JP5068004B2 - 遮光性に優れた白色外観の熱可塑性樹脂組成物成形体 - Google Patents
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Description
特に芳香族ポリカーボネートに酸化チタンを配合してなる樹脂組成物は、高い白色度が得られると共に、光線反射性に優れ、また、寸法安定性、耐衝撃性、あるいは耐熱性にも優れた樹脂材料であることから、誘導灯、広告灯等の表示灯や液晶ディスプレイ用のバックライトユニット用の反射板などにも利用されている。
また、最近では多種多様なデザインに対する要望から、白色系の外観でありながら高い遮光性を有するハウジング用の成形体の要求が高くなっている。例えば、液晶プロジェクターでは光源部周辺からの光漏れがなく、かつ熱や光による退色が少ない(すなわち色調安定性に優れる)白色系のハウジング用成形体が求められている。
熱可塑性樹脂の白色度を高め、遮光性を改良するには、酸化チタンを配合する方法が一般的であるが、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する最近の例としては特許文献1〜4等を挙げることができる。
また、遮光性に関しては、多量の酸化チタンを配合しても十分な効果が得られず、光漏れが発生するなどの問題もあった。
特に、芳香族ポリカーボネートにおいては、多量の酸化チタンの配合により、成形加工の際の溶融安定性が大きく低下するという問題がある。すなわち、多量の酸化チタンの配合により、芳香族ポリカーボネートの分子量が低下するのみならず、成形加工時にシルバーが発生し外観不良となりやすいという問題があった。さらには、多量の酸化チタンの配合により、成形体が非常に脆くなり、製品としての十分な強度を維持することが困難となるばかりか、長時間にわたる光や熱の放射を受ける場合に成形品が変色するという問題があった。
一方、OA機器や電気・電子機器用として使用される樹脂組成物成形体では、高度な難燃性が同時に求められることが多く、最近では、環境に対する配慮から、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用しない難燃性の樹脂組成物成形体が求められている。
[1]芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂(A)100重量部に対して、酸化チタン(B)6〜12重量部、染顔料(但し成分(B)を除く)(C)0.0001〜0.1重量部、芳香族縮合リン酸エステル難燃剤(D)12〜30重量部、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部、珪酸塩化合物(但し、「50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩」は除く)(F)3
〜10重量部を含む樹脂組成物からなる成形体であって、該成形体を構成する樹脂組成物がJIS−Z−8722に準じて測定されるL*値が85以上であり、かつ、JIS−K−7105に準じて測定される厚さ2mmでの全光線透過率(T)[単位:%]が0.1%以下であり、該成形体が、光源部あるいは熱源部を有する製品のハウジング部材であることを特徴とする成形体。
(ここで、芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂とは、成分(A)の総量を100重量部とした場合に、成分(A)の50重量部を超える成分が芳香族ポリカーボネートであり、残りの樹脂成分が芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂であるものを示す。)
[2]該成形体が、射出成形体または押出成形体であることを特徴とする前記[1]に記載の成形体。
[3]該成形体が、液晶プロジェクター用ハウジング部材であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の成形体。
さらに本発明では、成形体を構成する樹脂組成物が、JIS−K−7105に準じて測定される厚さ2mmでの全光線透過率(T)[単位:%]が0.1%以下であり、好ましくは厚さ1.5mmでの全光線透過率が0.1%以下であり、更に好ましくは厚さ1.0mmでの全光線透過率が0.1%以下であることを特徴とする成形体であり、前記L*値と全光線透過率が本願発明の要件を満足する場合において、本発明の目的を達成することができる。
本発明において成分(A)は熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、スチレン・メタクリレート共重合体、ABS系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。
本発明では、成分(A)として、白色度、耐熱性、耐光性、耐熱変色性、寸法安定性、剛性、耐衝撃性の観点から芳香族ポリカーボネート樹脂または芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂を最も好ましく使用することができる。
ここで、芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂とは、成分(A)の総量を100重量部とした場合に、成分(A)の50重量部を超える成分が芳香族ポリカーボネートであり、残りの樹脂成分が芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂であるものを示す。
本発明の成分(A)として好ましく用いられる芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物より誘導される芳香族ポリカーボネートであり、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド等のジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド等のジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホン等のジヒドロキシアリールスルホン類、等を挙げることができる。
これらの中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)が特に好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の成分(A)として使用される芳香族ポリカーボネートとして特に好ましいものは、二価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まない芳香族ポリカーボネートである。
前記芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、通常、5,000〜500,000であり、好ましくは10,000〜100,000であり、より好ましくは13,000〜50,000、特に好ましくは15,000〜30,000、とりわけ好ましくは17,000〜25,000である。
すなわち、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
Mpc=0.3591Mps 1.0388
(Mpcは芳香族ポリカーボネートの分子量、Mpsはポリスチレンの分子量)
また、本発明の(A)として好ましく使用される芳香族ポリカーボネートは、分子量が異なる2種以上の芳香族ポリカーボネートを組み合わせて使用することも好ましい実施態様である。例えば、Mwが通常14,000〜16,000の範囲にある光学ディスク用材料の芳香族ポリカーボネートと、Mwが通常20,000〜50,000の範囲にある射出成形用あるいは押出成形用の芳香族ポリカーボネートを組み合わせて使用することもできる。
前記芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂において、好ましく使用することができる芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(BAAS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。特にAS樹脂、BAAS樹脂は流動性を向上させるのに好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるのに好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるのに好ましい。
一般的に顔料として用いられる酸化チタンの平均粒子径は0.1〜0.4μmであるが、本発明で使用される成分(B)は粒子径0.1μm未満のものであっても構わない。
また、本発明で使用される酸化チタンは、アルミナ水和物、ケイ酸水和物から選ばれた1種以上の無機系表面処理剤により表面処理されているものが好ましい。更に好ましくは、無機系表面処理に加えて、更に、有機系表面処理剤で処理されている酸化チタンが好ましい。表面処理されている酸化チタンは、樹脂組成物を高温で溶融混練する際に、ベース樹脂の分子量低下や変色を抑制することができるので好ましい。
有機表面処理剤としては、アルキルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、アルキルハイドロジェンポリシロキサンなどのオルガノポリシロキサン類、アルキルアルコキシシラン、アミノ系シランカップリング剤等のオルガノシリコーンを例示することができる。好ましい処理剤としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。なお、表面処理剤中には、本発明を阻害しない範囲の量で安定剤や分散剤等が含まれていてもよい。また、表面処理の方法としては、酸化チタンと表面処理剤を水又は有機溶剤中に分散させ湿式処理する方法あるいは、スーパーミキサー、ヘンシルミキサー等により乾式処理する方法あるいは、表面処理剤、酸化チタン、成分(A)である熱可塑性樹脂を同時にV型ブレンダーで混合する方法や、同時に押出機中に投入して溶融混練する方法も有効である。
本発明に用いることができる酸化チタン(B)の使用量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部、好ましくは4〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部、特に好ましくは6〜12重量部である。酸化チタンの配合割合が3重量部より少ないと、遮光性が不十分となり、一方、30重量部を越えると樹脂組成物の衝撃強度の低下が大きくなり、好ましくない。
本発明の成形体は白色系の外観であって高い遮光性を有する成形体であるので、成分(C)の使用量は極めて少量である。しかしながら、本発明では、成分(B)に加えて極少量の成分(C)を組み合わせて使用することにより、遮光性が格段に向上した成形体となる。
かかる成分(C)の具体例としては、チタンイエロー、弁柄、群青、コバルトブルー、スピネルグリーン等の無機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キナクドリン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、アンスラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料などの有機顔料、カーボンブラック、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料およびフタロシアニン系染料等の有機染料を挙げることができる。
本発明では、成分(C)は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明における成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対して0.0001〜0.1重量部であり、0.0002〜0.1重量部が好ましく、0.0005〜0.01重量部がより好ましく、0.001〜0.005重量部がさらに好ましく、0.002〜0.001重量部が特に好ましい。
成分(C)の使用量が0.0001重量部未満の場合は遮光性が不十分であり、一方、0.1重量部を越える場合は、成形体は白色系の外観を維持することが困難となる。
本発明で使用される成分(D)として、例えば、有機リン化合物(主としてホスフェートやホスファゼン)、オルガノポリシロキサン、ハロゲン含有化合物、金属酸化物、金属水酸化物、トリアジン化合物、赤燐、ジルコニウム化合物、ポリリン酸塩化合物、スルファミン酸化合物、有機スルホン酸アルカリ金属塩、等を挙げることができる。
本発明における成分(D)の配合量は、使用する難燃剤の種類や必要とされる難燃性のレベルに応じて異なるが、通常、成分(A)100重量部に対して0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜20重量部、よりが好ましくは0.05〜15重量部、更に好ましくは、0.08〜10重量部である。
本発明では成分(A)として芳香族ポリカーボネートを最も好ましく使用することができるが、成分(A)が芳香族ポリカーボネートである場合、成分(D)として好ましく使用できるものは、有機酸アルカリ金属塩および有機酸アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩である。
かかる有機酸金属塩は、有機スルホン酸の金属塩及び/又は硫酸エステルの金属塩であり、これらは単独の使用だけでなく2種以上を混合して使用することも可能である。
該有機酸金属塩に含まれるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。
本発明において、特に好ましいアルカリ金属はリチウム、ナトリウム、カリウムであり、最も好ましくはナトリウム、カリウムである。
脂肪族スルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩としては、炭素数1〜8のアルカンスルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩、またはかかるアルカンスルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換されたスルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩、さらには炭素数1〜8のパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩を好ましく使用することができ、特に好ましい具体例として、パーフルオロエタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩を挙げることができる。
また、芳香族スルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩としては、芳香族スルホン酸として、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびそのエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体、からなる群から選ばれる少なくとも1種を芳香族スルホン酸とする芳香族スルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩を挙げることができる。
上記、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムを挙げることができる。
また、上記芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸カリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
上記複素環式スルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホン酸アルカリ/アルカリ土類金属塩のメチレン型結合による縮合体は、その好ましい例として、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を挙げることができる。
また、その他のアルカリ/アルカリ土類金属塩としては、芳香族スルホンアミドのアルカリ/アルカリ土類金属塩を挙げることができ、例えば、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ/アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
上記に列挙した中で、より好ましいアルカリ/アルカリ土類金属塩として、芳香族スルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ/アルカリ土類金属塩を挙げることができる。
本発明において、成分(A)が芳香族ポリカーボネートである場合、成分(D)として好ましく使用できる前記有機酸アルカリ金属塩および有機酸アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩の使用量は、成分(A)100重量部に対して、通常0.001〜1重量部であり、0.005〜0.8重量部が好ましく、0.01〜0.7重量部がより好ましく、0.03〜0.5重量部が更に好ましく、0.05〜0.3重量部が特に好ましく、0.06〜0.2重量部が最も好ましい。
成分(E)は、ファインパウダー状のフルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、様々な形態のフルオロポリマーを使用することができる。
本発明で好ましく使用できるフルオロポリマーの水性ディスパージョンとして、三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン30J(登録商標)」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンD−1(登録商標)」、「ポリフロンD−2(登録商標)」、「ポリフロンD−2C(登録商標)」、「ポリフロンD−2CE(登録商標)」を例示することができる。
また、本発明では成分(E)として、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーも好適に使用することができるが、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーに関する技術は、特開平9−95583号公報(米国特許第5,804,654号明細書に対応)、特開平11−49912号公報(米国特許第6,040,370号明細書に対応)、特開2000−143966号公報、特開2000−297189号公報等に開示されている。本発明において好ましく使用できる、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーとして、GEスペシャリティケミカルズ社製「Blendex 449(登録商標)」、三菱レーヨン(株)製「メタブレンA−3800(登録商標)」を例示することができる。
本発明において成分(E)を使用する場合、その配合量は、成分(A)100重量部に対して、通常0.01〜1重量部であり、好ましくは0.05〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.6重量部、さらに好ましくは0.1〜0.4重量部である。成分(E)の使用量が1重量部を超えると、成形体の表面外観が低下する傾向にある。
かかる珪酸塩化合物は金属酸化物成分とSiO2成分とからなる珪酸塩化合物である。成分(F)として使用することができる珪酸塩化合物は、その珪酸イオンの形態として、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、鎖状シリケート、層状シリケート、等のいずれの形態であってもよい。
前記「珪酸塩化合物」は、複合酸化物、酸素酸塩、固溶体、のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組合せ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組合せ、のいずれであってもよく、更に固溶体は2種以上の金属酸化物の固溶体、2種以上の酸素酸塩の固溶体、のいずれであってもよい。また、前記「珪酸塩化合物」は水和物であってもよい。
また、前記「珪酸塩化合物」は、天然物および人工合成物のいずれも使用することができる。人工合成物としては、従来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、および超高圧反応などを利用した各種の合成法、から得られた珪酸塩化合物が利用できる。
本発明の成分(F)として特に好ましく使用される珪酸塩化合物は、好ましくはその組成が実質的に下記式(1)で示されるものである。
xMO・ySiO2・zH2O (1)
(ここでxおよびyは自然数を表し、zは0以上の整数を表し、MOは金属酸化物成分を表し、複数の金属酸化物成分であってもよい。)
上記金属酸化物MOにおける金属Mは、カリウム、ナトリウム、リチウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなどを挙げることが出来る。
金属酸化物MOにおいて好ましいものは、CaO、またはMgOのいずれかを実質的に含むものである。更に好ましいものは金属酸化物MOが、CaOおよびMgOから選択される少なくとも1種の成分から実質的になる場合であり、特に好ましいものはMgOから実質的になる場合である。
また、前記「珪酸塩化合物」は、任意の形状(板状、針状、粒状、繊維状等)のものが使用できるが、板状、針状のものが好ましく、中でも特に、板状の形態であるものが本発明の成分(F)として最も好ましく使用できる。
ここで板状の形態とは、平均粒子径を(a)、厚みを(c)とした場合に、a/c比が5〜500、好ましくは10〜300、更に好ましくは20〜200である形状のものである。
また、針状の形態とは、長軸方向の平均粒子径を(a)、単軸方向の平均粒子径を(c)とした場合に、a/c比が5〜500、好ましくは10〜300、更に好ましくは20〜200である形状のものである。
本発明において、成分(F)の平均粒子径は、0.1〜500μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜50μmが更に好ましく、2〜30μmが特に好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
尚、本発明でいう平均粒子径は、レーザー回折法により(例えば、島津製作所製SALD−2000を使用して)平均粒子径を求める。
本発明の成分(F)として使用することができる珪酸塩化合物の中でも、特に好ましいものは、タルク、およびマイカである。
本発明の成分(F)として、特に好ましく使用できるタルクとは、層状構造を持つ含水ケイ酸マグネシウムであり、化学式4SiO2・3MgO・H2Oで表され、通常、SiO2 約63重量%、MgO約32%、H2O約5重量%、その他Fe2O3、CaO、Al2O3などを含有しており、比重は約2.7である。
また、本発明の成分(F)として、特に好ましく使用できるタルクとして、焼成タルクや、塩酸や硫酸等の酸で洗浄して不純物を除いたタルク、等も好ましく使用することができる。さらに、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等で表面疎水性処理を行ったタルクも使用することができる。
また、かかるマイカはシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等で表面疎水性処理されていてもよい。
本発明において成分(F)を使用する場合、その使用量は、成分(A)100重量部に対して、通常0.1〜30重量部であり、0.5〜25重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましく、2〜15重量部が更に好ましく、3〜10重量部が特に好ましい。
さらに本発明では上記成分(F)を使用する場合、有機酸性化合物及び/又は有機酸性化合物誘導体(成分(G))を併用することが好ましい。
本発明では成分(F)と成分(G)を組み合わせて使用することにより、樹脂組成物の難燃性や溶融安定性を飛躍的に向上させることができる。
また本発明において成分(F)を使用する場合では、成分(F)に対する成分(G)の使用量が極めて重要であり、成分(F)に対して成分(G)が少なすぎても過剰であっても樹脂組成物の溶融安定性や色調安定性を得ることが困難となる。
前記「有機酸」とは、−SO3H基、−COOH基、−POH基からなる群から選ばれる基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物、すなわち、有機スルホン酸、有機カルボン酸、有機リン酸である。本発明ではこれらの中でも有機スルホン酸、有機カルボン酸が好ましく、特に、有機スルホン酸が好ましい。
また、前記「有機酸誘導体」とは、前記有機酸から誘導される有機酸エステル、有機酸無水物、有機酸ホスホニウム塩、有機酸アンモニウム塩を表す。
前記「有機酸及び/又は有機酸エステル、有機酸無水物、有機酸ホスホニウム塩、有機酸アンモニウム塩から選ばれる有機酸誘導体(G)」は、低分子化合物のみならず、オリゴマー状あるいはポリマー状のものを使用することができる。
本発明において、成分(G)は二種以上を併用することもできる。
本発明の成分(G)として、特に、有機スルホン酸及び/又は有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸ホスホニウム塩、有機スルホン酸アンモニウム塩から選ばれる有機スルホン酸誘導体、有機カルボン酸を好ましく使用することができる。
中でも、成分(G)として有機スルホン酸、有機スルホン酸エステルを使用する場合は、樹脂組成物の溶融安定性が特に優れており、揮発成分の発生も低レベルに抑えることができるために、広い温度範囲で成形加工が行えると共に、成形品の外観にも極めて優れる。
また、本発明の成分(G)として使用することができる有機スルホン酸エステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ナフタレンスルホン酸メチル、ナフタレンスルホン酸エチル、ナフタレンスルホン酸プロピル、ナフタレンスルホン酸ブチル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、等を挙げることができる。
また、本発明の成分(G)として使用することができる有機スルホン酸ホスホニウム塩として、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、等を挙げることができる。
また、本発明の成分(G)として使用することができる有機スルホン酸アンモニウム塩として、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、等を挙げることができる。
本発明において用いられる成分(G)として、芳香族スルホン酸化合物が特に好ましく、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、等は最も好ましい例として挙げることができる。
本発明において成分(G)を使用する場合、その使用量は、成分(A)100重量部に対して、通常0.001〜5重量部の範囲が好適であり、より好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明の組成物における成分(G)の使用量(重量部数)は、前記成分(F)と該成分(G)の混合物をJIS−K−5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4〜8の範囲となる重量部数であることが特に好ましい。
すなわち、本発明における成分(G)の最適な使用量は、成分(F)の種類や形状や量、あるいは成分(F)の種類によって変化する。
成分(G)の使用量は、成分(F)と成分(G)の混合物をJIS−K−5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.2〜7.8の範囲となる重量部数である場合がより好ましく、4.5〜7.6の範囲となる重量部数である場合がさらに好ましく、5.0〜7.4の範囲となる重量部数である場合が特に好ましく、5.5〜7.2の範囲となる重量部数である場合が最も好ましい。
本発明にかかわるJIS−K−5105のpH値の測定では、操作方法として煮沸法と常温法があるが、本発明では煮沸法を用いる。
また、本発明における成分(F)と成分(G)の混合物のpH値の測定では、成分(G)の水に対する溶解度が低い場合は、エタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類を懸濁液の分散媒として使用する。
かかる有機リン系安定剤としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル等を使用することができる。
前記リン酸エステルの具体例としては、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオキソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートを例示することができる。
また、亜リン酸エステルの具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクダデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトを例示することができる。
また、ホスホン酸エステルの具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニルホスホナイト、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルを例示することができる。
上記の中で特に好ましく使用できるものは、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニルホスホナイトである。
有機リン系安定剤の使用量は成分(A)100重量部に対して、通常、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.02〜0.2重量部がさらに好ましい。また、有機リン系安定剤は、これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
かかる紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールに代表されるトリアジン系紫外線吸収剤、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2,4−tert−ブチルフェノールおよび2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]等に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示され、これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
上記紫外線吸収剤の使用量は成分(A)100重量部に対して、通常、0.001〜1重量部が好ましく、0.01〜0.8重量部がより好ましく、0.05〜0.5重量部がさらに好ましい。
かかる蛍光増白剤としては、例えばスチルベンゼン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。
上記蛍光増白剤の使用量は成分(A)100重量部に対して、通常、0.0005〜0.1重量部が好ましく、0.001〜0.05重量部がより好ましく、0.003〜0.03重量部が更に好ましい。
また、本発明の成形体を構成する樹脂組成物では、更に必要に応じて、滑剤、離型剤、酸化防止剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
本発明にかかわる樹脂組成物は、各構成成分を本明細書記載の組成割合で配合し、押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練することにより得ることが出来る。このときの各構成成分の配合、及び溶融混練は一般に使用されている装置、例えば、タンブラー、リボンブレンダー等の予備混合装置、単軸押出機や二軸押出機、コニーダー等の溶融混練装置を使用することが出来る。また、溶融混練装置への原材料の供給は、予め各成分を混合した後に供給することも可能であるが、それぞれの成分を独立して溶融混練装置に供給することも可能である。
本発明にかかわる樹脂組成物を製造するための溶融混練装置として、通常は押出機、好ましくは2軸押出機が使用される。溶融混練は通常、押出機のシリンダー設定温度を200〜300℃、好ましくは220〜270℃とし、押出機スクリュー回転数100〜700rpm、好ましくは200〜500rpmの範囲で適宜選択して行うことができるが、溶融混練に際し、過剰の発熱を与えないように配慮する。さらに、押出機の後段部分に開口部を設けて、開放脱揮、必要に応じて減圧脱揮を行うことも有効である。また、原料樹脂の押出機内滞留時間は通常、10〜60秒の範囲で適宜選択される。
本発明の成形体を射出成形によって成形する場合には、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、超高速射出成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。射出成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
射出成形の場合、樹脂の流動性を上げる特殊な手法として溶融樹脂内に窒素又は二酸化炭素を可塑剤として溶解させ、溶融樹脂の流動性を向上させる方法を用いても良い。窒素や二酸化炭素は、適宜射出成形機シリンダーにベント部を設けてそこから注入しても良い。また、成形品の転写性の向上、あるいは前記窒素や二酸化炭酸を溶融樹脂に溶解した樹脂を金型内に充填するときの外観上の不具合(スワールマーク)を防止するために溶融樹脂を金型内に充填する前に、予め金型内に窒素ガスや二酸化炭素を充填しておいても良い。この場合、転写性を向上させる目的では、二酸化炭素が好ましく用いられる。
本発明の成形体が、シートあるいはフィルム状の押出成形体である場合、その厚みは0.01〜10mmが好ましく、0.1〜5mmがより好ましく、0.15〜3mmがさらに好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
更に本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、UL94規格に準ずる試験法にて5V、V−0、V−1のいずれかの難燃性を達成することが好ましく、特に5V、V−0を達成することが好ましい。
本発明の成形体は、高度な白色外観と遮光性に優れ、光源部や熱源部を有する各種の電気・電子機器、OA機器のハウジング部材、とりわけ高度な白色外観と遮光性、さらには優れた耐変色性が要求される用途に極めて有用であり、液晶プロジェクター、複写機、プリンター、ノートブックパソコン、携帯電話、照明器具、看板、リフレクター、各種電子・電気機器、容器、雑貨等をはじめとし、各種の幅広い分野において使用することができる。
実施例あるいは比較例においては、以下の成分を使用し、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
1.成分(A):熱可塑性樹脂
(A−1)芳香族ポリカーボネート
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネートであり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを300ppm、および、ホスファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを300ppm含み、重量平均分子量(Mw)=20,800のもの。
(A−2)芳香族ポリカーボネート
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネートであり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを300ppm、および、ホスファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを500ppm含み、重量平均分子量(Mw)=27,200のもの。
(A−3) ポリメチルメタクリレート
旭化成ケミカルズ(株)製:デルペット60N(登録商標)
(B−1)
硫酸法により製造したルチル型の二酸化チタンであり、1次平均粒子径が0.22μmのアルミナ処理された二酸化チタン
(B−2)
塩素法により製造したルチル型の二酸化チタンであり、1次平均粒子径が0.21μmのアルミナ処理された後、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された二酸化チタン
3.成分(C):染顔料
(C−1)
三菱化学株式会社製;「三菱カーボンNo.52(登録商標)」
(C−2)
バイエル株式会社製;「マクロレックスバイオレットB(登録商標)」
4.成分(D):難燃剤
(D−1)
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ工業(株)製「メガファックF114(登録商標)」)
(D−2)
芳香族縮合リン酸エステル(大八化学株式会社社製「PX−200(登録商標)」
(E−1)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の50/50(重量比)粉体状混合物(三菱レーヨン株式会社製「メタブレンA−3800(登録商標)」)
6.成分(F):珪酸塩化合物
(F−1)
日本タルク株式会社製;「マイクロエースP3(登録商標)」
7.成分(G):有機酸性化合物及び/又は有機酸性化合物誘導体
(G−1)
p−トルエンスルホン酸;和光純薬工業株式会社製
8.その他の成分:
(PETS)
ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂(株)製「ユニスターH476(登録商標)」)
各成分を表1に示す量(単位は重量部)で二軸押出機を用いて溶融混練して樹脂組成物を得た。
各成分は予めタンブラーを用いて5分間予備混合を行って粉体原料混合物とした。しかる後に、2軸押出機(ZSK−25、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製)を使用し、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練を行った。
溶融混練された樹脂組成物はストランド状に押出され、ペレタイズされる。得られたペレットを用いて成形体を作製し、各評価に用いた。
参考実施例1〜4、実施例5の成形体は、射出成形により成形した。
参考実施例6の成形体は、樹脂組成物のペレットを120℃で4時間乾燥し、Tダイを装着した65mm単軸押出機(GMエンジニアリング株式会社製 GM65−25)により、シリンダー設定温度270℃、スクリュー回転数15rpm、吐出量10〜15kg/hrの条件でシートを成形した。Tダイは、スリット幅を0.5〜2.5mm、スリット長さ380mmとした。Tダイより押出されたシートは、ロールにより、ロール回転数0.6〜1.5m/minの範囲で調節し、吐出量とのバランスをとりながら所望の厚みのシートとした。
シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(オートショット100D、ファナック社製)により、50mm(幅)×90mm(長さ)であり、厚みが3mm、2mm、及び1mmの3段プレートを成形した。
該3段プレートの厚み2mm部分に対して、ミノルタ株式会社製;分光測色計CM−2002を使用して、L*値を測定した。測定条件はD65/10°で行った。
実施例6については厚み2mmのシートを用いて測定した。
(2)遮光性測定
前記L*測定で用いた3段プレートの厚み2mm部分、並びに厚み1mm部分に対して、日本電色工業(株)製COLOR AND COLOR DIFFERENCE METER MODEL 1001DPを用いて全光線透過率(T)[単位%]測定した。
実施例6については厚み2mm、1mmのシートを用いて測定した。
さらに、エプソン株式会社製マルチメディア・プロジェクター「ELP−51」を使用し、光源をオンにした状態で投射レンズ部分に該3段プレートの厚み2mm部分を押し当て、暗室内で遮光性を以下の評価基準で目視判断した。
○:光線透過がなく遮光性が良好である。
×:光線透過が認められる。
前記L*測定で用いた3段プレートを100℃に設定したオーブン中に100時間保持し、初期色相との色差変化(△Eab *)を測定し、以下の基準で判定した。
○:△Eab *が1以下である。
×:△Eab *が1を超える。
(4)難燃性
燃焼試験用の短冊状成形体を射出成形機により成形し、温度23℃、湿度50%の環境下に2日間保持した後、UL94規格に準じて垂直燃焼試験を行い、表中に示す試験片厚みで5VB、V−0、V−1、V−2に分類した。
結果を表1および表2に示す。
Claims (3)
- 芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂(A)100重量部に対して、酸化チタン(B)6〜12重量部、染顔料(但し成分(B)を除く)(C)0.0001〜0.1重量部、芳香族縮合リン酸エステル難燃剤(D)12〜30重量部、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部、珪酸塩化合物(但し、「50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩」は除く)(F)3〜10重量部を含む樹脂組成物からなる成形体であって、該成形体を構成する樹脂組成物がJIS−Z−8722に準じて測定されるL*値が85以上であり、かつ、JIS−K−7105に準じて測定される厚さ2mmでの全光線透過率(T)[単位:%]が0.1%以下であり、該成形体が、光源部あるいは熱源部を有する製品のハウジング部材であることを特徴とする成形体。
(ここで、芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂とは、成分(A)の総量を100重量部とした場合に、成分(A)の50重量部を超える成分が芳香族ポリカーボネートであり、残りの樹脂成分が芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂であるものを示す。) - 該成形体が、射出成形体または押出成形体であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
- 該成形体が、液晶プロジェクター用ハウジング部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体。
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