本発明は、一実施形態のために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態における移動機100、400、および移動通信交換機200を用いた通信システムを示すシステム構成図である。図1に示すように、この通信システムは、移動機100、400、BTS(Base Transceiver Station:無線基地局)151、RNC(Radio Network Controller:無線制御装置)152、移動通信交換機200、在圏情報管理装置301、および他網交換機302を含んで構成されている。
移動機100は、例えば携帯電話であって、BTS151、RNC152を介して無線通信を行うものである。移動機400も、移動機100と同様の接続関係にある。
移動通信交換機200は、BTS151、RNC152を介して移動機100からの通信を他の通信端末と接続するための通信管理装置であり、本実施形態では、VLR(Visited Located Register:在圏情報管理装置)、MSC(移動通信交換装置:Mobile Switching Center)を含んだものとなっている。この移動通信交換機200は、移動機100からの通信接続要求に応じて、在圏情報管理装置301に問合せを行い、通信接続要求先が自網(自社が構築しているネットワーク)を利用する移動機であるか、他網(他社が構築しているネットワーク)を利用する移動機であるかを取得する。そして、移動通信交換機200は、通信接続要求先が自網を利用する移動機である場合には、その相手に対して通信接続を行う。また、移動通信交換機200は、通信接続要求先が他網を利用する移動機である場合には、他網交換機302と通信接続する。他網交換機302は、その通信接続要求に応じて通信接続処理を行う。
ここで、本実施形態の在圏情報管理装置301は、移動機100に関する加入者情報を記憶する記憶手段を備えた装置であって、電話番号、ユーザID、契約しているサービス内容などの加入者情報を記憶するほか、当該移動機100の在圏情報を記憶する装置であり、HLR(Home Located Register:在圏情報記憶装置)、gsmSCF(Service Control Function:サービス制御機能部)から構成されたものとなっている。
このように構成された通信システムにおける移動機100の構成について、図2を用いて説明する。図2は、移動機100の機能を示すブロック図である。この移動機100は、記憶部101、キャリア判定部102、開示可否設定部103、通信部104、更新部105、確認部106、および表示部107を含んで構成されている。以下、各構成について説明する。
記憶部101は、アドレス帳を記憶する部分であり、宛先名、電話番号、当該電話番号の通信キャリア事業者、および当該電話番号で示される通信機(携帯電話機など)が利用することができる対応サービス情報ならびに当該対応サービス情報の開示の可否を示す開示可否情報をそれぞれ対応付けて記憶する部分である。例えば、記憶部101は、図3に示すような情報が記憶されている。図3は、記憶部101に記憶されている情報を示す概要図であり、例えば記憶部101は、宛先を示す名前、宛先の電話番号、宛先で使用されている通信キャリア事業者を示すキャリア情報、およびこの宛先の通信機(携帯電話機など)が利用することができる機能およびサービスを示す対応サービス情報、ならびにその対応サービス情報の開示の可否を示す開示可否情報を対応付けて記憶している。なお、開示可否情報は、○が開示可、×が開示不可を示している。
キャリア判定部102は、ユーザが発信操作を行うときに、その発信先として指定された宛先のキャリア情報が、移動機100が利用する通信キャリア事業者と同じ事業者である自社事業者を示したキャリア情報であるか否かを判定する部分である。このキャリア判定部102が自社事業者を示したキャリア情報であると判定するとその旨を通信部104に指示する。キャリア判定部102が自社事業者を示したキャリア情報ではない、すなわち移動機100が利用する通信キャリア事業者ではない他社事業者を示したキャリア情報であると判定すると、その旨を開示可否設定部103に出力する。
開示可否設定部103は、対応サービス情報に対する開示の可否を示す可否情報を、ユーザ操作により設定する部分である。そして、開示可否設定部103は、ユーザ操作による発信時に、対応サービス情報を開示するか否かを、予め設定された開示情報に基づいて判断する。
通信部104は、接続信号、音声信号、およびデータ信号などを通信網に向けて送信し、また移動通信交換機200から応答信号を受信する部分である。より詳細には、通信部104は、ユーザ操作による発信時に発信宛先の電話番号を含んだ接続信号とともに、通信キャリア事業者を示すキャリア情報ならびに開示可否情報を送信し、キャリア情報を含んだ応答信号を受信する。
更新部105は、通信部104により受信された応答信号に含まれているキャリア情報を用いて、記憶部101に記憶されているアドレス帳のキャリア情報を更新する部分である。例えば、応答信号には発信先の宛先情報が含まれており、この宛先情報をキーに対応するアドレス帳におけるキャリア情報を書き換える処理を行う。
確認部106は、通信部104により応答信号を受信し、更新部105が更新処理を行うと、対応サービス情報の開示可否の設定を行うようユーザに確認する部分である。例えば、表示部107に、対応サービス情報の開示の可否の設定を行うよう表示することで、ユーザはいずれかを選択することができる。
表示部107は、各種情報を表示する部分であり、例えば、確認部106により指定された確認画面を表示する部分である。
この移動機100は、図4に示すハードウェアにより実現される。図4は、移動機100のハードウェア構成図である。移動機100は、物理的には、図4に示すように、CPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、無線通信を行うための無線通信モジュール14、入力デバイスである操作部15、ディスプレイ16、フラッシュメモリ17などを含む携帯電話として構成されている。図2において説明した各機能は、図4に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで無線通信モジュール14、操作部15、ディスプレイ16を動作させるとともに、RAM12、フラッシュメモリ17のデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
つぎに、移動機100の発信先である移動機400について説明する。図5は、移動機400の機能を示すブロック図である。図5に示すように、移動機400は、受信部401(受信手段)、更新部402(更新手段)、記憶部403(記憶手段)および表示部404を含んで構成されている。この移動機400は、移動機100と同様に図4に示されているハードウェアにより構成されている。以下、各構成要素について説明する。
受信部401は、移動機100から通信網を経由して、移動機100を示す発信元情報(移動機100の電話番号などの識別情報)および対応サービス情報を含んだ接続信号を受信し、応答信号を送信する部分である。受信部401は、受信した接続信号に含まれている対応サービス情報を更新部402に出力する。
更新部402は、受信部401から出力された対応サービス情報をその発信元情報ととともにユーザに通知するとともに、更新するか否かを通知する部分である。更新部402は、ユーザ操作により更新の旨の指示が行われると、記憶部403に記憶されているアドレス帳のうち、受信部401から出力された発信元情報に対応する対応サービス情報を更新する処理を行う。
記憶部403は、電話番号、氏名、キャリア情報、対応サービス情報を記述したアドレス帳を記憶する部分である。更新部402からの処理にしたがって、適宜更新処理がなされる。
つぎに、この移動機100で利用することができる対応サービス情報を、通信宛先である移動機400に通知することができる移動通信交換機200について説明する。
図6は、移動通信交換機200の構成を示すブロック図である。図6に示すとおり、移動通信交換機200は、受信部201(受信手段)、識別部202、問合せ部203(抽出手段)、他網接続部204、ポートアウト判断部205、キャリア情報判断部206、付加部207、送信部208(送信手段)およびサービス判断部209を含んで構成されている。以下、各構成について説明する。
受信部201は、移動機100からの接続信号に含まれる電話番号、そのキャリア情報および開示可否情報を受信する部分である。
識別部202は、受信部201により受信された電話番号に基づいて、通信キャリア事業者を識別する部分である。電話番号は通信キャリア事業者ごとに割り当てられており、電話番号の一部の数字に基づいて通信キャリア事業者に割り当てられた電話番号であるかを判断することができる。例えば、090−5○○○−××××という電話番号であれば、“5”の部分を認識して、その電話番号はA社の通信キャリア事業者であると判断することができる。識別部202は、電話番号に基づいて自社の電話番号であるか、他社の電話番号であるかを識別し、その旨を問合せ部203または他網接続部204に出力する。
問合せ部203は、識別部202から出力された通信キャリア事業者を示す情報に基づいて、接続信号に含まれている電話番号が自社の電話番号であると判断した場合には、自社の加入者を管理する在圏情報管理装置301に、当該電話番号を有する携帯電話がどこに在圏しているかを示す在圏情報、またはMNPにより他社の通信キャリア事業者に移行した場合(いわゆるポートアウト、以下ポートアウトと称する)には、その移行先(すなわちポートアウト先)を問い合わせる。問合せ部203は、問い合わせに対する応答信号として在圏情報またはポートアウト先情報を取得し、これら情報をポートアウト判断部205に出力する。このような動作により問合せ部203は、ポートアウトの有無およびポートアウト先を問い合わせることができる。
さらに、問合せ部203は、在圏情報管理装置301(記憶手段に相当)に記憶されているサービス管理情報(契約者情報テーブル301aおよび機能テーブル301b)にアクセスし、接続信号に含まれている発信元情報に基づいて、発信元の対応サービス情報を取得する。この対応サービス情報は、加入者が通信キャリア事業者と契約しているサービス内容および加入者が利用している移動機の機種を示す機種情報に基づいたサービス内容である。
例えば、契約者情報テーブル301aは、図7(a)に示されるとおり、対応サービス情報として、加入者の電話番号、加入者が利用している移動機の機種情報、およびサービス内容を対応付けて記憶している。さらに、図7(b)に示されているとおり、機能テーブル301bは、機種情報と利用できる機能とを対応付けて記憶している。問合せ部203は、契約者情報テーブル301aから接続信号に含まれている発信元情報(例えば電話番号)に基づいて機種情報および契約しているサービス内容を取得し、契約者情報テーブル301aから取得された機種情報に従って、機能テーブル301bからその発信元が利用できる機能(対応サービス情報)を取得することができる。
問合せ部203は、この契約者情報テーブル301aに記憶されている加入者情報に基づいて、契約サービス内容および機能情報(これらを総称して対応サービス情報)を取得し、これを付加部207に出力する。
他網接続部204は、識別部202からの通信キャリア事業者を示す情報に基づいて、接続信号に含まれている電話番号が他社の電話番号であると判断した場合には、当該他社の加入者を管理する他網交換機302に対して通信接続処理を行う。ここで、他網交換機302では、宛先の電話番号に基づき在圏情報またはポートアウトの確認が行われ、ポートアウトしている場合には応答信号としてポートアウト先情報が移動通信交換機200に対して送信される。また、ポートアウトしていない場合には、通信接続処理が行われ、接続している旨の応答信号が送信される。他網接続部204は、これら応答信号をポートアウト判断部205に出力する。このようにして他網接続部204は、ポートアウトの有無およびポートアウト先を問い合わせることができる。
ポートアウト判断部205は、問合せ部203または他網接続部204から出力された応答信号に基づいて、移動機100から発信しようとした電話番号がポートアウトされたものか否かを判断する。具体的には、ポートアウト判断部205は、問合せ部203または他網接続部204から出力された情報にポートアウト先情報が含まれている場合には、ポートアウトしたと判断し、ポートアウト先情報が含まれておらず、在圏情報としてまたは他網への接続に対する応答として応答信号のみを受信した場合には、移動機100から発信しようとした電話番号はポートアウトしていないと判断する。ポートアウト判断部205は、これら判断結果およびキャリア情報をキャリア情報判断部206に出力する。
キャリア情報判断部206は、ポートアウト判断部205によりポートアウトしていないと判断された場合には、受信部201により受信されたキャリア情報と識別部202により識別されたキャリア情報とを比較する。ここで一致しない場合には付加部207において識別されたキャリア情報を応答信号に付加させる指示を行う。また、一致する場合には、付加部207に対して何ら指示はしない。
また、キャリア情報判断部206は、ポートアウト判断部205によりポートアウトしたと判断された場合には、受信部201により受信されたキャリア情報と問合せ部203または他網接続部204にて取得されたキャリア情報とを比較する。ここで一致しない場合には、付加部207において問合せ部203または他網接続部204にて取得されたキャリア情報を応答信号に付加させる指示を行う。また、一致する場合には、付加部207に対して何ら指示はしない。
サービス判断部209は、ポートアウト判断部205により宛先となる通信相手が利用している通信キャリア事業者が自社事業者であると判断すると、受信部201により受信された開示可否情報において開示可である旨の情報が接続信号に付加されていたか否かを判断する。開示可である旨の開示可否情報が接続信号に付加されていた場合には、その旨を付加部207に出力する。
付加部207は、キャリア情報判断部206からの指示に応じて応答信号にキャリア情報を付加する。また、付加部207は、サービス判断部209からの指示に応じて接続信号にキャリア情報および対応サービス情報を付加する。すなわち、付加部207は、サービス判断部209により開示可であると判断された場合には、問合せ部203から出力された対応サービス情報を接続信号に付加する。また、開示不可であると判断された場合には、問合せ部203から出力された対応サービス情報は付加しない。なお、問合せ部203は、サービス判断部209によりサービス開示可否情報が可であると判断されたときのみ、対応サービス情報を取得するようにしてもよく、その場合は、付加部207は上述の判断を省略することができる。
送信部208は、対応サービス情報が付加された接続信号を通信相手に送信する。また、送信部208は、付加部207にてキャリア情報が付加された応答信号を発信元に送信し、またはキャリア情報が付加されてない応答信号を発信元に送信する。
このように移動通信交換機200は、在圏情報管理装置301または他網交換機302からポートアウトの有無を取得し、ポートアウトの有無に応じて、通信相手が自社事業者を利用している移動機であるか否かを判断し、自社事業者である場合には、付加部207は対応サービス情報を接続信号に付加して、送信部208は送信する。この接続信号を受けた着信側の移動機400は、アドレス帳に記述されている対応サービス情報を、受信した対応サービス情報に書き換えることで、更新することができる。
つぎに、本実施形態の移動機100において、発信処理を行うときの動作について説明する。図8は、移動機100において、発信処理を行うときのフローチャートである。
ユーザは、操作部(図示せず)を操作することにより、記憶部101に記憶されているアドレス帳に基づいて、発信先の入力およびその発信操作を行い、移動機100はこれを受け付ける(S11)。そして、発信先のキャリア情報が自社事業者であるか否かがキャリア判定部102により判定される(S12)。
ここで、キャリア情報が自社であると判定されると(S12:自社)、対応サービス情報が開示可であるか否かが、開示可否設定部103により判断される(S13)。開示可であると判断されると、開示可であることを示す開示可否情報が、通信部104において接続信号に付加され(S14)、開示可否情報が付加された接続信号が送信される(S15)。
つぎに、本実施形態の移動機100および移動通信交換機200におけるキャリア情報を取得するときの動作について説明する。図9は、移動機100および移動通信交換機200の動作を示すシーケンス図である。
まず、移動機100において、発信処理が行われ、開示可否情報、キャリア情報および発信先である電話番号を含んだ接続信号が移動通信交換機200に送信される(S101)。移動通信交換機200では、接続信号に含まれている開示可否情報およびキャリア情報が抽出され、予め定められた記憶部(図示せず)に記憶される(S102)。そして、移動通信交換機200の識別部202により、接続先電話番号に基づいて、発信先の通信キャリア事業者が判断される(S103)。
ここで自社である判断された場合には、問合せ部203により接続先電話番号のユーザの在圏情報の問合せが在圏情報管理装置301に対して行われる(S104)。在圏情報管理装置301では、接続先電話番号に基づいて、当該電話番号のユーザの在圏情報またはポートアウトしていたらポートアウト先情報が取得され(S105)、それぞれ問い合わせに対する応答信号に含めて移動通信交換機200に返信される(S106)。移動通信交換機200では、移動機100とその通信相手との通信接続処理が行われるとともに、移動機100に対して、以下詳述するようなキャリア情報を通知するための応答処理が行われる。
また、S103において、接続先電話番号により通信キャリア事業者が他社であると判断された場合には、他網接続部204により当該事業者の交換機に対して接続信号が送信され、在圏情報またはポートアウトしていたならばポートアウト先情報の問合せが行われる(S107)。他網交換機302では、その問い合わせに基づいてその在圏情報またはポートアウト先情報が取得され、そのポートアウト先情報が応答信号に含められて移動通信交換機200に返信される。
ここで、在圏情報管理装置301および他網交換機302の動作についてそれぞれ図10および11を用いて説明する。図10は、在圏情報管理装置301の動作を示すフローチャートである。
在圏情報管理装置301では、接続先電話番号に基づいてポートアウトしたか否かが判断される(S105a)。ポートアウトしたと判断された場合、ポートアウト先の通信キャリア事業者情報(ポートアウト先情報)が抽出され(S105b)、ポートアウト先情報が応答信号に含めて送信される(S105c)。
また、ポートアウトしていないと判断された場合、接続先電話番号のユーザの在圏情報が取得され、応答信号に含めて送信される(S105d)。
図11は、他網交換機302の動作を示すフローチャートである。他網交換機302において、接続先電話番号に基づいてポートアウトしたか否かが判断される(S108a)。ポートアウトしたと判断された場合には、ポートアウト先情報が抽出され(S108b)、移動通信交換機200に対して、ポートアウト先情報を含んだ応答信号が送信される(S108c)。
また、ポートアウトしていないと判断された場合には、そのまま通信接続処理が行われ、宛先である通信端末と通信接続処理を行い(S108d)、その通信接続処理結果が取得され(S108e)、この結果を含んだ応答信号が移動通信交換機200に送信される(S108f)。
以上の通り、在圏情報管理装置301および他網交換機302においてそれぞれ在圏情報またはポートアウト先情報が取得され、移動通信交換機200に送信される。
つぎに、移動通信交換機200がキャリア情報を取得し、その後、移動機100に対してキャリア情報を含んだ応答信号を送信するときの動作について説明する。図12は、移動通信交換機200における、対応サービス情報を接続信号に付加し、また在圏情報管理装置301から取得したキャリア情報を応答信号に付加するときの動作を示すフローチャートである。
まず、図9におけるS109において、ポートアウト先情報が含んだ応答信号が受信されたか否かが、移動通信交換機200のポートアウト判断部205により判断される(S201)。すなわち、移動機100が発信しようとした発信先の電話番号がポートアウトしたか否かが判断される。そして、ポートアウトしたと判断された場合には、さらにポートアウト判断部205により、ポートアウト先情報に基づいて、通信キャリア事業者は自社事業者であるか、他社事業者であるかが判断される(S202)。
ここで、自社事業者であると判断された場合には、対応サービス情報の開示設定が可であるか否かが、サービス判断部209により判断される(S203)。開示が可であると判断されると、付加部207により接続信号に対応サービス情報が付加されて、着信側の通信宛先に送信され、その応答信号が受信される(S204)
一方、S202において、通信キャリア事業者が他社事業者である場合、または開示可否情報が否に設定されていた場合には、付加部207による対応サービス情報が付加されることなく、接続信号が着信側の通信宛先に送信され、その応答信号が受信される(S205)。
そして、応答信号が受信されると、発信側において把握している着信側の宛先の通信キャリア事業者とポートアウト判断部205において取得され判断された通信キャリア事業者が、同じであるか否かがキャリア情報判断部206により判断される(S206)。すなわち、S102において取得され、記憶されたキャリア情報とS109において受信された応答信号に含まれているキャリア情報とが、キャリア情報判断部206により比較される(S206)。
ここで、両者のキャリア情報が一致していないと判断された場合には、S109において受信された応答信号に含まれているキャリア情報が移動機100の通信接続要求に対する応答信号に、付加部207により付加され(S207)、キャリア情報が付加された応答信号が送信される(S210)。また、両者のキャリア情報が一致すると判断された場合には、何も処理されることはなく、移動機100の通信接続要求に対する応答信号(キャリア情報は付加されず)が送信される(S210)。
また、S201において、ポートアウト先情報が応答信号に含まれていない場合にはポートアウトしていないと判断され、S102において取得され記憶されたキャリア情報と、識別部202により接続先電話番号に基づいて判断された通信キャリア事業者を示すキャリア情報とが一致するか否かが、キャリア情報判断部206により判断される(S208)。
ここで、一致しないと判断された場合には、識別部202により判断されたキャリア情報が、移動機100の通信接続要求に対する応答信号に付加され(S209)、キャリア情報が付加された応答信号が送信される(S210)。また、一致すると判断された場合には、何も処理されることなく、移動機100に対する応答信号(キャリア情報は付加されない)が送信される(S210)。
同様にして、在圏情報管理装置301からポートアウト先情報を含んだ応答信号が受信された場合に、移動機100の通信接続要求に対する応答信号にキャリア情報が付加されて処理される。図13は、その具体的動作を示すフローチャートであり、移動通信交換機200において、対応サービス情報を接続信号に付加し、また在圏情報管理装置301からポートアウト先情報を含んだ応答信号が受信された場合に、移動機100の通信接続要求に対する応答信号にキャリア情報を付加するときの動作を示すフローチャートである。
まず、図9におけるS106において、ポートアウト先情報が含んだ応答信号が受信されたか否かが、移動通信交換機200のポートアウト判断部205により判断される(S301)。すなわち、移動機100が発信しようとした発信先の電話番号がポートアウトしたか否かが判断される。
ここで、ポートアウトしたとポートアウト判断部205により判断されると、送信部208によりポートアウト先に接続信号は送信され、その応答が受信部201により受信される(S302)。そして、S106において受信された応答信号にポートアウト先情報が含まれている場合にはポートアウトしたと判断され、S102において取得され記憶されたキャリア情報とS106において受信された応答信号に含まれているキャリア情報とが、キャリア情報判断部206により比較される(S303)。
ここで、両者のキャリア情報が一致していないと判断された場合には、S106において受信された応答信号に含まれているキャリア情報が移動機100の通信接続要求に対する応答信号に、付加部207により付加され(S304)、キャリア情報が付加された応答信号が送信される(図12のS210)。また、両者のキャリア情報が一致すると判断された場合には、何も処理されることはなく、移動機100の通信接続要求に対する応答信号(キャリア情報は付加されず)が送信される(図12のS210)。
また、S301において、ポートアウト先情報が応答信号に含まれていない場合にはポートアウトしていないと判断されると、対応サービス情報の開示可である旨を示す開示可否情報が付加されているか否かがサービス判断部209により判断される(S305)。サービス判断部209により開示可である旨の開示可否情報が付加されていると判断されると、付加部207により対応サービス情報が接続信号に付加され、当該接続信号が送信部208により送信される(S306)。そして、S102において取得され記憶されたキャリア情報と、識別部202により接続先電話番号に基づいて判断された通信キャリア事業者を示すキャリア情報とが一致するか否かが、キャリア情報判断部206により判断される(S308)。
ここで、一致しないと判断された場合には、識別部202により判断されたキャリア情報、すなわち自社であることを示すキャリア情報が、移動機100の通信接続要求に対する応答信号に付加され(S309)、キャリア情報が付加された応答信号が送信される(図12のS210)。また、一致すると判断された場合には、何も処理されることなく、移動機100に対する応答信号(キャリア情報は付加されない)が送信される(図12のS210)。
以上の通り、移動通信交換機200は、発信側の移動機100からの指示に基づいて自機において契約している対応サービス情報を着信側の移動機400に通知するために、接続信号に対応サービス情報を付加して送信することができ、着信側の移動機400に対応サービス情報を通知することができる。
また、移動通信交換機200は、移動機100が発信しようとした接続先電話番号がポートアウトした場合には、そのポートアウト先の通信キャリア事業者を示すキャリア情報を取得し、移動機100の通信接続要求に対する応答信号にキャリア情報を付加して、送信することができる。
つぎに、このようにキャリア情報が付加された応答信号を受信する移動機100の動作について説明する。図14は、移動機100のキャリア情報を更新し、対応サービス情報の開示設定を行うときの動作を示すフローチャートである。
図12および図13にて説明した動作により、移動通信交換機200からキャリア情報が含んだまたは含まない応答信号が、移動機100の通信部104により受信される。移動機100の更新部105により、受信された応答信号にキャリア情報が含まれているか否かが判断される(S401)。そして、キャリア情報が含まれていると判断された場合には、記憶部101に記憶されているアドレス帳のキャリア情報が更新部105により更新される。具体的には、応答信号に含まれている電話番号と一致する電話番号がアドレス帳において検索され、その電話番号に対応するキャリア情報が、応答信号に含まれているキャリア情報に書き換えられる(S402)。そして、表示部107に、更新されたキャリア情報が表示される(S403)。
その後、確認部106において、通信キャリア事業者が自社事業者であるか否かが判断され(S404)、自社である場合には、対応サービス情報の開示可否情報に対する設定の確認が確認部106によりユーザに対して行われる(S405)。例えば、開示可と開示不可をユーザに選択させる画面表示がなされる。また、自社ではない場合には、ユーザに対して確認処理が行われることなく処理は終了する。
以上の通り、移動機100は移動通信交換機200からキャリア情報を取得した場合には、そのキャリア情報にそのアドレス帳に記述されているキャリア情報を書き換えることができ、常に新しいキャリア情報を記憶しておくことができる。さらに、通信キャリアが自分が利用している事業者と同じである場合には、対応サービスの開示の可否設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現できる。
つぎに、移動機400における動作について説明する。図15は、着信先の移動機400の動作を示すフローチャートである。なお、図15においては接続信号に対応サービス情報が含まれていることを前提としている。
受信部401により接続信号が受信される(S501)。そして、更新部402により、接続信号に含まれている対応サービス情報が抽出される(S502)。対応サービス情報が抽出されると、更新部402により当該対応サービス情報に対するアドレス帳の更新の可否の問合せがユーザに対して行われる(S503)。ここで、更新部402により、更新するとユーザにより指示されると、記憶部403に記憶されているアドレス帳のうち、応答信号に含まれている着信先の宛先情報に基づいて、対応する宛先の対応サービス情報が書き換えられ、更新処理が行われる(S504)。
つぎに、上述の移動機100の動作に対応した画面表示の概要について説明する。図16は、移動機100の表示部107に表示される画面の具体例を示す図である。図16(a)は、アドレス帳(電話帳)の具体例を示す図であり、名前、電話番号、キャリア情報および対応サービスならびに対応サービスの開示の可否情報がそれぞれ対応付けて表示されている。ユーザは、このアドレス帳を見ながら、発信先を選択することができ、キャリア情報および対応サービスを確認することで、その相手特有の通信方法(例えばテレビ電話など)または特殊なキャラクタコードを用いた通信を行うことができる。また、開示可否情報に“○”が記述されている場合には、自装置の対応サービスが開示可であり、その宛先には自装置の対応サービスを通知することができる。逆に対応サービスの開示可否情報に“−”が記述されている場合には、自装置の対応サービスが開示不可であり、その宛先には、自装置の対応サービスを通知することができない。ユーザは開示可否情報を宛先に合わせて設定することができる。
図16(b)は、発信処理を行うときの画面の具体例であり、図9におけるS101の接続信号を送信しているときに表示される画面の具体例である。この画面で表されているように、発信中である旨を表示するとともに、対応サービス情報を送信した旨が表示されている。
つぎに、移動機400の動作に対応した画面表示の概要について説明する。図17、18は、移動機400の表示部404に表示される画面の具体例を示す図である。図17では、移動機100からの着信を受けていることを示す図である。図に示すように、表示部404には、対応サービス情報を受信した旨、およびその対応サービス情報が表示される。ここでは、テレビ電話、プッシュ・トーク、デコメール、GPSを移動機100が利用できることが示されている。
図18(a)では、着信履歴として、着信種別(音声着信である旨)、対応サービス情報を受信した旨、その具体的な対応サービス情報、およびその対応サービス情報を更新するか否かを選択させる選択情報を示す“YesNo”が選択可能に表示される。これは図14におけるS405で表示される画面である。
図18(b)では、図18(a)において更新することが選択された場合のアドレス帳の具体例を示す図である。図に示すように、更新された宛先に対応付けて更新された旨が表示される。ここでは吹き出しを用いて表示しているが、吹き出しを用いることなく更新された旨が表示されるようにしてもよい。
つぎに、本実施形態の移動通信交換機200および移動機400の作用効果について説明する。
本実施形態の移動通信交換機200においては、受信部201が発信側端末である移動機100から着信側端末である移動機400に対する通信接続の接続信号を受信する。そして、問合せ部203は、受信された接続信号に含まれている発信元情報に基づいて、発信側端末である移動機100が利用可能なサービスを示す対応サービス情報を、在圏情報管理装置301から抽出する。ここでは、サービス管理情報である契約者情報テーブル301aおよび機能テーブル301bから抽出するように構成されているが、少なくとも契約されている対応サービス情報のみを抽出するように構成されてもよく、また契約者情報テーブル301aには、機能をも含めた対応サービス情報を対応付けて記憶するようにしてもよい。そして、送信部208は、抽出された対応サービス情報を接続信号とともに着信側端末に送信する。これにより、発信側端末である移動機100で利用することができる対応サービス情報を着信側端末である移動機400で知ることができ、使い勝手のよい通信端末(着信側端末)を実現することができる。
また、本実施形態の移動通信交換機200において、受信部201は、発信側端末である移動機100において設定されている、対応サービス情報の開示可否を示す可否情報を含んだ接続信号を受信する。そして、サービス判断部209が、可否情報は開示可であると判断すると、付加部207は、問合せ部203により在圏情報管理装置301から抽出された対応サービス情報の付加を行い、送信部208はこれを送信する。これにより、可否情報に従って指定された宛先に対してのみ対応サービス情報の通知を行うことができ、宛先に即した通知を実現することができる。
また、本実施形態の移動機400において、受信部401は、発信側端末である移動機100から、発信元情報を含んだ接続信号とともに、当該発信元情報の移動機100の対応サービス情報を受信する。そして、受信された対応サービス情報を用いて、記憶部403にアドレス帳として記憶されている対応サービス情報のうち、更新部402は、受信された接続信号に含まれている発信元情報に対応する対応サービス情報を更新する。これにより、特別な処理を行うことなく発信側端末から対応サービス情報を取得することができ、効率的にアドレス帳などに記憶されている宛先の対応サービス情報を更新することができる。
100…移動機、101…記憶部、102…キャリア判定部、103…開示可否設定部、104…通信部、105…更新部、106…確認部、107…表示部、200…移動通信交換機、201…受信部、202…識別部、203…問合せ部、204…他網接続部、205…ポートアウト判断部、206…キャリア情報判断部、207…付加部、208…送信部、209…サービス判断部、301…在圏情報管理装置、301a…契約者情報テーブル、301b…機能テーブル、302…他網交換機、400…移動機、401…受信部、402…更新部、403…記憶部、404…表示部。