μm以下、格子深さが0を超えて0.2μm以下であることを特徴とする。
【0044】
また、請求項28に係る発明の導光板によれば、
請求項27に記載の導光板において、
前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を複数組み合わせて形成した凸部であることを特徴とする。
【0045】
また、請求項29に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、導光手段、透明基板、または透明フィルムに対して金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子を設けた格子構造体とすることを特徴とする。
【0046】
また、請求項30に係る発明の導光板によれば、
請求項29に記載の導光板において、
前記格子構造体は、反射率が60%以上の金属薄膜である金属格子を形成した格子構造体であることを特徴とする。
【0047】
また、請求項31に係る発明の導光板によれば、
請求項30に記載の導光板において、
前記金属格子の金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする。
【0048】
また、請求項32に係る発明の導光板によれば、
請求項30または請求項31に記載の導光板において、
前記金属格子の金属薄膜の膜厚は0.05μm以上、格子の周期Tは0.05〜0.25μmであり、格子の幅は、格子の周期Tに対して0.25T〜0.85Tの範囲であることを特徴とする。
【0049】
また、請求項33に係る発明の導光板によれば、
請求項29〜請求項32の何れか一項に記載の導光板において、
導光手段、透明基板、または透明フィルムと、前記金属格子と、の間に下地層が形成され、
前記金属格子および前記下地層の表明に保護膜を形成することを特徴とする。
【0050】
また、請求項34に係る発明の導光板によれば、
請求項29〜請求項33の何れか一項に記載の導光板において、
前記金属格子は、導光手段、透明基板、透明フィルムまたは下地層の表面に縞状の格子パターンを有するマスクを通して、蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,またはドライエッチング法の何れかにより形成することを特徴とする。
【0051】
また、請求項35に係る発明の導光板によれば、
請求項29〜請求項34の何れか一項に記載の導光板であって、透明フィルムの表面側に金属薄膜からなる金属格子が形成された格子構造体を有する導光板において、
前記格子構造体は、透明フィルムに金属格子を形成した後、その透明フィルムを縞方向に延伸して金属格子を微細なパターンとし、透明フィルムと共に導光手段または透明基板上に貼り付けて形成することを特徴とする。
【0052】
また、請求項36に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項35の何れか一項に記載の導光板において、
前記導光手段は樹脂を材料とし、前記偏光変換手段を複屈折分布とすることを特徴とする。
【0053】
また、請求項37に係る発明の導光板によれば、
請求項36に記載の導光板において、
前記導光手段の材料は、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、エボキシ系樹脂、または、オレフィン系樹脂の何れかであることを特徴とする。
【0054】
また、請求項38に係る発明の導光板によれば、
請求項36または請求項37に記載の導光板において、
異方配向したスキン層により内部複屈折を形成したことを特徴とする。
【0055】
また、請求項39に係る発明の導光板によれば、
請求項36〜請求項38の何れか一項に記載の導光板において、
樹脂を材料とする導光手段は配向が大きいことを特徴とする。
【0056】
また、請求項40に係る発明の導光板によれば、
請求項36〜請求項39の何れか一項に記載の導光板において、
導光手段を形成した樹脂には主材と異なる、異方性を有する樹脂ポリマを所定量含むことを特徴とする。
【0057】
また、請求項41に係る発明の導光板によれば、
請求項40に記載の導光板において、
主材と異なる樹脂ポリマはスチレンビーズないし液晶ポリマであることを特徴とする。
【0058】
また、請求項42に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項41の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は、前記導光手段のうち光が入射される面と、偏光分離手段が形成される面と、を除く面のすべてまたは一部に設けられることを特徴とする。
【0059】
また、請求項43に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段の一部又は全部は微細な凹凸からなる拡散性ホログラム、体積型拡散性ホログラム、または、スペックル拡散面の何れかとし、前記偏光分離手段に向けて拡散反射することを特徴とする。
【0060】
また、請求項44に係る発明の導光板によれば、
請求項43に記載の導光板において、
前記反射手段の拡散性ホログラム、体積型の拡散性ホログラム、または、スペックル拡散面に金属反射膜を形成することを特徴とする。
【0061】
また、請求項45に係る発明の導光板によれば、
請求項43または請求項44に記載の導光板において、
前記反射手段の中の一つの拡散性ホログラムは、ひとつの入射光を複数の出射光に分岐する機能を有し、P(x)の位相差分布を有する入射光をi番目の出射光に変換する機能を表す位相差分布をP(x)とし、上記数1の数式で表される位相差分布P(x)を有することを特徴とする。
【0062】
また、請求項46に係る発明の導光板によれば、
請求項45に記載の導光板において、
前記反射手段の拡散性ホログラムの位相差分布が前記P(x)となるように、表面形状D’(x)が、上記数2の数式で表されることを特徴とする。
【0063】
また、請求項47に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は金属により形成されることを特徴とする。
【0064】
また、請求項48に係る発明の導光板によれば、
請求項47に記載の導光板において、
金属が、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする。
【0065】
また、請求項49に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は誘電体多層膜により形成されることを特徴とする。
【0066】
また、請求項50に係る発明の導光板によれば、
請求項49に記載の導光板において、
前記誘電体多層膜に金属反射膜を形成することを特徴とする。
【0067】
また、請求項51に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は印刷により形成されるパタンであることを特徴とする。
【0068】
また、請求項52に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は散乱面であることを特徴とする。
【0069】
また、請求項53に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項52の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、前記光源から位置が遠ざかるにつれて透過率を高くすることを特徴とする。
【0070】
また、請求項54に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項53の何れか一項に記載の導光板において、
前記偏光分離手段は、光源から入射される光に対して直交するように格子構造体が形成されることを特徴とする。
【0071】
また、請求項55に係る発明の導光板によれば、
請求項1〜請求項54の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射手段は、前記光源から位置が遠ざかるにつれて反射率を高めることを特徴とする。
【0072】
また、請求項56に係る発明の液晶表示装置によれば、
光源と、
前記光源から出射される光のうち互いに直交する二の偏光成分の一方の偏光成分を透過する請求項1〜請求項55の何れか一項に記載の導光板と、
前記導光板から出射される偏光が照明される液晶パネル板と、
を備えることを特徴とする。
【0073】
また、請求項57に係る発明の液晶表示装置によれば、
請求項56に記載の液晶表示装置において、
前記液晶パネル板は、
液晶板と、
この液晶板の表裏に配置され、偏光方向を直交させた一対の偏光板と、
を備え、
前記偏光変換手段を透過する偏光の偏光方向と、液晶パネルと導光板との間にある偏光板を透過する偏光の偏光方向と、を直交させるように前記偏光変換手段および偏光板を配置することを特徴とする。
【0074】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明の導光板の第1実施形態について図を参照しつつ説明する。図1,図2は導光板の概略構成図、図3は冷陰極管から出射される光のスペクトル特性図である。本実施形態では、最も上位概念の導光板1であり、図1で示すように偏光分離手段10、偏光変換手段20、反射手段30、導光手段40を備え、特に、導光手段40は、偏光分離手段10と反射手段30との間に挟まれ、かつ偏光変換手段20を内部含むように一体になされている。
なお、導光手段40は、図2で示すように、傾斜を有するような形状(楔(くさび)形形状)としても良い。
【0075】
続いてこれら構成について説明する。なお、導光板1は一方向の偏光の輝度向上率を改善するという機能を有する点を説明するため、光源2から入射される光にどのような作用を及ぼすかについて説明する。
図1で示すように、光源2は光を出射する。この光は、反射手段30の反射面と偏光分離手段10の偏光分離面の間を交互に反射しつつ進む。
【0076】
このうち偏光分離手段10は、光の偏光方向に応じて反射光と透過光とを分離する機能を有している。偏光分離手段10に到達した光のうち、偏光分離手段10は、図1で示す方向のp偏光を透過光として透過させ、s偏光を反射光として反射させるものとする。
なお、本明細書の説明におけるp偏光とs偏光とは、後に詳述するが図1で示すように、格子構造体の形成方向を基準に決定されるものであり、格子構造体の形成方向に対して垂直な方向をp偏光と、格子構造体の形成方向に対して水平な方向をs偏光と定義する。
【0077】
さて、偏光分離手段10から反射した光(s偏光)は、偏光変換手段20を透過する。この偏光変換手段20は、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内にあって、nは整数である)という条件(以下、条件1という)を満たす複屈折位相差を付与する。透過した光は反射手段30へ到達する。
反射手段30は、到達した光を反射させ、偏光変換手段20および偏光分離手段10へ向かわせる。本実施形態では反射手段30は単に反射するものとして説明しているが、反射方向等を制御できるような各種の反射手段30を採用することも可能である。反射手段30の詳細については後述する。
【0078】
偏光変換手段20では、再度、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内にあって、nは整数である)という条件1を満たす複屈折位相差を付与する。偏光変換手段20を透過した光は偏光分離手段10へ到達する。
これで、偏光分離手段10・反射手段30間を往復する際に、光に対して合計2・θ +n・360゜(但し、2・θは60゜≦2・θ≦300゜の範囲内にある。)の複屈折位相差が付与される。これは180゜を中心に±120゜までの範囲に含まれるように複屈折位相差が付与されることを意味している。
【0079】
光に180゜の複屈折位相差を与える、つまり、1/2波長の位相をずらすと光の偏光方向は90゜変換されることは良く知られており、この偏光変換手段20から偏光分離手段10へ入射される光は、90゜を中心に所定範囲内(90゜を中心に±60゜の範囲、つまり30゜≦α≦150゜)に偏光方向が変換されており(つまりs偏光がp偏光成分を含む光に変換されており)、偏光成分(p偏光)が偏光分離手段10を透過して出射されることとなる。
【0080】
なお、偏光分離手段10を透過できずに反射されたs偏光成分も再度同様の光路を経て、最終的には偏光分離手段10を透過する。
なお、偏光分離手段10の偏光分離面で反射されたs偏光成分が、反射手段30の下側の反射面で一度反射されてたとしても、必ずしもすべての光が偏光分離手段10の偏光分離面に至るものではないが、偏光分離面と反射面との間で多重反射される過程で統計的にp偏光に変換され、偏光分離手段10の偏光分離面を透過する。このように光を無駄なく利用するため、輝度向上率を改善することができる。
なお、本実施形態では、図2で示すように導光手段40をくさび形にして反射手段30を傾斜させ、入射する光に対して偏光分離手段10に向けて確実に反射させるようにすることもできる。
【0081】
本実施形態の偏光変換手段20は、透過する光に対して複屈折位相差がθ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内にあって、nは整数である)付与するものであると説明した。この場合、光源2が出射する光の波長に応じて付与する複屈折位相差が異なる。以下、この点について概略説明する。
【0082】
光源2は、具体的には、単色光源または白色光源があり得る。
単色光源ならば特定波長(例えば、赤700nm、緑546.1nm、あるいは、青435.8nmという単波長)のレーザ光を出力するレーザダイオード・単色LEDなどがある。
白色光源ならば、冷陰極管光源あるいは白色LED光源(LEDチップから放射される紫外光を蛍光材料によって白色光に変換する光源)ように広い範囲の波長にわたって光を放射する光源がある。さらに、補色関係にある2色、あるいはRGB3原色など単色の光を複数放射して白色光を得る白色LED光源などさまざまな光源がある。このような白色光源は、例えば、図3で示すスペクトル特性図からも明らかなように広い帯域で異なる波長の複数の光を含んでいる。
【0083】
続いて、偏光変換手段20が付与する複屈折位相差は、光の波長に依存し、使用する光源2の種類によって条件が相違する点について説明する。
例えば、光源が単波長の光を出力するレーザ光などの単色光源の場合、光の波長は狭帯域である。したがって、その光源の波長で複屈折位相差が条件1を満たし、好ましくは複屈折位相差が90゜となるように決定する。
偏光変換手段20は、透過する光に対して複屈折位相差がθ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内)に付与するものであるが、この複屈折位相差は角度以外に長さで表すことも可能である。n=0とすると、以下のようになる。
【0084】
レーザ光の波長が700nmならば、
700nm・30゜/360゜=58.3nm
700nm・150゜/360゜=291.7nm
つまりn=0の場合58.3nm〜291.7nmの範囲に複屈折位相差を付与できれば条件1を満たし、このうち90゜となる175nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。
【0085】
同様に、レーザ光の波長が550nmならば、
550.0nm・30゜/360゜=45.8nm
550.0nm・150゜/360゜=229.2nm
つまりn=0の場合45.8nm〜229.2nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる137.5nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。
【0086】
同様に、レーザ光の波長が400nmならば、
400.0nm・30゜/360゜=33.3nm
400.0nm・150゜/360゜=166.7nm
つまりn=0の場合33.3nm〜166.7nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる100.0nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。
【0087】
さて、条件1は、光のs偏光成分は、偏光分離手段10と反射手段30を一往復する間に、偏光変換手段20の作用を受けて大部分がp偏光となることを前提としている。なお、一往復ではなく二往復等多くの光路をとる光もあるが、概ね反射手段30の反射面で反射して再び偏光分離手段10の偏光分離面に至る。したがって偏光変換手段20が与える複屈折位相差は導光板10の厚さ方向に概ね90゜程度であって、複屈折位相差がθ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内)に付与するものが望ましい。
【0088】
上記したように単色光源では、偏光変換手段20が付与する複屈折位相差の決定には困難はない。しかしながら、光源2が、白色光源、つまり冷陰極管光源・白色LED光源の場合のように広い範囲の波長にわたって光を放射する光源の場合は、条件1を満たす複屈折位相差の決定は単純ではない。
本発明の偏光変換手段20では、その点を解決するため、可視領域において光源が白色光として支配的に作用している波長領域の概ね中央付近の波長において条件1を満たす(複屈折位相差を90゜付与する)ように決定することとした。また、補色関係にある2色やRGB3原色など単色の光を複数放射して白色光を得る白色LED光源の場合にはそれら2色ないし3色などの波長の概ね中央付近の波長において条件1を満たす(複屈折位相差を90゜付与する)ように決定することとした。
【0089】
例えば、白色光源が400nm、550nmおよび700nm(説明の簡単化のため、波長を簡単な数値としている)というRGB三原色のレーザを出射して白色光とする光源である場合について説明する。この場合の中央付近の波長とは、550nmであり、複屈折位相差を長さで表すと、n=0の場合、45.8nm〜229.2nmの範囲に複屈折位相差を付与するというものである。しかしながら、上記計算の通り波長700nmの光では、175nmの複屈折位相差を付与する場合90゜の複屈折位相差が付与され、また、波長400nmの光では100nmの複屈折位相差を付与する場合に90゜の複屈折位相差が与えられる。これらは、45.8nm〜229.2nmの範囲に含まれる複屈折位相差であり、3原色全部の波長に対し90゜近くの複屈折位相差が付与される。したがって、本実施形態の条件1の偏光変換手段20を備える導光板では白色光源でも適用できるものである。
【0090】
本実施形態では、偏光分離手段10と反射手段30との間に偏光変換手段20を配置したため、偏光分離手段10の偏光分離面を反射したs偏光が反射手段30から反射して再度偏光分離手段10の偏光分離面へ入射する際に、光が偏光変換手段20を往路・復路で二度透過してs偏光からp偏光成分を含む(偏光方向を90゜変換すれば全成分がp偏光となる)ように偏光方向を変換して、偏光分離手段10を透過できるようにすることができる。
かかる構成を採用することにより、直交する二方向の偏光のうちの一方の偏光のみを従来より高い効率で取り出し、輝度向上率を向上させることができるという利点がある。
【0091】
続いて第2実施形態について説明する。本発明では、輝度向上率をさらに高めるため、上記の偏光変換手段20のうち領域面積の約80%は、好ましくは、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは45゜≦θ≦135゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件(以下条件2という)を満たすように複屈折位相差を付与するものである。
この場合も、光源の種類によって変化するものであり、例えば、単色光源の場合、偏光変換手段20は、透過する光に対して複屈折位相差がθ+n・180゜(但し、θは45゜≦θ≦135゜の範囲)内に付与するものである。先ほどの計算と同様、複屈折位相差を長さで表すと、n=0の場合、以下のようになる。
【0092】
波長が700nmならば、
700nm・45゜/360゜=87.5nm
700nm・135゜/360゜=262.5nm
つまりn=0の場合87.5nm〜262.5nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる175nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の58.3nm〜291.7nmの範囲よりも狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設定(設定の具体的手法については後述する)する必要が生じる。
【0093】
同様に、波長が550nmならば、
550.0nm・45゜/360゜=68.8nm
550.0nm・135゜/360゜=206.3nm
つまりn=0の場合68.8nm〜206.3nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる137.5nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の45.8nm〜229.2nmの範囲よりも範囲が狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設定する必要が生じる。
【0094】
同様に、波長が400nmならば、
400.0nm・45゜/360゜=50.0nm
400.0nm・135゜/360゜=150.0nm
つまりn=0の場合50.0nm〜150.0nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる100.0nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の33.3nm〜166.7nmの範囲よりも範囲が狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設定する必要が生じる。このように、単色光源の場合は適用に問題はない。
【0095】
また、白色光源が400nm、550nmおよび700nmというRGB三原色のレーザを出射して白色光とする光源である場合は、中央付近の波長550nmに光に対して条件2を満たすような複屈折位相差とするものであり、複屈折位相差を長さで表すと、n=0の場合、68.8nm〜206.3nmの範囲に複屈折位相差を付与するというものである。しかしながら、上記計算の通り波長700nmの光では、175nmの複屈折位相差を付与する場合90゜の複屈折位相差が付与され、また、波長400nmの光では100nmの複屈折位相差を付与する場合に90゜の複屈折位相差が与えられる。これらは、68.8nm〜206.3nmの範囲に含まれる複屈折位相差であり、3原色全部の波長に対し90゜近くの複屈折位相差が付与される。したがって、本実施形態の条件2の偏光変換手段20を備える導光板では白色光源でも適用できるものである。
【0096】
かかる構成により、偏光変換手段20を往復して二度透過した場合に、合計2・θ +n・360゜(但し、2・θは90゜≦2・θ≦270゜の範囲内にある。)これは180゜を中心に±90゜までの範囲に含まれるように複屈折位相差が付与されることを意味している。この場合、偏光分離手段10へ入射する光は、90゜を中心に所定範囲内(90゜を中心に±45゜:45゜≦α≦135゜)に偏光方向が変換されており、先に偏光分離手段10で反射した光のうち、透過可能な偏光成分が偏光分離手段10を透過して出射されることとなる。
本発明では、偏光変換手段20による偏光の変換方向の範囲(90゜を中心にして±45゜の範囲内)を狭めて出力するようにしたため、s偏光がより多くのp偏光成分を含む光となるように偏光方向を変換して、より多くの光を偏光分離手段10を透過できるようになり、輝度向上率を増大させることができる。
かかる構成を採用することにより、第1実施形態よりもさらに高い効率で偏光を取り出せる領域を80%以上確保して、輝度向上率をより向上させることができるという利点がある。
【0097】
続いて第3実施形態について説明する。本発明では、輝度向上率をさらに改善するため、上記の偏光変換手段20のうち領域面積の約60%は、好ましくは、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件(以下条件3という)を満たすように複屈折位相差を付与するものである。
この場合も、光源の種類によって条件3は変化するものであり、例えば、単色光源の場合、偏光変換手段20は、透過する光に対して複屈折位相差がθ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内に付与するものである。複屈折位相差は長さで表すことも可能であり、これは、n=0の場合、以下のようになる。
【0098】
波長が700nmならば、
700nm・60゜/360゜=116.7nm
700nm・120゜/360゜=233.3nm
つまりn=0の場合116.7nm〜233.3nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる175nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の58.3nm〜291.7nmの範囲、条件2の87.5nm〜262.5nmよりも範囲が狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設定する必要が生じる。
【0099】
同様に、波長が550nmならば、
550.0nm・60゜/360゜=91.7nm
550.0nm・120゜/360゜=183.3nm
つまりn=0の場合91.7nm〜183.3nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる137.5nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の45.8nm〜229.2nmの範囲、条件2の68.8nm〜206.3nmの範囲よりも範囲が狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設計する必要が生じる。
【0100】
同様に、波長が400nmならば、
400.0nm・60゜/360゜=66.7nm
400.0nm・120゜/360゜=133.3nm
つまりn=0の場合66.7.nm〜133.3nmの範囲に複屈折位相差を付与できればよく、このうち90゜となる100.0nm程度の複屈折位相差をより多く付与する偏光変換手段20にすれば良い。この場合、条件1の33.3nm〜166.7nmの範囲よりも範囲、条件2の50.0nm〜150.0nmの範囲よりも狭まっているため、偏光変換手段20を厳密に設定する必要が生じる。このように、単色光源の場合は適用に問題はない。
【0101】
また、白色光源が400nm、550nmおよび700nmというRGB三原色のレーザを出射して白色光とする光源である場合は、中央付近の波長である550nmであり、複屈折位相差を長さで表すと、n=0の場合、91.7nm〜183.3nmの範囲に複屈折位相差を付与するというものである。しかしながら、上記計算の通り波長700nmの光では、175nmの複屈折位相差を付与する場合90゜の複屈折位相差が付与され、また、波長400nmの光では100nmの複屈折位相差を付与する場合に90゜の複屈折位相差が与えられる。これらは、91.7nm〜183.3nmの範囲に含まれる複屈折位相差であり、3原色全部の波長に対し90゜近くの複屈折位相差が付与される。したがって、本実施形態の条件3の偏光変換手段20を備える導光板では白色光源でも適用できるものである。
【0102】
かかる構成により、偏光変換手段20を往復して二度透過した場合に、合計2・θ +n・360゜(但し、2・θは120゜≦2・θ≦240゜の範囲内にある。)これは180゜を中心に±90゜までの範囲に含まれるように複屈折位相差が付与されることを意味している。この場合、偏光分離手段10への入射光は、90゜を中心に所定範囲内(90゜を中心に±30゜:60゜≦α≦120゜)に偏光方向が変換されており、先に偏光分離手段10で反射した光のうち、透過可能な偏光成分が偏光分離手段10を透過して出射されることとなる。
本発明では、偏光変換手段20は偏光の変換方向の範囲(90゜を中心にして±30゜の範囲内)を狭めて出力する領域を60%以上確保して、輝度向上率をより改善させることができるという利点がある。
【0103】
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものである。図4〜図7は格子構造体の断面形状図である。
本実施形態の偏光分離手段10は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子からなる格子構造体を採用したものである。この格子構造体の断面形状は、例えば、図4に示すような矩形、図5に示すような台形、図6に示すような三角形、図7に示すような正弦波という凸部のいずれかの形状、または、図示しないがこれら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造である。そして、繰り返し周期はpである。
これら格子構造体は、導光手段40に格子構造体が直接形成される場合、透明基板上に格子構造体が形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルムに対して格子構造体が形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
【0104】
このような格子構造体の偏光分離機能について、説明する。図8は格子構造体と透過光の関係を説明する原理図である。図8で示すように誘電体により形成された格子構造体100は、図示例では、格子構造体100の格子形成方向であるY軸方向に伸びるようになされている。この格子構造体に入射する、X軸方向の偏光成分(p偏光)およびY軸方向の偏光成分(s偏光)を有する光3を考える。このような光3が格子構造体100に入射すると、X軸方向の偏光成分の光(p偏光)のみがZ軸方向に透過するが、Y軸方向の偏光成分(s偏光)は格子構造体100で反射されてZ軸の下方向に戻される。つまり、本実施形態の偏光分離手段10は、このような格子構造体100の材質(誘電体)と形状・寸法によって、偏光が透過あるいは反射する性質を利用するものである。
このように格子構造体100は偏光分離機能を有しているが、格子構造体100の周期がpの場合、波長がp近傍の光(波長程度の光)を主に透過させるものである。したがって、本実施形態の格子構造体100を用いる偏光分離手段10は、光源は単波長を出力する単色光源とするが好ましい。
【0105】
このような断面形状を有する格子構造体100の偏光分離機能は、電磁界理論による光波の数値解析シミュレーションによっても、明らかにされている。
ここで、格子構造体の断面形状は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が、0.3〜0.8μm、格子深さが0.2〜0.5μmとすることが好適である点について図を参照しつつ説明する。
【0106】
図9〜図12は格子構造体の概略的な構成図、図13〜図16は、格子構造体の偏向分離特性図である。
これら図9〜図12に示される格子構造体に光を入射したときの偏光分離特性の計算機によるシミュレーション結果の偏向分離特性が、図13〜図16に示されている。図9、10、11、12は、それぞれ矩形、台形、正弦波形、三角形の格子構造体であり、いずれも、格子周期p=0.55μm、格子深さh=0.28μm、屈折率がn=1.49である。この格子構造体に可視光の波長域の光(400nm〜700nmの波長の光)を垂直入射させた場合に、格子構造体の形成方向に平行な偏光成分(s偏光)の反射率(Rs)と、格子構造体の形成方向に垂直な偏光成分(p偏光)の透過率(Tp)の、波長依存性を、それぞれ図13、14、15、16に示す。格子周期p=0.55μmよりやや大きい波長域において、反射率Rsが高くなっている。これら4個の分離特性図において、格子周期pより大きい波長を有する光(波長550nmの光)のうちp偏光は効率0.9程度で透過し、s偏光は効率0.5〜0.8程度で反射するという点が示されており、良好な偏光分離特性が得られる。
【0107】
なお、上記格子構造体以外にも、誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部としても良い。図17は、例えば、多段形状の凸部を説明する断面図である。
図17に例示したように、格子構造体の形状または構造は、微細な凹凸(図17では凹凸に加えてさらに微細な凹凸が形成されている)であり、光の波長程度以下の周期pで形成される凸部は、幅の狭い溝部101と、この溝部101に段差をなして形成される幅の広い溝部102と、を多数繰り返し形成したものである。このように、矩形の上にさらに矩形の格子として断面凸字状の格子構造としても良い。
【0108】
続いて、表面形状を多段とする理由について説明する。これは製造上の利便性によるものである。
誘電体格子の断面形状は、先に説明したように矩形、台形、正弦波状または三角形状の凸部による格子構造体であることが好ましい点について説明したが、これら凸部を厳密に形成することが困難な場合もある。そこで、正弦波形、三角形を近似した階段形状(図17参照)として偏光分離手段10を形成するという手法を採るものである。
【0109】
続いて、これら格子構造体の製造方法について説明する。
後に詳述するが、導光手段40は樹脂成形により形成されるものであり、格子構造体の転写面を成形金型に形成して、樹脂成形時に転写により偏光分離手段を成形する手法である。成形金型の転写面の製作には矩形、台形、三角形状では従来より知られたルーリングエンジンやファナック株式会社製ROBOnanoなど近年加工分解能が向上した微細形状加工機などにより機械的に切削する方法を用いることができる。
【0110】
また、上述した成形金型からの転写による方式に加え、フォトマスクと光の露光によって形成することもできる。この場合は、断面形状の凸部を図17で示したような階段形状に近似した形状に製作するのは容易である。製作方法の概要を説明する。図18は、フォトマスクと光の露光による格子構造体の製造方法を説明する説明図である。図18(a)で示すように透明基材103(導光手段40)上に形成されたフォトレジスト104に第一のフォトマスク105を介して露光する。露光後感光したフォトレジスト104を除去しエッチングにより透明基材103(導光手段40)を2値形状に加工する。そして、図18(b)で示すように第二のフォトマスク106,または、図示しない第三のフォトマスクを用いて同様の手順を行うことによって容易に階段状の近似形状を形成することができる。
【0111】
また、正弦波状形状の場合は、1枚の2値形状マスクを用いて光の露光条件を制御することによって型を正弦波状とすることもできる。また、矩形ないし台形形状の型を用いて成形条件を適当に設定することによっても透明基材103(導光手段40)に実質的に正弦波形状を形成することもできる。さらに、正弦波形状の場合は2つのレーザ光をフォトレジスト面で干渉させることによってホログラフィックに形成することもできる。
このれら格子構造の周期は照明光の波長程度が理論上好ましいが、図13〜図16の分離特性図から明らかなように、格子構造体の周期を若干小さく、かつ、光の波長は大きくしても所定の変更分離機能が実現されることから格子構造の周期を光の波長より若干小さくしても良い。
この格子構造体は格子周期の大きさが可視光の波長領域を含むものであり、0.3〜0.8μmの範囲内にあれば良い。なお、格子深さは0.2〜0.5μmが好適であるが、格子深さは波長が大きくなれば、それに連れて格子深さも大きくなるものである。
【0112】
なお、後に詳述するが、格子構造体の周期は一定周期に限定されるものではない。図19の格子構造体の断面形状図で示すように、場所により変化する(p1>p2)構造にして、場所によって透過させる光の波長を変更・調節させることも可能である。
以上説明したような事項は、本発明者のコンピュータシミュレーションおよび実験により、知見された事項であり、これら格子周期、格子深さは先に説明した組み合わせ以外にも、実状に応じて適宜調整・変更される選択される。
【0113】
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態では、第4実施形態と同様に、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものであるが、偏光分離手段10の他の形態である。
本実施形態の偏光分離手段10は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層を加えた格子構造体である。
【0114】
この格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造である。
これら格子構造体は、導光手段40に直接形成される場合、透明基板上に形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルム上に形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
格子構造体の誘電体格子は、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmであり、格子構造体の表面に設けられる表面層は、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に複数層を積層したものである。
【0115】
これらの実施形態の具体例を示す。格子構造体と、光を入射させたときの偏光分離特性の計算機によるシミュレーションの具体例であり、図20は格子構造体の構成例を示す図、図21は格子構造体の偏向分離特性図である。
図20に示す格子構造体は、格子周期0.55μm、格子深さ0.275μmで凸部が三角形の誘電体格子107の表面に、厚さ87nmの二酸化チタン(TiO)の誘電体膜108と、厚さ132nmの二酸化シリコン(SiO)の誘電体膜109と、厚さ87nmの二酸化チタン(TiO)の誘電体膜110とを、この順に積層させた格子構造体である。
【0116】
この格子構造体に可視の波長域の光を垂直入射させた場合に、格子の方向に平行な偏光成分の反射率(Rs)と、格子の方向に垂直な偏光成分の透過率(Tp)の、波長依存性を、それぞれ図21に示す。波長域0.4μm〜0.7μmにおける平均値で、Rs=0.77、Tp=0.85が得られた。
これは、可視領域の波長を有する光のうちp偏光は0.85の高率で透過し、s偏光は0.77の高率で反射するというものであり、可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、白色光源および単色光源で採用することが可能である。
【0117】
なお、上記構成で、誘電体膜108,110を五酸化タンタル(Ta)の誘電体膜にしても良い。
また、上記構成で誘電体膜108,110を二酸化シリコン(SiO)の誘電体膜に、かつ、誘電体膜109を二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)薄膜としても良い。
さらにまた、二酸化チタン(TiO)または(SiO)の誘電体膜108と格子構造体107の表面との間に0を超える100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)の誘電体膜を設けても良い。
これら事項は、本発明者のコンピュータシミュレーションおよび実験により、知見されたものであり、どの程度の値が選択されるかは個々の格子構造体の実状に応じて適宜設計・選択される事項である。
【0118】
続いてこれら実施形態の他の具体例を示す。格子構造と、光を入射させたときの偏光分離特性の計算機によるシミュレーションの具体例であり、図22は格子構造体の構成例を示す図、図23はその格子構造体の偏向分離特性図である。
図22に示す構造体は、格子周期0.6μm、格子深さ0.24μmの正弦波の凸部を有する誘電体格子111の表面に、厚さ118nmの二酸化チタン(TiO)薄膜112と、厚さ170nmの二酸化シリコン(SiO)薄膜113と、厚さ118nmの二酸化チタン(TiO)薄膜114とを、この順に積層させた格子構造体を示す。
【0119】
この格子構造体に可視の波長域の光を垂直入射させた場合に、格子の方向に平行な偏光成分(s偏光)の反射率(Rs)と、格子の方向に垂直な偏光成分(p偏光)の透過率(Tp)の、波長依存性を、それぞれ図23に示す。波長域0.4μm〜0.7μmにおける平均値で、Rs=0.63、Tp=0.91が得られた。
これは、可視領域の波長を有する光のうちp偏光は0.91の高率で透過し、s偏光は0.63の高率で反射するというものであり、可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。
【0120】
なお、上記構成で、誘電体膜112,114を五酸化タンタル(Ta)の誘電体膜にしても良い。
また、上記構成で誘電体膜112,114を二酸化シリコン(SiO)の誘電体膜に、かつ、誘電体膜113を二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)薄膜としても良い。
さらにまた、二酸化チタン(TiO)または(SiO)の誘電体膜112と格子構造体111の表面との間に100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)の誘電体膜を設けても良い。
これら事項は、本発明者のコンピュータシミュレーションおよび実験により、知見されたものであり、どの程度の値が選択されるかは個々の格子構造体の実状に応じて適宜設計・選択される事項である。
【0121】
続いてこのような格子構造体の製造方法について説明する。
図24は格子構造体の構成図、図25は格子構造体の製造方法を説明する説明図である。図24は格子構造に多層膜を形成した構造体であり、115は透明基材である誘電体格子を示し、116,117,118,119は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる第1層膜、第2層膜、第3層膜、第4層膜をそれぞれ示している。
この製造方法は、表面部の断面形状が矩形、台形、三角形、正弦波形またはこれらを複数組合わせた形状を有する透明基材である誘電体格子に、スピンコーター法またはロールコーター法を用いて第一の溶媒で希釈された第一の屈折率をもつ物質を付けた後、溶媒を除去する工程を一度または複数回繰り返し製造する方法である。以下、図25を用いてこの製造方法を説明する。
【0122】
図25では、表面部の断面形状が三角形である誘電体格子115上に多層膜を形成する例である。図25(a)に示すように誘電体格子115上に第一の屈折率を有する物質を第一の溶媒で希釈した液体120を塗布する。この場合、例えばスピンコーター法では、液体120を滴下した後に誘電体格子115を回転して、遠心力により液体120を誘電体格子115の表面に行き渡らせつつ塗布する。
続いて乾燥処理を行い第一の溶媒を除去したものが図25(b)であり、これによって第1層膜116が形成される。続いて、同様に図25(c)に示すように第二の屈折率を有する物質を溶媒で希釈した液体121を用いて第二層の形成処理を行う。このとき溶媒は第一の溶媒としてもよいし、第一の溶媒とは異なる第二の溶媒としても良い。続いて乾燥処理を行い図25(d)に示すように第2層膜117が形成される。以上述べた処理を複数回行うことにより、所望の積層構造を形成する。
【0123】
ここでは層を構成する物質を溶媒で希釈して塗布する例を述べたが、層を形成する方法は、断面形状が矩形、台形、三角形、正弦波形またはこれらを複数組合わせた形状を有する透明基材に、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法の何れかによって形成しても良い。
以上、本実施形態の偏光分離手段10について説明した。なお、誘電体格子として、正弦波形、三角形を近似した階段形状(図17参照)の凸部を採用してもよい。
【0124】
続いて、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態では、第4,第5実施形態と同様に、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものであるが、偏光分離手段10の他の形態である。
本実施形態の偏光分離手段10は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の凹部に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、または、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層、を加えた格子構造体であり、格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであるというものである。
【0125】
これら格子構造体は、導光手段40に直接形成される場合、透明基板上に形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルム形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
その断面形状を、図26,図27の格子構造体の構成図に示す。図26,図27における122,123は透明基材である誘電体格子を示し、116,117,118,119は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる第1層膜、第2層膜、第3層膜、第4層膜をそれぞれ示している。
【0126】
これら図26,図27の格子構造体の周期的な繰り返し構造について特にこのましくは、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmとし、その表面に表面層として、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に複数層積層させると良い。また、TiO層またはSiO層と格子構造表面との間に0を超えて100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)層を有すると良い。
【0127】
このような格子構造体の製造方法について説明する。図28は、格子構造体の製造方法を説明する説明図である。図28(a)に示すように透明基材である台形状の誘電体格子123にスピンコーター法またはロールコーター法を用いて第一の屈折率を有する物質を第一の溶媒で希釈した液体121を塗布し(図28(b))、乾燥処理を行って第1層膜116を形成し(図28(c))、この後、誘電体格子123の凹部よりも上(凸部の表面上)にある第一の屈折率を有する物質を除去する(図28(d))一連の処理を繰り返すことにより第1層膜116を形成して、図26,図27にある構造を近似的に形成することもできる。
【0128】
この格子構造体は、例えば、図21,図23で示すよう特性と同様な特性を示し、0.4〜0.7の可視光領域全般にわたり反射・透過することが実験的に確認されている。
これらは、第5実施形態同様に可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。本実施形態ではこのような格子構造体を偏光分離手段10に採用してもよい。
以上、本実施形態の偏光分離手段10について説明した。なお、誘電体格子として、正弦波形、三角形を近似した階段形状(図17参照)の凸部を採用してもよい。
【0129】
続いて、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態では、第4,第5,第6実施形態と同様に、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものであるが、偏光分離手段10の他の形態である。
本実施形態の偏光分離手段10は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質が積層状に形成された凸部の周期的な繰り返し構造である格子からなる格子構造体である。そして格子構造体は、その断面形状が矩形、台形、三角形あるいは正弦波形の凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しである。
その断面形状を、図29,図30の格子構造体の構成図に示す。図29,図30における124,125は透明基材である誘電体格子を示し、116,117,118,119は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる第1層膜、第2層膜、第3層膜、第4層膜をそれぞれ示している。
【0130】
この格子構造体は、第5,第6実施形態同様に可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。これら格子構造体は、導光手段40に直接形成される場合、透明基板上に形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルムに形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
【0131】
続いて、図29,30に示す格子構造体の製造方法を説明する。
先に述べたスピンコーター法またはロールコーター法を用いて第一の屈折率を有する物質を第一の溶媒で希釈した液体を塗布し、続いて乾燥処理を行い第一の溶媒を除去する一連の処理を屈折率の異なる物質について繰り返すことにより、誘電体格子124または125の表面に多層膜を形成する。このように形成した多層膜を所望の構造と嵌合する構造の型を用いてエンボス処理を行うことにより、図29,30のような構造の格子を形成するものである。ここで、多層膜の形成方法は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法の何れかにより形成するものでも良い。
【0132】
続いて、本発明の第8実施形態について説明する。
本実施形態では、第4,第5,第6,第7実施形態と同様に、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものであるが、偏光分離手段10の他の形態である。図31,図33は格子構造体の概略的な構成図、図32、図34は格子構造体の偏光分離特性図である。
【0133】
本実施形態の偏光分離手段10は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子を設けた格子構造体である。特に、金属材料からなる第2の格子構造は反射率が60%以上の金属薄膜からなるようにした。この金属格子の金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金である。好ましくは、Al,Ag,Auが好適である。
また、格子構造体の誘電体格子は、その断面形状は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組み合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであり、このましくは、格子構造体の誘電体格子は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が0.4μm以下、格子深さが、0.2μm以下である。また、格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を複数組み合わせて形成した凸部であっても良い。
これら格子構造体は、導光手段40に直接形成される場合、透明基板上に形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルムに形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
【0134】
このような構造を満たす具体的な実施形態として、本実施形態では、図31で示すように透明な誘電体材料により照明光の波長程度以下の周期で形成される誘電体格子である矩形格子126の表面に、さらに金属材料により照明光の波長程度以下の周期で形成される金属格子であるアルミニウム127により格子構造体を形成したものとする。
この格子構造体に光を入射させたときの偏光分離特性の計算機によるシミュレーションの具体例について説明する。図31の格子構造体を格子周期p=0.2μm、格子深さd=0.1μmの矩形格子126の凸部分に、厚さ20nmのアルミニウム127を形成した構造とする。この格子構造に可視の波長域の光を垂直入射させた場合に、格子の方向に平行な偏光成分の反射率(Rs)と、格子の方向に垂直な偏光成分の透過率(Tp)の、波長依存性を、図32に示す。波長域0.4μm〜0.7μmにおける平均値で、Rs=約0.6、Tp=約0.4が得られた。
【0135】
これは、可視領域の波長を有する光のうちp偏光は0.6程度透過し、s偏光は0.4程度反射するというものであり、可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。このような格子構造体としても第4〜第7実施形態と同様の機能を果たすことが可能である。
【0136】
また、他の例として図33で示すように透明な誘電体材料により照明光の波長程度以下の周期で形成される誘電体格子である三角形格子128の表面に、さらに金属材料により照明光の波長程度以下の周期で形成される金属格子であるアルミニウム129を形成した格子構造体である。
格子周期p=0.08μm、格子深さd=0.04μmの三角形格子128の片側斜面部分に、厚さ20nmのアルミニウム129を形成した構造である。この格子構造に可視の波長域の光を垂直入射させた場合に、三角形格子128の方向に平行な偏光成分の反射率(Rs)と、格子の方向に垂直な偏光成分の透過率(Tp)の、波長依存性を、図34に示す。波長域0.4μm〜0.7μmにおける平均値で、Rs=0.5、Tp=0.77が得られた。
【0137】
これは、可視領域の波長を有する光のうちp偏光は0.6程度透過し、s偏光は0.77程度反射するというものであり、可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。
このような格子構造体としても第5,第6,第7実施形態と同様の機能(白色光源および単色光源の採用)を果たすことが可能である
【0138】
続いて、本発明の第9実施形態について説明する。
本実施形態では、第4,第5,第6,第7,第8実施形態と同様に、上記第1〜第3の実施形態の構成に加えて、さらに偏光分離手段10をより具体的に説明するものであるが、偏光分離手段10の他の形態である。
本実施形態の偏光分離手段は、金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子である金属格子からなる格子構造体である。
この格子構造体は、導光手段40に金属格子が直接形成される場合、透明基板上に金属格子が形成されて導光手段40に配置される場合、あるいは透明フィルムに対して金属格子が形成されて導光手段40に配置される場合等が考えられる。
【0139】
この格子構造体は、好ましくは、反射率が60%以上の金属薄膜である金属格子を形成した格子構造体であるとよく、そのために金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金が採用される。また、金属格子の金属薄膜の膜厚は0.05μm以上、格子の周期Tは照明光の波長程度以下の0.05〜0.25μmであり、格子の幅は、格子の周期Tに対して0.25T〜0.85Tの範囲にすると良い。
さらに、好ましくは、導光手段、透明基板、あるいは透明フィルムと金属格子との下側には下地層を形成し、金属格子および前記下地層の表明に保護膜を形成すると良い。
【0140】
金属格子は、導光手段、透明基板、透明フィルムあるいは下地層の表面に縞状の格子パターンを有するマスクを通して、蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,またはドライエッチング法の何れかにより形成することができる。
特に、透明フィルムの表面側に金属薄膜からなる金属格子が形成する場合には、格子構造体は、透明フィルムに金属格子を形成した後、その透明フィルムを縞方向に延伸して金属格子を微細なパターンとし、透明フィルムと共に導光手段または透明基板上に貼り付けて形成することとなる。
【0141】
このような偏光分離手段10について図を参照しつつ説明する。図35は、格子構造体の構成図、図36は、偏向分離特性図である。
格子構造体は、図35で示すように、光の波長程度以下の周期pで形成されている金属薄膜である金属格子131を備えている。金属格子131は、詳しくは、透明基板130上に幅a・膜厚dの金属薄膜(金属格子)131を周期的に配置したものであり、a+bは周期pと一致する。
【0142】
この格子構造体は、偏光分離機能を与えるために、金属薄膜の膜厚dは0.05μm以上であり、金属格子の周期は透過する光の波長程度以下の0.05〜0.25μmであり、金属格子の幅は、金属格子の周期Tに対して0.25T〜0.85Tの範囲内に治める必要がある。
本実施形態では、金属格子131の周期pが200nm程度、深さは100nm〜200nm程度とし、金属格子131に金属材料としてアルミニウムを用いることにより、0.4〜0.7μmの可視光領域にある入射光のうちp偏光の透過率は、可視光の波長域に対し約80%〜85%程度であり、また、s偏光の反射率は60%以上という性能を確保している。
【0143】
図37は他の格子構造体の断面斜視図である。図37において、導光手段40の表面部である透明基板132は光学特性に優れた透明材料を用いるものであり、その材質は特に限定されないが、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、またはポリスチレン変性樹脂等を成形加工して形成される。
下地層133が、後述する金属薄膜134からなる格子を形成する際に、透明基板132との接着性向上及び金属薄膜形成時のダメージを防止するために設けられる。なお、この下地層133は、必ずしも必須の構成要素ではない。
下地層133の材質としては、紫外線型のウレタン変性やエポキシ変性アクリレート樹脂、または汎用性のアクリル酸/メタクリル酸共重合体、ポリエステル、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体等の樹脂、あるいは、水溶性無機コート材等を用い、これらをスピンコート、ディッピング、ナイフコーター、スリットリバースコーター等で2μm以下に塗布し、光または熱で硬化させて形成する。
【0144】
金属薄膜134は、金属格子を形成するものである。金属薄膜134としては、例えばMg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物等である。これらのうちで好ましいものは、Cr,Ni、Pt、Cu,Ag、AuまたはAlである。これらの化合物は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて合金として用いても良い。金属薄膜134の反射率は60%以上であることが好ましいが、70%以上であると反射効率が良くなる。
【0145】
この金属薄膜134は、縞状の格子パターンを有するマスクを通して、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法またはドライエッチング法で格子構造に形成される。金属薄膜134の厚さは0.05μm以上であるが、あまり厚いと透明基板132または下地層133の界面で剥離したり、クラックが発生する恐れがある。
金属薄膜134によって形成される格子の周期は、照明光の波長程度以下の0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.08〜0.2μmの範囲である。更に、金属薄膜134による格子方向の幅は、格子周期Tに対して、0.25T〜0.85Tμmの範囲が光学的に好ましい。
【0146】
保護膜135は表面硬度が傷等に強いことが要求されるため、ウレタン変性、エポキシ変性の多官能性アクリレート系の放射線硬化型樹脂、透明無機薄膜等を湿式法、または金属薄膜形成時と同様のドライ法で形成する。保護膜135の膜厚は3μm以下とすることが望ましい。
更に、反射膜136は透明基板132の裏面側に形成された反射膜であり、金属薄膜134と同一化合物または異種化合物により形成される。これは反射手段30に相当するものである。
この反射膜136は、透明基板132の裏面のみに形成しても良いが、光源2からの入射光を受光する面と、透明基板132から出光する面と、を除く面のすべてに形成しても良い。なお、この反射膜136(反射手段30)の形成方法は他の実施形態でも適用できる事項である。
【0147】
次に、この改良した実施形態を具体化した実施例を説明する。
図37の構成において、先ずアクリル系樹脂(株式会社クラレ製:商品名パラペットH−1000)を射出圧縮機(ファナック株式会社製:商品名100ton α100iA)を用いて、樹脂温度250℃、金型温度70℃、最大射出圧70Mpaで射出成形し、光学的に優れた透明基板132を得る。この透明基板132の上に下地層133としてエポキシ変性アクリレート系樹脂からなる紫外線硬化型コーティング剤をスピンコート法で塗布し、紫外線硬化して約0.8μm厚の膜を形成した。
【0148】
この下地層133の上に、格子パターンを形成したマスクを通してスパッタ法でAlの金属薄膜134(膜厚0.1μm)を形成し、格子周期が0.15μm、格子幅が0.08μmの金属格子を得た。
同時に、透明基板132の裏面の全面に、Alの反射膜136(膜厚0.1μm)を形成した。
更に、これらの透明基板132、下地層133、金属薄膜134、反射膜136からなる部材の表裏にスピンコート法で多官能性エポキシ変性アクリレート樹脂からなる紫外線硬化型コーティング剤を塗布し、硬化させて、膜厚が約2μmの保護膜135を形成することにより、完成させた。
【0149】
次に、さらに改良された実施形態を説明する。図38は他の格子構造体の断面斜視図、図39は他の格子構造体の断面斜視図、図40は金属薄膜が蒸着されたフィルムの製造方法を示す図である。この実施形態も、導光手段及び金属材料からなる格子構造に関するもので、図35〜図37で示した格子構造体の材質または構造を改良したものであり、詳しくは透明フィルムの表面側に金属薄膜を形成したものである。
【0150】
図38に示す改良された他の実施形態の格子は、詳しくは透明基板137の上に積層された透明フィルム142上に幅a・膜厚dの金属薄膜(金属格子)139を周期的に配置したものであり、a+bは周期pと一致する。
金属薄膜139は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金である。
この金属薄膜139からなる格子構造は反射率が60%以上となるように構成され、詳しくは金属薄膜の膜厚dは0.05μm以上であり、格子の周期は照明光の波長程度以下の0.05〜0.25μmであり、格子の幅は、格子の周期Tに対して0.25T〜0.85Tの範囲であるようになされている。
【0151】
続いて、この改良された他の実施形態をより具体的にした構造について説明する。図39において、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂またはビニール系変性樹脂等からなる透明フィルム142の上には、下地層138が形成され、図37を用いて説明した構造と同様に、下地層138の上に格子構造の金属薄膜138が形成されている。なお、透明フィルム142の材質は上記のものに限定されるわけではない。
これらの透明フィルム142、下地層138、金属薄膜139からなる部材は、一般の透明な光学用の接着剤141を介して、透明基板137の上に貼り付けられる。その後、保護膜140及び反射膜143を形成して全体が完成する。
【0152】
ここで、透明フィルム142の上に下地層138を介して金属薄膜139を形成し、これを透明基板137の上に直接貼り付けても良い。
この透明フィルム142上に金属薄膜139を形成する方法は、図40(a)で示すように、フィルム基材144上に、蒸着等により金属薄膜139を形成する。この場合、図40(a)で示される金属薄膜139の幅・ピッチは、前記した幅a・周期pよりも大きく形成されている。このようなフィルム基材144を図40(a)の矢印で示す延伸方向に引っ張って延伸すると、図40(b)で示すように、フィルム基材144・金属薄膜139は変形して、図38で示すように幅a・周期pの透明フィルム142・金属薄膜139となる。
この場合、格子構造を更に微細なパターンとするために、格子の縞方向に透明フィルム142の樹脂のガラス転移温度(Tg)以下で延伸させた後に、透明基板137の上に貼り付けることも可能である。
【0153】
次に、この改良された他の実施形態をより具体化した実施例を説明する。
図39で示す格子構造体において、PET(ポリ塩化テレフタレート)製の透明フイルム142(東レ社製)上に、下地層138として、ビニール系のコーティング剤によりスリットリバースコーターで約1μmの膜を形成し、その上に図37を用いて説明した構造と同様にスパッタ法で、Auからなる格子状の金属薄膜139を形成し、前記ガラス転移温度(Tg)以下の温度で縞方向に延伸した。これにより、格子周期が0.2μm、格子幅0.1μmの格子構造を得た。
更に、保護膜140を図37を用いて説明した構造と同様に形成して出射面側のフィルムを形成した。
また、前記同様に射出成形により得た透明基板137の裏面にAuからなる反射膜143を形成し、この透明基板137に、上記の作製したフィルムを反応型アクリル系の接着剤141により貼り合わせて完成させた。
【0154】
図37,図39を用いて説明した実施形態においても金属薄膜134,139からなる金属格子により、この金属格子と直交する偏光成分の光は金属格子を透過し、また、金属格子と平行な光は金属格子で反射して透明基板132,137内に戻され、反射膜136,143と、金属薄膜134,139からなる金属格子と、の間で多重反射される。
このように格子で反射された光は、透明基板132,137内で反射を繰り返すうちに図示しない偏光変換手段により偏光状態が変わり、様々な偏光状態を持つ光となって再度格子に入射し、前述したと同様に格子と直交する偏光成分の光を透過させることができる。
この結果、金属薄膜134,139からなる格子と直交する偏光成分の光が金属格子を透過でき、透明基板132,137に入射した光から偏光を効率良く取り出すことができる。
【0155】
これは、図36の偏光分離特性図で示すように、可視領域の波長を有する光のうちp偏光は0.6程度透過し、s偏光は0.77程度で反射するというものであり、可視領域の全波長に対して良好な偏光分離特性が得られる。したがって、本実施形態の格子構造体を用いる偏光分離手段10は、光源は白色光源および単色光源に採用することが可能である。
このような格子としても第3〜第8実施形態と同様の機能を果たすことが可能である
【0156】
以上、偏光分離手段10の各種形態に第3〜第9実施形態として説明した。これらのうち誘電体により形成された格子構造体(第4実施形態)は、単色光源(単波長の光を出力する)のみの利用が好ましく、また、それ以外の格子構造体(第5〜第9実施形態)では単色光源および白色光源(異なる波長の複数の光を組み合わせて人の目に白色であると認識されるような光)に適用できる。これら偏光分離手段10は、導光板の使用目的に応じて選択される。
【0157】
続いて、第10実施形態として偏光変換手段20および導光手段40について一括説明する。偏光変換手段20は、各種考えられるが、本発明では、特に樹脂の複屈折分布を利用するものである。s偏光からp偏光への変換は、大部分が導光手段40中の導光路のもつ複屈折によって行われる。
従来技術では、複屈折は決して好ましいものとは認識されておらず、例えば、いわゆるプラスチックレンズなど、光が透過する光学素子では、均一な光学的特性が要求されており、成形技術では光ディスクに見られるように成形の際付与されてしまう複屈折を低減させる工夫が行われている。
本実施形態では通常に樹脂成形を行った場合に発生する複屈折によっても偏光の変換は行われ、本発明の効果が得られる点に着目したものであり、本発明では従来では減少させていた樹脂成形時に発生する複屈折をあえて増加させてs偏光−p偏光間の変換効率をさらに高めるようする。
本発明では、樹脂で導光手段40を製造する際に、導光手段40内に所定の複屈折位相差を付与する複屈折を分布させるようにして、導光手段40とともに偏光変換手段20を一括して製造し、構造の簡素化・薄型化・製造工程の省力化・製造コストの低減化等を図るものである。
【0158】
本実施形態では、高分子樹脂を射出成形して導光手段40を成形する。この射出成形時に偏光変換手段20である複屈折分布を内在させるようにする。
以下、製造方法について説明する。通常の射出成形は、高分子樹脂材料を溶融可塑化させて高温状態で成形金型のキャビティ内に高速充填した後冷却固化させて目的とする形状の成形品を得る。
この際、樹脂材料が粘弾性物質であること、樹脂材料の流動と冷却とが同時並行して起きること、および樹脂材料の熱伝導率が低くて冷却が不均一になることなどが原因となって、成形品中には不可避的に応力と歪みとが残留する。成形品中には不可避的に応力と歪みとが残留するため、樹脂成形品にはワープやシンクなどが発生するおそれがある。
【0159】
また、キャビティ中の反注入口側の型壁付近においては、高温の樹脂材料が低温の型壁に急激に接触する故にその粘性が高くなり、転写性(型形状に対する追従性)が低下する。したがって、成形品が例えば多数の細い溝(例えば、偏光分離手段10の格子構造体の凸部)が並設されている部分を有するものの場合には、所定構造が精密に得られないおそれもある。
さらに型壁に接触する樹脂材料と側壁の温度差が大きいことが原因で、樹脂材料中に粘性の異なる層ができるので剪断力が発生して、樹脂材料の高分子鎖が高度に配向された層(以下、単にスキン層という)が形成される。この結果複屈折や屈折率の局部変化が発生する。
これら特性を鑑み、ワープ・シンク・ショートショット(射出不充分)・ウエルドライン(融合不充分)などの成形不良を発生させることなく導光手段40を形成し、しかも、所定複屈折量のスキン層を形成する必要がある。
【0160】
以上のような条件を満たすように、冷却速度調整、樹脂温度調整、および成形圧力調整が必要である。特に樹脂温度および成形圧力を高くして成形不良を回避しつつ、特にスキン層を発生させるために型壁における樹脂材料と側壁との温度差を大きくすることが必要である。
本発明者は、鋭意実験を重ね、所定複屈折量を満たす複屈折分布を有する射出成形方法を知見した。
射出成形機は、ファナック株式会社が製造した100ton α100iAという商品名の機械であり、溶融樹脂に高圧を印加して成形できる装置である。
この射出成形機に対して、複屈折分布の形成可能な樹脂材料としてポリカーボネート(帝人化成株式会社の商品名パンライト)を用いている。
そして、成形圧力を従来よりも高圧の142MPa(1450kgf/cm)に、また、樹脂温度を300℃、金型温度を112℃として、図1,図2で示される導光板1(縦64mm、横64mm、厚さ0.9mm)を形成した。
この場合に導光手段40に樹脂の異方性と配向によって複屈折が形成されることとなる。
【0161】
この場合の複屈折分布について説明する。
図41〜図43は導光手段の複屈折分布を示す特性図である。この複屈折率分布では波長550nmの光に複屈折位相差を付与するものとして図示してあり、複屈折は導光手段の格子面に垂直な方向に形成されている。
通常の樹脂成形品では、図41で示すように、導光手段断面位置全体にわたり複屈折位相差が30゜以下となるように複屈折分布が抑制・制御されるが、上記の製造条件で製造される本実施形態ではその複屈折位相差は図42で示すように、複屈折が付与する複屈折位相差は透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内にあって、nは整数である)という条件3を満たす。
また、図43で示すように、複屈折が付与する複屈折位相差は透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内にあって、nは整数である)から一部が逸脱するものの、偏光変換手段の60%以上の領域は条件3を満たす。また、条件1,条件2は十分に満たしている。
このように、複屈折は本発明の偏光変換手段20としての機能を果たすものとなる。
【0162】
なお、上記したポリカーボネート以外にスキン層による複屈折を発生させる樹脂材料として、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル:PMMA)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、エボキシ樹脂(EP)、オレフィン系樹脂(オレフィン系エラストマー(TPO))を用いることができるが、アクリル系樹脂やオレフィン系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、またはポリスチレン変性樹脂等も用いることができる。
【0163】
また、上記した樹脂を2種混合したポリマアロイや、上記樹脂に対し、紫外線吸収剤等の添加物を混合させたポリマアロイなども樹脂として用いることができる。例えば、アクリル樹脂にSiO を添加物として加えたものなどである。さらにまた、主材と異なる樹脂ポリマ(微小スチレンビーズないし液晶ポリマ)を所定量含むようにして、混晶ポリマーにすることもできる。
これらは、スキン層の複屈折に加え、スチレンビーズないし液晶ポリマという複屈折性の領域を付与する機能を果たし、複屈折量を増大させることが可能となる。
【0164】
なお、本実施形態では、導光手段の形成として、射出成形方式や注型成形方式、押出成形方式、流延成形方式、圧延成形方式やロール塗工方式、トランスファ成形方式、反応射出成形方式、(RIM)、2P成形方式、またはキャスト成形方式などを採用することができる。その形成に際しては、必要に応じて変色防止剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの必要な添加剤を配合することもできる。
【0165】
続いて、第11実施形態として反射手段30について説明する。
反射手段30は、導光手段40のうち光が入射される面と、偏光分離手段10が形成される面と、を除く面のすべてまたは一部に設けられており、導光手段40から不要な洩れ光がないようになされている。
【0166】
この反射手段30の具体例として、一部又は全部は微細な凹凸からなる拡散性ホログラムとし、偏光分離手段10に向けて拡散反射するものが考えられる。
この拡散性ホログラムについて説明する。図44は拡散性ホログラムの原理図を説明する説明図である。図44に示す拡散性ホログラムは、平面状であり、直交座標系のxy平面上に置かれる。また、反射型であり、下式の数3に示すP300(x)で表される位相差分布を持つ。
【0167】
【数3】
Figure 0003891266
【0168】
但し、上式におけるP310(x),P320(x),P330(x) は下式の数4に示すように与えられる。なお、λは入射光および出射光の波長であり、xは拡散性ホログラム31上に設けた基準位置を示す位置ベクトルである。x300,x310,x320,x330 は、順に図44中の点S3,U3,V3,W3のそれぞれの位置ベクトルである。この4点はいずれもz軸の負側に位置する。
【0169】
【数4】
Figure 0003891266
【0170】
この位相差分布P300(x)を持つ拡散性ホログラム31は、位相差分布P310(x)による偏向と位相差分布P320(x)による偏向と位相差分布P330(x)による偏向を同時に引き起こす作用を有する。つまり、点S3を通り発散する波長λの入射光300が拡散性ホログラム31に入射すると、分岐、偏向されて、点U3に向かい収束する出射光310と点V3に向かい収束する出射光320と点W3に向かい収束する出射光330が出射される。さらに、各出射光の強度比は数3に示した式中のa320とa330の値に応じた比率となる。
【0171】
位相差分布P300(x,y)は、下式の数5に示したz軸方向の形状分布D’300aで表される表面を持つ拡散性ホログラム31により実現することができる。ここでは、拡散性ホログラム31の周囲の媒質の屈折率は1である。
【0172】
【数5】
Figure 0003891266
【0173】
このようにして形成された拡散性ホログラム31では、光源である点S3を通り発散する波長λの入射光300が拡散性ホログラム31に入射すると、分岐、偏向されて、点U3に向かい収束する出射光310、点V3に向かい収束する出射光320、点W3に向かい収束する出射光330が出射される。したがって、所望の方向に向けて拡散反射するよう制御することが可能である。
【0174】
この拡散性ホログラム31にはさらに金属反射膜が形成されて、反射率をより向上させており、その金属が、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金である。なお、コスト等を勘案して最も好ましいのは、Al,Au,Ag薄膜である。Al薄膜,Ag薄膜の場合には酸化、腐食による膜の損傷を防止するためさらに保護膜を形成するのが望ましい。
【0175】
また、反射手段30として、誘電体多層膜により形成しても良い。
さらに、この誘電体多層膜にさらに金属薄膜を形成して、反射率を向上させるようにしても良い。
【0176】
また、反射手段30として、印刷による反射パターンを形成しても良い。反射パターンは、例えば、図45で示すような印刷パターンである。
また、反射手段30として、散乱面(反射面にサンドブラス・薬品による腐食等を用いて形成した粗面)としても良い。
【0177】
以上説明したような導光板を用いて輝度向上率を比較して評価した。比較表を以下に示す。図46は輝度向上率の比較評価図である。
上記した条件1,2,3を満たすような複屈折位相差が付与され、複屈折率位相差が40゜,60゜,70゜,85゜となった場合の従来の導光板に対する輝度向上率を求めたものである。光の波長は630nmの単波長の光源、誘電体格子の周期P=0.6μm、格子の深さd=0.3μm、金属格子の周期をP=0.2μmを想定している。従来の導光板に対する輝度向上率は次式数6にTp、Rs、η、Rを代入して求められる。
【0178】
【数6】
Figure 0003891266
【0179】
ここにおいて、Tp は偏光分離手段のp偏光透過率である。Rsは同じくs偏光反射率である。ηはs偏光p偏光変換率である。Rは導光板反射面の従来の反射率に対する反射率比である。なお、分母にある除数0.5は、従来の導光板から放射される1の光のうち、p偏光のみ、すなわち、0.5の光を利用していることによる。
【0180】
このような係数について偏光分離手段が誘電体格子のみの格子構造体である場合、誘電体格子のTp=0.85,Rs=0.55,R=1である。
また、偏光分離手段が誘電体格子に多層膜を形成した格子構造体の場合、Tp=0.9,Rs=0.9,R=1である。
また、偏光分離手段が誘電体格子に金属格子を形成した格子構造体の場合、Tp=0.75,Rs=0.6,R=1である。
s偏光p偏光変換率ηは、複屈折位相差40゜、60゜、70゜、85゜、にそれぞれ対応して、0.44、0.66、0.77、0.94である。
【0181】
このように、図46でも明らかなように、従来よりも輝度向上率が改善されていることが判る。90゜近い複屈折率位相差を付与できたならば、輝度向上率は1.6となる場合もあり、従来よりも60%輝度を向上させることができる。
以上本発明の導光板1の構成要件である偏光分離手段10、偏向変換手段20、反射手段30および導光手段40について説明した。これら構成を適宜組み合わせることで、導光板1は、輝度向上率を向上させることができる。
【0182】
続いて、このような導光板1のさらなる改良について説明する。
導光板1を照明装置として用いる場合、導光板1から照射される光は色分布の均一性を要求される。偏光向分離手段10は格子構造体であるため白色光を入射した場合、分光効果によって虹が発生するように考えられるが、偏光分離手段10の一点について多数の方向から光が入射するため偏光分離手段10から射出される光は多くの光が混ざり合い虹は発生しない。
しかし、偏光分離手段10内の場所によっては色が多少異なることが生じる。色の異なりは偏光分離手段10の偏光分離特性すなわちp偏光透過率およびs偏光反射率を適当に選択すること、すなわち、偏光分離手段の格子ピッチ、格子深さなどを適当に選択することによって均一化することが出来る。
特に光源2から近い位置と遠い位置とでは、輝度が相違している。そこで、特に液晶表示装置用の照明装置に用いる導光板1では、上記構成に加えてさらに色分布の均一化を図る配慮がなされている。
【0183】
この色分布の均一化技術について説明する。
まず、今まで説明した導光板1では、偏光分離手段10は格子ピッチ、格子深さ等は均一な周期構造であるものとして説明した。しかしながら、色分布の均一化のため格子ピッチ、格子深さ等を場所によって変化させ、偏光分離手段10の偏光分離特性、すなわち、p偏光透過率の波長依存性、s偏光反射率の波長依存性を場所によって変化させている。
【0184】
この点を図を参照して説明する。図47は、場所により誘電体格子の格子ピッチが異なる偏光分離手段の説明図である。
図47の偏光分離手段10の光源2に近い側は光密度が高く、光源2から離れるにつれ密度が低下する。そこで、偏光分離手段10の偏光分離特性について、p偏光透過率を光源から近い側(図48の左側)では低いTP1に設定し、また、遠い側(図48の右側)では高いTP2に設定し、s偏光反射率を光源から近い側(図48の左側)では高いRS1に設定し、また、光源から遠い側(図48の右側)では低いRS2となるように、偏光分離手段10の誘電体格子の格子ピッチ、格子深さを選択するようにする。
【0185】
これにより偏光分離手段10を透過しようとする光PP01,PS02のうち、光源2に近い側では光密度が低いp偏光であるPP1を透過させ、s偏光であるPS1は高率で反射させ、また、光源2から遠い側では通常より光密度が高いp偏光であるPP2を透過させ、s偏光であるPS2は低率で反射させる。このため、遠近領域での光密度の差が是正され、光密度を遠近領域で均一にすることができる、すなわち輝度分布の均一化が図れる。このように偏光分離手段10の誘電体格子の格子ピッチを位置により異なる構成とすることで輝度率の均一化に寄与することができる。
【0186】
また、光源によっては、左右両端領域でも不均衡を生ずる場合がある。この点について図を参照しつつ説明する。図48は、場所により誘電体格子の形状が異なる偏光分離手段の説明図である。今まで説明した偏光分離手段10が有する誘電体格子(第4〜第8実施形態)・金属格子(第9実施形態)が偏光分離機能を実現するためには、誘電体格子・金属格子に対して直交するよう光が入射することが望ましい。したがって、通常は、図48(a)で示すように棒状の光源(線状光源)2を用いることが望ましい。このような棒状の光源2は、例えば、上記では冷陰極管が該当する。しかしながら、単色光源などではLEDのように点状の光源2を採用する場合もあり、この場合は左右両端領域では入射光が直交しないため、偏光分離機能が不完全であって輝度分布が不均一な場合が起こりうる。
【0187】
そこで、誘電体格子・金属格子を図48(b)で示すように湾曲状に設けた格子構造体としたり、また、図48(c)に示すように入射する光に対して直交する三本の線を組み合わせた近似形状の格子構造体とした。このため、図48(a)湾曲状の格子構造体では全ての入射光が、また、図48(b)の近似形状の格子構造体では殆どの光が、格子構造体の形成方向に直交するように光が入射するため、棒状・点状の光源2を採用した場合でも、左右領域で輝度分布の均一化を図ることができる。
【0188】
続いて、輝度率を均一化するためには、反射手段30の工夫によっても行うことが出来る点について図を参照しつつ説明する。図49は、場所により印刷パタンが異なる反射手段の説明図である。従来から知られているように図49(図45は図49の斜視図である)に示す拡散反射性の材料を光源2に近い側で密度が高く、遠い側で光密度が低くなるように印刷する。このようにしても、輝度分布の均一化を図ることができる。
【0189】
また、先に説明した拡散性ホログラムとすることによっても行える。図50,図51は、場所により反射方向を相違させる拡散性ホログラムによる反射手段の説明図である。先に説明した拡散ホログラムは入射する光を複数の方向に、方向ごとに異なる光強度を持って高効率で分岐偏向するものであった。この手法によって図50に示す上方反射方向は光源に近い側では低反射率で、光源から遠い側では高反射率とするように設計して光密度を均一化し、輝度分布の均一化を図ることができる。
反射型の拡散性ホログラムでは入射する光を多数に分岐させることによって光の拡散効果を持たせることができる。反射型とするためには従来から知られているようにメッキ処理を行う。特に光を分岐させる方向を偏向分離面の方向にすることによって光の偏向分離面から放射される光の方向を所定の範囲に収めるよう工夫することもできる。
拡散性ホログラムは、上に述べた方法の他にDammannの方法として知られている光分岐器の設計手法を用いることもできる。また、体積ホログラム屈折率分布を形成して拡散機能を持たせる手法でも良い。また、特開昭53−42726「カメラのファインダー」、特開昭53−51755「スペックル拡散板作成装置」に示されたスペックル拡散を利用したものであっても良い。
【0190】
また、液晶表示装置などの照明装置に用いる導光板は、光の放射される方向が所定の角度領域内に収まっていることが要求される。図52は照明装置用の導光板の放射角度領域の説明図である。図52で示すように、x方向とy方向では放射角度領域は相違している。
このためには先に反射手段で述べた 印刷パタンによる方法、望ましくは拡散性ホログラムによる方法、Dammannの方法として知られている光分岐器の設計手法、体積ホログラム屈折率分布を形成して拡散機能を持たせる手法、特開昭53−42726「カメラのファインダー」、特開昭53−51755「スペックル拡散板作成装置」に示されたスペックル拡散を利用した手法など拡散ホログラムによる方法によって放射角度領域を設定する。
【0191】
続いて、以上説明した導光板1を用いる液晶表示装置について説明する。図53は、液晶表示装置の概略構成図、図54は格子構造体と透過光との関係を図示するAB矢視図である。
図53で示すように液晶表示装置4は、光源2、導光板1、液晶パネル5を備えるものであり、導光板1の側面に光源2を配置する構成は、エッジライト型と呼ばれ、この導光板1は概略楔形である。光源2と導光板1とで照明装置6を構成し、図53、図54で示すように、概略平面板状の液晶パネル5に照明光(31c〜34c)を照明する装置である。導光板1は、今まで説明した偏光分離手段10、偏光変換手段20、反射手段30および導光手段40を一体に備えているものである。
この導光手段40は、透明樹脂材料で形成されて光源2から入射した光3aを液晶パネル5へ導光するとともに、図53では図面明瞭化のため図示しないが偏光変換手段20を、当然に内在している。偏光分離手段10は、ここでは、照明光(31c〜34c)を出射する面に金属材料で形成される金属格子131(図35参照)である。反射手段30は、金属材料で形成される。
【0192】
続いて、この液晶表示装置4の機能について説明する。光源2から入射した光は導光手段40へ入射する。図53、図54において、光源2は例えば冷陰極管であり、この光源2からの放射光3a(説明の簡素化のため、右斜め下に放射される光3aのみ図示するが、実際は複数の光が導光手段40に入射する。以下、複数の光を含めて光3aで表示する)が導光手段40に入射する。導光手段40に光源2からの光3aが入射する面と、液晶パネル5側の面以外の面には、金属薄膜の反射板である反射手段30(30a,30b)と、図54に示される金属薄膜の反射板である反射手段30(30c,30d)と、が備わっている。また、導光手段40の液晶パネル5側の内面においても入射角が大きいと光は全反射するので、導光手段40に入射した光3aは導光手段40内で反射を繰り返し、多重反射が生じる。導光基手段40の内外、および反射手段30の表面には、例えば、先に述べたように、入射した光を拡散させたり、指向性を持たせるような構造を備えることにより、液晶パネル5を照明する光を平面内で均一化することができる。
【0193】
以下、図54を併用して図53を説明する。導光手段40の内側から偏光分離手段10のある面に全反射しない角度で入射した光3b,(32b,33b,34b)は格子131に入射する。偏向分離手段10は格子構造体が形成(図54では水平方向に伸びるように形成されている。)される。偏向分離手段10への入射光3b,(32b,33b,34b)は、偏向分離手段10の格子構造体の形成方向(水平方向)に対して、垂直な偏光成分(31c〜34c)が透過し、偏向分離手段10の格子構造体の形成方向に対して平行な偏光成分は反射する。透過する方向の直線偏光(31c〜34c)の透過率は、仮に格子構造体を金属格子として周期pが200nm程度、深さは100nm〜200nm程度であって金属材料としてアルミニウムを用いた場合、可視光の波長域に対し約80%〜85%程度までの透過率が得られる。
【0194】
また、反射する方向の偏光成分(32a,33a,34a)はほぼ全て反射され、この反射した光(32a,33a,34a)は再び導光手段40の内部で多重反射を繰り返す。
このように、偏光分離手段10で反射された光(32a,33a,34a)は導光手段40内で反射を繰り返すうちに図示しない偏光変換手段20(複屈折)により偏光状態が変わり、様々な偏光状態を持つ光(32b,33b,34b)となり、再度、偏光分離手段10に入射し、前述したと同様に、偏光分離手段10の格子構造体の形成方向に直交するp偏光成分(31c〜34c)だけが透過する。
以上のような過程を繰り返し、光源2から導光板1に入射した光3aは、p偏光成分(31c〜34c)となって導光板1から液晶パネル5へ照射される。上述の照明光(31c〜34c)の直線偏光の向きは、偏光板51を透過する偏光の向きと一致させてあるので、照明光(31c〜34c)は偏光板51で吸収されずに液晶板52に入射させることができる。
【0195】
このように偏光分離手段10で反射されたs偏光成分の照明光(32a〜34a)は、導光手段40内で反射を繰り返すうちに複屈折である偏光変換手段20により偏光状態が変わり、様々な偏光状態を持つ(つまり様々な偏光角度を含むp偏光成分・s偏光成分を持つ)光3b(32b〜34b)となり、再度偏光分離手段10に入射し、前述したと同様に偏光分離手段10の格子構造体の形成方向に直交するp偏光成分(31c〜34c)を透過させることができる。
この結果、p偏光成分(31c〜34c)の光が偏光分離手段10を透過して液晶パネル5を照射することができ、光源2から導光板1に入射した光3aを効率良く利用することができる。
なお、反射手段(30a〜30d)の一部は微細な凹凸からなる拡散性ホログラムとして、偏光分離手段10に向けて出光する光を拡散反射させるようにしても良い。
更に、導光手段30の裏面側に、表面側の格子構造と同一化合物または異種化合物からなる反射膜を備えても良い。
【0196】
この液晶表示装置の構成を従来技術と比較する。
図53および図54に図示する液晶表示装置4の構成は、図65に例示した従来技術の液晶表示装置と比べて、導光手段40の液晶パネル5側の面上に、上記原理で機能する偏光分離手段10が備わった導光板1を用い、さらに所定条件1,2,3を満たすような複屈折位相差を付与する偏光変換手段20を配置している点が異なる。なお、液晶パネル5の構造は図65の構成と同じである。このため、p偏光成分を有効に取り出すことが可能となり、液晶パネルが必要とするp偏光成分が多く入射されるため、液晶表示装置4の表示面は大変明るいものとなる。
【0197】
また、構成が少なくなるという利点がある。図55は液晶表示装置の従来技術との比較図である。図55(a)で示す従来技術の液晶表示装置では各種構成(反射板・導光板・拡散板・二枚のプリズムシート・保護フィルム・液晶パネル)を必要としていたが、図55(b)で示す、本発明に係る液晶表示装置4では構成を少なくしており、優れている点が判る。
また、従来の照明装置6に比べて照明光(31c〜34c)を効率よく液晶板52に入射させることができるので、冷陰極管などの光源2の発光素子の発光輝度を下げて、消費電力を低減し、その結果、光源2の寿命を延ばすこと、あるいは発光素子の数を減らすことが可能になる。
【0198】
なお、液晶表示装置4に用いる導光板1は、図1で示した形態とすることもできる。この場合の液晶表示装置について図56を用いて説明する。
本実施形態は、液晶表示装置の全体構造は基本的に図53で示す液晶表示装置4と同様であって、特に偏光分離手段10として誘電体格子・多層膜が塗布された誘電体格子を有する格子構造体を、反射手段30として印刷パタンや拡散性ホログラムを採用したものである。楔型ではないが、印刷パタンや拡散性ホログラムにより所定方向へ拡散反射させるように設定できるため、楔形の導光板と同様に本発明の効果を奏しうる。なお、これ以外の点については先の説明と同様であるため重複する説明を避ける。
【0199】
このように、導光手段40の出射側に配備される格子構造体により、この誘電体格子と直交する偏光成分(p偏光成分)の光はこの格子構造体を透過して液晶パネル5を照射し、また、この格子と平行な偏光成分(s偏光成分)の光はこの格子構造体で反射して導光手段40内に戻され、導光手段40の反射板と前記格子構造体との間で多重反射される。このように格子構造体によって反射された光は、導光手段40内で反射を繰り返すうちに偏光状態が変わり、様々な偏光状態を持つ光となり、再度格子構造体に入射して、前述したと同様に格子構造体と直交する偏光成分(p偏光成分)を透過させることができる。
この結果、格子構造体の格子と直交する偏光成分(p偏光成分)の光がこの格子構造を透過して被照明対象を照射することができ、光源から導光手段に入射した光を効率良く利用することができる。
【0200】
(他の実施形態)
図57〜図60は、本発明の他の実施形態の概略的な構成を示すものである。以下、これらについて順に説明するが、本発明は図57〜図60以外の様々な種類の液晶ディスプレイ装置等にも適用可能である。
まず、図57は直下型照明方式の液晶ディスプレイに適用した例である。蛍光管等の光源2から放射された光は、導光手段450(前述した各実施形態における導光板1を包括する概念であり、以下の実施形態についても同様である。)を通過して格子形成部600(前述した各実施形態における格子構造体を包括する概念であり、以下の実施形態についても同様である。)に到達する。
格子面で偏光が分離し、一方の偏光成分は透過して液晶パネル5を照明する。もう一方の偏光成分は反射して導光手段450を通過し、光源部200内で反射して再び導光手段450を通過する過程で偏光状態が変化し、照明に寄与する。
【0201】
図58は、液晶面から自然光を採光する方式の液晶ディスプレイ装置にこの発明を適用した例である。採光部250から入射した光は導光手段450を経由して格子形成部600に至る。格子形成部600の格子面で偏光が分離し、一方の偏光成分は透過して液晶パネル5を照明する。もう一方の偏光成分は反射して導光手段450内に戻り、その内部で反射を繰返して偏光状態が変化した後、再び格子に入射して照明に寄与する。
【0202】
図59は、フロントライト方式の液晶ディスプレイ装置にこの発明を適用した例である。光源2から放射された光は導光手段450の上面に大きな入射角度で入射して反射し、格子形成部600へ入射する。格子形成部600の格子面で偏光が分離し、一方の偏光成分は透過して液晶パネル5を照明する。もう一方の偏光成分は反射して導光手段450内に戻り、その内部で反射を繰返して偏光状態が変化すると共に再び格子に入射し、照明に寄与する。液晶パネル5を経て上方に向かう光は格子を透過し、導光手段450に小さな入射角度で入射し、通過する。なお、30eは反射ミラーである。
【0203】
図60は、ガラスや樹脂からなる液晶基板55と導光手段450とによって液晶・カラーフィルタ層5Aをはさむように形成した例である。この例では液晶ディスプレイ装置を薄くできる効果がある。
上述した図57〜図60の実施形態の動作は、基本的に上記の実施形態態と同様である。
また、以上説明した本発明の各実施形態では特に述べていないが、光源2は単色または白色のLED光源のような点状光源でも良い。
【0204】
【実施例】
続いて実際の構成に係る実施例について説明する。まず、実施例1について説明する。実施例1は、実際に製作した偏光分離手段10である。
図61は誘電体格子の断面形状を示す図(SEM写真)である。導光手段としてポリカーボネートを樹脂成形し、表面に誘電体格子を転写したものである。格子周期は0.6μm、格子深さは0.32μmである。図62に誘電体格子の偏向分離特性図を示す。点線・実線はコンピュータシミュレーションによる図、△印・×印は実測値を示している。なお、光源は発光波長550nm・600nm・630nmの単波長のLED光源を用いた。また、導光板1の断面複屈折率分布は、条件2である。この場合、図46で示す実施例1に該当するものである。
【0205】
このような構成の導光板1を実験装置を用いて輝度向上率を計測した。図63は輝度向上率の測定する実験装置の構成図である。図63で示すように、表面に偏光分離手段10を、裏面に反射手段30を形成し、その内部に図示しない偏光変換手段を形成している。導光板1の両側面から光源2(LED光源)による光を照射した。この導光板1から出射される光は、同一形状で表面に偏光分離面を持たない従来のPMMA樹脂製導光板と比較して輝度が20%向上しており、評価は実用レベルである(◎にて示す)。
【0206】
続いて実際の構成に係る他の実施例である実施例2について説明する。実施例2は、実際に製作した偏光分離手段10である。
図64は三層の多層膜を有する誘電体格子の断面形状を示す図(SEM写真)である。導光手段として格子ピッチ0.6μmのポリカーボネート製誘電体格子を形成し、SiOをバインダとしてTiO2,SiO2,TiO2の3層膜を蒸着によって格子構造体を形成している。なお、光源は白色光源を用いた。また、導光板1の断面複屈折率分布は、条件3である。この場合、図46で示す実施例2に該当するものである。
【0207】
このような構成の導光板1を実験装置を用いて輝度向上率を計測した。実験装置は図63で示す装置である。表面に偏光分離手段10を、裏面に反射手段30を形成し、その内部に偏光変換手段20を形成している。導光板1の両側面から白色の光源(LED光源)2による光を照射した。この導光板1から出射される光は、同一形状で表面に偏光分離面を持たない従来のPMMA樹脂製導光板と比較して輝度が60%向上しており、評価は実用レベルである(◎にて示す)。
【0208】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、液晶パネルなどの偏光板で入射が阻止される偏光成分(s偏光成分)を、導光手段の表面に設けられた格子構造体である偏光分離手段により導光手段内に戻し、偏光変換手段で直線偏光方向を変換させつつ反射板である反射手段により再び偏光分離手段へ入射させることにより、液晶パネルで入射される偏光成分(p偏光成分)として取り出すようにしたため、従来では有効活用されていない光の偏光成分を取り出せるようにし、発光素子などの部品の点数を削減し、消費電力も減少させるような導光板およびこの導光板を備えた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導光板の概略構成図である。
【図2】導光板の概略構成図である。
【図3】冷陰極管から出射される光のスペクトル特性図である。
【図4】格子構造体の断面形状図である。
【図5】格子構造体の断面形状図である。
【図6】格子構造体の断面形状図である。
【図7】格子構造体の断面形状図である。
【図8】格子構造体と透過光の関係を説明する原理図である。
【図9】格子構造体の概略的な構成図である。
【図10】格子構造体の概略的な構成図である。
【図11】格子構造体の概略的な構成図である。
【図12】格子構造体の概略的な構成図である。
【図13】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図14】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図15】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図16】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図17】多段形状の凸部を説明する断面図である。
【図18】フォトマスクと光の露光による格子構造体の製造方法を説明する説明図である。
【図19】格子構造体の概略的な構成図である。
【図20】格子構造体の構成例を示す図である。
【図21】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図22】格子構造体の構成例を示す図である。
【図23】格子構造体の偏向分離特性図である。
【図24】格子構造体の構成図である。
【図25】格子構造体の製造方法を説明する説明図である。
【図26】格子構造体の構成図である。
【図27】格子構造体の構成図である。
【図28】格子構造体の製造方法を説明する説明図である。
【図29】格子構造体の構成図である。
【図30】格子構造体の構成図である。
【図31】格子構造体の概略的な構成図である。
【図32】格子構造体の偏光分離特性図である。
【図33】格子構造体の概略的な構成図である。
【図34】格子構造体の偏光分離特性図である。
【図35】格子構造体の構成図である。
【図36】偏向分離特性図である。
【図37】他の格子構造体の断面斜視図である。
【図38】他の格子構造体の断面斜視図である。
【図39】他の格子構造体の断面斜視図である。
【図40】金属薄膜が蒸着されたフィルムの製造方法を示す図である。
【図41】導光手段の複屈折分布を示す特性図である。
【図42】導光手段の複屈折分布を示す特性図である。
【図43】導光手段の複屈折分布を示す特性図である。
【図44】拡散性ホログラムの原理図を説明する説明図である。
【図45】印刷パターンを示す説明図である。
【図46】輝度向上率の比較評価図である。
【図47】場所により格子ピッチが異なる偏光分離手段の説明図である。
【図48】場所により誘電体格子の形状が異なる偏光分離手段の説明図である。
【図49】場所により印刷パタンが異なる反射手段の説明図である。
【図50】場所により反射方向を相違させる拡散性ホログラムによる反射手段の説明図である。
【図51】場所により反射方向を相違させる拡散性ホログラムによる反射手段の説明図である。
【図52】照明装置用の導光板の放射角度領域の説明図である。
【図53】液晶表示装置の概略構成図である。
【図54】液晶表示装置の格子構造体と透過光の関係を図示するAB矢視図である。
【図55】液晶表示装置の従来技術との比較図である
【図56】液晶表示装置の概略構成図である。
【図57】他の実施形態の概略的な構成図
【図58】他の実施形態の概略的な構成図
【図59】他の実施形態の概略的な構成図
【図60】他の実施形態の概略的な構成図
【図61】誘電体格子の断面形状を示す図(SEM写真)である。
【図62】誘電体格子の偏向分離特性図である。
【図63】輝度向上率の測定する実験装置の構成図である。
【図64】三層の多層膜を有する誘電体格子の断面形状を示す図(SEM写真)である。
【図65】従来技術による液晶表示装置の側面を示す要部構成図である。
【図66】従来技術による他の液晶表示装置の要部構成図である。
【図67】従来技術による他の照明装置の要部構成図である。
【図68】従来技術による他の照明装置の要部構成図である。
【図69】従来技術による他の照明装置の要部構成図である。
【図70】従来技術による他の液晶表示装置の要部構成図である。
【図71】従来技術による他の液晶表示装置の要部構成図である。
【図72】従来技術による他の液晶表示装置の要部構成図である。
【符号の説明】
1 導光板
10 偏光分離手段
100 格子構造体
101 幅の狭い溝部
102 幅の広い溝部
103 透明基材
104 フォトレジスト
105 第一のフォトマスク
106 第二のフォトマスク
107 誘電体格子
108 誘電体膜
109 誘電体膜
110 誘電体膜
111 誘電体格子
112 誘電体膜
113 誘電体膜
114 誘電体膜
115 誘電体格子
116 第1層膜
117 第2層膜
118 第3層膜
119 第4層膜
120 液体
121 液体
122 誘電体格子
123 誘電体格子
124 誘電体格子
125 誘電体格子
126 矩形格子
127 アルミニウム
128 三角形格子
129 アルミニウム
130 透明基板
131 金属格子
132 透明基板
133 下地層
134 金属薄膜
135 保護膜
136 反射膜
137 透明基板
138 下地層
139 金属薄膜
140 保護膜
141 接着剤
142 透明フィルム
143 反射膜
144 フィルム基材
20 偏光変換手段
30、30’ 反射手段
30a、30b、30c、30d、30a’、30b’ 反射手段
30e 反射ミラー
31 拡散性ホログラム
300 入射光
310 出射光
320 出射光
330 出射光
40、40’ 導光手段
2、2’ 光源
3、3’ 光
3a,32a〜34a,3b,32b〜34b,31c〜34c,31d〜34d,31e 〜34e,31f〜34f,31j〜34j 照明光
4、4’ 液晶表示装置
5、5’ 液晶パネル
5A 液晶・カラーフィルタ層
51、51’ 偏光板
52、52’ 液晶板
53、53’ 偏光板
55 液晶基板
6、6’ 照明装置
71 バックライト導光板
72 回折格子
73 光源用リフレクタ
74 導光板用リフレクタ
75 拡散板
76 集光用プリズムシート
77 ケーシング
77a 反射板
78,88,92 拡散板
79 調光板
80 孔
81 透光性導光板
82 光拡散フィルム
83 光拡散層
84 透光性基材
85 光反射フィルム
86,89 導光板
86a 背面
87 反射処理
87a 反射カット
88a 凹凸面
90 導光板上面
91 粘着テープ
93 V形位置決め爪
95a 液晶板
95b 偏光板
95c 偏光板
95d 液晶パネル
95e 拡散板
95f ホログラム
95g 導光板
95h λ/4板
95i 反射板
96a 液晶板
96b 偏光板
96c 偏光板
96d 液晶パネル
96e 投光性支持体
96f 液晶層
96g 偏光プリズムシート
96h λ/4板
96i 導光板
96j 反射板
96k 照明装置
201,202 溝部
200 光源部
250 採光部
450 導光手段
600 格子形成部
p 周期

Claims (57)

  1. 光の偏光方向に応じて反射光と透過光とを分離する偏光分離手段と、
    光を反射する反射手段と、
    透過する光に対してθ+n・180゜(但し、θは30゜≦θ≦150゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与える偏光変換手段と、
    前記偏光分離手段と前記反射手段との間に前記偏光変換手段を挟み、これらが一体となるように設けた導光手段と、
    を備えることを特徴とする導光板。
  2. 請求項1に記載の導光板において、
    好ましくは、前記偏光変換手段の80%以上の領域で、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは45゜≦θ≦135゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与えることを特徴とする導光板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の導光板において、
    さらに好ましくは、前記偏光変換手段の60%以上の領域で、透過する光に対して、θ+n・180゜(但し、θは60゜≦θ≦120゜の範囲内にあって、nは整数である)の条件を満たすように位相差を与えることを特徴とする導光板。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子からなる格子構造体とすることを特徴とする導光板。
  5. 請求項4に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形という凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造であることを特徴とする導光板。
  6. 請求項5に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が、0.3〜0.8μm、格子深さが0.2〜0.5μmであることを特徴とする導光板。
  7. 請求項6に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする導光板。
  8. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層を加えた格子構造体であることを特徴とする導光板。
  9. 請求項8に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合せた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返し構造であることを特徴とする導光板。
  10. 請求項9に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmであり、
    前記格子構造体の表面に設けられる表面層は、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に積層した複数層である、
    ことを特徴とする導光板。
  11. 請求項10に記載した導光板において、
    前記格子構造体は、前記誘電体格子と前記表面層との間に0を超えて100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)層を備えることを特徴とする導光板。
  12. 請求項11に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする導光板。
  13. 請求項8〜請求項12の何れか一項に記載の導光板において、
    前記格子構造体は、前記誘電体格子の表面に、
    スピンコーター法あるいはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後で溶媒を除去する工程を一度または複数回繰り返して形成した表面層、
    または、
    蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより、一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を形成した表面層、
    を備えることを特徴とする導光板。
  14. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の凹部に、所定の屈折率を有する物質である一層の表面層、または、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質を積層した複数層の表面層、を加えた格子構造体であることを特徴とする導光板。
  15. 請求項14に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状が、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする導光板。
  16. 請求項15に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、格子周期0.3〜0.8μm、格子深さ0.2〜0.5μmであり、
    前記格子構造体の凹部に設けられる表面層は、厚さ50〜150nmの二酸化チタン(TiO)または五酸化タンタル(Ta)と、厚さ70〜200nmの二酸化シリコン(SiO)と、を交互に積層した複数層である、
    ことを特徴とする導光板。
  17. 請求項16に記載した導光板において、
    前記格子構造体は、誘電体格子と表面層との間に0を超えて100nmまでの厚さの一酸化シリコン(SiO)層を備えることを特徴とする導光板。
  18. 請求項17に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする導光板。
  19. 請求項14〜請求項18の何れか一項に記載の導光板において、
    前記格子構造体は、誘電体格子の表面に、
    スピンコーター法あるいはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後で溶媒を除去し、さらに誘電体格子の凸部の頂上にある物質のみを除去する工程を一度あるいは複数回繰り返して凹部に形成した一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる表面層、
    または、
    蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより、物質を付けた後で凸部の頂上にある物質のみを除去する工程を一度あるいは複数回繰り返して凹部に形成した一層の物質、あるいは、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる表面層、
    を備えることを特徴とする導光板。
  20. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質が積層状に形成された凸部の周期的な繰り返し構造である格子からなる格子構造体とすることを特徴とする導光板。
  21. 請求項20に記載の導光板において、
    前記格子構造の格子体は、その断面形状が矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする導光板。
  22. 請求項21に記載の導光板において、
    前記格子構造体は、
    スピンコーター法またはロールコーター法により、溶媒で希釈された物質を付けた後、溶媒を除去する工程を複数回繰り返し形成した、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる膜、
    または、
    蒸着法、スパッタ法あるいはイオンプレーティング法の何れかにより形成した、隣接する層間で互いに屈折率の異なる物質からなる膜、
    に対してエンボス加工を行うことにより形成された格子であることを特徴とする導光板。
  23. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、透明な誘電体材料により形成した周期的な繰り返し構造である誘電体格子の表面に、金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子を設けた格子構造体であることを特徴とする導光板。
  24. 請求項23に記載の導光板において、
    前記格子構造体の金属格子は、反射率が60%以上の金属薄膜により形成されることを特徴とする導光板。
  25. 請求項24に記載の導光板において、
    前記金属格子の金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする導光板。
  26. 請求項23〜請求項25の何れか一項に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、その断面形状は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部からなる形状、または、これら凸部を複数組み合わせた形状、のいずれかの形状の周期的な繰り返しであることを特徴とする導光板。
  27. 請求項26に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子は、矩形、台形、三角形あるいは正弦波形のいずれかの凸部の周期的な繰り返し構造であり、格子周期が0を超えて0.4μm以下、格子深さが0を超えて0.2μm以下であることを特徴とする導光板。
  28. 請求項27に記載の導光板において、
    前記格子構造体の誘電体格子の凸部は、基本形状に微細な形状を組み合わせて形成した複数形状からなる凸部であることを特徴とする導光板。
  29. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、導光手段、透明基板、または透明フィルムに対して金属材料により形成した周期的な繰り返し構造である金属格子を設けた格子構造体とすることを特徴とする導光板。
  30. 請求項29に記載の導光板において、
    前記格子構造体は、反射率が60%以上の金属薄膜である金属格子を形成した格子構造体であることを特徴とする導光板。
  31. 請求項30に記載の導光板において、
    前記金属格子の金属薄膜は、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする導光板。
  32. 請求項30または請求項31に記載の導光板において、
    前記金属格子の金属薄膜の膜厚は0.05μm以上、格子の周期Tは0.05〜0.25μmであり、格子の幅は、格子の周期Tに対して0.25T〜0.85Tの範囲であることを特徴とする導光板。
  33. 請求項29〜請求項32の何れか一項に記載の導光板において、
    導光手段、透明基板、または透明フィルムと、前記金属格子と、の間に下地層が形成され、
    前記金属格子および前記下地層の表明に保護膜を形成することを特徴とする導光板。
  34. 請求項29〜請求項33の何れか一項に記載の導光板において、
    前記金属格子は、導光手段、透明基板、透明フィルムまたは下地層の表面に縞状の格子パターンを有するマスクを通して、蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,またはドライエッチング法の何れかにより形成することを特徴とする導光板。
  35. 請求項29〜請求項34の何れか一項に記載の導光板であって、透明フィルムの表面側に金属薄膜からなる金属格子が形成された格子構造体を有する導光板において、
    前記格子構造体は、透明フィルムに金属格子を形成した後、その透明フィルムを縞方向に延伸して金属格子を微細なパターンとし、透明フィルムと共に導光手段または透明基板上に貼り付けて形成することを特徴とする導光板。
  36. 請求項1〜請求項35の何れか一項に記載の導光板において、
    前記導光手段は樹脂を材料とし、前記偏光変換手段を複屈折分布とすることを特徴とする導光板。
  37. 請求項36に記載の導光板において、
    前記導光手段の材料は、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、エボキシ系樹脂、または、オレフィン系樹脂の何れかであることを特徴とする導光板。
  38. 請求項36または請求項37に記載の導光板において、
    異方配向したスキン層により内部複屈折を形成したことを特徴とする導光板。
  39. 請求項36〜請求項38の何れか一項に記載の導光板において、
    樹脂を材料とする導光手段は配向が大きいことを特徴とする導光板。
  40. 請求項36〜請求項39の何れか一項に記載の導光板において、
    導光手段を形成した樹脂には主材と異なる、異方性を有する樹脂ポリマを所定量含むことを特徴とする。
  41. 請求項40に記載の導光板において、
    主材と異なる樹脂ポリマはスチレンビーズないし液晶ポリマであることを特徴とする導光板。
  42. 請求項1〜請求項41の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は、前記導光手段のうち光が入射される面と、偏光分離手段が形成される面と、を除く面のすべてまたは一部に設けられることを特徴とする導光板。
  43. 請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段の一部又は全部は微細な凹凸からなる拡散性ホログラム、体積型拡散性ホログラム、または、スペックル拡散面の何れかとし、前記偏光分離手段に向けて拡散反射することを特徴とする導光板。
  44. 請求項43に記載の導光板において、
    前記反射手段の拡散性ホログラム、体積型の拡散性ホログラム、または、スペックル拡散面に金属反射膜を形成することを特徴とする導光板。
  45. 請求項43または請求項44に記載の導光板において、
    前記反射手段の中の一つの拡散性ホログラムは、ひとつの入射光を複数の出射光に分岐する機能を有し、P(x)の位相差分布を有する入射光をi番目の出射光に変換する機能を表す位相差分布をP(x)とし、以下の数式
    Figure 0003891266
    で表される位相差分布P(x)を有することを特徴とする導光板。
  46. 請求項45に記載の導光板において、
    前記反射手段の拡散性ホログラムの位相差分布が前記P(x)となるように、表面形状D’(x)が、以下の数式
    Figure 0003891266
    で表されることを特徴とする導光板。
  47. 請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は金属により形成されることを特徴とする導光板。
  48. 請求項47に記載の導光板において、
    金属が、Mg、Se、Y、Ti、Cr、Mo、W、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Pb、Snからなる化合物単独、あるいは、これらを2種以上組み合わせた合金であることを特徴とする導光板。
  49. 請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は誘電体多層膜により形成されることを特徴とする導光板。
  50. 請求項49に記載の導光板において、
    前記誘電体多層膜に金属反射膜を形成することを特徴とする導光板。
  51. 請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は印刷により形成されるパタンであることを特徴とする導光板。
  52. 請求項1〜請求項42の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は散乱面であることを特徴とする導光板。
  53. 請求項1〜請求項52の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、前記光源から位置が遠ざかるにつれて透過率を高くすることを特徴とする導光板。
  54. 請求項1〜請求項53の何れか一項に記載の導光板において、
    前記偏光分離手段は、光源から入射される光に対して略直交するように格子構造体が形成されることを特徴とする導光板。
  55. 請求項1〜請求項54の何れか一項に記載の導光板において、
    前記反射手段は、前記光源から位置が遠ざかるにつれて反射率を高めることを特徴とする導光板。
  56. 光源と、
    前記光源から出射される光のうち互いに直交する二の偏光成分の一方の偏光成分を透過する請求項1〜請求項55の何れか一項に記載の導光板と、
    前記導光板から出射される偏光が照明される液晶パネル板と、
    を備えることを特徴とする液晶表示装置。
  57. 請求項56に記載の液晶表示装置において、
    前記液晶パネル板は、
    液晶板と、
    この液晶板の表裏に配置され、偏光方向を直交させた一対の偏光板と、
    を備え、
    前記偏光変換手段を透過する偏光の偏光方向と、液晶パネルと導光板との間にある偏光板を透過する偏光の偏光方向と、を直交させるように前記偏光変換手段および偏光板を配置することを特徴とする液晶表示装置。
JP2001387090A 2000-12-28 2001-12-20 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置 Expired - Fee Related JP3891266B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001387090A JP3891266B2 (ja) 2000-12-28 2001-12-20 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置

Applications Claiming Priority (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000402128 2000-12-28
JP2000-402128 2000-12-28
JP2001146241 2001-05-16
JP2001-146241 2001-05-16
JP2001151104 2001-05-21
JP2001-151104 2001-05-21
JP2001286059 2001-09-20
JP2001-286059 2001-09-20
JP2001340385 2001-11-06
JP2001-340385 2001-11-06
JP2001387090A JP3891266B2 (ja) 2000-12-28 2001-12-20 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003207646A JP2003207646A (ja) 2003-07-25
JP3891266B2 true JP3891266B2 (ja) 2007-03-14

Family

ID=27671273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001387090A Expired - Fee Related JP3891266B2 (ja) 2000-12-28 2001-12-20 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3891266B2 (ja)

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005085817A (ja) * 2003-09-04 2005-03-31 Mitsubishi Electric Corp 薄膜半導体装置およびその製造方法
JP2006079852A (ja) * 2004-09-07 2006-03-23 Toppan Printing Co Ltd 導光板およびディスプレイ装置
JP4517794B2 (ja) * 2004-09-16 2010-08-04 凸版印刷株式会社 導光板およびディスプレイ装置
KR20060042481A (ko) * 2004-11-09 2006-05-15 엘지전자 주식회사 반사형 편광판을 포함하는 액정 디스플레이
KR100661365B1 (ko) 2005-04-27 2006-12-27 삼성전자주식회사 액정표시장치
KR20060130999A (ko) * 2005-06-14 2006-12-20 삼성전자주식회사 개선된 도광판, 도광판을 개선한 백라이트 어셈블리 및이를 구비한 표시 장치
KR101182299B1 (ko) * 2005-06-24 2012-09-20 엘지디스플레이 주식회사 백라이트 유닛 및 그의 제조방법과 상기 백라이트 유닛을구비한 액정표시장치
US20090190068A1 (en) * 2005-09-22 2009-07-30 Sharp Kabushiki Kaisha Light guiding body, substrate for display device, and display device
US8451398B2 (en) 2006-02-16 2013-05-28 Panasonic Corporation Light source device and liquid crystal display device using such light source device
JP2008008990A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Ricoh Co Ltd 波長板、画像投射装置、及び光ピックアップ装置
JP4946211B2 (ja) * 2006-06-30 2012-06-06 大日本印刷株式会社 被観察体への補助情報付加装置
US8755113B2 (en) * 2006-08-31 2014-06-17 Moxtek, Inc. Durable, inorganic, absorptive, ultra-violet, grid polarizer
JP2008216882A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Nitto Koki Kk 透過型回折素子、光ピックアップ装置及び透過型回折素子の製造方法
JP5076604B2 (ja) * 2007-04-04 2012-11-21 東レ株式会社 反射型偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
FR2915814A1 (fr) * 2007-05-04 2008-11-07 Saint Gobain Extracteur de lumiere nanostructure
JP5010527B2 (ja) * 2007-06-04 2012-08-29 住友化学株式会社 導光板ユニット、面光源装置及び液晶表示装置
JP2008304522A (ja) * 2007-06-05 2008-12-18 Seiko Epson Corp 偏光素子、偏光素子の製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置
US7618178B2 (en) * 2007-06-11 2009-11-17 SKC Haas Display Films Co., Lt.d Backlight containing formed birefringence reflective polarizer
JP2009123553A (ja) * 2007-11-15 2009-06-04 Sumitomo Chemical Co Ltd 導光板、面光源装置及び液晶表示装置
WO2009136439A1 (ja) * 2008-05-08 2009-11-12 ナルックス株式会社 位相板およびその製造方法
CN101676772A (zh) * 2008-09-19 2010-03-24 北京京东方光电科技有限公司 液晶显示器及其背光模组
JP2010256553A (ja) * 2009-04-23 2010-11-11 Asahi Kasei E-Materials Corp ワイヤグリッド偏光フィルム
JP2011059677A (ja) * 2009-08-11 2011-03-24 Sumitomo Chemical Co Ltd ノッチフィルター
JP5590038B2 (ja) 2009-10-05 2014-09-17 日本電気株式会社 光学素子、光源装置、及び投射型表示装置
JP2011090141A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Asahi Glass Co Ltd ワイヤグリッド型偏光子およびその製造方法
WO2011062036A1 (ja) 2009-11-18 2011-05-26 日本電気株式会社 光学素子、光源装置及び投射型表示装置
WO2011070921A1 (ja) * 2009-12-11 2011-06-16 日本電気株式会社 照明装置およびそれを用いた投射型表示装置
JP5093220B2 (ja) * 2009-12-28 2012-12-12 株式会社日立製作所 変位計測方法とその装置
JP5679283B2 (ja) * 2010-10-25 2015-03-04 株式会社ニコン 集光光学素子、集光装置、光発電装置及び光熱変換装置
JP5679286B2 (ja) * 2010-11-05 2015-03-04 株式会社ニコン 集光光学素子、集光装置及び光発電装置
CN102947731B (zh) * 2010-06-18 2016-01-20 株式会社尼康 聚光光学元件、聚光装置、光发电装置和光热转换装置
US8611007B2 (en) * 2010-09-21 2013-12-17 Moxtek, Inc. Fine pitch wire grid polarizer
JP5776425B2 (ja) * 2011-08-03 2015-09-09 大日本印刷株式会社 ホログラムシート
JP5776426B2 (ja) * 2011-08-03 2015-09-09 大日本印刷株式会社 ホログラムシート
KR102028486B1 (ko) * 2013-07-30 2019-10-04 동우 화인켐 주식회사 디스플레이 장치의 전면 차광층 및 그를 포함하는 디스플레이 장치
US9354374B2 (en) 2013-10-24 2016-05-31 Moxtek, Inc. Polarizer with wire pair over rib
JP5996587B2 (ja) * 2014-08-22 2016-09-21 デクセリアルズ株式会社 無機偏光板及びその製造方法
US10120119B2 (en) 2015-12-24 2018-11-06 Minebea Mitsumi Inc. Planar illumination apparatus with scattering unit by rayleigh scattering
JP6440670B2 (ja) * 2015-12-24 2018-12-19 ミネベアミツミ株式会社 面状照明装置
WO2019202642A1 (ja) * 2018-04-16 2019-10-24 大日本印刷株式会社 導光板、面光源装置、表示装置、導光板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003207646A (ja) 2003-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3891266B2 (ja) 導光板及びこの導光板を備えた液晶表示装置
WO2002054119A1 (fr) Plaque de guidage de la lumiere et dispositif d'affichage a cristaux liquides comprenant cette plaque
US9581739B2 (en) Transflective articles and light assemblies
JP4437920B2 (ja) 偏光を供給するための微細構造化された照明システム
US7446915B2 (en) Diffuse reflector and method
KR101877058B1 (ko) 광 조립체
US7481565B2 (en) Light guide plate
JP3129444B2 (ja) 導光体、面状光源装置及び液晶表示装置
TWI608258B (zh) 導光板、背光模組以及顯示裝置
JP3260688B2 (ja) 面光源装置、偏光面光源装置及び液晶表示装置
KR20040090667A (ko) 디스플레이용 라이트 유닛
TW200525198A (en) Display optical films
JP2008288195A (ja) 偏光転向フィルムを含む、低減された色分解を有するバックライトユニット
TW200811536A (en) Back light module with direct type light guide plate and lighting device
WO2007015328A1 (ja) 面光源装置及びプリズムシート
JPH09178949A (ja) 平面照明装置
US20060279963A1 (en) Light guide plate having multi-periodic patterns and illumination apparatus for display device using the light guide plate
JP2002124113A (ja) 面照明装置
JP2001166116A (ja) プリズムシート、面光源装置及び液晶表示装置
JP3763378B2 (ja) 導光体フィルムの製造方法、その製造方法により製造された導光体フィルム、積層フィルム、及び液晶表示装置
JP2009003412A (ja) 低減された色分解を有する偏光転向フィルム
JPH1114835A (ja) 発光表示板
JPH1152377A (ja) 光路制御板、面光源装置、偏光光源装置及び液晶表示装置
JP4682581B2 (ja) 回折格子を用いたバックライトユニット
JP2002197910A (ja) 面照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101215

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees