JP5071331B2 - 車両のコースティング走行制御装置 - Google Patents
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Description
特に、当該走行中におけるトルクコンバータのロックアップ時間を延長して燃費改善効果を高め得るようにした車両のコースティング走行制御装置に関するものである。
エンジンへの燃料供給を中止するフューエルカットを行うことにより、燃費の改善を図ることが多く行われている。
それにもかかわらず上記したトルクコンバータのロックアップおよびエンジンのフューエルカットを継続すると、トルクコンバータのトルク変動吸収機能が得られないため、振動やエンジンストール(エンスト)が生じたり、フューエルカット終了時にエンジンを再運転させ得なくなる。
このときトルクコンバータがロックアップ状態のままだと、急上昇したエンジントルクがロックアップ状態のトルクコンバータおよび自動変速機の伝動系を経てそのまま駆動車輪に達し、大きなフューエルリカバーショックを発生させる。
コースティング走行のため低下中の変速機入力側回転数が、ロックアップ解除回転数まで低下してトルクコンバータのロックアップが解除された後に、
変速機入力側回転数がフューエルリカバー回転数まで低下してエンジンのフューエルリカバーが行われるようにした技術が提案されている。
上記したフューエルリカバーショックに関する問題を解決することができる。
当該ロックアップ時間の延長による燃費の向上について、なお改善の余地があった。
先ず前提となる車両を説明するに、これは、
トルクコンバータを介しエンジンからの回転を入力される有段式自動変速機を搭載した車両であって、
エンジンを無負荷状態にしたコースティング走行中、トルクコンバータを、入出力要素間が直結されたロックアップ状態にすると共に、エンジンへの燃料供給を中止するフューエルカットを行い、
変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下するときトルクコンバータのロックアップを解除し、変速機入力側回転数が該ロックアップ解除回転数よりも低いフューエルリカバー回転数まで低下するとき上記フューエルカットを終了してエンジンへの燃料供給を再開するフューエルリカバーを行うようにしたものである。
前者のコースティング時強制フューエルリカバー手段は、上記のコースティング走行中、変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下するよりも前に、フューエルリカバーを行わせる。
また後者のコースティング時ロックアップ解除回転数低下手段は、前者のコースティング時強制フューエルリカバー手段によるフューエルリカバー時に前記のロックアップ解除回転数を低下させる。
コースティング走行中、変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下するよりも前に、強制フューエルリカバーを行わせるため、
この強制フューエルリカバーにより変速機入力側回転数が上昇されて、ロックアップ解除回転数まで低下する虞を緩和することができ、これによるロックアップ時間の延長で燃費を向上させることができる。
上記応答遅れ中における変速機入力側回転数の低下によっても、この変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下する虞を確実に緩和することができ、これにより、ロックアップ時間の延長で燃費を向上させ得るという上記の作用効果を確実なものにすることができる。
図1は、本発明の一実施例になるコースティング走行制御装置を具えた車両のパワートレーン、およびその制御系を示し、
1はエンジン、2は有段式自動変速機、3はトルクコンバータである。
エンジン1は、エンジンコントローラ4から図示せざる燃料噴射量指令や点火時期指令を受けて燃料噴射量や点火時期を制御されることにより通常運転を行うほか、
燃料噴射を中止するフューエルカット指令や燃料噴射を再開するフューエルリカバー指令を図示のごとくエンジンコントローラ4から受けてフューエルカット制御されるものとする。
かかるフューエルカット制御のためエンジンコントローラ4には、エンジン回転数Neを入力する。
トルクコンバータ3は、入力要素であるポンプインペラおよび出力要素であるタービンランナを適宜直結(ロックアップ)可能なものとし、
該トルクコンバータ3のロックアップ制御も、変速機コントローラ5が図示するロックアップ指令によって、これを遂行するものとする。
変速機コントローラ5からエンジンコントローラ4へは、現在の変速段(CurGP)に係わる信号と、目標変速段(NxtGP)に係わる信号と、自動変速機2の入力回転数(トルクコンバータ3のタービン回転数)Ntに係わる信号と、トルクコンバータ3がロックアップ状態であることを示す信号であるロックアップフラグとを入力する。
逆にエンジンコントローラ4から変速機コントローラ5へは、トルクコンバータ3のロックアップを禁止する信号であるロックアップ禁止フラグを入力する。
エンジン1を無負荷状態(アクセルペダルを踏み込まないで釈放状態にした状態)にしたコースティング(惰性)走行中、トルクコンバータ3を入出力要素間が直結されたロックアップ状態にすると共に、
エンジン1への燃料供給を中止するフューエルカットを行うものとする。
これにより、トルクコンバータ3のロックアップ時間を長くし、エンジン1のフューエルカットと相まって燃費を改善することができる。
それにもかかわらず上記したトルクコンバータ3のロックアップおよびエンジン1のフューエルカットを継続すると、トルクコンバータ3のトルク変動吸収機能が得られないため、振動やエンジンストール(エンスト)が生じたり、フューエルカット終了時(フューエルリカバー時)にエンジン1を再運転させ得なくなる。
コースティング走行中、変速機入力回転数Ntがロックアップ解除回転数Noffまで低下するときトルクコンバータ3のロックアップを解除し、
変速機入力回転数Ntがフューエルリカバー回転数Nrecまで低下するときエンジン1のフューエルカットを終了してフューエルリカバーを行うものとする。
これによりエンジンコントローラ4および変速機コントローラ5が、先ずトルクコンバータ3のロックアップ解除を行い、かかるロックアップ解除状態のもとで(トルクコンバータ3をコンバータ状態にした後に)、エンジン1のフューエルリカバーを行わせるようになす。
かかる順次制御によれば、エンジン1のフューエルリカバーショックを、コンバータ状態のトルクコンバータ3により吸収して緩和することができる。
コースティング走行故に低下している変速機入力側回転数(エンジン回転数Neや変速機入力回転数Nt)を図示のようにロックアップ解除回転数Noffに到達する前に上昇に転じさせて、トルクコンバータ3のロックアップ時間の延長により燃費を改善させるためには、
締結側要素締結容量Tonの時間変化勾配θ2を図4に例示するごとく急にして、コーストダウンシフトを速やかに進行させる必要がある。
トルクフェーズおよびイナーシャフェーズ中に車両減速度Gの絶対値を急増させ、変速終了時に車両減速度Gの絶対値を急低下させることから、大きなショックが発生して変速品質を低下させるという問題を生ずる。
かかる変速品質の低下は避けなければならないことから、この変速品質が問題とならない程度まで締結側要素締結容量Tonの時間変化勾配は図4のθ2から、例えば図3のθ1へと緩やかにする必要がある。
このため、図1のエンジンコントローラ4および変速機コントローラ5は、図2の制御プログラムを実行して、図3の動作タイムチャートに示すようなコースティング走行制御を遂行するものとする。
ただし、かかるコーストダウンシフトに際し、車両減速度Gが図4の場合よりも緩やかに変化してショックの小さな良好な変速品質となるよう、締結側要素締結容量Tonを図4の場合よりも緩やかな一定の時間変化勾配θ1で上昇させるものとする。
ステップS1においては、車速VSPがダウンシフト判定車速以下になったか否かにより、自動変速機2にダウンシフトの変速指令を供給すべきか否かをチェックする。
車速VSPがダウンシフト判定車速以下になるまでは制御を元に戻して、ステップS1の判定を継続しつつ、車速VSPがダウンシフト判定車速以下になるまで待機する。
このコーストダウンシフトは、図3に示すごとく解放側要素締結容量Toffを低下させると共に、締結側要素締結容量Tonを前記した緩やかな時間変化勾配θ1で上昇させて、自動変速機2を現在の変速段(CurGP=第4速)から目標変速段(NxtGP=第3速)へ変速させるものである。
更に、このNt(CurGP)と、検出した変速機入力回転数Ntとの間における入力回転数偏差ΔNt{=Nt(CurGP)−Nt}を演算する。
ΔNt<ΔNsである間は制御をステップS3へ戻すことにより、ΔNt≧ΔNsとなるまでステップS4での判定を継続しつつ待機する。
ステップS4でΔNt≧ΔNsになったと判定する図3の瞬時t2に、制御をステップS5およびステップS6に進める。
ステップS6においては、ロックアップ解除回転数Noffを図3の瞬時t2に示すようにフューエルリカバー回転数Nrecと同じ値まで低下させる。
従ってステップS5は、本発明におけるコースティング時強制フューエルリカバー手段に相当し、
またステップS6は、コースティング時ロックアップ解除回転数低下手段に相当する。
コーストダウンシフト中に自動変速機2の伝動系(自動変速機2の変速摩擦要素や、トルクコンバータ3のロックアップクラッチ)がフューエルリカバーショックの少なくとも一部を吸収して緩和し得るスリップ可能状態である時に当該強制的フューエルリカバーを行わせるためである。
従って上記の所定値ΔNsは、上記変速機伝動系の当該スリップ可能状態を判定可能な所定の値(例えば20〜50rpm)に定める。
ここでΔNs=20〜50rpmとする理由は、フューエルリカバーショックを緩和し、且つ、変速機入力回転数Ntがロックアップ解除回転数Noffまで低下しない範囲において、上記のスリップ可能状態を作るためである。
当該判定を、正確に且つ確実に、しかも既存の信号を用いて安価に行うことができ、大いに有利である。
図3の瞬時t2にステップS5で上記のように行う強制的フューエルリカバーは、エンジントルクの発生により変速機入力トルクの絶対値を、同図の瞬時t2以降におけるごとくに低下させる。
変速機入力回転数Ntが、その後におけるコーストダウンシフトの進行により上昇されることとも相まって、変速機入力回転数Ntがロックアップ解除回転数Noffまで低下するようなことはなく、ロックアップ時間の延長による燃費改善効果を実現することができる。
燃料供給再開遅れや点火遅れによる応答遅れ、および、低い変速機作動油温による変速遅れ分の応答遅れが不可避で、
この応答遅れ中にエンジン回転数Neおよび変速機入力回転数Ntが、図3の瞬時t2〜t3中に見られるように低下することがある。
エンジン回転数Neおよび変速機入力回転数Ntが図3の瞬時t3に示すごとく、ロックアップ解除回転数Noffまで低下してロックアップが解除される虞を禁じ得ず、燃費向上効果が阻害されることがある。
上記応答遅れ中の瞬時t3におけるエンジン回転数Neおよび変速機入力回転数Ntの低下によっても、これらエンジン回転数Neおよび変速機入力回転数Ntがロックアップ解除回転数Noffまで低下してロックアップが解除される虞を確実に緩和することができる。
よって、ロックアップ時間の延長で燃費を向上させるという前記の作用効果を確実なものにすることができる。
本実施例のようにロックアップ解除回転数Noffをフューエルリカバー回転数Nrecと同じ値まで低下させる場合、
ロックアップ時間の延長を最大にし得て、燃費向上効果の点で最も有利である。
ロックアップ解除回転数Noffの低下が、フューエルリカバーの実行後であるため、ロックアップ解除回転数Noffの低下で、これがフューエルリカバー回転数Nrecと同じになっても、何ら支承はない。
変速終了判定瞬時t4に至っていなければ、制御を元に戻してステップS2でのコーストダウンシフト、ステップS5での強制フューエルリカバー、およびステップS5でのロックアップ解除回転数低下制御を引き続き実行する。
ステップS8においては、図3の瞬時t4以降に示すごとくロックアップ解除回転数Noffを元の値に戻す。
従ってステップS8も、本発明におけるコースティング時ロックアップ解除回転数低下手段に相当する。
従ってステップS9も、本発明におけるコースティング時強制フューエルリカバー手段に相当する。
なお、上記のごとく変速終了判定瞬時t4にエンジン1のフューエルカットを再開できる理由は、変速中トルクコンバータ3がロックアップ状態に保たれていたためであり、
かかる変速終了と同時のフューエルカットにより燃費の改善効果が大きくなる。
半気筒カット実行時間が設定時間Δtに満たず、図3の瞬時t5よりも前である間は、制御を元に戻して、ステップS9での半気筒カットを継続させる。
制御をステップS11に進めて、エンジン1の全気筒に対してフューエルカットを行う全気筒カットを開始させ、
以後は、ステップS1およびステップS2でコースト4→3ダウンシフトが開始されたと判定するまで、当該全気筒カットを継続的に実行する。
このように低下させたロックアップ解除回転数Noffを、該コースト4→3ダウンシフトの終了時t4に、元の値に復帰させるため、
図4につき前述した問題を生じないコースト4→3ダウンシフト時以外において、つまりコースティング時強制フューエルリカバーおよびロックアップ解除回転数Noffの低下が不要なときに、これら制御が無駄に行われる弊害を回避することができる。
強制的なフューエルリカバーの終了に伴うトルクの引き込みショックを緩和することができる。
強制的なフューエルリカバーの終了に伴う全気筒カットへの移行時におけるトルクの引き込みショックをも緩和することができる。
自動変速機2のダウンシフトを生じないコースティング走行時において、ロックアップ時間の延長が必要な場合も、
上記コースティング時強制フューエルリカバーおよびロックアップ解除回転数Noffの低下制御は同様に適用し得ることは言うまでもないし、
これによっても同様な作用効果が奏し得られること勿論である。
2 有段式自動変速機
3 ロックアップ式トルクコンバータ
4 エンジンコントローラ
5 変速機コントローラ
Claims (7)
- トルクコンバータを介しエンジンからの回転を入力される有段式自動変速機を搭載した車両であって、
前記エンジンを無負荷状態にしたコースティング走行中、前記トルクコンバータを、入出力要素間が直結されたロックアップ状態にすると共に、エンジンへの燃料供給を中止するフューエルカットを行い、
変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下するとき前記トルクコンバータのロックアップを解除し、変速機入力側回転数が該ロックアップ解除回転数よりも低いフューエルリカバー回転数まで低下するとき前記フューエルカットを終了してエンジンへの燃料供給を再開するフューエルリカバーを行うようにした車両において、
前記コースティング走行中、変速機入力側回転数がロックアップ解除回転数まで低下するよりも前に、前記フューエルリカバーを行わせるコースティング時強制フューエルリカバー手段と、
該手段によるフューエルリカバー時に前記ロックアップ解除回転数を低下させるコースティング時ロックアップ解除回転数低下手段を設けたことを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項1に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記コースティング時ロックアップ解除回転数低下手段は、前記ロックアップ解除回転数を前記フューエルリカバー回転数と同じ値まで低下させるものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記コースティング時強制フューエルリカバー手段は、前記コースティング走行に起因して前記自動変速機がダウンシフトを行っている間に、前記フューエルリカバーを行い、
前記コースティング時ロックアップ解除回転数低下手段は、該ダウンシフトの終了時に、前記低下させたロックアップ解除回転数を元の値まで復帰させるものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記コースティング時強制フューエルリカバー手段は、前記ダウンシフト中に自動変速機の伝動系がフューエルリカバーショックの少なくとも一部を吸収し得るスリップ可能状態である時に、前記フューエルリカバーを行うものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項4に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記変速機伝動系のスリップ可能状態は、自動変速機の変速前変速比と変速機出力回転数とから求めた変速機入力回転数演算値と、変速機入力回転数実測値との間における入力回転数偏差が所定値以上になった状態であるか否かにより判定するものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記コースティング時強制フューエルリカバー手段は、前記自動変速機のダウンシフト終了に呼応した前記フューエルリカバーの終了に際し、エンジン気筒数の半分に対しは燃料供給を継続して、残り半分の気筒のみをフューエルカットする半気筒カットを行うものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。 - 請求項6に記載の車両のコースティング走行制御装置において、
前記コースティング時強制フューエルリカバー手段は、前記半気筒カットを所定時間行った後に全気筒カットに移行するものであることを特徴とする車両のコースティング走行制御装置。
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