JP5066717B2 - 製版装置および孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、製版装置およびこれを備えた孔版印刷装置に関する。
簡便な印刷方式としてデジタル式の感熱孔版印刷装置(以下、「孔版印刷装置」という)に搭載されるデジタル式の感熱製版装置(以下、「製版装置」という)が知られている。その製版装置では、主走査方向に配列された多数の発熱素子、発熱抵抗体あるいは発熱部とも呼ばれる多数の発熱体を具備したサーマルヘッドとプラテンローラとで、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)を有する感熱性孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)を押し付けながら、主走査方向と直交する副走査方向にプラテンローラの回転を介してマスタを相対的に移動させながら、画像信号に応じて、任意に調整可能な印加エネルギーをサーマルヘッドに供給し、その印加エネルギーによって、各発熱体を発熱させて熱可塑性樹脂フィルムを位置選択的に溶融穿孔して画像信号に応じたドット状の穿孔・製版画像(穿孔パターン)をマスタに形成するものである(例えば、特許文献1〜6参照)。
一般的な孔版印刷装置では、上記したような製版装置によって上述のように穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周部、すなわち版胴の外周に巻き付けた後に、版胴を回転させ、版胴の回転運動に同期させて所定のタイミングをもって被印刷媒体である印刷用紙(以下、単に「用紙」ともいう)を版胴とプレスローラや圧胴等からなる押圧部材との間に搬送し、押圧部材により用紙を版胴上の製版済みのマスタに圧接し、版胴内に供給したインキを版胴の開孔部、図示しないメッシュスクリーンおよびマスタの穿孔部分から滲み出させて用紙に転移・転写することにより印刷物を得るようになっている。
特開2002−144688号公報(特許文献1)には、感熱性孔版マスタの種類を識別するマスタ認識手設の識別情報に応じて、感熱性孔版マスタの搬送速度、プラテンローラの回転速度、製版速度、フロントテンション、バックテンションのいずれかを調整し、上記識別情報に基づいてサーマルヘッドヘの印加エネルギーを調整することが開示されている。
特開2002−144689号公報(特許文献2)には、感熱性孔版マスタの種類を設定するマスタ設定手段の設定情報に応じて、感熱性孔版マスタの搬送速度、プラテンローラの回転速度、製版速度、フロントテンション、バックテンションのいずれかを調整し、上記設定情報に基づいてサーマルヘッドヘの印加エネルギーを調整することが開示されている。
特開2005−280364号公報(特許文献3)には、原紙ロールに製版用感熱原紙の製版特性を表すマークを設け、印刷機側でこのマークから読み取った製版特性に応じて、マイクロコンピュータでサーマルヘッドヘの印加電圧の大きさ及び印加時間の一方または両方を適正値に設定したうえで製版を行うことが開示されている。
特開2002−79646号公報(特許文献4)には、孔版原紙表面状態を光学的に自動検知し、孔版原紙が高品質時には、自動的に速度優先モードにして高電圧短時間穿孔としつつ製版品質をある程度以上に維持する。孔版原紙が低品質時には、自動的に画質優先モードに設定して製版速度を遅くし低電圧長時間穿孔とすることで穿孔径を略一定とし、これにより穿孔不良の発生を抑え、孔版原紙表面の品質が高品質であった場合と、ほぼ同程度の穿孔品質を確保することが開示されている。
また、特開2003−48297号公報(特許文献5)には、光沢度計により測定された孔版原紙の光沢度に基づいて、既定の電力に対応する電力印加時間を調整することによってサーマルヘッドエネルギーを調整することが開示されている。
また、特開2004−216624号公報(特許文献6)には、経過時間が長くなると、マスタのフィルム面の表面平滑性が低下するため、マスタの残量と経過時間に基づいて発熱エネルギーを求めてこれを制御することが開示されている。
上述した特許文献1〜5では、それらの何れもが検出もしくは設定された孔版原紙とも呼ばれるマスタの情報に応じて、好適となるサーマルヘッドの製版条件を設定する構成となっている。このように構成した理由は、製版装置や孔版印刷装置設定上の課題および特性を熟知し、専門的な知識を持たなければ設定はできず、それ故にユーザ自身が原稿、使用するインキ色、印刷用紙および用途等に応じてサーマルヘッドの駆動条件を変えることは一般的に難しいからである。
一方、特許文献6には、マスタのフィルム面の表面平滑性が経時により低下するため、マスタの残量と経過時間に基づいて発熱エネルギーを制御することが記載されている。
通常、マスタとしては、上述した特許文献1〜6記載のものを含め、帯電を防止すべく帯電防止剤をフィルム面に塗布されたものや、帯電防止剤を含浸されたものが使用されている。
特開2002−144688号公報 特開2002−144689号公報 特開2005−280364号公報 特開2002−79646号公報 特開2003−48297号公報 特開2004−216624号公報
しかしながら、上記従来技術においては、経時によりマスタ自身の帯電防止性能が劣化してしまうことに対する知見がなかった。また、帯電防止剤の劣化に対処する手段を持っていなかったため、設定当初は好適な製版装置の駆動条件であったものの、マスタが製造されてから時間が経過するに従い帯電防止性能が劣化し、設定した駆動条件によってはマスタ搬送時におけるマスタ自身およびマスタ搬送経路周りの部材への帯電により、マスタの製版装置内での貼り付き不具合等が生じ、搬送不良を引き起こすことがあった。
そのため、ユーザにおいては使用するマスタと駆動条件の組み合わせによって生じる搬送不良により、そのジャム処理に費やす時間と再製版とにかかるコストの面で負担を強いられていたという問題点があった。この課題への対応策として、ユーザ自身で使用するマスタの性質を熟知し、環境を含めたその特性から設定するのが良いが、ユーザにそれを求めることは一般的には難しいと判断するのが妥当である。製版装置の駆動条件には、マスタの搬送速度、プラテンローラに対するサーマルヘッドの押圧力(以下、「プラテン圧」ともいう)、サーマルヘッドの個々の発熱体へ供給する印加エネルギー等が含まれる。
そこで、本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであって、特に経時による帯電防止性能の劣化に伴うマスタの経時変化に対応し、全てのユーザが常に問題のない製版装置の駆動条件を設定でき、今まで以上にユーザ使用の観点からの多様化に十分に応えられる製版装置および孔版印刷装置の提供を主な目的とする。
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有し帯電防止剤を塗布または含浸されたマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じて、任意に調整可能な印加エネルギーを上記サーマルヘッドに供給し、該印加エネルギーによって、上記各発熱体を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを位置選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを形成する製版装置において、少なくとも上記マスタの製造日および上記帯電防止剤の情報に関するマスタ情報を認識するマスタ認識手段と、予め設定された上記マスタ情報および上記製版装置の駆動条件に応じて予め設定された上記マスタの搬送安定性評価に関する情報を記憶する記憶手段と、上記記憶手段から予め設定された上記マスタ情報および上記製版装置の駆動条件に応じて予め設定された上記マスタの搬送安定性評価に関する情報を呼び出して、これらの情報と、上記マスタ認識手段により認識された上記マスタ情報および設定されている上記駆動条件とを照合することにより、上記マスタの搬送安定性を判定する搬送性判定手段とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の製版装置において、上記帯電防止剤の情報は、該帯電防止剤の種別および該帯電防止剤の塗工量のうちの少なくとも一方であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の製版装置において、上記マスタ認識手段は、上記マスタ情報として上記マスタの剛性(いわゆるマスタの腰の強さを意味し、剛度とも呼ばれる)に関する情報を認識することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の製版装置において、警告報知を行う警告報知手段と、上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして上記マスタの安定した搬送が困難であることを警告報知させる第1の制御手段とを有することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の製版装置において、警告報知を行う警告報知手段と、上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして使用している上記マスタの交換を促すように警告報知させる第2の制御手段とを有することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の製版装置において、警告報知を行う警告報知手段と、上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして上記駆動条件の変更を促すように警告報知させる第3の制御手段とを有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の製版装置において、上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記マスタ情報に応じた上記駆動条件に自動的に変更する第4の制御手段を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の製版装置において、環境の湿度情報を検出する湿度検出手段を有し、上記搬送性判定手段は、上記湿度検出手段により検出された上記湿度情報を加味して上記マスタの搬送安定性を判定することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の製版装置を備え、該製版装置で上記穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を被印刷媒体上に形成することを特徴とする孔版印刷装置である。
本発明によれば、上述した従来の問題点を解決して新規な製版装置および孔版印刷装置を実現し提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、上記構成により、搬送性判定手段は、記憶手段から予め設定されたマスタ情報および製版装置の駆動条件に応じて予め設定されたマスタの搬送安定性評価に関する情報を呼び出して、これらの情報と、マスタ認識手段により認識されたマスタ情報および設定されている製版装置の駆動条件とを照合することにより、マスタの搬送安定性を判定するので、帯電によるマスタ搬送不良を未然に防止することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、上記構成により、マスタ情報に関する帯電防止剤の情報として、帯電防止剤の種別および帯電防止剤の塗工量のうちの少なくとも一方であることにより、木目細かい帯電防止剤の情報に基づいての帯電によるマスタ搬送不良を未然かつ確実に防止することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、上記構成により、マスタ情報としてマスタの剛性に関する情報を認識することにより、帯電防止剤の情報の他にマスタの剛性に関する情報を加味して、帯電によるマスタ搬送不良を未然かつより確実に防止することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、上記構成により、第1の制御手段は、搬送性判定手段によりマスタの安定した搬送が困難と判定された場合、警告報知手段をしてマスタの安定した搬送が困難であることを警告報知させるので、ユーザ自身が製版動作・作業を継続させるか否かを判断することができるようになる。
請求項5記載の発明によれば、上記構成により、第2の制御手段は、搬送性判定手段によりマスタの安定した搬送が困難と判定された場合、警告報知手段をして使用しているマスタの交換を促すように警告報知させるので、マスタ搬送不良を未然に防止することができる。
請求項6記載の発明によれば、上記構成により、第3の制御手段は、搬送性判定手段によりマスタの安定した搬送が困難と判定された場合、警告報知手段をして駆動条件の変更を促すように警告報知させるので、マスタ搬送不良を未然に防止することができる。
請求項7記載の発明によれば、上記構成により、第4の制御手段は、搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、マスタ情報に応じた駆動条件に自動的に変更することにより、ユーザによるマスタ交換および駆動条件設定等の作業を要求されることがなくなるので、装置の操作に不慣れなユーザでも装置を使用することが可能となる。また、遠隔地にて装置の操作をしていてマスタ交換が不可能な場合においても対処可能となる。
請求項記載の発明によれば、上記構成により、搬送性判定手段は、湿度検出手段により検出された湿度情報を加味してマスタの搬送安定性を判定することで、より安定したマスタ搬送状態を実現し提供することが可能となる。
請求項記載の発明によれば、請求項1ないしの何れか一つに記載の製版装置を備えた孔版印刷装置であることにより、上記各発明の効果を奏する孔版印刷装置を実現し提供することが可能となる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む本発明の一実施形態を説明する。実施形態や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態等のそれと区別するものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル感熱式の孔版印刷装置200の全体構成を示している。まず、同図を参照して、孔版印刷装置200の全体構成について説明する。
図1において、50は、孔版印刷装置200の骨組みをなす装置本体を示す。同図に示すように、装置本体50の上部にある、80で示す部分は原稿読取装置としての原稿読取部を、その下方の1で示す部分はデジタル感熱孔版式の製版装置(製版部)を、製版装置1の左側に20で示す部分は多孔性円筒状の版胴を外周部に備えた印刷ドラム21が配置された印刷ドラム装置としての印刷ドラム部を、印刷ドラム21の下方の120で示す部分は印圧装置としての印圧部を、印刷ドラム21の左側に70で示す部分は排版装置としての排版部を、製版装置1の下方の110で示す部分は給紙装置としての給紙部を、印圧装置120の左側であって排版装置70の下方の130で示す部分は排紙装置としての排紙部を、それぞれ示している。このように、図1に示す孔版印刷装置には、製版装置1が装置本体50内に一体的に装備されている。
原稿読取部80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能を、製版装置1は、ロール状に巻かれたマスタ12を製版し給版搬送する機能を、印刷ドラム部20は、製版済みのマスタ12をその外周面に巻装し印刷ドラム21上の製版済みのマスタ12にインキを供給する機能を、印圧部120は、後述する押圧手段により印刷ドラム21に対して被印刷媒体としての用紙62を押し付けて用紙62上に印刷画像を形成する機能を、排版部70は、印刷ドラム21の外周面から使用済みのマスタ12を剥ぎ取りこれを排版ボックス74内に排出・排版する機能を、給紙部110は、給紙台51上に積載された用紙62を印刷ドラム部20と印圧部120との間に給送する機能を、排紙部130は、印刷ドラム部20と印圧部120にて印刷された用紙62を排紙台52に排出する機能を、それぞれ有する。
次に、孔版印刷装置200の基本的な動作について、周知ないし公知の手段・構成に関しては適宜補足しながら説明する。先ず、ユーザが、原稿読取部80の上部に配置された図示しない原稿載置台に印刷すべき画像を持った原稿60を載置・セットし、図3に示す操作部としての操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム21の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ12が装着されたまま残っている。印刷ドラム21は、図示しない駆動機構を介して印刷ドラム駆動手段(図示せず、例えばメインモータ等)に連結されていて、印刷ドラム駆動手段によって回転駆動される。
印刷ドラム21が図中矢印方向A1と反対方向に回転し、印刷ドラム21の外周面に装着されていた使用済みのマスタ12の後端部が排版部70の排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ12の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで構成される排版剥離搬送装置により、使用済みのマスタ12は印刷ドラム21の外周面から漸次剥され矢印方向Y1へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出されていわゆる排版工程が終了する。この時、印刷ドラム21は反時計回り方向への回転を続けている。排出された使用済みのマスタ12は、その後、圧縮板75によって排版ボックス74の内部で圧縮される。
排版工程と並行して、原稿読取部80が作動して原稿読み取りが行われる。すなわち、上記原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向(以下、「原稿搬送方向Y2」という)に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。
上側の後原稿搬送ローラ83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送モータ83Aによって回転駆動される。上側の前原稿搬送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ローラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介して原稿搬送モータ83Aによって回転駆動され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転する。この際、図6に示すマイクロコンピュータと送受信関係にある原稿搬送モータ83Aを駆動する原稿搬送モータ駆動回路(図示せず)にマイクロコンピュータ3からの指令により、原稿搬送モータ83Aは原稿60の副走査送りピッチを副走査方向の解像度(ドット/インチ)に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。上記原稿搬送モータ駆動回路は、後述するマスタ搬送モータ駆動回路と同様な構成を有し、相励磁回路の出力を原稿搬送モータ83Aに供給するようになっている。
分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82b、後原稿搬送ローラ対83a,83bは、原稿60を搬送する原稿搬送手段を構成し、原稿搬送モータ83Aは、上記原稿搬送手段を回転駆動する原稿搬送駆動手段として機能する。
原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
原稿読取部80には、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能および構成を有するものが、ミラー87とレンズ88との間の光路上に配設されている。
原稿60の光学情報(画像データ)は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号は図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換部に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタルの画像信号は図1および図6に示す本体制御部2内の図示しない画像処理部で孔版用に画像処理を施され、こうして画像処理を施された2値の黒画素および白画素に関するデジタル画像信号は、図示しないサーマルヘッド駆動制御部に入力される。このサーマルヘッド駆動制御部は、主としてサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介して図1および6に示すサーマルヘッド10の個々の発熱体9を制御するものであり、図6に示すマイクロコンピュータ3からの指令を受けて制御動作を行う。
なお、本体制御部2は、本実施形態では孔版印刷装置200であるためその装置本体50内の図示しない制御基板に設けられているが、本発明の製版装置にあっては、それに対応した製版制御部が製版装置1内の図示しない制御基板に設けられることを付記しておく。
上記A/D変換部へ入力される光学情報(画像データ)は上記CCDで読み取ったものに限らず、例えば密着イメージセンサ(CIS)等からのものでも構わない。また、本体制御部2内の上記サーマルヘッド駆動制御部に入力されるデジタル画像データは、パソコン等のコンピュータから送信されるデジタル画像信号であっても構わない。
本体制御部2内の上記サーマルヘッド駆動制御部に入力したデジタル画像信号は、図6に示す周知の熱履歴制御手段による熱履歴制御、周知の環境温度補正制御、周知のサーマルヘッド温度補正制御、その他周知のコモンドロップ補正制御手段によるコモンドロップ補正制御、印加エネルギー調整手段による図6に示すサーマルヘッドエネルギー条件制御、また後で詳述する制御等を適宜施されて、サーマルヘッド駆動用の信号としてデジタル画像データ信号、クロック信号、通電信号等を生成されて、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサーマルヘッド10に送信される。
上記サーマルヘッド駆動回路は、復号化回路から出力されるデジタル画像データ信号(イメージデータ信号)や、図6に示すマイクロコンピュータ3から出力される通電パルス幅(通電時間)の指令を受けてサーマルヘッド駆動信号を出力する駆動回路から主に構成されている。上記サーマルヘッド駆動回路は、イメージデータ信号を順次シフトするシフトレジスタと、このシフトレジスタの各段の出力をラッチするラッチ回路と、黒画素に対応する発熱体のみ駆動するためのAND回路と、発熱体を駆動するトランジスタと、逆流防止用のダイオード等を有している。
熱履歴制御手段としては、例えば特開平8−132584号公報の図8等に開示されている制御構成と同様のものが用いられている。また、各熱履歴制御値は、予め決められた値にそれぞれ変更して熱履歴制御が実施される。環境温度補正制御手段としては、例えば特開平11−320807号公報の図5等に開示されているように、図示しないサーミスタ等の環境温度検知手段(図示せず)により検出された環境(雰囲気)の温度に応じて印加エネルギー(Es)の調整を行う機能を有するものであり、ROMには、上記同公報の図5(e)に概略的に示すような環境の温度と通電パルス幅(tp)との関係データが記憶されている。
一方、このような原稿走査および画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(デジタル画像信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、上記製版スタート信号がトリガとなって、例えばステッピングモータからなるマスタ搬送モータ11が回転駆動されることにより、図示しないマスタ支持部材を介してマスタ12を繰り出し可能にセットされ、芯管12aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール12Aからマスタ12が引き出される。この時、マスタ12は、マスタ12を介してサーマルヘッド10に押し付けられているマスタ搬送手段としてのプラテンローラ14およびテンションローラ対15a,15bの一定速度の回転により、図中矢印Yで示す副走査方向Y(以下、「マスタ搬送方向Y」ともいう)の下流側に搬送される。
この際、マスタ搬送モータ11は、マスタ搬送モータ駆動回路(図示せず)を介して図6に示したマスタ搬送速度制御が実行されることにより、マスタ12の副走査送りピッチを副走査方向Yの解像度に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。マスタ搬送モータ駆動回路は、マスタ搬送モータ11に接続されていて、マスタ搬送モータ11を駆動する。マスタの搬送速度は、例えばマスタ搬送モータ11の出力軸等に付設された図示しないエンコーダと、このエンコーダを挟む状態で装置本体50側に配設されたエンコーダセンサによって検出・認識される。
搬送されるマスタ12に対して、サーマルヘッド10の主走査方向にライン状に並んで配列された多数の微小な発熱体9が、本体制御部2内の上記サーマルヘッド駆動制御部から送られてくるデジタル画像データ信号に応じて各々位置選択的に発熱し、発熱した発熱体9に接触しているマスタ12のフィルム部分が加熱溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ12の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ12に書き込まれる。
プラテンローラ14は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ搬送モータ11に連結されていて、マスタ搬送モータ11により回転される。マスタ搬送モータ11は、例えばステッピングモータからなる。マスタ搬送モータ11の回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対15a,15bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ17a,17bに伝達されるようになっている。
なお、上記電磁クラッチに代えて、反転ローラ17a,17bの駆動ローラを回転させるマスタ搬送モータ11とは別のステッピングモータを配設した装置もある。
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ12の先端は、反転ローラ対17a,17bにより印刷ドラム21の外周部側へ向かって送り出され、さらに給版ガイド板18により進行方向を下方へ変えられ、図1に二点鎖線で示す給版位置状態にある印刷ドラム21の拡開したマスタクランパ22へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム21は、排版工程により使用済みのマスタ12を既に除去されている。
そして、装置本体50側に配設されマスタクランパ22を開閉する図示しない開閉装置の作動により、製版済みのマスタ12の先端が一定のタイミングでマスタクランパ22によってクランプ・保持されると、印刷ドラム21は図中矢印A1方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ12を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ12の後端部は、製版完了後にカッタ13により一定の長さに切断されて、1版の製版済みのマスタ12が印刷ドラム21の外周面に完全に巻装された段階で製版および給版工程が終了する。
その後、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転により、切断された上流側の残りのマスタ12の先端が反転ローラ対17a,17bのニップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ12の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって検知され、マスタ12の先端が初期位置を占めたと判断されると、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。マスタ12の初期位置は、例えば、反転ローラ対17a,17bのニップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に予め設定されている。
ここで、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15b、反転ローラ対17a,17bおよびマスタ搬送モータ11は、マスタ12を搬送するマスタ搬送手段を構成している。マスタ搬送モータ11は、上記マスタ搬送手段を駆動するマスタ搬送駆動手段として機能する。
次いで、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された用紙62のうちの最上位の1枚が、給紙コロ111により引き出され、さらに分離コロ対112a,112bの協働作用により1枚に分離されてレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y4方向(以下、「用紙搬送方向Y4」という)に給送され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム21の回転と同期した所定のタイミングで印圧部120における印刷ドラム21とプレスローラ23との間に給送される。このプレスローラ23は、図示しない公知のプレスローラ変位手段により印刷ドラム21の外周面に接離自在になされており、外周面に製版済みのマスタ12が巻装された印刷ドラム21に対して給送されてきた用紙62を押し付けて印刷画像を用紙62上に形成する押圧手段・押圧部材として機能する。そして、給送されてきた用紙62が、印刷ドラム21とプレスローラ23との間にくると、印刷ドラム21の外周面下方に離間していたプレスローラ23が揺動・上昇されることにより、印刷ドラム21の外周面に巻装されている製版済みのマスタ12に押し付け・押圧される。こうして、印刷ドラム21の多孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ12が印刷ドラム21の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ12の穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
この時、印刷ドラム21の内周側では、支軸24を兼ねるインキ供給管24からインキローラ25とドクターローラ26との間に形成されるインキ溜まり27にインキが供給され、印刷ドラム21の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム21の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ25により、インキが印刷ドラム21の内周側に供給される。
インキ供給管24、インキローラ25およびドクターローラ26は、印刷ドラム21上の製版済みのマスタ12にインキを供給するインキ供給手段を構成する。インキとしては、例えばW/O型のエマルジョンインキが用いられる。押圧手段は、プレスローラ23に限らず、印刷ドラム(版胴)21の直径とほぼ同径の圧胴等も用いられ、このような圧胴方式の孔版印刷装置でも無論、本発明は適用される。
印圧部120において印刷画像が形成された用紙62は、排紙部130における排紙剥離爪114により印刷ドラム21から剥がされ、吸引用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117に吸着され、この搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印Y5のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。版付け印刷時の印刷速度は、例えば16〜20枚/min(分)というような低速度に設定される。
版付け印刷終了後、プレスローラ23は印刷ドラム21から離間し、印刷ドラム21は図1においてマスタクランパ22が略真上となる初期位置(ホームポジション)に復帰して、印刷待機状態となる。
次に、図5に示す操作パネル90に配置されている印刷速度設定キー100を押下することにより、所望する印刷速度値を設定し、これに前後して操作パネル90のテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
以下、本実施形態に密接に関連する要部構成について、その詳細を説明する。
孔版印刷装置200で現在使用されているマスタ12としては、例えば熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造のものが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のものが用いられる。なお、マスタ12としては、公知の全てのマスタ、すなわち一般的に、孔版印刷装置で使用されるマスタ12の厚みとしては、20〜60μmの範囲のものであり、そのうちの熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、1.0〜2.5μmの範囲のものである。
マスタ12の多孔質支持体の厚さを薄くしたマスタであってもよく、例えば特開平11−77949号公報に記載されているような合成繊維ベースマスタ(2)でもよいし、また特開平10−147075号公報に記載されているような熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも一層の多孔性樹脂膜と多孔性支持体とを有するマスタ、すなわち熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を設け、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性支持体としての多孔性繊維膜を積層してなるマスタ、または熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも一層の多孔性樹脂膜とからなるマスタ、あるいは実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ等も使用することができる。
マスタ12は、上記した何れの物であっても、帯電を防止するための帯電防止剤を熱可塑性樹脂フィルム面上に塗布または含浸されたり、多孔性支持体に含浸されたりしたものが用いられる。帯電防止剤としては、その機能を発揮するように様々な種類の物が用いられている。
次に、図2を参照して、マスタ12に使用されている帯電防止剤の材料差およびその塗工量差がマスタ12の製造日からの経過時間によってマスタ12の帯電量に対してどのように変化を及ぼすのかを調査・試験した結果について述べる。
図2において、横軸にはマスタ12の製造日からの経過時間が、縦軸には例えば図1に示す製版装置1の排出口である反転ローラ対17a,17bの出口でのマスタ12の帯電量がそれぞれ取られている。マスタ12の帯電量は、Trek社製の表面電位計「MODEL344」を用いて測定した。
マスタ12の構成および製版装置1の駆動条件は同一にして行い、帯電防止剤の種別としての帯電防止剤の材料およびその塗工量を4段階に変えて行った。すなわち、同図において、マスタ12−1と12−2は帯電防止剤の材料が同一で塗工量が異なるものであり、塗工量についてはマスタ12−1がマスタ12−2よりも少ないものである。マスタ12−2〜12−4は、帯電防止剤の材料がそれぞれ異なるものである。
図2に示すように、一般的に使用されているマスタ12―1〜12−4を用いて上述の製版動作を行った場合、ほとんどのマスタ12―1〜12−4で経時により帯電防止性能が劣化し、製版後の帯電量が増加していく傾向があることが分かった。
これは、マスタ12―1〜12−4を含むマスタ12が、ロール状に巻かれたマスタロール12Aのフィルム面もしくは多孔性支持体側に塗布または含浸された帯電防止剤が経時によりフィルム面もしくは多孔性支持体側に転移するなどして目的の帯電防止効果が得られなくなったり、経時劣化によって帯電防止剤の結合力が弱まり帯電防止効果が弱まることや、帯電防止剤自体が劣化して帯電防止効果が弱まることなどが理由であると考えられる。
そのため、製造後間もないマスタ12では問題なく製版動作を行えていたものの、帯電防止性能が劣化していくことで安定搬送領域を逸脱し、上手く製版できない場合が生じることがあった。
また、同図中のマスタ12−2〜12−4で帯電量(製版装置1出口でのマスタ表面の帯電量)の推移に違いがあるように、帯電防止材料の材質によって経時での帯電防止性能の劣化具合(帯電量が多い、つまり帯電防止効果が薄れている)が異なったり、同じ材料でもマスタ12−1と12−2のように帯電防止剤の塗工量によっても帯電量に差が生じる。
さらに、マスタ12の帯電のし易さは、マスタ12を構成している多孔性支持体の材質が化繊であるか天然繊維であるかによっても異なる(一般的には化繊で構成した多孔性支持体の方が帯電し易い)上、同じ帯電量でもマスタ12自身の剛性によって搬送性に影響を与えるレベルが異なることが知られている。
以上の事由から、現状のマスタ12の品質でどのレベルの帯電防止性能を維持しているか判断することは、一般のユーザには難しいと言える。本来、製造メーカ側では、経時による変化に対応できる設定で製品化しているため上記のような現象は生じないが、ユーザの中には保証期間を経過したマスタを用いる場合もある。
次に、少なくともマスタ12の製造日および帯電防止剤の情報(データ)に関するマスタ情報を認識するマスタ認識手段の具体例について説明する。ここで、帯電防止剤の情報は、該帯電防止剤の種別(材料の種類)および該帯電防止剤の塗工量のうちの少なくとも一方であるが、本実施形態では両方を意味し、さらにこれらに加えてマスタ12の剛性に関する情報を含むものとして説明する。
マスタ情報を記録した記録媒体あるいはマスタ識別手段からマスタ情報を認識するマスタ認識手段は、上記したとおりマスタ情報として記録媒体に記録された複数種の情報・データを認識するものであるため、次のような記録媒体およびマスタ認識手段が望ましい。すなわち記録媒体としては、複数種の情報・データを比較的簡単に記録できるとともに、品質が劣悪な模倣品等をチェックできるように商品の移動単位としてのマスタロール12Aのできるだけ外観から見えない部位に配置することができ、かつ、マスタ認識手段を含めて非接触式で価格的にも折り合うものが望ましい。
このような要求を満たすマスタ認識手段の一例として、非接触式のマスタ情報識別・認識方法であるRFID(Radio Frequency Identification)の技術を使用することが考えられる。RFIDとは無線通信を利用し非接触による書き込みと読み込みを行う自動認識技術を利用したものである。RFIDの一般的な説明をすると、基本的にメモリ機能のあるICチップとアンテナとを搭載したICタグ(RFタグ、電子タグなどとも呼ばれる)と、ICタグ内のデータの読み取り、書き込みを行なうリーダ/ライタ、その情報管理を行なうシステムによって構成されている。
図4に、RFIDを用いたマスタ認識手段29の基本構成を示す。ICタグ30は、ICチップ31とそれに接続したコイル状のアンテナ32とから構成されている。ICチップ31の内部は、記憶部、電源整流部、送信部、受信部の4つに区分され、それぞれが働きを分担して通信を行う。通信原理としては、ICタグ30のアンテナ32とリーダ/ライタ36のアンテナ37が電波によって通信し、データ(情報・信号)のやり取りを行う。その通信手順は、ICタグ30内のアンテナ32がリーダ/ライタ36からの電波を受信すると、共振作用により起電力が発生(電磁誘導等)する。これにより、ICタグ30内のICチップ31が起動し、ICチップ31内の情報を信号化する。次いで、ICチップ31からの信号をICタグ30側のアンテナ32から発信させ、このアンテナ32から送られてきた信号をリーダ/ライタ36のアンテナ37で受信する。その後、リーダ/ライタ36内に配設されているコントローラ38を介してデータ処理部39へ転送させ、ソフト側(図6に示す本体制御部2のマスタ判定手段側)で認識等のデータ処理を行うという手順である。
図3に、マスタ認識手段29を構成するICタグ30の貼り付け・装着例を示す。上述したマスタ情報を得るために、マスタ(種別)の識別に流用する際には、マスタロール12Aにメモリ機能のあるICチップ31とアンテナ32を搭載したICタグ30を具備させて、このアンテナ32を介してICチップ31からのマスタ情報を非接触で読み取る方法等がある。この際のICチップ31は、マスタ12の一端が巻き付けられている筒状の芯管12a(紙管)内に具備させるが一般的な方法である。詳しくは、ICチップ31を芯管12a内に埋め込んだり、芯管12aの内側に貼り付けたりすることができる。
マスタ認識手段29は、上記RFIDを用いたものに限らず、接触式のものであってもよく、以下その一例を説明する。これは、電源により電力を供給しなくても一定期問の間データを記憶できる不揮発性メモリを使用し、このメモリが取り付けられている基板内での接点もしくは基板外部であってもメモリとのインターフェースが可能な接点を設けておき、本体処理部とを電気的に接続するコネクタを設置して、その電気的信号によって認識させる方法がある。なお、不揮発性メモリでは、EEPROMと呼ばれるデータの消去と書き込みが可能なROM等を使用することができる。また、一度書き込みを行い、その後書き込みを行わない場合には、EPROM等の不揮発性メモリ等を使用しても構わない。
図5を参照して、孔版印刷装置200の操作部としての操作パネル90の構成を説明する。操作パネル90は、原稿読取部80の上部の一側部に配置されている。操作パネル90には、図5に示すように、製版スタートキー91、印刷スタートキー92、テンキー93、停止キー(ストップキー)94、エンターキー95、原稿種類設定キー96、タッチパネル98、カウンタ99および印刷速度設定キー100等が配設されている。また、操作パネル90には、警告報知手段、マスタ認識手段として機能するマスタ情報設定手段、駆動条件切替手段もしくは駆動条件設定手段として機能するものも配設されている。これらについては、後述する。
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、製版された1版のマスタについて印刷枚数等を入力・設定する印刷枚数設定手段としての機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、停止キー(ストップキー)94は、印刷動作を停止させる機能を、それぞれ有する。エンターキー95は、原稿種類設定キー96は、原稿の種類を設定する機能を、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、印刷速度設定キー100は、印刷速度を設定する印刷速度設定手段としての機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。印刷速度設定キー100は、速度アップキー100aおよび速度ダウンキー100bを備えていて、それらの近傍には設定された印刷速度を表示する印刷速度インジケータ100cが配置されている。
タッチパネル98は、図示しないタッチパネル駆動回路を含むLCD(液晶表示装置)駆動回路により駆動され、周知のタッチパネル方式で画面表示された各種モードや種々の選択設定手段(マスタ認識手段としても機能するマスタ情報設定手段、駆動条件切替手段もしくは駆動条件設定手段)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
タッチパネル98に配設されたLCD画面(以下、「LCD表示部」ともいう)からなる警告表示手段ないしは警告報知手段は、図6に示す搬送性判定手段4によりマスタの安定した搬送が困難と判定された場合、後述する動作において種々の警告報知ないしは警告表示するものである。カウンタ99は、印刷枚数の設定枚数や印刷残枚数を置数表示等するものである。
警告報知手段は、タッチパネル98に表示されるものに限らず、例えば単なるLCD表示やLED表示、音声による報知や、操作パネル90等に適宜配設されるブザーによる吹鳴警告音あるいはLEDの7セグメントを使用したコード表記でもよいし、あるいはそれらを適宜組合せたものでも構わない。
マスタ情報設定手段、駆動条件切替手段もしくは駆動条件設定手段等は、上記タッチパネル98に配設されたものに限らず、例えば専用のキーを設けたり、1つのキーと複数のLEDとの組合せにより、1つのキーの押下毎にLED表示を順次変えながら設定する方式のものや、LCDで階層表示させながら複数の選択設定キーで設定するものでもよい。
図1および図6に示すように、装置本体50内における排版部70の上方近傍には、環境の温度を検出する環境温度検出手段としての環境温度センサ210と環境の湿度を検出する環境湿度検出手段としての環境湿度センサ214とが配設されている。印刷ドラム21の内部には、インキ供給手段のインキ溜まり27形成部に配置されインキ温度を検出するインキ温度検出手段としてのインキ温度センサ211が配設されている。なお、上記の各温度は、直接的ではなく、間接的に近傍で検出しても構わない。
製版装置1内には、図6にのみ示すように、サーマルヘッド10の温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段としてのサーマルヘッド温度センサ212が配設されている。サーマルヘッド温度センサ212の配置個所としては、特開2006−82358号公報の図4に示されていると同様の部位、すなわち、発熱体9の表面部分、例えば電極に囲まれた発熱体9中央の表面部分に近い部位であることが望ましいが、現時点における技術ではその部分での検出は不可に近いので、ここではサーマルヘッド10に搭載されている回路基板上であるサーマルヘッド基板上でサーマルヘッド10本体の温度検出を行う。これに限らず、サーマルヘッド10を構成するアルミ放熱板とも呼ばれるアルミ放熱支持体の内部に設けてもよい。
環境温度センサ210、インキ温度センサ211およびサーマルヘッド温度センサ212としては、所望する感度・信頼性を備え、かつ、比較的小型で安価なサーミスタが好ましく使用される。上記ほどの利点を望まなくても良いのであれば、他の温度検出手段でも構わない。
サーマルヘッド10は、上記したように画像センサ89、図示しないA/D変換部、図示しない画像処理部等を経由して、あるいは図6にのみ示すパソコン140等からのデジタル画像信号を受信するための図示しないパソコン・コントローラやインターフェース装置、データ展開部等を経由して画像処理部を介して、それぞれ本体制御部2のサーマルヘッド駆動制御部(図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像データ信号を含むサーマルヘッド駆動用の信号に基づいて、多数の発熱体9を位置選択的に加熱することにより、マスタ12を位置選択的に加熱溶融穿孔し製版する製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド10は、図示しない周知の接離手段により、マスタ12を介してプラテンローラ14に接離自在となっている。また、サーマルヘッド10がプラテンローラ14に圧接した状態での押圧力(プラテン圧)を変える図示しない周知のプラテン圧可変手段も配設されている。このプラテン圧可変手段は、プラテン圧可変モータ駆動回路を介して駆動されるステッピングモータからなるプラテン圧可変モータや弾性部材である引張りばね等を有して構成されている。プラテン圧は、例えばプラテン圧可変モータの出力軸等に付設された図示しないエンコーダと、このエンコーダを挟む状態で装置本体50側に配設されたエンコーダセンサによって検出・認識される。プラテン圧可変手段の具体例としては、例えば特開平7−1699号公報の図2に示されているサーマルヘッド押圧力切換機構が挙げられる。
この孔版印刷装置では、サーマルヘッド10としては、一般的に薄膜式サーマルヘッドのうちで平面型サーマルヘッドと呼ばれているものを用いているが、これに限らず、主走査方向に配列された複数(多数)の発熱体を具備したものであれば、公知の全ての形式・タイプのものを含む。すなわち、サーマルヘッド10としては、平面型サーマルヘッド、端面型サーマルヘッド、リアルエッジ型サーマルヘッドまたはコーナーエッジ型サーマルヘッドであってもよい。
また、サーマルヘッド10の発熱体9としては、通常、その平面視形状が矩形型のものを用いているが、熱集中型でもよい。
上述したとおり、製版装置1は、サーマルヘッド10の主走査方向に配列された多数の発熱体9の部分をマスタ12のフィルムに接触させ、主走査方向と直交する副走査方向にマスタ12を所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データ(画像信号)に応じての個々の発熱体9の位置選択的な加熱によりマスタ12のフィルムを溶融穿孔して画像信号に応じたドット状の穿孔・製版画像(穿孔パターン)をマスタ12に形成する装置である。
マスタ12を副走査方向Yに搬送する送り動作は、上記例のように所定の送りピッチで間欠的に移動するものに限らず、連続的に送るようにしてもよい。また、原稿読取部80に限らず、原稿60をコンタクトガラス上に載置・固定し、蛍光灯およびミラー等を具備した走査光学系を駆動モータにより移動させつつ原稿の読み取りを行うスキャナ移動方式を採用してもよい。この場合、上記走査光学系の移動速度を、副走査方向Yの解像度に対応した所定の送りピッチに変えるように上記駆動モータを制御してもよい。
図6を参照して、孔版印刷装置200の主として製版装置1、操作パネル90を制御するための制御構成周りを説明する。同図に示すように、本体制御部2内のマイクロコンピュータ3は、CPU、ROM、RAM、内部タイマ、I/OインターフェースやA/D変換器、各種カウンタ等を備え、信号バスによって接続されて構成されている。
操作パネル90の上記各種キーやパソコン(PC)140からの各種キー等からのオン/オフ信号やデータ信号、マスタ認識手段29により認識された使用マスタ認識情報(データ信号)、各種センサ210,211,214やサーマルヘッド温度センサ212からのデータ信号等は、図示しないセンサ入力回路等のIインターフェースおよびA/D変換器等を介して、マイクロコンピュータ3のCPUに入力される。また、マイクロコンピュータ3のCPUからは、操作パネル90のカウンタ99、タッチパネル98のLCD駆動回路を含むタッチパネル駆動回路、製版装置1の上記サーマルヘッド駆動回路、製版装置1の上記マスタ搬送モータ駆動回路、製版装置1のプラテン圧可変モータ駆動回路、上記原稿搬送モータ駆動回路、印圧可変モータ駆動回路、記憶手段6である上記ROMや外部記憶装置(HDD等)、メモリに、指令信号を送信し、孔版印刷装置200全体のシステムを制御している。
マイクロコンピュータ3のROMは、マスタ情報に応じてそれぞれ予め設定された製版装置1の駆動条件およびマスタ12の搬送安定性評価情報を組み合わせてまとめた関係データテーブルを記憶する記憶手段6としての機能を有する。
ここで、図7を参照して、記憶手段6に予め記憶される関係データテーブルの一例について説明しておく。図1で説明したように、マスタ12に対する帯電が搬送性へ与える影響は使用するマスタ12の帯電防止性能はもちろんのこと、そのマスタ自身の剛性、駆動条件であるマスタ12の搬送速度や、サーマルヘッド10ヘのマスタ押し付け力(プラテン圧)、マスタ搬送経路中の上記各種ローラとの接触面積および接触力等によって変わる。図7に示す関係データテーブルは、マスタ情報、製版装置1の駆動条件(以下、単に「駆動条件」ともいう)をパラメータとして、これらの組み合わせによりマスタの搬送安定性にどのような影響を及ぼすか、つまり搬送安定性評価結果情報を、製版装置1相当の実機を用いて実際に実験で求めたものである。マスタ情報としては、マスタ剛性、帯電防止剤の種別(材料の違い)である帯電防止性能および帯電防止剤塗工量を取り、駆動条件としては、マスタ12の搬送速度およびプラテン圧を取っていて、何れもそれらを定性的に示している。搬送安定性評価:◎、○、△、×の内容は図7に示したとおりである。
なお、上記調査時にマスタ情報として使用しているマスタは表面平滑性に優れた構成となっており、プラテン圧を可変した場合にも、穿孔性に影響がでない状態で確認できているが、マスタの構成および表面平滑性によってはプラテン圧の変更に対応できないものもある。また、マスタ12の搬送速度や、プラテン圧の認識方法は、タッチパネル98等で予め設定されているものを用いてもよい。
記憶手段6(ROM)には、図7に示す関係データテーブルの他に、図8に示す制御動作を行うためのプログラムと、設定された駆動条件に対応した各種条件を設定するための関係データテーブルと、エネルギー調整のためのプログラムと、選択された各種条件に応じた最適な大きさの穿孔を形成するための穿孔用エネルギーに対応した通電パルス幅の関係データテーブルと、最適な圧接力を選択するための関係データテーブルが、予め実験等により求められて記憶されている。
マイクロコンピュータ3のCPUは、演算および制御機能を有し、以下の諸機能を有する。第1に、上記CPUは、記憶手段6から予め設定されたマスタ情報および製版装置1の駆動条件に応じて予め設定されたマスタの搬送安定性評価に関するデータ(情報)を呼び出して、これらのデータ(情報)と、マスタ認識手段29により認識されたマスタ情報および現在設定されている製版装置1の駆動条件とを照合することにより、マスタ12の搬送安定性を判定する搬送性判定手段4としての機能を有する。
第2に、上記CPUは、タッチパネル98の後述するタッチキーで設定され、あるいは専用のキーで設定されたマスタ情報に基づいて、マスタ12の種別・タイプを判定するマスタ判定手段5としての機能を有する。
第3に、上記CPUは、搬送性判定手段4によりマスタ12の安定した搬送が困難と判定された場合、タッチパネルのLCD表示部をしてマスタ12の安定した搬送が困難であることを警告報知・表示させる第1の制御手段としての機能を有する。
第4に、上記CPUは、搬送性判定手段4によりマスタ12の安定した搬送が困難と判定された場合、タッチパネルのLCD表示部をして使用しているマスタ12の交換を促すように警告報知・表示させる第2の制御手段としての機能を有する。
第5に、上記CPUは、搬送性判定手段4によりマスタ12の安定した搬送が困難と判定された場合、タッチパネルのLCD表示部をして製版装置1の駆動条件の変更を促すように警告報知・表示させる第3の制御手段としての機能を有する。
第6に、上記CPUは、搬送性判定手段4によりマスタ12の安定した搬送が困難と判定された場合、マスタ情報に応じた駆動条件に自動的に変更する第4の制御手段としての機能を有する。この際、上記CPUは、駆動条件として現在設定されているマスタ搬送手段による搬送速度よりも遅い搬送速度に変更するとともに、駆動条件として現在設定されている印加エネルギーよりも大きいエネルギーに変更する機能も有する。
マイクロコンピュータ3のRAMは、上記CPUの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル90上の各種キーから送信され上記CPUに入力されたデータ信号やオン/オフ信号および各種センサから送信され上記CPUに入力されたデータ信号やオン/オフ信号等を随時記憶する機能等を有している。
また本体制御部2には、環境温度センサ210から出力される環境温度に係る検知データ信号(環境温度検知情報)から環境温度を検出することが可能な環境温度検出手段7、環境湿度センサ214から出力される環境湿度に係る検知データ信号(環境湿度検知情報)から環境湿度を検出することが可能な環境湿度検出手段8、サーマルヘッド温度検知センサ212から出力されるサーマルヘッド温度に係る検知データ信号(サーマルヘッド温度検知情報)からサーマルヘッド温度を検出することが可能なサーマルヘッド温度検出手段(図示せず)、インキ温度センサ211から出力されるインキ温度に係る検知データ信号(インキ温度検知情報)からインキ温度を検出することが可能なインキ温度検出手段が設けられている。
環境温度検出手段7、環境湿度検出手段8、サーマルヘッド温度検出手段、インキ温度検出手段の各種検出部は、A/D変換器等を用いて各種温度・湿度を検出することが可能に構成されている。
次に、図7、図8のフローチャートおよび図9〜図12を参照して、本体制御部2のマイクロコンピュータ3のCPUの指令の下に実行される本実施形態の要部の制御動作を説明する。この動作説明では、本発明に関わる箇所のみを説明することにし、それ以外に関しては周知であるため省略する。
まず、図8に示すステップS1において、孔版印刷装置200の電源がオンされると、本実施形態においては複数種類のマスタ12を使用できるようになっているので、マスタ認識手段により使用されるマスタ12が何であるかマスタ情報が識別・認識される(ステップS2)。
この際、推奨マスタ以外もしくは本体に登録外のマスタ、または保証期間を過ぎたマスタが搭載されていた場合には、ユーザにその旨を報知する構成、例えば図5に示したタッチパネル98のLCD表示部に表示したり、音声やブザー等で警告報知したりしてもよい。
また、使用するマスタ12のマスタ情報を識別し認識するマスタ認識手段は、図3および図4に示したICタグ30内のマスタ情報を認識するマスタ認識手段29や、図示しない識別タグが公知の認識手段によって自動的に識別・認識されるものに限らず、以下の手段・方法であってもよい。すなわち、図9に示すように、操作パネル90におけるタッチパネル98上でのユーザによる識別コードの設定・入力によって行われるものであってもよいし、あるいは図5に示す操作パネル90に配設された、例えば3つのマスタ種類であるA,B,Cタイプのマスタを選択して設定するマスタ種類選択設定手段としてのマスタ種類選択キー101,102,103と、これらの何れかのマスタが選択設定されたことを点灯もしくは点滅表示するLEDからなる選択表示手段としての表示ランプ101a,102b,103aとからなるものであってもよい。
マスタ12のマスタ情報の認識後、マイクロコンピュータ3では識別されたマスタについて操作パネル90上に対応するマスタがあれば表示ランプ101a,102b,103aの何れか一つを点灯させ、無ければ操作パネル90におけるタッチパネル98のLCD表示部に図10に示すような内容の表示をするのが望ましい。これによりユーザは何時製造され、どんなマスタが搭載されているのかを確認することができる。
また、マスタ情報は不揮発性メモリ等に記憶させておくことで、使用者別に課金する場合などに利用することもできる。なお、上記マスタ情報の表示はLAN等で接続された遠隔地にあるパソコン等のコンピュータ上で確認できる構成としてもよい。
次いで、ステップS3に進み、環境条件としてマスタの搬送性に影響を与える度合いが大きい環境湿度情報が、環境湿度センサ214によって検出・取得される。
次いで、ステップS4に進み、マスタの搬送性が判定される。すなわち、搬送性判定手段4は、マスタ情報の認識と同時にマスタの特性(総厚、剛性・剛度、マスタ構成)およびマスタに塗布もしくは含浸されている帯電防止剤の材料と製造からの経過時間から現在設定されている駆動条件での製版が問題なく行えるか否かを事前に登録されている搬送性判定情報としての図7に示す関係データテーブルを基に判断・判定する。つまり、搬送性判定手段4は、記憶手段6から図7に示す関係データテーブルを呼び出し、関係データテーブルの関係データ(情報)と、マスタ認識手段29により認識されたマスタ情報および現在設定されている製版装置1の駆動条件とを照合することにより、マスタ12の搬送安定性を判定するのである。
この際、環境湿度センサ214によって得られた環境湿度情報を判断・判定情報に加えることで、搬送性判定手段4がより正確な判定を行えるようになる。すなわち、一般的に、比較的環境湿度が高い場合には、帯電防止剤が水分を吸着することによってマスタが帯電しにくくなり、比較的環境湿度が低い場合には、マスタが帯電しやすくなることを考慮して判定に加味することとなる。
図7において、例えばマスタ情報としてマスタ剛性が高くて、帯電防止性能が高機能で、かつ、帯電防止剤塗工量が標準であるマスタ種別Aが認識された場合であって、現在設定されている駆動条件として搬送速度が遅くて、なおかつ、プラテン圧が低いときには、搬送性判定手段4によって搬送安定性評価が「◎:製版装置1内でのマスタ挙動に変化なし(搬送安定性良好)と判定される。
また、図7において、例えばマスタ情報としてマスタ剛性が低くて、帯電防止性能が高機能で、かつ、帯電防止剤塗工量が標準であるマスタ種別Dが認識された場合であって、現在設定されている駆動条件として搬送速度が速くて、なおかつ、プラテン圧が高いときには、搬送性判定手段4によって搬送安定性評価が「△:頻度は低いが搬送不良発生(搬送安定性不良)と判定される。
ステップS4において、搬送安定性の判定結果、問題ある場合、すなわちマスタの安定した搬送が困難と判定された場合で、駆動条件の手動による変更の必要があれば、ユーザに対してその旨をタッチパネル98のLCD表示部に警告報知・表示する(ステップS5、ステップS6)。
次いで、ステップS7に進み、マスタの交換を促すようにユーザへその旨をタッチパネル98のLCD表示部に警告報知・表示する。次いで、駆動条件の変更を促すようにユーザに対してその旨をタッチパネル98のLCD表示部に警告報知・表示する(ステップS8)。この際、図11に示すように、「安定した搬送性を得るために、使用マスタもしくは駆動条件を変更することをお奨めします。」という警告表示がされるとともに、「変更する」、「変更しない」、「自動:適正条件に変更」という表示が各タッチキー105,106,107にされる。
次いで、ステップS9において、駆動条件の切り替え(変更)可否が判断される。駆動条件の変更を行いたい場合には、ユーザが図11に示したタッチパネル98のタッチキー105に触れて「変更する」を選択設定すると、タッチパネル98のLCD表示部の画面が図12に示すような画面に切り替えられるので、タッチパネル98上で選択させるのが望ましい。
この際、例えば、図7において、マスタ情報としてマスタ種別Dが認識された場合であって、設定されている駆動条件として搬送速度が速くて、なおかつ、プラテン圧が高いときには、搬送性判定手段4によって搬送安定性評価が「△:頻度は低いが搬送不良発生(搬送安定性不良)と判定されるので、図12に示すタッチパネル98上で例えばマスタの搬送速度が「遅い1」(タッチキー108で選択設定)よりもさらに遅い「遅い2」のタッチキー109で選択設定すると、プラテン圧が高いそのままの状態でも搬送安定性評価を「○:まれに製版装置1内でマスタ12の挙動に乱れがあるものの搬送上の問題なし」に変更することができる。
ステップS9において、駆動条件の変更を自動で行いたい場合には、ユーザが図11に示したタッチパネル98のタッチキー107に触れて「自動:適正条件に変更」を選択設定すると、ステップS5における駆動条件の切り替え方法の判断において自動が選択されて、ステップS10に進んで自動的に適正駆動条件への変更がされる。
ステップS10における駆動条件変更においては、手動で選択設定もしくは自動的に決定された条件に応じて適正なサーマルヘッドエネルギー条件となるよう、現状設定されている搬送速度に比して遅い搬送速度とするとともに、サーマルヘッド10ヘの印加エネルギー(投入エネルギー)を現状設定されている印加エネルギーに比して大きいエネルギーに変更されるよう自動的に制御される。
この際、印加エネルギーの変更は、印加電圧の変更によって行ったり、通電時間(通電パルス幅)の変更によって行うこととなる。
一方、ステップS4において搬送安定性の判定結果が問題ない場合、ステップS5において駆動条件の切り替え方法が自動である場合、およびステップS9において、駆動条件の変更をしない場合で、ユーザが図11に示したタッチパネル98のタッチキー106に触れて「変更しない」を選択設定した場合には、ステップS11に進んで上述したような製版動作が実行される。
なお、上記駆動条件変更後の設定および自動での駆動条件変更結果も、タッチパネル98のLCD表示部上に表示・報知することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、上記発明の効果の欄に記載した効果を奏するものである。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらに含まれる実施例を適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。 マスタに使用されている帯電防止剤の材料差およびその塗工量差がマスタの製造日からの経過時間によってマスタの帯電量に対してどのように変化を及ぼすのかを調査・試験した結果を示すグラフである。 マスタロールへのマスタ識別手段(ICタグ)の装着例を示す斜視図である。 マスタ認識手段としてのRFIDの構成を示す模式図である。 図1に示した孔版印刷装置に用いられる操作パネルの平面図である。 図1に示した孔版印刷装置の要部の制御構成を示すブロック図である。 記憶手段に予め記憶されるマスタ情報、駆動条件および搬送安定性評価に関する関係データテーブルの一例を示す図表である。 本実施形態の要部の制御動作を表すフローチャートである。 本実施形態においてタッチパネルに表示される内容を示す説明図である。 図9とは異なる表示がタッチパネルにされる内容を示す説明図である。 さらに図10とは異なる表示がタッチパネルにされる内容を示す説明図である。 さらに図11とは異なる表示がタッチパネルにされる内容を示す説明図である。
符号の説明
1 製版装置
2 本体制御部
3 マイクロコンピュータ(第1〜第4の制御手段を構成)
4 搬送性判定手段
5 マスタ判定手段
6 記憶手段
8 環境湿度センサ(環境湿度検出手段)
9 発熱体(発熱素子)
10 サーマルヘッド(製版手段)
11 マスタ搬送モータ(マスタ搬送駆動手段)
12 マスタ
12A マスタロール
14 プラテンローラ(マスタ搬送手段)
21 印刷ドラム
23 プレスローラ(押圧手段)
29 マスタ認識手段
30 ICタグ(マスタ識別手段)
62 用紙(被印刷媒体、シート状記録媒体)
90 操作パネル
98 タッチパネル(警告報知手段・警告表示手段)
S 主走査方向
Y 副走査方向・マスタ搬送方向

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムを有し帯電防止剤を塗布または含浸されたマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じて、任意に調整可能な印加エネルギーを上記サーマルヘッドに供給し、該印加エネルギーによって、上記各発熱体を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを位置選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを形成する製版装置において、
    少なくとも上記マスタの製造日および上記帯電防止剤の情報に関するマスタ情報を認識するマスタ認識手段と、
    予め設定された上記マスタ情報および上記製版装置の駆動条件に応じて予め設定された上記マスタの搬送安定性評価に関する情報を記憶する記憶手段と、
    上記記憶手段から予め設定された上記マスタ情報および上記製版装置の駆動条件に応じて予め設定された上記マスタの搬送安定性評価に関する情報を呼び出して、これらの情報と、上記マスタ認識手段により認識された上記マスタ情報および設定されている上記駆動条件とを照合することにより、上記マスタの搬送安定性を判定する搬送性判定手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  2. 請求項1記載の製版装置において、
    上記帯電防止剤の情報は、該帯電防止剤の種別および該帯電防止剤の塗工量のうちの少なくとも一方であることを特徴とする製版装置。
  3. 請求項1または2記載の製版装置において、
    上記マスタ認識手段は、上記マスタ情報として上記マスタの剛性に関する情報を認識することを特徴とする製版装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一つに記載の製版装置において、
    警告報知を行う警告報知手段と、
    上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして上記マスタの安定した搬送が困難であることを警告報知させる第1の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の製版装置において、
    警告報知を行う警告報知手段と、
    上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして使用している上記マスタの交換を促すように警告報知させる第2の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  6. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の製版装置において、
    警告報知を行う警告報知手段と、
    上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記警告報知手段をして上記駆動条件の変更を促すように警告報知させる第3の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  7. 請求項1ないし3の何れか一つに記載の製版装置において、
    上記搬送性判定手段により上記マスタの安定した搬送が困難と判定された場合、上記マスタ情報に応じた上記駆動条件に自動的に変更する第4の制御手段を有することを特徴とする製版装置。
  8. 請求項1ないしの何れか一つに記載の製版装置において、
    環境の湿度情報を検出する湿度検出手段を有し、
    上記搬送性判定手段は、上記湿度検出手段により検出された上記湿度情報を加味して上記マスタの搬送安定性を判定することを特徴とする製版装置。
  9. 請求項1ないし8の何れか一つに記載の製版装置を備え、該製版装置で上記穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を被印刷媒体上に形成することを特徴とする孔版印刷装置
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