JP5074552B2 - 検測装置を具える伝動部材 - Google Patents

Description

本発明は、監視制御装置を具える伝動部材に係り、特に伝動部材の磨耗などの異常状況の有無を即時に検測することができる、検測装置を具える伝動部材に関する。

伝動部材中の転がり用ねじ軸に精確な位置決めの精度および高剛性を持たせるためには、転がり用ねじ軸のナットおよび長軸に設けられる転がり溝と転がり部材との間に所定のプレストレスを与える必要がある。しかも該プレストレスは、転がりねじ軸が無負荷になるとき、転がり部材と転がり溝との間に間隙が存在することなく、互いに受ける圧力を指すものである。プレストレスを具備する転がり用ねじ軸を機台に取り付けると、機台の剛性および位置決め精度が向上し、故にこのような機台により加工された部品の品質が良好になる。したがって、プレストレスを具備する転がり用ねじ軸は、精密加工機台にとって非常に重要な核心部材といえる。

上述したように、プレストレスを有する転がり用ねじ軸のプレストレスが消失すると、転がり用ねじ軸の位置決め精度および剛性の低下を引き起こすという問題がある。このため、例えば、アメリカ合衆国特許第７２９９７０３号（特許文献１）には、接触式（ＬＶＤＴ）又は非接触式（或いは光学式）変位計を利用することにより、ナットの転がり溝とねじ軸の転がり溝との間の隙間を計測する検測装置が開示されている。前記隙間が変化すると、代表のプレストレスも変化する。このため、この検測装置は、この変化の検測結果に基づき、ユーザーに停止・検査を即時に通知するようになる。これにより、機台が加工精度を失うのに、部品加工が継続し、部品の品質が低下し、最悪の場合には大量の不良品が発生することを防ぐことができる。

アメリカ合衆国特許第７２９９７０３号明細書

しかし、上記の公知の検測装置は、以下のような問題がある。
＜イ＞計測機器や設備が高価であるため、このまま転がり用ねじ軸に取り付けると、コストが嵩み、ユーザーが受け入れる可能性は高くない。

＜ロ＞この検測方式では、製作が困難で、且つ検測部位と異物とが容易に接触し、しかも損壊し、又は表面にオイルミストが付着するため、検測の誤差が発生し易くなる。

そこで、本発明の主な目的は、製造コストが低く、且つ容易に取り付けられるとともに、伝動部材の磨耗の有無を検測することができる、検測装置を具える伝動部材を提供することにある。

上記目的を解決するためになされた本発明の請求項１は、伝動部材であって、転がり溝を有する長軸と、前記長軸を套設し、前記転がり溝に対応する別の転がり溝を設けるとともに、前記転がり溝と前記別の転がり溝とにより形成される負荷経路を有する移動体と、前記移動体に設けられるとともに、前記負荷経路と連通して循環経路を形成する回流経路を有する回流部材と、前記循環経路に案内される複数の転がり部材と、検測装置と、からなり、前記検測装置は、ホールＩＣと磁性部材とを含み、前記移動体に設置され、かつ前記転がり部材の転がり経路に取り付けられる一方、前記伝動部材が一定の速度で運行するとき、前記転がり部材が前記検測装置を通過する所定時間当たりの周波数（以下、ボール通過周波数という）を計測してなることを特徴とする検測装置を具える伝動部材である。

本発明の請求項２は、請求項１において、前記検測装置は、前記回流部材の前記回流経路に取り付けられてなることを特徴とする検測装置を具える伝動部材である。
本発明の請求項３は、請求項１において、前記磁性部材は、永久磁石又は電磁石からなることを特徴とする検測装置を具える伝動部材である。

本発明の請求項４は、請求項１において、前記転がり部材と前記ホールＩＣとの間距離が１５ｍｍ以下であることを特徴とする検測装置を具える伝動部材である。なお、転がり部材とホールＩＣと磁性部材との間の設置関係は、ホールが転がり部材と磁性部材の中間、磁性部材がホールＩＣと転がり部材の中間、又は転がり部材がホールＩＣと磁性部材の中間にある。

ホールＩＣは第一脚部、第二脚部、および第三脚部を有し、前記第一脚部と前記第二脚部はそれぞれ電源の正極と負極に接続され、しかも第三脚部は一つの判断装置に接続される。前記判断装置は、周波数カウンターとコンパレータを組み合わせて構成する。また、周波数カウンターとオペレーターを組み合わせて構成してもよい。また、周波数カウンターとコンパレータとオペレーターを組み合わせて構成してもよい。さらに、マイクロプロセッサーでもよい。

本発明は、上述した構成を有するものであるため、製造コストが低く、且つ容易に取り付けられるとともに、伝動部材の磨耗の有無を検測することができるという効果を奏する。

本発明に係る検測装置を具える伝動部材の移動体の断面図である。 本発明に係る検測装置を移動体に取り付けた位置を示す斜視図である。 本発明に係る検測装置の実施例１の回路図である。 本発明に係る検測装置の実施例２の回路図である。 （Ａ）乃至（Ｃ）は本発明に係る検測装置と転がり部材との間の排列関係を示す説明図である。

以下、本発明の特徴及び技術内容をより一層理解するために、本発明に係る実施形態及び図面を参照されたい。但し、当該実施形態又は図面などは単に本発明を説明または参考するために用いられるもので、本発明に対して如何なる制限はない。

図１乃至図３および図５は、本発明の実施例１を示す説明図である。図１は本発明に係る検測装置を具える伝動部材の移動体の断面図であり、図２は本発明に係る検測装置を移動体に取り付けた位置を示す斜視図であり、図３は本発明に係る検測装置の回路図である。本発明に係る検測装置を具える伝動部材は、転がり溝１１を有する長軸１と、前記長軸１を套設し、前記転がり溝１１に対応する別の転がり溝２１を設けるとともに、前記転がり溝１１と前記別の転がり溝２１とにより形成される負荷経路を有する移動体２と、前記移動体２に設けられるとともに、前記負荷経路と連通して循環経路を形成する回流経路３１を有する回流部材３と、前記循環経路に案内される複数の転がり部材４と、検測装置５と、からなる。

前記検測装置５は、ホールＩＣ５２と磁性部材５１とを含む。前記磁性部材５１は、永久磁石又は電磁石からなる。本実施例では、電気回路を簡略化するために、永久磁石を使用する。前記検測装置５は前記移動体２に設置され、かつ前記転がり部材４の転がり経路に取り付けられる。本実施例では、移動体２の全体体積を増加させず、且つ移動体２の全体剛性に影響を及ぼさないために、回流部材３の底面下方であって、回流経路３１に対応して前記検測装置５を取り付ける（図１と図２を参照）。即ち、移動体２の対応する回流部材３の底面に一つの取り付け溝２２を開設し、この取り付け溝２２は検測装置５の設置に供する。なお、検測装置５は接着剤、ボルトねじなどの公知の技術を用いて固定することができる。

さらに、転がり部材４とホールＩＣ５２と磁性部材５１との間の排列（又は設置）関係は、ホール５２が転がり部材４と磁性部材５１の中間（図５（Ａ）を参照）、磁性部材５１がホールＩＣ５２と転がり部材４の中間（図５（Ｂ）を参照）、転がり部材４がホールＩＣ５２と磁性部材５１の中間にあると考えられる。しかも転がり部材４とホールＩＣ５２との間距離ｄが１５ｍｍ以下とする。間距離ｄが１５ｍｍを超えると、ホールＩＣ５２が信号を検出することができなくなるためである。

次に、図３を参照されたい。本発明の検測装置のホールＩＣ５２は第一脚部５２１Ａ、第二脚部５２１Ｂ、および第三脚部５２Ｃを有し、前記第一脚部５２１Ａと前記第二脚部５２１Ｂはそれぞれ電源の正極と負極に接続され、しかも第三脚部５２１Ｃは一つの判断装置に接続される。前記判断装置は、様々な組み合わせの装置により構成することができる。本実施例では、判断装置は、周波数カウンター（Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｃｏｕｎｔｅｒ）とコンパレータ（Ｃｏｍｐａｒａｔｏｒ）を組み合わせて構成する。また、周波数カウンター（Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｃｏｕｎｔｅｒ）とオペレーター（Ｏｐｅｒａｔｏｒ）を組み合わせて構成してもよい。また、周波数カウンター（Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｃｏｕｎｔｅｒ）とコンパレータ（Ｃｏｍｐａｒａｔｏｒ）とオペレーター（Ｏｐｅｒａｔｏｒ）を組み合わせて構成してもよい。また、マイクロプロセッサー（Ｍｉｃｒｏ Ｐｒｏｃｅｓｓｏｒ）でもよい。前記判断装置は、ホールＩＣ５２から出力される電圧の振動周波数を計算する。前記振動周波数は、伝動部材が一定の速度で運行するとき、前記転がり部材４が単位時間当たりホールＩＣを通過する周波数である。しかもこの振動周波数は転がり部材４のボール通過周波数とする。前記判断装置は、前記ボール通過周波数と予め設定されたボール通過周波数とを比較する。前記ボール通過周波数が予め設定されたボール周波数より小さくなるとき、前記判断装置は、継電器（Ｒｅｌａｙ）へ信号を送信し、前記継電器（Ｒｅｌａｙ）がさらにＬＥＤ又はＬａｍpなどからなる警報装置を作動し、前記警報装置がユーザーに警報信号を発して伝動部材に異常状況が発生していることを知らせる。

上述したように、前記異常状況としては、最も可能性があるものとして伝動部材の著しい磨耗が挙げられる。加えて転がり部材４と負荷経路との間のプレストレスが消失する。プレストレスが存在する場合、転がり部材４と負荷経路が接触し、転がり部材が負荷経路において転がり、故に検測装置を通過するボール通過周波数が周期性を有する。しかもプレストレスが消失すると、転がり部材４が負荷経路と接触しなくなり、故に転がり部材４が負荷経路において滑るようになり、且つ伝動部材の転がり部材４は通常、循環経路のすべてを充満することができなくなる。故に転がり部材４間に隙間が発生する。しかも循環経路のすべてを充満しても、仮に転がり部材４又は負荷経路に磨耗が発生すれば、転がり部材間に隙間を発生させるようになり、故に滑り出している転がり部材４が検測装置通過するボール通過周波数は周期性を有しない。この際に、判断装置はボール通過周波数を検測するとともに、予め設定されたボール通過周波数の値と比較する。前記ボール通過周波数が予め設定された値より低くなるとき、前記判断装置は、継電器（Ｒｅｌａｙ）へ信号を送信し、継電器（Ｒｅｌａｙ）が警報装置を作動させる。警報装置はユーザーに警報信号を発して伝動部材に異常が発生していることを通知する。

最後に、図４は本発明の実施例２の検測装置の回路図を示すものである。実施例２と実施例１との差異点は、判断装置に一つのエンコーダー（Ｅｎｃｏｄｅｒ）と一つのディスプレー（Ｄｉｓｐｌａｙ）を直列に接続することにある。エンコーダー（Ｅｎｃｏｄｅｒ）は判断装置の信号を編集し、ディスプレーはこの編集された信号を連続的に表示する。これにより、ユーザーは即時に伝動部材の動作状態をモニタすることができる。実施例２の他の構造と構成は、実施例１と同一であるため、ここでは省略する。

なお、以上の内容は本発明の好ましい実施の形態であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなしえる修正、もしくは変更で、この発明の精神の下においてなされ、かつこの発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。

本発明に係る部分
１ 長軸
１１ 転がり溝
２ 移動体
２１ 転がり溝
２２ 取り付け溝
３ 回流部材
３１ 回流経路
４ 転がり部材
５ 検測装置
５１ 磁性部材
５２ ホールＩＣ
５２１Ａ 第一脚部
５２１Ｂ 第二脚部
５２１Ｃ 第三脚部
ｄ 間距離

Claims (4)

1. 伝動部材であって、
   転がり溝を有する長軸と、前記長軸を套設し、前記転がり溝に対応する別の転がり溝を設けるとともに、前記転がり溝と前記別の転がり溝とにより形成される負荷経路を有する移動体と、前記移動体に設けられるとともに、前記負荷経路と連通して循環経路を形成する回流経路を有する回流部材と、前記循環経路に案内される複数の転がり部材と、検測装置と、からなり、
   前記検測装置は、ホールＩＣと磁性部材とを含み、前記移動体に設置され、かつ前記転がり部材の転がり経路に取り付けられる一方、前記伝動部材が一定の速度で運行するとき、前記転がり部材が前記検測装置を通過する所定時間当たりの周波数（以下、ボール通過周波数という）を計測してなることを特徴とする、検測装置を具える伝動部材。
2. 前記検測装置は、前記回流部材の前記回流経路に取り付けられてなることを特徴とする、請求項１に記載の検測装置を具える伝動部材。
3. 前記磁性部材は、永久磁石又は電磁石からなることを特徴とする、請求項１に記載の検測装置を具える伝動部材。
4. 前記転がり部材と前記ホールＩＣとの間距離が１５ｍｍ以下であることを特徴とする、請求項１に記載の検測装置を具える伝動部材。