JP5068164B2 - タウオパシーの治療のための組成物および方法 - Google Patents
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Description
guidelines))賦形剤を用いる必要がある。さらに、特殊化された条件下でさえ、従来の化合物の経口バイオアベイラビリティーは、ラットにおいて通常10%を超えない[国際公開公報第WO95/22331号]。これらの不利な特性におそらく関連して、静脈投与後のラットでの半減期は、約1時間と短く、魅力的なものではない。所与の時点における血漿での化合物の濃度に対する、脳での化合物の濃度として、in vivoで測定した脳/血漿比率も弱く、GRAS−賦形剤を用いた場合、さらに低下する。これは、これらのパラメータに対する賦形剤の影響が容認できないものであることを示唆している。したがって、ヒト病原性突然変異のタウを持つトランスジェニックマウスにような、真正のモデルにおける神経原線維病態の阻害を調べるための長期的なin vivo実験は、そのようなに化合物を用いて行うことはできない。
Disease)、プリオンタンパク質大脳アミロイド血管障害(Prion Protein Cerebral Amyloid
Angiopathy)および他のプリオンタンパク質関連疾患が含まれる。
R1は、COOR(R=H、メチル、エチル、もしくはシクロプロピル)、またはCONHR4(R4=H、メチル、エチル、もしくはシクロプロピル)のいずれかであり、好ましくは、CONHR4であり、R4はさらに好ましくは、Hもしくはメチルであり;
R2およびR3は、それぞれ個別に、H、F、メチル、OH、NH2、またはNR5R6(R5およびR6は、それぞれ個別に、Hもしくはメチル)であり、好ましくはHであり;
Zは、(H、H)、またはOのいずれかであり、好ましくは(H、H)である。
R1は、COOR(R=H、メチル、エチル、もしくはシクロプロピル)、またはCONHR4(R4=H、メチル、エチル、もしくはシクロプロピル)のいずれかであり;
R2およびR3は、それぞれ個別に、H、F、メチル、OH、NH2、またはNR5R6(R5およびR6は、それぞれ個別に、Hもしくはメチル)であり;
Zは、(H、H)、またはOのいずれかである。
(i)哺乳動物脳から取得した代謝的に活性のある脳切片組織を、濃度を変化させながら、候補化合物とともにインキュベートすること;
(ii)PP2Aインヒビターを用いてタウの過剰リン酸化を誘発すること;
(iii)組織または組織の抽出物中のタウホスホエピトープを、免疫化学的方法によって定量すること;および、
(iv)前記脳切片組織中のホスホエピトープ誘発を、濃度を変化させたインヒビター化合物に暴露した場合と、未処置の対照組織の場合とで比較すること。
(i)PP2Aインヒビターによって刺激される脳切片においてインヒビターを滴定し、有効な組織濃度を測定すること;および
(ii)該用量レジメンのファーマコキネティック評価を行って、患者の中枢神経系において有効な濃度を達成すること。
(i)健康な、年齢相応の対照被検者の脳脊髄液中の、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープの正常レベルを測定すること;
(ii)ある形態の神経原線維変性に罹患した単独の被験者において、インヒビターの投与量を、数週間の間隔で増量すること、または、別々の被験者に対してインヒビターの用量を増加させること;
(iii)治療を開始する直前に、そして、インヒビターを数週間投与し続けた後に再び、同じ被験者の脳脊髄液中の、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープの減少を免疫化学的に評価すること、および
(iv)ある形態の神経原線維変性に罹患した個別の被験者において、脳脊髄液中の対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープのレベルを、治療を開始する前後で比較し、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープのレベルが、健康な、年齢相応の対象において認められた範囲まで減少した場合の用量を有効容量として同定すること。
access)を可能にする。
Scheinker Disease)、プリオンタンパク質大脳アミロイド血管障害(Prion Protein Cerebral Amyloid
Angiopathy)および他のプリオンタンパク質関連疾患が含まれる。
本発明の本質を理解することができるように、本発明の特定の局面、様式、態様、変形例、および特徴を以下に、種々の詳細レベルで示す。一般に、これらの開示は、新たな方法、およびそれを必要とする患者の治療において単独もしくは組み合わせて用いることができる組成物を提供する。したがって、本発明の種々の局面は、微小管関連タウの分子的病理的症状によって起こる神経変性疾患および/または痴呆傾向の疾患(以下「タウオパシー」と呼ぶ)の治療のための薬剤組成物の製剤のため特異的なインドロカルバゾール化合物の使用に関する。本発明の他の種々の局面はさらに、神経原線維の病理的特徴を持つ状態の治療のために、in
vitroでの対らせんフィラメントタイプのタウ過剰リン酸化のインヒビターの適切な用量を決定する方法に関する。別の局面において、本発明は、本発明の神経原線維変性の有効なインヒビターを同定する方法を提供する。これらの局面を示す種々の態様を以下に述べる。
本明細書において用いられている用語の定義を以下に記載する。他の用語の定義は、米国エネルギー省科学局、ヒューマンゲノムプロジェクト(the U.S. Deptment of Energy, Office of Science, Human Genome Project)が提供する用語集を参照されたい
(http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/glossary/)。
米国エネルギー省科学局、ヒューマンゲノムプロジェクト(the U.S. Deptment of Energy, Office of Science, Human Genome Project)が提供する用語集 + (http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/glossary/)
Scheinker Disease)、プリオンタンパク質大脳アミロイド血管障害(Prion Protein Cerebral Amyloid
Angiopathy)、および他のプリオンタンパク質関連疾患が挙げられる。
J. Biol. Chem,, 276, 25302-8 (2001)]。キナーゼ阻害活性とは無関係に、K252aの誘導体はまた、それらの明らかなニューロトロフィンゆえに神経変性疾患に有用である[例えば、国際公開公報第WO95/07911号]。国際公開公報第WO97/05140号は、多種の修飾K252a誘導体を記載しているが、PKC阻害活性による、免疫抑制や増殖性疾患(癌)の治療用として例示される化合物は少ない。
Maroney et al., J. Biol. Chem,, 276,25302-8 (2001)
一般式1で表される化合物は、市販のスタウロスポリンから、例えば、国際公開公報第97/05140号や、従来技術[例えば、国際公開公報第WO94/02488号]のインドロカルバゾール誘導体化の状況で開示されている、一般的に確立した官能基化学に記載の方法を用いて調製することができる。これらの文献は、引用によって援用する。複数グラムの量の式3で表される好ましい化合物を、一般式1で表される化合物(R1=COOCH3、国際公開公報第WO97/05140号に記載のようにして得られる)のそれぞれのカルボキシメチル誘導体を、テトラヒドロフラン中のメチルアミンと反応させることによって調製する。あるいは、カルボキシメチル誘導体は、国際公開公報第WO97/05140号のようにアルカリ条件下でまず加水分解し、次に、濃縮した試薬(例えば、1,1’−ジカルボニルジイミダゾール)の存在下で、テトラヒドロフラン中のメチルアミンと反応させてもよい。経口投与のために、化合物のあらゆるin
vivo実験における賦形剤中での溶解性を向上させるために、式3で表される化合物は、塩の形態、例えば、必要量の対応する酸を、式3で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液に添加し、溶媒を蒸発させることによって、ヒドロクロリド塩に変換することができる。
本発明は、神経原線維変性のインヒビターおよびそれらの有効性を同定する方法を提供する。その方法は、以下のステップを含む。
(i)哺乳動物脳から取得した代謝的に活性のある脳切片組織を、濃度を変化させながら、候補化合物とともにインキュベートすること;
(ii)PP2Aインヒビターを用いてタウの過剰リン酸化を誘発すること;
(iii)組織または組織の抽出物中のタウホスホエピトープを、免疫化学的方法によって定量すること;および、
(iv)前記脳切片組織中のホスホエピトープ誘発を、濃度を変化させたインヒビター化合物に暴露した場合と、未処置の対照組織の場合とで比較すること。
神経原線維病理学によって特徴付けられる状態の治療のための、対らせんフィラメントタイプのタウの過剰リン酸化のインヒビターの適切な用量を決定する2つの方法を説明する。双方の場合において、被験者は、任意の哺乳動物である。ある態様において、該哺乳動物はヒトである。別の態様において、哺乳動物は、該方法を行ったあと任意に屠殺される実験動物である。
(i)前述の方法によって、PP2Aインヒビターによって刺激される脳切片においてインヒビターを滴定し、有効な組織濃度を測定する。
(ii)該用量レジメンのファーマコキネティック評価を行って、患者の中枢神経系において有効な濃度を達成する。
(i)健康な、年齢相応の対照被検者の脳脊髄液中の、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープの正常レベルを測定する。
(ii)ある形態の神経原線維変性に罹患した単独の被験者において、インヒビターの投与量を、数週間の間隔で増量すること、または、別々の被験者に対してインヒビターの用量を増加させる。
(iii)治療を開始する直前に、そして、インヒビターを数週間投与し続けた後に再び、同じ被験者の脳脊髄液中の、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープの減少を免疫化学的に評価する。
(iv)ある形態の神経原線維変性に罹患した個別の被験者において、脳脊髄液中の対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープのレベルを、治療を開始する前後で比較し、対らせんフィラメントタイプのタウホスホエピトープのレベルが、健康な、年齢相応の対象において認められた範囲まで減少した場合の用量を有効容量として同定する。
PHFタイプのタウの過剰リン酸化を有効に阻害するための、一般式1で表される化合物のin situで必要な濃度は、新鮮に調製した代謝的に活性のある成体ラット海馬脳切片の組織モデル、この目的のために有用であることが予めわかっていなかったモデルにおいて評価した。どの既知の分子マーカーによっても、ヒトアルツハイマー脳からのPHFタウに認められるものとの識別が実質的に不能な、真正のPHFタイプのリン酸化事象は、ホスファターゼインヒビターオカダ酸(OA)の投与によってそのような脳切片中に急速に誘発される[Gong et al., Brain Res. Brain Res. Protoc., 6,134-140 (2001);
国際公開公報第WO01/57535号;WO00/01699号]
Gong et al., Brain Res. Brain Res.Protoc., 6,134-140 (2001)
タウの過剰リン酸化のインヒビターとしての一般式1で表される化合物の可能性については、すでに国際公開公報第WO00/01699号に記載がある。しかしながら、この一連の化合物の物理化学的特性は非常に低い。その結果、化合物を投与するためには、非GRAS賦形剤を使用する必要がある。さらに、特別な状況での適用では、従来技術の化合物の経口バイオアベイラビリティーは通常ラットにおいて10%を超えない[国際公開公報第WO95/22331号]。これらの好ましくない特性におそらく関連して、静脈投与後のラットでの半減期は、約1時間と短く、魅力的なものではない。所与の時点における血漿での化合物の濃度に対する、脳での化合物の濃度として、in
vivoで測定した脳/血漿比率も弱く、GRAS−賦形剤を用いた場合、さらに低下する。これは、これらのパラメータに対する賦形剤の影響が容認できないものであることを示唆している。ヒト病原性突然変異のタウを持つトランスジェニックマウスにような、真正のモデルにおける神経原線維病態の阻害を調べるための長期的なin vivo実験は、そのようなに化合物を用いて行うことはできない。
一般的に、神経原線維の病理学は、ヒト以外のいずれの野生型の種でも、いずれのレベルでも認められない。このことによって、原発の疾患のメカニズムの一部としてのこの現象の関連さえ疑わしくなるほどに、この種の神経変性の研究を大いに阻害していた。神経の、全ての生化学的異常および機能不全をもつ特定のタウオパシーは、種々の単一のタウ突然変異から発することの発見により、そのような疾患のプロセスにおけるタウの原因的役割が証明された。さらに、タウのヒト病原性突然変異をトランスジェニックマウスに導入することによって、小さな実験動物での真正病理学をモデル化することができ、治療薬のコンセプトテストを決定的に証明した。しかしながら、疾患プロセスの原因における、対らせんフィラメントの形成に関連する病理的タウのリン酸化の役割は依然として明らかでない。すなわち、異常なタウのリン酸化は、神経毒性タウ凝集物を生成する原因鎖の上流または下流であるのか、または単に、それが単なるタウ病理状態の随伴現象であるのかが明らかでない。神経原線維変性状態でのタウの過剰リン酸化のインヒビターの有効性は、上流であり、凝集の原因であるかどうかを合理的に予測することができたに過ぎない。
et al., Nature 393, 702-705 (1998)]。そのような突然変異ヒトタウを持つトランスジェニックマウスにおいては、発現がプリオンプロモータによって引き起こされて、内因性のマウスタウと類似のタンパク質レベルになったとき、8〜12月齢で発症するALS(筋萎縮性側索硬化症)と類似の運動性疾患フェノタイプで死んだ[Lewis et al., Nature Genet, 25,
402-405 (2000)]。該フェノタイプは、ヒトのそれとは異なる(主に前頭葉の病理状態)、なぜなら、神経原線維の病理状態のマウスでの分布は、主に脊髄や後脳/脳幹部分であり、第1に運動系に影響を及ぼすものであったからである。この相違は、実際には有利である。なぜなら、運動機能の欠損の読取は、記憶や精神医学のフェノタイプのような他の微妙な欠損に比べて精密に行わなくてもよいからである。したがって、非常に客観的な試験でそのようなマウスの病理状態の発症を見極めることができる。運動系の欠損では、例えば、「ワイヤハングテスト(wire hang test)」と「ビームバランステスト(beam balance test)」の組み合わせ、または当該技術分野において公知の後肢の性能に感受性を示す他の類似のテストを、定期的な間隔で用いてトランスジェニックマウスの行動を約8ヶ月間続けてモニターすることが都合がよい。ストリンジェントな発症診断基準は、偽陽性を除外するようにして、そのようなテストの組み合わせの試行錯誤、すなわち、診断基準を満たした後に再び一時的に回収したマウスによって組み立てる。したがって、そのようなフェノタイプのP301L−トランスジェニックマウスとしてのコンセプトデータの証明は、信頼性は非常に高く、ヒト病理状態における臨床使用を予測できるものである。
Hutton et al., Nature 393, 702-705 (1998) Lewis et al., Nature Genet, 25,402-405 (2000)
Neurochem., 86, 582-90 (2003)]。そのようなマウスは、高齢で発症し、進行がより遅く、軽く、より複雑なフェノタイプを示す。それらは、時間をかけた試験スケジュールで、有効性の低い治療法を試験するのに有用であるかもしれず、より洗練された読取が必要とされる。しかしながら、有用性の問題とは別に、真正のタウ病理状態が病原性突然変異を持たない動物において生成されることもあるということを証明するものであり、その限りにおいては、大部分のタウオパシーならびにアルツハイマー病が突然変異によるものではないということから意義がある。明らかに、アルツハイマー病のようなタウオパシーは、多因子に由来するが、常に共通のタウ病理状態の悪性経路に至るわけではない。
Andorfer et al., J. Neurochem., 86,582-90 (2003)
古典的アルツハイマー病は、2種の病理的タンパク質の罹患患者脳への沈殿によって定義される。膜タンパク質APRに由来する短凝集ペプチドであるAβの主に細胞外での沈澱は、顕著な特徴の1つである。他の沈澱は、定義によれば、異常に過剰リン酸化されたタウのPHF(タウオパシー)への細胞内凝集である。Aβの沈澱だけを持ついくつかのトランスジェニックマウス系列においては、神経変性は認められなかった。他方、神経原線維のもつれを示す突然変異タウトランスジェニックマウス系列は、神経原線維のもつれ全てが例外なく広範囲の神経変性のフェノタイプを持つことがわかった。これは、非痴呆の高齢患者の脳が、神経原線維のもつれ、レビ小体または血管異常などの他の異常を示さず、しばしば広範なAβ病理症状を示す、ヒトの状況を映し出すものである。対照的に、脳のあらゆる領域での高密度の神経原線維のもつれの発生は、たとえ、あらゆる他の病理的特徴を伴わない場合でも(「純タウオパシー」)、罹患した脳領域に依存して、常に重篤な機能的欠損と相関している。
A., Neurologist, 9, 311-317 (2003)]が、一方、古典的アルツハイマー病の明解な診断は、困難である。なぜなら、臨床的に診断された患者の中で、Aβ病理症状とともに脳血管動脈硬化症やレビ封入体を引き起こし、神経原線維のもつれに由来する神経変性によって支配される古典的アルツハイマー病のような類似の全体的徴候をもたらすのはより小部分だからである。
Kertesz A., Neurologist,9, 311-317 (2003)
spinal taps)によって脳脊髄液を採取し、一般に利用可能なELISAテストによってタウタンパク質の濃度を測定する。濃度上昇が確認されれば、アルツハイマー病であると診断される[Andreasen et al., Neurology,
53, 1488-94 (1999)]。さらなる診断の正確性は、特異的なホスホエピトープ、例えば、それぞれのアルツハイマー患者のタウのリン酸化病理症状の顕著な寄与を示す、Thr231のリン酸化に関連するものを測定することによって、診断がさらに正確になる[例えば、Hampel
et al., Arch. Gen. Psychiatry, 61, 95-102 (2004)]。
Andreasen et al., Neurology,53, 1488-94 (1999) Hampel et al.,Arch. Gen. Psychiatry, 61, 95-102 (2004)
salts)、フォルミエート(formiate)、酢酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩などがあげられる。
経口で用いることが意図された組成物は、薬剤組成物の製造の分野において公知のあらゆる方法で調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練され、かつ美味な製剤を提供するために、甘味づけ化合物、香味つけ化合物、着色化合物および保存用化合物から選択される1以上の化合物を含んでもよい。錠剤は、錠剤を製造するのに好適な、非毒性の薬学的許容可能な添加物との混合物中に活性化合物を含有する。これらの添加物の例としては、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど;顆粒化および崩壊剤化合物、例えば、コーンスターチ、もしくはアルギン酸;結合用化合物、例えば、デンプン、ゼラチン、もしくはアカシア;ならびに潤滑用化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクがあげられる。錠剤は、コーティングを施していなくてもよいし、または公知の技術でコーティングを施し、消化管での崩壊および吸収を遅らせ、それによって、より長い時間活性を持続させることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を採用することもできる。
Pharmaceutical Science (Gennaro, A., ed.), Mack Pub., 1990)あらゆる方法によって調製することができる。本発明の治療薬の製剤は、例えば、ポリエチレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどの、ポリアルキレングリコール類を含むことができる。直接投与のための製剤は、特に、グリセロール、および他の高粘度組成物を含み、作用物質が望ましい位置に維持することを助けている。成体適合性、好ましくは、成体吸収性ポリマー、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、リン酸トリカルシウム、ポリブチレート、グリコリドポリマーおよびラクチド/グリコリドコポリマーは、in vivoでの作用物質の放出をコントロールするための有用な添加物である。これらの試薬の他の潜在的に有用な非経口送達システムとしては、エチレン酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透ポンプ、埋め込み式注入システム、およびリポソームがあげられる。吸入投与用の製剤は、添加物、例えば、ラクトースを含み、あるいは、例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸およびデオキシコール酸を含有する水溶液であってもよい。あるいは、点鼻薬の形態で投与する油性溶液であってもよい。あるいは、経鼻投与されるゲルの形態でもよい。非経口投与の製剤としては、口腔内投与用グリココール酸、直腸投与のためのメトキシスチルベン、または経膣投与のためのキュートリック酸(cutric acid)が含まれる。直腸投与のための坐剤もまた、本発明の治療用組成物(単独もしくは化学療法薬との組み合わせ)と、常温で固体、体温で液体となる非刺激性添加物(ココア脂もしくは他の組成物など)とを混合することによって調製することができる。
Remington's Pharmaceutical Science (Gennaro,A., ed.), Mack Pub., 1990
vitro およびin vivo で以下のアッセイを用いて、その有効性について試験することができる。有効な化合物は、タウの過剰リン酸化およびタウタンパク質凝集体を以下に述べるように、in vitro および実験動物モデルで阻害するであろう。本発明の好ましい化合物は、実験動物モデルにおいて最も有効性の高いものである。以下の実施例は、上記本発明を例示したものであり、上記開示の範囲を限定することを意図するものではない。
CaCl2=塩化カルシウム
CO2=二酸化炭素
DMSO=ジメチルスルホキシド
ECL=増強化学発光
EDTA=エチレンジアミンテトラ酢酸
EGTA=エチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸
HEPES=N−2−ヒドロキシエチル−ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸
IC50=50%抑制濃度
i.v.=静脈経由
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
h=時間
KCl=塩化カリウム
kg=キログラム
KH2PO4=リン酸二水素カリウム
MgSO4=硫酸マグネシウム
mAb=モノクローナル抗
min=分
ml=ミリリットル
μM=マイクロモル
mM=ミリモル
mm=ミリメートル
NaCl=塩化ナトリウム
NaHCO3=炭酸水素ナトリウム
nM=ナノモル
OD=光学密度
pAb=ポリクローナル抗体
PEG=ポリエチレングリコール
PHF=対らせんフィラメント
PMSF=p−メチルフェニルスルホニルフルオリド
P301L突然変異タウ=301位のプロリンがロイシンに置換されているタウ
4R0Nスプライシングアイソフォーム=4微小管結合繰り返しドメインを持ち、N末端が挿入されていないタウ
SDS−PAGE=ドデシル硫酸ナトリウムゲル電気泳動
Ser=セリン
Thr=トレオニン
成体雄Wistarラット(体重約300グラム、月齢3ヶ月)に対してCO2で手短に麻酔をかけ、斬首した。2分以内に脳を除去し、とがっていないへらを用いて海馬を切開した。その海馬を、Mcllwain組織チョッパーを用いて0.45mM切片に切断し、氷冷低カルシウムクレブス−重炭酸緩衝剤(pH7.0)(124mMのNaCI、3.33mMのKCI、0.01mMのCaCI2、1.25mMのKH2PO4、1.33mMのMgSO4、25.7mMのNaHCO3、10mMのD−グルコース、および20mMのHEPES)に入れた。5〜8枚の切片を5mlの低カルシウム緩衝剤とともにチューブに入れ、飽和酸素水(95%O2、5%CO2)とともに33〜34℃で少なくとも30分間インキュベートした。30分後、その溶液を生理的濃度のカルシウム(1.3mM)を含有する緩衝液と取り換え、さらに30分間インキュベートした。少なくとも合計1時間の平衡化の後、切片を15分間プレインキュベートし、一般式1で表される化合物の濃度を10μMにした。一般式1で表される化合物の適切な希釈液を10mMのDMSO原液から調製し、最終的なDMSO濃度をインキュベーション溶液中において0.5%とした。その後、該切片を1μMのオカダ酸に1時間曝露した。この処置の後、緩衝液を除去し、該切片を10〜20秒間、プロテアーゼインヒビター反応混液(100μMのPMSF、10μgのアプロチニン、10μMのロイペプチン、6μg/mlのペプスタチン、および40μMのキモスタチン)を含有する0.5ml「ホモジナイゼーション緩衝液」(100mMのKH2PO4、pH6.5、2mMのEGTA、2mMのEDTA、0.5mMのPMSFおよび2μMのオカダ酸)中で超音波処理した。ホモジネートを30分、16,000xgで遠心分離にかけ、上清を回収し、5分間、100℃にまで加熱し、再度遠心分離を行った。タンパク質含有率に正規化された熱的に安定な上清のアリコートを10%SDS−PAGE上で分析し、次いで、mAbs AT8(抗Ser202/Thr205;1:200)、AP422(抗Ser422;1:5,000)、AT100および抗Ser262および抗Thr231pAbsを用いて免疫ブロッティングを行った。ブロットをECL(Amersham Life Sciences)で展開し、Kodak X−OMAT
ARフィルムに露光した。ホスホエピトープの形成を、適切に露光された(OD<1.5)フィルムの比重分析によって定量化した。問題のホスホエピトープの高度の、ブロット上でタウタンパク質を脱リン酸化した後、mAb Tau−1(1:5,000)によって測定したタウ免疫活性の全体に対する比率を求めることによって行い、高濃度のウシ腸ホスファターゼを用いて、シスターブロットの広範囲のインキュベーションによって達成した。
vivoでの脳曝露に必要な用量の測定
in vivo脳曝露に必要な用量を評価するために、1.5ml/kgのPEG400Macrogol Ph. Eurの賦形剤中の式3で表される化合物の10mg/kgのヒドロクロリドを、一晩絶食させた体重240〜270グラムのWistar
Ratsの2群(n=3)に対して大腿部の静脈を介して静脈投与した。投与は麻酔をかけて行った。投与は、3.5%イソフルオラン/O2で開始し、化合物投与中は1%に維持し、静脈の縫合を行った。200μlの局部麻酔リドカインを局部投与した。化合物投与の1時間後、200μlの血液を尾部の静脈注射によって取得した。血液採取直後、手短にCO2麻酔を施して、ラットを斬首により屠殺した。脳および脊髄を切除し、体重を測定した。尾の静脈血を遠心分離することによって(13000xg、20分間、4℃)、血漿を取得した。以下に詳細を示した方法を用いて、5mg/kgの経口投与を行った後、約4時間の血漿半減期を式3で表される化合物について測定した。CNS組織に認められる濃度は、血漿に認められるものと類似しており、これは、脳血液関門の貫通が十分であることを示すものである。
ガラス管内で、200μlの濃縮アンモニウム溶液および200μlの飽和NaCl溶液を、等量の血液から取得した各血漿サンプルと混合させた。該混合物を2mlの酢酸エチル(HPLCグレード)を用いて、激しくボルテックスすることによって1分間抽出させて、微細なエマルジョンを得た。遠心分離(4000xg、5〜10分間、室温)によって相分離を加速させた後、有機相をガラスピペットで回収し、真空蒸発装置中のガラスバイアル中で、50〜60℃で蒸発させた。水相を同じ方法で2回抽出させ、該有機相を第1の抽出物と混合した。
ラット脳の半分を円錐形の底のガラス管に入れ、500μlの飽和NaCl溶液中で、55%の電力で20秒間、4℃で超音波処理(Bandelin Sonoplus UW 2070, Berlin)によって均質化した。200μlの濃縮アンモニウムをサンプルに添加した。抽出は、2x2mlの酢酸エチル(HPLCグレード)を用いて行った。脊髄サンプルに対しても同様の処置を施した。
対照ラットから採取した、飽和NaCl中の100μlの血漿または0.5グラムの脳組織ホモジネートをそれぞれ、式3で表される化合物とともにスパイクし、1ng/ml〜5μg/mlの濃縮物を作製した。次いで、スパイクした脳または血漿のサンプルを上記のようにして抽出および処理した。抽出物の定量分析を、蛍光検出を用いたHPLCで行った。結合した有機抽出物を蒸発させた後の残留物を300μlのアセトニトリル中に取り出し、100μlを5μmm Rp18Select B、12.5×4.6mmカラム(Merck)に、流速0.75ml/minで注入した。溶出は、40℃でアセトニトリル/水(60/40(v/v))を用いて定組成溶離で行った。ピーク面積による蛍光検出および定量化をG1321A(Agilent Tech 1100シリーズ)検出器を用いて、励起波長および発光波長を284nmおよび476nmとして行った。ピーク面積を、式3で表される化合物のアセトニトリル溶液の原液(HPLCグレード)から誘導した純粋な標準の濃縮物を注入した後のものと比較し、抽出効率を測定した。それは、通常90〜95%であった。純粋標準の量(単位:μg)対蛍光ピーク面積をプロットすることによって標準曲線を作成した(単位:μg)。
ヒトP301L突然変位タウトランスジーン(JNPL3系列、Taconic Farms, NYから入手可能)の4R0Nスプライシングアイソフォームに同型接合している同齢の61匹のトランスジェニックマウスのコホートを、式3で表される化合物を用いた治療をうける30匹と、賦形剤のみ、もしくは治療を受けないままの31匹(対照群)の2群に分けた。
hang test)とビームバランステスト(beam balance test)でマウスの日常的な評価を行う。各テストは、同じテストセッションでそれぞれ2回ずつ行うが、マウスの疲労を避けるために、連続的には行わない。ワイヤハングテストは単に、マウスが前肢だけでグリッドをつかむようにした後、マウスが逆さかご形格子に60秒以上捉まっていることができることを要求するものである。ビームバランステストでは、マウスは1つのプラットフォーム間の狭い上りビームを横切らなければならない。後肢の問題の差し迫った徴候を検出するために、横切るのにかかった時間、ならびに後肢が滑った回数を記録する。
311-320 (1999)]、およびPHF−1やAT8などのヒト神経病理学に通常用いられるホスホエピトープmAbsによって染色し、神経原線維のもつれを調べた。神経原線維のもつれは、限定された顕微鏡視野内の同じ組織の多数の切片内で計測する。さらに、ニューロパイル繊維(対らせんフィラメントからなる)によるニューロパイル中の、より拡散した染色を、盲検によりO、+、++、+++で半定量的に評点した。次いで、神経原線維のもつれの数ならびにニューロパイル繊維の評点を、治療群と対照群との間で、ANOVA分析とフィッシャーズポストホックテスト(Fisher's post-hoc test)によって統計学的に比較した。
Munoz, Biotech. Histochem., 74, 311-320 (1999)
ECLキットを用いて標識した後、展開した。ECLフィルム上のシグナルを、デジタルデンシトメトリ(ImageQuant、Biorad)を用いて定量した。AP422やAT8などのPHF特異的mAbsは、その特徴的に遅延したゲル移動性(64kD、P301Lタウマウスモデル中)によって、病理的にリン酸化したトランスジェニックタウのみを認識するが、一方、抗pSer262などの他の抗体は、罹患していないトランスジェニックヒトタウおよび内因性マウスタウの混合物を含む、見かけの重量が55kD分子量の正常にリン酸化したタウタンパク質をも標識する。それは通常分子的病理的症状に関与しないものである。この64kDバンドの異常タウタンパク質の定量のみをキナーゼインヒビター3の有効性の判定に採用した。遠心分離(100,000xg)後、全ての64kD種を上清画分から除去するので、異常にリン酸化したタウ種の集団全体は、オリジナル13,000xg抽出上清は不溶性の性質を持つことが明らかである。ヒトタウ特異的mAb HT7によって、病理活性全体の正規化された測定値を、神経原線維の病理状態を防ぐときにキナーゼインヒビター3の有効性の特定の判定基準として最も好ましく用いられている64kDシグナルの55kDと64kDシグナルの合計に対する比率を作成することによって求めた。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではない。それは、本発明の個別の局面の単なる例示であることが意図されている。本発明の精神および範囲を離れることなく、本発明の多くの変更および変形が可能であることは当該技術分野の当業者には明らかであろう。ここに例示したものの他にも、本発明の範囲内の機能的に等価な方法および装置を当該技術分野の当業者は、本明細書の記載から明らかであろう。そのような変更や変形例は、添付の請求の範囲に含まれることが意図されている。本発明は、添付の請求の範囲およびそれが権利付与する均等物によってのみ限定されるものとする。
Claims (5)
- 前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、前頭葉型痴呆、ピック病、パーキンソン痴呆症候群、皮質基底部変性、嗜銀性グレイン型疾患、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎、多系タウオパシー痴呆症、家族性ゲルトマン・ストロイスラー・シャインカー病(Gerstmann-Straussler-Scheinker Disease)、およびプリオンタンパク質大脳アミロイド血管障害(Prion Protein Cerebral Amyloid Angiopathy)からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
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