以下、本発明の実施の形態に係るデジタル放送受信機およびデジタル放送の切替方法を、図面に基づいて説明する。デジタル放送の切替方法は、デジタル放送受信機の動作の一部として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタル放送受信機1を示すブロック図である。このデジタル放送受信機1は、放送チャンネル毎にデジタル放送の放送電波を受信し、出力する。
デジタル放送の放送電波には、たとえばISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)方式(日本方式)のものや、ATSC(Advanced Television Systems Committee)方式(アメリカ方式)のもの、DVB−T(Digital Video Broadcasting)方式(欧州方式)のものなどがある。
また、ISDB方式には、衛星放送用のISDB−S方式、地上波デジタル放送用のISDB−T方式、地上デジタル音声放送用のISDB−TSB方式、ケーブルテレビ向けのISDB−C方式などがある。
これらのデジタル放送の放送電波では、従来のアナログ放送とは異なり、放送チャンネル毎に複数のサービスを提供することが可能である。図2〜図5は、1つの放送チャンネルにおけるサービスの構成例を示す説明図である。
図2は、1つの放送チャンネルにおいて1組の映像データ51および音声データ52による単一サービスを提供する場合のコンテンツ構成イメージを示す図である。図2の放送チャンネルは、1つのPMT(Program Map Table)41を有する。そのPMT41は、映像データ51を伝送するTS(Transport Stream)パケットのPID(Packet ID)と、音声データ52を伝送するTSパケットのPIDとを有する。
なお、PMT41は、図示外のPAT(Program Association Table)、CAT(Conditional Access Table)、NIT(Network Information Table)などとともにPSIデータを構成する。PSIデータは、放送電波において周期的に送信される。
図3は、1つの放送チャンネルにおいて1つの映像データ51および2つの音声データ52による単一サービスを提供する場合のコンテンツ構成イメージを示す図である。図3の1つのPMT41は、映像データ51のPIDと、2つの音声データ52のPIDとを有する。
図4は、1つの放送チャンネルにおいて3組の映像データ51および音声データ52による3つのサービスを提供する場合のコンテンツ構成イメージを示す図である。図4の各PMT41は、各組の映像データ51のPIDと、音声データ52のPIDとを有する。
図5は、1つの放送チャンネルにおいて1つの映像データ51および3つの音声データ52による3つのサービスを提供する場合のコンテンツ構成イメージを示す図である。図5の各PMT41は、共通する1つの映像データ51のPIDと、互いに異なる別々の音声データ52のPIDとを有する。
この図2から図5に示すように、放送事業者は、割り当てられた1つの放送チャンネルを用いて、映像と音声とを自由に組み合わせた多種多様なサービスを提供することが可能である。放送事業者は、番組編成や映像の画質などに合わせてサービスの組合せを変更し、放送することができる。たとえば、図5のコンテンツ構成により高品質のサービスを多言語により提供したり、図4のコンテンツ構成により同時に3つのサービスを提供したりすることができる。放送事業者は、これらコンテンツ構成を切り替えて多種多様なサービスを提供することが可能となる。
なお、1つの放送チャンネルにおけるPMT41の個数は、それにより提供されるサービスの個数と一致する。また、各PMT41における映像データ51のPIDの個数は、そのサービスにおいて利用可能な映像データ51の個数を示し、各PMT41における音声データ52のPIDの個数は、そのサービスにおいて利用可能な音声データ52の個数を示すことになる。
このようなデジタル放送の電波を受信するデジタル放送受信機1は、図1に示すように、受信アンテナ11、チューナ部12、復調部13、デマルチプレクサ部14、AV(Audio Visual)デコーダ部15、OSD(On Screen Display)部16、映像出力部17、DA(Digital to Analog)部18、音声出力部19などを有する。
受信アンテナ11は、デジタル放送電波を受信する。チューナ部12は、受信アンテナ11による受信信号を中間周波数信号へ変換する。復調部13は、たとえばOFDM(Orthgonal Freequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)方式によって分割多重された信号から中間周波数信号を復調し、1つの放送チャンネルのベースバンド信号を生成する。デマルチプレクサ部14は、ベースバンド信号から、放送電波に多重化されていた1つのサービスの映像データ51および音声データ52を抽出する。AVデコーダ部15は、抽出された映像データ51から映像信号を生成し、抽出された音声データ52から音声信号を生成する。
OSD部16は、AVデコーダ部15により生成された映像信号をそのまま映像出力部17へ出力したり、AVデコーダ部15により生成された映像信号にOSD画面を重ねた映像信号を映像出力部17へ出力したりする。DA部18は、AVデコーダ部15により生成された音声信号を音声出力部19へ出力する。
これにより、映像出力部17に接続される図示外のハイビジョンテレビジョン受像機に、デマルチプレクサ部14により選択されたサービスの映像が表示され、音声出力部19に接続される図示外のスピーカシステムから、デマルチプレクサ部14により選択されたサービスの音声が出力される。
図1のデジタル放送受信機1は、この他にも、入力デバイス21、CPU(Central Processing Unit)22、メモリ23などを有する。
入力デバイス21は、たとえばサービス切替ボタンとしても機能するチャンネル切替ボタン31、音声切替指示手段の一例である音声切替ボタン32などを有する。なお、このチャンネル切替ボタン31、音声切替ボタン32などは、デジタル放送受信機1の図示外の前面パネルに配設されていても、デジタル放送受信機1用のリモートコントロールユニットに配設されていてもよい。また、音声切替ボタン32以外に、例えば、音声認識可能なマイクおよびCPU22を含む音声切替指示手段を採用しても良い。
CPU22は、メモリ23に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、CPU22には制御部などの機能が実現される。制御部は、判断手段、音声切替手段、サービス切替手段および表示指示手段として機能するものであり、たとえば、入力デバイス21からボタン操作に応じて入力される操作データに基づいて、チューナ部12、復調部13、デマルチプレクサ部14、AVデコーダ部15、OSD部16、DA部18などを制御する。
次に、以上の構成を有するデジタル放送受信機1の動作を説明する。以下において、主に、所定の1つの放送チャンネルを受信している状態でのOSD表示動作と、音声切替動作と、サービス切替動作(チャンネル切替動作)と、を順番に説明する。
図6は、図1中のCPU(制御部)22が実行するOSD処理の流れを示すフローチャートである。CPU22は、たとえばチャンネル切替ボタン31の操作がなされた後に1つの放送チャンネルの受信を開始し始めたときなどにおいて、図6のOSD処理を実行する。
OSD処理において、CPU22は、まず、受信中のサービス内での音声切替が可能であるか否かを判断する(ステップST1)。CPU22は、受信中のサービスが音声多重放送である場合、あるいは受信中サービスのPMT41に複数の音声データ52のPIDが登録されている場合、受信中のサービスが複数の音声データ52を利用するものであると判断する。
受信中サービス内での音声切替が可能である場合、CPU22は、サービス内音声切替が可能であることをメモリ23に記憶させる(ステップST2)。逆に、受信中サービスが音声多重放送ではなく、しかも複数の音声データ52を利用するものでもない場合、CPU22は、サービス内音声切替が不可能であることをメモリ23に記憶させる(ステップST3)。
その後、CPU22は、複数サービスを受信しているか否かを判断する(ステップST4)。受信中の放送電波が単一サービスのものである場合、CPU22は、複数サービスを受信していないと判断する。この場合、CPU22は、サービス切替が不可能であることをOSD部16に表示させる(ステップST5)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
受信中の放送電波が複数のサービスのものである場合、CPU22は、複数サービスを受信していると判断する。この場合、CPU22は、さらに、受信中サービス以外の他のサービスにおいて、再生中サービスと同じ映像を指定するものが存在するか否かを判断する(ステップST6)。CPU22は、たとえば、再生中サービスの映像と同じPIDを有する他のサービスのPMT41が存在しない場合、再生中サービスと同じ映像を指定するものが存在しないと判断する。この場合、CPU22は、サービス切替が可能であることをOSD部16に表示させる(ステップST7)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
また、再生中サービスの映像と同じPIDを有する他のサービスのPMT41が存在する場合、CPU22は、サービスの切替により音声の切り替えが可能であることをメモリ23に記憶させる(ステップST8)。
その後、CPU22は、音声切替が可能であるか否かを判断する(ステップST9)。CPU22は、メモリ23を参照し、メモリ23に、サービス内音声切替が可能であることが記憶されている場合、あるいはサービスの切替により音声の切り替えが可能であることが記憶されている場合、音声切替が可能であると判断する。
音声切替が可能であると判断すると、CPU22は、音声切替が可能であることをOSD部16に表示させる(ステップST10)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
音声切替が可能でないと判断すると、CPU22は、音声切替が不可能であることをOSD部16に表示させる(ステップST11)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
以上のOSD処理により、デジタル放送受信機1は、受信中サービスと同じ映像を使用する他のサービス(PMT41)が存在する場合には、それに接続される図示外のハイビジョンテレビジョン受像機に音声切替可能と表示させ、他のサービス(PMT41)が受信中サービスと異なる映像を使用する場合には、サービス切替可能と表示させる。
図7は、図1中のCPU(制御部)22が実行する音声切替処理の流れを示すフローチャートである。CPU22は、たとえば音声切替ボタン32が操作されたときなどにおいて、図7の音声切替処理を実行する(ステップST21)。
音声切替処理において、CPU22は、まず、受信中サービス内において音声切替が可能であるか否かを判断する(ステップST22)。たとえば受信中サービスのPMT41において複数の音声のPIDが指定されている場合、あるいは指定されている音声データ52が音声多重化されたものである場合、CPU22は、受信中サービス内において音声切替が可能であると判断する。
受信中サービス内において音声切替が可能であると判断した場合、CPU22は、さらに、サービスの切替による音声の切り替えが可能であるか否かを判断する(ステップST23)。CPU22は、たとえば、受信中の放送チャンネルが複数サービスを提供するものであり、且つ、受信中サービスと同じ映像のPIDを指定する他のサービスが存在する場合、サービスの切替による音声の切り替えが可能であると判断する。
受信中サービス内において音声切替が可能であると判断し、さらに、サービスの切替による音声の切り替えが可能であると判断した場合、CPU22は、それらの間での音声の切替順序を決定し、メモリ23に保存する(ステップST24)。CPU22は、たとえば、まず受信中サービス内での多重化音声へ切り替え、次に、受信中サービス内の他の音声データ52へ切り替え、さらに同じ映像のPIDを指定する他のサービスへ切り替える順番を決定し、メモリ23に保存する。
その後、CPU22は、たとえば音声切替ボタン32が操作される度に、メモリ23に保存されている切替順序を用いて、再生する音声を切り替える制御を実行する(ステップST25)。たとえば、受信中の音声データ52の多重化音声へ切り替える場合、CPU22は、AVデコーダ部15およびDA部18へ多重化音声間での切替を指示する。受信中サービス内の他の音声データ52へ切り替える場合、CPU22は、再生中サービスのPMT41に登録されている他の音声データ52を抽出するようにデマルチプレクサ部14へ指示する。他のサービスへ切り替える場合、CPU22は、他のサービスのPMT41に登録されている他の音声データ52を抽出するようにデマルチプレクサ部14へ指示する。
受信中サービス内において音声切替が可能であると判断した後に、サービスの切替による音声の切り替えが可能でないと判断した場合、CPU22は、受信中サービス内での音声の切替順序を決定し、メモリ23に保存する(ステップST26)。CPU22は、たとえば、まず受信中の音声データ52の多重化音声へ切り替え、次に、受信中サービス内の他の音声データ52へ切り替える順番を決定し、メモリ23に保存する。その後、CPU22は、たとえば音声切替ボタン32が操作される度に、メモリ23に保存されている切替順序を用いて、再生する音声を切り替える制御を実行する(ステップST27)。
ステップST22において受信中サービス内において音声切替が可能でないと判断した場合、CPU22は、さらに、サービスの切替による音声の切り替えが可能であるか否かを判断する(ステップST28)。そして、受信中サービス内において音声切替が可能でないと判断した後に、サービスの切替による音声の切り替えが可能であると判断した場合、CPU22は、サービスによる音声の切替順序を決定し、メモリ23に保存する(ステップST29)。その後、CPU22は、たとえば音声切替ボタン32が操作される度に、メモリ23に保存されている切替順序を用いて、再生する音声を切り替える制御を実行する(ステップST30)。
受信中サービス内において音声切替が可能でないと判断した後に、サービスの切替による音声の切り替えが可能でないと判断した場合、CPU22は、音声を切り替える制御をすることなく、OSD部16に音声切替が不可能であることを表示させる(ステップST31,ST32)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
以上の音声切替処理により、デジタル放送受信機1は、サービスの切替による音声の切り替えが可能である場合、音声切替ボタン32の操作などに基づいてサービスの切替を実行する。
図8は、図1中のCPU(制御部)22が実行するサービス切替処理(チャンネル切替処理)の流れを示すフローチャートである。CPU22は、たとえばチャンネル切替ボタン31(サービス切替ボタン)が操作されたときなどにおいて、図8のサービス切替処理を実行する(ステップST41)。
サービス切替処理(チャンネル切替処理)において、CPU22は、まず、チャンネル切替ボタン31の操作に応じて次のチャンネル(サービスを含む)を選択する(ステップST42)。デジタル放送では、PSIデータによりチャンネル構成(サービスの構成を含む)を判断することができる。CPU22は、たとえばチャンネル切替ボタン31においてチャンネルアップが操作された場合、PSIデータを用いて受信中サービスの番組番号の1つ後の番組番号を次のサービスとして選択し、チャンネル切替ボタン31においてチャンネルダウンが操作された場合、PSIデータを用いて受信中サービスの番組番号の1つ前の番組番号を次のサービスとして選択する。この選択により、次のチャンネルとして、同一放送チャンネル内の他のサービスあるいは他の放送チャンネルのサービスが選択される。
次のチャンネルを選択した後、CPU22は、その選択したチャンネルの映像と再生中の映像とが同じであるか否かを判断する(ステップST43)。CPU22は、たとえば選択したチャンネルに対応するサービスの映像のPIDと、再生中サービスの映像のPIDとが一致する場合、選択したチャンネルの映像と再生中の映像とが同じであると判断する。この場合、CPU22は、さらに次のチャンネルを選択する(ステップST42)。CPU22は、映像が一致しなくなるまで(ステップST43でNoと判断するまで)、次のチャンネルの選択処理(ステップST42)を繰り返す。
再生中サービスとは異なる映像のチャンネルを選択すると、CPU22は、そのチャンネル(サービス)への切替処理を実行する(ステップST44)。たとえば選択したチャンネルのサービスが再生中サービスと同一放送チャンネル内である場合、CPU22は、選択したチャンネルのPMT41に登録されている他の映像データ51および他の音声データ52を抽出するように、デマルチプレクサ部14へ指示する。この他にもたとえば、選択したチャンネルのサービスが他の放送チャンネルのサービスである場合、CPU22は、選択した放送チャンネルを受信して且つその選択したチャンネルのサービスを受信するように、復調部13、デマルチプレクサ部14、AVデコーダ部15、DA部18へ指示する。
以上のサービス切替処理(チャンネル切替処理)により、デジタル放送受信機1は、チャンネル切替ボタン31(サービス切替ボタン)の操作に基づいて、映像が切り替わるようにサービスの切替を実行する。
以上のように、この実施の形態のデジタル放送受信機1は、サービスの切替操作により音声のみが切り替わる複数のサービスを、図8のサービスの切替操作によらずに、図7の音声の切替操作により切り替えることができる。したがって、ユーザは、たとえば、1つのデジタル放送において、映像が共通し且つ音声が異なる複数のサービスが提供される場合と、複数の音声が多重化されたサービスが提供される場合との違いを理解することなく、音声の切替操作により映像が共通するサービスを切り替えることができる。すなわち、ユーザは、放送事業者が自由に設定するサービスの組合せを理解していなくても、従来のアナログ放送を受信する場合と同様の音声の切替操作により、異なるサービス間の音声の切替が可能である。
また、この実施の形態のデジタル放送受信機1のCPU(制御部)22は、図7のステップST21〜ST25に示すように、音声切替ボタン32の操作に応じて、受信中サービス内での音声の切替と、受信中のサービスの映像データ51を共通に利用する複数のサービスの間でのサービスの切替とを実行する。したがって、ユーザは、切替可能な複数の音声が受信中のサービスにおいて指定されているか、あるいは複数のサービスにおいて別々に指定されているかを意識することなく、音声切替ボタン32による単一の操作により、それらの音声を切り替えることができる。ユーザは、放送事業者が自由に設定するサービスの組合せを理解していなくても、音声切替ボタン32を操作することで、1つのサービス内の複数の音声と、異なるサービスでの複数の音声とを切り替えることができる。
また、この実施の形態のデジタル放送受信機1において、CPU(制御部)22は、受信中のサービス内での音声の切替ができず、且つ、受信中のサービスと映像データ51を共通に利用する複数のサービスの間でのサービスの切替ができない場合には、音声切替ボタン32が操作されたとしても、音声を切り替えない(図7のステップST31)。したがって、ユーザは、放送事業者が自由に設定するサービスの組合せを理解しなくとも、音声切替ボタン32を操作することで、切り替え可能な音声が無いことを判断することができる。
また、この実施の形態のデジタル放送受信機1において、CPU(制御部)22は、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが定義されていると判断される場合、チャンネル(サービス)の切替操作において、その共通の映像データ51を利用する複数のサービスの中の1つをチャンネル(サービス)の切り替え対象とする(図8のステップST42,ST43)。したがって、サービスの切替操作がなされたにもかかわらずに、音声のみが切り替わる切替がなされることはなくなる。チャンネル(サービス)の切替操作では、映像が必ず切り替わる。
そのため、仮にたとえばチャンネル(サービス)の切替操作により音声のみが切り替わる場合には、ユーザがその切替に違和感を感じたり、切り替えがなされなかったと誤認識してしまったりするおそれがあるが、そのような問題が生じなくなる。また、音声のみが切り替わるサービスの切り替えは、音声の切替操作(図7)のみにより実現されることになるので、ユーザは、映像および音声の切替処理において違和感を感じてしまうことはない。
また、この実施の形態のデジタル放送受信機1において、CPU(制御部)22は、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが定義されていると判断されない場合、サービスの切替が利用可能であることを表示させる(図6のステップST7)。また、CPU(制御部)22は、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが定義されていると判断される場合、音声の切替が可能であることを表示させる(図6のステップST10)。これらの表示に基づいて、ユーザは、サービスの切替が可能であることや、音声の切替が可能であることを知ることができる。
また、この実施の形態のデジタル放送受信機1において、CPU(制御部)22は、各サービスにおいて指定されている映像データ51のPID(識別情報)が複数のサービスにおいて一致する場合、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが存在すると判断する(図6のステップST6、図7のステップST23、ST28、図8のステップST43)。したがって、CPU(制御部)22は、受信するチャンネルの情報(PSIデータの情報)のみに基づいて、その放送チャンネルにより提供される複数のサービス中に、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが定義されていることを判断することができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
上記実施の形態では、デジタル放送受信機1のCPU(制御部)22は、図6のOSD処理において、同一サービス内での音声切替の有無と、映像を共通する複数のサービスの有無とを判断し、図7の音声切替処理においても、同一サービス内での音声切替の有無と、映像を共通する複数のサービスの有無とを判断している。この他にもたとえば、CPU(制御部)22は、図7の音声切替処理において、メモリ23に図6のOSD処理による音声切替の有無が登録されているか否かを判断するようにしてもよい。
上記実施の形態では、デジタル放送受信機1のCPU(制御部)22は、受信中の放送チャンネル内の複数のサービスにおいて、映像のPID(識別情報)が一致する場合には、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが存在するものと判断している(図6のステップ6)。この他にもたとえば、CPU(制御部)22は、複数のサービスの番組情報が一致する場合に、共通の映像データ51を利用する複数のサービスが存在するものと判断するようにしてもよい。
図9は、図6のOSD処理の変形例の流れを示すフローチャートである。図9のステップST6において、受信中の放送チャンネル内の複数のサービスの映像のPID(識別情報)が一致すると判断した場合、CPU(制御部)22は、さらに複数のサービスの番組名(番組情報)が一致するか否かを判断する(ステップST51)。そして、複数のサービスの番組名が一致すると判断すると、CPU22は、メモリ23にサービスの切替により音声の切り替え可能であることを記憶させる(ステップST8)。複数のサービスの映像のPIDが一致したとしても、それらの番組名が一致しない場合には、CPU22は、OSD部16にサービス切替が可能であることを表示させる(ステップST7)。
上記実施の形態では、デジタル放送受信機1は、チャンネル(サービス)切替時に図6のOSD処理を実行する。この他にもたとえば、デジタル放送受信機1は、チャンネル(サービス)切替時などにおいて、図6のOSD処理を実行しなくてもよい。
図10は、図7の音声切替処理の変形例の流れを示すフローチャートである。図10の音声切替処理は、OSD処理を実行しない場合に好適に利用でき、音声データ52の切替が可能であることを記憶するメモリ23が不要である。
すなわち、図10において、CPU22は、まず、受信中のサービスが音声多重放送または複数の音声データ52を利用するものであるか否かを判断する(ステップST61)。受信中サービスが音声多重放送である場合、または複数の音声データ52を利用するものである場合、CPU22は、受信中サービスのPMT41を参照して、そのPMT41での並びで指定されている切替順における再生中の音声の順番を判断する。そして、再生中の音声の順番がPMT41での切替順での最後尾でない場合(ステップST62でNoの場合)、CPU22は、PMT41の切替順において次にある音声へ切り替える(ステップST63)。
受信中のサービスが音声多重放送ではなく、しかも、複数の音声データ52を利用するものでもない場合、CPU22は、複数サービスを受信しているか否かを判断する(ステップST64)。また、再生中の音声の順番がPMT41での切替順での最後尾である場合、CPU22は、複数サービスを受信しているか否かを判断する(ステップST64)。
そして、複数サービスを受信していない場合、CPU22は、再生する音声を切り替えることなく、OSD部16にサービス切替が不可能であることを表示させる(ステップST65,ST66)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
複数サービスを受信している場合、CPU22は、さらに、再生中以外の他のサービスの映像のPIDが、再生中サービスの映像のPIDと同じであるか否かを判断する(ステップST67)。そして、同じ映像のPIDを指定する他のサービスが無い場合、CPU22は、再生する音声を切り替えることなく、OSD部16にサービス切替が不可能であることを表示させる(ステップST65,ST66)。
同じ映像のPIDを指定する他のサービスが存在する場合、CPU22は、さらに、複数のサービスの番組名(番組情報)が一致するか否かを判断する(ステップST68)。そして、番組名(番組情報)が一致する他のサービスが無い場合、CPU22は、再生する音声を切り替えることなく、OSD部16にサービス切替が不可能であることを表示させる(ステップST65,ST66)。
番組名(番組情報)が一致する他のサービスが存在する場合、CPU22は、PSIデータを参照して、そのPSIデータでの並びで指定されているサービス順における再生中サービスの順番を判断する(ステップST69)。そして、再生中サービスの順番がPMT41での切替順での最後尾でない場合、CPU22は、PSIデータでのサービス順において次にあるサービスへ切り替える(ステップST70)。
再生中サービスの順番がPSIデータでのサービス順での最後尾である場合、CPU22は、PSIデータでのサービス順での最初のサービスの最初の音声(そのサービスのPMT41での最初の音声=デフォルトの音声)へ切り替える(ステップST71)。
上記実施の形態では、映像が共通し且つ音声が異なる複数のサービスが存在する場合、その複数のサービスを音声切替処理により切り替えるようにするとともに、サービスの切り替え処理ではそれらのサービスの間での切り替えがなされないようにしている。この他にもたとえば、映像が共通し且つ音声が異なる複数のサービスは、音声切替処理により切り替えることができるとともに、サービスの切り替え処理によっても切り替えることができるようにしてもよい。
上記実施の形態では、チャンネル切替ボタン31がサービス切替ボタンとしても機能している。この他にもたとえば、デジタル放送受信機1は、チャンネル切替ボタン31とは別に、図示外のサービス切替ボタンを有するものであってもよい。この変形例において、たとえば音声が共通し且つ映像が異なる複数のサービスが存在する場合、その複数のサービスを図示外のサービス切替ボタンのみにより切り替えられるようにしてもよい。
図11は、デジタル放送受信機1のCPU(制御部)22が実行する映像切替処理の流れを示すフローチャートである。この場合のCPU22は、判断手段、映像切替手段、サービス切替手段および表示指示手段として機能し、たとえば図示外のサービス切替ボタンが操作されたときなどにおいて、図11の映像切替処理を実行する。
映像切替処理において、デジタル放送受信機1のCPU(制御部)22は、まず、受信チャンネルにおいて複数の映像データ51(のPID)が含まれているか否かに基づいて、映像切替が可能であるか否かを判断する(ステップST81)。
受信中サービスにおいて映像切替が可能でないと判断した場合、CPU22は、映像を切りえる制御をすることなく、OSD部16に映像切替が不可能であることを表示させる(ステップST82,ST83)。OSD部16は、その旨を表示するOSD画面を、AVデコーダ部15により生成された映像信号に重ねて出力する。
受信中サービスにおいて映像切替が可能であると判断した場合、CPU22は、受信中サービスのPMT41を参照して、そのPMT41での並びで指定されている切替順における再生中の映像の順番を判断する。そして、再生中の映像の順番がPMT41での切替順での最後尾でない場合(ステップST84でNoの場合)、CPU22は、PMT41の切替順において次にある映像へ切り替える(ステップST85)。
再生中の映像の順番がPMT41での切替順での最後尾である場合(ステップST84でYesの場合)、CPU22は、さらに、再生中以外の他のサービスの音声(のPID)が、再生中サービスの音声(のPID)と同じであるか否かを判断する(ステップST86)。そして、同じ音声(のPID)を指定する他のサービスが無い場合、CPU22は、再生する映像を切り替えることなく、OSD部16にサービス切替が不可能であることを表示させる(ステップST82,ST83)。
同じ音声(のPID)を指定する他のサービスがある場合、CPU22は、さらに、PSIデータを参照して、そのPSIデータでの並びで指定されているサービス順における再生中サービスの順番を判断する。そして、再生中サービスの順番がPSIデータでの切替順での最後尾でない場合(ステップST87でNoの場合)、CPU22は、PSIデータでのサービスの切替順において次にあるサービス(の映像)へ切り替える(ステップST88)。
再生中サービスの順番がPSIデータでのサービスの切替順での最後尾である場合(ステップST87でYesの場合)、CPU22は、PSIデータでのサービスの切替順での最初のサービスの最初の映像(そのサービスのPMT41での最初の映像=デフォルトの映像)へ切り替える(ステップST89)。
以上の映像切替処理により、デジタル放送受信機1は、サービスの切替による映像の切り替えが可能である場合、チャンネル切替ボタン31とは別のサービス切替ボタンの操作に基づいて、サービスの切替を実行する。
上記実施の形態では、デジタル放送受信機1に接続されるハイビジョンテレビジョン受像機において映像を出力し、デジタル放送受信機1に接続されるスピーカシステムから音声を出力している。この他にもたとえば、デジタル放送受信機1に液晶ディスプレイデバイスやスピーカなどを設け、デジタル放送受信機1において映像や音声を出力するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、デジタル放送受信機1は、液晶ディスプレイデバイスなどと一体化されて、自動車などの移動体に設置されていてもよい。