JP5065840B2 - 防火区画貫通部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物等の防火区画を画成する防火壁等の仕切部をケーブルラックが貫通する構造に関し、特に、施工性に優れ耐火性能の安定した防火区画貫通部構造に関する。
従来、建築物等において、建築物の壁、間仕切り壁、床、天井等の防火区画を画成する仕切部にケーブルや配管等の長尺体を配設する場合、前記仕切部に開口部を設ける必要がある。この場合には前記長尺体と前記開口部との間に隙間が生じる。このため、前記仕切部により画成された一方の防火区画で火災が発生した場合、前記長尺体と前記開口部との隙間を伝わって、前記仕切部の他方の防火区画に煙が拡散したり、延焼が及んだりする問題がある。
この問題に対応するために前記長尺体と前記開口部との隙間に防火処理用充填材を複数配置することにより、前記隙間を塞いだ防火区画貫通部構造が提案されている(特許文献1)。
この提案によれば、前記隙間に防火処理用充填材を複数個積み上げることにより前記防火区画貫通部構造が得られることから、製造が容易でコストが安く、施工が容易という特徴があるとされる。
しかしながらこの防火区画貫通部構造では、前記隙間を塞ぐために大量の防火処理用充填材を必要とすることから、コスト高となるばかりでなく、前記防火処理用充填材の積み上げに不備があると容易に前記防火処理用充填材が崩れ落ちる等の問題がある。さらには前記防火区画貫通部構造では前記仕切部が建物等の床に対して垂直に設置されている壁等の場合には施工できるものの、前記仕切部が天井や床等の様に、地面と水平に設置された仕切部の場合には開口部に前記防火処理用充填材を積み上げることができず、前記防火区画貫通部構造を施工することができないとの問題があった。
また別の防火区画貫通部構造として、貫通孔を備えた遮蔽板により前記開口部を覆い、前記遮蔽板の貫通孔と前記長尺体との隙間に熱膨張性充填材が詰め込まれた防火区画貫通部構造が提案されている(特許文献2)。
この提案によれば、防火性能の向上を図ることができ、施工性にも優れるとされる。
しかしながらこの防火区画貫通部構造では、例えば前記長尺体が天井に沿って配置されている場合には重量のある前記遮蔽板の上端を天井に固定する必要があるが、この作業は容易ではない等、前記防火区画貫通部構造の態様により施工が困難となる問題があった。また、施工現場毎に前記開口部に合わせて形状の異なる遮蔽板を事前に準備しなければならず、施工現場で前記開口部と前記遮蔽板との形状が合致していないことが判明した場合、施工の調整に時間がかかる問題もあった。
さらに別の防火区画貫通部構造として、前記長尺体を防火シートで包囲し、前記長尺体と前記開口部との隙間を別の防火シートで覆う防火区画貫通部構造が提案されている(特許文献3)。
この提案によれば、構造が簡単で、施工を容易かつ迅速に行うことができるとされる。
しかしながらこの防火区画貫通部構造では、前記長尺体が前記開口部に接して配置されている場合には事実上前記長尺体を防火シートで包囲することができないばかりか、前記長尺体毎に防火シートを包囲する場合には、前記長尺体の設置、増設、交換、撤去等の操作が煩雑になる問題があった。
特開2002−247735号公報 特開2005−320724号公報 特開平11−236739号公報
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、前記開口部における長尺体の位置に関係なく容易に施工することができ、壁や仕切壁等の仕切部に限定されず天井や床等の仕切部に対しても施工でき、さらに前記長尺体の設置、増設、交換、撤去等の操作を容易に行うことのできる防火区画貫通部構造を提供することにある。
前記問題を解決するため本発明者らが鋭意検討した結果、前記開口部をケーブルラックが貫通する構造であって、このケーブルラック内部に長尺体を挿通させ、熱膨張性耐火シートにより前記開口部の全体を覆うと共に、前記熱膨張性耐火シートに折り返し部分を設け、この折り返し部分により形成された前記熱膨張性耐火シートの空隙に前記ケーブルラックを挿通させる一方、前記ケーブルラック内部に耐火充填材を配置した防火区画貫通部構造が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
[1]建築物に設けられた防火区画を画成する仕切部に形成された開口部と、
前記開口部を貫通するケーブルラックと、
前記ケーブルラックの内部を挿通する長尺体と、
少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う熱膨張性耐火シートと、
前記ケーブルラックの内部に配置された耐火充填材と、
を少なくとも有する構造であって、
前記熱膨張性耐火シートは、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分を形成するための二本以上の切り込みを有していて、前記切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記ケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
前記ケーブルラックは、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの面が前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
前記耐火充填材は、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われている前記仕切部の外側に位置する前記ケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[2]少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う二以上の熱膨張性耐火シート、
を少なくとも有する構造であって、
第一の熱膨張性耐火シートは、前記ケーブルラックの一方の面側にある一辺から、前記ケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有していて、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記ケーブルラックの一方の面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
第二の熱膨張性耐火シートは、前記ケーブルラックの他方の面側にある一辺から、前記ケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有していて、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と対向する様に前記ケーブルラックの他方の面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
前記第一の熱膨張性耐火シートと前記第二の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記ケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
前記ケーブルラックは、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの一方の面が前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
前記耐火充填材は、前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた、前記仕切部の外側に位置する前記ケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、上記[1]に記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[3]前記開口部を貫通する第一および第二のケーブルラックと、
少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う三以上の熱膨張性耐火シートと、
を少なくとも有する構造であって、
第一の熱膨張性耐火シートは、前記開口部内周面側の第一のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第一のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記第一のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
第二の熱膨張性耐火シートは、前記開口部内周面側の第二のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第二のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第二のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
第三の熱膨張性耐火シートは、第一のケーブルラックと第二のケーブルラックとの間にある前記開口部の部分を少なくとも覆うためのものであって、第一のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第一のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第一のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、さらに第二のケーブルラックの同じ面側にある一辺から、前記第二のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第二のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
前記第一の熱膨張性耐火シートと前記第三の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第一のケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
前記第二の熱膨張性耐火シートと前記第三の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第二のケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
前記第一のケーブルラックは、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの一方の面が前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
前記第二のケーブルラックは、前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記第二のケーブルラックの一方の面が前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
前記耐火充填材は、前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた前記仕切部の外側に位置する前記第一のケーブルラック内部と、長尺体と、の隙間に配置され、ならびに、前記第二の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた前記仕切部の外側に位置する前記第二のケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記第一のケーブルラックの周囲ならびに前記第二の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記第二のケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[4]前記開口部を貫通する三以上の前記ケーブルラックと、
互いに隣接する前記ケーブルラックの間にそれぞれ配置される二以上の熱膨張性耐火シートを少なくとも有し、
前記互いに隣接する前記ケーブルラックの間にそれぞれ配置される二以上の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む三以上の前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、上記[3]に記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[5]前記ケーブルラックは、その内部に前記耐火充填材を支持するための保持部材を備えたことを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり
[6]前記耐火充填材は、耐熱シール剤、無機充填材、無機繊維系充填材、耐火性パテ、熱膨張性耐火材ブロックおよび熱膨張性耐火材小片を含む充填用バッグからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[7]前記耐火充填材は、粘着性を有する二以上の前記耐火性ブロックを組み合わせてなるものであり、
前記耐火性ブロックの組み合わせは、前記長尺体が挿通するための隙間を有すると共に、前記ケーブルラック内部に略合致して設置することができる外形形状を有することを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造を提供するものである。
本発明の防火区画貫通部構造によれば、切り込みのある前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分を利用して、前記折り返し部分により形成された空隙に前記ケーブルラックを挿通させるため、前記ケーブルラックが前記仕切部に形成された開口部のどの位置にあっても、前記熱膨張性耐火シートにより前記開口部の全体を容易に覆うことができる。このため、前記ケーブルラックと前記開口部との位置関係に依存せず、容易に施工することのできる防火区画貫通部構造を提供することができる。
また本発明の防火区画貫通部構造によれば、前記仕切部表面から外側にあるケーブルラック内部に前記耐火充填材を配置することから、前記開口部の内側に前記耐火充填材を配置する必要が特段なく、施工作業中に前記耐火充填材を前記仕切部の反対側に落としてしまう事故の発生を防止することができる。
加えて本発明の防火区画貫通部構造は、壁や仕切壁等の仕切部に限定されず天井や床等の仕切部に対しても施工できることから、広く応用することが可能である。
また本発明の防火区画貫通部構造によれば、前記長尺体の増設、交換、撤去等の操作を容易に行うことができることから、施工性に優れるばかりでなく、その維持管理が容易であるという特徴をも有する。
以下に図面を参照しつつ、本発明の第一の実施態様について説明する。
最初に本発明に使用するケーブルラック、建築物に設けられた防火区画を画成する仕切部に形成された開口部、および長尺体の関係について説明する。
図1は、本発明に使用するケーブルラック、長尺体および建築物に設けられた防火区画を画成する仕切部に形成された開口部との関係を説明するための模式要部斜視図である。
図1に例示される防火区画A,Bを画成する仕切部1としての仕切壁は、例えば、コンクリート構造、軽量気泡コンクリート板(ALC板)、中空押出セメント板(ECP)構造、中空コンクリート構造、木材や金属等の支持部材と面材とにより組み合わされた構造等の防火壁であり、厚さは約100mm程度となっている。仕切部1には、隣接する防火区画A,Bを水平方向に貫通する開口部2が形成されている。前記開口部2は隣接する防火区画A,Bを連通するものであり、その内部にケーブルラック3を挿入できる形状をしている。図1に例示した様に前記開口部2は矩形状に形成されていて、前記開口部2をケーブルラック3が貫通している。
前記ケーブルラック3は亜鉛鉄板を折り曲げ形成した金属板材や、アルミニウム押出し材等から梯子状に形成され、左右の縦片を構成する一対の親桁材4,4と、前記親桁材を所定の間隔で連結する多数の横材5,5とを少なくとも備えるものであり、長手方向に連結されていて、長尺体6を載置することができる構造となっている。前記親桁材4と前記横材5とはビス止め、溶接、嵌め合わせ等により結合されている。このように構成されたケーブルラック3は、吊りボルト等により天井面から吊下げて支持されたり、壁面から支持されていて(図示せず)、前記開口部2の一定の位置に設置されている。
また前記ケーブルラック3内には長尺体6が載置されているが、本発明に使用する長尺体6としては、例えば、各種配管、ケーブル等を挙げることができる。
前記各種配管としては、例えば、給排水管、吸排気管、水道管、ガス管、冷暖房用媒体移送管等を挙げることができる。
また前記ケーブルとしては、例えば、CVケーブル、単心ケーブルを2本束ねたCVDケーブル、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブル等の他、他の電源ケーブル、信号ケーブル等を挙げることができる。
例えば、絶縁体として架橋ポリエチレンを使用したCVケーブルで、その公称断面積が250mmのケーブルの場合、導体の外径が約19mmで、その外周の絶縁体の厚さが2.5mm程度、さらに外側のシース厚さが約1.8mmであり、単線の直径は30mm弱程度となっている。
図2は本発明に使用する第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートの形状について説明するための模式斜視図である。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは二本以上の切り込みを有するものである。
図2(a)に例示した通り、第一の実施態様に使用する第一の熱膨張性耐火シート10は、切り込み11と12とを有している。前記切り込み11の終端部13と、前記切り込み12の終端部14とをそれぞれ連結する位置15でL字型に90度に曲げることにより、図2(b)に例示した通り、折り返し部分16が形成される。
第二の熱膨張性耐火シート20についても、図2(a)に例示した通り、切り込み21と22とを有している。そして前記切り込み21の終端部23と、前記切り込み22の終端部24とをそれぞれ連結する位置25でL字型に90度に曲げることにより、図2(b)に例示した通り、折り返し部分26が形成される。
図3は第一の熱膨張性耐火シートと第二の熱膨張性耐火シートとを組み合わせた状態を説明するための模式斜視図である。
図3に例示される様に、前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16と、第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26とを組み合わせることにより、ケーブルラックを挿通させるための空隙30を形成することができる。
前記空隙30の高さの調節は、第一の熱膨張性耐火シート10と第二の熱膨張性耐火シート20とを互いに上下方向にスライドさせることにより行うことができる。
また、前記空隙30の幅の調整は、第一の熱膨張性耐火シート10と第二の熱膨張性耐火シート20とにそれぞれ設けられた前記切り込み11,12間の幅や、前記切り込み21,22間の幅を変更することにより行うことができる。
また前記開口部2(図1参照)に対する前記空隙30の位置は、使用する第一の熱膨張性耐火シート10および第二の熱膨張性耐火シート20の大きさの調整や、前記切り込み11,12,21,22の位置の変更等により適宜調整することができる。
次に前記ケーブルラックと熱膨張性耐火シートとの関係について説明する。
図4は本発明に使用するケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火シートが配置された状態を説明するための模式要部斜視図である。なお各参照符号の意味は先の図1の場合と同様である。
図4に例示されている様に、防火区画A,Bを画成する仕切部1として仕切壁に形成された開口部2にケーブルラック3が貫通している。また図1の場合と同様、前記ケーブルラック3内部を長尺体6が挿通している。
図4に例示される様に、前記第一の熱膨張性耐火シート10の前記折り返し16がある側をケーブルラック3に向けて、前記ケーブルラック3の上側から前記第一の熱膨張性耐火シート10が開口部2を覆う様に配置されている。また前記第二の熱膨張性耐火シート20の前記折り返し26がある側を前記ケーブルラック3側に向けて、前記ケーブルラック3の下側から前記第二の熱膨張性耐火シート20が開口部2を覆う様に配置されている。
図5は、第一の熱膨張性耐火シートと前記第二の熱膨張性耐火シートとを前記開口部に配置した構造について、仕切部に沿って切断した断面を例示した模式要部断面図である。
第一の熱膨張性耐火シート10と第二の熱膨張性耐火シート20とが前記ケーブルラック3の周囲に上下方向からそれぞれ配置されていて、前記仕切壁1の表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部2を覆っている。
また、前記第一の熱膨張性耐火シート10のうち前記折り返し部分16に隣接する裾部17と、前記第二の熱膨張性耐火シート20のうち前記折り返し部分26に隣接する裾部27とは重複部分を有するものであり、前記第一の熱膨張性耐火シート10のうち前記折り返し部分16に隣接する裾部18と、前記第二の熱膨張性耐火シート20のうち前記折り返し部分26に隣接する裾部28とは重複部分を有するものである。
なお、前記裾部17と前記裾部27ならびに前記裾部18と前記裾部28とは互いに突き合わせて設置してもよい。
この様に、前記第一の熱膨張性耐火シート10と前記第二の熱膨張性耐火シート20とは、前記折り返し部分16,26以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記ケーブルラック3の周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置することができる。
第一の熱膨張性耐火シート10と前記第二の熱膨張性耐火シート20とを前記開口部2に配置する固定手段に特に限定はなく、例えばアンカーボルト、埋め込みピン等の前記仕切部1に埋め込む形式のもの、張着フック、張着ピン等の前記仕切部1に耐熱接着剤等により固定する形式のもの等を挙げることができる。
図5ではアンカーボルト32により第一の熱膨張性耐火シート10と前記第二の熱膨張性耐火シート20とが前記開口部2に配置されている。
第一の熱膨張性耐火シート10と前記第二の熱膨張性耐火シート20とを前記開口部2に配置する際には上記の固定手段に加えて両面粘着テープ等を併用してもよい。
図6は、本発明の第一の実施態様である防火区画貫通部構造の断面を例示した模式要部断面図である。なお、図6では前記ケーブルラック3の断面は正確には前記ケーブルラック3に備えられた横材5の断面部分のみとなるが、ここでは説明の便宜上、前記ケーブルラック3と前記長尺体6とを破線で表現している。これらの前記長尺体6は前記ケーブルラック3内部を挿通していて、前記ケーブルラック3に備えられた横材5により支持されている。
図6に例示される様に、前記ケーブルラック3の上面に対し水平方向に折り曲げられた前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16は前記ケーブルラック3の上面を覆っている。また、前記ケーブルラック3の下面に対し水平方向に折り曲げられた前記第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26は前記ケーブルラック3の下面を覆っている。
この様に、前記折り返し部分16、26は前記仕切部1の外側に折り返えされ、前記ケーブルラック3を挟んで互いに対向する位置に設けられている。
また前記折り返し部分16、26により覆われた前記ケーブルラック3内部と、前記長尺体6との間には耐火充填材40が配置されている。
図6に例示される様に、前記耐火充填材40が配置される前記ケーブルラック3内部は前記仕切部1の外側、すなわち施工作業をする一方の防火区画A側にあるため、この一方の防火区画A側から施工作業を完了させることができ、短時間で施工を行うことが可能である。
また、前記ケーブルラック3内部に前記耐火充填材40を配置する際、前記開口部2の内側にある前記ケーブルラック3内部に配置する場合と比較して、前記耐火充填材40を反対側の防火区画B側に誤って落下させることを防止することができる。
図7は、折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを配置した状態を例示した模式要部斜視図である。
前記折り返し部分16,26の上と前記ケーブルラック3の周囲とに熱膨張性耐火テープ50を配置することにより、より耐火性に優れた防火区画貫通部構造を形成することができるため好ましい。
なお前記折り返し部分16,26は前記熱膨張性耐火テープ50の下に位置するため、図7では表示されていない。
ところで前記ケーブルラック3の周囲に前記開口部2の内側で前記熱膨張性耐火テープ50を配置する場合、前記開口部2の端部に前記ケーブルラックが近接して配置されている場合には、作業スペースが十分でないために前記ケーブルラックの周囲に前記熱膨張性耐火テープを配置することが困難となる。
これに対し本発明の防火区画貫通部構造の場合は、図7に例示した様に、前記仕切部1の外側に位置する前記ケーブルラック3の周囲に前記熱膨張性耐火テープ50を配置するため、上記の様な作業スペースによる施工性の低下の影響を受けることがない。
次に本発明の第二の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図8は、本発明の第二の実施態様である防火区画貫通部構造を説明するための模式要部断面図である。
この第二の実施態様の防火区画貫通部構造は、防火区画Aで設置した第一の実施態様の場合と全く同様に、反対側の防火区画Bにも第一の熱膨張耐火シート10と第二の熱膨張性耐火シート20を配置し、さらに折り返し部分16,26の上と前記ケーブルラック3の周囲とに熱膨張性耐火テープ50を配置している。なお図8における各参照符号の意味は、先の図1〜7の場合と同様である。
この第二の実施態様の防火区画貫通部構造に例示されるように、本発明の防火区画貫通部構造は前記仕切部1の一方の側に熱膨張性耐火シートを有する第一の実施態様に限定されることはなく、前記仕切部1の両方の側に熱膨張性耐火シートを有する実施態様であってもよい。この関係は以下の場合も同様である。
次に本発明の第三の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図9は、第三の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。
第一の実施態様の場合には二枚の熱膨張性耐火シートを使用したが、この第三の実施態様の場合には一枚の熱膨張性耐火シートを使用する点が異なる。
図9(a)に例示される様に、前記熱膨張性耐火シート60には参照符号61、62および63により示されるH型の切り込みが設けられている。一方、前記熱膨張性耐火シート60の一辺から前記H型の切り込み63に達する別の切り込み70が設けられている。
前記切り込み61の終端部64と、前記切り込み63の終端部66とをそれぞれ連結する位置68でL字型に90度に曲げることにより、図9(b)に例示した通り、折り返し部分71が形成される。
また前記切り込み部分61の終端部65と、前記切り込み部分63の終端部67とをそれぞれ連結する位置69でL字型に90度に曲げることにより、図9(b)に例示した通り、折り返し部分72が形成される。
図10は第三の実施態様における熱膨張性耐火シートとケーブルラックとの関係を例示した模式要部斜視図である。
前記ケーブルラック3を、前記熱膨張性耐火シート60の折り返し部分71,72により形成された空隙に挿通させるためには、例えば、前記熱膨張性耐火シート60を前記ケーブルラック3にはめ込む前に、前記熱膨張性耐火シート60に形成された前記切り込み70の上部73を手前側に引き寄せ、下部74を反対側に押し出すことにより前記熱膨張性耐火シートに隙間を作り、この隙間を利用して、前記熱膨張性耐火シートをケーブルラック3にはめ込めばよい。図10に例示する構造に対し、以下第一の実施態様の場合と同様にして、第三の実施態様である防火区画貫通部構造を得ることができる。
次に本発明の第四の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図11は、第四の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。
第一の実施態様の場合には二枚の熱膨張性耐火シートを使用したが、第四の実施態様の場合には一枚の熱膨張性耐火シートを使用する点が異なる。
図11(a)に例示した様に、前記熱膨張性耐火シート80は、切り込み81と82とを有している。前記切り込み81の終端部83と、前記切り込み82の終端部84とをそれぞれ連結する位置85で前記熱膨張性耐火シート80をL字型に90度に曲げることにより、図11(b)に例示した通り、折り返し部分86が形成される。
また前記熱膨張性耐火シートのうち前記折り返し部分86に隣接する裾部87,88の一部が折り返されていて、折り返し裾部89、90を形成している。
前記切り込み81、82の長さは、ケーブルラックの厚みと前記折り返し裾部89,90の折り返し幅との合計に等しくなるよう調整されている。
図12は前記熱膨張性耐火シート80を使用した第四の実施態様である防火区画貫通部構造を例示した模式要部断面図である。
第一の実施態様の場合には、防火区画を画成する仕切部に形成された開口部のほぼ中央部をケーブルラックが貫通するものであったが、第四の実施態様の場合には、開口部2の上端が天井100に接して設けられていて、この天井100に接してケーブルラック3が設けられている点が異なる。
防火区画を画成する仕切部1の表面に沿って前記ケーブルラック3の周囲に前記熱膨張性耐火シート80が配置されていて、この熱膨張性耐火シート80により前記仕切部1に形成された開口部2全体が覆われている。
また前記折り返し部分86は前記ケーブルラック3の下面に耐熱接着剤で貼着されていて、さらにその上を覆う様に熱膨張性耐火テープ50が貼付されている。なお、前記熱膨張性耐火テープは前記ケーブルラック3を覆うと共に、天井100の一部にも貼着されている。
一方、前記熱膨張性耐火シート80の折り返し裾部90が貼着ピンを折り曲げたピン91により天井100に固定されている。
図13は本発明に使用する貼着ピンを説明するための模式斜視図である。
図13に例示した様に、前記貼着ピン92は、例えば円形台座93とピン91とを備えるものであって、前記円形台座93の中央に前記ピン91が垂直に設けられているものである。
前記円形台座93の裏面には耐熱接着剤層94とその耐熱接着層94を覆う離型フィルム95が設けられている構成となっている。
前記離型フィルム95を除去してから前記円形台座93の裏面を図12の天井100に貼着して固定する。その後、前記熱膨張性耐熱シートの折り返し裾部89,90を前記ピン91に通してから前記ピン91を折り曲げることにより、前記熱膨張性耐熱シート80の折り返し裾部89,90を天井100に固定することができる。
なおその他の構成については先の第一の実施態様の場合と同様である。
次に本発明の第五の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図14は床に形成された開口部にケーブルラックが貫通している態様の防火区画貫通部構造を例示した模式要部斜視図である。
第一〜第四の実施態様の場合はケーブルラックが仕切部としての仕切壁に形成された開口部を水平に貫通するものであったが、第五の実施態様の場合は、防火区画を画成する仕切部としての床110に形成された開口部2にケーブルラック3が垂直に貫通している点が異なる。
図15は、第五の実施態様である防火区画貫通部構造のうち、前記ケーブルラックを床の上面と同じ面で切断した断面を例示した模式要部断面図である。
図15に例示される様に、鋼線を網目状に組み合わせた保持部材112が前記ケーブルラック3の親桁4,4に固定されていて、この保持部材112により耐火充填材(図示せず)を保持することができ、前記ケーブルラック3内部と長尺体6との間から前記耐火充填材が落下することを防止することができる。
前記保持部材112に特に限定はなく、例えば、ロックウールボード、ケイ酸カルシウム板等の無機ボード類、ステンレス、鋼製等の金属製の網、アングル等の金属部材等を使用することができる。
本発明に使用する前記保持部材112は前記ケーブルラック3内部と長尺体6との間に設置することができ、前記耐火充填材の落下を防止できるものであれば特に限定はない。
第五の実施態様である防火区画貫通部構造の他の構成は、先の第一の実施態様の場合と同様である。
次に本発明の第六の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図16は、第六の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。
第一の実施態様の場合には一本のケーブルラックおよび二枚の熱膨張性耐火シートを使用したが、第六の実施態様の場合には二本のケーブルラックおよび三枚の熱膨張性耐火シートを使用する点が異なる。
図16(a)に例示した様に、第一の熱膨張性耐火シート10は切り込み11,12を有している。
第二の熱膨張性耐火シート20は切り込み21,22を有している。また第三の熱膨張性耐火シート120は、切り込み121,122ならびに切り込み123,124を有している。
前記切り込み11の終端部13と、前記切り込み12の終端部14とをそれぞれ連結する位置15で第一の熱膨張性耐火シート10の部分をL字型に90度に曲げることにより、折り返し部分16が形成される。同様に、図16(b)に例示した通り、折り返し部分131,132および26が形成される。
図17は前記第一〜第三の熱膨張性耐火シートをそれぞれ組み合わせた状態を説明するための模式斜視図である。
図17に例示される様に、前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16と、第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分131とを組み合わせることにより、第一のケーブルラックを挿通させるための空隙133を形成することができる。
前記切り込み11、21ならびに前記切り込み12、22は、それぞれ第一のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて設けられていることから、前記第一の熱膨張性耐火シートと第三の熱膨張性耐火シートを適宜上下方向にスライドさせることにより、第一のケーブルラックを挿通させるために適した大きさの空隙133を形成することができる。
また前記第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26と、第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分132とを組み合わせることにより、第二のケーブルラックを挿通させるための空隙134を形成することができる。
先の場合と同様に、前記第二の熱膨張性耐火シートと第三の熱膨張性耐火シートを適宜上下方向にスライドさせることにより、第二のケーブルラックを挿通させるために適した大きさの空隙134を形成することができる。
なお、前記第六の実施態様に使用する第一の熱膨張性耐火シート10および第二の熱膨張性耐火シート20は、それぞれ前記第一の実施態様に使用する第一の熱膨張性耐火シート10および第二の熱膨張性耐火シート20に対応するものであり、詳細については第一の実施態様の場合と同様である。
図18は、第一〜第三の熱膨張性耐火シートを前記開口部に配置した構造を、仕切部に沿って切断した状態として例示した模式要部断面図である。
図18に例示される様に、第一の熱膨張性耐火シート10は、前記開口部2の内周面側の第一のケーブルラック3aの面側にある一辺から切り込み11,12を有している。
第二の熱膨張性耐火シート120は、前記第一のケーブルラック3aの反対側の、前記開口部2の内周面側の第二のケーブルラック3bの面側にある一辺から切り込み21,22を有している。
また第三の熱膨張性耐火シート120は、第一のケーブルラック3aの面側にある一辺から、前記第一のケーブルラック3a断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて前記一辺に対して垂直方向に前記一辺から二本の切り込み121,124を有し、さらに第二のケーブルラック3bの面側にある一辺から、前記第二のケーブルラック3b断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて前記一辺に対して垂直方向に前記一辺から二本の切り込み122,123を有している。
前記開口部2に対する各熱膨張性耐火シートの配置は次の通りである。
前記第一の熱膨張性耐火シート10の前記折り返し部分16がある側を前記第一のケーブルラック3aに向けて、前記第一のケーブルラック3aの上側から前記第一の熱膨張性耐火シート10が開口部2に配置されている。
前記第一の熱膨張性耐火シート10の前記折り返し部分16は、前記開口部2の内周面側にある第一のケーブルラック3aの面を覆うことができる。
前記第二の熱膨張性耐火シート20の前記折り返し部分26がある側を前記第二のケーブルラック3b側に向けて、前記第二のケーブルラック3bの下側から前記第二の熱膨張性耐火シート20が開口部2に配置されている。
前記第二の熱膨張性耐火シート20の前記折り返し部分26は、前記開口部2の内周面側にある第二のケーブルラック3bの面を覆うことができる。
また前記第三の熱膨張性耐火シート120の前記折り返し部分131がある側を前記第一のケーブルラック3aに向け、前記折り返し部分132がある側を前記第二のケーブルラック3bに向けて、第三の熱膨張性耐火シート120が、第一のケーブルラック3aと第二のケーブルラック3bとの間にある前記開口部2の部分に配置されている。
この様にして、図18に例示される様に、前記第一の熱膨張性耐火シート10と前記第三の熱膨張性耐火シート120とを、前記折り返し部分16,131以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第一のケーブルラック3aの周囲に沿って前記開口部2を覆う様に配置することができる。また前記第二の熱膨張性耐火シート20と前記第三の熱膨張性耐火シート120とを、前記折り返し部分26,132以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第二のケーブルラック3bの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置することができる。
これにより前記第一のケーブルラック3aを、前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16および前記第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分131により形成された空隙に挿通させることができ、前記第一のケーブルラック3aの一方の面を前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16により覆い、他方の面を第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分131により覆うことができる。
同様に、前記第二のケーブルラック3bを、前記第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26および前記第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分132により形成された空隙に挿通せさることができ、前記第二のケーブルラック3bの一方の面を前記第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26により覆い、他方の面を第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分132により覆うことができる。
また、前記第一の熱膨張性耐火シート10のうち前記折り返し部分16に隣接する裾部17,18と、前記第三の熱膨張性耐火シート120のうち前記折り返し部分131に隣接する裾部135,136とはそれぞれ重複部分を有するものである。同様に前記第二の熱膨張性耐火シート20のうち前記折り返し部分26に隣接する裾部27,28と、前記第三の熱膨張性耐火シート120のうち前記折り返し部分132に隣接する裾部137,138とはそれぞれ重複部分を有するものである。
なお、前記裾部17および前記裾部135、前記裾部18および前記裾部136、前記裾部27および前記裾部137、ならびに前記裾部28および前記裾部138とはそれぞれ互いに突き合わせて設置してもよい。
図19は、本発明の第六の実施態様である防火区画貫通部構造の断面を例示した模式要部断面図である。なお、図6の場合と同様、説明の便宜上、前記ケーブルラック3a,3bおよび前記長尺体6を破線で表現している。
図19に例示される様に、前記第一のケーブルラック3aの上面に対し水平方向に折り曲げられた前記第一の熱膨張性耐火シート10の折り返し部分16は前記第一のケーブルラック3aの上面を覆っている。
また、前記第一のケーブルラック3aの下面に対し水平方向に折り曲げられた前記第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分131は前記第一のケーブルラック3aの下面を覆っていて、前記第二のケーブルラック3bの上面に対し水平方向に折り曲げられた前記第三の熱膨張性耐火シート120の折り返し部分132は前記第二のケーブルラック3bの上面を覆っている。
また、前記第二のケーブルラック3bの下面に対し水平方向に折り曲げられた前記第二の熱膨張性耐火シート20の折り返し部分26は前記ケーブルラック3bの下面を覆っている。
この様に、前記折り返し部分16および前記折り返し部分131は前記仕切部1の外側に折り返えされ、前記ケーブルラック3aを挟んで互いに対向する位置に設けられている。さらに前記折り返し部分26および前記折り返し部分132は前記仕切部1の外側に折り返えされ、前記ケーブルラック3bを挟んで互いに対向する位置に設けられている。
前記折り返し部分16,131により覆われた前記ケーブルラック3a内部と前記長尺体6との間には耐火充填材40が配置されていて、前記折り返し部分26,132により覆われた前記ケーブルラック3b内部と前記長尺体6との間にも耐火充填材40が配置されている。
先の図7により第一の実施態様の場合で説明した通り、前記折り返し部分16,131および前記第一のケーブルラック3aの周囲に熱膨張性耐火テープ50を配置し、ならびに前記折り返し部分26,132および前記第二のケーブルラック3bの周囲に熱膨張性耐火テープ50を配置することが好ましい。
次に本発明の第七の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図20は本発明の第七の実施態様である防火区画貫通部構造を説明するための模式要部斜視図である。
先の第六の実施態様の場合には、第一〜第三の熱膨張性耐火シートならびに第一〜第二のケーブルラックを使用したが、この第七の実施態様の場合には、第四の熱膨張性耐火シート120aおよび第三のケーブルラック3cを追加して使用する点が異なる。なお、図20における各参照符号の意味は、先の図19の場合と同様である。
図20に例示された第四の熱膨張性耐火シート120aの構成は先の第三の熱膨張性耐火シート120の場合と同様であり、先の第六の実施態様における第三の熱膨張性耐火シート120と全く同様にして、前記開口部2に設置することができる。
また、第三のケーブルラックの構成についても先の第六の実施態様における第二のケーブルラックの場合と同様であり、先の第六の実施態様における第二の熱望膨張性耐火シートと全く同様に折り返し部分131aおよび132aと同様にして、前記開口部2に設置することができる。
以下同様にしてケーブルラックの数が増加した場合でも熱膨張性耐火シートを追加することにより本発明の防火区画貫通部構造を得ることができる。
次に本発明の第八の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図21は本発明の第八の実施態様を説明するための模式要部断面図である。
先の第六の実施態様の場合には、第二のケーブルラック3bは前記開口部2の端部に接触することなく設置されていたが、この第八の実施態様の場合には、第二のケーブルラック3bが前記開口部2の端部に接触して設置されている点が異なる。
このため、前記第八の実施態様の場合には、前記第六の実施態様に使用した第二の熱膨張性耐火シートが省略され、第三の熱膨張性耐火シート120の代わりに異なる形状の熱膨張性耐火シート120bが使用される。
図22は、第八の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを前記開口部に配置した構造を、仕切部に沿って切断した状態を例示した模式要部断面図である。
図22に例示される様に、第六の実施態様の際に使用した第三の熱膨張性耐火シート120に代えて、第八の実施態様の場合では熱膨張性耐火シート120bが使用されている点が異なる。前記熱膨張性耐火シート120bは、折り返し部分132に隣接する裾部137,138がケーブルラック3bの下まで延長されている。
その他の構成については第六の実施態様の場合と同様である。
この様に、本発明の防火区画貫通部構造によれば、多種多様な構造に容易に対応することができる。
次に本発明に使用する耐火充填材について説明する。
本発明に使用する耐火充填材としては、例えば、モルタル、セメント等の耐熱シール剤、
水酸化アルミニウム、せっこう等の吸熱性のある無機充填材、
グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等の無機繊維系充填材、
ポリブテン、ポリブタジエン等の有機系バインダー、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機充填剤等を含む粘土状充填材やペースト状充填材、熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材やペースト状充填材等の耐火性パテ、
グラスウールフェルト、ロックウールフェルト、セラミックウールフェルト、石膏繊維フェルト、炭素繊維フェルト、スラグ繊維フェルト、シリカアルミナ繊維フェルト、アルミナ繊維フェルト、シリカ繊維フェルト、ジルコニア繊維フェルト等の無機繊維フェルトを直方体等の形状に加工した無機繊維フェルトブロック、
前記無機繊維フェルトブロックを布、フィルムおよびシート等で包装した無機繊維フェルト包装体ブロック、
前記無機繊維系充填材を布、フィルムおよびシート等で包装した無機繊維包装体ブロック、
熱膨張性耐火樹脂組成物を直方体等の形状に成形した熱膨張性耐火材ブロック、
ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、エチレンー酢酸ビニル共重合発泡体等の発泡体と共に熱膨張性耐火材の小片を成形した熱膨張性耐火材小片含有発泡体等の熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロック、
ロックウール等の無機繊維系充填材と共に熱膨張性耐火材の小片を布、フィルムおよびシート等で包装した熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック、
熱膨張性耐火材等の小片を含む充填用バッグ等が挙げられる。
これらの中でも取扱性、施工性の面から、耐火性パテ、
前記熱膨張性耐火材等の小片を含む充填用バッグ、
前記無機繊維フェルトブロック、前記無機繊維フェルト包装体ブロック、無機繊維包装体ブロック、前記熱膨張性耐火材ブロック、前記熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロック、熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック等の耐火性ブロック、
が好ましい。
また前記耐火性パテ、前記熱膨張性耐火材の小片等を含む充填用バッグおよび耐火性ブロックのうち少なくとも二種を併用することも好ましい。
ここで本発明に使用する前記充填用バッグについて説明する。
前記充填用バッグは、小片(1)と、熱膨張性耐火材の小片(2)とを少なくとも有するものである。
また、前記充填用バッグは、小片(1)と、熱膨張性耐火材の小片(2)等を包むための包材(3)を有するものである。
最初に本発明に使用する小片(1)について説明する。
本発明に使用する小片としては、例えば、粒状ロックウール、粒状ガラス、粒状セラミック、粒状アルミナ、粒状シリカアルミナ等の無機系小片、
ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、エチレン−酢酸ビニル共重合発泡体等の柔軟性のある発泡体、
を挙げることができる。
前記小片は無機系小片であることが好ましく、中でも粒状ロックウールは取り扱い性に優れることから好ましい。
また前記ポリウレタン発泡体は、ポリウレタン発泡体の端材や成形不良品等を細かく裁断した後、また一体の成形体とすることが容易であることから好ましい。
前記小片は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記柔軟性のある発泡体は容易に変形させることができることから、前記充填用バッグ全体に柔軟性と反発性を与えることができ、前記ケーブルラック内部と前記長尺体との隙間に容易に配置することができる。
前記柔軟性のある発泡体の製造方法は公知であり、本発明に使用する前記発泡体の製造方法に特に限定はない。
前記柔軟性のある発泡体の原料樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン発泡体の場合であれば、水と親水性ポリオール化合物とを含む成分ならびにポリイソシアネート化合物を含む成分からなる二液タイプのポリウレタン原料、水性ウレタンポリマーに水を反応させる一液タイプのポリウレタン原料等を挙げることができる。
また、前記柔軟性のある発泡体の原料樹脂としては、前記ポリウレタン原料に加えて、前記ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合等を挙げることができる。
これらの原料樹脂、発泡剤、架橋剤等を混合機で撹拌し均一な樹脂組成物とした後、この樹脂組成物を金型プレス等を用いて加圧下に加熱することにより、前記発泡剤が発泡を起こす。この様にしてこれらの原料樹脂等を発泡成形することにより、前記柔軟性のある発泡体を得ることができる。
この様にして得られた前記柔軟性のある発泡体は、適宜裁断、粉砕等の工程を経て小片とすることができる。
本発明に使用する前記柔軟性のある発泡体は、平均粒径が0.1〜50mmの範囲のものであれば好ましく、平均粒径が0.5〜30mmの範囲のものであればより好ましく、平均粒径が1〜20mmの範囲のものであればさらに好ましい。
次に本発明に使用する前記熱膨張性耐火材の小片(2)について説明する。
前記熱膨張性耐火材の小片としては、例えば、熱膨張性耐火材からなる成形体のうち比較的小さい形状を有するものを意味し、具体的には、平均粒径が0.1〜10mmの範囲のものであれば好ましく、平均粒径が0.5〜5mmの範囲であればより好ましく、平均粒径が2〜4mmの範囲であればさらに好ましい。
また前記熱膨張性耐火材の小片の形状としては、例えば、粉体状、短冊状、フレーク状
、ペレット状、薄片状、平板状等を挙げることができる。これらの形状は必ずしも均一である必要はなく、不定形状のものを含有することができる。
また前記熱膨張性耐火材の小片は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
次に本発明に使用する前記熱膨張性耐火材について説明する。
前記熱膨張性耐火材としては、例えば、具体的には熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分、熱膨張性層状無機物、リン化合物、無機充填材等を含む熱膨張性耐火樹脂組成物からなるもの等を挙げることができる。
前記熱膨張性耐火樹脂組成物の各成分のうち、まず前記樹脂成分について説明する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂類、
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。
また、これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、柔軟でゴム的性質を持っているものが好ましい。この様な性質を持つものは無機充填材を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟で扱い易いものとなる。
より柔軟で扱い易い樹脂組成物を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの共重合体や重合体の混合物等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。
また、前記エチレンとα−オレフィン以外のモノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレン単独重合体又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体としては、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメ
タロセン化合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好ましい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質には、更に、本発明における熱膨張性耐火材の耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。
前記合成樹脂類及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については、特に限定されず、予め架橋、変性した前記合成樹脂類及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述するリン化合物や無機充填材等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性を行ってもよい。
また、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上記架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
前記の架橋方法については特に限定されず、前記合成樹脂類及び/又はゴム物質について通常行われる架橋方法により実施することができる。例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法が挙げられる。
また、本発明に使用する樹脂成分のうち、先に示したエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、例えば、エポキシ基を持つモノマーと硬化剤とを反応させて得られる樹脂等を挙げることができる。
前記エポキシ基を持つモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型として、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のモノマーが挙げられる。
また、グリシジルエステル型として、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが挙げられる。
更に多官能のグリシジルエーテル型として、フェノールノボラック型、オルトクレゾー
ル型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン、フェノール型等のモノマーが挙げられる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
また、前記硬化剤としては、例えば、重付加型硬化剤、触媒型硬化剤等が挙げられる。
前記重付加型硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる。
前記触媒型硬化剤としては、例えば三級アミン類、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。
これらエポキシ樹脂の硬化方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる
なお、前記樹脂成分の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、二種以上の樹脂成分をブレンドしたものを使用することができる。
次に前記樹脂組成物の各成分のうち、前記熱膨張性層状無機物について説明する。
前記熱膨張性層状無機物は加熱時に膨張するものであるが、かかる熱膨張性層状無機物に特に限定はなく、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等を挙げることができる。
前記熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラフ
ァイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
前記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
前記アルカリ金属化合物および前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
前記熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュの範囲のものが好ましい。
粒度が20メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、充分な耐火断熱層が得られにくく、また、粒度が200メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、前記熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性が低下し易い。
上記中和された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製の「GRAFGUARD#160」、「GRAFGUARD#220」、東ソー社製の「GREP−EG」等が挙げられる。
次に先の熱膨張性耐火樹脂組成物の各成分のうち、前記無機充填材について説明する。
前記無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
これらは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記無機充填材は骨材的役割を果たして、加熱後に生成する膨張断熱層強度の向上や熱容量の増大に寄与する。
このため、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛で代表される金属炭酸塩、骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果も付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムで代表される含水無機物が好ましく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期律表IIbの金属炭酸塩又はこれらと前記含水無機物との混合物が好ましい。
また、リン化合物は、難燃性を向上させる為に用いられる。
前記リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;化学式1で表される化合物等が挙げられる。
これらのリン化合物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、下記の化学式で表される化合物、及び、ポリリン酸アンモニウム類が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
上記化学式中、R及びRは、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。
は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
前記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。
市販品としては、例えば、クラリアント社製の「商品名:EXOLIT AP422」及び「商品名:EXOLIT AP462」等が挙げられる。
前記リン化合物は、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩と反応して、金属炭酸塩の膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。
また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
本発明に使用する無機充填材が粒状の場合には、その粒径としては、0.5〜200μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは、1〜50μmの範囲のものである。
無機充填材の添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、粒径0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなることがある。
また、無機充填材の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることによって樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、上記範囲の中でも粒径の大きいものが好ましい。
なお、粒径が200μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下することがある。
前記無機充填材の中でも、特に骨材的役割を果たす炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;骨材的役割の他に加熱時に吸熱効果を付与する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物が好ましい。
前記含水無機物及び金属炭酸塩を併用することは、燃焼残渣の強度向上や熱容量増大に大きく寄与すると考えられる。
前記無機充填材の中で、特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、燃焼残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで燃焼残渣の強度が向上する点で好ましい。
また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広くなり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
前記含水無機物の粒径は、小さくなると嵩が大きくなって高充填化が困難となるので、脱水効果を高めるために高充填するには粒径の大きなものが好ましい。
具体的には、粒径が18μmでは、1.5μmの粒径に比べて充填限界量が約1.5倍程度向上することが知られている。
さらに、粒径の大きいものと小さいものとを組み合わせることによって、より高充填化が可能となる。
前記含水無機物の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムとして、粒径1μmの「商品名:ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「商品名:ハイジライトH−31」(昭和電工社製)等が挙げられる。
前記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「商品名:ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「商品名:BF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
冒頭に説明したとおり、本発明に使用する熱膨張性耐火材としては、上記に説明した熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分、前記熱膨張性層状無機物、前記無機充填材等を含む樹脂組成物からなるもの等を挙げることができるが、次にこれらの配合について説明する。
前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、前記熱膨張性層状無機物を20〜350重量部及び前記無機充填材を50〜400重量部の範囲で含むものが好ましい。
また、前記熱膨張性層状無機物および前記無機充填材の合計は、200〜600重量部の範囲が好ましい。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、前記熱膨張性耐火材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することもでき、安定した防火性能を達成することができる。
前記層状無機物の量が20重量部未満であると、膨張倍率が不足し、充分な耐火、防火性能が得られないことがある。
一方、層状無機物の量が350重量部を超えると、擬集力が不足するため、成形品としての強度が得られないことがある。
また前記無機充填材の量が50重量部未満であると、燃焼後の残体積量が減少するため、充分な耐火断熱層が得られないことがある。
さらに可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下することがある。
一方、無機充填材の量が400重量部を超えると樹脂成分の配合比率が減少するため、凝集力が不足して成形品としての強度が得られにくい。
前記樹脂組成物における熱膨張性層状無機物及び無機充填材の合計量は、200重量部未満では燃焼後の残渣量が不足して十分な耐火性能が得られにくく、600重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用に耐えられなくなることがある。
さらに本発明に使用する前記熱膨張性耐火樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
次に前記熱膨張性耐火樹脂組成物の製造方法について説明する。
前記熱膨張性耐火樹脂組成物の製造方法に特に限定はないが、例えば、前記熱膨張性耐火樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が熱可塑性樹脂である場合は、前記熱膨張性耐火樹脂組成物の各成分を押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー等公知の混練装置に供給して溶融混練する方法や、前記熱膨張性耐火樹脂組成物の各成分を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状にしたり、溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法により、前記熱膨張性耐火樹脂組成物を得ることができる。
また、前記熱膨張性耐火樹脂組成物に含まれる前記樹脂分が前記エポキシ樹脂である場合は、例えば、前記熱膨張性耐火樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法や、溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法、また前記熱膨張性耐火樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法により前記熱膨張性耐火樹脂組成物を得ることができる。
前記熱膨張性耐火樹脂組成物は、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、エポキシ基をもつモノマーと硬化剤とに別々に充填材を混練しておき、成形直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
以上説明した方法により、本発明に使用する前記熱膨張性耐火材を得ることができる。
前記熱膨張性耐火材は市販品として入手可能であり、例えば、住友スリ―エム社製のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)、積水化学工業社製フィブロック(ブチルゴムを含む熱膨張性耐火材)等の熱膨張性耐火材等も挙げられる。
前記熱膨張性耐火材は、火災時などの高温にさらされた際にその膨張層により断熱し、かつその膨張層の強度があるものであれば特に限定されないが、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨張率が3倍を下回ると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めきれず防火性能が低下することがある。また50倍を超えると、膨張層の強度が下がり、火炎の貫通を防止する効果が低下することがある。より好ましくは、体積膨張率が5〜40倍の範囲であり、さらに好ましくは8〜35倍の範囲である。
前記膨張層が自立するためには、前記膨張層は強度の大きいことが必要であり、その強度としては、圧縮試験器にて0.25cmの圧子を用いて、前記膨張層のサンプルを0.1m/sの圧縮速度で測定した場合の破断点応力が0.05kgf/cm以上であれば好ましい。破断点応力が0.05kgf/cmを下回ると、断熱膨張層が自立できなくなり防火性能が低下することがある。より好ましくは、0.1kgf/cm以上である。
本発明に使用する前記熱膨張性耐火材の小片は、前記熱膨張性耐火材をシートや成形品等に加工して得られる成形品を粉砕する方法、前記熱膨張性耐火材をシートや成形品等に加工して得られる成形品を裁断する方法、前記熱膨張性耐火材をシートや成形品等に加工する際に得られる端材等を利用する方法、前記端材等を粉砕する方法、前記端材等を裁断する方法等により得ることができる。
これらの方法は一種もしくは二種以上を実施することができる。
前記熱膨張性耐火材の小片は、粒径を揃える分球操作を実施したものを使用することが好ましい。
また本発明に使用する充填用バッグは、前記小片および熱膨張性耐火材に加えて、無機充填材を含むものであってもよい。
この様な無機充填材としては、無機粉末系充填材、無機繊維系充填材等が挙げられる。
前記無機粉末系充填材としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏等が挙げられる。
また前記無機繊維系充填材としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
次に、前記小片(1)と、前記熱膨張性耐火材の小片(2)等を包むための包材(3)について説明する。
かかる包材としては、例えば、布、フィルムおよびシート等を挙げることができる。
前記布としては、例えば、木綿、絹、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の織布や不織布からなるもの等を挙げることができる。
前記フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を挙げることができる。
前記シートとしては、例えば、アルミニウム箔、アルミガラスクロス、無機ガラスクロス、セラミックシート等を挙げることができる。
前記包材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
次に本発明に使用する充填用バッグの詳細について説明する。
先に説明した通り、前記充填用バッグは、小片(1)および熱膨張性耐火材の小片(2)ならびに、前記小片(1)と前記熱膨張性耐火材の小片(2)等を包むための包材(3)を少なくとも有するものである。
図23は本発明に使用する充填用バッグを例示した模式斜視図である。
図23に例示される様に、ポリエチレン袋200の中に、ポリウレタン発泡体の小片300と、前記熱膨張性耐火材400の小片が収納されている。特に図示していないが、ポリウレタン発泡体の小片300と、前記熱膨張性耐火材400の小片に加えて、先に説明した無機繊維系充填材等を収納することができる。
ポリエチレン袋200の端部は前記ポリウレタン発泡体の小片300と、前記熱膨張性耐火材400の小片とを収納した後、接着剤による手段、融着による手段等により貼着されている。
前記包材(3)の体積は、通常10〜2000cmの範囲であり、好ましくは100〜1500cmの範囲である。
また、前記包材(3)に収納される前記小片(1)と前記熱膨張性耐火材の小片(2)との合計体積は、前記包材の体積に対し、通常5〜80%の範囲であり、10〜70%の範囲であれば好ましく、20〜60%の範囲であればさらに好ましい。
また、前記小片(1)と前記熱膨張性耐火材の小片(2)との体積比は、通常1:1〜1000:1の範囲であり、1:1〜100:1の範囲であれば好ましく、1:1〜10:1の範囲であればさらに好ましい。
図23に例示される様に、前記ポリエチレン袋200の中にはポリウレタン発泡体の小片300と、前記熱膨張性耐火材400の小片とが収納されているが、前記ポリエチレン袋200の体積と比較してこれらの小片の合計体積は小さい。
このため、前記充填用バッグは、例えば、自在に折りたたむこともできるし、自在に球状、柱状、直方体状等に近い形状に変形させることができる。この様に、前記充填用バッグは前記外力に応じて自在にその形状を変形させることができる。
また前記充填用バッグは、例えば、一定形状を保持するためには外力を必要とするものを使用することができる。
前記充填用バッグとして、一定形状を保持するためには外力を必要とするものを使用した場合には、前記充填用バッグを平坦な面に乗せると略平坦な形状となり、球面に乗せると略球面に沿った形状となり、曲面に乗せると略曲面に沿った形状になる等、自在にその形状を変形させることができる。
また特に図示していないが、前記充填用バッグには、空気出入孔を設けることが好ましい。
前記空気出入孔の形状は、前記充填用バッグの内容物が外部に流出しないものであれば特に限定はなく、例えば、円形、楕円形、多角形等の形状の他、直線状の切れ目等のものであってもよい。
前記空気出入孔の形状は、一種もしくは二種以上を採用することができる。
また、前記空気出入孔の数は、前記充填用バッグを圧縮した際に、前記充填用バッグ内の空気が速やかに外部に抜けるよう、複数設けることが好ましい。
図24は本発明に使用する充填用バッグの変形例を例示した模式斜視図である。
図24に例示される様に、前記充填用バッグは、2枚の不織布500を重ね合わせ、その不織布の間にポリウレタン発泡体の小片300と、前記熱膨張性耐火材400の小片とが収納されている。
なお前記不織布500同士はヒートシール等の接合手段により貼着されている。参照符号600はヒートシールにより貼着された部分を例示するものである。
前記不織布は空気を通すものであり、前記不織布同士の隙間等から適宜内部の空気が速やかに外部に抜けるようにされている。
図25は本発明に使用する充填用バッグの変形例を例示した模式斜視図である。
図25に例示される様に、前記充填用バッグは、二以上の包材を有するものを使用することができる。
互いに隣接する前記包材210の境界に、前記包材210同士を連結するための連結部220が設けられている。
図26は前記連結部220の変形例を例示した模式要部斜視図である。
前記連結部220には分割手段として図26(a)に破線で例示される破断線230が設けられていて、一方の包材210aから他方の包材210bを切り離すことができる様になっている。
また他の分割手段として、図26(b)に例示される切り欠き240が前記連結部220に設けられていて、同様に一方の包材210aから他方の包材210bを切り離すことができる様になっている。
この様に、本発明に使用する充填用バッグは多数が連結されたものを折りたたんで配置することができる。
次に本発明に使用する耐火性ブロックについて説明する。
本発明に使用する耐火性ブロックの形状は、例えばその断面が長方形、正方形等であって、その断面の一辺の長さは10〜50mmの範囲のものであり、長手方向の長さが100〜300mmの範囲の直方体等が挙げられるが、前記耐火性ブロックの形状は施工する防火区画貫通部構造の構造等に応じて適宜選択することができる。
前記耐火性ブロックは、断面の一辺の長さが15〜20mmの範囲の正方形である直方体であれば好ましい。
図27〜31はそれぞれ耐火性ブロックの具体例を示したものである。
図27は無機繊維フェルト包装体ブロックを例示し、図28は無機繊維包装体ブロックを例示し、図29は熱膨張性耐火材ブロックを例示し、図30は熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロックを例示し、および図31は熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックを例示した模式要部斜視図である。
図27に例示される前記無機繊維フェルト包装体ブロック700に含まれる無機繊維フェルト701は、例えば前記無機繊維系充填材を平面状に成形した厚さ10〜30mmの無機繊維フェルト生地を切断することにより直方体の形状として得られるものである。
本発明に使用する耐火性ブロックは先に説明した包材により包装されていることが好ましい。
前記包材としては先に説明した場合と同様に布、フィルムおよびシート等を使用することができる。
図27に例示した場合では前記無機繊維フェルト700はポリエチレンフィルム702で包装されている。ポリエチレンフィルム702等の包材等で前記無機繊維フェルト701を包装することにより前記無機繊維フェルト701から無機繊維が脱落することを防止できることから、前記無機繊維フェルト701をポリエチレンフィルム702等の包材により包装することが好ましい。
図28に例示される無機繊維包装体ブロック710は無機繊維系充填材711をポリエチレンテレフタレート不織布712(説明の便宜上、透明なものとして図示)等で包装したものであり、その形状は先の無機繊維フェルト包装体ブロック700と同様である。ポリエチレンテレフタレート不織布712等の包材により前記無機繊維系充填材711を包装することにより取扱性が容易になる他、前記無機繊維系充填材711の飛散を防止することができる。
図29に例示される熱膨張性耐火材ブロック720は先に説明した熱膨張性耐火樹脂組成物を、図27に例示される前記無機繊維フェルト包装体ブロック700と同様の形状に成形したものである。
図30に例示される熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロック730は発泡体731と共に熱膨張性耐火材の小片732を成形したものであり、その形状は図27に例示される前記無機繊維フェルト包装体ブロック700と同様である。
図31に例示される熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740はロックウール等の無機繊維系充填材741と共に熱膨張性耐火材の小片742をポリプロピレン不織布743(説明の便宜上、透明なものとして図示)により包装したものであり、その形状は図27に例示される前記無機繊維フェルト包装体ブロック700と同様である。
図32は本発明に使用する耐火性ブロックの形状を例示した模式斜視図である。
本発明に使用する耐火性ブロックの形状は図31(a)の直方体800に限定されることはなく、例えば、図31(b)に例示される三角柱801、図32(c)に例示される六角柱802等の多角柱形状であってもよい。
前記耐火性ブロックの形状は、互いに組み合わせたときにケーブルラック内部を隙間無く詰めることができるものであれば好ましい。
本発明に使用する耐火性ブロックは二以上の耐火性ブロックを組み合わせて使用するものである。
図33および図34は、具体例として二以上の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を組み合わせた状態を例示した模式斜視図である。
本発明に使用する耐火性ブロックはその外面が粘着性を有するものが好ましい。
前記耐火性ブロックの外面に粘着性を付与する手段としては、前記耐火性ブロックの外面に粘着材を塗布する等の耐火性ブロックの外部から粘着性を付与する手段、前記耐火性ブロック自体に粘着性を有する成分を含有させてから成形する等の耐火性ブロックの内部から粘着性を付与する手段等が挙げられる。
図33に例示される熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の外面には粘着性を付与するための粘着剤が塗布されていて、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740同士が着脱自在に結合されている。
例えば、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744の両端を手で保持して運搬した場合にも前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744が崩れ落ちない程度の粘着性を有する粘着剤を使用することにより、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744を一体のものとして扱うことができる。
また図34に例示した様に、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744から個々の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を取り除くことも可能である。
このとき例えば、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744から個々の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を除去した場合に、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740同士の粘着面が破壊されない程度の粘着性を有する粘着剤を使用する。これにより前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744からケーブルラックの内部を挿通する長尺体の位置に対応する個々の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を容易に取り除くことができ、先に説明したケーブルラック内に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aを設置することができる。
前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740は柔軟性を有するため前記ケーブルラック内に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aを容易に配置することができる。
図33に例示された前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744として、例えば幅が20cmと30cmとの二種類を用意しておけば、前記ケーブルラック内部の幅が40cmの場合は、全体の幅が20cmの前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744を二つ準備することにより対応することができ、前記ケーブルラック内部の幅が50cmの場合は、全体の幅が20cmおよび30cmの前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744をそれぞれ準備すること等により対応することができる。
前記ケーブルラック内部の幅が10cm毎に変化する場合にはこの様に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744を適宜選択して対応することができる。
さらに微調整が必要な場合には個々の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の数を増減させて対応することができる。
図35は前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aの変形例を示した模式斜視図である。
前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aの場合は全ての前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を同方向に貼着することによりその組み合わせ744aが構成されていたが、図35に例示した前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744bは、前記ケーブルラック内の長尺体と接する側にある最外面の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740が他の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740と直交するように配置されている。
この最外面の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740のうち、前記ケーブルラック内の横材に対応する位置にある前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を事前に取り除いておくことにより、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744bに前記ケーブルラックの横材を収容するための隙間750ができるため無理なく前記ケーブルラック内に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744bを配置することができる。
また、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740同士を直交させて組み合わせることにより、記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744b全体の強度を増加させることができ、施工中の取扱性を向上させることができる。
図35の場合には最外面の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を取り除く場合について説明したが、前記ケーブルラックの横材の大きさに合わせて、下から二層目、三層目等の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を適宜取り除いたものを使用してもよい。
なお、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744bには長尺体を挿通させるための隙間760が設けられているが、この隙間760の位置、大きさは前記長尺体の位置、形状に合わせて適宜変更することができる。
また前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744は、その外周に支持具を備えるものであってもよい。
前記支持具としては、例えば、図36(a)に例示される粘着テープ745、図36(b)に例示される帯状連結具746、図36(c)に例示される枠体747と連結具748からなるもの等が挙げられる。
前記粘着テープ745としては、例えば市販の粘着紙テープ、粘着布テープ、粘着フィルムテープ等が挙げられる。
前記帯状連結具746としては、例えば、例えば金属製のベルト、布製のベルト、樹脂製のベルト、紙製のベルト等が挙げられる。
また前記枠体747としては、例えばアルミ、ステンレス等の金属からなるもの、合成ゴム、天然ゴム等の柔軟性素材からなるもの等を挙げることができる。また前記連結具748としては、例えば先の帯状連結具に加えて、金属線、金属チェーン、繊維紐、樹脂製紐等の線状連結具等を挙げることができる。
図36(c)に例示される通り、前記枠体747は平板状の本体部800と、前記本体部800の両端に前記本体部の同じ側に垂直方向に延設されたリップ部801を備えたものである。この枠体747のリップ部801には上記に説明した連結具748が連結されていて、前記枠体747と連結具748とにより、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aを外側から固定することができる。
前記支持具は前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の組み合わせ744aの外周全てに設置されていてもよいし、その外周の一部に設置されていてもよい。
具体例として前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740を例に挙げて説明したが、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740以外の耐火性ブロックについても前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック740の場合と同様である。
次に本発明に使用する熱膨張性耐火シートについて説明する。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、先に説明した熱膨張性耐火樹脂組成物をシート状に成形することにより得ることができる。
前記熱膨張性耐火樹脂組成物を用いて、例えば、プレス成形、押出し成形、カレンダー成形等の従来公知の方法により成形することにより、前記熱膨張性耐火シートを得ることができる。
前記熱膨張性耐火シートは、施工性や燃焼残渣強度を改善する目的で基材層が積層されているものであってもよい。
前記基材層としては火災時における強度が保たれるものが好ましい。具体的な様態としては前記熱膨張性耐火樹脂組成物のシート状成形体の両側にガラスクロス、シリカクロスなどの無機繊維系クロスを積層したり、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔などの金属箔などを積層したりしても良い。また無機繊維系クロスと金属箔の積層品を2以上積層したものを熱膨張性シートに積層してもよい。熱膨張性シートの表面材は表面と裏面とで同じでも、異なるものでも良い。
前記熱膨張性耐火シートの厚みは、施工作業性や耐火性能の面から、通常は0.5〜10mmの範囲であり、1〜5mmの範囲であれば好ましい。
次に本発明に使用する熱膨張性耐火テープについて説明する。
前記熱膨張性耐火テープは、例えば、先に説明した熱膨張性耐火シートを幅5〜200mm程度に切断し、ロール状に巻き取ったものを使用する。
前記熱膨張性耐火テープは、本発明に使用する熱膨張性耐火シートの折り返し部およびケーブルラックに巻き付ける際の施工作業性を簡便にするために自己粘着性を有するものが好ましい。前記熱膨張性耐火テープに自己粘着性を持たせるためには前記熱膨張性耐火樹脂組成物として、例えば、ブチルゴムおよびポリブテン等の液状樹脂ならびに粘着付与剤として石油樹脂等が配合されたもの等を使用すればよい。
また前記熱膨張性耐火テープは、基材層としてガラスクロス、シリカクロス等の無機繊維系クロスを積層したもの、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等の金属箔等を積層したもの、無機繊維系クロスと金属箔の積層体を2以上積層したものを使用することができる。
前記熱膨張性耐火テープは、前記ケーブルラックの周囲に一周以上巻き付けて設置することが好ましい。
また本発明の防火区画貫通部構造は、前記ケーブルラックと前記熱膨張性耐火シートとが接する境界に前記熱膨張性耐火テープを配置することが好ましい。
前記熱膨張性耐火テープの固定手段に特に限定はないが、具体的な様態としてはくぎ、ねじ、リベット等の固定具等により前記ケーブルラック、仕切部に固定する手段、耐火性のある接着剤等で貼着する手段、無機系の糸や幅広のリボン等、あるいは針金や幅広の金属帯等で固定する手段等が挙げられる。これらの手段により前記熱膨張性耐火テープを固定することにより、前記熱膨張性耐火テープに加えてその内側に配置される前記熱膨張性耐火シートも同時に固定することが可能となる。
次に本発明の防火区画貫通部構造の施工方法について説明する。
図37〜図38は、第一の実施態様である防火区画貫通部構造の施工過程を説明するための模式要部斜視図および模式要部断面図である。
図37に例示される様に、隣接する防火区画を画成する仕切部1に形成された開口部2に、ケーブルラック3が手前側から斜め奥側方向に貫通している。前記ケーブルラック3内部には通信ケーブル等の長尺体6が挿通している。
第一の熱膨張性耐火シート10に設けられた切り込み11,12のそれぞれの終端部13,14を連結する位置で第一の熱膨張性耐火シートを曲げて折り返し部分15を作る。この折り返し部分15が前記ケーブルラック3の上面を覆う様に位置を合わせてから前記開口部2を覆う様に第一の熱膨張性耐火シート10を配置する。
続いて第二の熱膨張性耐火シート20に設けられた切り込み21,22のそれぞれの終端部23,24を連結する位置で第二の熱膨張性耐火シート20を曲げて折り返し部分25を作る。この折り返し部分25が前記ケーブルラック3の下面を覆う様に位置を合わせてから前記開口部2を覆う様に第二の熱膨張性耐火シート20を配置する。
この第一の熱膨張性耐火シート10および第二の熱膨張性耐火シート20を前記仕切部1にアンカーボルト32で固定することにより、図38に例示した構造を得る。
第一の熱膨張性耐火シート10の裾部17,18と、第二の熱膨張性耐火シート20の裾部27,28とはそれぞれアンカーボルト32で重なる様にして前記仕切部1に固定されている。
次に前記折り返し部分16,26により覆われている前記ケーブルラック3内部と長尺体6との間に充填用バッグ40を隙間なく配置する。
前記充填用バッグ40は自由に変形し、圧縮した場合でも自然に膨らむことから前記ケーブルラック3内部と長尺体6との間に手軽に前記充填用バッグ40を配置することができる。
次に前記折り返し部16,26およびケーブルラックの周囲を熱膨張性耐火テープ50で固定することにより、図7に例示した本発明の第一の実施態様である防火区画貫通部構造を得ることができる。前記熱膨張性耐火テープによる固定は、前記熱膨張性耐火テープに自己粘着性を付与しておく方法、耐熱接着剤を用いて固定する方法等、適宜選択することができる。
なお、前記充填用バッグ40を配置する前に、前記折り返し部分16,26およびケーブルラック3の周囲を熱膨張性耐火テープ50で固定しておいてもよい。
本発明に使用する前記充填用バッグは外力に応じて自在にその形状を変形させることができ、かつ互いに反発する柔軟性を有することから、簡単な操作により前記貫通孔と前記電力ケーブルとの間に隙間なく前記充填用バッグを充填することができることから効率良く本発明の防火区画貫通部構造を提供することができる。
次に前記耐火性ブロックを使用した本発明の第九の実施態様である防火区画貫通部構造について説明する。
図39は図34に例示した前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aを使用した防火区画貫通部構造の第九の実施態様を例示した模式要部斜視図である。
前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aは全体の断面の外形が長方形であり、前記ケーブルラック3内部に略合致して設置することができる外形形状を有する。また柔軟性を有することから前記ケーブルラック3内部に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aをほぼ隙間無く配置することができる。
また前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aのうち、長尺体6a、6bおよび6cに相当する部分の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックは事前に取り除かれていて、前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aの断面は前記長尺体6a、6bおよび6cが挿通するための隙間を有する。
これにより長尺体6a、6bおよび6cの周囲を取り囲む様に前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aを配置することができる。
また前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aは柔軟性を有するため長尺体6a、6bおよび6cの周囲に隙間なく配置することができる。
前記ケーブルラック3の上下方向から固定用金具900が設置されていて、側面に取り付けられた補助固定用金具910、ボルト付き固定金具920、ボルト930およびナット940により前記ケーブルラック3に固定されている。
その他の構成については先に説明した第一の実施態様の場合と同様である。
次に前記耐火性ブロックを使用した、本発明の第九の実施態様である防火区画貫通部構造の施工方法について説明する。
図40に例示される様に、ケーブルラック3の内部を挿通する長尺体6a、6bおよび6cの形状に合わせて、図34の前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744から前記長尺体の位置に該当する前記無機繊維フェルト包装体ブロック740を取り除いた後(図33および図34参照)、残りの前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aを上部からケーブルラック3内部に配置する。
図41は前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aを前記ケーブルラック内部に配置した状態を説明するための模式要部断面図である。
前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aは外面が粘着性を有するものの、前記ケーブルラック3内に上部から配置することにより防火区画貫通部構造を施工することができることからその施工作業性に優れる。
従来の防火区画貫通部構造の施工方法の場合、防火区画を画成する仕切部に形成された開口部と長尺体との隙間に熱膨張性充填材等を詰める必要がある。
ところが前記熱膨張性充填材等が弾力を有する柔軟な構造を有する場合、狭い隙間に前記熱膨張性充填材等を挿入しようとしても前記熱膨張性充填材等が変形してしまうため、狭い隙間に前記熱膨張性充填材等を複数個詰めることが困難であった。
また逆に前記熱膨張性充填材等が弾力を有しない剛直な構造の場合には、前記開口部と長尺体との隙間に挿入した熱膨張性充填材同士を隙間無く配置することが困難であった。
さらに前記熱膨張性充填材等の外面が粘着性を有する場合、前記開口部内部の狭い隙間に前記熱膨張性充填材等を詰めることが困難となる。
これに対し、本発明に使用する耐火性ブロックの場合にはケーブルラック内部に一体となった前記耐火性ブロックの組み合わせを配置することにより施工できることから、従来の防火区画貫通部構造の施工方法に比較して極めて施工作業性が向上する。
また前記耐火性ブロックの組み合わせにおける個々の耐火性ブロックの位置を入れ替えたり、新たな耐火性ブロックを加えたり、不要な耐火性ブロックを取り除いたりすることが容易にできることから、前記ケーブルラック内部に対する前記耐火性ブロックの組み合わせの位置合わせも施工現場で容易に行うことができる。
前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aを前記ケーブルラック内部に配置した後は、前記折り返し部分16を前記熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ744aに重ねる。
次に図39に例示する様に、前記補助固定用金具910、ボルト付き固定金具920、ボルト930およびナット940を用いて前記ケーブルラック3の上下方向から前記固定用金具900を前記ケーブルラック3に固定することにより、本発明の第九の実施態様である防火区画貫通部構造を得ることができる。
その他の施工方法については先に説明した第一の実施態様の場合と同様である。
第二〜第八の実施態様の場合もこの第九の実施態様の場合と同様に施工することができる。
以上、説明した通り、本発明の防火区画貫通部構造は、防火区画を画成する仕切部に形成された開口部を貫通するケーブルラックの位置、数量に左右されず簡便に施工ができるという特徴を有する。
本発明に使用するケーブルラック、長尺体および開口部との関係を説明するための模式要部斜視図である。 本発明に使用する第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートの形状について説明するための模式斜視図である。 第一の熱膨張性耐火シートと第二の熱膨張性耐火シートとを組み合わせた状態を説明するための模式斜視図である。 本発明に使用するケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火シートが配置された状態を説明するための模式要部斜視図である。 第一の熱膨張性耐火シートと前記第二の熱膨張性耐火シートとを前記開口部に配置した構造について、仕切部に沿って切断した断面を例示した模式要部断面図である。 本発明の第一の実施態様である防火区画貫通部構造の断面を例示した模式要部断面図である。 折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを配置した状態を例示した模式要部斜視図である。 本発明の第二の実施態様である防火区画貫通部構造を説明するための模式要部断面図である。 第三の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。 第三の実施態様における熱膨張性耐火シートとケーブルラックとの関係を例示した模式要部斜視図である。 第四の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。 前記熱膨張性耐火シート80を使用した第四の実施態様である防火区画貫通部構造を例示した模式要部断面図である。 本発明に使用する貼着ピンを説明するための模式斜視図である。 床に形成された開口部にケーブルラックが貫通している態様の防火区画貫通部構造を例示した模式要部斜視図である。 第五の実施態様である防火区画貫通部構造のうち、前記ケーブルラックを床の上面と同じ面で切断した断面を例示した模式要部断面図である。 第六の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを例示した、模式要部斜視図である。 前記第一〜第三の熱膨張性耐火シートをそれぞれ組み合わせた状態を説明するための模式斜視図である。 第一〜第三の熱膨張性耐火シートを前記開口部に配置した構造を、仕切部に沿って切断した状態として例示した模式要部断面図である。 本発明の第六の実施態様である防火区画貫通部構造の断面を例示した模式要部断面図である。 本発明の第七の実施態様である防火区画貫通部構造を説明するための模式要部斜視図である。 本発明の第八の実施態様を説明するための模式要部断面図である。 第八の実施態様に使用する熱膨張性耐火シートを前記開口部に配置した構造を、仕切部に沿って切断した状態を例示した模式要部断面図である。 本発明に使用する充填用バッグを例示した模式斜視図である。 本発明に使用する充填用バッグの変形例を例示した模式斜視図である。 本発明に使用する充填用バッグの変形例を例示した模式斜視図である。 連結部の変形例を例示した模式要部斜視図である。 無機繊維フェルト包装体ブロックを例示した模式要部斜視図である。 無機繊維包装体ブロックを例示した模式要部斜視図である。 熱膨張性耐火材ブロックを例示した模式要部斜視図である。 熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロックを例示した模式要部斜視図である。 熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックを例示した模式要部斜視図である。 本発明に使用する耐火性ブロックの形状を例示した模式斜視図である。 二以上の熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックを組み合わせた状態を例示した模式斜視図である。 二以上の熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックを組み合わせた状態を例示した模式斜視図である。 熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせの変形例を示した模式斜視図である。 外周に支持具を備えた熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせを例示した模式斜視図である。 第一の実施態様である防火区画貫通部構造の施工過程を説明するための模式要部斜視図である。 第一の実施態様である防火区画貫通部構造の施工過程を説明するための模式要部断面図である。 防火区画貫通部構造の第九の実施態様を例示した模式要部斜視図である。 第九の実施態様である防火区画貫通部構造の施工過程を説明するための模式要部断面図である。 第九の実施態様である防火区画貫通部構造の施工過程を説明するための模式要部断面図である。
符号の説明
1 仕切部
2 開口部
3 ケーブルラック
3a 第一のケーブルラック
3b 第二のケーブルラック
3c 第三のケーブルラック
4 親桁材
5 横材
6 長尺体
10 第一の熱膨張性耐火シート
11、12、21、22、61、62、63、70、81、82、121、122、123、124 切り込み
13、14、23、24、64、66、83、84 切り込みの終端部
15、25、68、69、85 終端部を連結する位置
16、26、71、72、86、131、132 折り返し部分
17、18、27、28、87、88、135、136、137、138 裾部
20 第二の熱膨張性耐火シート
30、133、134 空隙
32 アンカーボルト
40 耐火充填材
50 熱膨張性耐火テープ
60、80、120b 熱膨張性耐火シート
73 切り込みの上部
74 切り込みの下部
89、90 折り返し裾部
91 ピン
92 貼着ピン
93 円形台座
94 耐熱接着剤層
95 離型フィルム
100 天井
110 床
112 保持部材
120 第三の熱膨張性耐火シート
120a 第四の熱膨張性耐火シート
200 ポリエチレン袋
210、210a、210b 包材
220 連結部
230 破断線
240 切り欠き
300 ポリウレタン発泡体の小片
400 膨張性耐火材
500 不織布
600 貼着部分
700 無機繊維フェルト包装体ブロック
701 無機繊維フェルト
702 ポリエチレンフィルム
703、703a 無機繊維フェルト包装体ブロックの組み合わせ
710 無機繊維包装体ブロック
711 無機繊維系充填材
712 ポリエチレンテレフタレート不織布
720 熱膨張性耐火材ブロック
730 熱膨張性耐火材小片含有発泡体ブロック
731 発泡体
732 熱膨張性耐火材の小片
740 熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロック
741 無機繊維系充填材
742 熱膨張性耐火材の小片
743 ポリプロピレン不織布
744、744a、744b 熱膨張性耐火材小片含有無機繊維包装体ブロックの組み合わせ
745 粘着テープ
746 帯状連結具
747 枠体
748 連結具
750 ケーブルラックの横材を収容するための隙間
760 長尺体を挿通させるための隙間
800 直方体
801 三角柱
802 六角柱
900 固定用金具
910 補助固定用金具
920 ボルト付き固定金具
930 ボルト
940 ナット
A,B 防火区画

Claims (7)

  1. 建築物に設けられた防火区画を画成する仕切部に形成された開口部と、
    前記開口部を貫通するケーブルラックと、
    前記ケーブルラックの内部を挿通する長尺体と、
    少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う熱膨張性耐火シートと、
    前記ケーブルラックの内部に配置された耐火充填材と、
    を少なくとも有する構造であって、
    前記熱膨張性耐火シートは、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分を形成するための二本以上の切り込みを有していて、前記切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記ケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    前記ケーブルラックは、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの面が前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
    前記耐火充填材は、前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われている前記仕切部の外側に位置する前記ケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
    前記熱膨張性耐火シートの折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、防火区画貫通部構造。
  2. 少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う二以上の熱膨張性耐火シート、
    を少なくとも有する構造であって、
    第一の熱膨張性耐火シートは、前記ケーブルラックの一方の面側にある一辺から、前記ケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有していて、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記ケーブルラックの一方の面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    第二の熱膨張性耐火シートは、前記ケーブルラックの他方の面側にある一辺から、前記ケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有していて、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と対向する様に前記ケーブルラックの他方の面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    前記第一の熱膨張性耐火シートと前記第二の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記ケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
    前記ケーブルラックは、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの一方の面が前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
    前記耐火充填材は、前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた、前記仕切部の外側に位置する前記ケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
    前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第二の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の防火区画貫通部構造。
  3. 前記開口部を貫通する第一および第二のケーブルラックと、
    少なくとも一方の前記仕切部表面に沿って前記ケーブルラック周囲の開口部全体を覆う三以上の熱膨張性耐火シートと、
    を少なくとも有する構造であって、
    第一の熱膨張性耐火シートは、前記開口部内周面側の第一のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第一のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記仕切部の外側方向かつ前記第一のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    第二の熱膨張性耐火シートは、前記開口部内周面側の第二のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第二のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第二のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    第三の熱膨張性耐火シートは、第一のケーブルラックと第二のケーブルラックとの間にある前記開口部の部分を少なくとも覆うためのものであって、第一のケーブルラックの面と同じ側にある一辺から、前記第一のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第一のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、さらに第二のケーブルラックの同じ面側にある一辺から、前記第二のケーブルラック断面の長辺と略同一幅の間隔をおいて二本の切り込みを有し、その二本の切り込みのそれぞれの終端部を連結する位置により、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分と同じ方向に前記第二のケーブルラックの面に対し水平方向に曲げられた折り返し部分を有し、
    前記第一の熱膨張性耐火シートと前記第三の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第一のケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
    前記第二の熱膨張性耐火シートと前記第三の熱膨張性耐火シートとは、前記折り返し部分以外のそれぞれの残余の凹形状の面により前記第二のケーブルラックの周囲に沿って前記開口部を覆う様に配置され、
    前記第一のケーブルラックは、前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記ケーブルラックの一方の面が前記第一の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
    前記第二のケーブルラックは、前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分および前記第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により形成された空隙を挿通すると共に、前記第二のケーブルラックの一方の面が前記第二の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、他方の面が第三の熱膨張性耐火シートの折り返し部分により覆われ、
    前記耐火充填材は、前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた前記仕切部の外側に位置する前記第一のケーブルラック内部と、長尺体と、の隙間に配置され、ならびに、前記第二の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分により覆われた前記仕切部の外側に位置する前記第二のケーブルラック内部と、長尺体と、の間に配置され
    前記第一の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記第一のケーブルラックの周囲ならびに前記第二の熱膨張性耐火シートおよび第三の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む前記第二のケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の防火区画貫通部構造。
  4. 前記開口部を貫通する三以上の前記ケーブルラックと、
    互いに隣接する前記ケーブルラックの間にそれぞれ配置される二以上の熱膨張性耐火シートを少なくとも有し、
    前記互いに隣接する前記ケーブルラックの間にそれぞれ配置される二以上の熱膨張性耐火シートのそれぞれの折り返し部分を含む三以上の前記ケーブルラックの周囲に熱膨張性耐火テープを備えたことを特徴とする、請求項3に記載の防火区画貫通部構造。
  5. 前記ケーブルラックは、その内部に前記耐火充填材を支持するための保持部材を備えたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の防火区画貫通部構造。
  6. 前記耐火充填材は、耐熱シール剤、無機充填材、無機繊維系充填材、耐火性パテ、熱膨張性耐火材ブロックおよび熱膨張性耐火材小片を含む充填用バッグからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の防火区画貫通部構造。
  7. 前記耐火充填材は、粘着性を有する二以上の前記耐火性ブロックを組み合わせてなるものであり、
    前記耐火性ブロックの組み合わせは、前記長尺体が挿通するための隙間を有すると共に、前記ケーブルラック内部に略合致して設置することができる外形形状を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の防火区画貫通部構造。
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